【ss】俺はルガルガン。

  • 1二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 06:00:53

    俺はルガルガン、ライチさんのパートナーだ。

    ライチさんはアーカラ島のしまクイーンを務めていて、ポケモンバトルの腕は島で一番と言っても過言ではない。

    俺とダイノーズのペアは他のどんなトレーナーにも負けたことがなく、その強さこそがライチさんをしまクイーンの地位に押し上げていた。

    実際俺は、自分の強さにかなりの自信があった。

    跳躍が高く、スピードもあり、スタミナだって抜群。

    他のトレーナーのポケモンより先に疲れたことなど一度もない。

    機転も効き、予想外の展開にも強い。

    この尻尾に岩の礫を纏わせて一振りすれば、大半のポケモンはK.O.できる。

    そうやって大試練に挑んできたトレーナー達を、何度も何人も負かしてきた。

    戦うのは楽しいし、勝つのはもっと楽しい。

    自分がオスなのもあって勝利への拘りは強い方で、その闘争心があったからこそここまで強くなれたのだろう。

    だけど俺は先日、あるトレーナーに敗北を喫してしまった。

  • 2二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 06:08:03

    そのトレーナーの名前はサトシ。

    相棒であるピカチュウを肩に乗せ、特徴的なマークの入ったキャップを被った少年だ。

    カントー地方のマサラタウンから来たというが、俺はカントー地方に行ったことが一度もないからそこはよく分からない。

    だけどもバトルの腕は本物で、これまで何人ものトレーナーに勝ってきたという。

    俺は彼に初めて会った時も、どうせこいつも自分が今まで倒してきたトレーナーと変わらないと決めつけ、内心かなり油断していた。

    勝ち癖がついており、無意識に慢心してしまったのだ。

    その為に相手の分析や観察などを怠っており、それが後に語るよくない結果に繋がったのだと思う。

    そのサトシという少年とはしばらくアーカラ島で海の見学などをして一緒に過ごしたが、最終的にとうとうバトルをすることになった。

    何連勝しているのかは知らないが、俺にとっては薙ぎ倒していく有象無象の中の一人でしかない。

    こんな少年にまで負けてしまったら、ご主人のしまクイーンという肩書きに傷がついてしまう。

    俺は内心油断しつつも、本気で勝つつもりで挑んだ。

  • 3二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 06:17:00

    ライチさんの大試練は、ダブルバトルなのが特徴だ。

    俺はいつも相方のダイノーズと組み、連携プレイで多くのトレーナーを倒してきた。

    このサトシとかいうトレーナーも、どうせ大したことはないのだろう。

    サトシが選んだのは相棒のピカチュウ……ではなく、鞄の中で寝ているモクローと自分の進化前であるイワンコ。

    自慢の美しいたてがみや尻尾をあいつの電撃で黒焦げにされたくなかったから、それ自体は全然いいのだけれど。

    俺はそれらを繰り出された時、蔑まれているとすら感じてしまった。

    本気でそんなポケモンで大試練に勝てると思っているのか。

    自分がイワンコの頃はとても弱く負けてばかりいたのもあって、俺は進化前のポケモンはどれも弱いと決めつけていた。

    前にもイーブイだのロコンだのを連れてこの大試練に挑んだ者がいたが、結果は言わずと知れている通り。

    進化したポケモンは進化する前のポケモンより優れている、それが俺の持論であった。

    しかし、舐めてかかったのが大違いであった。

    尻尾に大岩を纏いZワザを放とうとするも、不発に終わらされる。

    俺の必殺級の技であるいわなだれをいとも華麗に回避される。

    足場に使っていた相方のダイノーズを倒される。

  • 4二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 06:19:27

    しかも相手のうちイワンコの方は、ダイノーズが倒れた時に2:1になってフェアではないからとわざと味方のモクローを攻撃して戦闘不能にするような男気溢れる性格であった。

    俺もオスのルガルガンだ、オス同士負けていられない。

    そう思い、そこからは真剣に挑むようになった。

    道中でサトシと共に行っていた尻を振る体操は、正直よく分からなかったが。

  • 5二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 06:32:09

    俺はライチさんの指示通りに自分の尻尾に岩を纏わせ、ブルンと大きく一振りした。

    岩の流星群が、イワンコめがけて降り注ぐ。

    これは流石に耐えられないだろう、と思ったその時であった。

    イワンコは俺の放った岩の流星群を逆に利用して足場にし、俺よりずっと高い位置に飛び立った。

    そして、そこから俺と同様に尻尾に岩を纏わせ、お返しだと言わんばかりに岩の流星群……いわおとしを放った。

    それは俺を正確に追尾して直撃し、俺の顔に、腹に、脇に、股間にダイレクトに直撃した。

    岩が金玉に直撃した時は痛すぎて、オスたるもの泣かないと決めていたのに思わずみっともなく大泣きしてしまった。

    「ぎゃふぅ〜」と間抜けな鳴き声を出してしまったと思う。

    俺はそのまま地面に落ちていき、とどめの岩の襲撃を喰らい戦闘不能になった。

    グッタリと倒れた俺は、誰がどう見ても戦闘不能であった。

    自慢のたてがみや尻尾の美しい毛並みを物理的にズタズタにされただけでなく、俺のオスとしての、そしてイヌ科ポケモンとしてのプライドまで傷つけられてズタボロになってしまった。

  • 6二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 06:38:39

    グッタリと倒れていた俺の元に、ライチさんが歩いて近づいてきた。

    ライチさんの影が、俺の身体に落ちる。

    その時俺はてっきり、負けてしまったことについて怒られるのだと思った。

    尻を平手でひっ叩かれる覚悟すらしていた。

    1週間ごはん抜きの罰を喰らうとすら思った。

    だけど現実のライチさんはそのどちらでもなく、疲れて動けない俺の頭を優しく撫でながらこう言った。

    「よく頑張ったね。ボールの中でゆっくり休みな。」

    そう言って、ライチさんは俺をボールに戻した。

  • 7二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 06:53:11

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  • 8二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 06:58:58

    ボールの中で一眠りしたおかげで、すっかり傷は癒え疲れも取れた。

    だけど進化前に負けたことで俺の傷ついたオスとしてのプライドは、どうにも癒すことができなかった。

    落ち込んでいるのが怠惰にモロに出ていたのか、ライチさんが心配して声を掛けてくれた。

    「大丈夫かい? まだバトルの疲れが残っているだろう。」

    「……いや、違うね。」

    「負けるはずがないと思い込んでいた進化前のポケモンに負けたことが悔しかった。そうだろう?」

    ライチさんは俺の考えていることを、ずばりと言い当ててしまった。

    「人間もポケモンも、男の子は感情を隠すのがみんな下手。だからすぐ分かるのさ。」

    的確に心を読まれ、居た堪れない気持ちになった。

    ライチさんはそんな俺を責めることなく、優しくこう言ってくれた。

    「まあ、キミはオスだからね。男の子なら、譲れないものとか守りたいプライドがあるものだよね。バトルに負けるっていうのは、それをズタズタに傷つけられること。元気出してって言われてもそうすることが難しいのぐらい、分かってるさ。」

    「でも、あんたも知っていると思うけど、進化したポケモンが進化する前のポケモンより強いのはあくまでも一般論。それにどんなに強いポケモンだって、負けてしまう時はある。」

    「バトルをしているトレーナーならそれを必ず知っているから、誰も今のキミをダサいだとか、かっこ悪いなんて思わないよ。思う人もいるかもしれないけど、そんな人の言うことは気にしなければいいだけさ。」

    「……!!」

  • 9二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 07:00:30

    「元気を取り戻せたかい? ならよかった。」

    ライチさんのその言葉は、確実に俺の励みになった。

    俺はそう言ってしまったのが嬉しくて、思わずイヌポケモンのように尻尾を振りながらライチさんにじゃれついて甘えてしまった。

    「アハハッ、落ち着きな。そうやって尻尾をブンブン振られたらブラッシングができないじゃないか。」

    ライチさんがブラシを握っていたので、俺はすぐに大人しくなった。

  • 10二次元好きの匿名さん25/04/18(金) 07:08:45

    ライチさんはまず、ボサボサになってしまった俺の尻尾を手入れし始めた。

    尻尾は神経こそ通っておらず、身体の部位の中での優先順位は低いように思われるが、方向転換の際にバランスを取るのに重要となる。

    何より毛並みの美しさが誇らしいので、俺はこの尻尾をとても大切にしていた。

    ライチさんのブラッシングは、丁寧で優しくて気持ちいい。

    気持ち良すぎて、思わずアソコがガチガチに硬直してしまうほどだ。

    先ほどの攻撃による股間の痛みがひいたのもあり、俺の肉棒は非常に元気だ。

    俺の男のシンボルが硬くなって伸びているのを、ライチさんは見逃さなかった。

    「ふふっ、さては今アタシにドキドキしてるね?」

    人間であるライチさんとポケモンである俺が共に子を残せるわけがないのに、どうしてこんなにも興奮してしまうのだろうか。

    人前だとカッコつけるのに、ライチさんの前でだけは人懐っこい素直な甘えん坊になってしまうのは何故だろうか。

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