- 1二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:16:19
※注意
こちらのSSは「キャストリスに看取られたい」【一応閲覧注意】キャストリスに看取られたい|あにまん掲示板一般黄金裔として火を追う旅に加わりたい。加わった理由は「オンパロスをエスカトンから救う」とか大それた理由でなく、ただ単に「キャストリスに一目惚れしたから」。火を追う旅の傍ら、キャストリスと朝顔を合わせ…bbs.animanch.comの黄金裔くんとキャストリスの二次創作となります。以下の要素が含まれますため大丈夫な方は、よろしればご覧下さい。
※ 黄金裔くんの視点のお話 自己解釈と設定
※3.2未読
※エミュ甘
※蛇足と駄文
- 2二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:17:16
「ん〜!いい天気!」
ここは俺だけが知っている隠れ場所。
目を閉じていると、街の喧騒が聞こえてくる。今日もオクヘイマは平和だ。
そんなことを思いながら
一人寝そべって伸びをしていた。
常に明るいこのオクヘイマでなにを言っているんだと思われるかもしれないが
ここに住み続けたことで天気の良し悪しが分かってきた気がする。
今日は風が穏やかで心地良い。
きっと理由はそれだけでなく
先日の暗黒の潮の撃退作戦が上手くいったことも起因しているのだろう。 - 3二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:18:25
「みんなが無事で本当によかった…」
心から安堵する。
いくら戦いに多少は慣れたとはいえ
誰かの命が失われる感覚には未だ慣れない。
たとえ、そこまで親しくない人だとしてもだ。本来、そんなものに慣れるべきではないのかもしれないが置かれている状況が状況だ。散っていった人たちの全ての思いを背負う…なんてことは難しいことかもしれないが
それでも、黄金裔である俺たちには
成し遂げるべき使命がある。
…なんて一丁前に語ってはみるが
実際のところ、俺が黄金裔になった理由は
そんなに尊敬されるものなんかではない。
ただ一人の女性に対して一目惚れをしたから
なんていう極めて不純な動機だ。 - 4二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:19:09
黄金裔くん!!!!
キャスに脳焼かれた黄金裔くんの人!!!!
また来やがったな待っていたぞ!!!! - 5二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:19:22
ふと、思い返す。『彼女』のことを。
人形や本が好きという
可愛いらしい一面を。
『死』と真摯に向き合あい
戦いで犠牲となった人々に
一人祈りを捧げる背中を。
そしてなにより、時折見せてくれる
花が咲いたようなあの笑顔を。
惚れた弱みなのかもしれないが
彼女は本当に素敵に見える。
いま、彼女はなにをしているのだろうか。
一人で本を読んでいるのだろうか?
それともアグライア様やトリビー様と一緒にガールズトークといったところだろうか?
…気になってしまう。会いに行ってもいいだろうか?少しだけでも話が出来たら…それが無理ならせめて姿を見るだけでも…
なんてことを考えてしまう。キャストリスのことを考えるのもこれで何回目だろう。思い返して数えられる数はとうに超えている。
ともかく、そんな彼女の側に少しでもいたい。そう思い必死に努力をして、いまの居場所がある。 - 6二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:21:25
だが、同じ立場になれたとしても超えられない壁はある。
ファイノンやモーディス、アグライア様に
アナイクス先生。
力も知力もあの人たちには遠く及ばない。
ならば自分は、と盾になる道を選んだ。
仲間のカバーを行い、少しでも最善の状態で戦ってもらえるようにするためだ。
後悔はない。才能の差は覆しようがないし
時間も有限だ。
それに、自分に出来ることを試行錯誤し、たどり着いた結論だからだ。
だが、現状に満足しているわけではない。
もっともっと、技術を高めなければ。
仲間たちを
そして、好きなあの人を守るためにも。
「よし、やるか!」
特にやることもない。自主訓練をしよう。
声に出して、気合を入れる。
作戦の後、俺たちにはしばらくの休息が与えられた。
ここ数日で身体も十分休まったはずだ。
キャストリスに会うかどうかは…とりあえず訓練の後で考えよう。そう、彼女のことも大切だがいまは目の前のことの方が大切だから。決して先延ばしにしようしたわけじゃないから。マジで。
誰に聞こえるわけでもない言い訳を心の中でしつついざ行かんとしたその時
「なーにをしようとしてるのかにゃ?」
聞き覚えのある声と同時に風が吹いた。
今までの心地良かった風とは違う乱暴な風。思わず目を閉じてしまう。
一瞬の風が止んだ後もしや…と思い目を開けるとそこには思っていた通りの人物がいた。 - 7二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:22:47
「やっほ〜!新人くん♪」
「……うわ出た。」
「うわってなによ!うわって!
アタシ傷ついちゃうな〜」
声の主は予想通り、同じ黄金裔のサフェルだった。
彼女への印象は…そこまで良いものではない。
初めて会った時のこと、お金儲けに繋がる方法があるから手伝え。と彼女に振り回され
結果、アグライア様にバレてしまい
こっぴどく叱られたのだ。
……まぁ、たまたま同じ場にいたファイノンとモーディスが茶化してくれたため、同じくそこにいたキャストリスの笑顔が見れたと考えればそこまで悪くは……いや、しかし……
「ん〜?な〜にしかめっつらしてるの?」
「いや…それより、何の用なんだ?俺はこれから…」
「あっ!分かった!当ててあげよっか!?」
第一に!私の話を遮ぎらないでください!
思わず恩師の口癖が口から出そうになる。 - 8二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:25:10
「『引きこもり姫』に会いに行くんでしょ?」
んぐっ…当たらずとも遠からずと言ったところになるのだろうか。その予定では…あったし。いやほんとほんと。
「いや?自主訓練をするつもりだったんだけど?」
当てられたのが若干悔しくて、つい子供っぽく反論してしまう
「え〜?うっそだぁ。だってさっき寝そべってた時に明らかにあの子のこと考えてる顔してたもん。」
見てたのかよ!
てか、キャストリスのことを考えてる顔ってなんだよ!恋する顔ってこと!?そんなに分かりやすいの!?俺!?
「そんなに……分かりやすかったか?」
「うん。ていうか姫ちゃんにもバレてるんじゃない?」
マジか…もし…もしキャストリスにバレてたらどうしよう…うわ無理だ。想像しただけでシねる…死ぬのなら、出来れば彼女の手で死にたくはあるのだけど…
「おーい。もしもーし?生きてる〜?」
いや、そもそも拒絶されたら触れるどころか、これまでみたいに話しかけてもくれなくなってしまうのでは???終わった…死に方も選べないのか…俺は… - 9二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:26:08
「ありゃりゃ…固まっちゃった…
あっ!キャストリス!」
「……はっ!?キャストリス!?これは!その!」
サフェルが指差した方には誰もいなかった。
「うっそだよ〜ん」と言わんばかりに
顔をニヤニヤさせている…というかケラケラ笑い出した。笑うな!
こんのやろ…だから苦手なんだよ!
アグライア様と別ベクトルで!
こんな風に揶揄ってくるから!!!
「は〜!!やっぱ面白いね。アンタ!姫ちゃんと一緒で揶揄い甲斐があるや。」
「そりゃ良かったですね!」
ひとしきり笑い終えたサフェルは満足気に言う。全くもう… - 10二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:27:45
「で?そっちこそ何の用だよ?
まさか、マジで揶揄いに来ただけ?」
「おーっとそうだった!ふふーん実はね…」
サフェルが話し始める
「さっき姫ちゃんにも会って来たんだ」
「…キャストリスに?」
…嫌な予感がする。
「まさか、またあーだこーだ言ってお金を…」
「ちがうちがう!今回は違うって!
ほんとに!見かけただけだから
ちょーっとイタズラしてお話ししただけだって!」
少し安心した。イタズラだったらまだ許せる範囲だ。どうせ、物を隠すとかそんなもんだろう。
「それでね〜姫ちゃん、本を読んでたらしいんだけど、読み終わってひまそーにしてたんだ。」
やっぱり読書だったか。
みんなは知らないだろうが
本を読んでいる時の彼女は思いのほか表情豊かでコロコロ変わるのが見ていて面白い。
てか、そんなところも可愛い。 - 11二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:28:38
「だからね、気がきくアタシはこう言ってあげたの『話し相手を連れて来てあげよっか?』ってね!」
…流れ変わったな。
「で。アンタのとこに来たってワケ!」
「……ということは?」
ニヤリと笑った彼女。やっぱりキャストリスのとこに連れて行くつもりだろう。
「ま、待ってくれ!まだ心の準備が!」
「そんなこと言って!女の子を待たせちゃいけないんだぞ〜!」
いつの間にか俺の財布から盗んだのであろうコインを持ってサフェルが構える。
あっ、マズイ。この体勢になった彼女から
逃げられるわけが……
などと俺が考えているうちに
サフェルは力を使い高速で移動した。
目的地はもちろん、キャストリスのところだ。
電光石火とはこういうのを言うんだろう。
そう思わせるくらいの速度だった。
気がつけば俺は、キャストリスがよく居る庭まで連れてこられていた。 - 12二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:30:00
「じゃ、後は若いお二人でごゆっくり〜」
サフェルの声だけが聞こえた。
「おい!待てって!」
聞こえるはずもない虚空に向かって言う。
冗談じゃない…!準備もなしにいきなり好きな人の目の前に立たせるなんて何で残酷なことをするやつなんだ…!
「………」
後ろを振り向くのが怖い。
振り返れば、そこにはキャストリスがいる。
彼女はいま、どんな顔をしているのだろう。
「あの……」
キャストリスの方から声を掛けてきた。
振り返らないわけにはいかない…
すぐに振り返る。声の主はもちろんキャストリスだった。
改めて『可憐』と言う言葉がよく似合う人だなと思う。それでいてどことなくミステリアスで不思議な雰囲気を纏っている。
触れた物に死をもたらす能力で
多くの人から恐れられてはいるが
実際に話してみると人形や本が好きな一般的な女の子だ。
そんな彼女のことが……
途端に心臓の鼓動が速くなる。 - 13二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:30:55
「申し訳ありません。私が、サフェル様のご提案をきちんとお断りできなかったために…あなたにご迷惑を…」
「いやいや!!!そんなことないって!」
全力で否定をする。暇であったことは事実だし、何より彼女に会いたいと思っていたのだから。変に嘘をつく必要はない。
「そう…なのですか?」
「ほんとほんと!マジマジ!むしろ暇してたんだ!」
「それに…キャストリスはなにをしてるのかなーって考えてた…し。」
おいおいおい!なに言ってんだ俺!?
いくら正直に話そうにも限度があるだろ!?
あぁ…まずい!ついテンパって…!?
…数秒の沈黙があった。
短い時間のはずなのに、時間が止まったみたいだった。
重い。この時間が早く終わってほしい。
彼女はどう思っただろうか。怖い。
気まずくなって、思わず目を逸らす。 - 14二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:32:16
「そう…だったのですね。」
思わず彼女の方を見る。
彼女も俯いているためこちらと目を合わせてくれてはいない。
だが……思い込みかもしれないが
彼女の頬が少し赤くなっている気がする。
そして彼女は、顔を上げてこちらを見ながら
伝える。
「実は…わたくしも、私もあなたとお話をしたいと思っていました。」
「……えっ。」
「ですので、サフェル様が連れてくる。とおっしゃった時、もし会えるのが、あなただったら…と、そう思っていました。」
「ですのでいま、あなたにお会いできてとても嬉しいです。」
あぁ…やっぱり - 15二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:32:53
「あのさ、もしよかったら
俺としばらく…お喋りしてくれないか?」
「……はい。もちろんです。」
彼女は微笑んで、そう返してくれた。
好きだ。この人のことが。
初めて彼女のこの笑顔を見た時、世界がほんの少し…いや、鮮やかに色づいたんだ。
結ばれたいなんて軽々しくは言えない。
だけどどうか……願うことならば
一秒でも長く、彼女のそばにいたい。
一緒に笑って、もっと彼女のことを知って
少しでも喜ばせてあげたい。
自分の能力のために
周りと距離をとっている優しい彼女に
自分は一人じゃないと
そう思わせられるような存在でありたいんだ。
そのために言葉を紡ぐ。 - 16二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:33:44
「キャストリスは本を読んでたのか?」
「はい。どうしてご存知なのですか?」
「サフェルが教えてくれたんだよ。」
ふと、先ほどまでキャストリスが読んでいたであろう本に目を向ける。
おや…あの本は…
「あっ、それって前に話してたやつか!?
ほら!三人の旅人の!」
「そうなんです。よく、覚えていらっしゃいましたね。」
「へへ。記憶力には自信あるから。」
君のことに関しては、だけどね。
「どう?面白かった?」
「はい…とても。三人の旅人が力を合わせて困難に立ち向かう姿がとても魅力的でした。」
「まるで…トリビー様たちみたいだと。」
「へー。そうなんだ。
俺も読んでみたいかも?」
「もしよろしければ、お貸ししましょうか?」 - 17二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:34:39
「本当に!?ぜひぜひ!」
「では、どうぞ。」
「ありがとう。どれどれ…うわっ、文字がビッシリ…」
そこまで分厚くなかったからいけると踏んだが文字量がミッシリなやつだこれ!?
アナイクス先生の教材だってここまでじゃなかったぞ!?
とはいえ…ここまで来たら引き返せん!
「…読み終わったら、また返すね。」
「はい。」
「そういえば…あなたは先ほどまでなにをされていたんですか?」
「俺?俺は…日光浴みたいなものかな?」
「って!オクヘイマならそんなのいつでもできるだろ!って感じではあるんだけど!」 - 18二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:35:28
「いえ…素敵だと思います。」
「私も、一人で過ごすことがよくありますから。そうやって心を落ち着ける時間も大切だと思うのです。」
「そっか…ありがとう。」
「あっ!そうそう聞いてくれよ!
この間、ファイノンとモーディスがさ…」
「まぁ……そうだったんですか?」
「ほんと、アイツら酷いんだよ!これだからあの二人は…」
「ふふ…相変わらず、仲良しなのですね。」
ーーーーー - 19二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:36:25
「ふ〜。うまくいったかな?」
二人の会話を盗み聞きしていたサフェルは
伸びをしながらつぶやいた。
全く…見ているこっちが焦ったいんだよ。
さっさとくっついちゃえばいいのに。
ま。たまにはこういう助け舟を出すのも悪くないかな?
「さーて。あの裁縫女に見つかる前に
逃げるとしますか!」
正直、誰かを好きになると言う感覚は自分には分からない。
でも、互いに幸せそうに話している二人を見ると、この光景がまた見られたらと言う気持ちにならなくもない。
ふふ。今度もし、似たような場面に出会したら、二人まとめて揶揄ってやろっと!
「幸せにね。お二人さん。」 - 20二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:37:23
そして彼女は風と共に消えた。
今日のオクヘイマには穏やかな風が吹いている。
こんな日のような二人の日々がいつまで続くか分からないけれど
どうか、その先の未来に幸せがあらんことを。 - 21二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 20:39:28
以上になります!
サフェルの瞬間移動を見てこれを書こうと思ったんですけど、筆が遅すぎたせいで本スレが閉じてしまったためここに供養しました。
駄文ではありましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました! - 22二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 21:05:09
こちらこそさんくす
いつの間にか黄金裔総出で外堀埋めに行ってないか黄金裔くんよ? - 23二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 22:00:42
好きな概念が完走して寂しかったから追加供給嬉しい
誠実で一途で初心な黄金裔くんいいよね…相変わらず関わるほぼ全ての人間に気ぶられる魔性の男よ - 24二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 23:01:45
黄金裔全員で恋路見守ってんのほんとすき
- 25二次元好きの匿名さん25/04/19(土) 23:29:52
こんな揶揄い方ならいくらでもやってくれ