- 1シャロン◆8meUu6AaJY25/04/21(月) 12:24:58
襲来した異星人!
侵略されるエネルギー資源!
存亡の危機に晒されてなお人類は……
未だ一つになり切れず、壮大な内ゲバを繰り広げ続けていた!!
【出来れば読んでいただきたい世界観および初期設定集(テレグラフ)(各種ページへのリンクあり)】
https://00m.in/PCkBk#google_vignette
次スレは>>190踏んだ方が
- 2シャロン◆8meUu6AaJY25/04/21(月) 12:28:27
前スレはこちら
【R-18】ここだけ3勢力入り乱れ惑星外性生物と戦うリアルロボットSFな世界part10【のんびり進行】|あにまん掲示板襲来した異星人!侵略されるエネルギー資源!存亡の危機に晒されてなお人類は……未だ一つになり切れず、壮大な内ゲバを繰り広げ続けていた!!【出来れば読んでいただきたい世界観および初期設定集(テレグラフ)(…bbs.animanch.com【禁止事項】
・無敵ムーブ(戦闘でダメージを受けない、回避し続ける、など)
・必要性の認められない確定ロール
・相手PLが嫌がっていることを強要する行為(特にR-18関連はデリケートなところなので扱いには気を付けて、事前相談忘れずに)
【世界観やパワーバランスを保つ上での禁止事項】
・版権設定の利用
・「地形を変えられる火力」を個人で設定し所有すること
・3勢力(K.I社、人自連、デスペラード)+インベイドよりも立場や規模が大きい勢力を設定すること
・なんでも高い水準で出来るキャラ、なんでも高い水準で出来る機体禁止(他の人の活躍機会を奪いかねないため)
・メタネタ禁止(「この世界は作り物だ~」や背後さんへの言及をキャラの目線で発言させるなど)
- 3ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/21(月) 12:36:38
Q1:参加してぇ!けど事前のキャラ登録って必須なの?テンプレはある?
A1:キャラシはあった方が色々スムーズだとは思うけど、無くても規約的なNGムーブさえしなけりゃ参加はOKだぜ!
テンプレらしいテンプレは特に無い(めんどうくさかった)からテレグラフなりで各自好きな様に書きたいこと書いてくれ!
↑の初期設定集から飛んだ先にあるスレ主のキャラシからテンプレとして項目を引用しても大丈夫だぜ!
Q2:キャラは1参加者につき何人まで?
A2:何人でもOKだぜ!複数陣営あるし下手に制限設けたらスカスカになるのが目に見えてるから……好きな様に作ってくれ!
Q3:コテハン(トリップ)は必須なの?
A3:必須じゃないぜ!でもトリップが無いってことはなりすましや乗っ取りが出ても判別方法が無いってことでもあるから、自衛手段としてコテハンを持っておくのは無難だぜ!
Q4:スレタイにR-18表記があるけどエロスレなの?
A4:一般誌のエロ描写とか元ネタ一般作品のエロ同人好き? 俺は好きなの……
エロメインじゃないけど「エロいことも割と自由に描写して良い」スレだから苦手な人がミスッて踏まない様に一応表記しているぜ!
「猥談耐性はあるけど自キャラにエロルさすのはなぁ……」って人でもOK、「自分は露骨なエロやりたくないです」って言っておけば良いぜ!
Q5:設定集に目通したけどなんか既視感ある設定ばっかりだな?
A5:へへっ - 4ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/21(月) 12:37:05
【テレグラフ(設定やキャラシート、R-18な文章を書いたりにどうぞ)(※URLのhとttpsの間のスペースを消して検索してください)】
h ttps://x.gd/Z5SAZ
【URL短縮用サイト(テレグラフのデフォルトURLだとあにまんのNGワードに引っ掛かってしまうのでこちらでURL短縮してから投稿してください)】
- 5シャロン◆8meUu6AaJY25/04/21(月) 12:37:31
ありがとうございますぅ…
- 6ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/21(月) 12:38:16
こちらのアレコレで190を踏ませたんですから義を通さねば......無作法というもの
- 7ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/21(月) 12:42:51
(保守がてら思ったこと)
(金龍、最近は着実にハーレム()築いているな......)
(金龍、お前マジでピュアッピュア過ぎるな......)
(金龍、お前マジでこれからどうするつもりなの?) - 8シャロン◆8meUu6AaJY25/04/21(月) 12:45:18
- 9ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/21(月) 12:45:59
金龍「だから俺そんなつもり無いですからね!?」
- 10シャロン◆8meUu6AaJY25/04/21(月) 12:48:30
保守終わり。
の言う訳でノージーちゃん、私らキルケーは金龍さんとこの部隊になりましたのでそこんとこよろしく。 - 11二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 12:52:45
このレスは削除されています
- 12ユスティーナ◆KPwoT407kA25/04/21(月) 13:24:06
【人自連管轄の自治区、粒子製造プラントのうちの一つ】
《基本的には該当自治区でセルフ防衛すんだけど…時々企業間交流と称して人自連企業から有志、もしくは上層部の推薦でどこが防衛につくか決めちまうのよね。ま、粒子欲しさに襲撃かけてくるデスペラードなんてさして珍しいもんでも無いし、こっちも他所の戦力借りられるのは助かるのだけれども》
《つーわけでユスティーナちゃん、そいつらをバンバン的にしちゃってちょ。んじゃよろしく〜…》
【R/W3-08のパイロット、ユスティーナ・ハクリはヴァルハラテックの命で別企業のプラントの防衛任務にあたることとなった】
本日付けで防衛につくユスティーナ・ハクリです!愛機はグリムゲルデ!!
…所で、今回はもう1人傭兵さんも雇っていると聞いたわ!どなたかしら!?
【ユスティーナはハキハキとした口調で、職員へ問いかける】 - 13逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/21(月) 13:57:10
>前スレ200
「誰の案、というよりかは純粋な素材技術の進歩かな」
カンナは胸を張ったからか、金糸と大きな胸が僅かに揺れる。
「SHINSEIやスレイガンもそうだけど、やっぱりあの頃とは装甲技術が進んでるからね」
『仕方なく装甲を軽量素材にして、それでも足りねぇ!って連中のために更に装甲を削ってた時代とは違うってぇわけよヤマト!! そこ外すぞぉ! 3、2、1!』
ガコン!という音を響かせる前にゴンタロウが叫んでいた。
「……正直に言えば、廉月の操縦系にオート化を差し込んだ影響で機動にムラができちゃってね。細かい被弾を避けるためのフォローだよ」
ヤマトにそう言いながら、足下の生産サインを流れていく、正式採用型廉月達を上から見下ろす。
- 14ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/21(月) 14:01:03
- 15逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/21(月) 14:11:38
「んーー……正直に言えば、CNTはちょっと……って気持ちがあるにはあるかな。朧月のコンセプトとしてはかなり合ってるから、是非ともと受け入れたんだけど」
『望月はともかく、蒼風は月風をギリギリまで改造してるからな! そもそも本体改造の余地がなぁんにもねぇ!!』
首をひねりながらカンナは苦笑いをして、ゴンタロウがその後を繋いだ。残りの整備は若手に任せてやってきたのだろう。
『その上で言えば……人工筋肉系に近い分、ケイの坊主や龍影の嬢ちゃんみてぇな高機動戦闘には合わねぇ可能性が高いってぇのが俺の見立てだな。脚力は増えるが、ちぃと断裂が怖いな。ケイの坊主は着地が荒い』
あくまで可能性が高い、に収めたのは、ゴンタロウをもってしてもケイと龍影の技量は未だ底を見せていないから。であったが。
- 16ヤマト◆9BZ6kXGcio25/04/21(月) 14:15:53
「なるほどな…所で望月の推進器はお前の調整か?」
ヤマトは廉月のラインを見ながら聞いた。
「あれはケイの坊が使ってるやつよりも繊細になり過ぎて町工場に毛が生えた程度の俺たちの設備じゃだいぶ厳しい。伝達ケーブルと燃料供給のラインは本数を減らしてもマシンパフォーマンスは落ちねぇはずだ。C-12、D'-6を軸にすりゃ供給ラインは8本まで減らせる。まぁ…それ以外は完璧だ。腕を上げたな。」
頼りにしてるぞ。と肩を叩き、伝えた。
「そうか、ヨツバか。」
奇抜であれど堅実。ストっと腑に落ちた。
「CNT…アーヴィングのヤモリと同じにするのか?脚力を上げてもアレにもなんねぇぞ?確かに足癖わるいやつらでもあの廉月御せるようになるだろうな。」
「だがよ、逆巻の嬢ちゃん。本体装甲はこれ以上厚くできない以上、CNTを部分的な採用も考えるべきだ。望月は人らしく動かす為にもつけたいと俺は思ってる。」
- 17ヨツバ◆.4YTxDiDm.25/04/21(月) 14:25:16
- 18逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/21(月) 14:30:32
「うん。蒼風のものをベースに、龍影さんの機動パターンに合うよう作った……んだけど、ちょっと繊細すぎたか。OK、ちょっと供給ライン系は見直すよ」
そう言いながら、腕を上げたなという言葉ひとつで、少女らしい笑顔が現れる。
「ああ、なるほど。神経接続ならではのか……確かにワーグナーとか、ヴァルハラテック機は人体に極めて近い構造で負荷を下げている……」
と、顎に指を乗せて考えていく。 確かに、望月にならあっている可能性が高い。
「機体全体のコスト、稼働時間、機種転換も含めて、だね? ……妥協から外れることができると思ったらまた妥協、か」
少しだけ、顔をしかめてしまうのは技術者ゆえだろうか。
「逆巻重工は人工系じゃなくて、金属関節だけでも十分な強度と柔軟性の重視が味だったんだけど……ヤモリを駆逐するなら手段は選べないよな……」
頭を下げてくるヨツバに対して、カンナは気にしないで。と手を軽く振り。
『いんやぁ? むしろそういう発想が欲しいんだ。おめぇさんも良く言ってくれたよ。カンナは少し頭が硬いからな!』
ゴンタロウはヨツバの頭をぐりぐりとゴツゴツした手で撫でくりまわした。
- 19ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/21(月) 14:31:44
- 20ヤマト◆9BZ6kXGcio25/04/21(月) 14:35:58
- 21ヨツバ◆.4YTxDiDm.25/04/21(月) 14:44:51
- 22逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/21(月) 14:52:45
- 23ヤマト◆9BZ6kXGcio25/04/21(月) 15:07:09
- 24ユスティーナ◆KPwoT407kA25/04/21(月) 15:08:10
おお…!
【黒い機体の挙動に、ユスティーナが感嘆の声を挙げる…ずば抜けた視力を有するからこそ、カメラアイ越しでもこの時点で“動ける”機体であるということを察することが出来る】
(滑らかな降着起動…ヴァルハラでもここまで出来る生徒は数える程だわ。ここも中々とんでもない傭兵を雇って来たみたいだけど)
【企業所属ではないという文言から、強さはともかくまだ腹の底まで信頼するのは些か早計だろう。だからこそ─────】
こんにちは!中々エキセントリックなBFね!
ユスティーナはユスティーナ・ハクリ!この【グリムゲルデ】のパイロットよ!
今日の防衛任務はよろしく頼むわ!………えーっと…?
【通信回線を開く。こちら側から歩み寄って見ようとするのがユスティーナのやり方である。それでも先走って挨拶したせいで相手の名前を聞く前に呼ぼうとしてしまった】
- 25逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/21(月) 15:20:57
「……父さんは、ヤマト主任が離れてからは……抜け殻になっちゃったよ」
目を伏せる。 北方戦線が追いつめられ始めた頃に始まった狂気は、己を守るための殻だったのだろうことを、娘であるカンナは知っていた。
そしてその殻を友人に破られた先代は……動けなくなった。
「許してくれ、罰してくれって……ずっとずっと悔いて……最後は……」
私が1人前になったことを見届けて、眠るように息を引き取った。
「確かに、あの時の父さんは間違ってた。でも……みんなを助けた時の父さんのことまでは、否定しないであげて?」
強くて、弱い人だったが、大好きだった父を、憎み続けられるのは辛いのだろう。
「なんて……ごめん。わがままだよね」
気を取り直して、新しい蒼風……『蒼風改』の設計図を見せる。廉月で取り入れられている新しい機構はそのままに、『蒼風』とは外見差異が殆ど存在しないほどシャープに纏められている。
- 26ヤマト◆9BZ6kXGcio25/04/21(月) 15:39:23
「そいつは…済まなかったな…」
追い詰められて壊れた。技術屋として最高峰だった先代。
だからこそ、目を背けた。あの取り憑かれたような彼を見たくなくて。
「蒼風は踏襲しつつの発展…マニュアルは変えねぇのか?それだとパイロットの負担は変わんねぇぞ。」
コックピットのセットはそのままであったことに苦言を示した。
「乗り手が頑丈だろうと潰れちまう。…パイロットスーツの方で強度を出す?」
龍影のアレコレを見ていたヤマトにとって、せめて少年には生身でいて欲しいと感じていた。龍影にとってケイは生身であることに意味がある。ソレが壊れてしまったらもう二度と立ち直れなくもなるだろうとも。どこか不安に感じていた
- 27ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/21(月) 15:47:00
【僚機の居る依頼はそこまで珍しいわけでもない。主に企業側の面子の問題として戦力を出さねばならない場面や、或いは傭兵を安いオマケとして付け足す場合、あとはそもそも依頼主が協働を目的とした兵士である時だ】
【だがこうしていち傭兵に歩を進めるように接するケースは稀だ。独立傭兵とは大半の人間にとって、レンタルできる武力に過ぎない】
《……ウルヴィ。こっちは、BESTIA。BESTIA DREAD》
【彼女がウルヴィの名前を探していることに気づいて、通信回線に返答を返す。グリムゲルデという機体は狙撃用と思われる長銃と、ミサイルポッド等が目立つ。それは殲滅を得意とする遠距離型の機体だと察することができ、自身が雇われた理由は前衛役なのだろうとウルヴィは推測を立てた】
《よろしく、ユスティーナ》
【抑揚に乏しく無感情に思える声は、しかし礼節を礼節で返す誠実さを持った少女的なものであり、スリットの中で蠢くような異形のセンサーアイの光は視線を交わすようにグリムゲルデへと向けられていた】
- 28逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/21(月) 15:47:45
「ちょっと長くなるんだけど……これ。ケイに廉月の基本操縦系を乗せた時の成績」
そう言って、端末を見せる。
……本当にケイ・サヤギリが乗っているのか?と疑うほどの低成績だった。逆巻重工の訓練生ですら彼を超えている。
「予想はできてたんだけど、ケイは月風のマニュアル操縦に適合しすぎてる。このレベルの自動化でも、違和感で機体が動かせないみたいなんだ」
そして操縦比率にマニュアルを混ぜていけばいくほど成績が上がる……異常と言える適正だ。
「だから、とりあえず応急処置として操縦席の耐G機構とパイロットスーツ自体を強化して、パイロットを守る……それでもギリギリかもしれないけど」
もう一つの案は『ケイにとっての負担にしかなっていない部分のみ』自動化することだった。
- 29ヨツバ◆.4YTxDiDm.25/04/21(月) 15:48:32
- 30ヤマト◆9BZ6kXGcio25/04/21(月) 15:57:04
- 31逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/21(月) 16:28:07
「……そうだよねチクショウッッッ!! お父さんがクロノスと頭下げて取引で手に入れたのにさぁ!! みんな使ってくれなくて泣いてたんだよ!! 私もそうだけどォ!!」
あの時は酷かった。月風乗り達の『滑腔砲愛』にビームライフルが敗れ、メカニックたちがやけ酒をしていたのだ。
幼いカンナはドン引きしていた。良い思い出だった。
「パイロットスーツに関しては予算が出ると思う……というか出す。といっても、色々と大変だけど」
「でも、その部分だけでも自動化できれば操縦性は格段に上がるはず……ってのが、私とゴンさんの見立て」
『気にしないといけないが、にらめっこするほどでもない箇所がどこか』を、カンナは一番欲していた。
- 32ユスティーナ◆KPwoT407kA25/04/21(月) 16:29:25
ウルヴィとBESTIA DREADね!よろしく!
【ふと、僚機の武装構成に目を遣る】
(実体剣、突撃銃、クロー付き散弾銃、ミサイルポッドと…背中のアレは何かしら。チェーンソー?BFの武装にしてはかなりオーバーサイズだわ)
(…とりあえずアレはさておいて、ミサイル以外はショートレンジを有効範囲とする武装が殆ど。近接用のカスタムと見て間違いなさそうね…分かりやすく役割が別れているのはやりやすいわね!)
【長距離狙撃用のグリムゲルデが任務に宛てがわれた理由は『防衛任務』だからだ。侵入者をいち早く察知し殲滅するのは狙撃機が最も都合がいい】
配置につく前に確認したいのだけれど、機体構成的にあなたが前衛、ユスティーナが後衛という事で問題は無いわね?
もし襲撃があった場合、貴方が前方で相手を撹乱、掃討を担当してユスティーナが後方から支援狙撃を行う形になるけど…一つ、味方として伝えておくことがあるわ!
グリムゲルデのビームは曲がるって事だけ念頭に置いて動いてくれると助かる!
【ポジションチェックと連携を取る上での注意点をウルヴィに向けて伝える。即興ではあるが、事前情報があるのとないのとではまたやりやすさが違うだろう】
- 33ヨツバ◆.4YTxDiDm.25/04/21(月) 16:37:24
- 34逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/21(月) 16:44:40
- 35ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/21(月) 17:00:28
《違いない。…分かった、注意する》
【機体の性能を平然と曝し、かつ忠告まで添えるユスティーナの言葉。それは『味方』として当然かもしれないが、雇われは所詮、今だけの関係だ。それどころかその今すらも信用できるか怪しいのが独立傭兵であり、手札を曝すのは危険な行為でもある。無論それがブラフという可能性もあるのだが…長く傭兵として過ごしたウルヴィの鼻は、そこに嘘のニオイを感じられなかった】
《私は見ての通り、速い。邪魔だったら、最悪、射線が被っても避けるから、気にしないでいい》
【だからだろうか、それに応えるようにウルヴィはどうにか言葉を選んで紡ぐ。しかし傭兵の協働なんて『ソロ同士が邪魔せずそれぞれで動く』くらいのもので、仲良く足並み合わせて頑張ろう…なんて経験はなく、それが自分にできるともウルヴィには思えない。それ故にユスティーナに言えたのも、居ないものとして扱ってもいいという…協力を突っぱねていると捉えられかねないような言葉になってしまった】
《…敵は通さないつもり》
【どうにか一言付け足すが、それがウルヴィのコミュニケーション能力の限界だった】
- 36ヤマト◆9BZ6kXGcio25/04/21(月) 17:04:49
- 37ヨツバ◆.4YTxDiDm.25/04/21(月) 17:11:38
- 38逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/21(月) 17:20:48
「ほんとね。ケイもその人種だから……迂闊にオート仕込むと危ないんだよ」
苦笑いをする。彼はそれほどに月風に特化しているから困った。と。
「じゃあまずは警告。その後はパイロットの入力が最優先……なにも入らない場合は、セミマニュアル式で緊急マニューバを引き出せるようにしよう……この方式を基本に、やっぱりパイロットの負荷を減らせるインターフェースづくりが課題だなぁ!」
カンナは笑った。どうせケイは無茶をするのだから、無茶で傷つかない体制を作ろう。と割り切りだした。
「まぁ、月風はエース仕様機として割り切りに割り切った機体だからね。開発当時はBFのOS系統も今ほど進歩してなかったし、マニュアルに振り切ったんだよ」
その結果、裾野を広く見たアーヴィングが長く稼働しているのは、たしかに彼らの先見の良さを証明している。
「あの頃のオートマニューバは今ほど優秀じゃなかったからね……今でも、極まった月風乗りはマニュアルでオート以上をやるけど」
ケイがそうだし、なんなら龍影もその域だろう。そうカンナは見込んでいた。
- 39ヤマト◆9BZ6kXGcio25/04/21(月) 17:44:33
- 40ヨツバ◆.4YTxDiDm.25/04/21(月) 17:51:00
- 41ユスティーナ◆KPwoT407kA25/04/21(月) 17:53:22
ふむ…了解したわ!
【軍事養成学園施設“アスガルド・アカデミー”は、どちらかと言えば軍隊的、個々の連携に重点を置く方針を取っている。機体特性の情報共有は軍人として普通の事だろうという認識のズレによるすれ違いではあるが、このネタばらしには更に1枚“底”がある】
【明かしたのは“武器性能”だけ、という点だ。偏向ビーム砲はあくまでグリムゲルデの真価の一側面に過ぎないのだから、距離感を掴みかねる相手に明かしても構わないだろうと考えたのだ…実際、応えてくれたのだからこの場は良しとしよう】
(それにしても、シグレ以外に“被っても避ける”なんて素面で言ってのけるBF乗りがいるなんて。ユスティーナの知ってる世界も案外狭いものね)
それじゃあ立ち話もなんだしポジションに付きましょう!願わくばなにも現れたりしないように!!
(………なんて言ってたのに普通に出てきたじゃない…!)
【───────数時間後。グリムゲルデの遠方望遠センサーが敵影を捉えた。すぐに暗号通信でウルヴィに情報が共有される】
『南方4ブロック先に敵影アリ。数は右2、左3』
『左後方の機体のみ装備パターンが違う。恐らく“目”』
『今から12カウント後、偏向射撃にて“目”を潰す。後はお好きなように』
- 42偽撃墜王◆fDey8JUvvk25/04/21(月) 17:56:55
【逆巻重工の奥まった部屋に一人の女性がいる】
【その女性は慰霊碑、そして人類全体をして団結すべきであるという夢物語に共感し、最も絶望的だった『初期戦争』に身を投じた者たちの名前をじっと見つめていた】
……。
【墨色と蒼色のオッドアイを閉じ、僅かに頭を下げる】
(どうか安らかに眠ってくれ)
(あなた方の意思は私も継ぐ)
【黙祷。敬意をはらい、決意を示す】
(それが私の役目だ)
【女性は微動だにしなかった】
【だが、数分経っただろうか。女性は目を開ける】
【視線の先には"撃墜王"の文字が刻まれている】
(『対地級殺し』『青の死神』『舞踏会の主』『当時最強の月風乗り』『カルカディアの騎士』。)
(……数々の異名があなたを賞す。だが、あなたは英雄になりたかったのか?もしそうではなく、ただの平凡な生活が欲しかったのなら……)
【そこで女性はわずかに顔を顰める】
(いかんな。あるまじき行いだ)
【英雄は過去を振り返らない。英雄は自分と誰かを重ねてもしもの話に耽溺などしない】
【直ぐに表情を戻し、改めて一礼すると慰霊碑の前から去っていった】 - 43逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/21(月) 18:03:30
「うん、そうしよう。最悪はパイロットの側でオートシーケンスを切れれば、あとは問題ないはずだ……あとはケイと私達の仕事次第、だね。望月の方は初期セッティングだけして、ヤマトさんに任せます。」
と、ヨツバのフロッピーディスクも受け取り、許可を得た上でコピーした若い取締役は笑みを見せながら二人と握手をした。
「ヨツバくんもありがとう。正規生産の初期型にも、そして今後にもこのデータは活かせるはずだ」
そしてケイにも。彼の技術を余計な負担で鈍らせないことは、結果として戦術能力の向上に繋がる。
カンナはそう確信していた。
(次の蒼風では、同じ失敗はしない)
カンナもまた、コンストラクターとして一つの転換期に立っていた。
- 44ヤマト◆9BZ6kXGcio25/04/21(月) 18:10:28
- 45ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/21(月) 18:14:09
【『願わくば何も現れないように』…彼女が数時間前に残した言葉だが、そんな楽な依頼は滅多にない。わざわざ護衛を依頼されるということは、襲撃されるに足る何かがあるか、或いは付近に襲撃を行いかねない無法者でもいるということだからだ】
【そして数時間。ウルヴィの半ば想定通りに、ユスティーナからの暗号通信がそれを伝える】
『了解』
【簡潔に暗号通信を返して、ブースト。刃のようなライフルとクロー付きの重ショットガンを携えて報告地点へ向かう】
【自身が襲う側だと思ってるほど、人とは無警戒になるものだ。だが今回それを突くのはウルヴィの仕事ではなく、ユスティーナの…グリムゲルデの狙撃。ならばウルヴィがすべきは目が潰れた後、暴れる手足を通さないことだ】
【獣は息を潜め、その時を待っていた】
- 46ヨツバ◆.4YTxDiDm.25/04/21(月) 18:20:21
- 47逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/21(月) 18:24:21
- 48ユスティーナ◆KPwoT407kA25/04/21(月) 18:33:25
【赤の機影が、拠点付近に潜み…一見、全く見当違いの角度にライフルを構える】
(………8、7、6、5………)
・・・・・
【左目を開く。センサーが捉える情報────風の流れ、光の濃さ、どこに何がいるか…全てが鮮明になる】
(………3、2、1……)
【ターゲットガイドは、標的たる“目”を確りと捉えていた】
(0)
【トリガーが、引かれる】
「…ん?なんだ今のひか…」
【偵察装備のヤモリが、“真横”からの偏向射撃にてコックピットを射抜かれたのはあっという間の出来事だった】
「爆発音!?誰がやられた!」
「バカ声を出すな!向こうに拾われる!ここは一旦後ろに繋いで…ウソだろ!?ヤモリがやられてる!?」
「ど…どうしよう…やっぱり無茶だったんだよオレたちが企業に襲撃を仕掛けようだなんて!やっぱり逃げ…」
【襲った側が混乱に包まれる、一見すると意味の分からない状況。この場に漆黒の高機動機が姿を現そうものなら先程のビームが“そいつの仕業”だと錯覚するくらいには】
- 49ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/21(月) 18:50:54
「そういうこと」
【文字通り『曲がる』とは面白い武器だ。一射一殺を見事成し遂げた彼女への称賛を心に留めながら、慌てる襲撃者達の元へ、BESTIAは“ヤモリが撃たれた方向から”現れる。見て取れるほどの混乱、恐らく誰一人射手を認識できていない。であれば好都合だ、これで“ウルヴィだけ”と思わせることができるだろう】
【わざとらしく右手のライフルをブレードに持ち替えるのを見せてから、黒い機体は消える。否、ゼロコンマ未満で音を超えた加速がBFのフォーカスシステムを、彼らの視野を振り切ったのだ。そして加速の最中で既に構えていたブレードが、逃走を考えたBFへ向けて振るわれた。狙うは胸部、一切の躊躇いなく、命そのものへ向けて刃が迫る】
- 50ユスティーナ◆KPwoT407kA25/04/21(月) 19:21:14
【逃走を図った機体はBESTIA DREADを認識することなくコックピットを抉られ、機能を停止する】
「アイツか!よくも俺のダチを…!」
「なんなんだ…なんなんだよこいつ…!俺らのヤモリに気付かれず狙撃してきたり!姿を消したり!メチャクチャじゃねぇかよぉ!!!」
「ち、ちょっと待て!?俺は仲間…」
【1人が仲間を短時間で2人も殺された怒りで、もう1人は眼前の理不尽に半狂乱になりながらアサルトライフルをデタラメに乱射する。その流れ弾が残りの1機に当たり、ユスティーナもウルヴィも関係ない所で戦闘不能となる】
いざ戦闘機動となると想像以上に早いわね…
【SINONOMEやスカッド・ソルジャーの改造機が蹂躙されていく様子を、ユスティーナはセンサーで眺めていた。狙撃支援で敵を翻弄しようとも考えたが、あまりにウルヴィの手際が良すぎたせいでその隙すら生まれない】
…ふん!別にいいもん!狙撃手の領分は目立つことなんじゃないんだから!ユスティーナがユスティーナの事をナンバーワンだと思っていればそれで…ん?
【ふと、戦闘領域から少し離れた所に動きが見えた。望遠センサーのフォーカスをそちらに寄せる】
…しまった…!
【…それは、デスペラード6機目のBF。どうやら他の機体よりも迷彩に手を加えてあったらしく、それで発見が遅れてしまった】
【が、正直な話防衛任務に支障はない。まだ拠点まで2ブロック。タイミングを合わせれば確殺できるトラブルだ。問題は…】
(確実にキルを取ろうとすると、射線がウルヴィ戦闘領域に入る…!もう少しタイミングを見計らうか…)
(…いや)
(『最悪、射線が被っても避けるから、気にしないでいい』)
【ブリーフィング時のウルヴィの言葉が木霊する。そうこうしている内に確殺タイミングは刻一刻と迫っている】
『3カウント。避けて』
【最低限の暗号通信を送り、ユスティーナは傭兵流に合わせる事にした】
- 51ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/21(月) 20:03:52
【狂乱した仲間に撃たれて沈黙、哀れだとは思うが同情の念などなく、自ら絶命までのカウントダウンを進めた機体へと進む。出鱈目な射撃は逆に読みにくいが、付き合う必要は無い。弾切れを狙えばいいだけだ】
【そうして僅かに距離を取りながらウルヴィも気付く。狂騒を奏でる発砲音に混じって、何かがいることに。視覚を欺いても空気の揺らぎや、BFの発する駆動音は消せないのだ。しかし気がついたとして、ウルヴィが仕掛けられる距離ではない。だが──】
『3カウント、避けて』
・・・・・・
【護衛はウルヴィだけではない。言われずとも撃てば避けるつもりだった傭兵は、その通信をややズレた解釈で捉えて行動を開始した】
【3。弾丸を吐き散らすBFへショットガンを撃つ、高い衝撃力が、機体を止めるはずだ】
【2。体勢を崩したBFへ向け、ブレードを構える。斬りにいくと見せつける】
「──借りるよ、オルフェリア」
・・・
【1。それを投げる。少しでも距離を取ろうとしたBFの頭部へと切っ先が吸い込まれるように向かう中で、ガコンと背部からシリンダーの回る音】
【0。ブースターを点火、圧縮コア粒子カートリッジに引火することで、ブースターそのものの加速とコア粒子の爆発めいた加速による二段の加速。ギリギリまで避ける素振りを見せないウルヴィの行動は、狙撃手の存在を一切悟らせないはすだ】
【そしてブレードに追いついたBESTIAはそれを掴み、頭部ではなくコアへと斜めに振り下ろし──】
- 52ユスティーナ◆KPwoT407kA25/04/21(月) 20:20:58
【6機目のBFを偏向ビームが貫き、爆散する。そして粒子の熱線は勢いを残したまま戦闘領域へと突入し…】
【ウルヴィの標的にならなかった方のデスペラードの1機を焼く。2機同時撃破を狙った攻撃ではないので当たり所こそコックピットではなかったがライフルに引火し誘爆、結果的に一度の射撃で2機撃沈した】
【残る1機はブレードの存在に気付き頭部を犠牲に肉薄…すら考える間も無く“投げたブレードに追いついた”BESTIAの致命の一撃を受け、操縦者が木っ端微塵となった】
…………状況終了。なんか…思ったより凄い動き見せられちゃったわ…
【ユスティーナは『避けてくれ』と内心懇願していたが、それはある種の相手への不信であったと悟る。…信用しきれてなかったからこそ、事前の警告までしてしまったのだと】
【──────この凄腕の傭兵に、そんなものは必要なかったというのに】
『BESTIAは元のポジションに。BFの残骸はこちらで“火葬”する』
【暗号通信で連絡を送る。まだ見ぬ7機目、8機目…はたまた別の集団がここに攻め入るかもしれない。こういうタイミングでこそユスティーナは気を引き締め、次に備えるのだった】
【数時間後。夜明けが任務終了を告げた】
- 53ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/21(月) 20:47:52
「しばらく暇だろうから、って中を探索していい……って言われてもな……」
そこまでアレコレのものに……食べ物とBF関係、あとちょっと女性は除くが……興味が薄いケイは、会社のパンフレットだったり沿革だったりには縁が遠い。
ひとまずの繋ぎとして修復されるだろう蒼風への搭乗勘を鈍らせないため、ケイはシミュレーター訓練を終えたあと、そのままフラフラと慰霊碑の方に近づいていた。
(俺と同じ月風で、そして北方戦線や……いや、今までいろんな戦場で戦ってた人たちの名前が、あそこにある)
(自分も、会いに行かなきゃな)
白に青いラインのパイロットスーツを来てまま向かうケイは、G-3コロニーで奈落から出てきた合成型と呼ばれる敵を倒すことに貢献した月風乗りがそこに刻まれている……と耳に挟んだためでもあった。
(――――オルフェリアさんは。ファルマさんは……ちゃんと墓を作ってもらえたんだろうか)
そんなことを、考えていたからか。
「……? あの人……逆巻の人じゃ、ない?」
正面から誰かが歩いてきているということを、ふと視界を上げるまで気付けなかった。
が、すぐぶつかるような距離ではないため、ケイは一旦止まって道を開けることにした。
- 54龍影◆9BZ6kXGcio25/04/21(月) 20:54:06
- 55偽撃墜王◆fDey8JUvvk25/04/21(月) 20:59:08
- 56ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/21(月) 21:06:02
- 57ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/21(月) 21:06:36
【コックピットを切り裂いた感触を神経接続で感じながら、偏向ビームの軌跡を見る。それは一射一殺程度で止まらない。爆散したBFを貫いた光は、次にライフルを撃ち抜いて…引火。爆発に包まれた。一射二殺だ】
「…綺麗、だな」
【それ以外の感想は出てこなかった。戦いで糧を得る傭兵でも、企業に属す戦士でも、二機を通す的確な射撃だと見れるものではない。それは素晴らしい技だ、きっとユスティーナは素晴らしい眼を持つのだろう】
『了解。追撃があれば伝える』
【“火葬”をユスティーナへと任せると、ウルヴィはその場を後にして元いたポジションへと戻った】
【───暁が空を焼いて、闇を払う。指定されていた時間が過ぎて、依頼完了が告げられる】
《…お疲れ様》
【柄にもなく、ウルヴィは自ら通信回線を開いた。確かな労いと感謝を込めているつもりなのだろうが、淡々とした声は無機質さが目立つ】
- 58龍影◆9BZ6kXGcio25/04/21(月) 21:07:41
- 59偽撃墜王◆fDey8JUvvk25/04/21(月) 21:18:27
- 60ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/21(月) 21:32:11
そんな目だ。と言われれば。少年の心はにわかに奮い立つばかりで。
同時に、やはり違和感があった――――なぜなのかは、分からなかったが。
「死者に生者は掴めない……振り切って、飛んでこそ……」
龍影へその言葉を返したことに、そう思う人もいる、とケイは己の言葉として反芻し、受け入れた。
そして同時に、自分は違う考えであるのだなと理解した。
――――立派に生きな。子をたくさん産みな。そう言って死んだ女性がいた。
――――大陸一の月風乗りは、君になるだろう。 その言葉を最後に死んだ女性がいた。
――――止まらないでと、託して死んだ人がいた。
――――やっぱり駄目だ。俺は、俺を信じて死んだ人のことを忘れられない。
口には出さない己の心を呑み込んで、彼女のオッドアイを見た。
墨色の右目。青の右目を、見据えた。
- 61ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/21(月) 21:34:49
メビ、最近どうやらゴエティアとかいうイカれ野郎と俺たち(K.I)の部隊が交戦したんだってな?
【机の上に置かれた機密書類の山。全て“没名”に探らせた物だ】
【上層部は腐っている。それは誰の目から見ても明らか。だから、金龍は常日頃から怪しい動きを見逃さないようにしていた】
『えぇ、そうです』
一応あそこは人自連とご贔屓にしているんだろ?
今ちょうど俺たちと融和体制を取ろうとしているあの人自連と
『えぇ、そうです』
……このタイミングでそんな命令をするのは、明らかにこの人身売買の件と関係しているよな?
しかも、5歳から10歳までを集中的に購入している
【そう言って、アブソーバーなるデスペラードが隠れ蓑にしているフロント会社へ、脂ギトギトのヒゲ眼鏡が入金した記録を指差す】
『えぇ、そうです』
……没名を12動かせ。シャロンの姐御たち“没影”にはいつでも動けるようにさせろ
『一切承知しました』 - 62ユスティーナ◆KPwoT407kA25/04/21(月) 21:41:41
【狙撃にて正確に残骸を跡形もなく消し飛ばして暫く、任務完了の折に通信回線が開かれたのは、ユスティーナにとって意外だった】
…ん?ああ!こちらこそよ!
それにしても貴方、かなり強いのね!逆にユスティーナの出番が殆ど無かったわ!
【肩を並べる中で感じた感想を素直に述べる。どうせならこのままユスティーナの脳裏に浮かぶ陰険不良女と立場入れ替えてくれないかな…という未練を感じない訳ではなかったが、それらはすぐに払拭される】
【単純に、彼女がデスペラードだからだ。傭兵という立場で培われた戦術眼は何もかもがユスティーナにとって新鮮であり、企業のBF乗りとは別物の刺激だったからだ。故に、既にそうである立場を否定する事は絶対に違う。そうユスティーナは考えた】
ありがと、ウルヴィ!
次にどんな会い方をするかは分かんないけど…もし敵同士だった時はコテンパンのケッチョンケチョンにしてあげるんだから!それまでに死ぬとか絶対ナシよ!
【彼女の在り方と己の在り方。それらが交わる事は無い。交わってはならない。だからこそ】
【グリムゲルデのアームを動かし敬礼のポーズを取る。尊敬に値するデスペラードへの、せめてもの敬意だった】
- 63偽撃墜王◆fDey8JUvvk25/04/21(月) 21:45:24
- 64ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/21(月) 21:52:55
- 65偽撃墜王◆fDey8JUvvk25/04/21(月) 22:08:09
【肯定され、意図が伝わった喜びより聞き逃せなかったのは『皆に守られてるからそう言えるだけ』という言葉だった】
(そうか、貴方は支えられているんだな。)
【僅かな嫉妬。】
【それに『皆に守られてるからそう言えるだけの若造』を自称するその精神がむしろ達観したものに思えて】
【比して自分の器が矮小だと感じ、あるまじきことだと苛む】
……なら、とにかく長生きさせてやる。そのために私は戦うとも。
貴方が若造でなくなった時は……立派な戦士だろうからね。
【結果として自分のプライドを護るため、『若造を護るのは私の役目だ』と言わんばかりの言葉を紡いだ】
あまり立ち話もいかんな。失礼しよう。
【ふと気づき話を切り上げ、その場を離れて行こうとする】
- 66龍影◆9BZ6kXGcio25/04/21(月) 22:09:10
- 67アリソン◆PPyRfvMZl625/04/21(月) 22:11:27
(※先約アリ)
【────────────独りで飲むのは嫌いではない】
【青天市街のアングラに店を構える小さな酒場には、100年以上も前に流行したジャズサウンドが鳴り響いている】
【年季の入った木目のカウンターテーブル、机上に置かれたロックグラスには、丁寧に削り取られた球形の氷の大粒が一つ】
【その半分程を浸す黄金色の液体は、心地の好い微睡みを齎してくれる】
「……ん、バーテン、同じの」
【独りで飲むのは、嫌いではない────────────連れもおらず、ずっとずっと独りで飲むことに慣れた、と言うのが正しいかもしれないが】
【気儘に酒を愉しむのも悪いことじゃない、肴(ツマミ)の塩漬け合成肉は、場末の店らしく質の悪い筋張ったもの】
【ギチ、ギチ、とゴム繊維でも噛んでいる様な食感を、酒の水分で潤しながらゆっくりと磨り潰していく】 - 68ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/21(月) 22:11:40
《よく言う、美味しいところ食べといて》
【出番が無かったと聞くと、二機を穿った狙撃を思い出しながら言った。間違いなく一番の見せ場を取っていたではないか、と】
【味方を信じ、肩を並べ、共に立つ。その在り方はウルヴィにとっても悪くない心地がしたが、ここで終わりだ。彼女にはきっと、道を共にする仲間がいるのだから。それを奪うべきではない】
【立場も在り方も違う二人の考えは、不思議なもので、相手の在り方を尊重するという意味で同じだった】
《こちらこそ、ユスティーナ。…また、会おう。そしてその時は》
【これが生身の対面でなくて良かったと、ウルヴィは心底思った。その言葉を紡ぐ口が、その端が──】
《…貴方を、喰らうから》
【醜く釣り上がっていたから。】
【やはり彼女と自らの道は違う。きっと混ざらないし、混ざるべきで無いのだろう。故にこそ傭兵として、人として】
【BESTIAは左腕を胸にあて、一礼する。連なる人類の一人へ、尊重と尊敬を込めて】
【礼を終えた黒い機体が、通信回線を切断する。これ以上の言葉はきっと要らない。生きていれば…いや、どのような形となるかは分からないが、必ず戦場で会うだろうと確信しながら、背を向けて飛び立った】
- 69ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/21(月) 22:17:44
「ありがとうございます。俺は――――『カルカディアの騎士』になります。なれるまで、生き残ります」
それは月風乗りたちにとってはエースの称号。祖父から受け取ったその言葉が、ケイの始まり。
誰かを守る騎士。それこそが誉れ。
生き残らせてやる。という言葉に対して、ケイは毅然としてそのつもりだと頷いた。
墨と青の混じった目は、青そのもので。ケイは穏やかに笑って。
龍影に自分の袖を引かれて、気づく。確かに立ち話をしすぎたようだ。
「もっと話したいこともありますが……今日はこのくらいで。えっと、ありがとうございました!」
「俺はケイ・サヤギリです! 次もまた会いましょう!!」
ペコリと一礼をしながら、龍影とともに彼女とすれ違う。その目は、前を向いていた。
- 70偽撃墜王◆fDey8JUvvk25/04/21(月) 22:23:23
- 71シャロン◆8meUu6AaJY25/04/21(月) 22:28:15
[シャロン、コンディションオレンジ。]
「すぐに行く。」
ベッドで楽しんでいたシャロンは隣で寝ている隊員に起きるよう促し、ロッカーへ急ぐ。すぐに着換え、新しい相棒の『イントルーダー』に乗り、金龍からの出撃指示を待つ。変わったのは上司だけ。だが彼は愛妻家の様だった。連中と違って卑猥な視線などもない、今が天職に思えた。
「キルケー1、スタンディング。」
猟犬は指示を待つ。
- 72ユスティーナ◆KPwoT407kA25/04/21(月) 22:34:21
…へ?
【今の今まで、2機同時撃破が関心される程のスコアだと勘定していなかったユスティーナは呆気に取られた。それ程までに、漆黒のBFの機動は目を奪うものだったからこそ】
【互いを尊重する故に相容れない2機のBFの交流は、傭兵の離脱という形で一応の幕を下ろした】
…………そういえば、最後まで顔を見る事無かったわね
【ディスプレイに移る、返り血に染まったデフォルメ猫のアイコンを強く脳裏に焼き付けながら…生身で対面する事が無くて良かったとユスティーナは心底思った。何故なら─────】
…あ。抑制剤飲み忘れたから結構漏れてる…!うぇぇ…
【鼻の下から頬、口、顎にかけて、彼女の自身の鼻血がこびりついていたから】
- 73ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/21(月) 22:38:46
「ノインさん、か……なんとなく、話し方は爺さんに似てたかな」
出口に行く彼女を見送りながら、ケイは今になって違和感のもとに気づいて、口から出た。
そうか、爺さんだ。全てが全てそっくりじゃないけど、少し似てた。
「爺さんだったら……なんて言っただろ?」
記憶を思い返すが、やはり『BFに乗りたい!』とねだった時の顔を思い出す。
あるいは、爺さんと一緒に戦いたい。といった時か。
『――――俺と一緒に飛ぶか、それはそれはきついぞ?ケイ』
思い出すのは、自信たっぷりな。 ついてこれるものなら着いてこい。というような声で。
一緒に戦うことを、本当に楽しみにしている顔。
「……龍影さんにとって、爺さんってどういう人だったかな?」
自慢の祖父の顔を思い出したからか、慰霊碑のある部屋へ歩きながら龍影に聞いた。 - 74龍影◆9BZ6kXGcio25/04/21(月) 22:57:09
- 75ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/21(月) 23:10:13
「へぇ……だいたい知ってる爺さんだ。初期インベイド大戦シミュレーターで始めて仲間が死んだ時、俺泣きわめいちゃって。その時に言われた言葉を覚えてます……『インベイドは、泣き止むのを待ってはくれないぞ』『だから、頑張って立つんだ。カルカディアの騎士になるんだろ?』って」
頭を撫でられながらの、優しい声だったものだから頑張れた。 身内だったから、贔屓されていたのかも。と笑う。
「……でもあの人からは、嫌な感じがしたってことですね」
自分の違和感を、彼女はきっとより強く感じたのだろう。誰かの皮を無理やり被っているようなものと思えば、龍影から漏れる殺意が理解できる。
……自分もきっとそうだ。初期インベイド大戦シミュレーターで出会った……シグネやマレッタの真似事をしている誰かを『これが君の探しているシグネだろう?』と言われれば、殴りかかるどころか高速速射砲を最大レートで連射してもおかしくない。
――――あいつは誰にも怒るし、瞬間湯沸かし器だけど。でも同時に凄い視野が広い、仲間思いの良い女の子。
あまりにも分かりづらい彼女の気遣いが間違っていたことは殆どなかった。そこも、ジークルーネのパイロットそっくりの。
「シグネを下手に真似られたら、確かに俺も嫌だな……その子にも失礼だろ」
ぼそっと呟いたそれは、とても低いものだった。
- 76ユスティーナ◆KPwoT407kA25/04/21(月) 23:20:48
【ある日のアスガルド・アカデミーにて】
「あの場で無言で撃つ奴があるか鼻血女!最後の最後で撃墜してハイスコア取り損ねちゃったじゃない!」
・・
あっるぇ〜?わざわざ合図しないと味方のビームすら避けられないんですかぁ〜???シグレさんも随分情けない事言うようになられたんですねぇ〜!!!
「…………殺る。10回殺るわ。シミュレーターの対戦モード起動しに行くわよクソエイム鼻血女。わからせてあげる」
いいけどぉ〜?返り討ちに遭って恥かいてもユスティーナは責任取れないからねぇ〜???
「…何してんのアレ」
「珍しくユスティーナ殿がシグレ殿誘ってしみゅれぇたぁの協力もぉどを開いたらあのざまでござる。なんでも先日逢ったですぺらぁどに感化されて無言の連携を試してみたかったとか」
「えぇ…?あの2人は流石に無理だよ…」
「然りであるな」 - 77ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/04/21(月) 23:56:54
【カラン】
【真鍮製のベルがカウンターでシェイカーを振っている店員へ、新しい客の来店を告げた】
【酒気と安煙草の煙で満たされた店内に、新しく排ガス混じりの冷たい空気が混ざる】
【入ってきたのは半地下に居を構える場末の酒場には似合わない風体の男だった】
【疲労が滲む顔の上の前髪は几帳面に分けられており、色褪せたトレンチコートの下には糊の効いたワイシャツが覗く】
【男は空いたばかりの誰もいない席には目を向けず、真っ直ぐカウンターへ足を運んだ】
【そして、もごもごと口を動かしているアリソンの隣で立ち止まり、伺うように声をかける】
「どうも、キャラドールさん。お隣、よろしいですか?」
【場の空気を乱さない声量でかけられた言葉に顔を向ければ、オレンジを輪切りにしたような瞳と目が合う】
【人好きのする和やかな微笑を浮かべながら、洋墨に浸したような黒髪を揺らして尋ねる男の顔に、アリソンは見覚えがあるだろう】
【─────シルヴェストル・ルノアール】
【時には『情報屋 シュエット』として、時には『BF乗り ルコック』として、取引をして、共闘して、敵対して、また取引して、共闘した仲だ】
- 78アリソン◆PPyRfvMZl625/04/22(火) 00:25:49
- 79龍影◆9BZ6kXGcio25/04/22(火) 07:29:36
- 80ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/22(火) 09:10:12
- 81龍影◆9BZ6kXGcio25/04/22(火) 11:54:46
「うん…私には出来そうにないからさ…」
2人は慰霊碑のある部屋へ辿り着いた。
背中を押してくれた大馬鹿野郎(戦友)の名が刻まれていた。
シグネ、マレッタ…
みんなの名前がある…
「やっぱり…カッコ悪いじゃん…死んじゃったらさぁ…」
龍影は少女の様に涙を零して泣いた。
大馬鹿野郎を桜空ごと吹き飛ばしたのは当時、外に出していなかった初のストラクチャー弾頭…粒子炸裂弾…管制の判断は間違ってない。だがその青白い光は全てを飲み込み、全てを焼き溶かし、大量の粒子をインベイドに与えてデカい巣になった。
ろくでもない思い出が溢れる。
-アズマ-
視界に入った名前はいちばん知っている名前だ。
コックピットに撒き散ったのをすくい上げ、棺に詰めたからだ。優しくて、逞しくて温かかった彼は、とても軽かった。
「あっ…あっ…あぁ…」
声も出せない、ただ涙が溢れ、止まらない。
<ビームが効かねぇ?!龍影!>
最期は呆気なかった。
漆白に紅を差した月風は人型のインベイドに"解体"された。
フラッシュバックして、まだボロボロと大粒のものを流す。
月風乗りの慰霊碑の前では極一般的な光景である。
- 82ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/22(火) 13:10:25
「……俺は……」
人の悲しみにうまく寄り添うにも、彼女の涙は彼女だけのもの。悲しみも、彼女だけのものとケイは知っていた。 悲しむことに、水を差すのはいけないことだ。
だから、近くに自分がいることだけは熱で示すしかない。そして、その上で……どうしても、やはり言わなくてはならないことがあった。
「アズマ、さん」
慰霊碑に、そっと指を添えて。
「俺は、ケイっていいます。今の龍影の、恋人にさせてもらっていて、その……正直、俺は……」
うまく出ない言葉を、何とか紡いでいく。
「貴方がすごい好きです。ずっと、ずっと龍影さんの心を支え続けてくれた貴方を、俺は、尊敬してます。きっと、きっと……!貴方と一緒の時代にいたら、俺は龍影さんの恋人には、絶対なれてなくて!多分、負けてます!」
紡いだ言葉が、堰を切ったように溢れる。
「もし恨んで憎むなら、龍影じゃなくて俺を恨んでください!! よくもって思うなら!そっちに行ったら、俺のことを殴り飛ばしてください! でももしも……その時に、貴方が認めてくれるなら……!!」
「一緒に、龍影のどこが好きで愛しているか。それを語り合えるくらい!貴方のことも!俺は好きになります!!」
奪う、なんて気持ちにはなれなかった。アズマは龍影の中にいる。これはケイなりのけじめだった。
だから、おねがいしますと頭を下げた。
「だから……俺は……龍影さんの中にいるアズマさんにも、俺のことを好きになってもらえるよう。頑張ります!」
「貴方もろとも!過去も今も、未来の龍影も!貴方と一緒に、幸せにすると誓います!!」
若いから言える、愚かなことを。ケイは本気で、アズマの墓前に誓った。
- 83龍影◆9BZ6kXGcio25/04/22(火) 13:26:59
《ジャジャ馬(龍影)を任せたぞ、馬鹿野郎(月風乗り)》
ケイの耳にフワリと聞こえた、若い男の声。飄々としていて、だがしっかりとした頼りになる声が。
幻聴であったとしても、それは確かにケイを認めて背中を押すものであった。
しばらくは龍影の涙がこぼれ落ちる音が慰霊碑の置かれた部屋に反響する。次第にその音はは規則正しい深呼吸へ変わった。涙を零して、しゃくり上げるような泣きじゃくるものでは無い。
「プロポーズは…その…ムードとかあるでしょ…」
龍影は顔をあげず、隣に立つケイの放った言葉にドギマギする。
「…アズマはね、義体の私をパイロットじゃなくて女として初めて会話してくれたの。それが決め手だったのかな?吊り橋効果だったのかな?…まあ、気づいたら付き合ってた。それで、桜空撤退の時に辻役をやってくれててね…ビームが効かないインベイドに襲われて、それで…」
龍影はケイにアズマがどんな男だったかを教えたかった。
- 84ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/22(火) 13:42:25
「……はい」
その言葉を、幻聴だろうと聞き届けたものだから。静かに頷いて。
「……その、アズマさんには、ごめんなさいを言わなきゃって気持ちが……」
ゆっくり、そして少しずつ落ち着いていく龍影の声に、言ってしまったことを思い出しての羞恥はゆっくりと静まって。
「……はい。もっと教えてください。たくさん、たくさん……」
彼女から語られるアズマという男性を、受け入れて。そして少しずつ大事な人の中に加えていく。
その中で桜空の話に差し掛かり。ケイの顔がわずかに強張った。
「……ビームが効かない人型インベイド……まさか、サイファーカルト機……?」
あり得なくはない符号、と感じた。G-3コロニーで相対したフリクタル機へケイはビームを撃っていない故に未確定に収まるが……。もしその頃から、介入していたとするなら……。
(いや、流石に動きが早すぎる……1個体1種の、特別製なのかも)
あくまで可能性の一つに、ケイは収めた。
「……ごめんなさい。続けていいですよ」
きっと、その先をこそ彼女は聞いて欲しいのだろうから。
- 85ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/22(火) 13:49:14
(アブソーバーの基地を偵察させて3日......情報は着実に集まっている......そろそろだな......)
「金龍さん? どうかしましたか? もしかして今日はお疲れになられたとか......」
【胸の中で半裸になっていた珠が、呆けているような顔をしている金龍に問い掛ける】
うん? あーいや、来週の旅行はどこにしようかと考えてましてね、別になんでもないですよ
【彼女の艶やかな黒髪を優しく撫でる】
「でしたら......海なんていかがです? 気が早いですが、波の音は子供に良いと聞いたので」
承りました
んじゃその時は、マグロ尽くしの飯を用意しますね - 86龍影◆9BZ6kXGcio25/04/22(火) 14:10:06
「…そのまま話させないように話し続けても良かったのに…それで、機体の四肢を破壊してから、コックピットを踏みつけたの。それがアズマの最期。余韻も何も無い、続きがありそうな言葉が最後になったの。」
あまりにも呆気なさ過ぎて私は動けなかった。と続ける。
ガラガラと装甲を鳴らす音…今でも忘れない。
「でもソイツはケイが倒してくれた。ありがとう、本当に…」
その話を終えた龍影はどこか吹っ切れた様子だった。目元は人らしく赤く泣き腫らしている。
「うん!これでこの話は終わり!じゃ、お姉様!息子のケイ君は貰ってくね!」
カラッとした声色でケイに抱きついてキスをした。
また1歩、沼に足を踏み入れる。引き返せない。
だが確かに彼女は1歩を確実に、そして前へ進んでいる。
- 87ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/22(火) 14:22:25
「……ありがと。話してくれて」
それが、大事なことだと思うから。ケイは微笑んで。
(そうだ。次も、その次も来たら……勝ち続ける必要があるんだ。龍影を、悲しませないために)
泣き腫らした顔をしながら、どこか吹っ切れた龍影を、自分が幸せにしてやりたいと思いながら。
『うん!これでこの話は終わり!じゃ、お姉様!息子のケイ君は貰ってくね!』
「んん!?!」
そんなことを言われて、混乱しながらも龍影のキスは拒まない。
(か、母さん!?……あ、そういえば月風乗りだったって龍影が言ってた!!)
思い出して、しかしもう遅いのだから、なんとか視線を巡らせる。
────アヤメ・サヤギリという名前が刻まれているのを見つけて。
(ああ、この人が俺の母さんで……龍影のお姉様か……というかアズマさんもいるじゃん……!)
キスを受け入れながら、なんとなく、申し訳ない。
(ほんと、頑張らないとな……!でもすこし恥ずかしい)
羞恥で顔周りの熱さが止まらないのを感じながら。自分を愛してくれる女性の懐により一歩、未来にも一歩、近づけた気がした。
- 88シャロン◆8meUu6AaJY25/04/22(火) 16:15:41キルケーの爛れR-18(G)パート
⚠️注意事項⚠️
・ベッドシーン(または過激なゴアシーン)が苦手な方は閲覧しないでください!
・本文章はエロ(グロ)を多分に含み、場合によってはキャラ崩壊が起きます。
・行為のシーンは必ずしも閲覧者の望み通りに行かない場合があります。
ーーー
「ローズ、病み上がりだというのになぜ私を呼んだ?」
薄暗く、甘い熟れた果実のような香りがかすかに漂う寝室に何一つ羽織る事無く、生まれたままの姿でグラスに注がれている蒸留酒を飲む姿に呆れた。
「リン、病み上がりだからこそ楽しみたいんだよ?ソレに…」
ローズと呼ばれた女は呆れていたリンへ近づき、太ももをタイツ越しに左手で撫でながら、ゆっくり、焦らすように艶っぽく、スカートの中へ滑り込ませる。しっとりとした暖かい感触はショーツとタイツ程度で隠せない。
「ロっ…ローズ…「ダメ、シャロンって呼んで。」
タイツの上からまだ秘部を人差し指と薬指でなぞる。じんわりと湿ってきた。
「リン、これは?」
シャロンはキラキラと愛液により糸を引いている2本の指をリンに見せる。
「こっこれは…んぐっ?!」
シャロンはリンが喋るために開けた口にその指をつっこむ。
く…00m.inしっかりとしたワルキューレの隊長であるリンでさえも、彼女の手にかかれば腰砕けとなる。
「まだ5回しかトんでないじゃないの…まぁ…いいわ、ゆっくりおやすみなさい。」
シャロンは彼女の額に優しくキスをする。
「んっ…」
リンはとても満足そうに寝息を立てている。
ほんの数時間、この時間だけは男も何も忘れることが出来る。だからシャロンは貪るように耽った。
- 89ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/04/22(火) 16:48:36
- 90ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/22(火) 16:50:57
【インベイドの侵攻から20年ほど。その間に放棄された人類の生活圏は数多く、何らかの利用価値が無い限りは地図から消失したそれを気にすることはない】
【折れたビル、舞う砂塵。かつて人が過ごしたであろう土地は、滅びの静謐に包まれている。しかし無人ではない】
「異常なし」
【形を残した建物の中で一番高い、その屋上。双眼鏡から眼を離したウルヴィは、仰向けに寝転んだ】
【デスペラードの住処の形は様々だ。器用に企業の庇護下に潜みその裏社会を住処とする者、PMC或いはドーザーとして群れる者も居る一方で、廃墟や打ち捨てられた土地を寝蔵とする者だって居る。ウルヴィが該当するのは三つ目だった】
【それは寄る辺を得られなかった単孤の生き方。敵も味方も居ない、繋がりから切り離された道は、『人』らしい彼女とは正反対なのだろう】
【敬礼の形を取った赤い機体の姿を思い出す。尊び重んじるべき『人』を、確かに感じたその強さを】
・・・・
【───殺したい】
「違う」
【それは断じて『人』のものではない。獣にすら劣る最低の欲求だ、渇きのままに命を貪るなどあってはならない行為だ】
「私は…傭兵だから。クライアントのオーダーに応える。求めるのは依頼の達成。戦うのも、殺すのも、ただの過程」
【言い聞かせるように、言葉を並べる。深く息を吸って、大きく吐き出す】
【いつの間にか日が沈もうとしていた。どうやらウルヴィは自身が思っていたよりも長く思考に囚われていたようだ】
【地平線に飲み込まれる太陽に背を向けて立ち上がったウルヴィは、自らの影を連れて歩き出した】 - 91アリソン◆PPyRfvMZl625/04/22(火) 17:24:49
「てめェはどれが素顔なのか分からねぇから言ってんだよ、その顔だって、実は演じてるンじゃないのか?」
【シルヴェストル・ルノアールは、アリソンにとって所謂、苦手な類の人間だった】
【温和に振舞い、のらりくらりとして手の内を見せず、自分のペースを保ち理性と利害の均衡を演じている】
【顔を突き合わせる度に異なる表面を見せられれば、どれが彼の“地”なのかもあやふやだ】
【敵として争う立場なら────────────未だ、良い、明確な目標があるのだから】
【だが、ことプライベートに於いては】
「ツラ合わせて仲良く飲み交わすって仲でも無いだろうが、何か含みがあると思うのが普通だ。
・・
その新作とやらなら買わねぇぞ、金を落としてなんてやるモンか」
- 92クロウ◆KPwoT407kA25/04/22(火) 19:54:56
「へへっ、今日もたんまり稼ぎやしたね旦那ァ!」
【複数のデスペラード機が荒廃した大地を駆ける。計5機のうち2機は推進機能を喪失した輸送機を牽引している──────当然、盗品だ】
「まったくだ。しかし連中も脇が甘くなったもんだ。“力づくで奪えばパーツ代なんでどうとでもなる”って事も分からねぇウスノロばっかりなんだからな…ガハハ!」
【彼らのような盗っ人は今日日珍しい存在という訳でもない…インベイド由来兵器『スパイス』を無法者達に提供するようになった代価だ。その日暮らしの代償を、義理も道理もない形で払わされた。ただそれだけのこと】
「つーかジョン!さっきから回線でヘッタクソなハーモニカ聞かせてんじゃねぇよ!ったく、テメェのクラシック音楽好きにもほとほと愛想が尽きるな…せっかくの勝利の美酒が台無しになるだろうが!」
「へ?俺じゃねぇっスよ」
「…は?」
【その瞬間だった。輸送機を牽引していたARATAMEのカスタム機がBFの3分の1程の大岩を真横から受けたのは】
「ぐああああっ!!」
「!?おいカール!無事か!被害状況は!?」
「こ…腰のフレームがやられた!もうこいつは動かせねぇ!誰か代わりに俺ごとこいつを…」
「そんな事言ってる場合じゃねぇ!襲撃だ!手柄を横取りしてぇのか知らねえが俺ら『マッドドックス』にこんな事してタダで済むと…」
【デスペラード機のセンサーが敵性BFを捉える。敵は“1機”。真紅の頭巾と外装に包まれた異形のBFだった】
「……プッ、アッハッハッハ!!バカじゃねぇのかアイツ?たかが1機で俺ら全員を相手取ろうなんて」
「…お…おい…あのフードって…」
「あ?何ビビってんだマイケル」
「知らねぇのかよ旦那!?アイツ…『赤ずきん』なんじゃ…!?」
【『赤ずきん』────最近一部のデスペラードで話題になり始めている傭兵の“通称”。企業個人問わず依頼を受け、深紅の頭巾と塗装、そしてハーモニカの音を鳴らすBFをトレードマークとする、デスペラード】
「…だからなんだってんだ!ヤツのBFをよく見ろ!だいぶ弄ってるようだがアレはオリジナルアーヴィングがベースと見た…古くせぇマニュアル操作なんか物量でつぶ…」
【その言葉を言い切る前に、深紅の機体はレーダーを振り切り、もう1機の牽引BFを左腕の長大質量で押し潰した】
【───『今日の代償』は、彼ら自身が払う事となるようだ】 - 93ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/04/22(火) 19:59:00
「否定はできませんね。人は誰かと話すとき、大なり小なり己を演じるものです。
私は素のつもりですが、無意識に一つの側面を押し出している可能性は充分あります」
【訝しげな視線を伴った詰問に、シルヴェストルは困ったように眉の形を変えながら答えた】
【さまざまなペルソナを被る必要がある仕事上、この手の疑いを受けることは多々ある】
【こういう時は自らの見解を正直に伝えたうえで、後の判断は相手に任せることにしている】
【変に意固地になって弁解しても拗れるだけで、何の益にもならないことは目に見えているからだ】
「ええ、それで結構ですよ。本は『読みたい』『手元におきたい』と思って買うもの。利他的な思考で買っては後悔します」
【比較的強い度数のアルコールを飲んでいるにも関わらず、シルヴェストルは涼しい顔でアリソンの言葉に肯定の意を示した】
【つっけんどんな物言いは気にならない。一人飲みを楽しんでいたところを (その気はなかったとは言え) 害してしまった以上、甘んじて受けて然るべきだ】
- 94ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/22(火) 20:01:15
「すっげぇ…」
新しい朧月は関節周りにCNTを増やしていた。
「強度確保に成功こそしたけど、やはり脚部はヤモリほどの柔軟性確保ばかりはどうしてもできなかった。申し訳ない。」
ヨツバは少年に謝る。
「いえ、ヨツバ整備班長、ここまで仕上げて貰って…ほんとありがとうございます。」
少年はその仕上がりに満足していた。
「そう言って貰えて嬉しい限りだよ、ハヤテ君。」
辰砂色の瞳は奥に黒赤い影をいれ、輝いていた。
「ハヤテ君、ちょうどいい依頼があってね…」
端末を取りだして、それを手渡す。
少年はすぐさまその内容を確認する。
ー輸送中のBF強襲ー
逆巻の輸送トラックを襲っているデスペラードのキャラバンを特定した、キャラバン保有の機体はヤモリベースのカスタムが3体。典型的なデスペラードの小隊である。
「ヨツバさん、55mmは燃焼弾と炸裂弾を交互装填で。ビームライフルとプラズマソードはまま。輸送機の離陸準備、お願いします。」
特性を理解して、圧倒できる装備をチョイスした。
「わかった。お前ら!燃焼炸裂の交互!基本は変えない!今回が朧月の初陣だ!見せつけてやるぞ!」
おう!
整備士達の熱い掛け声に少年は鼓舞された。 - 95二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 20:11:56
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- 96クロウ◆KPwoT407kA25/04/22(火) 20:31:13
ハワード・ピット。このドーザーの名前に聞き覚えは?
【終わって見れば一方的な蹂躙、呆気ない戦闘だった】
【早々に戦闘不能となった牽引機を除く3機のヤモリは、味方だった機体で足元を掬われうつ伏せになったところを踏みつけられたり、アンカーの鉤爪で抉られるなどして悉く逝った。どこをどうすればBFが容易に沈黙するか、それを熟知した戦い方だ】
「し…知るかよ!ドーザーの名前なんて一々覚えてねぇ!!」
【残すはリーダー格のヤモリ。それもコックピットの装甲板越しに真上から高周波ナイフを突きつけられている状況だ】
「な…なぁ…見逃してくれよ!そのハワードってやつが出した額より箔つけてやるから!だから…」
悪ィな。クライアントには「全員殺せ」って言われてる。それに…
「ま…待っ」
【命乞い虚しく。ナイフはヤモリの装甲板をバターのように切り裂き、コックピットを通過した】
奪えば総取り。テメェらが1番知ってるだろ?
【荒野に静寂が戻る。深紅のBFの主『クロウ・レッドフード』は唸りながらこれからの事について考えていた】
どーすっかなこの荷物…ハワードんとこのじゃねぇからぶっちゃけ俺の管轄外だし、紅月で運ぶのも無謀だよなぁ
【考え込んだ末、最寄りのドーザーに連絡を入れ盗品を運んでもらい、『赤ずきん』は依頼を完遂するのだった】 - 97アリソン◆PPyRfvMZl625/04/22(火) 20:37:14
【嗚呼、まただ、またこの男は上手にこちらの挑発をいなす】
【苛立った態度に歩み寄る様な丁重で迂遠な言い回し、直情的で、何事も明け透けにしてしまう自分とは真反対の在り方、無法者(デスペラード)なんて単語には似合わない理性の人】
【チッ、と小さく舌打ちをする、一足先に酒気を帯びた身体はぼんやりとした熱を放っている】
・・・・・・・・・・・
「じゃあ聞くがルノアール、何も演じるつもりの無い人間は、つまり人間じゃねぇってコトになるのか?」
【無論、シルヴェストルがそんなつもりで言ったわけではないと理解もしている、意地の悪い問いだ】
【のらりくらりと振舞う男への反撃、揚げ足取り、それと少しの興味】
「アタシは何も演じてるつもりはねぇ、今ここにいる、全て……」
【或いは、酒(アルコール)のせいか】
- 98二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 20:52:31
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- 99ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/22(火) 20:54:06
「ランデブーポイントコンタクト、高度2000ft維持。地上風速6m/s。良好。」
コックピット内に呼吸音が木霊する。
「ハヤテ君、ヴァージンミッションはG-3だったのだろう?落ち着いていこう。」
ヨツバは少年にリラックスする様に伝える。
「わかってます。」
辰砂の瞳は兵士に変わる。
「降下10秒前。花火をあげよう!ハヤテ君!」
「了解です!エントリー!」
ガコン
ハンガーから切り離された朧月はヤモリに55mmの恵みの雨を降らせた。
【どうなってやがる?!燃焼弾だと?!】
降り注いだナパームにより、すぐさま敵は混乱した。
地上まで500ftでバーニアをふかして減速して着地する。
【同じアーヴィングじゃねぇか!やるぞぉ!】
跳ねるようにヤモリは動く。
「遅い!」
大地を踏み込み、蹴る。
【速ぇ?!なんだアイツ!】
足が一瞬だけ止まったヤモリを蒼のスパークを撒き散らすプラズマソードが襲う。
ボックスコックピットの頭から押し込むように刃が入り、赤白く赤熱させる
【ばっ…?!なん】
断末魔はそこで止まる。おそらくコックピット内部のアートになったのだ。
牛の嘶きに似た軋む音を立てて崩れた。
【ビームサーベル?!オリジナルアーヴィングかよ!】
【だから逆巻に喧嘩なんか売りたくないって!】
デスペラードは泣きわめく。
軽やかな、断続的な銃声がヤモリを食い散らかす。
「ごちゃごちゃ煩いぞ…」
少年は低く言った。
- 100ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/22(火) 21:02:21
【あっ…あぁ!】
背中を向けて走り始めるヤモリに向けてビームライフルを放つ。
ボシュンッ
コミカルな音を立てて貫徹する。
綺麗な円柱がヤモリの胴に出来上がった。
「…後は輸送車か」
朧月はヤモリの様に跳ね、その輸送車両の荷台に乗る。
頭部20mmバルカン砲を0.3秒掃射した。
運転座席下から炎があがるのを確認してから跳ねて距離を取る。レーダーに敵はいない。
「…残敵なし、ミッション終了です。回収お願いします。」
兵士から少年へ戻った。
「アーヴィングと朧月はここまで性能が違うのか…」
改めてその機体性能に驚いた少年だった。
- 101ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/22(火) 22:52:43
メビ、姐御たちの前払い報酬の件はどうなった?
『はい、既に発送の方は済ませております』
だったら重畳
彼女たちがとっておきのステーキ肉の塊を一目見たらどう思うんだろうなぁ……
それはそうと、没名や姐さんの方からは?
『こちらにつきましてはいくつか候補地を突き止めましたが、煙を相手にしているのか、対象自身の所在地は掴み切れずに難航中です』
だったら、ゆっくり焦らず行こう
今ここで下手をこけば、救助対象が増えて作戦に支障が来てしまうからな
『一切承りました』 - 102性能試験◆OXAm1h6odk25/04/23(水) 13:17:49
【ロマネ・ベッグマン中佐は不機嫌そうな雰囲気を隠しもせずに、荒野に佇んでいた】
【彼の指揮する十二機の“スカッド・ソルジャー”と十二機の“ローン・ソルジャー”は迫るインベイドの群勢を前に停止を余儀なくされている】
【ベッグマンが護衛する十数名余りの研究員は忙しなく動き回っており、また彼が護送したその新機体も未だ巨大なコンテナの中である】
『……………敵の数は我々に対処可能な範囲を逸脱している。その“ネフィリム”とやらが動かなければこの場の全員が全滅するぞ』
『正式名称は、“ネフィリム”シリーズ試作機。“サルヴァトーレ”モデル第一号機〈グランツ・リッター〉です』
『“使えるかどうか”の話をしているんだ』
『見れば分かりますよ───────そろそろですからね』
【───────────────────ギィ、という酷く耳障りな音と共にコンテナが開かれた】
【一歩、“怪物”が踏み出す。量産機の五倍近い体躯を誇る巨躯でありながら、まるで“人間”かのような滑らかな動きであった】
【第一印象は白銀の騎士。磨き上げられた全身甲冑が如き装甲が機体の全面を覆い尽くしており、鋭角的なフォルムも相まって美麗な騎士を思わせる】
【第二印象は冒涜の魔獣。二対四本の腕部ユニットは四つの武装と一体化しており、“人間”としての形を何処までも深く悍ましく放棄していた】
【─────────見覚えのある素材だった】
【ベッグマンは呻き、叫んだ】
『救世主-サルヴァトーレ-だと…………!?こんな継ぎ接ぎの怪物に、科学のフランケンシュタインに、一体何が救えるというのだ!』
・・・
『人類を』
【〈グランツ・リッター〉が、インベイドの群勢に向かって駆け出した】 - 103性能試験◆OXAm1h6odk25/04/23(水) 13:36:08
【────────────────時速270kmで〈グランツ・リッター〉が直進した余波で、第一陣の突撃兵級は尽くが踏み躙られた】
【全高約33mにも達する巨躯である。怪物的質量は駆動するのみで、正に蟻を踏み潰す様にして突撃兵級の物量を突破した】
【第二陣。射撃兵級の飽和攻撃が一斉に殺到する。一つ一つは小さな結晶体であるが、全て避けるのは不可能に等しいだろう。その裏で重装兵級がビームを構えて放ち、】
『跳んだだと!?』
【遠目からその戦闘風景を観察していたベッグマンは思わず叫んだ。〈グランツ・リッター〉の逆関節の脚部が駆動し、怪物的質量を軽やかに空中へ舞い上がらせる】
【射撃兵級の飽和攻撃は、装甲表面の電磁減速防御によって全てが無力化されていた。四つの腕の内の二つ。リニアキャノンが如き特殊電磁砲がビームを放った重装兵級に向けられる──────その砲身だけでも、並みのバディフレームに匹敵する巨砲が唸った】
・・・・
【重装兵級が破裂する。撃ち込まれた超音速に到達する速度の特殊鋼弾が厚い装甲を貫いて一撃で絶命させる。連続。二本の腕から放たれる絶死の狙撃が次々と重装兵級を壊す】
【〈グランツ・リッター〉が地面に降り立ち、第三陣が迫る。騎兵級の一斉横列突撃。その背後からの投射機級によるプラズマ弾の予兆。白銀の竜騎士は迷わずに再び跳ねた】
【騎兵級の横列を飛び越えて、腕部のブレードを一振りする。それだけで騎兵級が前後に両断されて、テイルブレードがその亡骸を薙ぎ払って弾き投射機級の砲撃への盾として“消費”する】 - 104ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/04/23(水) 14:41:40
「……いえ、それも人でしょう」
【酔っ払いの戯言。絡み酒】
【そう片付けることもできる問いかけを、シルヴェストルは真剣な面持ちで拾い上げた】
【今まで考えたことのなかった視点に立ち、考えを深める。本を読んでいれば当たり前に課せられることだし、こういう思索は好物だ】
「先ほど私が発言した内容を前提にすると、大多数の人間は己を演じることが ''普通'' です。
ですが、その ''普通'' から外れていることが、その人が人でないことの証左にはなりません」
【普通というのはあくまで全体の2/3を示す言葉であって、1/3を異常とすることはあっても、それは全体に含まれないという意味ではない】
【少なくともシルヴェストルはそう考える】
「むしろエゴや演技から離れ、ありのままに存在することは、遥か昔から唱えられている ''人間としての完成形'' ……その一つに近い」
【例えば無我、例えば無為自然】
【歴史の中で幾度も形を変えて掲げられてきた理想的な人間の例の一つ。他者を意識して作り上げた役割を手放し、ただ在ること】
「''演じるつもりのない人間'' は、そういう在り方の人間。ともすれば、''演じている人間'' よりも人間らしい。……これが私の答えです」
【酒のつまみにするには重いかもしれないが、そこは許してもらおう】
【読書家が高じて哲学者に片足突っ込んでいる節のある男に考え甲斐のある問題を投げたのが悪い】
【……まあ、お気に召さなければ一人飲みを邪魔した詫びも兼ねて、つまみの一つか酒の一杯は奢るつもりである】
- 105アリソン◆PPyRfvMZl625/04/23(水) 16:00:18
【掌の上、回る薄らいだ黄金色、反射する氷の球、少しずつ溶けて境界線は曖昧になっていく】
【人か、人でないか────────────本来は混じり合わぬ筈のものであっても】
【今、このロックグラスの中身はウイスキーなのか、氷の溶けた水なのか、果たしてその本質はどちらにあるのか】
「……そうだな、これはウイスキーだ」
【演じる者も、演じない者も、人間であると断ずるのはあくまで己、このグラスの中身をウイスキーと断ずるのもあくまで己、小さく鼻を鳴らして傾けた】
【嗚呼、喉が焼ける】
「小説家より哲学者の方が向いてるぜルノアール、認めるよ、確かに、アタシもお前も同じ人間だ。
けど気に喰わねェのは変わらない、お前みたいな回りくどい喋り方をする奴は、イライラするんだ」
【何も演じない、誤魔化さない、アリソン・キャラドールはとことんまでに己の感情に素直だ】
【眼の前の男に抱く忌避感も明け透けに、そこで初めて、彼のことを瞳が直に捉えた】
「────────────好きに飲んでたのに、邪魔しやがって」
【女の顔は、仄りと赤く染まっている】
- 106ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/23(水) 16:05:15
【フーフー......ゴクッ】
【灯りが灯りを呼ぶ眠らない摩天楼、とある夫婦は個室にて、喧騒と切り離された風景を眺めていた】
......やっぱり、故郷の茶葉は美味いな、メビ
「初めて飲みましたけど、酸味が少し強めなのにホッとする味です......」
『お褒めに預かり、召し使いとして冥利に尽きます。点心もこちらにご用意させて頂いているゆえ、ごゆるりとお過ごしください』 - 107性能試験◆OXAm1h6odk25/04/23(水) 17:21:23
【投射機級が次弾を装填する。超音速のプラズマ弾を燃料の限り放てる投射機級と、コア粒子によって擬似的半永久機関を実現した装填手級の組み合わせは悪夢的だ】
【そして〈グランツ・リッター〉は悪夢よりも悪夢であった】
『……………馬鹿な』
【砲撃音。電磁加速によって超音速を超える速度で特殊鋼弾が空を切り裂き、投射機級がプラズマ弾によって迎撃した。〈グランツ・リッター〉は怪物的質量を躍動させて踏み込んでいる】
【一撃。腕部統合型規格外大型超重斬刀が投射機級を真正面から叩き潰した。砲身は半ばから折れて、触手は衝撃で破裂して液状となって散った】
【もう一匹の投射機級が〈グランツ・リッター〉の側面から砲身を向ける。特殊電磁砲を構える二本の腕が振り向いた。特殊鋼弾とプラズマが相殺され、しかし同時に放たれた雷撃が投射機級の神経構造を焼き尽くした】
『“ネフィリム”シリーズ……………堕天使と、人の混血児の名を冠する計画……………』
【対空級と対地級が現れた。ベッグマンは思わず身構えた。互いの弱点を補完し合うその組み合わせは最近になって確認された戦術だが、その被害は今も増し続けている】
【〈グランツ・リッター〉は怯まなかった。クラウチングスタートの如く四つの腕を地面に着けて、腰を肩よりも高く上げる。軌道列車の線路めいた蒼色の雷光が迸った】
【────────────────────爆撃が起こった。そう認識する程の衝撃が、遠く離れたベッグマンの“スレイガン”を後退させた】
【対地級は正面から縦に一刀両断されて、対空級は衝撃に拉れて爆散していた。死骸に埋め尽くされた絶滅の荒野に、〈グランツ・リッター〉だけが健在だ】
【一つの虐殺が終わった。荒野を進むインベイドの群勢は全滅した】
- 108性能試験◆OXAm1h6odk25/04/23(水) 17:57:29
『撃破スコア4,962体です』
『“ローン・ソルジャー”と同量の粒子装填ですが、出力の低下を見受けられませんでした』
『機体損耗率は2%以下に収まっております。加速時の運動によって関節付近の装甲に歪みが生じた、という程度です。突撃兵級の素材を流用して直ぐにでも修復が可能でしょう』
『概ね性能試験は成功か。機体に停止命令を出せ』
『………………貴様ら、何をしたッ!!!』
【無表情でデータを交換し合う科学技術者にスレイガンの銃口を向けながら、ロマネ・ベッグマン中佐は吼えた】
【その内の若い女性の研究者が、冷たい表情で首を傾げて応答する】
『明確な軍規違反だ、ロマネ・ベッグマン中佐』
・・・・・・・・
『既存の技術にあのような化け物を実現し得る技術は存在していない筈だ!神経制御技術ですら、あのような異形には対応し切れない筈……………ッ!何をした、貴様らッ!!』
『合法的な手順を実行した。理事会で提案が可能な程度には合法的な手順をな』
【────────────────────ぶおおお、ぶおおおおおお】
【遥かな駆動音が響く。怪物の雄叫びのように天に吼えて、〈グランツ・リッター〉が全身を躍動させ駆け出す。その姿は、少なくともベッグマンの目には“人間”らしく見えた】 - 109性能試験◆OXAm1h6odk25/04/23(水) 17:57:40
『主任。二連結有機演算装置が停止命令を拒否しました。暴走状態に陥ったものかと』
『進行方向に存在するのは何だ?』
『“V-7コロニー”のアウトサイドです』
『ふむ………………………………』
【若い女性研究員は僅かに逡巡して、それから手元の通信機器を起動した】
『傭兵に依頼を出せ。“新型インベイド”討伐という形でな』
- 110栄光の騎士◆OXAm1h6odk25/04/23(水) 19:20:56
【────────────────────白銀の竜騎士は、アウトサイドを遮られる事なく自由に闊歩していた】
【四階建ての建築群は並みのバディフレームよりも背が高く、一種の遮蔽物としても機能していたものの、〈グランツ・リッター〉からすれば一息に踏み潰せる砂の城に過ぎない】
【抵抗しようとするデスペラードも存在していた。事実、〈グランツ・リッター〉を今現在三機で包囲している『雨の旅人』も拠点を防衛する為に〈グランツ・リッター〉を討伐しようとしていた】
【場違いな声が響いた】
『───────ターニャ!見て、見て!今の私達はもう誰にも負けないんだよ!』
『油断しないで、サーニャ。負けなくっても、私はサーニャが傷付いたら悲しい……………気を付けて戦わないと』
『うん!』
【金管楽器を思わせる美しい旋律が、幼い少女達の声を奏でている。〈グランツ・リッター〉そのものが声帯の如く振動していた─────彼女達に、今や“肉体”は存在しないのだ】
【文字通りの意味で〈グランツ・リッター〉を新たな鋼の体にして、幼稚な正義感と復讐心に突き動かされて姉妹は動いた】
『行くよ、ターニャ!』
『やっちゃえ、サーニャ!』
・・・
【〈グランツ・リッター〉が跳ねた。怪物的質量が空に舞い上がり、誘導ミサイルと粒子ビームの直撃を避ける。次弾の装填。照準の再設定。そんな隙は与えない】
【特殊電磁砲が、パルスショットガンの様に雷撃を吐いた。横から砲撃を行っていた機体のパイロットは高圧電流によって黒焦げの焼死体となった】
【跳ねた先には誘導ミサイルを放ち終えた機体の影がある。瞬間的加速によって建物の影に隠れたその機体を、建物諸共に蹴り飛ばす。弾かれた瓦礫が亜音速の砲弾となってバラ撒かれ、怪物的質量を受け止める羽目になった機体はいとも容易く押し潰され壊れた】
【背後から奇襲を仕掛けようとしていた機体、始めから見えていたかのように尾部のテイルブレードが追随する。薙ぎ払われたブレードに巻き込まれて、大きく弧を描いてからパイロット諸共胴体が二つに裂けて機体が千切れ飛んだ】 - 111栄光の騎士◆OXAm1h6odk25/04/23(水) 19:34:31
【無邪気な暴力だった】
【幼子が駄々を捏ねてジタバタと暴れ回るような、そんな暴力であった】
【────────────────────結果は虐殺だった】
「た、助けてくれ……………!」
【〈グランツ・リッター〉によって蹴り飛ばされた亜音速の瓦礫で半身が潰れて、誰からも見捨てられ路地に横たわる妊婦がいた】
【〈グランツ・リッター〉のテイルブレードが切断したバディフレームが家に突っ込んで、全員が圧死した家族がいた】
【〈グランツ・リッター〉が駆けた。巻き起こった風に吹き飛ばされて外壁に激突し、内臓が破裂した少年がいた】
【〈グランツ・リッター〉が跳んだ。強靭な脚部によって粉砕された路地が砲弾の破片めいて周囲へと拡散して、下半身を根刮ぎに吹き飛ばされた老人がいた】
【即死した者はまだ幸運だった。真に悲惨なのは、致命傷を受けながらも息を残している者たちだ】
【彼らは満足な治療も受けられず、死に逝く苦痛を感じ続けながら絶命する】
【殺戮の為の兵器と融合した少女達は、真実最新鋭の戦闘機械としての機能を十全に活躍させていた】
『私達はもう二度と、誰にも奪われない』
『私達はもう二度と、誰にも負けてやらない』
【歌う様に、奏でる様に、地獄絵図に声が響く】
【それは決意。それは誓い。彼女達の信念だった】 - 112二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 19:48:31
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- 113ノイン◆fDey8JUvvk25/04/23(水) 19:58:33
【傭兵ではないため依頼は受けていない】
【……だが、『時折ふらりと姿を消してまたふらりと現れる。激しいインベイド戦が起きた際はより唐突に現れる』】
【撃墜王がそう語り継がれる限り、彼女もまた唐突に現れるのだ】
【彼女のBFの全色カラーは青色。差し色に白。だが月風と比せば全体的に太い、シルエットだけは月風の面影のあるカスタム機『蒼月』】
【しかしその機動性は月風譲りであり、背部コア粒子推進機関が唸りを挙げつつV-7コロニー・アウトサイドに突入する】
ターゲット確認……先ずは狙いをこちらに引き付ける……!
【人型にも似たインベイドをセンサが捉えた】
【その瞬間。これ以上被害を出させまいと違和感を振り切り、バレルロールしつつビームライフルを胴体へと放つ】
- 114龍影◆9BZ6kXGcio25/04/23(水) 20:00:27
「V-7のアウトサイドが?!アソコはK.Iが遊ばせてる精鋭が居たはず…全部殺られたの?」
龍影に報告に来た少年は首を縦に振る。その瞳に偽りは無い。
アウトサイド間は旧世代の無線通信をある程度協調出来ているデスペラードの都市を中継に使ってやり取りをしている。
「わかった、ありがとう。」
龍影は感謝の言葉を述べ、その少年に紙幣を握らせる。
「困ったわね…」
紙幣を握りしめてアウトサイドの道を走る背中を見て考える。
「整備長、依頼でアウトサイドサイドを襲った新種討伐が来てると思うんだけど…それに出せるかしら。」
「王、その依頼は確かに来ているが…どうもインベイドって訳でもないみたいだぞ。どうする?」
「どうもしないわ、整備長。V-7の連中が殺られる相手よ?ココに来る可能性はゼロじゃないの。」
「そうか…変わったな…お前も」
「私は私よ?」
「いや、準備をしておこう。近接は物理も持っていくか?」
「サキガケは切れ味が良くても守れなくなるからね。持ってくわ。」
「わかった、そうしよう。」
龍影は望月の格納庫へ走る。
- 115ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/04/23(水) 20:01:26
「すみません。アウェーなところに見知った顔があったので、つい」
【率直にぶつけられた正当な文句を真摯に受け止め、浮かべていた微笑を自嘲するような形に変えて謝罪する】
【どうやら酔いが回っているようなので酒はやめて、この店で一番上等なつまみを持ってくるよう店員に頼んだ】
「お詫びにこちらをどうぞ。私はコレを飲み終わったら帰りますから、後はごゆっくり」
【目の前に置かれた合成肉とナッツの盛り合わせを横へ流す】
【そうしてこちらを見据える瞳に良くうつるようにタンブラーを軽く揺らし、口をつけた】
【伏せられた目は未だ理性的な光を保持しており、揺らぐ様子は全くない】
【色付きの蛍光灯に照らされる肌にも変化は見えず、周りの人気が減ってきたのも相まってどことなく浮いている】
【最低限しか場に馴染むつもりがないのだろう】
【目的もなく、疲れを癒せるならなんでも良いと、気まぐれに足を踏み入れただけだから】
- 116クロウ◆KPwoT407kA25/04/23(水) 20:13:18
…あれが標的のインベイド、ねぇ?
【BFを真似たという影法師級にしては異形が過ぎる】
【新種のインベイドにしては装備が整理されすぎている】
【明らかにインベイドじゃない。人の手で作られた何かだとクロウは結論付けた】
「おいクロウ!さっさと『赤ずきん』発進させろ!俺らも長いこと留まっときたくねぇんだよ、いつ狙われるか解ったもんじゃねぇんだからよ!」
おう、悪ィ!
【輸送は知り合いのドーザーに融通を効かせてもらった。紅月が輸送機から降りる】
「こう言うのはガラじゃねぇが死ぬんじゃねぇぞ!テメェが逝っちまったら─────」
取り分が無くなる、だろ?安心しな。アンタの望みは叶う
「…そ、そうだ!ちゃんと金持ってこいよクロウ!」
【上の事情はどうだっていい。報酬に箔が付いている…傭兵にとって、依頼を受ける理由はそれだけで十分だ】
いくぜ紅月(アカツキ)、狩りの時間だ
【ドーザーがついでに手配してくれた“オマケ”と共に、右背と左肘のコア粒子推進機関が唸りを上げ…赤い頭巾のBFが戦闘領域に突入する】
- 117クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/23(水) 20:14:11
おーおー、ひどいなこりゃ
挽肉マシンが走ってるみたいだ
『兄さん、あまり宜しくない表現だよ
もっとこう...ミキサーが走ってる、とか。』
うーん、悪化してると思うけどなぁ
...目標には十二分な気もするよ?
『あんな大きいのを倒したら一攫千金だよ。
第一、明日の食料も買えないでしょう?』
ソラウが一気に食べたせいだろう...?
【血塗れの獲物に真っ先に目を付ける動物
それは、群れを成したカラスである】
『行くよ兄さん、大規模なのって久々だし
明日の新聞の一面...飾っちまおうぜ。』
いーや俺は目立ちたくないよぉ?
【と言いながらも兄妹は自機へと歩む
岩山の影になる場所に、見慣れない形の
黒を基調としたBFがひっそりとあった】
- 118ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/23(水) 20:18:26
【傭兵であれば殆どがご存知、或いは知ることになる知識として、依頼にも質というものがある】
【それは報酬で決まる──わけではない。無論報酬も一つの物差しにはなるが、作戦の詳細、予想される戦力、達成に必要な情報の有無、“もしも”の時の対応など、具体性があればあるほどに質のいい依頼だと言えるだろう】
【先程ウルヴィに届いた依頼の質は、ほぼ最低だった。『恐らく』『推測となりますが』『お任せします』。呆れるほどに中身の無いブリーフィング、そして】
・・・・・・・
【───やけに高い報酬】
【しかしながら、独立傭兵にとって怪しい依頼は『たまにある』ことだ。『捨て駒』にされるなら生き残れば良いし、『騙悪』ならば罠ごと食い千切って報復をするだけだ】
「…ミッションオブジェクティブを確認、けど、あれは」
【殺戮からやや遠く、ウルヴィはその一部始終を見ていた。新型インベイドの…いや、『人間の』一挙手一投足を見ていた】
【それにウルヴィが気付けたのは、似たモノを持っているからだろう。思考ではなく、髄を、神経そのものと機体を繋ぐ下法の技術を】
「うん、いくよ」 ・・・・・・
【大筋は読めた。だが、どうでもいい】
【『蒼』と『紅』に続いて、『黒』がその場にエントリーした】
- 119龍影◆9BZ6kXGcio25/04/23(水) 20:24:42
- 120ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/23(水) 20:25:19
――――逆巻重工本社都市 地下格納庫。
「カンナさん!!」
『はいはい、わかったよ……出るってんでしょ?』
そこにやってきたケイに、何を言うまでもなく逆巻カンナは意図を察した。
蒼風は既に新しいフレームとして組み上がり始めており、本来ケイは出れるはずもない。
『ゴンタロウさんの勘で新型背部コア粒子推進装置、組み上げちゃってよ。CNTは大丈夫そう?』
『そっちは良いが問題は武装だ! 色々と癖があるぞ?!』
その無茶を、逆巻重工は通すことにした。 高い報酬、怪しい依頼……クロノスに対して作れる『借り』は多ければ多いほど良い。
「武装は……試作の電磁弾体加速砲とビームライフルでお願いします! 左ハンガーはあえて空けておいてください!」
『シールドの方は?!』
「いつもので!!」
ケイとゴンタロウの間ではそれで通じた。ゆっくりと白に青いラインの入った機体が組み上がっていく。その外見は『蒼風』そのもの。
――――だがその中身が進歩していることを知るのは、彼らのみだった。
新しい風が吹く時は、すぐそこだった。
- 121ヴァンガード◆YMCgTirJag25/04/23(水) 20:39:53
「蒼月の評価試験を行うバックアップ…」
<君のオープニングの初陣も兼ねている。>
[粒子炸裂弾装填可能な240mmレールキャノンを壊してくれたおかげでクロノスとある程度の協調をしなくてはいけなくなったからだね。]
《私としては210mmの艦砲で全てどうにかなるだろうがね》
<やるべきはバックアップ。君が主役では無いことをよく覚えていて欲しい。ヴァンガード君、"英雄"頼むぞ。>
「はい、失礼します。」
通信を切る。
「不要开玩笑!什么是后方支援!」(新型評価の為のバックアップだと!ふざけるな!)
操縦桿を殴りつける。
「拿出!出席讨伐!到外侧的受害是无视!」(アウトサイドへの被害はド返ししろ!オープニング!出るぞ!)
けたたましいエンジン音を鳴らして輸送機は重々しく離陸した。進路はV-7へ向かう。
- 122アリソン◆PPyRfvMZl625/04/23(水) 20:45:29
【カウンターに居並ぶ影は二つ、酒瓶の並んだショーケース、ぼやけた輪郭を映し出す】
【随分と酒も回って来た、突き出される合成肉のざらざらとした脂質が指に纏わりついて、塩気を効かせ過ぎた繊維を千切りながら、淡白なナッツを噛み砕く】
【どうせ、これが最後の一杯】
「……待て」
【そうしてシルヴェストルが約束通り、先んじてバーを後にしようとするならば】
【ハスキーな女の声はその後ろ足を絡め取るだろう】
【────────────空けたグラスと幾らかの貨幣をカウンターに置き去り、ゆっくりと立ち上がる】
「どうせ時間はあるんだろう、蝙蝠野郎」
【傭兵達の間では雌獅子に例えられている、“血染めの髪のアリソン”、獰猛で、短気で、危険な女だと】
【けれど少なくとも、今宵はその肉食獣めいた気配は鳴りを潜めていた】
【そこに居るのは、男勝りで口の悪い、人並みの欲もあれば時に酒に呑まれる弱さだってある、一人の人間であり】
「一晩、付き合え」
【一人の、女である】
- 123栄光の騎士◆OXAm1h6odk25/04/23(水) 21:00:11
>>113>>116>>117>>118>>119>>121
【──────────────────ガリッ、ガリッ、ガリッ。シールドに、機体装甲に、何度も何度もブレードが叩き付けられる。たったそれだけの動きで重装のバディフレームは呆気なくバラバラに解体された】
【そして、場違いなまでに美しい、金属がその振動で奏でる旋律が響いた】
『サーシャ。ビームが来てるよ』
『うん、ターニャ。私にも見えてる───────こういう時は、こう!』
【瞬間、白銀の竜騎士が駆動する。巨躯からは想像も付かない程の敏捷性。滑らかに動く関節が攻撃に対して迎撃対応を始める】
【ブレードが刺し貫いた重装のバディフレームが桁違いの機体出力によって片腕だけで持ち上げられ、粒子ビームに向かって投げ付けられる】
【─────────────────真紅の炎華が咲く。粒子ビームによって装甲が溶け落ち、爆裂する景色だ】
『綺麗だね、ターニャ!色んな色の機体がたくさん並んでて綺麗!もしかして私達の味方をしてくれるのかな!』
『ううん、皆んな、皆んな、私達の敵──────私達を助けてくれないのなら、全員敵だよ』
『不思議だね、何で私達の邪魔をするんだろう?』
【無邪気に、無垢に、そして無造作に。怪物的質量が“双つ”の意思に従って駆動する】
【バディフレームが爆散した光と煙に紛れて、巨躯が跳躍する。特殊電磁砲が『蒼月』に向けてレールキャノンを放った─────────並みのバディフレームであれば、容易に戦闘不能にしてしまえる怪物的口径の特殊鋼弾だ】
- 124ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/23(水) 21:03:09
「新種の討伐?」
「ああ、ついさっきクロノスから発注された。V-7のアウトサイドが襲われている、コロニーへの攻撃も予想される為討伐をして欲しい。と。ハヤテ君、どうする?」
「クロノスが自軍を使わずに依頼?…何か隠蔽を?…ヨツバさん、新種が現れた前後で粒子含有量の変動があった地域を調べてください。なんか変な感じがします。」
「ハヤテ君!依頼は?!」
「もちろん受けます!輸送機と朧月の準備お願いします!」
- 125クロウ◆KPwoT407kA25/04/23(水) 21:19:36
奴もこの依頼を受けてたってワケか
【漆黒の友軍機を一瞥。確か紅月を仕立てた球体のオッサン─────デュラハンの所に世話になってるっていう“形見持ち”だ。…向こうがこちらを知っているかはともかく】
(目眩しの真似事か。性能はともかく機体特性を完全に理解してる訳じゃないらしい)
【BF1機をビームへの防壁代わりに使い、爆風に紛れて不意の一撃を放つ…効果的な戦法だ。“ふつうのBF”が取る挙動であれば】
【あまりの図体のせいで爆風がヤツの姿全部を隠しきれていない。距離があるなら、容易に跳躍する方角は容易に察知できる。このまま近接戦に持ち込んでもいいが…】
さっきのBFの刺された時の様子に見覚えがある…ということは、だ
【そこら辺に転がり落ちていたBFを“脚”で拾い、敵が飛び出した方角目掛けて投げ飛ばす】
- 126ノイン◆fDey8JUvvk25/04/23(水) 21:19:52
この距離からそこまで反応するか……
【粒子ビームに気付き、付近のBFを盾にした時点の反応の速さに警戒レベルは引き上がる】
【であれば反撃が来るのは予想の範疇、バレルロールを加速させさらに1回転。反撃の狙いをずらしたところで】
【レールキャノンが元の軌道を通り抜けていった】
当たらなければ、どうということはない。
【当たれば運が良くて大破だろう、その飛翔物を分析して呟く】
【聞こえてくる声をかき消すためにも、呟く】
【そしてノインと蒼月の選択した戦術はローリスク・ローリターンの中距離戦であった】
【先ずは新型相手の兵装と動きを見極めるべく、バレルロールから新型を中心とした円を描くような動きに移行しつつ市街地を可能な限り巻き込まぬようビームライフルを適度に単射し流していく】
『こちら人自連所属、"蒼月"!中距離射撃戦にて敵インベイドの行動パターンを分析しつつ市街地より引き離す!』
【そうオープン回線で表明もしておいた】
- 127ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/23(水) 21:23:11
【速報です。今現在V-7コロニーを未確認物体が襲撃している模様。現場から半径100kmにわたる範囲で、コロニー管理庁から避難勧告が出されているため、最寄りのコロニー居住者は慌てず指示に従って避難して下さい】
【繰り返しま──(ブツン)】
(……TV観た限りだと、ありゃインベイドに見えなくはねぇが……にしては嫌に人間臭く人間らしく考えてたようにも見えるな……)
キナ臭い……
「金龍さん?」
……なんでしょう?
【珠からの呼びかけに、金龍は面を被る】
「私たちも念の為に避難した方が良いのではないのですか?」
ふむ、確かにアレの針路近くに居ますし、でしたら第4別荘に向かいましょうか。 - 128クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/23(水) 21:30:14
- 129ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/23(水) 21:38:03
- 130ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/23(水) 21:40:48
全ての組み上げが終わるのは早かった。コックピット内でそれを確認したあと、ケイはBFの起動シーケンスを開始する。
「コックピットハッチ閉鎖します!」
『ハッチ閉じるぞ!! コックピットクレーンと関節固定器具外せ――――!!』
『蒼風改』の上部コックピットハッチが閉鎖され、気密が確保された。
――――――――――――――――――――――――――――――――
――――コア粒子機関始動。
――――機能確認、開始。
――――酸素供給システム・作動
――――排気温度調整機構・作動
――――機体位置測定機能・作動
――――コア粒子伝達流路調整機能・作動
――――操縦士保護機能・作動
――――自己診断システム全て正常。
――――蒼風、起動開始。
――――――――――――――――――――――――――――――――
コックピットモニターにメインカメラからの映像が映る。関節が戦闘用に固定され、列島国家に伝わる文化―――― 『睨み目』のようなバイザーアイが青く光る。
「蒼風改、起動します!!」
『動くぞー!! 垂直カタパルトの7番に移動させてくれ!』
はい!と声を出しながら、蒼風改はゆっくりと垂直カタパルトに移動する。
《独立型戦闘支援コンピュータ、スイです。 既に現地では戦闘が始まっています》
「そうか……!! 間に合うと思うか!?」
《この機体の全速力を出せば》
よし、とケイは頷いた。垂直カタパルトに収まり、電磁力による稼働が秒読みに入る。
「ケイ・サヤギリ! 蒼風改! 出ます!!」
新しい風が、地下格納庫から空へと飛び出して。V-7コロニーのアウトサイドへと飛翔した。
- 131ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/04/23(水) 21:48:22
【強いていうなら、後ろ髪を引かれた】
【記憶に強く刻まれている戦場での怒声とも、先ほど耳にしたばかりの刺々しい声音とも違う、裾を掴むような声色に】
「……つまみだけではお詫びになりませんでしたか?」
【振り返ったと同時に発した茶化すような言葉には、善意からの忠告が含まれている】
【 ''嫌いな男に抱かれるなんて、やめておけ'' と。苦々しい思い出が二日酔いと一緒に刻まれるだけだと】
「もしそうなら、否やは言いませんよ。喜んで朝まで付き合いましょう」
【それでも誘いをかけるなら、こちらも男だ。差し出された据え膳を食わない選択肢がとれるほど欲が枯れてるわけでもない】
【シャツの襟の陰から喉仏が見える距離まで近づき、手を差し出す。ゆるりとした瞼の奥で、赤黄色に染まった瞳が目の前の女の顔を映した】
- 132ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/23(水) 21:55:01
『目的地が見えて来ました、降りる準備は大丈夫ですか?」
「いつでも行けますよ、シュエットさん」
【コクピット内で最終チェックを済ませつつモニターに映された女性に返す、デスペラードらしからぬ柔らかな笑みの女性だ】
『了解です、固定器具のリリース権限をミハエルさんに、"新型"のインベイド、何が出るか分かりませんから、お気をつけて』
【ウィルヘルミナの後部カメラにフラップが降りる様子が映る、地面スレスレの低空飛行だ】
「権限移行を確認、ウィルヘルミナ出撃!」
【タンク脚のBFは輸送機から滑り降りるとすぐに体勢を整え走り出す、V7コロニーは目の前だ】
- 133ヴァンガード◆YMCgTirJag25/04/23(水) 22:00:41
- 134栄光の騎士◆OXAm1h6odk25/04/23(水) 22:16:24
『──────────邪魔…………ッ!』
【跳躍と共に振り抜かれた腕部統合型規格外大型超重斬刀が『蒼月』に掠りもせずに空を切る。規格外の刃を迸る蒼雷が散って、続く粒子ビームに対しては回避行動を開始する】
【ブレードと一体化した腕部を地面に着けて四足獣めいた佇まいへと切り替わる。逆関節の脚部が地を蹴って加速して一射目を躱す】
『ターニャ、横から来るよ!』
『うん。危ないのは全部私が撃ち落とす、サーニャは回避に専念して!』
【投擲されたバディフレームの残骸が〈グランツ・リッター〉の装甲表面に接触する直前に異常な減速を見せて転がり落ちる】
【二本の腕部統合型特殊電磁砲の内の一つが、背面からの狙撃に対応する。高弾速のライフル弾の前に雷撃の網がバラ撒かれてライフル弾を蒸発させた】
【再びの跳躍。機動力を削ぐ為に脚部を狙った粒子ビームの狙撃を逆立ちの姿勢へと急速に跳ね上がる事によって回避すると同時にショットガンの弾を真正面から受け止める。散弾は装甲表面で静止した。巨大極まりない砲弾が迫っている】
・・
【────────────────────跳躍する。腕の力だけで怪物的質量が跳ね上がり、砲弾の軌道から外れる。巻き上げられる瓦礫もその全てが装甲に触れる直前で静止した】
『邪魔、邪魔、邪魔、邪魔!私達はデスペラードを殺したいのに!何で私達の邪魔をするの!?』
【上空を飛び回る小型の機体へと特殊電磁砲が特殊鋼弾を撃ち放つ。薙ぎ払われたブレードが瓦礫を刃で弾いて亜音速で『蒼月』へと撃ち出す。そして脚で踏み潰すべく『紅月』を目掛けて落下する】
・・・・
【──────────────腕が多い。文字にすれば四文字しかない事実が、埒外の暴力を強引に実現している】
- 135クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/23(水) 22:26:00
- 136龍影◆9BZ6kXGcio25/04/23(水) 22:32:29
- 137ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/23(水) 22:38:40
- 138ノイン◆fDey8JUvvk25/04/23(水) 22:45:14
「了解」
【言葉少なに返す】
【本来なら「避難も完全に済んでいないのに派手にできるか」とでも言い返すのがらしさだと考えたが、そうやって言い争うより先に目の前の敵を倒さなければならないと考えての言葉だ】
意味の分からない出力だな
【規格外の刃に対してマージンを取って回避し、蒼雷を後ろに見送る】
【当然その間も足は止めず、背部ウイングスラスタが羽ばたくように稼働して推力ベクトルを変更、乗った速度を殺さないままに舞っていく】
そして実弾は効果が薄く、ビームと、210mmは流石に避けるか……っ!!
【分析、しかしそこに弾かれたブレードによる瓦礫が飛翔し咄嗟にもう一度ウイングスラスタを全開】
【崩れた運動モーメントによって瓦礫に対して倒れ込むように極端な前傾姿勢となり、投影面積を減らしつつ合間を縫うようにして飛び抜ける】
無茶をさせる!!
(それにしても奴に死角はないのか!これだけの手練れが集まり囲んでいるというのに……!!)
【背面からの狙撃にさえ対応した相手に攻めあぐねの色が見える】
- 139クロウ◆KPwoT407kA25/04/23(水) 22:45:21
【疑念が確信に変わった。奴の装備…いや、装甲も含めて全身を帯電させることで攻防一体を実現しているらしい。…これでは近接戦はわざわざ殺されに行くようなもの】
【しかしビームに関しては徹底的に回避行動を取っている。…当たれば効果があると自分から表明しているようなものだ】
【そして、スピーカーから拾った音声で分かった情報がいくつか】
デスペラードへの並々ならぬ敵意。ヤツは意図的にアウトサイドに襲撃をかけたと見て間違いねぇか
それにあの機体、テメェ同士で会話してやがる…複座?いや、神経接続機をンな仕様が出来るわけ…いや
【“確かにそのやり方なら出来る”。ある意味同じコンセプトの動かし方をするクロウだからこそ発想に至ったそれを思考の片隅に追いやりながら】
コイツに実弾は効かねぇ!ビームで畳み掛けろ!
【通信回線を開いて叫ぶ。同時に大柄な機影がこちらの進路の真上に迫る中、超大な左腕を地面に叩きつけ、それを軸としたUターンで踏みつけを回避しながら距離を取る】
- 140ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/23(水) 22:45:36
特徴的な高音と重低音を響かせて、『蒼風改』は空を飛翔する。
V-7コロニーのアウトサイドへと向かっているその速度は、巡航でありながら音に限りなく近いものだった。
「スイ! 状況!!」
《既に数機のBFが戦闘を開始。望月も既に交戦状態です》
なにかの中継なのだろう映像が異形が暴れまわる姿をコックピットに投影されるモニターに映しながら、ケイは本来この速度域では難しいはずの『真っ直ぐ飛ぶ』という行為を片手間でこなしている。
「この速度なら、あと少しのはず……!!」
広域走査に変更したレーダーでも、目的地は近い。
ただし巡航とはいえ常にほぼ最高速に加速し続けながら飛ばしている影響で内部のコア粒子残量は70%を切った。この調子では、着く頃には50%になるだろうとケイは予測する。
「どこかで補給を受けないと苦しい、か……龍影の乗ってた輸送機は?」
《反応、あります。どうするつもりで?》
「特定用の回線でコア粒子の貯蔵タンクの中身が余ってたら、補給させてくれってあの整備班長さんに言ってくれ!」
結局はこうするしかない。蒼風改が完成していれば共に乗れていただろうが、組み上がりすら繰り上げたのだ。
速度のための苦肉の策。ともいうべきものだった。
「補給さえできれば、全力を出せる!」
問題は相手の異形。少なくとも並のBFというより、まさにインベイドとして扱ったほうが分かりやすい埒外の動きが映像でも分かる。
(参考にしたのは対地級か、それとも合成級? いや、それにしては大きすぎる……!)
どう戦うべきか、現地へ向かいながら戦術を組み立て始めていた。
- 141アリソン◆PPyRfvMZl625/04/23(水) 22:47:01
「勘違いすンなよ、てめェのスカした上っ面、引っ剥がしてやりたくなっただけだ」
【誘い、差し出される掌、乱暴に絡める男女の指先、意味する行為はただ一つ】
【愛し愛されるが故のものではない、それはただ、互いに巣食う欲を晴らすための行い、釘を刺す様にシルヴェストルの掌に食い込んだ爪の先】
【痛みも、欲も、人間であることの証明ならば】
「リードするのは、アタシだ」
【強引に腕を引いて、番の鳥は夜の街へと繰り出す】
【電飾煌びやかな繁華街、月明かりは雲の向こうにあって、欠片も見えやしなかった】
宵の切れ間にR-18(G)パート⚠️注意事項⚠️
・ベッドシーン(または過激なゴアシーン)が苦手な方は閲覧しないでください!
・本文章はエロ(グロ)を多分に含み、場合によってはキャラ崩壊が起きます。
・行為のシーンは必ずしも閲覧者の望み通りに行かない場合があります。
ーーー
【────────────バチ、バチン、と火花の散るネオン、たった一晩を過ごすのに大層な施設は必要無いとばかりに、アリソンがシルヴェストルを引っ張ってやって来たのは繁華街の外れに佇む安いラブホテルだった】
【インベイド侵攻以来、多産を推奨する世になってからもう随分と経つ、青天市街にはクロノス・インダストリーの様な“慰安制度”は存在せず、そういう自己責任が伴う設備だけが雑多な街並みに浮いている】
「……ッチ、定価より高く設定しやがって」
【借り受けた部屋の円テーブルに放り投げられるのは、ホテルの売店で購入した避妊具の小箱】
「先、シャワー浴びて来いよ、汗くせェモンなんざ咥えたくもねェ」
【ついでに、と、二人分の水が入ったペットボトルを開けて酒焼けた喉を潤す】00m.in - 142ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/23(水) 22:52:30
【焼け落とされたライフルの弾丸、回避された巨大な砲弾、避けた粒子攻撃。そして避ける素振りを見せずに、『止まった』散弾】
【それらから即座にウルヴィは理解する、遅い攻撃は効かないことを】
【原理だとかはどうでもいい、大事なのは情報そのもの。それをどう使うかである】
(狙われてはない、都合はいいけど)
【ショットガンをブレードに持ち替えるか一瞬悩んだが、辞める。どうやら気付いた者もいるようで、通信回線にも実弾の効きが悪い旨の声があった】
《実弾は、遅くされる。けど、速い弾なら、効く》
【クロウの言葉へオープン回線で補足を入れながら、実演するようにライフルとショットガンを再度撃った。先程リニア機構によって発射されたライフル弾の方を焼いたということは、そちらは通るという証左のはずだ。そして想像通りであれば、ショットガンは───】
- 143栄光の騎士◆OXAm1h6odk25/04/23(水) 23:26:50
>>135>>136>>137>>138>>139>>140>>142
『皆んなして私達の邪魔をして!何が悪いの!?私達がしている事の何がダメなのさ!』
【怪物的質量を覆い尽くす装甲が、不貞腐れるような声音を奏でた。子供が頬を膨らませて抗議するが如き調子だったが、現実は〈グランツ・リッター〉の装甲表面を蒼雷が駆け抜けただけだ】
【跳躍からの蹴撃を避けた『紅月』を追撃しようとする。蹴りの動作で沈み込んだ逆関節の自然作用が布石だ。発条を思わせる瞬発力を、しかし機体全体を傾けせる事が前方への推進力に変える。苛立ちに任せた幼稚な判断。だが出力は折り紙付きだ】
【───────────────亜音速での突撃を敢行しようとしていた〈グランツ・リッター〉の挙動が乱れる。電磁パルスだ。伸ばそうとしていたブレードが硬直する】
【ビームカービンが迫る。伸ばした腕部統合型規格外大型超重斬刀と脚部は使えない。腕部統合型特殊電磁砲を下方向に叩き付けて、その反作用で浮かび上がる】
【故に、ライフル弾と散弾を防ぐだけの余裕が存在してはおらず────────散弾は静止し、ライフル弾は装甲に傷を刻み込み、そして】
『痛い……………怖い…………………痛い…………痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ!!!!!!!!!!!!!!!!!』
『ターニャ、ターニャ!私が一緒だよ!二人で一緒なら痛くないよねっ!ずっと一緒なら、痛いよりも幸せだよねっ!』
・・・・
【過剰反応した。トラウマを想起したが如き絶叫が装甲を震わせ、蒼雷が散る。酷く不吉な予兆が戦場を駆け抜けた】
【────────────────────白銀の竜騎士が、顎門を開く。無理矢理被せた様な頭部装甲が裂けて、有機的な捕食器官が顔を覗かせる。バディフレームではあり得ない挙動】
【高エネルギー反応。〈グランツ・リッター〉全体のエネルギーまでもが顎門へと収束する。深い蒼色に染まって、極光が形成される】
『ターニャを虐める奴は絶対に許さない!嫌いだ。嫌だ。嫌い。嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌いキライキライキライキライキライキライキライ─────────────ッ!!!!!!!』
【〈グランツ・リッター〉は吼えた】
『大ッ嫌い!!!!!!!!!!!』
- 144龍影◆9BZ6kXGcio25/04/23(水) 23:27:51
- 145クロウ◆KPwoT407kA25/04/23(水) 23:39:27
助かる!
【近接偏重で“ビーム”と“それ以外”と大雑把に組み分けしていたクロウにとってウルヴィの注釈は関心するものであった。自らの得意としない武器種への疎さは改めるべきだと考えながらBESTIAに個人回線で礼を送りつつ】
【転がるBFの残骸を蹴り飛ばして追撃の回避を試みようとしたクロウの目算は電磁パルスによる不具合で幸にもご破算になるかと思われた。が…】
─────ヤツも持ってんのか。丁度いい
【顎が開いた瞬間から、どのような攻撃が飛ぶかは容易に想像が付いた。故に】
さっきの手本だ。テメェじゃ参考にできねぇだろうけど
【実行する。脚で拾い上げたBFを即座に地面に叩きつけて巻き上げた土煙に紛れる】
【…ついでに、それまでBFに被せていた頭巾をそのBFの残骸に置いていく。あの判断力の低さなら多少は効果が望める筈だ】
- 146ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/23(水) 23:42:29
「ヤマトさん!! このルートは……!」
通信と同時に来た誘導指示でケイは意図に気づいた。これなら速度を優先しても問題なく補給ができるだろう。
ギリギリで切り上げていた調整も、同時にできる!
「わかりました! 武器には高周波刀をお願いします! 遠距離武器はこっちで積んできましたから!!」
蒼風の速度が上がる。 巡航状態で音を超え、空に低音を響かせながら、板のような側面ウイングバインダーを展開して風を掴み飛ぶ。
「見えた、V-7コロニーとアウトサイド……!?」
そうして飛び続け、戦場を高高度から視認。誘導に沿って着地のために速度を下げ始めた直後、街から蒼い雷が複数うねるように迸る光景をケイは見えた。
最大望遠して映る異形は、まるで捕食機関からなにかを吐き出そうとしているようにも見えた。
【警告!高密度コア粒子反応!】【警告!高密度コア粒子反応!】【警告!高密度コア粒子反応!】【警告!】
異形の口部を中心に、インターフェースが警告を多数吐き出した。
「あれは……まずい!? 空中にいる機体は退避してください!!」
オープン回線で呼びかけながら、それ以上にできることはケイにはない。この距離で試作電磁弾体加速砲を撃っても、調整不足で当たらないだろう。
「くそっ! ヤマトさん! 今そっちに着陸します!!」
蒼風改はそのまま、ヤマト達のいる輸送機の近くに綺麗に着地して、補給を受け始めた。
- 147クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/23(水) 23:46:02
『効いた!』
こんなデカければ回路も複雑だろう
...そしてただのBFじゃなかったか
『あの害獣と組み合わさってるようですね
どう考えても正気の沙汰な兵器じゃないです』
二重電磁シールドを展開、後は...
このエネルギーが収束してる隙に、
二、三個コアホッパーを潜り込ませつつ
フレームダイブの深度を少し上げとけ
後は地上に降りて残りのコアホッパーで
様子を見ながら立て直しを図る
『サー、イェッサー』
(感知されない末端の部分にコアホッパーを
貼り付け、機体の情報を盗み取ろうとする
攻撃手段にはならないが弱点は判別可能だ)
【システム、フレーム深度上昇を確認。
反射速度16%上昇、擬似五感:軽度形成。
フレーム深度:ほぼ安定活動ラインです】
- 148ノイン◆fDey8JUvvk25/04/24(木) 00:11:18
- 149ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/04/24(木) 00:23:18
- 150ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/24(木) 00:27:51
- 151ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/24(木) 01:00:03
《ん、べつに》
【無視するほど薄情ではないが、紡ぐ言葉も思いつけないウルヴィは短い返答を返すのみ。そもそも自分は情報の共有など忘れており、クロウが最初に言い出さなければだんまりだっただろう。巨体に押し潰されかけながらも見事な重心操作で抜け、同時に情報の共有を怠らなかった彼に感謝こそすれど、感謝されるのは困る】
【騎士のような姿でありながら、その動きはまるで児戯だ。如何なる爪を、牙を持とうと使い手が追いついて無ければ意味がない】
【大顎に集まる極光、収束する破壊。しかしそれもただの反応に過ぎず、狙い澄ました殺意ではなく、ただ痛みから逃れるために暴れているだけ】
【BESTIAが唸る。それはただのジェネレータの稼働音、機械の駆動に過ぎないが──】
「ん」
【ウルヴィはその意思を認めるように頷いて、全速力のブーストで〈グランツ・リッター〉へ迫る。前へ進みながら、横への瞬間噴射も織り交ぜた機動に身体が軋む】
【極光に呑まれれば死は必定だろう。『だからなんだ?』。解放の瞬間に射線を避けて回り込む、それだけだと言わんばかりにスラスターが咆えた】
- 152龍影◆9BZ6kXGcio25/04/24(木) 07:41:31
『お前ら!粒子補給急げ!近接武器は高周波刀だ!坊主はにはウチの龍影を見てもらわないといけない!不備はもっての外だ!』
ヤマトは指示を出したあと、蒼風改の調整に入るが、
『逆巻の嬢ちゃんにゴンめ…いい仕事をしてやがる…』
機体本体は溜息をつきたくなるほど、完璧な仕上がりになっていた。
すぐさま懸架された試作電磁弾体加速砲の調整に移る。
『撃てるようにしただけかよ…これじゃ性能が活かしきれねぇ…本体の射撃管制とリンクさせて…補正は他の廉月とのデータリンクを使うか…精密狙撃なんてマニュアルじゃミル調整にも限界がある…ここはオートにして…」
ケイのマニュアル偏重な操作に支障が出ない箇所をドンドンとオートメーションに変えていく。
『坊主!お前の持ってきた電磁砲だが粒子、電磁、重力偏差による乱数演算とブレ補正はオートにした!だが使用感に変わりは無いはずだ!アッチに行った時はそいつで1発かましてくれ!』
粒子補給と近接武器の懸架が終わるまでの12分と39秒。ヤマトはケイに対し、逆巻の技術屋として最高峰のものを見せた。
- 153栄光の騎士◆OXAm1h6odk25/04/24(木) 08:32:20
>>145>>146>>147>>148>>150>>151
【機体情報が解析される。其れは例えば、大規模な攻撃の前には機体全体のエネルギー量の関係で電磁減速装甲が機能停止する事で、そして機体の原材料が全てインベイドの有機素材である事など】
【射線を避けて回り込もうとするバディフレーム。近くに撒かれた煙幕弾。或いは即席の囮。マトモな判断力を有する傭兵ならば疾うに砲撃を中止するであろう悪条件──────────────憎悪と怒り、そして悲嘆に呑み込まれた“子供”にとってはどうでも良かった】
『〈“グローリー・──────────』
【“ネフィリム”シリーズ。“サルヴァトーレ”モデルの設計構想には常に広域殲滅を可能とする攻撃手段が課題として立ち塞がっていた】
【インベイドを原材料とする都合上、通常のビーム兵器の運用は不可能だ。死骸にコア粒子を捕食されかねない】
【かと言って、数で勝るインベイドと当たる上では広範囲を壊滅させるだけの大火力が必要になるのは自明の理だった】
【サイファーカルトのフリクタル装甲もその傾向を後押しした。既存の粒子ビーム兵器とは異なる技術を“サルヴァトーレ”モデルは求めた】
【その一つの完成系が、装填手級によって生み出される電気エネルギーを熱エネルギーに変換するプラズマ砲であった】
『────────サクリファイス”〉!』
・・・・・・
【────────────────────全てが死んだ】
- 154龍影◆9BZ6kXGcio25/04/24(木) 09:15:45
- 155ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/24(木) 09:40:17
- 156アリソン◆PPyRfvMZl625/04/24(木) 09:47:14
- 157ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/24(木) 09:52:24
- 158ヴァンガード◆YMCgTirJag25/04/24(木) 09:53:12
- 159クロウ◆KPwoT407kA25/04/24(木) 10:08:50
【大きすぎる機体。柔軟性の高すぎる武装構成。熱線による自滅を避けつつ正面火力の高い兵装を扱うとなればいくら出鱈目な攻撃であろうと射角は限られる事は自明の理であり】
【これだけの大規模攻撃だ。仮にいくら無限に等しいジェネレーターを使っていたとしても各種武装のエネルギー確保に時間を要する事も自明の理であり】
そろそろコレの使い所か…!
【直撃ではない熱波程度なら諸事情により高い熱耐性を有する紅月の行動を止めるに能わず。懐に潜り込み熱線の射角を回避した紅月は、戦闘開始から“おまけ”としてずっと右脚で携行していた“対インベイド甲殻貫通弾”…の残骸から火薬を抜いて仕立て直したもの、つまり鉄塊の芯を腕のどれか一つ目掛けて投擲し】
【次いで超大質量の左腕を用いて殴打。鉄芯を杭のようにより深く突き刺さんとし】
【頭巾が排されたことにより露出した狼の被り物を模した頭部から放たれるフォノンメーザー砲がテイルブレードを接続する根元付近目掛け両断するように放たれる】
- 160栄光の騎士◆OXAm1h6odk25/04/24(木) 10:31:24
【『アウトサイド』に叩き込まれた蒼雷の奔流が、数棟の建造物を一息に融解させて十数棟の建造物を薙ぎ倒した】
・・・・・・
【序の口だった】
【暴風が吹き荒れた。急激な気圧の変化によって、〈グランツ・リッター〉と〈熱線砲“グローリー・サクリファイス”〉を中心として気流が大きく乱れた】
【放たれた超高温のプラズマ放射熱に晒された最も近い位置の人々は瞬時に蒸発した。次に近い人々は全身の水分が沸騰して即死した。痛みもなく一瞬で死に至った彼らはまだ幸運であった】
【────────────────────熱風が吹いた。人体が自然発火するのに、充分な熱量を秘めた暴風であった】
【ボトボトと。黒い棒が次々と倒れていった。皮膚が焼け焦げ、焼死した人間“だった”ものだ】
「熱い、熱い!誰か助けてくれ!」「起きて、起きて!ヴィレンクス!」「何も見えない…………私はどうなっているんだ…………」「医者、医者は何処にいる!?妻が死んでしまう!」「嫌だ、嫌だ、嫌だ!こんな風に死ぬなんて─────!」
【子どもが。大人が。老人が。男が。女が。悪虐を是としたデスペラードが。如何なる手段を用いてでも子供を育て上げようとした婦人が。家族と穏やかに暮らせれば良いだけの労働者が。アウトサイドであっても医療に殉じようとした医師が。その全てが燃えていた】
【急激な気圧変化によって目玉が眼孔から飛び出る者がいた。弾け飛んだ人間の頭蓋骨が腹部にめり込んで内臓が破裂した者がいた。捲れ上がった瓦礫の前に液体になるまで潰された者がいた。こここそが地上の地獄であった】
『────────────────私達を弄んだ報いを受けさせてやる!地の果て逃げても、絶対に許さない……………ッ!』
【錯乱した声を奏でながらも、逆関節の脚部が深く重く沈み込む。目の前には怪物的質量の機体を覆い隠せるだけの濃霧が立ち昇っている】
【───────────生命“だった”水分の痕跡だ。遮蔽を利用し、〈グランツ・リッター〉は次のアウトサイドに向かおうとしていた】
- 161クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/24(木) 10:38:30
危険です兄さん!動力源の消耗度外視で、
コアホッパーでの防護を推奨しますっ!
『...操作は任せる。少し作戦を練りたい』
(かつて見た映画の怪獣王のような熱光に、
出来得る最大限の防護壁を構築させながらも
得た情報をバイザーの奥で噛み砕く)
『(全身がインベイド由来の素材を使用、
しかしコア兵器の跋扈する今の状況でも
暴走や活性化をしていない...なら機体には
あまり機体にコア兵器を搭載していない事、
そして何か休眠処理をしているのだろう...
なら、全身のインベイド素材を活性化させ
内部からの侵食と機能損傷を狙う!)』
『────この隙に一手進めさせて貰うよ』
(コアホッパーからコア粒子を光線にし、
攻撃直後で動けない機体に撃ち込んでいく)
- 162ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/24(木) 10:57:46
《ヤマト班長の調整結果をリアルタイムで反映します。仮想目標に対しての照準を》
「こっちでも確認します!」
ヤマト班長が様々な知識を駆使して試作の電磁加速砲を調整した結果が、スイによって蒼風改に反映されていく。
先ほどまで暴れ狂い、目標からわざと離れていると疑う勢いだった照準が、仮想目標に対して吸い付くほどのものへと変貌していた。それも、時間が経つほどに。
「すごい……カンナさんの憧れ……!」
これを幼少から見せつけられればそうもなるという納得の色で、思わず声が漏れた。
「ヤマトさんありがとうございます!これなら、遠距離への連続砲撃や高速域での予測射撃も苦になりません!」
試作電磁弾体加速砲のあちこち自動化された痕跡が、ギリギリの調整でチグハグだった部分が。綺麗に整頓されてケイに合わせられていく。それも機体部分への悪影響が殆ど存在しない絶妙さ。
蒼風改という機体と始めから一心同体であったかのようだと、ケイの声が興奮で上ずっていた。
「仮想目標への急所直撃率も安定した……いける!!」
『坊主!お前の持ってきた電磁砲だが粒子、電磁、重力偏差による乱数演算とブレ補正はオートにした!だが使用感に変わりは無いはずだ!アッチに行った時はそいつで1発かましてくれ!』
「はい! 1発、かましてきます!!」
12分と39秒が経つ。ヤマト達望月の整備班は、逆巻の技術屋最高峰をケイに見せつけた。
ならば次は、ケイが見せつける番だ。
「ケーブルを外してください!! このまま出ます!」
ヤマトに呼びかけながら、そのまま蒼風改の右腕に試作電磁弾体加速砲を装備。
ハンガーからスライドした砲身が袖下の固定具と接続されて、ゆっくりと構える。
コア粒子推進機関が高音を鳴らす。ケーブルが外れれば白と青の機体はゆっくりと宙に浮き……周りに影響が出ない域まで移動したあと、一気に破滅的な光が放たれる戦場へ向かい、見据えるように飛ぶ。
【照準固定】
白銀の異形に食らいつく望月が見えた。
「……まずは一発!!」
これで仕留められるなどとは思っていない。 けど自分が来たことを教えるならばこれで十分。トリガーを引く。
電磁とコア粒子で一気に加速した対インベイド甲殻貫通弾が、異形へと飛来した。
- 163ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/24(木) 11:27:36
【三日月のような機動で〈グランツ・リッター〉の裏に回り込んだ──までは良かった】
【暴虐はその圧倒的な熱で、空気を歪ませた。幸いにも熱に強い機体だが、気圧の変動という副次効果だけで、大気に殴られた装甲は軋む】
【視界が光で埋め尽くされ、次の瞬間には死が蔓延している】
【だが、ウルヴィに生き残った安堵も、破壊への絶望もない】
《逃げないよ》
【赤く濁った濃霧を突っ切りながら、声を発してみる。プラズマで通信障害は酷いが、周囲の音であればよく聴こえるだろう】
デスペラード
《お探しの、キライなやつはここにいる》
【〈グランツ・リッター〉が自ら作り出した煙幕を使って、その中から機体の加速のまま二刀を装甲へ向けて振るう】
- 164ノイン◆fDey8JUvvk25/04/24(木) 12:03:38
【想像を絶する光景に目を見開く】
【だがその動作に一切の淀みはない──迷いはとうに振り切っている】
【脚部推進機関の出力を上げ脚を振り上げると同時にウィングスラスタを上方向に吹かせ、蒼月はスライディングの姿勢となって死角となる下方へと滑り込んでいく】
【蒼月の動作は幸運にも熱波、そして気流の影響を抑える姿勢に繋がっていた】
【抑えたとはいえ機体は揺れる。センサ類に異常。脚部推進機関がオーバーヒートの警報を鳴らす】
問題ない……!
【だが月風譲りの大型推進機関と神経接続によるマニュアル偏重の操作系統は蒼月に十分な戦闘力を残して余りあった】
【スライディングの姿勢から大型推進機関とウィングスラスタにより捻りを加えつつ飛び上がる】
【同時にビームサーベルを起動し大仰に回転斬りを叩き込まんとする。……だが、回転斬りはフェイント。視線をこちらに惹くためのムーブにすぎない】
【相手が4本の腕ならこちらはかかる機体を増やす、余りにも単純な手、そして読み】
【英雄は慌てぬものだ】
- 165ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/04/24(木) 12:21:14
「V-7コロニーに未確認物体が…」
「どうせ新型インベイドだろ?」
「なんで俺たちに何も声がかか「どういうことだ!!」俺が聞きてぇんだよ!!」
「あぁ!?」
【クロノス・インダストリーの正規軍。彼らは時にインベイドから、時に敵性企業から、人類を守るために戦うと決めた者達だ。その彼らが今、コロニーに避難勧告が出るほどの自体で、何一つ命令を受けていない。その事実は少なからず動揺の種となり、そして傭兵が派遣されたという水で芽吹いた】
【家族や恋人、友人の身を案じる者も居れば、上層部への疑いを募らせる者。それぞれの苛立ちが室内に充満し、臨界点に近付いて──】
「おやおや〜、みんな揃ってどしたどした〜?」
「大佐!」「キリサキ大佐!」
【爆発の直前で、室内の空気は固まった。それは淡く明るいラベンダー色の髪を揺らす、大佐と呼ばれる少女の登場によって齎されたということは明らかだ】
【半ば反射的に規範に従って姿勢を正した彼らが静かになった理由は、ただ上官が現れたからだけではない。その視線には期待も混じっている。即ち『この状況に対する何か』を望む目だ】
「は!V-7コロニーに未確認物体が現れ、当該コロニーへ向けて避難勧告が発令されました。ですが…」
「何の報告もない……だよね〜?」
「その通りです」
【瞼を閉じて腕を組み、「うんうん」と頷いたユスラ・キリサキ。やや子供のような仕草であり、そこに威厳は感じられない】 - 166ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/04/24(木) 12:21:25
「はい、注目〜」
【瞳を開いたユスラは、既に集まっていた視線を連れて紙束を取り出す】
「これはV-7コロニーの新型インベイドの報告資料。はっきり言っちゃうとバケモノだね〜」
【そこに記された戦闘能力や被害状況については偽りはない。だが、それ以外は全てが嘘だ】
【それは報告資料ではなくユスラが探ったデータであり、新型インベイドは『BF』である。それは言わない、言ってはならない】
【資料を見た者達が感じたのは絶望であり、諦観であり、虚しさであった。そして静まり返った空気はユスラの思惑通りの反応だ】
「これに対して、上は傭兵を囮にしてコロニーから引き剥がす〜って予定みたい。だから──」
・・
「私達はまだ出られない。分かった?」
【欺瞞を真実で補強し、継ぎ目は最初から無かったように話さない。信じさせて悟らせないのが、モノを誤魔化す時の極意だとユスラは知っていた】
「了解です」「そういうことか…」「上手くいくかどうか」「そん時はそん時で上にも考えがあるんだろ」
【概ね『納得』させることができたのだろう。そもそも彼らとて正規軍、『作戦』と認識さえすれば自ずと足並みを揃えんとする集団なのだ】
「じゃ、そういうわけで〜。なんかあったら起こしにきて〜」
【欠伸を噛み殺しながら、ひらひらと手を振って去る。ユスラの“お昼寝”は今に始まったことではないためか、それとも上官に物申せる者がその場に居なかっただけなのか、誰にも咎められなかった】 - 167栄光の騎士◆OXAm1h6odk25/04/24(木) 12:51:04
>>154>>155>>157>>158>>159>>161>>162>>163>>164
『──────ターニャ!色んなところから攻撃が来てる!気を付けて!』
『分かった、サーニャ。私達はもう二度と、誰にも負けない……………!』
【大仰な動作で下からビームサーベルの回転斬りを叩き込もうとする『蒼月』の動きに対して腕部統合型規格外大型超重斬刀を振るう。バディフレームに匹敵するレベルの質量が雷撃を纏いビームサーベルと拮抗しようとして、】
【サキガケの刃。電磁減速防御を貫通し得る可能性を秘めていると瞬時に理解してブレードを振るう。絶え間なく流れる雷撃は質量の破壊力と熱量による装甲貫通を兼ね備えた一撃を実現する】
・・・
【まだだ。ロケットランチャーとビームカービン。210mm艦砲による砲撃。腕部統合型特殊電磁砲が駆動する。特殊鋼弾がビームによって蒸発しながら勢いを抑え、近距離ではパルスショットガンで砲撃と誘導弾を逆に破壊し──────完全には威力を殺し切れていない。攻撃の余波が装甲に衝撃を叩き込み、動きに一瞬齟齬が生じる】
【そして、コアホッパーからコア粒子光線が機体に叩き込まれて──────人体の脇腹に当たる位置の装甲が蒸発する。テイルブレードが駆動した】
【伸縮したテイルブレードが瞬時に動いた。鉄芯を弾き、付け根を向けて放たれたフェノンメーザー砲の射線上に誘導する。爆裂。テイルブレードが瓦礫を薙ぎ払って『紅月』の周囲を覆い尽くす形で攻撃を実行する。高機動機には範囲攻撃を行うべきだ】
『ありがとう、ターニャ!』
『…………違う…………コレは、違う。サーニャ!コレは─────────』
【対インベイド甲殻貫通弾がサキガケに向けて振り下ろされようとしていた腕部統合型規格外大型超重斬刀を貫通して切断した。それすら意に介さず、否。意に介せずに叫ぶ】
・・・・・・・・
『勝手に動いている!』
【〈グランツ・リッター〉よりも冷静に。冷徹に。この場の全員を仕留める為に】
- 168ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/24(木) 12:51:09
【次へと向かおうとする異形】
【それが向いた先。コロニーの地平線に一つの星が煌めいた】
【異様に低い星。否、星ではない。その光源は少しずつ大きくなっている】
「軌道修正完了、目標捕捉…」
【アリオールBst。NA社製外装式追加推進装置NA-XO111/αとドッキングしたアリオール】
(直線軌道かつ停止目標、立地の悪さも関係ない)
「……これ以上、これ以上やらせるか!」
【両手持ちした大型兵装。120mm8連超重機関砲──本来固定防衛用砲台のものを拝借してきたのだが、あの怪物には相応しいだろう】
【光球を背負ったアリオールから、二段階炸裂する8連の特殊砲弾が白銀の脚へと放たれた】
- 169栄光の騎士◆OXAm1h6odk25/04/24(木) 13:05:45
- 170龍影◆9BZ6kXGcio25/04/24(木) 13:17:31
- 171クロウ◆KPwoT407kA25/04/24(木) 13:21:34
【左腕による2撃目を放った時点で回避行動は完成している】
【弾かれた鉄芯に、フォノンメーザーが誘導される前に打撃が加えられ反動で機体が後ろに飛ぶ。誘われたのではなく、敢えて鉄芯にメーザー砲を放ち一足早く瓦礫から紅月が離脱する】
上の連中が粒子撒いたせいだな、余計な真似しやがって…!
【ジグザグ軌道を描きながら、脚に負荷がかかるのも厭わず機体を走らせる。意図的なものだ】
【インベイドの素材を利用しているのは眼前の異形だけではない…向こうと違って“繋ぎ方”が手遅れの域には達していないが故、勝手に駆動する事はないが紅月の脚部フレームはちょっとした過剰活性状態に入っていた。こうなると過修復を警戒して多少乱暴に扱うくらいが丁度いい】
少なくともオッサンの所に世話になるのは確定だな…インベイド由来のパーツってめんどくせぇ!
別の何かに変えたりできりゃもっといいんだがよ…!
【あの“声”を手掛かりとして立てたプランも全て一から組み直しだ。今更「俺がデスペラードだ!」と叫んだところで声がやかましくなるだけなのは目に見えている】
【ならば動きやすくなった事を逆手に取るしかないだろう。次の大技まで回避軌道を続けて撹乱に徹するだけだ】
- 172クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/24(木) 13:33:51
- 173ニライニスト25/04/24(木) 13:36:47
見渡しても人工物、場所の目星のつく物はなく、通りかかる人や、物もない…
そんなよくある場所に、2つの人影がある。
「…痛たっ!」「我慢してよ!私も全身が痛いし、そもそもやり方知らないのに『やれ』っていったのはそっちでしょ!」
『…この状況でなぜあらそう。』
話しているのは、『マキト』『パオラ』の2人と『Socrates』。
あの時マキトは、間に『鵺』の腕を入れ込む事で辛うじて致命傷を避けていた。
「そう言われても…はい、できたよ。」マキトの腕には、歪ながら包帯が巻かれている。
「ありがと、じゃあ次は…」「次は?」マキトが、パオラとは違う場所を見つめている。
「…何?頭打って幻覚でも見えてんの?」「…何だ…アレ」そう言って、ある方向を指で指す。
「アレってどれ?それは兎も角、私にもアンタほどじゃないけどだいぶ痛いのが…」そう言いながら指の先を見る。
ー そこでは、通常のBFより遥かに大きい、四脚のナニカが辺りを破壊していた。
パオラは自らの横倒しになった乗機『イカロス』に飛び乗り、あるスイッチを押す。
瞬間、コックピット内に爆音のノイズが響いた。
「うわっ!…倒れた衝撃でこれもイカれてる、畜生!」
…少し経つと、人の声と思しき物が聞こえ始める。
内容は聞き取れないが、少なくとも穏やかな物ではない。
おそらく迎撃しようとするBFが近付いたのだろう。
…唐突に、はっきりと聞こえた声があった。
子供の声だ。それも2人分。
- 174ニライニスト25/04/24(木) 13:37:10
それは、聞いた者の背中に何か冷たい物を感じさせる。
「何か聞こえた?」
「…いいや、殆ど聞こえない!多分倒れた時にイカれた!」
そう言いながら、状況を判断する。
(…さっきのは?いや、気のせい…?)
(それより、どうするべきか決めないと)
思考が加速する。
(あのデカいのは何か分からない。インベイド…かも。)
(見た限り随分遠い。)
(少なくともアイツはだいぶ他の奴らの気を引いてる。)
(じゃあ逃げれる?でも、どこへ?だって私達は…)
そこまで考えた時、パオラの脳内にある考えが浮かぶ。
『イカロス』が立ち上がろうとする。ただ、転倒した時の衝撃による衝撃で脚が壊れ、それができない。
「あーもう!こっちも!?」
「ちょっと待て、何する気だ!?」
「決まってるでしょ?あのデカいのを撃つ!」
「だから何でそんな事…あっ、まさか」
「そのまさか。私達はK.Iに捨てられた。だから助かる見込みはほぼない。でもこうやって"私達は貴方たちを援護します"みたいにすれば味方だと認識してくれるし、運が良かったらどこかの仲間に入れてくれるかも。」
「やっぱり…『鵺』が動けるか見てくる!ただ、絶対に外さないで!」
「分かってるよ、そんな事」
イカロスは辛うじて動く腕で、上半身を起こす。
「照準良し、通常榴弾装填…発射!」
- 175ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/24(木) 13:51:15
- 176ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/24(木) 13:56:24
- 177マルタ◆KPwoT407kA25/04/24(木) 14:01:25
『討伐対象確認。データベース照合…投射機級二該当スル個体ト推察デキマス』
いや、違う。私が前に見たやつはあんなんじゃなかった
『同感。タダノインベイドトイウ訳デモナサソウデス。データヲ“アンノウン”二更新。』
せんきゅ…シュートポジションに到達
【戦闘領域付近に2機のBFが姿を現す。【ロスヴァイセ】と【シュヴェルトライテ】、2機の試作ワーグナーモデルだ】
『再確認シマス。今回ハ【ロスヴァイセ】二長距離狙撃用偏向ライフル装備。ユスティーナ見習士官ハ別任務二赴イテオリマスノデ貴方ニハソノ代役ヲ務メテイタダキマス、マルタ見習士官』
んで、なるべく近接装備は避けてってのがお上様のオーダーとも言ってたよね…なんだっけ、撃沈王?
『撃墜王デス。本人デハナサソウデスガ』
あーそれそれ…っと、支援するなら連絡しないとね…こちら人自連ヴァルハラテック所属ロスヴァイセ、援護します……………あり?繋がんない
『原因ヲ解析…完了。戦闘領域周辺ニテ大キナ磁場ノ乱レヲ検出。ココカラノ通信ハ不可能デス』
…ちょーっと遅れた自覚はあるけどさ、一体なにごと…?狙撃自体に問題は?
『観測二問題ナシ。粒子砲予測進路条件二磁場影響ヲ加エ再演算…完了。』
『射撃タイミングハコチラデ受ケ持チマス。マルタ見習士官ハ発射確認後ノマニューバ操作ダケヲ考エテクダサイ』
りょーかーい…ロスヴァイセの射撃管制をシュヴェルトライテに譲渡、何時でもいいよ!
【ロスヴァイセがライフルを構え、シュヴェルトライテが周辺状況の入力に移る。風圧、粒子減退率、磁場影響、戦闘中のBFの予想進路etc…それらが演算され、確実に〈グランツ・リッター〉のみが狙撃に対応しなければならないタイミングでライフルからビームが発射される】
- 178ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/24(木) 14:02:57
【牙を剥き出したそれはまるで獣、いや、獣そのものの動きだ。ダメージすら厭わず、純然たる殺意から繰り出される本能的行動】
《おいで》
【受け入れる。機体のシステムが処理するべき負荷を引き受けるのではなく、根本的な制御から発生する負荷を素通しする】
【受け入れる。〈グランツ・リッター〉の憎悪を、殺意を、怨嗟を、吐き出されるままに感じる】
【身を沈めていく、『獣』と繫がり、一つに溶けていく】
【脳が灼けていく、神経が消し炭になっていく、その代償にウルヴィは『センサーアイを見開く』事が許された】
【迫る顎門がスローモーションに思えるほど見切れる。上顎と下顎の間を瞬間的な加速で抜けながら持ち替え、頭部へとライフルの接射を狙う】
- 179ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/24(木) 14:05:54
「龍影!!」
並のBFなら峰で押しつぶせるだろう大きさの刃から逃れた望月を認め、ケイは蒼風を飛ばした。
蒼風の側からも丁寧に速度を合わせ、負担がないようにポジションを作る。
「滑腔砲よりかは現代的でしょ?それに連射もできる!」
軽口に軽口を合わせながら、少しだけ自慢する。試作電磁弾体加速砲、その砲身の中心を割るような細い空洞が、発射の衝撃でバチバチと青い稲光を作っていた。
だが同時に異変にも気づく。 異形の動きがわずかに鈍い。まるで自分の意志に反しているかのよう。
《周辺のコア粒子密度が、あの異形を中心に高くなっています。生体インベイド素材を用いた機体は過活性を起こしているようです……コア粒子を高濃度で散布した可能性大》
それは少しまずい。ケイはを行ったであろう機体に通信を繋ぐよう伝える。
「そこのBF二機!! 味方にも生体インベイド素材を使ってる機体がいる! コア粒子濃度を上げる攻撃、次は控えて……でも良い攻撃だった!!」
遅れて参戦した分、帳尻は合わせる。 その二機を援護できるポジションを維持した。
- 180ニライニスト25/04/24(木) 14:29:34
- 181ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/04/24(木) 15:16:38
- 182アリソン◆PPyRfvMZl625/04/24(木) 16:49:28
- 183ノイン◆fDey8JUvvk25/04/24(木) 17:07:22
- 184栄光の█士◆OXAm1h6odk25/04/24(木) 17:11:35
>>170>>171>>172>>174>>175>>176>>177>>178>>179
【────────────────────絶大な暴力と一体化した時、最初に感じたのは何処までも深い空虚感と飢餓感であった】
【“人間”にはもう戻れないのだと。これからずっと誰にも受け容れられない“怪物”として生きていくのだと】
【だけど、傍に片割れがいたから。常に一緒だったから。だから絶対に悲しくなんてないのだ。二人で一緒なら幸せだから】
【もう二度と食べる事は出来ない。パン屑を拾っていつか食べたいと語り合った白いパンがあっても、〈グランツ・リッター〉には味覚なんてなくて】
【もう二度と忘れる事は出来ない。忘れたいと思う記憶も、“加工”された脳神経はずっと覚えてしまうから。過去と現在が曖昧になって、ずっとあの痛みと嘲笑と顔が脳裏から剥がれない】
【もう二度と息を吸う事は出来ない。装填手級からのエネルギー供給によって稼働する機体に呼吸器官なんて存在しなくて。ずっと水の中にいるような息苦しさだけが満ちている】
【憧れていた"恋"なんて以ての外だ。鋼鉄の怪物を愛してくれる人が何処にいる】
『────────────────────ぁ』
【自覚する。今は戦闘中であった。機体頭部に置かれた有機演算装置が再起動する。しかしライフル弾は既に四つのセンサーを破壊していた】
【当然だ。センサーが破壊された衝撃の余波こそが彼女の精神を軽い昏睡状態に導いていたのだから。何も見えないまま、〈グランツ・リッター〉は顎門を開いて吼えた】
『嫌い……………嫌い、嫌い、嫌い!皆んな大嫌いだ!』
『サーニャ、落ち着█て。こ█ままだと私達は何も出██くなる!待って、何コレ!?サーニャ!█████!?』
【最愛の片割れの声すら、無意味なノイズへと変換され始めている】
【厭だ。こんな無明の闇の中で、こんな孤独に死ぬなんて厭だ】
【立ち塞がる敵を全員殺せば、この孤独も晴れるだろうか?】
【───────────────────〈グランツ・リッター〉は腕を持ち上げた。対インベイド甲殻貫通弾によって切断された筈の腕を】
- 185ニライニスト25/04/24(木) 17:29:09
- 186栄光███◆OXAm1h6odk25/04/24(木) 17:41:15
『──────サーニャ!聞こえてる!?』
【機体胸部中心に繋がれた有機演算装置が叫ぼうとして、電磁装甲の制御権が奪われつつあるのを自覚する。振動命令が途中で切れている】
【センサーが破壊される前に榴弾の影が見えていた筈だ。破片は電磁装甲で防御可能だが衝撃と熱までは防げない。特殊電磁砲を周囲に拡散して攻性防御を実行しようとして、】
『しまった!?誰、こんな小細工を───!』
【特殊電磁砲の関節部を吸着爆弾が爆破した。小雨のように降り注ぐ30mmの銃弾に機体を振り向かせようとして、全く違う方角から炸裂した榴弾が機体のフレームを歪ませる】
【120mm8連超重機関砲によって破壊された片方とは別の、もう片方の脚部がテルミット弾の熱量で融解して胴体から欠落する】
【痛みがする。生身の頃の悪夢ではない、現在から貪る痛みが。サーニャも同じ痛みを味わっているのだろうか?】
『─────嫌い、嫌い、嫌い、嫌い!こんな世界なんて大ッ嫌い!!私達をたくさんいじめたひどいヤツらも、私達を助けてくれなかったわるいヤツらも、全員全員死んじゃえ!!!』
【最愛の片割れの激昂する声が聴こえる。いつでも同じ気持ちだった。同じ想いだった。強くなければ何かを自分の手で選ぶ事さえも出来なかったのに、強くなってもちっとも自由なんてない】
【意識が侵されて、闇に沈み込む中で、だけどその言葉だけは届けたかった─────────世界は残酷で、いつだって何かを奪っていた。それでも】
『───────私達、幸せだったよね!』
『二人一緒なら当たり前だよ、ターニャ!』
【兄妹の烏が如き機体が〈グランツ・リッター〉を蹴り飛ばす】
【魂というものがもしも存在するのなら、その時にこそ二人の少女の魂は冥界に旅立ったのだ】
- 187クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/24(木) 17:52:58
『「フゥーーー─────」...』
(兄妹二人が息を吐く。そして一瞥し、
無言のままフレーム深度を上昇させる)
『(───感じる。全てが満たされる。
地面の色、空気の匂い、自分の味、風の音
擦れる服の感触...感覚そのものが研磨され、
血潮が幾つかの分泌物と共に全身に漲る。
急降下する烏のように、本能を羽搏かせ...)』
「(機体の軋む感触さえ、今の僕達には
首元ではためくネッカチーフに過ぎない。
瞳を見開け。肌で感じろ。この世全てを...)」
『「───眼の前で奪い取る!!!』」
【フレーム深度:規定最大限に上昇】
【反射速度:48%上昇、擬似五感:規定最大値】
【BF機能:良コンディションを維持】
(目の前で旅立つ姉妹とは真逆に、
兄妹は更なる領域へと進軍を始める)
- 188栄光侵食体◆OXAm1h6odk25/04/24(木) 17:55:32
・・・
【────────────────────巨獣が、戦場を睨んだ】
【蹴り飛ばされると同時に全面換装特殊電磁装甲〈“ジークフリート”〉に過剰な電流が流れる。接触と同時に電磁ナックルをも上回る攻性装甲を用意しながら機体に対して磁力を発生させて自らの肉体を後方へと弾く】
【“マルタ・アーネル”が駆る“ロスヴァイセ”の粒子ビームが〈グランツ・リッター〉“だった”存在の頭部を貫通した。機体は平然と跳んだ。切断された筈の脚部が再生している】
【───────────────ぼおおおおお、ぼおおおおおお。汽笛めいた重低音が響いた】
【破壊されていた特殊電磁砲の関節が再生しているのが見える。切断された筈の腕部規格外大型超重斬刀も傷口を沸騰させながら再生を始めていた】
【削られた脇腹の装甲からは、黒い刃骸が体外へと突き出している。触れる者を皆殺しにしようとする純粋殺意の結晶】
【腕部規格外大型超重斬刀が異常な肥大化を始めている。蠢めく傷口から巨大な鋭い重刃が魔法のように形作られ、それは翼脚と呼べる大きさにまで膨れ上がった】
【───────────────ぼおおおおお、ぼおおおおおお。変形が止まらない。機体の全身が作り替えられてゆく。装甲から甲殻が突き出して、鮮血の真紅に熱化する】
【ピキリ、と頭部装甲が割れた。無数の漆黒の刃殻が兜を突き破って、その本性を明らかにする】
【邪竜の似姿。侵食級(ネフィリム)型インベイドが地面を踏み締めた】
- 189龍影◆9BZ6kXGcio25/04/24(木) 18:04:27
- 190栄光侵食体◆OXAm1h6odk25/04/24(木) 18:05:24
【侵食型(ネフィリム)型インベイド〈グランツ・リッター〉はコロニーの対インベイド防壁を背にしながら居並ぶ敵戦力を一瞥した】
【二人の少女の人生をその“舌先”で味わい尽くした巨獣には理解と知性が在った。二つの有機演算装置の機能を運用して、その選択をした】
【高機動機を相手にする上で、全方位が空白地帯であるのは不利となる。安全地帯を設けておくべきであり、そしてクロノス・インダストリーのコロニー内に侵入するのは人自連及びデスペラードには困難であろう】
【加えて、流れ弾で対インベイド防壁に被害を与えられるのもメリットの一つである。コロニー守備隊からの介入を期待出来る。最善は敵対行為と認定し討伐者に攻撃を加える事だが、自身に攻撃を加えるとしても構わない】
【連携の中に、十分な協調を取れない不確定要素が紛れ込めばそれだけでパフォーマンスは落ちる】
【─────────────────巨獣は顎門を開いた。プラズマ砲の準備行動である】 - 191ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/24(木) 18:22:05
【異形の変化より先に機体へ振動が走る】
<右舷 エネルギーバイパス 破損>
<04、05、07 エンジン停止>
<バランサー緊急作動 -error-復帰不可>
「!?………ここまで届いてくれた、なら!」
<バランサー停止信号受諾>
<制御系統通常モードへ移行>
【シンデレラを映していた3Dグリッドが消滅し、四肢を持つ機体へ切り替わる】
【黒煙を噴き上げ、ヨロめいた光が一回転。慣れない長旅もう終わる。ここから先は───】
「メインシステム 戦闘モードを起動」
【超重機関砲も50cm特殊粒子砲もコンデンサーも捨て、加速だけとなったアリオールが飛翔する】
「学を得たつもりか?!」
【異形から異形へ、完全に獣と成り果てたグランツ・リッター。先に見た感情を剥き出した動きとは違う。本能に近い、最善を選ぼうとするその動きを見て呟く】
「フォノン・エンブレイサ、最大出力!!」
【パージせずに残した粒子格子装置。本体内の電力のみだが必要十分】
【即座にアリオールが人の形を捨て可変】
【前面に展開された粒子格子が円錐状の…視認できる程の出力となって切先となる】
「繰り返させるか…ぶち抜く!!!」
【文字通り”10m級の矢”が獣の口目掛け、飛ぶ】
- 192ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/24(木) 18:29:17
「――――わかった!!スイッチングは感覚で!」
止まらない冷や汗。悪寒。取り返しのつかないものが、とうとう手を振り払ったような感覚。
龍影から送られたデータを映したサブモニター、それをさらにインターフェースとして参照しやすいようメインモニターに割り込ませ、蒼風改は望月の動きに合わせるよう同調飛行を行う。
熟練の連携行動ですら、二機の間には難易度という言葉は存在しない。 だが――――。
(全部、遅かった……!)
ここに来るまでが。そうケイは感情を抑えることで精一杯だった。白銀の異形を突き破り、食い尽くすような黒。そして邪竜の如き汽笛のような音。
直接見て、ケイの違和感がとうとう結実した。
まだ止まれるかもしれないものを押しやった。 そして目の前の黒が、今も死後そのものを弄んでいる。
怒りのままに叫びたかった。 衝動を抑えず、一人で止めに行きたかった。 掴めるものなら掴んでやりたかった。
だがその義憤にもう意味はない。止めなければならない『誰か』は遠くへ。目の前にいるのは正真正銘の、『敵』。
『それ』はV-7コロニーの外壁を背後の盾にして、こちらにプラズマ砲を放とうとしている。
《敵、コア粒子密度さらに増大》
「ッッッ!!」
激情を抑え、試作電磁加速砲を構えた蒼風改はプラズマ砲の射線からズレ続けるように同調飛行を行い続ける――――。
- 193クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/24(木) 18:51:23
『敵はコロニーの壁を盾にして、
死角を潰しつつ攻撃に転ずる模様。
完全にインベイドに乗っ取られました』
「なら、二人一組で...何戦術だったかな
とにかくこっちが隙を補う、好きにやれ
ただしソラウ!」
『...はい?』
「闇雲に攻撃するなよ?」
『ええ兄さん、分かってますよ。
───まずは背中に回り込む!』
『(ネフィリムとは体格差故、コロニーとの
少しの隙間を縫うように突っ込めるのを使い
二重電磁シールドを展開し警備隊の攻撃を
弾きながら、攻撃時の隙を狙って叩く!)』
(コアホッパーを足場にして空中を走破し、
エンジンでの加速をその瞬間にして更に加速し
ネフィリムの背後近くに素早く飛び込む)
- 194龍影◆9BZ6kXGcio25/04/24(木) 18:55:47
- 195龍影◆9BZ6kXGcio25/04/24(木) 18:57:13
- 196ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/24(木) 19:00:03
【驕っていたのかもしれない、そう気付いたのは全てが終わった後だった】
【白銀の機体、その内にある二人の恨みを、痛みを、怨みを、苦しみを、飢えを肯定すれば、『人』のままに終わらせてやれると、『人』であると定義してやれると思っていたのだろう】
【そうだ、それは驕りだ。傲慢だ】
バ ケ モ ノ
【〈グランツ・リッター〉に目を向ける。人を喰らった『バケモノ』に】
「笑える」
【ウルヴィは嗤う。まるで鏡を見せられているような気分だった。『人』の血肉を貪り、命を喰らい、糧とするバケモノ風情が、一丁前に人の真似事をしている】
「────殺す」
【『バケモノ』には『バケモノ』の流儀で語ろう。『人』として受け入れる、なんて事はしない。その命を尽きるまで喰らってしまおう】
【浅知恵で壁を背負った〈グランツ・リッター〉に向かって、ライフルとショットガンを連射する。プラズマ砲は既に見ているが、使い方を変えてくるかもしれないと理性が警告する】
【───その時は対応して避ければ良いだけだ、獣性がそれを否定した】
- 197ノイン◆fDey8JUvvk25/04/24(木) 19:03:53
死角を少しでも減らす、か。その通りだな。厄介だ。
【状況を口に出す】
それにコロニー。万が一誤射すれば戦況は泥沼だろう。
【目の前の変貌を見ているようで見ていない】
【認めたい事実だけを確認し、認めがたい事実からは目を背けていた】
【だが、それはそれとして】
【蒼月の背部大型推進機とウイングスラスターは甲高い音を立て、重力に伴って落下していたその機体を再び斜め上へと弾き出す】
【2機のカスタム機を捉えたかは分からない。少なくとも蒼月のセンサは熱で機能が低下している】
【だがより高く飛ぶのは私だと言わんばかりに】
【狙いは邪竜の直上。蒼月は推進器の噴射炎とバイザーアイの青い光を引きながら空を駆ける】
- 198ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/24(木) 19:11:17
「……!! 全機へ、こちらは射線を躱しながらの連鎖射撃を開始します! 射角に注意!!」
声が確かにケイの心を揺さぶった。激情を礎にした声を張り上げ。同時、巨砲の射角外を徹底的に避けつつ電磁弾体加速砲の狙いを定める。
照準速度は以前のそれよりも速い。
「撃ちます!!」
射撃開始。 一発、二発と放ち。反動を殺す。 その後は望月と合わせ、かく乱機動を取り、再照準後の射撃。
ズドン、ズドンという電磁加速らしからぬ重い音を響かせながらその全てはコロニーの外壁に当たる軌道ではない。
(誤射を誘発させようとしてるんだろ? 獣!!)
それに対するケイの解答は簡単だった。
(全弾の軌道がコロニーの外壁に当たらない射角で撃てば良い!!)
余りにも力業の連射で。電磁加速された弾帯が尻尾と、時折翼脚を狙い。 蒼い風が吹き抜けていく。
- 199ヴァンガード◆YMCgTirJag25/04/24(木) 19:15:27
キラキラと反射した冴える蒼の装甲色
「バカ!高度を下手にあげるな!」
2機のオリジナルアーヴィングへの対抗心で高度でもあげたのか。砲撃予測線上に蒼月が躍り出る。
アンカーリコンを使って地質を確認しながら砲撃準備に入っている。
「(まぁ老害が用意したユニットだ。FFで死にはしないだろう。)」
再度轟音が砲弾を送り出した。
- 200ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/24(木) 19:24:31
「また光った!」
30mm突撃砲をハンガーに付けたビームライフルと取り替え、膝座ちの狙撃姿勢を取る。
深呼吸して心を落ち着かせる。
必中距離では無いが当てれはする。
「くぁぁ!」
息を飲み、歯を食いしばる。操縦桿をずらすことなく照準そのままで引き金を引いた。白桃色のビームが化け物に向かい飛ぶ。