- 1二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 18:49:12
- 2二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 18:49:28
最初にキャラクターの募集です
19時過ぎぐらいまでにストップかけますのでそれまでに頂いたキャラの中から組み合わせを決めます
もう完全に描きやすさとかで決めるのでダイスかもしれませんがスレ主が選んで決めるかもです
フォーマットは以下になります
名前:
性別:
年齢:
職業:
外見:
性格:
得意なこと:
苦手なこと:
旅の目的: - 3二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 19:04:12
名前:シャルフィール・ヴァルガリア
性別:女
年齢:16
職業:女剣士の冒険者
外見:銀髪碧眼色白の美少女 凄く細身で一部分は大変薄い 動きやすいミニスカート鎧 ニーソックス
性格:冷静 無感情とすら評されるが情や優しさがないわけではなく押し殺しているだけ
得意なこと:体格が細く非力でも力の流れを利用してスマートに対象を切る剣術
苦手なこと:単純な力作業 足が沢山あるタイプの蟲や蜘蛛が苦手
旅の目的:謀略による当主(父親)暗殺により没落した実家の再興および謀略を仕掛けた対象を探し出し復讐する事 - 4二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 19:08:33
名前:ホロウ
性別:女
年齢:16
職業:魔術の研究者であり探索者
外見:白髪のボサボサロングに白衣、モノクル
性格:知的好奇心がつよく自身の目で見た事しか信じない主義
得意なこと:魔術の解読
苦手なこと:長時間の運動
旅の目的:まだ見ぬ魔術を追い求めて - 5二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 19:08:38
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- 6二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 19:10:53
名前:八咫 羽(やた つばさ)
性別:男
年齢:15
職業:旅人
外見:この国じゃ見ない、顔と髪と目をしている、背が高い
性格:掴みどころがなく、おっとりしている
得意なこと:家事、偵察、嘘
苦手なこと:綺麗事
旅の目的:国に帰りたいと思うまで、ぶらぶらする事
名前間違ってたので再投稿 - 7二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 19:16:39
名前:ユーリ
性別:男
年齢:12
職業:旅人
外見:旅人然とした格好の少年
性格:大らかで器がデカく視野が広い
得意なこと:コミュニケーション力と直感に優れ運が良い、罠を仕掛けての狩り
苦手なこと:相手を倒す事
旅の目的:いなくなった両親を探す - 8二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 19:17:54
名前:オルドラム・メイグリフ
性別:男
年齢:21
職業:騎士
外見:長身 金髪碧眼 タレ目 旅に邪魔にならない程度の鎧とマント
性格:楽天的 礼儀正しい
得意なこと:乗馬 占い
苦手なこと:魔法
旅の目的:遍歴の騎士として各地で活躍してラブロマンスしたり出世したりする - 9二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 19:19:19
名前:ラーウィック・シェトランド
性別:男
年齢:10代後半
職業:船乗り→冒険者
外見:黒の長髪で赤いバンダナを巻いている。小柄だが筋肉質
性格:豪快で義理人情に篤い好漢。物凄く面倒見がいい。意外と頭も回るタイプ
得意なこと:斧!考古学!料理!!
苦手なこと:感情を抑える事!!
旅の目的:富!名声!力ァ!! - 10二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 19:24:04
名前:ヨルゲン・エールヴァール
性別:男
年齢:180
職業:鍛冶師兼冒険者
外見:鉄兜を被り、顎髭と頭髪を荒々しく生やしたドワーフの男性。鎖帷子とマントを着用し、腰には斧と角笛を帯びている。
性格:外見通りの蛮族然とした性格。豪快な言動、磊落な態度、乱雑なふるまい、野鄙な言葉遣い、時に卑陋な冗談やセクハラ紛いの発言すら飛ばす
得意なこと:鍛治、斧
苦手なこと:プランニング、断酒
旅の目的:最高の武器を造る為の鉄を探すこと - 11二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 19:24:19
名前:セイナ
性別:女
年齢:16歳
職業:僧侶
外見:金髪ロング 碧眼 小柄 巨乳 白い法衣
性格:穏やかで臆病 心優しい
得意なこと:回復魔法 家事(特に料理)
苦手なこと:暴力
旅の目的:道行く人々の助けになりたい - 12二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 19:28:00
名前:メラロン
性別:女
年齢:16
職業:シスター
外見:銀髪 小柄 スレンダー ゴツいメイス
性格:楽したがり 不真面目 悪魔は殺す
得意なこと:聖書の朗読 撲殺 神聖魔法
苦手なこと:コツコツと仕事する事 酒
旅の目的:働いていた大聖堂が賊に襲撃され秘宝が盗み出された。それを秘密裏に取り戻すべく上司の命令で旅立った。本人にはやる気が無い。 - 13二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 19:28:52
名前:ロゼッタ・ラエフスカ
性別:女性
年齢:22歳
職業:傭兵
外見:銀髪ロング、笑みを絶やさない
性格:飄々としている
得意なこと:人を殴ること、投擲、夜伽
苦手なこと:人と長く付き合うこと、料理
旅の目的:6年来の仕事が終わったので故郷に帰る - 14二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 19:30:14
名前:ニルヴァーナ
性別:メス
年齢:11
職業:探検家であり世界屈指の情報屋
外見:片方の目の瞳孔が3つある綺麗な黒い猫
性格:とても気まぐれで独立心が強い 気に入った者には甘くなる 一応約束事は守る
得意なこと:情報収集 変身魔法 旅
苦手なこと:臭いやつ 傲慢なやつ
旅の目的:猫生の謳歌 - 15二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 19:49:32
名前:リギル・アウレリア
性別:男
年齢:18
職業:魔剣士
外見:黒く捻れた角が二本生えた金髪紫眼の偉丈夫
性格:真面目だが大雑把
得意なこと:剣術と魔術、極限環境でのサバイバル
苦手なこと:特に無い
旅の目的:前人未到の秘境を探索する - 16二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 19:59:34
名前:クロム
性別:女(元男)
年齢:28
職業:傭兵
外見:黒髪ポニーテールの合法ロリ。右脚に義脚代わりに剣を付けていて、大きな盾を持っている
性格:生真面目で常識人。結構折れやすい
得意なこと:戦うこと、色仕掛け
苦手なこと:魔法を使うこと
旅の目的:産んでしまった娘をしっかり育てる&そのためのお金 - 17二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 20:06:25
募集はここで打ち切ります
開始は21:30ぐらいになります - 18二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 20:09:44
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- 19二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 21:13:47
- 20二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 21:37:08
名前:ホロウ
性別:女
年齢:16
職業:魔術の研究者であり探索者
外見:白髪のボサボサロングに白衣、モノクル
性格:知的好奇心がつよく自身の目で見た事しか信じない主義
得意なこと:魔術の解読
苦手なこと:長時間の運動
旅の目的:まだ見ぬ魔術を追い求めて
「旅に出ると決めたのは、学院での研究に限界を感じたからだ」
「人がたくさん集まる学院では、集まった人の作り出す圧で思考が凝り固まってしまう」
「学院が教える現代魔法体系は多くの人が学ぶことにおいてとても優れている」
「けれど、それ以上の働きを拒むような硬さがあった」
「わたしは火球を灯りとして使いたいし、光球で湯を沸かしたいのに、どちらもできない」
「だから自分で魔法を作るためにわたしは旅に出ることにした」 - 21二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 21:44:27
名前:八咫 羽(やた つばさ)
性別:男
年齢:15
職業:旅人
外見:この国じゃ見ない、顔と髪と目をしている、背が高い
性格:掴みどころがなく、おっとりしている
得意なこと:家事、偵察、嘘
苦手なこと:綺麗事
旅の目的:国に帰りたいと思うまで、ぶらぶらする事
「護衛に雇った男は、ツバサいう名前だった」
「男というか、子供だ。仲介をしたギルドによると年齢はわたしよりも一歳下である」
「当然、人を変えてもらうことを申し出たが、条件に合う人間は彼だけだった」
「信用のおける人物で、旅慣れているのだという」
「この辺りの街のギルドで顔が利くし、ダンジョンでの活動経歴もある」
「ギルドの受付嬢は、彼はすぐれた案内人だと評した」
「腕っぷしよりも逃げ足という人物なので、戦いには向かないが、そこを期待はしていない」
「わたしは攻撃魔法は一通り収めている。敵を見つけ出し危険を知らせてくれればそれでいい」 - 22二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 21:55:51
【大きな背負い袋】
顔合わせをした当日。
出発前に、街で必要な道具を揃えることになった。
すぐに出発するものだと思っていたわたしは、出鼻をくじかれて鼻白んだ。
「俺は自分一人分の荷物しか持ち歩かないんでね。出発前にホロウさんの荷物を見せてもらって、足りないものを描いたしてからにしたい」
「レディの荷物をあらためるのは、デリカシーがないと思う」
「見せたくないものはこっちの袋に詰めて。あ、下着は次の街までの日数分ある?」
「…………ない」
買い足すことになった。
旅の間は不潔になりやすいから、荷物にならない肌着は毎日変えた方がいいらしい。
あとは毛布に保存食、水袋の買い足しと半日が経って、袋一杯になった荷物はツバサの背負い袋に詰められた。
わたしの手荷物は、魔法の触媒と、羊皮紙の束とペンだけ。
けっきょく一日目は街の宿で寝る羽目になった。寮の部屋は引き払ってるし戻るのも恥ずかしい。
ツバサは自分の宿に戻り、護衛の費用は明日からでいいと言われた。 - 23二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 21:57:36
旅で起こるイベントを安価します。
安価募集は23:00までで、よさげなものをピックアップしてダイスで決める、という方式です。
フォーマットは以下の通りです
タイトル:
内容: - 24二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:03:35
タイトル:七色の流星
内容:星の外からの落下物、この惑星の防衛機能でちょっと地面が凹む程度に墜落の衝撃は緩和された
落下地点に行けば落ちた流星に巡り会えるが、それが希少な鉱石か星外生物かは近づくまで不明 - 25二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:07:27
タイトル:チンピラ3人と一悶着
内容:宿のフロントで酒を飲み顔を赤くした中年チンピラ野郎3人に絡まれる - 26二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:11:44
タイトル:ドラゴン通過(金)
内容:ふと影ができたと思ったら上をドラゴンが通過していった、しかも幸運のゴールドドラゴンだ、いいことあるかも - 27二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:13:42
タイトル:幸運を願って
内容:ホロウの後輩から色々と選別を貰った - 28二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:15:36
タイトル:大鴉に荷物を奪われる
内容:大きな鴉の魔物に荷物の一部を奪われる
荷物を諦めるか巣に潜入してこっそり奪還するか討伐するか
結果次第で荷物ロスト/荷物奪還/巣に溜め込んだ物品回収/魔物素材獲得など - 29二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:18:12
- 30二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 22:43:20
タイトル:怪しい屋台
内容:ローブを深く被った老翁が精霊の卵()を売っている怪しい屋台
ツバサは最近流行りの偽物だと断定するが目を離した隙にホロウはそこそこいい値段で買ってしまう
なお卵は本物 - 31二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 23:00:50
安価ありがとうございました
募集はここで打ち切ります
開始は明日から、定期的にポツポツと上げていく感じになります - 32二次元好きの匿名さん25/04/21(月) 23:31:24
了解です
- 33二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 08:09:26
保守
- 34二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 10:16:18
【幸運を祈って】
朝になって目を覚ます。
ここが寮の部屋ではないことを理解するのにしばし時間を要した。
枕元の懐中時計を手に取る。ツバサと約束していた待ち合わせの時間まではあと一時間。
朝食を食べる時間はあるだろうが、街のどこで食べたものか。
旅立ち前に慌てて借りた宿には食堂はなかったし、あまり町の食堂には足を運ばないので知見がない。
そんなことを思いながら着替えをしていると来客があった。
「先輩! 誰にも告げずに急に旅に出るって、何があったんですか!!」
「学院長にはちゃんと伝えていたはずだが。あとは高等魔法学の担任のウィンクレア教師にも」
「あたしたちは聞かされてないんですけど! さてはあの教師が!!」
「さてはもなにもないが」
押しかけてきたのは、同じ高等魔法学で学んでいた学友たちだった。
皆わたしより年上だがわたしを先輩と呼ぶ。
「とにかく理由をお聞かせください! 聞かせてくれたらみんなで買ってきた旅の餞別あげます!!」
いらないなぁ、とは言わないぐらいの分別はわたしにもあった。
待ち合わせの時間には少し遅れた。
街の門で待っていたツバサは、とくに気にした様子もなく腰を上げた。
「……そのいっぱい吊り下げてるやつなんですか?」
「幸運のアミュレットだ」
「そういうの、学院の魔術師も信じるんですね」
「人としての分別というやつだ」 - 35二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 17:05:12
旅の始まり
- 36二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 18:14:28
【ドラゴン通過(金)】
隣街までは、商隊の馬車に乗せてもらうことになった。
ツバサが昨日のうちに話をつけたのだという。
馬車代が浮いたのは正直助かる。路銀は多めに用意しているが、無駄にはできない。
商隊の馬車に揺られていると、ふとツバサが顔を上げて空を見た。
「あそこ、あれ、ドラゴンですよ。こちらの方に飛んでます」
「え、マジですか!」
「ああ……ホントだ。ありゃ、翔皇山の竜でしょうな」
「そりゃあありがてぇな。拝んどくか」
ツバサの指差す先を見て、商人たちが手をすり合わせて商売繁盛を願っている。
なんだこれ。
「翔皇山というと、金属鱗の竜か」
「えぇ、人を自分からは襲わない、賢いドラゴンですよ」
「竜の魔法を使うと聞くけど、まさかドラゴンは商売繁盛の魔法でも使えるのか?」
「ゴールドドラゴンを目にしたものは幸運を得られるなんて話は聞きますね」 - 37二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 18:14:42
ドラゴンの影は近付いていたが、空のずっと高いところを飛んでいて降りてくる様子はない。
広げた翼と金色の鱗、それに長い尾ぐらいしか判別がつかない。
望遠の魔法を使おうとして、呪文を唱えたところでツバサに止められた。
「察知されると危ないですよ」
「……攻撃魔法ではないぞ」
「それは分かっていますけれど、それを向こうが分かってくれるとは限らないので」
ツバサの言い分も分かったので呪文を止める。
影がわたしたちの上を横切って、まばたきの間だけ陽の光を遮った。
「ふむ」
「どうしましたか?」
「なんの魔法の痕跡もなかった」
「でしょうね」
わたしの解析魔法具は有用だが、まじないの類まで完璧に解析できるとは限らない。
ゴールドドラゴンのもたらす幸運の影響について、留意しなければなるまい。 - 38二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 22:03:32
【七色の流星】
夜。商隊のキャンプで横になる準備をしていると、空を奔る光を目にした。
それは夜の空を斜めに、鋭い角度で滑り落ちていく。近い。
道具を手に取る暇もなく、慌てて魔法感知の魔術を構築。
手の中に生み出した羅針盤はビリビリと痺れるような振動を伴いながら落ちていく光を指した。
「外のもの!」
「うぉ!? どうした嬢ちゃん。なんだその魔法」
「なにがあった! 敵襲か!」
わたしの声に慌ててざわめく商人と護衛たちに、慌てて誤解を解いて説明した。
この世界の外からきたものが、空の帳をやぶって地上に落ちてきたのだ。
これは非常に珍しいものである。なにしろこの世界で作られたものではないのだ。
もしかしたら、まったく新しい魔術理論を生み出す鍵になるかもしれない。
「ああ、さっきの流星か。金になるものなのか?」
「いや基本的には外のものは空の帳に焼き尽くされてしまうから、たいていはただの燃えた石でしかなくて……」
「ただの燃えた石かぁ……」
「あー、知ってる。流星を追いかけた男だろ。教会で子供の頃に聞いたぜそれ」
教会では、空の帳は世界を悪いものから守る、神の恩寵とされている。
流星は七色に美しく輝いて見えるが、それは神が世界に落ちる石を焼く光がそう見せているのだ。
だから流星を追いかけて手に入れてみても、それは単なる石ころであった、という話。
「嬢ちゃんもやめとけ、街道を外れたら魔物だってでる。追いかけてもろくなことねぇぞ」
最後にそう釘を刺されて、商人たちはそれぞれ休む準備を始める。
手の中に残った魔術の羅針盤は次第に光を失いつつあった。 - 39二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 22:22:16
「それ、話してた流星を指してるんですよね。消えたらもう追跡ができなくなるんですか?」
ひょい、と横から顔を覗かせてきたツバサが急に問いかけてきて、わたしは慌てて一歩引いた。
「い……いや、魔力のパターンは記憶したから、完全に魔力が消えるまでは追跡できる」
「そうですか……。追いかけるなら、できれば陽が昇ってからがいいんですが、どうでしょう?」
「お、おう」
話聞いてなかったのかコイツ、と思ったが、ツバサは真面目な顔だ。
そしてわたしも、流星、あるいは単なる燃えた石を目にしたいという思いはある。
「……距離は、5000歩、6000歩ぐらいだと思う」
「魔力はどれくらいで消えるんですか?」
「待て」
ツバサの声には熱はない。
淡々と確かめるような問いかける声に、わたしの頭の熱も冷めてきた。
魔術で作り出した羅針盤を操作して、魔力の量と減衰の速度を正確に確かめていく。
「明日の、たぶん、陽が落ちる頃に」
なるほど、とツバサは頷いて。最後に問いかけてきた。
「明日、陽が昇ってから商隊を離れます。だいぶ歩くことになりますがいいですか?」
わたしは口を結んで頷いた。
不服なわけではない。
ただ、この案内人がわたしより年下であるという事実にちょっとイラッときたのだ。 - 40二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 22:25:27
今夜は以上です。
旅で起こるイベントを追加で募集します。
安価募集は本日24:00までで、ダイスで決めたり決めなかったりします。
前に頂いたイベントも、そのまま採用する可能性の中に入れたままになっております。
フォーマットは以下の通りです
タイトル:
内容: - 41二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 22:59:19
タイトル:悪魔の御業
内容:ある村で評判の魔術師の噂を聞く。月に1度1人だけ死人を生き返らせてくれるそうだ。蘇生魔術は遥かな過去から現在に至るまで、どんな大魔術師にもなしえなかった奇跡の筈だが…… - 42二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 23:10:58
タイトル:異形の薬師
内容:旅の道中立ち寄った村で今まで見たことも無い四ツ腕に白目と黒目が入れ替わった瞳をした奇怪な人…?を見つけた。どうやら彼は海を隔てた遠い遠い大陸から来たようだ、面白い話が聞けるかもしれない - 43二次元好きの匿名さん25/04/22(火) 23:41:05
- 44二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 00:32:52
- 45二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 07:36:11
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- 46二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 09:59:40
ぐっすり寝てしまいました。安価ありがとうございました
募集はここで打ち切ります
今日はちょっと忙しいので、朝はさけて夕方からひとつふたつ上げていく感じになります - 47二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 17:03:13
このレスは削除されています
- 48二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 22:41:01
「……見てませんから」
明け方の、まだ夜の墨色が抜けきっていない空の下を歩きながらツバサが言う。
その声を背中に聞きながら、わたしは足早に草原を歩いていた。
目指すは昨晩、地上に落ちた流星。
草原の先に見えるのは険しい森と渓谷だ、きっと厳しい道行きになるだろう。
「お前が毎朝下着を変えろと言ってたから……」
「それは言ってましたが、履き替えるなら履き替えるタイミングを前もって言ってくださいよ」
先のことを考えようとしても、ついつい口が口を突いて出てしまう。
ツバサがすかさず弁明を口にするのが腹立たしい。
いや、言う通りではあるのだ。
だからといって『今から下着を変えます』などと口にできるものか。
空の墨色が陽の光に白く染め上げられていく。影がはっきりと形を帯びていく。
「……見てませんから」
「べつに疑ってはいない。でも忘れろ」
「見てないものは忘れられませんから」
「悲鳴を上げてお前の前でひっくりこけたこともぜんぶ忘れろ」
「忘れました」
「………………よし」
よしではないが。
よしではないがわたしも忘れることにした。忘れろ。流星を追うのだ。 - 49二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 22:42:26
- 50二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 22:58:48
【大鴉に荷物を奪われる】
早朝のトラブルのせいだ。
忘れるために旅路に集中しようと、意気込みが過ぎて早足になっていた。
案内人のツバサよりも先んじて渓谷の縁から景色を見ようとした時、不意に影が舞い降りた。
「危ない!しゃがんで!!」
鋭い警告に反射的に身体がすくむ。
次の瞬間、わたしはツバサが背を引いて地面に転がっていた。
影。風圧。それに、ばさ、ばさ、と、空気を叩く大きな羽音が二度聞こえる。
がくん、とわたしを地面に押さえつけるツバサが衝撃に揺れる。
慌てて視線を空へと向けると、真っ黒なカラスの巨躯が視界いっぱいに広がっていた。
「く、この」
呪文を口にして指先から熱線を放つ。
羽毛の中に熱線が突き刺さると大カラスが鋭く鳴いて空へ舞いあがった。
その鉤爪の先に、ツバサが背負っていた背負い袋があることに気付いてわたしは激昂した。
「盗人め! 落ちろ!!」
もう一度、呪文に強化と集中を組み込んで、もう一度大カラスめがけて熱線を放つ。
黒い羽根を羽搏かせると、盗人は空中を滑るように飛んで逃げて行った。
ツバサの背負い袋は戻らなかった。 - 51二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 23:12:51
「ホロウさん、怪我はありませんでしたか?」
「ない! それより荷物が……いや、君こそ怪我はないか?」
いきなり危険に晒されたせいだ。まだ気が動転している。
ツバサは自分を庇っていたのだから怪我をしたのではないかと気付いて気が焦る。
「幸い荷物を背中に背負っていたので、怪我はないです」
「……それはよかった。が、よくない! 君の背負い袋が! すまない、わたしのせいで」
「あれは仕方ないです。ホロウさんが無事でなによりです」
「いや、しかしだな……」
たった今、魔物に襲われたというのに、ツバサはケロッとした顔をしている。
慌てている自分がなんだか恥ずかしく思えてきて、わたしは一度ふかく息を吐いた。
「……あの背負い袋には、わたしの荷物も入っていた。だからわたしは取り返したいと思う」
「あの魔物は縄張りの中で狩りをします。この辺りに巣を作ってるとは思いますけど、一苦労ですよ」
「荷物に入っていた魔道具を追跡すれば真っ直ぐに向かえるだろう」
「いいんですか?」
確かめたのは、もともとの目的、地上に落ちた流星を追いかけるのを止めていいのかという意味だろう。
ここで大カラスの巣を探している間に、流星の魔力の痕跡は消えてしまうからだ。
だからといって後回しにしていたら荷物が荒らされる可能性が高い。
どうするべきか。>>52~>>53で票が多い方を採用します。
①荷物は諦めて流星を追う
②流星を諦めて荷物を追う
- 52二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 23:56:00
②かなぁ
- 53二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 06:44:35
2
- 54二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 12:38:29
このレスは削除されています
- 55二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 20:03:08
さげ
- 56二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 20:59:49
2だったらスピード解決で流星にも間に合ったりせんやろうか
- 57二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 21:47:19
②で続きを書きます。
大カラスの発見までかかる時間 dice1d100=52 (52)
荷物は無事に取り返すことができたか dice1d100=89 (89)
高い目ほど成功です
- 58二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 22:09:03
エエ感じやん
- 59二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 22:26:15
「魔術で飛ぼうとするのはやめてください。鳥より早く飛べるなら話は別ですけど」
「……むぅ」
すぐに飛んでいこうと提案しようかと思ったが、ツバサの注意に遮られた。
言われてみれば、空中であれに襲われるのは危険だ。
基礎魔術にある飛行の魔法の速度は人が制御しやすい速度で、浮いているというのが近い。
「あまり音を立てずに身長に近付いて、巣にいたら飛び立つ前に仕留めましょう」
「うむ」
「俺が前に出るから、ホロウさんは後ろに。行先はこっちで確認します」
「分かった」
追いかけると決まったら、ちゃっちゃと気持ちを切り替えて道を進むことになった。
空からの襲撃を避けられるように木が密集した道を選んで荷物の在処を追う。
数時間ほどで、樹木を薙ぎ倒し、積み重ねて作った巣に辿り着いた。
巣はちょっとした小屋ほどもある。
枯れた丸太や枯れ枝が重なって、土臭い臭いがしていた。
「ツイてます。あの大カラスがいません。巣は複数あるのかもしれない」
「どうすればいい? 焼き払って誘き寄せるか?」
「そんな物騒なことはしなくてもいいですよ。荷物の方向を教えてください」
荷物はあっさり見つかった。
底の方が破れて、中に会った保存食が食い荒らされている。
幸い、魔道具やキャンプ道具、旅に必要なものはあらかた無事だった。 - 60二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 22:26:36
「さっさと行くか」
なんとなく、大カラスを退治するつもりでいたので気が抜けてしまう。
あの大カラスに有効な攻撃魔法を考えていた。
一撃で倒すのに十分な魔法となると、刃の嵐の魔法か。絶命の魔法か。などと。
ツバサが巣の中を探る間ずっと空を警戒していたが、けっきょく大カラスは姿を現さなかった。
「行きましょう。まだ流星も間に合うかもしれない」
「……いや、流星の魔力の痕跡はもうすぐ消える。たぶん間に合わない」
そう言ったものの、後ろ髪を引かれるような思いはある。
それを見透かしたようにツバサは返事をせずにわたしの言葉を待っていた。
「行くだけいってみたい」
「わかりました」
ひょうひょうとした顔で応急処置をした背負い袋を背にツバサは先を歩いていく。
わたしは感謝の言葉をかけるか悩んでいるうちに、機会を失ってしまった。 - 61二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 22:28:31
- 62二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 01:40:50
ホロウちゃん微妙にめんどくさくて可愛い
- 63二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 09:07:46
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- 64二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 16:43:45
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- 65二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 23:30:09
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- 66二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 08:47:15
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- 67二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 12:55:19
すいませんめっちゃ風邪引いて寝込んでおりました。保守ありがとうございます
体調まだよろしくないのでしばらく様子見ペースです
ちょっと書きます - 68二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 13:03:42
あら大変
お大事になさってください - 69二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 13:26:44
【アクシデント(橋)】
目の前で橋が壊れた。
渓谷にかかっていた、古い吊り橋である。
一歩目をツバサが踏みしめて、ロープを引いて強さを確かめた途端、である。
落ちたロープと木の板の列は渓谷の底にある激しい流れの川に飲み込まれていった。
「これは……もう間に合わないか。まったく、ロクなことがないな」
「でも、渡ってる途中じゃなくてよかったですよ。本当に」
「……それはそうなのだが」
言われてみれば確かにそうなのだが、これで流星の元に間に合わなくなるという落胆が先に来てしまった。
べつに考えなしというわけじゃないのだが、そう指摘された気がしてイラッとくる。
だから一言いいたい気持ちもあっただが、振り返ったツバサの顔が思いのほか真剣だったのでけっきょくわたしは口をつぐんだ。
「わたしは飛行の魔法で向こう側まで渡れる」
「それって一人用なんですよね?」
「そうだ」
「それなら反対です。さっきの大カラスもそうですし、この辺りは危険な魔獣も多い」
そう言われるとは思っていたので、すでに答えは用意してある。
「基礎魔術には、重量を減らす魔法がある。お前の荷物を軽くすれば、人間一人ぐらいならギリギリ抱えて飛べる」
「……ギリギリですか」
「ギリギリだが、わたし自身の魔力を計算したうえでのギリギリだぞ。間違いはない」
「向こう岸迄時間はどれくらいかかりますか?」
「五分でいける」
わたしの言葉を聞き終えると、ツバサはしばし考え込んだ。
それからようやく頷いてその案を了承した。 - 70二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 13:27:52
重力操作魔法、飛行魔法、この二つは基礎魔術にあるものだ。
魔力を十分に練り上げて必要な制度を保てば問題ない。
問題はわたしが人間に後ろから抱きつかれたまま浮遊するという状況を甘く見ていたことである。
ツバサはわたしの腰にベルトを結び付けて二人を薬草の束のようにまとめて縛った。
腰がくっつくのもお構いなしで、ついでに両腕をわたしの胸の前に回してがっしり掴む。
なにか一言だけでも抗議したかったが、ツバサの顔は命がかかってる人間のそれである。
口にしたらわたしがバカみたいだ。
「よし、いけます」
「……うむ」
人間一人分の重量そのものは魔力がしっかりと支えてくれる。
浮遊魔法は問題なく機能してわたし達を空に浮かべた。
「んんんん……っ」
そこからは未知の経験だった。
親にすらこんなに密着されたことはない。
それでも自分が言い出したことだと、わたしは五分間を耐えきった。
でも向こう岸に着地してツバサに褒められた途端、思いっきり後ろ頭でどついてしまった。 - 71二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 18:09:55
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- 72二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 20:19:34
可愛いなぁ
- 73二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 00:27:48
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- 74二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 08:46:33
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- 75二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 17:23:40
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- 76二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 17:26:06
ホンマに無理せず養生してくれ
- 77二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 22:44:15
保守ありがとうございます。
風邪で寝てたうちに積み重なったお仕事やら用事が山盛りでぐんにゃりしております。
寝る前に一本書きます。
dice1d3=3 (3)
①希少な鉱石
②星外生物
③燃え尽きたただの石
③の場合の危険度 dice1d100=30 (30)
- 78二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 22:44:49
②の場合の危険度でしたがただの燃え尽きた石でしたのでとくに関係ありませんでした。
- 79二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 23:04:12
【七色の流星】
流星の落下地点は衝撃波で大きく地面が抉れていた。
大まかに円形に広がっている爆発後の中心部は、高熱で硝子になっている。
強力な熱を魔力で生み出した時に稀に見る現象だ。
そしてその中心部に、流星だったものは半ば土に埋まっていた。
握りこぶしより一回り大きいほどの石ころからは、なんの魔力も感じられない。
直感的に、これがもう単なる燃え尽きた石でしかないことが分かる。
落胆しながら膝をつき、それに魔術で直接鑑定する。
たしかにそれはこの世界の鉱物ではない。
だけどそれだけだ。
わたしはそれを布で包んでツバサに運搬を任せることにした。
けっこうな重さだったので苦労して渡すと、受け取ったツバサも驚いた顔をした。
「……これ、がっかりしてたみたいだし、魔法とかはかかってないんですよね?」
「ああ、残念だが」
「ずいぶん重いですよこれ」
「面倒を欠けるが、魔力がなくてもこれは希少な石で」
「いえ、じゃなくて、鉄より重いですこれ。たぶん同じサイズの金より重いです」
ツバサが言うには、魔力がなくても価値があるんじゃないか、とのこと。
魔法の触媒としての価値しか求めてはいないのだが。
とはいえ、運ばせるツバサが価値を認めているのは良いことだ。重いものならなおさら。 - 80二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 23:07:45
隕石の鉱物とか割と重宝されそうではある
- 81二次元好きの匿名さん25/04/28(月) 01:51:03
隕鉄って現実だと何に使えるものなんだっけ
- 82二次元好きの匿名さん25/04/28(月) 11:04:47
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- 83二次元好きの匿名さん25/04/28(月) 18:10:03
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- 84二次元好きの匿名さん25/04/28(月) 18:30:21
【突然のスコール】
「雨が降る。おそらくかなりの土砂降りになるぞ」
「それは天気予報の魔術ですか?」
「ちがう。わたしのオリジナル魔力の計測の魔法で、空に水の魔力が飽和しているのを見た」
昨日の流星が原因だ。
空の蓋に流星が穴を空けたものだから、その穴を塞ぐために大気中の魔力が流れ込んだ。
緩やかな魔力の動きだ。だからキズを塞ぐまでは空に異常は見当たらなかった。
今は、空の蓋の穴を塞いだあと、流れてきた魔力が空で渦巻き、飽和している。
大気の魔力は風と水、それに火が混じる。
この地にはすぐにでも熱い雨が降り注ぐことになる。
「なるほど……ちなみに的中率はどれほどですか?」
「絶対に起きる」
「ここに来る途中、雨宿りに良さそうな洞窟を見かけました。そこを目指します」
わたしはそんなもの、まるで見かけなかったのだが。
ツバサが見たというなら本当にあったのだろう。
「よし。案内を頼む」
空に向けていた魔力計測の魔法具をしまって、ツバサの後を歩み始めた。
魔力を見るモノクルを通した空は、水に一滴の墨を落としたように波打っている。
この地上までは届かない恐ろしい高密度の魔力の渦を想像して、わたしは身を震わせた。 - 85二次元好きの匿名さん25/04/28(月) 18:30:32
一時間もしないうちに、空はみるみる灰色から薄墨色に変わっていった。
この天候異常は自然のものではない。
空に渦巻く魔力から巨大な暗雲が生まれる。
出し抜けに降りだした土砂降りの雨は、あっという間にわたしの視界を閉ざした。
全身につぶてのような雨が降り注ぐ。
鋭い激痛ではない。気力を奪うような鈍い衝撃が休まず頭を背を叩く。
ツバサに手を引いて貰えなかったら一歩も歩けずに地に伏していただろう。
雨が降ることが分かっていても、その雨の危険さを理解してなかったのを思い知った。
この旅が終わるまでに雨を弾く魔法を作りだしてやる。
矢弾きの魔法の応用で作れるはずだ。
「着きました。獣がいないか調べてきます。そこに座って待っててください」
子供のように手を引かれるうちに、気が付くと雨の衝撃は止まっている。
顔を上げると、テキパキとツバサは外套を脱ぎながら洞窟の奥へと向かっていた。
「あ……明かりの」
魔法をかけようか、と、口にしようとしたものの、声はか細く背に届かなかった。
ツバサは暗闇でも目が効くのだろう。
危なげなくスイスイと洞窟の奥に行ってしまった。
「奥はすぐ土で埋まってましたし獣が住処にしてはいないようです」
戻ってきたツバサの顔を見て。
わたしはようやく座れと言われていた石にへにゃりと腰かけた。 - 86二次元好きの匿名さん25/04/28(月) 18:31:16
明かりの魔法で照らしてみると、洞窟の中はほどよい広さだった。
天井は少し低いが、背の低いわたしにはちょうどいい。
ツバサも背はそれほど高くないので頭をぶつけることはなさそうだ。
「この雨はどれくらい続くんですか?」
「一過性の魔力の偏りが起こした現象だ。一晩もすれば自然と消える」
わたしの答えを聞くと、ツバサは息を吐いてカバンを降ろした。
「それなら今日はここで足止めになりますね。もう少しこの辺りを調べてきます」
てきぱきとキャンプ道具やら、食料やらを床に並べていく。
大カラスのせいでいくらか保存食がダメになっているのが腹立たしい。
「あ、濡れた服は脱いでおいてください」
「う……うむ! 濡れた服は体温を奪うから脱いで着替えておかねばな!」
一瞬息を呑んだのを悟られないように、少し早口気味に答える。
カバンをからわたしの着替えを出しながら言っているのだから妙な勘違いをすべきではない。
「いや、ひとの下着をつかんでよこすな」
「あ、すいません」
言っておいてから、それを気にするのは自意識過剰なのかもしれんと思い至った。
思い至ったが訂正したら余計に恥ずかしいことに気付いて、わたしは口を閉ざすことにした。
黙々と濡れて重くなった服を脱いで、着替える。
ちらちら後ろのツバサの方を見てみるととっくに姿を消していた。
それはそれで心細くなってしまう。
洞窟の外では雨音だけが絶え間なく地面を叩き続けていた。 - 87二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 01:53:33
あらかわいい
- 88二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 08:00:11
かわいい
- 89二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 16:14:17
なんか甘酸っぱい雰囲気
- 90二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 22:38:21
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- 91二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 22:54:55
とくに何事もなく夜が明けた。
「……おはよう」
「おはようございます。桶に昨日の雨水溜めてますから顔を洗ってください」
「んむ」
寝ずの番をしていたわけじゃないだろうが、わたしが眠った時にはツバサは起きていた。
そしてわたしが起きた今では当たり前のように朝食の準備などしている。
「なにかあったか?」
「なにも。雨は夜のうちに止みました」
「……そうか」
ふと、わたしのイビキだとか、寝相だとかはどうだったのかを聞いてみたい衝動に駆られた。
この飄々とした年下の男がなんと答えるかには興味があるが、質問の意図を察してきそうな気もする。
真に知性を試されるのは質問を作る側なのだ。
そんな学者の格言を思い出しながら、のそのそと顔を洗って邪念を消した。
焼いた干し肉のいい香りがしてくる。
「今日は川の傍を迂回して、次の街を目指します。夜までには着けますよ」
「んむ」
報告を聞きながら、ツバサが先んじて置いていたらしい旅の衣装の替えを見に纏っていく。
そういえば毛布から這い出した自分がずいぶんと薄着だったことに気付いたが、もう焦る気持ちも湧かなかった。 - 92二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 23:14:42
さて、次はどこに行くのかね
- 93二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 07:08:52
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- 94二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 14:02:33
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- 95二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 20:41:06
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- 96二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 01:23:17
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- 97二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 03:42:15
- 98二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 04:07:28
昨日の大雨でぬかるんだ森の地面にはずいぶん苦労させられた。
一度足を滑らせて服を汚したが、着替える服はビショ濡れのままなので汚れた服のまま森を抜ける。
昼に小休憩を挟んで、わたしたちが街に到着したのは日が暮れる頃だった。
「今日はお疲れさまです。宿に部屋をとったらゆっくり休みましょう」
「……あー」
保護者じみた物言いに文句を言う気力もない。
二日連続で歩き通しの強行軍は、元々学院暮らしで体力のないわたしの限界を超えていた。
もう歩きたくない。座ったら立ち上がれなくなるから気力だけで歩いている。
街の門でツバサが兵士に通行の許可をとってもらって、兵士に聞いた宿の並ぶ通りをまっすぐ目指す。
「宿泊料は少しかかりますけど、商人向けの安全そうな宿を選びますね」
「どこでもいい……」
「えーと、部屋が足りないので相部屋でいいですか? 別の宿を探します?」
「どうでもいい……」
相部屋にするのも洞窟の中で一晩を共にするのも後だしたぶん同じようなものだろう。
それより泥まみれの服をさっさとどうにかして、ベッドで横になりたかった。
「お湯を借りてきました。服はこっちの桶に入れて、体を洗ってから着替えてください」
「……んむ」
泥まみれの服を脱いでこのままベッドに飛び込みたかったが、白いシーツを汚すのも忍びない。
服を脱ぎ散らかして、湯で濡れた布で体を拭いて、あとはベッドに飛び込んで寝た。
足がズキズキギシギシと痛んだが、すぐに疲労がわたしの意識を眠りへと押し流した。 - 99二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 09:07:15
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- 100二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 17:11:11
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- 101二次元好きの匿名さん25/05/02(金) 00:53:48
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- 102二次元好きの匿名さん25/05/02(金) 07:45:41
変わった薬師だな
- 103二次元好きの匿名さん25/05/02(金) 13:56:07
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- 104二次元好きの匿名さん25/05/02(金) 21:11:00
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- 105二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 00:53:58
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- 106二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 07:48:36
「ホロウさん、着替えは終わりましたか? ……ホロウさん?」
返事がないので扉を開けたら、ホロウさんはすっぽんぽんで寝てた。
いったんそーっと扉を閉じて考える。
きっと疲れてたんだろうとか信用して頂けてるんだろうとか思わなくもないけど、流石にどうかと。
「ガキだと思われてるのかなぁ……、いや本人がガキなのか」
まぁホロウさんちっちゃいし。
俺も年の割にはいまいち背は低い方だけど、それよりさらに低いからね。
なので裸を見たからどうとかまったく思わないんだけれども、向こうはそうは思わないだろう。
「ホロウさん? ホロウさーん???」
コンコン、コンコンコン、名前を呼んでノックを繰り返す。
やっぱ起きない。
ベッドに沈んですっかり眠りこけてたしなぁ。
ここから本気でノックをするのは時間帯的にもあまりよろしくない。
遅い時間にお湯を出してくれた宿に御迷惑をおかけしたくない。
溜息をついてから、俺はホロウさんを起こすことを諦めて扉を開けた。
「ホロウさん、………風邪ひきますよ? 起きてくれません?」
一縷の望みをかけて呼びかけたが、返事はすぅすぅという寝息だけ。
よっぽど疲れていたのだろう、寝返りも打たずにうつ伏せにベッドのシーツに沈んでいる。
諦めて、ホロウさんに寝間着を着せた。
それから部屋を片付けて、体を洗うのに使った桶を宿に返して、自分のベッドに潜り込んで目を閉じる。
瞼の裏に浮かんだ映像はつとめて無視することにした。 - 107二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 08:36:32
【異形の薬師】
よく眠ったおかげで、翌朝には体にのしかかっていた疲労感はすっかり失せていた。
頭の回転も元通りだ。
この宿の一階は食堂になっている。
焼きたてのパンと新鮮なサラダと暖かいスープ。
腹が満たされたところで、今日の予定をツバサと話し合う。
「今日は別々に行動したい」
「初日は同行させてください。治安がいいといっても不案内な街に一人はよくないですから」
「今日は別々に行動する」
「……ホロウさん?」
頭の回転が良くなったお陰で、わたしは昨晩の自分の行動もすっかり思い出していた。
寝間着を脱いでる途中に、自分が着ていた寝間着をいつ着たのか思え出せないことに気付いてしまった。
ツバサは何食わぬ顔で朝の挨拶をして、何食わぬ顔で朝食を食べている。
わたしが覚えてないと踏んで、なかったことにするつもりなのか。
それとも、お互い忘れよう的な譲歩を暗に求めているのか。
こいつの掴みどころない表情が腹立たしい。
「ちょっと通りを見てくるだけだ。子供じゃないんだ、街中で迷子になったりはしない」
「あー、分かりました。それじゃあ俺は情報集めと旅支度をしてきますんで」
ようやくツバサは折れた。
いや、雇用主はこちらなのだから、食い下がる方がおかしいのだが。
そんなわけで、わたしは昼食時には一度合流すると約束してツバサと別れた。 - 108二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 08:37:33
ぶらぶらと街の大通りを歩く。
わたしが暮らしていた学院のある街と比べるとそれほど大きな街ではない。
街道が交差する場所にある宿場町が発展した街だから、商人や旅人の姿が多い。
通りの中央は馬車が行き交っているので、自然と人は道の端の方を歩くことになる。
そして道の端には、屋台や露店が午前のうちから開いていた。
「なんだあれは……?」
その中に奇妙な露天商を見つけて、わたしは足を止めた。
最初に目に留まったのは、灰色の外套を羽織っているその露天商の体つきの異様さだ。
それから目を凝らして見てみればその理由に思い当たる。手が四つあるのだ。
「やぁ、お嬢ちゃん。なにかお土産に一つ買っていかないかい?」
そして足を止めたわたしに声をかけるその顔。
瞳の白目と黒目が入れ替わっている。
噂に聞いたことも、文献で読んだこともない、わたしの知らない種族だ。
「うむ、なにを売っているのだ?」
見知らぬ種族の露店に興味を惹かれない筈もない。
商品は地べたに敷いた布の上に並べられている。
わたしは露店の前で屈みこんで、見知らぬ種族の売るそれを眺めはじめた。 - 109二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 17:11:11
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- 110二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 00:44:33
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- 111二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 08:42:59
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- 112二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 17:17:07
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- 113二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 17:25:04
仕事続きでだいぶ疲れ切ってまして
さすがに更新速度があんまりにも遅すぎて保守頼りになっちゃってるのでここで終了とさせていただきます
お付き合いありがとうございました
力及ばず申し訳ありません - 114二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 00:51:32
お疲れ様でした
またのスレ立てをお待ちしております