- 1二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 19:29:30
- 2二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 19:39:30
まず、上巻から。
主人公たるワタナベが、直子との記憶の「はじっこ」を思い浮かべる場面から物語は始まる。そんな序盤から僕は強い共感を憶えていた。記憶というものの引き出され方が、克明に表現されていたと思う。いつまでも覚えていたいのは人のはずなのに、実際に剥がれ落ちていくのはまず人なのだ。科学的なことは分からないが、不思議と分かる。
それは多分、覚えていようとするが故だと思う。記憶には参照できる上限値のようなものがあって、思い起こすたびに消費されていくのだ。多くの場合、脳裏に浮かぶのは人の顔、声、感触、その人その者だ。だからこそ、記憶の風景の中で、人だけが速く消費されてゆく。忘れまいとすればするほど、その人は薄れてゆくのではないか。
そんな寂し気を孕んだ矛盾を、まず書きたかったのだと思う。これから語られる昔話が、ワタナベにとってどんな意味を持っていたか、よく分かるように。 - 3二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 19:50:43
次に、野井戸について。
記憶の中で直子が話す野井戸は、誰しもの中に空いた欠落の穴だ。
人は平等に不平等だ、だれしもがどこか不完全さを抱え、持たざるものだ。だから、自分にないものを持ってる誰かに「不平等」だと訴える。
でも欠け方は平等じゃない。気にする必要もない些細なものもあれば、それ一つのせいで全てが狂うような致命的な欠損も存在する。それこそが野井戸ではないか。誰かの中では指一本入るか分からない小さな穴だ。あるいは別の誰かにとっては、思わず身を投げてしまうような、大きく、深い野井戸なのだ。
作中に出てきた人物たちはみな、大きな穴を抱えていた。その事を自覚していたかは定かじゃないが、みんな何かしらの大きな欠損を抱えていた。この物語はそれぞれの感情が流れてゆく恋愛小説であり、またそれぞれが自身に空いた穴をどうするか、つまり他者との関わりの裏に、自己との関わりを描いていたように思う。 - 4二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 19:55:44
小並感で申し訳ない
この作品はなんかsex描写が苦手でリタイアしちゃった - 5二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 19:56:23
キズキは、穴に落ちてしまった。飛び込んでしまいたい衝動に抗えなかった。
突撃隊は、末路は分からないが、おそらくどこかで落ちてしまうのだろう。
永沢は、穴を穴として受け入れ、あろうことか底を埋め立て窪みにしてしまった。並みの人間に出来る事ではない。向き合い方として何よりまともだといえる。彼は自分がまともじゃない事に、誰よりもまともに対処したのだ。 - 6二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 19:57:02
- 7二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 20:02:12
緑は、穴を穴とも思っていなかったと思う。あたしはこれでいいんだと、そうじゃないお前らがおかしいんだと言わんばかりに生きている。社会に生きる上では茨の道だが、それもまた向き合い方だと思う。
レイコさんは、穴から離れる事が出来たんだと思う。解決はしていないかもしれないが、離れた場所にベンチを置いて、寛ぐことが出来たのではないか。年の功だと思う。彼女が一番達観していた。
直子はキズキと同じ。一度落ちかけて、ヘリを掴んで耐えていた。でもワタナベが差し出した手を最後まで取れず、落ちてしまった。
こんな所だと思う。 - 8二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 20:05:23
ワタナベは、最後まで向き合い方を模索して、結局導き出せないまま物語を終えた。
手段の一つとして、色んな人の穴へ手を差し伸べ、彼女らを引っ張り上げる事で、彼女らに引っ張り上げてもらおうとしたんだと思う。
でも彼女らにそんな力は無かった。結果、彼は自分が何処にいるのかを見失った。色んな所に手を伸ばしすぎて、自分の穴すら分からなくなったのだ。 - 9二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 20:07:07
僕は自分の穴をまだ見てない。それらしき暗闇は知っているが、まだ全貌が見えない。それが分かるまでに、落ちないための何かを掴まなければいけないのだろう。
この物語は、きっとその材料になってくれる。そう思った。 - 10二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 20:08:54
こんな感じだった。
長編小説の書き方がある程度つかめた気がするので、早速執筆に挑戦しようと思う。
完走終わり、以下村上春樹ファンスレ - 11二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 20:10:14
- 12二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 20:10:40
今まで読んできた村上長編の中だと読みにくい印象
最新作になるにつれて読みやすくなるよね
騎士団長は読みやすかったのと、ストーリーがちゃんと盛り上がる - 13二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 20:12:33
出来るだけ一言で言うなら「やべえやつらの悲恋」
- 14二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 20:14:57
- 15二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 22:53:51
ヤリチン鬱ポエム