【オリキャラ注意】先生は塞翁が馬という言葉を知っているかな? 外

  • 1二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 21:37:09
  • 2二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 21:37:49
  • 3二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 21:38:24

    少し見やすいように文を改良したと思います
    よろしくです

  • 4二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 21:38:43

    ホスト規制治ってよかった

  • 5ラストトーク25/04/23(水) 21:39:17

    ―――誰?
    言われた人については全く知らない、本当に誰……?

    「知らないのか?」
    「知らないっす」
    「そうか……」

    なんでイノリそんなに悲しそうなんだ

    「すごいっすねあの超人の連邦生徒会長が選ぶとか…まぁ連邦生徒会長とかニュースでしか見たことないっすけど」

    とてもすごい人なんだなぁとしか分からない、世間に疎いと言われたら否定はしないが…そんなニュースあったっけ?

    「説明するのはめんどくさいな……その人に会ったらまた聞けばいい」

    少ししょんぼりしながら切り替えるように喋るイノリ

    「そのうち会えるさ」

    ニヤリとまた笑っているような感じがする…今更だがこの蛇、感情豊かすぎる

  • 6ラストトーク25/04/23(水) 21:40:03

    「それで?ここからどうするんすか」

    ラストトークというのが気になるが、あの事態を放っておけない
    険しい顔をする私を見つめ

    「まぁこの会話もそろそろ終わりだな…言いたいことは言ったし、帰らせるか」
    「―――へ?」
    「なんだ、嬉しくないのか?久しぶりの『本物』を見れるんだぞ」

    本物…そうか、ずっと居て感覚がおかしくなってたが私がいつもここでみてたものは本物じゃない、私を絶望させるための……ただの偽物だ
    ―――いや思考を逸らすな、それよりも…だ

    「なんで、私を普通に帰らせようとするんすか……?」
    「ん?それはさっきも言ったが負けたからだよ」

    それが……よく分からない…分かる分かるけど分からない

    「負けたら…そんな、あっさりと」

    なんなんだろうかこの湧き上がるこの思いは
    「あぁ、負けたんだからな、潔く認めるよ」

    違和感があった
    それは多分『こっち側』の『私』の方の違和感だ

  • 7二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 21:40:14

    まってました!

  • 8ラストトーク25/04/23(水) 21:40:39

    「そ、そんな……そんな」

    寂しさがあった、でもそれは永く共に居た故の感傷だ
    じゃぁ最初は?最初は何を思ったんだ?
    ここまで走ったのは何が理由だ?

    「どうした?」

    無限と思えるほど永い…時間を、苦痛を与えて、はいそうですかとならない
    呆気なく、こんなにも呆気なく帰れたってこの思いは消えない

    「そんな!簡単に!帰れるって言われても納得しないっす!!」

    怒りが溢れる
    そうだ、私はこいつに怒りたかった、そうだったはずなんだ
    忘れてた、ここに慣れ過ぎて…か?
    最初の理不尽に晒された思いを忘れてた
    怒りがあったんだ、確かにそれはこの胸は『怒り』のカタチをしてた
    この蛇に…神に……怒りたかった

    「勝負してくださいっす」

    でも、思い出した…やっとだ
    でもこれでいいのかと言う思いもある
    それはイノリの話を聞いたというのもあるし、それは長い間居たというのもある
    だけど、それでも納得しきれない自分が居た

    「非効率だな、そんなに私が嫌いか?……まぁ嫌われることはしたと思ってるが」

    あいも変わらず軽々しい態度を崩さずヘラヘラと…ヘラヘラとしてるイノリがそこに居た

  • 9ラストトーク25/04/23(水) 21:41:46

    「そもそも、私に何を求める?正式な決闘か?こんな蛇に?」

    チロチロと舌を這わせ語る蛇

    「……人型には成れないんすか?」
    「成れないな、名を明かされて力もほとんど失った状態だ……無力な蛇である私自身本来の姿の状態をずっと晒してるのが証明になってると思うが」
    「た、確かに……それもそうっすね」

    こ、こんなに言われるとそうだ……と納得しかける

    「で?そんな蛇に対して君はどう戦うんだね?それとも無力な弱者を痛めつける趣味が?」
    「そんなのはないっす!」

    はァ……とため息つく様子をして蛇は言う

    「ではどうするんだ?思考するのは君の気が済むまでしてもいいが、あんまりしすぎると帰る時間も無くなるぞ」

    ―――この蛇は本当に…イラつく!
    これじゃぁずっと負けっぱなしだ!そもそもここまでこいつに口論で勝ったことなんてなかった、だからこそ…絶対に「分かってるんだろう?」
    「……」

    ゆらゆらと首を振り

    「遅すぎる、その感情は…お前はもう私を嫌いきれない、ここで吹っ切れて私を殺せばまだよかったものの…その顔だとそんな発想も出来なさそうだな」
    「でも……納得いかないっすよ」

    そうだ、私は1回も神に勝ったようなことなんて……

    「そうか?私はもう証明しきっていると思うが」

  • 10ラストトーク25/04/23(水) 21:42:36

    ―――なにを言ってるんだこの蛇

    「私に勝ってるという証明だよ」

    は……?
    なに、言ってるんだこの蛇

    「そんな……そんな場面なんて!」
    「場面でしか物事を語れないのか?全体をみろ」

    ないと言おうとした言葉を蛇が押し込める
    そしてこんなことも気づけないのかと、ため息つく蛇は一言

    「エミコ、君はずっと諦めなかっただろう?その精神性だけは完敗さ」

  • 11ラストトーク25/04/23(水) 21:43:32

    「そん……そんなことあるすっか?」

    そんな私だけを納得させるような言葉をかけられても意味なんて……分からない
    急になんだ、本当になんなんだこの蛇は!

    「あるさ、少なくとも私の考える限りの嫌がらせをして折れずにこんなにも真っ向から立ち向かうのは神隠しにあった人の中で君1人だけだ」

    それでも

    「でも…そんなで勝ったとは」「言えるさ、私が同じことを受けたらすぐに廃人まっしぐらだね」

    あっさりと、そんなことをいうイノリ
    いや…こいつはそう言うやつだ、あっさりと淡々と普通じゃ言えないようなことを言う

    「それにそんなことをしてきたやつを嫌いになりきれないなんて、にわかには信じられないな」

    それに関しては、なんか色々まだ言いたい気もするけど……
    ヘナヘナと……気力が無くなっていく感覚がする、さっきまでの心の勢いが無くなって感情の爆発が湿気ってしまう

    「なんだ……もう勝ってたんすか」

    そうなると……もう納得するしかないじゃないか
    さっきまで熱くなってた私が馬鹿みたいだ
    急速に冷える感情、冷たくなった鼓動の中で呟いた

    「ずっと負けっぱなしだと思ってたんすけど…勝ちっぱなしだったらしいっすね」


    「あぁそうだ、凄いやつだよ、君は」

  • 12ラストトーク25/04/23(水) 21:43:51

    出来のいい生徒を褒めるわけでもなく、成功したものを賞賛者のように讃えるようでもなく

    ただ……本当にあっさりと淡々に

    「ずっと見てきたからな、凄さはもう分かってる」

    そうイノリは言い切ったのだった

  • 13ラストトーク25/04/23(水) 21:44:42

    ……
    …………!!

    「ああああああああぁぁぁもう!!いいっす!」

    そこまで言われるとこっちが恥ずかしい!!
    顔が熱くなりすぎて脳が熱暴走しそうだ!

    「そこまで言われるともう!帰ります!帰りたくなっちゃいますっす!!!」
    「はァ……その感覚はよく分からないな」

    なんだかその毒舌も……今は素直に反抗出来ない

    「いいっすから!もういいっすから!!」

    気を紛らわすように顔と手をブンブン振ってNOの意を伝えようとする私を見てイノリは

    「……色々と残念な子だな」

    と首を振って呟いたが、私には全く聞こえなかった

    「それじゃ、開けるぞ」

    そうイノリが呟いた




    その時
    『黒』がイノリを飲み込んだ

  • 14ラストトーク25/04/23(水) 21:46:07

    「いのーーーッ!!」
    「馬鹿が、とっととこの場から離れろ」

    言葉の引力に引き寄せられるように窓から黒が迫るこの教室から去る
    ―――それにしてもその声は

    「イノリ!?」
    「あぁ……そうだ」
    「これは…結構、厄介なことになったな」

    ど、どこから声がしてるんだ……?声だけは聞こえるが姿が全く見えない

    「ん?姿か?ここだよ、ここ」

    ぴょこと姿を胸ポケットから表す

    「な……なんすか!それ!!??」
    「緊急用に胸に忍ばせてあった私だよ、本体はあの黒の中だ」

    ぴょいぴょいと指を指すように顔を向けた方向には

    「―――は?」

    なんで緊急用があるんだとか、分身出来たのかよとか、本体が飲み込まれたってなんなんだよとか、そんな色々の疑問が全て吹っ飛ぶ
    そこには…蛇が居た、いや蛇は違う…だが蛇と言った方がいいだろう、それ以外にそいつを表す言葉なく、ただ蛇というには……

    「大きすぎる……す!!」
    「デカグラマトンとはな……厄介な記憶を読んでしまったよ……」

    ちっちゃな蛇は頭が痛くなったと言わんばかりに首を振った

  • 15ラストトーク25/04/23(水) 21:47:44

    蛇のようにうねる黒が間髪入れず迫る

    「―――ッ!!」

    黒が私達を飲み込むように
    それを、黒に飲み込まれていってる屋根を足場として飛び移り何とか凌ぐ

    「あの黒蛇を倒す方法は1つ、殴れ」
    「はァ!?」

    色々手一杯なのにこんな状況で何言って

    「―――ッ!」

    疑問を入れる余裕すらない、黒は私達を狙って次々とこちらに迫る
    ―――このままだと、足場がなくなってそのうち…黒に

    「飲み込まれるだろうな、そうなると君は帰れなくなるぞ」
    「そん……ッ!」

    言葉を放つ隙すらない状態、頭の中で終わりというサイレンが鳴る

    「だからこそだ、あのデカい蛇を殴れ」

    ―――そうはならないでしょ!!

  • 16ラストトーク25/04/23(水) 21:48:50

    「そうはならないと考えてるな?」

    ぐ……この蛇ちっちゃいのに考えを見透かして的確に突いてきやがる……!

    「まぁそう思うのは無理ない、簡潔にだが、説明するぞ」
    「まず、あの蛇は私を…神の力を取り込まうとしてる」

    疑問の言葉を挟む余裕などない、ただしっかりと言葉を聞かないとえらい目に合うだろう

    「さっきも言ったがアレは元の状態に戻ろうとする自浄作用のようなものだ」

    そこまで言ってないだろこいつとは言えない…睨む程度が精一杯だ
    そんな睨みも効かない蛇は淡々と喋る

    「だからこそ、神という力を持ってる私や君を狙おうとしてる…ここまではまだ分かるな?」

    ―――まぁいくらか疑問があるが分かる

    「それで君を帰すのには神の力が必要なのだが、その大部分の力を持ってる私本体が飲み込まれてしまった」
    「消化には時間がかかるだろうが恐らく、十数分で消化しきるぞ」
    「―――ッ!!」

  • 17ラストトーク25/04/23(水) 21:49:25

    それじゃ、帰れない!

    「そうだ、だからこそあの黒蛇に私を吐き出して貰う必要がある」

    話が見えてきた……つまり

    「そのためにエミコ、君のその力であいつをぶん殴れ、君の力があれば吐き出させること位はできるはずだ」

    なんでさ!?と心の中で吐き捨てる

    「簡単な理屈だよ、あの黒蛇がやってることは要は食事だ、君は殴って消化されそうになってる私の本体を吐き出させればいい」

    ぐ…そう…なのか?疑問が収まらない気がするが、思考を切り替える

    「それはいい作戦だと思うっす、だけど…」

    動くと体力は消耗する、これはあらゆるものに通じることである
    そしてこの体は知ってる…黒蛇までは届かないと、届かず力尽きるのが関の山だと

    「でも……そんなのは分かってるんすよね?」

  • 18ラストトーク25/04/23(水) 21:50:16

    語りかける
    蛇は答えない

    「何か私の知らない作戦や切り札があるならさっさと教えてくださいっす!」

    姿はみてないのにそのユラユラと首を揺らす蛇の姿だけはわかった

    「―――覚悟はあるか?」
    「ある」

    即答、こんなの考える必要も、意味もない
    何を思って覚悟の所作を問いただしたのかは知らないが、もう覚悟なんてとっくの昔から出来てる
    蛇はただ

    「これだから君は好きじゃないんだ」

    と笑いながら話した
    友人に語りかけるようなフランクな語りで

  • 19ラストトーク25/04/23(水) 21:51:12

    「5秒、休息をしろ、勝ちを作る」
    「ガッテン承知っす!」

    一切の疑問を考えを捨て、5秒の休憩を模索する
    こんな屋根ばっかり移動しても意味は無い
    ならばどうするか?
    答えは単純、建物に潜る
    迫る黒を尻目に地面を……屋根を叩いた
    ベキベキッ!と悲鳴を上げ崩れる、とまではいかずとも建物は壊れる
    完全に飲み込まれる前に1番時間を作れそうな部屋に潜り
    5秒間……ここで休息をとる、完全に体を放置し、心を落ち着かせる
    1秒、イノリに動きがあった蛇が胸ポケットから出た感触がする
    2秒、ニュルニュルと胸から首にかけてイノリが移動する
    黒が部屋に侵食する
    それを知りながらも3秒、体は最大限休ませるように動かさない
    4秒、精神を落ち着かせる…決めた覚悟を確認した
    5秒、勝機に移動した蛇は耳にイヤホンのようにへばつく
    ―――何かが接続された感覚

    「上出来だ、突き進むぞ」

    足に黒がかかった瞬間

    合図が出た

  • 20ラストトーク25/04/23(水) 21:53:32

    爆音が響く、それが決してものが爆発したとかでなくただ人がジャンプした音と言われてもいくらこの世界の人とは言え信じられないだろう
    音を響かせた少女は

    「うぇ!?なんすか!!!?」

    ただ自身の力を驚愕してた
    その力にイノリは

    「リミッターを少し解除した、多少動き易くなっただろうが使いすぎると体が先に力に耐えきれず死ぬぞ」

    淡々と恐ろしいことを言うが、いつもの事だ

    「制御と指示はこちらで、操作は任せた」

    応答は必要ない黒蛇まで残り500m
    そこまで進む覚悟だけが必要だ

  • 21ラストトーク25/04/23(水) 21:53:51

    「東85°にある建物を掴み、飛ばせ」

    上空落下、浮遊感を味わいながら手短にあった建物を掴み、上空へと飛ばす
    ―――腕の線がちぎれ、痛みが走る

    「耐えろ、次斜め54度落下地点」

    考えることは破棄しろ、指示に従順に従えなければあるのは黒に飲み込まれる死だけだ
    落下起動を少しずらし、落下地点へ落ちる

    「次南168°飛び移り西258°の建物を掴み飛ばせ」

    思考を停止した体は本能に従うように体をしなせる
    脳はイノリの言葉を反響し、私に体を動かし方を突き刺す

    「ーーーッ!!」

    勢いよく投げる、腕の線がちぎれ、痛みがまた走るが無視だ
    この瞬間に感情は意味が無い、機械のように脳を捨て指示を扇ぐ

    「足場は完了だ、『乗れ』」

  • 22ラストトーク25/04/23(水) 21:55:08

    機械のように研ぎ澄まされた脳は言葉の解を瞬時に導く
    落下していく足場に乗る

    「壊して進め、それが次の足場だ」

    1歩進める事に足を踏み込ませ足場を壊す
    バラバラに壊された足場は次なる足場として上空に飛ぶ
    その足場というには不安定な足場を繋ぎ目にし

    「―――ハッ!!」

    1呼吸吐き、足場を次々と乗り移る
    壊す、進む、壊す、進む
    この単純なレールを進む作業が身体を断裂させ焼き焦がす
    時間がスローになる感覚が体を襲う、それは死が近いことを悟った故の覚醒か?知りたくもない、興味もない
    今はただ足場の跳躍は素早く、瞬間的に、遠くへ行くこと以外の思考を捨てろ

    「残り150mだ」

    最終地点へのルートを告げる声がした

  • 23ラストトーク25/04/23(水) 21:56:29

    脳が入れ替わる、人から機械へ
    黄エミコという人のカタチを捨てて
    ひっくり返るというものでは無い、反転するようなものでもない
    ただ入れ替わった

    「ーーッ!!」

    動きが変わっていく、変化していく、最適に、最適に、最速で、最短に

    「北東43°」

    見えなくなる道を導くように声が聞こえる
    思考破棄した人のカタチをした機械

    「北343°」

    足場を突き進む程、体が作り変わってるようだ
    感覚が無意識に埋もれてく、目がモノクロになる
    必要な情報以外捨てる

    「残り50m」
    痛みという信号は赤から青に見える
    突き進むしか生存の道はないならばそれ以外の道を捨てるしかない

    「目標地点到着」

  • 24ラストトーク25/04/23(水) 21:57:10

    上空、黒蛇の真上に来る
    ―――この最後の1つの足場で全てが終わる

    「リミッター100%解除」

    エンドロールを知らせる合図が聞こえる
    引き金を引くようにイノリの声が聞こえた

    「撃て」

    私という銃弾が上空から最後の足場を引き金として落下する
    まるで銃撃のように、ただ直線を突き通す
    黒蛇はただ、天体を観測するように上空を見上げ…星を喰らうように口を開いた
    恐怖で停止してしまいそうになる右手に全運動エネルギーを捧げ
    恐怖を焼き切れるように叫び、突っ込む

    「ああああああああぁぁぁ!!!」

    大砲のように投げつけられた弾丸の『私』を

  • 25ラストトーク25/04/23(水) 21:57:41

    ―――黒蛇は受け止めきった
    所詮ちっぽけな人間風情、結局のところ頑張ってもここで打ち止め、残念賞として死が待ってる運命

    「ぐ…ぅぅぅぅうう」

    ―――でも、諦めきれない心があった
    機械の出番は終わりだ、ここからは諦めきれない諦めの悪いちっぽけな人間の出番しかない
    手が熱い、脳が、全身が焼き切れてもう全てがなんだか分からなくなってごちゃごちゃになる
    無理だ、不可能だ、失敗だ、終わりだ
    死ぬ、死ぬ、死ぬ、死ぬ、死ぬ
    そう分かりきってるはずなのに体は必死に目の前の死から逃げるように体を前身させるように突き進む

    「ぅうあああああああああ」

    全ては死に絶え、全て黒に沈もうとしても、 諦めきれない、諦めきってしまいたくない
    それは執念かもしれないし、本能かもしれない
    ―――ただこれしか進む道がなかったのかもしれない

    「ああああああああぁぁぁ!!!」

    これが最後だと言わんばかりに力を込め……

    べキッと嫌な音がした

  • 26ラストトーク25/04/23(水) 21:58:32

    折れた、と直感的に感じる
    死という文字が見えた、痛みを感じる暇すらなく、ただ呆気ない自身の死を悟った
    生きたいと思う執念も、死にたくないと思う本能も、もう意味は無い
    口を開け今か今かと待ちわびるように私を飲み込もうとする黒蛇が今は私の死を捉えた死神に見える

    あぁ…やっぱり死ぬなんて嫌だな

    ここにくる前に最初にこんな風に願ったな、なんて考えても意味がないことを知りながら ただ走馬灯のように揺らめく景色を見て
    散々嫌った神様頼りを最後にした
    ―――ポッキリと折れた骨と一緒に心も折れた気がした
    流した涙に意味は無く、絶望がただ脳裏を侵食して焦がして……






    「祈ったな?」

    ―――声が聞こえた

  • 27ラストトーク25/04/23(水) 22:00:20

    飲み込まれる直前、黒蛇が縦に裂かれた
    いや、それは厳密には違う、炸裂したの方が正しいだろう
    『それ』を拒むように黒は飛び散る…その中心点に『それ』は居た
    そしてそれと対照的に何かが切れる感触ともに耳についてた蛇が『それ』の元へ戻っていく

    「この…声は?」

    そんな奇怪すぎる目の前の現象にも私に疑問を挟む余裕は無い、ただあの声は

    「よくやったな、疲れただろう?座るか?」

    いつも通りにフランクに…いっそ嫌なほどにヘラヘラしてる顔をしてる『神』が居た
    ただいつものその姿に違和感を覚えるとしたら

    「髪が!白じゃなくて黒っす!!」
    「人型になったことよりそこに疑問を思うのがつくづく君という人を表してるようだね」

    うるさい!いやそんなことよりも今は
    「いやいや落ちる落ちる落ちるっすぅうううう!!??」

    うぎゃあああああああああああと情けない叫びをしながら上空から落下する
    デカい黒蛇がクッションになって危機一髪展開もなく虚しく黒に突撃して死ぬのが人生のオチだ
    そしてなにより受け身という脳への信号を肉体が受け付けない
    何故か浮いてる神を睨みながら落下していく
    キラキラと最後の涙を流しながら落ちる私……全てにありがとう、さよなら…
    ガシッと足を強く掴まれる感触をした感触……宙吊り状態から何とか上をみると……

    「手がかかる子だ」

    といやいや呟くイノリが居たのだった

  • 28ラストトーク25/04/23(水) 22:00:54

    デカい黒蛇の亡骸(デカグラマトンというらしいが)の上に座りながら

    「いやなんで普通に人型になってるんすか、力はもうないんじゃなかったんすか」

    と一緒に苦難を乗り越えた戦友にグチグチ呟く、それを尻目に

    「最後にエミコが『私』に祈ったからな、それで何とかパワーアップしたんだよ」
    「いやいや納得出来ないっすよ!それ出来るなら最初から私に祈ってーって言えばいいじゃないっすか!」

    体が痛すぎてもうこの鬼畜畜生イノリを殴る程の気力がないが最後の抵抗として言葉で殴ってやるという気力だけで言葉のマシンガンの引き金を引きまくる

    「そんな言葉を吐ける体力があるなら上等だな、もっと死にかけてるもんだと思ってたよ」

    くッ…私のマシンガンが全く相手にされない!

    「そもそも願いには絶望が必要なんだよ、あとそんな祈る気持ちがちっともない祈りじゃ、ここまでのパワーは出ないね」
    「なんすか…それじゃ私が最後に絶望してイノリ美味しいところ持っていかれるのは全部作戦通りってことっすか!?」
    「そうだが?」

    ―――よし殴ろう、体が悲鳴でもう泣きそうだがこいつは殴らなくてはいけない!!

  • 29ラストトーク25/04/23(水) 22:01:46

    「考えてる事は分かるだから言うがやめとけ、戻る時にさらに痛むだけだ」
    「ぐぅううう」
    「そんな獣みたいな顔をしてもダメなものはダメだ、それぐらい理解しろ」
    「ひいいいいいいんん!!」
    「そんなバレバレの嘘泣きしてもダメだ私を出し抜くならもっと考えろ」
    「おーいおいおいおーいおいおい」
    「君の泣き落としの種類って残念すぎないか?だな、下手すぎるしダメだ」
    「くそぉ…!!」

    全くダメだった、ちくしょうさっきからめっちゃ頑張って考えたのに!

    「ダメだこいつ……」

    完全にイノリに呆れられてるが、さっきまでと別の悔しさの涙が出てる私は全く気づかないのだった

  • 30ラストトーク25/04/23(水) 22:03:04

    「それじゃ、そろそろ帰らせるぞ」

    手をパンパンと叩き帰る準備をしてるイノリにそういえばと疑問が湧く

    「他の神隠しにあった人とかどうなったんすか?」
    「もう帰した、お前が最後だよエミコ」
    「薄々分かってましたっすけどこうハッキリ最後って言われると悲しいっすよ!!」

    私の必死の抗議ははいはいと適当にあしらわれた、なんてやつだ…面倒臭い絡みするのにこういう時はテキトーなのか
    私の体をガシッと掴み肩を貸されるような体勢になる

    「あの光の穴が見えるか?あそこが帰り道だ」

    肩を貸すようになってしまったが…ようやく帰れるのか

    「くぅ……次会ったら絶対許さないっすからね!」

    イノリとの会話もこれで終わりと思うと寂しさが過ぎるがそれを振り切るように話す

    「―――あぁ、そうだな」

    それに対してイノリは、ただ笑って応えた
    何かを嘲笑うような、嗤いではなく
    ただ普通に嬉しそうな…笑い方で
    それがなんだかとっても幸せそうだった
    ―――その笑顔が忘れてはいけないもののように見えた、でもそれを言うのは私にとっては恥ずかしく

    「うぅ…とにかく!早く帰りましょうっす!」

    首をブンブン振りながら話す私にあぁそうだなと答えるイノリが隣に居た

  • 31ラストトーク25/04/23(水) 22:03:41

    帰り道、黒が渦巻く凄惨な道なのに隣に肩を貸してるイノリが居るからなのだろうか?全く怖くない

    「私はここまでだ、最後はもう行けるだろ」

    光まで着いて最後に一言言おうとしたけど言葉が詰まった
    なんでなんだろうか、その言葉の意味を話したら今が瓦解するようで怖かった
    隣に居る今のイノリの顔を見て
    まるで死人みたいだ
    なんて言えるはずなかった

    「もうここからは先は自分でも行けるだろ?」
    「…ありがとうっす」

    もう一度確認するように話すイノリに曖昧な返事しか出来ない
    肩を外し、背中を向けるイノリ
    手をゆらゆら振り、神であり、蛇であった生きたいだけの何かはただ最後に何かに気づいたように光の中に居るこちらに振り返って

    「そういえば、メンチカツ美味しかったよ」

    光に包まれていく、イノリの姿が霞んで見えなくなっていく

    「!!イノ」

    最後にやっぱり何か素直に話さないと気持ちが喉を突き刺す
    まずい、まずい、このまま…最後に言った言葉がそれでいいのか、本当はもっと…

    一緒に居たかった

    声は届かず
    全身を完全に光に包み込まれ、私は『消えた』

  • 32ラストトーク25/04/23(水) 22:05:05

    「行ったな」

    最後にエミコが喋ろうとした言葉はおおよそ分かる…分かってしまう

    「ほんと、人がいいって言葉で片付けられない程の馬鹿な人間だな」

    そう呟いた…瞬間
    ゴロッとものが崩れる音ともに腕が取れる
    全く痛みを感じないが、元々死ぬ運命の死人だからそういうものなのだろうか、死をもう受け入れたから死に耐性がある

    このまま1分もしないうちに私は崩れて、崩れさって消え失せるだろう

    「ひとりぼっち…ま、私にはお似合いだな」

    最初から1人だったのだ、最後も1人で消えるだろう
    ―――1番初めに願ったのは消えて死にかけてる私の『生きたい』という願い
    その願いは別の誰かの『助けて』という悲劇に便乗するように叶った、叶ってしまった
    そこから友を願い、時間を願っていって…
    誰かの悲劇に便乗するように、自身の願いを叶えていった

    「救えようのない奴だな」
    ―――でも悪くはなかった、むしろ
    「楽しかったなぁ」

    足が崩れる、立つこともままならず、ぐしゃりと無様に倒れ込む
    あの時、最初の暗闇で忘れられて死んでいくだけだった私に光をみせたくれた『願い』が眩しかった

    「生きろよ、願うのは生者の特権だ」

    死人はただ死んでいくだけだ、生きるのも願うのも全部生者の特権、それを無粋にも勝ち取ろうとした死人の終わりが近づく

  • 33ラストトーク25/04/23(水) 22:06:30

    黒が体を段々飲み込んでゆく
    体がグズグズに崩れてゆく
    ―――最後に思ったのは

    「ありがとう」
    こんな私が言うのもなんだけど

  • 34ラストトーク25/04/23(水) 22:06:54

    そして全ては黒に染まった、全て元に戻った
    生者の求めた夢は醒め
    死者は夢に消える
    死人が死に生者は存在しない虚空に戻った

  • 35ラストトーク25/04/23(水) 22:09:37

    ―――光を感じる
    ツンっと刺すような夏の光が目をこじ開けた

    「……え?」

    知っている天井、確かここは保健室だったはず…
    久しぶりと感じるのは何故なのだろうか?
    心のスキマを埋めるように身体を動かそうとした…が

    「いたっ」

    ビリッと痺れるような、感電したような感覚が全身を襲う……特に右腕が痛む

    「な、なんで…」

    仕方なく隣をみると
    知ってる…知っている顔が居た
    随分と私に引っ付いてたんだろう、目にはクマがあって髪はボサボサだ
    でも、分かる……みんなのことを
    それを理解した時、不意に涙が出た

    「―――」

    なぜか分からない涙が出て止まらない、心臓が痛いほど何かを訴えようとしてるけど全くそれが分からない
    ―――ただその涙と一緒に

    「イノリ……」

    知らないはずの誰かの名前を零した
    ―――焼き付くような笑顔と一緒を浮かべて

  • 36ラストトーク25/04/23(水) 22:10:04

    「うぅ……ぅ」

    涙が止まらない、その理由を知ってるはずなのに浮かび上がらない
    ただ理由も分からず、泣いて、泣いて、泣いて…泣き疲れて寝てしまった
    薄れゆく意識の中、もっと一緒に居たかった、そう願って
    ―――願いを叶えてくれる誰かはもう居ないことを知りながら

  • 37ラストトーク25/04/23(水) 22:10:46

    ―――これは無くした誰かの話
    寂しやがり屋で、面倒臭くさくて、いじわるで、どうしようもなかったけど…どうにかしてあげたかった誰かとの

    ラストトーク

  • 38125/04/23(水) 22:12:33

    この話を最後まで読んでくれてありがとうございました
    時系列は先生が泣き疲れたエミコを起こすその前です

  • 39二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 22:14:14

    楽しく見させていただきましたよ!!!

  • 4025/04/23(水) 22:43:45

    あと一つだけ話がありますがまだ書いてないのでまた遅れます

  • 41二次元好きの匿名さん25/04/23(水) 22:49:06

    ならせめてそこまでは守り抜かなくては…

  • 42二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 07:53:26

    守護る

  • 43二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 10:26:00

    落ちないで

  • 44二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 18:44:28

    あと一つ
    書くまで待とう
    知恵の蛇

  • 45二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 23:35:01

    ほほほのほ

  • 46二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 01:23:54

    あと一つ
    書くまで待とう
    知恵の蛇

  • 47二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 08:08:50

    保守

  • 48二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 16:00:36

    せっかくだから感想書くか
    イノリとエミコの絡み好きです

  • 49二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 18:17:08

    待機してます

  • 50125/04/25(金) 22:48:39

    書ききれてないんですが、今書いてる文を出すのと
    一気に書いたやつを出すのどっちがいいでしょうか……?

  • 51二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 23:09:23

    >>50

    う~ん……

    小出しですかね…

  • 52メモリアルノート25/04/25(金) 23:46:19

    ―――これは最後の夏の記憶


    あの日を思った記録だ

  • 53メモリアルノート25/04/25(金) 23:47:34

    7月15日

    日記をまたつけようと思ってる
    ボロボロになってないこの日記で
    ――今は体の調子がいいけど←(むしろ良すぎる)
    ま、何かあったようとは書いてるが実際は癖が抜けないだけだ
    体が良くなっても癖は抜けないまま
    あの人を思い出せたらいいなと思ってるけどそれは難しいからここに色々書き溜めて置く意味もある
    いつか会えるといいな…イノリ

  • 54メモリアルノート25/04/25(金) 23:48:08

    7月16日

    寝たきり状態からの解放、部屋に久しぶりに戻った(あんまり実感湧かないけど)がめっちゃ綺麗だった
    たまに舎弟のミトが掃除してたらしい
    ヒトミの姉貴は

    「え、偉すぎる……」

    と呟いてたけど、舎弟は複雑そうな顔してた
    心配かけたんだろうなぁ…1年だしなぁ……やっぱり1年って長いなぁ
    ―――舎弟が舎弟感無くなって背が伸びてるのをみると嫌でも実感してしまう
    時間はもう私の知ってるものじゃないって
    大きくなったなぁと頭を撫でようとしたけど高すぎて届かなかった
    舎弟は1年前ちっこかったのになぁ……寂しい
    ちなみに部屋の寝心地はいつも通りだった
    全てに懐かしさを感じるが、気の所為なんだろうか?
    記憶が無いのに懐かしさを感じる違和感がちぐはぐだ
    いつかこの違和感も無くなるんだろうか?

  • 55二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 00:04:47

    成長を感じてる…

  • 56二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 09:46:55

    このレスは削除されています

  • 57二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 12:16:44

    待機フォックスですまない

  • 58メモリアルノート25/04/26(土) 19:55:06

    7月18日

    爆発日和の日があるとしたら今日だろう
    私みたいな神隠しの被害者はその期間は出席停止だったという体にしてあったらしく、メンチカツ部のみんなと一緒に勉強していた…けど

    「ハーハッハッハッハーハァーー!!」

    と騒がしさ極まりない声と共に爆発が起きた
    そして現れたのは2年生のハクノ
    彼女は神隠し前もとにかく問題ばっかりを起こしてた、いわゆる問題児で最近は

    「うーんイメージでは完璧なんだがなぁ…上手くいかない!我が相棒が…相棒って誰だ?」

    と情緒不安定?な状態らしく研究室?で新しい兵器を開発と言って爆発ばっかりしてるらしい
    アレはアレでいつも通りなのか…?もう数年前に居た先輩?だけど
    ちょっとあんまり関わりたくないかも……
    特に姉貴とは会わせたくない…色々な意味で爆発しそうだ
    まぁ、その開発?とやらが上手くいくことだけ祈っておこう…

  • 59メモリアルノート25/04/26(土) 19:55:40

    7月21日

    とんでもない人とぶつかった
    神隠しにあったカナさん←(同級生なのにさん付けしたくなる…これが格の差!?)
    彼女は金持ちらしくバス帰りの私みたいな人とは違い高級車←(執事が居た!)で帰って行く…想像さえ難しい
    ぶつかった時は

    「失敗は誰でもあるわ、だけどそれを私の目の前で見せないで」

    と言ってた…なんか、世界が違う
    けど、優しみと厳しさを兼ね備えてそうな凄い人だったなぁ……
    そういえばぶつかった時に後ろから殺気を感じたような気がしたけど気の所為…だよね?

  • 60メモリアルノート25/04/26(土) 19:56:02

    7月22日

    今日は色々大変だった…なにせ靴箱から果たし状が入ってたところから一日が始まったのだ……
    結論から言うがカナさんのストーカー?友人?のセノがこの事件の犯人だった
    私と同じ神隠しの被害者だったけど…とんでもない人だった

    「か、カナ様に馴れ馴れしいです!!殺しますよ!?」

    うん……初対面でこれを言える人は私はこの人以外見たことない…しかもカナさんとはただぶつかっただけで特に他に話してないし……
    果たし状の件は何とか戦ってる途中に舎弟がカナさんを連れてきて場は収まったけど……
    恨み買ってそうで怖いなぁ…どうしよう
    ケーキかなんか作って渡しそうかな…

  • 61二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 00:45:08

    待機フォックスですまない

  • 62二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 09:03:04

    保守しちゃう

  • 63二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 16:49:00

    待機フォックスですまない

  • 64メモリアルノート25/04/27(日) 19:20:26

    7月29日

    やっとセノちゃんと友達になった!
    ここに来るまでの苦難を考えると思い出深い……激熱の1週間だった
    ケーキを渡そうとしたらケーキが爆発したところから始まり…
    なんやかんやわちゃわちゃしながらもセノちゃんに

    「こ、こんな私と友達に…なってもいいんですか?あ!も、もももちろんカナ様一筋ですけど!?」

    と言わせた時のセノちゃんの可愛さたるや……人見知りとカナさん信仰が激しすぎるけど、可愛い子だ…
    よしよしを沢山してあげよう、姉貴もよしよししまくってたし……←(うやらましい)
    可愛い後輩←(数年前の先輩?でもあるけど)が出来て私は満足したよ…セノちゃんとはこれからも仲良くなりたい…

    ――これも神様ってやつの粋な計らいなんだろうか?
    普通は出会うことなかった過去の人達の出会い…
    ま、そんな深く神様は考えてなさそうだけどね

  • 65メモリアルノート25/04/27(日) 19:21:35

    8月1日

    時間というのは足早くて、あっという間に消えていってる
    今日あった出来事はセノちゃんがハクノ先輩の爆発に巻き込まれた姉貴のアフロ姿をみて爆笑していたことか…
    出会った初めはそんなに笑う子じゃなかったのに今じゃ慣れてすごく笑う子になってるんだから驚きだ
    危うく一緒に爆笑してしまった舎弟と私も怒った姉貴の銃弾の餌食になりそうになって追いかけっこが始まったのも楽しかったなぁ
    そういえば最近はカナさんとも話すようになってきた

    「セノがあんなに笑う子だったなんてね…」

    と少し寂しそうに嬉しそうに笑ってたカナさんの笑顔…うーんこれは確かにセノちゃんがハマるのも分かる

  • 66メモリアルノート25/04/27(日) 19:22:09

    ―――こうしていつの間にか日がすぎていっていつかイノリのことを忘れそうなのが、怖い
    まだぼんやりとして浮かばないイノリの姿を私はずっと覚え続けれていれるんだろうか
    いつか…また、会いたいな

  • 67二次元好きの匿名さん25/04/28(月) 01:48:05

    待機フォックスですまない

  • 68二次元好きの匿名さん25/04/28(月) 06:04:00

    あと一つ
    書くまで待とう
    知恵の蛇

  • 69二次元好きの匿名さん25/04/28(月) 15:33:45

    ほみー

  • 70二次元好きの匿名さん25/04/28(月) 22:15:14

  • 71二次元好きの匿名さん25/04/28(月) 23:23:03

    待機フォックスですまない

  • 72二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 00:50:04

    あと一つ
    書くまで待とう
    知恵の蛇

  • 73二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 03:35:17

    ほみー

  • 74二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 12:07:49

  • 75二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 13:33:34

    このレスは削除されています

  • 76125/04/29(火) 13:35:19

    書き終わった日記を鞄に閉じ、帰り道をガラガラと自転車に走らせる
    学校は辺鄙なところでバスも数本しか通ってないし電車なんて自転車で遠くまで行かないと見れない場所だ
    そんな古い風景を見ながら、自転車を走らせる
    ――いつもこの帰り道の途中にあの場所がある
    あの、神社が……
    神隠しは解決してしまったが神社を壊すには経費とか色々かかるから残すらしい

    「世の中厳しいっすね〜」

    緩く自転車を走らせながら神社に着く
    久しぶりの風景、メンチカツ部も神隠しが解決してしまったら意味がない
    元々神隠しを鎮める部活だったのだ、もう…ここに来る人はそうそう居ないだろう
    寂しさを感じながら久しぶりに草木をかき分けて緑に染まった階段を上る
    ――その場所は特に変わってないのにも関わらず、何かぽっかりと失ってしまった機械のようだった
    それ何かが目に見えないものだとしても…何故かそこには無いと感じる
    そんな風景に浸ってしまってる自分が未練がましいようで嫌いだ
    終わってる物語をまだ続けさせようとする、そんな醜悪な自分の側面、それを全く知らないわけでなく、だからといってそれを拒むことはしなかった

    「―――はぁ」

    そんな弱い自分にため息をつき帰ろうとした、その時

    「あなたは……?」

    知らない声が耳を叩いた

  • 77二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 17:15:25

    待機フォックスですまない

  • 78二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 23:08:59

    待機フォックスですまない

  • 79二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 03:34:43

    あと一つ
    書くまで待とう
    知恵の蛇

  • 80二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 09:09:43

    待機フォックスですまない

  • 81二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 17:02:59

    待機フォックスですまない

  • 82125/04/30(水) 23:42:23

    その人は、人と定義するには儚く、脆い夢のような、幻想のような人だった
    目にした瞬間、切り取られた写真のように時が止まる

    「―――ぁ」

    せめて一体誰かと問う言葉を話そうとしても口が固まって上手いこと動かせない
    それほどまでに、人を人と思えないほど、特殊だった
    そう、特殊、特別でなく、特殊
    資質が、時間が、持ってるものが違うだからこそ、この世界にいることに違和感がある
    そこにいていい人ではないと口ではなく心が叫んだ
    俗に言う一目惚れというには特殊すぎる瞬間だけれどこの瞬間を言葉で表すとするならばやはり……一目惚れとしか言えないのだろう

    ―――それはまるで時を感じさせる芸術品に脳を焼かれるような……そんな瞬間だった
    それを

    「大丈夫ですか?」

    と、当の本人が壊し、動かした

  • 83スレ主25/04/30(水) 23:45:08

    色々ゴタゴタしてて更新が遅れます
    完結はさせたいですが、落ちたら気持ち的にもその時で終わります
    だからこそ、本当に保守ありがとうございます
    この保守を活力として頑張ってみます
    本当にありがとう

  • 84二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 02:12:00

    待機フォックスですまない

  • 85二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 08:05:53

    好き

  • 86二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 11:04:28

    待機フォックスですまない

  • 87二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 17:22:27

    待機フォックスですまない

  • 88二次元好きの匿名さん25/05/02(金) 01:16:37

    何回も何回も保守間に合わず落としてしまったんだ
    最後くらいは守るぞ……

  • 89二次元好きの匿名さん25/05/02(金) 01:33:59

    待機フォックスですまない

  • 90二次元好きの匿名さん25/05/02(金) 08:40:04

    待機フォックスですまない

  • 91二次元好きの匿名さん25/05/02(金) 13:12:41

    待機フォックスですまない

  • 92二次元好きの匿名さん25/05/02(金) 17:31:10

    待機フォックスですまない

  • 93二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 00:15:29

    書いてくれるの嬉しい

  • 94二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 04:13:47

    待機フォックスですまない

  • 95二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 09:01:15

    待機フォックスですまない

  • 96二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 16:49:02

    三時間前ですが保守しますよ、続きが見たいので

  • 97二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 21:32:24

    このレスは削除されています

  • 98メモリアルノート25/05/03(土) 21:43:28

    8月1日 追記

    帰りの神社で人に出会った
    その人はよくここにくるらしいがその人自身は

    「よく分からないんだけれど…どうしてもここに居そうな人の帰りを待ってる」

    と笑って話してる、なんだか親近感が湧いた
    その誰かが…私にとってのイノリのようで

    その人とはまたここで会う約束をして家に帰った
    なんだか不思議な人だった
    浮世離れしてるような…『ここ』を知らないような
    まるで別の世界から来たような感じの人だ
    その不思議な感じが魅力的なようなキケンな感じがする匂いがあった
    それでも会うことを辞めようとは思えない
    まだ名前も何も知らないけど…いつかきっと友達になれそうな気がする

    またあの神社であの人に会ったら今度は何を話そうかな

  • 99メモリアルノート25/05/03(土) 22:09:41

    8月12日

    彼女について今日は書こうと思う
    神社に行って彼女と喋ることと言えば単純な身の上話

    「最近何あった?」

    とか

    「そういえば昨日……」

    とか

    そんな、他愛もない話を神社に来ては話してる
    いつの間にか学校が終わってメンチカツ部のみんなと別れたら神社に来て彼女と話をするようになっていってた
    それを悪いとは思わなかった、むしろ楽しく心地いいとさえ思ってる
    けれど…いやだからこそだろうか?
    話をするほど彼女との『ズレ』を感じる
    例えば、数年前から神社の近くに出来てたコンビニを知らなかったり、先生やシャーレのことを知らなかったり……
    とにかく色々なことを知らない、本当にどこか別の世界から来た人物のようだった
    彼女はいつもにこやかに笑うけれども、その顔の裏に何かがあるような気がしてたまらない
    ――何か神社の『神』について知ってる気がして質問してみた時があったけど

    「うーんそれに関しては知らないね」

    と笑って話を変える
    最初の印象から知れば知るほどその儚さが『ここ』との『ズレ』だという確信が近づいていく
    それでも彼女と会ってしまうのは…きっと彼女を通して私を見ているからだ

    ―――イノリの帰りを待ってる終わりを拒んでる醜悪な側面の私を

  • 100■■■■25/05/03(土) 23:15:53

    「はぁ……」

    暗い気持ちを吐くほどの快晴を窓から眺め、気持ちを呟く
    特に変わらなくなった世界でゆうゆうと暮らしながらこの先を見る
    ―――普通の毎日が帰ってきた!そう言えば幸せなのだろう
    だがこの心に溜まるものはその普通の中に入れたかった誰か…イノリの事

    「また」

    なんて妄想を繰り返しレコードのように溜まりきった鬱憤
    ―――今日こそは
    と運命のイタズラを信じてる私を笑うように晴れ渡ってる空が好きになれかった
    ━━━━━━━━━━━━━━━
    「また明日ーー!!」

    いつものように挨拶をして帰り道を下る坂道、その道すがら『彼女』が居た

    「あなたは……」
    「君は…黄エミコだったね、すまない少し話をしてもいいだろうか?」

    そう質問をなげかける彼女……セイアの誘惑がイノリへと繋ぐ運命イタズラだと信じて

    「はい」

    と頷いた

  • 101残留死別25/05/03(土) 23:25:59

    何事にも後始末がある
    これはその後始末、彼女が遺した罪
    あの夢を追い続ける者への罰
    あの夢の残骸の境界線上にある物語







    ――そろそろこの毎日にも退屈してきたんでしょう?
    憂鬱感で俯く前にくるりと回り出した歯車で一緒に踊ろうか

  • 102二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 02:09:52

    待機フォックスですまない

  • 103二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 10:13:48

    待機フォックスですまない

  • 104二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 17:41:23

    このレスは削除されています

  • 105二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 18:49:47

    >>104

    保守し忘れていたんだ。ありがとう。

  • 106残留死別25/05/04(日) 21:13:07

    ━━━━━━━━━━━━━━━
    「それで話って何すか…?」

    ふぅと息をつきネオンが落ちてる公園の椅子に座るセイア

    「私が話したかったのは夢とは思えないあの空間についてだよ、まずはそこから簡単に説明しようか」
    「まぁその前にずっとあの神の居た空間をあの空間と呼称するのは少々ややこしい、という訳で名前を考えてきた」
    「その名前ってなんすか…?」

    疑問に答えるようにふふふとニヤリと隠し事をする子供のように笑うセイア

    「あの空間の名前はそう!夢境!!」

    ドヤッと私を見つめるセイア…

    「いい…名前っすね…」

    ちょっと普通にいい名前だ……ツッコミ辛い程

    「この話はここまでにしてそろそろ夢境の話へと移ろうか」
    「そもそも夢境とは何か?という話だが、夢境は夢であり夢では無い…これはいわゆる概念的な夢なんだよ、寝る時に見るものではなく願いをするための燃料、その夢と言えばいいのかな?その夢である夢のような空間、そして願いを叶えるという性質それは人の不完全性を表すある種の処刑台と言っても差し支えないだろうね」
    「夢境が何故発生したか?それは分からないが元あった何かが変容したと推測すればある程度理解はできるそう……あの神社だよ」

  • 107残留死別25/05/04(日) 21:33:18

    「そもそもあの神社は元々何を祀ってあったか…帰ってからそれを少々調べててね、なにそんな驚いた顔をしなくても大丈夫さこう見えて話の伝はあるからね」
    「結論から言ってしまうとあの神社は神ではなく蛇を祀っていたらしい」
    「今は落ち着いてるようだけどここは昔は地震が多かったらしいその地震を起こしてるのは巨大な蛇だと昔の人は考えだろうね」
    「実際の事実なんて証明不明だけれど昔の人は少なくともそう考え信じてた、だからこそ神社を作って蛇を祀りあげて地震を鎮めようとしてた」
    「結果的は成功しただろうね、その後の後始末をしっかりとしなかったこたに目を瞑れば…だけど」
    「?成功なのにどういうことっすか?」
    「何事にも後始末というものがあるのさ、それを先代の人達は見誤った…だからそこ神隠しが起こった」

    話が見えてこない…何が…言いたいのだ?

    「そんな結論を急かすような顔をしても得にはならないさこの話は過程が重要なんだよ、過程を知ってようやく見える」

    結論だけじゃ見えないからね、と話を継ぎ足して話すセイアの瞳が酷く遠く見える
    ―――胸の中で滲む何かがでる
    それは蓋をしてあったもののようでもあったけど1番は欠けたものを埋めようとする自己再生の意志によるものだ
    身体で例えるならばセイアの話は私の傷を埋めるカサブタだ
    まだ足りないがこれを埋めれば……見えるはずだぽっかりと無くなった何かが
    緊張感で喉が痛くなる
    この先への道が誤ってるのか正しいのか……それを知るにしても結局は情報が足りないのだ
    ならばそれが例え毒だとしても飲まなければいけないのだろう

  • 108スレ主25/05/04(日) 23:09:37

    この先の展開ぼんやりと考えてるんですが安価入れてみたいな〜ってシーンがあるんです
    ……その時がきたら安価してもいいですか?

  • 109二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 23:12:37

    もちろん

  • 110スレ主25/05/04(日) 23:14:11

    >>109

    ありがとうございます!その時がきたら入れます!

  • 111二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 01:40:58

    それまで待機フォックスですまない

  • 112二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 09:11:00

    ゆったーり待ちましょう!

  • 113二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 16:33:17

    禁断の果実的なものかね、ノリとしては

  • 114二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 23:47:47

    このレスは削除されています

  • 115二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 01:19:39

    待機フォックスですまない

  • 116二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 09:25:42

    待機フォックスですまない

  • 117二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 14:43:24

    楽しみ

  • 118二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 22:50:30

    待機フォックスですまない

  • 119二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 04:26:03

    待機フォックスですまない

  • 120二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 12:50:30

    待機フォックスですまない

  • 121残留死別25/05/07(水) 19:51:38

    「まぁかと言ってだ、結論が見えないと話の流れも分からないことがあるだろうしね」
    「少しだが見やすくするために結論を言おうか」
    「はぁ…それはいいっすけど」

    まるで気分屋だなと心の中で思う、いや言いたいことは分かるが…2転3転してる感じがする、良く言えば臨機応変、悪く言えばその場任せ…と言えばいいのだろうか?
    ―――後者の方がセイアらしいのでは?と思う気持ちは封印だ

    「結論を少し言うとね、この神隠しはまだしっかりと終わってない…と言いたいんだよ」
    「なっ…!」

    さっきの気ままな感情が吹き飛ぶ言葉の衝撃が脳へとダイレクトに叩かれる感じでクラっとしてしまいそうになる

    「なんで…なんでそんな…ことが?」
    「驚くのも無理は無い……だからこそしっかり順序を話したいんだ」
    「なら……話してくださいっす、その順序を」
    「そうだね…もう空が暗くなってきてる長話も程々に話すよ」

    空を見上げて話すセイア…この先の道が暗くなるのようなそんな憂鬱になりそうな空だった

  • 122残留死別25/05/07(水) 20:09:02

    まず、と確認をとるようにセイアは話す

    「1番重要なことのなのだが、君は夢境に居た時の記憶は持っているんだろうか?」
    「それは…覚えてもなんにもないっすけど」

    その回答に満足したのかセイアは

    「そうか…ならやはりこの記憶は『バグ』のようなものなんだろうね」

    と答えた
    ―――疑問が湧く、いや元々持ってた疑問が強くなるといった方が正しい

    「そもそもなんでセイアさんって夢境の記憶を失わずに持ってるんすか?」
    「それに関してだが…私の夢境への侵入方法が少々強引でね…やらかしたと言ってもいいだろう」
    「?どういう方法でその夢境に入ったんすか?」
    「さっきも話した通り夢境というのは夢に似ていると言っただろう?私は色々あって夢に関して少し干渉出来てね…その夢境へ無理やり入り込んだのさ」

    そんなことできるの…?と言いたいが実際出来て(その影響で?)記憶を保持してるのだから否定も出来ない

    「疑問があるだろうがここは少し耐えてくれ話を進めよう」
    「さっきも話したが神隠しが起こった元凶というのは先代達の後始末の失敗さ」
    「ではその後始末とは何か?簡単な話さ」

    汗が滲む、さっきまで感じてなかった夏の体温が今更ながらジンジンと皮膚に刺さった
    慎重に、確実に、聴き逃しをしないように耳をすます

    「あの神隠しの原因というのはね、あの蛇…イノリのことを先代が忘れたことなんだよ」

  • 123二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 05:08:13

    待機フォックスですまない

  • 124二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 12:26:53

    また難しい事を…

  • 125二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 20:25:07

    待機フォックスですまない

  • 126二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 22:03:14

    このレスは削除されています

  • 127残留死別25/05/08(木) 22:04:38

    「――イノリを…忘れたこと?」

    瞬間、ビリッと脳が痛む
    ガンガンと歪んでる教室で誰かの声が聞こえる

    「忘れられるのさ、私に限らない話だけどね」

    誰?ダレ?だれ?
    悲しそうに語る彼女を私は?
    知らない、知ってる、知らない、知ってる?知らない、知ってる?知らない!知ってる?知ってる?知らない!知ってる!知らなななななな――――

    「――ぐぅ……うァ…あぁ」

    脳が痛い辛い苦しい……寂しい

    「エミコ!!??」

    ――でも

    「だ、大丈夫っす……」

    これは……

    「傷が治るための痛みっす、だから…大丈夫……っす」

    確信を得た、この先の道への…確信を
    イノリを思い出すためにはこの先へ…進まなくては
    それが例え茨の道だったとしても…だ

  • 128二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 06:33:03

    待機フォックスですまない

  • 129二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 12:26:45

    つよい

  • 130二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 13:26:27

    待機フォックスですまない

  • 131二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 23:01:24

    待機フォックスですまない

  • 132二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 07:50:30

    進むべき道ッ!

  • 133二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 15:51:40

    再び規制、書き溜めします
    保守感謝

  • 134二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 23:21:15

    タイキー

  • 135二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 04:05:56

    待機フォックスですまない

  • 136二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 11:24:54

    待機フォックスですまない

  • 137二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 16:43:24

    待機フォックスですまない

  • 138二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 01:53:49

    大丈夫かな

  • 139二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 09:35:17

    保守

  • 140残留死別25/05/12(月) 17:27:40

    初めて自覚したのはその在り方の気持ち悪さだ
    人という生き物はその時、その時代を生きるものだ
    ならその時の枠から外れた人間は人と呼べるのだろうか?
    ―――答えは分からない
    聖人でも賢者でもなんでもないただ1人の女子高生がこんなちっぽけな思考で辿りつく発送なんてそれこれ何千何万もの凡人が思いつくものだろう
    だから答えを放棄した
    くだらない発想で縛られるくらいならいっそその発想を捨てて別の何かに執着する方が合理的だ
    そう答えを放棄して何も考えず思考停止したその末路がこれだ
    笑える
    ほんとうに……笑える程に馬鹿な話だ

    「ぅ――おぇ」

    びちゃびちゃと腐った匂いがする吐瀉物を撒き散らす私はきっと惨めでみっともないんだろう
    そんな思考でまた『それ』を見ないようにする

    「ぁ――あぁぁ」

    蹲り頭を壊す程の酷い頭痛と吐き気に襲われながら私はただ1つ言葉を吐いた

    「――――ぃ――のぉ――――り――ぃ」

    そんな姿を真っ黒な目で蛇が見ていた
    みていたんだ

  • 141残留死別25/05/12(月) 17:31:10

    「くぅ…きっっつい……っす!!」

    ヒィヒィ言いながら坂道を自転車で押しながら歩く
    日差しはズシズシと体に刺さるし蝉の声が嫌いになるほど鳴く
    つまるところ最悪という訳だ

    「そりゃ帰り道は楽っすけど……!!」

    この世の不条理を叫ぶような怒りを込めながら呟く
    山の方へある学校へ行く道の中でなぜこんなにも苦痛を喰らわないと行けないんだ…昨日寝れなかった自分のせいか!?

    「くっ……どうしてこんな目に……」

    これも全部神ってやつの仕業なんだ
    とそんな風に神に全責任を押し付けられない
    ――まぁこれも昨日セイアの話を聞いてから眠れなかった私のせいだが
    そんな現状を恨みながら進むその道の途中で

    「――――ぇ」

    ガシャンと突然現れた非現実に対応出来ず自転車を倒してしまう

    「なん……なに……」

    それを認識し生きていたものと確信するに数秒かかる
    心がそれはありえないとエラーを吐くがそんなのお構い無しに脳はただ目の前の情報を写していた


    ―――そこにはバラバラにされ肉の塊となった蛇が乾いた血と共にいた

  • 142残留死別25/05/12(月) 17:31:34

    「はぁ……」
    「どうしたんだエミコ?今日めっちゃため息多いぞ……?」

    ぐでぇーとだらけた姿勢で席に着いてる私に姉貴が心配そうに声をかける

    「姉貴ー今日学校に行く途中でめっちゃ怖いことあったんすよ〜」
    「そんなに悩んでる感じを出してどうしたんだよ?僕は今日目玉焼きが上手に焼けて嬉しいぞ」

    関係ないことを口走るこのアホタレ…姉貴は心配してるのかしてないのか絶妙に分からない対応をすることに少しイラつく

    「姉貴、人を慰めるならその対応を辞めるっす、ウザイっすよ…目玉焼き上手く焼けたことは褒めるっすけど」
    「そうだね、ウザいよヒトミ…あと目玉焼きくらい普通にできるでしょ?なに自信満々に言ってるの?」
    「えーそんな…………へやァ!?なんでミトも居るんだ!??」
    「何?私が居ることがおかしいの?ヒトミの対応の方がおかしいと思うけど」
    「自分がおかしいことに気付きながら私をディスりやがったよ!!この子!!」
    「あら、それが何か問題?」
    「僕は問題しかないと思う!!」
    「――2人は相変わらずっすね〜」

    なんだかこのいつものやり取りを見ると安心する
    あの非日常もこの日常には無力ということだ

    「はぁ……ヒトミは話が通じないからもういいけど、エミコ結局何があったの?」
    「はァ!?人」「ヒトミ、ステイ」
    「く……このォ……」

    ひとしきり話したのか舎弟が話を戻そうとする
    そして舎弟の発言でまた噛み付こうとした狂犬(笑)姉貴をステイと言いながら手を出して制する舎弟
    それを……日常を見てただ安心するのだった

  • 143残留死別25/05/12(月) 17:32:02

    「蛇がバラバラに死んでたぁ〜?」
    「そうっす」

    朝から目にした惨状を説明した反応は案外あっさりとしたものだった

    「なぁエミコ…それってそんなヤバいことなのか?夏だし蛇が死んでたっていう話はこんな田舎じゃ割とある話…じゃないかもしれないけどそんなに異常事態でもねぇだろ」
    「はぁ…このクソボケメンタルイリュージョンヘタレに説明したことが間違いだったねエミコ」
    「なんだその適当に横文字つけて長くしたイジりは!?」
    「まぁでも確かにヒトミの言う通りね……バラバラってのが少し気になるけど」
    「華麗にスルーされたしヒトミに呼び名が戻ってる!?」
    「そうっすね……確かにバラバラな蛇のショッキングさに過敏になってたかもっす」
    「エミコにもスルーされた!」

    はいはいと姉貴を適当にあしらいながら、朝のことを想起する
    バラバラの死骸、蛇ではなく肉の固形物となった姿、乾いた血
    頭から離れない死んだ瞳

    「―――エミコ大丈夫?」
    「大丈夫っすよ!」

    ―――なんだかそれがとても不吉な運命を示してるようで忘れるに忘れきれなかった

    「ハァーーーハァハァーー!!今日は雷を使う発明品が出来たぞ!!!」
    「シリアスな雰囲気ぶち壊しっすよ!?」

  • 144二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 00:02:24

    ヒエーッ……蛇の死骸かぁ……

  • 145二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 06:44:31

    うへぇ

  • 146二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 14:14:55

    待機フォックスですまない

  • 147残留死別25/05/13(火) 21:37:17

    ガラガラと下り坂で自転車を漕ぎ部屋へと帰る

    「やっぱ過敏になってたんすかね……」

    彼女…セイアの話を振り返る、長ったらしい話し方でちょくちょく分からない部分もあったがだいたい端的に要約すると

    「神隠しの記憶を取り戻してイノリを復活させる…そして『バグ』をイノリにどうにかしてもらうって話っすよね」

    ほんとなのかどうなのか不確かであり実際にセイアも成功する確率は分からないと言ってた
    それでやらなくてはいけない…とも言ってた
    復活の原理とかはややこしく、記憶の転載やら見ているチャンネルやら願いが源流ならなんちゃらかんちゃら…まぁこんな頭じゃちんぷんかんぷんな話だったが、やるべきことは単純で神隠しにあった他の人の記憶を取り戻させることだけだ

    「私では色々と怪しいからね…彼女達と関わりのある君に頼みたいんだ」

    そんなことをセイアは言っていたような気がする、そしてイノリが復活したら

    「イノリを…」

    また消えてもらう、そう彼女は言ってた
    それはそうだろうなと納得する
    ―――イノリは別に聖人でもなんでもなくどちからというと悪人なんだろう、それも極悪な方の……悪人
    だから彼女の言ってることは間違いではない

    「――でも正しくもない」

    イノリに会うなら……彼女に協力する、だけど…会ったあとに『後始末』としてイノリが消えるとしたなら私は

    「やっぱり少し過敏になってるっすね〜」

    その日は神社に寄らなかった

  • 148二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 02:30:01

    なるほど…?

  • 149二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 10:07:34

    不穏というかなんというか

  • 150二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 17:28:36

    待機フォックスですまない

  • 151二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 01:13:20

    このレスは削除されています

  • 152二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 09:33:00

    大丈夫かなこれ

  • 153二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 15:50:44

    待機フォックスですまない

  • 154残留死別25/05/15(木) 22:12:35

    呼吸ひとつひとつが煩わしい
    体が血液が脳が心臓が何もかもが『私』に適応していない
    ついにこの肉体すらからも見放されたのかと自嘲気味に笑うが全く笑えない話だ

    「うぐぇ――――ぅ」

    肉体との乖離の気持ち悪さに酔いながら今までを想起する
    あの日から私は劇的に変わっていった
    外ではなく内部がであるが
    肉体の方は外と対応しているが肝心な中身がダメだ
    もう既に人ではない、ヒトのカタチではない
    この森も空気も世界さえも何もかも煩わしいことこの上ない
    結局のところ人が人足り得るのは中身なのだ
    私はもう人ではなく人の骸を被ってるナニカなのだと今更ながらに知った

    「――――ハッ」

    嗤う
    自嘲的に世界を呪うように自分も何もかも
    全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部に!!!



    ポタと何かが足に落ちた
    ―――水滴だった
    冷たい月がその様子をみていた

  • 155二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 06:50:11

    ヒェッ

  • 156二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 13:55:27

    待機フォックスですまない。

  • 157二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 16:45:33

    不穏やな…。どうか幸在らんことを。

  • 158二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 00:15:42

    保守 

  • 159二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 09:00:40

    待機フォックスですまない

  • 160二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 17:01:15

    待機フォックスですまない。

  • 161残留死別25/05/17(土) 17:01:51

    扉の外からのも伝わる騒がししさ
    嫌な予感が脳裏をよぎりながら教室を開ける
    騒がしさは明るいものではなく、陰鬱で物騒でとてもおはようなんて挨拶できる雰囲気ではなかった

    「えええええええエミコさん!!」
    「うわっぷ!?」

    後ろからドンッと強い衝撃がくる、思わず振り返ってみると

    「ああああああ!!??す、すいません!!」
    「だ、大丈夫っすよ…セノちゃん」
    「な、なら良かったです……それもなんですけど!!」
    「な、なんっすか…?」

    興奮気味なセノちゃんに不安感を覚えながら話を催促する

    「実は…へ、蛇が」
    「蛇…?」
    「蛇が数匹も磔にされて死んでたんです!!」
    「しかも掠れててよくわからなかったけど多分『イノリ』って血で書いてて…わたし…わたし!!」

    「――え?」

    涙ながら私を掴み話すセノちゃんに嫌な予感が命中したと直感的に察する
    あの日のセイアの話がフラッシュバックする

    「もしかしたら私のようにあの夢境の記憶を持ってたり君みたいになにかがきっかけになって目覚める子がいるかもしれない…あの記憶は人によると思うが鮮烈なものだ、急に目覚めたら…正気を保てるかわからない」
    「だからならべくゆっくりと、じっくりと、記憶は目覚めさせたいと私は思ってる」

    歯車は知らず知らずのうちにもう廻り始めてることを遅すぎるが本当に今更ながら知ったんだと、後悔した

  • 162二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 01:21:48

    大丈夫なんか? これわっぴーになる?

  • 163二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 09:45:43

    うおぉ…

  • 164二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 11:16:34

    あかんどうなるか気になって仕方ない

  • 165残留死別25/05/18(日) 15:26:01

    「ハァ…ハァ……!!」

    肩で息をしながら走り人目のつかない所へ出る
    モモトークを開き『彼女』に連絡をする

    「セイア…!!」

    記憶を取り戻した人がいる旨のメールを送信し、いつ来れるかを確認する

    ――意外と早く返事はきた

    「連絡は見せてもらったよ、そっちにすぐにでも向かいたいところだけど…場所が少し遠い」
    「先生と一緒に行くつもりだが到着は早くてもおそらく明日になると思う」
    「すまないが明日までなんとかその記憶に目覚めた可能性の子を抑えててくれないか?」

    歯痒いがここは電車も通ってない辺境の場所…セイアたちが遅れてくるのも仕方ないだろう
    OKと返事をして教室へと戻った

    「これでいいんすかね……?」

    いつもは頼りになる体が泣き叫ぶほど震える


    普段は感じない蝉の声と夏の温度が今日は気持ち悪いほど感じてしまった

  • 166残留死別25/05/18(日) 17:49:17

    嫌な汗が噴き出る
    手遅れだとは知ってた、自分がもう人ではないということも
    溢れ出るのはただ疑問
    なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?な――
    そのなぜにはいっぱいの意味があって、でもそれを理解する時間などなかった
    もう……もう……このまま
    身体をこねくり回す吐き気、脳が軋むほどの頭痛、そして肉体と自我の乖離に心を犯されながら必死にこの骸から抜き出せる方法を考えてた
    そうでもしないと心が死にそうだった
    星さえ喰い尽くすほどの昏い夜にただ漠然とした『ナニカ』を探して惑う
    そんな中

    「なるほど…死にながらも生きているのか。」

    ギシギシと軋んだ不調和を奏でながらそれは話す

    「あ…なた……は?」
    「芸術を介する者。」

    端的に己の存在を確定出来ているその答えがなんとも心地よかった
    見た目こそ不気味だがそれはこっちも同等だ…いやこちらの方こそ『異常』なのかもしれないが
    そんなことを考えてる私を知ってか知らずか彼は話す

    「芸術を介する者として助言をしよう。」
    「貧乏くじを引いてしまったが故にカタチに抗うこととなり、それでも自己を確立させようと藻掻く放浪者よ。」
    「なにそこまで難しい話ではない、むしろ簡単な話だ。」
    「己を確立させるためにここまで足搔き藻掻き耐え抜いたのならば、あとは切っ掛け一つで事足りる。」
    「名前だ、名があってこそこの世界に自己は自己として確立される。」
    「己の存在を世界に証明するのならば名を見つけることが重要だ。」

    ただそれだけを言い芸術家は去った、それだけだった

  • 167二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 23:04:12

    鯖落ち対策のためにレスする。

  • 168二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 02:06:19

    忘れかけていた鯖落ちの恐怖。

  • 169二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 09:20:51

    待機フォックスですまない。

  • 170二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 16:04:47

    待機フォックスですまない。

  • 171二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 00:26:41

    この言葉をどうとるかよ

  • 172二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 08:02:30

    マエストロ…!

  • 173残留死別25/05/20(火) 14:07:30

    ひとりきりの森に乾いた笑い声が響いた
    だがそれは誰かを嘲笑うものではなく、生誕を賛歌するものであった
    ひとりきりの森で少女は変わる
    生まれ変わり生誕する
    それは『己』との死別
    今までの残留を残骸を捨て去り投げ棄て生誕する新たな生命への賛歌が響く
    森が空気が大地が何もかもが賛歌する
    まるで主の帰還を歓喜する声のように全てが賛歌する


    ――それはひとつの神話のような『ナニカ』の生誕


    『鳥羽辺 イノル』


    その名を月が昏い夜にただ1つ浮かぶ月が聞いてた

  • 174スレ主25/05/20(火) 14:10:15

    他のキャラは安価や適当で決めましたがこのキャラだけは由来があります
    それも楽しんでくれたら嬉しいです


    ――関係ないけど多分このスレじゃ残留死別終わらないね!落ちずに完走しそうになったらその時は次スレ建てます

  • 175二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 14:22:48

    よろしくお願いします。

    >>174

  • 176二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 17:30:24

    鯖落ち対策のためにレスする。

  • 177二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 00:42:41

    だから…守るね?

  • 178二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 01:55:30

    >>177

    守ってくれてありがとう。鯖落ちで焦ってたんだ。

  • 179二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 20:10:56

    このレスは削除されています

  • 180二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 22:00:39

    焦ったー。

  • 181二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 01:39:12

    鯖落ち対策のためにレスする。

  • 182二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 08:10:30

    守るよ~

  • 183二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 11:37:21

    昨日みたいなことにならんといいんだが……

  • 184二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 14:10:55

    待機フォックスですまない。

  • 185残留死別25/05/22(木) 14:54:54

    ――セイアたちは明日の朝には到着しなかった
    いつもの日々
    いつもの通学路
    いつもの時間
    いつもの通りの変わらない生活

    その……はずだ

    「エミコ…?」
    「あぁ!舎弟!大丈夫っすよ!」
    「まだ何も言ってないけど…」
    「あははは…考え事してたから少しぼんやりしてただけっす!」
    「そうか?僕にはそんな風には見えないけど」

    ギグッと思わず体を動かしてしまう

    「あ、姉貴は目がいいっすね……」
    「ふふふ…褒めてくれてありがとう、代わりのヨシヨシをしてやろう」
    「うにゃーー!?」

    急な姉貴からのヨシヨシ攻撃に猫のような鳴き声をしてしまう

  • 186残留死別25/05/22(木) 14:55:23

    「いや力強いっす!!」
    「愛いやつめ〜」
    「うぎゃーーー!?」
    「はぁ…ヒトミ」
    「げ…」
    「なに?まだ私は何も言ってないけど」
    「いやいやミトがそう言い始めるのは決まって私を怒るタイミングじゃないか!」
    「あらよくわかったわね、ヒトミ消えなさい」
    「罵倒への躊躇いが一切ない!僕が何をしたって言うんだ!?」
    「いや結構色々してるっすよ…」
    「エミコサン!?僕たちは仲間じゃなかったのか!?」
    「姉貴は友達っすよ」
    「う………急にそんなこと言わないで欲しいなぁ!?」

    笑いながら語る
    そうだ、これが日常なんだ
    日常で、平穏で、普通で、幸せ

    その……はずだ、そうに決まってる、そうじゃなきゃそうとしなくちゃ…

    「なぁ、エミコ」
    「な、なんすか姉貴…?」
    「なにか僕たちに隠し事してないか?」

    ――呼吸を忘れそうになる、眼球がカラカラと乾いたような錯覚さえ感じてしまう
    それを……私は……

    「……いいや、何も無いっすよ!」

  • 187残留死別25/05/22(木) 14:55:44

    誤魔化した
    誤魔化して見ない振りをして、何を無い平穏を望んだ

    「ふーん…ならいいか」

    それをヒトミがじっと見つめていた

  • 188残留死別25/05/22(木) 15:07:31

    自転車で乾いた地面を走る
    背中にびっしょりと汗があるがきっとこの汗はただ夏の暑さ…では無い
    ――とにかく今は部屋に帰りたかった
    部屋に帰ってクーラーでもつけてこの嫌な汗ごと涼んで
    昼寝してご飯を食べて風呂に入って寝たい
    そしてまた今日も何も無かったって安心させてほしい
    何も知らずに何も無かったことにして…今ただ安心したい

    「久しぶりね」

    なのに、なのに、なのに
    どうして非日常というのはこうも、こうもいとも簡単に

    「時間…ある?また2人で一緒に神社で話したいな」


    「いい……っすよ」

    私は彼女からの提案を断れなかった

  • 189残留死別25/05/22(木) 17:28:15

    「結局…エミコは何も話してくれなかったな」

    帰りのバスの停留所でミトと待ちながらあの昼のことを思う
    空は明るく澄み渡ってるはずなのに暗いように見えるのはそういう気持ちのせいなのだろうか

    「ヒトミ…やっぱ無理にでもエミコを」
    「それはダメだ、目覚めたあのにあんなに泣きついたんだ…これ以上心配してるってことがバレたら絶対エミコに心労をかける」
    「それは…そうだけど」
    「――まぁ安心しようぜ、もう神隠しは終わったんだこれ以上何かが起こるなんて有り得ないさ」
    「それ、フラグって言うんだよヒトミ」
    「うげ、もしかして僕またなんかやっちゃいましたか?」
    「もう……でもありがとう」
    「―――あぁ、別に大丈夫だよミト」

    そんな話をしてる間にバスが着く
    バスのドアが開き、そろそろ入ろうかと思った時

    「君は……」
    「――セイア?」
    ″知り合い…?″

    セイアと先生に出会った

  • 190二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 20:50:25

    先生キタ。これで勝つる

  • 191残留死別25/05/22(木) 22:09:00

    「いや〜久しぶりだね!」
    「そうっすね…」

    夏の暑さ蝉の声その全てを感じ取れないほどに『彼女』に意識を持っていかれる
    これが単なる勘違いならばそれでいい、それで明日が回って朝を迎えられるなら

    ――でもそうでは無いとしたら?

    確証なんてない眉唾ものの妄言だ…その…はずだ

    「ねぇ?」
    「うひゃい!?」
    「あはは…少し驚かせちゃったかな?」
    「いや大丈夫っす…最近物騒で何かと考え事しちゃう癖が出ちゃったんすよ〜そ、それより最近そっちは何してたんすか?少し…雰囲気が変わったような気がするっす!」
    「へぇ…」

    彼女がこの世とは思えない瞳で私を見つめる
    何もされてなかったのに自分の考えが見透かされてるようで…恐怖を……感じた

    「ねぇ、最近あったことなんだけどさ」

    くるくると楽しげに回りながら彼女は喋る
    本当に、楽しげに

    「いいことがあったの、きっとそれは人生を変えちゃう程のものでさ、少し前までは気付きもしなかった」

  • 192残留死別25/05/22(木) 22:19:15

    「前までは自分がなんでこんなところにいるか分からなくてさ、本当にこのままでいいのかなって悩んで無意識のままにここに来てた」

    回転が終わり私を空のように澄み渡ってる藍色の瞳で見つめ、楽しげに語る

    「あなたと出会ってこのままでもいいかなってそう思ってた、何も知らないで知らずにただ幸せに生きても」
    「でも」

    声が低くなる、心臓がうるさい息が辛い

    「そんな簡単な話じゃなかった…因果っていうのかな?そういう運命かもしれない」
    「もう『それ』に気づいてしまっちゃったらもう見過ごすことなんてできっこない」
    「私は感謝してるんだよ、あなたに出会えたこと、あの夜あの話を聞いたこと」

    「―――ぁ」

    「酷い顔をしてるなぁ…ねぇ?そんな顔をして大丈夫?」


    「エミコ?」

  • 193残留死別25/05/22(木) 22:32:51

    思わず足を1歩後ろに下げてしまった
    ――もうダメだ、無理だ、不可能だ

    「ああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁ!!??」

    逃げる、逃げる、場所なんて関係ない、逃げる、逃げないと……!!!
    ジリジリと脳裏を掠めてた不安というカタチが脳を焦がす
    後ろを振り向くな、前を見て走って走って走って逃げて逃げきゃ!!逃げきゃ!!
    何も見なかったことにしたい、何も無かったって言いたい何も何も知りたくない!
    怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

    「ねぇ…エミコ〜」

    やめてその名前を呼ばないで!今まで今まで名前なんて教える機会なんてなかったじゃないか!やめて!本当にやめて、やめて、やめてください…もうあの日常に帰してください、私が悪かった、悪かったんです、だから、だからもう……!!

    「はァ……はァ……」

    気がつくとそこは崖だった、どうやら私はとんでもない所まで走ってきたらしい
    ―――でもここまで来たら……

    「ねぇ?エミコ」
    「――――――ぇ」
    「あはは、エミコそんなに驚かなくても大丈夫だよ」
    「エミコ、人っていうのはね因果からは逃れなれないんだよ、だからきっとここに来たのもそういう因果だと思う」
    「な、何を言ってるっすか……」
    「ねぇ……エミコ」

  • 194残留死別25/05/22(木) 22:33:07



    最後にみたその表情は最初のあの瞬間を思い出させるようなそんな美しい顔で

    「さよなら、元気でね」

    ドンッと私は突き落とされた

  • 195スレ主25/05/22(木) 22:35:29

    次スレ建てます

  • 196二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 02:57:34

    このレスは削除されています

  • 197二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 10:44:39

    待つで

  • 198二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 17:07:50

    作者の活動時間の21時〜0時の時間を確保します。

  • 199スレ主25/05/23(金) 21:20:40
  • 200二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 22:17:18

    間に合って、良かった。

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