- 1栄光侵食体◆OXAm1h6odk25/04/24(木) 18:06:53
襲来した異星人!
侵略されるエネルギー資源!
存亡の危機に晒されてなお人類は……
未だ一つになり切れず、壮大な内ゲバを繰り広げ続けていた!!
【出来れば読んでいただきたい世界観および初期設定集(テレグラフ)(各種ページへのリンクあり)】
https://00m.in/PCkBk#google_vignette
次スレは>>190踏んだ方が
- 2栄光侵食体◆OXAm1h6odk25/04/24(木) 18:07:35
【前スレ】
【R-18】ここだけ3勢力入り乱れ惑星外性生物と戦うリアルロボットSFな世界part11【のんびり進行】|あにまん掲示板襲来した異星人!侵略されるエネルギー資源!存亡の危機に晒されてなお人類は……未だ一つになり切れず、壮大な内ゲバを繰り広げ続けていた!!【出来れば読んでいただきたい世界観および初期設定集(テレグラフ)(…bbs.animanch.com【禁止事項】
・無敵ムーブ(戦闘でダメージを受けない、回避し続ける、など)
・必要性の認められない確定ロール
・相手PLが嫌がっていることを強要する行為(特にR-18関連はデリケートなところなので扱いには気を付けて、事前相談忘れずに)
【世界観やパワーバランスを保つ上での禁止事項】
・版権設定の利用
・「地形を変えられる火力」を個人で設定し所有すること
・3勢力(K.I社、人自連、デスペラード)+インベイドよりも立場や規模が大きい勢力を設定すること
・なんでも高い水準で出来るキャラ、なんでも高い水準で出来る機体禁止(他の人の活躍機会を奪いかねないため)
・メタネタ禁止(「この世界は作り物だ~」や背後さんへの言及をキャラの目線で発言させるなど)
- 3栄光侵食体◆OXAm1h6odk25/04/24(木) 18:07:52
Q1:参加してぇ!けど事前のキャラ登録って必須なの?テンプレはある?
A1:キャラシはあった方が色々スムーズだとは思うけど、無くても規約的なNGムーブさえしなけりゃ参加はOKだぜ!
テンプレらしいテンプレは特に無い(めんどうくさかった)からテレグラフなりで各自好きな様に書きたいこと書いてくれ!
↑の初期設定集から飛んだ先にあるスレ主のキャラシからテンプレとして項目を引用しても大丈夫だぜ!
Q2:キャラは1参加者につき何人まで?
A2:何人でもOKだぜ!複数陣営あるし下手に制限設けたらスカスカになるのが目に見えてるから……好きな様に作ってくれ!
Q3:コテハン(トリップ)は必須なの?
A3:必須じゃないぜ!でもトリップが無いってことはなりすましや乗っ取りが出ても判別方法が無いってことでもあるから、自衛手段としてコテハンを持っておくのは無難だぜ!
Q4:スレタイにR-18表記があるけどエロスレなの?
A4:一般誌のエロ描写とか元ネタ一般作品のエロ同人好き? 俺は好きなの……
エロメインじゃないけど「エロいことも割と自由に描写して良い」スレだから苦手な人がミスッて踏まない様に一応表記しているぜ!
「猥談耐性はあるけど自キャラにエロルさすのはなぁ……」って人でもOK、「自分は露骨なエロやりたくないです」って言っておけば良いぜ!
Q5:設定集に目通したけどなんか既視感ある設定ばっかりだな?
A5:へへっ - 4栄光侵食体◆OXAm1h6odk25/04/24(木) 18:08:07
【テレグラフ(設定やキャラシート、R-18な文章を書いたりにどうぞ)(※URLのhとttpsの間のスペースを消して検索してください)】
h ttps://x.gd/Z5SAZ
【URL短縮用サイト(テレグラフのデフォルトURLだとあにまんのNGワードに引っ掛かってしまうのでこちらでURL短縮してから投稿してください)】
- 5龍影◆9BZ6kXGcio25/04/24(木) 18:30:50
捕手っ!
- 6龍影◆9BZ6kXGcio25/04/24(木) 18:56:28
前スレに貼っとくか…
- 7龍影◆9BZ6kXGcio25/04/24(木) 19:00:17
G-3の時より圧がない…やっぱりベルリンデストロイ位の敵でしか無いのか…(尚足切り性能)
- 8ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/24(木) 19:01:33
※立て乙です
- 9ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/24(木) 19:02:11
保守
(皆が戦っている中、金龍たちは機内でボードゲームとかカラオケとか遊んでいた)
(怖いニュースは胎児に悪影響が出るからね。TVとかのメディア視聴を避けるのは至って当然だね) - 10二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 19:14:45
このレスは削除されています
- 11ノイン◆fDey8JUvvk25/04/24(木) 19:23:11
(立て乙です)
- 12ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/24(木) 19:25:14
金龍(今何か視線を感じたような……)
珠「やった! エースで上がりですよ!」
金龍「ん……? あー!!! マジかよ!!! チッキショー! あと少しだったのに、やっぱ珠さんとメビはババ抜き強いなぁ!」
- 13マルタ◆KPwoT407kA25/04/24(木) 19:42:13
『ヒット。ヘッドショットデス』
よし!見せ場はともかくこれで任務完りょ…
『アンノウン再生。変異シマシタ』
なんでーーーーーーーーーーーッ!!?!!??!
【慟哭も交えて、着弾と同時にロスヴァイセが疾る。シュヴェルトライテも迷彩を起動しそれに追随する】
『次ノシュートポジション選定完了。目標地点ヘ急イデクダサイ』
了解…って大丈夫なのアレ!?なんか外壁を背後にしてるんだけど!?
『…自機ノ武装ノ特性ヲモウ忘レタノデスカ?』
…あ
【確かに、とマルタは納得する。偏向ライフルなら外壁を傷つけない角度での攻撃も可能だ】
【ロスヴァイセが駆ける】 - 14ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/24(木) 19:58:31
【外壁を背にした構え、外せばコロニー側からの反撃が来る、躊躇によって攻撃の手を鈍らせる腹積りか】
「それならここしか無いよなぁ、外しても問題無い位置なんてのは」
【ミハエルが選んだ場所は外壁直下、獣の側面、外したとしても弾が抜ける先は空の彼方だ、たまたま飛んでいた飛行機に命中でもしなければ被害は無いだろう】 - 15ニライニスト◆XGxCas/OAU25/04/24(木) 21:51:14
(割と近接狙いが多い…おそらく一番最初に狙う。なら、なら…)
そう考えていたパオラの横を一機のBFが通りすぎる。マキトの『鵺』だ。正面の装甲は見るも無惨なありさまだが、その動きには問題を感じなかった。
「ようやく起動できた!操作盤がやられて右腕が操作できないけど前もって入れたパターンでどうにかなる。武装も大体は問題ない!」無線越しに連絡が飛ぶ。それに対し、こちらも無線で返す。
「バカ!今は行っちゃダメ!!」鵺が若干の間を開けて減速する。
「アイツの攻撃に巻き込まれるよ。少なくとも、まだ直線上じゃないここは安全だからしばらく待っといて。」
【イカロスはさらに状態を起こし、砲身を上へと上げる。】
「了解。で、その間何をする気だ?」
「何って、前にいる奴らが感謝しそうな事だよ。」
(コロニーの壁を撃つことにならない様に…)
【コックピット内で、パオラが弾道予測機能をいじっている】
「これなら…通常榴弾装填、発射!!」
【大きな音と共に、腕部統合型五連装規格外大型超重斬刀の根元めがけて、山なりの軌道で流弾が発射される。】 - 16二次元好きの匿名さん25/04/24(木) 22:04:52
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- 17ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/04/24(木) 22:19:43
- 18アリソン◆PPyRfvMZl625/04/24(木) 23:48:46
- 19ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/04/25(金) 01:04:01
- 20クロウ◆KPwoT407kA25/04/25(金) 02:13:03
…こんなもので満足なのか
【“BFだったもの”の断末魔に対する感情は、クロウ自身も驚くほど冷淡なものだった】
【機体を走らせる。元来近接戦偏重の紅月にインベイドの策など至極どうでもいい事だが今は反撃の機会を伺う】
力に溺れた挙句ホントに新型インベイドになっちまうとはな…まぁいいさ、そっちの方が似合ってる
【機体を走らせる。神経が焼き切れるような感覚が背中から染み入ってくる。意識が引っ張られるような感覚がする】
安っぽい正義感も、チンケな復讐心も飾り付けられてねぇ…ただ目の前の相手を殺したいっていう衝動に突き動かされるだけの獣…どうせならそういう方がいいだろ、相棒?
【機体を走らせる。頭部マスクが排熱に適した形状に組み変わり、狼のバイザーが降りる。紅月の頭部が狼そのものを模したものへと変わる】
【右手のマニピュレーターが器用に丸を形作り、邪龍をその内に捉え、握り潰すようなハンドサインを取る。『赤ずきん』は、クロウ・レッドフードは眼前の敵をようやく認めたのだ】
────────お前は俺の…獲物だ!
【己が殺意をぶつけるに値する対象だと】 - 21アリソン◆PPyRfvMZl625/04/25(金) 10:26:38
- 22シャロン◆8meUu6AaJY25/04/25(金) 18:09:48
[シャロン、大佐は何て?]
「宿舎他関連設備はアレの進路上にないから待機。…しかしやることが無いわね…あんなのあったら交渉に行く羽目になるのに。」
[公的には死亡していますので私たちに依頼はきませんよ、シャロン。]
「ならいいんだけど。」
ゆったりとしたソファーに背中を預けるシャロンはバスローブ1枚であり、人目は気にしていない。 - 23栄光侵食体◆OXAm1h6odk25/04/25(金) 18:35:52
>>191>>192>>193>>194>>196>>197>>198>>199>>200>>13>>14>>15>>20
【────────前提条件の再確認だ】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【邪竜にコロニーの外壁を壊してはならない理由は存在しない。エネルギーを収束させる過程で肉体の駆動が止まる理由もだ】
【ーーーーーぼおおおおお、ぼおおおおおおと邪竜が吼えながら翼脚で思い切り地面を叩いた】
・・・・・・・・
【巨体が立ち上がる。背後に飛び込んできた機体を怪物的質量とコロニーの外壁との間で押し潰すような形で、だ】
【赤熱化した刃殻が対インベイド防壁を融解させながら巨大な亀裂を刻む。止まらない。何らかの防御手段を用意している可能性も、直前に回避している可能性もある】
・・
【だから翼脚を対インベイド防壁に叩き付けてから怪物的質量を跳躍させた。強靭な逆関節の脚が一瞬にして数十mにも及ぶ巨大な斬痕を刻む。野菜でも擦り下ろすように、背後に入り込んだ機体を潰そうとする】
【迫る攻撃を一つ一つ分析する。テイルブレードを狙う粒子ビーム。ライフルとショットガンの連射。電磁加速砲。艦載砲に匹敵する口径の砲撃。ビームライフル。側面からの攻撃。爪を狙う榴弾。そして何よりも光の矢】
【───────────対応を開始する】
【テイルブレードが駆動する。跳躍した直後に今度は外壁を蹴って再び跳躍した。空中で一回転すると同時に前へと進み出て側面からの砲撃を躱す。電磁加速された砲弾をバディフレーム並みの質量を誇るテイルブレードの刃が真っ向から叩き落とし、直ぐに粒子ビームによって付け根が灼かれて欠落する。構わない】
【〈熱線砲“グローリー・サクリファイス〉へのエネルギー装填を中断した。最大出力の30%。だが艦載砲レベルの砲弾すら逆に蒸発させられるだけの火力は秘めている。相殺。数秒間は電磁装甲を使えないだろう】
- 24栄光侵食体◆OXAm1h6odk25/04/25(金) 18:51:34
【榴弾に対して、異常なまでに巨大化した翼脚で真正面から掴み取る。範囲攻撃であるのならば例え爪で切り裂いても無意味だろう。弾ける熱と衝撃を爪の内側に押さえ込んで留める】
【ライフル弾とショットガンの散弾、それから白桃色のビームに対して第一の腕を防御に使う。赤熱化した刃殻が容易に砕かれて、真紅の融解した鋼鉄が零れ落ちた】
【特殊電磁砲は空気中に奇妙な蒼色の磁力線を刻み込んでいる。ネフィリムからコロニーの外壁へと、蒼色の軌道が繋がれる】
【明らかな攻撃動作。しかしそれが行われるよりも疾く”10m級の矢”がネフィリムの頭部に衝突する】
【閃光。衝撃。一瞬にして柘榴のようにネフィリムの頭部が破壊されて、首なしの胴体が重力に従って地表へと墜落しようと、】
・・・・・・・・・
【───────────異形の花弁が華開く】
【破壊された筈のテイルブレードも、第一の腕も、頭部でさえも。沸騰するような音を響かせながら元通りへと復元される。過剰な再生能力】
【墜落するネフィリムの背後には、バディフレームを思わせる推進器官が造形されていた。ジェット機と同様の原理によって四連の推進機関が燃え盛る。狙いは、ウルヴィ】
【────────────────────爆鱗を際限なく再生しては剥がれ落ち、周囲全てに空爆を加えながらネフィリムはデスペラードに向かって突撃した】
- 25龍影◆9BZ6kXGcio25/04/25(金) 19:08:56
- 26龍影◆9BZ6kXGcio25/04/25(金) 19:22:36
- 27クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/25(金) 19:32:37
『(───やっぱりこっちに意識を向けた!
ん、どんな機械だろうと生き物だろうと
やっぱり背後を取られると対処するね...)』
【踏み潰そうと迫る脚、融解するコロニーの壁
まるで攪拌された大災害の大津波といった様相
相手が人間的な動作で潰しに掛かってくるのなら、
こちらは人並外れた手足の動作で挑む他はない】
『距離を取るのは危険...それならッ!』
【黒い機体は跳躍する。そして表面の装甲へ
ほぼ沿った形で、ホッパーを足場に使いながら
パルクールのように空間を無視し、駆け上がる】
『───兄さん!』
「ああ、来た!」
【空中を駆ける影は二つに増え
数秒間の猶予は二人には数分間に等しく、
速さ比べのように爆雷の合間を縫い上げる】
「『────倒れろォ!」』
【初撃は、シールドを重ねた爪先の一撃。
腰から大腿に掛けてを抉り、砕きに掛かり
それに相手が対応しようとした所へ二撃目。
膝を曲げ、本来とは逆さにへし折りに行く】
- 28ノイン◆fDey8JUvvk25/04/25(金) 19:40:22
>>前199
【射線に入ってしまったことを撃たれてから気付くがロールして2m程の距離で避ける。それくらいは訳ないことだ】
何だ!?
【そんなことより、高空からは良く捉えられないが、それでもあり得ないことが起きているという情報を処理したノインが発したのはあまりにもありきたりな言葉であった】
だが足を止めた!刺さる!!
【迷いは0コンマ以下で振り切る。四方からの攻撃へ対処する姿は戦慄したがそれ故に"10m級の矢"が直撃することを確信し、フォローに向けて急転直下を始めた】
見事……ッ!?
【その勇気を称賛する前に絶句する】
【部位を再生するインベイドならデータにもある。シミュレーションでの交戦経験もいくらでもある。だが頭部でさえも再生する相手は流石に知らなかった】
ううっ!!!?
【そして更なる相手の行動に対し蒼月が選択したのは最大出力のビームサーベルによる切り払い防御。】
【アリオールとネフィリムを結ぶ直線上に唸りを上げて落ちながら体を捻り、融解した装甲がこちらに飛散してくるものを刃の先端で切り、直撃を防ぎながらも爆風と熱に大きく機体を揺らされる】
- 29ヴァンガード◆YMCgTirJag25/04/25(金) 19:51:57
- 30ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/25(金) 19:58:11
【推進力で以て、巨体で押し潰す。自壊したダメージを先程から見せている再生で踏み倒すとすれば、合理的な判断だ。だが同時にそれは──】
・・・
【感情的に見えた】
【死を齎す流星は、衝突すれば粉々どころか消滅だろう。そもそも『人』であればまだしも『バケモノ』の殺意を抱擁してやる気はウルヴィには無い】
【IDS起動、コア粒子カートリッジがスラスター噴射に引火し真横への強大な推力を産み出す。更にゼロコンマ秒未満の姿勢制御から、IDSを『重ねる』】
【殺人的な機動の負荷が人体を軋ませる。更に超音速下の機体制御が、脳髄を焼き尽くす。目まぐるしく変化する視界情報が眼球を溶解するような激痛となる】
・・・・
【その代わりに、機体だけは無事だ。中身を潰す『バケモノ』の機動が、突撃に伴う衝撃波すらも先んじてBASTIAの離脱を叶えた】
《ほら……デスペラード………ぁ゛、こっちだよ》
【コロニーを可能な限り背負わない位置で、声を振り絞る。喉の奥から鉄の味が逆流するが、飲み込んだ】
- 31ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/25(金) 19:59:24
個体が跳び上がるような一回転の瞬間、外れた砲弾を意識から切り捨てた。
蒼風を相対的に個体との側面へ移動させて、再度狙いを付ける。放つ。
「――――!!」
【弾体 非貫通】
再度の照準で予測位置へ……撃ち込んだはずの弾体がテイルブレードに叩き落された爆炎が上がった。敵は電磁投射砲を壁へ向ける。ギリッと何かを食いしばる音が耳に届いた。自分の口だろうか。
(――――電磁加速された弾体を狙って防ぐ反応力。普通は持ち得る性能じゃない!けど!!)
思考が回る。何より、外壁へ体を押し付けるようにしたのち、更に飛んで一回転……しながら前へ動くという敏捷性能。余りにも恐ろしい敵に――――次々と味方の攻撃が襲いかかって、第一の翼脚や、望月のビーム弾でテイルブレードが破壊された。
光の矢への対応は、ケイの目線でも遅れていた。
(これなら、押し切れる!!)
ピタリと望月の背後に付きながら立てたおおよその予測は、当たった。光の矢が突き刺さり頭部を破壊していくのを見て、安堵の息が漏れた。後は、既に手遅れになってしまった『誰か』を弔う――――ことには、ならなかったが。
「な――――っっ」
言葉がでない。 頭部が、腕が、尻尾が。 瞬く間に再生していく。 これは、まさか。
・・・・・
「急所の位置が違うのか!?!」
ケイの常識。インベイド相手には急所を狙えという原則に、この個体は人型インベイドに次いで違反しているから、思わず叫んで。
堕ちた天使の如き邪竜が、戦友(ウルヴィ)に向けて跳ぶ。推進機関の形成と共に、崩れた装甲が爆発を起こし始めるのを上から見上げた。 蒼月は無事だ。
「――――わかった!!スイ!」
《了解。仲介人のカルカッドに文字メッセージを送ります。届くには時間が掛かるでしょうが……》
龍影の言葉に即座に返しながら、彼は彼のすべきことをする。
個別の、至って私的なメッセージ機能はこういう時に強い。 彼女に伝わるのはおそらく終わってから。 だがケイに取ってはそれで良かった。 礼儀とは、やらねば後に響くのだから。
- 32ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/25(金) 20:05:56
- 33ノイン◆fDey8JUvvk25/04/25(金) 20:08:14
- 34ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/25(金) 20:19:57
【突き抜けた矢がロケットを完全にパージ。瞬間生じた爆風に煽られつつも人の形へ戻る矢】
【抜け際に、ネフェリムへとウィンチを打ち込み、脚部のタイヤを展開。滑る様に着地する】
「尋常では無いか…」
【振動の治らぬ視界の中で、落とした筈の頭が生えるのを見る】
<機体耐久度:10%低下>
【流石にこちらにもガタが来た。が、元よりアリオールは探査用。この程度は無問題と言える】
(どう動く?コロニー内の避難は済んでいるのか?今、一番負担を負ったのは?)
「あの機動…また無茶を!?」
【無茶というより、そうするしかなかったのだとは思う。実際、あのBASTIAは見事としかいえない。だが以前の、G-3コロニーでの様子が脳裏に浮かぶ】
「ウルヴィさん!陽動なら此方も手を貸します!!邪魔でしょうが、やらせて貰いますよ!」
【コロニーから注意を逸らそうとするその動きに、無線通信で叫びつつアリオールを近づける】
(この火力でも意識を向けられると良いが…!)
【重ライフル二丁を再生したてのネフェリムの頭部。特に”眼”付近に向け弾幕を張る】
- 35二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 20:40:05
このレスは削除されています
- 36マルタ◆KPwoT407kA25/04/25(金) 20:45:55
【シュートポジションへと向かう中、【シュヴェルトライテ】は歯噛みしていた】
(いくら偏向ライフルでもコロニー内部にまで入られたら話が変わってくる!即時変態を可能とする影法師型の特徴とアンノウンの動きから“弱点”こそ算出できたもののこの通信障害ではそれを全機に伝えるのも儘ならない
やはり時間はかかるが不確定要素を排除して偏向同時貫徹を…)
…の、あのー!!!
【とめどない思考に一石を投じたのはマルタの声だった】
『ドウカシマシタカ、マルタ見習士官』
あたし達だけで同時に攻撃できるいい案が思い浮かんだ!………コロニーの外壁のどっかに狙撃ポイントを用意できない?それと…
【マルタの思い付きを聞きながら演算を続ける】
『…決定打ニハ欠ケマスガ、二重ノ策トシテハ及第点カト。任セマシタヨマルタ見習士官』
了解!
【偏向ライフルが、ようやく配置についた】
- 37栄光侵食体◆OXAm1h6odk25/04/25(金) 21:22:30
>>25>>26>>27>>28>>29>>30>>31>>32>>33>>34>>36
【─────────────隕石が、墜落する】
【そんな悪夢を思わせる質量と速度でネフィリムはアウトサイドの“跡地”を薙ぎ倒しながら地表と衝突したが、デスペラードは取り逃がした】
【ゴポッ、ゴポッと体組織が沸騰しながら再生する音が響く。真正面から突撃して潰れた頭部を再生しながら、機体心臓部が強い光と高エネルギー反応を放っていた】
【ーーーーーーーぼおおおおお、ぼおおおおおお。唸るような重低音が奏でられる。怪物の咆哮。言葉なき魔獣の叫び】
【重ライフルの銃撃が頭部に叩き込まれる。磁力線の構築の為に機体動力を割いていたネフィリムは、電磁装甲を貫通した銃弾を前に“眼”を穿たれる】
【遅い再生───────────その後に、無数の“眼”が頭部を埋め尽くす。異形の生体器官が次々と穿たれ、しかし過剰な再生によって辛うじて視界を確保する】
【そして、デスペラードという単語に反応して振り向いて──────静止】
【飛び込んできた二機の連携が、瞬時に腰から膝を破壊した。テイルブレードが駆動して脚を一本切り落として状態をリセットすると同時に薙ぎ払われている。これから行う“攻撃”に脚は必要不可欠な要素ではない────そんな冷徹な計算がある】
【コロニーへと繋がれた磁力線が、“完成”した】
【アウトサイドとデスペラードを憎んだ二人の少女の意思が、完全に潰えた】
【憤怒と悲嘆、そして憎悪の亡骸から生まれた邪竜はその進行方向を変えた】
【────────────────────怪物的質量が、電磁加速する。瞬時に超音速に達した】
【進行方向は、“V-7コロニー”だ】
- 38クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/25(金) 21:30:25
『(コロニーへレールを完成させた───!
こっちも稼働時間が限られてるのに、
あの速度で移動なんかされたら...!)』
「...いや、ここだ!ホッパーを鞭状にして、
接続したネフィリムに引っ張って貰う!」
『...!』
【脳内対話はコンマ1秒間で行われた。
未だ二つ程食い込んだままのコアホッパーを
互いに鞭として一つにして引き合わせる事で、
エンジンを使わずにネフィリムへ着いて行く】
- 39ノイン◆fDey8JUvvk25/04/25(金) 21:42:08
- 40統計上の数字◆OXAm1h6odk25/04/25(金) 21:48:34
「お母さん、ずっと変な音がするよ……………」
「怖いの。ここも暗くて寒いし嫌い!」
「────────大丈夫、大丈夫だからね。直ぐお家に帰れるから…………」
【ルヴェン・タルロッタはまだ幼い二人の娘を抱き締めながら、自らも涙を堪えた】
【コロニー内にシェルターに避難するようにという警報が響き渡ってから一時間も経たない内に、外壁で響く悍ましい破壊の音は激しくなる一方だった】
【コロニー守備隊である夫は対応の為に外に赴いており、それが一層彼女の不安を掻き立てた。もしも彼が死んでしまえば、これからどうなってしまうんだろう。無力な彼女には何も起きず、インベイドが討伐される事を祈るしかなかった】
【ふと、同じコロニーの中にいる若い男が二人の娘を抱き締めるルヴェンに近付いてきた】
「良ければ、音楽プレーヤーなど如何でしょうか?大人の私達ですら不安になるのです。子供は尚更でしょう。明るい音楽でも聴いた方が良いですよ」
【また別の、中年の女性も近付いてきた】
「寒いのならおばさんのマフラーをあげようねぇ。兵隊さんの服を編んでた途中で避難勧告が出たから何個か持ってきたのよ」
【ぞろぞろと、避難民がルヴェンの近くに集まる。彼らは皆、比較的幸せな人々だった。コロニーの中は少なくともアウトサイドより安全だ。労働義務はあるが、それでも死ぬような目には中々遭わない】
【─────────────────激烈な破砕音が響いた。巨大な“ナニカ”が次々とシェルターを突き破って避難民を虐殺した。赤熱化した刃殻だ】
【燃え上がる。肉の焦げる匂いがする。衝撃で横に倒れて、ルヴェンが起き上がった頃には最初の若者が二人の娘を庇って瓦礫に頭を潰されていた】
【あっ、と娘が突き破られた刃殻によって貫かれたシェルターの外を指差した】
「お母さん、ビルが落ちてくるよ!」
【最期の光景は、倒れ込んでくる巨大な瓦礫が津波の如く押し寄せる景色だった】 - 41栄光侵食体◆OXAm1h6odk25/04/25(金) 22:06:09
【─────────────ネフィリムの怪物的質量と比べても、ずっと背が高いビルが建ち並ぶ街であった】
【クロノス・インダストリーの経済力はそのような巨大な都市構造を建設するに足るだけの異常な規模を誇っており、それは地上には数少ない安楽の地であった】
・・・・・
【───────────燃えていた】
【拡散した刃殻は、容易にシェルターの防殻を突破するだけの速度と質量を秘めていた。その上で余波だけでも人体を自然発火させるに足る熱量を散らす虐殺器官であった】
【その怪物的質量の超音速の移動に伴って発生したソニックブームは比較的背の低いビル群を尽く薙ぎ倒し、また正面から十何棟ものビルをネフィリムは貫通して倒壊させていた】
【ドミノ倒しみたいにビルが次々と連鎖して倒壊に陥り、大災害が発生する。赤熱化した真紅の刃殼は容赦なく都市を燃え上がらせた】
【ぼおおおおおお、ぼおおおおおおおおお。邪竜の奏でる重低音が都市に響き渡る。数百m程進んで、それから電磁加速の勢いを失ったネフィリムは自らの脚で立ち上がった】
【装甲表面に激烈な電磁パルスが発生する。記憶を参照し、受けた攻撃を解析した。ネフィリムの性能でも再現可能な攻撃だ。付着物を取り除こうとしながら、周囲を見渡す】
【コア粒子を喰らえば、ネフィリムはもっと強靭になれる。コア粒子によって装填手級が生み出す電力を拡大させれば機体性能の更なる向上が見込める】
【憎悪と復讐心は一種の枷であった。絶大な暴力に指向性を与える枷だ。その縛りは既に喪われた】
【少女達の憎悪が邪竜を産み落とし、そして邪竜は遍く幸福を踏み躙るが為に世界に牙を剥いた】
【一人の男の妄執が生み出した禁忌の混血児は、今や誰にも制御不能の災厄と化した】
【邪竜が“翼”を得て翔び立つ前に、討伐しなければならない】 - 42ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/25(金) 22:21:19
「――――逃げっ」
《磁力線がV-7コロニーに向けて形成されています》
逃げる気かという言葉は、スイによって否定された。 戦友(ウルヴィ)へ向いていたはずの殺意が、一瞬で別の方向へ向いている。
単一への殺意が、より冷徹な『ナニカ』に置き換えられたかのような変節。
まさか、と思った。
もう遅い、と理性が告げた頃には、邪竜がコロニーに向かって飛んでいく。目で捉えるのがやっと。
――――ふざけるなと、感情が吠えた。
「待てやテメェっっっ!!!!」
叫び、コア粒子推進機関の出力、及びコア粒子の伝達流路の調整機構のリミッターを切りながら。 高音と重低音を響かせて蒼風改が追随を始める。
「龍影!!スイッチングだ!! あいつを撃ち落とす!!!」
相方に意図を簡潔に伝えながら、こちらには目もくれていないのだろう存在に、電磁弾体加速砲を向けて――――撃てなかった。
「こ、のッッ!!」
(この距離と射角じゃ流れ弾が当たる!! もっと近づくか、高度を取って射角を絞るしかない!!)
思考が回る。 今の状況では被害が広がる。 この速度では一発。誤射をしない精密射は一発しか撃てない。
- 43ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/25(金) 22:24:09
邪竜が、コロニーのどこかに突っ込んだのを見た。刃殻が複数、どこかに落ちる。
《あそこはシェルターの一つです》
スイの声が、遠く聞こえた。
ぼおおおおおお、ぼおおおおおおおおお。邪竜の奏でる重低音が、響く。
コロニーの中に、それは悠然と立って、音を響かせている。
「うるせぇ……」
こいつはもう、『誰か』ではない。 嘲笑っているように、聞こえた。
電磁パルスが走り、装甲を守り始めていく。 電流の音。
「うるせぇ!!!!」
どうでもよかった。
「――――てやるッッッ!!!!」
殺意なのか、止めるという善意なのか。自分でも分からない言葉を叫びながら。 蒼風改が追いついた。
ケイは最高潮の集中力で狙いをつけていく。 速度で狙いがブレようが、どうでも良かった。
当ててやると、一発を放った。
- 44コロニー守備隊◆OXAm1h6odk25/04/25(金) 22:28:47
- 45ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/25(金) 22:32:15
《ぃあ…たすか、る》
【突然の通信回線、その声は以前G-2コロニーで肩を並べ戦った者だ。ウルヴィは呼吸を整えながら、ネフィリムが此方へ振り向くのを見ていたが──】
【殺意が消えたのを感じ取る。邪竜は進路を変えて、コロニーへと向かって加速せんとしている】
《でも、手遅れ、みたい》
【もう誘導は効かないだろう。邪竜はコロニーへ向けて解き放たれた。憎悪、悲観、感情の残滓は既に消化されたのだろうと、なんとなくだがウルヴィは確信していた】
【ウルヴィはランセルへの通信回線を繋いだまま、スラスターを噴射してネフィリムを追う。回線を落とす時間すら惜しかっただけなのか、それとも繋いだままの方が都合が良いのか、ウルヴィは何も語らない】
【破壊の痕跡を辿れば、邪竜に追いつくのはそう時間は掛からず、近距離寄りの武装しかないBESTIAは引き続き前衛の位置でライフル弾を撃ち込む。ショットガンはどうせまた止まるだろう、ハンガーに懸架してブレードに持ち替えた】
- 46ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/25(金) 22:42:16
「なっ──」
【絶句。】
【言葉が詰まる。綴りを続ける思考が無理矢理断ち切られた】
【コロニーが、燃えている】
【初めて見る光景?違う。恐怖で動けないか?違う】
「違うッ!!!止めるのは今じゃない!!悔いるのは今じゃないッ!!!!」
【回線をミュートに。圧迫していたヘルメットを捨て外し、フィルターの少ない視界で見渡す】
(あの瞬間。奴が加速する前にこの重ライフルが効いていた…。考えろ、頭を落とした時との比較しかない…!いや、それでも今は”効いていた”……!)
【押し寄せる感情を振り払うよう、思考を無理矢理動かす】
「…先程の加速の前。オレの攻撃が良く効いたように見えました」
「推測ですが、ヤツの装甲は電磁式です。攻撃時はそこに回すエネルギーが不足しているのかも知れません」
【”手遅れ”間違いない。遅れてしまった。救えなかった。だからこそ──】
「やるだけやりましょう」
【最後の一言はウルヴィに伝えたかったのか。もしくは自分への言葉なのか】
【突撃した際に突き刺したリフティングウィンチを巻き上げ、ネフェリムへと急接近する】
- 47クロウ◆KPwoT407kA25/04/25(金) 22:43:05
【空いた外壁から、紅い機影が陽炎を纏い追いすがる】
【粒子推進機関が唸りを上げ、紅月の滅茶苦茶な軌道を実現する。瓦礫が脚に引っかかり、繊維が断裂しながら瞬く間に再生する。どうせオーバーホールせねばならないのなら、ここは贅沢に行こう】
《おい、形見持ち》
【赤く染まりつつある視界の傍らに映ったBFに対し、通信回線を繋ぐ】
《あのデタラメな再生能力、カラクリはおそらくヤツが目覚めた切っ掛け………組み込まれた脳幹か何かが仕掛けのタネだ。1人で会話してやがったみてぇだしアレはおそらくそれを複数体内に抱え込んでやがる…それを同時に潰さねぇといつまで経ってもキリがねぇ》
《出し惜しみする暇はねぇ、ってだけ。そン時になったらオレも合わせる》
【思考を殺意に呑まれながらも、敵を殺し切るのに必要な武器であると衝動に納得させながら僚機に連絡を送る】
【返事は待たず。回線を繋いだまま推進期間を最大出力で吹かし…紅月は邪龍へと接近していった】
- 48クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/25(金) 22:46:46
『───ッ、ごめん兄さん。
情報、さっき解析してたでしょ』
「...バレてたか。ああ、胸と頭に一つずつ
恐らく有機パーツを使った何かの反応がある
多分だけど元人間だろう...待て、ソラウ!?」
『───、こちらデスペラード!』
(周りの機体に繋がる無線でソラウが叫ぶ)
『このインベイドの弱点は頭と胸の奥...
多分、生体パーツにされた人間だと思う!
だから......そこの装甲を剥がして欲しい!
そうしたら、必ずぶち抜いて見せるから!』
(ついでに今さっきの解析データを送信する)
「...ソラウ」
『───ちょっと、熱くなっちゃった』
「俺達、明日の新聞どころか号外になるな!」
『...うんっ!』
(兄妹は笑い続ける。そして、見据える。
こんな状況でも、機械仕掛けの心臓は
まだまだ火を吹き熱を込めているのだから。)
- 49コロニー守備隊◆OXAm1h6odk25/04/25(金) 22:48:47
『此方コロニー守備隊だ。敵インベイド頭部へ命中を確認した。だが……………………』
【オープン回線から通信が繋がる】
【冷静であろうと努める声音は、しかし酷く動揺を帯びた声として発された】
・・・・
『……………………再生した、とでも言うのか?私にも分からない。突如として弾頭が減速して、それから吹き飛ばされた奴の頭部の前半分が粘土みたいになって……………………』
【頭を乱雑に掻きむしる音がした】
・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『分からない!俺には、俺たちには何も分からないんだッ!アウトサイドが襲撃された!上層部は出撃を許さなかった!そしたら怪物が突っ込んで、俺の家族は皆んな死んじまった!』
・・・・・・・・・・
『ずっと蚊帳の外だとッ!?巫山戯るなよ!俺たちには今、何が出来るッ!頼む、無理を承知でお願いする!あの化け物を押し付けた分際で厚かましいのかもしれないが、奴の情報を教えてくれ!』
- 50ノイン◆fDey8JUvvk25/04/25(金) 22:50:31
【遠い。あまりにも遠い。】
【蒼月の100%出力も超音速帯に届くだけの推力があるが、それを踏まえてあまりにも遠い。】
【加速命令を出そうとしてもこれ以上の速度は出ない。】
【長い。あまりにも長い。】
【ノインの強化された感覚は目の前に広がる虐殺を正しく理解できている。】
【ビルが崩れていくのが、火炎が燃え広がっていくのがスローモーションに見える。】
【見えるだけ。】
【だが蒼月もノインも空中分解はしなかった】
【泣きそうな男の張り上げた声は、少なくとも一人には届いたということだ】
『第二、第五シェルター了解!!』
【座標とマップを蒼の義眼で一瞥すると瓦礫を蹴飛ばし強引に機動を修正する】
【フレームが軋むが1度や2度なら問題ないことはデータに存在していた】
『感謝する!!』
【この状況でこそ感謝を口にし、ネフィリムに対してシェルターを背負うように……蒼月は戦場に舞い戻った】
- 51コロニー守備隊◆OXAm1h6odk25/04/25(金) 23:03:11
『──────頼んだッ!』
【感謝の想いを込めて言葉を吐き出してから、男は自らの機体へと乗り込んだ】
【“スカッド・ソルジャー”。前世代型の機体だ。今はデスペラードの間でも“時代遅れの機体”だなんて囁かれるバディフレーム】
【上層部の出撃停止命令なんて、今の彼にとってはどうでも良かった。守りたかった家族は全員が目の前で果てた。見るだけしか出来なかった】
【だから、この人生の余燼を。せめて誰かを救う為に使いたい】
『貨物輸送用都市内地下鉄道でコロニー住民の避難を行う!通してくれ!』
『──────軍法会議で処刑されても知らんぞ。私は脅されたと証言するからな!』
『ありがとう!』
【見ず知らずの、しかし優しい誰かが稼いでくれた時間を使ってコロニー内に張り巡らされた地下鉄道網で避難民を輸送する】
【列車を管理する技術者は何の妨害もしなかった。男は列車を走らせる】
【少しでも、生き残れる人々を増やす為に】
- 52ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/25(金) 23:04:43
【眼前に捉えていた敵が動きを止めた数秒の後、衝撃波だけを残して姿は消えていた、その際に飛散した刃がスパイクシールドに深く突き刺さる、咄嗟に盾を構えていなければあれに貫かれていたのはウィルヘルミナだったであろう】
「行き先はコロニー内部か、面倒な場所に入りやがる」
【追撃の為にコロニーへ走る、道すがらコンテナからサブアームを利用して吸着爆弾をリロード、次いで無線を開く】
「コロニー守備隊へ!こちらはデスペラードの傭兵だ!今からコロニー内部に侵入する、モスグリーンのタンク型のBFは撃つな!それと出来るだけ火力のある武器を3つ用意してくれ!実弾武器でだ!」
【コロニー守備隊へ通告する、前者は誤射を避ける為、後者は今後の戦闘の為に】
- 53ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/25(金) 23:11:40
ふぅ、すぅと呼吸の音が鳴る。 拡大したモニターに映る光景は、確かに対インベイド甲殻貫通弾が命中し爆発している。だが、致命打ではない。再生している。それを見てケイは蒼風改の高度を一気に下げる。
誰かの声が、通信でケイの頭蓋を響かせた。
自分と同じ、誰かを守りたいと願う誰かの声だった。
息を吐く。 大丈夫、自分はまだ戦える。
「――――こちら人自連所属、ケイ・サヤギリの蒼風改!! 敵の類似は対地型、及び合成型!大きさは虐殺型ですが、速度は強襲型に迫ると思ってください!!」
答えない選択肢などなかった。即座に類似型となるインベイドを挙げるが、それですら未知数。あれが『誰か』の成れの果てと知るべきは、まだじゃないとケイは判断した。
「実弾は高速域のものじゃないと効きません!! 自衛のためにビームかレールキャノン系を持ち出してください!!」
「武装は電磁投射砲、腕の剣が二つ!! あと口部のプラズマと……装甲が高音で剥離したら爆発します!! 反応速度も異常ですので、腕の剣と尻尾のブレードの範囲には絶対に近寄らないで!!」
分かる範囲の情報を伝える。全て、全てだ。矢継ぎ早だが、聞き取ってくれると信じた
・・・
「俺達で抑えます!!民間人の避難誘導を最優先に、余裕ができた機体から援護を!!」
邪竜を見つめるケイの目は、青かった。
- 54ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/04/25(金) 23:13:36
- 55コロニー守備隊◆OXAm1h6odk25/04/25(金) 23:15:27
- 56ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/25(金) 23:22:57
《…ん、分かった》
【要するに『溜めてる時は弾が止まらない』ということだろう。パージするか悩んでいた散弾を意識して、しかしその時まではブレードのまま立ち回るのが良いだろうと判断した】
《…了解。『形見』を使う時まで、繋いでおく》
【赤い機体の通信に応じる。その機動を見たウルヴィは、彼も既に深度はどうあれ『繋がっている』のだろうと気がついた】
【『繫がる』負荷に耐えながら戦うには、相応の意思や感情が必要になる。しかしそれに呑まれてはあの『バケモノ』と同じだ】
【灼ける、灼ける、灼ける。脳髄が焼け爛れる、血液が沸騰する、獣性がウルヴィを『バケモノ』になってしまえと唆す。しかしアリオールとの回線は縁となり、紅月との回線は理由となり──】
《やろう》
【二つの楔を握ったウルヴィの声は、無機質なのは変わらないが『人』だと自らを主張するようでもあり、彼らの声を聴いていると伝えるものでもあった】
- 57ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/25(金) 23:26:13
- 58コロニー守備隊◆OXAm1h6odk25/04/25(金) 23:28:53
『…………………どうやら、俺達の手に負えるようなバケモノじゃないらしいな』
【ギリッ、と歯を噛み締める音がした。砕けそうな程の強い力が、己の無力への怒りがあった】
【直ぐに切り替えられる。怒りを燃料にしながら、この上なく頭が冴えたような気がした】
・・・・・・・・・・・・・・・・
『避難と援護を両立可能な手段がある』
【認めよう。あの怪物はコロニー守備隊では決して勝てない相手だと。だが、それでも、彼らにも一矢報いる事は可能なのだと示したい】
・・・
『地下鉄だ。バディフレームすら輸送可能な積載量と、並みのバディフレームより優れた速度と燃費がある。コロニー内には地下鉄駅も何個かあるんだ。バディフレームの籠城すら想定している』
【初期侵攻から20年が経過している。対インベイドを想定した設計のコロニー構造が進歩するには十分過ぎる時間だった】
【人類は、日々前へと進んでいる】
・・・・・・・・・・・
『何処からでも砲撃可能だ。推進剤の消費だって、抑えられる』
- 59ニライニスト◆XGxCas/OAU25/04/25(金) 23:32:57
>>42>>43>>44>>45>>46>>47>>48>>49>>52>>53
「…やっぱり、間違いないか。」
パオラが呟く(とは言っても、普通に聞こえる程度の大きさ)。
【『無線ジャック装置アナログ調整』と書かれたダイヤルをこねくり回す。】
【ノイズ音は落ち着き、話されている内容がどうにか聞き取れる程度に響く。】
(にしても、生体パーツ?が2つ…それを壊したら、止まる…保証はない?)
(いや、少なくとも両方破壊すれば弱らせられる!)
(避難中…なら時間をかける訳にはいかない。おそらくあのデカいのの目的は『破壊』。それに巻き込まれる。)
(誘導が無理なら撃破?榴弾の対処を見た。
・・・・・・・・・・・・・
アイツはアレを防ぎきれない。)
(でも今いる場所が…外したが最後、もっと被害が出る…)
【『鵺』の存在を考える】
(アレは『重武装』でありながら、『高機動』『高速』のBF)
(じゃあ、もしソレに…)
(確か、榴弾狙撃砲の取扱説明書に『遠隔で操作可能』ってあった気が…)
【無線を取り、『オープン』と雑に書かれたテープの貼られている目盛にダイヤルを向ける】
「みんな、よく聞いて!!この後私達が、弱点と重わしき場所を覆う装甲を吹き飛ばす!援護、及び追撃の準備を!そして、あの姿になる前のアイツを蹴飛ばした2機!!今から言う周波数に無線を合わせて!!!」
- 60コロニー守備隊◆OXAm1h6odk25/04/25(金) 23:33:47
「………………フッ。我々を何だと思っている」
【通信が切られたのを確認して、笑った】
・・・・・・・
「コロニー守備隊だぞ?こんな時に尻尾巻いて逃げ去るだけの守備隊なぞ穀潰しと変わらないだろう」
【避難民を逃がすのは確定事項である。だが彼らは逃げる訳には行かない、逃げてはならない】
【精鋭部隊じゃない。専用機なんて見た事もない。特別な出自がある訳でも、特別な経歴がある訳でもない普通の人間だ】
・・・・・・・・・・・・
【普通の人間にも意地がある】
「死ぬまで戦い抜いてやる…………!俺達以上に、このコロニーを知り尽くす人間はいないんだからな」
- 61ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/25(金) 23:46:08
「地下鉄――――!?」
その言葉に、ケイは驚きを隠せなかった。
一つは、その存在が戦闘能力を持っているということ。一つは、避難しながらの戦闘を行うつもりなのだということ。
(どうする!?!バディフレームの籠城が可能なら、あのプラズマも……いや、ダメだ! 過信したら人が死ぬ!)
受け入れれば、援護が増える。だがその援護で彼らに邪竜の殺意が向けば、民間人を避難させるための命綱が減る。
瞬きを二回、三回して。ケイは決断した。
「民間人が乗っている間にそれをやったら、俺は絶対に貴方達を許しません」
・・・
次善策だ。誰もが甘いというだろうことだが、最善と最悪は紙一重にすぎる。
誰も死なないはありえない。 だから、死者は少なくする。
・・・・・・・・
「民間人の避難が限界ギリギリまで終わったら、砲撃を開始してください! 判断はそちらに任せます!」
(彼らに今すぐ援護しなければと思わせるような不様を、晒さなければ良い!)
味方の反応は続々とコロニーの中に入ってきている。
その中には、G-3コロニーという戦場でバラけていた仲間たちが。
「皆で生きて、勝つんです!!忘れないでください!!」
ケイの言葉はこれで終わり、その目は邪竜を見据えた。
- 62クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/25(金) 23:48:32
"了解した"
【その返答に二機は手を素早く振り返す
ただ手を振った訳ではなく、BF用の手信号で
内容を漏らさないよう返答しているのだ】
『...正念場だね。』
「迷ってれば時間切れ、だ」
【黒い機体は軋み、甲高い音を鳴らす
それはまるで、天高く鳴く烏のように】
【兄妹は声の主の返答を待っている
無線用のダイヤルに手を置きながら】
- 63ヴァンガード◆YMCgTirJag25/04/26(土) 00:32:26
「くそったれ!!」
獣はコロニーへ侵入ったのが見える。
「これもテストか?答えろよ⁈」
老害へ怒鳴る。
<我々も想定外だ>
[だが作戦は続行だ。]
【K.Iに恩を売れる好機でもある。】
<蒼月のバックアップは継続。以上だ。>
通信が切られた。
「もううんざりだ!俺は俺の為に動くぞ!」
人自連の統一識別装備を切り離し、決別した。蒼月との個人回線も切る。
今ここに210mm単装砲と57mm機関砲を二門備えた大型無限軌道車両が現れた。識別信号はADT、桜空の地対地次世代制圧戦車のものである。
「時代遅れだぁ⁈BF未満だぁ⁈ふざけんな!アドバンスド!ドミナント!タンクだぁ!」
バリバリと瓦礫を踏み砕きコロニーへ入っていく。
- 64アリソン◆PPyRfvMZl625/04/26(土) 01:05:31
- 65龍影◆9BZ6kXGcio25/04/26(土) 01:25:59
- 66ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/26(土) 04:42:58
「FCSは……これでよしと、準備完了だな」
【コロニー外壁近くの武器庫、中尉の話しの通りにロケットランチャーが何丁も保管されていた、FCSを調整しつつサブアームを利用して背中のコンテナに詰めていく】
「少し出遅れたな、初めて見るタイプの識別コードまで出てるし何が何だか……って、おいおい……!」
【サブアームに2本、左手に1本のロケットランチャーを抱え武器庫を出ようとメインカメラに目を向けたその時,こちらを見上げる小さな影と画面越しに目が合う、避難途中で誰かと逸れたのか人形を抱いた姿にかつての自分が重なる】 - 67ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/26(土) 04:43:24
【車体に降り半ば放心状態となってこちらを見上げる小さな身体を抱えるとコクピットに向かう、少なくとも武器庫に置いて行くよりは安全な筈だ】
「少し揺れるが我慢しな、すぐに終わるからさ」
【コクピットの後部、人を運ぶ際に使用する折り畳み座席に座らせ言葉を掛けると軽く深呼吸をする】
「師匠と同じことやるなんてな、これが因果ってやつなのかね」
【2つの命を乗せて4つの銃を携えた完全武装の重騎士が戦場へと走って行く、狙うは邪竜の首だ】 - 68ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/26(土) 07:21:11
「…はい!」
【意思は決まっている。行動も決まっている。ならこれ以上の言葉を不要だろう】
【”good luck”とサムズアップしたアリオールが、可変し、推進器とホイールからレゴリスを噴き上げ加速する】
【あとはこの情報を他の人も知っているかだが……】
(この声は…記憶にない。コロニーの防衛隊でも無ければ──第一このタイミングで?)
「成る程!」
【時折りあったナパーム弾での狙撃を思い出し、"聞き耳”を立てていた存在を認識する】
(BFでない機体、可変機でもない。それにアレはK.Iの所属…)
【コロニーの外壁を壁を走り登り切った際に見た光景。何故、ここまで接近しあの獣を狩ろうとするのかはパッと理解できなかった】
(いや、そういう人もいる。ってだけかな)
【理屈はないのかもしれない。あのADTは理屈を押し除け所謂”感情”から動いたのかも】
【ならば援護しよう。先に自分が言っただろう?「やるだけやりましょう」と】
「無論、全力で!」
【途中、拾い上げた防衛隊用らしき狙撃銃と投擲銃を背部のサブマニュピレータに持たせた計四丁持ち。口径が小さくても数を増やせばいい】
【コロニーの外壁をアリオールが駆ける】
- 69ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/26(土) 08:21:46
「ヴァンガードさんの機体か!?」
(なぜ、あの機体は大火力の砲撃支援が強みのはず、いや……射線を作るためか!?)
邪竜を睨みつけ、少しでも牽制になればと動いていたケイは、隣へやってきた望月と共にその姿を認める。
(あの火力が鍵だ……!)
少なくとも、ケイは一つをそう感じた。もう一つは、機動力と装甲を両立した兄妹の機体。そしてもちろん戦友たち。
「龍影さん……!バックアップをお願いします」
地獄じみた光景で、ケイはモニターでいくつもの心肺停止を探りつつ……背中を預けるに相応しい女性に要請した。
「地下鉄が避難民を輸送してくれます。それが完了するまでの時間を……稼ぎたい!」
甘さなのかもしれない、言葉だった。
- 70ノイン◆fDey8JUvvk25/04/26(土) 08:44:36
【統一識別装備の破棄、個人回線の切断、識別信号の変化、そしてコロニーへの侵入】
【明確な命令違反だ。強化人種よりその機体の方が替えは効かないだろう】
【つまりは処刑に繋がる行為ということを瞬間理解する】
(死ぬ気か……!)
【そして説得の時間はない。力付くで止めるのは論外。】
どうしてそうなったともはや聞くまい!!
【割り切ろう。避難完了まで立ち塞がるだけだ】
- 71ヴァンガード◆YMCgTirJag25/04/26(土) 09:23:14
210mmを水平射して倒壊したビルを吹き飛ばしてオープニングを通す。
「邪魔だァ!」
道を拓く。制圧兵器の名に恥じない走破であった。
<何のつもりだ、ヴァンガード。>
[桜空の出来損ないである貴様を誰が拾ったのか忘れたのか!]
【莫大な資金も貴様に掛けたのだぞ!】
<まだ作戦の軌道修正は出来る。早まるな、ヴァンガード。>
「到贵能具有的程度智能没掉下来!不好,但是我厌烦贵跟老害的自己交往的!」(貴様らについていける程知能が落ちてる訳じゃない!悪いが俺は貴様ら老害のエゴに付き合うのはうんざりしている!)
<ヴァンガード、貴様まさか?!>
通信を切る。
「シェルター避難もままならないのか…いや、まだ守備隊が居る、そこが桜空の時とは違う。」
- 72栄光侵食体◆OXAm1h6odk25/04/26(土) 11:48:47
【──────────ぼおおおおおおおお。ぼおおおおおおおおお。邪竜が吼える。エネルギー供給を重撃形態より通常形態に戻し、鮮血の如き真紅と漆黒の雷を迸らせながら】
【腕部統合型五連装規格外大型超重斬刀がその刃に雷を帯びる。尾部統合型規格外大型ワイヤーブレードが延長されて機体の全長も長い射程を自由自在に動き回る。腕部統合型特殊電磁砲と全面換装特殊電磁攻性装甲〈“ジークフリート”〉に過不足なく電力が供給される】
【テイルブレートが、建ち並ぶビルを薙ぎ払った。斬るなんて上等な攻撃ではない。質量と速度で支柱を強引に砕き折り、視界の邪魔となるビル群を破壊する】
・・・・
【そして、見つけた】
【──────────コロニー住民に課せされる労働義務の中には、コア鉱石の採掘も含まれているのだ。其れらは多くの場合、コロニーの外へと輸送されるが、しかし輸送隊の到着まではコロニー内に保管される】
【そのコア鉱石集積地に、邪竜は進路を定めた】
【ぼおおおおおおお、ぼおおおおおおおおお。悪魔の汽笛めいた重低音が鳴り響く】
【重い翼脚が舗装された道路を叩き割り、四足歩行でネフィリムが前進する。ネフィリムが前進する度に地震めいた振動がコロニーを揺らして、剥がれた刃殻が火炎を撒き散らす】
・・・・・
【異形の花弁/四連規格外大型特殊電気熱推進スラスター〈安眠姫”スーサイド・シンデレラ”〉を温存しながら、ネフィリムは這い回るようにして集積所に向かっていた】 - 73コロニー守備隊◆OXAm1h6odk25/04/26(土) 12:00:05
『……………あぁ、そうだな!』
【生きて勝つ、民間人の避難が最優先。その言葉に同意を示してコロニー守備隊が動き出す】
【避難シェルターは大抵が地下に作られていて、故に地下鉄道との連結も初期設計に含まれる。地下が必ずしも安全ではないと分かった今、外部へと輸送した方がネフィリムの暴れ回るコロニーの中よりも安全だろう】
『避難が終わったら、援護する!ビーム兵器は我々クロノスの専門だ!“ローン・ソルジャー”だって数を揃えれば、』
【絶句】
【コロニー内のマップ情報と突如として現れた“新型インベイド”の位置を照合して守備隊が、厭に緊迫と恐怖を滲ませた事でオープン回線を開いた】
『奴の侵攻方向上にコア鉱石集積所がある!約2km先だが、移動速度が高速道路の自動車並みだ!コア鉱石を“捕食”するのが目的だろう!』
【瞬時にコロニーのマップ情報が作戦に参加した各機体に転送される。防衛の観点から機密情報に指定されている情報だ。しかし今の状況ではそんな悠長な事は言っていられない】
・・・・・・・・・・・・
『強化される可能性があるッ!』
- 74ヴァンガード◆YMCgTirJag25/04/26(土) 12:02:50
- 75ニライニスト◆XGxCas/OAU25/04/26(土) 13:46:46
- 76ノイン◆fDey8JUvvk25/04/26(土) 14:30:45
【身構えるが直ぐに相手の狙いがこちらではないことに気づき、射撃もせず粒子を温存する】
【だがまだこの段階ではシェルターの護衛から離れない】
!!
【ここで理解し蒼月はコロニー内を飛翔し背後からインベイドを追う】
成る程強化されれば殴るも退くも自在か!!
【K.I.社のBFより一回り大型の蒼月が高速鉄道路を使えるかどうか迷い、迷うくらいなら身体を動かしていた】
【亜音速で追いながら狙いをつけるビームライフルを1射。狙いは素直に胴体へ】
だがなぜあの加速、電磁加速をしない?
できないのか、したくないのか(はどうでもいい)そこは隙だ……!!
【聞こえたが、それより先にインベイドの足止めだろうと判断し現状反応しない】
- 77ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/26(土) 14:37:02
「!!!」
(これ以上の強化は……!!)
守備隊からの通信、そして地を這い回る姿勢を取る邪竜。それに対して飛び上がり、装甲による爆撃を受けない位置に陣取る蒼風改。
「行かせるわけにはいかない!!」
そのまま上空で一度弾体加速砲を叩き込みつつ、反動を利用した三角飛びで地に降り立ち、ネフィリムの目の前に立ち塞がる。
燃費や負荷を考え、一度激昂で外したリミッターは付け直してた。
だが蒼風改のコア粒子推進機関の高音、重低音は鳴り続けている……邪竜を通さぬと、青き睨み目が光る。
「ヴァンガードさん!!俺と龍影の三人で時間を稼ぎましょう!」
ビル群を破壊しながらやってきた火力の化身を頼りに思い。ケイはまず敵の間合いの外から冷静に、複数回の弾体加速砲射撃を試みる。
アンカーで一瞬固定し、遠間用の、膝を僅かに落とした狙撃姿勢で持って照準をさらに安定させて。
「食らえ!!」
ボフン!という射出音が一度に数回鳴り響く精密射撃を飛来させた。
敵の接近に合わせてアンカーは解除する。
《こちら独立型戦闘支援コンピュータ、スイ》
《所属不明機体に告げます。現在蒼風改は敵と交戦中》
翠の妖精が、通信を届ける者に告げる。
《時間は最低限稼ぎます。戦術を行うならば行動を》
時間切れにはさせない、という意思だった。
- 78クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/26(土) 14:57:51
- 79ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/04/26(土) 15:16:33
- 80ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/26(土) 15:21:53
「狙いは集積地……、この位置からなら列車を使わなくてもギリギリ間に合うか?」
【共有されたコロニー内のマップから最短ルートを探る、一般的ではないタンク脚では列車への搭乗は難しいか、出来たとしても重量の問題もあるだろう、ならば選ぶべきルートは地上だ】
「市街地をトップスピードで突っ切る!」
【オープン回線から指示が飛ぶ、何処の所属かは分からないが粘着爆弾等という奇特な武装を持ったBFが2機も3機もいる筈は無い、自身への呼びかけと判断し回線を繋ぐ】
「ご指名の粘着爆弾のBFだ、良いアイデアだと思うが問題がある、こいつは時限式だからそんな器用な爆破のさせ方は難しい!だがまあ努力はする!」
【オープン回線の向こう側にいる何者かに返答するとアクセルを踏み込むとブレーキを使用しない無鉄砲な操縦でビル街をすり抜けて行く】
- 81ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/26(土) 15:53:43
- 82アリソン◆PPyRfvMZl625/04/26(土) 16:42:29
- 83栄光侵食体◆OXAm1h6odk25/04/26(土) 17:47:15
【──────────────ぼおおおおおお。ぼおおおおおおおおおお。重低音が響く。その声は想像以上の妨害に対して煩わしく思っているようにも、或いは尽きぬ飢餓感を紛らわせようとしているようにも聞こえた】
【後方からは210mm単装砲と57mmの砲撃。上空からはビームライフルと、上空と目の前からの弾体加速砲───────一つ一つの攻撃を精査する】
【脚部を破壊し得る210mm単装砲は避ける必要があるだろう。“コア鉱石集積地”への一刻も早い到着が勝利条件に直結するネフィリムにとって機動力を削られるのは避けたい自体だ】
【上空からのビームライフルは防御不可能だろう。電磁装甲による防御が通用しない以上、機体胸部を貫通する危険性もある。回避したいが、左右を高層ビル群に。前後をバディフレームに囲まれている】
【弾体加速砲による精密射撃も厄介だ。半永久機関であっても一度に取り出せる出力は限られている。全身の装甲に張り巡らせている都合上、完全に無効化するのは不可能だ】
・・・・
【─────────────突破可能であると、邪竜は判断した】
・・・
【邪竜が跳ねる。強靭な逆関節の脚部が左側の高層ビルと激突し、凄絶な破砕音が響く渡る。窓ガラスが全て砕けてビルの入り口が瓦礫に呑まれ、その反作用で巨体が大きく浮かび上がって210mm単装砲を回避する。止まらない】
・・・
【再び跳ねる。今度は右側の高層ビルの中腹を蹴り砕き、外向きに倒壊させながら更に上方へと浮かび上がりながら前進する。『蒼風改』が胴体の下へと相対的に位置転換した。翼脚を構える】
【弾体加速砲と粒子ビームが胴体へと突き刺さり、装甲を貫いて機体胸部を貫通する。今度は機体頭部に高エネルギー反応が生じて傷口を埋めた】
【受けた衝撃を加速度へと転換して更に加速する。怪物的質量を誇る翼脚で機体を押し潰そうとして】
【特殊電磁砲が上空へと向けられる。狙いはビーム兵器を扱う『蒼月』だ。装甲を貫通する威力は優先的に排除しなければならない】
【二本の特殊電磁砲が唸りを上がる。無尽蔵に再生する赤熱化刃殻を弾頭として、レールガンが次々と機体を狙って射撃を行う】
【─────────その背後で、異形の花弁が熱を帯びて真紅の焔を噴き上げ始めていた】
- 84ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/26(土) 18:14:43
【歩行での移動は、確実に辿り着くための温存だとウルヴィは踏んでいた。邪龍に追いつく最中で両手の武器をブレードの二刀流にしていたBESTIAは、ビルを蹴って跳躍する邪龍を追い抜かんとする勢いで飛翔している】
・・
【ドドン。と破裂するような噴射音は三重。音を超えた連発によって、反響にも似た聴こえ方をするかもしれない】
【ウルヴィの視界がブレる、意識が揺れる。真紅の花びらが、たくさん、きらきらして、きれいで──】
ころしたい
【おいしそう】
【異形の花弁〈安眠姫”スーサイド・シンデレラ”〉を二刀のブレードで斬り落とさんと、漆黒の獣〈BESTIA DREAD〉が迫っていた】
- 85ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/26(土) 18:41:03
- 86クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/26(土) 18:45:56
- 87ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/26(土) 18:58:20
「すぅ、はぁ……!!!」
(来る!!!)
電磁加速された弾体が上から、正面から複数命中した数秒後、更に加速して翼脚と化した刃が押し潰さんと蒼風改の真上から襲いかかってくる。二度の三角跳びを見た時点でこの動作ができないという思考はケイの中から切り捨てられていた。
始めは右の翼脚。 予め先行入力した右へのブーストで滑るように回避。
(数秒先の思考を即座に読めるほどの学習はまだしてない!!)
地面をえぐる大剣を見ながらそう判断する。数瞬後にできるかもしれないが、できないことには理由がある。回避先を潰すように来た左の翼脚を上昇回避――――!
【警告!! 飛翔体接近!】
アラートが視界中央にポップし、右後ろへ動く。視線で即座に追えばテイルブレード。
(回避からの回避――――の先を潰しに来たか!!)
右腕のシールド外縁部の高周波カッターを展開して、回転するように尻尾の先刃を弾く。
コン!と不思議な衝突音が鳴って、蒼風改の右側面をテイルブレードの左側面が流れて。弾きの勢いそのまま機体を回せば、引き戻したのだろう左の翼脚が迫る。
「っっらぁ!!!」
左のサーベルを展開。 シールドが一部開いて、過剰出力の青い刃が迸る。
回転斬りの要領で刃に叩きつける。 熱量と衝撃で閃光。
――――相殺しあっている。斬れてはいない!!!だがこのままでは手数で押し切られる!!
「スイぃ!!! 上書きしろォ!!!」
オーバーライド
《コア粒子推進装置リミッター解除。関節駆動条件上書、コア粒子伝達流路定格解除》
数秒の拮抗の間に、口頭で叫んだことをスイは成し遂げた。 良い相棒だ!!
蒼風改の高音が不安定化する。一瞬で引き上げられる出力による悲鳴。
- 88ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/26(土) 19:10:54
――――だがその悲鳴こそ、ケイが最も待ち望んだもの。
目の前の邪竜と互角に立ち合うならばそれが最も必要だ!!
「ラアアっっっ!!!」
右のサーベルを電磁弾体加速装置を傷つけぬよう角度を調整し展開、右の翼脚側面を叩くようにして弾く。テイルブレードも弾く。左の横切り。胸部に追加されているコア粒子推進装置で後ろ倒しに回避。即座に背部推進装置を吹かせて立て直す。刺突を左で弾く。
合計で四合を凌ぎ、蒼月を狙うついでとばかりに狙ってきた電磁投射砲を一発回避、突っ込んで――――上に飛ぶ。テイルブレードが通り過ぎた。
「ま、だ、まだァ!!!!」
(アブソーバー機より速い!けど!!!)
追えないわけではない! 再生の始まった胸部へ右腕のビームサーベルで袈裟懸けに斬りつけ、焼きながら刺し、加速で抉るように背面も焼いて――――見た。推進機関が生成されている!!
「逃げんな!!!」
吠えた、その瞬間に。
戦友達が追いついてきた。死線のはずなのに、「久しぶり!!」と声をかけた。
間もなくアリオールが刃と火器で以て邪竜の頭を狙った。
同時に、飛び込む二機のBF。目で追うのもやっとな一対の流星が、己を逃げるついでと襲いかかる翼脚へと落ちていく。
- 89ノイン◆fDey8JUvvk25/04/26(土) 19:27:02
命……再生!?
【インベイドがビルを砕きながら跳ぶ。それはもう見た。心は痛むが驚くことではない】
【だが弾体加速砲と粒子ビームが胴体へと突き刺さり、装甲を貫いて胸部を貫通したにもかかかわらずそれが埋まっていく様は不条理となってノインの神経を走る】
【それでも。特殊電磁砲がこちらを向き始めると同時、反射的にさらに機体を傾けほとんど頭から突っ込んでいくような姿勢となった】
ダンスは知ってるか!?
【前方には慣性で推進/落下しつつ背部大型推進機関とウイングスラスターによってきりもみ回転を始める】
【同時にライフルとシールドを放し両手を頭上に、つまりは進行方向に腕を向けつつサーベルを発振】
【近接信管じみた赤熱化甲殻への盾とする】
【そして、蒼月の最大の推進力は進行方向に対して垂直の向き。そして蒼月は進行方向に対して平行な向きで回転している】
【……結果としてその軌道はあまりにも不格好で不安定に変化する。させられる。】
私も知らんよぉ!!
【そのムーブで特殊電磁砲を次々と後ろに見送り】
- 90ノイン◆fDey8JUvvk25/04/26(土) 19:44:10
- 91クロウ◆KPwoT407kA25/04/26(土) 19:45:26
- 92ニライニスト◆XGxCas/OAU25/04/26(土) 20:05:06
「…パオラ、落ち着いて。」
【マキトがパオラを諭す】
「…ごめん、ヒートアップしてた。そっちは今どの辺り?」
「あのでかいのがいる…大きさからして、多分かなり近い…」
「了解。でも確認した限り這って移動してるから胸部が見えない。まだテルミット弾は使わないで。でも足止めは必要、方法は任せる。」
「ああ、分かった…」
【マキトの声がどこか弱々しい。パオラがそれに気付く】
「マキト…大丈夫?随分と疲れきったみたいな声だけど…」
「え?ああ…問題は無いよ。…申し訳ないけど一度切るよ。集中したい…」
「はぁ?待ってよ、まだ話は…【プツリ、と無線が切れる。】
【マキト視点へ移行】
「…痛っ…!」
【反射的に自分の右腕を押さえる。
…そこからは、止めどなく血が流れていた。包帯が、真っ赤に染まっている。】
【包帯が重みで落ちる。右腕の深く入った切り傷と、金属の破片が露になる。血はそこから流れていた。】
「クッソ…もうダメだな、コレ。」
【全身の感覚が徐々に鈍くなっていくのを感じる。…それが何を指すかは、容易に想像がついた。】
【『鵺』のフレームから鈍い音が出る。それは目に見えていない所で、限界が近づいていることを語る。】
【…背部のブースターが出力を上げ、鵺は地上から飛び上がった。】
【『終わりが近い』…それは、『残すものの事をかんがえなくていい』事を指す。】
「最後まで、精一杯やらなきゃ…隊長に合わせる顔が無いよなぁあああ!!!!?」
【上空へ飛び上がり、ありったけの通常の榴弾をビルの根元に叩き込む。】
【周りにあったビルが、バケモノ目掛けて倒れていく。それらはその重量でのし掛かり、前へ倒れた物は進路を塞いだ。】
- 93栄光侵食体◆OXAm1h6odk25/04/26(土) 22:12:54
>>84>>85>>86>>87>>88>>89>>90>>91>>92
【─────────────────コォォォォォォォォォ、コォォォォォォォォォォォォォォォ。深く息を吸い込む音がする。それは周囲の薄いコア粒子を何とかして体内へと取り込もうとする足掻きに過ぎない】
【異形の花弁が、憎むべきデスペラード達の手で欠落させられた。邪竜がその事実に吼える事はない。あの姉妹であれば、デスペラードに花を散らされたという事実に憤ったのであろうが】
【思考するのは突破の方法についてだ。あの蒼色の機体に邪魔をされたせいで、数秒間進めずにいる。強引に突撃する為の推進機関も再生まではもう暫くは必要だろう】
【ビームサーベルによって胸部を切り裂かれ、続き翼脚を尋常ならざる速度の流星によって折られる。再生までには時間が必要だ。胸部への攻撃を警戒しながら頭部にも気を配らねばならない】
・・・・・・・
【邪竜の眼を狙って刃と銃弾とが殺到する。既知の戦術だ】
【そして邪竜は、一度受けた戦術への対策を怠りはしない───────サルベージした情報から無数に複製した“眼”が周囲を捉える。頭部だけでなく、首にすら観測器官が存在していた】
【だが主要観測を担っていた“眼”を潰されて、もう一機の蒼色の機体がその一瞬の隙に特殊電磁砲へと肉薄している。レールガンからパルスショットガンに切り替えるよりもずっと疾く、特殊電磁砲が切り落とされた】
【全体にパルスショットガンを拡散させて間合いを確保する試みが潰える。再生するまでの時間の間、テイルブレードと翼脚一本だけで耐え凌がねばならない】
・・・・・・・・
【まだ打開は可能だ。翼脚を切り落とされた影響で質量が減じている。再生するまでの僅かな間だが、その間はより疾く動けるだろう】
【そして立ち塞がる蒼色の機体を飛び越える形での跳躍を行おうとして、倒壊するビルが跳躍の起こりを叩き潰した】
- 94クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/26(土) 22:22:28
- 95ヴァンガード◆YMCgTirJag25/04/26(土) 22:28:53
- 96栄光侵食体◆OXAm1h6odk25/04/26(土) 22:34:45
【────────────────────其れは、思考を続けていた】
【翼脚で瓦礫を退けるまでの間、或いは巧みな連携によって欠落した肉体が再生するまでの間、厄介な敵性存在は準備を整えているだろう、と】
【敵性存在の次の手を考える。理解しようとする。何をしようとするのか、何が己にとって最も危惧すべき行動なのかを】
【其れは『学習』と呼ばれる行為であり、有機演算装置を完全に侵食したネフィリムにとっては今まで続けていた行為だった】
【──────────カチリ、と切り替わる】
【虐殺ではなく戦闘において、機体胴体部の装甲は赤熱化させるべきではない。厚い装甲の質量は元の硬さでも生半可な銃弾は通さないのだから、ビーム兵器への耐性を優先するべきだ】
【一方で機体頭部の質量は胴体と比較して薄い。常に電磁装甲を展開した方が安全だろう。また二つの有機演算装置を貫通する形で狙撃をされる可能性がある。実弾兵装への防御と、ビーム兵器への防御をそれぞれ両立させた方が効率的だ】
【特殊電磁砲の運用に関しても一部非合理的な部分が存在していた。レールガンだけではなく、パルスショットガンによる近距離戦への対応も重視すべきだ。範囲攻撃を布石に攻撃を連鎖させられる】
【頭部の構築に関しても甘い部分があった。空襲級を参照して“目蓋”の構築を行う。複数の観測器官を変わる替わる電磁装甲で覆う事で一度の攻撃で破壊される数を抑えられるだろう】
【胴体部の電磁装甲を通常の硬度を有する質量装甲へと切り替えたお陰で余剰なエネルギーが生じた。〈熱線砲“グローリー・サクリファイス”〉への供給に回せるだろう。純粋火力ではなく、気流の乱れによる高機動機への妨害を意識するなら必ずしも威力は重要ではない】
【実戦を通じて機体の構成を更新する。敵性存在に対して有効な手段を模索する。邪竜には其れが可能だった】
【上空からの電磁パルス攻撃が降り注ぐのを、電磁装甲によって相殺する。一度受けた攻撃だ。電力を収束させていなければ総エネルギー量で勝る邪竜の方が優勢となる】
【倒壊したビル群の瓦礫を超音速の散弾として弾き飛ばしてから、新たな姿へと変異したネフィリムは吼えた】
【コォォォォォォ、コォォォォォォォォォォ。地獄の底から響くような、何をかもを呑み込んでしまいそうな音が都市を震わせた】 - 97クロウ◆KPwoT407kA25/04/26(土) 22:34:48
『不明なアクセスが確認されました』
【何が不明だ節穴が。これはヤツを殺し切る為に必要な道具だ】
『直ちに接続を解除してください』
【どうして切り離さなければならないのか。こんな上等な武器を振るえる相手などそうそう居ない】
【依然として邪龍の上に座す深紅のBFがスラスターを吹かし、跳躍の為に力を貯めんとする敵目掛け機体を急降下させる。機体全体から発生する熱の余波が心地いい】
AOoooooooooooooo───────────!!!!
【狼の遠吠えにも近い音を轟かせながら、左腕の鉄塊が“開く”】
【溶断破砕機構────マイクロ波で敵を弾け飛ばす殺意の具現が、万有引力を伴い邪龍の足付近に振るわれる。直接マニピュレーターに接触しても当然危険だが、この装備の真の恐ろしさはBFには不釣合いな大きさ…その更に外周さえも攻撃範囲となっている事だ。掌から投射されるマイクロ波が付近で掠めただけでも構造物が飛び散るだろう】
- 98ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/26(土) 22:57:55
「ゲオホ……ッあれは……」
咳き込みつつ、控えめに邪竜と追随しながら、二機の電磁パルスの効き目が途端に弱まっていくのをモニターで見る。
アリオールの銃弾に対処するために生えた多数の眼球、そして――――目蓋を見て、ケイは確信した。
「まずい!! 学習し始めた!!」
咄嗟に全ての回線で叫ぶのは、初期の地獄を仮想で体験した故の経験則。
「全機手札を変えてください!! 今のこいつに同じ手は通じません!!」
その瞬間、邪竜がビルを砕き。弾幕に変え始めて。
「ぐ、っっ!? く、そ!?!」
超音速の散弾となった破片達をロールで交わしつつ、直撃コースが複数あると見た。
(捌ききれない!!!)
「コア粒子、開放!!」
叫び、蒼風改の頭部バイザーアイが光る。数秒の後、飛んでくる破片にリードが一致して、コア粒子のビームが突き刺さった。一瞬だけ薙ぎ払うように破片達を焼き溶かし、あるいは切断していく。
残った直撃は高速速射砲で捌くが……。
「しまった!!!」
一個だけ、見落とした破片が直撃コースに来ていた。
(間に合わない……!!)
被害を、ケイは覚悟した。
- 99ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/26(土) 22:58:32
「お久しぶりです!なんとか元気です!!」
【激戦ではあるが、このくらいの返答くらいはできる。この戦闘も1人ではない。それをしかと認識し、返事を返した】
「対策は講じて来たが…案の定隙はできたか!」
【着地と同時に、射出した刃をウィンチで掴み取り】
【散弾のように飛来するビルの瓦礫。大きな物は可変で避け、切り払える物は可能な限り切り落とす】
「対策が早いというのなら…」
【眼前に瓦礫を切り裂き納刀。その間もアリオールの双眼は新たに発見した”眼”を見つける】
【CG補正を通した視界の中、歪な龍の身体をグリッドが埋め尽くしていく】
「一斉に潰す…!」
【開き構えた両腕部から白煙の尾が無数に飛び出す。NA-A66/2f-MMP。計12連装の誘導弾。一つ一つの威力は無いが、今は破壊が目的ではない。残留する連鎖爆発、それによって視界を潰す】
- 100二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 23:07:19
このレスは削除されています
- 101二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 23:07:19
このレスは削除されています
- 102ノイン◆fDey8JUvvk25/04/26(土) 23:10:31
くだらないことを考える……!
【一瞬の攻防。切り抜けながらノインは相手の思考レベルが跳ね上がっていると確信していた】
【自分を鼓舞するように、相手を嘲るように称する。そしてそんな相手にやるべきことは一つだ……問題はその一手が蒼月では打てないことだが】
【切り抜けた勢いのままインベイドを中心とした大きな旋回軌道に乗る】
【私にはできぬ芸当だと内心称賛・自嘲しながらそれによって生まれた時間で周囲を確認する】
【超音速の散弾、予兆の見えない反撃】
【「それくらいのことはしてくるだろう」という『学習』】
【反射で機体を捻り、直撃を避ける。蒼月とノインの性能なら左腕が瓦礫で歪み、使い物にならなくなる程度の被弾に抑えるのは可能だった】
!!
【そして見つけた。『規格外の暴力』】
【──インテリにはごり押しが利く。ノインの結論だ】
【蒼月は右前腕部ビームサーベルの基部ロックを解除し、腕を当然のごとく設定値上限・最速で振るいビームを発振したままのサーベルを投擲する】
【緊急時の機能を利用した、低速だが破壊力だけはある即席のビーム弾だ】
【今の蒼月の繰り出せる最後の武装でもある】
【もちろん、囮だ】
- 103ノイン◆fDey8JUvvk25/04/26(土) 23:11:58
- 104ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/26(土) 23:13:43
【『ウルヴィ』が灰になっていく。心臓が締め付けられ、呼吸の方法すら忘れたように喉が痙攣する。獣性が牙を剥き出しにして涎を垂らす。渇きを満たせと、命を貪り食えと叫ぶ。それでも、見失わない】
【異形の花弁を喰らう直前、赤い花びらの向こう側から差し込んだのは紅い月明かり。呟いたのか、呼んだのか。ウルヴィ自身も分からないまま、漆黒の機体はその右手を伸ばして──】
『パージします』
・・・
【右腕が落ちた。彼も同じだろう。左腕を隠していた『包帯』は解かれていたのだから】
『不明なアクセスが確認されました』
【漆黒の獣の肩口に接続されるのは、異形の刃。純化された殺意の塊。BFが拒絶する、身体が拒絶する、関係ない】
『直ちに接続を解除してください』
【右腕の激痛は骨髄から針が生えて暴れまわって肩から先が捻じれ続けるようだ。今すぐに『コレ』を外せという悲鳴、だが切り離さない。『コレ』は今、私の右腕だとウルヴィは身体に受容させる】
【紅月の左腕が“開く”のと同じくして、BESTIA DREADの右腕で展開された二枚の刃が“回る”】
【狼の遠吠えが轟き、つんざく悲鳴が共鳴するように響く】
【刃殻を装甲とし、攻撃ではなく守りを固めることを選んだのだろう。邪龍の装甲が今までのように簡単に貫けるものではなくなったはずだが──】
イレギュラー
【果たして《 規 格 外 》に耐えるほどだろうか?】
【既に飛翔の手段は奪った。だから次に狙うのはその脚だ。紅月も同じ考えなのか、通信をせずとも狙いは同じだった】
奴らを殺すため
【対惑星外生物用の『規格外の暴力』が、一対の脚へ向けて振り下ろされる】
- 105マルタ◆KPwoT407kA25/04/26(土) 23:13:46
【偏向ビームが上向きに逸れながら…現行の参戦機ではカバーしきれていたかった箇所へ飛ばんとしていた破片目掛け放たれ瓦礫が焼失する。高度な戦術警戒予測能力の賜物だ】
(…本当ならこれをあのバケモノ目掛けて撃つつもりだった。けど…貴方がここにいた場合も同様のイレギュラーを起こしていた筈)
【その発生源は、コロニー外壁に“括り付けられた”主なきライフル。【シュヴェルトライテ】は遠隔管制にてそれを動作させたのだ】
(悪く思わないでよ、マルタ見習士官)
【─────そして、肝心の【ロスヴァイセ】は】
とっ…かぁぁぁぁぁーーーーーん!!!!!!
【ライフルの真反対側から瓦礫など電磁シールドで介さず…コア推進機関を最大出力で運用しインベイドの胸部装甲目掛けて可変式ビームライフルの陽電子ランスにて突撃を試みる】
- 106二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 23:22:33
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- 107ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/04/26(土) 23:24:46
- 108コロニー守備隊◆OXAm1h6odk25/04/26(土) 23:30:16
【──────────────その死角から迫る超音速の瓦礫の内の一つを、ロングビームライフルが撃ち抜いた】
【オープン回線が開かれる。地下鉄駅からは無数のバディフレームが整列しながら射撃兵装を構えた姿で出撃していた】
『コロニー守備隊のアゲス・タルロッタ少尉だ!
現在時刻を以って、コロニー住民全員の避難を完了した!我々は諸君を援護する!』
【縦列に構えられた“ローン・ソルジャー”が次々にロングビームライフルによって降り注ぐ瓦礫の群れを撃墜して、続く“スカッド・ソルジャー”も構えたビームライフルによって瓦礫を撃墜する】
【グレネードランチャーによって瓦礫を砕く機体もいれば、誘導ミサイル弾によって瓦礫を消滅させる機体もいる】
【彼らは、決して“英雄”ではない】
【巨大な怪物に勝利するなんて不可能な、“凡人”に過ぎない】
【怪物によって家族を奪われた者もいて、しかし彼らが有効打を与えるのは不可能に近い】
【それでも、やれるだけの事はやらなければ】
『“皆で生きて、勝つ”──────そうだろう!』
- 109クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/26(土) 23:30:32
- 110龍影◆9BZ6kXGcio25/04/26(土) 23:40:31
- 111ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/26(土) 23:49:40
「!?!」
沢山の攻撃が、偏向するビームが。蒼風改を守るように瓦礫たちを消滅させていく。
「これは……!」
理解が、遅れた。如何に被弾時の被害を軽減させるかをのみ考えていたからだ。
たくさん、たくさん。彼らの守りが、決意が守ってくれていることを感じて。
今この瞬間こそが地獄だろうに、彼らは――――やりきったのだ。やるべきことを。
叫びたくなった。泣きたくなった……喜びで。
『“皆で生きて、勝つ”──────そうだろう!』
「――――はい!!!」
ああ、言われてしまった。返されてしまった。 これはどうしようもない。
やっぱり自分は、無慈悲な誰かにはなれない。
――――そのケイを新しく作った人が、墨と蒼の機体に乗って。高周波刀で最後の破片を切り捨てた。
背中合わせになって。
「仕方ないだろ? 人間は瞬きをしちゃう生き物なんだから」
つい、拗ねたように言ってしまう。仲良くなったのはいつだ、と問われれば。そんなつもりはなかったよと返す。
「皆が必死だから、協力してくれただけ……でも龍影は、何も言わなくても助けてくれたね。ありがと」
同調飛行を行いながら、笑う。 自分の命は、心はやっぱり彼女に握られているのだと実感するたび。嬉しくて止まらない。
「――――それは」
意味を問うことより先に、理解が来た。 ……自爆する気なのか!
「龍影は、止めないの?」
一番止める権利を持つ戦友が、止めないのならば。 きっと実利の損益を超えた何かだと、察した。
- 112龍影◆9BZ6kXGcio25/04/27(日) 00:08:22
- 113ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/27(日) 00:16:49
「――――わからない」
ケイの心は止めるべきか否か、ではなかった。あの怪物を殺し切れるのか、という点こそ、その通りだった。
「あの怪物の急所は一つじゃない。最低二つ、最悪移動してる可能性がある」
再生する以上、頭部と胸部だけが急所ではないだろう。 あるいは、同時なのかとも考えるが。
同時に破壊。言うは易しだが、行うには難しといえるものだから。
龍影にのみ秘匿回線を繋ぐ。
「……並行しよう。ヴァンガードさんは何があろうと、自爆目的だろうと最後まで守る。そして怪物を止める。できれば自爆の前に殺す。どう?」
ケイにとって、人自連といえば特に親しい逆巻重工以外のものはなかった。
「それに、一機で隠しても動きで絶対バレるって。 俺も巻き込んでよ?」
笑って、恋人に付き合うことを決めた。
- 114アリソン◆PPyRfvMZl625/04/27(日) 00:18:16
- 115ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/27(日) 00:23:21
- 116栄光██体◆OXAm1h6odk25/04/27(日) 00:24:38
>>97>>98>>99>>102>>104>>105>>109
【────────────────────接近する即席のビーム弾が機体頭部に命中しないように翼脚で遮り、五つの爪が蒸発する。一手使わされたと理解した】
【その隙に放たれた誘導弾が“目蓋”の上に命中している。連鎖爆発で視界を妨げられ、どうすれば克服出来るか思考が終わる前に次の攻撃が殺到する】
【溶断破砕機構と二連突撃剣が瞬時に邪竜の両脚を砕き、斬り刻む。二種の《規格外》が、一瞬にしてネフィリムの機動力を奪い尽くした】
【怪物的質量が崩れ落ちる。構えていた特殊電磁砲は、胴体を抉るコア粒子を前にして何の意味を為さなかった】
【だが、まだ抉られたのみだ。電磁装甲を解除した刃殻は生半可な砲撃すらその純粋質量で抑えられるだけの防御力を誇る──────生半可な、の枠に収まらない攻撃が見えた】
【可変式ビームライフルの陽電子ランスが呆気なく胸部装甲を貫通した。胸部の有機演算装置が、十数秒にも満たない時間の間に破壊された。対策しても抑え切れない。理解する。“恐怖”の何たるかを】
【まだ、死にたくない】
【まだ、終了したくない】
【〈ツイン・コア〉システムの片割れを、よりにもよって防御面を改善処理した片割れを破壊された。もう片方も直ぐに破壊されてしまうだろう】
【恐ろしい。恐ろしい。恐ろしい。恐ろしい。恐ろしい。恐ろしい。恐ろしい。恐ろしい。恐ろしい】
・・・・・・・・・・・・・・
【まだ喰らい尽くしていないのに!】
【死の淵に追い込まれて、ネフィリムはこの上なく演算機能を廻した。記憶を辿る。発想を求める。何か手段はないかと、今までの軌跡を辿る】
・・・・・
【────────────そうして、ネフィリムは最悪の覚醒を果たした】
- 117ニライニスト◆XGxCas/OAU25/04/27(日) 00:31:04
【パオラ視点】
【>>109伝えられた番号に合わせ、連絡を図る】
「ごめん、あんた達に聞きたいんだけど『鵺』…でっかい砲抱えたBF見なかった?無線が切れて状況が掴めてないの!カメラ経由のものもよくわからない物しか映してないしさあ!!…因みにそれが原因で、正直計画が予想通りにいくか怪しいよ…それは伝えとく…本当にごめん。」
【マキト視点】
【ブースターを吹かし続け、高度が更に上がっていく。】
・・・・
【あることを思い付いていた。今の状態だからこそ、その発想に至った。】
【『鵺』は速度と高度を飛躍的に増加させ、雲を突き抜ける。】
「…何だ…ここは…」
【マキトの目の前のモニタ-には、空が映っていた。足元には隙間なく雲が広がり、頭上にはただ青い空間が広がっている…そこは誰にも侵されることの無い、真の楽園だった。】
【下から、飛ばされたビルの残骸の鉄骨が飛んでくる。それは、背後から鵺の『胴体』を貫いた。】
- 118ニライニスト◆XGxCas/OAU25/04/27(日) 00:31:26
ベキャリ グジャッ…
「…ゴブッ………ガハッ…」
【鵺が、堕ちて行く。まるで、この場は不相応と言われ、追放されるように。】
【しかし、この“落下”こそが彼の目的だ。】
「油断じた…でも…こごまで高いな”ら…!!」
【機体全体から何かの呻き声のような、不気味な甲高い音が絶え間なく辺りに響く。】
【鵺は、同じ姿勢でただ一直線に地面へと落ちていく。その速度は、最早目に映らない。】
【…目の前…下に、あのバケモノが見えた。】
【辛うじて機体の体勢を変え、完全に砲を構えた。ほぼ同時に、無線をonにする。】
「パオラーー!!!今だーーーーーーー!!!!!!」
【パオラ視点】
「えっ!?」【とっさにモニターへ目を移す。】
【そこには、あの化物を上から見たような映像があった。】
(マキトの奴、あそこから上へ飛んだの!?それは置いといて、よく考えれば今アイツは立ってる…狙うなら、今しかない!)
【無線をオープンに切り替える】「みんな!!畳み掛けて!!!!」
【そう言ったと同時、映像を元に、頭部、胸部に向け、2回遠隔スイッチを押した。】
(…待って、マキト…そんなことして、アンタが無事ですむ訳ないじゃん!!)
- 119栄光増殖体◆OXAm1h6odk25/04/27(日) 00:43:26
・・・・・・
【───────────────────首が、殖えた】
【爬虫類めいた裂けた顎門と鋭く巨大な牙を有する邪竜の頭部が、両の肩からもう二つ突き出したのが見える】
【ケタケタと笑いながら、コォコォと息を吸い込みながら、三つ首の邪竜が狂喜している】
【パキリ、パキリと刃殻が剥がれ落ちる音がする。三つ首となった邪竜の背中に、無造作に腕部統合型特殊電磁砲が生えている】
【ガリッ、ガリッと巨大な何かが刃殻を突き破ろうとする音がする。二種の《規格外》によって迅速に破壊された脚部に、テイルブレードに寄り添うようにして翼脚が形成される】
【邪竜の形が、致命的なまでに崩れてゆく】
【翼脚が喉元から突き出す。特殊電磁砲が胴体正面に形成される。ワイヤーブレードが中央の頭部から長く伸びてシュルシュルと動いた】
【────────────────ネフィリムが恐れていた“死”が迫る】
【情報のサルベージによって再構成されようとしていた胸部の有機演算装置も、頭部の有機演算装置も、叩き込まれた決死の攻撃によって壊滅した】
【そして、】
『クロノスの観測員!敵インベイドに高エネルギー反応!脚部に胸部に腕部に背部に……………総数は不明!分からない!何が起こったというの!?』
・・・・・・
【再生が始まる】 - 120栄光増殖体◆OXAm1h6odk25/04/27(日) 00:55:18
【アリオールによる“眼”を潰す攻撃に際して、邪竜はサルベージした情報から“眼”を複製し数を増やす事で対応した───────その応用だ】
・・・・・・・・・・・
【有機演算装置を複製する】
【〈ツイン・コア〉システムを運用する上で、唯一性を維持する必要なんてなかった】
【沸騰するような音を上げて、次々と傷口が塞がる姿が在った。憎悪から生まれたネフィリムは、禁忌を冒した混血児は、最悪の覚醒を遂げていた】
・・・・・・・・・・・・・
【窮地に追い込まれて覚醒する、そんな人々が作り上げた御伽話の逆転劇を繰り広げようとしている】
【既に、ネフィリムの全てを吹き飛ばさない限りは何処までも復活の懸念が付き纏う大災害と化した】
【ネフィリムが進軍しようとする。コア鉱石集積所を襲撃し、集積されたコア鉱石を全て喰らい尽くす為にだ】
【電磁装甲であるのか、或いは質量装甲であるのかという判別すら困難になる程の変貌を遂げている。何もかもが滅茶苦茶で、生命としての在るべき形を逸脱した〈混沌の獣-キメラ-〉が進む】
【互いさえいれば幸せと謳った姉妹の信念を徹底的に踏み潰して、人としての幸せを奪われた姉妹の夢を絶望的に噛み潰して】
【邪竜は高らかに吼えた】 - 121龍影◆9BZ6kXGcio25/04/27(日) 00:58:39
- 122クロウ◆KPwoT407kA25/04/27(日) 01:07:53
【考慮に入れて置くべきだった。アーヴィングの脚が過活性により回復力を増してるということは、全身インベイドであった眼前の怪物はその恩恵をより強烈に、貪欲に受けられるという事でもある】
【そして、こちらの脚は先に限界が来る】
…っグぅ…………っ!!!!
【着地の衝撃を殺し切れず、有機ユニットの致命的な部分が断裂する音がする。痛みが接続を介して伝播し、そのショックで接続が強引に引き剥がされる。十分な出力を喪失した左腕の規格外装備が動作を止め、閉じていく】
途中で飛ばしすぎたか…!もう一度接続して今度はその身体を丸ごと消し飛ば──────
【“理性”が自らを厭わない捨て身の策を弄しようとしたその時、1つの輝きが見えた】
【…本当に輝いていた訳では無い。しかしその…どこか希望に溢れたその走行が、朦朧としつつあるクロウの意識には機体を輝かせているようにみえた】
【“生存本能”が逃避を選択し、コア粒子推進機関が紅月をコロニーから離脱させるように火を噴く】
………クソッ!!!クソッタレが!!!!!!そうだよな!!!!!!!!そうすりゃあのバケモノが何しようが関係ないだろうよ!!!!!!ハハッ…!
【自分が殺す筈だった獲物を横取りされる憎悪と不甲斐ない自身に変わってこの事態の始末を付けようとする勇敢な戦士への尊敬を込めて、オープン回線を開く】
─────────行け!!!英雄になってこい!!!
【発破を送る】
- 123クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/27(日) 01:15:18
「やれる事はやった、離れるぞ」
『...うん』
【感覚を研ぎ澄ました二人には何となく、
いや半ば確信に近い形で分かっていた】
【あの戦車は、全て終わらせる気だと】
『......行ってらっしゃい』
「(無言の敬礼)」 - 124ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/27(日) 01:33:00
【脚を斬り裂いた勢いを殺すように半回転し、BESTIAは振り返る】
【脚も、翼も失ったはずの邪龍…いや、それはもはや異形だ。再生していくそれに対し、明滅する意識で再度刃を構えようとして中断する】
【『バケモノ』を殺すのは、いつだって『人』だ。突撃する機体から感じ取ったのは必殺と絶死の覚悟。ならば尊重しよう、見届けることでその意思に敬意を払おう】
【ウルヴィは口を開きかけ、しかし何も言わなかった。そのままBESTIAは右腕から鋸刃を取り外し、懸架状態に戻してブースターを噴かす】
【コロニーの外縁部まで辿り着いたウルヴィは、明滅しかけた意識を再起させ、ただ幕引きをその目で眺めていた】
- 125マルタ◆KPwoT407kA25/04/27(日) 01:42:12
(貫いた!これで…)
【ランスがインベイドの胸部中枢を穿った感覚。マルタはこの瞬間に勝利を確信し、同時に…】
・・・・・・・・
…いや、違う!同時に潰せてない!増える!!
【直感的に事態がより悪化した事を感じた。【シュヴェルトライテ】に何か不測の事態が起きたのか…違う。彼女の予測の中にはこの推論も出ていた事だろう】
【…タイミングを見誤った。陽電子ランスは間違いなくロスヴァイセ最大の攻撃手段。そう何度も使える代物ではない】
考えろ考えろ考えろマルタ・アーネル…!どこかにこの状況を乗り切る解決策が…
【思考を不得手とするその頭で考えを纏める前に、スラスターを稼働させるロスヴァイセの機動は何者かの突進により無理やりねじ曲げられた】
ぉぶっ…!ち、ちょっと!?
【突進してきたのは【シュヴェルトライテ】だ。】
『結論ハ出マシタ。ADBF-00/2ノ衝突臨界式発動機ヲ意図的二爆破サセルコトニヨル高イ状況終了率ガ期待デキマス』
意図的に…って、まさか
【その行為がどのような結末を招くかはマルタでも十分に理解出来る…自爆だ】
ダメだ!せめてパイロットだけでも…!
『コレ以上我々ガ何カヲスル必要ハアリマセン。ソレニ彼ノ機体ハ既二人自連カラ離反シテイマス。帰ッタ所デ銃殺刑ガ妥当カト』
けど…!
【ロスヴァイセがシュヴェルトライテに対抗するように推進機関を吹かす…が、勢いがない】
“ちなみに加速減速どっちも0-100だから下手したらミンチなんでそのつもりで”
【ミカエラ博士の言葉が反芻される。無理に吹かせば急加速で要らぬ犠牲を増やしかねない事を無意識で理解していたからこそ、ロスヴァイセはパイロットの意思に十全に応えられなかった】
- 126マルタ◆KPwoT407kA25/04/27(日) 01:42:49
「……い……!」
【痺れを切らしたように、ロスヴァイセの通信スピーカーから電子音ではなく、肉声が響く】
「あの機体、脱出、不可能…!パイ、ロット、組み込、まれてる、ユニット…!」
「出ること、考慮し、てない…!」
【簡潔に述べられた言葉を、マルタは飲み込みきれなかった】
…なんだよ、それ………
【理解が出来なかった。マルタにとって、バディフレームは憧れであり、誉であり、共に駆ける相棒だ。】
【【シュヴェルトライテ】の吐露は、あろう事か身内であるはずの人類自由連盟がそれを踏み躙っていた事への怒りと、今の今まで“彼”を知らず、“彼”を助けられないと納得せざるを得ない諦観─────感情の波風を立てるに値するものであった】
…ふざけんなぁぁぁぁあ!!!!!
【マルタがコンソールを叩く。ロスヴァイセは、もうシュヴェルトライテの推力に抵抗できなかった】
- 127ヴァンガード◆YMCgTirJag25/04/27(日) 01:49:24
「逃掉吗?笨蛋」(逃がすかよ!)
獣へと150km/hで30mの戦車が衝突した。肉片が飛び散る。
「今度は外せねえ!」
砲身がピタリと獣を捉える。
210mmが火を噴いた。
けたたましい轟音と爆炎がオープニングの体躯を叩く。獣は至近距離で砲撃を受けたため、半壊した。
手元のパネルでエンジン出力のコンソールを出す
<突入不可以安定的临界维持的危险的领域。>(安定臨界維持が出来ません、危険域へ突入します。)
「あぁ…」
自分が操作しているものはインベイドが居なくなっても両陣営の対立を招くだろう。だが、止まるつもりはない
【Battlefield bombing alert.】
全BFパイロットへ送信された戦域爆撃警報。
<Pressure rises in the chamber. Relief measures fail. Temperature reaches dangerous level. Cooling measures fail. Meltdown.>(炉心内圧力上昇、緩和処理、失敗。温度、危険域突入。冷却処理、失敗。炉心融解。)
オープニングは真白蒼の光に吞まれた。
そのまま光球へ変わり時々スパークを放つ白紫色にコロニーを照らす。
そこには音も、憎悪も、他人もない、本物の静寂であった。
人造インベイドは討伐された。人類の団結を引き裂きながら。
- 128ノイン◆fDey8JUvvk25/04/27(日) 08:34:52
『総員退避ッ!!』
【先ず叫んだ。称賛よりも配慮よりも先に】
【もはや怪物のことは振り切っていた】
【誘導弾。上からの砲撃。溶断破砕機構と二連突撃剣。陽電子ランス】
【怪物が足を止めた時点で最後の一手が届くからだ。……それも駄目だった時のことは考慮外とした】
【Battlefield bombing alertが鳴り響いたのを確認した後オープン回線で呼びかける】
『曳行が必要な機体は返答を!!』
【旋回軌道で飛行しつつ戦場を見渡す】
【間に合わぬBFがいるなら1機くらいは連れて帰るだろう。もちろん善意ではなく撃墜王ならそうしたはずだという想像に依る模倣である】
【そしてその相手がいたかに関わらず、蒼月はコロニー外縁まで飛翔し、静かに着陸する】
……。
【コロニーに生じた光球を背に、ノインはそれを引き起こした者に思いを馳せ】
【暫く、動きを止めていた】
- 129ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/27(日) 08:48:17
「ま、ず、い、っ!!!」
味方に追いついて、最善を実行しようとしたその瞬間。ケイと蒼風改は、最悪が目覚めていく瞬間を見てしまった。
三叉に分かれた首が、大量に生えた翼脚が、翼が。そして、大量に増えていく高密度のナニカ。大量の、電磁投射砲。
「(確実にやったはずだ!同時に、みんなが同時にやれたんだろ!?)」
「(間に合わなかった……いや、違う!やつが、最悪の学習を間に合わせたのか!?)」
だが本来ならあり得ないことだ。急所を意図的に増やすなど、インベイドがやれることでは────。
「まさ、か」
インベイドだからこそ、やれたのか。『自分の中にいる誰か』を増殖させれば自分は死なないと、理解したから?
「────ふ、ざ、けっ!んなァ!!」
コア集積地には行かせない!行かせてはならない!!大量の砲弾を邪竜へばら撒き、一発でもその急所を破壊しようと試みる。最善がいいのだ。その結末が、1番いいのに!!
「!!!!」
ADTの車体が、再生と学習の反映のため動きを止めた邪竜にぶつかり、210cmを叩き込んでなお止まらない。邪竜を、引きずっていく。
「ヴァンガードさん!!!!」
彼はやる気だ。もう止まらない。知っている。止められない。止めては、いけない。
【Battlefield bombing alert.】
「────貴方は!!」
最善を尽くしたと、言い切って。
「コロニー守備隊へ! ……ADTが自爆します!!全機っ、今すぐ爆発半径から退避を!!!」
通信全てで叫ぶ。スイはギリギリまでADTを、オープニングの情報と映像を写し続けてくれる。
この期に及び邪魔をするかもしれない誰かからオープニングを守るよう、蒼風改の速度なら間に合う範囲で、邪竜のみを撃ちつづけて────退避した。
慟哭は、なかった。
- 130ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/27(日) 09:08:09
- 131龍影◆9BZ6kXGcio25/04/27(日) 09:31:08
「行ってこい!」
戦友の覚悟を見て、それを最大限活かすようにサポートしようと思った。210mmが獣を吹き飛ばしたのを見て、笑みがこぼれる。
ムニムニと動いている飛び散った肉片をビームライフルで滅菌する。
【Battlefield bombing alert.】
時間切れだ。戦域爆撃警報を受信した。
「離脱するよ!ケイ!」
粘る蒼風に離脱を促す。
背部大型推進器バラバラと笑い、コロニー外縁へ飛ぶ。背後では桜空を吹き飛ばした粒子臨界光が見える。爆縮現象により、爆心地へ吸い込まれそうになるが、推進器を限界まで回して振り切る。
「あそこはもう…重粒子汚染で住めないわね…」
2つの陣営はG-3である程度協調路線に入っていた。
だがこの1件でそれもインベイド侵攻初期の溝よりも深いものへ変わった。
- 132ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/27(日) 09:52:52
「……大丈夫、です。みんな、きっと分かってくれます」
こうするしか、なかったと。
蒼風改にはギリギリまで粘ったゆえのデータがあった。攻撃してもしても増え続ける本体反応。止まらない再生能力。 これがもし集積地に到達した場合の、脅威を考えれば。
……とはいえ、人は情の生き物であり。だからこそケイは理と情どちらも捨てずにいて。
「これを、繰り返さないようにすることだけを。祈るしか……!」
その声は。どこまでも震えていた。
- 133ニライニスト◆XGxCas/OAU25/04/27(日) 10:42:51
【マキト視点】
【彼は今になって、自分の行動が何の意味もない物と理解した。】
「ちく……し…」
【目の前に青い光が満ちるが『鵺』はそれに焼くよりも早く、地面へと叩きつけられた。】
【パオラ視点】
【今になって、もう手遅れな状態になっていたという事を知る。】
「そんな…じゃあ、今までの行動は全部…」
【モニターに、急速に接近する地面が映る。】
「…え、嘘…?このままじゃ…」
【無線から、金属とプラスチック、肉のへしゃげる音が流れた後、モニター・無線双方が反応を消した。】
「………」
「…は…は…はは…」
【今までの行動の無意味さを突きつけられ、その直後に仲間の無惨な最期を知る。彼女にできる事は、ただ笑う事だけ。】
『………救援を呼ぶタイミングは今がいい。』
【胴体と腕しかないアーテルリ-から、自らの場所を知らせるための、橙色の信号弾が放たれた。】
- 134栄光増殖体◆OXAm1h6odk25/04/27(日) 11:03:42
【─────────────ぼおおおおおおお。ぼおおおおおおおおおお。“魔獣”が吼えた】
【憎悪から産まれた亡骸の獣は、既に二度目の変異を終えていた】
【一種の“先祖帰り”とさえ言えるかもしれない。星の海を渡っていた頃のインベイドとは、須くがこのような性能をしていたのかもしれないのだから】
【ケタケタと、テルミット弾によって潰れた竜頭が笑った。210mm単装砲がネフィリムの体躯を衝撃と質量で半壊させても尚、死には至らないのだ】
【巨大な戦車に轢き潰されながらも、沸騰するような音を立てて再生が始まる。刃殼が、翼脚が、特殊電磁砲が、次々と形成されようとしている】
【──────────双つの顎門に、真紅と漆黒の輝きが宿る。プラズマ砲だ。更なる虐殺と捕食を行おうと全身を励起させて、】
【動きが静止する。何が行われようとしているのか理解したから。分からない。恐ろしい。逃れた筈の恐怖が、“死”が、再び追い付いてきた】
【全身の〈コア〉を消し飛ばされる程の異常な破壊力が解き放たれようとしているのを予測して、また新たに生存の活路を模索した】
・・・・
【変異する。無数に複製した〈コア〉を体外に射出して同胞による回収を待つ。実行に移したが、破壊半径からは到底逃れられないだろう】
・・・・・・・
【逆転劇は終わりだ。亡骸の獣が生き延びる道は、全て途絶えた】
『─────────────キャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!』
・・・・・・
【魔獣が喰らい潰した姉妹と同じ悲鳴を響かせて、ネフィリムは絶大な破壊と閃熱を前に散り果てた】
【アウトサイド、コロニーを合わせ総死者数二十三万六千七百四十九人にも及んだ大災害は、こうして終わりを迎えた】
- 135完全都市にて◆OXAm1h6odk25/04/27(日) 14:14:36
(1/3)
【“A-1コロニー”】
【それは正に“完全なる都市”である。人類の繁栄を象徴するが如き摩天楼の群れに、娯楽設備すら完備したクロノスの文字通り“最重要”拠点】
【その中には“刑務所”すら存在していた】
【差し出された美食に虫唾が走る。“元”クロノスの理事という立場を考えれば食べ飽きても可笑しくはない、天然牛肉のミディアム・ステーキと30年物のワイン】
「……………………ハッ」
【“こんなもの”に金を使うよりも、少しでも多くの弾薬とバディフレームを生産し前線へと送るべきだろうと叫びたくなって。しかし自らが冒した所業を理解していた男は自嘲気味に笑うだけだった】
【“ネフィリム”シリーズ。“サルヴァトーレ”モデルと、それに付随する多くの研究。対インベイド決戦兵器の構築を目指した男の理想は呆気なく潰えた】
【見誤っていた、というべきだろう。死体如きに、人間二人の意思は侵食する事も不可能だろうという想定かインベイドを過小評価しており、人間を過大評価していた】
【或いは、また別の“活性化”のトリガーもあったのかもしれないが。しかし恣意的に暴走を引き起こされる程度ならば、インベイドも適応して同じ結果を引き起こしただろう】
「“秘匿死刑”は8時間後だったな、死人と話す趣味があったとは驚きだ。付け込まれる隙になるぞ」
「あら、随分と冷たい反応ね。折角遺言でも聞いてあげようと思ったのに。人の善意は無下にしない方が良いわよ?」
「今後の人生に生かせる教訓は子供達に話しておくと良い。私のような耄碌した老人に聞かせるよりもずっと効果的だろう」
【公にするには、大き過ぎる罪と不祥事だった。彼はこの後“病死”するという手筈になっている。昨日までの彼が健康体であっても、“そう”なるのだ】
【彼はあくまでも理事の一人に過ぎない。同じ立場の理事が複数人彼の“処理”を望むのなら、抵抗は不可能だ】 - 136完全都市にて◆OXAm1h6odk25/04/27(日) 14:18:22
(2/3)
「コロニー守備隊は“再教育センター”送りか?命令違反で処刑されなかっただけマシだが、しかし私が元凶と分かっていながら何故無罪放免にしないのか謎だな」
「情報の拡散を防止する為よ。我々の“小指“は既に全てのコロニーで活動を開始しているわ。その邪魔をされたら困るもの」
【“コロニー内での”情報統制は、国家体制崩壊以前と比べて遥かに容易となっていた】
【何せK.I社が“出入り”を掌握しているのだ。拡散を止めたい情報を有する人物かどうかは直ぐに判断が可能で、それを欺けたとしても情報の拡散は直ぐに気付ける】
・・・・
【特別な諜報機関、ではない。そんな物を用意する程、クロノス・インダストリーが人的資源に困っている訳ではないのだから】
【コロニーで生活している者の中で、普段から隣人を気遣う心優しい人々がいる。或いは勤勉な労働者で、職場での信頼を得ている人々がいる。彼らには積み重ねた信頼がある。コロニー住民に親しまれている───────当然、気になる噂を聞いた者は彼らにも共有するだろう】
・・・・ ・・・・・・
【だから、気付ける。だから、上書きできる】
【しかしコロニー守備隊という、彼らと同じように信頼を積み重ねたものが“正しくない情報”を流してしまったのなら。隠蔽工作は困難になるだろう。不可能ではないが、不自然さが生じる】
【排除する必要があった】
【彼らは二度と家には帰れず、家族にも逢えない。それは決定事項である】 - 137完全都市にて◆OXAm1h6odk25/04/27(日) 14:36:22
(3/3)
【人類の団結の為には必要な行為である】
【一人の理事がトチ狂った結果を企業全体の責任にされては困るのだ。全ては闇の中に葬られるべきである】
【彼の後釜は穏健派の人間になるだろう。同じような間違いを冒さない為に。今回の事件の潜在的脅威度を、超巨大企業の指導者達は正しく認識しているのだ───────20年にも及ぶインベイド戦争の中で、正しい危機管理能力を持たない人物から失脚を余儀なくされた】
【だから、一つの疑問があった】
・・・・
「何の為に?」
「人類の為に─────────なんて、大義名分に過ぎないか。私自身の為だよ」
【年老いた男は、天を仰いだ】
・・・・・・・・・・・・・・
「インベイドを絶滅させたかったんだ。そうすれば命を落とす若者も、飢えに苦しむ貧民も、或いは今を生きる為に略奪を繰り返す無法者もいなくなると思った………………………このような被害になってしまった事は、私も本意ではなかった」
「────────そう。サイファーカルトが我々の中に浸透している、なんて事態すら危惧していたけれど。良かったわ。心置きなく死刑に出来る」
【年老いた男は目を閉じた。浮かぶのは妻子の姿であった。彼らは皆、インベイドの手によって死んでいった─────────男は、ただ零れ落ちる命を前に跪くだけであった】
【その晩、一人の男が“病死”した】
【家族は死に果て、財産は全て寄付されており、彼の手元には何も残っていなかった】
【クロノスは回り続ける。歯車一つが欠けようと、また新たな歯車が機械を動かすのだから】 - 138クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/27(日) 15:41:20
「......よーし、何とか倒せたみたいだ」
『兄さん、油断は禁物ですよ?
ここまでした理由をお忘れのようですが』
「忘れてないって、ほら...早めに済ませよう」
【激闘の跡に、未だ翼を展開したまま
遥か上空から二機のBFがそっと舞い降りた】
『"アンズー"、システム:サーキュラー起動』
「"エンキドゥ"、システム:サーキュラー起動」
【六つのコアホッパーが両方から放たれ
輪のように並ぶと、輝きながら高速回転し
なんと、周囲を汚染する重度のコア粒子を
その回転する光の輪の中に吸収し始めた】
【そして─────】
『...これを、こっちに還元してっと』
「これで暫くは動力源を賄えそうだな」
【その場の粒子汚染を軽度にまで軽くし、
二つの機体はその光の輪を結合・吸収すると
機体に一瞬、蒼白い光が稲妻のように走る】
『よし、早いところズラかるよ』
「...ついでにちょっと貰っとこ」
(警備隊が放置した装備を少し貰って行く) - 139クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/27(日) 15:59:06
【何故、たった二機のBF兵器一つで
重度のコア粒子汚染を除染出来たのか?
更に奇妙なのは、インベイドの死体特有の
残留物質すらも綺麗に無くなっていた事。
何かに吸収された、とでも言うのだろうか】
【それを確かめる術はどこにもなく...
ただ一つ残る事実は、コロニーの修復が
思っていたよりも早く済みそうな事だけだ】 - 140カルカッド◆ECPjTIh3Iw25/04/27(日) 16:07:51
――――クロノス社・V-◯コロニーにて――――
「はい、はい……そうです……今回の事態も、犠牲こそ大きいですが、無事に」
完全都市を謳うコロニーの内部。そこで、カルカッドと呼ばれる人物が通話をしていた。
彼女はクロノス社の依頼を傭兵や、人自連に流す仲介人であり……慰安担当でもあった。同時にパイロットでもあるが、2つ目と3つ目の顔を晒すことは、最近減ってきている。
「コロニー守備隊は再教育センターですか……はい。彼の耳には届けないようにします。きっと、悲しむと思いますから」
「それとサヤギリさんの送ってきたデータは……はい。予定通り、工学事業部へ流してください」
話題はケイ・サヤギリ。彼女が見込み、そしてどうやら特に入れ込んでいるらしい少年。彼は今回のクロノス社に取って有益な戦闘データを提供してくれた。 それを握りつぶさない場所として、カルカッドは工学事業部へ戦闘データを送る任務をしていたのだ。
「彼のデータと予測によれば、あのインベイドはあのまま学習、進化を続けたとすると――――不死に、至っていた可能性が高い、と」
恐ろしい、とカルカッドは身震いした。最適な行動と、最適な健闘。その上に誰もが最善を尽くしてなお、勝ち得ない怪物が新たに現れていた事実に。
ADTの自爆という行動がなければ、手遅れだっただろう。カルカッドは、かのパイロットに死後の安息があらんことを祈りながら、話を続ける。
「……昇格、ですか。勤務がU-5に変更? かしこまりました」
そのうえで、新たな指示をカルカッドは受け入れた。どうやら、少尉から中尉になること。勤務地も格上げだ。クロノスに奉仕する市民として喜ばしいことだ。
もう一つの指示も、また。
「はい、わかっています。彼と、彼の恋人は……レコンキスタ作戦遂行に必要なパーツの一つ」
「人自連が彼と彼女の価値を理解せず迫害した場合。最悪のケースですがその時は――――我々の元で、保護しましょう」
女として、喜ばしいものだった。 難点といえば。
「彼は優れたパイロットです。英雄と呼ぶと嫌な顔をしますが……列島国家の諺にならい、ぜひとも色を好んでほしいですよね」
カルカッド自体が、サヤギリという少年にだいぶ……いや、かなり。依存と放任の域にあることくらい。
電話の主がため息を吐いたのも、彼女の耳からはすっぽ抜けていた……。 - 141ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/04/27(日) 16:20:28
【3日前に起こった"Vー7コロニー襲撃事件"について、今さっき情報が入りました。コロニー管理庁によりますと、新型インベイド"ヤヌス"により、当該コロニーはその3割が汚染され、死者数は述べ20万人が発生したとされるそうです】
【汚染区域には今後100年住めない見立てとなっており、該当者、もしくは希望者には他コロニーへの移住件が認められる模様です】
【それでは次のニュースです──】
......メビ
『十七、十九の調査によりますと、あのインベイドの正式名称は"ネフィリム"です。こちらにその資料が』
【01:00 第3別荘】
【珠の精神状態を慮って寝かし付けた現在、メビは黒塗りの紙を主人に手渡す】
名前しか判明しなかったのか?
『アブソーバーに注力しているためです。消された詳細を知るには、没名の再編成を一考なさるべきかと』
......んじゃ、そのアブソーバーについて新情報は?
『件のインベイドにより情報が錯綜、ほとぼりが冷めるまでは難しいかと』
......少しくらいは良いニュースが聞きたい所だなぁ
『金龍様の心、私も苦しく存じ上げます』
(......計画に使われた少女2人、そしてちょうど上層部に買われた少女2人......偶然で片付けるには無理だな)
......絶対に捕まえるぞ
『承りました』 - 142賢人会議◆YMCgTirJag25/04/27(日) 18:04:01
1/2
<ヴァンガードと粒子衝突臨界式の動力を喪失、V-7を管理しているクロノスは除染作業の見通しについての説明責任を求めている。>
[もっともらしい「等価交換」だけでは納得しないと?]
【堅物が求めているのは糾弾する的であって理由でない。】
<だが、収穫もある。”英雄様”が持ち帰ったデータにより、有機反応炉の弱点も解った。有機ストラクチャー生産の参考にできる。>
【しかし、市民団体はコロニーを殺す判断をしたとして我々の断罪せよと言っている。下手に動けばポストも揺らぐ。】
[所詮は市民団体だ、警機隊で蹴散らせる塵芥。また”いつも通り”どかせばいい。]
<あまり大きく動かせないのもまた事実。今は役員どもに我々に対しての減俸を指示させれば世論も納得しよう、対インベイドが急務だ。>
【異議は無い。】
[同じく。]
<では対インベイド戦略の見直しに移ろう。>
- 143クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/27(日) 18:23:58
- 144賢人会議◆YMCgTirJag25/04/27(日) 18:31:23
2/2
【移動ストラクチャーとそのパイロットの再生産、『天柱計画』の解凍を提案する。】
<そのようなリソースは我々(人自連)に残っていない。>
[持ちすぎてしまうのも考え物だな]
<少々大事に使いすぎてしまったが、適合までのエラーが多過ぎる。今から育成できたとしても早くて6年、時間がかかり過ぎる。”英雄様”も生産に向いている訳ではない。>
[人格謄写はαで成功している。]
【FDを…⁈あれこそ生産に…】
[UNBFだ。FDなどというでくの坊とは訳が違う。生体パーツをオミットできたのだ、経費がその分浮く。]
<実戦強度に耐えると?>
[稼働から15年だ。実績は保証しよう。]
【分かった、私からも後続の生産に資金を出そう。】
<対インベイド戦略はUNBFの量産で空いた穴を埋める。異議申し立ては?>
[不満などは無い。]
【あるわけないだろ。話を聞かない生ものとはわけが違う。それとこの後、資金提供の段取りについて話したい。】
<...以上をもって会議を閉じる。解散。>
老害たちの管理する人自連にも、動きがあった。
- 145ニライニスト◆XGxCas/OAU25/04/27(日) 18:39:20
- 146クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/27(日) 18:46:30
- 147ニライニスト◆XGxCas/OAU25/04/27(日) 19:06:56
- 148クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/27(日) 19:12:14
- 149逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/27(日) 19:12:18
(1/2)
「――――新型インベイドの侵攻、翌日に理事が一人病死、ね」
はぁ、とため息を吐いた。吐くしかなかった。情報があまりにも少なすぎる。そのうえ得たものといえばその『新型インベイド』である存在との戦闘データ……そして最早再生産の効かないADTの自爆で、撃破したという結果。
「やはりクロノス、隠蔽も防諜も上手い……コロニーの守備隊すべての口を塞いだってことか」
ケイの報告書もどこか淀んでいて、何かを必死に隠そうとしていた。つまり、隠された何かを迂闊にばら撒けば人自連にすら口止めの刃は及ぶだろう。いくらV番とはいえ、士気も目的意識も高い優れた兵士たちを口止めのために『そうした』のだから。最悪、都市伝説にもある『新兵殺し』も嬉々として動くだろう。
こうもされれば、こちらも黙るしかない。吹聴するにも、ケイの懇願を通すにも材料が少なすぎ、リスクも高い。 ADTの自爆に関しては指揮系統が寸断された状態で、現場の最善判断が及んだ……そう願うばかりだ。
「あとは身内、か」
逆巻カンナに、身内と喜んで争う趣味はない。むしろ協調し、共に歩む関係こそ理想だし、能力差に関しても頓着もない。
・・・・・・ ・・・・・・・・
足りない箇所を補い合うからこその組織だ。その関係が、一番好きと言える女性だ。
だからこそ――――。 - 150逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/04/27(日) 19:19:15
(2/2)
「老人たちはどう動くかなぁ……」
互いすら食い合いかねない彼らを、危惧していた。
老人達のみで動く、複数企業向けの利害調整機構。存在こそ父を通して知ってはいるが、カンナは呼ばれていない。
理由は単純。年齢不足、実績不足。そして……実力不足。
ため息しかない。
(全くそのとおりだけどさ?、こちらは20半ばの若造なんだから。基準を高くされすぎるのも勘弁して欲しいよね……風通しくっそ悪いじゃん、それ)
内心で愚痴るくらいは、良いはずだ。
父はかつてそこにいた。が、北方戦線の地獄で狂気に陥った数ヶ月のみであり、ヤマトという戦友の離脱を契機に己を取り戻した彼は、その席を追われた。
・・・
……つまりマトモな逆巻がいた場合、まず間違いなく反対する議題がその場では出されるということ。対クロノスか、あるいは対インベイド戦略におけるろくでもない行動か――――あるいはその両方、とカンナは予測を立てた。
「ADTの自爆はこちらにとっても、あちらにとっても予想外のはず」
あれは最早再生産不可能となった鬼札だ。それが自爆で消えたとなれば、多少は揺らぐ。揺らいで欲しい。揺らいでくれなかったらカンナは泣く自信があった。
(ここで相手のボロを期待しちゃうあたりが、今の私の限界)
その楽観を戒めながらも、後手に回るほかない。こちらが動くに足る証拠もないのだから当然なのだが……。
「はぁ……誰の首を斬るような羽目にならないのが一番のはずなんだけども」
相手の首を斬る理由探しを始めている自分が、心底疎ましかった。 人は、やはり嫌いなモノの欠点を探す癖があるらしいと、カンナは頭を抱えた。
- 151クロウズ兄妹◆5Q4kt6Q.kc25/04/27(日) 20:21:54
【パイロットとブラックボックスを
近くのコロニーに預け、アジトへと戻る直前】
「使えそうなパーツは粗方消したし、
あとは...この記憶装置を壊すだけか
機体のパーツは売れる物を全てバラして
全て別々の回収屋に引き取って貰った...」
『...南無三、ってやつだね』
【機体の情報、そして本体は消えた
残っているのは金属製の破片だけだ】
『コロニーに忍び込んでご飯でも食べよ。』
「そうだね...』 - 152ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/27(日) 22:29:26
……忌まわしき邪竜が光とともに消えたあと。
輸送機の中で、ケイはひたすらにその揺れの中、パイロットへの負荷を避けるための柔らかい椅子で横になっていた。
「……スイ。ヴァンガードさん、さ」
《はい。人自連の所属コードを破棄していました》
離反ほう助、という龍影の言葉を思い出す。
つまりあれは……ヴァンガード自身の決断であり、命令ではないということ。
《あの瞬間のヴァンガードとオープニングは。誰からの庇護も受けない、デスペラードになったと言えます》
スイの言葉が時計型端末から流れるのを、聞く。あの自爆は、きっと本来許されないものだったのだろう。
それも、そうだ。 彼はストラクチャーに積むような大火力兵装を積み込める機体に乗っていた。
自分の命を自由にすることのできない重責。あるいは……鎖、なのか。
「龍影さんなら、教えてくれるのかな」
自分に、彼がなぜあの決断を選んだのか。少しでもヒントになるものをくれるのか。
頼りすぎるのは良くないとわかりつつ……求めてしまうのだから、笑えない。 - 153クロウ◆KPwoT407kA25/04/27(日) 22:53:43
【異変の収束後、クロウは自機の応急処置に取り掛かっていた】
ダメになったパーツは取り敢えずCNTに取り替えて…エルガレイオンを深く使わねぇ分にはこれで十分歩けはするか
【頭に手を当てる。アーヴィングのパーツはデスペラードの身分として大分世話になってはいるが、今回はそのデメリットを嫌という程実感させられた】
…生体由来っつってもインベイドはダメだな
【いざと言う時に頼りになりきれないのもあるが、事件の余波が“インベイド由来の部品製造の排除”に向かう可能性も危惧しての独白だ。真実を知る一部の傭兵が“月光”の物理的排除に取り掛かってしまえばただでさえ高めの部品だと言うのに更なる高騰を招きかねない】
【クロウの“脚”には、新たなる要素を取り入れる必要性があった】 - 154ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/27(日) 22:53:53
「──正解だったのか…これは?」
【抱えた頭を上げ、ベッドの上に横たわる小柄の女性を見やる】
【ウルヴィ。G-3コロニー奪還作戦直後にも同じような事があった。今回の作戦でも彼女の動きは明らかに”無理”が見えた】
(宿泊施設にBF2機を置いておける訳が無かったとはいえ…)
【作戦後、限界が来たのだろう気絶した彼女と、乗機”BESTIA”を回収したものの運び場所がわからず──】
(連れてきてしまった……)
【自宅へ運び込んでしまった】 - 155ノイン◆fDey8JUvvk25/04/27(日) 22:56:37
【ノインに政治は分からない】
【目の前のインベイドの動きを読むことはできても、大局は見通せない】
【──あまりにも『都合よく扱いやすい英雄』として9号は完成していた】
【某所に輸送機が着陸する】
【ストレッチャーに固定された9号は感情を伺わせない兵士たちによって建物の中に運ばれていく】
【これからメンテナンスに移るのだろう】
……ご苦労。
【労いの言葉に兵士たちは反応しない】
【反応されないことをノインは確信していたが、そんなことを口走ったのは】
(怒りに任せてだろうが、あなたはあの瞬間、自分の生を生きていた)
【V-7に散った一人の無法者を羨ましく思ったからだ】
【建物内。9号を囲むのは兵士たちから白衣の人物たちに変わる】
【9号の身体に管とコードが繋がれていく──】 - 156ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/27(日) 23:19:48
【揺れる、揺れる、炎が揺れている】
【鼻孔をつくのは焦げる臭い。炎に包まれた人型が二つ。女性と男性なのはシルエットから理解できるが、それが誰なのかは分からない】
【焼ける女性の口が開く。手を伸ばして、ウルヴィの名を呼んでいる】
【応じる形で右手を取った。一瞬だけ優しい温もりを思い出せた気がしたのに、灼けていく】
【パチパチ。ウルヴィの中で何かが灰になった音を耳にする。“また”無くしてしまったのだろうと理解して───】
「…ぅ、ん?」
【薄く瞼を開いて、微睡みから目覚める。しかしそこにあるのは冷たいコンソールでも、脊椎に繋がれたコードの感触でもなく、柔らかなベッドのものだ】
【状況を理解できずに瞳を動かしたウルヴィと、ちょうど頭を上げたランセルの視線は衝突するだろう】
「……?」
【相変わらず何を考えているのか分からない無表情のまま、首を傾げる動作と雰囲気で、ウルヴィは疑問を表していた】
- 157ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/27(日) 23:30:05
- 158二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 23:31:34
このレスは削除されています
- 159龍影◆9BZ6kXGcio25/04/27(日) 23:33:33
- 160ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/27(日) 23:37:24
- 161ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/27(日) 23:38:20
- 162ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/27(日) 23:49:23
- 163龍影◆9BZ6kXGcio25/04/28(月) 00:01:24
- 164ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/28(月) 00:07:54
「………分かった」
【悩む素振りを見せてから、渋々という様子でウルヴィは頷く】
【何故、彼はこうも受け取りに躊躇を持つのだろうか。企業所属だから、というのは納得できる。それでも自らの行いに金銭を求めないのは、ウルヴィにとって理解し難い。成果に対価を求める、それが傭兵の信用なのではないのだろうか】
【しかしウルヴィの頭は上手く働かない。限界を迎えた脳が意識をシャットダウンした直後だ。未だ脳髄は溶け出すような熱を持ち、肌の下に霜が張り付いたような冷たさがある。故に布団は心地よく、身体はこのまま横になっていることを望んでいるが──】
「ランセル、休まないの?」
【まるで再放送のように、ウルヴィはその疑問を投げかけた。前回と違う点は、そもそもベッドの所有者がランセルだということだ】
- 165ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/28(月) 00:09:41
- 166ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/28(月) 00:20:28
- 167ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/04/28(月) 00:25:46
- 168ミカエラ◆KPwoT407kA25/04/28(月) 00:30:50
「そうですか、“彼”が死にましたか」
【眼前の人物が、淡白に報告を聞き入る】
「不細工な加工物、反面教師の死は嬉しくもあり…彼らの事ですからどうせ“代替品”を求めているのだろうと思うと悲しくもあり。一応の身内とはいえ、ままならないものですね」
…随分と辛辣なんですね。アレって人自連の対インベイドの要、だったのでは
「私怨ですよ。オーバーテクノロジーを持て余し人を機体に縛り付けるしか能のない蛆虫が出しゃばってしまえば、私の“生徒たち“の目に毒なのですから…だからこその“オペレーション・リレイズ”です」
「あぁ、忘れてました。『部隊再編案』の提出有難うございますミカエラさん。丁度区切りも良い頃合いでしょう」
了解しました。直ちに導入を急ぎます
(…物腰は柔らかいんだけど、言葉の端々がちょいちょいイカれてんだよなこの人…まぁ“あんなこと”があったら、どんな聖人君子もおかしくなって然るべし、か)
【一礼。アスガルド・アカデミー学園長兼ヴァルハラテックCEO『カミラ・ユグドラシル』への報告を済ませた
ミカエラはそのまま会議室を立ち去るのだった】 - 169ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/28(月) 00:37:44
- 170ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/28(月) 00:53:50
- 171ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/28(月) 01:06:35
- 172ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/28(月) 01:15:30
- 173ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/28(月) 01:31:27
- 174アルパ◆YMCgTirJag25/04/28(月) 08:22:32
《作戦地域へ突入した。行動を開始する。》
喪黒のような黒い機体は滑るように大地を進む。
「おい!敵機だ!」
中隊規模のアーヴィング。そこそこの腕はあるのだろう。
対して強くもない20mmを放たれるのを見ていたが
《どうにも、つまらないものだな。メイツー、火器使用。殲滅する。》
スケートをするかの様に滑らかに大地を滑り、弾丸を避ける。
「なんだと?!」
「あの推進器…まさかサイファーカルトの?!」
「馬鹿野郎!あの連中の物資には手なんか出てないぞ?!」
「じゃあ何なんだよ?!アイツは!」
敵はすぐに混乱したが、すぐさま半包囲陣形を組む。
「120mmでも喰らいやがれ!」
轟音を鳴らして放たれた120mmをまるで狙ったかの様に喪黒の機体は右手の刀で切り払う。
背部ハンガーが"前に"向き、懸架している30mm突撃砲の銃口が瞬き、アーヴィングを食い荒らす。
《1つ。》
陣形が乱れた所を刀は20mm機関砲を構えて居た浮きのアーヴィングの胴を捉え、爽やかな音を立て切断する。一切のガタつきも無い、とても美しい断面であった。
「あ?!」
「ま、マグレだ!弾なんて切れるわけねぇだろ!」
蹴りが飛んできた。アーヴィングのパイロットはよろける程度だろうと思ったが、機体はズタズタに引き裂かれた。切り込みを入れてからそれを起点に乱暴に引きちぎるように。
「アニキ!」
声を上げた時にはコックピットブロックを喪黒の機体が左手に握る盾が殴りつける
突き刺さった盾の先が赤黒く染まる。
「何なんだ!何なんだよ!アンタ!」
後方へ跳ねながら牽制射撃を行うアーヴィングを左手で拾った20mmで狙い、一発。アーヴィングのコックピットに穴が開き、脚を縺らせて地面に叩きつけられる。 - 175アルパ◆YMCgTirJag25/04/28(月) 08:33:33
「こ、降参だ!降参する!拾ったパーツは全部やる!だk」
それ以上は喋れなかった。「20mm機関砲が」乱暴にそのコックピットを貫いたからだ。
喪黒の機体は突き刺した盾を拾う。ブチブチと肉片が張り付いていたが気にしない。
信号弾が上がる。オレンジと緑の2発。世界に残っている理性の形の1つ、降伏を示す色だ。
喪黒のセンサーアイが光を消した。
「よ、良かっ」
コックピットブロックを蹴り抜き、そのまま大地に叩きつける。
「こ、降伏信号を無視すんのかよ!」
逃げようとするアーヴィングの膝裏を刀で切りつけて転ばせる。
這って逃げようとするその機体に刀を突き立てる。鮮血にも似た駆動潤滑剤が吹き出して赤い斑を喪黒の装甲に化粧した。
戦闘とおおよそ呼べるものでは無かった。完全なワンサイドゲームである。
《RTB》
傷1つ無いその喪黒の機体は戦場を去る。
- 176アリソン◆PPyRfvMZl625/04/28(月) 09:58:54
- 177龍影◆9BZ6kXGcio25/04/28(月) 11:22:23
- 178ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/28(月) 11:43:50
「…………っ」
腕の中で、とうとう自分の瞼が大きく開いたのがわかった。
自分は何も知らない。わかってない。
この世界がどこまで濁っているのかを、龍影の声と腕の中で。想像しかできない。
彼女の過去を慮ることしかできない、ただの愚か者で。
「……俺は、龍影の過去も欲しいのに」
言葉通りの中で、ケイの頭の中は己の無知に怒り狂いながら。別のことも考えた。
これは嫉妬だ。過去はまだ、龍影を捕らえて離そうともしていない。悍ましいものですら彼女を構成している。
許せなかった。彼女の持つ過去の残り香、悍ましさと輝かしい濁りが、龍影を作っていたとしても。
(────もし、その過去が自分と龍影の時間をゼロと変えるような存在だったら)
(許せない。全部斬り捨ててやる)
人の中に住む竜がいた。抱きしめられているはずの少年が。抱きしめてくれる女性を何者にも、死にすら渡さぬと、彼女ごととぐろを巻いていた。
誰も危害を加えぬはずの輸送機の中で、ケイは龍影を抱きしめ返しながら。その残り香を喜んで受け入れ続けていた……。
- 179龍影◆9BZ6kXGcio25/04/28(月) 12:19:03
- 180ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/28(月) 12:30:42
【V7コロニーから少し離れた地点、コロニーからの避難者が集まる臨時のキャンプをミハエルは歩く、左側には幼子を連れて】
「他の避難民の話ではこの辺りにいるらしいが……あの人達か?
【こちらを見ている家族を指さすと頷いた幼子は家族の元に走り両親の腕に飛び込む、抱き合う3人の家族はミハエルの古い記憶を刺激する】
「……」
【背を向けると人混みの中に姿を隠しその場を立ち去る、過去のトラウマから逃げるように】 - 181ミハエル◆j28rRKKOSY25/04/28(月) 12:31:17
【ウィルヘルミナの機内に戻り出発の準備を始める、ランデブーポイントへのルート設定、輸送機への回収要請、システムチェック、その最中に足元に何かが当たる】
「あいつ忘れていきやがった……」
【持ち主の名前が入った服を着た熊の人形、先程までの乗客が落としていったそれを苦笑しながら拾い上げる、ふと、背中側にも刺繍で名前が入っているのに気づく、製作者の名前だろうそれは】
「エーリカ・ライン……」
【ミハエルにとって最も思い出深い女性、記憶の彼方にしか存在しない女性の名前】
「母さん……?」
【10年以上追い続ける自身の家族の名前だった】 - 182ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/28(月) 12:42:59
「アズマさんごと貰う……ってのは逆巻では言ったっけ」
つまりそういうことなんだよ?と唇を合わせようとする。全部欲しくなる。己が浅ましく感じるけど、少し抑えられなかった。
竜とは宝物を大事にするし、守ろうとする生き物。どこかのお伽話では誰かを守るために爪と牙を生やし、早くたどり着くために翼を生やし、そして誰かを傷つけようとする億万の軍勢に火を噴くもの。ただの蜥蜴が、そうなりたいと変じたもの。
大好きなお姫様を、そしてお姫様の好きな国を守るため、小さい蜥蜴が竜になるお伽話。
ケイはそのお伽話が好きだった。だから、今も自分を受け入れてくれる大事な大事な龍影の優しい頼みなんて断るはずもなく。
『そろそろ着陸だ、座席についてくれ。』
邪魔されたと思った。その思考を引っ込める。
お預けだねと龍影がいった。
「うん、お預け」
次は、龍影のしたい時だと笑う。竜はまだとぐろを巻いているが、居もしない過去に怒ることを一旦やめた。
「さて、今日は何をしようかな……」
少年に戻って、ケイは龍影に笑いかけた。
- 183ランセル◆hFOUpFQqt.25/04/28(月) 12:48:01
【温かい。必死に回る脳がまず最初に知覚したものはこれだった】
【ランセルとしては久しく感じていなかった人肌というもの。実際のところ彼女の体は少し冷たい。しかし、それでいても”熱”を確かに感じる】
【単にそういった仕組みの体なのだろうか。それとも自分の感覚がおかしくなっているだけなのか】
【半ば無意識に、その温かさに集中しようとする。感覚が広がり、心音がより大きく聞こえ……】
(何をやっているんだオレは!?)
【大きなその音に意識が理性へ切り替わる。途端に脳が回りだし、発熱までしてきた気までする】
「…お、おやすみなさい!」
【もう寝よう。寝てしまおう。定まらない思考を止めるにはもうこれしかない】
【彼女に背を向け、目をギュッと閉じる。暗くなった視界が再び感覚を広げ始めるのを恨めしく思いながら寝ることにした】
- 184ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/28(月) 13:22:42
コロニーの中に入っていった獣を追いかけた。
チカチカと意識を遮るように視界で何かが瞬く。
思った以上に出血が多いのか、カチカチと顎が震えて音を鳴らす。
手も白く、悴んだように冷えている。
「クソっ…」
悪態をつくが、足の力が抜けたのか、ペダルを踏む周期がズレ、朧月は転ぶ。
またコックピットを大きく揺する。
そこで少年は意識が飛んだ。
そして目が覚めた時、コロニーから脱出しており、朧月から降ろされていた。空は白紫色に染まり、黒々とした雲を作っていた。
「なんだよ…あれ…」
辰砂の瞳はまじまじとその光景を写し、脳に処理をさせようとしていた。
「無事かい?」
おそらく少年を介抱していたのであろう、名も知らぬパイロットが聞いた。
「治療…ありがとうございます…」
「良いってことよ。それよりも…アンタ若いな、ウチの息子くらいに見えるが…」
「アーヴィング乗りでは普通ですよ。」
「そうか…悪ぃな…」
会話はそこで途切れる。
- 185ハヤテ◆.4YTxDiDm.25/04/28(月) 13:52:45
人類の足掻いた痕跡を映す空をもう一度見た。
「…帰るか…」
くだらなくなった。思惑も何も無いその状況に。
『ハヤテ君!』
見知った声だ。ゲッコーの識別塗装がされている輸送機が近づいてくる。
「ヨツバさん!帰りましょう!」
少年は大きく手を振る。
帰るべき場所へ少年は向かう。
「ハヤテ君、出撃前に言ってたやだけど…」
機内でヨツバは話を切り出した。
「やっぱりクロノスが噛んでた。アレは有機ストラクチャー。しかもそれの試作機だったね。結構大きめのネストをほじくり返した後にアウトサイドへ向かったみたいだ。」
資料を少年に手渡す。そこには大規模な粒子変動を示すグラフと、観測機から空撮した写真。食い散らかしたのがよくわかる。
「やっぱり…自社内でどうしようもできなかったからそのまま依頼を投げた感じだったのか…」
「まぁ…有機ストラクチャーとか無人機はどこも研究自体はやってるからね…でもクロノスは形にした。それほどの技術を持っていた。って事になるね。」
ヨツバは少し残念そうだ。
「ヨツバさん?」
「あっ、ごめんごめん。逆巻はそんな研究は先代が倒れてからほとんど触れてないからね。今はもう遠い話だよ。」
- 186クロウ◆KPwoT407kA25/04/28(月) 15:31:15
【デュラハン・ファクトリーに向かう道中、クロウはとある人自連管轄区の行きつけの酒場で腹ごしらえも兼ねて足を運んでいた。夜更けに無闇にBFを走らせる必要もないだろう】
マスター、“いつもの”
「ったく、また“アレ”かぁ?あんなの好き好んで食べるヤツなんてお前くらいしか見た事ねぇよ
というよりお前さん、こないだの依頼で一山当てたって聞いたぜ?その報酬はどうしたんだよ」
全部紅月に当てる。俺自身の補給はそれで十分だ
「…腹空かし過ぎて野垂れ死んでも俺ぁ責任取れねぇからな?ほらよ、“ハチミツ草”」
【クロウの座る席の前に、黄色い草の束が何本か無造作に置かれる】
【“ハチミツ草”。葉を吸うだけで糖分その他諸々の栄養素を補給できる効率のいい植物だが素の味があまりにも甘ったる過ぎて単体で食すには適さない本末転倒の作物だ】
【隠し味や具材に使う分には甘みが飛ぶので冷蔵庫に拵えてある店は多く、単価そのものは安いのだが…】 - 187“スカーフェイス”◆OXAm1h6odk25/04/28(月) 16:26:48
【────────薄暗い難民都市。インベイドが踏み荒らした後の荒廃したコロニー跡地の一角に。そ巨大な市場は存在する】
【デスペラードの“スーク”だ。何もかもが“商品”として売買される人倫冒涜の堕落の都。企業製バディフレームのパーツから児童臓器まで、一通りの考え得る“商品”が揃っている】
【そんな市場の数多く点在する集会所の一角に、浅黒い肌をした一人の男が腕を組みながら食い入る様にしてラジオを聴いている】
【傷痕が生々しく残る筋骨隆々の躰に、首元から頬にまで伸びた巨大な火傷痕。そしてその貌の上半分を覆い隠す木彫りの仮面は東方大陸で最大の人口を誇っていた国家の民族工芸品だった品だ─────今となっては、既に滅んだ国家だが】
【呑んだくれのデスペラードが、男に絡んだ】
「“スカーフェイス”、今日は奢ってくれねェのかよい?」
「ハッハァッ、つい最近昔馴染みの機体をちょいとばかし整えてやってな。ホンルゥ通信社にカチコミするってんで馬鹿みたいに金を使ったばっかなんだよ。テメェらへの“投資”はまた次の機会だ」
【絡んだデスペラードが目を細めた。判断が早い。そうでなくてはこの市場を生き抜くのも、他の傭兵に狩られずに生き延びるのも不可能なのだから当然だが】
「………………“元第三特務部隊”か?」
「情報料が必要になるぜ。それでも良いなら教えてやるがな」
「いや………………良い。もし本当にそうだってんなら、じきに噂になるだろうからな」
「あぁ、それなら構わねェよ。俺からしてもそんな大層な情報じゃねェ………………新型インベイド、ねェ?また随分と面白いモンを作ったなァ。戦乱を加速させてくれるのは大歓迎だ。金が儲かるからな」
【唸るようにして笑いながら、“スカーフェイス”はサラサラと依頼の文面を書いた。とは言っても戦闘任務ではない。件の新型インベイドとの交戦データの情報提供に対して億単位の謝礼を払うという内容だ】
「サイファーカルトでも、人自連でも、或いは新興の企業にでも、売り渡せる相手がいるならソイツらにも当然分けてやらねェとなァ?金、金、金ェッ!また新しい“儲け話”に胸がワクワクするぜェ!!」
【“模範的な死の商人”は、笑いながら蓄えた全財産を一つの陰謀に注ぎ込んだ──────彼に金銭と交換可能な物への執着はない。“金を稼ぐ”事だけが彼の心を震わせるのだ】 - 188ソラウ◆5Q4kt6Q.kc25/04/28(月) 17:19:54
- 189クロウ◆KPwoT407kA25/04/28(月) 17:46:56
………ああ、ありがと
【不意に差し出されたリキュール瓶を受け取る】
「お?なんだなんだ?連れがいるんなら早く言えよクロウ、俺とお前の仲だろうが」
ちげーよ…マスター、水割り頼むわ
「へいへい…せっかくなら炭酸割りにして俺の懐潤して欲しいもんだけどねぇ」
【それがマスターの手に渡り、1:1で割られたそれに氷を少々。グラスがクロウの眼前に置かれる】
素人がストレートなんてそりゃ飲みきれねぇよ…酒はこうやって水で割って、アルコール度数を自分に合うよう調整して飲むんだ…ま、オレのも親父とお袋の受け売りだけど
【グラスをカランカランと揺らしながら。ちびちびと飲み進める合間にハチミツ草を鼻先に近づけ、その甘ったるさを堪能する】
…で、オレにこんな酒恵んでくれるアンタの目的はなんだ?単なるお人好しか、それともオレを酔い潰して一文無しから更にタカろうとか?
【眼前の人物には見覚えがない…が、“声”はつい最近、何となく聞き覚えがあった】
【先日の戦いで、インベイドの弱点を看破したBFから発せられた声に似ている…確証はないから、疑惑程度に胸にしまっておくが】
- 190ソラウ◆5Q4kt6Q.kc25/04/28(月) 18:05:21
- 191ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/04/28(月) 18:07:14
- 192ソラウ◆5Q4kt6Q.kc25/04/28(月) 18:23:15
- 193ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/04/28(月) 18:26:52
「おやすみ…」
【反対を向いてしまったランセルの後頭部に、少しだけ頭を寄せながらウルヴィも呟く】
【実のところ、ランセルの感覚は何一つおかしくなってはいなかった】
【ウルヴィの身体は、彼女自身は詳しくないが、強化人間としては生身の比率が高い部類だ。義体化は〈エルガレイオン〉に必要な最低限のみで、投薬や強化因子による肉体のままの強化を主軸に、肉体のままでは作れない機能をナノ技術によって肉体を損なわない範囲で存在させている】
【それは生体の接続深度を深めるため、新たな身体(ボディ)というBFの基礎理念に近づこうとした成果なのかもしれないが、BFを身体として見做すが故に『元々の肉体』が着実に蝕まれるものである】
【それ故に現在、眼球の内側では槍衾が暴れるような痛み、耳鳴りは金属を引っ掻くような音の不快感としてウルヴィを苛んでいた】
【しかしBFには存在しない感覚、嗅覚は正常に機能しているようで──】
【すん、すん。無意識の内に小さく鼻を鳴らすウルヴィは、穏やかとは言い難い胸中のランセルとは反対に、ぬるま湯に浸るような安らぎを得ていた】
- 194クロウ◆KPwoT407kA25/04/28(月) 18:53:15
クロウだ。クロウ・レッドフード…“こないだのインベイド討伐依頼”にいた。
【向こうも似たような感覚だというのなら、これで話は通じるだろう。…色々キナ臭い依頼だったからその話題に関しては最低限に、お互いを正しく認識できればそれでいい】
…ハチミツ草はオレにとってのお袋の味、みたいなもんだよ。いつも飯に困ったらおやつ代わりにコレをちゃぶ台に置いてよ…兄貴と一緒に渋い顔して啜ったもんだ
【オレ以外にハチミツ草に興味のあるデスペラードがいるとはな、と。兄の話題を出たからか、余計な口が回る】
マスター、オレの飲んでる水割りをこいつにも。あとコレとコレも…
「おいクロウ、テメェハチミツ草だけで十分ってさっき言ったばっかじゃねぇか?口説こうっつったって俺の目の黒い内は許さねぇぞ」
ちげーよ。…予定が変わった、今日は『祝勝会』だ。辛気くせーことばっかじゃ気分が下がるってもんだろ?こういう時に英気を養わねーとよ…それに
兄が好き放題なら、いない間にアンタも好き放題して悔しがらせるべきだと思ってよ
【ハチミツ草とリキュールの水割りだけだった席に、肉やサラダが並び始める】
オレの奢りだ。
- 195ソラウ◆5Q4kt6Q.kc25/04/28(月) 19:05:52
- 196クロウ◆KPwoT407kA25/04/28(月) 19:19:22
- 197ソラウ◆5Q4kt6Q.kc25/04/28(月) 19:22:07
- 198龍影◆9BZ6kXGcio25/04/28(月) 19:23:21
「無理…させちゃってるよね…」
格納庫に佇む望月は何も答えない。
「私…ケイを守れてるかな?」
装甲を撫でる。鮫肌のようにザラザラとした整流加工が施されている。
「…もっと強くならないと…」
望月のコックピットハッチを開けて中に入る。
人造シナプスとの同調連結スコアを弄る。視界は望月の元と重なる。
ニューロン結合の値を変えて操縦のノイズを極限まで減らす。
「ゴプッ…オエッ…」
突然逆流した情報圧に拒絶反応を起こして、混み上がってくるものをすぐさま取ったヘルメット内に溢す。
人間らしい吐瀉物ではなく、義体内を流れている白銀色の代替血液であった。
「まだよ…まだ…私はっ…」
調整を続けた。 - 199ケイ◆ECPjTIh3Iw25/04/28(月) 19:34:40
荒野を、尋常とはいえない速度と高度で飛び交う機体があった。
蒼風改。それが、アウトサイド近くの荒野で訓練飛行を行っている……もっともその速度は、実戦そのもの。
ケイの目に映るモニターには、仮想の、散弾と化した破片が大量に襲いかかっていて。
「……ッッ、ぐ、っっっ!!!」
《被撃墜です……自動操縦に移行します》
被撃墜、の文字がモニターを襲った。三人称視点に変わり、落ち行く蒼風改。スイはその間に自動操縦でゆっくりと、蒼風改を地上に降ろす。
「くそっ!!」
ゴッ、と思わず横壁を殴ってしまい、左手が痛む。
超音速の、巨大な散弾。それを連続で避ける想定の訓練をしていたが、失敗続き。
仮想上のため、現実にあったような援護は存在しない。しないが……。
「はぁ……守り守られが、一番いいよな」
なんて思いながら、格納庫に戻り。蒼風改から降りる。
「げほっ」
こみ上げるもので、咳き込む。赤いなにかが付着していた。
(訓練とはいえやり過ぎた……)
周りを見渡し格納庫を見る。望月はある。人影はいない。大丈夫。誤魔化せる……
なんて、甘いことを考えていた。 - 200クロウ◆KPwoT407kA25/04/28(月) 19:35:53
ンぐっゴホッゴホッ…ちょっと待て!?
【その何気ない一言が、デスペラードにしてはかなり衝撃的なものであり…加えてリキュールの水割りを飲んでいた最中だった事もあり多少むせて】
ヤモリと言ったらドーザーがデスペラード向けに卸してる主力BF、戦闘用アーヴィングフレームの代表格だぞ…!?名前そのものは大分通ってると思うんだが…あの、手足が生き物じみてて気持ち悪い風貌のヤツだよ。流石に戦った事がないなんて言わないよな…?
…っと話が逸れた。居心地が悪い訳でも、親が居ない訳でも無かった、って事か…
くれぐれも大事にした方がいいぜ?その兄貴も母親。いくら禄でもなかったとしても…
【クロウの表情に、少し暗い影が差す】
死んだら、文句の一つだって言えねぇんだからさ。