【ホラー注意】遊園地に行くだけのはずだった

  • 1スレ主25/04/25(金) 13:00:12

    それだけのはずだったのに――








    『――13号館、13:00開演です。』

  • 2スレ主25/04/25(金) 13:04:51

    このスレは、ブルーロックの登場人物による参加型ホラーSSです
    舞台は、営業を終えた遊園地「パラミッド・パーク」
    地図に載っていない施設――13号館『ブラッド・チャペル』へ迷い込んだ4人の選手たちは、バラバラに目を覚まし、誰も知らない“最後のアトラクション”に挑むことになります

    ※プレイヤーの選択(安価)や運命(ダイス)によって、ストーリーの進行・視点・結末が大きく変化します
    ※選択肢次第で“発狂”or“絆”に分岐します
    ※正気度(SAN値)管理あり
    ※取り返しのつかない選択も……あるかもしれません

  • 3二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 13:08:11

    楽しみ

  • 4スレ主25/04/25(金) 13:12:28

    ■キャラヘイトを目的とするものではありません
    ■キャラsage、腐発言、アンチコメはお控えください
    ■荒らしはスルーします
    ■SS初立てです、ゆっくり進行ご容赦ください
    ■感想、質問等頂けるとスレ主が大変喜びます

  • 5スレ主25/04/25(金) 13:29:24

    それは、特別な遊園地だった
    もう営業していないはずの場所
    パンフレットにも、ネットの地図にも、存在しないはずの施設

    この場所には、4人の選手がやって来た
    ブルーロック広報企画として、“とある特別番組”の撮影に参加するために

    特例的に参加したのは、現在国外クラブに所属する糸師冴
    この日だけはスケジュールを調整し、「“ある目的”があって」同行していた

    閉園した遊園地を舞台に、ただ遊ぶだけ――
    ……そう思っていた。
    本当に、それだけのはずだった。



    『イラッシャイマシタ。“最期”ノ アトラクションへ――』

  • 6スレ主25/04/25(金) 13:34:36

    【登場人物紹介】

    潔 世一(いさぎ よいち)

    真っ直ぐで不器用
    誰よりも感情が表に出やすく、それがかえって場を和ませる存在
    遊園地でははしゃぐタイプだが、空気の変化にも敏感で、いざという時には誰よりも周囲を見ている

    千切 豹馬(ちぎり ひょうま)

    明るい皮肉屋で繊細
    軽口で場を和ませるが、怖がりな一面もある
    “走ること”に強い執着を持っているが、迷宮の中で「走ってはいけない」と言われると、何かが試される気がしてしまう

  • 7スレ主25/04/25(金) 13:36:06

    糸師 凛(いとし りん)

    トゲのある言動で人との距離を保つが、感覚は誰よりも鋭い
    空気、音、風、温度……すべての“異常”に敏感で、真っ先に気づく
    口は悪い
    「うぜぇ」「意味わかんねぇ」「知らねぇ」など、基本的に塩対応
    ……だが、兄・冴に対してだけは、時折そのトーンが和らぐ

    糸師 冴(いとし さえ)

    冷静で達観しているが、遊園地に“懐かしさ”を感じているようでもある
    凛とは言葉を交わさずとも通じ合うような、複雑な空気を纏っている
    記憶、予感、視線――
    彼は誰よりも早く、“この場所の異常さ”に気づいていたのかもしれない

    本来この撮影に呼ばれる予定はなかったが、
    「凛の様子が気になった」と言ってスケジュールを調整し、同行している
    それが“兄”としての感情か、それとも――別の理由かは、まだ分からない

  • 8スレ主25/04/25(金) 13:46:54

    蝉の声が止んだ、夏の終わり。
    都心から離れた山奥の遊園地――「パラミッド・パーク」は、すでに営業を終了している。

    けれどこの日だけ、ブルーロックの広報企画として貸し切られていた。

    招かれたのは、潔 世一、千切 豹馬、糸師 凛、そして――糸師 冴。


    千切「……ってかさ、冴って普段こういう企画、出る人だっけ?」

    潔「あ、確かに! すごい人来たなって思ったけど、なんで今日一緒なんすか?」

    冴「……フツーに来ただけ。休みだったしな」

    凛「ウソつけ。……何か、気になったから来たんだろ?」

    冴「……さあな。
    ……俺が来なきゃ始まらない気がした。理由なんて、そんなもんで十分だろ?」

  • 9スレ主25/04/25(金) 13:55:13

    潔「えっ、なんかカッコいいこと言ったぞ!?」

    千切「やべぇ、兄弟そろってそういうとこあるな……!」

    凛「……知らねぇよ」

    スタッフの姿はなく、アトラクションは“運転準備中”の表示が灯っている。
    広報からは「園内を自由に回って、リアクションを撮ってください」とだけ伝えられていた。

    潔「全部回ってOKってことは……絶叫系とかもアリなんだよな?」

    千切「潔、絶叫系苦手だろ。カメラ回ってんの、忘れんなよ?」

    潔「やめろって!俺だけ変な顔撮れるじゃんか!」

    凛「……うぜぇ」

    冴「観覧車はともかく、ホラー系があったら期待できるな」

    園内の案内板には、定番のアトラクション名が並んでいた。

    1:地下ジェットコースター
    2:鏡の迷宮
    3:スプラッシュボート
    4:ゴーストカート

  • 10スレ主25/04/25(金) 14:05:55

    千切「さて、どれから行く? 絶叫で景気づけする?」


    冴「最初に叫ばせるなら、潔だな」


    潔「えっ!?ちょ、待て待て俺確定なの!?」


    凛「うるせーな。行くって言ってんだろ。さっさと決めろよ」


    【選択肢:最初に向かうアトラクションは?】

    1:地下ジェットコースター

    2:鏡の迷宮

    3:スプラッシュボート

    4:ゴーストカート

    ※進行に直接の影響はありません、恐らく


    >>11

  • 11二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 14:07:55
  • 12スレ主25/04/25(金) 14:16:53

    【Mine Run!地底絶叫バギー】
    ――視点:潔 世一

    【説明パネル】
    《地下300mの廃鉱山を駆け抜ける恐怖体験!照明ほぼなし!叫ばなければ、帰ってこれる……かも?》

    潔「なんだよこのキャッチコピー……叫んだら帰れないってどういう意味!?」

    千切「潔が一番帰ってこられねぇな、これ」

    潔「おかしくない!?なんで俺前提なの!?!?」

    凛「うっせぇ。自覚あんだろ」

    冴「ま、最初に絶叫してもらった方が“場”は温まるな」

    4人乗りのライドに乗り込み、ガシャリとバーが下がる。
    無人の係員ブース。だが、タイミングを合わせるかのようにレールがきしみを上げ、車両が動き出す。

  • 13スレ主25/04/25(金) 14:22:01

    千切「潔、前な。リアクション芸よろしく~」

    潔「俺、芸人じゃないんですけど!?!?」

    凛「前のやつが黙ってりゃ、静かに乗れるのにな……」

    最初はゆっくり。坑道風の照明、錆びた鉄の柵、そして……音が消えた。

    潔「え、え?今、音……止まったよな?」

    千切「なんか、息苦しい。これ、BGMの演出じゃねーだろ」

    冴「……空気が止まってる。風が抜けてねぇ」

    凛「……これ、沈んでるな。下に、重さがある」

    レールは下へ沈み、空気の圧が変わる。照明が消え、闇の中を――何も見えないまま、滑っていく。

  • 14二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 14:30:36

    このレスは削除されています

  • 15二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 14:31:29

    拾う

  • 16スレ主25/04/25(金) 14:35:26

    潔「っ、前……何か……見える!?」


    遠く、同じコースを逆走してくるもう1台の車両が見える。

    そこには、自分たちと同じ服、同じ顔の4人――その中の“潔”が、口だけを動かしていた。


    「……た……す……け……」


    潔「う、わ、わわわわああああああ!?!?!?」


    凛「落ち着け。……喋ってねー。口だけだった」


    冴「逆再生か。言葉の順がズレてたな」


    千切「あれ、俺たちなのか……?」


    レールの脇、照明が一瞬だけ戻ったとき、錆びた懐中時計が落ちているのが見えた。


    潔「えっ……? 時計……?」


    千切「なんだよ、気味悪っ……そんなもん拾うなよ」


    凛「触んな。変なもん掴んでたら、マジで戻ってこれねぇぞ」


    冴「……拾うなら、今だ。通り過ぎたら二度と手に入らないぞ」


    【選択肢:時計を拾いますか?】

    >>15 安価採用させていただきます。スレ主ミスって投稿消してしまいました。

  • 17スレ主25/04/25(金) 14:47:17

    直後、風と振動と音が一斉に戻る。車両が加速し、地上へと飛び出した。

    潔「うおおおおおおおおおおッッッ!!!???」

    千切「潔の声デカすぎて鼓膜死んだんだけどwww」

    冴「お前叫びすぎだ…、まあ無事帰って来れて良かったがな」

    凛(……? 時計壊れてんのか…?さっきも13:00だったような…)

    ボロボロのトンネルから抜けた彼らを待っていたのは――再び、静かすぎる遊園地の風だった。



    千切「潔、それ……さっきの時計? よく拾ったな」

    潔「なんか……気になって。変な感じしたけど、捨てるのは怖くてさ」

    凛「……まあ、悪霊付きじゃなけりゃな」

    冴「“時間に抗う選択”は、そう簡単には来ねぇ。お前は……正解かもしれない」

  • 18スレ主25/04/25(金) 14:54:11

    千切「それにしてもさ潔、冴も言ってたけどマジで叫びすぎ。あれ絶対カメラに残ってるぞ」

    潔「うぅ……やだ……あとで見るの怖い……」

    凛「勝手に騒いで勝手に疲れてんじゃねーよ。バカか」

    冴「……でも、今の“異常”は本物だ。錯覚だけじゃ済まないな、これ」

    千切「あのさぁ、今さらだけど……これほんとに“ただの遊園地”なんだよな?」

    潔「そ、それ俺も思ってた。なんか……変だよな?全部」

    凛「今さら。最初から空気がクソ気持ち悪かっただろ」

    冴「でも、帰るには“全部回らなきゃいけない”って、もう分かったろ」

    潔「えっ、マジで?全部!?あと3つもあんのに!?」

  • 19スレ主25/04/25(金) 15:04:52

    千切「……で、次どうする? 俺、鏡とか嫌なんだけど。前フリ的にやばそうじゃね?」


    潔「俺も正直、鏡はやだ……絶対出るよ!“もう1人の自分”的なやつ!!」


    凛「……水の上とかも信用できねぇ。静かすぎんだよ」


    冴「どれを選んでも“罠”なんだから、いっそ直感で行け」


    潔「うっ、なんかもう一周絶叫系でも……」


    千切「潔それ“逃げ”っていうんだぜ…」


    【選択肢:次に向かうアトラクションは?】

    2:鏡の迷宮

    3:スプラッシュボート

    4:ゴーストカート

    >>20

  • 20二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 15:08:32
  • 21スレ主25/04/25(金) 15:30:38

    【Mirror Hex ―鏡の迷宮―】
    ――視点:千切 豹馬

    【説明パネル】
    《何度も何度も、自分に出会う。でも……最後まで、自分の顔って覚えてる?》
    ※中では走らないでください。影が、追いかけてきます。


    千切「うっわ……これ、ダメなやつじゃね? 俺この手のやつ、ホント無理」

    潔「なんか、鏡の配置変じゃないか? ほぼ迷路だろこれ……」

    冴「“走らないでください”って注意があるのが不穏だな。
    “走りたくなるもの”が出てくる前提じゃないか」

    凛「……面倒くせぇな、こういうの」


    入口のドアがギィィ……と音を立てて開く。中は薄暗く、足元まで鏡の壁が立ち並んでいる。
    音が響く。自分たちの足音なのに、“少しだけ遅れて”返ってくる。

  • 22スレ主25/04/25(金) 15:41:16

    5分ほど進んだとき――鏡の中の“自分たち”の表情が、少しだけズレていた。

    笑っている。けれど、誰も笑っていない。


    千切「……あれ……俺、今、笑ってた?」


    潔「やだやだやだ、そういうのやめよ!? 鏡の中で勝手に笑うとか怖すぎ!」


    凛「勝手に笑ってんのは“向こう”の方だ。……こっちじゃねぇ」



    通路の角、鏡が一枚だけヒビ割れている。

    その前に、手のひらサイズの欠けた鏡の破片が落ちていた。



    千切「……なんだこれ。……鏡の、破片?」


    潔「うっわ、なにそれ!絶対触んない方がいいやつ!!」


    凛「拾うな。そういうのに触れると“映される側”になるんだよ」


    冴「……けど、拾うか拾わないかは本人次第だ。

    “自分をちゃんと覚えてる”なら、触っても大丈夫だ」


    【選択肢:鏡の破片を拾いますか?】

    >>23

  • 23二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 15:42:09

    拾う

  • 24スレ主25/04/25(金) 15:53:37

    千切「……じゃあ俺は、信じてみる。これ、俺の顔なんだろ?」


    彼は破片を手に取り、鏡の中の“笑っている千切”と向き合った。
    その瞬間、“影”の千切がニヤリと笑い――溶けるように消えた。

    鏡の配置が、ガシャリ……と音を立てて自動的に動く。出口が、突然、正面に現れた。


    潔「えっ!? あれ、いつの間に……!?」

    凛「今の選択で、出口が出たってことか。……くだらねぇギミックだな」

    冴「違う。くだらねぇのは、“見失うことの方”だ」


    外の風は、先ほどより冷たくなっていた。空はまだ晴れているのに、太陽の位置は変わっていない。
    ふと時計が視界に入る。――13:00から時が進んでいないと気がつくのに、そう時間はかからなかった。

  • 25スレ主25/04/25(金) 16:02:27

    潔「……なんか、空、全然変わってないな」

    千切「太陽、動いてねぇ……いや、ずっと13:00って、ありえなくね?」

    凛「……最初に入ったときからだ。空気の流れ、温度、全部が一緒。時間が“進んでない”っていうか、“止まってる”」

    冴「……正確には、“閉じ込められてる”って表現の方が近いな。俺たちは今、“13:00の中”にいる」


    園内の時計塔は長針も短針も、一歩も動いていない。
    秒針すら――音すらない。


    潔「ってことは、もう何時間もここにいて……でも、外は1分も経ってない?」

    千切「やばい……マジでタイムループ系か?てか、選択ミスったら戻れねぇとかあんのか……?」

    凛「だから言っただろ。最初から気配が“気持ち悪かった”って」

    冴「けど――俺たちは、すでに“選んでる”。“止まってる”だけじゃない。“止まったまま、先に進める”ってことだ」

    潔「……俺、時計持ってるから、なんか分かる気がする。変だけど、怖いけど……まだ、“次に進める感じ”がする」

    千切「俺も……あの破片、ちゃんと見てくれてたの、俺だけだったし」

    凛「ハッ……くだらねぇ。ただの自己満足じゃねぇか。……でも、それが今の俺らには必要なのかもな」

  • 26スレ主25/04/25(金) 16:12:04

    そのとき――園内全体に、金属が軋むような電子音が響いた。


    パキ……パキ……

    言葉にならない“ノイズ”が、じわじわと音声に変わっていく。


    『……次ノ……アトラクション……ヘ――……』

    『ドウゾ……オ進ミクダサイ……』


    その声は、まるで“録音した誰かの声を機械が引き伸ばした”ような音質だった。

    低すぎるところは割れ、高すぎるところは刺さる。言葉の間が不自然に空き、所々“無音”が挟まれている。


    『……記憶……映像……幻影……遺物……』

    『ソレラハ……ミナ……13:00ノ……サイハテ……ヘ……トモナイマス』


    スピーカーの位置は特定できなかった。

    声はまるで、遊園地そのものが喋っているようだった。


    【選択肢:次に向かうアトラクションは?】

    3:スプラッシュボート

    4:ゴーストカート

    >>27

  • 27二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 16:34:32
  • 28スレ主25/04/25(金) 17:30:57

    【ナイトカート・ゴーストロード】
    ――視点:糸師 冴

    【説明パネル】
    《夜の遊園地を走り抜けろ!君のゴーストカートが導くのは、記憶か幻か。
    ――進路は、あなたの“記憶”が決めます》


    ひとり乗りのカートが並ぶ。冴は黙ってそのひとつに乗り込んだ。


    潔「冴、一人で行くって……ちょっと不安じゃないか?」

    千切「てか、なんでこれだけ一人用なんだよ……」

    凛「行かせとけ。兄貴はひとりの方が性に合ってんだよ」

    冴「(振り向かず)……誰よりも速く、“未来”にたどり着くってのも悪くないだろ?」


    【カウントダウン:3…2…1】
    カートが音もなく発進する。コースは外の通路ではなく、地下に潜るように続いていた。
    冴の乗るカートは、まるで勝手に行き先を知っているようだった。

  • 29スレ主25/04/25(金) 17:36:10

    冴(空気が変わった。照明が赤く、揺れもない。……記録用か?)
    冴(いや……違う。これは、“映像”を見せるための演出だ)


    暗闇の先に、大型のスクリーンが浮かび上がる。
    そこに映し出されたのは――倒れている糸師 凛の姿。

    場所は、白く無機質なチャペルのような空間。
    まるで、誰も知らない“その先”の映像のようだった。

    《映像再生中》
    《記録時刻:13:00》
    《記録対象:イトシ リン》
    《状態:意識消失》
    《記録方法:記憶ログ》


    冴「……未来を映してるつもりか。くだらねぇな」

    だが、その声には、どこか微かな“迷い”が混じっていた。

  • 30スレ主25/04/25(金) 18:17:07

    「……兄ちゃん……どうして、俺を見てんだ……?」


    冴が目を見開く。スクリーンの凛は動かない。
    だが、確かに“耳元”で声がした。


    「オレの未来、そんなに見たいか?」
    「だったら、“開けてみろよ”。その扉をさ」

    冴が振り返るが、そこには誰もいない。何もない。
    壁も、道も、どこにも“鍵穴”すら存在しなかった。


    冴「……チッ。開けねぇんじゃねぇ。“開けられねぇ”んだよ、俺は」


    カートはそのまま加速し、闇を突き抜けて地上へ戻る。
    冴が降りた瞬間、スクリーンの映像は砂嵐のように崩れ、全ての記録が消えていった。

  • 31スレ主25/04/25(金) 18:27:29

    潔「……冴、大丈夫? なんか、顔色悪いけど……」

    冴「……問題ねぇよ。ただ、“見えた”だけだ。……答えじゃなく、“予感”をな」

    千切「てか、ここまで回ったのに……まだ“13:00”って、どうなってんだよ……」

    全員が時計塔を見上げる。太陽の角度も、空の色も、風の音も、全部止まったままだ。


    潔「……進むしか、ないよな。もうあとひとつで、“全部”揃うんだし」

    【彼の手の中の懐中時計は、まだ13:00のまま】

    千切「俺も……今さら戻りたくねぇし。……ていうか、なんか、“今戻ったら後悔する気がする”」

    【ポケットの中で、欠けた鏡の破片がひんやりと冷たさを持っていた】

    凛「……チッ。お前ら、揃いも揃って……“やる気にな
    ってんじゃねぇ”」

    冴「じゃあ……最後の場所、行くか。“俺たちがまだ触れてない、最後の記憶”を拾いに」


    スピーカーが、また異様なノイズと共に唸る

    『……最終アトラクション ヘ ノ ルート……カイホウ』
    『最期 ノ 記憶 ヲ オ持チ クダサイ……』

  • 32スレ主25/04/25(金) 19:32:09

    【サイレンス・リバー】
    ――視点:糸師 凛

    【説明パネル】
    《湖を巡る幻想的なナイトクルーズ体験。
     小さな波と、優しい風に包まれて――
     ……音が聞こえなくなったら、振り向かないでください》


    4人はボートに乗り込む。
    夜の水面を模した演出。波も風もない“静寂”だけが漂う。


    潔「……めっちゃ綺麗だけど……ちょっと静かすぎない?」

    千切「やだやだやだ、“振り向くな”って書いてあったぞ!? 絶対出るって!!」

    冴「……凛。お前、ここで何か“思い出してないか?”」


    凛は黙って水面を見つめる。
    そこに映るのは、真っ直ぐに進む自分の背中。
    だが、その背後で――“もうひとりの凛”が立っていた。


    凛(……俺は、あのとき、兄ちゃんの背中を見てた。)
    凛(でも、いつからだ?俺の後ろにも“誰か”が立ってたのは――)

  • 33スレ主25/04/25(金) 19:54:18

    水のせせらぎ、鳥の声、風――全てが止まる。



    潔「っ!? 音、全部止まった……!?」


    千切「嘘だろ、まただよこれ……なんか来る!!」


    凛「動くな。今、なにかが俺たちを“測ってる”」



    ふと、ボートの足元に、水に濡れたスケッチブックが落ちているのに気づく。

    開かれていない。表紙には、にじんだ文字でこう書かれている。




    「忘れたら、もう戻れない」




    凛「……これ、誰のだ」


    潔「うわ……触んない方がよくない!?やばいやつじゃ……」


    千切「でも、書いてある。“忘れたら”って……なにを?」


    冴「……拾ってみろ。“忘れてない”って証明するなら、それが唯一の方法だ」



    【選択肢:スケッチブックを拾いますか?】

    >>34

  • 34二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 19:55:22

    拾う

  • 35スレ主25/04/25(金) 20:09:21

    触れる前に、一瞬だけ指が止まる。
    濡れている。重い。
    “拾ったら、もう手放せなくなる”――そんな気がした。

    潔が息を呑む。千切が何か言いかけて口を閉じる。冴は黙ったまま、凛の手の動きを見つめていた。


    凛はそっと、スケッチブックに指をかけた。
    最初は親指で端を押すだけだった。少しずつ、ゆっくりと。
    濡れた紙がペリ、と音を立てたその瞬間――凛の目がわずかに見開かれる。

    そこには、自分の描いた何かがあるような気がした。けれど、ページは閉じられたまま、まだ、中身を“見せようとしていない”。


    凛「……くだらねぇ。……でも、これは、俺のもんだ」

    そう言って、凛はスケッチブックを胸に引き寄せた。
    濡れた背表紙に、無意識のうちに“爪を立てていた”。
    それはまるで、“失くすことを本能で怖れていた”かのように。


    冴「……偉いな、凛。忘れてないって、ちゃんと証明できた」

    凛「……兄貴こそ、そんな顔すんなよ。俺は、……ちゃんと、見てるからな」


    水面に映ったふたりの影が、ゆらりと重なって消えた。

    そして、止まったままの“時間”が――ゆっくりと、動き始めた。
    音が戻る。水が揺れ、ライトが点灯する。スプラッシュボートは、静かに地上へ戻っていく。

  • 36スレ主25/04/25(金) 20:12:30

    4人が地上に戻ったとき、遠くに見える建物に灯が点る。
    白く、無機質で、地図にない場所。






    ――13号館






    【所持アイテム】
    ・潔:錆びた懐中時計
    ・千切:欠けた鏡の破片
    ・凛:濡れたスケッチブック
    ・冴:なし

  • 37スレ主25/04/25(金) 20:24:38

    遊園地の奥――地図にも載っていない道を進む。
    13:00のままの空。風が止んで、空気がぴたりと重くなる。

    ボロボロの看板。文字が削れて読めない。

    その奥にあったのは、白く静かな“建物”だった。
    無人のチャペル。けれど、扉だけが開いていた。


    潔「……13号館、ってここだよな…。……なあ、千切、ここってさ。」

    千切「ああ……なんで俺ら、見たこともないのに“ここが最後”って分かってんだろ……」

    凛「……全部が、ここに向かってた。そういう“感じ”だった」

    冴「感じじゃねえ。“構造”だ。この遊園地自体が、“ここへ来させる”ために作られてる」



    誰も、返事をしなかった。

  • 38スレ主25/04/25(金) 20:32:20

    冴「……行くか」

    潔「お、おう……っ、俺、覚悟は決まった!」

    千切「ま、まてまて……!!俺は心臓が準備できてねぇ……!」

    凛「……うるせぇ。お前らの声で、耳が壊れんだよ。さっさと行くぞ。」



    中は――“真っ白”だった。壁も、床も、天井も、すべてが存在感を消すように無機質。けれど、確かに、誰かが「待っている」気配だけがあった。


    潔「……だ、誰か……いるのか……?」



    突如、世界が歪む。白い床がぐにゃりと傾き、視界がぐらつく。


    千切「あ――っ……な、んだ、これ…――……!」

    凛「っくそ……音が、揺れてる……」

    冴「ここは……っ、“記憶の中身”だ……」




    全員の意識が、崩れるように沈んでいく。

  • 39スレ主25/04/25(金) 20:36:01

    最後に、誰かの手が、誰かの腕を引いたような気がした。



    ――けれど、その記憶だけが、どうしても“白く塗りつぶされていた”。




    【選択肢:最初に“目を覚ます”のは誰?】


    1:潔

    2:千切

    3:凛

    4:冴

    >>40

  • 40二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 20:36:55

  • 41スレ主25/04/25(金) 20:58:49

    真っ白な世界の中――潔は、たったひとりで目を覚ました。

    目の前に広がっていたのは、天井の見えない廊下。左右どちらを向いても、“果て”がない。床も壁も天井も、白すぎて遠近感が狂う。

    まるで、“思考が続く限り、道も続いている”かのようだった。


    潔(……俺、たしか……みんなと一緒に……最後のアトラクションを終えて……)
    潔(白い部屋……兄弟の声……凛が、何か……拾ってた、ような……)
    潔(――でも、今ここにいるのは……)




    潔「みんな、どこ……?」





    答えはない。音もない。

    けれど、足元には確かに“床”があり、手の中には“時計”があった。

    時計の針は、やっぱり――13:00のままだ。
     

  • 42スレ主25/04/25(金) 21:04:33

    視界の先、左右に分かれる通路がゆっくりと開いていく。

    それぞれの奥から、“微かな気配”が漂ってきた。


     


    潔(行かないと。誰かを探さなきゃ……)

    潔(でも、どこに? どっちから? …どうすればいい?)




    【選択肢:どこに向かいますか?】


    1:右の通路(ほのかな暖かさ/何かが待っている気配)

    2:左の通路(ひんやりとした風/懐かしい匂いがする)

    3:今は動かない(その場で気配を探る/“何か”が近づいてくる)

    >>43

  • 43二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 21:06:02

  • 44スレ主25/04/25(金) 21:37:52

    白い廊下の奥、潔は迷いなく右へと足を踏み出した。

    空気が、わずかにあたたかった。それだけで――なぜか、妙に安心できた。


    足を進めるごとに、白い廊下の壁がわずかに揺れるように見えた。まるで、空間そのものが“記憶の中”に潜っていくような感覚。

    そして、その先にあった――木製の扉。
    白い空間に似合わない、誰かの手で作られたような、不自然な扉だった。


    扉の表面には、削れかけた文字が浮かんでいた。


    『忘れないで』

    『忘れたことを』


    潔が手を伸ばそうとした時、後ろから物音がした。
    振り返ると、それはスケッチブックのようだった。


    ――あの日、凛が拾ったもの。

    スケッチブックを抱え、再度扉を開くために潔は手を伸ばす。



    潔「……行くぞ、凛。迎えにきた。」

  • 45スレ主25/04/25(金) 21:51:52

    扉を開けた途端、視界が反転した。

    床も壁も天井も、すべてが滑らかな鏡面。無数の自分が、さかさまに映っている。でも、どれも“自分じゃないように見える”。


    部屋の中心に、ひとりの少年が立っていた。
    凛――のような、誰か。

    姿形は同じ。でも、表情が違った。目が笑っていた。けれど、口元は動いていない。まるで、“誰かが凛の顔を真似て作った人形”。


    潔「……凛……なのか?」


    返事はない。けれど、代わりに部屋全体に響くような声が届いた。

    『オレは、お前が“見たがった”凛だよ』
    『でも、今の凛が“覚えていない”オレでもある』

    潔が眉をひそめる。
    その瞬間――鏡の床に、冴の顔が浮かび上がった。

    冷たい目。距離のある横顔。でも、それを“見失った”ときの凛の表情は、もっと苦しそうだった。

     



    『兄ちゃんって、なんだっけ?』
    『オレは、忘れたよ。だから、ここにいるんだ』

  • 46スレ主25/04/25(金) 21:55:49

    潔は、ゆっくりとスケッチブックを取り出す。濡れて、重く、でも確かにここにある。
    ページを開いた瞬間――ぬぐわれたはずの線が、ふっと浮かび上がった。

    色は薄れている。にじんでいる。でも、そこには確かに――冴と凛が並ぶ姿が描かれていた。

     

    潔「見ろよ……お前、ちゃんと描いてたじゃねぇか」
    潔「忘れてなかったんだよ。お前自身が、一番……忘れたくなかったんだ」


    影の凛が一歩下がる。初めて、怯えるような“人間らしさ”が滲む。



    『それ、オレの手で描いた……のか……?』

    潔「ああ。だから、戻ってこい。忘れるんじゃなくて、思い出したまま――“これからを選べよ”」


    潔の声が届いた瞬間――床に走った亀裂が、影の凛を飲み込んだ。


    影は、光になって弾け、鏡の部屋から消えた。



    そしてそこに倒れていたのは――本物の凛だった。

  • 47スレ主25/04/25(金) 22:04:32

    静かに、目を開ける。凛は、しばらく視線を宙に泳がせたあと、ゆっくりと潔を見た。


     

    凛「……チッ。くだらねぇ……。……でも、忘れるより、痛ぇほうがマシだったな」


    潔「だろ? お前は、忘れるような奴じゃないよ」


     

    潔が笑ってスケッチブックを差し出すと、凛はほんの少しだけ眉を下げた。


     

    凛「……持ってろ。お前のほうが、忘れねぇ気がする」


    潔は頷き、スケッチブックを胸にしまう。そのとき、鏡の部屋にあった反射光がすべて消え――白い扉が再び現れた。


     


    凛「他の奴らも、まだだろ」


    潔「ああ。……次は、誰を迎えに行く?」




    潔:SAN値6 自分が知らなかった凛との対面により-1減少

    凛:SAN値8 スケッチブックによる自我回復成功により変動なし


    【選択肢:誰の部屋に向かいますか?】

    1:千切

    2:冴

    >>48

  • 48二次元好きの匿名さん25/04/25(金) 22:05:15

    千切

  • 49スレ主25/04/25(金) 22:19:00

    白い扉が開き、ふたりは新たな通路へと進んだ。
    さっきよりも、少しだけ空気が重い。


    潔「……なんとなく、次は“あいつ”の気がする」

    凛「赤髪か」


    ふたりの足音が、廊下に静かに響く。
    そして、凛がぽつりと口を開いた。


    凛「あいつ、弱ぇとこ見せねぇよな」

    潔「見せないだけだよ。ずっと、ギリギリでやってた」

    凛「……知ってる風な口利くなよ」

    潔「俺は、見てた。走れなかった時のことも、走れた日のことも――全部」


    潔の怒気を含んだ声に、凛がわずかに目を伏せる。
    その沈黙の中で、千切の名前が書かれた部屋の扉が、静かに姿を現した。

  • 50スレ主25/04/25(金) 22:26:37

    扉を開けると、そこは――無限に続くトラックだった。外は暗く、照明は切れている。だが、足元にだけ淡い光が差している。


    その先を、千切が走っていた。
    制服のまま、スパイクも履かず。全速力で、苦しそうに――けれど、止まらずに。


    潔「千切……!?」

    凛「待て、見ろ。あれ、“ひとりじゃない”」


    千切の後ろに、“もうひとりの千切”が走っていた。顔がない。髪も色も同じなのに――目も口も、描かれていない。ただ、同じ速度で追いかけてくる。



    『お前は、ずっと遅れてる』
    『誰も、お前を待ってなんかいない』



    千切「違う…!!…俺はッ、…、もう走れる……!走れるんだよ……!!!」


    潔「千切!! それ、影だ!!お前じゃねぇ!! そいつに追いつかせんな!!」

     
    千切が振り返った瞬間、目が真っ白になっていた。呼吸が荒い。足が止まりかけている。

    “もう一歩で追いつかれる”。

  • 51スレ主25/04/25(金) 22:32:37

    潔が床に落ちているモノに気づく。

    そこには――“自分を信じるため”に千切が拾った、鏡の破片があった。

    潔は、それを千切の前に投げるように滑らせた。
    光が割れて、鏡の破片が床に転がる――

     

    千切の足が、それを踏みしめた瞬間。


    『誰も見てない』
    『誰にも気づかれない』


    その言葉が、スッと、かき消えた。



    千切「……見てたのかよ、お前……」


    千切の背後にいた“顔のない自分”は崩れ、静かに霧のように消えていった。

  • 52スレ主25/04/25(金) 22:40:06

    千切はその場に倒れこむ。呼吸が荒い。
    潔が駆け寄り、凛は少し離れて見ている。


    潔「お前、ホントに……もう、限界だったんだな」

    千切「……情けねぇとこ、見られた……」

    凛「見せる相手、選べよ。……俺には向かねぇ」

    千切「だな……」


    呆れたように笑う千切が、少しだけ涙をこぼしていたことを、潔はそっと、見なかったことにした。


    潔:SAN値6 “救うべきもの”に迷いなしのため変動なし
    凛:SAN値7 自分と向き合う千切を見て、過去の自分を思い出したため-1
    千切:SAN値6 影に飲まれかけたが、自己像回復により変動なし

  • 53二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 02:37:37

    今のところ良い方向に進んでそうだね
    このまま皆無事に助かってほしいなあ

  • 54スレ主25/04/26(土) 08:19:41

    4人のうち、最後のひとりだけがまだ戻ってこない。

    冴の気配がする部屋は、白くて冷たく――扉は、閉ざされたままだった。


    潔「……冴は、きっとここにいる」

    千切「でも……開かねぇ」

    凛「そりゃそうだ。鍵がねぇからな。……あいつは、拾わなかった」



    沈黙。

    凛の目が、扉を見つめている。
    でもその視線は、ずっと“自分の中”を見ているようだった。

  • 55スレ主25/04/26(土) 08:25:20

    潔「凛……どうするんだ?」


    凛は、何も言わなかった。けれど、少し震える手で、潔の胸ポケットからスケッチブックを取り出した。

    開かれたページには、かすれた線で、こう書いてあった。

    『オレを、忘れるな』



    凛「あいつは、俺の兄貴だ。……でも、たぶん、俺が忘れかけてた」

    凛「だから、ここまで来て――やっと、思い出した。“忘れなかった俺”の意味を」



    凛が、手で扉を叩く。
    コン……コン……

    反応はない。だが、“中の誰か”が確かに気づいたような気配がする。

     

    凛「開けろ。……兄貴、迎えにきたぞ」

  • 56スレ主25/04/26(土) 08:31:33

    鍵はなかった。
    けれど、凛の声が、確かに“扉”の記憶を開いた。

    扉が、音もなく軋むように開く。

     

    その奥は――空っぽのチャペル。椅子が並び、光が差し込まない白い空間。
    だが、その中心に、誰かが座っていた。



    冴。
    だがその姿は、まるで“映像の中の人間”のように動かない。


    凛が、ゆっくりと歩を進める。
    潔と千切は、少し距離を保って見守る。

     


    凛「兄貴……こんなとこで、なにやってんだよ」

  • 57スレ主25/04/26(土) 08:48:55

    冴は、ゆっくりと顔を上げる。
    けれど、その瞳は“見えていない”。


    『凛? ……違うな。お前は、もういないはずだ』


    凛「……は? 何言って」
    『お前たちは、先に行っただろ。』




    『俺だけが、“ここに置いてきぼり”になった。』

    『俺は、忘れられる存在でいいと思ってたんだ』

  • 58スレ主25/04/26(土) 09:16:21

    その言葉を聞いて、凛がほんの一瞬、目を伏せる。
    そして、スケッチブックを――そっと冴の膝の上に置いた。

     

    凛「……違ぇよ、兄ちゃん。俺は……兄ちゃんを忘れてなんかねぇ。忘れたいって思ったことは、あったかもしんねぇけど……」

    凛「でも、忘れたことは、一度もねぇ」



    冴が、ゆっくりとスケッチブックに手をかける。

    ページが、一枚ずつめくられる。
    描かれていたのは、凛の描いた“試合前の兄弟のツーショット”。

    色は抜けている。けれど、表情は、はっきりと笑っていた。



    『こんな顔……してたんだな、俺』

     

    冴がゆっくりと立ち上がる。
    その目に、光が戻っていた。

  • 59スレ主25/04/26(土) 09:22:59

    冴の顔に、うっすらとした微笑が浮かぶ。ほんの少しだけ、恥ずかしそうに。

     
    冴「よく……来たな。凛、潔世一、千切豹馬」

    千切「……!無事で良かった……!」

    潔「あとは、帰るだけだ! 冴!」


    凛「……戻ってこいよ、兄貴。お前、ここにいたら“死んだ奴”みたいじゃねぇか」

    冴「……それ、結構グサッとくるな」

    寂しげに顔を背け呟く凛に、冴はふっと笑った。



    全員が扉をくぐったとき、チャペルが音を立てて崩れはじめる。


    天井が割れ、床が白い砂のように消えていく。

    その中心で――潔の懐中時計が、“カチッ”と音を立てた。

     

    13:01

    時が、動き出した。

  • 60スレ主25/04/26(土) 09:41:11

    ――――HAPPY END
    【13:01、そして君は振り向いた】


    時間が止まったままだった、白い世界。
    でも、誰かの言葉が、誰かの記憶が――“その針”を動かした。

    忘れなかった。忘れなかったから、今ここにいる。

    4人の記憶が、絆が、世界を再び色づかせた。

  • 61スレ主25/04/26(土) 09:43:59

    【エピローグ】

    目を覚ましたとき、
    あの遊園地は――“静かに、ただ朝を迎えていた”。

    ベンチに腰かけていたのは、潔、千切、凛、冴。
    誰ひとり欠けていない。
    けれど、夢だったとは思えないほど――“全員、あの日のことを覚えている”。

     

    潔がポケットを探ると、あった。
    止まったままの懐中時計。
    もう動くことはない。でも、それでいい。

    潔(13:00は終わった。だけど……)
    潔(忘れない。……絶対に、忘れない――あの時、確かに俺たちは、“生きていた”)

     

    そして、誰にも言わなかったけれど、凛の部屋の机には、新しいページを開いたスケッチブックが、静かに置かれていた。

  • 62スレ主25/04/26(土) 09:52:31

    【後日談】

    ――――ファミレス。笑えるほど“普通の時間”。


    千切「潔ー!アイス来たぞ!溶ける前に全部食え!!!」

    潔「いやまって、デカすぎだろ!?これ3人分くらいあるって!!!」

    凛「騒ぐな、うるせぇ。」

    冴「別にいいだろ、凛。お前もさっきアイス頼んでたし」

    凛「……それは兄ちゃんが頼んだから、別にそういう訳じゃねえし……」


    笑った。
    それだけで、“あの世界”が夢じゃなかったって、わかる。

    そして、誰も口には出さないけれど、彼らは確かに“ひとつの夜を越えた”仲間だった。



    潔が、財布の奥にこっそりしまったスケッチブックの切れ端。それがふと、ポケットから落ちそうになる。

    でも彼は、何も言わずにそれをしまい直した。



    潔(俺らは、ちゃんと帰ってこれた。全員で、な)

  • 63スレ主25/04/26(土) 09:58:01

    これにて13:00の物語はおしまいです。
    結局ダイスは出せず終いでした。
    至らぬ点も多々あったかと思いますが、最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
    また次回作でお会いしましょう。
    何か質問、要望(次回は○○を登場させて欲しい等)がありましたらお気軽に。



    【最終SAN値まとめ】
    潔:SAN値7 すべてを繋ぎ、全員を導いた“観測者”
    千切:SAN値7 自分を信じる力を取り戻した“走者”
    凛:SAN値9 忘れかけた絆を、弟として取り戻した“記憶の継承者”
    冴:SAN値11 孤独を受け入れ、もう一度“人間に戻った兄”

  • 64スレ主25/04/26(土) 10:03:50

    【余談】
    ・冴だけアイテム入手ルートが開かなかった理由:アトラクションに乗る順番が関係しております。

    ・発狂が発生しなかった理由:3人がアイテムを入手できたからです。冴は凛のアイテムがあれば救済できるルートを作成しておりました。最初はアイテムなしで考えていたのですが、みんながすぐ発生するので救済を増やしました。

    ・スレ立て時間:本物語にあわせて13:00投稿にしてみました。

  • 65スレ主25/04/26(土) 10:09:09

    【CLEAR特典一覧】

    おめでとうございます!
    13:00を生きて乗り越えたプレイヤーの皆さんには、以下の特典が付与されました!

    ■共通クリア特典【共鳴の記憶】
    いかなる異界/閉鎖空間でも、“仲間の存在”を感じ取る力が目覚めました。
    → 【次回作にて:SAN値減少イベント1回自動回避】

    ■ 個人特典(次回作へ引き継ぎ可能)
    潔:観測者の時計 全体の中から“真実に近い選択肢”を直感で1度だけ選べる
    千切:疾風の破片 罠や影の追跡から1回だけ仲間を救出できる(高速反応)
    凛:記憶のページ “消されかけた記憶”や“不自然な空間”を感知できる
    冴:白き空間の鍵 他人の精神領域に1回だけ“干渉”して引き戻すことができる

    ■ ペア特典(絆ボーナス)
    潔&千切:コンビネーション・スピリット 分岐イベントにて、どちらかがパニック状態でも助け合える
    凛&冴:記憶の継承者たち “忘れられた者”に対し、言葉だけで道を開くことができる

  • 66二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 10:23:27

    >>65

    全員生還の分岐点教えてくれ

  • 67スレ主25/04/26(土) 10:44:48

    >>66

    潔と凛は余程のことがない限り発狂しません(生還不可能になりません)


    ・スケッチブック取得:拾わないと冴が発狂

    ・鏡の破片取得:拾わないと千切が発狂

    →アトラクションの順番が2番目でないとアイテム入手ルートが開きませんでした

    ・潔が最初に目覚める:他の誰が先に目覚めた場合、部屋の探索ができません(自由に動き回れるのは潔だけ)

    各自が部屋(または廊下)で探索を進めますが、選択肢によっては発狂

    ・冴の扉開放:凛のスケブがなければ扉が開かないため、冴が発狂

  • 68二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 11:45:02

    ハッピーエンドおめでとう!
    楽しかったです、完結おつかれさまでした!
    最初に潔が目覚めた所、その場に留まってたらどうなってたんですか?

  • 69スレ主25/04/26(土) 12:06:16

    >>68

    最後までお付き合いくださりありがとうございました


    3:今は動かない(その場で気配を探る/“何か”が近づいてくる)

    こちらを選択した場合、代わりに「凛の影(凛ではない何か)」が潔を探しにきます

    強制的にSAN値チェックが入りますが、ここで発狂することはありません(潔は精神が非常に安定しているので)

    ちょっとしたホラー要素の追加要因ですね

  • 70二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 12:12:37

    >>69

    2を選んでいたらどうなっていたの?

  • 71スレ主25/04/26(土) 12:28:37

    >>70

    物語に大きな変化はありません(千切のアイテム取得済ですので)

    ただ、潔は千切の弱さを知っている(千切覚醒前)ので、凛がいない文千切の脆さが出やすくなり(千切がもっと取り乱してる)、潔にSAN値チェックが入ります(凛がいる時より数値が大きめ)

    そして、潔と一緒に凛と合流したあと、千切が若干気まずくなります(凛の弱さを知らなかったので)

  • 72二次元好きの匿名さん25/04/26(土) 21:52:00

    冴のゴーストカートでの扉が開いてたら扉の中はどうなってたのか知りたいな

  • 73スレ主25/04/26(土) 23:48:22

    >>72

    作成していたSSがありました。

    冴はアイテムを拾う、またはアイテム入手ルートが閉ざされてることが生還の1つの条件でした。ですので、この進行(アイテムを拾わなかった場合)になっていたら、非常に危なかったです(凛がスケブ拾ってるのでなんとか救えますが…)。


    扉が、軋むような音を立てて開いた。

    白い霧が、カートの中に流れ込んでくる。

    冴はゆっくりと顔を上げる。

    『ここじゃない……外に、出ないと……』

    そう思った。

    けれど、外に一歩踏み出した瞬間――冴は気づく。

    そこには、無限に続くレールがあった。

    でも、もう列車もカートもない。

    ただ、レールだけが、真っ白な世界に、まっすぐ伸びていた。

    冴(……ここは……どこだ?)

    足元には、もう“世界”というものがない。

    歩けば歩くほど、レールだけが延び、ほかには何もない。

    音もない。

    風もない。

    光さえ、ない。

    ただ、足音だけが、ひとりきりに響く。

  • 74二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 02:20:45

    >>73

    ありがとうございます!

    >>67の答え合わせ見ると途中の選択肢とか順番間違えてたらヤバかったんだね…全員生存できてほんとに良かった

  • 75二次元好きの匿名さん25/04/27(日) 10:57:13

    >>63

    登場させてほしい人物の要望受け付けてるとのことなのでリクエストしていいかな

    E4好きだから4人揃って一緒に探索してるところが見たいんだけどお願いできる?

  • 76スレ主25/04/27(日) 11:04:56

    >>75

    リクエストありがとうございます。

    E4(潔、蜂楽、千切、國神)の探索にて承知致しました。現在潔、烏、玲王、二子で廃病院探索を行っておりますので、こちらの物語が無事完結後、リクエストの内容でスレ立てを行いたいと思います。

    お時間頂いてしまいますが…必ず。


    良ければ次回作をご覧になってお待ちくださいませ。

    【ホラー注意】時計の針が進むたびに、俺たちは壊れていく|あにまん掲示板――目が覚めたら、そこは廃病院だった。時計の針が刻むのは、“時間”ではなく、“精神の崩壊”。目に見えないものが、確かにこちらを見ている。bbs.animanch.com

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