- 1佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/04/29(火) 19:37:32
すごく気合いを入れて臨んでるけど、それはそれとして楽しい! インスピレーションも湧いてきそう……
佐藤カガリ 16歳(2年生)
出身校:百鬼夜行連合学院
身長 130+40 (40) cm
胸 3 (3) 1.小盛 2.並盛 3.大盛
腹 2 (2) 1.細 2.中 3.中太
尻 2 (2) 1.小さめ 2.やわらか 3.もちっ
髪色:薄い黄色(3・1) 長さ64 (1で肩につかないくらい100で足元)
瞳の色:オレンジ(5・2)
肌の色:85 (1で芸術級スーパー美白、100で健康的こんがり褐色)
(復活しました!!!!!! とはいえ最近他のことにうつつを抜かしていたので書き溜めが出来ているということはなく行き当たりばったりです 結局ダイス振るしあんま関係ないかもな……) - 2二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 19:51:49
よかった…生きてた…
嬉しい - 3二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 19:54:11
立て乙
- 4佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/04/29(火) 19:57:48
情報まとめ
天童アリスのストーカー佐藤カガリのまとめ ver2telegra.ph1スレ目
【オリキャラ🎲】天童アリスのストーカーです、通して下さい|あにまん掲示板はぁ…………今日もかわいい……………………(スレ画は一番好きな表情)戦闘 dice1d100=@57 (57)@知性 dice1d100=@12 (12)@運動 dice1d100=@67 (67)@…bbs.animanch.com前スレ
【オリキャラ🎲ss】天童アリスのストーカーです、通して下さい【佐藤カガリ】Part11|あにまん掲示板ひさしぶりにメイド服! ところで、このバトル漫画みたいな雰囲気は一体……佐藤カガリ 16歳(2年生)出身校:百鬼夜行連合学院身長 130+40 (40) cm胸 3 (3) 1.小盛 2.並盛 3.大…bbs.animanch.com前回のあらすじ(もう100%伝えることは不可能なので端的に行きます)
C&C特有の軽いノリに巻き込まれ、なんやかんやあって川辺のコテージで2泊3日の合宿を共にすることとなったカガリ
初日のアクティビティ『川釣り』において、つい先日リオ会長から倫理的に良くない方法で教わった機密技術"重力変調"がちょっと悪さをしてしまい、しかもコテージのオーナーに現場を目撃されてしまうが、アカネによるドスの効いた口止めで事なきを得る
2日目、早朝から山を登った先で『川下りカヤック』を楽しむ一行 カガリにとってはアカネの指南で"重力変調"の特訓も兼ねられる有意義な時間だったが、上空からヘリで様子を見ていたオーナーが不注意で川へ転落、その救助でてんてこ舞いの様相に
無事に陸へ上がったのち、意識を失っていたはずのオーナーが不意打ちで突然ネルに殴りかかる(そしてあっさり返り討ちにされる) 実は二重人格者であった彼女の、よりにもよってC&Cに対して理不尽な恨みを抱いているほうの人格が表に出てきてしまったようで、それは(どう考えてもあまり勝ち目がない)C&Cとの直接対決を望んでいた
そしてネルの軽いノリでC&Cの代表者として戦わされることになったカガリ 果たして一行は無事に合宿を終えることができるのか……まあ無事には終わると思うけど……
- 5二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 20:04:27
かんしゃ~
- 6二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 20:27:27
たておつ
ありがてぇ - 7二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 20:58:29
おつおつ
- 8二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 21:58:31
立て乙
- 9二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 22:12:34
保守
- 10二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 22:30:17
たておつ
バトルの行方は如何に - 11佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/04/29(火) 22:35:25
(前スレの最後でオーナーさんに対して振ったダイスを引用再掲)
dice3d100 98 36 48 (182) ダイス1つごとに戦闘ステータス(69)以下で1回成功
dice3d100 83 87 29 (199) ダイス1つごとに神秘ステータスの半分(42)以下で1回成功
「おらあああああ!!!!だりゃりゃりゃりゃりゃ!!!!!」ブンブン
ちょ……え、えいっ! ぅわーっ!
「ぬう゛ううううううううう!!!!!!!!」ドカッバキッボコッ ニャー
「『「「「………………」」」』」
……自分で言うのもなんだけど……野良猫の喧嘩すぎる……!!!!
今までの人生で取っ組み合いなんて全くしたことがないのが問題だった。そしてそれは多分相手も同じ……なんというか、お互いに気遣って急所を避けながら適当に腕を振り回してるだけの、冗長な互角。確かに体のあちこちがじわじわと痛いけど、それ以上になんか全員から生暖かい目で見られてるのがわかって恥ずかしいんですが。
『え、えっと……カガリ、そろそろ良いんじゃないか』
「ああ!!? つまり降参ってことか!!!」
「違うだろどう考えても。このままやり合っててもなんの意味もねーって言ってんだよカリンは」
「んなこと知るか!!!!オレの気が済むまでボコボコにしてやるからな!!!!!!」
ひぃん……どうすればいいの……
「……とは言っても。C&Cとして、ただの民間人を『お掃除』するのは気が引けます。名目では休暇中ですし」
「え、別にいいんじゃない? 先にリーダーに殴りかかったのあっちだし」
「……このままではオーナーさんがアスナ先輩によって掃除されてしまいます。早くなんとかしてくださいカガリ先輩」
そ、そんなこと言われても……ぐ……うおおおおおおおおおお!!!!!
「!? な、なんだこれっ、バランスが……!」
『う、浮いてる! 昨日の魚釣りの時と同じだ!』
「2人分の体重引っ張って空中浮遊!? 嘘だろ、なんつー出力してやが――」
うわああああああっ!!!!!!!!!
「へぁっ? 待て、まっ、その回すのやめろ、オレ本当にジェットコースターとか無理、やめろ、やめろってば!!!!」ぐるぐるぐるぐるぐるぐる
………………
「……回っていてよくわかりませんが、顔が青くなっていませんか?」
「外から止めましょうか。辺りが吐瀉物でまみれる前に」
- 12二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 01:29:44
なんてこった、ゲロのスプリンクラーが出来上がってしまうぞ
- 13二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 06:15:34
草
- 14二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 12:15:12
カンガルーのあの画像貼りたくなるな
- 15二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 19:55:40
まぁ止めれてよかったよ
- 16二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 01:48:39
このレスは削除されています
- 17二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 07:44:06
保守
- 18二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 12:15:36
ちょっと羨ましい
楽しそうだ - 19二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 18:29:34
そーらを自由に とーびたーいなー
っていう程のほほんとした空気じゃないな - 20二次元好きの匿名さん25/05/02(金) 01:21:33
保守
- 21二次元好きの匿名さん25/05/02(金) 07:58:02
大丈夫か?
- 22二次元好きの匿名さん25/05/02(金) 14:08:17
早めの保守
- 23二次元好きの匿名さん25/05/02(金) 22:41:52
どうなるかな
- 24二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 07:35:07
本人達にとっては笑い事じゃないけど傍で見ている分には面白い状況だね
- 25二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 16:36:16
保守
- 26佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/03(土) 16:54:59
『すまない、オーナーさん。カガリは……なんというか、自分の持っている力に振り回されがちな人なんだ。前にもそういうことがあった』
「で、納得はしたのか? これ以上文句付けられても面倒くせえし、あたしが改めて相手してやってもいいが」
「……ちっ、わかったよ。あんたもご苦労だったな、わざわざ無駄に空中で回って」
ど、どの口が……まあいいか。早く戻ってください、雨降ってくる前に帰らなきゃですし。
「へいへい。ちょっと待ってな……」
地面にあぐらをかいて深く背中を曲げ、自分の腹の底を見つめるように俯くオーナーさん。これで戻るってことだろうか? みんなで固唾を飲んで見守る。
「あ、駄目だこれ。戻んねーわ」
「えーーーーー!? 今いけそうだったじゃん!?」
「そうか、そんなにあたしからボコボコにされたいのか」
「ちげーよ!!!! あの、元の人格の方が、戻りたがってない。おめーらに迷惑かけたから」
……怒られるのが怖いってことですか???
「そういえば……昨日の私、少し怖がられるような振る舞いをしてしまいましたね。それが関係あったり……」
「んー、そう思うならそうなんじゃね? オレ興味ねーけど」
「……如何しますか、ネル先輩。必要とあらばこの私が先輩方に変わってボコボコに……」
「わ゛ーーーー!!! わかったわかった、オレが帰りの案内するから!!!! 必要そうなら晩飯の準備も明日の支度もする、それでいいよな!??」
あの、なんでトキちゃん相手だとすぐ怖がって、僕相手だとそんなでもないんですか?
「え、表情固いやつのほうが怖いだろ。その点美甘ネル大して怖くないわ、チビだし」
……あっ。
「――ははっ、随分言ってくれるなぁ。威勢の良い奴は嫌いじゃねえぞ」
「いやお前に好かれても嬉しくないが」
……ネルさんのあんな笑顔、僕は初めて見た。近いうち、オーナーさんの身に何かすごいことが起こるだろう……みんなでその予感を共有しながら山を下りる。時間をかけて少しずつ異様な雰囲気に気付いたのか、オーナーさんの口数は標高に正比例して減っていった。 - 27二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 19:30:54
あら~…
- 28二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 00:07:14
オーナーさん、ドンマイ
- 29二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 09:47:45
ほ
- 30二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 09:48:28
見た目の印象なら間違ってはない
- 31二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 17:14:21
保守
- 32二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 00:40:41
半分は自業自得だからセーフ
目の前の人を煽るんじゃないよ - 33二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 08:43:28
それはそう
- 34二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 18:04:50
保守
- 35二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 23:48:49
大丈夫かな
- 36二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 08:17:19
ホスト規制かな?
- 37佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/06(火) 15:06:46
「はい、ご覧の通り夕食の準備をさせていただきました。昨日が豪勢だったので、今夜はシンプルな山菜料理でゆったり疲れを癒す時間になればと思います。こちらから順に、ワラビの天ぷら、山ワサビ醤油漬け、タケノコのお吸いものに、アザミは酢味噌和え」
あの、顔の形変わってません?
「ね、じゃがいもみたいになっちゃった」
「はい……全然まだ痛いっす……」
「いいんですかネル先輩、民間人にこんな仕打ちを」
「ははっ、心配すんな。あたしの計算が正しければ、腫れが引くころにはちょっと美形になってるはずだ」
「人をデュバルみてえな目に遭わせやがって……まあいいや。前説飽きた! もう食べちゃおうぜ、いただきまーす」
ええ!? い、いただきまーす!
「「「「「いただきます!」」」」」
……おいしーーーーー!!!! 山菜特有の不思議な味を新鮮に体験しながら、濃いめの味付けによってご飯がすすむ慣れ親しんだ体験もまた出来てしまうって、ちょっと贅沢な気分。採集したものだからこそそれぞれ成育の加減が違っていて(タケノコが特に顕著)、同じ皿の中にも多様性があって。
気付くと、みんな談笑すら忘れてもくもくと食べている。そこには家庭のような安らぎがあった……ふと、何か思い出したようにオーナーさんが「ごちそうさました」と言って飛び出ていく。
……ちょっと話してみたいことあるんだよね。僕もちょっと早めに食べ終わって、後を追おうかな……
dice3d100=83 83 76 (242) ダイス1つごとに交渉ステータス(91)以下で1回成功
- 38二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 18:47:59
マエガミエネェ
- 39二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 22:46:35
山菜尽くし良いなぁ
オーナーちゃんはどうしたんだ? - 40佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/07(水) 04:50:38
「……つまり、なんだ。お前も"ダブり"ってこと?」
だ、だぶりとは。
「いや二重人格者のこと個人的にそう呼んでるだけなんだけど。そっかー、人って見た目に寄らねえな」
その、ちょっと普通とは事情が違ったり。普段は滅多に出てこないのもそうだし……あと、その子って元々僕自身かというとそうでもなく……
「困ってんの? 困ってないなら別に放置していいんじゃね」
……いちおう困ってます! その、無理やり身体を取られることが何回か。力ずくじゃどうにもならないので、交渉の線で行きたいんですけど。
「んー、聞いてる感じ、頭の中で会話できるタイプじゃないみたいだし……交換日記とかってもうやったか」
やろうって決めた日から出てこなくて……
「なーる。まあ、出てこないなら良かったじゃんって訳にも行かんしな」
意外と話がわかる。……意外とっていうのも失礼かもしれないけど、もうちょっと荒っぽい……それこそ、この人が『表のやつ』って呼ぶ方の人格が抑えてた『裏』って考えると、制御不能なイメージがあったのは確か。
「お前……カガリだっけ。もう一人の方に名前とかってあんの?」
"ケイ"ちゃんです。たぶん。
「まあ、その"ケイ"とやらに同じく、立場的にオレって『迷惑側の人格』なわけよ。そのオレがアドバイスするっていうのも変な話なんだけどさ」
あはは……
「対話に応じようとしない『迷惑側の人格』を交渉の席に座らせたいなら、方法は『脅迫』しかない。かくいうオレがそうで……こう見えて今まで、色々と譲歩させられたっけ」
……えー……
「そいつとお前の間にある、共通の『大事な物』を、わざと危険に晒せばいい。必要な痛みってやつだよ、お前にとってもな」
まるで他人事のような口振り。この人にとって、自分自身にも当てはまる話のはずだけど……とっくに整理がついた怒りや悲しみにもう一度触れているみたいな、鈍い冷淡さの輝きがその目に宿っていた。
「ま、勝手に応援させてもらおうかな。同時に、決して悪い未来だけが待ってるわけじゃないことも補償する……オレだって今、最高なんかじゃ断じてないが、絶望するほど不幸でもないから」
……ありがとうございます。その、試してみますね。
「無理すんなよ。まあ、身の回りに助けてくれる知人がいる場合、ちょっと勇気出すくらいならセーフかもしれんけど」 - 41佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/07(水) 05:43:32
共通の、だいじなもの、か。寝室に向かって歩きながら、ぼんやりと考える。
……それはもちろんアリスちゃんのことだよね。かと言って、頭の中のケイちゃん目がけて「言うこと聞かないとアリスちゃんのこと殴るよ!」って念じてみるのも、なんというか、僕にそんなことが出来ないのはもうバレてそうだし、不毛だと思った。
もっと現実的な方法として、むしろアリスちゃんともっと近づくっていうのもある。ケイちゃんにとって好ましくないやり方、看過しがたい早さで、必要に応じていかがわしい接触もしたり。「言うこと聞かないとアリスちゃんと僕の仲が不本意に深まるよ!」って……いや、それしたらケイちゃんに二度と身体返してもらえなさそう。あと、それを抜きにしたって自分の生活に支障が出るかも……アリスちゃん、僕にとって単純に友達ってだけじゃなく、一緒に頑張る仲間でもあるし。
おそらくオーナーさんの場合には、僕と違って『元々1人の人間である』っていう共通点があった。だからこそ共通した価値観を元に交渉が成立したけど、僕の場合は元から全く違う人格同士だから、決裂のリスクが高い。ひとまず、僕とケイちゃんの間で価値感が一致しているものを探す必要があった。
外はまだ強い雨が降っていて、窓の向こうには何も見えなかった。
廊下の明かりがガラスに当たると、それを黒色の鏡に変えて、自分の姿が影のように映る。ぼうっとした自分の姿。
……ケイちゃんってどういう存在なんだろう。あの子でも死ぬのは怖いんだろうか? もしそうなら、自死を引き合いに出せば……
刹那、視界が真っ白に染まる。びっくりして尻餅をつくと、続けて首筋まで繋がるような鋭い頭痛が走り、視界がぐらぐらと揺れて平衡感覚がなくなって、しばらく立ち上がれなくなる。
か、雷でも落ちたのか? もしそうなら、光の後少しして轟音がやってくるはずだけど、そうなってない……それは完全に自分の内側から来た衝撃で、壁を支えにして立ち上がるまでに数十秒を要した。
……もしかして、頭の中から怒られたんだろうか。確かに、よくない発想だったとは思う……それって、『共通した価値観』だからこそ怒られたのかな。だとすれば、交渉の材料としては有効だってことになる……けど、まあ、やめておこう。 - 42二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 11:52:56
難しいね
- 43二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 18:40:45
アリスは大事すぎて効果なし
そらそうよ - 44二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 01:11:25
ほしゅ
- 45佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/08(木) 05:28:19
ぐっ、さっきのが結構効いてる……ふらつきながら寝室前に辿り着く。今日はいっぱい動いたし食べたしいろんな急展開に見舞われたし、寝ようと思えばすぐ寝れちゃいそうであった。昨日もすぐ寝てなかった?? まあ、早寝早起きの分には誰に怒られることもないかな。
……中からドタバタと、尋常じゃない物音がすることに気づく。喧嘩? いや、あの人たちに限ってそんなことないか。でもなんか異様。一応、ドアを少しずつ開けて中の様子を……
「「………………」」じーっ
……えー、ただいま戻りました。何してるんですか?
「うおっ!? か、カガリか。今はアレだ、C&C伝統行事の――」
「っ、隙ありっ!!!」ビュンッ 「えーーーいっ!!!!!」ビュンッ 「それっ♪」ビュンッ
わ゛ーーーーーーー!!??!!?!??!?
「……よし、倒れた! 1対1状況じゃない時は、敗退した人が立ってる人に枕を当てて転倒させれば、復活できる。よね?」
「ぐっ。流石先輩方、突然の外的要因を前にしても判断が的確です」
……ぷはあっ!!! 何するんですか!!!!!
「しかし、これでは誰の枕で倒れたのかわかりませんね……カガリさん、最も強かったのは誰の枕でしたか?」
えっ。……カリンさん?
「よしっ! ありがとうカガリ、大活躍するから見てて!」
だからなんなんですかこれ!!!!!!!!
……どうやら、『枕投げ』をしていたらしい。"最後まで立ってたやつの勝ち"という殺伐としたルールで、繰り返すこと10戦。この人たちには疲れっていう概念がないのか。
「おらあああああああ!!!!!!」ビュンッッッ バシッ
「っ!? ……うう、膝を付いてしまいました。私の負けです」
「ははっ。やっぱタイマンまで持ち込めば勝てるな! ……で、どうするカガリ。混ざるか?」
えっ。……僕????? ちょ、ちょっと怖いような……
「でも、私たち多分あと2時間くらい騒がしくするから、1人で寝ようと思っても寝れないよ?」
わかんないけどそれ多分パワハラってやつでは!??!?
「C&Cなりの歓迎の仕方です♪」
dice1d100=35 (35) 戦闘ステータス(69)以下で成功
dice1d100=1 (1) 運動ステータス(67)以下で成功
dice1d100=29 (29) 精神力ステータス(79)以下で成功
- 46佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/08(木) 06:01:49
「うおおおおおおおおっ!!!!!!!」
わあああああああああ!!!!!!!
「うふっ、うふふふふ、ふふふふふふっ……♪」
「あははははははっ!!!!!!」
その時は完全に雰囲気に飲まれていたので、後から回想する形になる。結論から言うと、なぜか僕はかなり強く、搦手も込みでネルさんに2回くらい勝った。
肩に枕を載せたままタックルして大きく体勢を崩しに掛かる技……以降『ミサイル』と名付けられたこれをネルさん対策のために思いついて、1回はトキちゃんと挟み撃ちの時に、もう1回はタイマンの時に発射、運も味方して倒すことに成功した。枕投げとは一体。
「"重力変調"、だいぶ使い方に慣れてきたように見えますよ。良い傾向です」
「だよな。あたしから見ても既に基本は大丈夫だと思うぞ、燃費がどうかは知らねーけど」
慣れたっていうか、体重増やさないと一撃でぶっ飛ばされるから無理やりっていうか……カリンさんとかネルさんと違って、防御的に使うことしかできてないし。
「確かに、私の使い方とはかなり違う。でも、防御的だけじゃなかったはず……結局のところ、タックルに転用したわけだし。まさかそんなことをするとは思わなかった」
「カガリ先輩、手段を選びませんよね。そこだけは素直に尊敬しています」
そこだけってなんですかそこだけって!
「あははっ、楽しかったー! また一緒にやろうね、枕投げ!」
やってる時は生き残るのに精一杯だったけど、思い返してみると、みなさんがそれぞれ身に付けている"重力変調"の用法をいっぺんに知れたって意味で、すごく効果的なレッスンになっていた気がする。
その中から何か、自分に合ったスタイルが見つかりそうな……見つからなさそうな……考えながら寝床を整えて、歯を磨き、お布団にもぐり込むと、思いつくよりも先にこてんと寝てしまった。まあ、楽しかったし、いいか……
dice1d100=96 (96) 神秘ステータス(84)以下でなにかひらめく
- 47二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 10:04:20
枕投げ…?
まま楽しかったならよし! - 48二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 18:10:11
枕投げダイスは全成功だったのに
- 49二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 03:33:47
保守
- 50佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/09(金) 05:50:46
「……あー、なんだ。つい熱中しちまって、周り見えなくなってたけど」
「「「「………………」」」」
「部屋、ボロボロになったな。どうする? これ」
まさか枕でこうなるとは……
「……これは、弁償ですね。でも、説明の仕方次第では作戦行動中の事故だったということになって、代わりにセミナーがお金を出してくれるかも――」
申し訳ないですけど僕は正直に報告しますよ。
「冗談です♪」
「はい、飛鳥馬トキに考えがあります。よろしいでしょうか?」
「言ってみろ。微妙に嫌な予感するけど」
「とりあえず今日は、考えるのをやめて寝ませんか? この時間にオーナーさんを起こすのもなんだか忍びないですし、明日でいいことは明日やってもバチは当たらないかと」
「「「………………」」」
「……ん、採用! ってことで今日の活動は終わりだ、さっさとそれぞれ自分の布団に入ろうぜ」
割り切るの早すぎませんか!!?!?
「あははははっ、でも本当にいいアイデアかも! こうやって部屋の電気消したら……ほら! ぱっと見じゃぐちゃぐちゃだってわかんないよ!」
「……すまない、カガリ。C&Cって実はこういうところなんだ」
……真っ暗な部屋に目が慣れた後、各々が布団にもぐり込んでいく音も次第に止み、さっきまでの大騒ぎが嘘みたいに静かな空間が出来上がった。全員メンタル強すぎ。
まあ……寝るか。枕投げで興奮してすっかり目が冴えちゃってる。でも、頭の奥が重くて、深く眠れそうな感じはそのまま……
『■■■■■! ■■■■■■、■■■■■■■■■!!!』
声が聞こえる。音量を小さくしたテレビみたいに、何か喋ってるのは辛うじてわかっても、内容は全く聴き取れない……頭の中に夢がにじみ出ているようだった。それを聞こうとすると、勝手に意識が薄れて、向こう側に飛んでいく……
僕はこてんと眠りについた。 - 51佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/09(金) 06:09:04
目が覚めると、そこは映画館だった。
……なんで??????? よくわからないけど、今から映画を見るっていう状況だけは不思議と飲み込める。というか……それはもう目の前のスクリーンに映っている気がした。え、えーっと……映画の途中で寝ちゃってたっていうシチュエーション? 今の場面は……
『……待て』
『!? な、なんですか?』
『いいからあたしの顔を見ろ。……あのな、お前が何者なのかは知らねえが……いや待て、確か報告書に書いてあった、カガリじゃないなら……"Key"? そんな名前だった気がするな』
『……すごっ、もう気付くの? ……あ、ええと、我々はそのどっちでもないです。強いて言うならその2人の代理人として来たって感じ』
形式はPOV……映っているのは紛れもなくネルさんだった。視点主がぐるぐると見回す先には他のみなさんもいる……
っていうか、この視点主、僕か。つまり、現実世界の僕がどういう状況なのかを、夢の世界からこうやって見てるってこと?
そして……もしそうだとすると『これ』は、僕でもケイちゃんでもない、3人目の誰か? ……????????
「やはり、混乱しているようですね」
わ゛ーーーーーー!!!!!!! ……っあ、アリスちゃん?
「……よく見なさい。あなたまで忘れたとあっては今後のことがかなり面倒になります」
……!!!! ケイちゃん!!?!?? 生きてたんだね!!!!!!!
「まっ、纏わり付かないでくださいっ鬱陶しい……ええい離れなさい!!!」
ご、ごめん。でも、一応なんとかなってたみたいで……よかったなって……
「いえ、あなたが期待していた通りの結果とは限りませんが」
ピンと来ていない様子の僕を見て、「追々説明します」と顔をしかめるケイちゃん。溜め息を一つつくと、そのまま僕の席の隣に座った……敵意はないのかな? - 52二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 12:21:44
増えた…
- 53二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 18:35:16
ひょっとして前のカガリちゃん?
- 54二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 22:09:27
我々…?
- 55佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/10(土) 05:50:13
『いや、3人目ってことは十分ありえるぞ。オレの経験則になるけど、何かしら問題があるから二重人格なんて起こすわけで……問題を放置したままなら、新しいのが生えてくることはなんらおかしいことじゃない』
オーナーさんの説明を聞いて、朝ごはんを食べながらうーんと唸る一同。『僕』はというと、のんきなもので魚の骨取りに熱中していた。
「念のために言っておくと、あの説明は正しいものではありません。ですので、現時点で人格が3つ存在しているからと言って、あなたの精神に何か問題があるということでは……いえ、問題は大いにありますが」
そんなー!!!!!!
「こちらは大パニックだったんですよ。あなたはほんの一瞬魔が差した程度のつもりかもしれませんけど、今後ああいった自滅的なアイデアは思い浮かべることすらないよう努力してください」
ご、ごめん。心配してくれてるってこと?
「……まあ、一応は。記憶を失った今、いがみ合う道理もありませんし」
……記憶を失った?
「説明が煩雑ですが、概ねそういった状態になります。あなたと私は初対面である可能性の方が高い」
ケイちゃん本人であるとは限らないってことだろうか? ……いや、話してる感じ、どう考えても同一人物だけどな……と思う。見た目だってそう。この徹夜明けみたいな表情、冷たく感情的という矛盾を孕んだ口調、他者を寄せ付けない雰囲気……
「何か失礼なことを考えていませんか?」
うっ。ご、ごめんなさい……
「……人間の認知というものは、本人に都合が良いように幾らでも形を変えるもの。"ケイ"だか"Key"だか知りませんけど、私をそれに近しいと認識すること自体、あなたの願望が反映された結果かもしれないんですよ。ただでさえここは精神世界なのだから」 - 56佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/10(土) 06:24:14
「とにかく重要なのは、私の身に起こったことを主観的に述べると、『自分自身の経験記憶を全く持たない状態であなたの脳内に突然"発生"した』ことです。大きなショックを受けて事後的に記憶を失った結果かもしれませんし、あるいは私は本当に何も経験していない生まれたての赤子かもしれません」
……そっか。すいません1人で盛り上がっちゃって。
「"ケイ"についての顛末は聞きました。確かに私はそれに該当するかもしれませんが……今一つ感情移入できないというのが本音です。連中はそういうことにしたいみたいですけどね」
その、"連中"っていうのは?
「今まさに表に出ているアレのことです。まあ、諸事情で詳しい説明は硬く禁じられているので、これ以上のことは教えられませんが」
なにそれ……怖い……
「そうですよもっと怖がりなさい。危機感が足りません、いつもヒヤヒヤしながら見ているんですよこっちは」
……いつの間にか僕とケイちゃん(?)の間にポップコーンが生まれていて、もしゃもしゃと食べながら悪態をつかれる。
映画の方はというと……ひとまず、今の状態の僕のことは暫定的に安全とみなして、最終日のアクティビティ『山菜取り』に出発したみたいだった。良い意味で、誰も僕の異変のことは気にしていないみたいだったけど……トキちゃんだけは表情が少し硬い。いやいつも硬いんだけど、いつにも増して。
頻繁にスマートフォンを触って、何か文字も打ってる? ……あー、ヒマリさんに連絡してるのか。後で謝っておかないと……
「……"連中"、楽しそうですね。正直なところ事前に説明されたことは殆どが方便で、単純にあいつらが外で遊びたかっただけじゃないかと邪推しています」
あ、あいつらって……なんか言ってたの?
「昨日の晩、私があなたの軽はずみな思考に対して怒っていた時、『2人でちゃんと話して和解しろ』といった流れになり、それでこの状況が用意されました。別にもう怒ってませんし、和解しなければならないようなこともありませんが」
ええーーー。……でも、僕のことあんま好きではないんだよね、話聞いてる感じ。
「いいえ? わざわざ嫌うまでもありません……ただ、相応しくあるべき何かに相応しくない人間だ、と思ってはいますけど」
すっっっっごい厳しい。しかも何も言い返せない…… - 57二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 13:35:50
しんらつ~
- 58二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 19:44:00
楽しめてはいるならまぁ良かった…のか?
- 59二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 03:40:03
保守
- 60二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 11:59:52
思ったよりだいぶ面倒なことになってんなカガリの中身
- 61二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 18:38:40
どうなるかな…
- 62二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 00:18:44
保守
- 63佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/12(月) 05:07:34
……そ、それはそれとして! 和解っていうか、僕とキミが仲直りしたほうがいいっていうことだよね!
「たった今言ったことですが、怒ってもいなければ和解すべき事柄もありませんよ」
それでもだよ。例えば……僕がこれから気を付けるべきことってある? キミをこれから怒らせちゃいそうなことについて。
「その手の提案には乗りません。あなた、曖昧な誓いを立てさせたところで、必要になればすぐ反故にするでしょう」
……う、うーん。
「知っているんですよ、あなたが『約束』とか『反省』だとかを引き合いに出す時、"後で破ってしまったとしてもきちんと謝りさえすればそれでよい"と思っていること。何故なら、それらがあなたにとっては単なる交渉材料の一つでしかないからです」
………………
「わかったなら引き下がってください。脳裡を直接覗かせてもらった以上、あなた好みのやり方は私に一切通用しませんので――」
『カガリ先輩。聞こえていますか、カガリ先輩』
自分でも気づいていなかった図星を突かれて追い詰められていると、スクリーンからやけにハッキリした声が聞こえた。……トキちゃん?
『体質であることは重々承知です。しかし、ヒマリ部長から聞き及んだ話も勘定に加えると、カガリ先輩はいささか重要なイベントの最後を特異現象に上書きされすぎていると私は考えます』
『ト、トキ。そんなに顔を強く握ると痕が付くんじゃ……』
『……とにかく、可能であれば今すぐ戻ってきていただけませんか。個人の意見として、このままでは飛鳥馬トキにとって消化不良のままです』
『あー……もうちょっと素直に言ってもいいんじゃねえの?』
『遊び足りません。初日と2日目を様子見に費やした私にも責任の一端はあるかもしれませんが、それでも埋め合わせを要求します』
視線だけで、さっさと行ってあげなさい、とケイちゃん(?)に促される。意識を研ぎ澄ますと、トキちゃんにつままれている頬の痛さが、夢の中までも少し伝わってくるみたいだった……
dice1d100=58 (58) 精神力ステータス(79)以下で成功
dice1d100=88 (88) 交渉ステータス(91)以下で成功
- 64二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 08:06:45
やっぱちゃんと遊びたいよね
- 65二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 10:15:25
相変わらず自分のことになると、思考が止まって引き延ばしちゃうカガリちゃん……。
誰かのためになると思ったら怖いくらいに即決即断で行動するのとは対照的すぎる。
この考え方だと、何かの拍子に「自分がいなくなればいい」と考えちゃったら一瞬で消失しちゃいそうだ……。
助けてケイママ! - 66二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 18:55:06
保守ー
- 67二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 01:23:44
どっちも成功だ
- 68二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 08:03:16
保守
- 69二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 15:19:55
ケイちゃん世話焼きなのは変わらないんだな
- 70佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/13(火) 21:34:21
火災警報器がけたたましく鳴る。同時に、どこからかスプリンクラーの音が聞こえてきた……早くここを出なければならない。
「ああ、特異現象捜査部とかいうチームに対しては、どのように報告してくださっても構いませんので。それでは」
ケイちゃん、ゲームのアイデアって考えたことある?
「……は?」
いやー、そろそろ新作の構想出さないといけなくて。ケイちゃんなら良いネタ作ってくれそうだなと。
「ええと、話聞いてました? 私が"ケイ"であるかどうかは――」
でも、ケイちゃんじゃなかったら僕から分裂した人格ってことでしょ? なんというか……僕から分裂した人格にしては、要領良すぎない?
「普通そんなこと自分で言いますか!?? とにかく、早く目を覚ましなさい。あのトキとかいう後輩に悪いとは思わないのですか」
後で謝ればいいかなって。埋め合わせもするし!
「開き直りましたね……」
とにかく、今回も何の進展もないままお別れって、そりゃないよ。今度もこうやって夢に出てきてもらうとか、もしくは交換日記に応じてくれるとか……連絡の方法は無いよりも有るほうがいいでしょ。
「……明晰夢は脳の休息を妨げますから。交換日記も……今の私は、現実世界に痕跡を残すべき存在ではないでしょうし、障壁は数え切れません」
じゃあ、次はそれについて話し合おっか。交換日記でいい?
「あの、もしかして頭が悪いんですか?」
そうだよ! でも、なんとかして……なんとか、どうにかするから。その代わり、ゲームのアイデア聞かせてね!
「あ、待ちなさ……っ、いえ、もう良いです。 おやすみなさい」
シアターの出口に向かって階段を駆け上る。スプリンクラーが作った霧の中に飛び込み、足元を滑らせながら夢の融解に委ねる……きっと上手く行くだろう、という根拠のない自信だけを残して。 - 71二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 02:30:29
前向きの方が人生楽しいよ
- 72佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/14(水) 06:47:26
「おはようございます、カガリ先輩。ご気分は如何ですか?」
……お、おはよー。すいませんまた迷惑かけちゃって……
「特に問題ない、大人しいやつだったしな。ったく、どうなってんだこの頭の中は」ぐりぐり
あだだだだ……えっと、今どんな流れですか?
「今はたけのこが掘れるっていう場所に来たところ。着いてすぐ、アスナ先輩が1本目を」
「これこれ! ちょっと可愛いかも、いっぱい獲って並べてみたいな!」
「あー、今日と明日中に食べきれる分だけにしろよ。保存が効かなくてすーぐ変な味になるからこいつら」
声の方に目をやると、オーナーさんが地面にべったり座り込みながら、そこにあるであろうたけのこと格闘していた。ちょっと参考に見てみようかな……
「カガリ先輩、料理は出来ますか?」
ふぇ? お、お料理ですか……あんまりやったことない。なんで?
「ゲーム開発部の他のみなさんに、料理をするイメージがあまり無いので。であるならば炊事担当はカガリ先輩なのかと」
うーん、うち手作り料理あんまり食べないな。いつもデリバリーか学食……かろうじてコーヒー淹れるくらい。トキちゃんにも飲んでもらったことあったっけ。
「……"同じ釜の飯を食う"という言葉があります。食事を代表例として、共通の事柄を持ちながら生活した集団の間には強い絆が生まれる、という教訓が込められた慣用表現です」
そうだね。学食たべてると、ああ自分ミレニアム生なんだなーって感じするかも。
「ゲーム開発部と絆を深めるために、同じテーブルを囲んでカガリ先輩の作った料理を食べてみたい……と、わたくしトキは思いました」
……そ、そういうこと??? いやっ僕、料理あんま得意かどうかわかんないよ……??
「手始めに、そのための材料を今から協力して集めましょう。良い素材は良い料理の助けになりますので」
や、やる気満々。良いアイデアだとは思うけど……ちゃんと見ておかないとこの辺のたけのこ全部なくなりそう……
dice1d100=77 (77) 運動ステータス(67)以下で成功
dice1d100=45 (45) 掃除ステータス(94)以下で成功
- 73二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 12:21:10
トキがぐいぐい来る
- 74二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 19:48:04
メゾンドカガリになりつつあるカガリちゃんの頭の中。
夢を通じて、先生に核心部分伝えてるから、「我々」ちゃんも悪い子ではなさそうだけど……。 - 75二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 02:46:09
さっきは川魚で今度はたけのこかぁ
レジャーだね - 76佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/15(木) 02:56:26
「こーいうの慣れねえなぁ。1つ1つ地道に掘ってたら日が暮れるだろ、一気にズバッと引っこ抜かねえと」
「駄目だよリーダー、それだと柔らかいタケノコは千切れてしまう」
「アスナは意外とこういうのも好きかもー。上手く掘り出せたらやったーって気持ちになる!」
「気が長いってのはお前らの長所だな。あたしも見習わねえと」
うーん、ずっと俯いているせいで首がちょっと痛い。でも、それを忘れるくらいには没頭できる……木の葉の擦れる音、鳥たちの会話、湿った土の匂い、向こう側に川の流れ……自然と一体になってる感覚は、今日のこの時間が一番強いかも。
「カガリさん、捗っていますか?」
アカネさん! ……わ、わあ、けっこう採りましたね。
「どことなく不発弾処理に近い部分があり。熱中してしまいました♪」
「……確かに、似ているかもしれません。慎重さを要することも同じです」
そうかなぁ??
「それと……本日も雲行きが怪しいようで、もう1ヶ所回ったら引き上げだそうです。その後は室内で過ごすか、もしくは早めに荷物を纏めてお暇するかになります」
「む。そうですか……」
少しトーンの落ちた受け答え、名残惜しいって感じの顔。トキちゃんにもそういう感覚しっかりあるんだな……と思う。
「カガリ先輩、いま妙なことを考えていませんか?」
え゛っ!? ま、まあそうかも……なんでわかるの???つい最近も別の人に同じようなことを……
「思ったことはすぐ口に出すタイプの方ですので。それが人前で沈黙するのは、"口に出すべきではない"と判断した何かについて考えてらっしゃる時かと」
ぐう……そうかもしれない……
「ふふっ。あまり急いで攻略しすぎると、怖がられてしまうかもしれませんよ?」
「……そうですね。気を付けなければ」 - 77佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/15(木) 05:16:22
「最後の特訓のメニューを考え付きました。折角ですし、この場所が思い出に残るようなものにしましょう」
トキちゃんと顔を見合わせ、アカネさんの案に一時乗ってみる。特訓にうってつけの場所が少し奥の方にあるというので、歩いていく……
「……ここは?」
「沢、と呼ばれるのでしょうか。流れが緩やかで静かで、それでいて透き通った水が満ちている……初日に釣り場を探している時見つけまして」
すごく綺麗ですね!! でも、特訓って……泳いだりできるような深さでもないような。
「お手本を披露します。そうですね……この子なんか丁度良さそうです」
傅いて石を拾い上げるアカネさん。すっと息を呑むと、水面に向かって目を細め……ごく軽い力で、そこに向かって石を投げた。
水飛沫が眩く立つ。大きく、ゆっくりと……まるで王冠に似るように、次の瞬間には花が開くように……そして眠りにつくかのごとく沈んでいく。スーパースローのカメラで撮ったみたいな光景が目の前の現実に広がった。
「なるほど。これも"重力変調"の技術なのですね」
「はい。重力による影響が低減されたフィールドでは、液体の水が自由な動きをします……より長く、より質の高い展開を維持できれば、このような現象が証しとして現れるはずです」
な、なんだか難しそうですね。気張っていかないと……
「いえ、その逆です。私が知る限りですが、これらの超自然的な技術を扱うには、穏やかで調和の取れた精神状態が最も適しています。これら自然の美しさを味方に付け、必要な時に心を澄ませるコツを2人に掴んでいただきたい……というのが、この特訓の趣旨です」
dice5d100=16 32 58 28 11 (145) ダイス1つごとに神秘ステータス(84)の半分以下で1回成功
dice5d100=29 22 71 56 64 (242) ダイス1つごとに精神力ステータス(79)以下で1回成功
- 78二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 12:27:37
水切り合戦だ
- 79二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 20:12:31
はやめのほしゅー
- 80二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 00:59:29
わりと成功した?
水切り得意なのかなカガリちゃん - 81佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/16(金) 05:45:12
「……凄いですね。お二人にここまでの素質があったとは」
重力の影響を弱めると、液体の動きは宇宙空間のようになる! まるでラーメンスープの表面に浮かんだ油をくっつけるように(?)、空中になるべく大きな水のボールを作ろうと挑戦してみる……まあ、完全な無重力じゃないからいつかは落ちるんだけど。
細かいコントロールはまだ無理だとしても、手をさっと振ることで、念力っぽいものを帯状に広げることもできる、かも……いや、力って呼ぶには弱すぎる、そよ風くらいの勢いしか出ない、それに比べて……
「……おや。気を散らせてしまいましたか?」くるくる
いや、すっごい上手いなって。輪っかの形だけでも難しいのに、身体を囲うように作って、しかも自分の動きについてこさせるって……
「トキちゃんのコントロール技術は既に一級品ですよね。これでまともな訓練を受けたことがないと言うんですから驚きです」
「水滴の操作に関しては、カガリ先輩の領域に便乗しているだけです。私は普段通りのことをしているに過ぎません、このように――」
トキちゃんを囲う水のリングがぐっと傾くと、瞬きほどのスピードで急速に直径が小さくなる。まるで絞り出されるようにしてトキちゃんは斜め方向に飛び上がり、そのまま5mほど先の木に脚から衝突、鳥がびっくりして逃げていくくらい大きく揺らした。
……自分が練習している手品のようなこれと、C&Cが得意とする高速機動は、原理的に同じだってことをわかりやすく示された。けど、それでも同じことが出来るようになる気は全くしない。さ、先は長そう…… - 82佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/16(金) 06:05:55
特訓は続く。アカネさんの言う通り、"穏やかで調和の取れた精神状態"でいると、重力変調を使っていても疲れが溜まりにくく、不便を感じにくい……気がした。
感覚でしか表現できないけど、例えるなら、頭の中に『結び目』があるみたいなイメージ。緊張している時ほどきつく締まっていて、反対にリラックスしていると緩んでほどける。『結び目』の状態を確認するコツも覚えたから、逆にこれを見ることで自分の緊張とリラックスを客観視することもできそうだった。
「……そんなに見つめられても、今この場では何も面白いことはできませんが」
そ、そうじゃなくてね、……えーっと、トキちゃんって今、何かに怯えてたりする?
「? 妙なことを聞きますね。この飛鳥馬トキに恐れるものなどありません」
何の影響かわからないけど、集中力を高めて意識を広げると、他人の『結び目』の雰囲気も見えることに気付いた。そしてその次に気付いたのが、トキちゃんのそれが尋常じゃないほど厳しく締まっていること。
いや、この場にいる3人の間でしか比較できないから、実際どんな程度なのかはわからない。でも、アカネさんの結び目の様子を見ると、適度に締まってるけど必要に応じて緩めることも出来る感じだったっていうか、とにかくトキちゃんの様子は何かがおかしかった。
……そして、何よりも信じがたいのが、このガチガチの結び目を持ちながら、重力変調の強さと正確さはすごいって部分。僕のそれとは仕組みごと違うんだろうか? うーむ……
「カガリさん、どうかなさいましたか? 先ほどから苦悩の顔をされていますが」
アカネさん、訓練すこし中断していいですか。試したいことがあって……
「大丈夫ですよ。休憩は必要に応じてどんどん摂りましょう」
ありがとうございます。よし……トキちゃん! ちょっと瞑想みたいなことしてみよ!
「……瞑想、ですか?」
dice1d100=50 (50) 交渉ステータス(91)以下で成功
- 83佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/16(金) 06:19:03
――まず、自分と自分以外の境目をなくしてみよう。ちょっと難しいかもしれないけど……目を閉じてみて。
「………………」
ここに居ると色んな音が聴こえて、柔かい風が肌に触れて、草木や土の匂いもするよね。それに集中してみよう。
「……はい」
……そうやって集中していくと、自分自身のことが意識から消えていくはず。それはつまり、自分もそういう流れの一部……広がっている世界の中で、自分だけ違うんじゃなくて、同じものなんだっていう気付きになる、はず。
「………………」
時間はいくらでも使って大丈夫。とにかく、頭の奥から力を抜いて、具体的なことは何も考えてない状態であること。……できそう?
「わかり、ました……」
経験があるのですか? と、アカネさんから小声で聞かれる。ありません適当ですって返すと、なにか困ったように首をかしげられた。すいませんいつもこんな感じで。
そもそも、この『結び目理論』自体僕が勝手にでっち上げたもので、正しいものかどうかは全くわからなかった……だからこれは、トキちゃんに対する心配と個人的な検証を兼ねたもの。僕の予想が正しければ、これでトキちゃんを"穏やかで調和の取れた精神状態"に近付けられるはず……! - 84佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/16(金) 06:33:11
結論から言うと、予想は正しかった。なんだかんだトキちゃんはとても要領がよく、僕が曖昧に指示した『瞑想』のコツも早くに掴んでしまったみたいで……徐々に、まるで乾いたタオルが水を吸い込んで柔らかくなるように、結び目は緩んでいった。
どれくらい経っただろう? じっと様子を見ていると、不意にぱちりとトキちゃんの目が開いた。それと同時に結び目も元の状態に戻る。ただ、一度ほどけた姿を見たからか、同じ状態であっても以前のような硬さは感じなかった。
「おはようございます。……私、寝てなかったでしょうか」
おはよう、たぶん大丈夫だと思うよ! その……どんな感じだった?
「その……普段にはない経験でした。合宿に来ている今だからこそ出来たことでもあると思います」
「ふふっ。良いことですね、あとでみんなにも話してみましょう」
「……それと…………」
珍しく口ごもったので、ちょっと聞き出してみる。……出てきた言葉と、そこに連なる応答は、床が抜けるような、驚きの納得という奇妙な矛盾を僕に感じさせるものだった。
「先生と一緒にいる時の感覚を、思い出しました」
……せ、先生と? それってどういう?
「どういう、と聞かれても、難しいのですが……」
「……あらあら♪」
トキちゃんがそれを思い出している間、さっきまであれほど困難に感じていた結び目は、ヒントが見つかったかのごとく簡単に緩んでいくみたいだった。
……なるほど、先生との時間がトキちゃんにとってリラックスの機会なのか。じゃあ、僕が心配することなかったかもしれないな……
(好感度が相互に上昇します)
アカネ→カガリ 49+ dice1d6 +4
カガリ→アカネ 42+ dice1d6 +4
トキ→カガリ 62+ dice1d6=5 (5) +5
カガリ→トキ 61+ dice1d6=3 (3) +5
- 85佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/16(金) 06:40:01
(ダイスミス! ひさしぶりにやっちゃった)
アカネ→カガリ 49+ dice1d6=4 (4) +4
カガリ→アカネ 42+ dice1d6=1 (1) +4
(特訓の結果! 極端な状況を除き、特異性の発現をある程度コントロールできるようになりました 任意に発動する場合はその度ダイスをロールし、これまでの神秘ステータスに加えて精神力ロールも目安として参照することになります)
(重力変調として使う場合はさしたる問題は発生しませんが、『追跡を失敗させる』という当初からの特異性に手を出す場合に何が起きるかは未知数です 気を付けようねカガリちゃん)
(また、深く精神集中した時に限り、『結び目』のような形で周囲にいる人間の精神状態を測れる技能も習得しました)
(ぶっちゃけカガリちゃんはこれまでも顔色声色の情報から相手のメンタルを察したりしているので大筋への影響はないと思われますが、今後の演出で使われる可能性があります)
- 86佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/16(金) 06:42:06
- 87二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 10:06:06
なんか、詐欺師みたいな技能がガンガン上達していくな…
- 88二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 18:16:57
仲良くなれてるしなんか上手くもなったし万々歳や
- 89二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 23:59:09
かわいい
- 90二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 01:44:03
元々ミレニアムに違和感なく紛れ込んでアリス追っかけてた娘なんで……。
特異性もあったとはいえ、潜入どころか、初対面のミレニアム生に対して普通に話したり物の融通をしてもらったりしてたから、表面的なコミュ力はカンストしてると思われる。
ちょっと踏み込むとなると途端にボロが出てくるけども。 - 91佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/17(土) 05:31:23
「いやー急に降り始めるもんだ。まあ天気の問題だから俺から真剣に謝りはしねーけど一応すまん」
「お前ほんと良い根性してるよな」
みんなで帰ってきたコテージは、悪天候の空から落ちてくる青ざめた灰色で染まっていた。うす暗い……電気付けるほどじゃないけど。
どこか持て余している気分。早めに帰ってきちゃったし、とはいえ晩ご飯前に帰る予定だから待つ用事も何もないし、でも今から支度して早く帰っちゃうのは合宿の終わりが惜しい。アスナさんが「トランプやる? 持ってきてるよ!」と言って、じゃあそうしよっか、という流れになり――
「おい、お前。多分暇だろ、ちょっとツラ貸せ」
「う゛ぇ。オレ? な、なんでだよですか」
「お前もこれ以上あたしの相手して肝冷やしたくないだろ? 元の人格の方、呼び戻してこい」
「……えっ」
ネルさん!!?!? い、いいんですかそんなことして……あわわわわわ……
「別に痛いことするわけじゃない。それこそトランプ遊びでも一緒にしようってくらい」
「それは、構わないけど……どういう目的? リーダー」
「どういうって……まあ、あたしの勝手だよ。機会がありゃもっかい来たいくらいの良い場所だけど、オーナーとの会話があれっきりって、後腐れだろ? だから清算しておこう、ってだけだ」
……い、良い人。まるで普通のことみたいに言うのでびっくりしてしまう……みんなと顔を見合わせる。想像の外側にある良い回答をすっと持ってきてしまうネルさんの気質に驚かされているのは、全員同じみたいだった。
「な、なんだよ急に黙って。あたしなんか変なこと言ったか?」
「はぁーーー……わかった。後で向かわせるから、先に部屋戻っててくれ」 - 92佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/17(土) 05:51:59
「あっ、トキちゃんずるーい!!お布団敷いてる!!!」
「これで継戦能力2倍です。トランプゲームはその多くが頭脳戦ですので」
……こう見るとC&Cの中でもけっこうリラックスしてますねトキちゃん。というか……作戦中じゃない普通の時間で一緒にいる時、C&Cは全員がちゃんと気を緩められてるみたい。わかりづらいけど、ネルさんもそう。
すごく良いチームなんだなぁと感心してしまったが、僕はこの人たちがまるで気にも留めていないことがさっきから気になって仕方がなかった。ど、どうするのこれ。だってもうすぐオーナーさんがここに――
「っご、ごごご、ごめんなさい!!!!申し訳ありませんでした!!!!!」ガラララッ
わ゛ーーーー!!?!?
「あら、お久しぶりです♪ 積もる話もありますが、とりあえずこちらへ」
「は、はい…… !? へ、部屋がーーー!!!!ボロボロになってる!!!!!」
「ああ、そうだったな。……すまん。昨日はしゃぎすぎた」
「はしゃぐだけでこんなことになるんですか!!?!? ど、どうしようこれ、どうしようこれ……」
「あまり気を落とさないでください。生きていればそういうこともあります」
す、すいません……
「いやっっっっこちらこそ本当にとんだご迷惑を……えと、あ、あうあ……」
……おあいこってことにしませんか?
「それもどうかと思うけど……」 - 93二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 10:32:24
性格ホント違うな
面白い - 94二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 18:35:08
あっ部屋のこと忘れてたな…
まぁなんとかなるやろ - 95二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 23:10:30
C&Cがやたら施設壊す性質はここから培われたのか()
- 96佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/18(日) 05:52:31
dice1d100=58 (58) 精神力ステータス(79)以下で成功
いろいろあって……結局、C&C伝統の行事だといって最後にやった「逆立ち神経衰弱」が、全行程の中で最大の辛さだった。オーナーさんなんて一回人格ひっくり返ってたし(すぐ戻ったけど)。
「みなさん、そろそろ出発の時間ですよ。荷物を纏めてください」
「えー!!? もうちょっと駄目?」
「ま、まあ、うちもこれから予定あるわけじゃないので、そんなに急がなくてもだいじょぶですというか……」
「大丈夫、エージェントはいつでも時間を守るから。どうしても必要じゃない限り民間人に負担を及ぼすことはない」
カリンさんが言った通り、帰りの支度は物凄くスムーズに進んでいった。……同時に、辛うじてながらその速さに着いていけるようになった自分にも気付く。意外と身に付くものである……ちょっと自分に感心した。
「――エンジン、すぐ始動できます。忘れ物はありませんね」
大丈夫! ……えっと、改めてありがとうございました!! すごく充実した時間を過ごせました。また機会があればよろしくお願いします!
「は、はい! あの、その、なっなんて言えばいいか……ホント今回こんなことになると思ってなくて、とんだご無礼を、しかも3日中2日も天気悪かったし……」
「まだそれ言ってんのか。天気の問題は真剣に謝んなくていいって話だったろ」
「あう……そ、その……」
?
「あ、ありがとうございました!!!またお越しくださいませ!!!!」
「おう、スーパーのレジ店員みてえだな。またいつか」
駆動音が始まり、プロペラが風を切り、座標が縦に離れていく。それぞれの言い方で「またね」と手を振り、一直線にミレニアムへ飛ぶ……
とても良い合宿だった。得るものも多かったと思う! 採った山菜はどうやって使おうとか、ケイちゃんと日記でやり取りしなきゃとか、今回の経験はどうやってゲーム作りに反映できるかなとか……色々考えたいところだけど、余韻を楽しもうって気持ちが勝って、その時はぼーっとしていた。
- 97佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/18(日) 06:21:41
「――そういえば。結局、合宿中に緊急の呼び出しは無かった」
たしかに! ……そ、そんなにしょっちゅう緊急事態ってあるんですか?
「出動が必要になるケースとなるとそこまで頻繁ではありませんが、通常の連絡も入ってこない2日間というのは珍しいですね。一般事務の方や保安部のメンバーさんなどが気を遣ってくださったのやも」
「……もしくは、これもカガリ先輩の特異性が影響した結果かもしれません」
えええええ……だったら大変……
「カガリってすぐ嬉しがったり悲しがったりするよねー。性格なのかな」
「はははっ! 相当だぞ、よりにもよってアスナから感情の浮き沈みのこと指摘されるってのは」
(ステータス成長祭り! 密度の高い生活ともろもろの効果が複合してかなり伸びます)
戦闘 69+ dice3d4=1 4 3 (8)
技術 55+ dice2d4=4 4 (8)
運動 67+ dice3d4=3 2 3 (8)
交渉 91+ 1
神秘 84+ dice3d2=1 2 2 (5)
精神力 79+ dice4d2=1 2 2 1 (6)
- 98二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 10:58:08
やったぜ
- 99二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 11:22:52
戦闘77
技術63
運動75
交渉92
神秘89
精神力85
かなり上がったなぁ。凄いぞカガリちゃん! - 100二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 17:35:51
これはどこに出しても恥ずかしくないC&C
えっゲーム開発部なの? - 101二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 23:05:51
いい合宿だった
- 102二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 07:26:06
保守
- 103二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 13:03:54
お仲間との会話もあって実りの多い合宿だったな
- 104二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 23:02:58
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- 105幕間 ◆IEd0n050V225/05/20(火) 05:47:53
「……ところで、トキ」
「喧嘩ですか?」
「ちげーよ。……お前が居ないC&Cって、想像できるか」
「……想像というより、そうだった時期は実際に存在しますよね?」
「ああ。今だって、スケジュールの都合でお前抜きの任務に出向くことがある。慈愛の怪盗の時もそうだったか」
「はい……少なくとも今は、私が居ない間のC&Cを心配することは無いと思われます。少なくとも今は」
「なんか含みある言い方だな。ま、合理的に考えればあたしもそうだが」
「……合理的? それ以外の見解があるかのような表現です」
「あるぞ。アスナは『トキちゃん居ないと寂しいね』って言ってた」
「………………」
「ははっ、告げ口した甲斐があるリアクションだな」
「ネル先輩はどうなのですか?」
「あたしに限らず、全員何かしら思うところはあった。いる筈の人間が居ない状況ってのは、C&Cみてーに仕事としての繋がりを重視する集まりでも、少しは不足感を呼ぶらしい」
「人間とは不思議なものですね」
「間違いないな。で、本題はここからなんだが」
「?」
「ゲーム開発部。これからどうなるかわかるか?」
「……ああ。出発前に仰っていましたね……『あいつにとって、この合宿は終わった後の方がキツい』とかなんとか」
「よく覚えてたな。そういうことだ、暫くしたら茶化しに行ってこい」
「御意」 - 106佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/20(火) 06:09:43
……寮よりも先に部室に向かって歩いている自分に気付く。まあいいか。
というか、僕ってゲーム開発部に立ち入っていいんだろうか。必要な資格みたいなものがこの3日間で風に吹き飛ばされて無くなってるんじゃないかと不安になる、冬の屋外に放置してしまったマフラーみたいに。いや、大丈夫だいじょうぶ……
……なんて言って入ろうかな。ご迷惑をおかけしました? 自意識過剰ってやつだなこれ、じゃあ……お待たせしました? いやいや大スターじゃないんだから……そこ曲がったら部室だけど全然浮かばない、いいや、その場の流れで――
「……!!!!!」
!? っ、うわ゛あああああああああああ!!!!!!!!
「待ってくださいカガリ!!! ステイです!!!!」
角の向こう4mに天童アリス。咄嗟に踵を返し、なんで自分が逃げだしたのか全く理解しないまま壁に激突してひっくり返る。本当にすいませんという気持ちで起き上がると、ただでさえ反動でボソボソとしか声が出ない僕に向け、アリスちゃんは口の前で人差し指を立て、さらに静かにするよう要求した。
「……ひとまず。おかえりなさい、カガリ! 怪我はありませんでしたか?」
は、はい。おかげ様で。
「よかったです。……その、昨日くらいから、部室の雰囲気がおかしくなっていて。もしかしたら、今みんなに会いに行くのは、得策ではないかもしれません……」
……な、なんかあったの?
「アリスにもわかりません……ただ、ユズは以前から繊細な部分があるので――」
!! 待ってアリスちゃん、部室のドアっ……
「えっ?」
(誰でしょうか)
dice1d3=1 (1)
1.ユズ
2.モモイ
3.ミドリ
- 107佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/20(火) 06:30:41
……せ……背中曲がり過ぎじゃない?
アリスちゃんと視線でコミュニケーションを取る。多分だけど僕がすんごく嫌われてるとかそういうのでは無いと判断した、もしそうだったらアリスちゃんもっと手段選ばずに距離置かせるだろうし。そしたら……
とはいえ、隠れるのも変じゃない? と思い、堂々としていることにする。「大丈夫なんですか!?」みたいな顔で見られてるけどまあ大丈夫だってことにする。こっちから声掛けていいかわかんないな。じりじり近寄って、ひらひらと手振ってみりして――
「……?」
や、やっほ。ただいま戻りました。
「!!!!!!!!」ズダダダダダダ ギュッ
のわああああ!!? ど、どしたのユズちゃん???
「うう゛っ……ふ、ぐっ、んい゛……ごべんなざい゛……」
えええ???? だ、大丈夫だよ、何も謝ることないよ……ほんとにないよ……
「ん゛っ……う、うあ゛ああ゛あああ……」
軽く背中をさすりながら、気持ち程度に物陰へ隠れ、落ち着くのを待つ。こ、こういう時どうすればいいのかわからない! なんとなく赤ちゃんをあやす時みたいな感じになってしまう。よくない気もするけどこれ以外のことができない。
で、何があったのか聞いてみる。つっかえつっかえだけど、アリスちゃんの助けもあり、話してくれた内容が……
「い、いない間に……もう帰ってきてくれないんじゃ、ないか、って……わ、わたっ、わたしの、人間的に、問題があるところとか、気付いて……」
……???????
「……ユズが、自分のどんなところを"人間的に問題がある"と言っているのか、カガリならわかりますか?」
ごめん、わかんない。思いつかないし……もし何かあるとしても僕のほうがひどいと思う。
「アリスもそう思います。聞いても、ハッキリしたことは教えてくれないんです……」
もしかしたらあまり聞くべきではなかったかもしれません、と続けるアリスちゃん。
……ユズちゃんの、自分に自信がない部分の根っこなのかもしれない。理屈じゃなく、そういうものとして受け入れるほかに無いような気がした。 - 108二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 12:18:29
運動ターン終わったから会話ターンだな
- 109二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 19:44:20
鍛え上げた話術の使いどころだぞカガリちゃん
- 110二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 01:50:55
がんばれカガリちゃん
- 111二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 20:13:24
このレスは削除されています
- 112二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 02:03:58
ほしゅー
- 113佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/22(木) 06:50:26
(えースレ主です ロールバック受けてますね!!!! ということで完全に記憶を頼りにもう一度同じっぽい文面を書こうと思います……かなり思い出せないので内容変わってると思いますすいません……)
- 114佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/22(木) 06:55:52
「いやー、とりあえずおかえりなさいです。こっちも色々あったよ」
いそいそと部室に入ると、ミドリちゃんがたった一目で何があったかを察したのか、ちょっと休もうと言って寝室のほうにユズちゃんを連れて行った。
モモイちゃんがべしっと置いた座布団に腰掛け、一息……うん、やっぱりゲーム開発部は僕にとって気持ちが落ち着く場所だ。結び目がほどけていくのを感じます。
「ユズはねーーーー……私たち姉妹が初めて会った時も一回泣き出しちゃったことあったっけ。初めてっていうか2回目の時か」
に、にかいめ? どういうこと?
「悪い方に想像しちゃうっていうのかな。自分にとってハッピーとかラッキーなことがあると、後になってから、そういうの全部無かったことになるんじゃないかって怖くなる……みたいな。私たちの時のそれとピッタリ同じかはわかんないけど」
……なんとなくわかるかも。傷の多い子ってのは……
「それで言うとカガリ先輩の存在ありがたいよねー。ほら、甘えられる相手っていたほうがいいでしょ? 私たちも友達だけどさ、甘えるってのとはちょっと違う関係性だし」
甘える、かぁ。上手くその役割できるかな僕。
「包容力って理屈じゃなくてオーラだから。私の目算だとカガリ先輩かなり良い線行ってるよ、コンディション次第ではアカネ先輩にも並ぶかも!」
な、なるほど。がんばります!
「……ユズにとっては、急にいなくなっちゃったっていうのが大きかったのかもね。体質のこととかと関係あるっぽいし仕方ないんだろうけど」
あ、あれ。追求されたら全部話すつもりで準備してたけど、来ないな……踏み入らないようにしてくれてるの? 優し。
……そっか、僕が思ってる以上に、僕ってゲーム開発部に馴染んでたんだな……責任感が芽生えるのを感じた。これは大事にしよう。 - 115佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/22(木) 07:38:01
「そう、聞いてよ!! カガリ先輩いない間ゲームジャム参加してたんだけどさ、ミドリがすっごい厳しくてさ、すんごい細かく私の進捗確認してきてたの!!!」
……えっ、いつものことでは?
「それはそうなんですけど。なんといいますか……普段のミドリって、私が進捗遅らせてる時、もーまたお姉ちゃん進んでないの? 普段からこまめに取り組まないからだよ! めっ!☆……って感じじゃん」
そ、そうですね。そんなにキラキラしてないけど。
「昨日までのミドリは、……そう、進んでないんだ。提出期限がいつまでかはわかってる? 頼むから遅れないように……遅れそうだったら自分で工数減らして間に合わせてね。……みたいな感じ」
たしかに、僕が知ってるミドリちゃんじゃないかも。なんで??
「うーん、人手減ってたからいつもよりギリギリだったし、ユズも調子悪かったしで、焦ってたんだろうなって。だから私めっちゃ頑張って間埋めたよ、勝算に値するくらい頑張りました」
おおお!! すごいモモイちゃん!!!
「ふふん。ゲームジャムもちゃんと間に合ったし、これにて一件落着! ……ってしてもよかったんだけど、姉としてはちょっと妹のことが気懸かりといいますか」
わかった、僕からもミドリちゃんと話してみる。それとなく。
「話が早い! いつもありがとう!」 - 116佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/22(木) 08:26:56
「それは……っ、仕方なかったんです! お姉ちゃん、どれくらいまでなら甘やかしていいのかわかり辛いし」
……急に空けちゃってごめん、モモイちゃんから聞いたけどいろいろ大変だったみたいだね、大丈夫だった? と軽めに聞いただけの筈が、3手くらい先の答えが返ってくる。『モモイちゃんから聞いた』ってところに反応しちゃったんだろうか。
「す、すいません。変なことを」
だいじょぶだよ!! その……結構キツかったのは想像できるから。おつかれさまです。
「……でも、どうせ辛いなら雰囲気だけでもよくすべきだったなって、今になって思ったり」
うーむ、真面目。でも実際、締めるところは締めないと間に合わなかっただろうし、自分を責めなくていいんじゃ、って僕は思うけど……
「コミュニケーションが上手く行くかと、工数が間に合うかどうかは、別の問題ですし。コミュニケーションの部分が……自分で思ってるよりも、カガリ先輩に頼りっきりだったなってのを実感しました」
そうかな。うちの制作回ってるの、どう少なく見積もっても半分はミドリちゃんのお陰だろうし……というか、僕がいない時はほとんど1人で回してたんでしょ?
「……自分の中で、そういう能力が衰えてたんだと思います。イラストとかCGとか、自分のタスクが円滑になった代償として」
あーーーーーー。確かに、自分のお仕事に集中したい時は、周りのこと気にするのしんどいよね……
「メンタルの許容量を増やしてどっちも両立できるようにしたり、必要に応じてソロとマルチの配合を変えられるようになるのが、プロとしては大事なのかな、って今思いました」
……ミドリちゃん、よくこういう話僕にしてくれるよね。なんで?
「……な、なんでってなんですか? どういう意図の質問ですか?」
僕、ミドリちゃんにあんまり好かれてないイメージがあるんだけど。
「………………」ワナワナ
えっ、そ、そんなに頭抱えさせるようなこと言いましたか僕……
「言いました。そういうところは嫌いです。いや、嫌いというか、意味がわかりません」
えええええ!!?!??
「それなりに一緒に居たらわかるようになるかなって思ってたけど全然無理でした」
そんなぁーーーー……
(しかし好感度は相互に上昇します)
カガリ→ミドリ 80+dice1d3=3 (3)
ミドリ→カガリ 77+dice1d6=1 (1)
- 117二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 12:35:06
仲良くはなったけどミドリにとって謎の先輩度が増したな
- 118二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 19:26:01
復帰感謝
- 119二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 02:37:03
一度人が増えたパターンになったら元に戻すのも一苦労よな
- 120二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 10:35:22
保守
- 121二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 17:12:02
このミドリとカガリのわりとズケズケ言える関係好き
- 122二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 00:44:17
保守
- 123佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/24(土) 06:50:31
少し奥を覗くと、ユズちゃんがすやすやと眠りに就いていた。いわく最近は寝不足だったらしい。そのままにしてあげよっか、と話していると、アリスちゃんが静かに扉から顔を出して手招きを……
「ということで飛鳥馬トキお邪魔しています」ピースピース
どういうことで???
「あれ? トキはカガリと約束があると言っていましたが」
……あーーーーーーー。そ、そうだった。
「今すぐでなくても。モモイから勧められたゲームが中々興味深く……」
「さっき言ったゲームジャムで作ったやつ! カガリ先輩にもやってもらおうかなって思ってたんだけど、やっぱちょっとこの人には早いかなってのもあって……だからとりあえずトキに」
え、どういうこと。操作が難しいの?
「いや、お話がちょっとややこしいんです。SFだし、お姉ちゃんの趣味が反映されてちょっと抽象的なセリフも多めっていうか」
ヒマリ先輩から勧められた読み物そこそこちゃんと読めてるし、大丈夫だと思うよ! と大見得を切ってみる。みんなが作ったものなら触ってみたいし。
タイトルは『Curfew Minutes』。ミドリちゃんの説明によるとジャンルは『時間制限付きADV』で、『近未来、巨大な資本による買収を受け、日付変更を以ってのサービス停止と全員強制ログアウト措置を目前に控えたバーチャル空間で、猫耳美少女型初期アバターを使う謎のユーザー"ñ村(えにぇむら)"との最後の30分間を過ごす』みたいな触れ込みで……う、うーん……???
dice1d100=41 (41) 創作ステータス(88)以下で成功 大筋がわかる
dice3d100=14 81 83 (178) ダイス1つごとに知性ステータス(25)以下で1回成功
- 124佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/24(土) 07:24:55
……う、うーん。モモイちゃんらしいなぁ……
プレイヤーが出来るのは、少ない時間を使ってどの場所に行くか決めることと、会話の中で3択の回答から1つ選ぶこと。ストーリー上重要なのはñ村との会話内容で……それを読める条件が、『好感度が上がった時』、『好感度が上がらなかった時』、それと『特定の条件を満たした時』の3つに分けられる。何周かしてこれら全部を確認しないと、ñ村が主張する物事の全体像は見えてこない、っぽい。
そこまでわかったんだけど、これは、しかし……
「……その、アリスには少し難しくてよくわかりませんでしたが、これもゲームの在り方の一つだと思っています」
「いや、私はちゃんと言いました。こんなに何も腑に落ちない造りのストーリー出していいのかって」
「ゲームジャムだしたまにはこういうのも出していいかもね~って話で落ち着いたところまでちゃんと話して!!!」
あはは……ま、まあ、難しいのは本当だね……
「私は好きですよ、こういったもの。難儀な人物と話している時の、ただ独り言を浴びせられるような感覚が、上手く追体験できます」
「これはトキさんが凄いだけだよ」
「そっ、それはそうだけどさ! じゃあカガリ先輩はどう、どういう話だと思った!?」
「確かに、カガリの意見も気になります。聞かせてほしいです」
え、えー。人読みでいい? モモイちゃんの著作って前提で。
「……いいよ? どんと来い」
……条件が違う会話を連続で見ちゃうと前後が噛み合わなかったり、そうでなくともよく話が飛ぶんだけど……基本的には全編通して、人間の孤独と、それを癒すためにみんなどうしてるのか、どうするべきか、っていう話をしてる、気がする。
「「「「………………」」」」
その問いかけの答えが何かっていうと、全部は見れてないけど、たぶん作中には無い。というかモモイちゃんが『プレイした人がそれぞれ自分で考えてね』って落としどころにしたんだと思ってる。どう?
「どうなの、お姉ちゃん」
「完敗です……」
「カンカンカン! 勝者、カガリ!」
腕を掲げさせられ、トキちゃんから拍手が飛んでくる。いや勝ち負けとかじゃなくない??? でもモモイちゃんは地に突っ伏してるし、ミドリちゃんが「駄目だよお姉ちゃんしっかり中身伴わないと」って追い打ちしてた。あ、相変わらず容赦がない……
(知性ステータスが微増します!)
25 +1 - 125二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 15:58:14
容赦ない
- 126二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 23:53:43
ウッ…こっちの胸も痛い…
- 127二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 05:15:13
早めのほす
- 128佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/25(日) 06:18:08
「……お、おはよう。ごめんみんな、寝ちゃってた……」ガチャ
「む。おはようございます、体調に問題はありませんか」
「……トキさん? 体調は、大丈夫ですけど」
「何よりです。では向かいましょう、キッチンの予約は既に取ってありますので」
待って待ってトキちゃん、まだみんなに何も説明してなくない???
「そうでした。わたくし飛鳥馬トキはゲーム開発部との間に個人的な絆を深めたいと思っており、その手段として合宿先から持ち帰ってきた山菜を使って料理を作成、それを一緒に食べることで『同じ釜の飯を食う』という古来からの条件を達成しようと考えました。説明終了、出発します」
トキちゃん!!?
「ほへー、面白そう! やってみよっか」
「これまた突然……まあトキさんはいつものことだけど」
「お料理クエストですね。アリスも参加させてください!」
「わっ、私も行きます!!!」
わちゃわちゃと全員が部室から出る……気付けば僕は最後尾だった。みんな受け入れるの早いね!?もう既に絆けっこう深いのでは!?
にしてもトキちゃん、かなり張り切ってるな。……張り切ってるってわかるようになったのも合宿の成果かも? 『表情が薄いけど情動は大きい人物』という情報がそうさせるのか、初対面の時と比べるとすごく賑やかな子に見えた。 - 129佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/25(日) 07:04:17
「ここがキッチンです。念の為今日いっぱいまで使えるよう申請しておきました」
ひろーい!とモモイちゃんが言う。確かに広いし、それだけじゃなく色んなスケールが大きかった。
たとえば換気扇、窓みたいな大きさのものが2つ連なってる。動かしたらすごい音しそう。中央に目をやれば、いわゆるIHっていうやつが複数並んでいる一方、その隣には中華料理屋さんとかで使うような禍々しい形状のコンロが番人のごとく2つ佇んでいる。冷蔵庫エリアの圧迫感もすごい。1個あれば充分なサイズのものが3個、その横には『極低温』と記された物々しい機体も……情報量が多い……!!
「して、カガリ先輩。メニューは何にしますか?」
え、僕が決めるの??
「普段からゲーム開発部の台所を司っているという情報が入っています」
「……まあ、そうだね。誰かって聞かれたら私もカガリ先輩って答えますし」
「時としてキャラクターのジョブは合理性でなくイメージで決められることもあります!」
そ、そっかぁ。何にしよっかなー……ちょっと持ってきた山菜見てみない?
「はい。タケノコ、ふき、たらの芽、ゼンマイ、むかご……たらの芽が少し多いでしょうか」
……炊き込みご飯、とか。
「おおっ!」
調味料だいたいあるっぽいし……たらの芽余りそうな分は、なんか、天ぷらとかにしよう。
「名案です。次は追加で買うべき食材を考えましょう」
「……こ、このタブレット、『冷蔵庫の中身リスト』みたいです。いくつかはここから自由に使っていいって」
助かるー! えっと調味料はたぶん必要な分あって……お米結構あるし貰っちゃおうか。あ、人参も! あとは……
「……キノコとか、お肉とかが無い? かもしれません」
「なるほど。ひとまずそれで構いませんか?」ガラッ
「?!!? ちょっ、何してんの!!!」
何もおかしいことではないかのように懐から靴を取り出して履き、開いた窓に脚をかけるトキちゃん。……ここ4階ですが。けっこう存在感ある風が入ってくるくらいの高所。
「9……いえ、7分で戻ります。他に必要なものがあれば追ってご連絡ください。それでは」シュバッ
「行ったーーーー!!!!!!」
……こ、こっちはこっちで準備しよっか。うん。 - 130佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/25(日) 07:18:41
「えー、まず何をすればいいんだろう。ご飯炊くところから?」
「炊き込みご飯だからそれ最後だよお姉ちゃん」
「いっけね」
材料切ろうか! 結構量あるし、みんなで……
「か、カガリ先輩。山菜って、アク抜きしなくて大丈夫ですか……?」
あっ。あーーー……どうだっけ……????
「むむむ……こういう時は賢者の知恵を借りましょう。神器召喚!」
「で、出た! アリスちゃんの『わからないことはすぐちゃんと検索』!」
一番大事なやつだ!!
「……おそらくアク抜きはゼンマイだけです! たらの芽は別で下処理が必要かもしれません」シュバババ
「アリスの検索はすごく早いんだよ。真の意味でのデジタルネイティブっ子なだけある」
(上手く調理を進められるでしょうか)
dice5d100=39 97 19 56 91 (302) ダイス1つごとに技術ステータス(63)以下で1回成功
dice1d100=11 (11) 目安は精神力ステータス(85)
- 131二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 10:26:22
デジタル生まれプログラム育ち
- 132二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 12:09:18
本当になじんだなぁ、ほっこりする
- 133二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 17:29:56
保守
- 134二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 00:19:48
うーん微妙なダイス
不味くはならないかな? - 135佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/26(月) 06:39:20
よくよく調べてみて、実は一晩掛かるのが普通だということがわかったアク抜き作業を、さらに調べて見つけた時短技の重ね掛けでどうにか超速で済んでくれるように祈りつつ、次の仕事。
本当はみんなで取り掛かるつもりだったけど、お米が無洗米じゃなく研ぐ必要あるやつだったのもあり、なんやかんや僕とユズちゃんで具材を切り分けることに。……気を遣ってくれたのかも。
「え、と……どれくらいの大きさに切れば……」
ユズちゃんが食べやすいくらいでいいんじゃない? それに合わせるよ。
「は、はい。じゃあ、このくらいで……」
……手先は器用なんだけど、なんというか緊張してるようで、前のめりになってぷるぷる震えていた。だ、大丈夫? こういう時ってどれくらいまでのボディタッチなら怖がられないでしょうか。刃物使ってると尚のこと危ないし……
「こういう感じ、かな? 大きさは均等にして……」
ちょっ、ちょっと失礼するね。負担掛かってるの、まな板が遠いせいかも……
「ひゃっ!?」
ごごごごごごめん。その……ちゃんと見てるから、安心してね! みたいな感じといいますか……
「……わ、わかりました。ありがとうございます」
消え入るような声。う、上手く行かなかった気がする! でも、とりあえずはちゃんと出来てるっぽいし、大丈夫かな……
「あの……カガリ先輩。話してみたいテーマがあるんですけど」
てーま? いいよ、なんでも聞いて!
「……普通に生きてて、寂しくなった時って、どうすればいいのかな、って」
……え゛っ。 - 136佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/26(月) 07:04:57
「そ、その、今のわたし、孤独とは無縁だと思うんです。部長やってて、部員が4人もいてくれて……先輩方から気に掛けてもらうこともたくさんあって」
そう、だね。……いや、うーん。そうかなぁ?
「……はい。それでも、不安になること、たまにあって……なんで不安なのか考えてみると、自信がないのもそうだけど、なぜかはわからないんですけど……わけもなく、寂しい、みたいな」
それは、さっきのゲームを作ってる時にも思った?
「そうなんです、それで話してみたくなって」
うーん……
「……やっぱり、変だなって。もう、これ以上ないくらい、たくさん貰ってるのに……」
具材のカットは淡々と進んでいく。考えようと思えば、いつまででも考えてしまえそうだけど……なんとなく、これが全て終わる前には結論が出るように、僕の頭が急いでいる気がした。
今から話すのは、けっこう悲しい考え方だけど……
「?」
永遠のものって、滅多に無いよね。誰しもいつかは死ぬし。そうでなくても、どんなに大事だった人でも、喧嘩すらしないまま二度と会わなくなることだってあるし。
「……そうですね。そう考えると、この不安も……変なことじゃない、のかな」
それだけ深く愛してるってことで、それだけ深く愛されてるってこと、じゃないかな。……なんか変な言い方になっちゃった。
「もしかして、こういう話、他の誰かともしたことありますか?」
……鋭いね。あるよ、結構最近かな。
「アリスちゃんですか?」
………………それ心臓に悪いって。
「ご、ごめんなさい。なんとなく、そうかなって……」 - 137二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 12:28:43
カガリの話題=アリスなところあるしな…
- 138佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/26(月) 12:52:10
「アリスちゃんには、どんなことを話したんですか? あ、その、無理に聞こうってわけでは」
……『無くなる心配』に対して、自分から出来ることが『祈る』くらいしかないとしても、普段からそういう祈りをたくさん重ねておこう、みたいな。そうすることで、何かが良くなるんじゃないかと……思ったり。
「ふふっ。カガリ先輩らしいですね」
そう、僕って、すごく優しかったり、すごく力になるようなことは言えないんだよね……先生なら言えるのかもしれないけど……
「でも、アリスちゃんの考え方には上手く当てはまるアドバイスだと思います。あの子、信心深いから」
ユズちゃんに当てはまるかもしれないのも、今思いついたよ。聞いてくれる?
「!? は、はい」
……まず、良い心がけで関わる限り、人は互いに良い影響を及ぼすと思う。僕もみんなに会ってからすごく変わったし。
「そう、ですね。明るくなったと思います」
だから、それと同じ感じで、僕からも……僕とユズちゃんがいつか離れ離れになるその時までに、ユズちゃんの心配にとって答えになるような、そういう影響を及ぼせるように、頑張る。
「………………」
「……ええと、これはいつになったら入ってもよいのでしょうか」ひょこっ
わ゛ーーーー!!?!??!!??
「ひいっ!!?」
……ま、窓の外にトキちゃん。買い物が終わったらしい。
現実に戻ってくると、僕たちの背後でモモイちゃんとミドリちゃんとアリスちゃんがこっちに聞き耳を立てていた。「最終決戦の前のような良い会話でした!」と褒められたが、余計に気恥ずかしかった……
(好感度が相互に上昇します)
カガリ→ユズ 76 +dice1d4=2 (2)
ユズ→カガリ 97 +1
- 139二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 19:09:36
まるで最終回一話前だよ
- 140二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 03:19:30
見てるぶんんいには楽しそう
- 141二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 08:24:43
青春~
- 142二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 14:16:42
仲が良いのは良いことよ
- 143二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 22:13:04
保守
- 144二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 06:58:26
このレスは削除されています
- 145二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 08:10:38
こういう答えの出ない悩みに対して真剣に一緒に悩んで、考えて、今までの人との関わりで培った経験から自分の考えを相手に伝えることができることはカガリの長所だよな
- 146佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/28(水) 10:47:40
「思えば以前、ミドリが言っているのを聞いたことがあるかもしれません。佐藤カガリは頻繁に人のことを口説くと」
「言ったっけ……まあ、そうですね。踏み入ってくる人だと思います、本当に」
「そんな悪しざまに言わなくてもいいのでは??? いや言ってることはわかるよ、確かになんか十年来の親友とかでも中々言葉にできないようなことをスッと口から出してのけるけど」
「このままだとさ、特にピュアな人は簡単に篭絡されちゃわない? 大丈夫なのアリスちゃんは」
「あ、アリスですか? カガリのことは……すごく頼れる仲間で、良い友人で、信じられる相手だと思っていますが」
「ああー……もう遅かったか……」
……鶏肉も人参も含めて具材の切り分けが終わり、炊飯器に入れてスイッチまで押したので、僕はいま天ぷらの衣を練っています。横からぼろっぼろに言われながら(主にミドリちゃん)。
「……カガリ先輩の問題って、『言うだけタダ』みたいに思ってそうなところなんですよね。そこのところどうなんですか」
ええっ。……ま、まあ……そんな乱暴なつもりではなかったけど、実際タダじゃない?
「普通これ肯定する????」
「たぶんこの人って、恥ずかしいっていう感情がない……いや、あるんだけど、言うのやめる程のパワーじゃなくて。だから一見ものすごくデリカシーが無い人みたいになる」
そうかなぁ……そうかも……
「……現に、ユズは先程の会話を受けて機能停止してしまいましたし」
「」
それはごめん……
「確かに、カガリの言動には奇妙な部分が多いかもしれません。ミドリの言っていることが正しいなら、恋愛シミュレーションに出てくる鈍感系主人公の、より悪質な亜種みたいな感じでしょうか」
ぐっ……で、でも、普段わざわざ言ってないだけで、ミドリちゃんだってモモイちゃんのこと大好きでしょ? トキちゃんもネルさんのことちゃんと尊敬してるし。僕にとってはそれと同じことだよ。
「…………!?」
「うおう、急に周りごとぶっ刺してきたな」
「ね、危険なんだってこの人」
ひーん…… - 147二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 18:40:23
死なば諸とも!
- 148二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 20:35:22
つよい
- 149二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 04:20:20
好きって直球で言えるのはずるいのよ
- 150二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 10:09:38
保守
- 151二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 18:17:31
ユズが死んだ!この人でなし!
逆だけど - 152二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 03:51:56
このレスは削除されています
- 153佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/30(金) 07:02:21
「――えっ、それ大丈夫? 入れた瞬間爆発したりとかしない?」
い、いけるんじゃない? 油そんなに熱すぎないと思うし……
「天ぷらやったことあるんですか?」
無いよ!完全にこれが初めて!
「面白いことになりそうですね。カメラを回しておきます」
「儀式のクライマックスです! 油の神様は捧げものを喜んで受け取ってくれるでしょうか……!」
衣のたっぷりついたタラの芽をおそるおそる箸先に掴む。息を整えて、静かにそして迅速に油へ投入!
じゅわあ~~~~~~ぱちぱちぱちぱちぱち。……う、上手く行った? 少なくとも大爆発はなくて、それに似たような破局も起こらなさそうだった。みんなの間からゆっくりと歓声が上がり、なんだか勢い付いてきたので、2つ目3つ目と油に沈めていく……
「すごーい、おいしそうな匂いしてきた! ってかカガリ先輩揚げ物つくってるの似合うね!」
「色合いが似ているからではありませんか?」
「ちょっと否めないなぁ……」
「お料理作戦、大成功ですね! 食べるのが楽しみです!」
「……あの、動きが固まってしまいましたが、どうされましたか。カメラ越しに見ると猫のようですよ」
トキちゃんに指摘されてはっとする。火を使っている時だってのにぼーっとしてしまった、自分でもなぜかわからない……
で、でも、なんか、そわそわする。例えるなら電話がりんりんと鳴ってるのに出れない感じ。さっきから頭の中に、そんなこと気にしてどうするんだっていうことが降り積もっている……ど、どうしよう。 - 154佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/30(金) 07:28:28
「……え、えっと。天ぷら、代わりますか? 他にしたいことがあるんじゃ」
「おわっ、ユズ生き返ってる! したいことって……え、なんかあるの?」
……ある、かも! ありがとうユズちゃんあとよろしく!!!
「はいっ!」
なんで名乗り出てくれたのかも、なんでお願いしたのかもハッキリわかってないけど、直感を優先することにした。……やっぱりユズちゃん、エスパーなのでは?
それはともかく。まず一番に確認したかったのが……タブレット! さっき冷蔵庫の中身一覧を見ていた時、『りんご』って記載があったのをふと思い出した。どこにあるんだろう? 見てみると……左から2番目の野菜室。ホントだあった! ええと、あとは……
「りんご3つと……お砂糖?」
そう。これと……あ、水道水じゃないお水……
「でしたらウォーターサーバーがそちらに」
ありがと! えーと……でも、りんごカットするのが先かな。いいや、皮ごとで……
「な、なんか新しく1品作ろうとしてる!?」
炊き込みご飯と天ぷらに相性が良いかっていうと、全然だと思う。じゃあ、なぜ急にこんなことを? ……身体を動かしていて、自分の行動の意味が遅れてやってきた。これは記憶だ。教わった何かを思い出そうとしている。
そうだ、これもさっき目に留まったんだった。棚の中から、直径高さともに申し分ない大きさの瓶を取り出す……軽く中身をすすいでおく。
りんごも同様に洗い、切り分けて瓶の中に入れていく。情報がまた頭の中まで引っ込まないように、テキパキと進める……全部入れ終わったら、中身が全部浸かる様に水を張る。そして。そして…… - 155回想 ◆IEd0n050V225/05/30(金) 07:47:26
「これで、完成だよ。後は好きな時に蓋を開けて食べるだけ」
お砂糖、あんまり入れないんですね。10分の1くらい……?
「そうだね。あんまり入れすぎると、発酵してアルコールの匂いがしちゃうし……ま、それも捉えようによっては美味しいから」
駄目ですよ!!!!!
「あははっ、わかってるって。みんなで食べるものだし、変なことはしないように気を付けてる」
もーーーー……
「真面目だねえ、カガリさんは」
……そうかなぁ。ここに送られた以上は、事務局からしたら真面目じゃないって意味になるんじゃないかと……
「うちの政治と行政については、深く考えても仕方ないことだよ。なんとなくわかってるだろうけど」
……まあ、はい。
「それに、性格とか気質がどんな人でも、ここでは仲良くできると思うんだ。だってさ、こんなところまで来た人間同士でいがみ合いなんて、ジョークでも面白くないでしょ?」
………………
「理由はもう一個あって。『同じ釜の飯を食う』、じゃないけど……同じ生活って、心を近づけてくれるよ。そのせいで喧嘩だってしちゃうかもしれないけどね」
……間宵シグレさんは、それまでに見たどの人間よりも寛容だった。これほど厳しい環境にあって、他人にも自分にも大らかな心を持ち続けてるってことに、何か特別な悟りのようなものを感じる。
ごちそうしてくれた『カンポット』の甘い味覚は、月影と雪明りで黒く輝いてみえるその黄金色も含めて、僕の記憶に濃く焼き付いた。 - 156佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/05/30(金) 07:54:45
……ぴー、ぴー、ぴー、ぴー。電子音で我に返る。……ああっ、ご飯炊けたのか。
「てっ、天ぷらも揚がりました! 火は止めて、今は油を切ってます……!」
「……な、何が起こったのか、アリスにはよくわからないんですが……ひとまず、ご飯にしませんか?」
「賛成ー。説明ありそうだったら食べながらでお願いしよ、もうお腹ぺこぺこですよお姉ちゃんは」
「カガリ先輩、お皿出すの手伝ってください」
「……何はともあれ、無事ここまで来れましたね。さすがゲーム開発部です」
(レッドウィンターの記憶を取り戻した! しかし、まだ全てかはわからない……) - 157二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 12:37:45
謎が謎を呼ぶ…
とりあえずカンポッドは食後に楽しもう - 158二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 19:56:32
とりあえずご飯食べよう
- 159二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 01:25:13
カガリちゃん、人たらしすぎる
- 160二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 08:22:21
仲良さそうなのに何があったんだろ
- 161二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 16:37:55
保守
- 162二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 23:16:10
山菜料理とカンポッドか
- 163佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/01(日) 05:26:03
「……ほへーーーー。カガリ先輩がレッドウィンターかあ」
「言っちゃなんですけど、あんまり良いイメージある学校じゃないですね」
まあ、特徴だけ言ったらロクなところじゃないよ。僕なんて気付いたら流刑されてたし……
「る、流刑!?」
流刑っていうか。特別クラスっていう……問題がある生徒を山奥の校舎に追放する文化があって。すんごい寒いの。
「うわーん、ダークファンタジーレベルの倫理観です……キヴォトスにもまだそんな場所があるんですね……」
「その『カンポット』っていうのが向こうの食べ物なんだね。なるほど、食料が限られてる中で……色々繋がってきたぞ」
「で、でも、カガリ先輩って流刑されるような人かな。ミレニアムでも、問題みたいに言われるようなことは、そんなに……」
「……ストーカー行為は?」
「それじゃん。向こうでもなんか似たようなことやったんだって多分」
えええええ。よ、よく覚えてないけど……いや待って、僕がアリスちゃん以外の子にそんな感じになると思う???
「はい、条件が重なればなると思います!」
アリスちゃん!!?!??
「あの、皆さん。盛り上がっているところに水を差すかもしれないのですが」
な、なあにトキちゃん!!!なんでも言って!!!!
「ゼンマイのアク抜き、足りていないのでは?」
……う、うーん。そうなんですよね。努力の甲斐あって食べられないほどではないけど、やっぱり一晩かけてやることを数十分で済ませたのはよくなかったんだろうか。
「いや、でも、気にしなければ全然美味しいじゃん。これくらいはむしろ味があるってもんじゃない?」
「出た、ゲーム開発部理論だ」
ゲーム開発部理論???
「クオリティの問題をスタイルの問題に挿げ替える、お姉ちゃんが得意とする理論です」
「ちょっと言葉強くないかい妹よ」
「……でも、そうかもね。やってみたこと全部が成功するわけじゃないし……その分、天ぷらはおいしいし」
「はい、これは贔屓目無しに絶品だと思います。……その、自分がいくつ食べたか忘れてしまったのですが」
え、いくつでも食べていいよ?
「はい、トキは今回お客さんですから! 遠慮しないでください!」
「……そ、そうですか? では、お言葉に甘えさせてもらいます」 - 164佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/01(日) 06:11:45
――ごちそうさまでしたー! みんなで手を合わせる。作ってる時はちょっと多い気がしてたけど、全員お腹いっぱいになれた気がする……
なにより美味しかったし、またこういうのしてみようかな。今回はトキちゃんのためにって感じだったけど、気合い入れて制作移る前とか終わった後とか、良い空気が作れるかも。
「……それで、このりんごの瓶って結局どうするんですか? てっきりデザートかと最初は思ってたんだけど」
「話聞いてた感じ、保存食だよね。すぐ食べるものでもないような」
う、うーん。衝動に任せて作っちゃった感じで……どうしよう……
「置いておいていつか食べる、とか?」
やっぱりそうなるのかな。部室にも冷蔵庫あるし、そことか――
「レッドウィンターまで持って行く、というのはいかがですか?」
え、ええっ? 突拍子もない提案だと僕は思ったがトキちゃんは普通のことのように言い放った。レッドウィンターにって……それはつまり……
「以前、先生から伺ったことがあります。カガリ先輩を連れてレッドウィンターに用があるということで、寒冷地での活動について相談を受けました」
「え、なんでトキに?」
「本来ならカガリ先輩については特異現象捜査部の案件ですが、寒さ対策という点であのお二方はどちらも参考にならないのだと思われます」
ああー……
「それで……お邪魔でなければ、私もサポートとして同行しようかと。自分にとっては訓練になりますし、今回の恩返しも兼ねられて一石三鳥です」
ほんと!? そうだった、レッドウィンター……俄然気合い入れないと――
「わっ、わたしも行きます!!!!!」
……声を上げたのは、ユズちゃんだった。
小さくどよめきながら、トキちゃんとアイコンタクトを取る。……「今この話をすべきではなかったでしょうか」、と視線で問われている気がする。大丈夫、これは……今じゃなくても、いずれ別の形で話していたことなんじゃないかと、なんとなく思った。 - 165二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 10:20:51
そういやそんな話があるんだった
- 166二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 14:43:23
それはそう<氷河行った時の特異現象捜査部を見ながら
トキはボディスーツの機能で緩和されてるとはいえ、意地っぱり発揮してる部分もあるだろうし
ヒマリはモコモコ化しそうだし、エイミに至っては……ネ?
そして、赤冬は伝聞だけだとほんと物騒な要素しかないなー
ただ、実態は先生方周知のとおりなのに、どうしてカガリが特別教室送りされたのかは気になるところ - 167二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 23:08:54
実はワルだったりしたのかな
- 168佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/02(月) 05:18:24
『愚問だな。自分の名前がついた公園を自分で歩くのになんの理由がいる?』
……あーーー、ここに来るといろいろ思い出すなあ。連河記念公園前駅のがらっとしたホームを抜け、なんだか既視感のある心細さを体感する。
人の目に映る『レッドウィンター』は、しばしば合理性を欠くような姿をしていた。この公園の立地も、普通これだけ大きな学園自治区の本校の真隣であれば、もうちょっと道路や建物でひしめき合っていそうなものだけど……人が歩けるように整備されている以外、殆どそのままの自然が放置されている。整えられた森林のほど近く、雪でぼやけた地平線の隣、牛にも山羊にもそれ以外にも見えるような、もふもふで丸っこそうな何かが歩いていて……
「ほ、ほんとに来ちゃった……レッドウィンター……」
「もっと長時間の移動も覚悟していましたが、自治区までは案外早いのですね」
"……寒い!!!何回来ても寒いよ!!!!"
さ、寒いですね。ユズちゃん大丈夫?
「一応……耳当てもマフラーも持ってきたので、なんとか」
びゅうっ、と一際大きな風が押し寄せる。誰が言ったわけでもなくみんなで集まって身を寄せ合う……
……つ、付き合ってもらっちゃって大丈夫だったんだろうか? 僕の用事だけど、これといった具体的な目的もないわけで、なんなら1人で来るほうが良かったのでは。
……まあ、出発前にも同じこと言って、今更何言ってるんですかって返されたんだけど。おかげで遭難せずに済むかもしれない。 - 169佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/02(月) 05:50:08
「……行ってみたら? 私は応援しちゃうよ」
「ええっ!?」
「あれ、そういう感じなんだ。お姉ちゃんのことだし、私も一緒に行く!とか言うのかと思った」
「なんか、事実として今のユズの一番の友達って私たちなんだけどさ。だからこそむしろ、私たちが直接関係ないことでユズが自分から『やってみたい』って思うことがあるなら、それって超良いことだと思うわけ」
「モモイの言う通りです! ソロプレイでランクを上げれば、それは100%ユズ自身の力になります!」
「……その、気張りすぎないようにね?? 行って帰ってくるだけですごいからマジで」
「そう、だね。お願いしてもいいですか、カガリ先輩」
「あっそうだった、カガリ先輩に訊かないとだわ。……まあ、いいよね?」
……ということがあった。その後すぐ先生に連絡し、レッドウィンターの政局が安定しているらしい今のタイミングを狙って最低限の旅程を組み、4人パーティが成立。今に至る。
"さて、どこに行こう。とりあえずご飯かな……?"
「寒さに対処するべくハイカロリーなものが必要であると進言させていただきます」
……あっ、あそこどうですか? よく見るハンバーガーチェーンだけど。
"間違いないね!!!!突撃!!!!!!"
どこまでも続くような青い空が、寒さのせいで少し褪せているように見えた。僕たちは生きて帰れるだろうか……いや、生きては帰れると思いたいけど、さすがに。 - 170佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/02(月) 06:01:42
(このタイミングで処理 C&Cとのあれこれによって、リオから再び連絡を受ける確率が上昇しました)
要素B「任務」 +0% → +10%
現在合計 15%
・準最終章②『浄玻璃の窓』
(カガリが忘れてしまった記憶を、近い過去のものから糸を手繰るように順に想起していきます)
(目標は百鬼夜行での必要な記憶を全て思い出すことです)
ミレニアム(完了)
│
レッドウィンター(1/3)
│
?????(0/3)
│
百鬼夜行(0/3) - 171二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 09:33:58
ユズも頑張ってるなぁ
- 172二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 13:54:40
浄玻璃ねぇ
また怪しげなタイトルだ - 173二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 22:26:43
カガリ、ユズ、トキ、先生か
不思議なパーティだ - 174佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/03(火) 06:36:56
「……不思議な風情のある景色ですね。まるで絵画のような」
と、チキンバーガーを食べ進めながら零すトキちゃん。実際、どこか物寂しく開かれている淡い緑や黄土色の草地に、地平線を少し隠すように集まるとんがった木の高さを見ていると、異世界に迷い込んだようだった。
にわかに人の通りが増えた気がする。もう少しでこのお店も賑やかになるだろうか? にしてもベーコンレタスってどこで食べても味変わらないなー……
"……うん?"
"あ、トモエから返信だ"
…………!?!??
「ど、どうしたんですか。一瞬ですごい顔に……」
あの、あー、トモエってあのトモエさんですか?
"会ったことある? こっちに来る時は連絡してくれって言われてて……"
「……怖れられるような人物なのですか?」
人心掌握が尋常じゃなく巧い上に、躊躇とか容赦っていう感情が一切無いリオさん想像してみて。だいたいそんな感じ。
「………………」
「終わりじゃないですか!!!!」
"そ、そんなに言うほど極端な子じゃ……うーん……"
"……あっ、ここまで迎えに来てくれるみたい。ちょっと待ってようか"
ええーーー!?!??!?
「あわわわわわわ……」
……トモエさんの性質どうこう以前に……あんまり覚えてないけど、僕が最後に会った時の状況が、なんか良くなかった気がする……だ、大丈夫かな……????
dice1d100=80 (80) 交渉ステータス(92)以下で成功
- 175二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 12:32:51
買い食いって不思議とおいしく感じるよね
- 176二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 17:16:00
ファーストコンタクトは成功か
いやファーストじゃないかもだけど - 177二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 02:14:14
どうなるかな
- 178二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 08:06:52
認識の差よ
- 179二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 17:27:57
保守
- 180二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 00:52:35
何をしたんだカガリ……。
いつだったかセミナーにクラッキングした時みたいな事やらかしたかな? - 181佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/05(木) 04:50:04
「――あっ、先生! こんにちは、遠路はるばるようこそ」
"こんにちは、トモエ。今日は1人?"
「はい。っと、そちらのお二方は初めましてですね……察するに、ミレニアムの方から?」
「……!?」
「おや。防寒の都合で、あまり特徴が無い服装になっていると思うのですが……大変な洞察力ですね」
「失礼しました、悪い癖のようなもので。……そして」
………………
「佐藤カガリさん。お久しぶりです」
は、はい、おひさしぶりです。トモエさんはお変わりないようで。
「確か、『特別クラス』送りにされて以来ですね。まずは無事を喜ぶべきでしょうか」
あはは……体は丈夫な方なので……
「………………」じーっ
トモエさんに何かを感じ取ったのか、注意深い視線を向けるユズちゃん。気持ちはわかるけど……確か、これってトモエさんの素の状態でしかない。まあ、その事実が十分異質ではあるかも。
「カガリさんの近況は、概ね先生から聞き及びました。どうやら記憶を一部失ってしまったとか」
えっ。ど、どれくらい話しました?
"そんなに言い過ぎたわけじゃないと思うけど、トモエって一を聞いて十を察する子だから……"
「ふふ、期待されるほどではありませんよ。……そうですね、ここは単刀直入に行きましょうか」
……?
「カガリさんがレッドウィンター本校、および事務局へ接近することは、安全保障上の観点から見てお勧めしません。そのつもりでここまで来たのであれば、引き返すのが賢明かと」 - 182佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/05(木) 05:24:03
「……理由の説明よりも先に。ご自分が何故『特別クラス』送りにされたかは、覚えていらっしゃいますか?」
えーーーっと。……なんでしたっけ。
「チェリノ会長の威厳を示す物品に不敬を働いたことです。壁掛けの肖像画が床に伏し、銅像の付け髭は落下、チェリノ会長が自らお作りになられた雪だるまの転倒など……たったの2日間で計7つが被害を受けました」
「……カガリ先輩、昔はやんちゃ者だったのですね」
ええええ??? や、やったにしてもわざとじゃないと思うんですけど……そんな度胸ないし……
「はい、カガリさんは嵌められていたのです。真犯人はカガリさんの行動に先回りし、あらかじめ物品に細工をしておくことで、不意に貶めてしまうよう仕組んでいました」
「ええっ……!?」
「その上真犯人は、通常であればプリンの配給停止などのより軽い懲罰で済む筈の処分を、チェリノ会長に直接進言することで、特別クラス送りまで格上げさせたのです。こうしてカガリさんは、弁明の機会も与えられぬままに事実上追放されました」
そ、そんな……全然気づかなかった……
「その真犯人とは……私です!」
!??!?
"トモエ????????"
まるで褒められたかのようにはにかみ笑いを繰り出すトモエさん。いやいやいやいやいやいや待って、急展開すぎて追い付けない。レッドウィンター慣れしてないトキちゃんとユズちゃんに至ってはフリーズしてるし。
「……我ながら、乱暴な手段であったとは思っています。しかし、チェリノ会長を思ってのことであったのは勿論のこと、これはカガリさんにとっても悪い話では無かった筈なのです」 - 183佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/05(木) 05:58:55
「お忘れだと思うので私から紹介させていただくのですが。カガリさんは過去、レッドウィンターで革命行為を主導したことがあります」
……あ、あー、あったかも!!!! いやっでもあれ、革命……主導っていうか、なんというか……
「はい、かなりお粗末なものでしたね。周りに乗せられてあれよあれよという様子がこちらからでもわかりましたし、結局革命は失敗してプリンの配給を止められていましたし」
「とことんプリンなんですね、この学園は」
「こ、こわい……」
「しかし、その失敗の裏で私はこう思いました。……カガリさんの革命は、実を結んではならないものなのでは? と」
"その言い方だと、まるで実を結んでも良い革命があるみたいだけど……"
「はい、私はある程度の革命を許容しています。レッドウィンターの在り方の1つですから」
ええ……トモエさんが言っちゃっていいんですかそれ……
「会長にはナイショですよ。……カガリさんが革命を成功させた場合……仮に『カガリ政権』としましょうか。これには大きな問題がいくつか予測されます。お考えください」
急に振られた。ぼ、僕が政権を取った時の問題……???? 突拍子もない問いなので混乱する。みんなでうーんうーんと唸っていると、ユズちゃんが何か思いついたようで手を挙げ――
「……仲間を甘やかしすぎる、とか?」
う、うーん。甘やかすかなぁ僕。流石に政権なんてもの取ったらちょっとは緊張感も……
「正解です!」
ええーーー!!??
「ほぼ確実に、政権内の統率は全く取れなくなります。チェリノちゃんがこねる駄々全てを真っ向から受け止めることを試みたような人に、他人のわがままを断って締め上げる機能があるとは思えませんでした」
"……すごいね、カガリ"
そんなこともあったな……懐かし…… - 184二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 08:53:10
わーお
- 185二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 14:20:43
思ったよりすごい事やらかしたなカガリちゃん…
- 186二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 22:59:37
隠し事とかもできなさそうだしなぁ
トップは無理だよ - 187二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 06:59:00
保守
- 188二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 12:36:58
昔のカガリちゃんも友達多そう()
- 189二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 21:12:57
納得
- 190二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 23:53:58
うん、寄り添いすぎて叱れないタイプだよね……。
それどころか、コユキの時みたく、生粋の問題児タイプの生徒に寄り添うために自分も問題起こすって発想するから、さらに危険である。 - 191佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/07(土) 06:36:59
「――仰る通り、カガリ先輩はいささかポリシーという概念に縁が少ないですね。それすなわち政治に関わらせればノンポリティカルに変じるという見解も的外れではないかと」
「たしかに、ぽわっとしてる人だなって思うかもしれません。生徒会じゃない普通の部活でも、部長やるタイプじゃないような……やったら大変なことになる、ような」
「お二方もそう思いますか? そうですね、成らないことを己に誓った歩のようなもので……友人や同僚としては心強い存在でも、上官や上司になると迷惑この上ないと言えます」
「簡単に言えばショッカー戦闘員タイプですね」
「あ、あはは……でも、わかります。どんなお願いしても断られたことありませんし」
……お、思い出した。トモエさん……こう、上手く言えないけど、僕が困ってるところ見るの好きって感じの人だった……
さすがの弁舌、自分が話す内容に人を同意させることが異常なくらい巧い。その力に呑まれた後輩ふたりがさっきから僕の悪口で盛り上がっています。えっこれ悪口ですか? 先生どう思いますか……に、にこにこしてないで。ちょっと。
「まあ、もう1つの理由として。周辺政府から顔を覚えられないほうが良いだろうと思いはしましたが」
……しゅ、しゅーへんせいふ? というと。
「簡単な話です。レッドウィンターでは革命が日常茶飯事ですが、かと言って各学園がその様子に全く関心を持たないわけでもありません。それを首謀して実権を握った生徒の、顔と名前くらいは記録されるもの」
????
「革命を志して成功させた経歴を持つ人物は、客観的に見て非常に悪質な危険分子……学園運営に携わるものなら、少なくとも自分の生徒会に近づけたいとは思わないでしょう。カガリさんも後少しでそうなっていたのやも」
……あっ。
"た、確かに。ミレニアム転入、こんなにスムーズじゃなかったかもね……"
ひええ……
「……つまり、『特別クラス送り』という事実上の流刑処分は、トモエさんが佐藤カガリの社会的評価を個人的に案じていたことが本旨であったと? それとも――」
「さあ、どちらでしょうか? あくまで私の政治観において、ノンポリ政府の樹立がその後のレッドウィンターに齎すダメージが全くの未知数、計り知れないということも事実ですよ」 - 192佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/07(土) 07:22:22
「前置きが長くなりましたが、本校への接近をお勧めしない理由の半分がこれです。当時の革命のご友人と出くわし自動で再び担ぎ上げられ気付いた時には生徒会長かも……」
「そんなことあります?????」
"な、ないとは言い切れない……"
半分……もう半分あるってことですか?
「……チェリノちゃん、カガリさんのことは覚えてそうなんですよね。その時のご気分にもよりますが、好意的な反応をしてくださるとは限らなくて」
あー……
「こ、怖い人なんですか?」
うーん……怖がられてはいるかも。いや、でも、普通の女の子だと思うけどなぁ。
「……そうですね。私も同意します」 - 193回想 ◆IEd0n050V225/06/07(土) 07:45:59
─────────────────────────
――なんとなくわかります、トモエさんが書記長のお世話を買って出てるのも、余所者の僕がそこで存在感出すことが不安なのも。これだけ一緒に居るなら家族みたいなものだし、心配になるのは自然なことだし。
「………………」
それにしたって、1人で見るよりは2人で見るほうが安全だと思いますよ。トモエさんすごい優秀だけど流石に神様じゃないでしょ? 何かあってからじゃ遅いなって……
「私自身、混乱しているかもしれません。ここに口を挟んでくる人物はあなたが初めてですので」
……じゃあ僕も正直に言います。理屈じゃなくて、小っちゃい子が走り回ってると目で追っちゃうし、危ないかもって思ったらつい声に出ちゃうだけです! そして話し掛けられたらお喋りしちゃうだけ。意地悪な言い方してごめんなさい。
「いえ、お構いなく。それなら仕方ないかもしれません、チェリノちゃんってばとても可愛らしいですし……」
へへ、間違いないですね。……やっぱり距離離した方がいいですか?
「……自分の中で感情と理性が戦っていて、それを上から見下ろしている気分です。どちらが勝つのでしょうか」
んー……それでも、1人だけで頑張るって決めるの、あんまり良くないような。だってそれって、完璧に何の間違いもなく尽くし続けるってことを、トモエさんが自分に強制するみたいじゃないですか。今まで以上に。
「? 何か問題があるんですか?」
もうちょっと自由に生きてもいいんじゃないかなって。レッドウィンターの他の人と比べるとそう思っちゃいます。
「ふふ。これは私が自由意志で選んだ不自由ですよ……現に、私は今とても満たされています」
おおう……すごいですね。尊敬します、トモエさんのこと……
「気遣ってくださったことは有難いですが……無理に説き伏せて頂かなくても結構ですよ。カガリさんも知っての通り、ある種の狂気に対してそれは効きませんから」
───────────────────────── - 194佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/07(土) 07:57:10
うーーーーーーーーーーーーーーーーん……
「ここに来て一番悩んでいますね」
「あ、会いたいから悩んでる、ってことですよね?」
そう、だね。理由があるわけじゃないんだけど……なんとなく話したいような……
「……カガリさんはそういう方ですよね。そんな気はしていました」
"無理にとは言わないけど……なんとかならないかな"
「ふむ。このあと本校に寄らないとすれば、どちらに向かわれる予定ですか?」
えと、227号の方に行こうかなって思ってます! 結構時間かかるかもしれないけど……
「でしたら……もしチェリノ会長と会合するのであれば、227号からの帰りがけに再びこちらへとご連絡を頂く形で如何でしょう。確実にお約束できるわけではありません、何分レッドウィンターは予定の先行きが不明瞭なので」
お、おおーーー。いいんですか????
"ありがとう、トモエ。さすが頼りになるね……"
「これくらいは約束の内に入りませんよ。意外とどうにでもなりますから」
ありがとうございます!!!!そうします!!!!!
「……な、なんか、カガリ先輩……」
ん、どったのユズちゃん。
「ミレニアムの外でもカガリ先輩なんだなって……」
「同意します。もう少し慌てふためく姿を想像していましたが」
ええ……僕どんなイメージ……
「ふふ、ということは……同様に、ミレニアムでのカガリさんも、私の知るイメージから大きく離れてはいないのでしょうね」 - 195二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 13:05:20
ある意味一貫してる
芯があると言えばまぁ - 196二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 15:50:37
なんか変な事が起きてる
- 197二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 22:54:41
ちゃんと楽しいからセーフ
- 198二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 08:49:59
保守
- 199二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 12:52:19
確かにミノリとかと出会ったらヤバそうだなぁ
- 200二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 21:51:40
次スレはどうしますか