(SS)もうひとつの未来

  • 1地方ータ25/04/29(火) 23:50:07

    「(え……?じゃあもう二度と……。レースに出られない……。)」
    「(それはいい。構わない。でも……もう走れないなんて……。)」
    「(走ることを……。夢を………。もう諦めるしか……ないのか……。)」

    午前4時30分。まだ多くのウマ娘たちが眠りについている時間帯。
    そんな眠るウマ娘たちの中には、悪夢を見る者もいるだろう。
    ウマ娘たちが見る悪夢の割合で1番多いのは怪我に関するモノだ。
    走ることに全力をかけるウマ娘達には、常に怪我のリスクがある。
    怪我の度合いによっては、最悪の場合もう2度と走れなくなることもある。
    その怪我のリスクに対する恐怖が夢に出てくるケースは非常に多い。
    中には【怪我の悪夢】で飛び起きるウマ娘もいる。

    「——はっ!!。」
    「あれは…夢?脚は……よし、しっかり動くぞ。」

    水色の髪に紫色の瞳をもつウマ娘、”シュガーライツ”はその【怪我の悪夢】で飛び起きる…飛び起きたウマ娘の一人だ。

    「(あの夢が現実になることだけは……嫌だ。)」
    「(これからもずっと走りたい……!もう少しだけいい景色が見たい……!)」

    「そのためにも……怪我の課題には早急に対策を立てる必要があるな。」
    「まずは日々のウォーミングアップだ、練習とレースに備えなければな。」
    「それと睡眠時間に食生活に関しては……。トレーナーからアドバイスをもらおう……。」

    ただ一つ言えることは悪夢を見た”シュガーライツ”が、
    常にある怪我のリスクを少しでも減らそうと行動をはじめていることだ。
    ……未来がどうなるのかは誰にもわからない。

  • 2地方ータ25/04/29(火) 23:51:40

    「チャーハンに、アボカドサラダ、山盛りのゆで卵に、牛乳1リットル……そして鮭」

    (鮭は3切れ……そしてチャーハンもサラダは大盛りだ……。)
    (この量を完食するのは大変だが……やってみる。)
    (私はこの量を必ず完食できる、限界を超えるんだ……!)
    (もう少しだけ——いや、もっとだ。もっと強い身体になるんだ——。)
    (悪夢に打ち勝つためにも——これからもずっと走り続けるためにも——)

    「よし……! やるぞ!!」
    午後12時、学園のウマ娘たちが食堂で昼飯をとり始める時間帯。
    ウマ娘”シュガーライツ”は、大量の料理……そして自分自身の胃袋と戦っていた。

    この”シュガーライツ”が、現在行なっている【カロリーの大量摂取】は、
    自身の”担当トレーナー”と相談し、決めた”今後の方針”だ。
    もちろん他にも次走や練習などの”方針”も決めている。

    “シュガーライツ”は、まだデビューしたばかりなのもあるが、
    身体がまだ華奢であり、体重も軽い。レースで消耗した体力の回復に時間がかかる。
    “シュガーライツ”の出走歴は、6月のデビュー戦と7月の未勝利戦だけだ。

    【レース】は過酷なモノ、走った後には体力を消耗する。体力の回復にも時間を要する。
    体力が回復しないままレースに出れば、疲れの蓄積による【怪我】の発生もありうる。
    “トレーナー”曰く、(今後のためにも、ジュニア期の内に”レースに耐えられる強い身体づくり”を心がけた方がいい。そして早く寝なさい。)とのことだ。

    シュガーライツは、大量の料理を食べる。強い身体をつくるために。
    そして怪我により走れなくなるリスクを最大限、減らすためにも——。

  • 3地方ータ25/04/29(火) 23:52:12

    「たぁぁああああああ!」
    午後15時、授業が終わり多くのウマ娘たちが、トレーニングに励む時間。
    “シュガーライツ”は、学園内の芝コースを一周していた。
    彼女が行なっているトレーニングは、主に最終直線での”末脚”を鍛えるトレーニングだ。

    「はぁ、はぁ……入念に準備運動はしたが、まだ遅い……これでは……。」
    『”ライツ!大丈夫! タイムは良くなっているよ!”』

    「トレーナー……。 …よし、もう一周いきます! はぁあああっ!!」
    「(最終コーナーまで体力を温存、そして最終直線で一気にスピードを……。)」

    最終直線では、残った【体力】と【末脚】の勝負になる、
    【レース展開】や【レース運び】、【坂】なども最終直線での走りに直結する。

    例え、【末脚】が切れても【体力】が残っていなければ直線で伸びない。
    【体力】が残っていても【末脚】が甘ければ戦えない。
    【体力】が残って、【末脚】があっても【レース選び】を間違えると、前が壁になる。

    そして現在の”シュガーライツ”は、【末脚が甘い】最終直線での伸びに欠ける状態だ。
    最終直線まで【体力】を温存でき、【レース選び】も完璧にこなせ、
    【上り坂】も難なく登れる。
    【末脚】の問題さえ解決すれば、レースで勝つことが出来るはずだ。

    “シュガーライツ”の次走は、10月前半に開催される
    【ジュニア級未勝利戦】 東京レース場 芝2000m。
    次走に向けて、“シュガーライツ”はトレーニングを続ける——。

  • 4二次元好きの匿名さん25/04/29(火) 23:55:25

    地方ータ!?

  • 5地方ータ25/04/29(火) 23:56:11

    >>4

    こんばんは!

  • 6地方ータ25/04/29(火) 23:56:42

    10月前半、【ジュニア級ウマ娘未勝利戦】 東京レース場 芝2000m。
    神奈月、夏から秋へと移り変わり夏の暑さも大人しくなり、すこし涼しい。
    ジュニア級の新人ウマ娘たちには、数多くの声援が届く。
    まだ若いウマ娘達の活躍に心躍る観客たちの声援、
    自身の担当ウマ娘を応援するトレーナー達の声援。

    “シュガーライツ”は出走のため、東京レース場の控え室にいた。
    「・・・・・・いよいよ、だな。」
    “そうだね。”
    “ここまでの練習の成果を、みんなに見せる時だよ!”
    「そうだな、ありがとうトレーナー。」

    “シュガーライツ”は、トレーナーと会話をしていた。
    「……では、できる限りの走りをしてくる。」
    “…ライツ!!頑張れ!!”

    そして”シュガーライツ”は地下道を通り、東京レース場のターフへと向かう。
    出走ウマ娘は9人、人気の差はあまりない様子、
    “シュガーライツ”は現在5番人気。枠番は1番。

    『ゲートイン完了、全員ゲートに収まりました。』
    【ジュニア級ウマ娘未勝利】に出走する9人のウマ娘が、ゲートに収まった。
    枠番1番“シュガーライツ”は、出走の時を待っていた。
    「(よし……!!——やるぞ!)」

  • 7地方ータ25/04/29(火) 23:57:48

    音を立てて、ゲートが一斉に開く。
    『スタートしました!!!!』横一線で、ウマ娘達がターフを駆け出す。
    『”シュガーライツ”好スタートを切りました。やや3番手についています。』
    『さあ注目の先行争い——おおっと!!』
    先行策を取るウマ娘たちが続々とバ群の前に出る。
    —すると直後に実.況が突如驚いたような声をあげる。観客席からも声が挙がる。

    『4番”イダテン”ハナを叩いた!後続を5バ身、6バ身と引き離していきます!』
    「しゃおらあああぁぁ!!先頭はアタイのモンだァ!!誰にも渡さねぇぞ—!!!!」
    先頭に立った金髪の派手なウマ娘”イダテン”は瞬く間に後続との距離をどんどん空けていく。
    逃げの態勢、まるで最終直線を全速力で駆けているようなスピードだ。

    ウマ娘たちが、そろそろ”第2コーナー”に差し掛かる頃——
    レースは”イダテン”の大逃げが影響し、ややハイペースとなっている。
    「はあっ、はあっ……(このままハイペースが続けられては……まずいな……。)」
    「私の体力とレース展開次第だ。そこさえ完璧に整えば——」
    “シュガーライツ”は現在3番手、先頭を走る”イダテン”には大差つけられている。
    前目を走るウマ娘たちの体力は徐々に削られている……。
    そして後方を走るウマ娘たちは、最終直線に備えて力を溜めている。

  • 8地方ータ25/04/29(火) 23:58:23

    「最終直線も——アタイの!!独壇場に!!してやんよ!!」
    『イダテン逃げ切ってしまうぞ!さあ! 後ろは届くのか!このまま逃げ切るのか!』
    そして第2コーナーを過ぎても”イダテン”は未だ独走状態だ。
    ウマ娘たちは最終コーナー付近に差し掛かっている。最終直線までもう少しだ。
    以前として”逃げ”で体力が尽きる様子がない、観客席からは(このまま逃げ切って勝つのではないか?)といった声や興奮した声、どよめきが広がる。


    「私もこのレースに全力を注ぎ込んでいるつもりだ。無駄になどできるものか。」
    「ここで仕掛けよう。私も——これ以上先頭は譲れない!」
    現在“シュガーライツ”は2番手まで上がっている。体力的に最終直線までの余裕がある。
    走りの勢いも増している。”イダテン”の前に行こうとしているかの如く——。

    『さあ!最終コーナー曲がって直線コース!』
    内から”シュガーライツ”!”イダテン”との差をじわりじわりと詰めていく!』
    「(よし……コーナーはしっかりと曲がれた——。)」
    そして——最終直線、先頭は”シュガーライツ”は”イダテン”の前に並び競り合っている。まさに”2人の一騎打ち”といった状況だ。
    それより後方を走るウマ娘達に、約5バ身ぐらいの差をつけている。

    「(負ける……ものか。勝てなくても、せめて……あの悪夢のような終わり方だけは…。)」
    「 (アタイの前に出てくるなんて…良い根性してるじゃないか…!上等だオラ!)」

    「たあああああああああああぁ!!!!!!!!!!」
    「おらあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
    『イダテン!シュガーライツ!イダテン!シュガーライツ!激しい競り合いを制して1着を手にするのはどちらか!』
    ——先にゴール板を駆け抜けたのは…。

  • 9地方ータ25/04/30(水) 00:00:40

    『勝ったのは”シュガーライツ”!ゴールイン! 2着は”イダテン”!3着は——。』
    未勝利戦を制したのは”シュガーライツ”、そして彼女にとっては念願の初勝利だ。
    レース場からは、重賞の時ほどではないが…観客の歓声が聞こえる。
    「「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・。」」

    レースを終えた“シュガーライツ”は、緑の芝の上で空を仰ぎながら風を浴びていた。
    「ああ、東京レース場の風は——本当に気持ちいいな。」
    「(これが…勝利の景色だろうか?)」

    「良いレースだったぜ——凄えよアンタ」
    「でも今度は絶対アタイが勝つ……!それまで待ってろよ……!」
    突っ立って風を浴びている最中の”シュガーライツ”に、汗びっしょりの”イダテン”が近づく。

    「——ああ!!」
    “シュガーライツ”は威勢よく声を上げる。

    ——彼女たちはこれからも走り続けるだろう。
    未来がちょっと変わった。”シュガーライツ”は怪我せずに走り続けることも出来るかもしれない。きっと重賞制覇の景色を見れる未来もあるだろう。

  • 10地方ータ25/04/30(水) 00:06:07
  • 11二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 00:08:29

    乙です!地方ータさん多才すぎる…

  • 12地方ータ25/04/30(水) 00:10:00

    >>11

    ありがとうございます!

  • 13地方ータ25/04/30(水) 00:11:04

    クロノデュワールの新馬戦も参考にしました

  • 14二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 01:03:37

    ゆで卵食べてる博士可愛い

  • 15二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 01:50:46

    コテハンよく見たら交流重賞スレの人やん

  • 16二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 09:34:26

    ほう···博士のIFですね

  • 17二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 11:06:28

    >>10

    ◇この語録スレは···?

  • 18二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 13:38:20

    >>17

    シュガーライツの語録スレ

  • 19地方ータ25/04/30(水) 14:00:09

    >>16

    うん そんな感じ

    >>15

    こんにちは

  • 20二次元好きの匿名さん25/04/30(水) 23:06:23

    実はこの未勝利戦にハローさんも走ってたりしたかもしれない

  • 21二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 00:54:05

    この世界線ってST-2誕生するのだろうか?

  • 22二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 08:59:05

    >>21

    いなそう

  • 23二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 09:55:53

    博士と同世代のウマ娘が気になる

  • 24二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 15:47:22

    この世界線がどうなるのか気になる

  • 25二次元好きの匿名さん25/05/01(木) 19:32:32

    >>1!!お前が奪うのは、ST-2が救うだろう未来だぞ!!

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