- 1二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 13:55:02
- 2二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 14:01:49
(これまでのあらすじ)
□ゴールデンウィークおもしろカートゥーン再放送!□
□「忍JK・ファウスト」第1期(1988)!□
テッテッテーテッ、テテテテーテッテッテテッ…
BlueArchive BlueArchive BlueArchive BlueArchive BlueArchive
Blue….Arrrrrrrrrchive!
(オープニングテーマ原曲)
学園都市キヴォトスを守る正義の女子高生忍者あり。忍JK・ファウスト!
Hifumi Ajitani and her friends got failing grade and forced to take supplementary exam. In fact, they were suspected of treason against the Trinity High School, and were about to be deported on the pretext of that.
珍妙な妖精・ペロロに選ばれて奇跡のニンジャパワーを得た女子高生ヒフミこと忍JK・ファウストは、
小鳥遊ホシノの気力、十六夜ノノミの金銭感覚、黒見セリカの甲斐性、奥空アヤネのカリスマ性、砂狼シロコの遵法精神で、
頼れる仲間たちと一緒に三羽烏忍術学園の平和を守るのだ!
They studied hard,and scored well on the exam. Besides, it was wonderful, they got the mastermind, Mika Misono and rescued Nagisa Kirifuji. As a reward, they approved their enrollment in high school by Sakurako Utazumi.
彼女が秘密結社ユスリヤ修道会のリーダー、シスター・ハラグロイヤ!
脅迫・拷問・圧迫面接を駆使しながら、怪しい笑顔の裏で365日悪事にいそしんでいる!
黒服がきわどい幹部・暗黒セロハンと戦闘員たちが、学園を守る美しき女神ナギサエルの命を狙っているぞ!
戦え、我らの味方、忍JK・ファウスト!
提 供
トリニティ総合学園フィリウス派
webli○英和辞典 - 3二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 14:03:23
- 4二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 14:22:06
◇今日もあなただけにキヴォトスの真実をお伝えしていきます◇
- 5二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 14:23:55
アイエエエエ…
テストに出ないよぉ… - 6二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 14:59:00
生徒が死ぬと、ヘイローが爆発四散します
When a student dies, her halo explodes. - 7二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 15:20:10
生徒が素手で壁を破壊して脱獄しました
A student broke out of jail by breaking down a wall with her bare hands. - 8二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 16:24:27
生徒たちはずっと騙されて少年兵になっていました
Students were tricked into becoming soldiers for a long time. - 9二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 16:38:21
生徒が報酬を踏み倒されました
A student was not paid. - 10二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 17:01:55
なので、事務所を爆破しました
That's why she blew up the office.
◇明日もあなただけにキヴォトスの真実をお伝えしていきます◇ - 11二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 20:16:00
で通常進行に戻すけど
前スレ最後で話出したアズール=サン、お嬢さま学校行ってて外見成長してない、トリニティに潜入させてくれと言わんばかりの設定だわ - 12二次元好きの匿名さん25/05/03(土) 22:56:39
実際潜入じゃないけどスナリヤマ居たしね
- 13二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 05:38:16
でもやっぱりニンスレ×女子高生って言ったらヤモっちゃんが強いんだ
- 14二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 09:16:17
- 15二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 13:01:13
- 16二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 19:49:32
- 17※ただしニンジャヘッズは除く25/05/05(月) 00:27:53
ではSS再開の準備をば
◇◇◇明日な◇◇◇ - 18二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 07:33:23
- 19二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 08:33:08
- 20二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 16:11:03
◇再開◇
(これまでのあらすじ:緊急事態が発生した。D.U.・ミレニアム自治区間の電力・通信網が物理的に破壊され、プロキシから溢れたトラフィックがキヴォトス全域に大規模通信障害を引き起こしたのだ。惰弱な生徒ではSNSもインターネットもない生活は耐えられない。リオとヒマリが解決に向けて動く)
(狙われて被害が大きいインフラはミレニアム内だが、例外が1つあった。アビドス自治区のデータセンターだ。シャーレ経由で依頼を受けた対策委員会が先生、ノアと現地へ。一方、シロコ*テラーはある権利書を探して銀行の大金庫を襲うが、突如依頼人に攻撃されてしまう。謎のニンジャが彼女を狙う!) - 21二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 17:03:56
『重点!重点!』『侵入者を許さないです』
電子音声ががけたたましく地下通路に響く。大金庫脇のZAP銃から甲高い充填音――想定より早い。再起動に時差があったのか? いや、理由を考えるのは後だ
通路に踏み出すと同時に、監視カメラとZIP銃が照準を向けた。他の警備装置は起動していないようだ
(2回は撃たれる、なら――)
シロコは足を止めない。矢玉飛び交う戦場の橋を中央突破したソウジュン・ニンジャの故事めいて、最短距離を一直線に駆ける。その胸に、背に4つの照準が集まり――
ZAP!ZAP!ZAP!ZAP!
4つの銃口が同時に雷を吐く。外部電源供給を受けるZAP銃の威力は、同口径の銃より遥かに高く、生徒と言えども直撃すれば重傷は避けられない。――だが銃弾はシロコの前後、濃い黒煙めいた穴に吞み込まれ、互いに逆の穴から跳びだして床を跳ねた。シロコの異能、離れた空間をつなぐポータルだ!
「――ん!?」
だがポータルは苦悶するように揺らめき、すぐに霧消した。刺すような頭痛に呻くシロコ。あからさまに不調、だが足は止めず全速力を維持してスライディング! 前方のZAP銃の照準が、急な縦軸移動に追いつけず外れる。ZAP!ZAP! 後方からの銃撃をポータルで防ぎ、店舗地下へと駆け込んだ。そのまま小金庫への階段を駆け上がろうとして……数段上ったところで、シロコは膝をついた
(頭が重い……それに耳鳴りが)
ニューロンへの負荷だ。視界が歪み、段差の直線がねじれ曲がる。折り返しのある階段の出口は、彼女からは見えない。このまま地下に沈んでいくような錯覚――だがシロコはそれに抗う。自由になる左手で手すりを抱え込み、2人分の体重を支え、おぼつかない足取りを進める。一段、一段ずつ……
一つ目の踊り場へ。スカートの裾が床を擦る
二つ目の踊り場――出口の非常灯が微かに見えた。ポータルによる負荷が徐々に和らぐ
「あと半分…………?」
ふと、シロコは自分の姿を見た
手すりを掴み、重い身体を引き上げている。――そう思っていたが、違った。逆だ。左腕は下に、少女を担ぐ右腕が上にあった。
(……?)
体重を手すりに半ば預けて多少は楽だが、奇妙な姿勢だ。シロコ自身にも理由は分からない。左手を手すりから離し……無意識に階段の上へと伸ばした。まるでそこに、手を引いてくれる誰かがいるかのように
- 22二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 21:09:24
精神系のジツかな
- 23(マンゴーをもぐ研修予約中)25/05/05(月) 21:55:30
(あ、1か所「ZIP」になってる……もはやこれは作者のケジメ案件では?)
- 24二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 00:11:53
伸ばした手が空を切る。誰もいるはずがない
「……先生」
そうだ、いたはずがない。先生は……あのとき病院にいた。それでも手を引いて欲しかった。その手の先にまだ機会があると、みんなとの日常があると信じたかった。――既にホシノがいなかったとしても。だが……
眩暈も頭痛も消えたはずだ。だが消えない。記憶が幻肢痛として再生を繰り返す。中心にあるはずの欠落した「何か」を探しているように
――シロコは唇をかみ、痛みとともに躊躇を呑み込んで階段を駆け上がった
(さっきの声! あれを探して聞き出す!)
小金庫の格子を抜け、金庫内側の開閉レバーに手をかける。ロックがはずれ、開いた隙間に体をねじ込むように店内へ――
「――あ」
シロコの口から呆けた声が出た。スクリーンセーバーの暗い光の中に、手のひらほどの白い何かが浮かび……放物線を描いて手元に落ちてくる。「それ」が何か気付いたシロコには、受け止める以外の選択はなく――
「――ンッ!」
そこに込められた何らかの悪意を察し、とっさに手を引く。左手中指の先をかすめた「それ」は、空ろな音を闇に響かせて床に落ちた。白と、黒と、赤の差し色と、空っぽのランヤードリングと……
(……ああ、そうか。思い出した……)
これを投げて寄こした者の存在も、痺れた指先も、シロコの意識の外にあった。無限に引き延ばされる時間間隔、ソーマト・リコール現象の中で断片的な記憶が一つひとつ組み上がる。最後に、見下ろす先の「それ」が、欠落していた部分にはまった。カチリ、という音――幻聴めいた謎の音、錠前のダイヤルがかみ合い外れる音、
(聞き覚えがあると思った、この音だったんだ……)
――そして、ハンドガンの撃鉄を起こす音
(「コモンセンス」……私が使っていた――アヤネが使っていた銃)
音も、光も、本能すらも置き去りにして、シロコの精神はローカルコトダマ空間へ、遥か過ぎ去りし日々へと飛翔していく。この銀行を襲って、そして何の成果もなく向かったのは――
(――そうだ。ここを「前回」襲ったのは)
(――アヤネが、死んだときだ)
- 25二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 05:25:15
- 26二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 11:52:18
前スレのことがあるのでちょっと早めに保守
- 27二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 13:53:21
『ん、大丈夫。いい依頼が入ったから。みんなのおかげ。明日にはまた来るから』
触れてもよさそうな素肌を探し、指先で撫でる。声は聞こえているだろうか……この嘘が。金策の当てなどないのに
『ノノミもセリカも仕事。いつお見舞いにこれるか分からないけど』
嘘だ。セリカは恐らく、もう……。ノノミも仕事に行った訳じゃない
『ちゃんと稼げてるから。借金は返せるよ。入院費も余裕。知ってる? ミレニアムではサイバネが流行ってるって。先生からセミナーに頼んでもらって、可愛いの買おうか。だから……何も心配しないでゆっくり休んでて』
金が必要だった。アヤネに見せるための、たとえひと時でも希望をつなぐための大金が――
成果はなかった
遠く地平線が白む。行かなければ……急がねば……そう分かっているが足が動かない。帰りたくない、病院が怖い、あの閉塞した空間を嘘で満たすのが怖い。次はどんな嘘をつこうか……それとも本当のことを言おうか。アヤネは私よりずっと賢いから、そのうちきっと気付いてしまう――
駅までの道のり。乗った時刻と車両、座った座席。ペダルをこいだ回数。駐輪場の番号。面会手続きに書いた内容……何かに気付いた受付の人が、声をかけようとしたらしい足音。全て鮮明に思い出せる。階段を上って、人のいない廊下を歩いて、病室の前の椅子でノノミが泣いていて、小さな荷物棚の上には眼鏡と髪飾り、銃だけがあって――
――病室にはもう、ひとりもいなかった
「――ンアーッ!」
頭蓋を内側から殴られたような痛みと、右腕を灼けた刃で内から引き裂くような痛みで、シロコの意識は強制的に引き戻された。左手でデスクの角を掴もうとしたが力が入らず、膝が固い床を打つ
(やっぱり何かの攻撃……精神への……)
シロコは鼻血と血涙をぬぐい、歯をむき出して目線を上げる
「ハハッ!ずいぶんとナイーブな『死を導く神』だなァ! 所詮はただの小娘かァ?」
投げ落とされる嘲笑。カウンターの先、記帳台の上に何者かかがみ込んでいた。脇には拘束したはずの警備員2人が、銃をシロコに向けたまま立体マッポ看板めいてピクリとも動かない
「あなたが……黒幕……?」
「おう、その通りだ。ドーモ、レクデップです」
その男――錆色に銀の縁取りのメンポと装束をまとったニンジャが、右人差し指をこめかみにあてたままアイサツした
- 28二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 21:05:37
- 29二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 22:23:26
- 30二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 00:36:45
「オトモダチの遺品だろ、薄情なヤツだなァ! アイサツできるか? できねえか? まあニンジャじゃねえから勘弁してやるよ。こっちもアンブッシュにしちゃあ迂遠過ぎるしな」
「ニンジャ……?」
シロコの記憶にはない。いや、単語は知っているが、目の前の敵――敵で間違いないこの大人を指す言葉ではない。そうだ、敵だ! 先程からの異変、その元凶だ!
「私に何をしたの? いやまずこの子に――」
「トリニティ1年、前衛服飾部の灰庭チカ。カチグミから中流まで幅広く御用達な仕立屋のお嬢さまだってなぁ。嘘はついてないぜ? ホントに権利書があるかは知らねえがな。ミレニアムにいたのを見つけて、ちょいとニューロンに細工してやっただけさ」
「細工……」
「金庫での最後の二手、後はちょうどお前と出会えるように誘導したくらいか。もちろん、お前もな」
(私も……?)
シロコの記憶は逆回しに加速する。操られていた? 自覚はない。この街に来たことも、銀行を襲ったことも。きっかけだった昔の夢には、今でもよくうなされる。精神干渉がないとは言えないが、あるという確証もない。まだ何か……いや、1つ、明らかに不自然なことが
(本名を使った――賞金首を捕まえた時に!)
本名ではこの世界のシロコと競合するから、自分は人目を忍んで暮らしているのだ。既に習慣化した自覚はある。それを無意識に⁉ 彼女と会わせるために!
シロコは確信した。己が知らぬ間にこのニンジャの干渉を受けていたことを、それは即ち――
「最初から私が狙いだった?」
「正解。半分はな」
レクデップはドヒョウ・リングのセキトリめいて、大仰に両腕を広げる
「オレは臆病者でなァ、勝算もなく更なるニンジャの、偉大なるキンカク・テンプルの高みへミナゲなんてのはゴメンな訳よ。だからお前の過去をいただく。いいサンプルだぜ? 色彩、反転、恐怖(テラー)、――いや、それ抜きでも面白かったぜ、お前はよォ。イヤーッ!」
シャウトと共に、モニターが一斉に息を吹き替えした。デスク、サイネージ、ホロモニタ、窓の内側……それら全てが、ネンブツ・ビッグコーラスめいたBEEP音を発しながら赤く染まってゆく――
「ハーッハッハッハッ! マッポーカリプス、ナウ・ショウイング!」
シロコはなす術もなく立ち尽くした。哄笑と映写されるジゴク――彼女自身が招いたアビ・インフェルノの光景に囲まれて
- 31二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 05:54:56
- 32二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 12:43:35
保守ついでに小ネタ
巻き込まれ一般人枠の灰庭(はいば)チカ=サン、名前の元ネタは銀行強盗繋がりで映画「俺たちに明日はない」及び史実のボニー・エリザベス・パーカー
名前の由来がそれぞれ「美」「誓い」「庭師」らしい(庭はアビドス砂漠で喩えに使った枯山水のほう)
- 33二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 19:55:41
- 34二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 22:19:42
- 35二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 05:58:26
次回かその次くらいでモーターミレニアム(仮)が出てきそうかな。
オムラ因子が疼く…! - 36二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 12:37:18
- 37二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 20:19:14
- 38二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 22:24:38
- 39二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 00:05:51
おびただしい「死」が黙示録のイナゴめいてキヴォトスを侵食し、食い荒らしている。人の営みが、全てが、あれほど忌み嫌った砂嵐に呑み込まれるように押しつぶされてゆく
(私だ……)
そうだ。何度も夢に見た
(私が、やったんだ……)
紛れもなく、シロコが招いた終末だ
廃墟で、あの人に向けて引いた引鉄……その果ての「死」。忘れられるはずもない。これがシロコの罪――背負わねばならないカルマ
「――貰ってやろうか?」
眼前にレクデップがいた
「俺のニューロハック・ジツは記憶を操作することに特化しててなァ……弄るのも消すのも意のままだ。俺が欲しいのはお前の過去、記憶だ。お前自身じゃない。なかったことにしてやるぜ? 全部忘れてお仲間とやり直せよ。ビジネス!」
かざした手に、指の隙間から見える両眼に、シロコの意識が吸い寄せられていく。楽園の蛇めいた甘美な誘惑……乾いた唇が、あえぐように開いた
「……あげる」
レクデップの目が笑った。我が意を得たり、とばかりに――
「『死の神』が、あなたに、死を」
CRAASH! シロコの脚が跳ね上がった。蹴り上げられた机が、砕けた液晶モニタの破片が飛ぶ! ――だがその時には既に、レクデップは連続バク転で窓際まで跳び離れていた。モニターに映るのは瓦礫をまき散らして崩落するアビドス高校の校舎……カウンターの伝票が舞い散り、4DX映画めいて映像と重なる。――その向こうをシロコは、少女を背負って裏口へと駆ける!
「ハハーッ!やっぱりそう来たか!」
軽薄、酷薄、嘲笑うレクデップの声に驚きはない。彼にとってのシロコは所詮、ブッダの掌で生かされるマジックモンキーに過ぎないのだ!
「そうだ、そいつは落とすなよ! 平坦なのは趣味じゃねえが暇つぶしにはなるからなァ! 後で消してくれってドゲザするデータと記憶が増えるだけだぜ? ――さぁて!」
SNAP! 指を鳴らす。――2人の警備員がビクリと震え、意識が戻る
SNAP! 指を鳴らす。――UNIXが周辺の通信回線をジャックし、データ転送を始める
「イヤーッ!」
CRAAASH!! レクデップの裏拳が窓ガラスを砕いた。カラテ衝撃が伝播し、シロコの記憶から引き出したジゴクの映像がフスマめいて消える。割れた窓の先、不自然に静まり返った街の夜空に向けて、ニンジャは大音声を上げた
「――銀行強盗だァ!」
- 40二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 05:30:05
- 41二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 07:20:10
※また最後に解説入れる予定だけど、これでも元ネタに比べればだいぶ控えめな邪悪度です
- 42二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 12:36:22
保守。……書こうと思ってたネタ忘れてしまった
- 43二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 21:38:04
- 44二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 00:24:26
ちょっと疲れ気味なので今日は寝る。明日中には#3終わるかな?
- 45二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 07:12:46
保守
- 46二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 12:39:09
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
BEEP!BEEP!
「うえっ!? 何!」
「エリアメールですか?」
市役所の寮、二段ベッドが据え付けられたタタミ12枚分の部屋。先生と生徒、6人分の携帯端末が一斉に緊急アラームを鳴らした。備え付けのテレビ画面がカートゥーンから音声のみのAI生成ニュースに切り替わる
『中央通り1番地、ミレニアム第一銀行に銀行強盗ドスエ。市民の皆さまは比較的安全な室内で自己責任により自衛を重点』
電子マイコ音声が単調なニュースを繰り返す。そわそわするシロコの袖をホシノが引く。……その向かいでノアが小首を傾げる。数秒置いて画面が切り替わった
『犯人情報ドスエ。賞金稼ぎの皆さまは自己責任で捕獲重点ドスエ』
解像度とフレームレートの高いAI生成マイコキャスターが、豊満な胸元でニュースの価値をアッピールする。画面には赤字で『時価』『活気だけ』のテロップが流れ――
「「「「「……あ」」」」」
シロコ以外の5人が、シロコを見た
――強盗犯として表示されたのは紛れもない、シロコの生徒情報だった
「ん、まだやってない」
「見れば分かるわよ!」
「これって大きい方のシロコちゃんですよね?」
「……いや、合成して2人の中間を取ってるね」
先生が画面に顔を近づける。明らかな加工の痕跡は見当たらないが、面差しやヘイローの色が違う。――後者の区別がつかないホシノが目を眇めながら呟いた
「……これ、かなりまずいね」
「何が?」
ホシノはシロコの胸元、学生証を画面と照合しながら続ける
「最初から誰かに仕組まれてた、ってこと。手配書、例のハッキングされたデータが元だよね? もう一人のシロコちゃんがこの町にいて、事情は分からないけど指名手配されて、どっちのシロコちゃんにも見えるように加工した手配書が用意されてた……偶然やアドリブじゃないよ? 私たちも巻き込むつもり。先生どうする?」
「罠かもね。でも放ってはおけない。まずはシロコを探そう」
先生の言葉を待つまでもない。4人は手早く各々の装備を身に着ける。……一方、ノアがタブレットを手に訝しんだ
「先生、通信障害の影響を抑えるために今は警備システムがブロック毎に独立して動くはずですが……ここ、銀行とは別ブロックです。他のブロックも連動していますね」
「ハッキング?」
「……ニンジャかもしれません」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
- 47二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 20:48:53
暗闇の中……元の集合場所の空き倉庫。シロコは息を殺して、ニンジャが灰庭チカと呼んだ少女を肩から下ろした
携帯端末には自分の――「砂狼シロコ」の手配写真が表示されている。ニンジャの仕業だ。入念な仕込みか、それとも超常のジツか……一帯のセキュリティがハッキングされ、ハード面の操作と上位権限なしでは復旧できないはずの、市全体が一個の生物であるかのような、極めて合理的に構築された包囲網が動き出している
「……ん、ごめんなさい」
シロコは呟く。口に出すつもりはなかったが、自然と声になった。
これは先生に貰った端末だ。あの路地裏での厚意を汚し、無下にしてしまった……。そんなことを言ったら先生は一笑に付すだろう。だが、自分は、そう思う
(今さらかな……私は悪い生徒、結局いつも誰かを傷付ける……)
胸の奥が締め付けられる
チカは目を覚まさない。息はあるが、未だ催眠のような状態にあるのか、ニューロンに不可逆的損傷を負ったのか、シロコには診断も治療もできない
彼女は一種の人質だ。……恐らくはポータルを使わせないための
普段でも他人をポータル空間に入れたことはない。何が起きるか分からないからだ。加えて今の不調、最近は極めて危険な「何か」の気配も感じる。だから金庫に入るときも使わなかった
手放せばあのニンジャにはもはや無価値、命の保証はない。連れていくしかない
――そう判断すると踏んでいるのだろう。(舐めるな)(きっと後悔させて見せる)怒りが腹の底で熱を持つ
ややあってシロコは覆面を脱いだ。ぬるりとした感触。穴の縁や内側についた血が、額や頬を舐める。頭を振って乱れ髪を背に流し、少し逡巡して……服の袖で血濡れをこすってからチカに被せた
あの手配書では、こちらのシロコも狙われる、なら私は素顔をさらして追手をいくらかでも引き受ける。今さらの覆面が、チカに意味があるかは分からないが……
(ん、少し我慢して。先生やみんななら助けてくれるから)
目鼻の位置を調整しようとしたシロコの手が、ふと止まった。シャッターの隙間から複数の、センサーの赤い光とモーターの駆動音が洩れている
猶予は終わった。チカを担ぎ上げる
BRATATATATA!
ドローンの銃撃! 狩りの時間だ。獲物は「私」――そう思い、シロコは再び闇へと駆けた
(♯4へ続く)
- 48二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 00:35:53
寝坊に備えて保守
SSでニューロンが右に傾き過ぎてる。左に傾けたい。でもキヴォトスにケモノパンクス流行概念とかはアブナイだと理性がボーで叩いてくる - 49二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 05:58:06
- 50二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 09:14:59
- 51二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 13:39:33
- 52二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 17:25:10
リオ「分野が違えど、ミライは有能な生徒だったわ。彼女も、擬似科学などでなく、アバンギャルド君の可能性を信じることが出来ていたならば、あるいは……」
- 53二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 22:34:07
- 54二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 00:28:42
ミレニアム自治区、夕暮れ時
『1階エントランスドスエ』
そびえ立つビルの規模には不釣り合いの小さなロビーに、エレベーターが止まった。強度と軽量さを両立した最新カーボンショウジ戸が開き、タタミ3枚分の空間に2人分の人影が見えた
「こんなに早く終わるなんて、さすがチヒロ=サンの推薦だ。ついでにセキュリティとエラー履歴のチェックもしてもらって悪いねえ」
「はい!お役に立ててうれしいです。今後ともヴェリタスをごヒイキください」
「ハハハ、そうするよ。あ、でも君はアルバイトだから今回だけか」
「他のみなさんも優秀ですよ」
自治区内でも有数の大手通信企業本社、保守管理部門長に見送られて、明るい髪の生徒が正面玄関を出た。少し着崩したミレニアムサイエンススクールの制服、首から下げた学生証にはミンチョ体で「一時的」と赤い印字。――向かいのビルから同じ服装の、分厚いメガネの生徒が出てきた
「お疲れさまでした! カバン持ちます」
「あ、はい……元気ですね」
「鍛えてますから!」
メガネの生徒は、UNIXやフロッピーディスク、高速データ転送用LANケーブルが整然と詰め込まれたテクノ緩衝材入りバッグを預けて、厭世的な溜め息をついた。インドア派には辛い荷重と対人経験だった
彼女らだけではない。この区画にはヴェリタスに――いや、ヒマリにアルバイトとして雇われた電脳系ミレニアム生徒が数十人、通信インフラに関わる企業・施設をライス・キルローラーめいて回っている
他の区域には、いない。ここが最後だ。アルバイト生徒たちは理由も知らず、上の指示に従っている。――1人を除いて
小さな公園に、他の生徒たちが集まっている。2人はそれに合流しようとして、ふと空を見上げる
夕焼けの中に、ふいに影がさした気がした
「戻ったよ、部長」
疲労を隠しきれない声が、西陽を伴ってヴェリタスの部室に入ってきた。一歩遅れて足音が、また一歩遅れて1人の生徒が入室する
「やあ、お帰り」
「お帰りなさい副部長」
「チーちゃん、お疲れさまでした。何もなくてよかったです」
ドアに寄りかかる副部長・各務チヒロを、ヒマリ、部員の音瀬コタマ、そしてエンジニア部部長・白石ウタハが出迎えた
壁の一面を埋める複数のモニターは、一体となってマンダラ・マトリクスめいた図を描いている。その意図を察して、チヒロもまた深く嘆息した
- 55二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 05:33:09
保守重点
- 56二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 09:13:45
- 57二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 14:07:54
- 58二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 20:08:59
- 59二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 23:29:54
あとミレニアムには海洋生物研究部ってあったんだな(ヴァル水着イベ)
ロブスター……サメ…… - 60二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 05:47:44
そういや居たね。しかも結構強かった
- 61二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 13:02:12
保守。ビズ忙しくて筆進まないけど今日は上げたい
- 62二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 20:57:24
保守
- 63二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 23:09:12
「コーヒーでいいかい? トキが淹れたから安全だよ」
「普段は何か入ってるの? ……いい、少し寝る」
「私に何か言いたそうでしたけど」
机に突っ伏すチヒロ。ホロキーボードをタイプする手を止めないままヒマリが問うが、
「ウタハ、代わりに聞いておいて……あなたも同じこと聞きにきたんでしょ……あと、報告は彼女から……」
声はそこで途切れ、細い寝息が続いた。ウタハは熱いコーヒーをひと口すする
「……だ、そうだよ。教えてくれないかな? 『全知』直々にミレニアム――いや、キヴォトス全域にハッキングを仕掛けている訳を」
ウタハもモニターを見上げた。一見無意味な数字と記号の殴り書き、線と点の集合体だが、分かる者には分かる。キヴォトス全体の物理ネットワークを図示したものだ。恒星めいた光点は主要なプロバイダやサーバー、プロキシ……ミレニアムを中心に一帯がヒマリに掌握されている
視線は地図の中心、赤い点線へと向く
「依頼されたケーブルの再敷設、昼過ぎには終わらせたはずだよ。なぜ接続させないんだ? クロノスに誤報まで流させて。意図的に通信障害を長引かせているようだ。……『リオ会長に似てきた』って言わなきゃダメかい?」
責める口振りではない。心安い相手への軽口だ。ただ最後の台詞はヒマリの気に障ったらしく、タイプが止まる
「分かりました! 言っておきますが今朝まで必要な情報が出揃わなくて言うタイミングがなかっただけですからね? 実際コタマには教えましたし。このミレニアムが誇る超天才病弱清楚系美少女ヤバイ級ハッカーを言うに事欠いてリオと同列視だなんてスゴイ・シツレイですよ?」
「楽しそうだね」
自身も楽しそうにコーヒーをすするウタハ。言われてきまりが悪くなったヒマリは、咳払いして仕切り直す
「秘密にはしません……3年生には。後輩には秘密でお願いします」
「3年生限定?」
「かわいい後輩にはスクールライフを楽しんでほしいですから」
「私もまだまだ楽しみたいな」
ウタハはマグカップを、コタマもイヤホンを置く。眠りの浅かったらしいチヒロも薄目で少し顔を上げた。もう一度咳払いして、ヒマリは告白する
「ニンジャを殺します。私たちで」
「ニンジャ?」
「ええ、逮捕はどうにも無理そうなので」
――その時、部室のドアが開き、生徒2人がエントリーした
【バンクジョブ・トゥ・デイズ・ゴーン・バイ】#4
- 64二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 05:22:11
- 65二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 12:43:06
【一攫千金の秘訣! 寝ているだけで無限に儲かる! あなただけにお伝えする秘密! 今ならセミナー参加者枠に空きがあります! あと一名!】
次からネタ無い時の保守これにしようかな(ドラゴン・ドージョー・リライズのスパム広告) - 66二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 20:19:25
- 67二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 22:25:22
- 68二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 00:25:20
数分後。ヴェリタス部室からはウタハが消え、そして……
「……気にしていません」
「トキ、後で私から言っておきますから」
「いえ、気にしていません。私はここで薄情な皆さまをカフェイン漬け不眠症にするのが得意なので」
いつもの表情で珍しいむくれ顔をしたトキが、飲み残しのマグカップとコーヒーサーバーを片付けて退出する。そんな彼女にヒマリは言伝ての依頼を、チヒロとコタマは気まずい視線を投げ掛けて見送る
「……副部長、起きてて大丈夫ですか?」
「……今ので覚めたよ。で、変なところで話途切れちゃったけど……部長、ちょっと露悪的過ぎない?」
「そうかもしれませんね」
それぞれに冷めかけたコーヒーを口にする。元は同じ部の部員だ、部屋のアトモスフィアが自然とほぐれた
「殺すと言っても実際、私たちでニンジャをどうにかできる訳ではありません。元の計画でもシャーレに依頼するはずでしたが……」
ヒマリの手元のホロモニターに、リオからのレポートが開く。横180度回転、表面をチヒロとコタマに向ける
「ニンジャのおおよその情報が入ったこと、新たな要素が今朝加わったことで、私が構築していた罠は逮捕用から抹殺用になりました。確かに計画では直接手に掛けたりしません。ですが……」
「先生は?」
「いつも通り『責任は大人の私が負うから』と。ただ、何も考えずそれに甘えてはいけないとも思っています」
レポートは後半へ――整然とした情報の羅列が、急にAI生成文章めいた乱文に変わった。合理的判断という題目の迷いと憂いが、文末まで縷々と続いている
「面白いでしょう? 焦っていたとはいえ決断と責任を他人に負わせるとなるとこうですよ、あのリオが。合理損得では世の中割り切れない……感情も同じです。責任感まで人任せにはできません。いずれは責任も。私たちは今、大人でないだけで、今のまま未来に進まない訳ではないんですから。……まあ」
ピポッ! ――着信したメッセージがレポートに重なる
『どうでもいい』
『お前たちは舞台装置、これはおれのイクサだ』
「そんな感傷お構いなしですよ、全くこのニンジャというのは」
ヒマリは苦笑して頬杖をつき、ミルク多めのコーヒーを口に運んだ
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
- 69二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 05:42:56
- 70二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 12:45:06
保守
五月病気味なので後でメイレイン=サンの爆発四散でも読みに行こう - 71二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 20:43:51
- 72二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 21:05:11
- 73二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 23:49:02
- 74二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 05:10:36
- 75二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 13:29:45
【一攫千金の秘訣! 寝ているだけで無限に儲かる! あなただけにお伝えする秘密! 今ならセミナー参加者枠に空きがあります! あと一名!】
- 76二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 21:52:36
さっきまでイベスト読んでたけど……マジで治安悪いなゲヘナ
ネオサイタマのバリキドリンク感覚で爆発物取り出すのか - 77二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 05:14:59
どっちもカス!
- 78二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 08:33:00
アーッ!イケマセン褐色肌のレトロ趣味女ニンジャだなんて先生のヘンタイが暴走してしまう!
しかもセイア声の1000歳越え魔法使いめいたことしながら黒ドレスで「ん……(中略)感想を言うべき?」とかヒロインカラテにカラテを掛けて100倍だ!判るか?この算数が、エエッ⁉ - 79二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 16:23:26
このレスは削除されています
- 80二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 16:50:53
BRATATATATATATA!
目には映らない電子の嵐の中で、赤と金の驟雨が荒れ狂い、闇色の焼け金がアスファルトを、コンクリートを削り取る。赤い光点――円盤状の警備ドローンのカメラアイは、0と1、緑格子の集合体に変換された街の上で、ビルの屋上を駆ける2人分の容積を補足し続ける
「重点!」「重点!」「ヌンヌンヌンヌン……」
――画像補正。対象の顔認証を開始……94%の精度で共有された手配犯との一致を確認。相違点分析……時間経過による変化と判定
「ミレニアム式犯罪者制圧プログラムver.30.02.06による実力行使に移行。これは同自治区法令に則っており異議申立ては受け付けない――」
警告を発するドローンのカメラアイと、なびく前髪の下の左目が、互いを見据えた。銃火はない。追う指揮機はマズルフラッシュで対象を見失わないために。追われるシロコには自由になる銃がない
「重点!」
BRATATATATA!BRATATATATA!
銃火が集中――同時にシロコは前傾を深くして加速! 踏み込みで割れたタイルを一瞬後、銃弾が砕いていく
そのまま加速――瞬く間に断崖が近付くが速度はそのまま、まっすぐ跳躍! 逃げ道を防ごうとしたドローンを蹴り、向かいのビルへと跳んだ
風が肌を叩く感覚が、浮遊感へと置換されてゆく。ドローンが墜落した先、遥か下で、AMASとオートマタの警光灯が流れている
――当初の計画通りなら、道をあと1本超えて隣のブロックに逃げ込めば振り切れたはずだ。警備システムの連携がなければ
(上位権限だけじゃできないはず、まさか、――ん!)
考える余裕はなかった。想定より飛距離が短い……人を抱えている分の誤差、右腕が動かない分の誤差を、倒れ込む勢いで強引に補う。無理な姿勢でのウケミ、打ち付けた肩と脇腹、背骨が痛み――どこで傷付いたのか血が滴る右前腕だけが痛みを感じない
BRATATATATA!BRATATATATA!
引き離したドローンの機銃が足元に届く。射程外で威力の落ちた弾は身体で受け、再び駆け出し――
BRATATATATA――CRACK!
「んッ⁉」
姿勢を崩すシロコ。弾丸の1発が偶然、右のヒールを折った。固いコンクリートに顔面を打ち付け――だが止まらない! ウケミの代わりに手を伸ばし、靴を脱ぎ捨てて走り続ける
――遠くで別の銃声
止まらない。まだ止まれない
- 81二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 22:13:19
- 82二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 00:48:16
- 83二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 05:30:57
- 84二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 11:32:16
- 85二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 18:32:23
- 86二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 20:27:14
- 87二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 23:18:05
屋上の縁を蹴って1メートル低い隣のビルへ、斜めの壁面を走って加速を付ける
BRATATATATATA!
「アイエエエエエ!」「銀行強盗ナンデ!」
追いすがるドローンの銃撃! 銃弾と割れた窓ガラスが夜勤オフィスを跳ねまわる。悲鳴を上げる脱法残業サラリマン! ――悲鳴を気にも留めずシロコは路地を超えて跳躍、室外機の上に着地、古事記に記されしクロコダイルの背を渡るキツネめいて疾走する
(……まずい、ちょっと早い)
ビルの輪郭を浮かび上がらせる赤い光……自分を追うのとは違う地上戦力の動き。中心から聞こえる数種のまばらな発砲音。対策委員会のみんなだ、聞き間違うはずもない。先生も一緒にあるはずだ
彼我の位置、そこまでの地形、警備システムの動きから合流点を計算する
(……おそらく彼女たちの目的地は)
踏み込む。ひしゃげる最後の室外機。飛び移った先の屋上、ドローンの捕捉が切れた一瞬でブルーシートを拾い、胸に抱える
あのニンジャの気配はない
(敵が侮っているうちに、この子を先生に預けて仕切り直す。ちょっと無理しないと……)
(ポータルを封じられた――封じる必要があった。ならポータルを使えるようにして、可能であれば一度捕捉――ヤツが言うところの『マーキング』を外す。少なくとも何らかの不都合はあるはず)
ドローンが接近、さらに地上のAMASが射角を上げる。ビルの角がすぐ先に迫る
シロコは躊躇いなく縁を蹴って、夜空に身を躍らせた。上昇――落下――伸ばした素足がビルをつなぐ電線を捉える。大きくたわむケーブルの上を走る!
(あとは――銃を!)
「ムーヴ!ムーヴ!」
「シロコちゃん、先行しすぎです!」
「そっちが急いで!」
幹線道路を一直線に駆ける対策委員会たち。後方には破壊したAMASやオートマタが転がる。散発的な妨害……これがいつまで続くか分からない
シロコが先頭、ホシノとノノミが並んで続き、セリカが最後尾から支援と後方警戒を担当。先生と並走するノアだけが銃を抜いていない。「戦うな」――それが彼女への先生の指示だ。ミレニアム最上位の権限を持つ彼女はこの街におけるワイルドカードだ。警備システムに敵と判断され、みすみす無効化される手はない
一団が向かうのは市役所……この街の最重要拠点の1つ
ノアの権限をもって警備システムを止める。それにこっちは銀行の、’シロコ’のいる方角だ
- 88二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 07:15:32
保守。スマホのホスト規制が不便でしょうがない
- 89二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 12:47:56
- 90二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 20:53:17
ネオサイタマだし身分証の偽造とかはいくらでもできるとして、なんだかんだ教養とかありそうだし、なんとかなったんだろうね
- 91二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 00:58:19
保守。書ききれなかった
- 92二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 07:35:18
『先生、やっぱりダメです。警備システムに接続できません』
「セキュリティが固い?」
『否定。アクセス自体を受け付けません。システム中枢から各端末への一方的な制御命令以外を無条件で拒絶します』
『メイン端末への直結じゃないと無理みたいです』
インカムから少女の困惑する声。手の中のタブレット端末が熱を帯びていく
シッテムの箱の――OSであるアロナとプラナのタイプ速度は実際ヤバイ級ハッカーに匹敵する。だが通信そのものから除外されれば無力だ。街全体のシステムが別規格に切り替わったようなこの状況下では
「ヒマリの警告通りと言えばそうだけど……ここまでやるか」
「私の権限でも無理です。やはりニンジャですか?」
「その前提で。ノア、通信落として!……アロナ、プラナも」
小声で指示、即座に外部通信機能がオフになる。ノアもタブレットの電源を落とす
今朝ヒマリから受け取った情報によれば、敵ニンジャの能力は――少なくともその一端は通信機器に対するハッキングとEMPめいたジツだ。過負荷により機器自体を破壊するほどの。故に電子機器は使用禁止、通信は旧規格のトランシーバーとした。ヒマリが通信障害を意図的に長引かせているのも、ジツの痕跡をあぶり出すため。……そう聞いている
BLAM!BLAM!
前方で銃声と破砕音。シロコがドローンを撃ち落とし、植え込みに身を隠す
「ん、あとはお願い」
「シロコちゃんも無茶しないでね」
市役所は目と鼻の先、大型オートマタ等も配備されているはず。指名手配されたシロコの同伴は危険だ。ホシノとノノミが追い抜いて行く――
「「!」」
――その時、ホシノとシロコの直感が何かを捉え、銃を空に向ける。つられて他の3人も意識を頭上へ――
CRAAASH!
駐車場の車の1台がふいに圧潰、粉砕された強化ガラスが巻き上がった。ひしゃげたルーフの中央にうずくまる黒と青、そして灰の影。――上空から飛び下りてきた「それ」が、旗ポールのロープを掴んで勢いを落とし着地したと気付いたのは後のことだ
「――シロコ⁉」
「ん、間にあった」
唖然とする対策委員会たちを尻目に、’シロコ’は車の残骸から飛び降りた。足下のガラス片も構わず先生に駆け寄り、ブルーシートにくるんだチカを押し付ける
「先生、この子をかくまって。説明は後でするから」
「……うん、分かった」
「ん、そう言ってくれると思ってた」
- 93二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 13:50:01
合流!あとはアヤネとフジキドの動向か
- 94二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 22:00:35
続きと行きたいが明日出張で早いので今日はパス
>>85と合わせて中間管理職ワイルドハント=サンを偲んでる
- 95二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 04:26:14
保守
今日もビジネスだバカヤロー! - 96二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 20:13:09
ロールバック……? モンハンフロンティア以来だ
- 97二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 22:56:47
落ちてなくて何より
- 98二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 06:55:41
このレスは削除されています
- 99二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 16:18:09
保守、相変わらずサーバーやばそう?
- 100二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 23:22:49
‘シロコ’はそれだけ言って走り去ろうとし、しかし足を止めた。伝えることがあったからだ。まずは、
「ん、シロコ――」
先生は’シロコ’を呼び止めようとした。連れて行くことは彼女が望まないだろう、だがせめて医療キットと通信手段は……
「ちょっと待ってシロコ、これを――」
先生と、先生を振り返った’シロコ’の視線が合う。――その下半分を、黒いアサルトライフルが遮っている
「「……え?」」
’シロコ’の右腕が銃を持ち上げ、’シロコ’の細くほの白い指が銃爪に触れる。そして銃口が先生の喉笛へと――
BLAM!
「「「『――』」」」
声なき4人分の悲鳴が重なる。……一拍置いて、白いアサルトライフルが歩道のタイルに落ちた
銃弾は不自然にその軌道を曲げられ、立木の幹に刺さった。異変を悟ったプラナが咄嗟に張った障壁のためだ。だが彼女も、先生も、何が起きたのかは理解の外にあった。そしてシロコは――2人のシロコがもつれ合うように倒れていた
「……なに、今の?」
放心して見上げる’シロコ’を、シロコが組み敷き、悲嘆とも譴責とも見えない眼差しで見下ろす。痛覚のない右手首に爪が食い込み、新たな血を滲ませる
「バカシロコ!どうして――」
(どうして――『また』先生を撃った?)
自分と同じ声。自分自身の声。加速するニューロンが幻聴を生み、幻聴が呼び起こす記憶がニューロンを侵食する。意識だけがどこまでも落ちていくような感覚――
「シロコ!それ以上言うな!」
「「!」」
先生の怒声が、続く言葉を遮った。その場の全員が、そして先生自身も次の瞬間、蒼白となった
――だがそれは却って思考に真空を生じ、惑乱する2人のシロコの意識を覚醒させた。現実となすべきことが空白を埋め、ニューロンの速さで行動へと繋げる
「――ちびシロコ、そのまま押さえて!腕折ってもいい! 先生、そっちに立たないで!」
「ん、ちびじゃない!」
船上の殺人マグロめいて跳ねまわようとする右腕を、シロコは全体重をかけた腕ひしぎ十字固めで押さえ込んだ。血が沸騰するようにうごめく筋繊維を、力ずくでねじ伏せる。肘と肩の関節が歯の欠けた歯車めいて軋む。だが幸い、今の’シロコ’の右腕に痛覚はない
「ホシノ先輩!ノノミ!市役所には入らないで! ニンジャに掌握されてる、きっとみんな犯人判定される!」
シロコの膝裏の下で、’シロコ’は叫んだ
- 101二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 07:07:17
保守
- 102二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 12:58:59
保守、なかなか通常進行に戻れない
- 103二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 22:11:01
百鬼夜行編はオカルト重点で扱いに困るな……
魑魅一座に武田信玄のラバーマスク混ぜたくはなるが - 104二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 04:21:59
保守
- 105二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 12:42:59
ようやく百鬼夜行2章読み始めたけど、忍術研究部「が」俳句読みながら戦うのか
……知り合いにハデス・ネットの人いない? - 106二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 13:16:22
- 107二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 16:51:20
- 108二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 01:01:16
ホシノとノノミの視線が、’シロコ’と明かりの落ちた市役所受付の間を彷徨う。本来ここで迷う猶予はない。現に今、全方位の路地と空に滲む赤い警戒灯は、刻一刻とその色を強めている。だが――
「……あ、ヤバそう」
気付いたのはセリカだ。彼女の目は闇を透かして、市役所1階のオフィスに数人の職員らしき姿を捉えた
自動認証システム相手ならノアの権限が勝つ。受付まで行けばLAN直結も可能だ。それを防ぐためのカナリアめいた生きた警報装置――ニンジャのジツをまだ知らないセリカたちにも、そこに今、人がいる異常さは察せられた
ノアを見る先生。だが彼女にも名案はない。あるとすれば……
「ホシノ、セリカ。囮を頼める?」
「おっけ」
「当然! ノアさんはもう少し下がってて」
事も無げに言うホシノと、気合を入れてリロードするセリカ。その様に躊躇いはない。2人で市役所受付を制圧、人的空白を生み出すとともに迎撃を引き付け、その隙にノアにシステムを止めさせるつもりだ
だが、
『重点!』「重点!」
システムの動きが早い! 指揮機ドローンに誘導された多脚戦車型無人機が対物砲をシロコたちへ――先生やノアのいる方へ向ける!
「セリカちゃん先行って! こっちは私が!」
ホシノが盾を構え、射線に割って入った。放たれた重く回転する砲弾が表面の塗装を削り取る振動を、ひしゃげる重金属の圧力、炸裂する熱と光を、小柄な身体で難なく受け止める。――一瞬の五感の麻痺を代償として
「イヤーッ!」
鳴り響いた炸裂音をカラテシャウトが裂いた!
「ホシノ先輩!危ない!」
「うへ⁉ な、何――!」
困惑したままホシノは一瞬のうちにタタミ3枚分後ずさり、ノノミに支えられてようやく止まった。爆炎を貫いてきた砲弾や熱戦とは性質の異なる衝撃が、盾を支える腕と肩に食い込んでいた
射線から外れていたセリカだけが、ホシノに肉薄する色付きの風をかろうじて見た。そして後に残った黒い鉄塊を――
そして、ホシノもそれを見た
「え……え⁉」
最初は鏡かと思った。盾をどけた先にあったのは盾――やや色褪せた「IRON HORUS」の銘の。盾と盾がぶつかって低い共鳴りを発する
自分の盾だ。そしてユメ先輩の盾だ。予備があったという話は知らない
「……あ」
「ホシノ先輩!すぐ盾から手を離して――ノノミ!ホシノ先輩を押さえて!」
「ハハッ遅えッ! イヤーッ!」
- 109二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 10:09:11
生徒がニンジャ化した場合、メンターとして一番頼りになるのはシャドウウィーヴ=サンだと思ってる
ハデス・ニンジャクラン限定だけど - 110二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 19:15:49
保守
- 111二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 23:59:13
仕事でバタバタしててSS書くの遅いのに、移動中の車の中で次のネタは思い浮かぶ悲しみ
- 112二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 08:37:04
保守
- 113二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 13:32:38
- 114二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 18:42:59
本人もそうだし、ハデス・ネット限定だけど舞台装置としての役割が優秀すぎる
・ソウル覚醒してれば居場所が分かるし、向こうから来る
・控えめで邪悪でないならメンターしてくれて、かつ本人の意思無視して連れて行かない
・女子高生ニンジャのアンブラ=サンが同行してる
・何かあったらユンコ経由でピザタキ出動、場合によってはフジキド、ナンシー、ユカノ出動
- 115二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 21:58:46
ホシノは躊躇いなく盾を捨てようとした。だが手だけが、盾に溶けたかのように動かず――否、盾とともにオバケめいて動きだした。それはまさしく、先ほど先生を撃とうとした’シロコ’の右腕と同じ超自然の現象だ
小柄なホシノだがその膂力は実際強靭、そこに盾の重量が加われば、先生など容易くネギトロと化すだろう。アブナイ!
「ホシノ先輩ごめんなさい!」
だがノノミの反応が早かった。アイキドーめいた所作でホシノをうつ伏せに引き倒し、盾を持ち上げられないよう伸びきった左腕から背、後頭部までを全身で押さえ込む
「ふぐっ!」
「がまんしてください!」
ホシノは頭をアスファルトと胸の深い谷間に挟まれ、トードめいた苦悶の声を上げた。その姿勢のままノノミはマシンガンを敵に向け、支える重量がホシノの後頭部を押し潰す。ノノミのバストは豊満であった
そして……おお、なんたる無慈悲な光景か。キヴォトス屈指の精鋭たる対策委員会がその力を示す暇もなく、互いに封じあい地を舐める。まさにボーンチップス・カニバライズ、なんたるニンジャの奸智! ――そのニンジャは今、群体カメムシめいた警備ドローンを従え、多脚戦車の砲塔から一同を嘲笑っている
「セリカ、ノアたちを頼む」
「……うん」
歯噛みするセリカを引かせ、先生は2人のシロコの前に立ち塞がった
ドローンが怯む。――警備システムは未だにシロコを犯人、武装した同行者を制圧対象と認識している。先生とノアは攻撃対象外……実弾は使えないのだ
先生は静かに息を吐き、合掌する
「ドーモ、ハジメマシテ。シャーレの先生です」
「……ドーモ、レクデップです」
「アンブッシュは一度までじゃなかったのか?」
「知らねえな、砲撃は警備システムが勝手にやっただけだ。……ニンジャの事どこで知った?」
「何か不都合か?」
生徒には向けることのない冷酷な声と眼差し。レクデップは答えない。……しばしの沈黙。それが肯定か無視かは読み取れない
「先生……」
‘シロコ’が泣きそうな声をかける
「ニューロハック・ジツって分かる? 記憶を操作する能力だって……」
「あのニンジャのジツ?」
ぎこちなく頷く’シロコ’。嘘とは思えない。レクデップは銀行で自分を見下してそう言った。……そして実際この様だ。情けない。先生を、みんなを、無関係な人まで巻き込んで
「ありがとう、シロコ。――だが違うな」
- 116二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 06:26:46
懺悔します。作者は未確認のままシロコ*テラーの靴がハイヒールだと勝手に思ってました
(ケジメ案件)(たぶんアニメ1話で見たと思ってた)(画集未所持)
なお上で忍殺語風にした、身内での争いを意味する骨肉相食むは本来、血縁がある場合にしか使わないので注意
英訳前の「骨付き肉が共食い」の方が忍殺語ぽかった気がする - 117二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 15:46:23
保守
- 118二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 00:26:23
ホシュ・ジツ
- 119二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 00:26:55
ビジネスの都合上、当面はSSの投稿頻度がだいぶ落ちます(前からだけど)
今は何となく思い付いたパワー系生徒vsヴァニティ=サンを想像しながら憩っています - 120二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 08:50:06
保守、ようやくホスト規制回避できるようになった
- 121二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 18:25:34
保守
- 122二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 00:39:00
保守代わりにキヴォトスにロブスター=サンを違法放流してみようかと思ったけど、先が続く気がしない
- 123二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 09:09:40
保守
- 124二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 18:34:58
本編ではなにやら忍研が一時的にパワーアップして活躍したようだが
再定義未遂でもあったのだろうか(未読) - 125二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 20:47:45
セルフ管理メントを重点しつつ決断的に視聴、しよう!
- 126二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 03:58:30
保守
- 127二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 13:11:55
仕事にニューロン占拠されて保守くらいしかできん(マグロ目)
- 128二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 22:48:22
いちおう保守、校正の時間が要る
- 129二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 23:03:06
目を丸くする’シロコ’に向けて、先生は続ける
「教えてないから無理もない。ニューロハック・ジツはボトク・ニンジャクラン……主に生物の死体を扱うクラン由来。電子機器やネットワークは専門外だ」
「でも……」
「大丈夫、分かってるから」
インカムが緑色に瞬く。――アロナの耳打ち。シッテムの箱が、ニンジャの情報を引き出す
記憶に介入するジツではある。’シロコ’をここまで追い込むには、彼女の過去を抉るしかない。そもそも彼女を探り当てたのも、ホシノを――その盾を狙ったのも。思い入れの強い物から持ち主へと、記憶を遡っているのか。ただニューロハック・ジツの性質とは違う
では別のジツか? 否。近いのはユメミル・ジツだが、万能性に比して手口が回りくどい。第一、ニンジャを知らない’シロコ’に嘘をつく理由がない
「ニューロハック・ジツだけじゃない。……何かやってるな? テックか、他にもニンジャがいるか、それとも――」
「……面白いこと言うな、おまえ」
含みを持たせた言葉に、レクデップの見下す眼差しが殺気を帯びる。皮膚が凍りつくような錯覚。常人であればたちどころにニンジャリアリティショックを発症してショック死するやも知れぬ。コワイ!
だが先生は対峙の姿勢を崩さない。生徒を害された怒りがニューロンを蹴飛ばす
加えてこのニンジャは妙な言い回しをした。「『どこで』ニンジャを知った?」――情報の出所を気にしたのだ
(……他のニンジャ、それも特定のニンジャを警戒してるのか)
鎌をかけるか? 時間を稼げば引かざるをえないか? いやリスクが高いか。セリカ以外動けない今、ニンジャ洞察力を読み誤れば最後だ。ミスは許されない
……そして自身の記憶や思考を読んでいる様子はない。やはり何か物を介するのが条件だろう。例えば今、シッテムの箱と手の間に握り込んでいるような――敵が’シロコ’の記憶を読み、こちらの戦力を過大評価していてくれるなら、やりようはあるか?
「私の生徒を傷つけたんだ、ただでは帰さない」
「……へぇ」
感情のない嘲笑。――それが不意に爆ぜた
「ヘェーヘェーヘェー! ハッタリで時間稼ぎか? 確かに厄介だぜ、お前も、その妙なカードも! 俺に時間の猶予が少ないのも確かだ! ――だけどなァ」
ニタリ、とメンポの奥でレクデップが笑った
「誤差の範囲だ。タイムアップだぜ――お前らがな」
- 130二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 07:48:59
(なお昨日の原作更新でヴェイル=サンがやってるのは、オブジェクトありきのノーカンということでお願いします。物から記憶を辿った、っていうのはちょうどあんな感じです)
- 131二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 17:24:38
ある意味一番困る原作とのネタ被り
- 132二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 21:50:40
あ、やっぱりあるんだオリガミ部(ニヤ絆エピ)
でもほのかに膨らみあるなモブ部員(スゴイ・シツレイ) - 133二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 07:43:01
保守
- 134二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 17:14:44
保守
- 135二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 00:26:22
保守、平日は通常進行に戻せるかな?
- 136二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 09:51:25
保守
- 137スレ主25/06/02(月) 19:32:50
執筆、校正、投稿、宣伝これを怠る
もはやこれはスレ主のケジメ案件では? - 138二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 00:17:56
「ARRRRRRGH!」
「シロコ⁉」
訝しむ暇はなかった。先生の背後で不意にシロコの――こちら側のシロコの悲鳴が上がった
ニンジャの存在も忘れて先生は振り向く。その目の前でシロコの身体が跳ね上げられ、次の瞬間、地面に叩きつけられた
「ARRRRRGH!」
アスファルトが砕ける音に、骨の折れる音が重なった。地面を奔った衝撃が巻き上げた砂塵とガラス片の先、銃を構えるセリカとの間に、糸に吊られた損壊ジョルリ人形めいて黒いドレスが立ち上がった
「……シロコ」
その声は、いずれの彼女に向けられたものか
「こちら側」のシロコは、小さな背を丸め、地に伏して震えている。左腕で身体を支えようとしては力尽き、顔を打ち付ける。そして頭を押さえる右手……その指の隙間から血が滴る。目と鼻から、食いしばる唇からの血が……
「あちら側」のシロコは、バイオ柳の下のユーレイめいて頼りなく立つ。右の袖は裂け、露わな白い腕に青いアザが浮かぶ……その肌を透かして葉脈めいた青白い光が、右手から左腕以外の全身へと這い昇っている。そして彼女は、声もなく泣いていた
「見誤ったな? そっちのには忠告してやったのによ――お前が目的の『半分』だってなァ」
歓喜を隠しきれないレクデップに、先生は向き直る
「……セリカ、動くな」
「……うん」
無言で距離を取るセリカ。チカを介抱していたノアも固唾を呑み、しかし堪える
「……シロコ『たち』が狙いだったのか」
「別に1人でもよかったんだぜ? 本命はコイツらの拾われる前、神秘に繋がる『思い出せない』か『存在しない』記憶だ。でかい方だけだと時間がかかるが、同じ存在、同じニューロンを比較対照しながら分析すればあっという間、実に科学的だ! 嫌ならさっさと引き剥がすべきだったなァ!」
「ARRRRRGH!」
苦悶するシロコを青白い光が浸食していく。光は2人の間で呼応し、トモエめいたエテルの円環を構築して加速度的にニューロンをこじ開けているのだ! ナ、ナムアミダブツ!なんたる非道! ブッダよ寝ているのですか⁉
「ニンジャだろうがモータルだろうが、記憶ってのは人格そのものだ。過去も未来も、真理も合理もブッダだろうと、記憶が作った主観なくしては解釈できない。……俺はそれを支配する! いずれは御子のハタモト、その末席くらいは当然だなァ!」
「――黙れ」
風が止んだ。風の音が消えた
- 139二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 08:46:57
保守、カラテが近付くと執筆意欲が高まる(なお仕事の資料〆切)
- 140二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 17:52:55
保守
- 141二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 00:24:23
このレスは削除されています
- 142二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 01:29:30
このレスは削除されています
- 143二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 10:38:32
(後から見直すと実際、>>141はケジメ案件レベルに書き損じてる……まとめる機会あれば直したい)
- 144二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 19:44:07
ブ ー ブ ス ・ バ ン ド(平坦~平均的)
- 145二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 00:13:50
保守。とりあえず最後までは書こう
- 146二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 09:05:35
(というか読まれてない内に書き直してしまえばいいか)
- 147二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 17:01:33
保守
- 148二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 21:07:59
世界を切り出し、固定したかのような凪の中心で、先生はシッテムの箱から右手を離した。手の中には四角い欠落――黒いカードがある
「黙っていろ。何がニンジャだ、他人の日記を覗き見しただけで神を気取るストーカーが」
「ハハッ!言うねえ!」
ニンジャ存在感に拮抗する瘴気めいたアトモスフィアが辺りに満ちた。「大人のカード」――生を削り理を曲げるレリック、起動
レクデップが目を細める。警戒と……そして嘲笑。ジツが阻害されシロコの苦悶が和らぐが、引き換えに‘シロコ’の顔が歪む。脳裏に浮かぶのは彼女の「先生」の姿……そして別れ。抉り出された罪の記憶が、ひび割れた心を浸食してジツが加速、激しく脈動する。――ARAS! ジツの進行には支障なし!
「だめ……やめて先生……」
うわ言めいた悲鳴を絞り出す’シロコ’。だが操られ硬直した筋肉が、折れた腕、黒いライフルを再び持ち上げる。シロコがその足にすがり付くが、腕には届かない。そして無慈悲な銃口は先生へ――
「止めるなシロコ! これは私の怒り、私のエゴだ!」
一喝。凪いだ空間が震える。生徒たちは先生を見る。先生は目を逸らさない
「シロコ。みんな。私のミスだった。だから……責任を取るよ、大人として。みんなにも。全部片付けて、次の機会を作り、やり直して、未来に進む」
はは、と先生は屈託なく笑った。(ああ……この人はまた自分を庇おうとしているのだ)
「さあ、私の行動は決まった! 付き合ってもらうよ、私はみんなに、なにをすればいい?」
「……ん、私と……ライディングに行く」「後で考えます!」「高くつくから覚悟してよね!」「――!」
対策委員会たちの歓声が、遠く――ふと近く聞こえる。代わりに遠い声、ずっと繰り返してきた後悔の声が、潮騒めいてリフレインする
(私のせいだ……)
(私が、全部悪かったんだ……)
――私の「先生」は、もういないから。私のせいじゃない、そう言ってくれたあの人は
(私が、償わないといけないんだ……)
(私が、一人で……)
――ああ、でも赦されるのなら
光に侵食された瞳に先生が――その背の向こうに夜の街が、遠い夜空が見えた
(あの時は、私が私を見ていた。今は、星空の下で、夜空を見ている私がいる。ああ……みんなと同じ世界に私がいる。私が、いたんだ)
’シロコ’はぎこちなく微笑み、いつものように、ささやかな我儘を言った
- 149二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 21:12:30
「先生…………助けて……」
「ああ、任せて」
指が引鉄に触れた。A.R.O.N.A.――今はプラナ、どうか先生を守って。今度こそ、今でも愚かで無様なこの私から
――BLAM! 銃声。そして、音が消えた
――耳鳴りだけが聞こえる
レリックによって切り抜かれた空間が、そのまま1枚の写真になったように、時間の感覚が消失するのを、その場の生徒の誰もが感じた
動く者の消えた空間から、まず、1発の銃弾が消えた。……先生を狙わされた銃弾が、何処とも知れぬ空へと。乾いた銃声がそれを追った
命じたニンジャは――レクデップの姿が、多脚戦車の上から消えていた。否、それは既に機械ではなかった。圧潰し、粉砕された部品の破片を巻き上げる、ドゲザするかのようなシルエットの金属と樹脂の残骸に過ぎなかった。CRAAASH! 破砕音が遅れて響いた
その中心から一筋のロープが空へと伸び、絡め取った黒いアサルトライフルを巻き取る。「BLACK FANG 465」――’シロコ’の銃だ。上空から飛び下りてきた「その者」が、旗ポールを滑車めいて使い、落下の勢いで一瞬にして彼女の手からもぎ取ったと気付いたのは後のことだ。黒い銃は、銃よりも、夜よりもなお暗い装束の手に掴み取られた
「イヤーッ!」
カラテシャウトが響く。黒い銃の機構の奥深くで、青白い電光が爆ぜ、消えた。――カラテ奥義、ソウル・ブロウナウト。漆黒の楔めいた影が、残骸の上で身をもたげる
「テメェ……なるほど、テメェか」
ニンジャ第六感によって一瞬早く逃げ延びたレクデップの右目から、ジツを強制切断された負荷による血が流れる。ニンジャの暴虐な本性が血の臭いに炙られ、燃え盛っていた
影はそれを一瞥し、しかし歯牙にもかけない
「カードをしまうがよい、先生。次は私の奢る番だ」
ジェットブラックの装束、その輪郭をなぞるように橙色の火花が揺らめき、風に散った。口元を覆うメンポに刻まれた「殺」「伐」のカンジが、警備ドローンの赤い灯火よりも一層強く赤熱し、電子基板すらも焼き付かせる程に威圧する
影は――新たなニンジャは、カードに数倍する重い殺気をまとい、アイサツした
「ドーモ、サツバツナイトです」
(#5に続く)
- 150二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 05:09:09
保守
- 151二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 12:05:31
保守
時間制限なければこのスレ内で締められるんだが、別サイト検討する方がいいかな - 152二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 22:02:49
保守
- 153二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 07:45:25
保守
- 154二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 16:19:38
保守
- 155二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 23:46:16
「……私たちが今見ている星は、遥か何億光年の彼方から届いた――つまり何億年も前の光です」
「どうしたの部長? いつもの占い?」
「そうでもありますね」
チヒロとコタマがヒマリを見る。――3人のタイプ速度はいささかも衰えない
数分前、ミレニアムを中心に配された電子ナリコの1つが反応したのにコタマが気付いた。期限を切ってニンジャを急かす、まずは予定通り
ヒマリは続ける
「1つの星座を構成する星々の間でも、何億年、何億光年の差がありますが、星空を見上げる私たちには同じ時です。お互いでは、一方は過去、一方は未来……同じように今この瞬間、これらの銀河に時を超えてどれほどの意味が凝縮されているのか――そして私たちも同様に、数億年先の未来から何を見い出されるのか。過去と今と未来が、決して重ならず、しかしここに確かにあって無限に広がる。だからこそ、どれだけの悲劇を内包しても美しいのでしょうね。星空も、思い出も……さて」
ややトランスして見えたヒマリが、居ずまいを正した
「始めましょうか、私たちの戦いを。……コトダマ空間認識能力者にはネットワークの世界が現実の物理法則と同じに見えるそうですが、今宵のミレニアムはどれほど美しく見えるのか――」
「部長、浸るのが長いです」
「……あら?」
コタマの声でヒマリは気付いた。自身の指先、ワン・インチ離れたホロキーボードの実行キーが既にタイプされ、『システム総じ緑な』の文字が重なっている
――ピポッ!
『いけなかったでしょうか? 今のは暗黒組織のボスが手下に命令する号令かとばかり』
「……いえ、問題ありませんよ」
苦笑するヒマリの後方にもう1人、生徒が腰かけていた。目を閉じ、手を膝の上に置き、人形めいてピクリとも動かない。――否。実際、人形だ。明るいオレンジ色の髪、翡翠色の髪留め型ガジェットから4枚翼のオイランエンジェルを簡略化した意匠のヘイローが頭上に投影されている。首の後ろから伸びるLANケーブルが、外部ハッキング専用に調達した最新鋭UNIXに直結されていた。ネオサイタマ製のオイランドロイドだ
(この期に及んで躊躇いますか、私も)
オホン、と咳払いで誤魔化してヒマリは告げた
「ではC&Cおよび戦闘待機メンバーは警戒態勢に移行――作戦名『カムパネルラ』、開始です」
【バンクジョブ・トゥ・デイズ・ゴーン・バイ】#5
- 156二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 09:07:19
保守
- 157二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 18:36:24
保守
- 158二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 00:08:38
保守
- 159二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 09:30:26
保守
もう発展もなさそうだし保守し続けるのも手間なので、残りは別サイトで書こうと思う - 160二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 19:17:30
その移す先が準備できなくて保守
とりあえずwhiteningに移して、他のネタ思い付いたらpixivかハーメルンかな。どっちも使ったことないんだよな…… - 161二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 22:34:40
というわけで#1と#5を移しました。#2~4と#5の残りは順次、各ページ間のリンクで追加していきます
N-FILEとスレイとも後で
【バンクジョブ・トゥ・デイズ・ゴーン・バイ】#1 | Writening◇◇◇カラテの高まりを感じる◇◇◇ ――風の音がする いつもの砂じゃない、少しだけ湿度のある重い風 最後に聞いたのはいつだった? この時間にアビドス砂漠の外にいて、風の音を聞いたことは、あまりないから …writening.net【バンクジョブ・トゥ・デイズ・ゴーン・バイ】#5 | Writening「……私たちが今見ている星は、遥か何億光年の彼方から届いた――つまり何億年も前の光です」 「どうしたの部長? いつもの占い?」 「そうでもありますね」 チヒロとコタマがヒマリを見る。――3人のタイプ速度…writening.net……これで保守から解放されたな、ヨシ!