- 1125/05/03(土) 23:58:06
- 2125/05/03(土) 23:58:45
前スレ
【クロス注意】幼馴染inNRC Part13|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼プロローグ
【クロス注意】ここだけ|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>個性は dice1d3=@2 (2)@1. 二人とも使えない2. かっち…bbs.animanch.com▼第一章
【クロス注意】幼馴染みinNRC|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第二章
【クロス注意】幼馴染inNRC Part3|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第三章
幼馴染inNRC Part5|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第四章
【クロス注意】幼馴染inNRC Part8|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第五章
【クロス注意】幼馴染inNRC Part11|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com - 3125/05/03(土) 23:59:01
- 4125/05/04(日) 00:00:49
素敵な支援SS様
……ノーコメントで | Writeningパソスト風じゃなく普通のSSです。お目汚し失礼。 登場人物:出久+勝己+グリム+エース+デュース+ジャック+エペル+セベク ふわっと頭に浮かんだワンシーンを書きたいなと思ったらなんか長くなってしまいました…writening.netなんてことない普通の日 | WriteningパソストではなくSSです、ご注意を。 登場人物 トレイ・クローバー 尾白猿夫 砂藤力道(名前のみ) 個人的に尾白くんとトレイ先輩は仲良しであってほしいなぁと思う今日この頃。 アリアーブ・ナーリヤとかいっ…writening.netマスターシェフ〜地獄のニラ〜 | Writening登場人物:轟、リリア、砂藤、トレイ、エペル、デュース、エース、麗日、峰田、青山、学園長 ちょっと体調不良表現あるので苦手な方要注意、なんでも許せる人向け 「食」それは生命の礎。 清き海。強き山。優…writening.netもぎもぎパニック!ドアと化したフロイド | Writening登場人物:フロイド、峰田、緑谷、エース、デュース、ラギー、カリム、ジャミル、ルーク、リドル、セベク、飯田、イデア、オルト キャラエミュ間違い、キャラ崩壊あるかも なんでも許せる人向け 「おーいエ…writening.netドキッ!漢だらけの新メニュー決定戦〜飯テロもあるよ〜 | Writening登場人物:アズール、ジェイド、フロイド、ラギー、青山、飯田、上鳴、切島、瀬呂、砂藤(回想のみ) キャラエミュ間違いあったらスマソ、後半キャラ崩壊あるかも 何でも許せる人向け 「……皆さんが集まっていた…writening.net - 5125/05/04(日) 00:01:26
- 6125/05/04(日) 00:02:13
- 7125/05/04(日) 00:06:43
現在好感度まとめ
【出久→相手/相手→出久、 爆豪→相手/相手→爆豪】
*😺グリム 95/97、 58/47
*❤エース 100/100、 42/88
*♠デュース 100/100、 100/93
*🌹リドル 61/70、 57/94
*🔶ケイト 99/100、 85/87
*☘トレイ 30/27、 60/40
*🦁レオナ 18/65、 36/16
*🍩ラギー 14/59、 72/21
*🐺ジャック 84/100、 52/91
*🐙アズール 72/93、 73/21
*🐬ジェイド 26/65、 21/43
*🦈フロイド 8/33、 28/69
*🦦カリム 77/100、 49/86
*🐍ジャミル 84/66、 47/62
*👑ヴィル 98/76、 75/100
*🏹ルーク 100/100、 70/100
*🍎エペル 89/73、 88/100
*🐲マレウス 75/67、 7/14
*🦇リリア 39/36、 45/21
*🐶クルーウェル 56/-、 13/-
*📚トレイン 78/-、 36/-
*🦾バルガス 16/-、 6/ - 8125/05/04(日) 00:10:27
前回までのざっくりあらすじ
『VDC』のステージで、惜しくも1票差で準優勝となったNRCトライブのメンバーは、オンボロ寮で反省会をしていた。
そのとき、突如現れた鎧の軍団に襲撃され、今までオーバーブロットした面々とグリムが攫われてしまい、勝己は単身追いかけていった。
救けられず、勝己に置いていかれてひとり思いつめていた出久だが、エペルが差し出した手を取り、攫われた面々の居場所が“視える”というルークを追いかけることにしたのだった。 - 9二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 00:23:20
スレ立て乙です いつも楽しみにしてます
- 10二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 00:23:34
このレスは削除されています
- 11125/05/04(日) 00:28:15
出久はこのとき知らなかったのだが、エペルはマジフト部の所属で、一年生ながらあのレオナが一目置くほどの腕前を誇る。
操縦者の猪突猛進な性格を写したように、二人を乗せた箒はジェット機の如き猛スピードで空へと飛び立ち、白い雲を突き破っていった。
🥦「……いた!あの帽子、ルーク先輩だ!!」
🍎「追いづいたや!!待でっきゃこの~~~!!!」
🏹「エペルくん!?ミドリヤくん!?私を追ってきたのか!?」
エペルの声で振り向いたルークが驚愕に目を見開いた。
🍎「決まっっちゃあべな!追ってこねど思う方がどうがしちゃあね!」
🥦「お願いします、ルーク先輩!僕、かっちゃんが戦っているところに行きたいんです!!」
🏹「オーララ!いけないよ二人とも、危険だ!」
🍎「危険だのはあんたも同じだべ!あの鎧だぢさなんも歯立だねがったべよ!!」
🏹「それは……」
🍎「止まんねば、ただぎおどしてでも止めるや!!箒のさぎさ火つけてやる!くらえ!」
🥦「ちょっと待って、エペルくん何してるの!?」
頭に血が上ったエペルは止まらない。エペルは本当に火の魔法でルークの箒を攻撃し始めた。もしルークの箒が燃えて落ちたら大惨事だ。
🍎「くそっ!飛びながら魔法を撃つと、箒のコントロールが……」
🥦「うわああああっ!こっちが先に墜落する!」 - 12125/05/04(日) 00:41:13
🏹「ノン!やめるんだエペルくん!」
🍎「あんたが止まったらやめてやる!はっ!」
🥦「待って本当に止めてエペルくん!!」
エペルが立て続けに炎の弾を撃って、二本の箒が雲の上で激しく蛇行した。飛ぶ手段のない出久はとにかくエペルにしがみついて落ち着かせることしかできない。
🏹「ダッコー、ダッコー!わかったよ、降参だ!」
果たして、上空の箒チェイスで先に折れたのはルークの方だった。
🏹「エペルくん、とりあえずどこかに一度着陸しよう。その服で飛び続けたら、すぐに身体が冷え切ってしまうよ。まったく……風よけの魔法も施さずに。2人とも唇が真っ青じゃないか」
ルークは飛ぶ速度を緩やかに落とし、徐々に下降していく。エペルと出久もその後ろから付いていった。
ルークが着陸場所に選んだのは、人気のないどこかの湖畔だった。ルークは氷のように冷え切った二人のためにすぐに火を起こし、水筒の温かいお茶を飲ませてくれた。
🏹「本当に驚いたよ。まさか私を追いかけてきてしまうなんて」
🥦「………わかってます。僕たちが付いて行っても、足手まといにしかならないかもしれない。でも、どんなに危険だったとしても、僕は彼らのもとに行きたいんです!!」
🍎「連れていってくれとは言わない。だけど、勝手についていく。寮長とダチがやられたんだ。このまま黙っていられるかってんだ!!」 - 13125/05/04(日) 01:05:49
ルークは二人の言葉を聞くと、深く息を吐き、微笑んだ。
「私もキミたちと同じさ。本当は愛する友人が傷つけられ、居ても立ってもいられなかっただけなんだ」と、ルークは理屈をつけてごまかしていた胸を内をさらけ出した。
🏹「いいよ、共に行こうじゃないか。エペルくん。ミドリヤくん。ただし、2人とも絶対に私の指示には従うこと。約束できるね?」
🥦🍎「「はい!!」」
🍎「へへっ、やったな」
🥦「君のおかげだ、ありがとう!」
道を知るルークに同行の許可をもらい、エペルが出久に笑いかけてくれたので、出久もエペルに笑い返した。
*好感度上昇
出久→エペル dice1d20=8 (8)
エペル→出久 dice1d20=1 (1)
🏹「出発前にまずは腹ごしらえといこう。食事をとりつつ、飛行ルートについても説明するよ」
ルークは焚火の火で携帯食料を手際よく温め、出久とエペルに配ってくれた。
火を囲って食事しながら、ルークは自らのユニーク魔法について教えてくれた。
ルークのユニーク魔法は『果てまで届く弓矢(アイ・シー
・ユー)』。魔法をかけた相手の居場所を突き止めることができる効果で、ルークはオンボロ寮での戦闘時に咄嗟にカローンの一人に魔法をかけておいたとのことだ。
🍎「おろ~…………ルークサンが使えるど思うど、おっかね魔法だな……」
🥦「すっ、すごい魔法だ……!潜伏するタイプの敵の操捜査でこの魔法が使えれば、一気に操作が進む!しかも魔法をかけたことが全然分からなかったから、相手に警戒されるリスクも低い……待てよ?潜伏敵の調査以外にも汎用性がブツブツブツブツ」
🍎「うわっ、急に早口で気持ぢ悪っ!」
🏹「ふふ。そんなに情熱的に褒められると照れてしまうな。それでは……僭越ながらお披露目といこう。『果てまで届く弓矢』」
ルークは呪文を唱え、目を閉じた。
🏹「ふむ。カローンたちがヴィルたちを輸送に用いたのは、装甲で魔法を遮断する魔道ステルス機だったようだ。だが、いかに魔道ステルス機と言えど、完全に魔力をシャットアウトすることは不可能」
ルークが“視えた”という足跡のような痕跡は、ナイトレイブンカレッジのある賢者の島を有する『黎明の国』を出て、『珊瑚の海』を北上し、『陽光の国』と『英雄の国』を越え、その先の海上でぱったりと途絶えているらしい。
- 14125/05/04(日) 01:08:05
前スレで会話カットしすぎて説明飛ばしちゃいましたが、『カローン』は出久たちが戦ったの鎧の兵で、『S.T.Y.X.』が有する特別魔導警備班の総称です。
オーバーブロットしてしまった魔法士を制圧・捕獲、嘆きの島に輸送する任務を担当しています。
別名は『渡し守』で、「渡し守に連行されて、戻ってきた魔法士はいない」とも言われています。 - 15125/05/04(日) 01:29:16
おおよその場所は分かったが、地理の授業で見た世界地図からすると、とても箒で行ける距離ではない。
🏹「我がハント家のご先祖様の中に、大変な旅行好きがいてね。先人が世界各国に建てた別荘があるんだ」
ルークの話では、別荘には別荘同士を繋ぐ魔法の転移装置が備わっており、それを使って目的地へ向かう算段なのだという。
🥦「おお……なんだか初めて魔法っぽい夢のある話が出てきたぞ」
🍎「……魔法にどんなイメージもってたんだよ。というか、国をまたぐ魔法の転移装置の設置って国から特別な許可が必要……ですよね?ルークサンの実家って、一体なんの仕事をしてるんですか!?」
🏹「……………ナ・イ・ショ」
🏹「……さ!作戦会議も済んだところで、抜け出したことが先生方にバレないうちにすぐ出発しよう。そうだ、キミたち。身体を冷やさないよう、出発前に着替えた方がいい」
ルークは火を消すと、制服姿のエペルとルークを見てマジカルペンを取り出した。
🏹「箒で長時間飛ぶなら、寮服がおすすめさ。ナイトレイブンカレッジの寮服は、特別な魔法の糸が織り込まれていて、放熱にも防寒にも優れているからね。特別にミドリヤくんにも、我が寮服の礼装をお貸ししよう。それ!」
くるりとマジカルペンを一振り。すると、エペルと出久は、深く鮮やかな濃紺色が美しいポムフィオーレの寮服姿に変わっていた。
🥦「本当だ、あったかい!」
似合うかどうかはさておき、着せてもらった魔法の寮服は、包み込むように出久を守ってくれた。
🏹「我らが女王の御前へ向かうんだ。正装でなくてはね」
ナイトレイブンカレッジ生にとっての寮服とは、雄英ヒーロー科の生徒にとってのヒーロースーツのような位置づけであるらしい。
🏹「エペルくん。飛行ペースは合わせてあげられないよ。ついてこられるかな?」
🍎「ナメでもらえば困るや。飛行術ならマジフト部の1年生で1番の腕前って、レオナサンのお墨付きなんだ!絶対おぐれだりさねはんで!ミドリヤ、振り落どされんなよ!」
🥦「大丈夫。空中での姿勢制御は何度も訓練で叩きこんだ。僕のことは心配しないで思い切り飛んで!」
🍎「そうごねぐっぢゃ!」
🏹「マーヴェラス!さあ、嘆きの島へ向けて……アン・ルー!」
ルークの合図で、出久たちは不穏な出来事には不釣り合いなほどに美しい星空へと飛び出していった。 - 16125/05/04(日) 01:30:05
出久サイドは一旦ここで区切りなので、ここからしばらくかっちゃんサイドに移ろうと思います
- 17二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 08:16:28
- 18二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 08:18:26
立て乙です かっちゃんサイドも楽しみにしてます!
- 19二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 08:19:11
- 20二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 08:50:39
かっちゃんはデクよりかはまだ似合いそうだよね、ポムフィオーレ寮服
ほかにポムフィオーレ寮服似合いそうなのは、青山くん、物間、あと女子だけどヤオモモあたりかな
なんなら青山くんや物間はポムフィオーレモブにそっくりさんがいそうな気がしないでもない
- 21二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 17:02:17
ほしゅ
- 22二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 20:05:57
エーデュース:深傷で医務室
グリム:オバブロ組と一緒に誘拐される
爆豪:誘拐犯を追って飛び出す
緑谷:追加で飛び出す ← new!
クル先の胃が心配だわ… - 23二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 20:08:20
帰還したらアイアンクローで出迎えてくれるな
- 24二次元好きの匿名さん25/05/04(日) 22:52:44
ほしゅ
- 25二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 06:18:03
1Aの担任って大変だなあ
ねっ相澤先生? - 26二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 14:21:37
かっちゃんサイド楽しみだな……
イデア先輩大丈夫?かっちゃんのメンチ辛くない? - 27二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 19:41:14
- 28二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 20:03:25
- 29二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 22:14:43
オルトくん、かっちゃんの言葉使いはあんまり覚えなくていいからね?
- 30125/05/05(月) 22:57:30
- 31二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 22:58:13
最小で済んでる!!
- 32二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 23:06:45
さすかっちゃん
- 33125/05/05(月) 23:31:13
勝己が目を覚ますと、そこは完全な暗闇だった。
膝を曲げられた状態で寝かされていたことから推測するに、どこか狭い場所に押し込められている。空気の流れはないことから密閉された空間であることが分かり、爆破の閃光で光を取るのは得策でない、と勝己は起き抜けながらに瞬時に判断した。
🧨「……此処ァどこだ?」
🐙「ああ、やっと起きたんですね。ここは狭いですから、そのまま大人しく横になっていてください。バクゴーさん」
勝己のすぐ近くから、アズールの声がする。そのまま周囲の会話に耳を傾けていると、リドルとレオナ、それからヴィルとジャミルの声が聞こえてきた。
ヴィルとジャミルの声を聞き、勝己は意識を失う寸前のことを思い出した。
鎧の兵を追いかけていくと、輸送機のコンテナのようなものにジャミルとヴィルが入れられているとこが見えて、コンテナが閉まる直前に大きな爆破でブーストをかけて中に滑り込んだものの、勢い余ってコンテナの壁にぶち当たって意識を失ったのだった。
🐙「全く……。サメが突っ込んできたのかと思えばバクゴーさんで、ものすごい勢いで転がりながら頭を打って失神するとは……。驚きましたよ」
🦁「正気の人間がすることとは思えねぇなァ。それとも、お前らの世界の人間ってのはみんなイカれてんのか?」
暗闇で表情は見えないが、アズールとレオナの呆れたような声が聞こえてくる。
🧨「うるっせぇ。それより、あのクソ鎧どもはどうなった。この輸送機はどこに向かってる。見たところオーバーブロットした奴らが集められとるみてぇだが、クソ狸は――」
👑「残念ながら、その質問に答えられる人間は乗り合わせてないわ」
🐍「この狭っ苦しい輸送機に乗せられて、3時間は経過している。全く外が見えないから、どんな速度でどの方角に飛んでいるのかすらわからないが……学園から遠く離れているのは間違いない」
🐙「……さて、全員目を覚ましたところで、状況を整理しましょう」 - 34125/05/05(月) 23:51:03
アズールは部活中に鎧兵たちに連行されてきたと語り、ともに連行されたイデアと鎧兵たちは顔見知りのようだったという。
🧨(イデア……。ああ、あのタブレット野郎か)
臨時の寮長会議の際に見かけた浮遊するタブレットの持ち主がイグニハイド寮長のイデア・シュラウドという人物だったはずだが、勝己はその生身の姿を見たことはない。
今この場に閉じ込められているのは勝己を含めて6人で、イデアはいない。
🦁「……イデアと連中の関わり合いについては知らないが、俺たちを攫った相手には察しがついてる。奴らは『S.T.Y.X.』の荒事専門チーム『カローン』、別名“渡守”。オーバーブロットした魔法士を捕獲し、嘆きの島に輸送するのが連中の仕事だ」
レオナは夕焼けの草原の王宮で何度か彼らの姿を見たことがあるという。
🦁「通常オーバーブロットを起こした魔法士には、魔法執行官や魔法機動隊(マジカルフォース)が対応することが多いが……場合によっちゃあ、それでも手に負えなくなるときがある。そのときは、『S.T.Y.X.』の出番ってワケだ。ブロット研究のスペシャリストとして、ヤツらが介入してくる。……当時国からの要請があろうとなかろうと、な」
レオナの話では、『S.T.Y.X.』は魔法技術やブロットの研究をしている組織だが、その規模、研究内容、構成員、その他の情報が全て非公開であるらしい。
その本部があるとされる『嘆きの島』も、世界地図のどこにも載っていないほどに徹底して秘匿されているという。
🧨「……まるで禁域だな」
🦁「……しかし、“渡し守”がとっ捕まえにくるのは、オーバーブロットし、もう“引き返せなくなった”状態の奴らだと思っていたんだが……」
👑「ちょっと待って。アタシたちはもう、あの忌まわしい状態から解放されているわ。その後も魔法医術士に適切なカウンセリングとケアを受け、経過観察も異常なしよ。それなのに、なぜ突然こんな乱暴な方法で捕らえられなければならないの?」
🦁「そんなこと俺が知るかよ」
突如襲撃してきた鎧兵たちの正体は判明したが、その目的は未だ不透明。コンテナ内に満ちる猜疑と不安の気配は依然として色濃いままだ。 - 35二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 06:49:14
- 36二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 11:24:54
☆
- 37二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 11:41:43
- 38二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 14:50:11
突撃とともに吐血とかなったら流石のイデアも(というか他のみんなもS.T.Y.X.の大人たちも)焦るだろうな…と心配してたんだけど流石の最小値。すごい
- 39二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 20:12:32
- 40二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 21:52:07
このレスは削除されています
- 41125/05/06(火) 21:53:51
暗く狭い空間の中で、情報と憶測が飛び交う。
シュラウド家はアジーム家にも引けを取らない大富豪で、海底油田やレアメタルで財を成したジュピター財閥の分家の一つだとか。
シュラウド一族は表舞台には一切顔を出さず、『影の統率者』として名を馳せているのだとか。
レオナの話からして、特権的な立場をもつ人間ならば『S.T.Y.X.』と関わりをもつ機会のあるのかもしれないだとか。
🐍「しかし、そんなお方が従者も連れずに1人で学園に入学してくるなんて……あっ!」
🧨「なるほど。それであのメラメラロボか」
🌹「メラメラロボ……って、もしかしてオルトのことかい?確かに彼は頭部と胸部がメラメラ燃えているけれど……」
🦁「センスがまんまバカな仔犬だな」
👑「アンタって本当に……黙っていれば素材は悪くないんだけどね。黙ってさえいれば」
🧨「ア?テメーらが黙れやオバブロヤロー共」
勝己の独特のあだ名センスに総突っ込みが入るが、本人はどこ吹く風である。
👑「それはさておき……『影の統率者』と『秘匿された組織』。なにか繋がりがあってもおかしくないわよね」
🐙「でも、これで少し安心できましたね。イデアさんが口添えしてくだされば、案外すぐに解放されるかもしれません」
ボードゲーム部を通じてイデアと交流の深いアズールが安心したように息を吐いた。
🦁「……どうだかな。俺たちは“被検体”として捕らえられたんだ。どんな目に遭わされるか分かったもんじゃない。俺が昔王宮で呼んだ歴史書じゃぁ……“渡し守”に嘆きの島へ連行されて、戻ってきた魔法士はいないとか」
レオナの言葉に、緩みかけていた空気が一気に緊張する。レオナはわざとらしいシニカルなため息を吐くと、尾を器用に操って寝かされたままの勝己の膝をつついた。
🦁「それに、そこのバカ犬は“被検体”ですらない。あの兎が悲しむようなことにならなきゃいいけどな」
🧨「……させねぇよ、そんなこと。ナメんな」
🦁「フン。ヒーロー様は勇ましいようで何よりだ」 - 42125/05/06(火) 22:08:31
話の途中で、今までとは明らかに異なる種類の揺れが走った。輸送機がどこかに着陸したのだ。
🔥『輸送機内の気圧を調整完了。エアロック、解除します』
どこからともなく、甲高い少年のような音声でのアナウンスが響く。オルトの声だった。
ガコン、と金属が外れる音がして、壁の一部が開ける。暗闇に慣れ切った目は外界の光を受け止めきれず、視界が真っ白に塗りつぶされた。
👑「う……まぶしい。ここは……」
段々と目が光に慣れてくると、無機質な壁と床に電子的な光が走ったいかにも研究施設といった風情の廊下が視界に広がった。
「あー、皆さん。暗くて陰気臭い、嘆きの島……『S.T.Y.X.』本部へようこそ」
👑「アンタは……!」
背後から声がしたので振り向くと、勝己以外のメンバーは皆驚きで目を見開いた。
そこには、長身痩駆で肌は蒼白く、青い炎のような髪を揺らめかせた男が立っていた。
その傍にはカローン兵とオルトがいる。男の青く燃える髪は、オルトの頭部で燃える炎の色とよく似ており、まるで兄弟のようだった。
💀「ど、ども……『S.T.Y.X.』所長代理、イデア・シュラウドです。フヒッ……」
「「…………は?」」
💀「あれ……なんかノリ悪いね。『えーっ!?』とか『うそーっ!?』とかない?」
*かっちゃん イライラ dice1d100=62 (62)
*イデア なんか呼んでない人がいるけど……
dice1d4=1 (1)
1.とりあえずスルー
2.控えめに触れる
3.びっくりする
4.煽る (かっちゃんのイライラ + dice1d10=10 (10) )
- 43125/05/06(火) 22:19:31
🐙「驚きすぎて、逆に落ち着いてきました」
👑「確かに、シュラウド家と、『S.T.Y.X.』になんらかの繋がりがあるかもしれないとは話してた。で?アンタが所長代理?……“なんらかの繋がり”どころじゃないじゃない!」
🦁「おいカイワレ大根。まずこの状況について説明しろ」
💀「歯をむき出す獣人属の威嚇こわ……それについては順を追って説明するから、まずは落ち着こ?」
グルルル、と獣のような唸り声を出すレオナにイデアがかぶりを振る。イデアの軽薄な態度の言葉はその場の人間を落ち着かせるどころか、火に油を注ぐことになった。
🐍「いきなり学園を襲撃し、武力行使で強制連行しておきながら『まずは落ち着こ』?」
🌹「そう言われて落ち着けるわけないだろう!!!首を刎ねられたいのか!!」
「被検体A、魔法構築の開始を確認。スタンシステムで意識を……」
🧨「…………っ!!」
💀「あーーー、待って。ちょいタイムタイム」
イデアの傍に控えているカローンが武器を構える気配がしたので勝己は咄嗟にリドルとの間に入ろうと構えたが、カローンが攻撃するよりも先にイデアが制止に入った。
💀「ナイトレイブンカレッジからお越しのみなさん……なにか忘れてるんじゃないかなぁ?」
「「え……?」」
💀「君らが今いる場所はどこ?そんで僕は誰だっけ?」
💀「……僕がボスだ」
*かっちゃん イライラ dice1d100=32 (32)
↑の🎲との合計が100超えたら一回キレます。超えなければ様子見。
- 44二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 22:20:41
危ねぇギリ堪えた
- 45二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 22:20:56
94だからギリギリ切れてない
- 46二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 22:21:24
かっちゃん大人になって……!(※めちゃギリギリ
- 47125/05/06(火) 22:31:12
低い声でブツブツとした、しかし巧みに人の神経を逆なでするようなイデアの話し方が勝己の苛立ちを煽る。正直今すぐ罵倒したい。
が、見ず知らずの閉鎖空間で下手に暴れるほどの悪手はない。勝己は苛立ちを押さえこみ、状況を見定めるための様子見に徹することにした。
ちなみに、表情筋は正直なので、勝己の顔を見たジャミルがぼそりと「マスクメロンみたいだ」と呟いた。閑話休題。
💀「僕に痛いことをしないなら、僕も君らに痛いことはしない。OK?」
🔥「兄さんの推奨行動により、みんなが負傷する確率が56%低下するよ」
👑「……いいでしょう。今は他に選択肢もないし、大人しく従ってあげる。それで?無理やり招待したからには、お茶の用意くらいはしてあるのよね?」
💀「態度と発現から“大人しく従う”意思が微塵も感じられない……まあいいけど。じゃ、みんな僕についてきて」
イデアはめんどくさそうにため息をつき、両手をポケットに入れて歩き始めた。
💀「ああ、そうだ。どこから入り込んできたか知らないけど、オンボロ寮の君も同じ部屋ね」
🧨「おい。クソ狸はどこやった。アイツらと一緒に攫ってきたはずだ」
💀「はあ~~?クソ狸って誰。っていうか、人に何かを尋ねるときはちゃんと正式名称で呼びましょうって教わらなかったんですかぁ?」
🧨「…………」
*かっちゃん dice1d2=2 (2)
1.キレる
2.耐える
- 48二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 22:35:46
耐えた、かっちゃんw
- 49125/05/06(火) 22:49:50
🧨「ヂィッ!!!」
💀「えっ、嘘でしょ。今の舌打ちの音?舌千切れそうなんだが」
🧨「……モンスターのグリムだ。あのカローンとやらがケージにいれて連れ去っていくところを見た」
💀「ああ……グリム氏か。グリム氏は別対応だから別室。別に取って食いやしないよ。学園の貴重なモフモフ成分が失われるのは僕も嫌だし」
勝己が捨て身で乗り込んできた覚悟と苦労なんて露知らず、イデアは実に軽い調子で勝己の質問に答えた。さすがにグリムの居場所までは吐いてくれなかったが。
💀「まさか君、それで『S.T.Y.X.』の輸送機に乗り込んできた訳?正義感の鬼なのかお人好しなのか知らないけど、乙っすわ~。っていうか、その辺の説明も今からするんでさっさと来てくれます?」
イデアの話し方はとにかく腹が立つが、特に悪意のような気配は感じられない。
🧨(怪しい動きをしたら即爆破する……!)
大切なのは状況を正しく理解することと、動くタイミングを間違えないことだ。
勝己はムカムカする気持ちを抑え、イデアの後を着いて行った。 - 50二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 00:10:59
多分目とか輪郭からはみ出してるだろかっちゃん
- 51二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 06:20:06
初期〜中期っちゃんならきっとブチ切れてた
- 52二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 06:23:06
内心キレてるけど一応堪えてて、かっちゃんも大人になって…ていう謎の感動がある
- 53二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 08:01:23
- 54二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 14:51:08
ほっしゅ
- 55二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 17:10:16
これ、かっちゃんも戦闘シュミレーション?みたいなやつやるんやろか
- 56二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 19:04:30
過去は消えないってデクダンスする系のデクと戦う感じ?
- 57二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 21:48:45
なんか保護者目線で感動してしまうよな
- 58二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 21:54:44
ツイステ原作未履修勢もこの辺は原作見てほしさある
イデアのクソ腹立つ煽りをフルボイスで聞いてほしい
かっちゃんよく耐えてるよ - 59二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 00:03:15
CV内山昂輝の「僕がボスだ」宣言は
このスレ内だと色んな意味で業が深い - 60二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 07:23:07
ほんまにな>CV内山昂輝
- 61125/05/08(木) 11:11:46
💀「カンファレンスルーム入る前に、みなさんには外界の雑菌を洗浄してもろて」
イデアに連れて行かれた先は、勝己が小学生の頃の工場見学で見たような、入口に備え付けられたエアシャワーユニットのような扉だった。
研究所だというのなら、外部から招いた人間の衛生状態に気を付かなければならないこともあるだろう。合点がいった勝己は、「とりあえず一人ずつ入っておなしゃーす」とふざけた口調で告げるイデアに苛立ちながらも扉を潜った。
扉を閉めた瞬間、ガチャリと鍵が閉まる音がする。
こうした設備はエアシャワーが吹き終わった後に入口と反対側の扉が開錠されるのが相場だ。勝己は冷たいエアシャワーの感覚に備えて身を固くした。
――ウィーーン!!!ガチャガチャ!!ゴゴゴゴゴ!!!
🧨「うおっ!?」
勝己の予想を裏切り、魔法か何かで服を一式全て取り去られたかと思うと、心地よい温度のシャワーが吹き出てきて、洗車機のような回転するブラシで全身くまなく擦られまくった。かと思えば、今度は機械のアームの先についたブラシを耳と口に突っ込まれて、これまたゴシゴシ擦られる。
最後にもう一度シャワーが吹き出たかと思うと、今度はあらゆる角度から温風を当てられて乾燥させられ、仕上げに病衣のようなスモックを頭から被せられたところで、ガチャリと前方の扉が開錠された音がした。
*かっちゃん 全自動入浴マシンの感想
dice1d100=1 (1)
1:マジで最悪。二度と入りたくない。
100:合理的だから忙しいときには悪くないかもしれない。
- 62二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 11:38:15
ほんとに最悪だったんだな...
- 63二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 11:52:30
渾身の1だな…
- 64125/05/08(木) 11:59:25
🧨「おいクソモヤシ。何だ今のふざけた機械はよォ……」
💀「ひっ!!顔怖すぎんかこの人……」
全自動入浴マシンから出るなり、勝己は中指をおっ立てながらイデアに詰め寄った。口にブラシを突っ込まれて閉口もままならなかったため泡を飲み込みまくって胸がムカムカするし、傷跡を無遠慮にゴシゴシ擦られた上に配慮皆無で温風を当てられてヒリヒリしている。
勝己以外のメンバーからも非難轟々だ。特に、世界的モデルであるヴィルは肌に無遠慮に触れられた上にスキンケア用品の一つもないことに怒り心頭である。
🔥「えー?研究員のみんなには『入浴がすぐ澄んで効率的』って好評なんだけどなあ」
🧨「チッ!クソギークどもが!!」
オルトの言葉で、勝己は最終決戦前の発目の姿を思い出した。垢まみれで悪臭を放ち、散々周りから「風呂に入れ」と言われようとも工具を手放さず“ベイビー”たちにかじりついていた彼女のような人種は、確かにこの機械が必要なのかもしれない。
だが、勝己に言わせれば、緊急時以外の風呂キャンセルだなんて怠慢もいいところである。
🧨「日頃から風呂に入る時間も取れねぇようなら、そもそもタイムマネジメントが甘ぇんだよ!!大体、睡眠と風呂を犠牲にしたところで、自立神経乱れて結局能率落ちンのが目に見えとンだろうが!!それにクッセェ臭いで周りの人間のモチベも下がって悪影響なンだよ!!」
🔥「う~ん。バクゴー・カツキさんの言うことは一理あるね」
💀「ええ……その顔で言うことマトモなの、逆に怖いんですが……」 - 65125/05/08(木) 12:05:27
- 66二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 12:07:32
こんなきれいな1が出ることあるんだ……解釈一致だ……
- 67二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 12:11:28
顎削られるアズール想像したら草
- 68二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 12:14:34
イデア氏……その子ね、口は悪いし目つきも悪いしガラが悪いけど、一部以外は基本すっごいまともというかなんというかな事言う子なんです……
- 69二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 15:29:51
- 70125/05/08(木) 15:47:47
🦁「チッ……なにより、腹がたつのはこの首輪だ」
🌹「このチョーカー……ボクのユニーク魔法、『首をはねろ(オフ・ウィズ・ユアヘッド)』と同じ効果があるようだね。さっきから何度も魔法を使おうとしているけれど、全く発動しない」
全自動入浴マシンで最後に首にはめられたチョーカーは魔法封じの効果があるようで、みな落ち着かないような嫌そうな顔をしている。勝己はいつも通りニトロの汗が出るので特に問題はないが、首輪をかけられているようで気分的によろしくない。
🔥「ごめんね。そのチョーカーは正確なデータ収集のために館内ではつけてもらわないといけない決まりなんだ」🧨「オイ。俺ァオーバーブロットしてねぇし、データ収集もクソも無ぇだろ。外せ」
🔥「バクゴー・カツキさん。当初の予定にはなかったけど、キミもこれから行うデータ収集を一緒に行ってもらうから、外してあげられないんだ。ごめんね」
🧨「チッ!」
🔥「異世界の、それも特殊体質の人間のデータなんて滅多に取れないから、協力してくれると嬉しいな」
🧨「人のことモルモットみてぇに言いやがって」
💀「いや魔法でもないのに手が爆発するなんておかしいでしょ。自分がビックリ人間だって自覚ないんか?」ボソッ
🧨「何か言ったか?もっとハッキリ話してみろや」ニコッ
💀「アッ、なんでもないっすサーセン」
勝己に笑顔で凄まれたイデアはますます声を小さくして、ひょろりと縦に長い体を縮こめた。
💀「……ゴホン。では、みなさんが外界からもちこんだ雑菌の洗浄が済んだところで、まずは自己紹介がてら、我が『S.T.Y.X』の紹介ムービーをご覧いただきます。席にかけて、前方のスクリーンを御覧ください」
妙に棒読みなイデアのセリフとともに部屋の照明が絞られ、スクリーンに映像が投影される。
『館内では映像の撮影、録音は規定により禁止されています。映像の途中でご気分が悪くなった方は、当館スタッフまで遠慮なくお知らせください』
紋切り型の前口上とともに、『S.T.Y.X.』の研究内容を紹介するイメージPVが始まった。
*かっちゃん 映像の感想 dice1d100=65 (65)
1:胡散臭い
100:ちょっと興味がある
- 71125/05/08(木) 16:04:54
『S.T.Y.X.』の紹介ムービーとやらは、ヒーローコスチューム制作の企業が出しているプロモモーション映像と雰囲気が似ていた。
話を鵜呑みにするのならば、『S.T.Y.X.』は世界中から魔法とブロットに関するデータを収集・分析し、得られた研究成果を通じて魔法士の安全な暮らしをサポートする非営利活動をしている組織、であるらしい。
理念だけを見れば立派な研究組織である。被検体を拉致しまくっている現状に目を瞑れば、であるが。
💀「……はい。ムービーは以上となります。ご清聴ありがとうございました」
👑「なんだか、ものすごく安いイメージPVだったわね……」
💀「まー、噛み砕いて言うと……『S.T.Y.X.』は不確定要素満載のミラクルパワー“魔法”を安全に運用するためにいろいろやってる。中でもブロットに関しては、まだ人類が粘土板に文字を掘っていた頃から飽きずに研究し続けておりマス」
🦁「で?『S.T.Y.X.』の所長代理サマは、俺たちにどんな恐ろしい実験をするつもりなんだ?」
レオナが喉奥でグルルと唸りながらイデアを睨みつける。イデアは口角を持ち上げてニヤっと陰気な笑みをつくった。
💀「ヒヒッ、よくぞ聞いてくれました。まずは……君らを椅子にくくりつけて動けなくして、ありとあらゆる方法で体のすみずみまで検査して……ストレスとブロット蓄積量に関するデータを取らせてもらおうかなぁ!」
🌹「なっ……!そんな理不尽な行いが許されると思っているのかい!?」
💀「いや、ネタに決まってるじゃん。冗談通じない人こわ……」
🌹「ぐ……ぐぎぎ……!!!!」
🧨「コイツ爆破してぇ……」
🦁「良いじゃねぇか、やってやれよ」
🐍「良くないでしょう!?レオナ先輩、バクゴーを焚きつけないでください!!」
🐙「そうですよ!万が一ここの機材を損傷させてしまったら、連帯責任で僕まで損しかねないんですから!」
🧨「ア?俺がそんな下手打つわけねぇだろうが、ナメんな」
🐍「どっちも気にする点がなんかズレてるな……」 - 72125/05/08(木) 16:21:41
🔥「もう、兄さん!みんな突然ここに連れてこられて不安なんだよ。怖がらせたらかわいそうでしょ」
👑「あら……弟のほうがよっぽど人の心を持っているようね」
🔥「それに、被検体に過度なストレスを与えると正確なデータがとれなくなっちゃう」
👑「…………前言撤回。完全に兄と同類だわ」
この兄にしてこの弟あり。どのようなプログラムで動いているのかは不明だが、オルトの言動は確かにイデアとのつながりを感じさせた。例えば、デリカシーに欠けているところだとか。
🔥「あのね、ナイトレイブンカレッジのみんなに来てもらったのは、データ収集に協力してほしいからなんだ。君たちはオーバーブロットした。でもファントムに取り込まれず“戻れた”貴重な存在(サンプル)だから」
オルトとイデアが代わる代わるオーバーブロットという現象について説明する。
ファントムとは、オーバーブロットした際に体内に蓄積しきれず溢れたブロットが形作る巨大な化身の名称。
魔法士がオーバーブロットすると自身の限界魔力量以上の魔法を使えるようになるが、それはファントムがブロットをエネルギー源にしているから。それ故、オーバーブロットした魔法士は本能的に魔力をガンガン消費して、ブロットを精製し続け、ブロットを喰らってファントムも肥大化し続ける。
最終的に魔法士の魔力が底をついたらファントムの苗床としての役目が終わり、魔法士本人は消滅して欲望と負の感情の煮凝りであるファントムだけがこの世に残される。
💀「未練がましく呪詛を吐きながら、この世の彷徨う怪物……だから亡霊(ファントム)。そうなったら魔法機動隊に討伐されるか、あるいは……捕縛され、検体として『S.T.Y.X.』に収容されるか。ごく稀に、魔獣や野生動物なんかに紛れて山奥に隠れ住んだりしているらしいけどね」
🧨「……ドワーフ鉱山にいたデカブツはそういうことか」
イデアが語った情報はどれも一般に知られていないものばかりだ。オーバーブロットした人間が辿る恐ろしい末路を聞き、その場にいる者は皆重々しいため息をついた。
🐍「オーバーブロットし、魔力を放出しきれば命を失うと聞いていたが……」
🐙「あの怪物だけがこの世に残るだなんて。……にわかには信じたくない話ですね……」 - 73125/05/08(木) 16:37:37
💀「ま……『ファントム』にまでなっちゃうケースはそこまで多くない。そもそもオーバーブロット自体、魔力の保有量が多くて実力のある魔法士じゃないと陥らない現象だからね」
💀「なのに、この短期間にこれだけの人数が同じ学園内でオーバーブロットって……。うちの学園、SSR[前代未聞の問題児]のカードが連続で実装されすぎ草って感じですわ。フヒヒッ」
🦁「……お前は本当に、人の神経を逆なでする喋りの天才だな」
🧨「テメーは人のこと言えねーけどな」
🐍「お前も人のこと言えないだろう。話をややこしくするな」
最後にオルトが『S.T.Y.X.』はブロットの有効活用に関する研究に特に力を入れているんだ、と補足したところで、『S.T.Y.X.』に関する説明はいったん区切りとなった。
🦁「ブロットの再利用ねぇ。その大切な研究のためなら、使えそうな魔法士(サンプル)は力ずくで捕縛してくる、と。随分とご立派な活動をしてんだなァ。『S.T.Y.X.』ってヤツは」
🔥「今回、みんなに事情を説明することなく強制的に連行してしまって申し訳なかったって思ってる。でも、みんなだって、もう二度とオーバーブロットなんかしたくないでしょう?」
イデアの煽りとはまた違った角度で人の苛立ちを煽るレオナのお上品な皮肉が炸裂するが、オルトには効いていないようだ。
🔥「ましてや、ファントムの種芋として出がらしなんか絶対になりたくないよね?そのために、自分のもつ魔力やブロットの性質について知るのはすごく大切だよ。未来の自分のためにも、しっかり精密検査を受けていってほしいんだ」
👑「随分と聞こえの良いことばかり言うのね」
🧨「要するに『データ収集に付き合わなきゃ帰すつもりは無ぇ』ってことだろ」
🔥「……話が早くて助かるよ」 - 74125/05/08(木) 16:57:20
💀「というわけで、サクッとデータ収集を終わらせよう。みんな手元にあるタブレット見て」
イデアに言われてタブレットを覗き込むと、NDA、秘密保持契約に関する文書が表示されていた。
💀「読んで内容に合意したら、最後にサインたのんますわ。フォームにメアド登録しといてくれたら、写しのダウンロードアドレス送るんで」
👑「はあ?有無を言わさず連れてこられたアタシたちに、NDAにサインしろですって?武器を持った人間まで同席させておいて……脅しも同然じゃない!」
ヴィルが部屋の出入り口脇に控えているカローンを睨みながら叫んだ。
💀「これは君たちを守るための契約でもあるんだ。君らがデータ収集に協力してくれるなら、最先端のブロットケアを提供する。検査にかかる時間は約24時間。たった24時間だけ、僕らに協力してくれればいい。で、スムーズに検査を終わらせて、サクッと全員ハッピーに解散ってことで」
それっぽいことを言っているが、「僕だってしたくてこんな仕事してんじゃないんだよ」「本当は今すぐ推しキャラのイベ走りたいの」とブツブツ漏れる本音のせいで台無しである。
💀「一刻も早く解散したいなら、さっさと読んでちゃっちゃとサインして」
「「…………」」
早口でまくし立てるようにサインを急かされて、カンファレンスルーム内でイデアへのヘイトが高まった。
人間、共通の敵がいると一体感が高まるもので、顔を合わせれば嫌味の応酬が日常茶飯事のレオナとヴィルが似たような愚痴を言って「気が合うな」「気が合うわね」と零すほどである。
🧨「モヤシ野郎はクソムカつくが、こいつを読まねぇことには先に進まねぇか……。早く戻ンねーとあのバカが何すっか分かんねぇからな」
今のところ『S.T.Y.X.』内では、オンボロ寮襲撃時に想像した最悪のケースにはなっていない。むしろ、極めて穏便なケースだといえる。この分なら、別室にいるというグリムもひどい目に遭わされていることはないだろう。
そうなると、次に心配になるのは必要と判断すれば大胆に規則をブチ破る幼馴染のことだ。
🧨(嘆きの島は地図にも載ってねぇ禁域……。輸送機の感じからして確実に大陸を横断しとる。移動の足が無ぇアイツがここまで来られるとは思わねぇが……)
🧨(まさかな……) - 75二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 17:03:12
そのまさかなんですよね~
さすが主人公なので助けてくれる人の引きはピカイチなのよ - 76125/05/08(木) 17:10:07
1時間後。
💀「あのさぁ……ほんとに内容を一字一句最後までしっかり読んで、1項目ごとに質問してくることある?」
👑「サインするなら、すべての条件に合意できてからなのは当然でしょう」
🐙「ええ。万が一にも僕が損をするような契約だったらたまりませんから」
🌹「もし法に触れる内容などが盛り込まれていたらどうするんだい」
🧨「あいにく俺ァ心臓が悪いもんで、悪化するような検査項目が無ぇか不安で仕方なくてなァ?」
🐍「……砂漠を10キロ行進して、『VDC』のハードなレッスンでしごかれまくってもピンピンしてたヤツが何を言ってるんだ……」ボソッ
💀「君らほんとブレないな……。さすがSSR[前代未聞の問題児]集団……」 - 77二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 17:11:05
今のデクくんって魔力も個性も無い純人間だけど行動力と踏んできた場数や死闘はトップクラスなんよな…
- 78二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 17:12:31
もう1人SSRの問題児(元世界でも同様)も来るぞ
- 79二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 17:15:58
そもそも入学して間もない時点の体育祭で実質無個性状態で決勝トーナメントまで勝ち上がってる傑物だからな
そこに経験を積み重ねまくったら、ねぇ - 80125/05/08(木) 17:22:52
この次のバトルシミュですが、原作では5人を2班に分けて行いますが、このスレではスレ主の都合で1人ずつ実施に改変します
ちなみにバトルシミュレーターでかっちゃんの爆破は再現できるんです?
*バトルシミュレーター dice1d3=1 (1)
1.無理。ビックリ人間には非対応です。
2.無理矢理再現した。手から爆発魔法だけ発動できる感じに補正が入る。
3.可能。『S.T.Y.X.』の技術力は世界一ィィィィーーー!
- 81二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 17:27:47
まあ仕方ないと言えば仕方ない
……イデア先輩に八百万会わせてぇ……みんなビックリ人間だけどビックリの方向性の違うビックリ人間よ、理解は必要だけど何でも準備出来ちゃう - 82125/05/08(木) 17:30:02
💀「はぁ……じゃ、全員からサインもらえたところでさっさと検査を始めよう」
そう言ってタブレットをしまいこむイデアはこの数時間で一気にやつれたようだが、きっと気のせいである。
🔥「バトルシミュレーター、観測用制御卓の準備はすでに完了しているよ」
💀「k。オルト、バトルシミュレーターに1人ずつ案内して」
🔥「了解。それじゃあ、リドル・ローズハートさんから僕のあとについてきて!」
💀「残りのメンバーはこのまま部屋で待機おなしゃす。僕も席を外すけど、なにかあったらドアの横の内線でスタッフにコールして」
🦁「おい。所長代理さんよ。小腹がすいたら注文できる軽食のメニューくらい置いてねぇのか?」
💀「で、出たァ~レオナ・キングスカラ~。残念だけど、そこになければないですね……」
🧨「カラオケじゃねンだぞ。検査中に好き勝手飲食できるわけねぇだろ、アホか」
🦁「あ?うるせぇな」
💀「ンンー。バクゴー氏のヤカラ感あふれる風貌から繰り出される常識人発言、頭バグりますな……」
ブツブツ、となにやら独り言をいいながら、イデアは先に出発したオルトの後を追って部屋から出て行った。
*待機時間の会話相手 dice1d4=2 (2)
1.レオナ
2.アズール
3.ジャミル
4.ヴィル
- 83125/05/08(木) 18:01:22
閑話
~おしゃべり 爆豪 【幼馴染の心配】~
🐙「おや、バクゴーさん。貧乏ゆすりなんてして、落ちかない様子ですね。どうです?僕でよければ悩みを相談してみては?」
🧨「断る。テメー俺の弱み握るか後から料金ふんだくるつもりだろ」
🐙「おやおや、人聞きが悪いですね……」
🐙「あなたの悩みは、ずばりミドリヤさんに関することでは?」
🧨「ア?」
🐙「モストロ・ラウンジでミドリヤさんが僕と契約を結んだ際に同席していたときと同じような表情をしていますよ」
🧨「…………」
🐙「フフ、沈黙は肯定ですよ。……彼が心配ですか?ナイトレイブンカレッジの保健室ではそれなりに高度な医療魔法が受けられますし、オンボロ寮襲撃で負った傷なら遠からず癒えると思いますから、心配せずともよろしいかと」
🧨「……ンなこと心配してねぇわ。アイツが大人しく治療されてるようなタマなら、俺ァこんなにイラついてねンだよ」
🐙「では、ミドリヤさんがバクゴーさんとグリムさんを追ってくることを心配していると?」
🧨「……俺の予想じゃ、アイツはもう何かしら動き始めてる頃だ」
🐙「まさか。魔力どころか財力すら持たない彼が、ここまで来られるとは――」
🧨「……昔、俺が下手打ってクソ敵に拉致られたとき、アイツは腕ぶっ壊して意識失って病院にぶち込まれた状態から、ものの数日で乗り込んで来やがった」
🐙「えっ……、は?」
🧨「見つかる見込みもねぇ敵の親玉探して、プロヒーローの手を振り払って一人で何日も飲まず食わずで廃墟化した町を歩きまわっとった前科もある」
🐙「はい?……えぇ。」
🧨「アイツはそうと決めたら手段を選ばず突っ走るとこがあるからな。別に、この場所が突き止めらんなくて迷子になるくれぇなら可愛いもんだが」
🐙「……今の話を聞く限り、あなたとグリムさんが見つかるまで世界中を放浪する可能性の方が高そうですね。良くて遭難。悪くて密出入国で逮捕。最悪のたれ死に、ですかね」
🧨「ハァ~~~~……」
🧨「『信じろ』とは言い残したし、実際アイツが俺を微塵も信じて無ぇとは思っちゃいねぇ。それに、アイツも色々経験して人に頼ることも覚えたと思う。だが……」
🐙「奔放な幼馴染をもつと苦労しますね。分かりますよ」
🧨「出久とクソウツボを同列にすんなや」
🐙(ミドリヤさんは大人しそうな雰囲気の割に大胆な人だと思っていたが……とんでもない人だな) - 84二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 18:32:16
ダイス振った直後におしゃべり書けるのスレ主すごいな
他の出目が出た場合の全パターン見たくなっちゃう - 85二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 18:49:48
黒デクになってた時って「敵に準備させない」って目的もあってAFOもデクの懸念は正解って認めてるんよな
プロヒーローと連携を取らなくなった行動自体は褒められたものじゃないけど、行動の目的はしっかりと敵にとっては厄介だったの本当に賢いわデク - 86二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 18:51:01
スレ主の閑話毎度ながらスゴスギ…
そしてこうも緑谷氏の経歴を並べられると、本当にバケモンで言葉失うよ。 - 87125/05/08(木) 18:53:00
一人また一人とオルトに呼ばれ、カンファレンスルームから出ていく。バトルシミュレーターとやらでの検査が終わった者たちは別室で待機しているらしい。
最後の一人になった勝己にもオルトの声がかけられ、件のバトルシミュレーターとやらに連れて行かれた。
連れてこられたのはだだっ広いばかりで何も無い空間で、そこに入るなり勝己は大きなヘッドセットを被せられた。ヘッドセットが自動で頭に固定されると、管制室から音声が飛んできた。
🔥『今装着してもらったのは魔導VR用のヘッドセットさ。これから君には、仮想空間で敵とバトルシミュレーションしてもらう』
🧨「バトルシミュレーションだぁ?」
💀『ごちゃごちゃ説明するよち、体験してもらったほうが早い。オルト、はじめて』
🔥『了解。バーチャルエネミーモード・スタンバイ。ダイブ・スタート!!』
オルトの合図とともに真っ暗だったヘッドセット内が明るくなったかと思うと、だだっ広い空間に数体のカローンがいる光景が映し出された。
🔥『魔導VRで作り出したバーチャル空間だよ!どれだけ暴れても現実世界のボディにダメージが反映されることはない。だから安心して全力を出してね!』
🧨「おい。全力も何も、画面に爆破が反映されねーじゃねぇか!」
🔥『あくまで魔力の流れを再現するシミュレーターだからね。この施設は防爆性もバッチリだけど、今回のシミュレーションでは爆発の力抜きで戦ってくれると嬉しいな』
🧨「チッ。まァいい、敵に“抹消”みてぇな個性持った奴がいねぇとは限らねぇからな。個性抜きで暴れたらァ!!」
*
🔥「第1テスト完了。シミュレーター内で被検体のクールダウンを開始します」
「被検体G、バイタル正常。ブロット蓄積量はゼロです」
💀「分かってはいたけど、本当に魔力が無いんだな。それでバーチャルエネミーにあそこまで食らいつくとか怖すぎ。しかも片腕ですぞ?次のテストではどんな結果になることやら……」
「バトルシミュレーターと『ラケシス・システム』の動機完了。第2テスト、いつでも開始可能です」
💀「じゃあサクサク次のフェーズにいこう。オルト、お願い」
🔥「ダイブ・スタート!」 - 88125/05/08(木) 18:54:03
このスレは基本的に原作の監督生が知り得ないシーンはカットする方針ですが、6章でそれをやると話が穴だらけになるので、ストーリー進行に必要なシュラウド兄弟の会話は拾っていく方針でいきます!
- 89125/05/08(木) 18:56:24
- 90二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 19:05:25
あっ
- 91二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 19:07:09
このレスは削除されています
- 92二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 19:07:45
おっと〜…
- 93二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 19:09:22
🎲くん「やるなら全力だ!」
- 94二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 19:17:01
もう嫌な予感しかない
だが正直よくやったダイス🎲!!!((((((( - 95二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 19:28:20
神野は最終決戦で雪辱果たしてるけど折寺はまだだもんなあ。
このかっちゃん、最終決戦直後に来てるからデクアーマー計画も全然進んでないだろうし、そこに折寺をぶつけるのか。 - 96二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 19:41:38
- 97二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 20:15:22
確かにかっちゃんの心を大きく揺さぶれる場所ではあるな(白目)
- 98二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 20:26:19
うわうわうわうわこれはこれは…
- 99125/05/08(木) 21:54:00
こげ茶色になった木と鉄でできた机と椅子。ワックスの独特のツンとした匂い。
そこは、勝己が中学時代を過ごした中学校の教室の中だった。
🧨「なんで……俺は一体何を……」
🥦「かっちゃん」
🧨「出久……?」
ふと、後ろから聞き慣れた柔らかい声で名前を呼ばれた。
緑谷出久がそこにいる。黒の詰襟を第一ボタンまで閉めた、窮屈そうで垢抜けない姿で。
🥦「ごめんね、遅くなっちゃった」
🧨「あーー……」
靄がかかったように頭がぼんやりする。
自分が今何をしていたのか記憶を探ろうとして教室を見渡す。時計が差す時刻は16時で、日が傾いている。放課後だ。黒板の隅には『<日直>爆豪|緑谷』と書いてある。
🥦「暗くなる前に早く帰ろう。お母さんたちが心配しちゃう」
🧨「………………」
*かっちゃん 違和感ロール dice1d100=40 (40)
※90以上で成功
*対抗ロール
出久? dice1d100=42 (42)
爆豪 dice1d100=13 (13)
※違和感ロールで成功した場合は爆豪に補正+100
*出久? dice1d10=7 (7)
1-4.何も持っていない
5-8.“個性”を隠し持っている (↑に補正-30)
9-10.凶器を隠し持っている
- 100125/05/08(木) 22:11:10
🧨「――そうだな。さっさと帰ってトレーニングすンぞ」
🥦「うん」
出久の言っていることに何もおかしなことなどない。
日直の仕事が終わったのだから後は帰るだけだ。家が近い幼馴染同士なのだから、同じ道を歩いて一緒に帰るのだ。
勝己はスクールバッグを背負い、出入り口に向かった。出久は後ろから着いてくる。引き戸に手をかけたとき、後ろからくすくすと笑う声がした。
🥦「ねえ、かっちゃん。ダメじゃないか」
🧨「……何が」
🥦「自分を恨んでいるかもしれない人に、無防備に背中を許したら」
出久の言葉の真意を脳が処理するまえに、全身の骨が軋むような衝撃が勝己の体を突き抜け、視界が激しく回転した。
🧨「……ガハッ!ぐ、ぅ……ゲホッ!!」
🥦?「いつもと逆だね、かっちゃん」
*爆豪 ダメージ dice1d100=55 (55)
※魔導VR内のダメージなので現実には影響しません
*爆豪 違和感ロール dice1d100=8 (8) +40
*戦闘ロール
出久? dice1d100=6 (6)
爆豪 dice1d100=91 (91)
(↓の累積値が100になるまで続けます)
*『S.T.Y.X.』 第2テスト進捗 dice1d100=35 (35)
- 101125/05/08(木) 22:25:46
🧨「いず、く……何を」
🥦?「君はさ、僕が一度でもこうやって仕返ししてくるかもしれないって考えなかったの?……こんな風に!!」
詰襟からわずかに覗く首から額にかけて、出久の肌に赤い光が迸っている。溢れんばかりの力が漲る出久の脚が持ち上がり、勝己めがけて思い切り振り下ろされようとした。
勝己は咄嗟に床を転がってそれを避けた。奇妙なことに、『爆破』の個性が使えなくなっている。
🧨「止めろ出久!!」
🥦「あはは。いずく、だって。今更名前で呼んだって何だよ。今までずっと、ずーっと僕のこと馬鹿にしてたクセに。木偶の坊の“デク”って」
🧨「それは……」
🥦「君が改心したって、君が僕を踏みにじってきた事実は変わらないのに」
🥦「過去は、消えないのに」
*爆豪 違和感ロール dice1d100=16 (16) +48
*戦闘ロール
出久? dice1d200=115 (115)
爆豪 dice1d100=35 (35)
*『S.T.Y.X.』 第2テスト進捗 dice1d100=4 (4)
- 102125/05/08(木) 22:28:37
『S.T.Y.X.』さん早くデータ取ってくれませんかね……
期待値的に3レス分くらいやれば終わりになるという計算なんすけど…… - 103二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 22:31:38
ちょっとかっちゃんがぐるぐるしすぎて上手くデータ取れてないのかな?
- 104125/05/08(木) 22:36:17
出久の真っ赤なシューズが再び勝己に向かって振り抜かれる。爆破の推進力を失っている勝己は、今度はよけきれずにモロに蹴りを食らった。
🧨「……ぐ、オエ”ッ!!」
🥦「かっちゃん。少しは僕の気持ちが分かった?個性をもった人に、一方的にやられる気持ちが分かったかよ!!」
🧨「……ごめん、出久」
*爆豪 ダメージ dice1d100=16 (16) +55
*爆豪 違和感ロール dice1d100=35 (35) +64
*戦闘ロール
出久? dice1d200=16 (16)
爆豪 dice1d100=86 (86)
*『S.T.Y.X.』 第2テスト進捗 dice1d100=99 (99) +39
- 105二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 22:36:51
これメンタルから心臓に悪影響あったりしない?
錯覚でも人の思い込みってシャレにならんぞ - 106二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 22:37:40
違和感ロール惜しい!イチタリナイ!
- 107二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 22:37:41
やっっっと終わったな!?
最後に99って… - 108二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 22:39:16
たぶんS.T.Y.X.側(というかイデア)は普段の言動からしてかっちゃんを図太い人間だと思ってるから、メンタルダメージエグくて「嘘てしょ!?」ってなってるかもしれない
その子実は作中でもトップクラスに繊細な子なんです……表に全く出ないだけで…… - 109二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 22:40:28
違和感ロールの数値が増えないの、「出久にならこういう事言われても仕方がない」「それほどまでのことをしている」っていう自責の念からだったら泣ける
- 110二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 22:42:17
まさか本当にデクダンスになるとは……
- 111二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 22:43:11
あの、個人的にその子ダイアモンドみたいな子なんです……
硬いんだけど特定方向マジで脆いんです、繊細なんです…… - 112二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 23:04:37
なんか一気に進捗が出たな……
- 113125/05/08(木) 23:19:02
「被検体G、バイタルやや乱れあり。心拍数増加。ブロット蓄積量はゼロ」
💀「ストップ、ストップ!これ以上続けたらバクゴー氏のフィジカルに深刻な影響が出かねませんぞ。なんか心臓悪いとか言ってたし……。それにブロット蓄積がないなら、これ以上続ける意味もない」
🔥「了解!第2テスト完了。シミュレーター内で被検体のクールダウンを開始します。……シミュレーター内でのクールダウンを全行程完了しました。被検体をヒーリングルームへ移送します」
テストの全行程が完了したことをオペレーターに確認し、イデアは『S.T.Y.X.』の職員たちに片付けの後に上がるように指示を出した。
💀「おつかれさま、オルト」
🔥「兄さんも、おつかれさま」
💀「ふう。……いや、今のシミュ内容ナニゴト!?ミドリヤ氏って魔力も特殊体質も無いんじゃないの!!?異世界の学園にテンション上がる間もないくらい怖かったんですけど!!」
🔥「うーん。バクゴーさんの記憶から生成されたVRのミドリヤさんの強さについては、僕のAIでも解答を導けないけど……ごく稀に魔力回路を損傷して後天的に魔力を失う人がいるみたいに、彼も何らかの事情で特殊体質を失ったのかもしれないね」
💀「なる。あとVRミドリヤ氏と意味深なやりとりしてたけど、バクゴー氏は何やらかしたんだろうね?ストレス値エグいことになってるんだが。魔法士ならブロットがドバドバ溜まりかねない状態ですぞコレ」
🔥「二人は幼馴染だって学園内の噂で聞いたけど、単純に同じ世界から来た仲良しのトモダチ同士って訳じゃなさそうだね。そもそも、彼らの動きは一介の学生にしては洗練され過ぎていて不可解だ。極めて実用的で、プロの魔法機動隊に近い。もしかしたら、のんびり友情を深める余裕もないくらい過酷な環境で育ったのかも」
💀「それなら、まあ納得ですな」
異世界の事情などいくら考えても憶測の域を出ない。
イデアはオルトとゆるい会話を繰り広げながら、次のテストに向けた準備を開始した。 - 114二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 23:29:47
今の2人の様子からは元いじめ加害者とその被害者だったなんて想像できないよなぁ。しかも被害者側よりも加害者側のほうがいじめのことについての精神的ストレスが根深いなんて想像できなさそう
- 115二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 23:38:50
これ本物のデクくんが来た時かっちゃんフラッシュバックしないだろうか…
- 116二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 23:52:18
現状イジメ問題把握しているのカリムとオクタ3人衆だけなんだよな
- 117125/05/08(木) 23:58:57
🧨「―――――あーー……最悪」
バトルシミュレーションが完了して移送された先のヒーリングルームで目を覚ましたとき、勝己はひどい気分だった。
🧨「……アイツが言う訳ねぇだろ、あんなこと。クソがぁッ!!」
勝己に恨み言をぶつけてきた出久の言動と、それに違和感を持てないでいた自分を思い出す。
あれはおそらく勝己の記憶から生成された出久で、それに『S.T.Y.X.』の機械が手を加えたものだろう。
本物の出久があんなことを口にするはずがない。たとえ腹の中に黒いものがあったとしても、それを他者にぶつけて傷つけるような人間ではないのだ。
🧨「アイツが人並みに恨み言ぶつけてくるような、凡庸で、普通のヤツなら、俺は……」
雨の中での謝罪の後、出久からの明確な返事はなかった。
出久はもう前を向いていて、勝己の愚行を完全に過去のものとしている。今更掘り返すことなど何もないかのように。
いっそ責めてくれたのなら勝己の後悔と罪悪感は幾ばくか慰められただろう。謗って、殴って、裁いてくれたのなら。そうした無意識の願望と甘えが、出久を冒涜したのだ。
🧨「胸糞悪ぃ。……過去は消えない。だから、未来に向けて今を紡ぐんだろうが」
元の世界で、自分の部屋に残してきたノートを思い出す。出久を再び“ヒーローのデク”にするための計画を書き連ねたノートを。体が勝手に動いてしまう出久に、救けを求める人のもとへ飛んでいくための力を渡すために。
それを出久のため、だなんて烏滸がましいことは思わない。ただ、自分が出久にそうなってほしいから、そうするのだ。
🧨「……早く帰りてぇ。アイツも一緒に」
自然と、深く重いため息が出た。それと一緒に、勝己の混じり気のない本音が誰に聞かれることもなく零れ落ちていった。 - 118125/05/09(金) 00:07:04
- 119二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 00:08:54
スレ主の文章本当に好きです かっちゃんの解像度が高い……
- 120二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 00:21:01
このレスは削除されています
- 121二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 07:32:16
いや本当にね、ぶつけ返してくれるならそれはそれでまて色々あったろうが楽になれただろうにね
- 122二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 15:08:10
本当にこの幼馴染は拗れてるよな……
- 123二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 20:01:17
ここの組分けが最大の分岐ダイスってスレ主言ってたけど、ダイス目逆だったらここまでのデクとかっちゃんの立場が全部入れ替わるのか
そりゃ最大の分岐だわ - 124二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 20:05:39
メンタル揺さぶり系、デクは相手がかっちゃんだった場合良くも悪くも動じなさそうだから配役ぴったりだな……
それはそれとしておいたわしやかっちゃん - 125二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 20:06:36
デクの場合ここででてくるのかっちゃんじゃなくて弔の可能性が……(なおCVイデアと同じである)
- 126二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 20:07:46
こういう繊細さや緑谷のままならなさがかっちゃんを強いヒーローにしたんだろうなとも思う
おかげでお互いの人生カタパルトしあってぶん回してるけど - 127二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 20:10:56
自我つよつよのオバブロ組とデクを閉鎖空間でずっと一緒にしておくのは気の毒なので、同じく自我つよつよのかっちゃんが拉致組で良かったよ
見なよ、>>76 の馴染み具合を
- 128二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 22:31:37
人生カタパルトwww
物理的にもお互い相手ぶん投げるのやったし精神的にもぶん投げられてんだな…… - 129二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 01:47:54
ほしゅ
- 130二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 01:56:46
- 131二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 09:25:16
ほしゅ!
- 132二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 14:40:07
流血と骨折を伴うディズニープリンセスなんてやだよ
- 133二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 14:59:20
そういえばシュガーラッシュ(オンライン)でプリンセスかどうか確かめるやつあったね〜
いくつ当てはまるんだろ? - 134二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 20:18:07
- 135二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 21:15:08
- 136125/05/10(土) 21:27:49
同時刻。
グリムは見知らぬ個室で目を覚ました。
😺「こ、ここは?VDCが終わって、その日の夜に……腹が減って……」
😺「それから……」
😺「オレ様、なんでイズクにあんなこと……」
😺「もしかして、イズクのこと、引っ搔いたからココにつれてこられたのか?」
しょんぼりと目を閉じたグリムの脳裏に、おぼろげな記憶が蘇る。
崩れたオンボロ寮。傷だらけになって倒れたエースとデュースとエペル。血を吐くような出久の呼び声。チカチカと瞬く光と爆音。
😺「アイツら、ボロボロだった……」
😺「エース、デュース、エペル……。バクゴー……」
😺「イズク…………」
😺「オレ様、もうオンボロ寮には帰れないのか……?」
😺「グスッ……スン……」
グリムが小さく鼻をすする音が、ひとりきりの部屋に虚しく響いた。 - 137125/05/10(土) 21:36:29
ここで一旦出久サイドに戻ります
めっちゃセリフカットしますが悪しからずです
出久とエペルはルークにくっついて各国にまたがるハント家の別荘をはしごしますが、ハント家の別荘はどれもエペル曰く“うだでぇ”そうです。
*出久 ハント家の別荘 dice1d2=2 (2)
1.豪華で落ち着かなかった……
2.轟くんや八百万さんの家みたいで広くて快適だった!
- 138二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 21:38:42
ここのツイステ本編のグリムの声が脳内再生されて涙腺が緩んじまう…
- 139125/05/10(土) 21:50:05
各国に跨るハント家の別荘の魔法の転移装置を通り抜け、最後の転移ポイントである英雄の国に辿り着くなり箒で飛び立り、ルーク一行は寝る間も惜しんで移動し続けた。
すでに日が高く上り、緊迫した事態に似合わぬ青々とした空を二本の箒が駆け抜けていった。
🏹「……はっ!エペルくん、ミドリヤくん。もう少しで『果てまで届く弓矢』でカローンにつけた印が消えたポイントに到達するよ」
世界地図にも載っていない『嘆きの島』がそこにあるのか。ルークとエペルの箒が下降し始めたので、出久は振り落とされないようにエペルにしがみついた。
🥦「……海だ」
🍎「あれ?島どころか浅瀬も見当たらねぇ」
白い雲を突っ切って下りてきた先は、大海原の上だった。
🍎「ルークサン、本当にここであってるんですか?」
🏹「間違いない。ここに……ヴィルたちがいるはず!」
ルークは確信をもったように言い切った。魔法の主である彼にしか分からない感覚があるようだ。
🥦「でも、海の中に行くのに生身じゃ無理だ……!水中呼吸薬を用意しないと……」
🏹「大丈夫さ、ムシュー・そばかす。私に一つ策があるんだ。任せてくれるかい?」
パチン、とお手本のようなウインクを一つ。
ルークは箒の上で大きな羽根帽子を整えたかと思うと、大きく息を吸い込んだ。 - 140125/05/10(土) 22:01:25
🏹「ボンジュール!嘆きの島の皆さん」
🏹「私は美を求め、美を助く……ひとよんで『愛の狩人(ル・シャソゥ・ドゥ・アムール)』、ルークハント!!」
🏹「貴殿らが連れ去った我が盟友、ヴィル・シェーンハイトの危急存亡のときゆえ、今ここに馳せ参じた!!」
まるで舞台俳優のような高らかな声でルークが告げる。
しばらくすると、この大海原のどこに監視デバイスがあるのか、どこからともなくカローンが飛んできた。つまり、ルークの見立ては正しく、この近くに嘆きの島と『S.T.Y.X.』の研究施設があるのだ。
🏹「いいかい、エペルくん、ミドリヤくん。ある程度戦ったら、すぐに降参するんだ」
🥦「はい。僕たちの目的は、彼らに勝つことじゃなくて……」
🍎「捕虜になって、嘆きの島に入ること……ですね!」
戦いに備え、ルークが海面を凍らせて足場を作り、出久たちはその上に降り立った。
🏹「さあ、愛と美の戦いが今……幕をあける!」
🥦「絶対に二人を連れ戻すんだ……!」
ツルツルと滑る氷だが、氷上での戦闘は轟との共闘を通じて慣れている。落ちるようなヘマはしないし、ルークやエペルが滑って落ちないか気を配る余裕もある。
潜入作戦を成功させるため、出久は本気で戦っているように見えるよう、限りなく全力で氷を蹴って飛び出した。
*出久の演技力 dice1d100=45 (45)
- 141125/05/10(土) 22:11:13
カローンの魔法はやはり殺傷よりもスタンを目的としたものが多く、ルークの作戦を実行しやすかった。
ところで、雄英のカリキュラムには、敵との心理戦に備えた演技指導なんかも盛り込まれている。出久の成績は中の下くらいだったが。
🏹「こ、ここまでか……ぐふっ!」
🍎「や、やられたぁ……」
🥦「あきらめるもん……か……」
どことなく棒読みのセリフを吐き、三人が氷の上にバタっと倒れる。もちろん、やられたフリだ。
一部始終を『S.T.Y.X.』の管制室で見ているイデアは頭をハテナでいっぱいにしているのだが、やられたフリで氷の上に寝そべっている三人はそんなことを知る由もない。
やがて、老若男女の嘆く声が入り混じるような奇妙な音とともに、海面に大きな穴が開いた。
「ただいまより対象者の移送を開始。ブラインド・スタン魔法を執行します」
三人の傍にやってきたカローンが、オールのような杖の先を向ける。
――バチバチバチ!!
🥦「あ”ぁっ………………!」
瞬間、スタンガンを当てられたような衝撃が出久の体を走った。脳の電気信号をかき乱されて、出久の視界はシャットアウトしたように暗転した。 - 142125/05/10(土) 22:38:05
薄れゆく意識の中、出久は夢をみた。
――ゲームオーバーのようね。どんな変化球も通用しないんだから
長い髪を結った女性が、物憂げに呟いた。
真の英雄を目指す半人半神の青年は、冥府の神がさしむけた数々の怪物を軽々と倒してしまった。
――そうかぁ、フフフフフッ。きっとあいつにも弱点がある
――誰にだって一つや二つはあるだろ。ワンダーボーイにもな
冥府の王は髪を結った女性の肩を抱き、囁いた。
――ワンダーボーイの弱みを探ってきてくれよ
――褒美はすごいぞ……お前がのどから手が出るほどに欲しがっているものだ
死んだ恋人を蘇らせた契約の対価として、冥府の神の下で働かせられている女性が、甘言に心を揺さぶられる。
――そうさ自由だ - 143125/05/10(土) 22:40:38
スレ主、デズニーの有名どころは幼少期にヘビロテしたので内容をほぼ完ぺきに覚えているのですが、ヘラクレスは数回しか見たことないので解像度が他の元ネタ作品より低めであることをここに白状しておきます
一応ストーリーは把握してますが、細かい小ネタはハデス様関連以外はあんまり分からないくらいの塩梅です - 144二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 22:44:55
そっかこのスレツイステの内容とヒロアカの内容だけじゃなくて夢の中に出てくるディズニー各作品の内容も知っとかないと書けないのか むしろここまでの三つの解像度の高さがすげえよ
- 145125/05/10(土) 22:59:19
💀「き、君らさあ、リアルはゲームと違って気軽に生き返れたりしないんだから……あんまり無茶な真似はしないほうがいいと思うよ?代理とはいえ、ボスが拙者じゃなければ、みんなまとめてあの世行きでしたぞ」
スタン魔法の効果が切れる正確なタイミングで、頭上から声がした。目をあけると、呆れたような顔でこちらを見下ろす青く燃える髪の青年がいた。
彼のややくぐもった自信のなさそうな声は、何度かタブレット越しに聞いたことがある。イデアの声だ。
🍎「すごい……海の中に、街が……!」
🏹「ああ……私たちは本当にたどり着けたんだね。嘆きの島に!」
💀「テンション上がってるところ悪いけど、ココは観光地じゃないんだよ」
海中に存在する嘆きの島は、青空を切り取ったようなドームの中に古代ギリシャの遺跡のような美しい白亜の建物が立ち並ぶ美しい場所だった。ドームの中心には、白く太い柱が通っている。
💀「っていうか、君たちどうやってここに?」
🏹「その質問に答える前に、まずは確認させてもらえないか。『S.T.Y.X.』が連れ去ったみんなは、無事なのかい?」
出久が何よりも知りたくてたまらなかった情報を、イデアと同級生であるルークがごく自然に聞いてくれた。
💀「悪の秘密組織ぶるのも飽きてきたから素直に教えてあげるけど、全員呆れるくらいピンピンしてるよ」
🥦「ああ、よかった……!!」
*出久の反応 dice1d3=1 (1)
1.ほっと胸を撫でおろす
2.へたり込む
3.涙腺がブチ切れる
- 146125/05/10(土) 23:13:01
まだ本人たちの姿をみていないから完全には安心できないが、「無事である」との言葉が聞けて出久はほっと胸を撫でおろした。嘆きの島が想像よりも明るく美しい場所であり、出久の脳裏を占めていた最悪のイメージからかけ離れていたことも大きい。
イデアに「なんでこんなところまで追いかけてきちゃったわけ」と問われたルークは「ヴィルの危急存亡のときだ」と答え、複数の小瓶が入ったポーチを手渡した。
怪しいものではないか確かめるためにオルトが成分をスキャンしてみるが、一般的な化粧品の成分とおまじない程度の魔力しか検出されない。
🔥「これって、もしかして……」
🏹「そう!ヴィル愛用のスキンケア用品さ!」
💀「命にかかわる薬じゃないんかい!!!」
🥦「まぁそうなりますよね……」
思わず、といった風にイデアが大きな声で突っ込みを入れた。さもありなん。
もしも出久が勝己が攫われたアジトに「かっちゃん愛用の辛い薬味セットを届けにきました!」なんて言って乗り込んでいたら、あの死柄木でさえイデアと似たようなリアクションを取っただろう。
💀「え……君ら他に要件ないの?マジでそれだけ?」
🏹「ウィ!」
💀「ルーク氏とエペル氏の目的はわかった……全っ然理解できないけど、わかった」
💀「で、そっちの君……オンボロ寮のミドリヤ氏。君はなにしにきたわけ?」
🥦「僕は……かっちゃんとグリムを、取り返しに来ました」 - 147二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 23:36:47
イデアと弔って声以外も結構似てるよね
ゲーマーで、普段はダウナーだけど煽り耐性ないところとこ - 148二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 00:14:32
ディズニープリンセスにしてはちょっと自損が激しすぎるんですが…自己犠牲は確かにプリンセスよくやってるけど自損は誰もしてない…してないよね?
- 149二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 07:23:10
デクの考えた嘆きの島のイメージって脳無工場みたいなんだったんかな
- 150二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 14:17:43
お薬はお薬だもん!!
- 151二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 14:39:18
- 152二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 14:44:22
突撃はしてないけど脳無工場の中は見てるよ
- 153二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 21:29:40
⭐︎
- 154二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 00:48:42
⭐️
- 155二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 07:14:41
美の追求者にとってはマジでケアセットはお薬よな
- 156二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 12:19:07
趣味で美しさを追ってる訳じゃないもんなヴィル
仕事としてプライド持って美しさを日々磨いてる訳だし、それが損なわれたらとんでもない損害につながる - 157二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 18:01:34
そもそも実験部屋見たことあったっけ?
- 158二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 20:09:46
- 159125/05/12(月) 22:18:07
💀「は?ごめん、よく聞こえなかった。悪いけどもう1度言ってくれる?なんか、硫黄の欠片が耳に詰まってたみたいで……」
🏹「ムシュー・そばかすはオンボロ寮の監督生として寮生であるグリムくんを、そして幼馴染としてバクゴーくんを迎えにきたのさ」
💀「わざわざ言い直すなよ、聞こえてるに決まってるだろ。嫌味だよ、嫌味……」
ハァ~~~~~とイデアはわざとらしいため息をついた。濃い隈に縁どられた陰のある目が、じっとりと出久を睨む。
💀「いるよね。実力もないくせに、ヒーロー気取りで感情にまかせて突っ走る迷惑なヤツ……」
🥦「……確かに僕は無個性だし、魔力も無い。でも、取り返しがつかないことになってから後悔するのは嫌だったから」
💀「ふ~ん、あっそ。君らと違って僕は忙しいんだよ。おサムい友情ごっこに付き合ってる暇ないの」
🥦「攫われたみんなの無事さえ確認できれば大人しく帰ります。だから、会わせてくれませんか」
🔥「検査が全て終わるまで、被検体への接触は許可できない。ごめんね」
予想ほど劣悪な環境ではなかったとはいえ、秘匿された研究機関だ。検査の内容が非人道的なものでないとも限らない。
出久は勝己たちに会わせてほしいと食い下がったが、ついに許可は下りなかった。
🔥「じゃあ、彼らはナイトレイブンカレッジへ強制送還?」
💀「そうしたいところだけど……………オルト、ちょっとこっちに」
何度も同じようなやりとりを繰り返すと、イデアとオルトがヒソヒソと話し始めた。
*出久 聴覚ロール dice1d2=2 (2)
1.成功
2.失敗
*↑が成功だった場合 知識ロール dice1d2=1 (1)
1.成功
2.失敗
- 160125/05/12(月) 22:36:41
シュラウド兄弟の会話を聞き取ろうと出久は耳を澄ませてみたが、結局内容をよく聞き取ることはできなかった。
🥦(エペルくんとルーク先輩に協力してここまで来れたのに、かっちゃんにもグリムにも会えずに帰るなんて――)
出久の頭の中で思考がぐるぐる回り、この場をなんとかする策がないかと考えて脳が熱をもつ。
その答えが出る前に、オルトの明るい声が出久の思考を遮った。兄弟の内緒話が終わり、なんらかの結論が出たらしい。
🔥「はーい!それじゃあルーク・ハントさん。エペル・フェルミエさん。それから、ミドリヤ・イズクさん。君たちには聞きたいことが沢山あるんだ。僕についてきてくれる?」
🥦「えっ」
🔥「被検体のみんなの検査の全工程終了を確認したら面会できるよう手配するから、もう少し我慢してくれるかな」
🏹「そうか……わかったよ。滞在を許してもらえるだけでも、良しとしなくてはね」
🥦「……あの、ありがとうございます!」
💀「あっ、礼とか別にいいんで。じゃあオルト、3人の案内よろしく」
🔥「まかせて兄さん!」
経緯は不明だが、どうやら出久たちは強制送還されずに済むようで、所長代理であるイデアはオルトが手配したという空飛ぶ車に乗って立ち去っていった。
オルトの解説によると、あの空飛ぶ車は通称『チャリオット』と呼ばれる『S.T.Y.X.』製の魔導ビークルであるらしい。
🔥「さ、僕たちも行こう。僕のあとについてきて」 - 161125/05/12(月) 22:48:21
出久たちが一時的に預けられるという施設まで歩きながら、オルトは嘆きの島について解説してくれた。
人工的に空模様と季節の移り変わりが再現されたドーム。『英雄の国』の遺跡がそのまま使われている街並み。そして、島の中心に聳え立つ大きな白い柱。
🍎「島の真ん中にある、大きな白い柱はなに……かな?」
🔥「あれは君らが入ってきた嘆きの島の入り口『オケアノス・ホール』から繋がる、『S.T.Y.X.』本部。あの柱は、この嘆きの島を貫いてずーっと下まで続いてる」
🥦「本部ってことは、かっちゃんたちはあそこに……」
🔥「あの柱の下には、たくさんの亡霊(ファントム)が埋まってるんだ」
その話題に触れた時、オルトの少年然とした甲高い合成音声の温度が下がったような気がした。
🔥「いまは氷漬けにされて、みんな眠っているけど……興味本位で不用意に近づかないほうがいい」
いつもにこやかな笑みをつくっているオルトのフェイシャルパーツは、今はなんの表情も浮かんでいない。大きなアイパーツが白い柱の影を無機質に光を反射する。
🔥「僕みたいになりたくないならね」
*出久 目星ロール dice1d2=2 (2)
1.成功
2.失敗
- 162125/05/12(月) 22:55:10
🏹「……ムシュー・お人形?どうしたんだい?」
🔥「なんでもない」
ガラス質の目が一度まばたきする頃には、オルトの雰囲気はすっかりもとの明るいものに戻っていた。
🔥「とにかく、この島は危険な場所も多いから、観光気分でウロウロしちゃダメだからねっ!」
もとより、美しく歴史ある街並みへの興味よりも心配が勝って楽しめるような精神状態ではない。
ふよふよと浮かびながら移動するオルトに着いて、出久たちは『S.T.Y.X.』の研究施設へと足を踏み入れた。
*出久 全自動入浴マシンの感想
dice1d100=78 (78)
1.ちょっと……二回目は遠慮したいです。
100.これが合理的ってやつかな!
- 163二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 23:05:28
黒デクから帰って来てみんなに洗われた時を思い出したのかな?
- 164二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 02:03:31
目星も聞き耳も失敗してらぁ
- 165二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 06:23:56
入浴マシンの感想がかっちゃんと逆で好印象なの笑う
- 166二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 07:57:47
デク猪突猛進型だからな……心配事があると視野が狭くなるのは解釈一致だわ
- 167二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 15:12:48
遭難も逮捕もなくて、結果的に良かったよね!かっちゃん!()
- 168二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 19:33:32
まぁデクの方も、幼馴染が敵地のド真ん中で拘束された状態で敵のボスに喧嘩売るとかいう爆発的デス綱渡りムーブしてなくて良かったのでおあいこだね!
- 169二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 20:39:44
- 170二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 22:18:54
- 171二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 05:32:23
普段使いというより、避難所生活の時とかにこういう入浴マシンひとつあったらいいなとかは思うかもしれない
- 172二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 07:13:45
雄英というかヒーロー科のある学校に設置してもいいかもね
実戦演習の後の着替え時間大幅短縮になって効率的 - 173二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 07:39:55
お茶子ちゃんや青山くんみたいに訓練で色々でちゃう子には需要あると思う
- 174二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 14:53:02
上も下も大変なことになるもんね
- 175125/05/14(水) 17:05:17
🏹「マーヴェラス!全身を機械に洗われるなんて初めての経験だったよ!」
🍎「ぺっぺっ!!泡が口ん中さ入って気持ぢ悪……」
🥦「ちょっと乱暴だったけど、入浴して着替えて髪を乾かして歯磨きまで一瞬でやってくれるんだからすごいや。相澤先生とか喜びそうだな」
全自動入浴マシンで全身を清め、案内された研修施設だという建物内で、出久たちはNDAにサインをした。もちろん、全項目しっかり読んで内容に問題が無いことは確認済だ。法令と倫理にきちんと配慮された契約内容は、出久の気持ちをまた少し落ち着けてくれた。
🏹「『S.T.Y.X.』がヴィルたちをひどい目にあわせているのなら、強硬手段に出るのもやむなしと思っていたんだが……『S.T.Y.X.』本部で専門的な検査とブロットケアを受けていると聞いて安心したよ」
🥦「オルトくん。こんなにきちんとした内容なら、学園長を通じて説明してくれればヴィル先輩たちは抵抗せずに『S.T.Y.X.』に来てくれたと思うんだけど、どうしてあんなに乱暴な方法で連れて行ったの?」
🔥「ごめんね。『S.T.Y.X.』の強制執行プロトコルに従うと、ああした対応にならざるを得ないんだ」
オルトは申し訳なさそうな声色で今回の乱暴な対応に至った経緯を説明してくれた。
オーバーブロットした魔法士は理性は失った怪物同然であり、通常であれば強制的に捕縛した後に事情聴取という流れを取らざるを得ないのだという。
🥦「なるほど。捕縛よりも先に魔法士が正気に戻っていた場合のマニュアルが整備されてなかったのか……」
🔥「オーバーブロットした本人も、傍にいた人間も、誰も命を失わなかったことは……本当に幸運なことなんだよ」 - 176二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 20:56:53
先の展開知ってるからだけどオルトの言葉一つ一つが重いんや
- 177二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 21:27:20
オバブロってまどマギの魔女化みたいなもんって考えたら強行手段も情報統制もやむなしだよな
下手に広めて高魔力持ちへの迫害が起きて余計にブロットたまったらそれこそ目も当てられないし
ユニマへヒロアカ世界みたいな規制入ってないのもストレスを与えない為には必要なのかも - 178125/05/14(水) 21:57:26
🏹「……そうだね。私たちは本当に幸運だった」
ルークはヴィルがオーバーブロットした日のことを、今も夢に見て飛び起きることがあるのだと語った。誰よりも彼の傍にいながら、彼の何を見ていたのだろう、と後悔する気持ちがあるのだとも。
🍎「ルークサン」
🏹「すまない。後悔してもしかたのないことさ。それに……もしかしたら救えたかもしれないなどと考えるのは、とんでもない思い上がりだ。ヴィルの怒りは、絶望は、彼だけのもの。……他のみんなもね」
現実を噛みしめるように、自分に言い聞かせるようにルークが呟く。
🔥「ねえ。そこまで理解しているのに、なぜルーク・ハントさんはここへやってきたの?」
🏹「私は『やれるだけのことはやった』と言うためにきたんだ」
🔥「『やれるだけのことはやった』……?」
🏹「ああ。他の誰でもない。私自身の美学(ポリシー)のためさ」
🔥「……君は本当に変わった人間だね」
ルークの言葉を聞いて、オルトのふわふわと浮く体からわずかにジジジと電子音がした。回路の中でルークの言葉を咀嚼しているのだろうか。
🔥「ミドリヤさんも、ルークさんと同じ理由?さっき兄さんに言っていたよね。『取り返しがつかないことになってから後悔するのは嫌だった』って」
🥦「……実は、そこまでハッキリと考えていたわけじゃなくて。色んな人から怒られるんだけど、僕、救けが必要そうな人を見ると、考えるより先に体が動いちゃうんだ。でも、あえて今言葉にするならそんな感じかなって。もう二度と、間に合わないのは嫌だったんだ」
ヒーローは遅れて来るもの、だなんて形容する物語もあるけれど、出久は決してそうは思わない。
出久が間に合わないまま物言わぬ姿になった勝己を見てしまったときの後悔と絶望は、言葉で言い表せないほどだ。
🔥「取り返しがつかないこと、かぁ……」 - 179125/05/14(水) 22:10:30
オルトのアイパーツが虚空を見つめる。それは合理性を突き詰めた機械ではなく、どこか人間らしい表情だった。
🔥「今日はとても興味深いデータがとれたよ。ありがとう。それじゃあ、僕はそろそろ本部に戻らなくちゃ」
オルトは研修室内の設備について言い残し、去っていった。
この扉横のデバイスで食事の時間を指定できるほか、スクリーンでは古今東西の映画や各種ゲームを楽しむことができるらしい。
🍎「わっ、すごい!最新の映画まで全部入ってる」
🥦「かっちゃんたちの検査が終わるまで落ち着かないけど……なんとか気は紛れそうだね」
*待機時間の会話 dice1d2=2 (2)
1.お気楽
2.シリアス
- 180125/05/14(水) 22:13:15
🔥「『やれるだけのことはやった』、か……」
🔥「兄さんのために“僕(オルト)”ができることって、なんなんだろう……」
出久たちのもとからイデアのもとに戻る途中、オルトがぽつりと呟いた。
答える者はいない。
オルトに搭載された世界最高峰レベルのAIで計算しても、未だ答えはでなかった。 - 181125/05/14(水) 23:14:00
閑話
~おしゃべり 出久 【怖い記憶】~
🍎「ミドリヤクン。ようやく顔色もとに戻ってきたね」
🥦「そうかな。ありがとう、心配かけちゃった」
🍎「あはは、青リンゴみでぇな顔した人がいたら誰だって心配するに決まっちゃぁべな」
🍎「……本当に、バクゴーが飛び出していってから、今にも死にそった顔したったんだはんで」
🥦「うん……。結果的には僕の心配しすぎだったんだけど、状況が昔の怖かった出来事と重なって思い出しちゃって」
🍎「……どったことか、聞いてもいい?」
🥦「……昔ね、脳無っていう恐ろしい怪物を作っている工場を覗いてしまったことがあるんだ」
🍎「ノーム……?名前だけ聞けば精霊みたいだけど……どんな怪物なの?」
🥦「詳しいことは僕も知らないし、とても口に出せない。ただ、人の遺体を改造して造られた存在ってことは知ってる」
🍎「ひっ、人の死体!?」
🥦「……色々あって、行方不明になったかっちゃんを探していたときのことだったんだ。かっちゃんの位置情報が示す建物を覗いたら、脳無が入った培養槽が大量に並んでて……」
🥦「ほんの一瞬だけだけど、あの中にかっちゃんの体があったらどうしようって、最悪の想像をしたよ。その後すぐに無事だって分かったんだけどね。いや、状況的には全く無事ではなかったんだけど……」
🍎「…………」
🥦「かっちゃんの『個性』ってさ、僕たちにとっては普通だけど、この世界じゃとても珍しいものでしょ?だから、もし『S.T.Y.X.』が非人道的な研究を行っている場所だったら脳無みたいに……って嫌なこと考えちゃって」
🥦「ひどいよね。かっちゃんのことを信じてるって言いながら、心配で堪らなかったんだ」
🍎「ちっともひでぇことなんがねぇべな!心配と信じるって別物だろ!ダチなら心配しねぇわげねぇだろ!」
🥦「エペルくん……」
🍎「もしバクゴーがミドリヤの心配に文句ば付けだら、わーが殴ってけるはんでな!」
🍎「んで、ヴィルサンたちとバクゴークンとグリムクンたちと帰ったらリンゴパーティすんぞ!実家からたげ美味ぇリンゴば送ってもらうはんで!」
🥦「……ふふ、ありがとう!検査が終わるまで後半日の辛抱だもんね。そしたらリンゴパーティ、楽しみだな!」
🍎「おう!」
🍎(……ミドリヤとバクゴーのいた世界って……。たげおっかねぇとこだな……) - 182125/05/14(水) 23:34:22
まあかっちゃんは無事だったけど、ツバサくんは脳無にされちゃったんだけどな!
ヒロアカって闇が深ぇんだ!
デズニー育ち弱メンタルのスレ主は元気なときじゃないと読み返せないシーンも多いぞ! - 183二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 23:35:36
たげおっかねぇとこだな>>>>>>本当にな…
- 184二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 23:39:05
- 185二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 06:06:38
ちょっとな、ちょっと出久達世代で動きが良くも悪くも大きくなっててな!!
その中心になっちゃってただけでな!! - 186二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 13:07:15
- 187二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 15:44:58
- 188二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 18:52:32
このスレでヒロアカに興味出たけどこわ~…
- 189二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 20:08:33
- 190二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 21:55:39
AFOは倒れて、一般人の意識も変わりつつあるけどまだまだ問題は多いからな、ヒロアカ世界
基本的に平和なツイステ世界側からすると、治安悪く感じるかも - 191二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 05:40:58
弱メンタルじゃなくても読み返すと辛ぁ……ってなる場面たまにあるよね
- 192二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 13:40:20
⭐️
- 193二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 13:54:53
ツイステ世界はオールマイトみたいな象徴的存在がいない分、仮免の時に公安が理想とした組織としての動きが完成してる
その分柔軟性がなくてモンスターズインクの黄色い特殊部隊ばりに被害も人権も無視しまくった強行手段とるけど - 194二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 14:56:59
なんだかんだいってもディズニー世界だから死人もほとんど出ないしね…
- 195125/05/16(金) 22:22:03
- 196125/05/16(金) 22:27:12
この選択肢、「凶器を隠しもっている」を引いたら背後からナイフでグッサリやってくるタイプの偽デクになってました。
ちなみに「何ももっていない」を引いた場合は、「かっちゃん、マフラー忘れてるよ」とどこからともなくマフラーを取り出してかっちゃんに巻いてくれたあと全力で首を絞めてくる偽デクになる予定でした。
本編で引いた『OFA』でぶん殴ってくる偽デクが一番爽やかです。
- 197二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 22:29:27
ウメ
- 198二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 22:34:51
今までは誤解ですって言えてたから今回のも誤解ですって言おうと思ったら全然誤解じゃなかったや( ᐛ ;)
死体(というか人体)改造兵器は普通にやばいよね - 199二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 23:50:57
脳無で一番ヤバイのはツバサくんが犠牲になってること
- 200二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 00:44:13
うめ