【R-18】ここだけ3勢力入り乱れ惑星外性生物と戦うリアルロボットSFな世界part17【のんびり進行】

  • 1シェディ◆PPyRfvMZl625/05/05(月) 15:12:36

    襲来した異星人!

    侵略されるエネルギー資源!

    存亡の危機に晒されてなお人類は……

    未だ一つになり切れず、壮大な内ゲバを繰り広げ続けていた!!


    【出来れば読んでいただきたい世界観および初期設定集(テレグラフ)(各種ページへのリンクあり)】

    ここだけ3勢力入り乱れ惑星外性生物と戦うリアルロボットSFな世界あらすじ(とりあえずこれだけ読んでくれたなら最低限大丈夫な筈の簡潔にまとめた世界観)

    その1:どういう世界なの?

    特殊なエネルギー鉱石「コア鉱石」を動力源とする人型歩行兵器「バディフレーム(通称:BF)」が兵器として一般化した高度な機械文明が築かれている、地球に酷似した惑星が舞台だよ!

    元々は人類同士で細かい諍いとかはありつつもそれなりに穏やかな世界だったんだけど、本編から20年くらい前に惑星外性生物「インベイド」が隕石に乗って地表に飛来、どうやら上述のエネルギー塊「コア鉱石」がインベイドにとっては食糧として美味しくてたまらないらしくて、人類に敵対行動を取り始めたんだ!

    必死に抵抗したんだけど、現在では地表のおよそ3~4割程が完全にインベイドがうようよ闊歩している危険地帯になっちゃって、そこから時々インベイドが攻め寄せて来る油断できない状況なんだよ……。

    その2:で、今どうなってるの?

    インベイドとの緒戦により人命を多く失いながらも、結果として「クロノス・インダストリー(通称:K.I社)」が世界を主導、地表や地下に「コロニー」と呼ばれるいくつかの居住拠点を制定してそこを中心にインベイドに対抗する様になったんだ!…
    00m.in

    次スレは>>190踏んだ方が

  • 2シェディ◆PPyRfvMZl625/05/05(月) 15:13:02

    【前スレ】

    【R-18】ここだけ3勢力入り乱れ惑星外性生物と戦うリアルロボットSFな世界part16【のんびり進行】|あにまん掲示板襲来した異星人!侵略されるエネルギー資源!存亡の危機に晒されてなお人類は……未だ一つになり切れず、壮大な内ゲバを繰り広げ続けていた!!【出来れば読んでいただきたい世界観および初期設定集(テレグラフ)(…bbs.animanch.com

    【禁止事項】

    ・無敵ムーブ(戦闘でダメージを受けない、回避し続ける、など)

    ・必要性の認められない確定ロール

    ・相手PLが嫌がっていることを強要する行為(特にR-18関連はデリケートなところなので扱いには気を付けて、事前相談忘れずに)


    【世界観やパワーバランスを保つ上での禁止事項】

    ・版権設定の利用

    ・「地形を変えられる火力」を個人で設定し所有すること

    ・3勢力(K.I社、人自連、デスペラード)+インベイドよりも立場や規模が大きい勢力を設定すること

    ・なんでも高い水準で出来るキャラ、なんでも高い水準で出来る機体禁止(他の人の活躍機会を奪いかねないため)

    ・メタネタ禁止(「この世界は作り物だ~」や背後さんへの言及をキャラの目線で発言させるなど)

  • 3シェディ◆PPyRfvMZl625/05/05(月) 15:13:15

    Q1:参加してぇ!けど事前のキャラ登録って必須なの?テンプレはある?
    A1:キャラシはあった方が色々スムーズだとは思うけど、無くても規約的なNGムーブさえしなけりゃ参加はOKだぜ!
    テンプレらしいテンプレは特に無い(めんどうくさかった)からテレグラフなりで各自好きな様に書きたいこと書いてくれ!
    ↑の初期設定集から飛んだ先にあるスレ主のキャラシからテンプレとして項目を引用しても大丈夫だぜ!

    Q2:キャラは1参加者につき何人まで?
    A2:何人でもOKだぜ!複数陣営あるし下手に制限設けたらスカスカになるのが目に見えてるから……好きな様に作ってくれ!

    Q3:コテハン(トリップ)は必須なの?
    A3:必須じゃないぜ!でもトリップが無いってことはなりすましや乗っ取りが出ても判別方法が無いってことでもあるから、自衛手段としてコテハンを持っておくのは無難だぜ!

    Q4:スレタイにR-18表記があるけどエロスレなの?
    A4:一般誌のエロ描写とか元ネタ一般作品のエロ同人好き? 俺は好きなの……
    エロメインじゃないけど「エロいことも割と自由に描写して良い」スレだから苦手な人がミスッて踏まない様に一応表記しているぜ!
    「猥談耐性はあるけど自キャラにエロルさすのはなぁ……」って人でもOK、「自分は露骨なエロやりたくないです」って言っておけば良いぜ!

    Q5:設定集に目通したけどなんか既視感ある設定ばっかりだな?
    A5:へへっ

  • 4シェディ◆PPyRfvMZl625/05/05(月) 15:13:36

    【テレグラフ(設定やキャラシート、R-18な文章を書いたりにどうぞ)(※URLのhとttpsの間のスペースを消して検索してください)】

    h ttps://x.gd/Z5SAZ


    【URL短縮用サイト(テレグラフのデフォルトURLだとあにまんのNGワードに引っ掛かってしまうのでこちらでURL短縮してから投稿してください)】

    https://00m.in/

  • 5シェディ◆PPyRfvMZl625/05/05(月) 15:15:53

    「ふぅん、この場所の保守をするのがお仕事かい?」

  • 6シェディ◆PPyRfvMZl625/05/05(月) 15:16:08

    「良いよ、付き合ってあげる」

  • 7シェディ◆PPyRfvMZl625/05/05(月) 15:16:20

    「……」

  • 8シェディ◆PPyRfvMZl625/05/05(月) 15:16:40

    「……ねぇ、本当に何処にも行っちゃ駄目かい?」

  • 9シェディ◆PPyRfvMZl625/05/05(月) 15:16:54

    「……ふあ……」

  • 10シェディ◆PPyRfvMZl625/05/05(月) 15:17:11

    (目を離した隙に消えている)

  • 11メントーア◆AUy27RMtoo25/05/05(月) 15:19:13

    【人自連領域内部に不穏な動きアリ】
    とメントーアはクロノス情報部に通達を飛ばす、画像は不鮮明ながらも遠方からもみえるほどの大型兵器の写った映像に、上層部は諜報部を呼び寄せ、偵察部隊を編成し、手は出さず警戒しつつ監視せよと通達する

    だが、諜報部や情報部が察知していなかったこの巨大兵器の出現を【メントーア】はなぜ気づいたのか…ソレに思考を向けることはなかった

  • 12“スカーフェイス”◆OXAm1h6odk25/05/05(月) 16:41:03

    前スレ200

     ・・・・・
    「順序が逆だなァ?小僧。“取引”とは“商品”が先にあり、そして其れに相応しいだけの対価を要求する経済活動だ────」

    例えば、百万円が手元にあったとしても。
    お菓子なぞ幾らでも買えるだろう。しかし高級車を買うのは不可能だ。

    対価を差し出した時に“取引”が成立するかどうかは対価のみの価値ではなく、“商品”との相互の関係によってこそ成立する。

       ・・・・・
    「俺は何が欲しいと聞いた筈だぞ?其の手元の金でも対価に相応しくない場合、臓器を売り払ってでも買う気があるのなら先に“取引”を成立させてやっても良いがなァ」

  • 13東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/05(月) 16:44:44

    【逆巻重工、その本拠地の外れにて】

    ...おーきに、ソラウ

    『そーよ、結構苦労したんだぜー。
    ま、お代は取らないから早く持って行きな
    今は傭兵業も全員休業中なんだからさー。』

    せやな。元気しとって良かったわ

    『何をー?私は図太く生き残る女だよ
    あそうそう、兄さんから伝言があって...

    "雇用契約は続行してる事を忘れずにね"

    ってさー。私は良く分かんないけど、
    ウテナにはこれで伝わるのー?』

    ......さぁな。とりあえず言伝は受け取ったわ
    (自身のBFを受け取り、逆巻に戻る
    未だ厳戒態勢の社屋へ戻る頃には、
    ソラウも何処かへ去っていたのだった)

  • 14ポリト◆XGxCas/OAU25/05/05(月) 17:11:16

    >>12

    「すっすみません…」

    (くそっ、緊張で頭が…!)

    【先ほど拭った汗が、また身体中から流れ出る。不快感と緊張の合わさった感覚は、かなりの重圧を生み出した。】

    (落ち着いて、深呼吸だ…何のために、『覚悟を固めた』んだ…!)

    【深く息を吸い、ゆっくりと吐く。】

                            ・・・・・・・

    【それが終わった時、彼の『覚悟』は揺るがない物になってしまった。】

    「僕の求める『商品』は…コレだ。」

    【札束をしまい、同じ手でボロボロの写真を見せた。その写真には、紙に包まれた直方体の物体が写っている。】


    【その紙には、『C-4』と印刷されてあった。】


    「インベイド侵攻前に主に使われていた、プラスチック爆弾…金属検査にも引っかからない上、同じ頃に使われていた同量のある爆薬の約1.35倍の威力を持っている…らしい。」

    「幾つかこれが欲しい…具体的には、『半径15mの人間が即死する程度』の量が。」

    【そう言った時のポリトの目からは、先程までの子供らしさが消え、人としての何かが削がれているように見えた。】

  • 15“スカーフェイス”◆OXAm1h6odk25/05/05(月) 17:20:01

    >>14

           ・・

    「対価としては充分だな」


    特に迷いも躊躇いもせずに、先程ポリトが覗かせた札束の価値を計算して“スカーフェイス”は笑った。

    コア鉱石を用いたより高威力の爆弾が横行している昨今では珍しい“商品”であるが、“スーク”には当然在庫がある。



    「七番通りの自動販売機に行ってこい。半径30mの人間を即死させる量だが、分割すりゃあ十分足りるだろうよ」


    人を殺す兵器なんて、“スーク”では有り触れた物に過ぎない。

    闇市場の主は低く笑って、それから再び市場の散策の為に足を踏み出そうとしていた。

  • 16ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/05(月) 18:04:51

    前147
    「とりあえずこの二つがあれば他は十分かな…」
    【ウルヴィに運んでもらった衣類ケースと、自分が運んできた立ち鏡。ベッドや一人用の椅子や机も含めて、部屋としては必要十分なものは揃った】

    「次は…」
    【やることは一度終わった。彼女曰く、これ以上必要なものは無いらしい】

  • 17ポリト◆XGxCas/OAU25/05/05(月) 18:07:02

    >>15

    「…ありがとうございます。」

    【感情のこもりきっていない返事をしてその場から離れ、言われた自販機の元へ行く。】

    【札束を押し込みボタンを押すとゴトゴトという音がする。カバーを開ければそこそこの量の紙の包みがある。手に取れば、『C-4』の時が見えた。】

    (ついに、手に入れた…。…あとはコレを…)


    〜現在〜

    「…まだですかー?」

    【ポリトの乗る『始皇帝』は、未だ体操座りを維持している。待ちかねたポリトが公開無線で発信するが、返答はない】

    「…ダメか。」

    【パチリ、と無線のスイッチを切った。床に手が伸びる。】

    【床には若干古い型のラジオと、そのそばに子供用のコートが置かれていた。】

    【コートの裏に、スークで買った紙の包みと、所々カバーの剥がれたコードが下手に縫い付けられている】

    【コートを床に空けた穴に押し込み、同じ手でラジオの電源を入れた。コックピット内にポップスが流れる。ポリトはその中で、何気なく脚を交差させた。】


    「ここまで来たんだ…後は…なるようになれ…!」

  • 18旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/05(月) 18:14:22

    ─────老いた獣は、堂々と動き始めている。


    別方面に展開されていた第二航空打撃群の航空機が方向を転換し、現在の““陸上戦艦””から非常に距離がある飛行場を有する人自連側の都市“クオリタ”を目指しつつある。

    燃料を考慮すれば、現在の位置からでは到着する頃には既に補給を必要とする距離だ。直接合流するのが目的ではないだろう。恐らくは第三航空打撃群の予備戦力としてだ。


    第一、第五歩兵連隊。第一装甲擲弾兵師団。
    合計2万4千人から構成される地上兵力に関しても既に戦力の輸送が開始されている。
    フラクト惑星鉄道との数時間に亘る交渉の末、彼の企業は自慢の高速鉄道網を兵士の輸送の為に老いた獣に提供する決断を下した。
    二日以内に全兵力の輸送が完了するだろう。

    人自連の量産型バディフレームもまた、既に約200機が“クオリタ”への移動を開始している。
    “クオリタ”のコア鉱石は金に糸目を付けず買い占められた。それどころか、他の都市で購入した弾薬類やコア鉱石を“クオリタ”に運び込もうとする動きもある。


    「─────つまりは、弾薬と燃料を使い終わる。或いは心許なくなるタイミングで補給しようという動きですわね。
    戦力に関しても、コロニーの占拠の為に途中途中で放出する事を考えれば妥当な決断でしょう。悪くはありませんわ」

    走り続けた後に、途中で水を飲むようなものだ。
    本格的に““戦争””をするつもりなのだろう。しかしお陰で航路は推定出来た。場合によっては高速鉄道に破壊工作を仕掛け、戦力の輸送を遅延させるのも可能だろう。

    とは言え、老いたる獣の牙は一つだけではない。

  • 19ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/05(月) 18:40:56

    前195
    「爺さんは言ってました。”終わらせることを諦めてはいけない、だが同時に、”託すことを忘れてもいけない”って……ベレトさんなら、間違いなく知っている言葉だと思います。それに……」
     ケイが目を伏せた。

    「それを言うなら……あの馬鹿を止めることができなかった、俺にも責任があります」
     なんて皮肉な対比なのかと、ケイは思った。ベレトの時はクロノスの士官が抑えになって、自分の時は……人自連の傭兵が抑えになった。
     しかし結果は真逆。ベレト達はクロノス士官の抑えにより”要塞蜘蛛”を倒した。ケイは抑えとなりきることができず……このザマだ。

    「貴方の最期に、若人の不甲斐なさがきっかけになったこと……それが俺の心残りです」
     酒精に酔っているのだろう。自分の中の後悔も漏れていく。もっと上手く話せた。もっと上手く……できなかったから、今こうして座っている。
     どこまでも不甲斐ない若者たちなのだろうか。己等は。

    「……龍影に、皆に会いたい……いや、ダメです。俺は撃ちません」
     ベレトから投げ渡された拳銃は、重い。 ……撃とうと思えば撃てるだろう。
     そして撃てば。呟いた己の望みは叶うだろう。
     けど、それは自分自身の覚悟を踏みにじることになる。自分がとことん追い詰められなければ、彼の、金龍の糧にならないという確信があった。
     なにより――――。

    「貴方とは、まだまだ語りたいことがたくさんある。ゴエティアの若い人へ引き継ぎが終わりましたら、最後の最後まで、俺という若者に付き合ってください」
     自分がこの男と共にいたいのだ。気の抜けた笑みができる、安心できる人と。

  • 20旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/05(月) 18:44:45

    「“地中海”方面の都市で『ポロッゾ海賊連合』との交渉を開始──────確か、第五バディフレーム部隊が駐屯しておりましたわね。海洋側から旧西方列強連合領のコロニーへの攻撃を開始する予定なのでしょうか?」


    100機単位のバディフレーム部隊を時速180kmを誇る『ポロッゾ海賊連合』が製造する特殊小型船舶『フロンティア』で揚陸させるつもりなのだろう。
    開戦以前から購入していたとしても、現段階での数は部隊を一斉に輸送するには足りない筈だ。

    しかし件の交渉の結果として正規ルートで追加購入が行われる可能性については気がする必要はない、と『旧愛卿』は結論付けた。
    『ポロッゾ海賊連合』は頻繁に人自連からの略奪を行うが、しかし一方で企業理念としては対クロノスではなく対インベイド色が強い企業だ。
    クロノスと人自連の本格的な戦争で、インベイドに割ける戦力が減少する事態は避けたいだろう。


    「──────とは言え、他の企業が保有している『フロンティア』を接収するのも可能でしょう。
    交渉が決裂すれば、対クロノス強硬派の他企業からの『フロンティア』を購入して運用するの十二分に考えられますわね」

    ・・・・ ・・・・・・・・・
    許せない。旧グランセン王国領が蹂躙される可能性は排除する必要がある。全てだ。
    情報端末を操作する。“グランセン解放戦線”に所属する“独立闘士”に、総帥として勅を下す。


    「協力企業を介して『フロンティア』を一つ購入、直ぐに人自連の量産機を使ってクロノスの軍艦への挑発を行って下さい。
    クロノス海軍に警戒をさせて、老いた獣の牙に備えをさせるのです───────いえ、撃沈はNGの方向で。クロノスと人自連の本格的な衝突を防ぐのが目的なんですから、そんな事をしたら逆効果ですよ?」

    クロノスへの憎悪が深い忠臣を宥めて、作戦を実行させる。
    あくまでも『フロンティア』は奇襲でこそ最大限の効果を発揮する装備だ。警戒して陣形を組んだ艦隊の前では、小型高速艇一つに乗ったバディフレームは不利であろう。

  • 21旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/05(月) 18:44:55

    (……………問題は、クロノス側でコチラの意図に気付いてくれるかどうかなのですが)

    “グランセン解放戦線”は、明確に対クロノスの姿勢で固まった組織だ。
    総帥である『旧愛卿』は、少なくともインベイドを駆逐するまで事を構えるつもりはないが。例えそうでも“独立闘士”の多くはクロノスに情報を渡したくはないだろう。
            ・・・・・・・
    クロノスの中に、マトモで有能な指揮官がいるのを祈るしかあるまい。

  • 22ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/05(月) 18:50:24

    【ゴエティアの一兵士からの言葉が、人自連の一傭兵からの言葉が、目の前の寄せては返す波と共に頭の中で反芻していた】

    【ザザーン、ザザーン、ザザーン】
    【今を旧時代だと錯覚するほどに、ここはのどかな場所であった】

    ……メビ

    『はい、あのコロニーで出会った少年ポレトにつきましては未だに観察中です。金龍様がド派手に動いたため、ここでさらに詳細不明の人員を動かすのは難しいかと』

    ……そうか

    『そして、没名からの情報に依りますと、彼は敵対者だという事が判明しました』

    【金龍のサイバネアイに、黒塗りがまばらに見える“ノズマー計画”の企画書や、ポリトの手術経歴など、様々なデータが送られる】

    ……あの子を雇うのもアレだが、匿うにしてもリスクが高くなるよな……

    『それでしたら、こちら側でもうしばらく“観察中”にさせて頂きます』

    ……ありがとう

  • 23ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/05(月) 18:51:06

    >>16

    【寝室に物を運び終えて、周囲を見回す。生活に必要なものは殆どあるため、部屋としての機能は十分だ】


    (そういえば…)

    「わたしの…BESTIAは、どこ?」

    【ふと思い出したのは、仕事道具の一つであるBFのこと。気を失ったままのウルヴィを運んだのであれば、BFは何処に置いたのだろうか?】

    【個人でのガレージか、或いは彼の企業か。まぁ作成者曰く『僕以外に手を加えられるわけがない』そうだが、それはそうとして“押収”などされていたら全く笑えない】

  • 24ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/05(月) 18:54:55

    【11:25 勞家領海】
    【メビとの何気ない会話を終わらせると、金龍はまた波を眺める】
    【その片手に冷えた瓶入りジュースを持ち、白いリクライニングチェアにもたれ掛かって、ユスラ大佐を待っていた】
    【没名がネフィリム計画について調査していた時に、同じく裏から嗅ぎ回っていた人物だというが、この広い海に彼女を呼んだ理由は、表向きでは『気が合いそうだったから』である】

    (……あの人好みの飲料は持って行くと約束したし……もうすぐ来るはず……気楽に待つか……)

    【そう思いながらも、彼の顔は実に神妙であった】

  • 25ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/05(月) 18:59:05

    >>23

    「えっ…あぁ、ウルヴィさんのBFですか」

    【次のことを考えていた思考が途切れ、反応が遅れる。否、それだけが反応を遅らせたのでは…】


    「…今はここのNA支社の格納庫に輸送させてもらいました。無断で触られてはない筈です」

    【本来なら彼女の事も考え、個人用ガレージに格納したい所だった。しかし空きがなく、NA支社に運んでしまっていた。】

    【無論、NAASの社員には"勝手に触れないように"と伝えてはある】

  • 26ノイン◆fDey8JUvvk25/05/05(月) 19:01:20

    【陸上戦艦の甲板に一機の蒼いBFが着艦する】
    ……。
    『人類の、未来のために。』
    【それは、艦内の同胞たちに呼びかける】
    『私たちはクロノス・インダストリーの悪意と傲慢に、しかし理性と道徳をもって耐え続けてきた。』
    『私たちは良く耐えた。……良く耐えてくれた。』
    『だが、クロノスはまた私たちの想いを踏み躙った。』
    【造られた英雄に、政治のことは分からない。命令系統は当然艦長が上。であるからに語るのはただの精神論である】
    『私たちが最大限の譲歩と敬意を示す中、クロノスは内通者によって、私たちの善意に寄生し淡々と情報を吸い上げていた。』
    『いかにして他者を蹴落とし、他者より先に進むことしか考えない悪鬼共──』
    『彼らを止められるのは私たちしかいないのだッ!!』
    【悲嘆と憤怒。それでも『私たちがやるしかない』という覚悟。皮肉にもそれは本物である】
    『壁は高く、闇は深い。それでも、あなたたちとならやり遂げられると信じている!!』
    『己が正義に誇りを持つものたちよ!!私に続け!!』
    【高らかに宣言し、ビームサーベルを掲げる。】
    【蒼の粒子は濁りなく、煌々と刃を形作った】

    (……ここまで来たのなら。せめて、勝とう。)
    【ノインは何とも幼く稚い決意をする】
    【『ここまで来る』ことを選んだのは私だ、と】

  • 27ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/05(月) 19:03:28

    >>24

    【広く、遠く、何処までも続く青い海。さくさくと砂糖菓子を砕くような音と共に、砂を踏んで歩く】


    「や、勞くん。急におねーさんなんか呼んでどしたのさ」

    【あいも変わらずの怠惰で適当な態度で現れるのは、ラフな格好をしたユスラだ】

    【忙しくなりそうな時に、その元凶に呼ばれたとなればもう少し険悪になりそうなものだが、そんな素振りはない。ただ波のように捉えどころなく、流れるように金龍へと歩み寄っていく】

  • 28逆巻重工・実働部隊◆ECPjTIh3Iw25/05/05(月) 19:04:42

    前スレ196

    「ぐす、ひぅ、ぁぁぁ……! やだぁ、サヤギリの顔殴れないい゛。シグレが殴るのも止めちゃうぅ!」
    「思いっきり殴ったことのあるサミダレがなに言ってるのよ……っと、ごめんね。サミダレがこうだから私が後を引き継ぐけど……」
     幼児のようにシグレに抱きつくモードになってしまったサミダレに変わり、シズクが事態を説明した。

    「簡単に言うと、サヤギリは誘拐されて。誘拐者はクロノスの穏健派大佐……の部下」
     指を一本立てる。

    「万一サヤギリが死んだ場合は即時報復。制圧作戦を陽動に全機自爆装置搭載の誘拐部隊でエイダンリーを誘拐するための囮になる……私達はその部隊に選ばれた。といっても、志願だけど」
     二本目。

    「あと機密に当たるから言えないけど、作戦でちょっとマスドライバーで輸送するためにこっそり機体を運んでるの。協力してほしいけど、それが無理なら見猿聞か猿になってくれると凄い嬉しい……あとはCEOどうしの対談かな?」
     三本目。

    「って感じで、サミダレは死出の旅を勝ち逃げで飾ろうとしたけど、負けちゃったから大泣きってこと」
    「ここで負けてサヤギリの敵討ちができるわけないい゛!!」
     弱気にならないでよぉ……とサミダレの涙を、困ったようにシグレがハンカチで拭った。3つたった指が戻って、穏やかにシズクは笑っているが……。

    「――――道連れになったら、ケイのために一緒に死ぬけど……それでもいいならついてきて」
     おとなしさ以上の強さを讃えた目で、シグレを射抜いた。
    「所在が見つかったら、取り戻すための殴り込みにできるかもしれないからね」

     その時は殴っていいよ。とシグレが提案した。サミダレはダメ!と駄々をこねていた。
     ケイに命の危機が別の場所から迫っていた。

  • 29ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/05(月) 19:11:41

    >>27

    【金龍と並び歩けば兄妹、いや、親子と見間違えられそうなほどに華奢な彼女を、彼はサングラスを外して見やる】


    ……ユスラの姉ちゃん

    別に……何となくですよ


    【また、顔を前に向ける】


    『こちらへどうぞ』


    【黒い水着で白い肌が強調されたメビが、悠々と歩いて来た彼女をもう1つのチェアに座らせ、瓶を1本手渡す】

  • 30ベレト◆OXAm1h6odk25/05/05(月) 19:13:42

    >>19


    「“コウ”の言葉か。どうやら随分と教育してくれたらしい───────────フッ、少し羨ましくなるな。オレがこんな基地に実質軟禁されてる間、アイツはずっと後を託せる間を鍛えてた訳だ!」



    勢力が違えども人類の同胞を、機械的に殺し続けていたオレと比べてなんと未来に貢献しているのか!

    ────そのように述べながら、しかし少し意地の悪い。茶目っ気のある表情をベレトは浮かべた。


    若人の不甲斐なさを責める様子も、或いは彼が拳銃を手放した事を咎める様子もなかった。


    ベレトは彼に責任があるとは思っていない。寧ろ、この歳でよくぞここまでの傑物になったと思った程だ。

    同時に、そんな彼が撃たない事を自分で選んだのであれば。それに口出しをする気もなかった。



    「とは言え、オレも同じゴエティアの連中にしか後の引き継ぎをした訳じゃない────────もうノインには会ったか?“コウ”に似せた機体の、まだ若いパイロットだ」


    誇るように、ベレトは笑みを浮かべた。


     ・・・・・・・・・・

    「アイツはオレに勝った。実に良い腕前をしている奴だ。十年後には、オレ達の誰よりも強くなるかとオレは睨んでいる」

  • 31ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/05(月) 19:16:26

    >>25

    「……そう」

    【『無断で触られていないはず』。それを何処まで信じていいのかと思うも、既に企業支社のガレージにあるならどうしょうもない。彼の言葉を信じるしかないのだ】


    【しかし仮に中身を見られていれば、ただ機体を見られた以外でも困ることがある。コクピットには万が一に備えて生身での仕事道具が幾つか隠してある】


    「…見に、行ける?」

    【気になるならばその目で見るのが早い。企業の支社に外部の人間が入れるかは分からないが、どうだろうか】

  • 32鋼鉄の巨獣◆OXAm1h6odk25/05/05(月) 19:29:56

    >>26

    ────────艦内の全ての兵士が、その演説を聞いていた。

    艦長も、連隊長も、バディフレームパイロットも、一般兵でさえ。熱心に耳を傾けて、その言葉を咀嚼し、そして黙っていた。



    バディフレームが普及した現代で、陸軍の歩兵は常に苦しい立場であった。

    一般的なアサルトライフルでは、如何に兵士の腕が上手くとも突撃兵級インベイドすら殺せない。

    塹壕を用意しても高速で突き進むバディフレームの前には無力だ。


    それ故に、歩兵とは対人戦を想定した組織となったのである。

    しかし、だからこそ。自ら志願して『人を殺す』道を選んだ彼らは、各々が並々ならぬ理由を持つのだ───────それこそ、クロノスの人間を自らの手で殺すのを望む程に。




    演説が終わると同時に、雷鳴のような歓声が““陸上戦艦””に響き渡った。

    涙を流して、名も知らぬ隣の兵士を抱き合う兵士がいる。溢れる感情の赴くままに、言葉の形すら成さない雄叫びを上げるバディフレーム乗りがいる。


    ふと、誰かが叫んだ。



    「──────万歳!“撃墜王”万歳!人類自由連盟万歳!万歳!万歳!」

    「正義は我らにあり!天は我らの味方をしてくれるだろう!栄えあれ、人類自由連盟!滅びあれ、クロノス・インダストリー!」

    「どうか我らに、共に歩み進撃する名誉を!必ずや憎きクロノスを打ち倒してみせます!この命、その為ならば捨てても惜しくはない!」



    ──────正に、“英雄”を迎える熱狂的な民衆のように。

    武器を手にする者達は“撃墜王”の名を讃えた。

  • 33ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/05(月) 19:32:18

    >>29

    「なんとなく、ね〜。ま、おねーさんはそういうことにしとこっか」

    【ここまでの彼の動き通りであれば、さっさと本題に入るものだと思っていたユスラからして、やや意外な回答が返ってきた】

    【「ありがとね〜」と間の抜けた口調でメビに感謝しながら、チェアへと背を預ける。瓶詰めの黒い炭酸飲料を開けて、喉を鳴らして三割ほどを一息に飲む。出そうになっていた嘆息を、品の悪い噯気で上書きした】

    【少しくらいは『子供』のわがままに付き合うのが、大人という生き物なのだ】


    「ん〜、役得役得。やっぱりゆとりは大事だよね~」

    【仕事から一時でも解放された事を喜ぶように、ユスラは小さく伸びをする。黒紫のビキニの上に白いパーカーを羽織った姿は、まさに休暇中と言われても違和感はないだろう】

  • 34シグレ◆KPwoT407kA25/05/05(月) 19:38:51

    >>28

    とんだカスね、その“自称”穏健派ってのは

    【シグレの声は、冷ややかだった】

    殴るべきはサヤギリさんじゃなくてそいつか…あぁでも、人自連の私がやったらそれこそ企業間戦争に発展するのかしら?やっぱ代わりにサヤギリに一発やるしかないわね

    とりあえずCEOとアポを「もう取ってきたましたよー、今こっちに向かってるらしいっす」

    【ひょこっと現れたのは輸送機操縦士のイロだ】

    助かるわ。けどなんで?

    「さっきちょっとした通信の乱れがあったじゃないすか?それでシグレっちと自分が心配だから準備だけはしとくって…で、こちらさん直々に許可降りたっぽいんでいま爆速で本社発ったみたいっすよ」

    …とのことよ。私が協力できるかどうかはとりあえずCEOの判断を仰ぐわ。事情があまりにも複雑みたいだからこういうのに下手に口出ししてもいい事なさそうだもの。…ところで

    【先程の刃のような鋭い殺意から一転、年頃らしい眉のひそめ方をして、逆巻の二人を見渡す】

    これが最後だなんて勝手に決めないでくれる?私は私以外の誰かの為にこの貴重な命を無駄にするなんてまっぴらゴメンよ。

    最悪の場合は付き合ってあげなくもないけど、意地でも死んでやるものか。引き立て役のアンタ達も、勝手に死んだら私がもっぺん死なす。だから──────

    アンタたちも少しは信じなさいよ。そいつが生きてるって可能性を…少なくとも私以上には

    【楽観的と言われればそれまでだろう。しかし…どうして2人はこの世の終わりみたいな雰囲気になって自分の方がパッと見生存を信じてる風になってるのかが気に入らなかったシグレは、とりあえず彼女なりの励ましを送る事にした】

  • 35二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 19:40:35

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  • 36ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/05(月) 19:43:22

    >>33

    姉ちゃ〜ん、結婚願望が無いにしても少しは男性の前で取り繕ったりはしましょうよ〜はしたない〜


    【苦笑いする彼のその胸の中で、リングネックレスが輝く】

    【珠との結婚指輪であり、彼にとってのお守りだ】

    【彼女と結婚してからいつまでも肌身離さず持ち続け、身重だから別居している彼女とどこでも繋がれる依代であった】


    ただ、ゆとりについては賛成ですよ

    今の人々は、誰も彼もが目の前の事で手一杯で、慌ただしいですからね……

  • 37ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/05(月) 19:58:20

    >>36

    「おねーさんが取り繕っても無駄だからね〜」

    【けらけらと軽く笑う。クロノス本社でもお昼寝などとぬかして惰眠を貪る姿を晒しているのだ、今更この少女体型に恥じらいなどあるものか】


    「うんうん〜。みーんな一人で考えすぎなんだよ~、どんなに目が良くても、視野なんて限られてるのにさ〜」

    【瓶に口を付けてから、中身を透かすように太陽に翳す。一人の視点など、こうして簡単に覆って、濁らせてしまえるのだ。だからこそ、そのまま走り出してはいけない。前を正しく見えていなければ、大きな石にだって躓くし、崖に気が付かないで落ちてしまう】

  • 38ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/05(月) 20:03:31

    >>31

    「直ぐにでも行けますよ!…と言いたいのですが、距離がそこそこあるので──」

    【NA社製のコロニーは基本的に住宅・商業区、工業区、農業区の概ね三つで構成されておりこれらの間を大規模インフラが通っている】

    【現在地点は住宅・商業区である為、支社のある工業区には距離があるのだ】


    (…あの方法なら一番速いかな)

    「わかりました。時間もありますし、行きましょうか!」

    【一つ案が思いついた。最速で着く案が】

  • 39ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/05(月) 20:10:28

    >>38

    「ん…」

    【出来れば早く確認したいと思っていたものの、どうやらそれなりの距離があるらしい。一人で行くにしても道がわかなければ無理があると断念しかけたが──】


    「ん!」

    【どうやら行けるらしい。距離とやらの問題をどうするのか分からないが、ウルヴィは強く頷いた】

  • 40ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/05(月) 20:12:50

    >>37

    視野……ですか……


    【その身を起こし、隣で瓶を揺らす彼女へ振り向く】


    姉ちゃんは、俺を信じられますか?

  • 41ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/05(月) 20:16:36

    >>39

    「家の外で少し待っていてください!準備してきますので!」

    【そう言って軽く身支度を始めた。短い外出になるだろうから家の照明は付けたままでいく】

  • 42二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 20:23:13

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  • 43逆巻重工。実働部隊◆ECPjTIh3Iw25/05/05(月) 20:26:56

    >>34

    「少なくともケイが信じているから善人ではある……けれど、悪人へ容易く利用されてしまうタイプの善人であることに、間違いはないわ」

     ケイの『良い人』フィルターは狂っているが、善悪のフィルターは狂っていない。だからこそ、彼のフィルターを通り抜けて何者かから害意を与えかねない状況を作った元凶に対して、シズクも怒りを抱いていた。


    「だからまぁ……誘拐されちゃったことはともかく、心配させたってことでビンタ一発くらいはいいと思うよ」

     きっと高く飛んでくれるとシズクは微笑んで言い切った。 この双子はケイを『凄い頑丈だし、自分たちが本気を出しても良い人』と思い込んでいる部分があった。

     ……それ以外の感情もあるかもしれないが。

     

    「CEO同士のお話は任せましょう……はい、ユズハ補佐官? 聞いてくれましたね?はい、CEO直々に来てくれるそうなので、準備を」

     そうと決まれば話は速く。シズクはさらさらっと通信を繋いで情報を共有していく。 風通しの良さという意味では逆巻重工も中々だった。


    「こちらの質問として『どこで話したい』とのことです……CEOはいまブリーフィングルームで待機中なので」

     後で聞かせてほしい、ということで話が戻る。



    『だから──────アンタたちも少しは信じなさいよ。そいつが生きてるって可能性を…少なくとも私以上には』


     あるいはその考え方こそ、今の逆巻重工には必要だったのかもしれない。


    「ええ……ええ! そう、よね! サヤギリだもの!!」

     涙を拭い、サミダレの中にある気炎が少しずつ戻ってきた。BFに乗っている時の彼ならば、余程がなければ死なない。

     生身でも同じことだ。誘拐されてしまったからこそ生まれた『もしも』の中に、良き未来を想像する力が戻ってきた。


    「それに、仮にそうなったとしてお客様を死なせるなんて恥だもの。1秒でも長く、友達として一緒にいてあげる」

    「で……サヤギリが生きてたら、一緒に助けてあげようね」

     シズクは年相応の微笑みを見せて、覚悟を決めた。 正方向の覚悟は、人の強さの現れだ。

  • 44グリーン◆fDey8JUvvk25/05/05(月) 20:43:25

    【グリーン少将の一般的な1日】
    【5:00。海軍本部にて起床。朝食は栄養剤入りのティー。バイオ小麦の食パンにマーガリンを塗り、合成肉のベーコンを温めて添えたもの】
    【6:00。身だしなみを整えスーツ姿でAIアシスタントを起動。睡眠時の緊急案件をチェック。】
    【6:15。旧西方列強連合海軍各艦隊からの航海日誌を確認】
    【6:43。連合海軍第3艦隊よりポロッゾ海賊連合との交戦開始報告あり。天候良好・夜明け後の攻撃のため追撃は徹底的に避けるよう指示】
    【7:00。海上物流の動向確認。クロノスインダストリー少将の名が必要な箇所へ圧力をかける】
    【7:25。海賊連合との交戦終了報告を受ける】
    【8:00。軸重部門との調整】
    【9:00~12:00。第4艦隊海上演習見学・激励】
    【12:00~12:15。昼食】
    【12:16。アシスタントAIに定例報告書作成用データ入力】
    【12:30。陸軍との調整】
    【13:00。空軍との調整】
    【13:05。予算・計画承認等書類業務】
    【13:37。カンパーニュ地方沿岸で対インベイド戦闘開始の報告。地方沿岸警備隊の判断に一任】
    【14:00。各地域の艦隊司令との定例報告会】
    【14:57。カンパーニュ地方沿岸での戦闘終了報告】
    【15:00~17:00。造船所視察】
    【17:30。海軍司令部にて参謀長と共に方針確認】
    【18:00。物資配分について各所に通達、軸重部門との再調整】
    【19:00~21:30。面談および会食】
    【21:30。日誌作成】
    【22:00。ヘルスチェック後就寝】

  • 45ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/05(月) 20:54:44

    >>40

    「それは勞くん次第、かな〜」

    【一度瓶を置いて、金龍へと顔を向ける。彼が身を起こしているのを見て、ユスラも腕で反動をつけながら上体を起こした】


    「…人に信じて欲しい時はね、まず信じれるっていう証拠を出さなきゃ。例えば、貴方に危害を加えませんって信じて貰いたいなら〜…、そーいっ!」

    【パーカーの内側に入れた手から、ぽい、と白銀の塊が砂浜に投げられる。それはかなりの口径を持った回転式拳銃だ。最新の戦闘用義体すらも貫くだろう、彼女の特注品である】


    「行動でもいい、言葉や情報でもいいし、コストでもいい。ただコストの場合は、余計な疑いを生む可能性があるかもね〜。とにかく『信じろ』じゃなくて、『信じてほしい』って、相手に委ねるのが大事。…なんだよ〜」

    【信じる、とは強制してはならないのだ。それは後々に疑いを、亀裂を生む。自分は信じれる存在であると誠心誠意に伝え、最後の判断は相手に任せることこそ、遠回りに見えた一番の近道なのである】

    【コミュニケーションの基本のキ、それを優しく諭すように説明するユスラの態度に、小馬鹿にするようなものはない。ましてや導くなどという傲慢もない。ただ一人の相手として、彼の心に少しでも触れられればと望んで言葉を紡いだ】


    【若くして責任を負わされる彼は、誰かを信じれたことがあるのだろうか?誰かと対等に言葉を交わし、理解を深め、立場ではなく個人として関係したことがあるのだろうか?】

    【人を頼ったことが、いや、頼れると思えたことが、本当にあるだろうか?】


    【そう思うユスラはしかし、頼って欲しいなどとは言わない。ただ彼に、頼ってもいい相手が居ると示す。示し続けて、そう信じてくれるのを待つ】

    【相手を信じるとは、そういうことなのだから】

  • 46ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/05(月) 21:14:33

    >>45

    ……


    【彼女がリボルバーを取り出し、唯一の自衛手段であったそれを投げる様を、黙って眺める】

    【美しい白銀の姿は、次第に砂に埋められ、次第に潮に晒され、次第に汚れていった】


    だとしたら、今この場で、姐ちゃんの支払うコストはとんでもない事になりましたね

    あの超高そうなロマンと、もしかしたら、自分の命……


    【サングラスの奥で眠る黄金の眼を、徐ろに細める】

  • 47ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/05(月) 21:16:58

    >>41

    「分かった」

    【有り難いことに今すぐ出れるらしい。ウルヴィは促されるままに彼の家から出て、準備が終わるのを待つ】

    【身体自体は回復傾向だ。今でも頑張れば依頼は受けれる。だが機体の状態が…いや、そもそも機体を自身の手に置いていなければ、それはできないのだ】

  • 48◆KPwoT407kA25/05/05(月) 21:23:24

    >>43

    《場所、ですか。私としては上に立つもの同士2人だけで情報交換を行いたいと考えております。…そちらの社員に耳触りの悪い話をお聞かせしたい訳でもありませんから。》

    《とはいえ…此方の条件を息苦しいと思うのでしたらお互い秘書を同伴させる、という方式でも構いませんよ?どちらが良いかはそちらに委ねます》

    【込み入った話になるのだから多数の人物の耳に入れるような内容でもないだろう事、ならびに多少の融通は聞かせる旨を通信する】

    【程なくして】

    お久しぶりです、逆巻カンナCEO。…ミカエラさんを紹介していただいて以来でしょうか?

    【白い髪に人形のような服装。そして薄らとした笑みと全てを飲み込むような黒い眼…歳若さとは裏腹に幾度とない地獄を経験してきたかのような女怪が、逆巻に足を踏み入れる】

    【その風貌が桜空出身者であればかつての『天使』を彷彿とさせるものである事は、想像に難くない】

  • 49ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/05(月) 21:25:19

    >>47

    【そうして待っているウルヴィの後方から大きな駆動音が迫る】

    【戦場で何度も聞いたではあろう音。様々な機器が連動し一つの脚として地面を踏みしめる音。そう】


    【その巨人は片膝を付き、掌を上に向け、そっとウルヴィの前に降ろす】


    「ウルヴィさん!これで行きましょう!!」

    【背部の乗降用ハッチから身を乗り出したランセルが手を振る】


    「アリオールなら直ぐ着きますので!!」

    【BFなら一番早く着く】

  • 50ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/05(月) 21:30:45

    >>46

    「過払い、だと思わせちゃったかな?」

    【くすくすと悪戯っぽく笑う。まるで子供のように】


    「勞くんがそう思ったなら、疑っていいんだよ。それが信じるってことだからね〜」

    【汚れていく『お気に入り』を一瞥すらせずに、金色の瞳と目を合わせて話を続ける】


    「結局は受け取った方が決めるの。ビーチへの呼び出しを、密会での暗殺と疑うか、誰にも聞かれたくない話がしたいのか…もね」

    【ユスラが銃を手放した理由は、そういうことである。信じて欲しい時は、行動の意図も包み隠さずに伝えるべきなのだ。今のユスラは『武器』を手放し、彼を信じてその意図を伝え、その次に自身を信じて欲しいがどうだろうか?と問いかけている。そうした順序があって、ようやく相手に『信じれますか?』と問う権利があるのだと知ってもらうために】

  • 51ルクノレア◆OXAm1h6odk25/05/05(月) 21:33:20

    >>44


    「───────*スラング*!人自連の害獣共め!時期を弁える頭さえないのか!?戦力差を理解していないのか!?状況を理解していないのか!?それとも全て理解した上で行動しているのか!?いずれにせよ救い難い無能だ!!人類の恥晒しめ!!」



    若き旧西方列強連合軍の空軍少将。25歳という異例の若さで旧西方列強連合領戦線の先鋒を務める女性──────ルクノレア・ノーザレムは二年間もの間、最前線で働かせて続けていた身体を久し振りに最前線以外の場に置いた。


    コレがインベイドを旧西方列強連合領から駆逐した結果であったとすれば、何と安らげた事だろうか!

    実際には人自連強硬派の過激な軍事行動によって、グリーン少将と対談しなければならなくなった結果である。



    端的に言って、ルクノレア・ノーザレムは普段以上にキレ散らかしていた。



    「私だって奴らの頭上に絨毯爆撃を加えてやりたいのを我慢しているのだぞ!?!?対インベイド前線の状況は未だ苛烈極まりない!旧西方列強連合領軍がイルベリア半島の“統率個体”を抑える為に何千人何万人という損害を払い続けているというのに人類同士で戦争を始める気か!?!?!?巫山戯るなよこの*スラング*で*スラング*な害獣共がァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」


    更に言えば、植民大陸方面軍。南開拓大陸方面軍も同様にインベイドとの前線を抱え込んでいる。

    特に南開拓大陸に関しては、元は人自連の支配地域であった地方が“統率個体”である“毒雨獣竜”の出現で奪われた結果だ。



    「方面軍を転換すれば“ローン・ソルジャー”を千機単位で*スラング*共ご自慢のあの醜い巨獣にビームの雨を浴びせ掛けられるが……………ッッッ!!!その間にイルベリア半島戦線が破られた場合は誰が責任を取れるのだ!?!?今まで払った犠牲の数を考えれば、再び今の状態まで押し戻すのにどれだけの戦力と資源が必要になる!?!?!?人類を破滅させたいのか、癌細胞め!!!!!!」


    一通りキレ散らかしてから、ルクノレア中将は席に座った。

    先程までの青筋が浮かんだ姿は────正直変わらないが。少し歯が砕けそうなまでに歪んでいた表情は、徹底した無表情になっている。



    「グリーン少将、貴官に相談したい事がある。生憎と私は海軍については海軍将官程の知識を持ち合わせていない。専門家の意見が欲しい」

  • 52ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/05(月) 21:38:45

    >>50

    ハハハハハ! 

    だったら俺は……武器を全て捨ててくれた姐ちゃんの事を、俺の話を聞いてくれる優しい人だと今信じてますよ


    【メビが新しい瓶を手渡し、空っぽになった瓶を預かる】


    過払い分の釣りと、俺から姐ちゃんに払うコストです……信じてくれますか?

  • 53二次元好きの匿名さん25/05/05(月) 21:39:20

    このレスは削除されています

  • 54ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/05(月) 21:45:35

    >>49

    【徐々に近づく音にまさか、と思いながらも振り向くと、予想通りに鋼鉄の巨人がやってきた】


    【確かにこれならば、ある程度の距離は無いようなものだろう。そのためだけにBFを出すとは思わなかったものの、持ってきてしまった以上は断れない】


                 ・・・

    【そしてウルヴィの身体は…跳んだ】

    【アリオールの手を無視して、膝、肩を経由して、手を振る彼の隣に軽やかに着地する】


    「…ありがとう」

  • 55グリーン◆fDey8JUvvk25/05/05(月) 21:52:59

    >>51

    伺います。

    【壮年の紳士は端的に返事をする】

    【目の前の女性が自分より年若く階級は上で常に怒り散らしている烈日のご令嬢であり】

    【海軍が懇意にしている傘下企業の社長との優雅な会食の時間を、非礼を詫びつつ切り上げることになったとしても】

    【この男のかける言葉はわずか4文字であった】

  • 56ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/05(月) 21:53:34

    >>54

    「どういたしまして!」

    【彼女の身のこなしに体調の回復を認識する。"ここまで回復してくれて良かった”と心から思える】


    「流石に単座仕様なので狭いですが…」

    【ふと”彼女はもう帰るのだろうか”と考える。体調も回復しBFも回収するのなら、ここに残る意味はないと言える。部屋作りを終えたばかりではあるが仕方のない事だし、喜ぶべき事だ】


    【だが少し、サブ・シートを出そうとする手がもたついた】

  • 57ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/05(月) 21:54:32

    >>52

    「ふふっ、いいよ〜」

    【瓶を傾けて喉を潤す。『話を聞いてくれる』と彼は信じ、『話がしたい』意図も伝えた。そこまで出来ればとりあえずは合格点…いや、『信じてもいい』だろう】


    「で、お話って〜?」

  • 58ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/05(月) 22:05:27

    >>30

    「爺さんの本名!? やっぱり、貴方も爺さんを……いえ、”撃墜王”のことを……」

     知っていたのか。という驚きに、やはり、という確信へ変わった。

     ――――己の祖父が撃墜王であるという事実を、ケイは受け入れ始めていた。


    「……ありがとうございます」

     自分のわがままを、叱るでもなく褒めるように見てくれるベレトに、どこかケイは救われたような微笑みを見せた。

     ケイにとっての最上位とは祖父だ。あの人を超えなくてはならない……技術としてだけではない。心も、そして他のことも。

     自分を通して戦友である祖父を誇っているならば、その誇りは己も受け取らなくてはならない。


     その祖父に育てられた自分としての、ある種の自尊心だった。


    「はい……まさか」

     ノインにあったかと言われ、思い出した。彼女の姿勢は……僅かに違和感こそあれど、本心が確かに強かった。

     ゆえに尊敬もあり。ゆえに若干の意識もあり。

     故に――――。


    「――――っ!?!」

     目の前の男に勝ったという事実に、息を呑んだ。そして同時に、その見込みにも。


    (ゴエティア、以上……!?!)

     彼らの思想……『三倍するBFに無傷での勝利こそ当然』という基準に則れば、10年後の彼女は……。

     思わず震えが走る。

     ……もちろん、三倍するというのは、世界基準の平均値を見た場合だ。相手がエース、それ以上であれば相応にゴエティアとて消耗する。

     だが、そのゴエティアのベレトをしてそう評する彼女は……。


    「それは、負けられませんね」

     敵愾心などではない。純粋に、”同じ人に憧れる者”として。エースとしての決意だった。

  • 59ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/05(月) 22:06:12

    >>56

    「ん、大丈夫」

    【幸いウルヴィの身はかなり小柄だ。単座式と言えど、少し彼に手狭な思いをさせるくらいで済むだろう】


    【急に動かされた身体が激痛を訴えるが、ウルヴィにとっては慣れたものだ。私の身体なんだから動くなら動け、以上の感想はない】


    【あまり使うことは無いのだろう、少し手こずってサブシートを出した彼に続いて、ウルヴィもアリオールに乗り込む】

  • 60ルクノレア◆OXAm1h6odk25/05/05(月) 22:14:24

    >>55

    「済まないな。私の責任にしておけ」



    一通り怒鳴り散らかして、喉が渇いたのか空軍中将は手持ちの軍用水筒を煽った。

    海軍が懇意にしている傘下企業の社長、というのは軍事的にも提携が重要な相手であろう。とは言え、悠長に待っていられる事態でもなかった。


    であるのならば。海軍に悪印象を懐かれるよりも、空軍に悪印象を懐かれる方が、まだ軍事的な損失は少なく済むだろう。


    其れはクロノス空軍と極めて密接な関係を持つ傘下企業の令嬢としての自負であった。専門外の企業が多少悪印象を懐いた所で、空軍には一切の悪影響は出ない。出させない、という。


         ・・・

    「人自連の一部の害獣が侵攻を画策している事実は既に陸軍を介して伝わっているだろう。それに関連して、地中海でも異常な動きがあった。海洋からの侵攻も同時並列で画策している可能性がある」


                 ・・

    「──────私としては、牽制を行いたい。今の情勢で全面戦争となると人類はまた多くの代償を支払う羽目になるだろう。なるべく交戦せずに、敵の侵攻を抑える役割を実行して欲しい」



    とは言え、と若き空軍中将は続けた。



    「所詮は門外漢の無茶な要求だ。この案が不可能であるのなら、貴官の自由判断に任せたい」

  • 61ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/05(月) 22:15:35

    >>59

    「それじゃ動きますね。サブ・シートなので多少揺れると思いますが…」

    【ウルヴィが座ったのを確認し、機体を変形させる。普段の変形ではない。直立に移行してからの一番振動の低い変形。視点や身体がまるでエレベーターに乗っているかのように下がる】


    【操縦席内からは臨時複雑状態のため、唯一前面とサブモニターの幾つかしか見えないが、移動だけなら十分である】


    「…行きます!」

    【変形を終えた機体のホイールが回転し、これアスファルトにタイヤを切り付けながら走り出す】


    【アリオール、発進】

  • 62ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/05(月) 22:24:47

    >>61

    「…速い」

    【走行用の変形なのだろう。以前から思っていたが、地上を走る事に特化したアリオールはかなり速い】

    【しかもホイールによる走行であれば、コア粒子の消費や汚染を気にしなくていい。脳内で球体頭がふよふよと浮かんで《興味深いじゃないか…》と宣い始めるが、喧しいことこの上無いので退去して頂いて、後ろへと流れていく景色を眺めていた】

  • 63ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/05(月) 22:34:37

    >>62

    【大型車用、もといNA社製BF、それこそアリオールの系列機や防衛用のカスアリウスなど用の道を使い走行するアリオール】

    【途中区間を繋ぐ、外縁上ハイウェイへと合流し人気の少ない道を走る】


    「あの…ウルヴィさんって何処の出身なんですか?」

    【外観上、今だに残っている街頭という灯りが定感覚で機体を照らす。それ以外は防音壁により景色など何もない。少しの間とはいえ"これでは飽きる"と思い、一つ彼女に聞いた】

  • 64グリーン◆fDey8JUvvk25/05/05(月) 22:36:56

    >>60

    「責任の件はご厚意にあずかります」

    【素早く返答する】

    【もし仮に相手が少将であれば面子を口に出しただろうが、上が責任を取るというならそれに従うのが軍人というものだ】

    【それに、中将。傘下企業の令嬢。何より彼女の気性をそれなりに知るものであればそう追及はできない、問題ないと見込んだこともある】

                        ・・・  

    「一部の害獣ですか。……海軍でも人自連の一部の害獣に吠えたてられましてね。要は挑発行為を受けたわけですが。」

    「中将殿の証言と合わせると、独断専行した別の害獣に警戒してほしい、と賢しくも示唆してくれているようですね。」

    【薄く笑う。そのような回りくどい方法に感謝するとともに、裏で手を引く賢しい獣を断定できないことは少しばかりの不満であった】


    「返答いたしましょう。海軍では最大限の牽制を行います。当然、例の実験艦も万一に備えさせます。」

                           ・・・・・・・

    【全面協力の返答。だが、全面戦争回避のためにはこれくらい当然である】

    「お恥ずかしい話ですが、私は愚かすぎるものの行動は理解できません故、ここまで手の内を晒すほかないのです。」

    【本来ならば切り捨てたい話と可能性だが、それだけ全面戦争のリスクを理解している……というポーズも忘れない】

  • 65ベレト◆OXAm1h6odk25/05/05(月) 22:41:03

    >>58


    「アイツは格別に腕が良かった。当然、覚えているとも。オレも命を救われた事がある」


    ─────事実である。

    北方戦線の地獄は、誰もが互いに助け合っていた。そんな環境で、正にエースと呼ぶに相応しい実力を有していた“彼”もまた多くの人を救っている。



    ベレトとて、危うい場面がなかった訳ではない。

    同じ様な腕前や才能の持ち主はあの戦場には何人もいて、その上で運良く生き残っただけだ。


    運良く生き延びて、経験を積んで、やっと今の強さになった─────────そんな老兵を上回る者が現れたのだ。嬉しくない訳がない。

    後を託せると、素直にそう思った。



    フッ、と小さく笑う。そんな彼女の実力を聞いて、その上で「負けていられない」と口にした。出来た青年を心の中で大きく讃える。

    尤も、口に出すのは些か恥ずかしかったが。



    「あぁ、素晴らしい向上心だ。切磋琢磨しろ、腕の良いパイロットは何人いても足りない事はないからな。仲良くやるのが一番だ────────南開拓大陸で、厭という程それを思い知らされた」


    南開拓大陸に出現した“統率個体”と、其れが率いるインベイドの群れが人自連勢力圏に侵攻を開始した時。

    「ゴエティア戦団」の72機が動員され、討伐任務に着任した。老害によるインベイドの“統率個体”への過小評価だった。恐らくは名誉を狙ったのだろう。



    「ゴエティア戦団」の損害は28機に及んだ。その上で、“毒雨獣竜”には切り傷を与えたのみであった

    老害は「ゴエティア戦団」を撤退させて、その後南開拓大陸は陥落してインベイドの巣窟となった。

  • 66ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/05(月) 22:48:20

    >>63

    「たぶん、企業…?いや、施設…だっけ?もう、ないけど」

    【ウルヴィ自身も、自らの出自は詳しくない。それ故に返答も漠然としたものになる】

    【一つ確実なのは、その場所は既に無いということ。そういえば倒壊する建物の中で「完成品を保護しろ」とか「施設はもうだめだ」とか言っていた気がする】

    【その頃のウルヴィには地理など知らず、古い記憶は辿ろうにも難しい。どういう場所だったかは朧げに覚えているものの、何処だったかは知らないのだ】

  • 67龍影◆9BZ6kXGcio25/05/05(月) 23:01:50

    前スレ172
    「暗号……確か2000年宇宙旅行の137ページを開けって言ってたな。」
    馬鹿が連れていかれる時、伝言のようにけいが言っていたのを思い出す。
    「ここ数日、ケイは私の家で過ごしていたので、直近のものであればアウトサイドの家かと。」
    金龍のバカの顔を見たら一発殴ってやろうと心に決めたのであった。

  • 68ルクノレア◆OXAm1h6odk25/05/05(月) 23:03:06

    >>64


    「あぁ、助かる。序でに私の口座から今回の会談の準備費用を引き落としておいて欲しい。タダで準備出来る訳もないのだから」



    独立企業の令嬢時代のルクノレアの個人資産は全てクロノスに献上された───一族で合意した決定である───が、クロノス軍人としての給与はある。


    最前線を預かる身として、それこそ近年では約二年間一度たりとも休暇を取った事のないルクノレアの貯金はそれなりの額だ。


    接待の準備費用を賄うには十分だろう。人類の為であれば、資金を出し惜しみする方が愚かなのだ。

    そのような思想を、ノーザレム家は共有していた。



    「人自連とて、決して無能の集まりではない。無茶な凶行を阻止したい企業もいるだろう──────真に人類の未来を考えているのならば、クロノスに協力すべきだとは思うが」


    挑発行為については、そういった企業の仕業だろうとルクノレアは断定していた。

    必ずしも特定する必要はない。少なくとも、異星体を駆逐する上で邪魔にならないだけの能力と理性があるのなら排除する必要もないのだ。


    或いは裏から守護するべきと唱える人間もいるかもしれないが、ルクノレアにしてみれば守って欲しいのならクロノスの傘下企業となれば良いだけだ。



    「海軍からの全面的な協力、感謝する。今後も海軍と空軍、陸軍の間で密接な連携と技術の相互支援が行われる事がインベイドを駆逐する上で重要になるだろう」


    そう口にして、座りもせずに話をしていた若き空軍中将はグリーン少将に背を向けた。


    「では私はイルベリア戦線に戻らせて頂こう。他に議論、対談が必要な案件はあるか?暫くは戻れないからな」

  • 69ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/05(月) 23:05:07

    >>57

    ……さっきまでのが俺のしたい話ですよ……


    【直前まで笑ったのが嘘だったように、男は哀惜と共にチェアにもたれ直す】

                        ・・・・・・・・・・

    ……信じられる人が居なくて……だから俺はまた1人見殺しにした……

  • 70ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/05(月) 23:05:21

    <もっと世界を知るべきだったのだ>



    【大巖窟にて粉微塵に打ち砕いた死骸が、目先で跳ねる波飛沫と重なる】


    500万4752、俺が参加した任務で挙げた戦果の数です

    インベイド、デスペラード、合わせて全部俺が倒した敵です



    <戦場や緊急事態の戦場以外で出会うこと以外は、あってはならないんだよ……!!>



    【K-2コロニーで揺らめく戦火が、目先で漂う波と重なる】


    557万3764人、俺が参加した任務で犠牲になった人々の数です……

    K.I、人自連、デスペラード、兵士、一般人、合わせて全部……全部俺が巻き込んだ被害者です……


    【全部己が招いた結果だ】


    世の中を良い方向へ変えられると思っているのに、たかだか数百km先の人々しか救えていない……

    今こうして話している間にも、どこか数千km先の人々は成す術無く死んでいく……


    【何も変えられていない】


    俺のせいで誰かが死のうとも、それ以上に誰かを生かせば許されるだろうと思って……

    贖罪しているのに変えられていない……

    あまつさえより悪い方向へとしか変えられず、昨日でまた1人、見殺しにした……

    俺は偽善者です……それ以下の救えないクズです……

  • 71ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/05(月) 23:06:31

    貴女は俺と同じように“ヤヌス”について調べていたと聞きます……

    だからここへ呼んだ……



    <クロノスの全員と話してみろ。過激派とも、穏健派とも。全員とだ。スパイだろうが、だぞ>



    人の善性を信じているのに、人の悪性も信じている……



    <頼りにならない者とこそ話せ>


           ・・・・・・・

    だから、俺は、俺が信じている貴女をここへ呼んだ……

    俺自身もまるで何も変わっていない……欺瞞者です……

  • 72グリーン◆fDey8JUvvk25/05/05(月) 23:32:55

    >>68

    「ノブレス・オブリージュですな。それはもう、確かに。」

    【会談の準備費用の件、そして真に人類の未来を考えているのならば、クロノスに協力すべきだという意志、どちらも肯定する】

    【今回の会談の準備費用は明日中に引き落とされるだろう】


    【そして、この場で議論・対談が必要な案件は?と聞かされ、それならばと答える】

    「『再征服(レコンキスタ)計画』。技術の進歩と海棲インベイドの進歩、それぞれの速度を鑑みるに……半年後が実行の分水嶺と考えております。」

    「大西洋海上交通路の回復と、海底のコア鉱石資源の回収。成し遂げられればインベイド殲滅への階段をまた一つ上ることになる。」

    「私としては陸軍の提案に賛成です。」

    【つまるところ、旧西方列強連合軍司令バルバロイ・アークライ陸軍中将──『再征服計画』を諦めておらず、“寧ろ今こそが好機であるのだ!”と強硬に主張する人物──にある程度同調するということだ】

         ・・・・・・

    「ですが、今はまだ早い。BFの飛行技術は量産レベルに達しておらず、粒子ビームを無効化する装甲の解析は全く進んでおらず、工学事業部はうまくやっていますが、彼らだけには頼れない。」

    「失礼、結論です。『再征服(レコンキスタ)計画』のイニシアチブは我々で握りたいと私は考えていることを、お伝えいたしましょう。」

  • 73ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 00:17:25

    >>69 >>70 >>71

    (1/3)

    「…まず、一つだけ訂正しちゃおっか」


     ・・・・・・・

    「直接は二人だよ。勞くんが接触した、蒼い機体の子。あの子も、勞くんのせいで……死刑になる」

    【彼の動きは、とても目立っていた。『ケイ・サヤギリ』という少年との接触に、『アブソーバー』との戦闘。それによる被害。そこまで目立てば必然と、“視線を集める”。その内の一つは、当然ユスラだ】

    【ある場所へと、『ケイ』を誘拐したことを知っている。金龍よりも少し世界を知っているユスラには、その後が予測できてしまう】

    【だからこそ、知らなかったことを後悔しているのであれば…伝えなくてはならない。世界とは残酷で、思い通りにはならず、予想を超えてしまうものだということを】


    「そして───」


    「直接じゃないなら、数百から数千が」



     ・・・・・・・・・

    「また君のせいで死ぬ」



    【二つの死すら、引鉄に過ぎないことを、伝えなければならなかった】

  • 74ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 00:17:50

    (2/3)
    「ゴエティア戦団。それは今、人自連の敵対者への矛だから」

    「逆巻重工。ああ見えて彼らは…凶暴だから」

    「報復が始まる」

    【ゴエティア戦団は現在、人自連の『対立派』の保有戦力だ。それが殺されたとなれば、彼らは黙ってはいないだろう】
    【逆巻重工は人自連の加盟企業で、『融和派』だ。しかし架け橋を壊されたともなれば、その牙を剥き出しにして『裏切り』に噛み付くだろう】
    【そうなれば何人死ぬ?クロノス・インダストリーから、人類自由連盟から、幾つの命が失われる?】

    【それは金龍が望んだことではない事は、知っている。金龍の手の外側だということも】
    【しかし間違いなく、金龍という者の手によって描かれてしまったシナリオだ。望んでなくとも、そうであって欲しくなかったとしても、彼は物語を動かしてしまったのだ】
    【さらに彼は、その地位を完全に失うことすら無いだろう。対立派にとっては素晴らしく都合の良い『出来損ない』を演じてしまったのだから】

    【本当はここに来て、彼がその罪を認めないならば……相応の事をしなければならないと思っていた】

    【けれど彼が、その無知と向き合おうとしている】
    【己が目のみが世界を見ている。そう驕った傲慢を認めた】
    【己が手のみで世界を変えられる。そう勘違いしていた無力を認めた】
    【初めて『子供』だと自身を認められて、誰かを頼れたのであれば】

  • 75ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 00:18:23

    (3/3)
    「──勞くんはもう、欺瞞者じゃないよ」
    【立ち上がったユスラは、彼の頭へとその手を乗せる】

    「おねーさんに、ちゃんと言えたから…ね」
    【『軍人』でも『名家』でもない、ただの『勞 金龍』としての言葉。建前のない本心の吐露は、欺瞞ではない】

    「変われたよ。変われるんだよ」

    「だからね、これからはもっと…話せばいいんだよ」

    「難しいなら、おねーさんにでもいいからさ」
    【失った物を取り戻せるとは言わない。彼に罪が無いとも、言えない。けれどこれから、罪を犯さないことならばできる】
    【それが変わるということなのだ】

    【全く、嫌な世界だと思う。子供の過ちで、こんなにも多くが変えられてしまうなんて】
    【良かれと思って過ちを侵す、そんなの誰だって当然なのに。だというのに、世界を知らない子供が、取り返しのつかない過ちができてしまうなんて】

    【なんて、大人は不甲斐ないのだろうか】

    【彼へと向けたはずの微笑みに、自嘲が混じってしまう】
    【もっと早くこうできていれば、なんて事を考えてしまう。無意味な思考だというのに、だ】

  • 76ルクノレア◆OXAm1h6odk25/05/06(火) 00:38:52

    >>72

    「『再征服(レコンキスタ)計画』か……………」


    ボロニアス・ソローネ陸軍大将によって提案された計画だ。当時既に東方大陸方面軍総司令であった彼は、東方大陸方面軍の協力も約束していた。


    残念ながら、ルクノレアと同様にコネで昇進した者の手でボロニアス大将が暗殺された事で東方大陸に展開する方面軍の全面的な協力は得られない可能性が高まってしまったが。

    唾棄すべき無能の働き者であった。上に立つ者は、誰よりも勤勉でなければならないというのに。


    ルクノレアは言葉を紡いだ。

           ・・

    「バルバロイのアレは、一種のポーズだろう。ボロニアス閣下の死で動員予定であった戦力は計画当初と比べて減少してしまった。

    だが計画の必要性は変わらない。寧ろ近年の目覚ましい“統率個体”の……………『成長』を鑑みるに、寧ろ必要性は増大しつつあるとさえ言える」


    ルクノレアは苦々しく、青筋すら浮かべながら嘆息した。

    北方戦線の英雄であるマキシム准将とバレスト少将に加え、東方大陸方面軍の千里に渡る戦線に微笑みを向けて“制御”していたボロニアス大将の死は無視出来ない損害であった。


    ─────戦力を補填する必要がある。というのが正直な感想だ。

    旧西方列強連合軍だけでは、恐らくは足りない可能性が高い。

    故に、


     ・・・・・

    「良いだろう。イニシアチブを握るのは、我々の方が適しているというのは賛成だ。計画は段階的に、そして確実に遂行される必要がある。決して失敗は許されないのだ。失敗した場合、我々は致命的損害を負う事になる」


           ・・・・・ 

    「──────一部の暴走の可能性は摘み取るべきだ。人自連の愚かに過ぎる無能な働き者の二の舞は御免だ」


    バルバロイ・アークライ陸軍中将は叩き上げだ。

    強硬とは言えど、最前線に立つ者として正しい戦場への理解がある。


    だが最前線に立った事のない者に計画が左右される事態は絶対に避けるべきであると、ルクノレア空軍中将はグリーン海軍少将に同意した。

  • 77ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 00:50:48

    >>65

    「……そっか。爺さんもやっぱり……あの地獄を戦ったんだな」

     やけに具体的なアドバイスが常に来ると思っていた。そしてその殆どが、的を外れたこともまたなかった。

     経験したことは、そうそう忘れない。思い出も、痛い目を見た苦い記憶も。全てが糧になると。

     そして、その上で。


     その経験した蓄積でさえも敗れ去った歴史がある。


    「それは……」

     ケイが仮想では触れたことのない、知らない歴史だった。

     そこから導かれる事実は一つ。

     英雄一人だけでは、戦いの全てが終わるわけではないということだ。


     無名の強者が、勇気あるものが、命あるがために足掻く只人が。

     たくさん、たくさんいなければならない時代なのだ。


     多くいて、困ることなどなにもない時代なのだ。


    「――――分かりました。これからも、もっと。ずっと……沢山の人と、縁を繋ぎます」

     それが、今の自分にできること。 成長の傍らで、続けることができるものだと。

     ケイは龍影に言われた『人と仲良くできること』を、明確な長所として自覚できた。

     なぜできるかはわからない。通じない人もきっといる。

     だからこそ――――信じて、試すべきだろう。 すり足のようにゆっくりと。


    「……そろそろ、ですかね」

     嗅ぎつけられても、おかしくない頃だ。 最速で展開されるなら、そろそろのはずだと。ケイは予測した。

  • 78ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/06(火) 01:07:52

    >>75

    【彼女の言葉で、親友までも死ぬのだと初めて気付かされた】

    【彼女の言葉で、これからも大勢の人が死ぬのだと自覚させられた】


    ……


    【彼女を見つめるその目は段々と潤むも、反して、口は半開きになったまま何も出なかった】


    ……あぁ……あぁ……


    【だが、彼女の掌に、幾ヶ月振りの優しさを感じた。厳しくても、最後には許してくれる母の優しさを】

    【ゆっくりと彼女に抱きつき、更に、深く、彼は感じた】


    わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ


    【柔らかい温もりに包まれて、金龍は泣きじゃくった】


    【軍の大佐としては、これ以上の情けない姿は無いだろう】

    【名家の次期当主としては、これ以上の醜態は無いだろう】

    【だけれども、1人の極々平凡な青年としては、まだ大人まで半歩足りない子供としては、正しい姿ではあった】


    (金龍様はお強い方です……どうか……泣き止めば一言、一言だけでも出してください……貴方に仕えさせてください……)

  • 79ベレト◆OXAm1h6odk25/05/06(火) 01:09:53

    >>19

    >>77


    「あぁ。存分に縁を繋げ。そうする事で、救える命もあるだろう────────とは言え、だ。死刑になってしまえば縁を繋ぐのも無理だろう」


    老人は座りながら、ケイが手放した拳銃をしっかりとした手で掴んだ。

    ケイが撃たなかったのは、ケイ自身の選択の結果であると理解している。


    ・・・・・

    だとしても、死なせる訳には行かないのだ。


          ・・

    「君も、まだ若い。大人というのは狡猾なものだと学んでおけ。オレのようにな」


    ・・・・・・・・・・・・・・・

    ケイの指紋が付着している拳銃で、ベレトは自らの脚を撃ち抜いた。

    投げ渡した時点で、この謀略の前準備は完成した。

    拳銃を投げ捨てる。誰かベレトを撃ったのか分からないように。

    自らの手で肉を穿ち、骨を砕き、血を流した老人は笑った。満足気な笑みであった。



    「恩人の孫を見殺しにすると、オレがあの世で戦友共に叱られちまうからな」

  • 80二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 01:13:44

    このレスは削除されています

  • 81逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 01:15:49

    >>67

    「わかった。うちの『草』に取りに行かせるよ……嫌なら君自身で行ってもいいが……」

     あまり君を危険にさらしたくない。という顔だった。貴重な戦力、であると同時に、ケイの恋人……いや、もう妻だ。

     仮にまだケイが生きていて、彼女が死んだその時は……そうなれば……ああ、きっとまた自分たちがやろうとしてることを、ケイがやるはずだ。


    (とんでもないよ。人が持つエネルギーってのは)

     良きにしろ悪しきにしろ、爆発力というものがあると。まだ収まらない怒りを感じながら、他人事で切り分ける理性があった。そして、カンナはできれば本の回収は『草』にまかせてほしいと龍影に言いながら。ユズハ・ミドリマから通信を変わった。


    >>48

    「来てくださり助かりました、カミラCEO……事態はすべて把握しているという理解でよろしいですね?」

     社交辞令はこの際抜きでいいだろう。 こちらに余裕がないことを相手は百も承知のはずだと、カンナは考えた。

     立場はこちらが上だが、さて情報やその他を考えれば……あちらに迷惑がかかることは避けるべきだ。


    「ではこちらも移動します……7番会議室にユズハCEO補佐官からカードキーを受け取って入室してください。歩兵部隊で護衛させます」

     手早く、仮とは言え目上の立場としてこうしたいという意思を示した後、ユズハにその後は任せると頼んだカンナ。彼女はブリーフィングルームから出て……カミラCEOの姿を認めた。


     白髮、人形のような服装……そして目元に刻まれた隈と、隠しきれない老獪な空気。


    (今日ばっかりは、立場抜きで私が学ぶ側だな)

     覚悟を決めて、礼をした後。7番会議室へ入る。 カミラが入れば、防犯用の自動ロックがかかるだろう。


    「――――それじゃあ、単刀直入に言おう」

     ふぅ、と疲れ切った息を吐いたカンナの姿は、憔悴しきっていた。


    「マスドライバーに予約申請をねじ込む。 中身の荷物については『聞かないし知らない』ことにしていい」


    「クロノスへの報復という名目ならば、老害共の目はごまかせると思うか?」

     名目、と言葉を変えたのは。双子姉妹とシグレの触れ合いを観察していた結果だろう。

     『ケイ・サヤギリが生存しており、かつ彼の身を虎視眈々と狙う老害へのカウンター』という、隠し札にこの手は使えるのかと。

     己以上の経験を持つ女怪に。カンナは問いかけた。

  • 82ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 01:29:47

    >>79

    「――――!?!」

     己の脚を撃ち抜いたベレトに。なんてことをという言葉を、ケイは紡げない。

     狡猾さというものを、思い知らされた気分だった。そしてそれ以上に、目の前の男の容態が大事だった。


    (脚、一発だけ。あのやり方なら弾は抜けてるはず……止血すべきか?! 血管を撃ち抜くような人じゃないはず!けど、あれでは骨が!!)

     ず、と足が一歩前に出た。ベレトと、目が合う。

     ――――来るな、と言われた気がした。


    『恩人の孫を見殺しにすると、オレがあの世で戦友共に叱られちまうからな』

         ・

    「……貴方達は、どこまでっっ!! どうしてそんなところまで、俺の爺さんに似てるんだよ!」

     自分を捨てて、他人のために尽くせてしまうのか!! 憎むべき敵に、己を憎む人に、道を示し続けることができるのか!!

     叫びたかった。駆け寄りたかった。祖父を憎んでいた時期があったこと。地獄の中で道を示し続けられるうちに、その地獄こそが鎹に変わったことを。

     見たものは違えど、同じ地獄を見た女性を。愛していることを。


     流れ出る血を止めながらでも、話してやりたかった。


    「っ!!」

     ケイの聴覚が、駆け下りてくる何者か達の音を拾った。

  • 83ベレト◆OXAm1h6odk25/05/06(火) 01:46:47

    >>82


     ・・・ ・・・・

    「オレを、舐めるな」


    “ベレト”は低く笑った。

    人体の致命傷なぞ知り尽くしている。逆に言えば、致命傷にならない範囲で自傷する術も理解している事に他ならない。


          ・・・・・・・・・・・・

    ──────目の前の青年が無罪であるという証言をしない内に、死ぬ気は毛頭ない。

    止血をしようとすれば、“ベレト”とケイが敵対関係であったという証言の信憑性は著しく下がるから。

    進み出ようとした青年に視線を向ける。


    駆け下りてくる何者かの声を聴いて、老人もまた声を張り上げた。

    劇の“助演”として、人自連の“英雄”の前に敗れ去る裏切りの悪魔として。



    「ハハハ!このオレが…………!ゴエティアの序列13位が、オレの半分も生きてないようなガキにしてやられるとはな!」


    「あぁ──────全く、随分と。戦友達に誇れる最後になりそうだ………………」

  • 84ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 02:01:27

    >>78

    「うん、うん。泣いていいんだよ」

    【彼を、彼の後悔を、慟哭を、ただ受け止める。ユスラは金龍の涙が止むまで、優しく抱擁を続けるのだろう】


    【涙を流してもいいと、誰かを頼ってもいいと。そんなことすら忘れさせてしまう世界が、彼のような子供を産んでしまった】

    【そんな世界をどうにかできなかった大人には、せいぜい思い出させることしかできないのだから】

  • 85ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 06:17:41

    >>66

    「……そうでしたか」

    【ふと聞いた質問だったが、悪い事を聞いたのかと思い声のトーンが下がる】

    【インベイドの侵攻初期に滅んだコロニーは多数ある。あの時の生き残りなのだろうか?今の言葉だけでは何もわからないが、彼女の出身地が彼女の体の由来なのは確かだろう】


    【しかし、それ以上に一つの考えが脳を過ぎる】


    「……似ていますね」

    【街頭の隙間。その瞬間に一つ隣の彼女にも聞こえないような音で呟いた】



    「あ、着きましたよ!」

    【そんな少しの会話をしているうちに、NA支社に着く。機体登録コードと出掛ける前にした連絡もあり、直ぐにゲートが開く。そこからは搬送用リフトを使用し、格納庫へとBFごと降りていく】

  • 86◆KPwoT407kA25/05/06(火) 06:28:44

    >>81

    ええ。仔細はイロさんとシグレさんから聞かせていただきました。

    【カミラにとって今回の事態は予期こそしていたものの、予想以上に拗れたものであった。ユズハからカードキーを受け取り、7番会議室に入室して…まずは一言】

    …ふぅ。余裕のない時こそ、人は余裕を取り繕うべきですよ逆巻CEO。私以外の前ではそのように露骨に社交辞令を疎かにする事は控えた方がよろしいかと?お互い若くして企業を率いる者。得てして舐められて然るべきものですから

    【貴方以上に若い上に企業そのものが新参である私が言えたものではないですが、と付け加えて】

    マスドライバーをお使いになりたい、という話でしたね?今のあなたはクロノスへの報復というケジメにばかり目を向けすぎている。ちょっとした視野狭窄ですね


    ・・・・・・・・

    どうして我々までマスドライバー使用予約申請に一枚噛む必要があると、考えたのですか?

    【あくまで柔和な口調、薄い笑みを維持したまま。それでいて相手の焦りを咎めるような言葉が、不協和音となって紡がれる】

    仮に私があの蛆共であるとして、その立場に立って考えて見てみましょう。…穏健派でも一目置かれるあの逆巻重工がいきなりその姿勢を翻し、クロノスへ報復を仕掛ける──────────ふふ、陸の船を動かす為の大義名分として何がなんでも通したくなるでしょうね。それこそ、予め組まれていた予定や予約を、全て反故にして。突っかかってきた本来の予約者は漏れなく処刑場送りにしてしまえばいい。

    【カンナも青天市街の“処刑場”の話を知らない、ということは無いだろう。今の人自連を支配する老いた獣は己の機嫌ひとつで簡単に人の命を奪える怪物であると、カミラはそう言いたいのだ】

    …こんなところですかね?いま貴方のやろうとしている事は“蛆共にとって非常に都合がよい”という事は理解していただけたでしょうか?

  • 87◆KPwoT407kA25/05/06(火) 06:30:00

    >>86

    そして同時に、『強硬派』にとっても非常に都合がよいものでもあります。…同じ派閥を言い換えただけでは無い、という事は前提として理解なされていますか?

    その2つは似て非なるものですよ。力量を見誤り“負け戦”に邁進する愚図と、クロノスに、インベイドに勝つ事を志す賢者ではその質はまるで違う…彼らも彼らで、自分たちの足を引っ張る老いた獣を引き摺り下ろす機会を虎視眈々と狙っている。


    貴方たちのやろうとしている事は、その絶好の機会を作り出してくれる、ということなのです。…なので

    【じっと、空虚な双眸がカンナを見据える】

    マスドライバーへの手回しの件、謹んでお断りさせていただきます。我々はこれからまんまと草むらから躍り出る陸の船を狩る為の根回しで忙しくなりますから。

    【都合のいい状況を作り出してくれてはいると述べつつ、その方法での協力はできないと。一秒でも時間が惜しい状況で無駄手を打てば全てが手遅れになるかもしれない。故にこの場面では適切な横着が求められるのだ】

    …ああそうだ、ところで逆巻CEOは陸の船の最も手薄な部分はどこかご存知ですか?


    ・・

    真上、ですよ。ケイ・サヤギリの生存が確定した時の参考になさってください。

    【同時に、柔軟性を持った発想であるとも】

  • 88グリーン◆fDey8JUvvk25/05/06(火) 08:39:36

    >>76

    「感謝いたします。」

    【素早く礼、そして直ぐに頭を上げた】

    【統率個体の成長可能性。戦力補填の必要性、まさしくグリーンの意図するところであり】

    【その考えが一致しているところについ笑みを深めそうになる】

    【もちろん一部の暴走などクロノスでは起こったことにはならない。あくまで保険だ。しかし失敗は許されない以上『絶対』を作らねばならない】

    「(何時もの事だ)」

    「この場で伺うべき案件は以上となります。」

    【気の合う令嬢とティーができないことは残念だった】

    【やはりインベイドは滅ぼさねばならない】

  • 89龍影◆9BZ6kXGcio25/05/06(火) 08:52:36

    >>81

    「速度を求められている状況である今は、そちらにお願いします。」

    時間のない今、ロスは惜しい。それに万が一、一機欠けるだけでも作戦の成功率は極端に落ちる。それならその手のプロに任せるべきだ。

  • 90ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/06(火) 09:58:58

    >>84

    ...........姐ちゃん


    【泣いて、泣いて、泣いて、やがて泣き止む。年端も行かない少年が、自らの過ちと、胸を刺す後悔と、実直な謝罪を、全て吐き出した時と同じように】

    【今の青年の表情は窺い知れない。だが、小さくても力強いその声からは、憑き物が取れた事が聞き取れた】


    俺に、次は何をするべきか教えてくれ......

    変えられるなら、何を変えられるのか教えてくれ......

  • 91ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 09:59:12

    >>85

    【ランセルが悪い質問をしてしまったかと落とした声は、ウルヴィには違った聞こえ方となっていた】

    【ウルヴィにとって、故郷の崩壊と自身の出自は、良くも悪くも思い入れはない。ただそうだったという事実の認識だけがあり、特別な感情は無いのだ】

    【だから彼の声を不十分な回答に失望させてしまったものだと、この時のウルヴィは感じていた】


    「ここが…」

    【アリオールはすんなりと通されて行く。所属企業のBFなのだから当然だが、デスペラードが入っていると知られたらどうだろうか。彼が既に連絡を通していることなど知らず、ウルヴィは一抹の不安を抱えていた】

  • 92逆巻重工・実働部隊◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 10:03:20

    >>89

    「わかりました。『草』の方にはできるだけ破損しない方法で潜入するように伝えます」

     ケイと彼女が共に暮らす家だ、手荒な侵入法を使って後々拗れるのもまずいだろう。

     ユズハ・ミドリマはそう思い、『草』へ伝達した。


    「あとは待つだけね……CEOたちはどうしてるでしょうか?」

  • 93賢人会議◆YMCgTirJag25/05/06(火) 10:12:42

    〈逆巻のマスドライバー使用申請?〉
    [サヤギリの一件か]
    〔ことは荒げたくないが、老人どもにも通達されているだろう。〕
    【先手必勝、逆手に取り陸上戦艦の強襲につかってもらおう。】
    〈早計が過ぎる。が、マスドライバー使用のタイミングはサヤギリ操縦士奪還後となるように調整しておけ。〉
    【異議なし。】
    [逆巻には協力してもらいたいからな。異議なし。]
    〔異論なし。〕
    〈決議。すぐに逆巻へ連絡を入れろ。〉

  • 94逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 10:30:48

    >>86 >>87

    「……確かに、この顔はこちらの急事を見せつけているようなものだな。申し訳ないが、信頼の証と思ってくれ……よし、これでいいかな?」

     古いSFで、なぜ仮面の人物が多く出るのかをカンナはよく理解できた。己がいかにどんな顔をしていようが、態度さえ隠せばバレずに済むからだろうと。

     その上で、己よりも経験豊富な彼女の言葉を受け入れたのか、すっと穏やかに、いつも通りの顔つきになる。

     その上で。


    「……なるほど」

     やはり、己らは『これから死にに行く』という覚悟を持ちすぎた影響で視野が狭くなっていたらしい。

     参ったな、と目を細めた。

     咎められたとて、否は言わない。全て事実なのだから。


    「……私たちが『理想』を捨てた、それ自体がもはやプロパガンダか。そして、私たちの影響で死人が増える────」

     そういうものだ、とカンナは受け入れた。そうなることも想定した上で動いていた。他者の命をかけた愚行は、時として反対派閥が伸長するきっかけにもなる。

     ……いや、こちらがやると伝えた時点でそうなるのはおかしくない。

  • 95逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 10:32:59

    >>86 >>87 >>94

    「────その上で、老いた獣と本来の強硬派は、より距離が遠ざかると」

     違うという理解はあった。だが、こう説明されればより強く強く、身近に思えた。

     老いた獣は、もはや狂犬病に侵されているのだ。いつ己に噛み付くかもしれぬ者どもに、迂闊に近寄ろうと思う人はいないだろう。


     だからこそ、老いた獣にとっても、そして派閥問わず『獣を狩るべし』と虎視眈々と狙いを定めるものにとっても、今はとても都合が良い。


    「ああ……はは、痛快だね!! 私たちはとうとう奴らの首を切るための大義名分を、私たちという最も怒ってはならない者が『怒り狂う』ことで手に入れたわけだ!!」

     なんたる行幸。なんたる偶然!自分たちがこうして怒り狂った行動一つで、老害の首を切る理由を探していたものたちにとって大事なものがいくつも転がり込んでくれたとは!

     最悪に転んだとしても、残せるものが『己の隠し箪笥』以外にもこんなに大量に存在していたことに、カンナは喜んでいた。


    「わかった。手回しの件、断ってくれてむしろ感謝するよ……是非とも陸の船を落とす名分に活用してくれ」

     晴れやかな笑みだった。全てのつきものが落ちたような。

     ケイがクロノスの手によって死亡したその瞬間に作戦は実行される。……あるいは捕らわれた場所を確認した段階で。


    「ケイが死亡した場合、我々はクロノスへ与えうる限りの打撃と混乱を与え。貴方たちへ全てを託す」

     それは最悪が起きた時の確定事項。自殺に付き合うのは、逆巻重工に『夢を見てくれていた』ものたちだけで十分だ。

     その夢に最後まで殉じる姿勢を軽んじた時、逆巻は真に滅びるのだから。


     そして。


    「もしケイが生存していた場合は、是非とも我々も『祭り』に混ぜてくれたまえよ?」

     上から、という慧眼に対して。打ち上げに使う『荷物』の数は増やしておくべきだなとカンナは確信した。

     明るい未来に備えるための保険も、用意したほうがいいだろう。

  • 96逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 10:37:42

    >>95

    「……ああ、私だ」

     カンナはカミラCEOに断り、端末で連絡を取った……その意味はもう、明白だ。


    「ユズハ。マスドライバーの使用申請を出せ。根回しはもういい……老いた獣どもはどうやら我々の変節を喜んでくれるそうだからな」


    「全てを動かす大義名分に、我々がなってやろうじゃないか」

     脚本を描くもの特有の、『さぁ、今からが山場だぞ』という気迫に富んだ笑みだった。

  • 97ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 10:46:06

    >>90

    【泣き止んだ彼を抱いたまま、空を仰ぐ。大口を叩いてしまったが、ここまで変えてしまった物語に出来ることは多くない。それに最善の策は──】


    「何もしない。これ以上は無いね〜」

    【これしか無いと思えた】


    「言わなくても分かってると思うけど〜、今から人自連に接触…はぜーったいに無し。というか今度は勞くんが殺されちゃうし、勞くんの首だけで収まる状況でもない」

    【まず最大の悪手を、また知らずの内に打ってしまわないように釘を刺す。言わずとも理解しているかもしれないが、念のためだ】

    【ただ、それは彼が何もしないわけでも、彼が何も変えられないわけではない】


    「いーい?なんでも自分の手でどうにかする。それはできたらすごく見えるけど、誰にも任せないっていう『不信』だから〜」

    「だからね?今は、任せて」

    【彼は、頼れることを知ったはずだ。任せることも、出来るはずだ】


    「勞くんが動いちゃいけない時とか、勞くんの苦手なことがある時。それでも勞くんが頼ってくれた人は動ける。託すのだって、立派なできることだから…」

    【彼とは違う手を持つ者に、彼が任せてくれたなら。それは何もできていないわけではなく、『託すことができている』状態なのだ。そして──】


            ・・・・・・

    「おねーさんに、変えさせて?」



    【『託す』とは『変えてもらう』ことだ。それは直接ではなくとも、彼が物語を変えようとした事に他ならない】

  • 98ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 11:00:45

    >>91

    「ここからは降りて行きましょうか」

    【そんな不安も露知らず、リフトの止まった位置で機体のハッチを開ける】

    【格納庫には作業員が少なく、ウルヴィに気を向ける人間も居ない】


    「確か臨時ガレージの方に…」

    【アリオールから降り、事前に聞いたBESTIAの格納場所へと向かう】


    「……触るなって言ったのになぁ」

    【そこには黒い外装が塗り直され、右腕はないもののある程度、稼働可能状態となっているBFが一機固定されていた】

  • 99ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 11:05:19

    >>87 >>96

    「……そうだカミラCEO。ついてきてくれたまえ。教えてくれた礼にはならないが、覚悟の証を見せよう」

     そう言って、カンナは会議室から余裕ある歩調で、格納庫へ歩く。

     格納庫の奥を開ければ。メンテナンスベッドに横たわる……白い機体色を全体に染め、青を差し色とした、今最も逆巻重工製として有名な機体が目に入るだろう。

     ――――『蒼風改』だ。 その名前から、機体色は良く青と間違えられるが、本当は白なのだ。


          ・・・・                ・・

     もっとも、速すぎて差し色や、カメラアイの青。いわば残像しか印象に残らないせいかもしれない。

     そうカンナは思っていた。


    「プラットフォームで機体の乗り換えはできるから、色々と柔軟性が確保できてね」

     これを見納めになるかもしれないという悪い未来が来てくれるなと、目を細めた。


    「ケイ・サヤギリは金龍の手にある時点で奪還は不可能。仮に……暗殺された場合、蒼風改は『亡霊』として、エイダン・リーが所在するコロニーで暴れまわる」

     一つは最悪。 逆巻重工も滅びる覚悟の道。 夢に殉じ、途絶えさせる道だ。


    「仮にケイが生きていた場合。こいつは『主』の下に戻るため、無人の鋼として降り立つことにしたんだ」

     ああ、もちろん陸上戦艦に落ちる分も確保しているよ?と言い。そして付け加えた。


    「正面からは無謀と思うだろうが……私は、ケイに仲間がいるならできるかもしれないと。信じている」

     一人では無理だ。だが、仲間がいれば可能だろう。 人が象を倒すことはできるかもしれないと。カンナは言った。


    「どうだい? 最善と最悪……隣合わせで痛快だろう?」

     カンナは、教わったとおりに。 余裕たっぷりの笑みをカミラに見せつけた。

  • 100ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 11:16:40

    >>98

    「ん」

    【彼の後ろをついて、格納庫を進む。 着替えておいた方が良かっただろうか、企業に足を運ぶのにいつもの服でないのは、やや落ち着かない気がした】


    【外装が塗り直されているが、右腕は無いまま。細かい損傷部位が僅かに補修されているかもしれないが、機体の構成要素には触れられてないように見える】


    【〈BESTIA DREAD〉は、困らないが、だからこそ困ったことに…理想的な対応をされてしまったかもしれない。ヒヤリとウルヴィの背筋が冷たくなる】


    「…確認、したい」

    【嬉しい誤算が無いことを祈りながら、彼に訊ねた】

  • 101◆KPwoT407kA25/05/06(火) 11:26:36

    >>94

    >>95

    >>96

    自分たちのせいで死者が増える?それは思い上がりですよ、逆巻CEO

    青天市街の景観を著しく損ねる時代錯誤の腐肉廃棄場は、蛆共が生き続ける限り無駄に稼働を続けるでしょう。瞬間的に多くの血が流れてはしまいますが、未来の事を考えると我々はここで打って出るしかない…ままならないですね、インベイドと戦う、人間同士で潰し合う─────何をどうしても、血が流れる世の中というのは。

    【漆黒の瞳に、薄らと憂いが映った…ように見えた】

    >>99

    まぁ…

    【格納庫に入ったカミラは、童女のように目を見開き、主なき機体をまじまじと見つめていた】

    かの『撃墜王』を彷彿とさせながら、それでいて露骨に主張することはない、上品な白…………ふふ、思わず心が踊ってしまいますね。

    ああ、そういえば伝え忘れておりました。…どうして我々の手や動向がここまで速いのか、気にはなりませんでしたか?



    先日、我々ヴァルハラテックに“蒼い月風を駆る女性”が来訪しました。新型インベイド討伐にも姿を現していたようですから、とうにご存知かもしれませんが──────貴方なら、月風にそのようなパーソナルカラーを施すことの意味、私以上に重大に捉えられるものかと。

    【そして、それが逆巻の手の物ではないということは…老害はなんであれ、自分から事を進めていたであろうという事だ。こじつけられそうな罪状があればクロノスの高官による誘拐を挟まずとも同じような事態に発展していた、と】

    【尤も…人自連の人間の手に落ちていてくれていたら、逆巻もこのような狂乱をする必要すらなかったのだから────────ああ、罪深い。やはり私は、クロノスが憎くて、きらいだ】

    蛆共は『撃墜王』の誇りすら、我欲の墨に踏み躙るつもりです

    【カミラは顔を手で覆いながら、底冷えするような声音でそれを言い放った。先程の手前、憤怒に歪む表情を悟られたくなかったからだ】

    …この機体を、再びこの目で見る機会が訪れる事を祈りましょう。

    最悪の方向に向かおうと、我々は『撃墜王』の誇りだけは守りましょう。

    ─────────貴方の覚悟に応えるためにも。

    【顔にかけた手を取り払い口調の柔和さを取り戻したカミラが、その双眸でカンナを見つめながら、自らの意思を伝えた】

  • 102ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/06(火) 11:26:42

    >>97

    ......はい......はい......はい......


    【返事をするに連れ、彼女のパーカーを掴む力は増していた】

    【金龍は託したのだ。裏が取れているから、そうでは無い。信じてもらいたかったから信じている彼女に、金龍はただただ純粋に託したのだ】


    ......ありがとうございます

  • 103ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 11:29:03

    (1/2)

    >>83

    「――――は、い……!!」

     彼が誇れる最期になるのかを決めるのは、自分だと。ケイは察した。

     だから強く、己を強くもった。 動揺を隠し、そして一時だろうと目の前の男を敵と見做し、睨むような目つきに変えた。

     瞬間、ケイは後ろから身体を抑え込まれた。

     その勢いで地面に叩きつけられる。


    『動くな!!』

    「ぐっ!!」

     複数人の、顔も見えない重装備の集団が雪崩込んできた……時間だ。


    『ゴエティアのNo13、”ベレト”だ。負傷している……止血した後、拘束しろ』

    『裏切り者を、潔く死なせるなどさせると思うなよ?』

     冷え切った声だった。人間なのか疑うような、しかしどこまでも人間らしい、嘲るような声。


    『そして、ケイ・サヤギリ――――貴様への情報漏洩、その疑いは晴れていない』

    「っっ!!」

    『ゴエティアの通報だけを信じると思ったか?』

     馬鹿なやつだ、と笑う声だった。


    『貴様ら二人共刑務所行きだ。連れて行け!!』

    「ぐ、っっ!!がっ!?」

     無理矢理に立ち上がらされ……そして銃床でケイは背中を殴りつけられた。ベレトは負傷者だからなのだろう。止血させれられた後、複数人が用意した簡易担架の上で拘束される。


    【――――ケイ・サヤギリ。及びゴエティア戦団No13”ベレト”。両者ともにクロノスへの情報漏洩の疑いで逮捕】


     その情報が各地へ流れたのは、事が起きた翌日であった。

  • 104ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 11:29:48

    >>100

    「大丈夫ですよ。直ぐに動かすのは連絡が必要ですけど、この場で起動分はOKです」

    【キャットウォーク用の昇降機の電源も入っている。そこを使えば簡単に乗り込めるだろう】


    【機体の修理状態といえば、塗装などの外見修理くらいで内部には殆ど手が加えられてない】

    【付近のコンテナには右腕もある。機体と共にランセルが回収していたのだ】

  • 105老いた獣達◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 11:30:05

    (2/2)

    >>83 >>103

    ●――――――

    『これでG-3コロニーの英雄も、ゴエティアのNo13も地に堕ちるか……呆気ないものだ』

    『クロノスなぞ信じるからこうなるというのを見せつける、生贄になってもらうぞ』


    『しかし逆巻も随分と血の気が強い。既にクロノスへ報復する気炎を吐いておりますぞ?』

    『では利用してやれ。 今すぐ打ち上げろとな。我々が彼を確保したことなど知らせずとも良い……その方が、良き声を上げてくれるだろう』


     英雄の目の前で、英雄が信じた者達が彼の死を盲信して己の理想を投げ捨てる。

     きっととても『良い絵』になるに違いない。獣達は確信していた。


     それは、老いた獣たちにとっての確定事項。

     ……後に、現場と、ケイの体に残された様々な状況証拠が『ケイ・サヤギリの処遇』については右往左往する事実が、蟻の一穴となる。

                             ・ ・・

     秘匿基地、そしてケイ・サヤギリの首や体に残った 勞 金龍大佐の指紋こそが、『ケイ・サヤギリはクロノスの愚行と、それに乗っかった”ベレト”を止めるための証拠である』という事実が。

     喜び、勇み陸上戦艦を動かすこととした老害達へ、僅かな不安を生み出していた。

    ――――――●

  • 106マルタ◆KPwoT407kA25/05/06(火) 11:44:50

    【一方その頃、旅行中のマルタとミカエラは…】
    「はぁ………………はぁ……………………マルタちゃ…………………ちょ……………タンマ゛ァ……………!」
    さっき休んだばかりですよ!?それに急に予定変更して「あ!山!1度昇ってみたかったんだよね〜」って言い出したのミカエラさんでしたよね!?
    「や……………山ナメてた……………!」
    【俗世から離れ、山の大自然を堪能…堪能?せんとハイキングに勤しんでいた】

  • 107ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 11:49:40

    >>102

    「…どういたしまして〜」

    【彼が託すことができたならば、応えなければ。全てが上手くいくなんてとても言えないけど、良い方向には転がして見せる】

    【紫水晶のような瞳に決意を宿して、一度瞳を閉じる】


    「ところでぇ〜〜、おねーさんなんかにそぉんな情熱に抱きついちゃっていいのかな〜〜〜?」

    【直後、ユスラはそれまでの真摯さを持った表情が嘘だったように、ニヤニヤと笑いながらメビにも視線を向ける】

    【『既婚者男性が、嫁の知らないところで、水着姿の女性と密着しているぞ』という事を指摘させたいのだろう】


    【待ってくれる人がいるというのは、とても大切な事なのだから。というのが半分で、もう半分はユスラの不満だ。仕事が山積みになって、お気に入りまで砂に埋もれさせたのだ。少しくらい『少年』をからかってもバチは当たらないだろう】

  • 108ルクノレア◆OXAm1h6odk25/05/06(火) 12:04:47

    >>88

    「あぁ、では私はイルベリア戦線に戻らせて頂く。苦労をかけて済まないな」


    一言だけ謝ってから、ルクノレア・ノーザレム空軍中将は個室から退席していった。

    時間が惜しい。有能な人物とは親交を深めたいが、しかし前線は常に将校を必要としているのだ。


    ─────軍用情報端末を開く。ルクノレアは激昂した。


     ・・・・・・・・・・

    「第七十八防衛戦が陥落だと!?後方からの敵戦力浸透は突撃兵級で学んだ筈だろうが!事前に対応を適切に────いや、待て。極端に猶予が少ない。害獣め、強襲級を地下回廊の開通に使ったのか!?贅沢極まりない戦術だな!」


    七三四高地に展開していた“ローン・ソルジャー”隊が後方から浸透する敵戦力によって補給路と防衛戦から分断され、前門の騎兵級と後門の強襲級の挟み撃ちで壊滅的被害を被った。



    火力支援を失った付近の“スカッド・ソルジャー”隊は後退を余儀なくされ、死者は後方支援要員も含め数百人にも及んだ。

                      ・・

    或いは、それだけの奇襲を受けて数百人しか犠牲を出していない事こそが最前線部隊の優秀さの証明であるのかもしれないが。

    しかし何の慰めにもならない。戦力が削られ、準備するのに酷く手間をかけた防衛線の一つが破られたのに変わりはないのだ。



    「戦力の補填…………いや、増強を要請しろ!火力支援部隊に更に護衛部隊が必要になる!戦線全体を盤石にしなければ遅滞戦術すら行えん!」


           ・・・・・

    尤も、人自連の一部の害獣が意気揚々と侵攻を画策している今の情勢下では到底行えない要求だろう。

    しかしそうであっても、『前線は今も危うい』のだと報告しなければならない!危機的状況を理解して貰わねばならないのだ!



    「害獣風情がァ……………ッッッッッ!何処まで私を苛立たせれば気が済むのだ!!!!!!!!!!私は企業だぞ!!!!!!!!!!!!!!!!」


    一刻も早く防衛戦線を立て直すべく、ルクノレア・ノーザレムは全速力で駆け出した。

  • 109ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 12:12:56

    >>104

    「ありがとう」

    【トン、トン、トン。昇降機を使わず、またしても機体の各所に足をかけて跳ねていく。ネコ科の動物のように軽やかな動きと共に、灰の髪とスカートが舞い踊る】


    【そうして胸部のハッチに滑り込んだウルヴィは、予想が当たってしまったことによる頭痛を感じていた】


    【燃料、弾薬、全てが補充済なのだ】

    【そしてコクピット内部の隠し棚も確認するが、触られた形跡は無し。独立傭兵としてこれ以上無い待遇に、幾らの『感謝』を上乗せせねばならないか、脳内電卓が唸る】


    【隠し棚の一つからコートを取り出して羽織り、ハッチから飛び降りる。慣れ親しんだ動作で、衝撃を流して──】


    「…ぁ」

    【右脚の感覚が途絶え、倒れ込みそうになる直前で左脚を出して転倒は免れる。少し危ないところであった】

  • 110ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/06(火) 12:17:09

    >>107

    (ハッ!!!!)


    【指摘されてから初めて自覚し、少年は一も見た事の無い速さでその腕を離す!】


    あいやこれは別にそーゆー事ではなくてですねええっとこれは一時の気の迷いと言いましょうかいやこれは言葉の綾でして


    【慌てふためく彼を後目に、召し使いは剽軽な女性と目を合わせる】


    メビ!?こっち見て!? 無表情辞めて!? ちょっこれ誤解だから間違って珠さんに伝えないでね!?


    『既に側室を何十人と抱えて居られるのです。お1人増えたところで伝える必要も無いかと』


    だーかーらーそれ偶然!

    偶然だから絶対にあの人に伝えないでお願い神様仏様メビ様ーーー!!!!


    【旧時代だと錯覚するほど、のどかな風景だった】

  • 111ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 12:26:31

    >>109

    (猫……)

    【家での幾つかの仕草や今の動きに猫の印象を持つ】

    【そう思っている間にも確認を終えたのだろうか。彼女が着地し──】


    「っ!?」

    【倒れかけた身体を反射的に動いた手で支える】

  • 112ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 12:27:11

    >>110

    「わーお、案外プレイボーイってやつ?…や〜ん、おねーさんは美味しくないよ〜!」

    【わざとらしくパーカーの前を隠して距離を取る】

    【キルケーだったか。解散された部隊の人員を囲ったことも、ユスラは知っている。だがここは敢えて知らないフリだ。その方が面白い】


    「ま、冗談はさておき〜。後はおねーさんに任せて、かわいこちゃん達を安心させてあげるんだよ〜」

    【ニシシ、と口元を隠して笑ってから、ユスラはビーチを後にする。鬱憤晴らしはこれで十分、晴れた空を見上げながら、この後に待つ嵐に備えるのだった】

  • 113ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 12:29:20

    (1/2)

    >>101

    「……そうだな。私もどうやらのぼせ上がっていたらしい。……今動くことで流れる血を、なんとか止血するしかないね」

     ふぅーと息を吐き。自分自身の感情と、そして若さを隠せていない己に自嘲した。

     憂いを隠さぬ女性の過去をうかがい知ることはカンナにはできない。 自分よりも凄絶な……何かを経験したことしか。

     それでも良い、と思った。自分たちが最善に転ぼうと最悪に転ぼうと。この人ならば自分たちの投げたボールを受け取ってくれる……それだけでカンナは十分だった。


    「そう言ってくれると、嬉しいね……私が設計を担当したんだ」

     『いつか、”撃墜王”が戻ってきたときのために』という願いが叶うことはなかったが、後継者は来てくれた。


    「……まぁ、彼は彼でとんでもない馬鹿だしその……危なっかしいからさ。 できれば貴方のところのミカエラ博士にも『彼を良く見てやってくれ』と。私から伝言させてくれ」

     仮に生きていたらという仮定を語った。 カミラに託す判断をしなかったのは……なんとなくだ。

     良い意味でも、悪い意味でも大きな化学反応が起きかねない。そんな気がしたから。


    『なんで、”みんな”に会わせてくれない……っ! なんで”みんな”、まだ来るなっていうんだよ……!』

     社宅が用意できなかった頃、気まぐれで聞いてしまったケイの寝言が頭をよぎる。


    「……『あちら』と『こちら』で、常に綱引き状態らしいから……ね」

     そのバランスが崩れた時が、ケイの最後だろうと伝えた。『こちら』の鎖を作る役目は多いほうが良い。

     ……もっとも、龍影の死が起きてしまえば、迷うことなく彼は『あちら』へ飛び込むだろうという確信があった。


    (丁寧に丁寧にぶっ壊して歪めやがってよぉ龍影さんはよぉ……! あの人には絶対、ケイより先に死ぬな生きろって言っとかなくちゃ)

     祝福と不安と怒りが混ざった、複雑な感情である。 白紙の和紙を染めまくった挙げ句ぐしゃぐしゃに変えた責任は取ってもらわなくては。


    「――――ああ、よく分かる。わかるとも」

     分かるからこそ、ノインという人間を信頼した。そしてその上で、老害の手のひらの上であろうことも。口には出さないがカンナ自身、怒りはある。

    「誰かの誇りは、皆で守るものだ……最悪は君たちに託す。最善なら……私も、蒼風に乗ったケイに会えることを祈るよ」

  • 114ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 12:30:47

    (2/2)

    >>101 >>113

     ピピピ。と端末が鳴り響く。ユズハからの文章メッセージだった。

     内容に、カンナは笑った。


    「利用申請が通った。今すぐ飛ばせ、だそうだ」

     思い通りに運べたことをカミラに報告した。老害にとっても、そしてカンナ達にとっても。

     互いの交錯する校正と絵図が、混ざりあった結果だった。


    「ケイは……現代の常識がないからね。そちらが良ければ、いつかヴァルハラテックで少し勉強させてやりたいとも思うんだ」

     ふと話すそれは、最善の未来の展望だった。


    「その時はヴァルハラテックの皆で歓迎してやってくれると、私も嬉しい」


    「話せて良かった……夢は違うが、現実は共に。 私はとても得難い、強い味方を得たみたいだ」

     カプセルの中に、蒼風改が格納される。

     意志と意志が絡み合うからこそ、未来が生まれる。 生み出される絵は――――果たしてどのようなものになるのか。

     カンナが握手をするための手を伸ばした、その数時間後。


     逆巻重工の『荷物』が、軌道上プラットフォームへと全て打ち上げられた。

  • 115ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 12:36:08

    >>111

    「…ん、たすか、った」

    【前のめりになった身体を彼に支えられる。彼の香りはなぜか安らいで、もう少しこのままでいたい気がした。けれど今は、支払いの話をしなくては右足に力を入れ直す】


    「その、企業には、いくら…?」

    【相応以上の金額が必要になるだろう。もしかしたら金銭の力押しだけでは納得して貰えないかもしれない、脳内電卓で勘定を回しながらウルヴィは問う】

  • 116エイダン◆Fd5AlHEdkk25/05/06(火) 12:37:22

    (1/3)
    【《A-1コロニー》工学事業部署 ビル。窓から差し込む郎らかな陽光を反射する、会議室と印字された看板を掲げた扉の奥で、五人の男女が机を囲んでいた】
    【天井から降ってくる人工的な光に手元を照らされながら、配られた書類へ目を通しつつ、いつもの様に建設的な意見を交わしていく】

     「製造部でシェセプ・アンクを基とした陸戦用可変機の安定生産が可能となりました。まずは我々が運営する工場で優先的に量産準備を進め、それに伴いメカニックの雇用を増やしたいと考えています」

    【きっちりとした背広姿の男が述べた報せに、うさぎのヘアピンで留めた前髪を軽やかに揺らしながら、女性が続く】

     「続いてー、開発部では空戦及び海戦用の試作に着手しま〜す。で、軍部からその道の意見が欲しいんですがぁ……」

    【向けられた物欲しげな視線を目で受け留めた営業部長はズレた眼鏡の位置を調整しつつ、その逞しい胸筋を張って応じる】

     「ちょうど今日は、そっちで一部の修正を終えた実弾兵器を支給に事業部長と赴く予定ですからな!掛け合ってみましょう!」

    【これらの内容を几帳面に紙面へ纏め、総務部と明記されたタグを胸元に飾った女性は、それまで規則正しく動かしていた手を止めた】

     「リーさん、報告を」
     「……メイソン、たまには僕にもサプライズさせておくれよ」
     「どうせ一言置くんですから、変わりませんよ」

    【壁を小突いた時の様な平坦な返しに肩をすくめる。この言外にさっさと仕事をさせろと仄めかすワーカーホリックウーマンの性が、エイダンは頼もしくもあり、苦手でもあった】

     「あ、例のですかぁ〜?」
     「また新たな生産ラインを設けるんですか。最近多いですね、いいですけど」
     「おお、リー事業部長の新たなる偉業がまたもや!!」

    【悪戯っぽく、冷めているようで熱っぽく、そして真っ直ぐに。思いも思いに自分を見つめる彼ら、彼女らの期待へ応えるため (少しばかり勿体をつけて) 口を開く】

  • 117エイダン◆Fd5AlHEdkk25/05/06(火) 12:37:54

    >>116

     「これを偉業と呼ぶかは、いつも通り君たち個人の判断に任せるけどね……。まあ、これを見てくれ」


    【片腕を指揮者のように振り、全員の視線を机の先に降りてきた液晶テレビへ向けさせる】

    【大画面で表示されたのは、蒼白色に煌めく巨大な菱形と、それを囲むように羅列された文字の数々。図形】


     「桜空技術研究機関。彼らが発明した陽電子リフレクターの再現が叶った。……粒子効率を改善すれば、すぐ量産機へ配備することも可能な想定だよ」


    【心なしか誇らしげに掲げられた宣言を受け、会議室は一気に湧き上がる】

    【新しく降って湧いた楽しい仕事へ、皆一様に胸を高鳴らせながら、今すぐにでも取り掛からんと立ち上がった】

  • 118エイダン◆Fd5AlHEdkk25/05/06(火) 12:39:24

    >>117

    (2/3)

    【定例会議をつつがなく終えたあと、エイダンは営業部長のバナードと共に、事業部署から軍部へと身を移していた】

    【目的は新型実弾兵器の配給と説明。そして空戦、海戦用の可変機制作における意見の提供申請】

    【どちらも問題なく受け入れられ、円満に解散。二人で廊下を歩きながら軽く雑談していると、突然腹の虫が鳴いた】


     グゥ……


     「……事業部長」

     「うん、僕だね。君はもっと大きいもんな」

     「人を照れ隠しの幕に使わんでくださいよ」

     「ごめんて。……じゃ、研究室で食べてくるね。君は先に帰ってて」

     「わかりました。道中、お気をつけて」

     「ありがとう」


    【会釈と共に、その大らかな巨体を丁寧に折り曲げて自分を見送るバナードへ手を振りつつ、道を曲がる。少し進んで見えてきた専用の研究室へ入り、軽食の用意を始める】


    【速攻で炊いた合成米を盛りつけた椀に、温めたお出汁をかける。そこへ刻んだ梅干し、塩昆布をいれ、刻んでる間に沸かした緑茶を淹れれば、茶漬けの完成】


    【木製のスプーンで掬い、口に運ぶ。暖かな旨みの中に混じる仄かな苦味が、空きっ腹に確かな満足感を与えてくれた】

    【選り好みの激しい自分が好む数少ない料理を前に、エイダンはホクホク顔で匙を運ぶ手を進めた】

  • 119エイダン◆Fd5AlHEdkk25/05/06(火) 12:48:22

    >>118

    (3/3)

    【それから十数分が経った後のこと】

    【一粒の米も一滴の汁も無くなった器を片付けていると、突然、白衣の内ポケットが震え出した】


    【手を突っ込んで微細に何かを訴える携帯の蓋を開き、中を見やる。そのまま画面を積み重なった通知欄で埋め立てて、POPに自らをHOTでTOPなNEWSだと宣伝するメッセージをタップする】


     (リンゼイか。また何かのゲームの隠し要素でも見つけたのかな……ぁ?)


    【ゲーマーな友人は熱中しているゲームで何かを成し遂げると、その感動をお裾分けしてくることがある。だから今回も同じだろうと考えて、ろくに身構えなかった】


    【サイバーグラスの奥で瞳孔がみるみる窄まり、ぽかんと口が開く】


    【小さな筐体の中は《TOP ACE,BLUE HERO ケイ・サヤギリ BE IMPRISONED》 というシンプルな文字列と、その下に置かれた画像に占拠されていた】

    【画像は何処かのデータベースのスクリーンショットを添付したもので、様々な人名が縦一列に並べられている】

    【その中で一番新しい日付の横に記されているKei・Sayagiriという名を認識した瞬間、横から頭蓋を錐で突かれたような痛みが走った】


     (……Mr.サヤギリが、逮捕?フェイク、否、彼女が僕に嘘を流してくることはない。だからこれは真実で……は??)


     ───ゴンッ!ゴンッ!!ゴンッ!!!


    【痛みと衝撃で混乱する思考を、切羽詰まったノック音が大きく散らした。キリキリといっそう痛みが増す頭を抱え、扉を開く】


     「……やあ、カルカッド中尉、ユスラ大佐。君らが揃っているということは、例のNEWSは正しかったようだね」


    【取り敢えず、入ってくれ】

    【苦汁を被らされたような表情で、エイダンは眼前で似たような顔をしている二人へ入室を促した】

  • 120ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 12:53:47

    >>115

    「いや、無断で触った奴らに支払う必要なんてないですよ!?」

    【ランセルとしてはこの見解だった。確かに機体の整備をして貰えば支払いをするのが普通である。しかしそれは了承のあった場合で、今回はこのケースから外れていた】


    「NAASの人たちの事なので、我慢できず触れる所を触っていただけでしょうし」

    【何処からか抗議の声が聞こえた気もするが、気のせいだろう】

  • 121二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 12:59:26

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  • 122ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 13:00:01

    >>119

    「カルちゃん落ち着いて落ち着いて〜…。あっ、エイダン部長〜、急にごめ───ん?例のニュースってことは、もしかしてもう知ってる〜?」

    【今にも何処かへ飛び出しそうなカルカッドを諌めていたユスラは、扉を開けたエイダンに気がつく。これから伝えようとしたことが省けているのだろうか?そうであれば話は早く、現状の説明もすっ飛ばせるだろう】


    【苦い顔をする彼にはやや申し訳ない気持ちと共に、促されるまま扉をくぐる】

  • 123◆KPwoT407kA25/05/06(火) 13:07:40

    >>113

    >>114

    【『綱引き状態』、その言葉を聞いてから、カミラは何かを噛み締めるようで】

    ……………………………ええ。ミカエラさんへの伝言もそうですが、その時は我々ヴァルハラテックも…彼を歓迎しましょう……………ふふ



    ふふふふふふふふふふ。

    【握手に応じる。その口角は、“第一関門をくぐり抜けただけ”にしては─────────異様につり上がっていたかもしれない。】





    ──────


    シグレさん、貴方たちはここに残り、逆巻の指示の下行動してください。…“デスペラードの傭兵”として

    【CEO同士の対談を終えたカミラは、輸送機内でその場の自社社員へ司令を下していた】

    「別にいいですけど…ジークルーネは飛ばさない、という事ですか?」

    ええ、逆巻の要望を断った手前、ジークルーネをマスドライバーに載せるなんてとんだチグハグでしょう?

    「それは分かります。しかし“デスペラードの傭兵”、といいますと?」

    …“今回の敵”は、味方の区別も満足にできない耄碌ではあります。しかし…ヴァルハラテックをギリギリまで味方だと思わせるには、あなたに立場を隠して行動させる必要があります。

    ケイ・サヤギリの生存が確定した後、人自連の刑務所から彼を救出、及び陸上戦艦の強襲をかける────これだけを逆巻のみで実行する事は不可能でしょう。企業の立場を鑑み、動こうにも動けない者が大勢いる筈。


    だから“傭兵”を募るのです。私はこれなら、逆巻の伝のみでは囲いきれない方々への根回しを行います。

    【傭兵、というのは建前だろう。野良のデスペラードから協力者を募る意図もあるだろうが、本命は老害への反感を抱く人自連の中立派閥を、リスクを背負わせることなく事態解決に協力出来るようにする受け皿だ】

    「…そんな都合よく行きますか?いくら傭兵と自己申告しても、ジークルーネを持ち出せば一発でヴァルハラが絡んでいるとバレてしまうのでは?」

    …ええ。だから私が足を運んだのです。

    【カミラが使った輸送機のコンテナが開く。そこにあったものは────────】

    私からの贈り物です。是非有効活用してくださいね?“マルガリータ・ペペロンチーノ”さん

    「………………は?」

    【ワーグナーモデル用増加装甲パッケージ。その装備が出自を偽装する目的のものであることは、誰の目にも明らかだった】

  • 124対価と結末◆OXAm1h6odk25/05/06(火) 13:17:52

    >>103

    >>105


    ───────そうだ。潔く死なせはしない。あの老いた獣共は、間違いなく拷問紛いの尋問によってベレトに虚偽の自白を強要するだろう。


    だから、その尋問でケイ・サヤギリへの恨み言でも述べ続ければ。正当な理由なく彼を処刑する事は不可能である、と──────────ベレトはそう信じていた。


    ・・・・・・・・

    甘い見通しだった。少なくとも、老いた獣は一流の劇作家である。年季が違うのだ。


     ・・・・・    ・・・・

    「外患誘致罪により、略式裁判で処刑だと?」


    ・・・ ・・・・・

    尋問は、行われない。ベレトには一切の証言を行わせず、迅速に処刑する。

    人自連の癌細胞は、ベレトの思惑を読み切っていたから。それでも尚、対クロノス戦争の為にその覚悟も献身も、全てを踏み躙るのが可能なバケモノだ。


    自らの手で脚を撃ち抜いている為に、自力では歩けないベレトを左右から無表情の刑務官が掴んで立ち上がらせた。


    同じ房に囚われていた青年に何かを言い残そうかとも思って、しかし此処で遺言を遺してしまえば彼の裁判で容赦なく突かれるだろう。

    だから、ベレトは振り返らずに。分厚い鉄扉の奥に姿を消して───────


               ・・・・・

    声がする。老人の声だ。死を恐れる叫びだった。

  • 125ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 13:17:56

    >>120

    「え…でも…」

    【確かに勝手に触られた…というのは事実だ。整備をさせてほしいと言われても、ウルヴィは拒んだだろう】

    【しかし成果に見合った対価というウルヴィの価値観では、ここで支払いをしないことは酷く恐ろしい】


    【ぐるぐると思考を回しても、どうすべきか浮かばない。なんとなくこれまでの経験から想像がつくのだ。彼は何故か、対価を拒み続けることが】


    【何をすればいい?なぜ受け取らない?なんのメリット?やはり罠?しかし罠ならばいまウルヴィが生きてるのはおかしい。意識のない内に殺しなり捕えるなりするべきだからだ。では何故か?利用価値?それこそおかしい、利用する気なら意識が戻り次第恩を着せるか、自由を奪っておくべきだ】


    (なんで?なんで??なん????で?????)

    【そうしてついにウルヴィの脳は…パンクしてしまった】

    【生物とは、理解不能に直面すると硬直してしまうのである】

  • 126対価と結末◆OXAm1h6odk25/05/06(火) 13:26:10

    『───────やめろ!離せ、止めてくれ!オレを出してくれ!』

    『何の為の人類自由連盟だ!?悪戯に戦乱を煽り、多くの人を死に導いたクロノスよりも人々を幸せにする為だったんじゃないのか!?お前達の所業は、クロノスと何の違いがある!?』

    『離せ!オレをバディフレームに乗せろ!生かしてくれとは言わない!だが、だが!インベイドをオレに殺させてくれ!一万は相討ちに持ち込んでみせるぞ!?』

    『死ぬのは構わない!だが、こんな…………………こんな死が認められるものか!オレはどうやって、どうやってあの北方戦線で斃れていった戦友に説明をすれば良い!?』

    『オレ達が命を賭してまで必死に守り抜いた未来がこんな姿になるのを、オレが止められなかったのが悪いのか!?』

    『頼む!せめて、せめて最後くらいは!オレが人類の為に役に立ったと胸を張って言える最後にさせてくれ!ずっと、ずっと従ってきたじゃないか!人を殺し続けて、その挙げ句にこんな最後だと!?』

            ・・・・・・・・・・
    『オレは戦友に、どう詫びれば良いんだ!』

        ・・・・・
    『こんな無価値な死があって堪るか!やめろ、死にたくない!まだ、まだ多くのやり残した事がある!約束したんだ!インベイドを必ず絶滅させると!』



    『────────止めてくれ!』

  • 127対価と結末◆OXAm1h6odk25/05/06(火) 13:38:26

    ─────その男はずっと、戦い続けた。
    北方戦線の終結を目の当たりにして、“解体戦争”の中でも忠実にインベイドを狩り、南開拓大陸戦線でも生き延びて情報を持ち帰った。

    交わした誓いがあった。“未来”の為に戦うと。生き抜き、戦い抜いた先には“未来”があると。



    『…………………』


    ───────その“未来”が、今だった。
    吊り下げられた罪人の死体は、まるで赤い棒のようだったが。頭と体の芯だけは残っていた。

    ガァ、ガァと耳障りが鴉の啼き声が響いた。垂れた死体の血を舐め続けて、ブクブクと肥れ上がった鴉は飛ぶ事も忘れていた。
    野良犬が死体を爪で掻く。削り落とされた肉と骨をガツガツと貪り、満足気な表情を浮かべた。
    地を這い回る絨毯のような蟲の群れは、懸命に与えられた恵みを分解して運び去ってゆく。


    ズラリと“処刑場”に並べられた死体は、鞭によって骨までも刻まれていた。
    神経と肉が皮膚と裏返しになって、損傷が激しく、姿だけでは誰であるかの判別すら難しい。
    唯、その保存状態で、何時間前に並べられた死体であったのかを推測出来るだけだ。


    ──────無数の死体に紛れ、老人の死体は最早他と区別する事ができなかった。
    物言わぬ屍は、ただ喰われ、朽ちるのみである。


    それが、男が辿り着いた“未来”だった。

  • 128ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 13:48:57

    >>125

    「あのー…ウルヴィさん?大丈夫ですか?」

    【突然、動かなくなった目の前のウルヴィに呼びかけする。どうしたのだろうか】

    【機体を起動し、よろめき、今は硬直している】


    【不味いのでは?】


    「ウルヴィさん!?だ、大丈夫ですか!!?」

    【彼女の両肩を掴み、同じ言葉を繰り返す】


    【この黒いBFは明らかに彼女の身体へ負荷をもたらしていた。もし今またそれが起こったというなら…】

  • 129ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 14:08:00

    >>128

    【遠くから声が聞こえる。いや、遠くはない。遠くに行っていたのはウルヴィであり、それを自覚すれば声はすぐそこにある】


    「………大丈夫…」

    【数度続いた呼びかけに、ウルヴィはようやく反応を示す。彼は何故、ここまで声を張り上げているのだろうか?と考えながら】

    【自身を呼びかけていたのだから、原因はこちらにあるというところまでは推測できるも、どうにもウルヴィの頭はその先が分からない】

    【自然とウルヴィは、その首を小さく傾げていた】

  • 130ケイ・対価と結末◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 14:15:30

    >>126 >>127

    「……っ、ぐ……ぅ、……ぅ、ぁ……!!」

     ギリギリと、歯を食いしばっていた。それが結末だから。それが定めと既に決まっていたから。

     だから、耐えた。何も言わず、話せず外へ出ていくベレトをケイは見送った。


     そして、叫びが、聞こえた。


    『ベレトは口が固かったな……だが無意味だよ』

     虚な目をした看守は、無感動に少年の理性を褒め称えた。壊そうと思うつもりもなにもない。ただの事実だけを伝えにきた。


    『やつ裁判などない。証言も……略式で死刑だ』

    『クロノスの男の未来を信じたやつなど、こうなる』


    『まぁ、明日には処刑場に晒されるだろうよ』


    『お前には裁判がある……貴様の体には大量の消しきれない証拠があったからな』

     そう言い残して、看守は俯いているケイを見て去った。もう用はない……彼もまた、死ぬのだから。


    「…………あ、ぁ、ああ゛ぁ゛……!!!ああぁあ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

     硬い壁を、力の限り殴った。殴るだけでは足りないと、己の頭すらも叩きつけた。

  • 131ケイ・対価と結末◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 14:17:29

    >>130

    「ちく、しょうっ!!チクショオッ!!!く、そぉ!!あ゛ぁあ゛あ゛!!」

    (俺の、せいだ!!!)

     何度も。


    (俺のせいで、また一人!何もできないまま人が死んだ!!)

    何度も、何度も。


    (俺が、金龍のアホを止めることができなかったから!!一さんに負けたから!!友達を、どんな手を使ってでも殺すこともできなかったから!!!)

     何度も。


    (殺して!、ねば!!それで等価になったかもしれないんだ!!)

     何度も何度も。


    (、ねばいい!!死んでしまえ!!こんなことしかできない己なんて!!誰かに守られて、何もできない無意味な俺なんて!!!)

     何度も何度も何度も何度も何度も何度も────叩きつけて。


    「ち、くしょうがぁ!!!」

     頭蓋よ、割れてしまえと叩きつける。ベキリ、という鈍く危うい音が鳴る。


    「ゔ……ぁ、は、は……」

     とてもとても、嫌な音がした。ぐらりと、全てが混ざって溶けていく間隔。


    「ぁ……」

     ゆっくりと、天井が視界に映った。

    (これで、死、ねる。みんなに……会える……!!)

     それが、少年の希望になっていた。目の前が黒く、染まる。


    (ごめんね、龍影。一緒に指輪を……嵌めたかったな)

     最後の望みは叶わないと、ケイは思っていた。

  • 132対価と結末◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 14:18:44

    >>131

    ──────

    『……クソが。死にかけで気絶してやがる。救護班を呼べ。囚人が錯乱した』

     様子はどうかと戻ってきてみれば……額が血まみれ……いや、頭蓋が割れているようにも見える少年を見て。囚人は顔を顰めた。

    『裁判も終えてねぇのに自殺なんてされたら次の処刑台行きはこっちだぞ、急げ』

     相手への通信で急かした。


    『処置を終えたら特別房だ。四肢を拘束して、生かさせてやれ』

     死ぬのが望みなら、生かさねばなるまい。


    『こんな狂ったやつを庇おうなんざ……ゴエティアも案外グズの集まりなのかもな』

     鍵を開けて、少年の墨色に染まった瞳孔に光を当てて確認する……生きてはいるようだ。


    『御愁傷様だよ。お花畑なクロノスの佐官様に関わった結果がこれ……時代が、悪かったのさ』

     まだ死ぬことができない、という地獄への道が安らかになるよう、言葉だけをかけた。

     ケイ・サヤギリはまだ、生かす。それが結論だった。

    ──────

  • 133ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 14:24:05

    >>129

    「…本当ですか?」

    【「大丈夫」という言葉が今は信用できない。彼女を信用していない訳ではない。が、どうしても言葉を正しく受け止めれない】


    【何が彼女に無理をさせているのか。傭兵としての矜持だろうか。育つ過程での何かしらの教育なのだろうか。どちらにせよそれらは自分ではどうにもできない。そうはわかっているのに、”苦い何か”が澱をなしていく】

  • 134カルカッド中尉◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 14:42:45

    >>119 >>122

    「ふー!! ふー!!! ううううぅ゛ああああ゛!!!」

     ユスラに押さえつけられながら、カルカッド中尉はまるで仔を傷つけられた母猫のように怒り狂っていた。


    「殺してやる!!、ねばいい!!! 皆◯ね!! 誰かが、誰かがケイを利用しやがったんだ!!」

     ケイ・サヤギリが逮捕された顛末など、カルカッド中尉は知らない。ただ、『ケイが情報をクロノスへ故意に流出させた』という容疑と、その内部に書かれた動機に関して怒り狂っていた。


                                                   ・・・

    「――――名誉欲?コロニーへの永住権? そんなものが目的なら、あの少年はG-3で成し遂げたことを手土産にこっちに来てるに決まってるでしょうが!!!」


    「普通ならこんな速く逮捕なんてされない!! ただのパイロットに、人自連の上層部がここまで過激に反応するってことはね!!」

     ユスラに抑えられながら、なおも収まらない狂気だった。


     ・・     ・・・          ・・   

    「誰かがあの子を守ろうとして、そして誰かが馬鹿をした尻拭いを、全部そのゴエティアとケイに被せたってことでしょう!!そのうえで死んでしまえば都合がいいって! そういうことですよエイダン部長ぉ!!」

     ジタバタと、今すぐ我が子の下へいかせろというような怒り顔だった。


                                  ・・

    「もう我慢できません……!! 今すぐ!私達クロノスで、ケイを保護するべきです!! 作戦を実行するときでしょう!?あの子にここまで恩知らずな奴らが今ものさばってる組織なんて、滅んでしまえば良い!!」

     それは奇しくも、逆巻重工の至った結論と同じものだった。

  • 135ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 14:45:31

    >>133

    「ん…うそじゃない」

    【こくんと頷く。体勢を崩したのがそれほどに気になるのだろうか?】

    【であれば『問題ない』。身体なんて動けば正常で、たとえ糸が途切れても、張り直して動くなら十分なのだから】


    【ランセルの心配は人として当然のものかもしれないが、ウルヴィの認識は違っていた。ランセルが無理をしていると思う行為は、ウルヴィにとっていつもの通りでしかないからだ】

    【それ故に、心配をされているとすら想像できず、ウルヴィからすればその『大丈夫』も嘘では無いのだ】


    【けれど彼に滲んだ澱みは、感じとれてしまう。きっと自分のせいで、何かを穢してしまっているのだろうと】


    「ん」

    【無意識に傾げていた首を、倒し切る。肩を掴む彼の手に、頭を擦り付けるように。何もわからないウルヴィなりの行動は、動物が人の機微を察知してスキンシップを取るのに似ていた】

  • 136ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 15:06:52

    >>135

    「……すみません、疑ってしまって」

    【手に触れた温度が伝わり、知らずに強張っていた手の力を解く。「大丈夫」と言われれば大丈夫なのだ】


    (深入りし過ぎだ)

    【誰かを助けたいと言っても、本人の意思を優先すべきである。それを踏み越えれば偽善は独善となる】

  • 137アズマ工業◆PPyRfvMZl625/05/06(火) 15:25:22

    (1/3)

    【青天市街の超高層マンション、静かに上昇するエレベーターを囲ったガラス張りの外壁を景色が流れて往く】
    【人類自由連盟の基幹BF開発企業、『アズマ工業』の運営部長、与志野憲一(よしのけんいち)は、じわじわと背をなぞる焦りと緊張の最中にいた】
    【それは、幼少期に登った山で滑落事故に遭って以来、彼が高所恐怖症となった為では無い、報告書に汗が滲まぬ様、透明なファイルに綴られているのを今一度確認する】
    【マンションの最上階は、フロア一つを丸々改装した板張りの廊下が続く和式の邸宅となっていた、エレベーターを降りてすぐの玄関口で靴を脱ぎ、微かに小鳥の囀りすら響き渡る静謐の廊下を速足で突き進んで往く】

    「……永代、事が動きました」

    【その足は直に邸宅の中庭へと辿り着いた、天窓から暖かな陽光の射し込む中で、その中心に設けられた池の縁に座椅子を置いて腰を降ろした老爺の姿がある】
    【手元の竿から釣り糸を水面に垂らし、時々籠の合成餌をばら撒きながら】
    【与志野の焦りを孕んだ声が響き渡っても、何ら動じる様子も無く、くい、くい、と……竿を揺らしている】

    『与志野、君も釣りをしないか、新しい天然物の鯉を入れたんだ、良い時間潰しになるぞ』

    【────────────20年前、作業用機械開発の大手であったアズマ工業を、社内から挙がった反発の声全てを捻じ伏せて戦闘用BF開発へ強行転換させた剛腕経営者、東間吉彦】
    【老爺はされど嘗ての覇気など微塵も感じさせぬ穏やかな表情で入口に佇む与志野を一瞥すると、彼を揶揄う様に手招きして】
    【……その余りに安穏とした雰囲気に、呑まれそうになった自分を頭を振って払い除け、報告用の資料を捲り上げた】

  • 138アズマ工業◆PPyRfvMZl625/05/06(火) 15:25:38

    (2/3)

    【書面には幾つかの文言と、アズマ工業の傘下としてそのBF開発に携わっている企業の名が連ねられていた】
    【20年以上もの付き合いを続ける重鎮から、ここ数年の間に傘下に降った新参のものまで】

    「……永代、“込山鋼材”、“斑山製鉄所”、“兆羽運輸”……幾つかの当社傘下企業が此度の騒動に於ける方針(スタンス)を問うて来ています。
     無言を貫くことは信用の失墜にも繋がります、代表として、是非とも直接ご差配を頂きたく」
    『今の実権は君たちだ、好きにすれば良いだろう、今更私を引き摺り出さねばならん程、弱く育てたつもりは無い』

    【釣り糸を垂らす老爺は変わらず関心の無さそうな様子で、遂に吊り上げた獲物の一匹を、機嫌も良さそうにもう一度池へと放る途中だった】
    【それは事実、アズマ工業はもう数年前から吉彦の手元を離れ、今や幾人かの幹部が合議によって成り立たせる多頭の怪物であると言えた】
    【他でもない吉彦自身がそうと育て、嘗ては自身を支えた重役達にその役を担わせたのである】
    【『私も歳を取った、そろそろ隠居して、余生を過ごしても許される筈だ』とは、彼の言葉だが────────────】

    「しかし、今も名目上の代表は貴方です、永代」
    『今更表に出るつもりは無いさ』

    【頑なだった、ぱしゃりと水面を跳ねる波紋と上空を飛ぶ輸送機のジェットエンジンの音だけが暫し場を呑んだ】
    【────────────もう、無駄なことか、と、与志野が小さく嘆息し踵を返そうとした、その時】

  • 139アズマ工業◆PPyRfvMZl625/05/06(火) 15:26:10

    (3/3)

    『武器を作りなさい』

    【皺枯れた老経営者の声が、こだました】
    【今一度、吊り上げた鯉を愛でながら針より解放する、彼の口元は柔らかな笑みを湛えている】

    『作り、売りなさい、何も変わりなく────────────今も侵略者と戦い続けている前線へ送りなさい』

    【小上がりに佇む与志野よりも、幾らか低い、眼下より真っ直ぐと彼を見遣る視線、黒々として何もかもを飲み込む様な瞳の色】
    【それが東間吉彦の決断だった、アズマ工業は、この闘争に何ら関知しない完全中立を貫くと】
    【今も昔も、在り方は変わらなかった、アズマ工業の敵はインベイドであって、他の何者でも無い】

         ・・・・・・・
    『君たちは正しい武器商人であれば良い、取り繕う様な言葉では無く、示して見せる行動にこそ付いて来る人はいる。
     それに武器に罪は無い、今の時代、武器を創る者も同じだ、引鉄を引かねば銃とて人は殺せんのだから』

    【その為に積み上げた信用が彼らにはあった、人類自由連盟の基幹企業として、BF開発企業として】
    【20年も昔から、対インベイドの最前線に立ち続けた、実績と信用が】
    【与志野は心の底から安堵の息を吐いた、深々と頭を下げ、来た時と全く同じ速足で中庭を後にする】

    『────────────共食いの果てに滅ぶのなら、それもまた天命というものだ』

    【静謐が、再び場を包んで……老爺の零した独り言は、誰にも聞かれることは無く】
    【穏やかな陽射しの中へと溶けて消えていった】

  • 140逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 15:44:32

    (1/2)

    >>67 >>81

    「……そうか、これがページに挟まっていたか」

     逆巻重工の『草』がドアを傷一つなく開けて侵入した……その後彼らの善意で鍵は新しいものになる……あと、暗号じみた問いかけで託されたページに話されていたメモが、カンナの手元にあった。

     金龍との直通電話の番号だ。


    「……チッ、あのバカ大佐が。大人しくこれで電話……ケイに自慢するだけで満足すればよかったものを」

     思わず舌打ちをした。どこまでも見通しが甘いとはこういう事を言うのだろう。あの若者も、そして自分も。


    (いや、そもそもケイをただの1傭兵として尊重しすぎたこちらの落ち度もあるか)

     彼の意志を尊重し、縛らないようにした。その結果がこれというなら……誰も彼もの善意が空回ったということ。

     ケイが一度彼に出会ったらしいその時から、デスペラード経由で彼を襲って警告するべきだったと後悔した。

     その結果として、最穏健派の看板を下ろすべきか悩むほどにアホらしい結末が迫っているのだ、こちらは。


    『それと2つ……1つ。陸上戦艦が動きました』

    「……ケイ・サヤギリの逮捕が大義名分か」

     偶然と片付けるにはあまりにもタイミングが合いすぎる。 おそらく老害達はこれを口実にして、陸上戦艦を動かしたのだろう。


     ケイが友人となったクロノスの佐官へ情報流出――――それが、一般に公開された内容。

     そして、『草』が掴んだ情報が、もう一つあった。

  • 141逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 15:45:37

    (2/2)

    >>67 >>81 >>140

    『2つ目。ゴエティア戦団のパイロットが処刑場に晒されています』

    「……分かった」

     それだけで、カンナはおおよその筋書きを見出した。

     ゴエティア戦団のパイロットはケイを、そしてあのアホを庇ったのだろう。


    (迷いなくどちらも殺せばよかったものを……ケイは覚悟していたろうに)

     はぁ、とため息が漏れた。ケイはきっと彼の筋書きに乗った。そして老害たちがそれを上回ったのだ。

     吐き気がするような……信用全てを毀損する、汚物の如き手段によって。


    「ケイの裁判結果は?」

    『まだ決まっていません。どうやらどこまで盛るべきかで迷っているようで』

    「盛る??」


    『……ケイの体……特に首から上を中心に。件のクロノス佐官と争った形跡が大量にあると』

    「……最高だ、ケイ」

     よくやったと、きっと獄中で自責に落ちているだろうケイを褒め称える。

     全てが嘘ならば捨て置かれるだろう。だが、真実が一片でも混じっていれば……おそらくゴエティアの男が考えただろう筋書きが残る。

     彼は無意味に死んだのではない。『彼の筋書きに沿った真実』が、ケイの体には残っている。


     その筋書きは、校正によって黒塗りになりかけているが……まだ生き続けている。

     だが彼にとっては全てがほとほと無念であろうと、カンナは黙祷をした。

     きっと、絶望のまま死んでしまったに違いない。


    「……彼の死が、その後も無意味で、無意義と決めるのは未来の結果だ。 無様でも気力を保てよ。ケイ」

     だから、彼が託した若者として。ケイは生きねばならない。

     ……新しい根回しを進めなくてはならないと、カンナは決めた。

     刑務所の位置を、特定するのだ。

  • 142ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 15:51:01

    >>136

    「ん、気にしてない」

    【悪い気はしていない。寧ろ疑われていたならば、疑念を生ませてしまうこちらこそ悪いと思った】


    「…死ぬまでは、平気」

    【だからウルヴィは誠実に、自身にとっての当たり前を口に出す。命ある限り、身体が動く限りは全て変わらないという自論を】


    【肩が外れたら、戻せばいい。折れた腕でも、まだ振り回すくらいはできる。脚を失ったとしても、這いずるか逆立ちすれば動ける】

    【ならば命尽きるその時まで、変わらないではないか】


    【それがウルヴィにとっての、『大丈夫』なのだ】

  • 143ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 16:09:00

    >>142

    「っ……わかりました」

    【言いたいことはないある。止めたいこともある。そう思いつつもウルヴィの肩から手を離す。自分にその資格は無いのだから】


    「…そうだ、機体の状態の方はどうでした?」

    【話を切り替えよう。このままだと話は並行を続け時間だけが過ぎる気がした。ましてやここは家ではない。話すにしてもここではやめた方がいいと今更な思考も浮かんできた】

  • 144◆KPwoT407kA25/05/06(火) 16:19:54

    …そうですか。逮捕の報に加え、今朝の処刑場にケイ・サヤギリらしきものはなかったと─────────────素晴らしい。
    【会談の翌日。ヴァルハラテック本社社長室にて──────カミラ・ユグドラシルは静かにその報告を聞いていた】
    これで全ての懸念がクリアされました…逆巻はこれからも“穏健派”として、人自連の片翼を担ってくださるでしょう。
    デシレア・ハッセルブラードとユスティーナ・ハクリ両名は、ソフィー・ペテルセン中尉の指揮下のもとポイントγとポイントθへ。以後指示があるまで待機してください。
    「「了解!!」」
    【社長室に集められていた生徒は“3名”】
    「今回はデスペラードがお仲間で、人自連が敵という事ね!問題ないわ!いつも通り撃ち抜くだけよ!」
    「大雑把にも程があるでござろう!?しかし…うむ、懸念はマルタ殿であるな。この緊急事態でも戻られないとは…」

    『問題アリマセン』
    【その3人目が、手に抱えるタイピング端末を操作して合成音声を鳴らす】
    『R/W3-09ノ参戦コソ、我々ノ戦イノ鏑矢デス。迎合シテイタダイタ“デスペラード”モ同タイミングデ解放シマス』
    『コレハ人類自由連盟ノ膿出シデモアリ、マタトナイビジネスチャンス。是ガ非デモ成功サセネバナリマセン』
    「…そうね!やってやるわ!!」
    「ござぁ!!!」
    【R/W2-05【シュヴェルトライテ】のパイロット─────『ソフィー・ペテルセン』は誰とも視線を合わせず、コクりと頷いて高揚する2人を認めた】

  • 145ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 16:21:33

    >>143

    「戦える。…何かあれば、この恩は必ず」

    【〈BESTIA DREAD〉の状態は、右腕が無い以外は完璧に近い。余計な手出しはせず、ただ補充を行って保管してくれていたのだろう。有り難すぎることだ】

    【そして右腕も、予備があればすぐに接続ができる機構になっている。パージが必要な武装への、作成者なりのケアだ。本当に頼んだ仕事だけは頼んだ以上にちゃんとやるヤツである】

  • 146二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 16:29:03

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  • 147エイダン◆Fd5AlHEdkk25/05/06(火) 16:29:50

    >>122, >>134

     「Mr.サヤギリの投獄の件だろう。生憎と今さっき知ったばかりでね、詳細はわからない」


    【急須を用意した二つのコップに傾け、中に残っていた茶を分配する。そうして、白い湯気を纏う小さな水面を静かに揺らしながら、二人へ差し出した】


     「先ずはコレを飲んで、落ち着くんだ。カルカッド中尉」


    【荒々しく息を巻き、牙を剥き出しにして、甲高く吠え立てる中尉の眼前へ、青葉の香りと一緒に声をかける】

    【研究室が防音性で良かったなぁという戯言が頭をよぎった】


     「彼が何某かに巻き込まれ、嵌められたという推測には同意する。彼を保護するべきだという意見にもね」


    【パイロットとしての高みという青空を悠々と飛ぶかの若鳥の羽を、毟るどころか首を断ち切らんとする所業に憤りを感じているのは、エイダンも同じである】

    【が、それは何も、この場にいる者達に限った話ではない】


     「けれど、今すぐは無理だよ。逆巻重工、王 龍衛。君と同じく、彼女らも彼を救おうと動いているはずだ。こちらが勝手な真似をしては邪魔になる」


    【逆巻重工は龍だ。普段は目を瞑っているが、一度逆鱗に触れれば瞬く間に下手人を怒りの炎で燃やし尽くす龍】

    【その苛烈なあり方は、もはや企業『国家』と称して差し支えないほど】

    【尊厳と誇りのためなら採算度外視で相手を追い詰め、最悪の場合は刺し違えることさえ厭わないだろう】


    【そして王 龍衛。かつてK.Iが踏み躙った桜空技研の生き残りにして、ケイ・サヤギリの(当に伴侶になっているかもしれないが) 恋人】

    【彼女の強さはG-3で肩を並べる前から紙やデータ越しに触れていたため、よく知っている。並べた後はなおさらだ】

    【龍の名を冠し、その腹のうちに怪物じみた愛を飼っている彼女は、きっと誰よりも怒っている】


    【そんな彼女らを邪魔すれば最後。待っているのは破滅だけ】


     「だから、僕らが今やるべきなのは最悪の事態に備えること。彼女らがMr.サヤギリを見捨てたとき、すぐに彼を救えるよう準備することしか、今の僕らにできることはないよ」


    【不幸中の幸いにも、ケイ・サヤギリの処刑には裁判という階段がある。今から動けば全ての段が踏まれる前に万全を期すことができるだろう】

  • 148ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 16:37:00

    >>145

    「恩…ありがとうございます…」

    【素直に喜べる気は起きないが、断ることはできないだろう。彼女は"強い"のだから】


    「あと、アレはどうしましょうか?」

    【”アレ”と言って指を刺した先は<BESTIA DREAD>の隣。そこにものは丁度BFサイズの右腕が入る大きさのコンテナである】


    「回収はしたのですが…」

  • 149ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 16:52:41

    >>134 >>147

    「さすがエイダン部長〜。話が早くて助かるよ〜」

    【注がれたお茶を傾け、「あちっ」と緊張感の無い悲鳴を上げてから啜る】


    「詳しいことについては、おねーさんもまだ分かってないから同じだしね〜」

    【ついでに、平然と真実を隠す。この場でユスラの知る真実を言うのは簡単だが、今明かすべきではないという判断だ。エイダンは大丈夫だろうが、現在のカルカッドに関しては余計な刺激をするべきではない。故に──】


     ・・・・・・・・・・・・

    【ユスラも先程知ったばかり】


    【それが今は都合が良いのだ】


    「その通りだね〜。下手に私達が目立つことをすれば『馬鹿』と同じように、ケイ・サヤギリを更に追い詰めることになる。あくまで動くのは、最終手段だね〜」

    【彼の意見に、ユスラは同意する。ここで急いて動けば、今度の『馬鹿』は自分たちになる。怒りで視野狭窄になっているカルカッドに、まず認識してもらわないといけない事実だ】

    【しかしその上で…最悪の場合は、彼を救うべきだというのも同意である。彼と顔を合わせたことはないが、その武勇を聞く限りでは、失うには惜しい『戦力』として認識していた】

  • 150ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 16:59:31

    >>148

    「“アレ”…?」

    【そのコンテナのサイズを見て、期待と予想と不安が綯い交ぜに渦巻く。大きさからして、話の流れからして、“アレ”の正体として考えられるのは一つしかない】


    「ランセル…その、アレって…」

    【絵画のように変わらない無表情のままだが、重々しく持ち上げて“アレ”を指差す右手と、軋んだように角度を変える首が、信じられないという感情を物語っていた】

  • 151ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 17:12:18

    >>150

    「ウルヴィさんのBFの右腕部です。パージされていたので回収しておきました……どうかしましたか?」

    【彼女の様子を不思議に思う。破損したパーツだろうと回収しておけば機体の修復に使えるだろうし、デスペラードという素性としてもパーツを投棄したままだと不安なのでは?と考え、回収しただけである】

  • 152ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 18:13:49

    >>151

    「……ん、なんでも、ない」

    【だらんと右腕を力無く垂れさせる。ある種の納得だった。ここまで色々すれば、それなりの『見積もり』も必要になるのだろうと】

    【どうせまとめて払うのだから、この場でいくらになるかと問う必要はない。ようやく気がついたと、ウルヴィは思い込んでいた】


    【ランセルにそのつもりが無いとしても、ウルヴィは『見積もり』後にしっかりと支払いがあると思っているのだ。それこそが、ウルヴィのできる『感謝』だと思っているのだろう】

  • 153カルカッド中尉◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 18:26:55

    >>147 >>149

    「……はい」

     言わんとすることはわかる。その時動くべきであることも、わかる。

     逆巻重工と王龍影。カルカッドにとって、彼らなら味方にしてもいいと思えるほどの存在二つがどう動くかを見極めろと言われれば、激情はゆっくりと落ち着いていく。

     王龍影という、ケイにとっての特別。彼が彼女をどれだけ愛しているかなど……カルカッドだからこそ、理解していた。そしておそらく、逆も。

     差し出さられたお茶をゆっくりと飲み、ふぅと息を吐く。嫉妬も全て飲み込んだ。


    「では、まずやるべきはスタンスの確認でしょうか。私たち以外に彼を救う気があるのか、ないのか」

     そしてどこまで事態を彼らが把握できているか。そのすり合わせ。

     依頼仲介人としての感覚を取り戻した彼女は、自分たちがやるべきことを手短に挙げた。


    「彼ほどのパイロットが処刑場に晒される失態は避けるべき……最悪は水面下の進行で抑え……逆巻のスタンスを確認する際には提示したほうが良いかもしれません」

     最悪はケイ・サヤギリだけでも拾い上げてやるという姿勢。それを見せれば、相手の判断もわかるかもしれない。と。

  • 154ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 18:26:56

    >>152

    「それで…どうします?」

    【何はともあれ機体の所在と右腕部の確認も終わった。彼女はどうするのだろうか?】


    (BFを返すことは手続きさえすれば直ぐに可能…)

    【格納されている黒いBFへと視線を向ける】

    【彼女の機体。戦場でのあの動きは尋常ではなく、強化人間である彼女だからできている。だが大事な彼女の仕事道具であり”体の一つ”でもあるのだろうそれを見上げた】

  • 155メントーア◆AUy27RMtoo25/05/06(火) 18:38:40

    七三四高地__

    最前線部隊の残骸の上を、インベイドが闊歩する
    ナイファー級インベイドの前に偵察用の小型インベイドが墜落してくるや否や、ナイファーは敵を探し、シューターは後退しながら警戒に移る
    重い射撃音が至る所で鳴り響き、敵を見つけ戦闘に移ろうとしたナイファーが蜂の巣にされて崩れ落ちる

    シューターが徒党を組んで弾幕を張るが弾を回避し、飛ぶように地をかける機体に間合いを詰められて尾の砲も頭部も砕け散る

    急速に前線を押し上げる脅威にたいしインベイド側はジャガーノート級13体、キャルバリー級15体が出張ってくる

    ジャガーノート級は以上な耐久性と高度を保つ飛行能力ゆえに人類相手に優位に立ち回って来た優良な戦士だった、先の戦闘同様、孔から熱線を放とうとするも、その孔に銃口をが押し込まれ内部に生命を絶つべく弾丸が撃ち込まれ、役目を果たすこと無く内から炎上し、墜落していく
    それも1体ではなく次々と、中には熱線を撃てた者も居たが、撃ち終わりには同様の結果だ
    キャルバリー級は隊列を組んで突撃姿勢を作ろうとしたが、相手は彼等をもってしても速く、側面、背面を速くも撃ち抜かれ、あっという間に駆逐される

    __3時間後にはインベイドの領地は再び人類の最前線に変わる
    『任務完了』『撤収開始』『データサンプリング完了』『大破機複数確認、機体回収申請発信』
    KI社の最新型兵器は【今までの】人類とは大きく異なる強さを見せつけた

  • 156ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 18:52:08

    >>154

    「今はまだ、置いといて欲しい。でも、できれば、すぐ出せるように」

    【すぐに帰る…という選択肢も浮かんだが、見積もりと支払いが済む前に去るのも気が引ける。しかしデスペラードの傭兵とは、いつ依頼が入るか分からない。その時に仕事道具が動かせなくては困る。後者のお願いは、その場合を考慮してのものだ】

    【そこまで融通を効かせて貰えるかどうかは厳しいとも思っており、その要望が通らなくてもウルヴィは仕方ないと納得するだろう】

  • 157ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 19:37:51

    >>156

    「…そうなると」

    (ウルヴィさんのBFを直ぐに出せるようにする。その場合、ウルヴィさんとBFは一緒に居た方がいい。でもそしたら…)

    【彼女がここに滞在することになる。できるかどうかはわからないが、彼女自身、居心地が悪いだろう】


    「わかりました。では直ぐに手配しますね!」

    【取り出した軽端末に何やら打ち込むと格納庫内が賑やかになり始める】


    【やったことは単純。BESTIAの個人ガレージへの移送手配とアリオールの格納及び整備依頼だ】

  • 158ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 19:51:12

    >>157

    「…いいんだ」

    【そんなにすんなり通るとは思っていなかったウルヴィは、数度瞬いてからそう言った】


    (…ランセル、えらいひと?)

    【何やら人の往来が増えた格納庫を見てから、彼へと視線を移す。ウルヴィの目から見た現在の彼は、企業ガレージに独立傭兵のBFを保管させ、更に手続きまで一手間で終わらせたようなものだ。故にウルヴィは、それなりの立場があるのではないか?と考え始めていた】

  • 159エイダン◆Fd5AlHEdkk25/05/06(火) 19:58:12

    >>153

     「そうだね。会談の場は適当な廃墟群を見繕うとして……アポが取れたら、口裏合わせを頼むよ。大佐」


    【両陣営から程々に近く、程々に遠い】

    【そんな場所を心当たりのある中から脳内へ次々とリストアップしていく】


     「それと、Mr.サヤギリの無実につながる証拠集めもするべきだろうね。幸い、頼れる伝手もあることだし」


    【電子と電波が通っているなら、大抵のものは突破してみせると謳われる天才ハッカー】

    【Leakage (漏電) のコードネームは伊達ではないのだ。K.I本社のメインサーバーセキュリティすら掻い潜る手腕、存分に振るっていただこう】


     「突撃をかける時に向けて、.0工場を動かすか……。いやはや、僕にもとうとう使う時がくるとはね」


    【.0工場】

    【先先先代の工学事業部 事業部長が、最後まで上層部から隠し通して建ち上げた隠し子】


    【上に内緒でデカイことをやりたい時に使え、と伝えられているこの工場は隠匿性に富んでおり】

    【先代事業部長が度々動かしていたおかげで、ノウハウを熟知している工員も多い。短期間の稼働なら悟られる心配はないだろう】

  • 160ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 20:02:08

    >>158

    「これで、一旦オレの方のガレージにBFを移送するので…オレたちも帰りましょうか」

    【後でNAASの社員から色々言われるのをなるべく抑える為、すぐに帰ろうとする。支社を出てすぐのリニアを使えば住宅・商業区へBF無しでも移動できる】


    【ウルヴィが疑問に思ったランセルの地位についてだが、実際はただのテスターでしかない。では何故ここまで色々と手配できるかというと、NAASという職場自体が変わっていることにある。元が別企業である為、一部門でありながら半ば独立した環境となっておりこのような融通も効きやすいのだ】

    【後は空きスペースと暇人が多かっただけでもある】

  • 161ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 20:23:32

    >>153 >>159

    【やはりというべきか、カルカッドは冷静であれば優秀だ。無論、状況を理解して即座に冷却できるという点も含めて】

    【そんな彼女が狂乱し始めていたものだからやや焦ってもいたのだが、一先ずその点は杞憂で済んで良かったと内心で胸を撫で下ろす】


    「了解だよ〜。あ、アポ取れたら教えて?したら私が目を誤魔化しておくからね〜」

    【万が一にもこの情勢で、逆巻重工との接触が露見するわけにはいかない。その為にはある程度、目を曇らせておく必要がある。ユスラの立場であれば、覆うくらいはさして難しい事ではない。こういった時のために、普段から偽餌を散らしてあるのだ。木を隠すなら森の中、たまにある疑うほどでもない動きの一つとして認識させればいい】


    「証拠についても探しておくよ〜。それで、もし件の詳細が分かったら教えるね〜」

    【エイダンの口から眉唾として認識していた.0工場の存在が不意に語られたが、やっぱあったんだなぁとしか思わない。秘密の工場が無くては説明のつかない動きというのは、古いクロノスの歴史まで遡れば幾つかは見つかるものだ。彼はそれを動かすと知らせた。この場の三人は運命共同体だという宣言でもあるだろう】


    「よ〜し、おねーさんも久々に頑張るとしますか〜!」

    【そうして、まだ温かいお茶を飲み干したユスラは席を立ち、大きく伸びをする。やることは山積みだ】


    (レイナードくんも胃を痛めてるだろうしね〜)

    【事が済んだら様子を見に行くことも考えたほうが良いだろう。このままだとあの生真面目が服着て歩いているような男は、己の胃か胃薬に殺されかねないのだから】

  • 162ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 20:38:39

    >>160

    「………ん」

    【あれ?もしかして入れ替えるということだろうか?だとしたら申し訳ないのだが、既にBFは…無情と言うべきか有り難いと言うべきか、迅速に仕事へ取り掛かる作業員達によって運ばれようとしている。もう何を言っても遅いだろう】


    【足早に支社を去ろうとするランセルの隣をウルヴィも歩む。NAASの内情など知らないウルヴィには、またしても彼への勘違いが増えつつあった】


    「どう、帰る?」

    【支社を出て少し歩く道は、BFから見たものとはやはり異なる。アリオール無しの帰路は徒歩では大変そうだが、何らかの移動手段があるのだろうか】

  • 163ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 20:52:23

    >>162

    「公共のリニアがあるのでそこを使いましょうか」

    【先程使った大型リフトとは別の歩行者用リフトへ乗る】


    「時間的には丁度良いので、直ぐに乗れると思いますよ」

    【今、大型リフトにはBESTIAが載せられレールに沿って運ばれていく。この後は輸送用列車に載せ換え、自分達と同じく住宅・商業区 つまりランセルの家へと向かうだろう】

  • 164カルカッド中尉◆ECPjTIh3Iw25/05/06(火) 20:57:28

    >>159 >>161

    「かしこまりました。では私は社内への隠蔽工作とアポ取りに専念します」

     自分もいく、と言わないあたりが彼女の奥ゆかしさといえばいいのか。あるいは限界と見るべきか。どちらにしても、彼女自身がその場に立ち会えば冷静さを保った交渉の場を保てるかはわからないというのもある。

     ――――こうした場で女の情を持ち込まないからこその強さがある。持ち込みたいと思うほどに、入れ込んでいるともいうが。


    「(0工場……本当に存在していたのね。偽餌はユスラ大佐も動かすでしょうし、こちらでできることは……一般兵や、親クロノス傭兵へのコンタクト)

     カルカッドは己の役割を規定し、徹した。 運命共同体となったことへの胃の痛みなど存在しない。 クロノスのため。そしてケイ・サヤギリのために。動き始めた。

  • 165ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 21:07:42

    >>163

    「ん」

    【了解、の意を示しながらリフトに乗る。今頃、漆黒の機体も運ばれているのだろう】


    「ほんとに、よかった…?」

    【今更も今更だが、聞かずには居られなかった。自らのBFと他人のBFの保管場所を入れ替えるなど、ウルヴィからすれば正気を疑いたくなる。それを悩む間もなく平然と決めて、おまけに企業の彼らもそれに従ったのが、とても信じられなかった】

  • 166ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 21:24:33

    >>165

    「あぁ、大丈夫ですよ。皆も暇してたと思うのでいい作業になったと思います」

    【リフトが地上へと到着し、歩行者に反応した通路に照明が付く。明るくなった道を歩きながらリニアへ向かいつつ答える】


    【実際、急なことではあったがランセル自身は何一つ気にも止めてなかった。ウルヴィの他にも戦場で救助者を見つけ今回と同じようにBFを預かったりをしていたのだから】

  • 167ラバー◆m3XwMsEekQ25/05/06(火) 21:26:01

    ふむふむ……
    【農業UNBFの視点を通して作物の成長の様子を確認する……花の色も良く、葉も大きく作られている】
    この調子ですともう1ヶ月あたりで収穫できそうですわね
    《長いようで短かったですね、お嬢様》
    セバスも、戦闘用から急に農業用にカスタムしたというのに良い活躍でしたわ!
    このままの勢いで計画を進めていきますわよー!

  • 168エイダン◆Fd5AlHEdkk25/05/06(火) 21:37:44

    >>161,>>164

     「……全く、とんでもないことになったな」


    【二人が去り、緊張だけが残った室内で空になった茶器を片付けつつ、一人ぼやく】

    【水気を拭った手で携帯を開き、電話帳を開いて総務部をタップ。応答はいつも通り、ワンコールで】


     『メイソンです。どうされましたか』

     「リフレクターの件、どこまで進んでる?」

     『これから上へ申請を送るところですが』

     「OK、ストップだ。それと.0工場を動かすから、準備を頼むよ」

     『っそれは……わかりました。緊急事態ですね?』

     「うん。下手するとA-1が火の海になるかもしれない」


    【誇張ではない。明確に有り得る事態だ】

    【逆巻重工、人自連の上層部にクロノス過激派。この騒ぎに乗じて火を起こそうと乗り込んでくる奴は必ず存在する】

    【取り敢えず、火種になりそうなものは全て消して、やれることをやらなければ】


     『かしこまりました。他の者にも話しておきます。直ちに』

     「ありがとう。僕もすぐ帰るよ」


    【白衣を翻し、鍵を閉める】

    【深く息を吐いて先ほどまでまとわりついていた緊張を解き、軽薄で淡白な態度の裏で思考を回しながら、いつも通りに歩を進めた】

  • 169ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 21:47:16

    >>166

    【証明に照らされながら道を歩む。支社を出る間に羽織っておいた黒のコートは、アンティークなファッションとはややミスマッチかもしれない】


    「…そっか」

    【ここ数日の間共に過ごしただけであるが、彼には警戒心というものが備わっているのか不安になってきた。ここまでの行動は、仮にウルヴィが連盟所属であればまだ納得できる。しかしウルヴィには所属などない、無頼のデスペラードだ。敵も味方も居ない、ただ己の為に爪牙を振るう無法の獣。それを匿うリスクを彼は分かっていない…と見える】


    「…ん」

    【危なっかしいやつ。そう思いながら、隣を歩く彼の手を握ろうと手を伸ばして】

  • 170マルタ◆KPwoT407kA25/05/06(火) 21:54:31

    「マ゛ル゛タ゛ち゛ゃ゛〜〜〜………………待゛っ゛で゛〜〜〜〜〜……………………………」
    わぁ…!
    【体力作りの一つや二つでもやっておけば良かったと後悔する女史を尻目に、マルタは山の開けた場所に出た】
    森があんなに小さく…あ!あそこってもしやさっきあたし達が歩いてた所かな?
    「ぜぇ………………ぜぇ…………知らん……………」
    あはは…疲れすぎだよミカエラさん…
    【体力不足のミカエラに対し、マルタ・アーネルは様々な“胚期調整”により意図的に高い身体スペックを獲得できるよう仕組まれている。2人の間の隔絶した差は当然のものであった】
    (これも、あたしが人間じゃない部分なんだ)
    「………よーやっと追いついた…………ほら!そんな浮かない顔してないでもっと景色を楽しもうよ!

    マルタちゃんには何が見えた?」
    ?何って…森…………ですか?
    「ちがうちがう、なんつーかなー…この景色をどう感じたのかを聞いてみたかったんだけど…人って余裕ないと伝えたいこと上手く伝えられないもんだねぇ…!」
    ……………何が………どう見えたか………
    【ミカエラの後半の独白にも共感しながら、マルタは素直に感じたものを言の葉として紡いでいく】
    …すっごく綺麗で、どうしてあたし達がこの景色を独り占めしてるんだろうって、思いました
    「…それはね、インベイドがいるからだよ。」
    【いつものように、あっけらかんとした口ぶりでミカエラが語る】
    「二十数年前には、ここを人が登る事なんて当たり前で、ありふれた日常だったんだ。けど…インベイドはそんな人が当たり前に享受できる幸せを沢山掠め取って、いまも我が物顔で地球にのさばってる。
    …いや、インベイドだけじゃない、か。あれが“観光名所”だなんてグランセンの残党も意外と悪趣味なのかもね〜」
    !青天市街の…!
    「あの胡散臭いのはああ言ってたけど、あんなものを見て気分が良くなる人間なんてよっぽどの物好きだけだよ。寧ろ事前情報無しでよく吐かなかったもんだ!そこも“違い”ってやつなのかもね?



    それってさ、なんかムカついてこない?」
    【ミカエラがこの旅を通して伝えたかったのはこれだ。マルタに、アカデミーの外は悪意に満ち溢れていて…残った数少ない尊いものさえ、平気で簒奪されるものであると。
    それを知った時、どう思うのか。それを聞きたかった】

  • 171ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 21:58:46

    >>169

    「…どうしました?」

    【伸ばされた手が何を意味するかわからず首を傾げつつも、なんとなくその手を握る】

    【何度か触れた肌。だが手で握り合うことは何か違う。そんな感覚を不思議に思い、彼女の方を見る】

  • 172旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/06(火) 22:04:29

    >>167


    「─────良いですわね!収穫出来たら、お祝いに収穫物を料理してみたい気もしますが……………とは言え、今の段階で決める話でもありませんね」


    微笑みながら、旧愛卿もまた喜んだ。

    農業についてはやはり門外漢であるが、しかし自分よりも詳しいであろうラバーさんが何も言わないという事は問題がないのであろう。という信頼だ。



    「しかし野菜の収穫は機械化が難しい、という風なお話も聞きますわね?何でも傷が付いてしまうですとかで…………」


    『UNBF』の精密動作性にも依るのでしょうか?と旧愛卿は首を傾げた。

  • 173ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 22:18:13

    >>171

    「安全」

    【前を向いたまま、ウルヴィは簡潔に答える。この方が安全であるからと。ついでに握った手から、彼がそこに居ると感じられるのも、ウルヴィにとっては好都合だ】

    【無法者をBFごと家に置くような彼の隣では、このくらい警戒をしても足りないくらいだろう】

  • 174ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 22:31:35

    >>173

    「成る程…?」

    【上手く納得できなかったが、ただ手を繋ぐだけで安全に思ってくれるなら繋いでおこう。何より繋いでいて不快感などは全く無い】


    【そうして歩いてると駅に着く。簡素ではあるがシンプルかつ洗練されいるようでもある駅。無人かつ無償化されている為に改札も何も無い】


    「そろそろ…あ、来ましたね。乗りましょうか」

    【待つような時間もなく直ぐにホームへリニアが止まる。リニアと言ってもそこまでスピードは出ないタイプでカーブや衝撃緩和仕様】


    【ドアが開いたら所、ウルヴィの手を引き中へ。人も少なく座席も空きが多い。座ってもいいだろう】

  • 175ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 22:44:33

    >>174

    【手を引かれるまま、電車に乗り込む。彼に並んだまま、空いてる席に座った。手は繋いだままだ】


    「…ランセルは、昔って、どうだった?」

    【行きとは反対に、ウルヴィから話しかける。気遣いなどには疎いウルヴィがそうした理由は、ただの気紛れか興味だろう】

  • 176ハイエナ、ハゲタカ◆OXAm1h6odk25/05/06(火) 23:11:16

    (1/3)

    「──────コレで企業方針の再審議は終了だ。現状の我々は、クロノスにも対クロノス強硬派にも勝てないのだ」


    老いた獣が牙を研ぐ頃、人自連に加盟する企業の中でも動きがあった。
    主に弾薬の製造分野に携わる中堅鉄鋼企業の一つである『ローガン工機』もその一つである。
    企業としての勢力は大企業には及ばず、特筆すべき製品もなければ保有する戦力の数も容易に百機単位のバディフレームを動員する老いた獣には及ばない程度だ。

    精々が、それなりに高品質の実弾の製造で何処からも潰されない立ち回りをしている程度である。
    その状況を打破しようとする経営陣もいる。この機に乗じて目覚ましい功績を上げて、市場のシェアを拡大しようとする動きもある。

    だが『ローガン工機』の創設者にして経営最高責任者であるローガン・ウルハルトは頑なだった。
    或いは冷静であった。

     ・・・・・・・・・・・・
    「参戦したとして何が出来る?“勝利”の配当を期待する者もいるようだが、配当とは出資者に配られる者が───────従って、我々に差し出せる物は何だ?」

    バディフレーム部隊。既に500機近く動員している動きを鑑みれば、例え『ローガン工機』が保有する全戦力を出動させたとしても老いたる獣にとっては誤差だろう。
    資金。そもそも企業の規模が全く違う。鋼鉄の巨獣を建造して、数万単位の歩兵を保有するだけの資金を有する老いたる獣にとっては『ローガン工機』の年間売り上げですら彼らの一ヶ月の利益に及ばないのは明白な事実だ。

    故に、

               ・・・・・・
    「参戦すれば何処までも搾り取られるぞ。所詮外様にしかならない、都合の良い時に尻尾を振っただけの獣を骸に変えるのに何の躊躇もないだろう」

    過去に名機を作り上げ、今も少数精鋭の精強な実働部隊を保有する逆巻重工のような企業とは違う。
    『ローガン工機』のような中堅企業には、ゲームのプレイヤーとなる資格はハナから存在しないのだ。

  • 177ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 23:14:34

    >>175

    「オレですか?」

    【隣に座る形となり、質問を聞く】


    【自分の過去…】


    「…昔と言っても色々ありますし…まぁBFに乗り始めてからは今と大して変わりませんね。ずっとこんな感じで生きて来ました」

    【悩むように目線を足元に向けて喋る。自分の過去に…特別話すようなことなど無かったのだからと思いつつ】

  • 178英雄の一幕◆fDey8JUvvk25/05/06(火) 23:18:40

    (1/2)
    【"陸上戦艦"にて。英雄となった女は闊歩する】
    【ある兵士はその姿を見て駆け寄ろうとした】
    「止し給え。すでに我らは一心同体だ。」
    【兵士はその言葉に胸を打たれ、自らの業務に戻っていった】

    【あるバディフレーム乗りは無言の敬礼を向けた】
    「後ろは任せた。」
    【バディフレーム乗りはその返礼に思わず体を震わせた】

    【ある士官は覚悟を問うた】
    「如何なるものに阻まれようと、我々が正義を成すのです。」
    【士官は頷き、そして疑った自らを恥じ入った】

    【ある青年は遠巻きに見ていた】
    「その慎重さは良い武器になる。私が保証しよう。」
    【青年は畏れ、そして喜び拳を握り締めた】

    【ある女性整備士と目が合った】
    「いい仕事だ。これでクロノスに思い知らせてやれる。」
    【整備士は亡き夫に心中で報われたことを話した】

    【鏡を見る】
    「……勝利。それしかない。」
    【鏡の中の人物の表情は変わらなかった】

  • 179英雄の一幕◆fDey8JUvvk25/05/06(火) 23:19:04

    (2/2)
    【──9号はよくできている】
    【責任感があり、人の心を解し、限られた条件の中でも最善を尽くそうとする】
    【元の顔、戸籍、家族、誇り、全てを消して"お前は英雄でしかない"といい続けてやっただけで】
    【あるいはたった数十人程の実験体の中から"お前が唯一選ばれた"とその事実を背負わせてやっただけで】
    【自分からこの役目に繋がれている】
    【この『才能』を見出したのは、人の心をしゃぶりつくす獣共であった】

  • 180ルカ◆j28rRKKOSY25/05/06(火) 23:20:58

    1/4
    【高高度を飛ぶ輸送機の機内、黒をベースに銀のラインを入れたBFのコクピットに座り出撃準備を整える1人の男性、身を包む使い込まれた旧グランセン陸軍のパイロットスーツと短く切り揃えた茶髪に混じる白髪が年齢を感じさせる】

    【彼の名はルカ・アルジェント、グランセン解放戦線に所属するBFパイロットであり、解放戦線の設立当初から戦い続ける歴戦の闘士だ】

    「機長、戦況はどうなっている?」

    「かなり押されてますね、脱出準備にはまだ時間がかかる様子で、クロノスを足止めし基地の放棄の為の時間を稼いでもらいたいと基地側からは連絡が」

    【機長に回線を繋げ状況を確認する、モニターに表示された双方の戦力配置図を確認し叩くべき場所を選定していく】

    「任務了解、基地側にはこちらの指示で反撃に移れるように連絡を入れてくれ」

    「了解しました、ご武運を!」

    「君も無事で戻れよ、ピピストレッロ、出撃する!」

    【輸送機の後部ハッチから機体が飛び出し、ライフルを両手に携え眼科のクロノス軍目掛けて自由落下で降下していく】

  • 181ルカ◆j28rRKKOSY25/05/06(火) 23:22:06

    2/4
    【グランセン解放戦線、クロノスに奪われた国土を奪還する為に結成された武装勢力、その拠点の一つにクロノスの軍勢が迫っていた】

    【BF1個大隊を先頭にした攻勢は徐々に解放戦線の戦力を山岳地帯に設けられた拠点へと追い込む】

    『大隊前進!歩兵部隊の拠点突入を援護せよ!』

    【前線指揮所から指揮官の指示が飛ぶ、山岳からの攻撃が届かぬ位置に設置され、数機のローンソルジャーによって警備されていたその場所は一瞬の内に消滅した】

    【何が起きた?狙撃であれば何処から? 混乱する部隊に頭上から黒色の粒子が突き刺さり瞬く間に数機が撃破された】

    【頭部から機体を真っ二つに割くように空いた穴、焦げ跡はそれが粒子ビームによるものだと示していた】

    『上だ!空にいるぞ!」

    【続く攻撃の射線から敵の位置を把握した誰かが通信で呼びかける、空を見上げた者の目には映るだろう、4本の腕を回転させ、それに吊られた漆黒の機体がこちらを見下ろす姿が】

    【ピピストレッロ、ハングドマンの異名を持つ解放戦線のエースが駆る専用機、身の丈程のある大型ライフルを扱う狙撃手がその異名を体現した姿を表していた】

    「HQへ、敵前線指揮所を撃破、第2目標の破壊に移る

    【指揮所の残骸の映像を拠点に送ると更に後方へ飛ぶ、そこには複数の自走榴弾砲による砲兵陣地が形成されていた、動かない目標などは赤子の手を捻るよりも容易い、黒い影がその場を飛び去った後には何本もの火柱が天に昇るのみだ】

  • 182ルカ◆j28rRKKOSY25/05/06(火) 23:22:31

    3/4
    「第2目標を撃破、解放戦線全機、攻撃を……っ!」

    【視界の奥に光が見えた瞬間、咄嗟に機体を急制動させ放たれた敵弾を回避する、ロングビームライフルによる狙撃、完璧に近い不意打ちだ】

    【砲兵陣地よりも更に奥、高台に陣取るスレイガン、大型のロングビームライフルを構えた敵がスコープの先に見える】

    【回避行動を取りつつ反撃、機体の中心部を捉えたそれをスレイガンは最低限の動作で避け、機体の揺れを抑えた動きで流れるように第2射が放たれる

    「中々やる……!」

    【久しく出会わなかった優秀な狙撃手に感嘆の言葉を贈り、飛来する第2射をこちらも紙一重の距離で回避し、山肌に機体を押し付ける】

    【脚部から飛び出したスパイクで滑り落ちるスピードを緩めつつ狙撃の体勢に、直線で動くこちらは敵から見れば絶好の的だろう、故に攻撃のタイミングも予想出来る、ライフルのセレクターを変更しその瞬間を待つ】

    「ここだな、サブアーム起動!」

    「バックパックから飛び出したサブアームが4本のスパイクとなって山肌に突き刺さりピピストレッロを縫い付けると同時に射撃、意表を突かれたスレイガンの射撃は足下の山肌を抉るだけだ】

    【カウンタースナイプがスレイガンに迫る、黒色の粒子を再び紙一重で回避、しかし反撃に移ろうとした瞬間、機体に突き刺さった弾丸がコクピットを抉り主を失った鉄の鎧が地面に沈む】

  • 183ルカ◆j28rRKKOSY25/05/06(火) 23:22:52

    4/4
    【ピピストレッロのライフル、それは単なる粒子ビームを使用した狙撃銃では無い、実弾との併用が可能な特別な武装だ、そしてその粒子弾は実弾よりも遅くなっている】

    【粒子弾の速度を見抜き避けたとしても続く2発目はそれよりも速い実弾、回避のタイミングを狂わされた敵を射抜く2段構えの戦法だ】

    「良い戦いだった、クロノスの狙撃手、その技量に敬意を、願わくば我が王が君を許し抱擁を与えん事を」

    【指揮所と火力支援、エースを失ったクロノスが撤退して行くのを確認すると胸に手を当てる、敵であろうと優れた相手であれば敬意を払うのがルカ・アルジェントという男だった】

  • 184ラバー◆m3XwMsEekQ25/05/06(火) 23:23:21

    >>172

    そうですわねぇ……作物の種類にもよるでしょうけれど、しかし教育のできてないUNBFの精密動作性では難しいやもしれませんね

    このあたりはデータ化されておりませんから

    実践を繰り返してUNBFの身体と頭に叩き込んでいくしかありませんわね

    ……さて、次の休暇にNAへの提案書を作るとして……気分転換に髪でも染めようかしら

  • 185ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/06(火) 23:30:20

    >>177

    「ふーん…」

    【俯いた彼の表情は窺い知れない。ただ…BFに乗ってから流れるままに人生を過ごした点は、ウルヴィも同じだと思った】

    【それより前では、違いがあるのかもしれないが…『今のウルヴィ』として生きる前の過去は、虫食いのように断片的で、他人事のようにどうでもいい】


    「ランセルは、ランセル…だよ」

    【特に深く考えず感想を述べながら、彼の肩に頭を預けた】

  • 186ハイエナ、ハゲタカ◆OXAm1h6odk25/05/06(火) 23:32:30

    (2/3)

    「……………警備部門としても、我が社の保有戦力だけでは到底事態を動かすだけの能力がない事を先に明示しよう」

    旧西方列強連合系の、掘りの深い顔立ちの男が淡々と言葉を紡いだ。
    かつてグランセン王国陸軍でローガン・ウルハルトと同じ部隊に所属していた叩き上げの軍人であり、王国の解体に伴って当時北方戦線から怪我を理由に後方へと送り返されたローガンが北方戦線への支援の為に起業した『ローガン工機』にスカウトされた人間だ。

    亡命した将校にありがちな反クロノス的強硬思想もなく、社内での信任も厚い男である。
    現在の経営陣と比較しても長く『ローガン工機』に勤めている彼は、非常に明瞭な物言いで経営陣へと現実を叩き付けた。


    「端的に言って、我々の戦力を一とするなら、あの憎悪で凝り固まった愚か者の戦力は千であり、クロノスの戦力は旧西方列強連合方面軍だけでも軽く万は超えるでしょう」

    ・・・・・・・・・・・・
    参戦すれば瞬時に塵と化す。それだけの戦力比が、厳然として存在するのだ。
    ““陸上戦艦””は言うに及ばず、その周囲を旋回する超大型対地攻撃ヘリ““ゲヘナ””の内の一つだけでも数秒も必要とせずに『ローガン工機』の全戦力を殲滅可能だろう。

    いや、歩兵部隊だけでも可能であるかもしれない。極めて士気と練度が高い殺戮猟兵達は、自らの命を捨てる事に躊躇がない。自爆戦術すら平然と行う彼らの存在は練度の低いバディフレームよりも脅威である。

    ローガン・ウルハルトは口を開いた。


    「とは言え、幸いにしてそれなりの金は存在する。場合によってはデスペラードを雇用し参戦させる事も視野に入れても良いかもしれん────我々が、彼らにとっての敵ではないというポーズの為に」

    「会議は以上だ。今日は家に帰ると良い。直に徹夜で家にも帰れなくなる程忙しくなるだろうからな」

  • 187ランセル◆hFOUpFQqt.25/05/06(火) 23:46:28

    >>185

    「そう…ですね」

    【彼女の言葉が胸に残る。殆ど何も言ってないような自分の言葉に彼女は何を見出したのだろうか】


    「………」

    【リニアは揺れもなく進んでいく。そんな中、寄せられた彼女の頭が肩に乗る。またどんな意味なのかわからない行為。だけどしばらくはこの重みを長く乗せていたいと思った】

  • 188東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/06(火) 23:46:36

    『──────あ"?』
    最後の自由時間、何の気なしに歩いていると
    思わず落胆したような、驚いたような
    それでいて恐れているような声が漏れた

    『......桜の木ぃ、か』

    思い出す。懐かしい過去の日々を
    一言で表すなら桜花爛漫と言って良い、
    ひたすらに眩しく輝かしい過去の追憶を

    『亡霊ゆーても仕方ないんは承知しとるけど
    無意識に桜に惹かれるのは末期やな』
    既に旬は過ぎ、花びらは全て散り芥と化した
    取り残された葉桜に自分の身を預ける

    『─────なんでなん、
    なんであの時死なせてくれんかったん?』

    今の自分を嘆いている訳ではない
    再開という奇跡を齎した現在に不満はない
    それでも、やはり思うのだ。

    ・・・ ・・・・・・・・・・・
    あの時、仲間と共に死にたかった...と
    ...そして、そんな夢想はすぐに振り払う
    それが叶わないのは、もう実感している。

    『.........かえろか』
    その微かな声は、涙ぐんでいた

  • 189ハイエナ、ハゲタカ◆OXAm1h6odk25/05/06(火) 23:56:58

    (3/3)

    ──────人が消えた会議室で、ローガンと警備部門の長だけが座っている。
    最初に言葉を紡いだのはローガンであった。

     ・・・・・・・・ ・・
    「中立派の弾薬企業を維持しなければならない。大企業である必要はない。何処かに大きく肩入れする必要もな」

    大企業となってしまえば、否応なくゲームボードに載せられるだろう。一挙一動に注目される。それは彼らにとって嬉しい事態ではない。
    『今の状態』が丁度良いのだ。舞い込む注文から、密かに顧客企業の保有する戦力の武装構成と機体数を把握して、“女王陛下”に流せる状態が。

    その為には中立派である必要があった。ローガンは端から企業の拡大なぞ考えてはいない。彼は戦役を解除された後、少しでも偉大なる王の役に立つ為に企業を立ち上げたのだ。
    “バーハリヴァ”王が憎きクロノスの手によって暗殺されたと聞いた時には絶望し、一時期は首を吊ろうかと思った事もある。しかし王の御息女が生存していると知った今となっては、自殺を止めた己の判断は英断だったと確信できる。


    「デスペラードの雇用について仄めかしたのは良いアドリブだったな、ローガン。コレで我々は表向き自社戦力ではなくデスペラードを動かした、という事にしてしまえる」

    内実が不透明な戦力。デスペラードとはそういった独立傭兵だ。探りを入れる企業がいたとして、一介の中堅企業が雇った傭兵を詳細に調べられるまでの資本を有する企業は限られている。
                  ・・・・・・・・
    況してや、『ローガン工機』は活躍しない予定だ。なけなしの金でデスペラードを雇ったものの、占拠には至らず他の企業に成果を掠め取られた────そう言った筋書きを作れる。

    非グランセン系企業に偽装したフロント企業群が、あたかも群雄割拠に似た構図で腐肉を奪い合った。傍目から見ればそうなる。
    多少は本物のデスペラードを雇った方が情報の信憑性も上がるだろう。その手筈も整えておかねば。


    「さて、コレが同志達の物資面で助けになれば良いのだが…………………」

    人類の誕生から数千年。“国家”という繋がりを完全に絶つのは、容易ではない。
    三大勢力が入り乱れる中で、秘やかに動く雑多な小勢力とて多いのだ。

  • 190逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/05/07(水) 00:35:11

    (A-1殴り込み部隊がマスドライバーで射出されたあとの時系列)

    『マスドライバーからの打ち上げ完了。部隊は無事プラットフォームへ到達……生活環境の構築、完了です』
     オペレーターからの報告はすべて正常値。
     ふぅ、とカンナは大きく息を吐いた。

    「――――どうだ?ユズハ」
    『老いた獣たちが気づいた気配はありません。今は大丈夫かと』
     カンナはユズハ・ミドリマからの報告を聞き取った。
     自分たちが『どうクロノスへ報復するか』ということは、老害たちには伝えていない。ただ、報復するというだけで許可が降りたのだ。

    (喜び勇んでいるのかこちらへの警戒意識が低い……いや、もう陸上戦艦の方に意識を持っていってるのか。あるいは両方か)
     一点に意識を集中的に裂けば、必然他の動きも疎かになる。ゆえに組織とはどんな時でもリソースに余裕を持ち、常に周囲の動向と警戒を怠ってはいけない……はずなのだが。
     カンナにはこちらの警戒と比較し、相手の警戒心が薄いようにも見受けられた……相手側に余裕がある、とも言い換えて良いかもしれない。

  • 191逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/05/07(水) 00:36:15

    >>190

    (2/2)

    (今のうちに打てる手は打つか)

     思考を切り替えた。


    「ユズハ、今ある今後の予定を」

    『エイダン・リー。及びユスラ大佐からのアポイントメントと……賢人会議と名乗るもの達からの、文字メッセージです』

    「彼らはなんと?」

     少し声が固くなったかもしれない。 先代の、狂気が抜けて、抜け殻のように一時なった父の姿が頭をよぎった。


    『”老害たちにもはや理はなし。逆巻重工へ協力を要請。こちらも支援する”……と』

    「……そうか」

     どうやら、彼らは彼らで老いた獣にうんざりしていたらしいことが分かる。 そしてこの文章を考えるに……。


    (彼らですら、こちらが本気でクロノスへ報復すると思ってくれている。我々に全面戦争の引き金にはなってほしくないわけだ)

     ありがたい、と思った。 こちらが積み重ねてきた信用が説得力となっているのだろう。

     最悪のパターンが具現化していた場合、”逆巻重工ほどの穏健派がクロノスを見捨てるならば”という理屈の元、全員が一気に転がり落ちるような結果もあったはずだ。

     逆巻にとって、既に逮捕されたケイはクロノスの虜囚ではないし、敵対する理由も失せた。敵はもはや、老いた獣だ。カンナは賢人会議に苦手なイメージしかなかったが……。


    「賢人会議には文字メッセージを送ってくれ。”協力要請、ありがたく受託します。老いた獣の目に優しく布を被せてくださると助かる” ……これで頼む」

    『かしこまりました……アポイントメントの方には』

     賢人会議とはこの機に一つ、歩み寄ることをしてもいいかもしれない。カンナはそう思いながら、思考を巡らせる。万が一にもバレるわけにはいかないアポだ。


    「予定場所は廃墟都市だったね……受けよう。こちらが待つか相手が待つか……まぁ、先についたほうが待つでいいでしょ」

     この緊急事態でお互いの認識を再確認しあう機会だ。カンナとしても逃す手はない。


    (それにエイダン・リーに裏切られるならば、もはやそれまでということだ)

     手土産らしい手土産を用意できてないことが悔やまれる。という思考が浮かぶ時点で、やはり逆巻カンナは誠意と取引を重視する女性だった。 老害達の目を可能な限り眩ませながら、カンナは廃墟都市へ向かった。

  • 192逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/05/07(水) 00:42:05
  • 193ポリト◆XGxCas/OAU25/05/07(水) 03:59:29

    (1/4)
    「せ、せせせセンパーイ!!!」
    【僻地の中の僻地。そんな場所に建てられた建物内に、いつもよりも大きな若い声が響く】
    「…何?そろそろ『アレ』ができる頃というのは覚えてるわよ?」
    【先輩こと『ノーディス・カリヤ』は、机に向かい何かの原稿を書いていた。】
    「そ、それなんですけど…機械が不調を起こして幾つかダメになりました!!」
    「はぁ!?」
    【彼女及び彼女の後輩の勤める『グールインジャンクボックス』。ここは技術者らが事務作業・開発等を行う通称『技術』と、大きすぎはしない程度の規模の『工房』の2つで構成されている。
    ノーディスが工房の自分たちの使っていたスペースへ駆け込み目の当たりにしたのは、ある機械から灰色の何かが流れ出る光景だった。蒸気をあげており、そばには先程まで使われたであろうホースが転がっている。】
    「炉に火を入れて待っていたら急に大きな音がして、見たら真っ赤になってて…火は消しましたが…」
    「熱暴走を起こしたのね…コスト削減で旧式のやつを使わなきゃ良かった。現時点で問題ないのは?」
    「えっと…33mm薬莢が3ダース、バズーカと機関銃の外装パーツ、弾系統は全て問題ありません!でも機関銃の動作部が半分ダメになっていて…それとまだBFフレームの脚部パーツができていません!」
    「一番重要なパーツじゃない!さすがに予備なんかないし…」
    「ふふふふふふ…どうやら競争相手が1人勝手に自滅したようだな。」
    【2人が振り返ると、背後にいる1人の男を視界にとらえる事ができた。】
    「予想外の起こる想定しないなんて、本当に君達は技術者なのかい?この私と同じぃ?」
    「待ってください!まさか、あなたがコレを!?」
    「おっと誤解するなぁ!妨害なんてしたら君たちに報復で何されるか分かったもんじゃない。それに一回の妨害をする時間で何個の計算ができると思う?第一貴様らに対してそんな事をする価値を私は見出せない!コレは君たちが勝手に引き起こした事故さ!!」
    【ハッハッハァ!!と笑いながら、彼は自らの持ち場へと向かった。】
    「…色々ムカつくやつですね、あいつ。」
    「ええ、まあわざわざ私達へ妨害をするような奴じゃないのは分かってるけどね。」
    「それはまあそうですけど…まずはこいつらを剥ぎますか。コレで。」
    【後輩がどこからともなくヘラを取り出し、床の灰色の物体をこそぎ落とし始めた。】

  • 194ポリト◆XGxCas/OAU25/05/07(水) 04:00:15

    >>193

    (2/4)

    「まったく…どこまで粘るんだお前はぁ…っ!」

    【後輩が床にへばりついた灰色の物体に苦戦している。一方でノーディスは、すでに物体の剥がされ終わった機械を眺めている。】

    「あーもう!お前なんか知るかぁ!!…先輩、融合炉の状態はどうですか?」

    「そうね、見た感じだと炉の部分がやられてる…この部分は普通の炉を組み込むだけで直せそうね。他は若干手こずりそうだけど直せなくはない…」

    「つまり直せるんですね。」

    「ええ。その辺でどうにか買える旧式の炉より、よっぽど火力の出る炉があればね。」

    「…無いですよね、そんな高いの…。」

    「…」

    「んー?どうしたの?」

    【彼女たちの側に1人の男が寄る。】

    「あ、ノザワさん!お久しぶりです!」

    「え、そんな久しぶりってほど会ってなくは無いと思ったけどなー。…手伝おうか?」

    【暫くの間、2人の中にノザワが加わった状態で清掃が進む。】

    「へー、イカれちゃったんだアレ。スワローちゃん達が作ってるモノは知ってたけど、それにしても随分とすごい物を用意したなーとは思ってたんだけどなー。」

    「ちょっと!その呼び方はやめてください!…まあその辺のガラクタを混ぜ込んで作った代物でしたからね。むしろここまでよく使えたなと…」

    「うーん…まあ、予想外ってのは予想してないから起こるんだよ。その後いかに立ち直るかが問題で…そういや、何で出そうって考えたの?君が言い出しっぺと聞いたけど。」


    (…そういえば、聞いた事なかったわね…まあ優勝する事が目的なのは分かってるけど。)


    「それはですね、企業に見せつける為です。『私たちはやったぞ!』って。特に、先輩を切った企業に。」

    【機械のパーツをいじっていたノーディスの手が止まる。】

  • 195ポリト◆XGxCas/OAU25/05/07(水) 04:02:03

    >>194

    (3/4)

    「先輩はすごいんですよ?昔から既にBFの重量を80%にまで削る事ができて、それからすぐに機能を損なわない設計を思いついたんですから!」

    「確かにねー。『アーリーウィング』だっけ?あれの噂聞いた事あるけど、当時の機体の中でもかなりいい運動性能を持ってたとか…」

    「そうそう!しかも、あの出来事を技術の問題と捉え、今も軽量・高機動の機体開発を全力でやっている…私、恨んでるんですよね。こんなに凄い先輩を捨てた企業を…だから、見せつけたいんです。お前たちが捨てたのは、こんなにすごい技術者だったんぞって…。すみません、ここまで熱く語っちゃって。」

    「いや、気にしなくていいよ。聞いたのはコッチだしさ。」


    【ノーディスは自らの後輩を、ただじっと見ていた。その目にこもる感情は複雑だった。ここまで慕ってくれて、かつ讃えられて嬉しくて、恥ずかしくて、…自分が、こういった事をしている理由が、ただの逃走で、その事を隠しているのがとても情けなくて…】


    「いやー、ちょっと小耳に挟む程度で聞いて欲しいんだけどさー、俺もテリア?に何か出そうとしてるのは知ってるじゃん?それで奮闘してた訳。たださ、途中までは良かったんだけどさ、途中からどーしてもテンポが悪くなってきてさー。どうも炉がいけないと思って、奮発して新型の炉を買っちゃったんだよねー。コレがまた少し小さいのにかなりの高出力で…」

    「待ってください、今何と?」

    「え?だから、奮発して炉の新型を買っちゃった…」

    「「使わせてください!!今すぐ!!!」」

    「えっ…あ、うん…。」

  • 196ポリト◆XGxCas/OAU25/05/07(水) 04:02:38

    >>195

    (4/4)

    〜出発から1日前〜

    【ノーディスと後輩が慌ただしく動く。2人以外の出場予定の技術者は昨日既にここを発っていた。】

    「パーツはコンテナに詰め込み終わった?間違えてない?積み忘れは?」

    「はい!詰め間違えと忘れは無いように確認はしてます!」

    「よし、じゃあ次はこっちを…」

    【空気を打ち破るように電話が鳴る。ノーディスの方が近かった。内容は、新しいパーツの依頼だった。明日の昼にここに来るらしい。…もしそれまで待っていたら、『』には間に合わない。】

    【受話器を置き、その後自らの後輩を見た。少し若すぎる気もする。それに経験も浅いが、確かな知能と、前向きな精神がある。…自分よりとても優秀な人材だ。】

    「なんて内容でしたか?」

    「…パーツが欲しいらしいわ、私の担当のやつが。明日の昼来るそうよ。」

    「えっ…いや待ってくださいよ!使える輸送機は今は1機、会場はそれで二日はかかる距離ですよ!?今乗れなかったら絶対行けない…申し訳ないですけれど、その人には待っててもらいましょう!ここまで用意したのに行けないのは先輩も嫌でしょうし…」

    【徐に立ち上がり、机に置いていた大きな茶封筒を後輩へ突き出す。】

    「これ、発表用の原稿、どこか変えたいと思ったら変えてもいい。」

    「…え。私1人で行ってきてって事ですか!?何で!?…考えてみてください。私は先輩ほどの経験はないですし、頭の回転も速い訳じゃ…話し方もズケズケとしていて変ですし、熱くなったら止まれませんし、第1私は先輩が…」

    【自らの後輩の口を人差し指で押さえ、話を止めた。】

    「そこまで言ってくれてありがとう。でも、依頼はされたら絶対に遂行しなければいけない…それに、こういった大会に1人で出た事、今までになかったでしょう?とても大きな経験になるわ。」

    【そう言いながら指を離す。】

    「…分かりました。先輩ほどの人が言うなら、やってみせます!…5日後、ここに戻ってくるまで、どうかお元気で!」


    【暫く経った後、ある荒野で、1機の輸送機が星の光を受けながら、1人の技術者とBFを載せ、会場へと進んでいた。】

  • 197龍影◆9BZ6kXGcio25/05/07(水) 07:20:51

    龍影は待機室で逆巻…いや、桜空の加圧服に袖を通し、汚れたヘルメットを眺めていた。乾血色の汚れは既に亡くなったもの達の、桜空の数少ない残滓である。
    「ケイ、どうか無事でいて…」
    また失うのか。その感情で龍影は潰されそうになっていた。だがウジウジしていては馬鹿(月風乗り)に顔向けが出来ない。
    ガシャン!
    龍影本人も今の感情が分からないほどに追い詰められていた。待機室のロッカーに拳を叩きつけるが凹みは出来ない。義体側のパワーセーブが正常に機能している証である。

  • 198アルパ◆YMCgTirJag25/05/07(水) 07:54:42

    彼のメイツーは出撃を今か今かと待ちわびていた。
    いつでも出せる状況でこそあるが、最終決定の発議はされない。
    その修羅にも似た殺意を纏う機体はただ命令に忠実であり、それ以外の思考は戦闘にしか向けられていない。
    「どうせ落とすのならば逆巻のマスドライバーについて行きたいところだが…」
    〈アルパ、君も降下部隊に含まれている。それが逆巻のマスドライバー利用繰り上げの条件だ。〉
    「気が利くな、議長。君のお父上とは大違いだ。」
    〈狂人と比べないでくれ、アルパ。君のようなフィルムディラ(人格謄写体を指す言葉)のオリジナルがどのようなパイロットであったかは嫌という程聞かされてその生存をド返しした作戦の数々、申し訳も立たないことをしたと思っている。〉
    「キルマシーンに赦しを求めるのか?人類自由連盟の総意と同じような君が。」
    〈それは…〉
    「使い潰してくれ、私は世界の果て、インベイドも居ない世界をまた見たいのだ。そのためであればこの機体のロストは必要経費として敵に捧げるさ。」
    〈済まないな…〉
    「優しい君もいつか壊れる。だがそれはまだ先の話だ。頑張りたまえ。」
    SOUNDONLYと表示されたアルパの通信は切られる。
    まだ大義はインベイドにむけられていた。

  • 199賢人会議◆YMCgTirJag25/05/07(水) 08:12:11

    >>191

    【律儀ですね。】

    〈逆巻はそういうものだ。時間を空けておけ、彼女に直接礼をしたいからな。〉

    [わかった、空けておこう。]

    〔先代より食えるやつであって欲しいがな〕

    〈何、誤解を解くチャンスをお互いに見過ごすわけがない。〉

  • 200旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/07(水) 08:30:33

    >>184

    「やはり、実践でデータを重ねるしかないのですのね………………………」


    多少、作物に傷が付く可能性については仕方がないのだろう。

    そもそも最初から完全に成功する技術の方が少ないのだと、バディフレームや兵器の設計に携わる技術者であり設計士でもある旧愛卿は理解している。



    (…………いえ、まぁでも多少傷付いても美味しく食べられそうではありますけれども)


    「あら、髪を染めるのですか?近年では色々と技術が発達しておりますし、染める色を選ぶのもショッピングみたいで楽しそうですわね?」

オススメ

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