回歴する紫風信子chapter2.1

  • 1125/05/06(火) 20:50:26

    名もなき神々の王女が覚醒した世界戦から本編世界戦に転移したミドリが世界を救うために戦う話
    chapter2.1

  • 2125/05/06(火) 20:51:29
  • 3125/05/06(火) 20:52:36
  • 4125/05/06(火) 20:55:05
  • 5125/05/06(火) 21:34:56

    ざっくりとしたプロローグ
    パヴァーヌ2章、要塞都市で名もなき神々の王女が覚醒してしまった世界線。才羽ミドリは姉のモモイ、特異現象捜査部部長のヒマリと共に神々の王女と化したかつての仲間、アリスと戦い続けてきた。が、抵抗虚しく、母校は王女を構成するパーツとなり、大切な仲間すら無残に散っていった。それでも、希望のため、かつての日常のため、ミドリ達は戦った。
    キヴォトス中に魔王の手が蝕んできたころ、ヒマリの指示でミドリ達はトリニティ跡地へと向かい、対抗手段である『ヒエロニムス』を手にして王女と最後の戦いを繰り広げた。
    ヒエロニムスの力により善戦はしたものの、王女の主砲がヒエロニムス、ミドリを庇ったモモイを貫き、敗北。
    モモイが死に際に遺した祈り、願い。この世界の無念の思い。それが奇跡を起こしたのか、倒れたはずのヒエロニムスがミドリを転移をさせた

    ーーー
    あらすじ
    エデン条約を前に、通功の古聖堂に下見に来ていたミカは、壁に倒れている少女を発見する。その少女こそが転移してきたミドリであった。
    ミドリはミカの対応によって一命を取り留める。帰る場所がないことから、ミカの提案により、彼女の家に住ませてもらう事になったミドリは、桃園ムスカリという偽名を使い、トリニティへと編入しようたする。その途中、ナギサに疑いを向けられるがセイアの手助けによって何とか編入に成功し、新しい生活を送り始めた。

    その翌日、ミドリはミカの計らいで部活の体験をし、救護騎士団、正義実現委員会の見学をしていたところアリウスの生徒が主犯であった事件に遭遇しツルギと共に鎮圧。
    その事件をきっかけに正義実現委員会に所属したミドリは委員会の一員として、また新たな生活をおくりだすのだった

  • 6125/05/06(火) 21:55:47

    登場人物1

    才羽ミドリ(回歴)
    (偽名:桃園ムスカリ)
    トリニティでミカと共に生活している少女
    名もなき神々の王女との戦いの末、本編世界に転移してきた。本人は過去だと思っている(あながち間違いではないが)
    仲間を失い、学校を失い、姉を失い、絶望を味わっているが転移してきた世界で出会ったミカ、世界をやり直せるかもしれないという希望を拠り所に生きている。メンタルは何度も壊れかけたからか、逆に強くなっている。
    転移後、ミカと出会い、彼女の家に住まわせてもらっている。
    武器はミカが修理したユズの遺品
    素性を隠しながら、かつて掴めなかった希望のために戦い続けている

    聖園ミカ
    ティーパーティーパテル派のトップ
    古聖堂で倒れているミドリを見つけ、それ以降彼女を気にかけている。素性、過去を話せない上、家すらない彼女を放っておけず、ミドリを自分の家に迎えて、一緒に生活を始めた
    ミドリはトリニティと関係がなく、立場も気にしなくていいため、彼女と関わるときのミカはすごく楽しそうである。
    ミドリを編入させようと提案した人。そのせいでナギサとは対立している

    桐藤ナギサ
    ティーパーティーフィリウス派トップ。
    エデン条約が迫ってきているのもあって、精神的に余裕がない。そのせいで、編入希望のミドリを疑い、編入処理を破棄しようとした。ミカとは子の件で対立している

    百合子セイア
    ティーパーティーのホスト
    ミカとナギサの対立を抑えて、ミドリの編入を許可した。予知夢で、ミドリがトリニティのために戦う姿を見た。具体的な内容こそ分からないがミドリが世の理を超えていることに気づいているようで?

  • 7二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 21:55:59

    また守れなかったよ……
    朝は保守が難しいね

  • 8125/05/06(火) 22:03:51

    青森ミネ
    救護騎士団団長
    転移してきたミドリの治療、入院中の看護を担当した。
    部活体験中ミドリと共に行動したが、ミドリは想定していないミネの『救護』に驚かされた

    仲正イチカ
    正義実現委員会の一員
    正義実現委員会の部活体験に来たミドリの案内、及び付き添いを担当した。
    本人の統率力、後輩との連携を生かして初対面のミドリとも連携をとって暴動の鎮圧をした
    ミドリに正義実現委員会を勧誘した

    剣先ツルギ
    正義実現委員会委員長。トリニティの戦術兵器
    ミドリのピンチに現れ、1人でアリウスの兵数十人を蹂躙した。

    静山マシロ
    正義実現委員会のスナイパー。真面目で正義感が強く、正義とは何かという哲学的な側面についても深く考えている。1年生ながら、実戦経験が豊富で、ミドリとの任務も連携を取りながらこなした

    ???
    アリウス生を率いている、リーダーのような存在。ミドリ、ツルギによる鎮圧からアリウス生を煙幕弾を使い回収した。
    とあるトリニティ生と現ティーパーティーホストであるセイアの襲撃について話していた

  • 9125/05/06(火) 23:21:11

    13時50分、何とか間に合ったようだ。先ほど買ったパンを頬張って、訓練場へと入る。訓練場の中は大規模訓練というのもあり、数十もの委員が集まっており、訓練にむけてアップをしていた。私も急いでパンを食べきってアップを開始までに間に合わせる。

    14時を時計が示すと、すぐに指示がでて、訓練が始まった。最初の訓練は射撃演習。
    高速で動く的を打ち抜く、狙撃のための訓練。ハスミ先輩が担当しているようで、彼女の指示の元、みなは訓練を始める。やはり目を引いたのは、手本として打っていたハスミ先輩、そして我先にと挑んだマシロちゃんだった。2人は命中精度が8割5部ほどと高く、やはり実際に見てみるとその腕の高さには驚かされるものだ。

    私も銃を構えて、位置について訓練を始めようとするが、一つの問題にあたった。グレネードランチャーでは、この訓練は意味をなさないのでは?初速が遅く、なお且つ攻撃範囲の広いそれでは想定されている効果が得られないだろう。そこで、ハスミ先輩にその事を相談してみた結果、正義実現委員会の備品を貸してもらえる事になった。
    借り物ではあるが、私の従来の武器と似たような物のため近しい感覚では使えるだろう。
    かつての戦いの記憶を思い出しながら感覚を研ぎ澄ませて引き金を引いた

    初擊は目標の的を貫いた。残りの弾も打ち、私は訓練を終える。
    6割。慣れない銃による精度と捉えるべきか、それとも私の腕が落ちたと捉えるべきか…
    私個人としてはあまり満足できない結果となったが、ひとまずは切り替えて次の訓練へといくとしよう

    2つ目の訓練内容は護衛演習。
    4人一組でチームを組んで、リーダーが倒されないように周りを制圧する訓練のようだ。これは用人の多いトリニティだからこそ活発に行われる訓練だろう
    ランダムに組んだチームのメンバーと軽く挨拶をしてリーダーの周りを囲む。これに関しては私も経験がない。周りの様子を参考にしつつ、実際の戦闘に専念しよう。
    始まった訓練では、型にはまらず、思い思いの方法で、リーダーの襲撃、防衛を行っているようだ。それを確認し、そこから1つの結論へとたどり着いた。
    やられる前に倒せばいいのだ
    私は煙幕弾を投げて攪乱したところを、それぞれのリーダー目がけてミニミサイルを発射した。残りの3人に防衛に専念してもらったこともあり、私たちのグループはこの訓練に勝ち残った。

  • 10二次元好きの匿名さん25/05/06(火) 23:30:28

    立て乙
    いいSSに巡り合えた。
    がんばって保守していくよー

  • 11二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 07:03:24

    だいぶ脳筋だな

  • 12二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 12:39:05

    やられる前にやる。
    真理だな

  • 13二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 13:05:16

    保守

  • 14二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 14:12:09

    流石の制圧力......

  • 15二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 16:53:18

    このレスは削除されています

  • 16二次元好きの匿名さん25/05/07(水) 19:12:16

    ここのミドリ、戦闘技術で言えばキヴォトスでも上澄みだけれどもツルギが相手となると火力不足だよね......

  • 17二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 00:24:52

    まぁ、技術特化であの回復力に追いつけるかと言われるとなぁ

  • 18二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 06:59:21

    ほしゅ

  • 19二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 15:55:05

    ツルギ先輩は…少々のダメージは負っている物の継戦には全く問題のないようなダメージであった。
    …まずい。ダメージは入っているが、想定よりも軽症だ。さっきの攻撃、普通なら気絶までもっていけるのになぁ
    冷や汗が頬をつたるのを感じる。内心、相当焦っているが、それが表にでたら、ツルギ先輩の思うつぼになるだけだ。
    冷静を装いつつ銃を構え直し、ツルギ先輩の攻撃に備えた

    どのような攻撃で来るか警戒していると真正面から、近接戦闘を仕掛けてくる。…自身の強さに自信を持っているからこそできる、強者の動き。銃弾はできるだけよけ、体術は今度はしっかりと受け身をとり、銃身を振り回してツルギ先輩の顔面を狙う。
    ツルギ先輩は先ほどと同じく銃で防御する。けど、同じ手は喰らわない。
    もう1丁の銃に向かって、蹴りを入れ銃を弾き飛ばし、バックステップで間合いをとり、擲弾を撃ち込む。
    ツルギ先輩はこれをダメージ上等で受けながら突き進んできて、私を投げ、それを追って残った銃で撃ってくる。

    …流石に想定外だよ、それは…。銃を1丁失ってなお、それを取りに戻らず私への攻撃を優先するとは…。

    吹き飛ばされながらも受け身をとり、姿勢を整え、手榴弾を2個投げ、時間差で攻撃できるように調節する。
    今度こそ削りきるためには、至近距離から最大火力で削り続けるしかない。
    私はその望みにかけ、手榴弾をおとりに突撃し間合いの中に潜って攻撃する。…はずだった。ツルギ先輩は私の投げた手榴弾を爆発する前にこちら側まで飛ばし私の眼前でそれは爆発する

    間合いの中に入ったのが逆に悪手となった。
    チャンスどころか状況は一変し、劣勢と化す
    爆発をガードした隙を逃さず、ツルギ先輩は詰め寄り、残っている弾で右手目がけて攻撃し続ける。

    その痛みで、銃が手から落ちそうになるのを耐え、銃口をツルギ先輩へと向ける
    不幸か幸か攻撃のためにツルギ先輩は、私の眼前、つまり最大火力をぶつけられる間合いまで入ってきていたのだ
    この一撃に全てを。
    銃口を体に当て引き金を引く。

    ツルギ先輩は痛みに顔を歪めるも、そのまま弾切れを起こした私の銃を奪って遠くへと投げる。そして、私を蹴り倒して銃口を額に当てる。

    武器もなくなった。体術で抗うにも、先に銃で撃たれて終わり。…詰み、かぁ。

    「降参…です」

  • 20二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 15:55:37

    >>19

    コテハン忘れた

  • 21二次元好きの匿名さん25/05/08(木) 21:36:25

    夜保守

  • 22二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 00:51:19

    早めに保守しておこう
    やっぱりツルギ強い…それでもここまで戦えてるなら、上澄みの方だろうけど

  • 23二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 06:51:15

    降参するとツルギ先輩は銃を下ろし、私に手を差し伸べてくる。私はそれを取り、ゆっくりと立ち上がる。

    「大丈夫か?」 
    「結構堪えましたけど何とか」
    「そうか、ならいい。…一応医務室で軽く治療しとけ。」

    ツルギ先輩は私の右腕を示す。軽症ではあるもののちゃんと治療しないとしばらく痛みそうな怪我を負っているようだ。
    …あー。最後のやつかぁ。
    アドレナリンのおかげか、痛みはそれほど感じていない。そのせいで私も怪我に気付けていなかったようだ。

    「ありがとうございます。…ツルギ先輩も行った方がいいと思いますけど。」
    「安心しろ。すぐ治る。」

    そう言うツルギ先輩を見ると、既に序盤に与えたダメージは回復しているように見えた。
    恐ろしい治癒速度だ…。まさか、戦闘が終わってなお、その強さを見を持って知るとは思わなかったが。

    私は、自身の銃を拾い、医務室へと向かおうと歩いていく。

    「それと、もう一つ。悪くなかった。」

    後ろから、ツルギ先輩がそう言ってくる。私は振り返って先輩を見ると、笑っているように見えた

    「キヒヒ、久々に良い戦いができたからな。…また、いつでもこい。何回でも相手してやる」
    「ありがとうございます。次は覚悟しておいてくださいね。」
    「あぁ。楽しみにしておく」

    私達は笑いあい、ツルギ先輩は訓練場の片付け、私は医務室での治療へと向かった。

  • 24二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 15:40:24

    仲良し!

  • 25125/05/09(金) 21:10:11

    怪我をした場所の消毒をし、包帯を巻いて外へと出る。
    正義実現委員会は人数が多い分、丸一日仕事がある日は少ないらしく、私の今日の活動は終わりらしい。…思っていたより早く終わったかも

    スマホを取り出し、現在時刻を見る。
    15:40…これならまだ1時間は他の活動もできるね。17時には帰っとかないと、料理が間に合わなくなるし、そこが今日の活動限界かな。
    そして、明日の午後は委員会の仕事がない。…言い換えるならば、王女の対策に時間を使える。明日効率よく動けるように、今のうちにできる行動をしておこう。

    時計から、残された時間を確認し、私は行動へと移る。マップを開き、要塞都市エリドゥのあった場所にピンを指しておく。ここの現状の様子次第で行う対応は変わってくるからね…。そして、ミレニアムの廃墟の付近にもピンを指しておく。

    …よし。マップはこれでいいとして、次は資料集めかな。長い歴史を誇るトリニティ。ここならば、以前は確認できなかった名もなき神々、及び、失われし神々の技術についての情報が残っているかもしれない。
    そう踏んだ私は、古書館へと向かって行った。

    ーーー
    古書館の扉を開く。内部は静かで荘厳な雰囲気、でも暖かいぬくもりのある光が照らす図書館だった。この雰囲気からも歴史を感じ、もしかしたら本当に、資料があるかも?と希望を抱いて、建物の奥へと進んでいく。

    「何か、お探しの本がありますか?」

    資料を探し始めて10分ほどたった頃、司書と思われしツインテールで眼鏡をかけた少女にそう声をかけられる。
    よかった。手間が省けられる。
    ミレニアムとは違い、検索ツールも大雑把であり、なお且つ古書館の名の通り、古い資料が多かったから、時間がかかるのを覚悟していた分、本当にありがたみを感じ、私はご厚意に甘えて探して貰うことにした。

    「名もなき神々…ですか?」

    詳細を伝えると少女は不思議そうな顔をして私に問い直す。名もなき神々、失われし神々、無名の司祭…普通に暮らしていたら、まず触れることはない世界。この反応は当然だ。そもそも資料自体、まともに残っている方が少ない事象なのだ。

    「借りる方はなかなかいませんが…、確か、こちらにあったような…」

  • 26125/05/10(土) 00:56:50

    そう、少女に連れられてやってきたのは、古書館の最深部。奥へ奥へと進むたび、ただでさえ古かった本が、より時代を感じる物となっていく。

    「この棚の…、あれ?一冊しかない?」

    少女はそう呟きながら、一冊の本を取り出す。
    それを受け取って中を開くと、名もなき神々、失われし神々の一部詳細が書かれていた。

    「…これだ。ありがとうございます。」
    「いえ、これくらいのことならいつでも。司書としての役割なので。」

    私達は古書館の入り口付近まで戻り、司書の少女に資料の貸し出し受付をして貰う。
    そして、もう一つの質問をさせて貰った

    「先ほど、蔵書は一冊だけではないととれるお話が聞こえたんですけど、そちらは借りられていますか?」
     
    こんな資料をわざわざ読む人など、神話好きか相当な物好きしかいないはず。もしかしたら、探せば見つかるかもしれない。
    そう考えてるなか、少女は貸し出し履歴を見て、私に告げる。

    「申し訳ありません。現在貸し出し中です。…ミレニアムの生徒会長に研究のための長期貸与との形で貸しているので、暫くは返却されないかと。」

    …会長。うん、分かるけどさ。まだ、アリスちゃんも発見されてないよ。対策するにも早すぎない?
    研究者としての気質なのか、はたまたいつか起こりうる可能性を考慮して予め備えをしているのか、私には分からないけど思わず嘆く。
    会長へのコンタクト、早めないとかぁ。

    私はその困惑で頭を抱えながら、今後の対応を考え直し、古書館の後にして屋敷へと帰った

  • 27二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 01:09:43

    わざわざトリニティまで行って資料探してたのか…

  • 28二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 09:47:58

    保守

  • 29二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 09:59:05

    ここでも最初はリオ会長とは対立するのかな
    ミドリがアリスをどうしたいかによると思うけどやっぱり助けたいだろうし

  • 30125/05/10(土) 18:14:29

    セルフ保守

  • 31二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 22:15:25

    一応保守

  • 32125/05/11(日) 00:01:21

    屋敷に帰った私はいつものように、2人分の料理を用意し、ミカさんと共にそれを食べる。
    食後は、朝できていなかった屋敷の掃除をした後お風呂をすませて自室へと向かう。

    …さて、始めようか。
    部屋の扉を閉じた私は、今日一日、いつも以上に酷使した銃を壁に立て掛け、椅子に座ってライトをつける。そして、古書館で借りてきた本を鞄から取り出して、机に置く。
    机においたその本は、ライトの淡い光が古いその本のホコリや傷を照らし、年季を感じさせる。私は本のページをゆっくりと開いた

    『神無き司祭の技術』

    …無名の司祭のことだろうか。名前が違うことに疑問を持ちながらページを薦める

    『名もなき神には固有の形がない。自然、現象、それこそが神であり、万物は大地、海、天災と言った太古の昔より存在する「神秘」や「恐怖」とされ、自然を模った形で顕現するとされる存在。また、名が無いために呼ばれず、呼ぶことができないがゆえに存在しない不安定で、実存するかも怪しき神である。神無き司祭、別名、無名の司祭はこの神を信仰する勢力である。神無き司祭という名はここから来たのだろうか…。いや、厳密には違う。失われし神々。名もなき神の対となる概念であり、「神秘」、及び「恐怖」が顕現している存在。今、この地での存在は確認できないが、各地においても「死の神」を始めとした多数の伝承が確認されている。
    その、失われし神々と名もなき神々の衝突の後、名もなき神々の勢力は戦いに敗れてキヴォトスから放逐された。…神無き司祭と言う名は、この一連の騒動に起因するのだろう。もしかしたら、名もなき神々にも、名が忘れ去られただけで、本来は実体をもつ存在だったのかもしれない。』

    であるとするならば、無名の司祭の目的は、自らの神、自身共に追放した失われし神々への復讐だろう。それならば〈key〉の発言にも、王女の存在意義にも理解自体はできる。
    …まあ、仮にそうだとしても、それが今のキヴォトスを滅ぼしていい理由にはならないけど。

    導入部分を読んだ私は、またページをめくって続き、本編を読み出した

  • 33二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 06:46:24

    保守

  • 34二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 15:24:55

    正直に打ち明けても信じてもらえるかどうかだよね。まずは

  • 35125/05/11(日) 20:09:49

    『司祭は、その名から想像できないような超技術を抱えていた。彼らはの信ずる神々はもはや自然そのものであるが故、それを解き明かす科学こそが、信仰となっているのではないかと考察する
    今、この地にも遺されている物は、現代の科学、いや、数百年後ですら解明されているかも分からないだろう。…数百年後のトリニティ、延いてはキヴォトスの者たちが彼らの遺産を見つけた際、選択を間違えないよう、ここに私の知る限りの彼らの技術を記す』

    ページをめくる

    『Ⅰ.物質の分解、再構築
    最もポピュラーな名もなき神々の技術。無機物である限り、例外なく己が望むものに再構築できるシンプルでありながらも、恐ろしい力。汎用性も非常に高く、後述する遺産にもこの力を持っている個体もあり、仮に相対する場合、対策は必須だろう。原理としては、粒子まで分解し、それを組み替えるという我々の科学においては存在しないものである。この技術の弱点としては、生物、有機物の分解は不可能であること、及びセーフティロックなのかは不明ではあるが、生物が触れている上で大きさがその生物の2倍までのものは変換できない。』

    ここまでは私も知っている情報。万能でありながらも一部の僅かな制限がある。それ故、銃を失って戦闘不可になることは基本的に起きないのだ。そして、新しい情報としては、制限の限界値。…やっぱり私たちの現場対処だけでは知識には限界があるね。それに、この先は私の未知の話だ

    『この技術は、特殊な波動によって発動していることが分かっている。そのため、プロトコルを止める以外では、波動を出している部位の破壊、もしくはその波動に対して逆位相の波を当て続けることが分かりやすい対策である。
    …とは書いたものの。前者は後述する王女のように決まった位置から発せられると決まっていない物も多く、後者も常に変わり続ける波動に対応するための演算装置が必須であるため、対策としては意味が薄いものだろう。
    結局はこれを止めるならば、プロトコルを止めるのが最も手っ取り早い方法なのである』

    …そう、都合のいい方法はないか。でも、もしかしたら時間さえあれば会長やヒマリ先輩なら、もしかしたら後者の技術は用意できるかも。
    アトラハシースを防げれば、王女との戦いは理不尽から、ラスボスレベルまで変わるだろう。
    いずれ2人にあったときには、この話は伝えておかなければ。

  • 36125/05/11(日) 23:21:32

    『Ⅱ.時渡り
    Ⅰの物質の再構築以上に、法則を超越したような能力。名もなき神々の技術の中で、最も再現が難しく、起きる効果すら読めない不可思議な力。無名の司祭ですらこの力を再現できなかった能力であり、名もなき神とそれに近しい存在のみが使える可能性がある。また、失われし神々にも似たような能力のあるものも存在するようだが、あちらは不確定であるため割愛する。
    以降は以前、無名の司祭の遺産と相対した際の状況からの考察である。
    【時間という概念は本来存在しない】この言葉を奴の戯言ととるのは簡単だが、これから解釈するならば、名もなき神は無限とも言える空間を選択しているのではないか?』

    時間遡行…ね。本当に存在するのは、今の私が証明している。再現性はないから、一回きりのチャンスだけど。だけど、仮にこの技術を王女が手に入れたら…。考えるだけで身の毛がよだつ。こう考えるのはもう、辞めよう。
    次のページをめくる。

    『Ⅲ.多次元解釈
    この世界は多数の可能性が存在する。今、私がこうやって書いている世界があれば、きっと既に私が死んでいる世界もあるだろう。所謂、パラレルワールドというやつだ。私も存在を信じてはいなかったが、平行世界の友とであったこと、摩訶不思議な司祭の技術に触れ続けた事で信じざるを得なくなった。
    さて、話を戻そう。多次元解釈というのは、言葉の通り、あったかもしれない世界を意図的に呼び起こすことで、未来を己の思うままに操る力である。例を挙げるならば、これによって敵の攻撃を完全に無効化する事など。これは、自身の座標を平行世界へと移す事で攻撃を無効化している。
    完全無欠にも見えるこの力ではあるが、明確な弱点も存在する。
    1つ、確定した未来は変えられない。基本は起こらないが、どの世界でも同じ結論になる場合、防ぐ事は不可能である
    2つ、とてつもない演算処理が必要であるため、多大なリソース、演算装置が必要。それでなお、起動にかかる時間が長い。
    2つ目の弱点を突くことで、仮に奴らと戦ったとしても勝算を見出すことは可能だろう』

    さしずめ、多次元バリアといった所かな
    そうすると、やっぱりエリドゥの吸収だけは絶対に阻止しなければね。そして、起動の問題は分かっている。〈key〉によるアトラハシースの方舟の起動には、約5分の時間を要していた。ここを妨害するのも1つの手段だね。

  • 37二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 06:51:07

    難易度が高そうだ

  • 38125/05/12(月) 06:55:19

    『Ⅳ.不可解な軍事技術
    私達の生命線であるヘイロー。それを破壊する事を目的とした技術。狭い範囲に高威力の攻撃を起こすことで、ヘイローを砕く代物。並大抵の人間では即死であり、頑丈なものでも自ら死を望むほどの苦痛を味わうことになるだろう。
    また、これとは対照的に、殲滅に特化した兵器もあり、一発で小さな町は吹き飛ばせる兵器だ。これも、受けた場合、普通の人間は気絶するのは確実だ。現状、キヴォトスにはこのような兵器は存在しない。一時的にカタコンベにおいて管理をしているが、私が死ぬまでに、安全に処理できる方法を確立しなければ。』

    これは今は深く考えれないかな。そう思い、ページをめくる。

    『Ⅴ.division
    神無き司祭たちの遺した、奇怪な兵器。現在は起動していないが、後述するものをトリガーに破壊活動へと移る。他の司祭の兵器に呼応するように出現し、逆に言えばこれが見つかったときには、危機はすぐそこまで迫ってきているのである。本体の性能は決して高くなく、銃弾数発で破壊できるが、1度出現しはじめると、大元を止めない限り出現は止まらないためそちらの対処をする事。』

    division…思えば、これが見つかった時から歯車が狂いだした。これに触れたアリスちゃんが王女として覚醒しかけ、お姉ちゃんは戦いの余波で気絶。そしてリオ会長はアリスちゃんの破壊へと動き、最後は全てがなくなった。
    崩壊した後もこいつらはしつこく私達を襲い続けてきて、きりがなかった。
    文章にもある通り、こいつの処理を怠ると手遅れになりかねないから注意しないとね。

    そしてページを更にめくる。
    そこには、私の求める大事な話であり、絶対に見なければならない資料を見つけた。

    『Ⅵ.名もなき神々の王女 AL-1S』

    開いたページを凝視する。…間違いない。アリスちゃんの話しだ。
    この話題はやはり語ることが多いのか、はたまた研究なのか資料が多く用意されている

    意を決して、私はその話を読み始めた

  • 39125/05/12(月) 16:59:00

    セルフ保守

  • 40125/05/12(月) 19:29:04

    『Ⅵ.名もなき神々の王女 AL-1S
    15ほどの少女をかたどったアンドロイド。皮膚、眼球など、細部に至るまで、人間に限りなく近づいている。ここまで書くだけでは、異常なまでに人間に近づいた機械であるが、実のところは最も危険な戦術兵器である。
    キヴォトスも数日あれば破壊は容易であり、意思や認識次第では、被害はキヴォトスですまないだろう
    この個体の本質はキヴォトスから存在が失われた名もなき神々の後継者であり、その王女。そのため、無名の司祭の技術が込められるだけ込められている。
    本体は握力は1トンを超え、また、自己再生プログラムや、自己判断する演算装置など、私には到底理解不能な技術が詰め込まれている。…自己判断する様子は人間と呼んでもおかしくないものであるが、失われし神々を滅ぼし、名もなき神々の聖域を作り出すことを目的とするため、本体のデータが消えている、もしくは演算装置にエラーを吐かせるなどの方法が取れなければ対話は不可能であろう。仮にそれに成功した場合は王女ではない別の個体としての自己を確立するだろうが、現実的ではない。
    また、神々の技術も上記の技術を時渡りを除いて全て使用することができるだけではなく、これには特殊な機能。アトラハシースの方舟が搭載されている。周りの物体から作りあげたそれは、演算装置として働き、名もなき神々の技術のデメリットを打ち消し、目的を遂行する。
    幸いなのは、このプロトコルは後述する〈key〉がなければ使用不可能であること。
    現在は、この王女は機能を停止しているが、いつ再生するかは分からない。連邦生徒会と共にこの個体の管理を行っているため、どうなるかは彼女たちの力量にもよるが、キヴォトスのなかで最も信頼できるため、安心してよいだろう。
    くれぐれも無名の司祭の技術、特に〈key〉との接触は回避すること。さもなければ破滅が訪れるであろう。』

  • 41125/05/12(月) 19:30:35

    簡易的ではあるが、綺麗にまとまっている。
    〈key〉…私の推測ではあるが、key.savというデータファイルがg-Bibleと共に入っていたため、あの廃墟に存在するだろう。あれとアリスちゃんは接触させないようにしないと…。そして、それが可能ならばアリスちゃんをむりに破壊することはない…はず。
    そして、アリスちゃんがアリスちゃんたり得る条件。名もなき神々の王女としての記録が完全に消去されている必要があるだろう。
    …私達が出会ったその日、アリスちゃんは機械そのもののような様子だった。AL-1Sという名こそ覚えていたが、あの状況では、王女というよりは、赤子に近い状況と言える。何かしらの影響、もしかしたら連邦生徒会の手により、初期化が行われているのかもしれない。
    ただ、以前同様に会ったとき、アリスとして目覚めなかった場合は、破壊も選択には入る。私としては、嫌ではあるが、あれの脅威は私が一番理解している。
    まあ、様子を見てから判断しよう。

    そうして、私は1度本を閉じて、日記に記録を残し一日を終えた。

  • 42才羽ミドリ25/05/12(月) 21:07:40

    3日目
    正義実現委員会でのはじめての活動。
    私には後輩がいる経験がなかったから、凄い新鮮。ユウカたちも私たちの対応はこんな感じだったのかな?不安ではあったけどみんないい子で、一緒に過ごしててとっても楽しかった。
    ツルギ先輩との戦闘訓練は、実力の差を分からされた。ネル先輩やヒナさんもこんな実力なのだろう。動きは見えるけど、テクニックもセンスも段違い。もっとがんばろう

    さてこっからは真面目に書こう。
    名もなき神々の王女の対策。今日、古書館で借りた本で、新たに分かった内容も踏まえて、対応策を整理しよう

    1.アリスちゃんの破壊
    最も楽な方法だけど、一番とりたくない方法。
    実行タイミングとしては、こっちの私たちがアリスちゃんに会う前、もしくは、王女として覚醒する前。デメリットを挙げるなら、前者は廃部の危機を止められないこと。ユズちゃんはこのままだと、帰る場所がなくなっちゃう。それも避けたい。そして後者は、失敗すると、アリスちゃんは王女として覚醒し、私の知っている未来と同じ結末に向かいかねない。それに、何よりも、心を持ったアリスちゃんを手にかける必要があること。アリスちゃんは自分の犠牲ですむなら受け入れちゃうだろうけど…それは…。それに、みんなの心にも深い傷を負わせてしまう。
    ただ、私はこの手段は選びたくない。リオ会長の言っていたように、この手段が合理的であるのは分かってる。…それでも、他の手段があるならそちらを優先したい。たとえ、王女だとしてもアリスちゃんは大切な仲間だから。

  • 43二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 05:06:10

    シンプルに好き

  • 44才羽ミドリ25/05/13(火) 07:06:11

    2.〈key〉との接触の回避
    現状考えうる、最善だろう。アリスちゃんがアリスちゃんである限り、そもそもこのトラブルは起きないだろう。つまりアリスちゃんを乗っ取って表へと出てくるkeyは最も注意すべきである。欠点としては、この方法だけでは、アリスちゃんの中にあるだろう王女のプログラムは残されていること。アリスちゃんを中心に呼び寄せられるdivisionの対応を余儀なくされ、うっかり触れたときは、王女としての本質を取り戻し、アリスは深層へと閉じこめられてしまうかもしれないこと

    3.アリスちゃんを深層意識から引き戻す
    事後的な対応の方法。以前のkeyの話しぶりから、アリスちゃんは王女が覚醒しても、その深層部分にはいる。戦い続け、訴え続け、アリスちゃんがこちらに戻ってくるのを期待する方法。最も巫山戯た方法。まず、王女と戦い続ける必要がある。この時点で、相当なハードルを持ち、その上で、不確定にもほどがあるアリスちゃんの復活にかけるしかないのだ。ほぼ確実に、私たちが力尽きる。実際、お姉ちゃんはこの方法を続けてきたけど、結果としてアリスちゃんが戻ってくることはなかったし…
    だからこれは、あくまで1つの考えとしてあるが、実際には実行できないだろう

    とりあえず、今かけるのはこの3つ。確実なのは①、不確定なのが②。明日様子を見て、いつか会長たちとも共に議論してから対応しよう。

  • 45二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 12:41:17

    保守

  • 46125/05/13(火) 20:27:34

    目を覚ました私は、すっかり日常になったルーティンを行う。銃を整備し、身だしなみを整えて部屋を出る。そして料理を作ってミカさんの起床を待つ。
    …今日は少し遅い?いつもは盛り付けているくらいで来るんだけどな。どうやら、今日はまだ寝ているみたいで、キッチンには未だに脆弱が続く。まあ、もうちょっと待っていよう。
    20分ほど待つ。まだ、起きてこない。料理冷めちゃったなぁ…。一旦温め直そう。
    料理を温めて、ミカさんの部屋の前までいってみる。

    「ミカさーん。朝ですよ。」

    軽く扉をノックしながら声をかけてみるが、帰ってくる声はない。時間も時間だし、起こしてみようかな?
    私は扉に手をかけ、ゆっくりと部屋へと入る。

    「おぉ。」
    ミカさんの部屋は、とてもおしゃれで、入ってすぐに感嘆の声が漏れる。アクセサリーが、ケースに綺麗に整理されて飾られていて、インテリアの醸し出す高級感や、部屋全体の雰囲気も華やか。時間があったら見ていたくなるような、まるでお姫様の様な部屋だった。
    ミカさんに近づいて周りを見ると、止められた目覚まし時計がおいてある。…疲れてるとやっちゃうよね。機能も眠そうだったし、今日ミレニアム付近まで行くとき、何か買ってこよう。
    目覚まし時計を本来おいてある場所に戻そうとすると、飾られている1つの写真が目に入る。ティーパーティーのトップ3人。ミカさん、ナギサさん、セイアさんの3人が笑いながら移っている写真。ミカさんは真ん中で2人の肩を組んで満面の笑顔。ナギサさんは気恥ずかしそうにしながらも笑ってピースサインを作っている。セイアさんはミカさんに対して、多少の呆れの様な様子もあるが、それも楽しんでる様な笑顔。
    きっとティーパーティーに就任した時にとった写真だろう。思わず、こちらまでほほえんじゃう様な写真だった。

  • 47125/05/13(火) 21:47:00

    さて、そろそろ起こそうかな。気持ちよさそうに、静かな寝息を立てているミカさんを見る。
    起こすのがかわいそうになるぐらい幸せそうに寝ているけど時間が時間だし起こすしかないよね。私は軽くミカさんを揺すって声をかける。
    それでも起きなかった。よし。こういう時は。
    お姉ちゃんを起こすときにやっていた方法を試して見る。そーっとミカさんの頬へと指を伸ばし、つついて、軽く引っ張る。
    ミカさんはう~んと声をもらして寝返りをうつ。…もう一回。同じことを試す

    「な~ぎちゃん?」

    ミカさんはナギサさんの名前を呼ぶと、私の手を掴む。寝ぼけてるみたい。
    ナギサさんの名前が出るあたり、この2人は本当に中がいいのだろう。それに、この感じ。ナギサさんにも同じ感じで起こされたこともあるんだろうなぁ。
    そう思いながら、ミカさんの手を振りほどこうとするが、手が抜けない。
    いや…力強くない!?寝てるよね?今。
    簡単にははなしてくれなさそうだったから、思いっきり手をぶんぶんとふってミカさんに掴まれてる手を振りほどく。ミカさんもその時の衝撃で起きた様だ。

    「う~ん。あれ…、ミドリちゃん?」
    「…あ、起きた」

    ミカさんはゆっくりと体を起こして、目をこすりながら、私をみる。

    「おはよう、ミドリちゃん。部屋まで来てどうしたの?」
    「おはようございます、ミカさん。寝坊してたので起こしに。」
    「あれ…?あっ。」

    ミカさんは時計を見ると焦ってベッドから飛び降りて、準備を始める。

    「荷物の準備、しときますね」
    「ごめんミドリちゃん。それとありがとう!」

    ミカさんが着替えや、ヘアセットを行ってる中、私はミカさんの荷物を用意する。授業のテキストやティーパーティーの書類をバックに詰めて、掛けられている銃を下ろして隣に置く。
    そして、自身の準備が終わったミカさんと急いで朝食を済ませて、屋敷から出発した。

  • 48二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 23:10:19

    ミカミド……ミドミカ……?(cp厨脳)
    ほほえましいね

  • 49二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 07:28:23

    保守
    ミカかわいいね

  • 50125/05/14(水) 14:58:45

    正義実現委員会の建物についた私は荷物を置いて、銃を取り出し、街のパトロールを始めた。

    歩き始めた頃は静かだった街は、徐々に店の開店時間に合わせて賑わいが増していく。
    大通りの人混みがましてくるのに合わせて、私も警戒を高めて観察しながら歩く。
    そんな時、偶然、歩いている人の鞄から何かものが落ちたのが見えた。人混みをかき分けてそこへと向かうと、キーホルダーが落ちているのが見えた。
    これは、モモフレンズ?確かペロロだったかな。何とも言えないそのデザインのキーホルダーを拾って、落とした人を追いかける

    「すみませーん、これ落としてましたよ」

    落とし主はペロロのリュックサックを背負っていたからすぐに見つかり、私はそれを落とした少女に渡す。

    「ありがとうございます。危うくなくしてしまう所でした。」

    少女へキーホルダーを渡すと、大事そうに、丁寧にそれをしまった。

    「これ、じつは、今日発売の限定品だったんです。せっかく並んだのに水の泡になるところでした。おかげで助かりました」
    「そうだったんですね。なら、尚更なくさない様に気をつけてくださいね。」
    「はい!それでは、正義実現委員会の方、ありがとうございました。」

    少女はミドリにお礼を言ってその場から去る。ミドリはそれを見守った後、パトロールへと戻っていった。

    その後は幸い、小さなトラブルこそあったが、大きな事件も起きることがなく、あっという間に時間が過ぎ、午前が終わった。

    さて、そろそろ出発しようかな。
    仕事の時間が終わったことを確認した私は置いておいた荷物をとりに戻って、エリドゥに向かうため、駅へと向かっていった。

  • 51二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 22:14:06

    ヒフミさん!?

  • 52二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 04:22:34

    おはファウスト

  • 53125/05/15(木) 07:31:05

    ここからエリドゥ付近に行くのであれば、まずはDU地区を経由してミレニアム郊外に向かい、そこからは走るのが一番早いだろう。時間的には、エリドゥを往復すると帰りは早くて8時にはなるかな。あまり遅くなりすぎるのもだし、特急で行こうかな。
    駅についた私は特急券と簡単なお昼ご飯を買って、DU行きの特急列車に乗り込んだ。

    『本日もハイランダー鉄道をご利用いただき誠にありがとうございます。この列車はDUシラトリ区行きです』

    列車が走り出すのと共にアナウンスが聞こえ、私は乗務員に乗車券を差し出してお昼ご飯を食べ始めた。
    お昼ご飯を食べてゆっくりと過ごしていると、車窓に移る景色は、トリニティの伝統的な町並みから、ビルが並ぶ近代的な町並みへと姿を変えていく。

    『間もなく、終点DUシラトリ区です』

    車内放送がそう告げるのを聞いて、私はすぐに降りれる様に、扉の前に移動し、扉が開くと同時に列車を降りて、ミレニアム行きの列車へと乗り換えた。

    そういえば、先生がくるのは、後3週間くらいかな?連邦生徒会長がいなくなって2週間くらいで来たはずだったし。
    DU地区に来たからだろうか。乗り換えた列車でそんなことをふと思い出す。
    先生にもアリスちゃんの件は相談しておきたいけど、今回は方法しだいでは敵対しかねないし…。敵になった先生は間違いなく厄介だから、どうしようか…。

    そう考えながら、列車に揺られていると、馴染みのある風景が私の目に映ってきた。
    ミレニアムサイエンススクール。私の原風景だ

  • 54二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 15:52:53

    先手を打てるのかどうか

  • 55二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 16:05:42

    これはゲーム開発部にあった時の反応が楽しみですねぇ

  • 56125/05/15(木) 16:48:00

    原形を留めているこの学校を見るのは一体いつぶりだろうか。遠目に車窓から移るそれを見ながら私は感傷に浸る。
    列車は駅へと近づいてきたからか、しだいにスピードを落としていく。より近づいてはっきりとしてきたその学園を眺めていると、懐かしさを感じると共に不思議な感情になる。
    幸せな光景のはずなのになんでだろう。なぜか胸が締め付けられる感覚に陥った。
    私の中で何かが、今すぐ戻れ。引き返すなら今だと告げている。
    それでも、行かなきゃいけない。あの惨劇を繰り返さないためには。
    胸の動悸に抗って決意を抱き直した。

  • 57二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 18:25:45

    このレスは削除されています

  • 58125/05/15(木) 18:27:19

    『間もなくミレニアムサイエンススクール前。ミレニアムサイエンススクール前。』

    アナウンスがそう告げるのを聞いて、私は列車からおりる。
    この駅に来るのも本当に久しぶりだ。前来たのは、それこそエリドゥにいった時の輸送列車だろう。

    ホームを歩いているとき、後ろで何かが爆発する音が聞こえる。慌てて振り返って見てみるが、爆発が起きたような形跡はなく、人々も普通に歩いていた。
    …幻聴?それにしては妙にリアルで、耳に残る不快感があったよね?
    その状態に不安を覚えながらも、私は気を取り直して歩く。けど、なんだか、体も重たい。
    そして改札を通過して駅前へと向かう。
    駅を出た私を迎えたのは、十数年と見続けてきたミレニアムの町並み。近代的なビルが建ち並び、最新鋭の工業技術が多様されている街。綺麗な形を保った私の故郷を歩きながら次の目的地エリドゥへ向かうために、モノレールエリアへと歩く。貨物車が使えない以上、モノレールで外郭を移動して後は走るのが最速なはず。

    モノレールに乗り込み、椅子に座って一息つくと、こころなしか動悸や倦怠感が落ち着いた気がしなくもない。
    私は乗り慣れたモノレールの中から、ミレニアムを一望する。
    …懐かしいな。
    活気に溢れた本来のミレニアム。あんな絶望とは無縁な幸せな日常が流れている今に安堵を覚え、私は一度目を瞑った。
    …でも、それが駄目だったみたい。

    尋常ではない爆発音と、けたたましいサイレンの音が頭に響く。目を開くと、目の前に見えていた世界は灰に包まれ、街中で火が上がり、建物が倒壊していく様子が見える。
    私は慌てて目を擦ると、世界はすぐに鮮やかさを取り戻した。
    …何、今の。嫌だ。
    見たくない、思い出したくもない心の奥深くにしまっていたあの惨劇が姿を表していた。落ち着いたはずの体の倦怠感や動悸もより一層酷いものへとなっていく。吐き気も感じ、座っているだけでも限界だ。背中を何かが這い上ってくる気持ち悪い感覚に陥る。そんな状況をこらえながら、私は乗り続けた。 

    でも、その状況は長くは続かなかった。次の駅につき、モノレールの扉が開くと、一人の少女が乗ってきた。ツーサイドアップの紺色の髪でセミナーの制服に着こなしている少女。私の大切な先輩だった早瀬ユウカがモノレールへと乗車してきた。

  • 59二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 00:28:40

    完全にPTSD発症してる感じか

  • 60125/05/16(金) 01:09:00

    信念で思い出さないように胸の奥に抑えていた記憶と感情がぐちゃぐちゃになって流れてくる。
    一度ユウカから目をはなそうと窓の方を見ると、そびえ立っているミレニアムタワーが目に入った。どうやら、今日はついてないらしい。粒子となってアリスちゃんに吸収されていく場面がフラッシュバックして、倒れそうになる。
    窓に映っている私は弱々しいのが目に見えて分かり、それが昔の何も対抗できなかった頃の姿と重なって見えた。
    思わず目をそらすと、今度こそユウカがしっかりと目に映り、自分を騙し騙し無理矢理動かすことで隠していた思い出したくない記憶が、新しい希望という名の蓋で無意識に抑えられていたあの時の凄惨な光景が、絶望が次々と蘇り、流れてくる。

    苦痛に耐えながら私たちを押し出す先生の声が
    声にならないうめき声を上げながら、弱っていったC&Cの姿が
    私たちを逃がすためにかなうわけもないのに戦っていった先輩たちの酷い遺体が

    嫌だ。思い出したくない。考えたくない。

    慣れ親しんだ校舎が、部室棟が、寮が、崩れていき、AL-1Sに吸収されていく様子が。
    辺りからたえない悲鳴とけたたましいサイレンの轟音が混じった不快な音が。
    周りで燃えあがっている火による火災とその苦しみが。

    嫌だ、お願い。これ以上思い出させないで…!

    でも、そんな私の願いをあざ笑うかのようにどんどん記憶があふれてくる。

    ほんの一瞬、隙を作るためにハッキングを試みたものの、王女の逆鱗を買い、過剰すぎる光線で焼かれたヴェリタスのみんなが。
    戦うすべを持たなかったせいで、なすすべもなくdivisionに蹂躙されていく数多のミレニアム生の姿が。
    自らの発明品すら、糧にされて対抗手段を失い絶望するエンジニア部の顔が

    助けて。嫌だ。嫌だ。見たくない。聞きたくない。もう、思い出したくないよ…!
    だれか…

  • 61125/05/16(金) 07:02:31
  • 62二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 12:41:07

    更新ありがたい

  • 63125/05/16(金) 16:12:18

    「ちょっと!?大丈夫ですか?」

    遠くから何か聞こえた気もする。でも、その音すら爆撃や悲鳴でかき消される。

    溢れ出した記憶は勢いをとめることなく、どんどん勢いを強めて洪水のように流れでてくる。

    辛うじて生き残った人々が逃げまどうのを遊ぶかのように炙って弱らせていった非道な攻撃が。王女の力でどんどん更地になっていくミレニアムの自治区の様子が

    流れてくる記憶も、奥深くにしまっていたより苦しいものになり、その様子も鮮明に映るようになっていった。そして…心の奥底に眠っていた1つのものが、這いずり出てくる。

    逃げ遅れた私とお姉ちゃんを助けるために、片腕と銃を1丁失いながらも、時間を稼いで散っていったユウカの姿、苦しみをこらえていた弱々しい声と私を押す優しい手。
    逃げ走る後ろで聞こえた大切な人のうめき声。それが大きくなり、次第に小さくなる
    そして、振り返って様子を見たときにみえた血だらけになって倒れていたユウカの死体。

    刹那、とてつもない吐き気に襲われた。目の前の空間が歪んで、点滅する。

    嫌だ
    こんなの嫌だ。違う。見たくない…!
    嫌だ。
    思い出したくない…
    違う?違う。本当に…?
    いや、私のせいで…?私が?
    まって…嫌だ…嫌だいやだよ
    わたしのせいでゆうかが…?

    目を背けていた記憶が私の全身を焼くように、あるいは刺すように、押し潰すかのように私の全身にのしかかる

    嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
    嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
    いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ

  • 64125/05/16(金) 22:32:04

    …わたしが。わたしがゆうかを。わたしがにげおくれたから。わたしのせいで…。
    こんなことになるならわたしは…いっそ…

    ミドリは平衡感覚を失い、視界が真っ暗になっていた。ただ今のミドリにはそんなことは些細なことだった。

    「………う…い……ょ……すか…の……こえ…る…い……つを…け……て」

    遠くで声が聞こえる。聞き馴染みのある優しい声。あたたかい手がわたしを抱きかかえた。
    世界は彩りを取り戻した気がする。懐かしさを感じさせるその手は私に突き刺さる痛みを和らげてくれた。わたしは安心でその意識をまた手放した。

  • 65125/05/16(金) 22:33:14

    あたたかい空間が目の前に広がる。
    狭く、カーテンの隙間から漏れる光と、モニターに映る光が部屋をうっすらと照らしている
    2人の見知った少女、お姉ちゃんとユズちゃんの姿がそこにあった。最近見る夢と同じで表情は上手く読み取れない。

    「ーーーーー」
    「ーーーーーーー」

    何を言ってるかは聞き取れないけど、2人とも何かをわたしに言っている。でも、今は上手く思考が回んないや。

    「おねえ、ちゃん。ゆうかが…、わたしのせいでゆうかが……」

    思わず、さっき見たあの惨劇が、私の後悔が涙と共に漏れる。
    お姉ちゃんはユズちゃんになにかを話してユズちゃんはそれに頷いた。お姉ちゃんは私に近づくと、私を抱きしめて頭を撫でてくれた
    …あたたかい。その温もりに安堵し、涙に後悔や悲しみとは違う感情が混じった。
    その時、お姉ちゃんは口を開いた

    「あなたのせいじゃないよ、ミドリ」
    「おねえ、ちゃ…」

    涙が溢れる。お姉ちゃんは無言で背中をさすってくれた。…いつも、私が苦しい時はお姉ちゃんがこうやって寄り添ってくれた。…本当はもうだめなんだろうけど、今だけ、ほんの少しだけこうやっていさせてほしい。
    お姉ちゃんはそれを察したのか私が落ち着くまで、抱きしめてくれていた。

    「それとミドリ、縺セ縺?縺薙%縺ォ縺ッ縺薙↑縺?〒縺ュ? 縺ゅ↑縺溘?窶ヲ縺セ縺?繝上ャ繝斐?繧ィ繝ウ繝峨r縺、縺九a繧九°繧峨?」

    大切なことを言ってるんだろうけど上手く聞き取れない。けどお姉ちゃんはそういうと、私を改めて撫でて、全力で抱きしめてくれた。

    目の前の景色が次第に真っ白になっていく。
    思わず目を瞑ると、意識は溶けていった

    次に目を開いたとき、私の目に入ったのは白い天井とベッドだった

  • 66二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 01:07:58

    このレスは削除されています

  • 67125/05/17(土) 01:12:36

    Tips:夢幻のゲーム開発部
    ミドリがこの世界に転移してからよく見る夢の舞台。ミドリが夢と認識する前にはアリスもいたが今はいない。

    こ こにはかつての仲間、ユズとモモイがいる
    れ いのような不思議な存在で表情を読めない
    は なしかけても基本返答はない
    夢 の中ではあるが感覚を残し、思考も可能
    で はあるものの、現象への干渉は不可能である
    は なしはしなくても、ユズ達は道を示す
    な つかしい記憶を見せ発狂を未然に防ぐことも
    い かなる時もミドリを守る方向へと進む助け船

    ここで、名が書かれたゲームソフトを起動することで、その人の最後を見ることができる。これは悪夢であると共に、ミドリが現実で一度に思い出すことを避け、彼女の心を守る1つの手段でもある。

    縺セ縺?縺薙%縺ォ縺ッ縺薙↑縺?〒縺ュ?

  • 68125/05/17(土) 01:13:54

    >>66

    ミスがあるので>>67が正しいです。すみません

  • 69125/05/17(土) 09:28:08

    Tips:早瀬ユウカ(回歴世界)
    ミレニアムサイエンススクールのセミナー会計かつ代理会長
    ミレニアム防衛戦では彼女とヒマリの指揮の元戦ったがミレニアムの全勢力をもってしても敗北
    セミナーとしての最後の使命を果たすべく、生存者を最後まで避難させていた。
    逃げ遅れたモモイとミドリを助けた後、王女と戦い時間を稼いでる途中ヘイローが砕けた

  • 70125/05/17(土) 18:24:13

    セルフ保守

  • 71二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 18:38:49

    そういえば回歴ミドリとユウカは同い年か
    この世界のユウカは成長した知り合いに気づいているのかどうか

  • 72二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 19:02:57

    とりま保守っとこ

  • 73125/05/18(日) 00:26:22

    ここは…どこ?
    私は体を起こして周りの様子を確認する。
    最新の医療機器があちらこちらに配備されているミレニアムの医務室。見覚えのある光景にまた喉の奥で締め付けられる感覚を覚えるが、それは先程よりはましなもので、夢の中のお姉ちゃんを思い出すと、その痛みは和らいだ。
    まだ、あたたかい…
    夢の中のはずなのに、お姉ちゃんに抱かれた温もりは僅かながらまだ残ってるように思えた。
    辺りをみていると、部屋の端で座っているユウカの姿が見えた。
    あぁ、そういうことなのか。私はモノレールの中で倒れて…それで。

    私が数刻前の記憶を探っていると、ユウカは私が目覚めたことに気づいたみたいで、ゆっくりとそばにきた。

    「大丈夫ですか?急に倒れていたからひとまずここに運ばして貰ったのですけど。」
    「大丈夫…です」

    やはり、ユウカが運んでくれたみたい。じゃあ、あの時感じたあたたかい手はきっとユウカだ。

    「そう…?ならよかったわ。身体的な外傷はないし、かといってウイルス性のものでもないみたいだから、安静にしていれば大丈夫なはずよ」
    「そうなんだ…なら、」

    いつの間にか検査までされていたらしい。…流石ミレニアム。でもそれならもう動いても

    「と、言っても。精神的なものや疲労によるものの可能性は高いから、無茶は駄目ですよ?しばらくは安静にしていなさい」
    「うっ、分かり…ました。ユウカ…さん」

    動こうとしているのがばれたのか、釘を刺された。やっぱりユウカはユウカだ。
    それと、慣れない。ユウカが相手だと、思わずため口になりそうになる。
    駄目だよ。今はユウカにとっては初対面だし、今の私は才羽ミドリじゃないんだから。そう心に言い聞かせ、慣れないながらもユウカに敬語でそう答えた。

    「うん。分かったならいいですよ。…あれ?何で私の名前を?ミレニアムの生徒じゃないですよね?」

    あ、やばい。やっちゃった。どうしよう。敬語は意識できたけど、ついボロが出ちゃった…。

  • 74二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 00:31:04

    まあ、慣れかぁ…

  • 75125/05/18(日) 08:43:24

    「え、えっと。生徒会の人…でしたよね。トリニティでも、名前くらいは知ってる人も多い…はずです。」
    「ええ、セミナーで会計をやっているわ。…そう。他校でも名がしれてるのね…」

    あっぶなかったぁ。何とか誤魔化すことに成功したみたい。
    ユウカは少しだけ上機嫌になっているみたいだ。確かに…いつか会長になりたいって言ってたもんね。

    「話がそれましたね。ええっと、トリニティの方でしたっけ?」
    「…はい」
    「そう。災難だったわね。せっかく遠くから来てくれたのに…」

    ユウカは自分事のようにそう残念がると

    「今日はどうしたの?倒れたせいで時間もあんまり残ってないでしょうし…わたしにできる事は手伝うわよ。」

    そう手を差し伸べてくれた。
    優しい。ミレニアムにいた頃にはこう明確に思うことはなかったけど。外から俯瞰して見ると、ユウカは相当なお人好しだと思う。初対面の人間にこうも簡単に手を差し伸べてくれる所をみるにもその優しさを隠せてない。
    いや、昔の私も気づいてないだけで無意識にその優しさに甘えてたのだろう。呼び捨てやため口も気にしなかったし、ゲームのラスボスにするのも。怒りながらもなんやかんやで許してくれた。それに、TSC2の入賞を誰よりも早く祝ってくれた。
    …敵わないなぁ。身近な先輩を近くて遠き視点から見て、彼女の凄さに気づかされた。
    結局、今回も私はユウカの優しさにまた甘えてしまうことになった

    「えっとここに新しい都市が建設されると聞いて、出資できないか視察に。」

    私はそう言いながらエリドゥの位置をマップで示す。ユウカはその位置を見て記憶を呼び起こそうと考える

    「…知らない話ね。そこの位置は今は数件ビルご立っているだけだし、セミナー内部では話にはなっていわね…。少しまってて。リオ会長に聞いてみるから。」

    どうやら、まだエリドゥは存在しないようだ。
    ユウカは電話をかけ話しだすが、話しぶりから恐らくリオ会長も知らないのだろう。
    うん。これが分かっただけでも大きな収穫だ。
    あわよくば、廃墟にも行きたかったが、それはきっとユウカが許してくれないだろう。

  • 76二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 16:17:21

    夕方保守

  • 77125/05/18(日) 21:41:08

    「遠くから来てくれたのに悪いんだけど、やっぱりまだ構想すらないわね。」
    「そうですか…」
    「他に何か用事はあります?」

    電話が終わったユウカはそう言うと、もう一度用を確認する。無理だと思うけど一応聞いてみようかな。
    「会長と一度会いたい…なんて。」
    「それは無理ね。あの人も忙しいし、トリニティの生徒とミレニアムの会長が話しているのが分かったら両校で問題になるでしょう?」
    「それも確かにそうですね」

    駄目元で聞いてみたけど、流石に無理か。う~ん。今日は諦めて何かしらの形で直接コンタクトをとるしかないかな。

    「なら、今日はもうこれと言った用はないです。」

    ユウカに伝えると、少し考えたうえで何かを思いついたらしい

    「そう。なら、もし良ければミレニアムを軽く見て回るのはどうかしら?技術分野においてはキヴォトス1の自信はあるし、投資先を見定める上でも参考になると思うわよ。」

    ユウカはそう提案してきた。経済面からのアプローチをしてきたのは、お互いにwinwinな関係になるからだろう。会計としてみても、予算はあればあるだけありがたいだろうし。
    予定もなくなったし…時間さえあれば、そうしようかな。時計を確認すると、16時を刺していた。帰る時間を考えると18時には出たいから、少しだけ見て回ろう。…久しぶりにミレニアムを見れる訳だし。

    「では、見学させて貰いますね。」
    「決まりね。そうだ、私が案内しましょうか?ミレニアムに来るのははじめてでしょうし」

    ちょっとそれは予想してなかったけど、そうしてくれるのは私としては助かる。また倒れるかもしれないし、何より、立場が違うとはいえ、ユウカとまた一緒に何か出来るのは嬉しい
    ただ、1つ不安は残る。ユウカに限らずセミナーは多忙だろうから。

    「ありがとうございます。よろしければぜひお願いしたいんですけど…。その、私のせいで仕事が滞ったりは…」
    「その件なら問題ないわ。今日の業務は殆ど完了したし、残りの1件。部活の警告なんだけど、それは他の人に任せたから。それじゃあよろしく頼むわね。」
    …うわぁ。絶対こっちの私たちだよねそれ…
    思わず、目を背けた

  • 78二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 02:47:22

    今の所ミドリであることには気付かれていないみたいだけど......

  • 79二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 02:49:32

    ぼろを出さずにいられるのか……?

  • 80125/05/19(月) 07:55:07

    Tips:生塩ノア(回歴世界)
    セミナーの元書記
    ミレニアムの数少ない生き残り…ではあるのだが凄惨な光景を見続けたうえ、完全記憶が災いしたせいで消える事のないトラウマを抱えている。
    彼女曰く、「こんな苦痛を受け続けるのなら死んだ方がまだまし」との事。それでも彼女がいまだ心が折れきれずに生きているのは、親友のユウカがミレニアム防衛戦で右腕を犠牲に、即死級の攻撃から守ってくれたことが大きな一因で、ここで死んでは守ってくれたユウカちゃんに示しがつかないという思いだけで、命を繋いでいるため、生き残りの中でも特に不安定な1人
    親友なき世界で死に場所を見つけるために最前線で王女と戦い続けている

  • 81125/05/19(月) 07:58:35

    朝までに本編をかききれなかったので設定公開
    回歴世界(王女の覚醒した世界)の話はおまけ(軽い外伝?)で書くかも

  • 82二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 12:37:21

    誰もかれもがお労しい

  • 83125/05/19(月) 17:08:18

    ユウカに最初に連れられて来たのは、エンジニア部の工房だった。

    「ついたわよ。ここはミレニアム屈指のマイスター達が集まるエンジニア部。その工房ね。きっと今の時間なら中にいるだろうし、入ってみてみましょうか。」

    そう言われ扉をスライドしてあけようとすると昔の勘が何か危険信号を出してきた。私は慎重に開くと工房の奥から風をきる音が聞こえてきた。

    やっぱりエンジニア部はいつでもこんな感じらしい

    私はその音を聞くとすぐに回避体勢をとってタイミングを合わせて飛んできたそれを避ける。黒い球場の何かだった。当たっていたら間違いなく怪我していただろう。避けた瞬間それを感じて安堵する。

    「きゃあ!?」

    直後、後方からユウカの悲鳴と共に、金属が衝突した鈍い音が聞こえた。
    …あ。やっちゃったかも。
    後ろをとっさに振り返ると倒れたユウカとその周りを縦横無尽に駆け回っている金属球が目に入った
    避けた所まではよかったが、後ろにいたユウカに直撃してしまったようだ。勿論、ユウカは無防備だったから私に当たるよりもダメージは大きいだろう。

    「うっ、痛っ。」
    「大丈夫ですか!?ユウカさん」
    「え、えぇ。何とかね」

    急いでユウカを支えにいく。…怪我は、うん。これくらいなら応急処置で何とかなるかな。
    私は応急手当を始めようとしたところ、工房の奥からドタバタと走ってくる音が聞こえた。

    「大丈夫かい!?こっちに私たちの発明品が飛んで行っただろうけど怪我はないかい?」

    奥から走ってたのはエンジニア部の部長、白石ウタハだった

  • 84二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 23:24:37

    保守

  • 85二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 08:01:18

    今度はどんな装置作ったんだよ…….

  • 86125/05/20(火) 13:05:19

    「怪我をさせてすまない。治療機をもってきたよ。…げっ」

    ウタハ先輩は奇抜な見た目をした治療機をもってきて倒れているユウカに近づく。

    「『げっ』って何よ…!怪我させたうえでそれはいい度胸ですね?」
    「…すまなかった」
    「そもそもこれはいったい何なのよ」

    ユウカは怒りながら、縦横無尽に駆け回っている金属球を指差してそう言う

    「ああ。それはね、自走式掃除ロボだよ。形状があんな感じだから分かりづらいだろうけどね」
    「掃除ロボならあんなことにはならないと思いますけど?」

    ユウカはそう突っ込むとウタハ先輩は苦虫をかみつぶしたような表情で話しだした。

    「…きっと自動迎撃機能を搭載したからだろうね。警備ロボの代替も出来るのは便利だろう?」
    「はぁ。まあ、暴発したらこうなりますけどね。とりあえず、安全性が確認出来ないなら、これは押収室行きね。」
    「待ってくれ。猶予さえくれれば、より安全で高性能なものに出来るだろう。それに、今日はそこの少女の用事があって来たのだろう?」

    ウタハ先輩は押収室行きだけは避けたいのか、ユウカに懇願し、さらには私に話題を振って誤魔化そうとする。…それでいいのかウタハ先輩。

    「はぁ。分かりました。ですけど2日間だけでですからね?」

    ユウカはため息をつきながら、ウタハ先輩にそう告げた

  • 87二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 20:30:59

    ユウカとウタハの会話が親子のそれすぎる
    やっぱユウカはミレニアムのオカンか

  • 88125/05/20(火) 21:46:57

    「さて…と、見苦しい所を見せてしまったがエンジニア部へようこそ。エンジニア部部長にしてマイスターの白石ウタハだ。よろしく頼むよ、トリニティのお嬢さん。」

    ユウカから解放されたウタハ先輩は私に向き直ってそう言うと工房内へと案内してくれた

    中には、開発中の機械や試作機。完成品や修理中の銃火器など多岐に渡るものがびっしりと詰まっていた。その奥にあった椅子を出してウタハ先輩は私とユウカを座らせる。
    前からここは凄かったが久々に来てみると、相変わらずその量とアイディアに脱帽する。

    「どうだい?トリニティではあまり見れないものばかりだろう?」
    「…はい。凄いですねこれ」

    そう言うとウタハ先輩は満足そうな顔をした

    「それでお嬢さん。今日はどんなご用件だい?」
    「えっと、特にこれと言った用事はないですけど、色々と見れたらいいなぁと思って。」
    「この子の言うとおりね。私の提案でミレニアムの技術を一緒に見て回っているんです。それで良ければここの発明品を見せてもらえませんか?」

    ユウカの発言になるほどとウタハ先輩は頷くと、発明品たちを指しながら私に語りかけてくる

    「なるほど。いい判断だよ、ユウカ。お嬢さん、エンジニア部にはミレニアムの技術の結晶があちこちにある。ぜひ心ゆくまで見て行ってくれ」

    そう言ったウタハ先輩に見守られながら、私は工房内を見て回りはじめる
    えっと、これは雷ちゃんだったね。で、こっちは…あ。未来直行エクスプレスだっけ。エンジニア部全員で風邪引いたやつ。

    「ん?それが気になるかい?コールドスリープ装置、未来直行エクスプレスだよ。今は諸事情があって冷蔵庫として使っているけどね。」

    私が色々とみてウタハ先輩が時々解説する。私自身もここまでじっくり見たことはなかったからはじめて見るものも多く新鮮だった。そんな感じで数十分、工房を見ていると、あるものを発見した。

    大きな台座の上に、鎮座している、持ち主がいなく、いつか引き抜かれる日を待っているそれはそこにあった

    光の剣:スーパーノヴァ

  • 89二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 20:11:41

    サーバーが不安定だから一応保守

  • 90125/05/22(木) 00:40:23

    アリスちゃんの愛銃であり、彼女の勇者としての証明。まだ、取っ手や私たちのロゴ、傷はない。彼女が来ないまで、これが動く事はないのだろう

    「それに注目するとはお目が高いね。それは、私たちエンジニア部の力作、宇宙戦艦の主砲だよ。」
    「…宇宙戦艦?」

    ユウカが怪訝そうな顔でウタハ先輩を見るがウタハ先輩は解説を続ける。
    宇宙戦艦か。確かに、そんな事前言ってたね。今はもうアリスちゃんが使ってるイメージしかないけど。

    「このレールガンはその第1歩でね、大気圏外での戦闘を想定した実弾兵器さ。ミレニアム、いやキヴォトス初の試みだろうね。」
    「…そうなんですね」
    「正式名称は『光の剣:スーパーノヴァ』。私たちの戦艦が完成したらこれを主砲として搭載するつもりだ。……しかし、予算の問題で宇宙戦艦全体を作るのには及ばず、残念ながら今はその計画は中断中なのさ。」
    「ってそうですよウタハ先輩。宇宙戦艦は一旦置いておいても、いったいいくら使ったんです、これ?」

    活き活きと話していたウタハ先輩は、惜しそうにそう言うと、会計としての意識か、はたまたユウカだからか、ユウカはそう質問した。

    「…ちょっと思い出した事があるから、少し席を外すよ。」
    「逃がしませんよ先輩。いくら使ったんです?」

    ウタハ先輩は分かりやすく逃げようとするがユウカがそれを許す訳もなく、あっさりとウタハ先輩は捕まった。ウタハ先輩は観念したように話しだす

    「…7割だ。予算の7割を使ったが完成したのはレールガンのみ。戦艦を作るとこの数千倍はかかるだろうから計画自体、中止にしたのさ」
    「7割!?いくら何でも使いすぎです!それに、この事自体、計算すれば分かりますよね?何で完成まで作ったんですか?」
    「…愚問だねユウカ。ビーム砲はロマンだからだよ」

    ユウカをじっと見ると拳を握り締めてそれが震えている。…あ、これは駄目なときのやつだ。たまにゲーム開発部、特にお姉ちゃんがやらかしてくれていた経験談として分かる。このときのユウカはほんとにきれてる。

    「ウタハ先輩、ちょっとお時間頂きますね?」

    そう言うとユウカはウタハ先輩を工房の外へと引きずっていき、工房の中には私1人が取り残された

  • 91125/05/22(木) 00:41:43

    >>90

    1度投稿したはずなんだけどな…

    なんか消えてたから再投稿

  • 92二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 07:56:49

    再投稿ありがたい

  • 93二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 15:33:04

    保守

  • 94125/05/22(木) 15:38:07

    誰もいなくなった工房内を歩き回ってみる。コトリちゃんとヒビキちゃんも今日はいないみたいだし、工房内は静かだ。歩くと時々金属板が軋む音が鳴って響く。
    発明品はある程度みたし、武器もちょっとみておこう。光の剣があった場所の近くなら色々と武器もあるんじゃないかな。ただ、エンジニア部の武器は大体一癖二癖ある不思議な武器ばかりだ。
    置いてあるものをじっくりと素早くみてみる。
    調味料のでるアサルトライフル、で、これは…ヒビキちゃんの言ってたBluetooth機能つきの拳銃。これは…スナイパーライフル?でいいのかな。なんか変形しそうな形状してるけど。
    で、次は投擲弾かな。これは…ペイントボール?投げやすいし目眩ましにはなるのかな?マキちゃんが前いたずらで投げてきたのは多分これだね。エンジニア部製だったんだこれ…。こっちにあるのは…

    「武器に興味があるのかい?」
    「うわぁっ!?」

    振り返るとたんこぶができたウタハ先輩が立っていた。びっくりしたぁ。いつの間にか帰ってきていたウタハ先輩がどうやら話しかけてきたらしい。

    「驚かせてすまないね。随分と熱心に見ていたようだったから。」

    注視しすぎた結果、帰ってきているウタハ先輩に気づかなかったようだ。

    「はい、トリニティでは治安維持組織に入っているので…」
    「そうか、なら新しい武器を買っていくのはどうかな?きっと戦術の幅も広がるはずだ。」

    ウタハ先輩はそう提案してくる。確かに、何かの時のためにサブウェポンをもっておくのも悪くはないかも。

    「…そうですね。折角の機会ですし、選ばせてもらいますね。」
    「決まりだね。もし良ければ、お嬢さん。君の銃を見せてもらえないかな?そちらの方が私も君にあったものを提供出来るだろう。」

    そういうことならと私は自身の銃を取り出してウタハ先輩に差し出す

    「グレネードランチャー?珍しいね。」
    「はい。…やっぱりミレニアムでも使ってる人は珍しいですか?」
    「珍しいね。今使っているのは私の知る限り1人だけだね。」

    ウタハ先輩は受け取ると私の銃をじっくりと観察し始めた。

  • 95二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 16:28:32

    ユズのグレネードランチャーはかなり特徴的だからなぁ......

  • 96125/05/22(木) 18:39:21

    「…ん?」

    ウタハ先輩は銃をいじり回し観察していたが、何か違和感をもったのか手を止めて私を見つめる。

    「どうかしましたか?ウタハさん。」
    「…お嬢さん。これはどこで手に入れたんだい?」
    「昔、友達からもらって…。それから使っています。」
    「…そうか。ありがとう。これは一度返しておくよ。」

    そう言うとウタハ先輩は私にそっと銃を返して、私を見据えながら、銃を紹介しはじめる

    「さて、銃種も分かった事だから武器の紹介に移ろう。君のグレネードランチャーなら、仮に併用するならば拳銃か短機関銃のどちらかだね。収容も考えるなら拳銃がおすすめではあるかな。」
    「じゃあ、拳銃の方を少し拝見しますね。」
    「分かった。ではまずはこれだ。これは弾丸の初速に特化していてね…。反動こそ大きいが短期線には優れた代物だよ。そしてこちらは逆に継続をコンセプトにした物だ。反動を最小限に、装弾数を増やした銃だ。」

    ウタハ先輩は工房内にあった数々の銃を紹介し始め、軽く十数個は紹介してくれた

    「こんな所かな。あとは買うか買わないか、何を選ぶかは君しだいさ。」

    私は少しだけ考え、反動の少ない物を選んだ。
    理由は主に2つ。ツルギ先輩との戦闘のような強力な相手には、火力よりも継戦能力が求められること。反動による隙が生まれた場合、そこを一瞬で狩られかねないこと。
    私はその銃を手に取り、ウタハ先輩の所に向かった

  • 97125/05/22(木) 21:32:09

    「それにするんだね?」
    「はい。」
    「金額は…いや、いいや。持っていってくれ。」
    「へ?」

    想定外の言葉に思わず声が漏れる

    「まあ、君が何かをしているように、私には私なりの考えがあるんだ。良ければ持っていってくれ」

    ウタハ先輩は何とも掴み所のない返事をする。私は疑問を残しながらもその言葉に甘えさせてもらうことにした

    「ありがとうございます。ウタハさん!」
    「…いいんだよ。その代わりではないけど、2つお願いしたいことがあるんだ。」

    お願い?何だろうか。でも、銃を無償で提供して貰ってるんだ。私にできる限りは行動しよう。

    「もちろん。私にできることなら。」
    「ありがとう。では、1つ目だが君の名前を教えてくれないかい?」
    「?…桃園ムスカリです」
    「…なるほど。ありがとう。ではムスカリさん、2つ目の頼みだ。ここにあるドローンでその銃を使って戦闘をしてくれないか?」
    「ここでですか?」
    「ああ。というのもだね。うちは技術はあっても、それを測れるような力を持った人はいなくてね。昨日新しいドローンの試運転をしたら、後輩2人が先に力尽きてしまってね…。」

  • 98125/05/22(木) 21:33:27

    ああ、なるほど。確かにヒビキちゃんとコトリちゃんの体力ならそうなっちゃうよね…。それで私に頼もうという所か。

    「それで、私にその相手を担当してほしいということですか?」
    「そういうことだ。…頼めるかい?」

    私は頷いて、ウタハ先輩に返事をする

    「もちろんいいですよ。戦闘なら任せてください。」
    「ご協力感謝するよ。では、向こうの部屋に入って待機していてくれ。そして、ユウカ。私の補助にまだここにいてくれないか?」
    「私?まあ、いいですよ。」

    私は2人と別れて実験用につくられただろう大きい部屋に入った。中は真っ白で、壁は鋼鉄。そう簡単には壊れないだろう。私は銃に装弾し、そのまま待機した。

    ーーー
    「さて、行ったか。」

    ウタハはミドリが去ったのを確認してそう呟いた。

    「ユウカ。あの少女について大事な話があるのだが、ちょっといいかい?」

  • 99二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 06:51:44

    ウタハはやっぱ何か気付いてるよね
    ミドリであること自体はバレてないだろうけど、少なくとも武器はユズが使ってるそれと同じだし疑問は残るはず

  • 100二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 16:42:45

    保守

  • 101二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 17:08:26

    ・・・さて、何処まで当てられるかな・・・ ・・・腕の魅せ所だぞ、白石ウタハ・・・!

  • 102125/05/23(金) 19:30:00

    ユウカはウタハの隣へと移動して話を聞く

    「トリニティから来たムスカリちゃんですよね?」
    「…ああ。ユウカ、彼女について何か違和感を感じていないか?」

    そんな事を急に言うウタハにユウカは疑問を顔に浮かべる

    「急にどうしてそんな事を?」
    「順序を間違えたね。先ほど、彼女の銃を借りただろう?その時触って分かったんだ。」

    ウタハは少しだけ間をあけて、ユウカに告げる

    「…あれは、ミレニアム製のグレネードランチャーだ。しかも、トリニティには流通していない…ね。」
    「…ブラックマーケット経由という事ですか?いや、それなら友人から貰った彼女自身は悪くないんじゃ。…ブラックマーケット、かぁ」

    ユウカは仕事柄上、頭を抱えてしまった。ブラックマーケットへの流通。それはミレニアムの信用に関わる大きな問題になりかねない。頭を抱えて考えるユウカにウタハが諭すように話しかけた。

    「君にとってはいい知らせだよ。あれは間違いなくブラックマーケットには流通していない。」
    「え?…その訳は?」

    ウタハは苦々しい顔でポツリと話しはじめた

    「…私としては、ブラックマーケットに流通していたという事例の方が数倍ましだった。……ユウカ、あの銃は………
    ゲーム開発部の部長花岡ユズの銃、その物だよ」
    「…え?」

  • 103125/05/23(金) 22:58:22

    予想だにしなかった発言がウタハから飛び、ユウカは困惑する。トリニティの少女がミレニアムの生徒の銃を持っている訳がないのだ。それも、普段引きこもりがちなユズの銃を。

    「先輩…流石に何かの間違いですよね?ユズには昨日あいましたし…銃も部室に立て掛けてありましたよ。」

    ユウカはウタハの間違いではないのかと考え、ウタハに今一度その旨を伝える。だが、ウタハは首を振る

    「間違いであってくれれば、どれほど嬉しかった事だろうね。あの銃は、ただのミレニアムモデルではない。以前ユズの銃は修理したことがあるんだが、それと同じ修理後が残っているんだ…。あのやり方をするのは、私しかいない。…間違いはないよ。」
    「待ってください!それなら今、ユズの銃は2つあるということになりますよね?そんな事があり得るんですか?」

    語り終えたウタハに、ユウカがそう突っ込むと、ウタハはその通りだというように頷く。

    「ないね。少なくとも私たちの知る限りの技術では。あそこまで完璧な模造品を作る手段はキヴォトスには存在しない。…そして、最初の疑問に戻ろう。彼女はいったい何者なのだろうか」

    ウタハはそう言うと、モニターをつけてミドリのいる部屋を移しだした。モニターには、大量のスイーパーとドローン相手に1人で戦っているミドリが映っていた。

    「ユズの銃を持っているトリニティ生…。うーん、頭痛くなってきたわね。」
    「拡大するよ。ユウカ、この見た目に見覚えはないかい?」
    「…ないわね。トリニティに行った事もないですし。ミレニアムにも…?」
    「だね。だが、1つ仮説を立てるとどうだろう。例えば、彼女が別の世界か未来から来たとしたら辻褄は合うんじゃないかな?」

    ウタハは突拍子のないことを言い、ユウカは思わず声に出して笑ってしまった。

    「ふふっ。確かにユズの銃が2丁ある理由にはなりますけど、いくらなんでも非科学的では?」

    ユウカがそう言うとウタハも笑う

    「確かにそうかもね。でも、ロマンはあるだろう?私は彼女が別の世界のユズの友人なんじゃないかと考えているよ」

  • 104二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 00:02:09

    このレスは削除されています

  • 105二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 00:02:35

    ・・・もう既に半分位正確引き当ててるんですがWWW

  • 106二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 07:44:08

    流石ウタハだ

  • 107二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 17:23:26

    保守

  • 108125/05/24(土) 18:01:18

    ウタハはモニターに映る少女の姿を見ながらそう言った

    「ロマンってまた…。それにしても別の世界ねぇ。流石にないとは思いたいけど、今回の話はそうするとあの銃が矛盾するのよね…」

    ユウカはまだ半信半疑だがウタハの話をある程度信じて聞いている。

    「他には、古代の遺産の力を使ってあの銃を作った線も考えたのだが…」

    古代の遺産。ミレニアムの廃墟やトリニティの一部に眠っているという、現代では解明できない技術が使われた遺産の事だろう。連邦生徒会長が持っているシッテムの箱もオーパーツの類とされている。
    ロマンを求めるエンジニア部らしい考えではあるとユウカは思ったが、これにもまた1つおかしな所があり、ユウカはそれを指摘する

    「それだとユズの銃である必要がないですよね?」
    「その通りだね。それもわざわざ修理後があるあれより、新品でためしたり、そもそも実戦的な話であれば、ゲヘナの風紀委員長の銃や百鬼夜行に伝わる伝説の銃を再現する方が優れているだろう。」
    「やっぱりそうですよね」
    「よってこの線より、彼女自身が何か異質な存在とした方が正しい可能性が高いと推測できる」

    なる程。ただロマンだけで語っている訳ではないようだ。ユウカはそう感じると、先ほどの可能性について今度は真剣に考えて見ることにした
    ユズの交遊関係、もしかしたらあちらのユズとこちらのユズの性格は違うかもしれないけど、仮に同じと仮定するなら、部室から出てくるのが稀な彼女が明確に関わっているのは、ゲーム開発部の部員位だろう。
    ユウカはその思考と同時に、モニターに映る少女を凝視する

    「……まさか」

    ユウカの目に映るその少女は、先ほどまでとは違う人物に見えた。金髪で緑色の目をした少女。ユウカの知る彼女とは大きく雰囲気が異なっていたが、この特徴でユズと明確な関係を持つのは…

    「雰囲気が違いすぎて信じられないけど…もしかしてこの子は…」

  • 109二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 19:59:19

    ・・・もう気付かれた!?

  • 110二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 23:21:16

    さすがはマイスター

  • 111二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 07:53:21

    保守

  • 112二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 07:55:13

    こんなにすぐばれる……?

  • 113125/05/25(日) 10:20:19

    ユウカの中で結論がつく。ウタハ先輩の仮説が正しいのであれば、あの子はきっと才羽ミドリなのではないか?

    今日出会った儚げな雰囲気のお嬢様と、ユウカの知る才羽ミドリはもはや別人のような雰囲気ではあるが、彼女の知る限り、見た目の特徴が一致した上でユズとの交遊関係があるのはミドリしかいない。

    「ウタハ先輩、あの子はきっと…」

    ユウカは気づいた事をウタハに伝えようとしたが、それは叶わなかった。
    ミドリのいる部屋で大きな爆発音が響き、ユウカとウタハは急いでモニターを確認する。

    「煙幕?」

    カメラに映っているのは、白い煙だけで様子はうかがえない。

    「ドローンにこんな機能つけていたかな?」

    霧が晴れると映っている少女は、ドローンの大半を殲滅していて、残兵たちに向かって攻撃を仕掛けていた。

    「…これは、想像以上だね。」

    少女は落としたドローンを使って攻撃を防ぎながら、もう片手に持った新しい拳銃で一機ずつ綺麗に撃ち落としていく
    そして、拳銃の残弾が尽きた後、リロードをすることもなく、持っていたドローンをまだ稼働している機体に投げ当て、その隙に、残りの機体に接近して、グレネードランチャーの銃身で殴って動きを止める。
    数十秒後には、停止したドローンとスイーパーの中、少女が1人涼しい顔をして立っていた

    「…恐ろしいね。保安部どころかC&Cにも匹敵するんじゃないかな。」

    ウタハはそう言うと、ボタンを押して扉を開ける。

    「お疲れさま。入口を開けたからそこから出てきてくれ。」

    少し待っていると、少女はユウカ達のいる部屋までかけてきた。

  • 114125/05/25(日) 12:33:06

    「ご協力ありがとう。こちらも良いデータが取れたよ。約束通りその拳銃は持っていってくれ。」
    「ありがとうございます。大切に使いますね。」

    少女はおじぎをしてウタハに礼を言うと、ウタハも軽く笑ってユウカへと役目を移した

    「ではユウカ、後は任せるよ。」

    ユウカは少女を連れて工房を出ると、工房の中は静寂に包まれる。ウタハは椅子に腰をかけて先ほどの映像を見始めた。

    「…これは。ミドリ…君はいったい何があったのだい?」

    静寂の中、ウタハのため息だけが工房内に響き渡った

  • 115二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 18:34:44

    強い……

  • 116二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 22:36:14

    完全に確信してるな

  • 117125/05/26(月) 00:05:00

    ユウカは共に工房から出た少女と歩いて、目的の場所をめざす。 
    …でも、信じられないわね。この子がミドリ?
    ユウカの知っているミドリは内気な性格でこそあるが、姉と同じで好きなことへの情熱は凄い。
    目の前の少女の儚げな雰囲気とは全く異なる雰囲気を纏っているため違和感を覚え続ける。

    「ユウカさん?ここは?」

    隣を歩く少女がそう聞いてくる。ユウカは、自然に答えて、店へと促す

    「ミレニアムでも知る人ぞ知るカフェよ。トリニティに帰る前によっていかない?」
    「…ではお言葉に甘えて。」

    ユウカは少女と共に店に入り、注文する。

    「コーヒーとこのケーキをお願いします。ムスカリちゃんは何にする?」
    「じゃあ…紅茶とユウカさんと同じケーキをお願いします。」
    「紅茶とケーキ1個追加で」

    …味の趣味はミドリとは全然違うのね。あの子たちは多分ジュースを頼むだろうし。紅茶を選ぶのは、トリニティの生活が体に染みついているのかしら。

    ユウカがカフェに入ったのは、本当に目の前の少女がミドリであるか確認するためだった。
    先ほど、そう結論つけたものの、やはり違和感が拭えない。もしかすると、思い込みかもしれないから確認するために、一緒に過ごす時間を作ったのだ。

    「ムスカリちゃんだっけ?ミレニアムは、というか、エンジニア部だけだけど。どうだったかしら?」
    「…新しい知見が広がりましたし、この銃まで手に入ったので。私としては大満足です。」
    「そう。それならよかったわ。他にも色々部活はあるから、よければまだ見てほしいわ。」

    ユウカは少女に1つ仕掛ける事にした。
    スマホに色々な部活を出して、軽く紹介する。
    彼女の正体がミドリなら恐らく…

  • 118二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 06:54:32

    ユウカは何をする気だろ?

  • 119二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 12:36:58

    昼保守

  • 120125/05/26(月) 19:29:38

    「ここに映っているのが新素材開発部で、名の通り、工業の発展のために新しい素材を開発しようと日々研究しているわ。で、こっちが海洋生物研究部。最近はクロコダイル科に関する発見とエンジニア部との共同開発で忙しいわね」

    目の前の少女は紅茶を飲みながら静かにユウカの話を聞いている。ここまでは想定内。ここから仕掛けてみよう。

    「…で、悪名高いというか、色々と訳ありな部活もあって。1つ目がヴェリタス。ミレニアム屈指のハッカーが揃ってるんだけど、反セミナーを掲げているせいで、こちらとしても扱いには困ってるのよね…。個人間では問題ないけど、組織運営としては大変なのよ。」
    「……そうですか。」
    「そしてもう一つは、ゲーム開発部。こっちは…活動自体に問題があって。部員も少ないし、活動実績は…その。」

    少女のカップを持つ手がほんの一瞬ピタリと止まった。
    きっと本人も意識してないだろう。
    だが、ユウカはその一瞬を見逃さなかった。

    「それで、今廃部の危機になってて。…こういう時ってどうしたらいいのかしら…」

    ユウカは少女の方をちらっと見てみる。
    少女はどこか遠くを見るような目で話を聞いていた。
    懐かしむような…そんな目を見てユウカは確信した。やっぱりこの子は…。

    「ねぇミドリ?」

  • 121二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 19:32:03

    本人に言ったか

  • 122二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 23:10:18

    いったー!!

  • 123125/05/27(火) 00:48:09

    目の前の少女がビクッとして、指先を震わせる。
    少女は一瞬焦りを顔に出すが、すぐに落ち着いてカップを口に近づけた。
    あくまで、無関係を貫くつもりなんだろう。

    「ミドリ?」
    「…私は、ミドリじゃ、ない…です。ユウカさん。わたしは…」

    言葉の端々から無理が伝わってくる。それでも彼女は相手に、自分に嘘をついて、トリニティのお嬢様を演じようとする。
    彼女としてはあまり、自らの正体を悟られたくないのかも。
    何が彼女をそうさせるのか、私には分からない…でも、後輩が1人で抱えこんでいるのは私は嫌かな。
    今日、少女と出会った時の悲痛に満ちた顔を思い出し、ユウカはそう思い直す

    「…ミドリ。そうね…。私には関係ないことかもしれないわ。けど覚えておいてちょうだい。私はいつでもミレニアムのみんなの力になりたいの。それはあなたも例外じゃない。たとえこの世界とは違う世界から来た人でもね。だから、苦しい時こそ私の事を頼って、ミドリ」

    ユウカは思いの丈を少女に伝える
    少女は沈黙の後、ポロポロと涙をこぼしはじめた。涙は次第に大粒となり、彼女の感情もそれに合わせて溢れてくる。
    少女から感じていた、気品のあるお嬢様の雰囲気はそこまで感じなくなり、代わりに等身大の15、いや16の弱々しい少女の思いがユウカへと伝わる。
    先ほどまで感じていたお嬢様らしい雰囲気はきっと彼女が、この世界で生きていくために作り上げた、演技の賜物なのだろう。
    …この子はずっと無理をしていたんだ。…誰にも話せず、1人孤独に何かをなそうと。それはきっと本人にしか理解できない、とても辛くて寂しい茨の道。
    今はそんな彼女に精一杯の労いを。

    「今まで、よく頑張ったわね。お疲れさま、ミドリ」

    ユウカはミドリの隣の席へと移動して、彼女をそっと抱いて、労いの言葉をかけながら彼女を撫でる。
    ミドリは、より一層思いが溢れ、声に出しながら泣き続けた。

    「…ゆう゛か…わたし、わたし。うわぁん…」
    「うん…頑張ったね…。本当に、よく頑張ったよ」

  • 124二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 07:51:16

    いよいよ身バレかー

  • 125二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 14:58:56

    保守

  • 126二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 15:04:15

    キタァァァァァァァ!!

  • 127125/05/27(火) 21:26:59

    ユウカは泣いているミドリを静かに、優しく撫でる。
    彼女の苦しみをきっとわたしは全てを理解することはできない。けど、苦しんでる子に寄り添う事はできるはず。そうでもしないと、報われないもの。

    ミドリはユウカの袖をぎゅっと握りしめて、今までこらえて、1人で抱え込んできた思いを漏らす。ミドリが思いを涙として溢すたび、ユウカは彼女の事をめいいっぱい抱きしめて慰めた。

    しばらくそう過ごしているとミドリも落ち着いてくる。距離も少しだけはなれて、紅茶をちょびっと飲むと、ミドリは口を開く

    「ごめんユウカ。ありがとう。」

    彼女が涙を止めて最初に言ったのはその言葉だった。…全く、この子は。

    「…いいのよ。いつでもこうやって頼って。」
    「ありがとうユウカ。じゃあちょっとお願いしてもいい?」
    「何?何でもいいけど、どうしたの?」

    ユウカがそう言うと、ミドリは恥ずかしそうに口を開く。

    「しばらく、ぎゅーってさせて。」
    「へ?」

    思っていた願いと違うお願いに、ユウカは思わず呆然とする。ふと顔を見るとミドリは、泣きそうな目をしている。
    …そんな顔しなくても。

    「だめ…?」
    「いや、そんなことはないわ。もちろん良いわよ。…おいで、ミドリ」

    ユウカはそう言うと腕を広げ、ミドリは恥ずかしそうにしながらもユウカにぎゅっと抱きつく。
    …こんな一面もあったのね。こっちのミドリもそうなのかしら?それとも、このミドリの限界?何にしても、この子は、必要以上に色々な事を背負ってしまっていたんだろう。今は、ゆっくり心を休めてもらおう。
    ミドリが満足するまでユウカはじっと優しくミドリを包みこみながら、目の前の少女の事を考えていた

  • 128二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 00:56:43

    このストーリーすき

  • 129二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 07:23:46

    ミドリも頑張ってきたからなぁ。

  • 130二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 16:03:03

    やっぱり成長していても、本質は変わらないんだなあって思った

  • 131二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 23:00:08

    早めのほしゅ
    part1から一気見してきちゃった、頑張ってください

  • 132125/05/28(水) 23:39:12

    「ありがとうユウカ。おかげですっきりしたよ。」
    「そう?なら良かったわ。」

    しばらくユウカにくっついたミドリは元気を取り戻したみたいで、ユウカから離れてお礼を言う。
    ミドリは落ち着くと共に纏う雰囲気もまた、お淑やかな気品の漂うようなものになる。ただ、さっきとは違うのは、その端々にユウカの知っている才羽ミドリとしての側面がはっきりと見えるようになっている事だった。言い表すなら、大人びたミドリと言うのがきっと正解なんだろう。
    これがこのミドリの素なのかしら…
    心なしか、吐き出したことでミドリの顔もすっきりしていて、先ほどまでの弱々しさもなくなり、ユウカと少しずつ会話をする
    「えーっとミドリ?1つ聞いても良いかしら?」
    「何、ユウカ?」
    話の中、ミドリの様子を見て、安定してきた彼女の様子から気になっていた事をユウカは聞いてみる

    「辛かったら答えなくても良いわよ」
    そう前置きをしてユウカは尋ねる

    「ミドリは別の世界?未来?からきたのよね?」
    「きっとそうだね。多分未来じゃないかな?…私の知ってる情報からの予想だけど。」

    やっぱりウタハ先輩の予想はおおかた当たっているようだ。ユウカはそこから更に一歩踏み込む。

    「もしかしてだけど…ミドリのいた未来では、千年難題が解決してるのかしら?」

    …千年難題。ミレニアムの起源となる難題であり、ミレニアムの研究はこれを解明するためのものと言う名目で行われている。確かに、何も知らないユウカなら、千年難題の解明により、技術が更に発展したと考えるのが普通なのかもしれない。ミドリはそう思ったが事実は違う

    「残念だけど、まだ解明されてないね。私がこっちに来れたのも偶然が奇跡的に噛み合ったからだしね。」
    「あら、…それはちょっと残念ね」

    そう。本当に偶然なのだ。あの太古の教義が何を起こしたのかも分からない。ミドリは転移したときの事を思い返すが、あの時は記憶すら朧気だったし、これ以上思いだす事もなかった
    ユウカはちょっぴり残念そうにそう言うと、ミドリに次の質問をした

    「…ミドリ、あなたのいた未来では何があったの?偶然とはいえ過去に転移できるのであれば私たちには予想できない革新があると思うのだけれど。」

  • 133125/05/29(木) 01:36:42
  • 134二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 09:26:17

    ヒマリ……

  • 135二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 15:16:32

    >>133

    いいのがみれた

  • 136二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 22:33:54

    パンツァー!!(クソ規制にブチギレながら保守)

  • 137125/05/29(木) 23:54:13

    「それは…」

    ミドリは言おうとしてみるが、あの日の事を思い出しかけて思わず咽せそうになる
    話そうとしたことが喉の奥に突っかかって言葉が出てこない。まだ、この事を喋るのは無理かあ…。

    「…ごめんミドリ。無理はしないで。…もし、あなたが言えるようになった時、よければ教えてくれると嬉しいわ。」

    ユウカはミドリの反応と表情から、自分の質問が愚問であった事に気がついた。この様子を見るに、未来は明るいものではないのかもしれないわね…。

    「…うん。ありがと。」

    ミドリは胸をなで下ろすように、そう小さく言うと、残っている紅茶を飲みきった。
    紅茶をこうやって飲むのは、この子の癖なのだろう。見るに、落ち着かない時にはこうやって飲むことできっと気を紛らわしているのだ。

    ミドリためにも、この話は一旦やめよう。そう考えたユウカはまた違う話をもちかけた。

    「…そうだ、ミドリ。今日は本当は何でミレニアムにきたの?」
    「本当の目的は大体一緒だよ。わたしのいた世界にあった都市がこっちにあるか確認したかったのと、それと…リオ会長と話をしておきたかったから。」
    「リオ会長と?…いや、さっき言ってたわね。」

    リオ会長。ミレニアムの生徒会長で合理主義者。なぜミドリが会長と会いたがっているかは分からないが、会長の事だ。きっと、何か大きな事を起こしたのだろう。それこそ小さな部活であるゲーム開発部に届くくらいの。ユウカはそう考えるとミドリの話に再度耳を傾ける。

    「私が未来で調べていた事はミレニアムならリオ会長が1番詳しいだろうから」
    「…そう言う事なら。いつになるかは分からないけど、私が手配しとくわ。勿論、才羽ミドリではなく、桃園ムスカリとして。トリニティの問題になるのは…こっちで上手く誤魔化しとくわね」

    ミドリはユウカにも正体を隠していた。それに、いくら会長だとしても、未来からの転移と明らかになれば、一騒ぎではすまないだろう。きっとミドリが隠しているのも、未来で変えちゃいけない事もあるからだろうし。だからユウカは穏便に済ませるため、そのように提案した

  • 138二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 00:29:15

    >>137

    ユウカはいくらでも有能で構わないですからね

スレッドは5/30 10:29頃に落ちます

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