【SS】にせティーパーティーの逆襲 Part2

  • 1スレ主25/05/08(木) 20:44:21

    これまでのあらすじ

    ある日突然セイアの前に現れた自分自身のミメシス、模倣セイア。
    互いに驚き、逃げる模倣セイアを追いかけていくうちに先生と合流。
    ユスティナ信徒のミメシスと戦う先生のサポートをするべく、二人のセイアは共闘することに。
    しかし敵のミメシスはこれまでと違い意思を持っており、先生のシッテムの箱と大人のカードが奪われてしまう。

    詳しい事情を聞くためにトリニティへ招かれる模倣セイア。
    彼女の口からは驚くべき事実が明かされた。
    なんと生徒のミメシスはセイアだけでなく、ミカとナギサの個体も存在していたのだ。

    ティーパーティーを自称する彼女たちは、ミメシスについて驚くべき真実を次々と語る。
    それを聞いたトリニティはユスティナ聖徒会からの侵攻に対抗するため、にせティーパーティーと協力することに。

    一方戦いの準備をする間、束の間の休息としてセイアと模倣セイアはまるで本物の姉妹のように互いの心を通わせていく。

    しかしその裏ではキヴォトス全土を滅びへ導く、恐ろしい計画が進行しているのであった。

    そう、これは本物と偽物の物語。
    どちらが優れているか、互いの威信をかけた戦いの物語である。

  • 2スレ主25/05/08(木) 20:44:54
  • 3スレ主25/05/08(木) 20:49:13

    注意
    前スレではネタバレの都合上書かなかったけれども、名有り名無し含め数名オリキャラが出るよ。
    あと設定については捏造多めだけれど、そこは大目に見てくれたまえ。

  • 4スレ主25/05/08(木) 20:52:19

    本スレは一日4000字程度、夕方頃からゆっくりめに更新していく予定だよ。
    感想でも考察でも、コメントを書いてもらえるとすごく嬉しい。
    では、続きを語っていこう。

  • 5スレ主25/05/08(木) 21:02:34

    模倣正実モブは看守の服からメフィストの檻の鍵を取り出し、扉を開けた。
    そしてそのままメフィストの手足の錠も外す。

    『いや〜助かった助かった!ありがとね。ちなみに、押収された私の服とか鞄ってどこにあるかな?』

    『既に回収済みです。こちらに』

    模倣正実モブは綺麗に畳まれたヒフミの制服とペロロの鞄を差し出す。

    『うおっ、しごでき!さんきゅうさんきゅう!じゃあヒフミちゃんの制服は君に着てもらって、そっちの正義実現委員会の制服を私が借りるね?あとこれは……もういらないか!看守ちゃんに処分してもらおう!』

    メフィストはヒフミの演技をするために使っていた、薄汚れたペロロのぬいぐるみを倒れている看守の横に置いた。

    『あ、あとちょっと電話だけさせて!』
    『承知しました』

    二人は着替えながら、メフィストは自身の携帯で誰かに電話をかけている。

  • 6スレ主25/05/08(木) 21:06:25

    『あ、もしもし?脱出できたよ!AIナギサの件、協力ありがとね!』

    『え?ああそうそう、せっかく桐藤ナギサの声の用意と発信番号の偽装までしてもらったんだけどさ、実は偽物ってバレちゃってて……。正直危なかったね』

    『えっ、"ブルアカ"開始まであと十五分!?やばいやばい!あ、時間はそのままで大丈夫!絶対間に合わせるから!それじゃ!』

    メフィストは慌てて電話を切り、模倣正実モブの方へ向き直る。
    するとメフィストは自身の顔を両手で覆い、まるで洗顔でもするかのように撫で回していった。

    『よし、最後の仕上げだね。正実モブっぽい顔は……これでいいかな?』

    メフィストが両手を離すと、その首から上がヒフミの顔とは全く異なる、一般的な正義実現委員会生と同じものになっていた。
    その顔を見ておかしな点がないかを確認し、模倣正実モブは頷く。

    『問題ありません。私も、側から見て阿慈谷ヒフミに見えているでしょうか?ウィッグのズレなど無いといいのですが……』

    『うん、バッチリ!それじゃあ、ここから先は別行動だね!Good luck!』

    メフィストは学園の出口へ走り出していった。

  • 7スレ主25/05/08(木) 21:08:02

    トリニティ総合学園前、中央広場。
    先ほどまで模倣ナギサや模倣セイアたちが争っていた場所では、拘束したミメシスたちを一時的に体育館へ運ぶべく準備が始められていた。
    そして現場での戦闘を行っていたマシロは、友人からかかってきた不可解な電話の内容をナギサへ伝えるべく広場の中を駆けていた。

    嫌な予感がする。早くこのことを伝えなくては。
    途中、模倣セイアとすれ違った。

    (もう一人のセイア様、すごく疲れた顔をしてる……)

    声をかけたかったが、今はそれどころではなく先を急ぐことにした。
    そしてナギサのもとへ辿り着き、マシロは電話の内容を説明した。

    「ナギサ様!先ほどメフィストの看守をしている友人から電話があったのですが、彼女いわく外部に協力者がいるとの報告がありました。それも、かなり焦った様子で」

    「何やらその協力者がメフィストを脱獄させようとしていると彼女は言っていました。それとその電話が途中で切れてしまい、かけ直したのですがそれ以降繋がらなくなっています」

    「看守が!?わかりました。ではマシロさんは地下収容所へ行き、看守とメフィストフェレスの様子を確認してきてください!外部協力者についてはこちらで調べます」

    「わかりました!」

  • 8スレ主25/05/08(木) 21:16:11

    マシロは学園内へ向かって走り出す。
    友人にはどうか無事でいてほしい。
    そう思わずにはいられなかった。

    すると学園の中から一人の正義実現委員会生が出てきた。
    その生徒は自分もよく知る顔で、今日は学園内の警備をしているはずだった。

    その生徒は息を切らし、何やら焦っている様子だった。
    マシロは思わず声をかける。

    「あの、どうしたんですか!?」

    『ナギサ様に伝言を!それと、校内は今とても慌ただしくなっています!気をつけて!』

    それだけ言うとその生徒は走り去って行ってしまった。
    よほど急いでいたのか、肝心の伝言の内容を聞きそびれてしまった。
    しかしあとはナギサに任せるしかない。
    マシロは再び校内を目指した。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    先ほどのマシロの報告を受け、ナギサは次に打つべき手を考えていた。
    外部協力者の存在自体は既に認識していたため、そこに驚きはなかった。
    しかし問題なのは今、このタイミングで何かを仕掛けてきたこと。

    そういえば目の前の模倣ナギサたちはメフィストや外部協力者に関して一切触れていない。
    捕えられた時の反応も、もう後がないというような印象を与えるものだった。

  • 9スレ主25/05/08(木) 21:24:09

    その時の様子から、ナギサの中に一つの結論が導き出される。

    模倣ナギサたちも恐らくメフィスト独自の計画を聞かされていない。
    模倣ナギサと模倣ミカを止めただけでは終わらない。
    何としてでもメフィストを自由にさせるわけにはいかない。
    しかし、ナギサはたどり着くのが一歩遅かった。

    『……今朝だ』

    「?セイアさん、何か仰いましたか?」
    『視たんだ、今朝も!あの夢を!!君は日を跨ぐ頃に準備を終えたと言ったな!?私はその後に!今日の朝にトリニティが崩壊する夢を視たんだ!!』

    先ほどまでの疲れ切った表情から一転、焦燥した模倣セイアはナギサのもとへ駆け寄る。

    「何ですって!?」
    『まだ脅威は去っていない!!終わっていないんだ!!恐らく奴だ!メフィストフェレスだ!奴が絶対に出て来られないよう監視の強化を……!』

    そこまで話していた時、マシロと入れ替わるように正義実現委員会の生徒が駆け寄ってきた。

    『ナギサ様、申し訳ありません!奴が、メフィストフェレスが脱走しました……!!』

    考え得る限りの最悪の知らせが届いてしまった。
    ナギサも模倣セイアも目を見開いたまま、声を出せずにいる。

  • 10スレ主25/05/08(木) 21:25:56

    『奴は今校内を逃走中で、複数の正実生で追跡中です!』

    そして用件を済ませたその生徒は拘束されている模倣ナギサたちの元へ走っていく。
    彼女たちは暴れられないよう、複数名の生徒たちによって体を押さえつけられていた。

    それを見届けたナギサは、逃走したメフィストの確保手順を考えていた。
    とりあえず顔を変えられる能力を持っている以上どの生徒も学外に出すことはできなくなった。

    『みんな、ナギサ様から伝言!ミメシスのナギサ様とミカ様を拘束している錠の鍵を渡して欲しいって!確実に本人ってわかるから!』

    外から他の生徒が入ってくるのも防がなければならない。

    『ちゃんと持ってる?こっちがミカ様のだね!うん、確かに!ナギサ様のは誰が持ってるの?』

    しかし逃走しているメフィストが、ヒフミの格好をしているなら捕まえやすい。
    ……いや、ヒフミだけではだめだ。
    脱獄を手助けした者はどこへ行った?
    メフィストは閉じ込めた上で手足を拘束されている。
    とても一人で脱出したとは考えにくい。
    必ず協力者がいる。
    今逃げ回っているのは本当にメフィスト本人なのか?

  • 11スレ主25/05/08(木) 22:22:13

    「はいこれ!ナギサ様の鍵!」

    入れ替わり、他の生徒と変わらない見た目、脱走して最初に何をするのか、逃げるだけなのか。

    「えっ、な、何してるの?ナギサ様のところに持っていかなくちゃいけないんだよね!?」

    先ほど報告に来た生徒は何と言っていた?
    奴"は"今校内を逃走中で、複数の正実生で追跡中です!だ。

    そいつだ。
    その正義実現委員会生こそがメフィストだ。

    「だ、だめだよ鍵を外したら!逃げられちゃうよ!ねえ、聞いてるの!?」

    ナギサは模倣ナギサたちの方を向き、普段は出さないような切羽詰まった大声を張り上げる。

    「鍵を持っている方!!他の誰にもそれを渡してはいけません!すぐに直接こちらへ持ってきてくだ……」

    一歩遅かった。
    模倣ミカの拘束が解かれ、覆い被さっていた生徒たちが一斉に吹き飛ばされた。

    『……やっと動けるようになったね★』
    『ありがとうございます、メフィスト様』

    最悪だ。
    罪と暴力の化身たちが鎖から解き放たれてしまった。

  • 12二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 00:56:28

    看守ちゃんの煽りがトリニティらしさ全開で好きすぎる

  • 13スレ主25/05/09(金) 08:19:46

    保守コーナー 〜狐の夢のかけら〜

    やあ先生、保守の時間だよ。
    時々こうして何かを呟かないと、この夢の世界は維持できない。

    けど、ただ『保守』と言うだけでは退屈させてしまうからね。
    せっかくだから、この先起こることのほんの一部を私と一緒に視ていかないかい?

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    模倣セイア『な、何が……何が起こっている……!?』

    ナギサ「そ、んな……」

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    とは言っても、今は奴の……メフィストのせいで何が起こっているかほとんどわからないけどね。

    というわけで今回はここまでだよ。
    先生、次に保守が必要になる時また会おう。

  • 14二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 09:04:50

    絶望感がすごいな

  • 15二次元好きの匿名さん25/05/09(金) 09:38:15

    ……急に転生者疑惑が沸き上がってきたな。これまでの台詞と看守ちゃんの口撃から予想するに
    『キヴォトスに転生したはいいけど、学生デビューしくじった挙句本編にも絡めなかった転生者』?
    箱と大人のカードはともかく、プライベート端末まで奪おうとしたのは、最終的に先生になり替わるため?
    あと協力者って誰だ……

    チラッと敵の底は見えたけど、こっからどう巻き返す…?

  • 16スレ主25/05/09(金) 14:38:05

    目の前の絶望的な状況に、ナギサの思考が停止しかける。
    その時、それを断ち切るようにナギサのスマホに着信が入る。
    相手はマシロだった。

    「……もしもし」
    〈ナギサ様!地下牢は既に開け放たれており、近くに看守の生徒が倒れていました!〉

    電話越しに聞こえる声は酷く動揺しており、事態の深刻さをこれでもかと表していた。

    〈それと逃走したメフィストが校内を逃げ回っているという情報があり、正義実現委員会でその確保に動き、先ほど成功しました〉

    〈ですが捕らえた容疑者は阿慈谷ヒフミに変装したミメシスで、本物のメフィストではありませんでした。本物の行方は未だ不明です……!〉
    「ええ、でしょうね……」



    「そのメフィストは今、私の目の前にいるのですから」

    模倣ナギサの隣で不適な笑みを浮かべている正義実現委員会生。
    間違いない。
    彼女がメフィストフェレスの正体だ。

    〈目の前ですか!?すぐに応援に向かいます!〉

    そう言ってマシロとの通話が切れた。
    ナギサは力無くスマホをしまい、目の前の悪魔と向き合う。

    『いや〜危ない危ない!もうちょっと気付くの早かったら私たち詰んでたね!やってくれたなー看守ちゃん』

  • 17スレ主25/05/09(金) 19:30:11

    そうは言いつつも余裕を崩さないメフィスト。
    ナギサたちが昨日まで見ていたのは出来の悪いヒフミの演技でしかなかったようだ。

    『申し訳ありません、メフィスト様。お手を煩わせてしまいました』
    『ああ、いいよいいよ!言っちゃ悪いけどナギサちゃん失敗するだろうなーって思ってたし、それ込みで作戦考えてたから!』

    模倣ナギサは悔しそうな顔をしている。

    『というわけで……おーい!もう入ってきていいよ!』

    メフィストが後方に向かって声をかける。
    すると建物の陰から三人の人影が出てきた。



    『『救護』が必要な方はどちらですか?誰一人逃しません』

    『皆さんに神の『ご加護』があらんことを』

    『さあ、狩りの時間だ……!!』

    その顔を、声を、ナギサはよく知っている。
    彼女たちは蒼森ミネ、歌住サクラコ、剣先ツルギのミメシスだったからだ。

    「そんな……。ミネさんにサクラコさん、ツルギさんまで……!」

    生徒のミメシスはティーパーティーだけではなかった。
    しかもよりにもよって、トリニティ内でもとりわけ強い力を持つ生徒ばかり。

    ミメシスとはいえ大切な仲間たちを玩具にされ、ナギサの中に怒りが湧き上がる。

  • 18スレ主25/05/09(金) 20:31:16

    そして模倣サクラコが模倣ミカたちの前に立ち、何かを差し出した。

    『この銃弾をお使いください。任務の失敗率が大幅に低減します』
    『それと、私たちが来たからにはもう失敗なんてさせませんよ。あなたたちには荷が重かったようですが、特別に助けて差し上げましょう』
    『は、何?いきなり出てきて。私より弱いくせに偉そうにしないでよ』

    模倣サクラコの物言いに模倣ミカが苛立つ。
    それを見ていたメフィストは慌てて仲裁に入る。

    『もう、サクラコちゃんミカちゃん喧嘩しないでよ!』
    『ナギサちゃんも、隠しててごめんね?この三人とあと別行動してる一人、今から仲間同士ね!』
    『はい……』

    自分の実力を信用されていなかったのがショックだったのか、模倣ナギサは俯き模倣ミカは舌打ちしている。

    『そんな……こんな未来、ただの一度も視ていない……』

    模倣セイアの呼吸は浅く、今にもパニックを起こしそうだった。

    『あー、やっぱり視えてなかったっぽいなぁ。セイアちゃんさ、私が深く関わった部分は予知夢で見られないんでしょ』
    『!?』
    『お!その顔やっぱり!』

    既に気付かれていた。
    メフィストはそれに気付いていることを模倣セイアに悟られぬよう作戦を立て、ずっと準備していたのだ。

  • 19スレ主25/05/09(金) 21:23:54

    焦る模倣セイアをよそに、メフィストは模倣サクラコへ声をかけた。

    『ねえサクラコちゃん、サオリちゃんの身柄ってもう確保できてたんだっけ?』
    『ええ滞りなく』
    『いいね!ユスティナ信徒のミメシスを利用してた子が、その後継組織のミメシスに捕まるなんて運命感じちゃうよね』

    (錠前サオリを?奴らは一体何を狙っている……!?)

    模倣セイアが思考を巡らせる。
    実態は掴めていないが、とてつもなく危険なものであることは間違いない。

    『あ、そうだ!顔を元に戻さないと……』

    メフィストは手で顔を覆い、顔を洗うように手を動かす。

    『よし、戻った!やっぱヒフミちゃんの顔が一番しっくり来るね。それじゃあ我が同胞たちよ、整列!』

    主の指示に従い、ミメシスたちが横に並ぶ。
    そしてその中心、一歩前の位置にメフィストは立った。

    『あーあー、んん"っ!やば、ちょっと緊張する。でも最初の挨拶って大事だからね』

    『ヒフミちゃんの記憶の中に眠るこの言葉、すごく素敵なんだよね。だから、使わせてもらうね?』

    そしてメフィストは深く息を吸い、ナギサたちにも聞こえるように声を張り上げた。

  • 20スレ主25/05/09(金) 22:16:52

    『私には、好きなものがあります!』

    『平凡で、大した個性もない私ですが……自分が好きなものについては、絶対に譲れません!』

    『激情で苦難を踏み倒して』

    『復讐がきちんと報われて』

    『辛いことは忘れないで、やられた分は敵にやり返して……!』

    『苦しいことがあっても……自分が最後は、笑顔になれるような!』

    『そんなハッピーエンドが私は好きなんです!!』

    『誰が何と言おうとも、何度だって言い続けてみせます!』

    『私の描くお話は、私が決めるんです!』

    『邪魔なんてさせません、これから始まるんです!』

    『私の作る惨劇……』

    『私の、青春と方舟の惨劇(Blue Ark Catastrophe)を!!』

    メフィストが右手を高く掲げ、天に向かって指を差す。

    次の瞬間、広場の至る所から天まで届くような高さの青黒い光の柱が立ち上がった。
    否、広場だけではない。
    トリニティの敷地の外にある街さえも覆い尽くすように、光の柱が至る所に立っていた。

  • 21スレ主25/05/09(金) 22:50:13

    「ぐっ……!」
    『な、何が……何が起こっている……!?』

    光と風圧で目を覆うナギサと模倣セイア。
    数秒後、それらが収まり彼女たちは何が起こったのかをその目で確かめる。

    そこには信じられない光景が広がっていた。



    広場が、街中が大勢のユスティナ信徒で埋め尽くされていたのだ。
    その数は今朝攻め込んできたミメシスたちとは比較にならない。
    千、万にも届きそうな数の敵兵に、瞬時に陣地を埋め尽くされた。

    「そ、んな……」

    ナギサは現状の認識に脳のリソースを全て割かされ、とても次の指示などできる様子ではなかった。
    そんな彼女とは対照的に、メフィストは亡者の軍勢を従え、高らかに宣言する。

    『現世に舞い降りた正義の化身たちよ!!今、内に眠る激情を力に変え、堕天使共からこの聖なる地を共に取り戻しましょう!!』

    『『『ウォォォォォォォォォォ!!!!』』』

    ミメシスたちは歓声を上げ、飛び跳ねたり腕を振ったりしている。
    まるでそれぞれが生きている人間のような動きだ。

    『さぁて、何気ない日常が惨劇へと変わり、方舟の乗船権を奪い合う物語。ブルーアークカタストロフ、サービス開始です♪』

    メフィストの合図と共に、ならず者たちは一斉にトリニティへと攻撃を始めた。

  • 22スレ主25/05/10(土) 07:24:36

    保守コーナー 〜狐の夢のかけら〜

    やあ先生、保守の時間だよ。
    今度は一体どんな展開になるのかな。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    アズサ「アツコ!?ひどい怪我……一体何があった!?」

    アツコ「サッちゃんが……ミメシスたちに攫われた……!」

    アツコ「お願い、力を貸して!私たちだけじゃ止められなかった!このまま放っておいたらキヴォトスが滅びる!だから、お願い……!」

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    アリウススクワッドにまで手を出して、彼女たちをどうするつもりだ?
    秤アツコは以前ミメシスの顕現に利用されたとは聞いていたが、今度の狙いは錠前サオリか……。

    というわけで今回はここまでだよ。
    先生、次に保守が必要になる時また会おう。

  • 23二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 11:36:19

    最初に出てきたゲームCMをここで持ってくるか………となると、反撃の芽になりそうなのは事前登録のシークレットミッションか?この状況こそがシークレットミッションの結果という可能性もあるけど、でかでかと宣言してるし無いか?
    しかし……看守ちゃんの煽り聞いた後だと、盛大な逆恨み発言に聞こえるのは気のせいか?
    乗船権を手に入れる機会はいくらでもあったのにフイにしたのは他でもない自分自身なのにね(ゲームCM風煽り)
    まぁ、今の状況だと負け惜しみにしかなりませぬが。そりゃ色彩召喚してもろとも道連れにするしか手が無くなるワケだ。

    アツコじゃなくサオリを攫った理由は…?たしかにアツコの代わりに生贄にされてるBADENDスチルが存在するが……呼ばれる前に、こっちが先に呼ぼう的な感じ?でもそれこそアツコの方が攫いやすいハズ……謎だ。
    あとpart1読み直したけど、模倣セイアがメフィストの本質見抜けなかったのが引っ掛かるんですよね。言い方悪いですけど、看守ちゃんが見抜けて、トリニティで一番頭がいいハズのセイアのミメシスが見抜けなかった。見抜いてたけど恐怖が勝ってたって可能性もあるけど。……模倣セイアが出会ったのは協力者の可能性、あると考えてます

  • 24スレ主25/05/10(土) 14:43:55

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    時は少し遡り、トリニティ自治区内の街中を補習授業部の四人はパトロールしていた。
    通常、一般生徒は自宅待機の指示が出ているが、只事ではないと判断したアズサの発案により自主的に見回りを行うことになった。

    現在は二手に分かれ、ヒフミとアズサはビルの立ち並ぶ大通りを歩いている。

    「アズサちゃん、今日って平日ですよね?なんだかいつもより賑わってませんか?」
    「ああ、しかもみんなスマホばかり見ている。何かゲームのイベントでもあるのか?」

    街を見渡せば多くの住人がスマホ片手に歩き回っている。
    そしてその中に子どもはほとんどおらず、大人ばかりだった。

    (それだけじゃない)

    アズサにはもう一つ気になることがあった。
    昨日補習授業部と一緒に遊んだ、ヒフミのミメシスのことである。

    最初は少し幼いヒフミという印象だったのだが、途中からどんどん本物との区別がつかなくなっていった。
    通常のミメシスと異なり、肌の色まで瓜二つなのだから判断材料はかなり少ない。

    せっかく仲良くなった友人に対し申し訳ないと思いつつ、この時からアズサは内心不気味さを感じていた。

  • 25スレ主25/05/10(土) 18:38:59

    特殊部隊の訓練で身についた勘が危険信号を発している。
    念のため、買い物途中に入った化粧品店に置いてあった香水のテスターをミメシスのヒフミに振りかけておいた。
    マーキング対象をミメシスのヒフミ側にしたのは、人は自分の匂いには気付きにくいという特性を利用して彼女に気付かれにくくするためだった。

    そして夕方、夕食にしようと店を探していた時に突然正義実現委員会の生徒たちに囲まれた。
    どうやらヒフミのミメシスの身柄を拘束するらしい。

    皆どちらが本物のヒフミか判別できないでいたが、アズサは香水の匂いのない本物のヒフミの手を取った。

    そうしてミメシスのヒフミは抵抗もせず連行されていった。
    ヒフミとコハルがとても動揺していたのは覚えている。
    ハナコはある程度事情を知っていたのか、あまり驚いている様子はなかった。

    しかし何より一番目に焼きついたのは、連行される直前に一瞬、本当に一瞬だけヒフミのミメシスが自分を見て僅かに笑みを浮かべていたのが見えた。
    怒りではない、むしろ『やるな』とでも言いたげな表情に見えた。
    あれは何だったのか。

    「わわっ、大丈夫ですか!?」

    ヒフミの驚いた声で現実に引き戻される。
    後ろを振り返ると、ヒフミがボロボロの一人の生徒を介抱しているところだった。

  • 26スレ主25/05/10(土) 19:25:25

    「大丈夫、ありがとう」

    そしてその生徒の姿を見た時、アズサは驚愕した。
    その生徒はアズサがかつて所属していた部隊、アリウススクワッドの秤アツコだったからである。

    「アズサちゃん、この人って確かアズサちゃんの元同僚さんですよね?ふと路地を見たらこの人が倒れてて……」
    「アツコ!?ひどい怪我……一体何があった!?」
    「丁度良かった。アズサ、久しぶり……」

    アツコは満身創痍あるにも関わらず、旧友との再会に思わず笑みが溢れる。
    そして体をよろめかせながらアズサの腕を掴む。

    「サッちゃんが……ミメシスたちに攫われた……!」
    「何だって!?」

    「何日か前、スクワッドの前に大人数のミメシスたちが現れて交戦になったの。ただ今まで見たミメシスと違って彼女たちにはまるで意志があるみたいだった」
    「そして戦闘についてはまるで素人みたいで苦戦はしなかったんだけど、数が多いせいでだんだん押されていって」

    「そこにサッちゃんが救援に来てくれたんだけど、その瞬間彼女たちは一斉にサッちゃんを狙い始めた」
    「抵抗したけど止められなくて、サッちゃんは連れ去られて、私たちはこんなになっちゃった」

    アツコは自重気味に力無く笑っている。
    かつて人々を苦しめた報いが返ってきたのだとも言いたげな表情だった。

  • 27スレ主25/05/10(土) 20:11:46

    「そして行方を探す中で犯人たちの一人だったユスティナ信徒を捕まえて居場所を吐かせたら、どうやらトリニティ地下のカタコンベ、以前私が囚われた場所に居るって」

    そこまで話した後、アツコの表情が曇っていく。

    「でもその時、もっと恐ろしいことを聞いた。奴らの目標は、ミメシスでこの世界を埋め尽くすことだって……」

    そしてアツコは縋るようにヒフミとアズサの手を取る。

    「お願い、力を貸して!私たちだけじゃ止められなかった!このまま放っておいたらキヴォトスが滅びる!だから、お願い……!」

    そんなアツコの手を二人は力強く握り返した。

    「当たり前です!もしアツコさんの聞いた話が本当なら、絶対に止めないといけません!」
    「ああ。何よりアツコやサオリを傷つけた奴らを許すわけにはいかない!」
    「アズサ、ヒフミ……!」

    「ひとまずハナコたちと合流しよう。この事をトリニティと、そして先生にも伝えないと……」

    アズサが言いかけたその瞬間、自分たちの周囲含め街中から青黒い光の柱が立ち上がった。
    災害はいつも人々の事情など考慮しない。

    『お、あれトリニティ生じゃない?』
    『あの変な鳥のリュック背負ってる子、この間ブラックマーケットで暴れて強盗したらしいじゃない。とんでもない不良生徒よ!』

    言葉を発し、明確にヒフミたちへ狙いを定めるミメシス。
    魔の手はすぐそこまで迫っていた。

  • 28スレ主25/05/10(土) 20:52:49

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    時を同じくして、ハナコとコハルはヒフミたちとは少し離れた公園近くで休憩を取っていた。
    そこは自治区の中でも整備の行き届いた大きな公園で、噴水を取り囲むようにベンチがいくつも置かれている。

    「じゃあ、ちょっとお手洗いに行ってくるから」
    「はい、ここで待っていますね。でもコハルちゃん、一人でできますか?お手伝いしましょうか?」
    「何のよ!いらないってば、このバカ!」

    顔を真っ赤にして走っていったコハルの背を見つつ、ハナコはこれまでの情報の整理を始めた。

    今日は本来平日であるはずだが、急に一般生徒を対象に休みの連絡が入った。
    逆に言えば、一般ではなく学園にとって重要な生徒は登校の義務があるということ。
    ティーパーティー、シスターフッド、正義実現委員会……。

    一体何が始まろうとしているのか。
    昨日捕らえた模倣ヒフミの件と関係があるのだろうか。

    昨日はミメシスのヒフミを交えて遊ぶにあたって、セイアから事前に忠告を受けていた。
    彼女だけ見た目がヒフミと一切区別がつかないことが気になる。
    だから注意して見ていてくれ、と。

    そしてそのセイアの直感は当たっていた。
    最初こそ少し幼いヒフミという印象しかなかったのが、途中からどんどんヒフミと同じ振る舞いに近づいていき、後半はほとんど区別がつかなくなっていた。

  • 29二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 21:24:30

    まさかノアが見分けがつかないレベルになってるのか?

  • 30スレ主25/05/10(土) 21:25:56

    正直不気味だった。
    まるで高校生の着ぐるみを着た何か別の生き物が混じって、一緒にはしゃいでいるような、そんな違和感。

    そして夕方にはセイアから連絡があり、ミメシスのヒフミは連行されていった。
    その時アズサが匂いを辿ってすぐに判別していたが、さすがは特殊部隊出身だと思わず感心した。

    そして次に気になるのは、彼女が拘束された理由だ。
    おそらく自分達とは別行動していた模倣セイアに何かあったのだ。
    そこでミメシスたちは危険だとわかる情報がトリニティ側に伝わって、拘束に至ったのだろう。

    では、その内容は何なのか。
    あくまで一般生徒でしかないハナコには詳細は伝えられていない。
    ここから先、どのように情報を集めようかと考えていると……。

    「あの、"ブルアカ"のリアイベってこの辺りでも参加できるんですかね……?」
    「あっはい、大丈夫だと思いますよ」

    気付けば周囲に市民がぽつぽつと増えてきているのがわかった。
    彼らは"ブルアカ"と呼ばれる何かのイベントの参加者のようだ。

    一体どれほどの規模のイベントなのだろう。
    平日であるにも関わらず大人たちが皆スマホを見ながら歩き回っている。

    ここまで人を惹きつけるブルアカが何なのか気になったハナコは、ネットで調べてみることにした。

  • 31二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 21:41:34

    待て、ハナコ、止まれ

  • 32スレ主25/05/10(土) 22:12:05

    (ブルアカ……ブルーアークカタストロフ?)

    公式サイトのあらすじには、何気ない日常が惨劇へと変わり、方舟の乗船権を奪い合う物語とある。
    それがソーシャルゲームであることはわかったが、詳しい内容まではわからなかった。

    モモッターを見てもクリア報告や達成感に浸る投稿ばかりで、いまいちゲームのジャンルが見えてこない。
    そこでハナコは、近くにいる二人組へと尋ねてみることにした。

    「あの、すみません。私も"ブルアカ"を始めたいのですがどうにもわからない点が多く、よろしければご指導いただけませんか?」

    「ええ、大丈夫ですよ!僕ら事前登録ミッションの『アリウス戦』経験してるんで、一通り教えられると思います!」

    振り返った二人のうち、片方はさわやかな笑顔で快く応じてくれた。
    しかしもう片方はハナコを見て少し驚いた表情をし、隣の友人に待ったをかける。

    「ちょっと待って、この子トリニティ生だよ?」
    「え?あ、ほんとだ……」

    すると先ほど応じてくれた市民の表情に困惑の二文字が浮かぶ。
    トリニティ生に知られては都合の悪いことでもあるのか。

    ほんの気まぐれで調べたことだったが、どうやら思っていたよりも休校の件と関係がありそうだ。
    先ほどの『アリウス戦』といい、もう少し詳しく聞く必要がある。

  • 33スレ主25/05/10(土) 22:29:31

    「……ご心配には及びません。『諸々の事情』は把握しています。私はただ、一人のプレイヤーとして参加したいのです」

    もちろんハッタリだ。
    事情なんか把握してないし、ここで聞いた内容は全てトリニティへ報告するつもりだ。
    しかし、これで通じるかどうか……。

    「そうだったんですね、わかりました。ではアプリのダウンロードをして、まずアカウント登録をしましょうか。お姉さん、クレジットカードは持ってますか?カード番号の連携が必要なんです」

    「えっ?あ、ええ、まあ……」

    最近のゲームはそういうものなのか?
    普段あまりゲームをしないハナコは思わずたじろいでしまう。
    正直、情報収集のためとはいえ個人情報の中でも重要度の高いカード番号を渡すのは気が引けた。

    名前だけなら偽名などで誤魔化せるかと思ったが、カード会社に登録されている情報をゲームの運営に見られた場合、トリニティ所属である自分への情報漏洩を避けるためアカウント登録を止められる可能性がある。

    一か八かで登録してみるか、ハナコが財布を取り出そうとしたその時……。

    『みなさ〜ん!ブルーアークカタストロフ リアルイベント『トリニティ解放作戦』はまもなく開始となります!お手元にスマートフォンの準備はできていますか〜?』

    いつの間にか公園のそこかしこに置かれていた大型のスピーカーから、女性の声が響き渡る。
    それを聞いた市民たちは一斉に顔を上げ、期待に満ちた表情で辺りを見回している。

    しかしハナコにはアナウンスの声が酷く不快に聞こえた。
    例えるなら、録音した自分の声を聞いた時のような、あの感じ。

  • 34スレ主25/05/10(土) 23:06:54

    (そんな、まさか……!?)

    すると目の前の二人も何かに気付いたような顔でこちらを見ている。

    「あれ、この声お姉さんの声とそっくりですね。あ、もしかして運営の方だったりします!?サプライズとか!」

    非常にまずいことになった。
    セイアからミメシスについて話を聞いた時、ティーパーティーとヒフミ以外の生徒のミメシスも存在する可能性は考慮していた。

    しかし、よりにもよって最悪のパターンを引いてしまうとは。
    だがこれはチャンスでもある。
    運営になりすまして彼らから情報を引き出すべく、ハナコは呼吸を整え口を開く。

    「ええ、実は私は……」
    『違いますよね?オリジナルさん♡』
    「!?」

    突如後ろから声をかけられた。
    今度はスピーカー越しではなく、直接発せられた声で。

    『皆様、大変長らくお待たせいたしました!『責任を負う』準備はできていますか?』

    マイクを片手にハナコの横を通り過ぎ、市民の注目を集めながら噴水へと歩いて行く少女。
    その顔はハナコもよく知る顔である。

    そして少女は振り返り噴水に腰掛け、不敵な笑みを浮かべながらハナコの目を真っ直ぐ見つめ、語りかける。

    『ふふ、やっと会えましたね。私のオリジナルさん♡』

    彼女はトリニティ総合学園二年生 補習授業部所属、浦和ハナコのミメシスだった。

  • 35二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 23:37:14

    首脳陣だけじゃなくて根こそぎ総入れ替えする気か
    本当にマズいな…

  • 36スレ主25/05/11(日) 07:08:50

    保守コーナー 〜狐の夢のかけら〜

    やあ先生、保守の時間だよ。
    今度は一体どんな展開になるのかな。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    アズサ「コハル、こっちはダメだ!別の方向へ逃げろ!」

    コハル「こっちも駄目!追い込まれてる!」

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    ティーパーティーだけでなく一般生徒まで狙われている。
    政治とは無関係な者まで襲って、本当に戦争でも起こすつもりなのか?

    というわけで今回はここまでだよ。
    先生、次に保守が必要になる時また会おう。

  • 37二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 07:22:48

    ちょっと考察話してもいい?
    タイトルは「メフィストフェレスベアトリーチェ説」

  • 38スレ主25/05/11(日) 07:39:39

    >>37

    面白い話だね。

    正否についてはコメントできないけど、聞かせてくれると嬉しいね。

  • 39二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 07:44:11

    >>37

    まずベアトリーチェとはゲマトリアの幹部であり、アリウス分校の生徒たちを洗脳、憎しみを増幅させ利用することで、色彩を呼び込み崇高に至ろうとしたエデン条約編の黒幕である。

    その後最終編にて自らの計画を邪魔した先生に復讐するために色彩を呼び込んだ後同じゲマトリアのメンバーによって

    処刑された。

  • 40二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 07:53:08

    >>39

    ここで少しメフィストフェレスの目的を振り返ってみよう。

    彼女と彼女の率いるミメシス生徒たちの目的は色彩を使ってトリニティの生徒たちと自分たちを

    総入れ替えすることである。理由としては端的に言えば、復讐である。

    そもそもミメシス生徒たちは本物のトリニティ生徒たちとは雲泥の差があるほどの貧しい生活をしていた。

    本物のトリニティ生徒たちは幸せな生活をしているのにもかかわらずである。

    そりゃねたんでも不思議ではないが彼女たちの憎悪と幸せへの執着は尋常ではない。

  • 41二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 08:01:42

    >>40

    そこで一つ思い出してほしい、アリウス分校の生徒たちの生活を。

    彼女たちも憎悪にまみれていたがミメシス生徒たちと同様貧しいながらも幸せな生活をしていた。

    だが彼女達の心に憎悪を植え付けたのがベアトリーチェである。

    メフィストフェレスはミメシス生徒のリーダーとして憎しみを増幅させそれを率いている。いわば利用している。

    ベアトリーチェもまたアリウス分校の生徒会長…すなわちリーダーとして憎しみを増幅させそれを率いている。

    いわば利用している。

    そう、手段までも同じなのだ。

  • 42二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 08:03:28

    >>41

    更に言えば二人とも計画性において優れていることもまた共通している。

    ここまで根拠をすべてまとめたので結論に至ろう。

  • 43二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 08:19:12

    >>42

    まずミメシス生徒たちが貧しくも幸せな生活を送っていた、しかし、ベアトリーチェが

    阿慈谷ヒフミのミメシス生徒としてやってきた時から一変した。

    ベアトリーチェはアリウス分校の生徒たちに行った「教育」を参考に改良を加えた「教育」を使って、

    ミメシス生徒に憎しみと異常なまでの憎悪を植え付けた。

    そしてベアトリーチェはミメシス生徒たちの復讐を大義名分として先生の復讐を果たす為メフィストフェレストとして

    今回の計画を引き起こした。

    …というのが「メフィストフェレスベアトリーチェ説」の詳細である。

  • 44二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 08:22:26

    >>43

    最後にこのスレの真なるタイトルは何かを話しておこう。

    この物語のタイトルは「にせティーパーティーの逆襲」ではなく、「ベアトリーチェの逆襲」であると

    この「メフィストフェレスベアトリーチェ説」が真実だった場合の仮定として言っておこう。

  • 45二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 08:25:57

    >>44

    いかがでしたか?そもそもこの説は絶対にあってほしくない説なんですよ、でもそれしか考えられなくて。

    反論などがあれば聞いておくので何といってください。

    ではここまでのご視聴ありがとうございました。

  • 46二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 08:34:49

    >>45

    何といってください。×

        ↓

    何でも言ってください○

  • 47>>15、2325/05/11(日) 11:47:48

    >>37

    興味深い仮説だ

    復活のベアトリーチェか…その発想はなかった。確かに彼女だとしたらミメシスを弄れてもおかしくはない

    ベラベラ喋り過ぎ感があるのも、若返った体に精神が引っ張られてるとかだったら納得はいく

    捕まった模倣ナギサの醜態も洗脳教育の結果だとするなら、これも納得はいく


    しかし…正直言いがかりに近いし、看守ちゃんの煽り発言に滅茶苦茶引っ張られてる感がある反論だけど

    復讐が目的だとするなら、自由意思のミメシスっている?憎悪で方向性与えて扇動するよか取り上げて、それこそ『逆らわないお人形』に仕立て上げた方がいいのでは?実際模倣セイアが離反してるし。

    私は今回の事件起こすにあたって、作ったミメシスにトリニティ生のガワ張って急造したんじゃないかと予想しています。

  • 48二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 12:11:44

    >>45

    それに何故ミメシスが「アツコ」じゃなく「サオリ」を狙った理由が思いつかないベアトリーチェなら「アツコ」のほうが狙いやすいぐらいわかっているはずなのに。

  • 49二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 13:18:53

    このレスは削除されています

  • 50スレ主25/05/11(日) 13:21:21

    「え、どういうこと?お姉さんが二人いる……」
    「でもちょっと色違うよね?2Pカラー的な?」

    市民たちはハナコが二人いることについて驚いている様子だった。
    しかし当のハナコたちは既に思考をその先まで巡らせている。

    『こんなところで出会うとは、運命というものは本当にあるのかもしれませんね』
    『ですが、今はあなたに構っている時間はありません』

    動揺で言葉を発せずにいるハナコをよそに、模倣ハナコは立ち上がり再び市民へ向けて話し始めた。

    『皆さん、まずは『シッテムの箱』を起動させましょう。システム接続パスワードは事前にお伝えした通り、皆さんご存知ですね?ではご一緒に、せーのっ!』

    「「「……我々は望む、ジェリコの嘆きを。」」」

    「「「……我々は覚えている、七つの古則を。」」」



    何やら呪文のような言葉を口にした途端、市民たちのスマートフォンから次々と通知音が鳴り響いた。
    そして画面を開くとそこには小学生くらいの少女が映っており、こちら側へ話しかけてくる。

    『『シッテムの箱』へようこそ。就任おめでとうございます、今日からあなたは先生です』

  • 51スレ主25/05/11(日) 13:22:57

    『ようこそ』『ようこそ』『今日から』『おめでとうございます』『先生』『シッテムの箱』『ようこそ』『就任おめでとうございます』『今日から』『今日』『今日』『おめでとうございます』『今日からあなたは先生です』『シッテムの箱』『ようこそ』『就任おめでとうございます』『今日から』『今日』『今日』『おめでとうございます』『ようこそ』『ようこそ』『今日からあなたは先生です』

    街中の至る所で同じ音声が聞こえる。
    市民たちは困惑と、これから始まるゲームへの期待が混ざり合ったような顔で画面を見ている。

    『私はシッテムの箱のメインOS兼、ブルーアークカタストロフのナビゲーター兼、愛を司る者、A.R.O.N.A。私のことはあだ名で、コロナとお呼びください』

    片目の隠れた銀色のロングヘアーに、オレンジ色のセーラー服の少女は微笑みを浮かべそう名乗る。

    『さあ、この私の指に、先生の指を当ててください』

    画面の向こうからカメラに向かって人差し指を示すコロナ。
    指示に従い指を添える市民。

    直後、その市民の目前に青黒い光の柱が立ち上がった。
    そして、同じような現象が街の至る所でも起こっている。
    数秒後光は消え、そこにはユスティナ信徒のミメシスが佇んでいた。

  • 52二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 13:58:20

    >>47

    その仮定も面白くていいね。


    >>48

    確かに。

  • 53スレ主25/05/11(日) 18:19:05

    「おお!近くで見ると迫力あるなぁ……!」

    目を輝かせる市民。
    あちこちで棒立ちになっているユスティナ信徒。
    異様な光景だった。

    (ミメシス、トリニティ解放作戦……っ!)

    ハナコはこの後起こる事態を即座に理解し、怖気が走った。

    「司会者さん、このゲームは……」
    『ええ、ご想像の通りかと。ですが念のため、改めて説明させていただきましょう』

    本物を凌駕している優越感からか、模倣ハナコの表情は余裕に満ち溢れていた。

    『ブルーアークカタストロフ!それは、何気ない日常が惨劇へと変わり、方舟の乗船権を奪い合う物語』

    『皆さんは先生としてサポーターのコロナさんと共にシッテムの箱を駆使して、そちらのユスティナ信徒を指揮していただきます』

    『ボイスチャット機能も搭載されていますので、遠隔地からでもミメシス同士で会話することが可能となっています』

    説明を聞いていた市民が、目の前のミメシスを見ながらスマホへ向かって話しかける。

    「ボイスチャット?あーあー」
    『ボイスチャット?あーあー』
    「おお……!」

    『そして随時公開されていくミッションに従い、敵を打ち倒していってください!』

    『つまり、皆さんは力を手にしたということです!このキヴォトスから全ての悪人を排除することのできる、神にも等しい力を!』

  • 54スレ主25/05/11(日) 19:07:08

    『そしてノアの方舟の逸話のように、正しい心を持った人々が心地よく生きられる世界を共に作りましょう!』

    模倣ハナコの演説に市民たちは大歓喜している。
    その様子に彼女はすっかり機嫌を良くし、さらに説明を続ける。

    『さて、最初のミッション『トリニティ解放作戦』ですが……』
    「動かないで」

    そんな模倣ハナコの後頭部に銃口が突きつけられる。
    それは補習授業部兼、正義実現委員会所属、下江コハルのものだった。

    「コハルちゃん……!」

    一人で心細かったところに親友であるコハルが駆けつける。
    しかしミメシスたち全員を相手できるほどの戦力は当然こちらには無い。
    模倣ハナコは余裕を崩さずゆっくりと両手を上げ、顔をコハルの方へ振り向かせる。

    『あら、コハルちゃん。いきなり銃を向けるだなんてご挨拶ですね?この行為は正義のためのもの。コハルちゃんとも意見が合うと思うのですが……』
    「ふざけないで。この怪物たちは何?あんたの仕業?もう正義実現委員会へは連絡済みよ。すぐにでも引っ込めさせなさい!」

  • 55スレ主25/05/11(日) 20:18:05

    『さて、困りましたね。どうにかご理解いただきたいのですが…………ねっ!』

    言い終わると同時に模倣ハナコは体勢を屈め、コハルへ足払いを繰り出す。

    「きゃっ!?」
    「コハルちゃん!」

    コハルはその場に倒れ込むが、即座に体勢を立て直し模倣ハナコへ銃弾を打ち込む。
    ハナコもそれをサポートするために銃を構え、自身の分身へ向かって攻撃を開始した。

    『うふふふふふふふふふ♪』

    しかしそれらの銃弾はただの一発も模倣ハナコへは当たらなかった。
    彼女は素早い身のこなしとアクロバティックない動きで銃弾の雨の中をバレエのような動きで潜り抜けている。

    そんな中、ハナコはコハルの元へ駆け寄った。
    そして二人と向かい合うように、模倣ハナコは銃も構えず堂々と両手を広げて立っている。

    「コハルちゃん、大丈夫ですか!?」
    「平気よ。にしてもあいつは何なの?あんたの偽物にしては強すぎない?」

    ハナコもコハルと同意見だった。
    正直、戦闘は得意な方では無い。
    当然、二人から同時に発砲されてそれを全て躱せるような運動能力も持ち合わせていない。

    一体なぜ?
    その疑問に答えるように模倣ハナコは口を開く。

  • 56スレ主25/05/11(日) 20:43:09

    『あなたたちの弾丸は全て見えていますよ?まるで止まっているかのように。当然、オリジナルの浦和ハナコには無い力です』

    『私はあのお方との取引で、弾丸を全て見切れるだけの視力と、無茶な動きを実現できる身体能力を手に入れました。本来私の役目はブレーンですが、護身くらいはできないといけませんからね』

    「取引?代償に何か支払ったようですね。あなたは一体何を……」

    ハナコが言い終わらないうちに、模倣ハナコはハナコとコハルの間へ瞬時に移動してきた。
    そして後ずさるハナコのライフルを蹴り上げ、模倣ハナコはそれと同じ形の銃を抜き、ハナコへ向ける。

    「ハナコ!!」

    直後、銃口から火花が飛び出す。
    あやうく命中するところだったが、ハナコは身を捻り間一髪で躱す。

    「あっ!」

    しかし、発射された弾丸のうち数発がハナコの鞄を掠め、破れたところから本がバサバサと溢れ、床に散らばった。
    それらはハナコが様々な目的で日頃持ち歩いている、成人向けの本たちだった。

    『あなたはまたこんなものを……っ!』

    それを見た模倣ハナコは、まるで汚物でも見たかのよう本から目を逸らした。
    そして怒りのままに銃を本に向かって撃ち込み、辺りを紙屑だらけにしてしまった。

    『汚らわしいっ!自身の役目も果たさずこんなものにうつつを抜かして!それなのに……!』

  • 57二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 20:53:03

    すごく言い方悪いけどさ、ハナコがハナコである所以を自ら消し去ってないか?このミメシスハナコ

  • 58スレ主25/05/11(日) 21:23:32

    模倣ハナコは怒りに歪み、本物なら決してしないであろう表情をしている。
    そして一度呼吸を整え、市民たちへ向かって声をかけた。

    『ふーっ……。さて先生の皆さん、ご覧いただけましたか?このようにトリニティ生は野蛮で強欲な、善悪の区別のついていない罪深い存在なのです!』

    『彼女たちには正しさを伝える大人の皆さんの力が必要なのです!今こそ狂気で閉ざされたトリニティを解放し、方舟へ乗るに相応しい教育をしてさしあげましょう!』

    『トリニティ解放作戦、開始!!』

    模倣ハナコの合図と共に、ユスティナ信徒たちが一斉にハナコたちへ視線を向ける。
    一方で市民たちにはまだ戸惑いがあるようだった。

    「え、これ押したら本当に攻撃するの……うわっ!?」

    一人の市民がスマホを操作したところ、目の前のミメシスがハナコへ向かって発砲を始めた。
    それを見た他の市民たちも『試しに』といった様子で攻撃を始める。

    「まあトリニティって前からちょっとお高く止まってるとこあったよな」
    「とりあえずみんなやってるし、一応撃っておくか。参加報酬だけでも結構いいアイテム手に入るし」
    「ちょっと銃弾当たったくらいじゃ死なないでしょ?」

  • 59スレ主25/05/11(日) 22:05:58

    ミメシスたちが次々とハナコたちへ攻撃を始める。

    「ハナコ、逃げるわよ!」

    このままではまずい。
    コハルはハナコの手を引いて急いでその場から逃げ去った。

    『こんな本ばかり見ていないで、もっと日頃からトリニティのために手腕を振るっていればもっと対抗することもできたでしょうに』

    『どこまでいっても自分本位。あなたの怠慢が友人を、トリニティを殺すことになるんですよ』

    『わかるんですよ、同じ存在だから。結局、あなたが愛しているのは自分だけ』

    「っ!」

    銃声と、それに驚いた無関係の市民たちの悲鳴で辺りは騒然となっていた。
    にも関わらず、その言葉だけははっきりとハナコの耳に入り、棘のように彼女の心に突き刺さった。

  • 60スレ主25/05/11(日) 22:27:42

    コハルとハナコが街中を逃げ回っていると、少し離れたところにヒフミとアズサとアツコの姿が見えた。
    おそらく自分たちと同じように襲われ、逃げて来たのだろう。

    「コハル、こっちはダメだ!別の方向へ逃げろ!」
    「こっちも駄目!追い込まれてる!」

    五人は合流できたものの、周囲はミメシスに取り囲まれている。
    そして後ろには大きな百貨店のビル。
    万事休すか、そう思われた時。

    突如爆発が起こり、目の前のミメシスたちが同時に十体ほど吹き飛ばされた。
    ミサイルが撃ち込まれたのだ。
    アズサが飛んできた方向を見ると、そこにはロケットランチャーを担いだ、自分のよく知る人物が立っていた。

    「アズサ、アツコ!トリニティの人も!こっちへ来て!」

    彼女はアリウススクワッド所属、戒野ミサキであった。
    そして彼女の横の路地から、薄水色の髪の少女が顔を出す。

    「先生から伝言を預かっています!避難所まで一緒に来てください!」

    彼女もアリウスのメンバー、槌永ヒヨリである。
    思わぬ救援だったが助かった。
    五人はミサキたちの方へ走り出す。

    『逃げるぞ!撃て撃て撃て!!』

    ミメシスたちも逃すまいと追撃をくり出す。
    そしてそのうちの一体がロケットランチャーを構えているのが見えた。

  • 61スレ主25/05/11(日) 22:54:02

    それを見たヒフミが囮にするため、ペロロ人形を射出する円盤型の装置をリュックから取り出した。

    「助けて、ペロ……ああっ!」

    しかしミメシスの銃弾によって弾き飛ばされてしまった。
    そしてロケットランチャーが発射され、ヒフミの目前に迫る。
    絶体絶命の危機であるのに、ヒフミにはその弾がとてもゆっくりに見えた。

    その時目の前にアツコが立ち塞がったことで弾は彼女に直撃し、大きな爆発を起こした。

    「アツコさん!!!!」

    『え、当たっちゃったんだけど……』
    『ヤバくね?き、救急車呼んだ方がいいのかな?』

    大きく後ろに投げ出されるアツコ。
    自分がやったことにも関わらず、それを見たミメシスたちも思わずたじろいでいる。

    「この……っ!」

    ミサキがロケットランチャーをミメシスたちの足元へ放ち、着弾地点で爆風を起こす。

    「今のうちに!」

    アズサはアツコを抱え、一同は路地の中へ逃げていった。

  • 62スレ主25/05/11(日) 22:54:36

    どれくらい逃げただろう。
    気がつけば雨が降り始めており、皆ずぶ濡れになっていた。
    アズサは一度地面にアツコを寝かせ、意識の有無を確かめる。

    「アツコ!!アツコッ!!!!」

    しかしアズサの叫びにも反応を示さず、姫は眠り続けたままだった。
    聞こえてくるのは雨音だけ。
    それはまるで、ミメシスたちの勝利を祝う拍手のようであった。

  • 63二次元好きの匿名さん25/05/11(日) 23:43:06

    あー…箱をそういう風に使うか
    ある意味先生の複製作り出したな、大量に
    この分だと、大人のカードも碌な使い方されないだろうな。ゲーム的な見方するなら課金アイテム枠
    それかメフィスト自身が使うのか……プライベート端末も奪おうとしたのはモモトーク枠にするためかな?
    アツコがやられた……模倣サクラコが渡してた特別な弾とかいうのと同じヤツかな?
    先生や本来攻撃に行ってる正実やシスフは無事だろうか……それにミカ率いるボランティア部も…

  • 64二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 04:51:00

    絶☆望

  • 65二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 06:41:10

    ああ…。Oh God No…。

  • 66スレ主25/05/12(月) 07:54:46

    保守コーナー 〜狐の夢のかけら〜

    やあ先生、保守の時間だよ。
    今度は一体どんな展開になるのかな。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    "現ティーパーティーのホストである百合園セイア氏は市内を逃走中。ティーパーティー解散に応じず、ほとぼりが冷めるまで責任の追及から逃れる算段か"

    "セイアちゃん逃げちゃったwwww"

    "ニュース出た途端無言逃亡は闇深すぎ"

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    これはネットニュースを掲載しているとあるサイトのコメント欄だね。
    どうやらインターネットの中では姉さんは悪者になっているらしい。
    彼女のことも知らずに、よくもぬけぬけと……!

    というわけで今回はここまでだよ。
    先生、次に保守が必要になる時また会おう。

  • 67二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 08:09:38

    地・獄・絵・面

  • 68二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 08:51:03

    メフィストは結局何がしたいのかな?

  • 69二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 10:05:05

    キヴォトスの支配か、あるいは
    看守ちゃんが煽ったように『何者』かになりたいんじゃない?

  • 70二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 14:03:14

    >>66

    これではエデン条約編の二の舞じゃないか!(正論)

    これもすべてベアトリーチェの仕業に違いない!(暴論)

  • 71スレ主25/05/12(月) 14:58:27

    その頃、本物のセイアはタクシーに乗り街から離れるように移動していた。
    表向きは先生とパトロールという体で、誰にも行き先を教えず一人移動を続ける。
    みんなが戦っている中で一人逃げるのは気が引けたが、模倣セイアの視た未来を回避するためには仕方がなかった。

    (ナギサにはあの子の無茶を止めるように頼んである。大丈夫だとは思うが……ん?)

    セイアが不意に違和感を感じ、窓の外に目線を向けた瞬間、おびただしい数の青黒い光の柱が立ち上がった。
    そしてそれらが消えたところに、ユスティナ信徒のミメシスが出現した。

    「なっ!?」
    「な、何なんですかこいつら!?」

    セイアだけでなくタクシーの運転手までも驚きの声をあげた。
    こんな街の外れまで埋め尽くすほどの数が出現したとなると、学園の方は一体どうなっているのか。

    奴らの狙いがトリニティ関係者だとすると、ここで見つかるのはまずい。
    セイアは車外から見えないよう身を隠しながらモモッターで現在の状況を調べる。
    するとそこには、目を疑うような文章が並んでいた。

    "トリニティ総合学園、ついに崩壊か"

    "エデン条約調印式襲撃事件の際に被害に遭った一般市民への対応が不十分であるとして、インターネット上でたびたび議論が交わされてきた"

    "そしてついに、ティーパーティー解散を求める市民による署名が三万人分集まったとされ、これに応じる様子のないトリニティへ一般市民有志らが実力行使に出る結果となった"

  • 72二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 17:00:46

    万魔殿モブ「マコト様流石です!マコト様の謀略でトリニティは時期崩壊しますね!」

  • 73スレ主25/05/12(月) 18:34:48

    (なんだこれは!?どれもこれもまるで出鱈目だ!)

    確かにエデン条約の件で市民から不満が出たことはあったが、トリニティ側は真摯に対応し、和解まで至っている。
    それに署名三万人分というのもおかしい。
    それだけ大規模な運動ならトリニティの耳に入っているはず。

    (悪意のある何者かが、トリニティを陥れるための記事をでっち上げたんだ!それを襲撃のタイミングと合わせて公開してきた……)

    おそらくこれもメフィストの策略だろう。
    対応策を考えるべく調査を進めていると、さらに恐ろしい投稿が発見された。

    "現ティーパーティーのホストである百合園セイア氏は市内を逃走中。ティーパーティー解散に応じず、ほとぼりが冷めるまで責任の追及から逃れる算段か"

    "セイアちゃん逃げちゃったwwww"

    "ニュース出た途端無言逃亡は闇深すぎ"

    "ブルアカのミッションでセイアちゃん捕まえたら表彰と賞金だって!!"

    顔も知らない悪意ある一般人たちが自分を狙っている。
    それも、街を埋め尽くすほどの大量のミメシスという強力な力を駆使して。

  • 74スレ主25/05/12(月) 20:26:33

    恐怖で呼吸が浅くなり小さく震えていると、運転手が毛布を差し出してくれた。

    「お客さん、さっきからずっと隠れようとしてますよね?あの外の黒いシスターのお化けが関係あるんですかね?これ、使ってください」
    「あ、ああ、すまない……」

    セイアは毛布にくるまり、体を温めたことで少し安心する。
    そうだ、何も周囲の人間全員が敵なわけではない。
    この運転手のように、暖かい心を持った人もいる。

    しかしいつまでもここにはいられない。
    タクシーには客とのトラブル防止用に監視カメラが付いているため、その映像をハッキングなどで見られた場合すぐに気付かれる。
    自分を匿っている今の状況でさえ危険なのだ。
    これ以上善良な市民に迷惑はかけられない。

    「……運転手さん、人通りの少ないところへ移動してほしい。そこで降りるよ」
    「大丈夫なんですか!?」

    「ああ、こう見えて隠密行動は得意でね。とある学園の特殊部隊とも共闘したこともある。だから大丈夫さ」

    「……わかりました。もう少し進んだところで、路地の前でドアを開けます。そうしたらすぐに走ってください。お代は後日で構いません。どうかご無事で」

    「ありがとう。必ず払いに行くよ」

    タクシーが停車し、ドアを開いた途端セイアは飛び出し、そのまま路地に逃げ込む。

  • 75スレ主25/05/12(月) 22:22:17

    まっすぐ進み、人の気配を感じたらより静かな方へ進む、これを繰り返していく。
    この辺りは飲食店が多いせいか、生ごみを捨てるためのバケツなどもありとても進みにくい。

    (確かここの近くにはナギサのセーフハウスがあったはずだ。そこまで逃げ込めれば……っ!)

    後方だけでなく前方の曲がり角の先からも人の声が聞こえる。
    挟まれそうになったセイアだが、偶然道端に段ボール箱が落ちているのを見つけ、すかさずそれに潜り込む。

    (助かった。まさかこんな所にPC梱包用の大きな箱が落ちているとは)

    路地の両側から足音が聞こえ、セイアの方へ近づいてくる。

    (……いや待て。なぜ飲食店の多い通りにPCを梱包する箱なんかが落ちている?しかも一つだけ)

    これは罠だ。追い詰められた狐が思わぬ反撃や想定外の逃走に出ないための偽物のゴール。
    しかしそこまで考えが至ったところで、迫っていた足音が箱の目の前で止まった。

    そして外側からホースのようなものを差し込まれ、何かのガスを注入された。

    『ハナコ様、百合園セイアの確保が完了しました』

    ユスティナ信徒の声を聞き、考え得る限り最も厄介な生徒が敵戦力に加わっていたことを知りながらセイアは意識を落とした。

  • 76二次元好きの匿名さん25/05/12(月) 23:30:07

    直感仕事してない…

  • 77スレ主25/05/13(火) 07:24:07

    保守コーナー 〜狐の夢のかけら〜

    やあ先生、保守の時間だよ。
    今度は一体どんな展開になるのかな。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    ミカ『セイアちゃんなんて大っ嫌い』

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    私が間違えたんだ。
    友を裏切り、自分を受け入れてくれた人たちを危険に晒した報いを受ける時が来たんだ。

    というわけで今回はここまでだよ。
    先生、次に保守が必要になる時また会おう。

  • 78二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 07:46:17

    >>77

    君のせいじゃない。悪いのはメフィストフェレスじゃないか!

  • 79二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 07:50:01

    捕囚授業部の意図を少ない情報から導いた神秘的な頭脳がユスティナ側にブレインとして居るわけだから
    ホスト且つ友人のセイアちゃんとしてはイケない事態❤と言えますね
    バッドエンドスチルのハナコが一切を諦めた表情にはお労しさがありましたが…

  • 80二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 08:02:53

    メフィストというか現状敵対している模倣ミメシスからは「言うはずがないだろう!」という感じのやつを感じる
    「ニワカの2次創作」とでも言うべきか(やけに強くて、コハルに辛辣なハナコ 明るすぎたヒフミ等)

  • 81二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 09:24:42

    >>77

    お、重い……

    ミメシスセイア…そんなに自分を責めないでくれ…

  • 82スレ主25/05/13(火) 14:13:48

    場所はトリニティ総合学園前中央広場に戻る。
    メフィストによる『ブルアカ宣言』の後、ミメシスたちの侵攻によりトリニティはほぼ壊滅状態まで追い込まれていた。

    戦闘力の高いミカ、ミネ、サクラコ、ツルギのミメシスが暴れ回っているのに加え、ユスティナ信徒のミメシスが数の暴力で押してくる。

    さすがの正義実現委員会でも厳しい状況だ。
    そしてナギサと模倣セイアは、ユスティナ信徒たちに取り押さえられてしまっていた。

    『なんか、終わってみるとあっけないですね』

    トリニティが崩されていく様子を見ながら、どこかつまらなさそうにしているメフィスト。
    すると彼女の携帯に着信があった。

    『もしもし、どうしたのハナコちゃん?え、セイアちゃんの確保できたの!?お〜ありがとう!じゃあ早速こっちに連れて来てもらって……既に向かってる!?おぉ、痒いところに手が届く!』

    「ハナコ……ハナコさんですって!?それにセイアさんまで……彼女に何をしたのですか!!」

  • 83スレ主25/05/13(火) 18:34:43

    『ああ、ハナコちゃんのミメシス?作戦立案の補助とか脱獄の手助けとか色々手伝ってもらってますよ。彼女、ビックリするくらい有能なんですよね』

    『あとセイアちゃんなら大丈夫ですよ、怪我なんてさせてません。ほら、ティーパーティー解散するのに諸々の手続き必要じゃないですか?その書類の場所とか本人に聞かないとわからないだろうなーって♪』

    外部協力者の正体とは模倣ハナコだったのだ。
    得意げに語るメフィストの元へ模倣ナギサが歩み寄る。

    『メフィスト様、我々が有利な状況ではありますが、あまり悠長なことは言っていられないかと。先ほどこちら側のセイアさんが『色彩』に触れることによる『反転』を目論んでいましたので』

    『え?それってアビドスのシロコちゃんみたいになって、私たちのこと倒そうとしたってこと?できるのかなぁそんなこと……』

    模倣ナギサの報告を受けるもメフィストは半信半疑だった。
    色彩とはそんな都合の良いパワーアップアイテムではない。

    確かに模倣セイアは未来を視ることができるが、断片的なシーンを見て勘違いした可能性もある。
    もう少し深掘りする必要があるとメフィストは判断した。

  • 84スレ主25/05/13(火) 19:04:48

    『そもそも色彩って呼んだら素直に来るような可愛らしいものだっけ?ブラフだったと思うけどなぁ〜私は!』

    『い、いえ、とてもそうは見えませんでした。セイアさんはその戦力を勘定に入れた戦力配置だと思っていたようですし』

    その言葉を聞き、メフィストの中で最悪の未来への可能性が生じる。

    (それ前提の戦力配置?もしセイアが本当に反転している未来を視ているならまずい。手を打たないと逆転どころか詰まされる!)

    するとメフィストの思考を遮るように、広場の端に一台の車が停まる。
    そして二人のユスティナ信徒に連れられ、車の中から本物のセイアが連行されてきた。
    自分で指示しておきながら最悪のタイミングになってしまった。
    メフィストの中に焦りが生まれ始める。

    「メフィストフェレス……!この街を混乱の渦に陥れたのはお前の仕業だな!?」

    『……久しぶりですね、セイアちゃん。どうです?昨日拘束した相手に、今度は追い回される気分は?』
    「……」

    セイアは憎々しげにメフィストを睨みつけている。

  • 85スレ主25/05/13(火) 19:38:31

    『気に入ってもらえました?ブルーアークカタストロフ。まあ偉そうなこと言いつつ、半分はハナコちゃんの手柄ですけどね』
    「ふざけた真似を……!」

    メフィストは憤るセイアを横目で見つつ、次の手を考えていた。

    (とりあえずトリニティは手に入った。次の戦闘の前に一旦兵を増やした方がいいかな?連邦生徒会とシャーレはちょっと準備期間いるだろうし、まあ次の狙いは無難にゲヘナか)

    (いや、その前に阻止しなくてはいけないのは色彩によって双方壊滅的な被害を受けること!すぐに戦闘を停止させないと……ん?)

    不意に模倣セイアの方を見ると、彼女はまるでこの世の終わりにでもなったかのような顔でセイアの方を見ていた。

    『姉さん……!』

    (動揺している!命は奪わないって言ったのに。彼女が色彩を呼ぶのか……?)

    (いや、今の彼女に戦う意志は見られない。さすがにこの状況で反転しても味方を大勢巻き込む可能性だってあるし、そういう判断をする子じゃないとは思うけど……)

    すると模倣セイアは拘束を解こうともがき、周囲へ向かって叫び始めた。

    『誰か!姉さんを連れて逃げてくれ!早く!どんどん私が視た夢に近づいている!このままでは、トリニティは壊滅的な被害を受ける!』

  • 86スレ主25/05/13(火) 20:22:02

    その言葉を聞いた途端、メフィストは身震いした。

    (セイアを遠ざけようとしている。間違いない、どういう流れかはわからないけど、反転するのはこちら側のセイアじゃない。百合園セイアだ!)
    (まずい!セイアを連れてきたのは間違いだった!すぐにでも二人を引き離さないと……)

    『セイアちゃんうるさい』

    メフィストが指示を出そうとしたその時、銃を持った模倣ミカが模倣セイアの前に立っているのが見えた。
    その銃は模倣セイアの胸元へ突きつけられ、その引き金には指がかかっていた。

    『……ミカちゃんちょっと待って!!』

    しかしメフィストの言葉は模倣ミカには届かない。

    『……ミカ』

    模倣セイアが消え入りそうな声で友の名を呼ぶ。

    『私言ったよね、お姫様になりたいって』
    『それなのに先生とカラオケとかスイーツビュッフェとか行っちゃってさ。私は遠くから隠れて見ることしかできなかったのに』
    『それで先生に色目なんか使っちゃって。あれ、本気で気持ち悪かったんだけど』

    模倣ミカの目には強い憎悪がこもっていた。
    そんなつもりではなかったが、結果的に彼女に強い憎しみの感情を芽生えさせてしまった。
    模倣セイアは何も言うことができず、ただ友の目を見つめることしかできなかった。

    『セイアちゃんなんて大っ嫌い』

    直後、銃口から発射された弾丸は模倣セイアの胸を貫いた。

  • 87二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 20:24:45

    あっ……
    セイアからしたら、もう本当の家族みたいなものだもんね……はは……

  • 88スレ主25/05/13(火) 21:20:46

    セイアは見てしまった。
    目の前で妹が撃たれるところを。
    撃たれた直後、彼女が糸の切れた人形のように地面に倒れてしまうところを。

    「セイア!!!!」

    『え、死んだ?』
    『銃で?どういうこと?』

    セイアを拘束しているミメシスたちも動揺していた。
    その隙を突き、セイアは掴まれた手を振り解いて模倣セイアの元へ駆け寄った。

    「セイア!!セイア!!」

    模倣セイアへ声をかけ、意識の有無を確かめる。

    『それでも……愛してる……』

    焦点の合わない目線に、掠れたような小さな声。
    その言葉を最後に、模倣セイアは今にも消えそうな小さな呼吸をゆっくりと繰り返すことしかできなくなっていった。
    その胸には穴が空いており、その周囲と背の付いている地面が真っ赤に染まっている。

    「あ、あああ……何で、どうして……!?」

    何もすることができず、ただ慌てて周囲を見回すことしかできない。
    誰か、救護騎士団の生徒はいないのか。
    そもそもなぜ銃弾一発で致命傷になっているのか。

  • 89二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 21:31:36

    バッドエンド確定ですねーこれ。
    はい、ありがとうございましたー。(諦め)

  • 90スレ主25/05/13(火) 21:50:45

    その様子を見ていた模倣サクラコが得意げに語る。

    『いかがですか?数多の技術を取り込んで強化されたシスターフッド特製の弾丸は。裏切り者の処刑などお手のものですよ』

    「なん……だって……!?」

    模倣セイアのヘイローが燃え尽きた灰のようにぽろぽろと崩れていく。
    その様子を見れば、模倣サクラコの言葉が嘘ではないことがはっきりとわかった。

    もう助からない。
    セイアはただ、妹が苦しくないように頭を撫でてあげることしかできなかった。

    『ね……さ……』

    模倣セイアが片手を上げ、何かを探すように空中を手で探っている。

    「何だい!?私ならここいいるよ!!」

    セイアがその手を取ると安心したのか、模倣セイアはかすかに微笑む。
    そして、ふう、と一回息を吐き出したところで彼女の呼吸は完全に止まった。

    「ああああああ!!待って、行かないでくれ!まだ話せていないことが沢山あるのに!!」

    セイアは子どものように喚いているが何もできず、ついに模倣セイアのヘイローが音も無く砕け散り、その目から光が消えた。

  • 91スレ主25/05/13(火) 22:08:11

    「あ……」

    セイアは項垂れ、へたり込んでしまった。
    そしてその感情を表すように雨が降り始める。
    それはすぐに土砂降りになり、皆ずぶ濡れになっていった。

    その様子を傘も差さず、少し離れたところから見ていた少女が二人。

    『……終わりましたね、ミカさん』
    『そだね。行こっか、ナギちゃん』

    彼女たちの顔は達成感というよりは疲労感に満ちている様子だった。
    しかし彼女たちにはまだやらねばならないことが山ほどある。
    新生ティーパーティーとしてトリニティの建て直しを行う、それが彼女たちの役割だ。

    模倣ミカに模倣ナギサが寄り添い、より良い未来のため二人はトリニティの校舎を目指して歩き始めるのだった。








    「どこへ行く」

  • 92二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 23:20:22

    ヘイローにヒビが入ってそうですね、目に光もなさそうだ()

  • 93二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 23:56:40

    ちょっとここで模倣セイア脱落は予想できなかったな……なんやかんやで生き残るか、最後に消えるかと思ってた。

    滅茶苦茶ショックでもあるが、色々興味深い事実も出てきた。

    模倣ミカはともかく模倣サクラコ様は絶対言わないようなこと言ってるな。サクラコ様もメフィストが弄った可能性もあるけど、確かに>>80のように感じるな…。等価交換という名の別物だったりする可能性がある?

    メフィストでも色彩召喚されるのはマズいんだ?てっきり対抗策あったりするもんだと思ってた。




    今回の予告を見てから薄ら思ってたんだけど……………予知夢の推定セイア*テラーってホシおじと同じ自力反転の可能性ある?あとメフィスト自力反転のこと知らなかったりする?まぁテラー化=色彩の方程式に引っ張られてる可能性もあるけど

  • 94二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 07:30:13

    保守

  • 95スレ主25/05/14(水) 07:40:03

    保守コーナー 〜狐の夢のかけら〜

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    ミカ『やだ!!セイアちゃんやめて!!痛い!!痛い痛い痛い痛いやだやだやだやだやだやだやだや』

    ナギサ『いっ、嫌!待ってくださいセイアさん!ごめんなさい!許してください!ごめんなさい!ごめんなさい!!嫌っ!いやああああああああああ!!!!』

    ナギサ「セイアさん!目を覚ましてください!あなたの悲しみを、怒りを、私に分けてください!」

    ナギサ「あなたを決して一人になんてさせません!!」

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    ……こんなものは先生に見せられないね

  • 96二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 11:02:46

    >>95

    もっと悪くなっていく…。

    ここから大団円につながると信じてます。

  • 97二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 12:45:23

    >>95

    素晴らしい、家族が死して復讐をする姿は!!

  • 98二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 13:15:57

    >>97

    「お前を殺す」(デデン!

  • 99二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 13:19:04

    >>98

    (何なのこの人…。確かにひどいとは思うけどそこまでしなくてもいいじゃないの…。)

  • 100スレ主25/05/14(水) 14:01:33

    静まり返った広場に、シマエナガたちが羽ばたいて飛んでいく音だけが響き渡った。

    直後、辺りにどっと重たい空気が立ち込める。
    セイアだ。セイアの声だった。
    決して大声を出していたわけではないのに、その場にいる全員がはっきりとその声を聞き取れた。

    そしてその直後、先ほどまでそこらで元気に暴れ回っていたミメシスたちが急に地面へと倒れ込んだ。
    まるで強い重力に晒され立てなくなっているように。

    模倣ミカやメフィストさえも例外では無く、片膝立ちするのが精一杯だった。

    「どうして殺した。記憶にあるはずだ。友を傷つけることがどれだけ罪深いか。知っているはずだ」

    セイアは言葉を発することこそできるものの、意識が朦朧とし始めていた。
    怒りで頭に血が上り、平衡感覚が狂いまともに立っていられない。
    地に足をついているのに、上下逆さまにひっくり返されているような感覚。
    倒れないようどうにか両手両足で動物のように地に立ち、大きく目を見開き模倣ミカたちを睨みつける。

    「う、うううう……う"う"う"う"う"う"!!」

    耳を前方に倒し、眉間に皺を寄せ、歯を剥き出し、獣のような唸り声を上げる。
    セイアとは距離が開いているのに、目の前で威嚇されているような強い圧迫感に襲われる。

  • 101スレ主25/05/14(水) 18:32:35

    『そんな、これは……!』
    『セイアちゃ……っ!ナギちゃん、上!』

    二人とも恐怖ですくみ上がっている。
    そして何かに気づいた模倣ミカと、それに釣られて上を見る模倣ナギサ。

    彼女たちの視線の先、分厚い雲の向こうに大きな、とても大きな黒い円形が影になって見えていた。
    そして雲が少しずつ逸れ、その全貌が明らかになる。

    まるでブラックホールのような何か。
    解釈されず、理解されず、疎通されず、ただ到来するだけの不吉な光。
    目的も疎通もできない不可解な観念とも言い表される。

    『色彩』がすぐそこまで迫っていた。
    観測した者を狂わせる光を放つ、正体不明の何か。

    『あれが『色彩』……!』

    メフィストもその姿に釘付けになっていた。
    しかしそれを見ている自分や模倣ミカたちには特に影響が出ていない。
    おそらく色彩はセイアの神秘に惹かれて来たのだ。
    それ以外の有象無象など、眼中にも無いのだろう。

    『妬けちゃうなぁ、こっちも見て欲しいんですけど!?』

    メフィストはこれまで取り込んできたあらゆる生徒の神秘を右手に集中させ、アンテナのように色彩へ伸ばす。

  • 102スレ主25/05/14(水) 19:17:45

    (ほんの少しでもこっちへ注意を向けられれば……っ!?)

    直後、その右手が先端からひび割れ、亀裂が体の方まで伸びて来た。
    危険すぎる。
    このままでは保たないと判断したメフィストは急いで右手を引っ込めた。

    『っはぁ!!はあ、はあ……っ、ぐうぅっ!何これ、とても扱いきれるもんじゃない……!』

    己の軽率さを呪いながら、メフィストはその場にうずくまる。
    一方、セイアは一切苦しむ様子が無い。
    根本的な潜在能力の差を、メフィストはこれでもかと見せつけられた。

    しかしセイアはそんなものに目もくれず、今まで感じたこともないほどの殺意を募らせていく。

    「償わせる。罪を。殺した。妹。大切。それを。お前たちが。友達。なのに。それを。お前たちが。殺した」

    お前たちが。



    お前たちが。お前たちが。お前たちが。お前たちが。お前たちが。
    お前たちが。お前たちが。お前たちが。お前たちが。お前たちが。
    お前たちが。お前たちが。お前たちが。お前たちが。お前たちが。
    お前たちが。お前たちが。お前たちが。お前たちが。お前たちが。
    お前たちが。お前たちが。お前たちが。お前たちが。お前たちが。

    その直後、暗い大穴に落ちるような感覚を覚えたところでセイアは意識を落とした。

  • 103二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 19:19:57

    他責によるテラー化は自責でのテラー以上に戻すの大変そうだな……というか今回に関しては色彩に触れてしまっているからクロコみたいに戻らないんじゃぁ……

  • 104スレ主25/05/14(水) 19:44:16

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    気がつくと私は一人小さな公園に立っていた。
    遊具があって、砂場があって、ベンチがある、どこにでもある普通の公園。
    しかし周りに誰も人はいない。

    何かして遊ぼうとは思うが何をすればいいかわからない。
    小さい頃は公園に来ても本ばかり読んでいたが、しかし今手元に本は無い。
    どうしようかと物思いに耽っていると、足元を小さな蟻が歩いているのが見えた。

    『!るぎ過カデ、ついこだんな』
    『!!たし身変に物け化の狐がアイセ園合百!だアイセ』
    『!!だんるめ集を兵もらか区治自ィテニリト!べ呼を援増』

    蟻たちは自分の周りをうろうろと歩いている。
    公園で遊んでいる子どもたちはどうしてたっけ。



    確か、こうやって足で踏みつけたりしていたな。
    試しに蟻が固まっているところに靴を乗せ、ぐりぐりと地面に擦り付けてみる。

    そして足を退けると、そこには黒い小さな粒が点々と落ちているだけになった。
    それらはぴくりとも動かない。

    その時私は言いようもない高揚感に包まれた。
    そうか、あの時あの子たちはこんな楽しい遊びをしていたのか。

    それからは今までの遅れを取り戻すかのように周囲の蟻をひたすら潰して回った。
    タップダンスをしたり、トランポリンで遊ぶように大きくジャンプしてから思い切り両足で着地したりして、逃げ惑う蟻たちを悉く潰し尽くした。

  • 105二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 19:48:48

    ヒッ…ヒエッ……
    子供特有の無邪気なそれだ……

  • 106THE WORST END25/05/14(水) 20:02:45

    HOPE(希望)
    0% 0% 0%

  • 107二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 20:24:06

    なに言うてんねやってこと言うけど

    ミメシスって、死ぬのかな(再召喚出来るんじゃ?)

  • 108スレ主25/05/14(水) 20:26:51

    「きゃああああああはははははははははははは!!!!きゃあ!!きゃあああああああああ!!!!」

    あまりの楽しさに思わず奇声を発してしまう。
    それなのに全く息切れはせず、どこまでも走っていけそうなくらいの万能感に満ちていた。

    そんな時、一つの疑問が湧いた。


    この公園内の蟻をすべて踏み潰したらどうなるんだろう?
    幸い、蟻はまだまだ沢山公園内にいる。
    せっかくだからやってみよう。
    あの時あの子たちは途中で友人や親に止められていたけれど、今の私を止める人は誰もいない。

    そして私はその好奇心に従った。
    遊具に登っている蟻を手で叩き潰し、砂の城を蹴り飛ばし、途中で面倒になったので大きな石でまとめて轢き潰したりもした。

    『?すでんな者何体一たなあ……アイセ園合百』

    一匹だけしぶとく生き残る蟻がいたので、そいつだけは念入りに何度も石を叩きつけておいた。

    すると視界の端に、二匹の羽蟻が歩いているのが見えた。
    おそらく女王蟻だろう。
    大きな体に生えた立派な羽は私にある遊びを思い出させた。

    「あれは確かトンボでやるものだったかな。まあ、とりあえず試してみよう」

    自分の知識欲を満たすため、一匹の羽蟻へ手を伸ばし優しく掴み取った。

  • 109二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 20:54:53

    はきそう…。

  • 110スレ主25/05/14(水) 20:55:18

    そして対となる羽をそれぞれ両手の指でつまみ、左右へ引っ張る。

    『やだやだやだやだやだやだやだやい痛い痛い痛い痛!!い痛!!てめやんゃちアイセ!!だや』

    途中までゆっくり引っ張っていたが、少し千切れかかったところで最後は思い切り引きちぎった。
    片方の羽が千切れ、その先端には何かとろりとしたものが付いていた。

    「ふむ、やはり両方同時には千切れないんだね」

    そう言いながら羽蟻を片手で地面に押さえつけ、残ったもう片方の羽も引きちぎった。

    そして今度はもう一匹の羽蟻に手を伸ばす。

    『!!!!ああああああああああやい!っ嫌!!いさなんめご!いさなんめご!いさだくてし許!いさなんめご!んさアイセいさだくてっ待!嫌、っい』

    今度は片手で胴体を掴み、細い首で支えられる立派な頭部を触っていた。
    蟻の顎の力は強い。
    この小さな体で自分の体より大きいものを運んでしまうのだから驚きだ。

    その頭部の耐久性や可動範囲を確かめるべく頭を指でつまみ、軽く揉んでみたり、左右に回転させたり引っ張ったりしてみた。

    「あっ」

    そこで力の加減を誤ったせいで首が取れてしまった。
    取れた直後、羽蟻はひとしきり手足を激しく動かした後そのまま動かなくなった。

  • 111二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 20:55:32

    早くはらして…吐いちゃう…。

  • 112手遅れだった。25/05/14(水) 20:57:15

    オエーーーーーー!ゲロロロロロロロロロロロロオゲーーーーーー!!!!

  • 113二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 20:59:36

    だれかー!助けてー!誰かセイアちゃんを助けてくれー!

  • 114二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 21:00:18

    なんだろう、セイアが本当におかしくなったんだって、そういうのがしっかり分かって……心臓グッとなるけどそれと同時にすげぇって感じる……

  • 115スレ主25/05/14(水) 21:14:11

    「なんか、思っていたほど楽しくはなかったな」

    そう思い後ろを振り返ると、そこにはたくさんのシロツメクサが生えているのが見えた。
    自分だって女の子だ。やはり美しい花には目を惹かれる。
    その時、冷めかけていた感情に一気に火が入った。
    そして気がつけば、その花の方へ思い切り駆け出していた。

    「きいいいいいいいいいいっ!!!!だああああああん!!」

    花畑に思い切り飛び込み、花の香りを堪能する。
    これだけあれば花冠を沢山作れるぞ。
    彼女たちの分も作ってあげよう。

    「みたまえミカ、ナギサ!!いっぱいお花があるよ!!いっしょに花冠をつくろう!」

    しかし振り返っても誰もいなかった。

    「ミカ?ナギサ?あれ、だれだっけ……」

    気がつけば知らない名を呼んでいた。
    興奮しすぎておかしくなったか。
    気を取り直し、シロツメクサを両手いっぱいに掴んだ。

    「!いさだくてけ分に私、をり怒、をみし悲のたなあ!いさだくてしま覚を目!んさアイセ」
    「!!んせませさてんなに人一てし決をたなあ」

    そしてそれらを摘み取ろうと力を込める。
    その時だった。

    『もうお終いにしよう、姉さん』

  • 116二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 21:15:42

    ああ、最後に止めるのはやはり『君』なのか……。

  • 117THE WORST END?25/05/14(水) 22:12:34

    HOPE(希望)
    0n% 0n% 0ff%

  • 118スレ主25/05/14(水) 22:37:51

    そんな私を後ろから誰かが優しく抱きしめた。
    そして私の手を取り、花を手離すよう促した。
    後ろを振り返ると、そこには自分と似た高校生くらいのお姉さんがしゃがんでこちらを見ていた。

    「ねえさん?だあれ?わたし、トリニティようちえん、ゆりぐみのゆりぞのせいあだよ!」
    『うん、自己紹介できて偉いね。私は……私もセイアだよ。さあ、みんなのところへ帰ろう。みんな心配しているよ?』
    「えっ、でもまだおはなでかんむりつくってない……」

    私は名残り惜しむように手元の花を見る。

    『そうだね。でもそのお花さんたち、すごく怖がっているよ?優しくしてあげなきゃ』
    「うーん……わかった!おはなさんごめんなさい!」

    そうして私は花から手を離す。

    『いい子、いい子。それじゃあ帰る方向はこっちの道をまっすぐだからね。振り返らず、寄り道せずに帰るんだよ』
    「わかった!お姉さんもいこ!」

    一緒に帰るように提案したが、なぜだか彼女は悲しそうに首を横に振った。

    『私は一緒には行けない。君が元の姿に戻るには、同じ神秘を持つ誰かが反転の代償を肩代わりする必要がある。だから、私は君と同じ方へは行けない』
    『大丈夫、離れていても私はいつでも君の味方だよ』

    このお姉さんの言っていることはよくわからなかったが、なんとなくダダをこねて困らせたくないと思った。

    「うーん、わかった。じゃあセイアおねえさん、バイバイ!」

    そうして別れを惜しみつつ、私は明るい方へ走り出した。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  • 119二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 22:39:13

    う~……辛い……辛いよ……

  • 120二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 23:43:20

    状況はひっくり返りはしたが……これは…
    何とか引き戻せたのか…?模倣セイア、本当に惜しいよ。脱落してしまったのが
    読んでて視界が回るのは久しぶりだよ

  • 121スレ主25/05/15(木) 06:55:28

    保守コーナー 〜狐の最後の夢〜

    やあ先生、保守の時間だよ。
    今度は一体どんな展開になるのかな。

    ……と言いたいところだけど、私にはこの先を視ることはできないんだ。
    だからこのコーナーは今回が最後。
    今まで付き合ってくれてありがとう。

    それから、この夢の世界で会った記憶は残らないようになっている。
    言っただろう、一人では心細いから一緒にいてほしかったと。ただそれだけさ。
    勝手に未来を見せて、そのせいで君を惑わすような真似はしたくない。
    我儘ばかりですまないね。
    後でたくさん犬の芸を見せてあげるから、それで勘弁してほしい。

    さて、お別れの時間だね。
    今日はトリニティへ出張の予定だろう?
    そろそろ起きないと遅刻するよ。
    私も早起きして、まず古書店に行かなくてはいけないんだ。
    そこで私は姉さんと同じ本を手に取り、君と必然の出会いを果たすんだ!

    君と直接会えること、私は楽しみにしているよ。
    だからそんな顔しないで、最後は笑ってお別れしよう。

    それじゃあ、さようなら先生!また会おう!

  • 122二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 06:57:28

    悲しいけど、美しいね

  • 123二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 07:15:28

    HOPE(希望)
    100% 100% 100%

  • 124スレ主25/05/15(木) 13:42:58

    「…………さん、セイアさん!ナギサです!私がわかりますか!?」

    セイアが目を覚ますと、ナギサが涙を流しながらこちらを覗き込んでいるのがわかった。
    まだ頭がぼんやりとしている。

    「ナギ、サ……?」

    彼女は服が泥だらけで、髪も激しく乱れている。
    一体何があったのか。
    少し前の記憶が無い。
    重たい体をゆっくり起こして周囲を見回す。
    確か学園から離れて、タクシーで逃げていたところトリニティまで連れ戻されたところまでは覚えている。



    「…………え」

    そこは確かにトリニティ総合学園前の広場だった、はずだ。
    地面は抉れ、そこかしこに動物の足跡のようなクレーターができていた。
    そのどれもが戦車のような大きさをしている。
    そして木々は薙ぎ倒され、飾られていたオブジェはどれも粉々になっていた。

    そして辺りにはミメシスのようなものがそこら中に散らばっており、トリニティ生は倒れ、うめき声を上げていた。

    思い出した。確かに感触を覚えている。
    踏み潰して、叩き潰して、それから……。

    ふと腰元を見ると、模倣セイアの亡骸がまるで姉を守るかのように覆い被さっていた。

    「セイアさんが大きな狐になって暴れ出した後、亡くなられたはずのミメシスのセイアさんの体が起き上がって、セイアさんのところへ歩み寄って行ったんです」

  • 125二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 15:14:35

    つらすぎるだろ…なぁ…

  • 126スレ主25/05/15(木) 18:31:41

    「そしてそのままあなたを宥めるように抱きしめて、そうしたら狐の姿から元に戻っていって……」

    ナギサが涙ながらに模倣セイアのしてくれたことをセイアに伝えている。
    セイアがおそるおそる彼女の亡骸を起こすと、その顔は眠るような、とても安らかな顔をしていた。
    そして役目を終えたかのように体が端からぽろぽろと崩れ始め、最後には灰のように崩れ去り、風に乗って飛んでいってしまった。

    手元には、模倣セイアの使っていたスマートフォンが一台ぽつんと残されているだけだった。

    「…………あ、あああ、あああああああああああああああああ!!!!」

    セイアは半狂乱になり、銃を手に取りそれを咥え込もうとした。

    「セイアさん!!!!」

    ナギサが慌ててセイアを取り押さえ、地面に押し倒して抱きしめている。

    「諦めないでください!!私たちがついています!!一人にならないで!!」

    セイアは体力を使い果たしたのか、暴れるのをやめた。
    まだ呼吸は浅く、顔は苦痛に歪んでいる。

    「わ、私が、私のせいで……肩代わり……あの子が……!」

    セイアの言っていることは理解できなかったが、ひとまずナギサは落ち着かせることに専念した。

  • 127二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 18:36:43

    セイアのSAN値がゴリゴリと削れてる……

  • 128二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 18:50:24

    メリバになりそうなんだが…。

  • 129スレ主25/05/15(木) 18:54:08

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    『メフィスト様、ご無事ですか?』

    かろうじて生き残ったユスティナ信徒がメフィストの元へ駆け寄り手を差し伸べる。

    『あ、ありがと……!まあ何とか生き残ったけど……うぐううっ!残機三割くらい持って行かれた!あの化け狐め、私ばっかり集中して狙っちゃってさぁ……!』

    『まあでも、『収穫』もあったし結果オーライかな?』

    メフィストは己の右手を愛しそうに見つめている。
    するとメフィストの上空を数台のドローンが飛んでいくのが見えた。

    『お、何かする気だな〜?ハナコちゃん……!』

    そのドローンはスピーカーを備えており、広場全体に音声が届くようばらけて配置された。

    『『先生』のみなさ〜ん!諦めるのはまだ早いですよ?今こそお手元のクレジット……いえ、大人のカードの出番です!生徒さんたちを元気にしてあげましょう!』

    模倣ハナコのアナウンスが流れた直後、遠隔地からミメシスを操作していた市民のスマートフォンの画面に、片目の隠れた銀色のロングヘアーとオレンジ色のセーラー服の少女が映り込んできた。

    『先生!シッテムの箱のメインOS兼、ブルーアークカタストロフのナビゲーター兼、愛を司る者、コロナです!』

    『生徒さんが負けてしまったようですね!ですが大人のカードがあれば大丈夫です!藍輝石を購入し、百二〇個使用することで生徒さんを復活させることが可能です。もうひと頑張りしましょう!』

    地獄はまだまだ始まったばかりだ。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  • 130スレ主25/05/15(木) 19:24:13

    学園前の広場では、ナギサが懸命に救助活動を行っていた。

    「どなたか、動ける方はいますか!?外部への遠征部隊の帰還を早めるよう伝えて……」
    『お互いボロボロですね、ナギサちゃん?』

    ナギサが振り返ると、少し離れたところにメフィストが立っていた。
    彼女も相当のダメージを受けているとはいえ、まだ動く余裕はありそうだった。

    それに加えて、さっきまでぴくりとも動かなかったユスティナ信徒たちが次々と立ち上がり始めた。
    反転したセイアの猛攻撃を喰らったにも関わらず、まるでゾンビのようにゆっくりと起き上がりのそのそと歩き出す。

    『よしよし、みんな起きてきた。おーい、ミネちゃん!セイアちゃんに千切られちゃったミカちゃんの羽根とナギサちゃんの首、ちゃんとくっついた?』

    『どうにか縫合は終わりました。心臓は動いていますので、じき目を覚ますでしょう。全く、この体でなければ不可能な話です』

    『素晴らしいでしょ、ミメシス!』

    模倣ミネとメフィストはまるで一仕事終えた後のように笑い合っている。

    『さてと、セイアちゃんとナギサちゃん揃ってるし、まとめて縛っちゃおっか。ミネちゃん、麻酔ある?また変に暴れられても困るし、一回眠らせた方がいいと思わない?』

    『麻酔は痛みを和らげるためのもの。敵の拘束であれば締め落とせばいいだけの話です』

    『うわー脳筋。まあそれでいこっか!』

  • 131スレ主25/05/15(木) 19:57:37

    メフィストと模倣ミネがナギサの方を見る。
    セイアは意識が朦朧としていてとても動ける状態ではなく、ナギサはセイアを抱えて少しずつ後ずさる。

    しかし、このまま敵の思い通りになってしまう。
    そう思いつつも敵を真正面から睨みつけることしかできないナギサだったが……。



    メフィストと模倣ミネが歩き出した瞬間、模倣ミネが突然爆発と共に大きく横へ吹っ飛ばされた。

    『きゃああっ!?』
    『ミネちゃん!?あぐあぁっ!?』
    「なっ、何が!?」

    続いてメフィストも同様に吹っ飛ばされる。
    ナギサは二人が飛んでいった方を見て、横から爆撃されたのだと理解する。
    そして反対の方へ視線を向けた。






    「マリーちゃん、もっとスピード出せない!?」
    「もう少しいけます!ミカさんも振り落とされないよう、お気をつけください!」
    「りょーかい⭐︎」

    ナギサの視線の先には、こちらへ走ってくる一台のバイクが見えた。

  • 132スレ主25/05/15(木) 20:02:13

    バイクには黒いライダースーツの生徒と、その後ろに白い制服を着た生徒の二人が乗っていた。
    シスターフッド所属、伊落マリーとティーパーティー所属、聖園ミカである。

    ミカは両肩に四連装ミサイルランチャーを担いでおり、先ほどの爆撃はそこから発射されたミサイルによるものだった。
    その後もミカは次々とミサイルを撃ち込んではミメシスたちを蹴散らしていく。

    『本物ミカちゃん!?なんて無茶苦茶な!』

    あまりに突然の出来事でメフィストさえも動揺を隠せていない。

    全ての弾を撃ち尽くしたミカは銃身を投げつけ、さらにミメシスへ攻撃を加える。
    そして身軽になったミカは両足でバイク後方に立ち、身を屈めてマリーへ次の指示を出す。

    「マリーちゃん、ドリフト!」
    「行きますよ……はっ!!」

    マリーがドリフトで車体後部を大きく回転させ、その勢いに乗るようにミカがバイクから前方へと飛び出していった。
    そのままミカ自身がミサイルのような勢いでメフィストの方へ突っ込んで行き、体を回転させ飛び蹴りを放つ。

    『させませんっ!』

    しかし蹴りが当たる直前、模倣ミネが飛び出し片腕でミカの飛び蹴りを止めた。
    ミカと模倣ミネとメフィスト、三者が睨み合っている。

    ミカは模倣ミネを踏み台に後方へ飛び、宙返りしながら背負っていた銃を抜き、メフィストたちへ発砲しつつ着地した。
    模倣ミネはすかさずそれを盾で防ぐ。

  • 133二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 20:03:24

    アクロバティックなやつらやのう……!

  • 134スレ主25/05/15(木) 21:01:40

    「ミカさん……!」
    「ごめんナギちゃん、セイアちゃん、遅くなった。立てる?」
    「私は大丈夫です。ですがセイアさんが……!」

    ナギサは優しくセイアを抱き抱えていた。
    一度落ち着いたようにも見えたが、その後はまるで魂でも抜けてしまったかのように、聞き取れないうわ言を繰り返すだけになってしまっていた。

    「わかった。マリーちゃん!セイアちゃんを連れて離脱して!避難先は先生が指示してくれるはず!」
    「わかりました!」

    ミカの指示によりバイクで駆けつけたマリーは抜け殻のようになったセイアを抱え、その場を離れていった。

    「ナギちゃんこれ着けて!先生と連携して指揮を取って、ここを切り抜けるよ!」

    ミカはボランティア部内で使っているイヤホン型の通信機を手渡した。

    「もしもし……」
    〈もしもしナギサ!?助けに行くのが遅れた!本当にすまない!〉

    「いえ、トリニティは私たちが守るはずでした。悪いのはその約束を違えた私です……」

    「それは違うよナギちゃん。本当に悪いのは……」

    ミカは前方でミメシスたちに守られている、ヒフミと同じ顔をした悪魔、メフィストフェレスへ視線を向ける。

  • 135スレ主25/05/15(木) 22:20:53

    〈反省会は後にしようか。私は今、ミカのセーフハウスからトリニティ自治区内に散らばった生徒たちに避難指示を出してる!君たちもそこを脱出するんだ!安全なルートはサクラコたちに作ってもらう〉

    「そんな!トリニティを見捨てるなど……!」
    〈残念だけど、学園も街もミメシスで埋め尽くされてる。こちらに対抗できる戦力が整ってない以上、一度退いて立て直さないと本当に取り返しがつかなくなる〉

    「くっ……!」

    ナギサは悔しさに顔を歪ませる。
    自分が愛した学園を凶悪なテロリストたちに奪われてしまう。
    しかし優先すべきは生徒たちの安全。
    ナギサは決断し、通信機のマイクをオンにする。

    「聞こえますか!?今から私のセーフハウスを全て開放します!生徒の皆さんを一番近いところへ避難させてください!可能であれば分散して!」
    「それからミカさん、先生との指揮は私が引き継ぎます。ですので避難準備が整うまでの間、奴らの相手をお願いします!」

    「おっけ!!」

    一時的に立ち直ったナギサを見て戦いに集中できると判断したミカは前へ向き直り、銃を構える。

    「「ボランティア部、活動開始!」」

    ミカとナギサの合図を皮切りに、急場凌ぎの戦いが始まった。

  • 136二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 23:49:52

    目の前で崩れ去ったからな……そりゃキツイでしょうよ
    この事件さえなければ、本当にいい仲になってたと思ってしまう

    それをメフィストが…!コイツ残機制なんだね。喰ったミメシスを残機に変えてるのかな?
    なんか色彩の残穢っぽいの手に入れてるし、リセットした戦況があっという間に傾く…やっぱり課金枠か大人のカード
    満を持してボランティア部が登場したけど……撤退戦なのがなぁ。模倣ミカも起き上がりそうなフラグ立ってるし…
    どうなってしまうんやろなぁ…

  • 137スレ主25/05/16(金) 07:18:54

    保守コーナー 〜ブルーアークカタストロフのルール〜

    ブルーアークカタストロフに参加したプレイヤーは『先生』となり、ユスティナ聖徒会のミメシスを指揮して正義のために戦う義務がある。

    現世に舞い降りた正義の化身として、内に眠る激情を力に変え、堕天使たちから聖なる地を奪還しよう。

  • 138スレ主25/05/16(金) 13:07:05

    すると程なくして敷地の中へ数台の車が侵入、窓から次々と閃光弾をミメシスたちのいる方へ投げつけていった。

    「レイサさん!今からシスターフッドと協力して生徒の避難を行います!レイサさんは無理のない範囲でミメシスたちの撃退をお願いします!」

    「了解しました!この宇沢レイサ、トリニティを土足で踏み荒らす悪党を決して許しません!!」

    一台の車から二人の生徒が飛び出し、周囲のミメシスへ攻撃を加える。
    二人はトリニティ自警団所属、守月スズミと宇沢レイサである。
    他の車からは次々とシスターフッドの生徒が飛び出し、怪我をしている生徒たちを車に乗せていく。

    増援が来たのだ。
    当初模倣ナギサから伝えられていた侵攻ルート上を警備していたシスターフッドや正義実現委員会の残りの生徒たちがようやく到着した。
    街を埋め尽くすミメシスの妨害を受けつつも、トリニティを守るために駆けつけてくれた。

    そして後方ではシスターフッドのリーダー、歌住サクラコが部員たちの指揮を取っている。
    そこへ近づくミメシスは、同組織に所属する若葉ヒナタが全て薙ぎ払っていた。

    「これ以上トリニティで好き勝手はさせません!」

    一通り指示を出し終えたサクラコは一度周囲を見渡し、ミメシスに襲われている生徒をがいないかを確認した。
    すると少し離れた所に襲われている生徒を発見し、近くに援護ができそうな生徒がいないことを悟ると車から飛び降りた。

  • 139スレ主25/05/16(金) 18:33:26

    「ヒナタさん、少し外します!救護者で一杯になった車から順次脱出できるよう、サポートと指揮をお願いします!」
    「わかりました!」

    サクラコはそのまま襲われている生徒の元へ急ぐ。
    そして瞬時にミメシスたちを撃退した後、生徒へ優しく声をかけた。

    「大丈夫ですか?あちらの車へ乗ってください。焦らないで、転ばないように」
    「は、はい、ありがとうございます……っ!サクラコ様!後ろ!」
    「っ!?」

    サクラコが振り返ると同時に、彼女の横から蹴りが飛んできた。
    サクラコはそれを素早く飛び上がって躱し、襲撃者と距離を取る。

    『まさかこんな所で自身の原典とお会いできるとは。できれば少し『お話』してみたいですね』
    「あなたは……!」

    襲撃者は模倣サクラコだった。
    自身と同じ見た目の敵の出現にサクラコは思わず身構える。

    (怪我をしている生徒の前での戦闘は避けたい……!)

    サクラコがどうにか模倣サクラコを引きつけようとしていた時、視界の端に白とピンクの影が映る。

    「もう大丈夫ですよ。さあ、車が待機していますのでそちらへ向かってください」

    救護騎士団所属、鷲見セリナだった。
    彼女は怪我をした生徒を素早く誘導し、応急処置をして脱出する車へと乗せた。

  • 140スレ主25/05/16(金) 19:21:45

    「セリナさん、助かります!ミメシスは私が引き付けますので、セリナさんは他の方の救護に集中してください!」
    「ありがとうございます!では私は怪我をされた方の応急処置と脱出補助を行います!」

    そしてセリナは救護へ向かい、サクラコは目の前の敵に視線を戻す。
    本物と偽物どちらが優れているか、互いの威信をかけた戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    一方、ミカと模倣ミネ、メフィストの戦いは激しさを増していた。

    『くっ、当たらない……!』

    ミカは模倣ミネとメフィスト、それと周囲のミメシスから発射される弾を全て正確に避けつつ、的確に反撃を繰り出していた。
    戦えるミメシスは確実に減っている。

    しかしミカの残弾数も無限ではない。
    確実に攻めていけばいつかは倒れるはず。
    ミメシスたちはそう考えていた。
    しかしそんな考えは甘いとすぐに思い知らされる。

    「ミカさん!使ってくださいっ!!」

    ミカの後方で戦っていたレイサがミカの状況を察知し、落ちていた模倣ミカの銃とマガジンをミカへブーメランのように投げ渡す。

    「さんきゅ⭐︎」

    ミカは後ろ手にそれを受け取り、二丁流となったことでさらに攻撃性を増し、さらに次々とミメシスを撃破していった。

  • 141スレ主25/05/16(金) 19:53:23

    そしてメフィストを守る兵がいなくなった瞬間、ミカは目にも留まらぬ速さでメフィストの懐に潜り込み、向けられていた銃を蹴り飛ばした。

    『なっ!?』
    「ヒフミちゃんと同じ顔、あなたがメフィストフェレスだよね?」

    ミカは銃を突きつけ、獲物を前にした狩人のような目でメフィストを睨む。
    その目つきには怒りによる心の迷いなどは一切感じられず、メフィストは心理戦に持ち込むことが不可能であることをすぐに悟った。

    『やっぱり強いですね、本物ミカちゃん。でもまだこっちにはミネちゃんだっていますからね?さすがの君も一人では……』
    「一人じゃないよ」

    メフィストの言葉をミカが遮った直後、メフィストは自身の後頭部へ銃を突きつけられていることに気付いた。

    「何やってんだテメェ……」

    その持ち主は正義実現委員会の委員長にして学園最強の戦略兵器として名高い生徒、剣先ツルギだった。

    『わお!もう戻ってきたんだ!早いなぁ〜!ていうか何って、正義実現委員会の名の下に学園を守るべく戦っているのですけど?』

    「ふざけるな!その制服は正義に身を捧げた生徒たちの覚悟の象徴だ。テロリストなんかが袖を通していいものじゃない……!」

  • 142スレ主25/05/16(金) 20:23:24

    『私はこの学園、ひいてはこのキヴォトスの新たな正義の象徴ですよ?間違ってはいませんね』

    メフィストは両手を上げ、降参のポーズを取っているが余裕は一切崩さない。

    『メフィスト様!今救護に……っ!!』

    模倣ミネがメフィストの元へ向かおうとした所、不意に横から強烈なパンチをもらった。
    反射的に盾で受けたものの、ややしばらく腕の痺れが引かなくなるほどの衝撃だった。

    「『救護』という言葉をこんな形で使われるのがこうも不快だったとは。ならず者に容赦は致しませんが、覚悟はできているのでしょうね?」

    救護騎士団団長、蒼森ミネも戦線に加わる。

    『う〜わミネちゃんまで来た。ツルギちゃん、助けて〜!』

    メフィストの言葉通り、模倣ツルギが上から飛んできた。

    『もう一人の私か、面白くなってきたなァァァァァァ!!』
    『これで三対三だね。まあ相変わらず不利なのはこっちだけど……んん?』

    メフィストは視線を逸らし、治療を受けていた模倣ミカたちの方を見る。



    『……じゃえ。みんな死んじゃえ……!』

    模倣ミカが目を覚まし、地面に這いつくばったまま右手を天へと掲げていた。
    それを見たミカは彼女が何をしようとしているのかを瞬時に理解し、同時に怖気に襲われた。

  • 143スレ主25/05/16(金) 21:11:39

    「ナギちゃん!!撤退の状況は!?」
    「九割完了しています!あとはここにいる人たちだけです!」
    「わかった!みんな離脱するよ!ここはもう保たない!」

    今日初めて見せるミカの焦った顔。
    詳細は分からずともその重大さは伝わったようで、ミネはすでに車を取りに行っており、ツルギはナギサを抱えて全速力で車へ走っていた。

    そして残った生徒を乗せた車が発車し、一番最後にミカが離脱した。
    彼女は最後までメフィストたちから目を離さず、いつでも反撃できる状態で行動していたためミメシスたちは一切追撃をすることができなかった。

    そして入れ替わるように一体のミメシスがメフィストの元へ駆け寄ってくる。

    『メフィスト様、上を!い、隕石が降ってきます!!』

    『わかってるよ。トリニティの皆さんも判断早いね〜まったく。ミカちゃん後で覚えときなよ?』

    (どうやら私は『才能無い側』っぽいからな、うまくいくかどうか……!)

    メフィストは右手を横に振るった。
    するとそこに、横長のワープホールのようなものが空間に穴が開くように形成される。
    それを見たミメシスは驚いていた。

  • 144スレ主25/05/16(金) 21:39:33

    『こ、これは……』
    『色彩の力だよ。さっきここに現れた時に一か八か触れてみたんだ♪いやー上手くいってよかった!ほら、みんな避難して〜』

    ミメシスたちも続々とワープホールの中へ逃げ込んでいく。
    そして広場に誰も居なくなったところで、模倣ミカの呼んだ隕石が轟音を立てて落下した。
    落ちたのは三個で、隕石としては小ぶりだがそれでも周囲を焼き払うには十分なほどの大爆発を引き起こし、広場は焼け野原となった。

    爆発と炎が収まってきたところで再びワープホールが開き、ミメシスたちが現れる。

    『どうにか校舎は無事だね。ティーパーティーの書類とか貴重な古書とか、手に入れたいものが失われなくてよかったよ』

    『さ、みんな踊れ踊れ〜♪悪魔……おっと、天使たちによる新居祝いのパーティータイムだ!』

    天使たちの学舎から一転、そこは悪魔巣食う地獄の城へと変わり果てた。

    そして学園が占拠されたことにより、この日トリニティは完全敗北を喫した。



    にせティーパーティーの逆襲 前編 【完】

  • 145二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 21:40:53

    前編!?
    まだ続くんですか!?ヤッター!!

  • 146スレ主25/05/16(金) 22:21:28

    やあ先生方、スレ主セイアだよ。

    ここまで読んでくれてありがとう。

    これにて前半戦が終了、ここから後半戦に入っていく。

    ここまでずっと気が滅入るような展開ばかり続いてしまったね。

    SS(シリアスセイア)ですまない。


    それから、みんなの感想全て見させてもらっている。

    本当にありがとう。

    おかげでモチベーションは絶好調だ。


    それと、すまないが明日は更新をストップさせてほしい。

    物語のキリが良いというのもあるが、本命の理由として明日はタイトーステーションに行きたいからだ。


    なんと明日5/17(土)から6/15(日)までの間、全国のタイトーステーションにてコラボイベント『ブルーアーカイブ×タイトーステーション 〜ゲームセンター潜入クエスト!〜』が開催されるんだ。


    このコラボではゲーム開発部の四人をイメージしたコラボグッズやドリンク、クレープなどが楽しめるイベントとなっている。

    店舗によって実施される内容が異なっているので、詳しくは公式サイトをチェックだ。


    「ブルーアーカイブ×タイトーステーション~ゲームセンター潜入クエスト!~」 | 株式会社タイトー「ブルーアーカイブ×タイトーステーション~ゲームセンター潜入クエスト!~」を2025年5月17日(土)~2025年6月15日(日)の期間、全国のタイトーステーションにて開催いたします!www.taito.co.jp

    そういうわけなので、明日の更新はお休みだ。

    一応最低限の保守として、小ネタをいくつか投稿する予定だよ。


    それでは、よい週末を。

  • 147二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 22:25:51

    SS(宣伝セイア)だ!!
    それもそれでありがとう!!

  • 148二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 00:37:27

    誰も欠けずに撤退できた、が……完全に落ちたかぁ
    奪還もだけど、態勢を立て直すのもそんな時間はないだろう。
    逃げ込んだセーフハウスの持ち主のミメシスが蘇生が確定してる上に、目覚めるのに時間がかかったとしても、全部把握してる模倣ハナコがいるわけだし…
    どうやって獲り返すんだろ……謎も残ってるしな!
    模倣ミメシスの実情、サオリが攫われた理由、メフィストフェレスとその協力者の正体と目的
    後半戦でスッキリするといいんだが……メフィストの化けの皮もといい、若作りの厚化粧引っぺがすの楽しみにしてます。



    ………協力者に「君は実にいい道化だったよ」って背中から刺されねぇかな

  • 149スレ主25/05/17(土) 06:33:13

    保守コーナー 〜ブルーアークカタストロフのルール〜

    シャーレの先生からのシッテムの箱簒奪ミッションは、メフィストフェレスの命によりゲーム開発に携わった一部の市民で極秘裏に行われた。

    ミメシスを操作するためのインターフェースは当時まだ未完成であり、大型の機械が必要かつ操作性も良いとは言えなかった。これを改良するためのデータ取得のため、シッテムの箱と大人のカードが必要だったのだ。

  • 150スレ主25/05/17(土) 07:54:36

    小ネタ1

    外部協力者の正体は模倣ハナコ

    >>83 に書いてあるだけなので埋もれてしまっているね。

    彼女はメフィストが捕まっている間のブルアカの準備など裏方全般を担当したよ。

    ちなみに彼女がメフィストとの取引で支払った代償は『浦和ハナコとして人を愛し、人から愛された記憶』。(>>56)

    同じ顔とはいえ、他人が愛されているところの記憶なんて持っていても役に立たないと考えたみたいだね。


    小ネタ2

    ブルーアーカイブのタイトーコラボは一部景品に不備が見つかったことにより、プライズの発売が延期になってしまったよ。

    虚しい、全ては虚しい。

    せめてグッズだけでも手に入れたいね。

  • 151二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 15:19:15

    >>149

    事前登録云々はこれかぁ…

  • 152スレ主25/05/17(土) 15:51:40

    小ネタ3
    コロナについて
    模倣シッテムの箱のメインOS兼、ブルーアークカタストロフのナビゲーター兼、愛を司る者、A.R.O.N.A、通称コロナ。
    実はこの名前かなり気に入っていてね。
    コロナとは太陽外層大気の最も外側にある希薄なガスの層のこと(Wikipediaより)なのだが、太陽(インドネシア語でアロナ)が日食によって隠された時に現れるという特性があり、アロプラの偽物にピッタリな名前にできたと思ってる。(アロナ、プラナ、コロナで響きも似ているし)

    また、コロナというとウイルスの方も連想されがちだけど、人のスマホに勝手に入ってきてそのまま居座る様は最早ウイルスそのものなので、そういう意味でもぴったりな名前を付けられたと密かに自慢に思ってる。

    あと、思ったよりメフィストに注目が集まっててびっくりしてる。
    納得してもらえるかは別として、正体含めてここもきちんと説明はする予定だけど、ちょっと今出せる情報が無さすぎる……。

  • 153スレ主25/05/17(土) 21:59:05

    保守コーナー 〜ブルーアークカタストロフのルール〜

    事前登録を行ったユーザーにはβテスト『アリウススクワッド討伐戦』への参加権が与えられる。
    元リーダー錠前サオリ率いるアリウススクワッドは過去、エデン条約調印式の会場へミサイル爆撃を行い甚大な被害をもたらした危険な集団である。
    次なるテロが起こされる前に、彼女たちを無力化しよう。

    ミッションは以下六つで、達成したミッション数に応じて藍輝石が全てのユーザーへ配布される。

    ①槌永ヒヨリを瀕死にする 200個
    ②戒野ミサキを瀕死にする 200個
    ③秤アツコの瀕死にする 200個
    ④秤アツコの捕獲 400個
    ⑤錠前サオリの瀕死にする 600個
    ⑥錠前サオリの捕獲 800個

    tips
    捕獲した秤アツコと錠前サオリはユスティナ聖徒会の顕現に必要なエネルギー源として活用可能なため、積極的に捕獲を狙ってみよう。
    ただし、アツコの方は体力ステータスが低いため、プレイヤー数が多いと早々に『電池切れ』になってしまう可能性が高い。

    反対にサオリの方はミメシスの出力自体は落ちるが長期的な運用が可能。
    また、強力なサオリを無力化できれば後々アリウスと再戦することになった場合の難易度を下げることができる。
    攻略の順番としては①→②→⑤→⑥→③→④がオススメ。
    (最初にアツコを瀕死にした場合、スキル『敵討』で他のメンバーのステータスが上昇する可能性があるので注意)

  • 154二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 23:03:25

    うっわ、そういう理由か
    じゃあ攻略するなら、サオリ救出→箱、カード奪還→メフィスト勢力撃滅が妥当か?

  • 155スレ主25/05/18(日) 06:12:04

    皆さんご機嫌よう……と言える状況ではありませんね。
    トリニティ総合学園ティーパーティー、桐藤ナギサです。
    昨日のミメシスたちによるトリニティへの襲撃から、丸一日が経とうとしていました。

    ミカさんたちの救援によりどうにかトリニティを脱出した私たちは、皆それぞれバラバラに、ひたすらに逃げ続けました。
    一般生徒は自宅待機、直接戦闘に関わった生徒は自宅の他に病院、友人の家、もしくはティーパーティーが極秘に用意した避難所へそれぞれ散って行きました。

    そして各派閥や部活の代表者、避難場所のあてが無い生徒たちは私の用意した避難所へ集まっている状況です。
    廃校を内部のみ改装し、一見すると人のいない廃墟にしか見えないようカモフラージュされたこの避難所は、ミメシスたちから見つかるリスクを大きく低減することができています。

    さらに先ほど在校生全員の生存が確認できたため、この後代表者を集めて対策会議が開かれる予定となりました。
    開始は三時間後、短い間ですが夜通し働いてくださったみなさんには少しでも休む時間を与えたいという想いがありました。

    そして、生存者については一つ付け加えなければなりません。
    "在校生"の生存は確認できましたが、私たちは一人大切な"仲間"を失う結果となりました。
    特に彼女と親しかったセイアさんは身体だけでなく心のケアも必須と言わざるを得ない状態です。

  • 156スレ主25/05/18(日) 13:12:48

    悔しいですが、私が彼女にしてあげられることはそう多くありません。
    少しでも彼女の負担が減らせるよう、ただ目の前の仕事をこなすだけ。

    ですが今回の事件、その規模はあまりに大きなものでした。
    混乱状態にあるのは学園だけでなく、街全体までもがパニックに陥っているような状況。

    現時点で深刻なダメージを受けているのはまだトリニティ自治区のみですが、既に他の学園周辺でも少しずつミメシスの目撃情報が出ており、そう悠長には構えていられない状況でもあります。

    果たして敵の狙いは一体何なのでしょうか?
    トリニティ総合学園を乗っ取ることが最終目標ではないように思えます。

    トリニティ襲撃の後、彼女らは現在に至るまで派手な行動は起こしていないようです。
    ですが私には、それが嵐の前の静けさのようにしか感じられませんでした。

    世界の全てを飲み込んでしまうような、とても大きな嵐の。

  • 157スレ主25/05/18(日) 18:57:30

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    『にはは、今度こそ開けちゃいますよ!』

    トリニティ総合学園ティーパーティー専用テラスにて、桃色の髪をツインテールにした少女がタブレット端末を弄っていた。
    そして真っ暗な画面を覗き込み、パスワードを入力する。

    『我々は望む、ジェリコの嘆きを。我々は覚えている、七つの古則を。……う〜ん、ダメでしたか』
    『どうやらお困りのようですね。随分可愛らしい見た目のようですが、イメチェンですか?』

    少女がタブレットを机上に放り出し椅子にもたれかかっていたところ、模倣ハナコが現れ少女の前に紅茶を差し出す。
    模倣ハナコに言われ、はっとした少女は手で顔を擦るとその顔はヒフミのものに変わった。

    『あはは、形から入ってみたんだけど特に効果は無かったよ。パスワードは合ってるとは思うんだけど、何か他にも条件が揃わないと開けられないっぽいなぁ』

    少女の正体はメフィストで、先生から奪取したシッテムの箱を起動すべく試行錯誤しているところだった。

    『メフィスト様でも開けられないとなると、これ以上シッテムの箱の解析にリソースを割くのは避けたほうが良さそうですね。クレジットカードの方は大まかな仕組みを解析することはできたのですが……』

    『でも、色彩の嚮導者が現れた時のデータをもとにある程度はシッテムの箱が何なのかは理解できたんでしょ?サンクトゥムタワーの権限の横取りはできなさそうだけどさ、ミメシスとプレイヤーもとい『先生』を繋ぐインターフェースとしての仕組みはある程度再現できたっぽいし、これで良しとしよう!』

  • 158スレ主25/05/18(日) 18:58:55

    『何より、これで先生の行動を大幅に制限することができたのが一番の収穫かな!』
    『そうですね。今のところブルアカをプレイする分には特に問題は発生していませんし』

    『上等上等!じゃあ、シッテムの箱とカードはハナコちゃんに預けておくから、ブルアカの運営業務よろしくね?』
    『承知致しました。それと次のイベントについてですが……』

    模倣ハナコはメフィストからシッテムの箱を受け取り、今後の方針について相談を持ちかける。
    現在世間を騒がせているブルーアークカタストロフはこの二人を中心として作られたものだった。

    『失礼します。桐藤ナギサ、聖園ミカ両名、本日より復帰致します』
    『……失礼します』

    すると扉が開かれ、模倣ナギサと模倣ミカが入ってきた。

    『おー、ナギサちゃんミカちゃん!よく戻ったね、もう体調は大丈夫?』
    『ええ、お陰様で。しかし信じられません、羽根を千切られたミカさんはまだしも、首を失った私まで命を繋げるとは……』

    模倣ナギサは自身の首を手でなぞる。
    特に傷跡も残っておらず、あまりに強い生命力に戸惑っている様子だった。

    『当然でしょう。メフィスト様の技術と私の医療、双方合わされば『首の飛んだ』あなたを生かすことなど造作もありません』

    その声は模倣ナギサの後方から聞こえてきた。
    そちらへ視線を向けると模倣ミネが入り口に立っていた。
    そして彼女に続くように模倣ツルギ、模倣サクラコもテラスへ入る。

  • 159スレ主25/05/18(日) 19:37:03

    『随分と含みのある言い方ですね?ご自身の役目を果たしただけでこうも強気に出られるものですか』

    『私は救護に誇りを持っていますので。お役目を果たせなかったあなたの心中はお察ししますが、セイアさんに襲われてお漏らししたあなたの、文字通り尻拭いをさせられた私の気持ちも少しは慮って欲しいものですね』

    『っ!自分は人の気持ちを考えないくせに、何が救護ですが馬鹿馬鹿しい。エゴの間違いでしょう!』

    小馬鹿にするような笑みを浮かべる模倣ミネを模倣ナギサは顔を赤らめつつ睨み、その後集まった全員が席についた。
    そして模倣ナギサは気を取り直し、メフィストへ現状の確認を行う。

    『メフィスト様、ブルーアークカタストロフとは一体何なのです?私たちの知る限りでは人間がミメシスを操作するには大掛かりな装置が必要で、用意できる人数も二百人程度が限界と認識していました』

    『ブルアカ?まあ、構想自体は結構前からあったね。けど昨日も言った通り、最初から話してたらナギサちゃんこれがある前提の行動をするでしょ?敵を騙すにはまず味方からってね』

    『とはいえリリースまで本当にギリギリでさぁ、事前に集めていた情報からゲームの下地はできてたものの、先生からカードとシッテムの箱を奪って解析して、CM打って集めた事前登録者を使ってβテストとしてアリウス襲撃させてミメシスの個体数を増やすための『電池』を確保して、みたいな感じで……』

  • 160スレ主25/05/18(日) 20:04:14

    『もー本当に大変だった!!サオリちゃん強いから確保するのにミメシスたくさん使わされたし!でもアツコちゃんだと体力的に耐えられそうに無いんだよね〜。大量のミメシスを生み出すとなると』

    『それと上っ面だけとはいえシッテムの箱を再現して、ミメシスのリモコン小型化するとかできる気しなかったし!この大変さを知っちゃったら世の中のゲーム開発者の皆様には足向けて寝られないわ、本当!』

    メフィストは嫌な記憶を振り払うように首を振り手足をバタつかせる。

    『左様でございますか……。至らぬ点も多く、申し訳ございません』

    模倣ナギサは昨日の失敗への罪悪感もあり、メフィストへ謝罪する。
    するとそれを見ていた模倣ハナコがくすくすと笑う。

    『これまでの内容からお察しできませんか?あなた、あてにならないと言われているんですよ』

    『口を慎みなさい、日陰者。あなたの役目は暗い部屋で機械とにらめっこをすることでは?頭の良さを認めて欲しいのかもしれませんが、無理やり輪に入ってこようとする姿は滑稽ですよ。私もあなたのような承認欲求の亡者にならぬよう、気を引き締めなければいけませんね』

    模倣ナギサから予想外の反撃を受け、不機嫌になる模倣ハナコ。

    『……あなたが引き締めるべきなのは膀胱でしょう』

    模倣ハナコの反論に、模倣ナギサは怒りと羞恥で顔を真っ赤にしながら銃を向ける。
    それを仲裁するようにメフィストが口を挟んだ。

  • 161スレ主25/05/18(日) 20:23:47

    『君ら本当仲悪いね〜。ま、でも結果うまくいったでしょ?』

    結果的には確かにトリニティを奪い取ることができた。
    しかし疑問点も多い。
    模倣ナギサは銃をしまいつつさらに質問を重ねる。

    『確かにそうなのですが、ミメシスの操作者に一般市民を選んだのには理由があるのですか?例えば、ヘルメット団などの方が戦闘経験もあり統率しやすいと思うのですが』

    『うーんまあ、そうっちゃそうだね。けど彼女らには『爆発力』が無い。生活のために仕事として割り切ってるって感じかな』

    『爆発力、ですか?』

    模倣ナギサは曖昧な言葉の意味を理解できていない様子だった。

    『そ、これ個人的には結構重要視しててね?まあつまり、『然るべき時に実力以上の力が出せるかどうか』って意味かな』

    『んで、私はそれを持つ者として一般市民に目を付けたの。まずそこら中にうじゃうじゃいるし、ヘルメット団の子たちと違って戦いとは無縁の日常で、渋々社会規範を守りながらじっくりと熟成し続けたストレスを抱えている』

    『そんな人たちの前に『トリニティが悪いことをしました』って情報(エサ)を撒けば、『私が正さなきゃ』って正義感にかこつけて悪者のトリニティを際限なく痛めつける、都合の良い兵士が完成するってわけ』

  • 162二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 20:36:04

    うわ、一般市民を龍が如くのブリーチジャパン化するのか。
    そりゃ厄介だな。
    あれの厄介なのはどこでもそんなのがいる事。
    まあそんな奴は力なんか無いから何らかの方法で力を与えればはい兵士の出来上がり。
    何とかするにはメフィストの悪事を世間にバラさなきゃな。

  • 163二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 20:38:25

    >>162

    …テロリストを捕まえるのは「悪いこと」と言えるかな?

    先生からカードと端末盗んだのは悪いことだけど

  • 164スレ主25/05/18(日) 20:45:29

    『これは持論だけどね、『悪事を働こう』と呼びかけても人は集まらないし、かろうじて集まった人にも爆発力は無い。悪いことをしているという自覚がどこかにあるわけだからね』

    『逆に『虐げられている人を救いたい、悪い奴を懲らしめたい』と声をかければ人は山ほど集まるし、一人一人の意志も強い。『正しいことをしている』という免罪符があるからね』

    『そういう人の枷を外した時の攻撃性と躊躇いの無さには目を見張るものがあるんだよ?それこそ今回のように、ヘルメット団と一般市民、ミメシスという強力な器が平等に与えられた時、より高い成果を出すのは後者だと思ってるんだ』

    『まあ要約すると、『金で動く傭兵』よりも『正義中毒の一般市民』のほうがコスパいいよねって話!』

    『……ご丁寧に説明いただきありがとうございます』

    模倣ナギサは理解した。
    メフィストフェレスは本物の悪魔だ。
    謀略を巡らせ人々の善意を踏みにじり、悪意を煽動し、この街一つくらい簡単に地獄に変えてしまうだろう。

    『そんで!その一般市民を選定するメカニズムをハナコちゃん、解説お願いします!』

  • 165スレ主25/05/18(日) 21:07:10

    メフィストの指名を受けた模倣ハナコは得意げに解説を始める。

    『うふふ♡そう複雑なものではありませんが、プレイヤーの皆さんにはチュートリアルの最初に心理テストに回答していただきました』

    『そこで攻撃性が強いと判断された人は学園近くの前線へ配置し、そうでない人は後方支援に、といった具合で』

    『ああ、逆に善性が強いと判断された人や登録された個人情報からトリニティ生と特定できた方など、邪魔になりそうなプレイヤーはあらかじめ別のゲームに誘導して本作戦には関わらないようにしていますのでご安心を』

    『そして現在、後方支援に回された方へは『研修ミッション』の提案を行っています。その内容はスケバンやアリウス残党など『社会のゴミ』と言われている悪い子たちをお仕置きするというもので、そこで成果を出せば晴れて『修行を積んだ勇者』として前線に行けるという仕組みになっています』

    『研修をクリアした先生にはより強力な武器を持つユスティナ信徒を支給しており、先生方のモチベーション向上にも努めています。このキヴォトスから悪人が淘汰される日はそう遠くはありません』

    『性格わる。真っ先に淘汰されるのあなたじゃん』

    模倣ミカの言葉に、自信に満ちていた模倣ハナコの表情が曇る。

    『も〜、次のイベントの説明に移るよ?でもその前にさ』



    『ミカちゃん、なんで昨日私の制止を無視してセイアちゃん撃ったの?』

  • 166スレ主25/05/18(日) 21:22:56

    先ほどまでの軽めのトーンから一転、静かに相手を威圧するようなメフィストの気迫に模倣ミカがびくっと震え、メフィストの方を見る。

    『だ、だって!セイアちゃん私が先生のこと好きなの知ってて先生と仲良くしてたんだもん!』
    『そっか、じゃあそのせいで私やナギサちゃんが死にかけても何とも思わないと?』

    言い訳を聞いているようで、その言い分を一切認めない言い方に模倣ミカは徐々に劣勢に立たされていく。

    『セイアちゃんが悪いんだもん……』

    模倣ミカの答えに、メフィストは呆れたようにため息をつく。

    『はあ。ミカちゃんさ、やっぱり取っちゃおっか。先生との思い出の記憶』

    『えっ』

    『だってさ、先生にこだわってるから私の言うこと聞いてくれないんでしょ?そんな悪い子は思い出没収です。それと多分だけどさ、先生は言うこと聞かないような悪い子は嫌いだと思うよ?』

    『や、やだ!そんなことないもん!』

    模倣ミカの反論を無視してメフィストは席を立ち、模倣ミカの前まで歩み寄る。

  • 167二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 21:25:11

    それもっと制御不能になるのでは……?(エデンミカを見ながら)

  • 168スレ主25/05/18(日) 21:45:17

    『でも等価交換だからね、代わりに好きなものあげる。何がいい?あ、そうだ、ミカちゃんの好きなブランド今度新作のアウター出すらしいけどそれにする?スマホの最新機種でもいいし、それとも歯並び直そっか?目大きくする?鼻小さくする?ウエスト細くしてもいいし、おっぱいおっきくしてもいいよ?』

    真っ直ぐに模倣ミカの目を見つめながら無表情で話を進めるメフィスト。
    そしてゆっくりと右手を模倣ミカの頭へとかざした。

    『ぐすっ、ひっく、えっええええええええええん!やっ、やだ、やだ!取らないで……!!』

    先生との大切な思い出を取られてしまうと思った模倣ミカは耐えきれず、思わず泣きだしてしまった。

    『じゃあごめんなさいは?』
    『ご、ごっ、ごめんなさい……!』
    『よし!ちゃんと謝れてえらいぞ!じゃ、指切りしよっか。ゆーびきーりげーんまん!』
    『げんまん……』

    メフィストフェレスは契約を重視する存在、この指切りにも当然契約が発生している。
    内容は模倣ミカがメフィストの命令に逆らわないこと。
    違反すれば無条件でメフィストの指定するものを奪われる。
    これまでも何人ものミメシスたちが契約によって大切なものを奪われてきた。

    そんな恐ろしい契約を目の前で結ばされる様を見て、他のミメシスたちも黙り込んでしまった。

  • 169スレ主25/05/18(日) 22:22:03

    『さてと!トリニティ解放作戦も終わって、このまま停滞してるとユーザー離れちゃうからね!次のイベントを打ち出すよ!』

    『その名も『魔女狩り狩りゲーム』!』

    『内容はターゲットとなるトリニティ生を粛清することで、その強さと数に応じた経験値や強化アイテムが付与されるゲームだよ』

    『そしてそのターゲットが、こちら!』

    メフィストは手元のPCを操作し、プロジェクターを通して映像を映し出す。
    そこには二十名ほどの生徒の顔写真と名前が手配書のように掲載されていた。

    『っ!この子たちは……!』

    模倣ミカがそれを見て反応する。

    『気付いたようだね。そう、これは聖園ミカにいじめを働いていた子たちのリストだよ。だから魔女狩り狩りゲーム』

    メフィストはヒフミが一度もしたことがないであろう邪悪な笑みを浮かべる。

    『さあ、君たちの好きな正義を存分に振るうといい』

    こうして、次の地獄が幕を開けた。

  • 170スレ主25/05/19(月) 06:27:15

    保守コーナー 〜ブルーアークカタストロフのルール〜

    スユティナ信徒の強さは、先生の正義感の強さ次第。
    決して躊躇うな。

  • 171二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 09:27:09

    人は正義の為ならどこまでも残酷になれるし、わかりやすいお題目だからねぇ…
    ……確かPSYCHO-PASS2で似た感じの事件あったな。
    契約で縛ってるクセに同意とか白々しいったらないな……しかし、コユキに化けて箱を開けようとしていた。
    ある程度は他校のミメシスも作ってある?

    お互い仲悪そうだし、付け込むとしたらそこだろうけど………反撃の時はまだ先っぽいねぇ

  • 172スレ主25/05/19(月) 12:19:39

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    一方その頃、戒野ミサキは朝顔ハナエと共にセーフハウス内をかけ回っていた。

    「誰か!X型とY型の血液型の人はいませんか!?友達に輸血が必要なんです!」
    「救護騎士団からもお願いしています!該当する方は是非ご協力をお願いします!」

    その血液型は、ミメシスたちの攻撃を受けたアツコと連れ去られたサオリのものだった。
    特にアツコは『ロイヤルブラッド』と呼ばれる特別な出自のため、探すのにも一苦労だった。

    「ごめんなさい、私該当しないです」
    「私も……」

    簡単には見つからないが、ミサキは諦めなかった。
    自分のことは簡単に投げ出せるつもりだったが、どうやら友人の場合はそうはいかないらしい。

    (自分のことはどうでもいいと思ってた。けどアツコは、サオリ姉さんは駄目……!)

    そうして避難所の生徒へ血液型を聞いて回っている時、ついに一致する生徒が現れた。

    「はい、私は確かにその血液型と一致しています。すぐに……」
    「待って、この子アリウスだよ」

    しかし、隣にいた友人らしき生徒はミサキへ疑いの目を向けていた。
    事実、過去にトリニティを襲撃したスクワッドの一員であるミサキに言えることは何も無い。
    隣にいるハナエも不安そうな顔でその様子を見ていた。
    緊急とはいえ、強制できるものではない。
    断られそうな気配を感じていたミサキは次の生徒のところへ向かおうと考えていた。

    しかし、提供を申し出た生徒の答えは予想に反するものだった。

  • 173スレ主25/05/19(月) 12:20:26

    「確かに、エデン条約調印式の件が消えて無くなったわけではありません。ですが、アリウススクワッドの方々には同じ学舎の方を救っていただいたとも聞いています」

    「そのどちらも、無かったことにしてはいけません」

    生徒は一切の迷いを見せず、強い意志を感じさせる目でミサキの目を見る。

    「……私から頼んでおいて何だけど、本当にいいの?」

    ここまで真っ直ぐに、条件も無しに協力してくれるとは思っていなかった。
    戸惑いながら尋ねるミサキへ、その生徒は優しい微笑みを浮かべながら答える。

    「そんな疑問すら浮かばなくなる、いずれはそんな間柄になれたら素敵ですわね」
    「……もう片方の血液型に心当たりがある。ちょっと電話するから待ってて?」

    隣の友人も納得したのか、スマホを取り出してどこかへ電話をかけ始めた。

    「す、すみません!さっき私は一致しないって言ったんですけど、友達に一致する人がいました!すぐ来てくれるって!」

    先ほど断られた生徒もそのまま終わりにせず該当する者を探し、わざわざ伝えに来てくれた。

    「これだけ集まればアツコさんは助かります!サオリさんの方は怪我の程度がわからない以上判断が難しいですが、一般的な基準で必要な血液の量は満たせる想定です!」

    ハナエの言葉を聞いて安心したのか、ミサキはその場にへたり込んでしまった。

    「ありがとう、ございます……っ!」

    まだ何も終わっていないのに、立ってもっと働かなければならないのに。
    しかしそんなミサキを責める者は誰もおらず、ハナエは優しい顔でミサキの背中をさすっていた。

  • 174スレ主25/05/19(月) 17:23:34

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    廃校を改装したセーフハウス内の保健室には、特に集中して治療が必要な生徒が運び込まれていた。
    秤アツコもその一人である。

    「…………ん」

    そして輸血を受けた彼女はしばらくの間意識が無い状態が続いていたが、ついに目を覚ました。

    「ア、アズサちゃん!アツコさんが目を覚ましました!」
    「んん……っ!?アツコ!大丈夫!?私がわかる!?」
    「私、ハナエさんに連絡します!」

    アツコの側にはアズサとヒフミがついていた。
    アズサはベッドにもたれかかるように寝ていたようで、寝ぼけながらもすごく心配している様子だった。

    「うん、大丈夫。意識もはっきりしてる。それよりここは?」
    「トリニティの代表、ナギサのサーフハウスの一つだ。ミメシスに襲われた後、みんなでここへ逃げ込んだ。ミサキやヒヨリも一緒だ」

    アズサがこれまで起こったことを説明していると、ハナエとミサキが保健室へ入ってきた。

    「アツコ!!」
    「ミ、ミサキさん。お静かに……!」
    「あっ、ごめん……」

    「そっか、みんなのおかげで私は助かったんだね。ミサキ、ハナエ、アズサ、そしてヒフミもありがとう」

    笑顔で礼を言うアツコを見て、ヒフミは胸が締め付けられる思いだっだ。
    自分のせいでアツコが怪我を負ったも同然だからだ。

  • 175スレ主25/05/19(月) 18:34:06

    「お礼を、謝罪をしなければいけないのは私の方です。あの時私がデコイを出すのに失敗したからアツコさんが大怪我をして、そのまま起きなかったらって思ったら……。本当にごめんなさい」

    震える声で頭を下げるヒフミ。
    アツコはそんなヒフミを見て、首を横に振る。

    「これは私が自分の意思で行動したことだから、ヒフミのせいじゃないよ。そもそも、ボロボロだった私を最初に介抱してくれたのはヒフミでしょ?誰かが悪いなんてことはないんだよ」

    アツコの言葉に同調するようにミサキも付け加える。

    「そうだね、むしろ心配なのはヒフミの方だよ。この間もブラックマーケットで暴れたって話を聞いたけど、あれ偽物だよね?」

    ミサキには目の前の少女が、私利私欲のために他人を傷つけるような人間にはとても見えなかった。

    「はい、私はブラックマーケットでお買い物をしたことはありますが、そんなことはしていません。どちらにせよ褒められた話ではありませんが……」

    「でも、あの日ミメシスたちに襲われて、強盗と間違えられて、でも自分のしてきたことを考えたら完全に否定しきれなくて、それでも本当に怖くて……!」

    周りの人間を助けるために気丈に振る舞っていたヒフミだったが、彼女はずっと恐怖と闘っていたのだ。

  • 176スレ主25/05/19(月) 19:07:40

    いつ再び襲われるかわからない恐怖と、自身の偽物がまた罪を重ねているのではないかという恐怖と。

    アズサは安心させるように震えるヒフミの肩を抱き、その場の全員へ声をかける。

    「もうアリウスだとかトリニティだとか、そんなことにこだわっていられるような状況じゃない。一度ナギサのところへ相談に行こう」

    「今はヒヨリが今後の作戦についてナギサと話してくれてるはず。アツコとヒフミはここで休んでて。ナギサのところには私とアズサで行くから」

    保健室を出ていったアズサとミサキの後ろを、少し遅れてヒフミが追いかけてきた。

    「ヒフミ!?」
    「私も行きます!何ができるか、今はまだ答えを出せません。でもアツコさんみたいに、私も自分のやることは自分で決めます!」

    (怖くても立ち上がる。以前私たちの虚しさを真っ向から否定した時も、こんな感じだったのかな)

    意志を固めたヒフミ、アズサ、ミサキはナギサのいる会議室を目指した。

  • 177スレ主25/05/19(月) 19:50:47

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    その頃、浦和ハナコは荷物をまとめ、セーフハウスを出る準備をしていた。
    その脳裏に焼き付いているのは、必死に逃げる際にもう一人の自分からかけられた言葉。

    『こんな本ばかり見ていないで、もっと日頃からトリニティのために手腕を振るっていればもっと対抗できたでしょうに』

    『どこまでいっても自分本位。あなたの怠慢が友人を、トリニティを殺すことになるんですよ』

    『わかるんですよ、同じ存在だから。結局、あなたが愛しているのは自分だけ』

    彼女の言葉にハナコは内心同意していた。
    もっと日頃からティーパーティーやシスターフッドなどと協力しておけば。
    卑猥な本なんて読まず、聖書や兵法書を読んでいれば。
    寄り道なんかせず、自分のすべきことだけに集中していれば。

    そうすれば、友人たちに怪我を負わせることもなければ怖い思いをさせることもなかっただろう。

    そして今も、その友人たちは恐怖と戦いながら前に進んでいる。
    自分のように、己の利益のことしか考えていないような卑怯者に、ここにいる資格は無い。
    そして何より、この期に及んでまだ逃げ出そうとする自分自身に彼女は心底失望していた。

  • 178スレ主25/05/19(月) 20:34:49

    玄関へ続く廊下を歩く。
    これからどうしようか。
    自分にはミメシスを殲滅できるような戦力は無い。
    せいぜい一、二体倒すのが関の山だろう。
    本当に無価値で、役に立たなくて、できることと言えば避難所を出て、自分の分少しでも物資の消耗を抑えることだけ……。



    「ハナコ!!」

    今一番聞きたくない声だった。
    どんなに劣勢でも決して諦めることなく戦い続ける彼女の姿は眩しすぎる。
    彼女と一緒にいると自分の自分の惨めさをより強く実感させられてしまう。

    「コハルちゃん……」
    「こんなところにいた、探したわよ!お願い、あいつらをやっつける作戦を思いついたからあんたに協力してほしくって……」

    「無理ですよ」
    「ハナコ……?」

    「私にはできません。ミメシスにも言われました。寄り道なんかせず役目を果たしていれば、もっと被害を抑えられただろうって」

    「求められることから逃げて、日頃ふざけてばかりいて、そのせいで巡り巡って皆さんにも取り返しのつかない大怪我を負わせてしまいました。ですからもうこれ以上迷惑をかけないよう、私はここを出ます」

  • 179スレ主25/05/19(月) 20:37:58

    ハナコの目にハイライトは無く、顔も真っ直ぐ前へ向けて、その目はどこを見ているのかコハルからはよくわからなかった。

    「最後まで役立たずですみませんでした。コハルちゃん、どうかお元気で……」

    そのまま歩いて行こうとするハナコの手を、コハルはがっちりと掴む。



    「一回座らない?私、まだお喋りし足りないんだけど」

    コハルは包み込むような優しい声色でハナコを引き留める。
    二人は近くの空き教室に入り、隣同士の席に座った。

    「ていうか、ハナコでもそんなこと思うのね。少し意外な一面だったかも」
    「……」

    「私も寄り道ばっかりして、正義実現委員会なのに先輩たちみたいにカッコよく活躍できなくて、おまけに成績も悪いからあんたたちと出会う羽目になったわ」

    「最初はこんなところすぐに抜け出そうって思ってたけど、今はそうは思わない。変なやつばっかりだけどみんないい子で、誰も成績で人を馬鹿になんてしない」

    なおもハナコは口を開かない。

  • 180スレ主25/05/19(月) 21:23:26

    「ねえ、あんたの偽物が言ってたことは本当に正しいの?寄り道もせず役目を果たすことだけを考えるって」

    「そうしたら私みたいなのは、補習授業部はどうなるの?能力だけ見て、その人となりから目を逸らして、役に立たないからいらないなんて言ってたら、人の気持ちがわからない人間になっちゃうわよ!?それこそ、あんたの偽物みたいに!」

    「私はそれを、寄り道しないことを正しいとは思わない!」
    「!」

    ハナコの目に光が戻る。
    言われてみればその通りだ。
    それと同時に親身になってくれる友のありがたさにも気付かされる。
    自分だけでは歪んだ認識を正せなかった。
    戻ってこられたのは間違いなく隣の友のおかげだ。

    「そ、それに!あんたがいないと寂しいの!私だけじゃなくて、ヒフミもアズサも、先生だって絶対に同じことを言うわ!わかってないみたいだからハッキリ言うけど!」
    「コハルちゃん……」

  • 181スレ主25/05/19(月) 21:24:06

    そうだ、自分にはまだ愛してくれる友がいる。
    その友のためにも、まだ諦めるわけにはいかない。

    「だから、手貸しなさい!あんたの皮を被って好き放題やってるあのムカつく奴を、一緒にやっつけにいくわよ!!」

    コハルは力強い目でまっすぐとハナコを見つめ、ハンカチを差し出す。
    その暖かさについには堪えきれなくなり、ハナコはたまらずコハルに抱きついた。

    「ちょっ、加減しなさ……いや、やっぱりいいわ。気が済むまでこうしてなさい」

    コハルはしばらくハナコの背をさすっていた。
    やがてハナコの震えが収まり、改めて二人は目を合わせる。

    「ちょっとはマシな顔になったんじゃない?」
    「コハルちゃんのおかげです。本当にありがとうございます。それから……」



    「いい雰囲気だったので言えなかったのですが、皮を被ってという表現はどうにもいやらしさを感じてしまいますね♡」
    「あんたねぇ!!」

    親友の復活を喜びつつ、不埒な発言に憤りを感じるコハルであった。

  • 182二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 00:48:36

    光属性コハルよい…

  • 183スレ主25/05/20(火) 06:36:11

    保守コーナー 〜ブルーアークカタストロフのルール〜

    ミメシスが敗北した場合、藍輝石120個で復活することが可能。
    そして藍輝石は大人のカードによって購入することができる。

    ミメシスは一体一体は決して強力とは言えない。
    負けた際にはすぐに復活できるよう、あらかじめ石を蓄えておこう。

  • 184二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 10:05:28

    雨降って地固まる……助け合いの精神が暖かいねぇ
    アツコはどうにかなった…あとはサオリか
    ハナコは…コハルのおかげで持ち直したか。逃げるのはいいよ。ただし逃げ続けることはできないし、いつかは立ち向かわなきゃならない時は来る。そして『逃げない』って選択肢を選ぶのは滅茶苦茶大変だ。手を取ってくれる相手がいてよかったね。
    そういう意味では模倣ハナコの強化は逃げといえるかもね

  • 185スレ主25/05/20(火) 14:23:11

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    トリニティの生徒たちが続々と立ち上がる中、セイアは未だ暗闇に囚われたままだった。

    「どうだった、セイアの様子は?」

    先生の問いに対しミネは首を横に振る。

    「外傷も無く生命活動に問題は無いのですが、ベッドからは動けず、食事も受け付けないので点滴で栄養補給せざるを得ない状態です」

    セーフハウス会議室にて、ミネと先生はセイアについて話していた。
    トリニティの生徒に死者は出なかったものの、模倣セイアを助けることができなかったことによる後悔を各々が抱えており、空気は重かった。
    それは後から部屋に入ってきたナギサもミカも同様だった。

    「セイアちゃん、私たちが声をかけても反応しなくて。焦点も合ってなくて、私たちが見えてないみたいだったよ……」
    「念の為飲み物と食料は置いてきました。少しでも手をつけてくれると良いのですが……」

    二人の表情も暗い。

    『自分がもっと適切な行動をしていれば』と誰もが考えていた。
    しかしそれを口にしてしまうと、『いいや自分のせいで』などと他の者も同調してしまう悪循環に陥ることはわかりきっていた。
    何より、そんなことをして一番傷つくのはセイアである。

    今できることは、後悔を飲み込みながら前へ進むことである。
    トリニティを取り戻すために。

  • 186スレ主25/05/20(火) 18:31:12

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    「…………」

    セイアは静かな個室でベッドに横たわっていた。
    それ以外のことは何もせず、ただひたすら天井をぼーっと眺めているだけだ。

    考えているのは、妹を助けられなかったことと、怒りに囚われ仲間まで傷つけてしまったこと。
    どうすればよかったのか、どこから間違えたのか、かつて予言の大天使と呼ばれていた彼女からは想像もつかないほど、今のセイアは『過去』にしか目を向けられていなかった。

    本当はやらなければならないことが山ほどあることを理解しつつも、大切な者を失った痛みは彼女をベッドへと縛り付けていた。

    しかしどれだけ落ち込んでいても人間の体というものは正直で、眠気というものは自然とやってくる。
    知らず知らずのうちにセイアは眠りに落ちていた。

  • 187スレ主25/05/20(火) 20:37:27

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    「はっ!?」

    そして気がつけば、セイアは公園の中に一人ぽつんと立っていた。
    そこは自身が怒りに囚われ破壊の限りを尽くした時と同じ、あの公園。

    (あの時の公園だ。でもあの時とは違って自分の意識がはっきりしている。これは一体……?)

    戸惑うセイアだったが、そんな時ふと後ろに人の気配を感じた。



    『やあ姉さん、息災……では無いだろうね』

    そこには死んだはずの模倣セイアが立っていた。

    「あ、あああ……!セイア!セイア!!どうして?夢だからか!?いや違う。すまない、私のせいで君を助けられなかった!本当に、もう後悔しても遅いのに……」

    模倣セイアに縋り付くセイアを、彼女は優しく抱きしめる。
    その顔はとても安らかだった。

    『姉さんたちのせいではないよ。これは私が選んだ結末だから』

  • 188スレ主25/05/20(火) 21:57:17

    模倣セイアはゆっくりとセイアを立たせ、二人で近くのベンチに座る。

    『最後に少し、話がしたかったんだ。本当は全て一人で抱えて消えるつもりだったが、それよりもきちんと話しておいた方がいいと思ってね。あと、やっぱり一人で消えるのが寂しくなったというのもある』

    『だから最後に夢を通して会いにきたんだ。百合園セイアの偽物としてではなく、感情を持った一人の人間としての私の人生を、誰かに知って欲しかった』

    言い終えると同時に辺りの景色が変わり、気がつけば二人は映画館の中にいた。
    模倣セイアは両手にジュースとポップコーンを持っている。

    『姉さんの分もあるよ。なに、こういうのは重く捉え過ぎず、ポップコーン片手に眺めるくらいが丁度いい。さあ始まるよ、姉さん。私の記憶の上映会が』

  • 189スレ主25/05/20(火) 22:01:37

    やあ先生、スレ主セイアだよ。
    物語のキリがいい所まで来たので、今日の投稿かつPart2への投稿はここまでにするよ。
    明日は朝と午後に保守をして、夜に新しいスレを立てつつそこへ投稿していこうと思う。

    それから、ここまで読んでくれてありがとう。

  • 190二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 21:06:23

    ロールバックで思わぬ待ちになってしまった

  • 191スレ主25/05/21(水) 21:17:44

    思わぬ事態で遅くなってしまったね。
    今から立てるよ。

  • 192スレ主25/05/21(水) 21:20:14

オススメ

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