「(ん、トレーナーさん、何書いてるんだろ)」

  • 1◆4soIZ5hvhY25/05/10(土) 12:40:08

     授業が終わって、部屋に入ろうとした時、トレーナーさんが机に向かって何かをしてるのが目に入った。でもそれは、よく見るといつものお仕事じゃないみたいで。わたしが来たことにまだ気づいていないトレーナーさんは、何かを描いていた。
     ジャマをしないよう、そろ、そろ、と近づくと、

    「……絵?」

    テーブルの上にシャープペンで描かれた、イラストが目にはいってきた。耳には黒と白のメンコがあって、ゆるやかなリボンがあって。目はちょっとぽやぽやしてて、髪はふわふわしてそうな。……あれ? これって。
     描かれていたのは、

  • 2◆4soIZ5hvhY25/05/10(土) 12:40:24

    「ぁ……」

    まぎれもなく、

    「──わたしの、イラストだぁ」

    わたしのことを、描いてくれていた。

     そんなわたしを見たトレーナーさんの顔は、ちょっと間をおいて、すぐにまっかっかになり「ひ、ヒシミラクル!?」 って言って慌てて丸めようとするものだから、

    「わっ、トレーナーさん待って!! そんなくしゃくしゃにしちゃダメですってば〜!!」

    こっちも慌てて止めに入ることに。ふう、あぶなかったぁ〜。

  • 3◆4soIZ5hvhY25/05/10(土) 12:40:44

     なんとか引き止めて落ちついてもらえたので、理由を聞いてみたら、アストンマーチャンちゃんのトレーナーさんがマーチャンちゃんの絵を描いていたみたいで、じゃあ自分も描いてみたいな、となったそうな。
     まだ上手に描けていないけどね、と恥ずかしそうにトレーナーさんはそう言っていたけれど、絵なんかまったくのシロウトなわたしから見ても、全然うまくって。そして、描いてくれたことが何よりも。

     すっごく、すっごく、うれしくって。

    「……ね、トレーナーさん。ほかにも、見せてくれませんか?」
    「トレーナーさんがほかにもどんなわたしを描いてくれたんだろうって、めっちゃめちゃ気になるってか!」

     その時のわたしの顔は、どんな顔をしてたんだろう。

  • 4◆4soIZ5hvhY25/05/10(土) 12:41:05

     それから、いろんな絵を見た。わたしの勝負服と同じ青と白のペンライトがいっぱいに振られた、ウイニングライブの時の絵や、感謝祭でがんばったときの絵。と思いきや、プールをがんばったあとのゴホウビで行った焼肉のときの絵や、三月の節分で恵方巻を食べてるときの絵なんかも。
     特別な日も、なんでもない日常も、その一つ一つ、トレーナーさんはちゃんと見て、描いていてくれていて。

     だけど、見ていてふと思う。

    「──みんな、わたしが笑顔のイラストばっかり」

     ご飯を食べに行ったときも。感謝祭で頑張ったとき、褒めてくれたときも。

     なんでもない日々も。

  • 5◆4soIZ5hvhY25/05/10(土) 12:41:25

     みんな、嬉しそうだったり、楽しそうだったり。笑っている理由はぜんぜん違くても、おんなじように笑ってて。
     どうしてだろ、っていうギモンの顔をしていたからかな。トレーナーさんがわたしの顔を見て、にこやかに笑ってくれた。

     俺は、ミラクルの笑顔が一番好きなんだ。

     プールを頑張れたあとの、やりきったっていう笑顔。つらくてきびしいトレーニングを、一緒に乗り越えられたときの笑顔。学校での思い出を、楽しそうに話すときの笑顔。ヒシミラクルはいろんな顔をしているけれど、それでも、

     ──笑顔が一番好きだ。

     だから、描くなら、君が一番好きな顔を書きたい。描いていきたい。

     自分で描いて、思い出にしたい。

  • 6◆4soIZ5hvhY25/05/10(土) 12:41:46

    「(〜〜〜っ!!!! そんなにいっぱい好きって言わんでも〜〜っ!!!)」

     聞き終えたときにはもう、手もぎゅ~ってなっちゃって、トレーナーさんにも聞こえちゃいそうなくらいどきどきしてる。顔だって、きっと人に見せられないくらいに真っ赤っ赤になっちゃってる。でも、あなたはこの顔もきっと、好きって言っちゃうんだろうなぁ。

     だってわたしも、そんなことを話すあなたの笑顔が、
     一番好きだから。

     だから、わたしも。

    「……ね、トレーナーさん。」
    「わたしも、一緒に描いて、いいですか?」

  • 7◆4soIZ5hvhY25/05/10(土) 12:42:04

     一緒に、思い出にしたい。
     これから先も、あなたといっぱい、笑顔になりたい。そして、その笑顔をかさねて、かけがえのない思い出にして。ずっと、ずっとずっと。

     そして、もしも。

     もしも『そのとき』が訪れたわたしは、どんな顔をしているんだろう。

     でも、そのときも、

  • 8◆4soIZ5hvhY25/05/10(土) 12:44:00

     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     あなたのとなりにいて、あなたとおなじように。

     あなたと一緒に、笑っていますように。

  • 9二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 12:50:14

    あらあらあらあら
    まあまあまあまあ
    甘っ

  • 10二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 12:53:16

    あったけぇ…………絵も文章もあったけぇよぉ…………そしてタキオンの紅茶並みに甘々だぁ…………!

  • 11◆4soIZ5hvhY25/05/10(土) 12:57:06

    実装から2年
    今でも好きを徹せていられるのは、ちょっと誇りかなって思います

    ずっと、ずっと
    ミラクルが好きだ

  • 12二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 12:58:35

    俺の中のデジタル因子が崩壊した
    釜の底が抜けるラピュタのような状況に陥っている
    この責任はこの二人に負わせなければならない

    俺がここで食い止める! 俺に構わず式場まで行け!
    グズグズするな! 立ち止まりでもしたら俺が後ろから蜂の巣にするぞ!

    ……行ったか
    末永く幸せに爆発しろ……ガクッ

  • 13◆4soIZ5hvhY25/05/10(土) 13:30:19

    >>9

    Diggy-MO'さん!?(たぶん違う)

    ありがとうございます〜!

    >>10

    ありがとうございます〜!

    タキオンちゃんの紅茶はたしかにめちゃ甘いかも

    >>12

    ありがとうございます〜!

    コトバ使いはちょっとお堅いけど根はめちゃ心優しいなヒト!

  • 14二次元好きの匿名さん25/05/10(土) 17:37:16

    「同じ芦毛のよしみで、どうか弟子として修行させてください!」
    とクラシック二冠ステイヤーウマ娘がミラ子の前に土下座して額を床に擦りつけている未来が見える見える

  • 15いつものネイチャ不在なので代行25/05/10(土) 23:32:25

    ひしみーはなんというか、具が1種類かいいとこ2種類のお味噌汁みたいな、ホントに特別感は全然ないんだけど、だけど当たり前のようにいつもそこに寄り添ってるような、そういう娘だよね
    たまーにシチューやスープにピンチヒッターとして交代されちゃうこともあるけど、おかずがお揚げさんの炊き合わせでもハンバーグでも焼餃子でも、そんなこと何も関係なくちょこなんと座っていっつもほわほわしてる

    …なあ兄ちゃん、なんでウチにはひしみーおらへんの?
    ってなってる…

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