- 1二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 03:24:48
時計の短針が遂に3時を超えた頃、アグネスデジタルはまだ眠れなかった。
別に、尊いウマ娘ちゃんのDVDを見たとかそういうので興奮したのではなく、ただ、なんとなく眠れなかったのだ。
「はぁ、なんというか……何もしないままこうやって起きているっていうのもなんですかねぇ……」
誰も聞いてない、単なる独り言が口から洩れる。しんと静まり返ったリビングで、デジタルは一人ぼぉ~っとしていた。
ちくたくと針が進み続ける中デジタルの頭の中には
(この時間にTVでも……いや、旦那が寝ているのにそれはどうかと……起きてしまったら……)
など、とりあえず何かしようとしたり
(貯金とか大丈夫でしょうか……トレーナー業は充実しているとはいえ、チームに割かれる費用はまだ多いんですよねぇ……)
普段はあまり目を向けないことを考えたりしていた。
月が傾き始める頃、もぞもぞと扉から出てきた影がひとつあった。 - 2二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 03:30:27
ほんの少し、尿意があったという普通の理由で、元アグネスデジタルのトレーナー、現夫がふらふらとトイレに向かう。
そんな姿に、当時は見せてくれなかった緩さを感じてしまって、少し笑みがこぼれてしまう。
「はれ?デジたん、まだ起きてたの?」
「はい!ちょっと寝付けなくてですね……たははっ!」
月光に照らされたデジタルの笑顔が元デジトレに向けられる。
寝ぼけ眼をこすり、デジトレがなにか閃いたかのように冷蔵庫へ向かい、牛乳を取り出す。
電子レンジで温めて、ホットミルクを二つ並べて、デジタルに差し出す。
「ちょっとだけ起きておこうかなって」
「もぉ~!どうしたんですか、あなた、いつも朝は弱いんですから」
「それを言うなら君だって、当時の体力じゃないんだから夜更かしは快眠の敵だよ」
「うっ、反論の余地なしです……」
少しして二人して飲み終えて、デジトレがデジタルの手をとる。
「……あたたかい」 - 3二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 03:36:18
「はい、まあ」
ホットミルクのおかげです!なんて言葉が出る前にデジトレが言う。
「デジタルの命の温かさだ」
指が手の甲に触れる、指に絡みつく、ガラスを扱うがのごとく、丁寧に愛でる。
「そして……もう一人の分の」
『あなたの身体では、かなり難しいことかと』
あぁ、なんでもないなんて嘘っぱちだ。
デジタルは、あの言葉をリフレインしていたのだ。、無理もない、彼女の身体の小ささなら、茶化すことはできない深刻な悩みだろう。
「ねぇ……あなたはどう思いますか?」
ぎゅっと、手のひらが密着する。
「デジタルが怖いなら、今すぐにでも止めたい……エゴだってわかるよ……でも、俺はデジタルとの子供が欲しい」
布団の中に、二人分の影と形が混じっていく。 - 4二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 03:39:13
…………
深夜、月明かりが部屋を照らす時間。
「でな、ここをこうやって」
「ねぇパパ、そろそろママに見つかっちゃうんじゃない?」
「大丈夫だって、ママも今新刊で忙し」
「あ~な~た~???」
月明かりの下、1つの部屋に4つの影。
けっして、夜の美しさではないのだろうが、今そこにいる彼女らにとっては、なによりの幸せなのだろう。
END - 5122/03/31(木) 03:39:38
というわけです
おやすみ! - 6二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 03:41:02
素晴らしかったです。
- 7二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 03:42:39
良き!!!
ありがとう…ありがとう - 8122/03/31(木) 03:46:30
デジたんとぼーっと夜を過ごしたいですね
- 9二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 07:23:06
良いじゃん
- 10二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 08:11:32
幸せにおなり...だ...
- 11二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 12:53:13
妊娠して腹を優しくなでるデジたんはさぞ美しいんだろうな