- 1東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/12(月) 22:55:06
- 2東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/12(月) 22:56:18
【前スレ】
【R-18】ここだけ3勢力入り乱れ惑星外性生物と戦うリアルロボットSFな世界part19【のんびり進行】|あにまん掲示板襲来した異星人!侵略されるエネルギー資源!存亡の危機に晒されてなお人類は……未だ一つになり切れず、壮大な内ゲバを繰り広げ続けていた!!【出来れば読んでいただきたい世界観および初期設定集(テレグラフ)(…bbs.animanch.com【禁止事項】
・無敵ムーブ(戦闘でダメージを受けない、回避し続ける、など)
・必要性の認められない確定ロール
・相手PLが嫌がっていることを強要する行為(特にR-18関連はデリケートなところなので扱いには気を付けて、事前相談忘れずに)
【世界観やパワーバランスを保つ上での禁止事項】
・版権設定の利用
・「地形を変えられる火力」を個人で設定し所有すること
・3勢力(K.I社、人自連、デスペラード)+インベイドよりも立場や規模が大きい勢力を設定すること
・なんでも高い水準で出来るキャラ、なんでも高い水準で出来る機体禁止(他の人の活躍機会を奪いかねないため)
・メタネタ禁止(「この世界は作り物だ~」や背後さんへの言及をキャラの目線で発言させるなど)
- 3東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/12(月) 22:58:31
Q1:参加してぇ!けど事前のキャラ登録って必須なの?テンプレはある?
A1:キャラシはあった方が色々スムーズだとは思うけど、無くても規約的なNGムーブさえしなけりゃ参加はOKだぜ!
テンプレらしいテンプレは特に無い(めんどうくさかった)からテレグラフなりで各自好きな様に書きたいこと書いてくれ!
↑の初期設定集から飛んだ先にあるスレ主のキャラシからテンプレとして項目を引用しても大丈夫だぜ!
Q2:キャラは1参加者につき何人まで?
A2:何人でもOKだぜ!複数陣営あるし下手に制限設けたらスカスカになるのが目に見えてるから……好きな様に作ってくれ!
Q3:コテハン(トリップ)は必須なの?
A3:必須じゃないぜ!でもトリップが無いってことはなりすましや乗っ取りが出ても判別方法が無いってことでもあるから、自衛手段としてコテハンを持っておくのは無難だぜ!
Q4:スレタイにR-18表記があるけどエロスレなの?
A4:一般誌のエロ描写とか元ネタ一般作品のエロ同人好き? 俺は好きなの……
エロメインじゃないけど「エロいことも割と自由に描写して良い」スレだから苦手な人がミスッて踏まない様に一応表記しているぜ!
「猥談耐性はあるけど自キャラにエロルさすのはなぁ……」って人でもOK、「自分は露骨なエロやりたくないです」って言っておけば良いぜ!
Q5:設定集に目通したけどなんか既視感ある設定ばっかりだな?
A5:へへっ - 4東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/12(月) 22:59:12
【テレグラフ(設定やキャラシート、R-18な文章を書いたりにどうぞ)(※URLのhとttpsの間のスペースを消して検索してください)】
h ttps://x.gd/Z5SAZ
【URL短縮用サイト(テレグラフのデフォルトURLだとあにまんのNGワードに引っ掛かってしまうのでこちらでURL短縮してから投稿してください)】
- 5グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/05/12(月) 23:02:03
...私はまだ登場していない故、
ここの保守のみ担当させて頂く。 - 6龍影◆9BZ6kXGcio25/05/12(月) 23:05:36
ゲッターっ!トマホーク!
立てごめんやで…やってもらって… - 7グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/05/12(月) 23:06:41
クロノスにとっては向かい風が強い...
だが、それで脚を止める企業ではない
交渉が駄目なら買収し、
買収が駄目なら強襲し、
強襲で駄目なら後ろから刺す。
仕方無くも犠牲となった数多の人々には、
私としても深い敬愛と哀悼を祈らせて貰う
...尤も、私に祈られても不快だろうがね。 - 8グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/05/12(月) 23:08:20
来る"アカデメイア"の目付け役として、
私は現地に配属される役目を担った。
いつかの邂逅を楽しみにしているよ - 9グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/05/12(月) 23:10:16
さて。最後に一つ説法を一つ
"愛し、また愛されること、
それがすべての始まりである"
この意味は君たちが一番良く知っているね?
ならば、それを忘れない事だ... - 10グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/05/12(月) 23:10:44
ではまた。
次会う時は是非味方として逢おう。 - 11ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/12(月) 23:56:17
前スレ198
「わかった。右腕側の展開はできるだけ瞬間的にする」
コックピットに戻って、蒼風改側の左手に持っていたビームサーベルと右腕側のビームサーベルを両方置き、右腕のシールドの内側へ初期型のサーベルを収めた。
「腰マウントもできるけど、念の為二本置くよ。使いたい方を持っていって……出力調整も効くから、規格外気味だけど……望月ならパワーダウンもしないはずだ。使いづらいかもだけど、頼れるよ」
蒼風改だからこそ使える特別製だが、互換は効いている。忠告は念の為だった。
そして一通りの話し合いと交換を、どのような結果にしろ終えたからか、蒼風改が立ち上がった。
前スレ182 前スレ192 前スレ194
『後は頼むで、ケイ――――!!』
「――――それじゃ、行ってくる」
台さんと葉桜が時間稼ぎを完遂してくれた。そう龍影に端的に伝え、蒼風改を浮かび上がらせる。
「”艦長”さんとは語り切る暇がなかった。生き残ることしか考えられなかった」
接触回線で効いた独白が、今も耳に残っている。同じ側として、語りきれなかった心残りだ。
お互いに平行線である以上、力で語り合う以外になかったというのは簡単だからこその……。
前スレ183
「だから、ノインとは。きっちり話をつけてくるよ」
彼女が自分を見下ろしていると、分かったから。
その言葉を最後に、蒼風改は空を舞う。一瞬で音を超えた後、緩やかに減速して――――。
「遅れてすまなかった、”撃墜王の再来”。いや……ノインさん」
蒼月と、蒼風改は相対した。
・・・・
同じ高度で。 - 12東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/13(火) 00:17:07
前スレ197
『ありがとな、ホンマ助かった!』
誰かは分からないがお礼を言い...
「とりあえず......ちょっとパクるか?」
転がるBFや武器の残骸たちを寄せ集め、
燃料やパーツを応急処置で補填していく - 13ラバー◆m3XwMsEekQ25/05/13(火) 00:22:38
前186
ミスマッチ……そうかもしれませんわね
周囲一体を焼け野原にできるという点はかなり気に入っておりますが、それだけではなんとも言えませんわ
直接的な火力がありませんとわたくしの装備とは合いませんとも
アドバイスありがとうございますわ旧愛卿様!
旧愛卿様の装備は……物理近距離特化ですし……レイピアなんか良さそうですわね
叩き潰すことはできないかもですけれど、相手の大事な部分を一閃にして葬る……きっと旧愛卿様のようなかっこいい方とマッチしていると思いますの!
【ラバーは知らない……旧愛卿がそこまでBFの戦いに強くないことを】 - 14ルフス◆hFOUpFQqt.25/05/13(火) 06:57:43
- 15ノイン◆fDey8JUvvk25/05/13(火) 07:18:43
- 16龍影◆9BZ6kXGcio25/05/13(火) 07:29:46
- 17東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/13(火) 07:53:32
- 18旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/13(火) 08:29:59
- 19アルパ◆YMCgTirJag25/05/13(火) 08:48:06
- 20ミハエル◆j28rRKKOSY25/05/13(火) 09:19:57
- 21龍影◆9BZ6kXGcio25/05/13(火) 10:03:12
- 22グランセン解放戦線◆OXAm1h6odk25/05/13(火) 10:20:28
賢工グループ・第三生産プラント
─────陸戦兵器が、既存の兵器とは一線を画す機動力と火力を有するバディフレームによって圧倒される中で航空機は依然変わらず強力な兵器として振る舞い続けていた。
成層圏からの爆撃はバディフレームの携行火力では粒子ビーム兵器程度でしか対処不可能であり、それすらも超音速での機動を可能とする戦闘機への命中は至難の業である。
だからこそ、其れは当然の結果であったのだろう。
『第一目標の排除を完了した。残存戦力の掃討戦に移行する』
旧世代型の、燃料を単にコア粒子に換装しただけのエンジンを響かせ〈鷹の魔女〉の名を冠するバディフレームは超音速で駆け抜けた。
機体そのものと融合した大口径のビーム砲は携行用のビームライフルと比べてすら小銃と艦載砲レベルの差があった────────粒子ビームを投射しながら飛翔する戦闘機を象る異形の機体が、警備用の交代要員とバディフレームが格納されていた倉庫兼兵舎をシュレッダーのように切り裂いて、人体をプラズマ化させた。
『了解。降下作戦を開始する』
だが、破壊だけでは制圧は行えない。
““陸上戦艦””が多数のバディフレームを随伴させていたように制圧には陸戦戦力は不可欠である。事実として、上空から破壊を繰り広げてもシェルターに閉じ籠ったバディフレームが頑なに抵抗を続けるのも可能であろう。
────────だから、二機の戦闘機の形をしたバディフレームの内、一機が躊躇なく低空から地表へと降り立った。 - 23ミハエル◆j28rRKKOSY25/05/13(火) 10:26:55
- 24ラバー◆m3XwMsEekQ25/05/13(火) 11:20:01
- 25グランセン解放戦線◆OXAm1h6odk25/05/13(火) 12:27:57
〈ガサル・ドゥーラ〉が、変形する。
機体の前面に展開されていた流線形の翼が、逆関節の銀色の二脚となって地面を踏み締める。巡航形態では下部に配置されていた大口径ビーム砲は、立ち上がる過程で陸戦形態の胸部へと展開される。
機体に格納されていた腕部統合型の刺突剣も同様に展開され、鋭い刀身を覗かせた。
────────巡航形態で使われていたエンジンは陸戦形態では使えない。小回りの効かない超音速は陸上では容易に衝突を誘発する。そうでなくても空気抵抗は戦闘機型と人型では大きく変わるから。
だからこそ、〈ガサル・ドゥーラ〉の陸戦形態での機動力は逆関節による運動性能に特化している。
最高速度はあくまで素早く制圧戦力を移動させる為の機能と割り切り、極めて迅速な拠点の破壊性能を実現した。
「くっ…………不明機体降下!B-3区画だ!直ぐに守備隊を集合させて─────」
・・
『遅い』
刺突剣が一閃でコクピットを切り裂き、二つの躰を上下に泣き別れさせる。
だが既に多数のバディフレームが集結しつつある。交代要員を撃滅させたとて、エース機の一つや二つは容易に蒸発可能なだけの携行火力を有している。
───────上空から粒子ビームが降り注いだ。
・・・・・・・・・・・
〈ガサル・ドゥーラ〉に、である。
『掃討を完了した』
粒子ビーム拡散装甲に、意図的に粒子ビームを命中させる事による疑似的な拡散ビーム攻撃。
最新鋭量産機をも上回る製造コストと運用コストと引き換えに、〈ガサル・ドゥーラ〉は同種機体間でシナジーすら形成する。 - 26ハイエナ、ハゲタカ◆OXAm1h6odk25/05/13(火) 12:45:02
・・・・・・
「どうやらデスペラードが上手くやってくれたようだな」
防衛戦力が壊滅した『賢工グループ・第三生産プラント』に踏み入った『ローガン工機』の警備部門の最高責任者は、率いるバディフレームに対してわざとらしくそう口にした。
・・・・・・・・・・
つまり、事前に雇った独立傭兵の奮戦のお陰であると。
数個小隊ものバディフレームが自衛する力を失った生産プラントの警備員を制圧し、施設を接収する。
然したる交戦も経ずに『ローガン工機』は既に保有している工場群を合算したものと匹敵する程の生産力を得られた。
「───────部長!他の生産プラントへの侵攻も行うべきではないでしょうか!?これだけの生産力、逃すには惜しい好機です!」
「無理だ。私の依頼は『第三生産プラント』の制圧だけだったからな。会社の予算を使わず、失敗した場合は私自身をトカゲの尻尾切りする事でリスクを抑える策だったが………………」
紫煙を漂わせて、予定調和の台詞を男は吐いた。
・・・・・・・・・
「これ以上は無理だな。仕方あるまい、賭け事は身を崩さない程度にするのが大事だ─────おい、今顔を逸らした機体に乗っているのは誰だ!?」 - 27ルフス◆hFOUpFQqt.25/05/13(火) 12:54:56
『オレのテスタロッサは弾薬使わないからな。幾らでもそっちが使ってくれ』
【現在の手持ち武器はワイヤーガンのみ。ほぼ非戦闘用BFと変わらない装備だ】
『にしても整備の腕良いね、アンタ。そっちが本業?』
【詮索という程ではない。興味本位での質問が声に出た】
『……?まぁいい、誰かは知らんが助かるよ!』
【飛来したニ機の挙動を少し観察したのち、敵意が無いことは確実にわかった為、礼を言う】
(ここからどうするか。作戦に継続して同乗するか……そう言えば"あの人"は…)
【ここまでの戦闘の中で、黒いBFを見ていない。確実にこの場には居る。もしくはいた筈なのだが…】
【一度、残骸回収の手を止め、テスタロッサで周辺を見渡した。いるのがわかった所でどうこうするかは決めていない。ただ、どうしても気になった】
- 28龍影◆9BZ6kXGcio25/05/13(火) 12:57:16
「あ、G-3でチャオレンぶっ壊れたじゃない?あの後逆巻のツテで新しい機体に更新したのよ!それと武装コンテナありがと!この子(望月)の後ろに回って!」
暴発の警戒も兼ねて退避させる。
望月の後ろに回ったのを確認してから銃の状態を確認。
スライドを望月で固定してから龍影はコックピットから降りて薬室を目視で見る。小型爆薬などの異物は無い。
コックピットに戻り、スライドを何度か動かす。異音や途中で噛み合って正しく戻せないなどの不良はない。
「見事。ここまで綺麗に動くアルケー(42mmライフルの愛称)は中々無いよ。」
マガジンから弾を2、3発取り出して確認する。サビも無い。
「確かに、マガジン6つとライフルを受け取ったよ。…そうだ。お礼に今度ご飯でもどう?ケイも誘ってさ。」
いつかに払い損ねた食事の件もあるし。
- 29東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/13(火) 13:11:46
- 30ルフス◆hFOUpFQqt.25/05/13(火) 13:18:38
- 31ミハエル◆j28rRKKOSY25/05/13(火) 13:24:47
【望月の後方に回り薬室の確認をする龍影を見る、異物の確認をする彼女に軽口を叩いてみせる】
「そんな心配しなくても変な細工も手荒な扱いもしてないぜ、なんたって俺は優良配達員だからな!」
【背部コンテナから逆巻製のシールドをサブアームで引き出すと望月の傍らに立てかけながら誘いについて考える】
「そりゃありがたい、お互い話せる内容も増えてるだろうしな、なんなら作戦に参加したやつ全員で盛大にやりたいもんだ、だけど」
【話を少し中断して機体を旋回させる、閉じられたコクピットのモニターが再起動し陸上戦艦、そして周囲の戦闘を映し出す」
「それは未練としておこうぜ、お互いまずは生き残らなきゃならないからな!」
【右手にカービン、左手には誘導ロケットを構えて戦闘体勢に移りながら呼びかける】
- 32アルパ◆YMCgTirJag25/05/13(火) 13:26:38
「(あれは見たことがないな…データベースを参照…なるほど、非戦闘機の偽装になっているのか…)」
少しでも他BFのデータを回収しようとしていた。
「機体性能が高くてもやられる時はあっけない。生存を優先するなら銃の1つでも持っているといい。」
背中にある副腕で懸架してある30mm突撃砲を差し出した。
警戒は怠らない。
- 33ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/13(火) 13:33:30
言葉に甘え、一本のビームサーベルを蒼風改の腰にマウントした。
あとは頷くだけで。
「ゴエティア……やはり来るんですね」
そうか、と頷くだけだった。迎撃ミサイルの復旧もある程度想定していたこと。
だからこそ、ケイが今気にしているのはノインと蒼月だった。
「憂いといえば────ビームライフルを持ってないですね。台さんとやりあったんでしょ?」
取ってきても良いんですよ、とケイは同じ目線で不敵に笑った。
蒼風改の左肩装甲は融解して、可動には若干の支障がある。
左腕のシールドも完全に破損し、影も形もなく、ついている高速速射砲も思い通りにはならない。
だが、ケイは目の前にいるも蒼月がビームライフルを喪失している事実こそを重く見つつも、侮りはしない。
「それで俺にハンデを与えたつもりなら、やめた方がいいですよ……ノインさん」
ただ、全力を尽くした戦いができないことが一番嫌だと思ったからこそ出た言葉だった。
真剣な眼差しが、蒼風改を通して蒼月に刺さる。
・・・・
「俺たちは、ベレトさんから託されたんだ。情けない戦いをしたら、それこそ申し訳がつかないだろ」
瞳の色は青。
「それでよければ────後は戦いの中でたっぷり語りましょう」
蒼月に動く気配がないならば。
蒼風改が、試作電磁弾体加速砲をゆったりと構えるだろう。
- 34龍影◆9BZ6kXGcio25/05/13(火) 13:40:23
- 35ミハエル◆j28rRKKOSY25/05/13(火) 13:47:43
- 36二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 15:25:41
このレスは削除されています
- 37工房の2人25/05/13(火) 15:28:06
(…レイピア…最近聞かない言葉だ。)
【彼女達から少し離れた場所に立っていた2人の、男の方が彼女達の方へと歩いていく。】
「…やっぱりどれもこれも『軽量化』の3文字を疎かにしたものばかり…ってノザワさん!一体どちらへ!?」
「え?いやぁ、彼女達と話が合いそうだし、誘おっかなって。」
「はぁ!?いや、話が合おうと気が合おうと何がどうでも知らない人を…ってコラ!聞こえないフリしないで!!」
【ノザワと呼ばれたその男は、後ろの声を無視して2人に話しかけた。】
「お嬢さん達、ちょっとあそこのお店で話をしない?コーヒー代は払うからさ…」
(あ゛ーー!いつかやると思ったよ!もう!)
【遅れて、連れであろう女性が駆け寄ってくる。】
- 38賢人会議◆YMCgTirJag25/05/13(火) 15:33:25
前スレ179
とうとう5人は老害が立てこもる会議室を見つけ出す。隙間1つない密封されたその独房へと続く廊下には白銀色の血痕が広がっていた。
〈爆薬を。〉
【了解。】
蝶番、施錠機構があると思しき箇所にブレイカー(指向性貫通爆薬)を取り付ける。
《カメラ、掌握しました。》
{他フロアからの増援なし。}
〔発破、いつでもどうぞ。〕
〈点火。〉
扉の蝶番と鍵をピンポイントで破壊した。
支えを失った扉は重々しく開いた。
〈突入。〉
姿見えぬ5人は音もなく侵入し、光学迷彩を解く。
「き、貴様は、誰の差し金だ!逆巻か?!ヴァルハラか?!」
老いぼれの1人が喚く。
〈人類自由連盟軍事戦略部門。これでわかるだろう、御老人。〉
G.Wは顔を隠したまま話す。
「ま、まさか裏切ったのか!あヤツらめ…我々から与えられた恩も忘れて!〈忘れてなどいない。貴様らが握るべき手網を捨てて己が腹を肥やしたのだろう。〉
言葉をかぶせて黙らせる。
《残念ながら現在は賢工グループ以外がコチラ側に立っています。》
〈御三方には今回の落とし前を取ってもらうことになります。〉
「誰が従うか!」
【待て!】
乾いた銃声が会議室に響く。
〈止血鉗子と凝固剤!馬鹿が、まだ死ぬな!〉
拳銃を懐から取り出そうとした1人の老いぼれの右腕は、肘から下を45口径炸裂弾により抉られ、吹き飛んでいた。
ゴポゴポと傷口から赤い人工血液が溢れている老人は話す
「貴様らのような尖兵には分からぬだろう…クロノスへの隷属から誰が守っていたのかを…」 - 39シェディ◆PPyRfvMZl625/05/13(火) 15:52:12
【巨大な企業連合内でなお威勢を放つ狡猾な老醜達は、切れる札を幾重にも張り巡らせているが故に強力で、誰も、止める手立てを持ち得ていなかった】
【賢工グループ、人類自由連盟内に於いても特記すべき単独戦力を有した彼らの放つ矢は、当然、一矢では収まらない】
【一つ目の矢が折られたとしても、二つ目、三つ目が放たれる、代替策は幾らでも持ち合わせている】
【広大な平野に横たわる“シャミエル第四飛行場”、そこに停泊する戦闘艇は、音速に近い速度でBFを前線へと送り届ける輸送機としての役割を果たす他に、単機で100近い爆弾頭を対地攻撃に用いることの出来る戦術級爆撃機である】
【大型の両翼には各8門、左右計16門の重機関砲を備え、搭載されるBFを含めて十全な空対空戦闘装備が施されており、更にはそれを護衛する有人戦闘機部隊を展開可能だ】
【“ゴライアス”と名付けられた、老醜達が切れる札の一つである】
────────────ウゥゥゥウウゥゥゥウウウウウ……!
・・・・・
【────────────燃えている】
【空を飛ぶ巨兵が、本領である大空へと立つ前に、頸を斬り落とされ既に死んでいた】
【けたたましい警報が平野に鳴り響く、根元から崩れて拉げた管制塔は黒煙を吐きながら、戦闘機の発着を行う格納庫の屋根を圧し潰してしまっている】
【すぐにでも前線への派兵を済ませられる様、スクランブルの準備をしていた筈の機体が、滑走路に千切れて転がっているのが】
────────────バギンッ、ガヅッ、……!
・・・・・・・・・
【陽炎が赫灼と揺らぐ大斧を叩き振るう、蒼いバディフレームの仕業と容易く推測が出来る】
【夥しい量のオイルを返り血じみてその身に纏い、灼け濡れた機影には幾つもの戦場を越えた灰煙の痕が煤けてこびりついている】
「────────────とぅ~、とぅっとぅ……」
【歌が響いている、ノイズに掻き乱されながら】 - 40ラバー◆m3XwMsEekQ25/05/13(火) 16:07:36
えっ?わたくしたち……ですか……?
あ、あ、あばばばば!
な、ナンパですわ〜!!?
ど、どうしましょう旧愛卿様!
わたくしたちナンパされてますわ〜!
【急に誘われたことからあたふたしつつ隣の頼れる相方に指示を仰ぐ】
- 41賢人会議◆YMCgTirJag25/05/13(火) 16:09:10
〈守る?蓋をしていただけだろう。サヤギリ操縦士の1件が良い例だ。貴様らだけで今の状態は維持されてなどいない。既に賢工の力が無くとも十二分に人自連は運用出来ている。〉
切り捨てたことにその老人は激昂した。
「貴様!何のつもりだ!今我々が倒れれば経済は止まる!」
顔を赤くして咳き込むような声で怒鳴る。
《マスターパスを入手。掌握します。》
壁に備え付けられた端子の差し込み口にうなじに取り付けられた特殊装備から伸ばしたケーブルを繋げる。
〈もうすぐサーバーで統轄していたライフラインの引き続きが終わります。〉
老人はパクパクと発話できずに驚いていた。
「なるほど、ハナから儂らで無くサーバーだったか。」
銃を向けらて諦めたように椅子に座る男が口を開く。
「予定通りだ。」
その男のうなじにある端子カバーが突如押し出されるように開き、眼窩から黒い煙が零れ、生臭い焼かれた内臓の匂いが漂う。
〈抑制!〉
腰に下げていた器具をプラグに取り付けてトリガーを引く。
残りの老人2人はぐったりとした。
《のがぁっ》
掌握の作業をしていた男はコンソールからスパークが跳ね、バチバチと嫌な音を出したため、驚いた声を出すが、すぐに装備を取り外す。
《自己閉鎖型の攻性防壁だ!サーバー本体からアクセス出来ねぇと無理だぞ。》
〈サーバールームはどこだ!〉
ぼんやりと辺りを見ている老人の髪を掴み、耳元で怒鳴る。
「地下だ。」
その答えに絶句した。
老人を抑えて、サーバー確保までが行えるとどこか楽観視していたグレイブは頭を抱える。今の装備では地下まで降りれない。
- 42旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/13(火) 16:33:29
- 43ラバー◆m3XwMsEekQ25/05/13(火) 16:57:37
- 44ハジメ◆ncKvmqq0Bs25/05/13(火) 17:15:59
【空は、晴れていた。人の心のように、まばらに雲(闇
)を浮かばせつつも】
(やっぱり、A-1のビルはどこもかしこもデカくて壮観っスねー......オマケに車もキンキラキン......豪華絢爛とはこの事っスかねぇ)
【横断歩道には、1人の男性が立っていた。何十台もの高級車が横切る様を、何百棟もの高層マンションが立ち並ぶ様を、群衆に紛れて眺めていた】
【彼の見た目は40代の中肉中背、一目見て、A-1コロニーにおいては冴えないサラリーマン。絵に描いたように普通でしがないおじさんだった】
【Walk,Walk,Walk】
【信号が青になり、人波がゆっくりと動き始める】
【彼も周りと流れて行く】
(エイダンさんのビルと部屋は......あそこか)
【そして、今日伺う予定を組んでいた男の自宅前に辿り着けば、インターホンを鳴らした】
どうも、本日アポを取らせていただいた中那珂一(ナカナカハジメ)ですが、こちらがエイダン・リーさんの自宅でお間違えないでしょうか? - 45二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 17:25:32
このレスは削除されています
- 46ノイン◆fDey8JUvvk25/05/13(火) 17:53:25
(1/2)
『それで俺にハンデを与えたつもりなら、やめた方がいいですよ……ノインさん』
「まさか。これが最善だ。」
【見くびるな、と。これが私の戦い方だ、と】
【あまりにも純真で、ノインからすればあまりにもその純真さに似合わぬことに臨む少年へと返す】
【どうしてそう戦いに向き合えるのか?】
【──だが。】
・・・・
『俺たちは、ベレトさんから託されたんだ。情けない戦いをしたら、それこそ申し訳がつかないだろ』
「…………。」
「そうか。私たちは、か。」
【蒼月の左腕が軋む音を立てながら胸を押さえる】
「そうだな。」
【ベレトだけではない。たとえ撃墜王の虚像に対してだろうと。自分もまた託されている】
【その願いは人類を滅ぼす類のものも多いが】
「背負ったからには、とことんやるさ」
【その言葉は悲壮なものではない。開き直りと言われればそうだろう】
【蒼と墨の目が、目の前を曇りなく見つめる。そこに映るは一機のBF。そして一人の少年】
「ケイ・サヤギリ!貴方はここで堕とす!!」
- 47ラバー◆m3XwMsEekQ25/05/13(火) 17:53:42
- 48ノイン◆fDey8JUvvk25/05/13(火) 17:53:46
(2/2)
【機体各所の推進機関が蒼月の右側に向けて噴く。蒼月が一瞬左にブレる】
【だが、左には進まない。態と崩した推進バランスによって左側への推進力はたちまち回転力へと変わり、並行して上体を倒し前方へと推進】
【ロールしながら螺旋軌道で蒼風改へと間合いを詰めていく】
【0-100の切り返しなど、速度が死ぬ一瞬などない】
【右手が顔の横に構えたビーム・サーベルはアイドリング状態】
【出力調整が可能なモデルであることも併せ、その間合いは未知数である】 - 49東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/13(火) 18:07:35
- 50ニライニスト25/05/13(火) 18:14:48
「…パフェ…まあ、遠慮されたら互いにいい気がしないしね。…ちょっと待ってもらっていい?」
【くるりと振り返ったかと思えばポケットから財布を取り出し、中身を数え始めた。】
「…ごめん、スワローちゃん…後で返すから、ちょっと貸してくれない?」
「はぁ!?…まあある程度は持ってはいますけど。」
「あ、じゃあ…」
「た だ し !長くても3週間経つ前には返してください。それ以上経ったら1000円分の何かしらを売り飛ばさせてもらいます。」
「…はーい…。お金に関しては人一倍敏感だよね。」
「最低限でもお金がなければ何もできません。技術者として当然ですよ。それと私も同行します。お金を払っただけで何もないというのは癪ですから。」
「まあ人は多ければ多いほどいいとも言うし、問題は無いか。」
【結局、カフェへ向かう面子は4人になった。】
「ここだけの話、コーヒー系は大体が原価がやたら低い代用品が用いられているらしいですよ?つまり大体ぼったくられてます。業務用のやつなんかは安いですけど。」
「不純?やだなぁ、ただ2人と話したいだけなのに。」(完全に無自覚なタラシのソレである。)
- 51グランセン解放戦線◆OXAm1h6odk25/05/13(火) 18:24:59
『─────────────随分と暴れてくれるじゃないか。手間が省けて良かったというべきか、盛大に暴れ過ぎ困るというべきか』
〈ガサル・ドゥーラ〉のパイロットは逆巻重工への支援と本作戦で発生した経費の補填を目論み、電撃的奇襲による壊滅を試みようとしていた“シャミエル第四飛行場”の惨状を冷静に俯瞰していた。
戦闘機、というのは高価な戦闘兵器である。操縦士だけを殺戮して、兵器類はそのまま“接収”するのが理想的な展開ではあったが。
しかし、戦場とは大概の場合理想を裏切るものだ。その想定外の要素が、今回は所属不明の独立傭兵であったというだけ。
北方戦線への“バーハリヴァ”王の親征を目の当たりにした、今は壮年のパイロットは機体の飛翔高度を下げてから滑らかに変形させた。
各々のパーツが極めて静かに、予定調和の如く組み替えられる。流線形の戦闘機は瞬く間に二本の刺突剣を腕として備えた銀色のバディフレームへとその姿を変えた。
───────余程の“情報通”でなければ、市場に流れる事もなく、また今まで対クロノス作戦以外に投入された事もない〈ガサル・ドゥーラ〉について知ってはいまい。
それでも情報漏洩のリスクは可能な限り抑えるべきだが、目の前のバディフレームが齎した『結果』は安易な“口封じ”に走るには早いとパイロットを制止した。
・・・・
『──────────────同業者よ』
オープン回線を開く。敢えて、そのような言い方をした。同じように、依頼を受けた独立傭兵であると思わせられるように。
・・・・・・・・・
『何処の企業の依頼だ?』
- 52旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/13(火) 18:39:03
- 53ルフス◆hFOUpFQqt.25/05/13(火) 18:44:25
- 54ラバー◆m3XwMsEekQ25/05/13(火) 18:48:08
- 55ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/13(火) 18:52:59
「来いっっ!!」
挑むものとして、あるいは接近を受けるものとしてケイはノインの言葉を受け入れた。
残りは戦いながら語るのみと叫び、蒼風改は接近を望む蒼月と正反対に距離をとりにかかる。
「あんたが託された願いを全部……ッ!全部吐き出せ!!」
蒼月のビームサーベル、その威力も射程も未知数である以上、ケイの思考として迂闊な接近は禁忌択に入っている。
ゆえに叫びながら電磁弾体加速砲の狙いを定め、螺旋機動の癖を予測して一発を放つ。
「ッッ!!」
射鍵の反動を丁寧に殺したあと、即座に後進状態のまま機体を右に向ける。そして加速。ビームライフルを持っていない敵だからと侮りはしない。
冷静に、蒼風改の加速と運動能力を用いて……蒼月に対して周回軌道を取るような動きに変わりながら、二発目を放つ。
(相手が詰めてくる瞬間がある。噛み合いをズラせ……!)
ケイは澱みなく機体を動かしながら、ノインの動きを見た。
- 56ノイン◆fDey8JUvvk25/05/13(火) 21:09:58
【螺旋軌道に蒼月本体のバレルロールを組み合わせることによる不規則な3次元機動は】
【文字通りの『怪物』たるネフィリムの反応すら掻い潜り二太刀を叩き込んだ必殺のムーブである】
「おおおっ!!」
【だがしかし、だがしかしだ】
【迫りくる電磁弾体加速砲・その一発目に対し蒼月は無理な逆バレルロールによる切り返しを余儀なくされ、掠めるようにして躱さざるを得なかった】
「既読か!」
【既に自身の動きが読まれていることを認めた】
(ベレトとケイは少なくとも同じ!見ているのは私の先だな、だが!それは機動力の差がある場合の動きだろう!)
【サテライト軌道に変わりつつある蒼風改に食らいつくよう、螺旋の径を絞り直線軌道に変更しながら詰めに掛かる】
「あなたは話を聞くのが上手いッ!!」
【迷いなく自分の、蒼月の特性に合わせ衛星軌道による引き撃ちを選んだ判断を流石と叫びながら二発目は背部ウイングスラスタの出力を調整、下に潜り込むようにして躱しながらロールはまだ続ける】
【地面に対して仰向けになりながら飛翔し、まるで背泳ぎの様に右腕を真上に伸ばしたところで】
【蒼月の青い炎が揺らめく】
【結局真っ直ぐに。行くぞ、と蒼月は言葉なく語る】
- 57エイダン◆Fd5AlHEdkk25/05/13(火) 21:30:00
【単調な呼び出し音と型通りの伺うような声が虚空に消えてすぐ。ガチャリとノブが回されて、モダンな間取りを背景に一人の男が顔を出した】
【短く整えられた明るい茶髪が廊下の蛍光灯に照らされて、チリチリと輝いている】
「あってるよ。ようこそ。さ、上がってくれ」
【歳は一と同じ40代。背は男の方が少し低い】
【サイバーゴーグルの奥で黒々とした眼差しを向けながら、エイダン・リーは客人へ歓迎の言葉をかけた】
「あいにくと緑茶しかなくてね。まあ、粗茶ではないから安心してくれ」
【謙遜のケもない発言と伴って机上に置かれた湯呑みからは、ふくよかな玉露の香りが漂っている】
【茶請けとして出された饅頭は、その栗色の皮の向こうに隠しているまろやかな餡の存在を仄めかすように膨らんでいた】
- 58ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/13(火) 21:38:11
(躱した!!やはり予測も上手い、運動性能も蒼風改と同等かそれ以上……!詰めてくる!)
一発目を躱し、不規則な螺旋機動はその速度を早めた。
マニュアル照準では容易く狙えなくなる。汗が一つこぼれる。
螺旋機動の半径を縮め直線で来る蒼月をモニターで。周回機動ではいずれ追いつかれるだろう。
「貴方はっユエギさんとツルカミさんが!無理をできないと認めた人だ!それくらいはすると分かる!」
二発目を下へ潜るように躱されたケイは射線の追従を止め加速する。逃げの姿勢だ。
主攻とアシストの連携戦術でならばケイを遥かに凌ぐ二人組が、台一人に彼女を任せた。
その意味を悟らないほどケイは己を盲信していない。
「っ!俺はあの人の……ここの艦長の願いをっ、斬り捨てた!」
話を聞くのが上手い、と己を褒めるノインに対し。ケイは自嘲するような叫びで返した。
直後に秒を切り分け思考を早める。再度の螺旋機動は止まり、蒼風改の加速へ追いつかんとする蒼月が見える。背泳ぎのように右腕を上げている。
(狙いは接近戦。相手は来る!)
「だからこれはワガママだ!俺は、貴方が好ましいから話したい、だけ!ぐっぅ!」
ウイングバインダーを稼働させ、推進機関を蒼月側へ向けた蒼風改がほぼ直角の上昇機動を取った。
速度が落ちる。蒼月が押し出されるか、あるいは追うか。
どちらにしても相対的な空間距離を広げながら、電磁弾体加速砲を向けた。
(交差を、狙う!!!)
蒼月へ向けての加速はしない。来いと、砲弾を放ち。予測した回避先の一つへ頭部が閃く。
頭部カメラアイを覆うようにつけられた、コア粒子砲のチャージ音が鳴った。
- 59シェディ◆PPyRfvMZl625/05/13(火) 21:47:54
【頭部に特色を持つレドームを備えたその機体は、インベイド侵攻以前の戦場で前線に於ける強行偵察を担っていた旧式の通信用BFと酷似している、点滅するカメラアイが輪郭を一周し、上空に姿を見せた新手を捉えて】
【されど、響く声色は骨董品の様な機体とは対照的な、艶のある若い女の声であった】
・・・・
「────────────おやぁ、おじさま、守秘義務って知らない?
広くばら撒かれた依頼ならこういうコトもある、早い者勝ちってコトで許して欲しいな」
・・
【また、火の手が上がる、頽れた管制塔へと伸びていた黒線が、仕事を終えた有線式砲塔をするすると蒼い機影の肩部へと巻き戻す】
【その骨董品は幾度もの改修を重ね通信用という役割を飛び越えた、奇襲と攪乱により単機で小隊すらを壊滅せしめる火砲を有している、煤黒色に染まった空から降り立つ銀細工の機影を、回転する視界は冗談めかした口調と裏腹に一切の油断も無く彼を見つめていた】
・・・・・ ・・・・
「質問を返す様だけれど、そちらこそ、どちら様?どうにも見慣れない機体だから、……まさか“クロノス”?」
- 60ハジメ◆ncKvmqq0Bs25/05/13(火) 21:58:42
- 61ノイン◆fDey8JUvvk25/05/13(火) 22:11:11
- 62ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/13(火) 22:25:46
「ああ、そうだ……あの人と俺は!分かり合えなかった!そうしないことを選んだ!」
リードが飛ぶ。微細なコア粒子の線が、蒼月の胸部と蒼風改のカメラアイを繋ぐ。
「でも同じことを、っぐ、っ!思うだろう瞬間の自分にも気づいたんだ!」
だからこそ、あの人と同じ様になってしまう自分がいたと、叫ぶ。
上昇しながらの動きは、必然自分を壁に大気の影響を受けない蒼月のほうが早く、距離が縮まる。
・・・・・・・・・・・
「龍影がいなくなってしまったら!俺は絶対、同じになるって分かったんだ!」
想像するだけで怖気が走る。そんな世界などなくなってしまえと叫ぶ。
彼女のいない世界で一秒たりとも息を吸いたくもない。そう血を吐いて暴れまわる己がいると自覚できる。
――――恐怖だった。
「俺は、貴方がいうように振り切れちゃあいないんだよ!!」
繋がりが、戦意に変わる。コア粒子の青い光のままにビームが、蒼月へと放たれた。
直後に蒼風改のウイングバインダーが稼働し、時計回りでぐるりと回る……交差を狙い始める。
- 63東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/13(火) 22:26:40
- 64グランセン解放戦線◆OXAm1h6odk25/05/13(火) 22:35:46
─────────────────ガシャリ、と粒子ビームによって引き裂かれた飛行場に銀色の鷹が降り立つ。
その骨格からして、既存のバディフレームとは総てが異なる可変機だ。新規製造されたフレームだろうが、しかし何処の市場にも流通した記録のないアンノウン。
一拍だけ“間”があった。身体の奥底から湧き上がる憎悪を抑える為に、それだけの時間が必要だった。
・・・・
確認する。この区画で依頼を出した協力企業が何処であったか、記憶と照合してから彼は口にした。
『申し訳ないな。私の依頼主は守秘義務を課さず、その上場合によっては社名を出しても良いと言っていたからな────────────『ミュール・コーポレーション』の依頼だ』
相手のバディフレームの武装を、確かめる。
『ミュール・コーポレーション』からの依頼を受注したダミー用の傭兵であるのならば問題ないだろうが、しかしそれ以外の企業の傭兵ならば交戦の可能性も捨て切れないからだ。
『─────────────交渉の余地はないのかね?私としても上からせっつかれているのでね、出来ればWin-Winの形で済ませたい』
まだ粒子ビーム拡散装甲の性能を見せていない事を再確認して、有線式の攻撃端末ではなく近距離兵装を警戒しながら“独立闘士”は口火を切った。
- 65ルフス◆hFOUpFQqt.25/05/13(火) 22:47:28
- 66ノイン◆fDey8JUvvk25/05/13(火) 23:05:08
【微細なコア粒子の線が、蒼月の胸部と蒼風改のカメラアイを繋ぐ。】
【上昇しながらの動きは、必然蒼風を壁に大気の影響を受けない蒼月のほうが早く、距離が縮まる】
・・・・・・・・・・・
『龍影がいなくなってしまったら!俺は絶対、同じになるって分かったんだ!』
【なぜかその回答には腹が立った】
「しっ……嫉妬……か!嫉妬だ、な!!」
【引き延ばされていく体感時間の中、答えは直ぐに分かった】
「私には居な……い!!」
【蒼風改からの戦意が。青の粒子が蒼月の胸元に迫る】
【蒼月の胸に当てていたままの左手。微かに動かし、その前腕部からサーベルが発振する。同時に右手の前腕部からも。】
【戦意と戦意がぶつかり、受け開いて突き進む】
『俺は、貴方がいうように振り切れちゃあいないんだよ!!』
「ならばここで落ちるか!?サヤギリイッ!!」
【小細工は無い。交差を受け入れる。ただ真っ直ぐに、真っ直ぐに。蒼月を推進させる青い粒子もまた揺らめく】
【だが、正面から交わるのではなく僅かにその軌道はずらしている】
【長大に出力したビームサーベルで切り抜ける腹積もりだ】
- 67二次元好きの匿名さん25/05/13(火) 23:20:05
このレスは削除されています
- 68ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/13(火) 23:21:17
『私には居な……い!!』
「ッッッ」
コア粒子のビームを、蒼月の左ビームサーベルが受け止め散らす。
蒼月が来る。己の戦意を切り開いて……その声がケイ自身へと届いた。
(龍影に合わなかった俺は、どうなっていたんだろうか)
それはただの『もしも』で……もしかしたら、きっと自分は今のように恐怖を持っていなかったかもしれない。
ケイは息を吸って、機体を操作。腰に取り付けていた蒼風改のビームサーベルを取り出し、左手で持つ。
『ならばここで落ちるか!?サヤギリイッ!!』
「――――それは、できない!!」
己を試すような叫びに、ケイは否を応えた。
「俺はまだ、ノインさんと話しきれていないだろ!!」
眼の前の蒼が交差の瞬間、切り抜けるタイミングを狙って。蒼風改の左腕を胸前へ動かす。
(発振をギリギリまで遅らせて、そのまま――――すれ違う!)
背部コア粒子機関を吹かす。そして加速、交差読みのタイミングを僅かにずらすことを企図しながら。
互いが間合いに入った。
- 69シェディ◆PPyRfvMZl625/05/13(火) 23:29:19
【政治とは駆け引きである、この戦後にあっては弱体化を免れない賢工グループに対する強制武力介入、それに乗じて彼らの有していた設備や武装を取り込むことで己の陣営を強固なものとする】
・・・・・・・・・・・・・
【それと同じことを考えている陣営が必ずしも一つとは限らない、一枚岩であるとも限らない、この場に相対する二つの機体が、もしも同じ思惑を持って且つ異なる陣営に属する間柄であるならば、既に死地と化したこの飛行場が再び惨禍に呑まれることは想像に難くない】
【巨人が向かい合っている、互いに互いを屠ることを可能とする戦力が、睨み合っている】
・・・・・・
「────────────ヤだな、割に合わない」
【されど暫しの沈黙が明けて響いたのは、間の抜けた台詞だ】
「ボクの仕事はここまでってコトになってる、賢工グループの保有する航空拠点の制圧及び武装解除、迅速に、強制的に、色んなところにバレない内に。
おじさまはココの“保有戦力”じゃないんでしょう?なら、別に攻撃対象じゃないよね」
【────────────その機体のパイロットは、何の政治的思想も持ち合わせていない】
【そのパイロットには、人類自由連盟という組織への想いも、賢工グループというそれを構成する巨大派閥への怒りも、クロノス・インダストリーへの恨みも何も無い】
・・・・・・・・・・・・・・・・
「だから仕事を終えてボクがいなくなった後で、ここがどうなろうと……うん、知ったことじゃないや」
【……そして当然、故国を想う大義すらも、無い】
【この世には、戦うことに理由を必要としない人種がいる、引鉄を引く己の指先に、値段を付ける人種がいる】
【それは正しく“傭”兵と言う、金に転び、命を惜しみ、時に陣営や企業といった壁さえも飛び越える】
「それで良い?おじさま?」
【そうして、蒼い機体はいとも容易く武器を収めて────────────周囲を取り巻く爆煙に紛れて浮遊していた無数の小型通信装置が、チラチラと輝きながら、巣に返ろうとする蜜蜂の様にレドームへと格納されて行った】
- 70グランセン解放戦線◆OXAm1h6odk25/05/13(火) 23:48:00
『──────────────問題ない。いや、違うな。少し訂正をしよう』
猛禽を思わせるバディフレームの胸の蒼輝が、静かに絶える。大口径粒子ビーム砲を構えるのを止めたという事である。
割に合わない、というのは同意見だ。施設の接収の為に訪れたというのに、二機の衝突によって復旧が困難なまでの損傷が刻まれるのは本末転倒である。
独立傭兵のその態度に、憤る事もない。長く仕事をする上で、“そのような人種”が存在するという事も十分に理解しているからだ。
それこそ、金の為にはクロノスにさえ遠慮なく盛大に喧嘩を売る“スカーフェイス”などはその際たる例であろう。
・・・・・・・・・・・
『情報封鎖の依頼がしたい。一年間のな。私と私の機体について情報を尋ねられた場合に、貴殿の生命財産とバディフレームと“名前”に傷が付かない場合に限って黙秘する依頼を』
一般的な情報封鎖の相場と比べても、三倍近い報酬を提示して“独立闘士”はそう提案した。
通信用のバディフレームを原型にしているのなら、その類いの機能がオミットされているとは到底考え難い。
・・・
─────────ならば、別の形で口封じをする必要がある。
少なくとも、粒子ビーム拡散装甲の情報については今暫く隠し通す必要があった。
- 71ノイン◆fDey8JUvvk25/05/13(火) 23:53:11
- 72エイダン◆Fd5AlHEdkk25/05/14(水) 00:00:04
「彼の口にはあいそうかな。何かと忙しかったんだろう?回復用に良いと思うんだけれど」
【舌や胃に集う細胞の一つ一つが湧き立つような感動を引き出す、渋味と甘味のマリアージュに疲労が残る身体を癒されながら尋ねる】
【言葉遣いは皮肉めいているが、その調子に嫌味の色はない。これは単純な気遣いだ】
【若さと才能に背中を押されて無鉄砲な行動に出てしまう経験は、自分も覚えがあるから】
【そして彼は善性が強く、真っ直ぐで、人を頼るのが下手。成長する前に潰れてしまいかねない】
【だから、少しでも肩に入った力を抜ければいいと、そんな思いで用意した品である。質が良いのは当たり前だ】
【その上で''これらは彼を癒せるか?'' と、彼をよく知る人物に聞く必要があった】
【せっかくの機会だ。活用させてもらおう。ついでに持ち帰ってもらおう】
【他人よりも身内から言われた方が、彼も休息を取りやすいだろうし】
- 73二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 00:07:53
このレスは削除されています
- 74ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/14(水) 00:29:07
「――――ッッ!!」
笑うノインと対照のように、ケイは歯を食いしばった。
間合いに入った瞬間に蒼風改は左手に持つサーベルを発振させ、腕を振るう。
青い刃がコア粒子の軌跡を残像として散らしながら蒼月へ向かう。
「貴方はどうなんだ!!ノインさん!!」
出力を引き上げられ、蒼月の右手が持つサーベルの柄から発振する刃。
ケイは蒼風改の手首を捻らせて、サーベルを下から切り上げるようにかち合わせた。
バヂ、という音が鳴り響く。
・・
攻撃ではなく防御が狙いだった。
一瞬のぶつかり合いの中で機体の姿勢ごと捻り。手首を動かして、衝撃を自分が飛ぶ方向に利用すれば……。
(すれ違いざまで距離を取れる!)
「クロノスを滅ぼしたいために、人類も滅ぼすのか!!」
そんなはずはない、という口調で。彼女自身の願いをさらけ出させようとする。
相殺した衝撃でそのままの速度を維持。
機体を四肢運動と背部コア粒子推進機関、各所の小型ブースターで180度転回。
Gがかかる。
「ぐっ、ぅぅ!! 違うだろ!?!」
背後を向いたままの蒼月へ試作電磁弾体加速砲を向ける。
《ケイ、貴方の願うままに》
【弾着予測位置表示】
「貴方はっ、貴方にだって願うことがあるだろっ――――答えろォ!!」
翠の妖精が助力する。最高出力でジジッ、と電磁と稲光が砲口まで走り、照準の赤い点が蒼月の背後中心へ重なった。
トリガーを引く。電磁加速で対インベイド甲殻貫通弾が放たれた。砲身が暴れるのを必死で制御する。
- 75二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 01:28:22
このレスは削除されています
- 76一◆ncKvmqq0Bs25/05/14(水) 01:29:21
絶対に合うっス
アイツから色々教わった俺が言うんですから保証するっス
【エイダンの言葉からもう変装を解いても良いのだと判断し、一はフルフェイスマスクの迷彩を解き、歪ませていた身体中の関節を元の位置に戻す】
ただ、あの時は時間が無かった惜しかったで、アイツが誰よりも信じているはずの貴方に話を通していなかったっスから......
改めて俺たちのした事について深く詫びるっス
【テーブルに手を付き、エイダンから充分だと言われるまでの勢いで、頭を下げた】
......では、こうして長居するのもまた悪いっスからこちらの住所へ、土産は俺の方から渡しておくっス
【頭をゆっくりと上げ、懐から小さいメモを手渡せば、茶葉と菓子の詰まった袋を両手で受け取ってから立ち上がる】
【その直後、少なくとも一の中では、エイダンと目を合わせる】
本当に......アイツとの縁を切らないでいてくれて感謝するっス......
【没名が顔を晒す時、相手は存在しない存在と出会う】
【礼儀に欠けると分かっていても、この場では相手の安否を優先し、マスクを外さなかった】
【だがその覆面の奥では、一が嬉しそうに微笑み、馬鹿の交流関係に安堵していたのが見えた。例え錯覚だとしても、エイダンの目には確かに写っていた】
【そして彼に見送られながら、一は騒がしい都市風景に静かに溶け込んで行った】
- 77ノイン◆fDey8JUvvk25/05/14(水) 07:32:21
【蒼月の横薙ぎに蒼風改の切り上げ】
(合わせられた!!)
【だが蒼月とノインとてここからのモーションキャンセルは不可能であった……ならばどうするか?】
【押し通る。あまりにもシンプルな答え。機体の旋回の勢いも乗せ衝撃を積み増して構わずサーベルを振り切る】
【一瞬の反発と共に衝撃が吸われていく】
【衝撃で蒼風が離れて行くのが分かる。想定通りの動きをされる。だが、想定以上の負荷はかけてやった】
『クロノスを滅ぼしたいために、人類も滅ぼすのか!!』
『ぐっ、ぅぅ!! 違うだろ!?!』
【蒼月は交錯を終え未だ前進を続けている】
【背後から声が聞こえる。実際にはスピーカーからだが】
【ウイングスラスタを右に向けしかし出力を僅かに絞り、右脚を前に振り込みながら体幹を振らして時計回りで転回していく】
【甲殻貫通弾が左肩を撃ち抜き、一拍開けて衝撃が腕をもぎ取る】
「月だ!!私は月になる!!それが憎悪の蒼い炎に輝くとしても!!」
【つまりはこうだ。「願いにあまりにも救いがないなら、せめて託される相手くらいにはなりたい」】
【ノインの自覚した己の業】
【善性と英雄願望と諦観の混ざった真実からの結論】
【衝撃によって転回のベクトルは相殺された。左腕の分軽くもなった】
【直線軌道にも見えるが其の実細かく、酷く。不安定にブレる軌道で。一つギアを上げて月は風を追う】
- 78二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 08:21:49
このレスは削除されています
- 79ルカ◆j28rRKKOSY25/05/14(水) 08:23:02
【『老いた獣の邪魔をせよ』、総帥からの命令を受けた解放戦線の1部隊が陸上戦艦へ向けて飛行する、目標は陸上戦艦の更に後方、BFを積んだ輸送機編隊だ】
「戦闘が既に始まっている、か」
【コクピット内で機長から報告を受ける、正体不明の機体が既に編隊に襲撃を仕掛け戦端を開いたと】
「(総帥が手配した機体なら情報がある筈……となると別口からの依頼で来たか」
【編隊の更に上を飛ぶ輸送機から、狙撃手がその身体を大空へ投げ出す、編隊は徐々に自身の真下へと進んで来る、もう一機の影と共に】
>>前スレ200
「(あの機体、それにあの動きは……)」
【輸送機編隊と空戦を演じる蒼の機体、かつて見た事もある懐かしい機体がスコープの先に映る】
「あれが噂に聞く"亡霊"か」
【編隊の外縁から銃口を横に滑らせ引き金を引く、上空から降る実弾がコクピットを撃ち抜き、続けて粒子ビームが内部に格納された武装やBFを破壊し誘爆によって輸送機が爆発して行く】
【アウタースカイの眼前に立ち塞がる攻撃ヘリの巨体を見下ろし懐かしむ様に古い名を呼ぶ】
「再び会えて光栄だ月桂樹、今その機体を操っているのが誰にせよ、共に戦える事を喜ぼう」
- 80シェディ◆PPyRfvMZl625/05/14(水) 09:33:38
【────────────コツン、コツン、……コツン】
【通信音声に女傭兵が硬質な何かを叩く音が入り込む、操縦桿か、或いはコンソールか、間を置いて三度】
【ただ少なくとも、それでバディフレームが突如牙を剥く様なことは無い、蒼い機影は未だ沈黙しており、時折“キュルル”と音を立ててカメラアイを周回させるだけ】
「……おやぁ、成程」
【男が条件を示してから、4.09秒、それがもう一度女傭兵が口を開くまでに要した時間だった】
【相変わらず緊張感の欠片も無い、あくびすら混じりそうな呑気なトーンで、けれど幾筋かのノイズを交えて、ガサル・ドゥーラのモニターに映し出されるのは】
【深緑の髪、チリチリと鳴るイヤリング、戦場には似つかわしくない色気じみた薄い布地の衣装と半面分厚いコートを羽織った、奇抜な女の薄ら笑いだ】
・・・・・・・
「割り込んで失礼、依頼を受ける時は直接顔を合わせるコトにしているんだ、その方が“お客様”が安心出来るだろう?
おじさま、あなたは強いし、とても頭が回るね……ボクは長い物には巻かれる質だ」
【胡乱で回りくどく、だが、彼の条件を呑むという報せでもあった、コックピット内で片膝を胸元へ寄せ抱え込む】
【それは操縦桿から完全に手を離したあまりに無防備な姿だ、そうした姿を晒しても、彼が今こちらを撃つことは無いだろうという確信を持った仕草だ】
「莫迦な真似はしない、ボクの名前と、顔を教えるコトを信頼の担保にするよ。
いつでも探して、会いに来て良い────────────」
・・
【金払いをケチらない上客を迎える時、彼女はいつもその様にしている、隙を見せる、無防備な姿を見せる、或いは、素肌を見せる、誰もそこに敵意は見出せないと知っている】
・・・・
「────────────シェディ・キッス、移動娼艦の万屋だ、末長いお付き合いをヨロシク」
- 81龍影◆9BZ6kXGcio25/05/14(水) 09:47:26
「でりゃあああああああ!」
ミハエルから受けとったライフルは左ハンガーに懸架し、シールドとビームサーベルで艦載されていたBFを相手した。甲板は既に乱戦となっているため相手もビームサーベルや高周波刀といった近接武器で戦う。
当たる瞬間だけ発振して敵を切り伏せていく望月であったが
「またズレた!どうなってる!」
龍影の神経接続と廉月の対応可能速度にズレが出てきていた。
本来想定されていない程の親和性を見せたため、機体が処理をしきれていないから起きているのである。だが、今から距離を取りライフルに持ち替えたとて繋がっているだけの状態で精密な射撃が出来るか疑問である。
「こんな時にぃ!なんで言うことを聞いてくれないの望月!」
月夜のように黒い相棒は答えない。
噛み合って快調に動いていたは歯車は空転し、負荷をかけ、磨耗を早める。
- 82工房の2人25/05/14(水) 10:34:38
「オススメの店…ねぇ。」
(即座に振り返り、小声で相談し始める。)
「どうしよう…すぐそこの店で話すつもりだったけど、利点が安い事以外無いみたいな場所だったよねあそこ!?」
「私もたまーにここに来ているから分かりますけれどあそこは絶っっっっっ対ダメです!!安いから来た時には必ず寄りますが本来はここの従業員が使う事を想定しているやつなので内装とか周りの人とかは本当に…それにメニューも飲み物以外はサンドイッチとかしか無かったですよね!?」
「それは知ってるよ…ただどうする?話に誘った以上、こっちもいい店を選びたい。確かそこそこ近い場所に喫茶店があったよね?確かNA社の本物の食材を使ってて内装とかもかなりいいやつが。」
「あそこですか?確かにいい場所ではありますけど原価が高い分値段もめちゃくちゃ高いですよ?それこそパフェなんか私の10回分の食費ぐらいだった気が…その時はコーヒーだけ頼んですぐに出ました。」
「…どうしよう…自分だけ注文しないようにすれば金額は減らせるか…でもかなり怪しまれる気がする!」
(その白熱した会話は、普通に聞こえるほどの声量だった。)
- 83ラバー◆m3XwMsEekQ25/05/14(水) 10:37:40
- 84ラバー◆m3XwMsEekQ25/05/14(水) 11:09:24
【ラバーたちが青空市街へショッピングをしている中、ラバー農園では】
《皆様。農薬、撒き終わりましたよ》
《ありがとうございますセバス殿。あなたの空中飛行能力には我々も助かっております》
《いえいえ私の力など……全てはお嬢様に教えてもらったものです故、褒めるのであればお嬢様をお褒めください》
《ラバーお嬢様を……確かに、あの方にはまだ我々が電気信号によるイエスノーしか対応できなかった時からここまで話せるようになった恩があります》
《それで言えばあの旧愛卿様にも恩義がありますよ。なんたってラバーお嬢様のお友達でもあり、なによりこの事業の効率化を成功させたのは他ならぬ彼女なのですから》
《しかし素性が分からないというのもあります……いえ、出身や所属は知っているのですが、何をしている存在なのか怪しいというか……》
《確かに……そういう考えもありますね。しかしお嬢様の敵でないのならそれで良いのではありませんか?少なくともお嬢様を守るという我々の任務は遂行されているのですから》
《それもそうですね。怪しいと言えば新しく入ったアントニオという男も怪しいですね》
《デスペラード……素性は実に不穏ですね……何も起きなければよいのですが……》
《金庫……なんてものはございませんが、金銭を要求するだけならよいのですが……万が一武装を要求されては我々では守れないかもしれません。武装がなくとも、我々は素手で敵に立ち向かう覚悟はできていますが》
《このあたりは実際に日々を探してみないと分からないものかもしれませんね》
《ひとまずはこのまま農業を続けていきましょう》
《ですね。きっとお嬢様たちが帰ってくる頃には収穫の時期でしょう》
【この間、約23秒】 - 85復讐するは我に在り◆OXAm1h6odk25/05/14(水) 11:11:31
「────────────────────君達は皆んな、私をそう呼ぶよね」
酷く幼げな、少女の声がした。
輸送機の回転翼の上に立ち、大型コア粒子推進機関を休ませながら眼前の“怪物”を見上げる。
その大型の両翼には各4門、左右計8門の重機関砲を備えており、機体下部には四連装ロケットポットが二つと誘導ミサイルの砲門が立ち並ぶ。
機体の正面には大口径の粒子ビーム砲が眼前の敵を薙ぎ払うべく備え付けられており、その姿は両翼を広げたカモメのようでもある。
───────賢工グループの対地攻撃用大型武装ヘリ、““ゲヘナ””。
地獄の名を冠する怪物的質量の巨大兵器は、二機を睨みながら鋼の咆哮を上げた。
「良いよ。一緒に戦おっか」
誘導ミサイルが殺到するのを急加速によって躱し、黒色の鴉めいた機体が宿木にしていた輸送機が一瞬で破壊され尽くされる。
重機関砲が豪雨のような弾幕を叩き付けようとする中を、鴉は軽やかに踏み越えていった。
- 86二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 11:44:44
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- 87龍影◆9BZ6kXGcio25/05/14(水) 11:49:55
- 88ニライニスト25/05/14(水) 12:07:03
- 89グランセン解放戦線◆OXAm1h6odk25/05/14(水) 12:24:19
「改めて。貴官に感謝を、シェディ・キッス。約束の報酬については今直ぐにでも振り込もう」
銀細工の機影が再び変形する。人型から戦闘機の形に切り替わりながら、その武装を静かに格納する。
向かい合っていたパイロットの姿を見た事への動揺はない。その程度で惑わされるのなら、クロノスに降っているのだから。
────────敵対する意思はない。グランセン解放戦線は人材不足だ。少なくとも、クロノス社のように数十人単位でネームドを失っても直ぐに立て直せる程の力は存在しない。
「……………それはそれとして、既婚者なので娼艦に会いに行くのは遠慮するが」
妻に殺されてしまう、と肩を竦めて。
戦闘機とバディフレーム双方の操縦を可能とする古強者は再び上空へと翔び立つ。
『ミュール・コーポレーション』のバディフレーム部隊が、“シャミエル第四飛行場”を接収すべく地平線の彼方から姿を現しつつあった。
- 90ラバー◆m3XwMsEekQ25/05/14(水) 12:26:28
- 91逆巻重工・実働部隊◆ECPjTIh3Iw25/05/14(水) 12:28:01
[望月が隔壁のロックダウンで隔離されました!一瞬ですが内部解析リンクが……気流から推測されるのは……中は真空?!]
『そんな!龍影さん!大丈夫ですか!?』
[望月側も関節側の摩擦が増えています!これは……]
【望月が龍影の嬢ちゃんの反応に追いつけてねぇ!俺たちの予想以上に、桜空の半思考操縦でだせる入力速度が早すぎたのか!】
オペレーターの報告を受け、ユズハが即座に通信をかける。彼女への状況を求めたものだが、通信が通じるかは不明だ。
同時、彼女の機体に起きている以上に対して技術部のゴンタロウから見解が入る。予想以上に彼女が強すぎた弊害とも言える事例だ。
しかし、それらの悲鳴をよそにロックダウンの一瞬の間にオペレーターが解析をした情報はユズハによって即座に実働部隊を含めた作戦参加全機へ共有される。
『全機へ!陸上戦艦内部には真空空間が存在します!箇所と数は不明!パイロットスーツを含め気密保護ができていない機体は迂闊に近づかないで!!電子戦、及び気密管理を行う配電盤を安全が確認された範囲で探してください!』
指揮官としてユエギは動揺を抑え、心持ちを切り替えて警告する。二次被害は防がねばならない。
「歩兵部隊を伴わずに来たのは正解だったか!」
「焦りで内部制圧に踏み込んでいたら、義体のもの以外は窒息死すらあり得たぞ……!」
ユエギは電撃戦を選んだ決断に安堵したが、セイドウは最悪の可能性があったことに声が硬くなる。
BF群との戦闘の優勢は長くは続かないだろう。補給路は有志が確保してくれたとはいえ、体力までは如何ともし難い。
(サヤギリさんとスイちゃんがいれば、接近観測でわかる可能性もあったけど……!)
[サヤギリ機は蒼月と交戦中!左腕関節部に複数の異常状態が発生しています!]
〈なんて運動性なの……お互い、自動化を切った廉月でも、とても追いつけない領域の戦闘よ〉
『……く、っ(いまサヤギリさんには頼れない!)』
ユエギが睨む作戦モニター上では、蒼風改と蒼月が絡み合うように。しかし異次元の空戦を繰り広げていた。
- 92ソフィー◆KPwoT407kA25/05/14(水) 12:29:35
(…………おかしい)
【シュヴェルトライテのパイロット、ソフィー・ペテルセンはR/W-N01の指揮統率の傍ら、冷静に戦況を把握していた】
(戦艦を指揮する頭が潰されて頼みの綱のCv-K7-7もCv-K7改/Aの対処で手一杯、ゴエティアの存在を加味しても残存戦力に機関部分を防衛する動きが出てもおかしくはない筈。なのにこの手薄さはなんだ?)
(──────────まさか)
【シュヴェルトライテの観測が戦艦内部へと向く。違和感の正体は思いの外容易に発見できた】
(やっぱり!一部区域の気圧が異様に低下している…道理で手薄な訳だ、不用意に突入すれば勝手に自滅してくれる訳なのだから)
《全部隊及び友軍デスペラードに通達。陸上戦艦内部に真空区域を確認。突入は待て。繰り返す。突入は待て》
(これで無駄に犠牲者を出す事は防ぐことはできる。問題は既に突入した部隊だ)
【随伴のR/W-N01を使って観測結果を友軍に通達させつつ、シュヴェルトライテを甲板上の補給地点へと降ろす】
『コレヨリ陸上戦艦換気システムノハッキングヲ開始シマス。システム掌握完了ノ後速ヤカニ機関部破壊作業ヲ続行シテクダサイ』
【ヴァルハラテックの誇る最新鋭の電子戦特化BF────────その真価の前に陸上戦艦の盾がまた一枚剥がされようとしていた】
(残る懸念はゴエティアと武装ヘリ。その対処パターンの構築及びR/W-N01部隊指揮も継続…)
(向こうの“艦長”が、時間稼ぎをしてくれて助かったな) - 93旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/14(水) 12:41:43
・・・・・・
「─────────企業人として、密談の心得は知っておいた方が良いですわよ。その程度の内容は問題ありませんが、企業秘密となると感情的だったというだけでは済まされませんので」
旧愛卿は苦笑した。陰謀に酷く慣れ親しんだ彼女にとって、最早「聞かせる」前提で喋っているのかと疑う程の声量だったが。まァ、単に密談に不慣れなだけだろう。
「技術者としても、無理なものは素直に無理と言うのが重要ですわよ?無理に埋め合わせようとして、結果的にパイロットを殺してしまっては本末転倒の極みでしょうから」
微笑みながらラバーが差し出した手を握ってから、旧愛卿は自らの財布を取り出した。
「今回は私が奢りますわよ。バディフレームを一括で買える程度の金額は持って参りましたので」
尤も、それは相手に弱みを握られないようにする為のテクニックでもあるのだが。
- 94東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/14(水) 12:51:58
- 95ミハエル◆j28rRKKOSY25/05/14(水) 13:09:51
「しまった……!」
【隔壁の向こう側に望月が消えた、内部が真空という状況では下手な手出しは不可能だ】
(壁を破壊する訳にはいかない……そもそも手持ちの武装では足りないか)
【友軍がハッキングを始めたならそれが終わるまでは甲板の掌握を続けるべきと判断し隔壁を背に射撃を続行する】
- 96工房の2人25/05/14(水) 13:11:51
「ウ゛ッ」
「良かったですね、ペースト生活を回避できそうで。それじゃあ行きますよ。かれこれ2食は軽食で済ませなくちゃいけなかったから早く何か食べたいです。」
【物言わぬ石像の様に固まるノザワを連れの女性が引っ張っていく。】
〜カフェにたどりつく〜
「…本当にごめん、話に誘ったのはこっちなのに…。話すならこれを見せた方がいいかな。」
【ポケットから名刺を出す】
「あー、あれですね?まあいい印象はないと思いますけれど…私も会話には加わりたいですし、出しますか。」
【出された2枚の薄汚れた名刺には、彼らの名前と『グールインジャンクボックス』の名がある。】
【『元の企業から何かしらの原因で追放された技術者達の溜まり場』『デスペラードであろうと誰であろうと求められれば境界なく兵器をバラ撒く』『作られる兵器は一芸に特化され、それ以外を完全に捨て去っている』といった話が一人歩きしている、あまり良いとは言えない企業だ。】
- 97シェディ◆PPyRfvMZl625/05/14(水) 13:18:52
「……残念、浮気性ならもう少しやりやすかったんだけど」
【銀翼が遠く空の彼方へ飛び去ってから、通信を閉じてシェディはくすりと笑う、勿論、冗談半分に】
・・・・・・・・・・・・・・
【三年目の浮気くらい許してくれなんて古い歌の詞の中だけだ、いつの世になっても、家庭内に於ける女性の権勢というものは馬鹿にならない】
【勇ましく、強かに、空を駆けるあのパイロットでさえ、頭が上がらない人がいるのだ】
・・・・・
「それなら別のお客様を紹介してよ、くらい言えば良かったかな?」
【けれども、娼婦は色香を武器にするものであるし、それが仕事だから】
【三度ころころと喉を転がして鳴きながら、握り込んだ操縦桿を浮かす、蒼い機体は荒れた滑走路をゆったりとホバリングして】
【増援が展開するよりもずっと先に、飛行場からその姿を消した】
- 98旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/14(水) 13:35:23
ほう、とカフェの香りを楽しむ。
芳しいコーヒー豆の中に、仄かに甘いミルクの存在が確かに存在している。
─────一口含んで、それから表情を綻ばせる。予想していた通りの味。しかし、其れは決して期待外れではない。満額回答である。
チラリと、差し出された名刺に視線を遣って。旧愛卿は苦笑した。
・・・・・ ・・・
「あぁ、二重の意味で頭抜けた軽装甲にGOサインを出したあの企業ですのね」
一部の技術者に『軽装甲というよりも人命軽視装甲では?』と噂される装甲を販売している、だなんて都市伝説のある企業だ。
とは言え、それだけで突き返す程ではないだろう。同じ企業というだけで、彼らが全く同一の思想やら執念を持つ訳ではあるまい。
──────まァ“グランセン解放戦線”の協力企業の中には、それぞれ腕部パーツと脚部パーツに企業全体で執着している企業もいるのだが。
「それで、一体どのようなお話をしたいのかお聞きしても?」
- 99ルカ◆j28rRKKOSY25/05/14(水) 13:38:43
- 100二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 13:46:48
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- 101龍影◆9BZ6kXGcio25/05/14(水) 13:50:45
「コチラ望月。やられたわ。座標はわかる?共有して、マッピングする。それと万が一真空箇所での戦闘になった場合、聴覚が頼れない。射撃に注意して。それと私はしばらく音声通信を封鎖する。」
通信を切った。
ライフルを構えてマッピングをしていく。
コックピット内はペダルと操縦桿を動かす音が響く。
何か見えた為ライトを消して光学増幅をした。
ARATANEが居た。
ダン!ダン!
42mmの反動で視界が跳ねる。
ARATAMEはコックピットに2つの穴が空いたと同時にその穴からパイロットが吸い出された。4.2cmの穴を大人が通ったのだ。
「クソ、ここの警備させる奴らは減圧してないのかよ…」
地面には沸騰する人工血液の血溜まりが出来ていた。
龍影は手元で操作し、コックピット内を減圧する。
パイロットスーツ内は1気圧を保つがコックピット内は最高峰の山にあるらしいベースキャンプと同じ0.4気圧となった。
「ここにいる時はこうしないとアイツと同じになる…」
龍影は警戒を続けながら先へ進む。
- 102ラバー◆m3XwMsEekQ25/05/14(水) 13:51:28
あっ……
【旧愛卿の告げたことに言葉を失う】
た、確かにそうですわ……わたくしとしたことが企業に所属しているというのについ浮かれてしまいましたわ……!
流石は旧愛卿様!細部までとことんきっちりしてらっしゃるのですね!
わたくし感服いたしましたわ!以降気をつけますの!
……とは言え、楽しみなものは楽しみですわー!
【旧愛卿に手を取られ、ルンルン気分でノザワたちについていく】
キャラメルフラペチーノが飲みたいですわ!
っとと名刺名刺……わたくしも、North Argleton Arms Systems所属のパイロット、ラバー・メタルですわ!以後お見知り置きを!
そして名刺……随分と年季の入った名刺ですのね…… 『グールインジャンクボックス』……失礼ながら存じ上げない企業ですわね……?
知っているのですね旧愛卿様!お知恵も深いですわー!
- 103復讐するは我に在り◆OXAm1h6odk25/05/14(水) 14:01:14
・・
「─────────断る」
共闘を承諾した次の言葉が、要請の拒絶。或る意味ではデスペラードらしい無軌道さだが、しかし彼女の其れは感情が赴くままの我儘ではない。
““ゲヘナ””はその巨体に見合わぬ、或いはその巨大な回転翼に似つかわしい速度で飛行高度を上昇させ続けている─────────そして、装甲性能が劣悪なアウタースカイでは遠距離からの弾幕を耐え凌ぎ続けるのは無理だろう。
・・ ・・・・・・・
だが、至近距離ならば。相手する必要のある砲門は著しくその数を減らし、自滅弾を警戒して制圧砲撃を行うのも難しくなる。
──────或いは、自滅を覚悟して攻撃されたとしても瞬間的な加速によって加害半径から離脱可能なだけの速度がある。
・・・・
「役割分担だ。私は派手に攻める。後衛は頼んだ」
同じ機体を駆った以外の共通項は存在していない。
しかし、“月桂樹の亡霊”は何処までも“月桂樹”の姿に近似していた───────ロケット弾の雨を、肩の拡散ミサイルで迎撃する。爆炎の中を黒い鴉が突っ切った。
目標は、““ゲヘナ””の右翼部である。
- 104ニライニスト25/05/14(水) 14:11:43
【女性の方があからさまに不服な顔を向ける。】
「アレは従来の装甲のデメリットである重量への対処を目的として作られたモノです。対人用のライフルには耐えれる程度の硬度はありますし、大概の軽装甲は30ミリの銃弾1発で貫かれるじゃ無いですか。頭ごなしに批判してくる評論家の戯言ですよ、さも事実かの様に話さないでください。」
「…ごめんね、彼女はこういった話にはかなり敏感で…」
【一度咳払いを挟む】
「…話したいのは、君たちがレイピアと言った点。つい最近のBFの装備はいつ見ても銃火器のバリエーションが豊かで近接系は大体バリエーションが少ない。レイピア自体も、当時はフェンシングというのがあったり、それによる決闘もあったらしいけれど今はもう殆ど残っていないよ。
…僕は近接が好きだ。好きという言葉じゃ釣り合わない程に…近接武装、それはBFの存在意義そのものだ。…そう主張したら誰もが煙たがったよ…確かに彼らには理解不能だろう。でも、君達は確かにその理解されないモノの名を言った!もしかしたら同じ思考を持つ者同士?と思ってね…。BFがなぜヒトガタか、考えた事はあるかい?」
【先程まで纏っていた雰囲気が、異様さを感じられるモノへと変わる。】
- 105ルカ◆j28rRKKOSY25/05/14(水) 14:17:30
- 106旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/14(水) 14:52:04
「あぁ、では取り敢えずキャラメルフラペチーノを注文しておきましょうか」
キャラメルフラペチーノが何なのか、“旧愛卿”にはさっぱり分からないが。
しかし店員に任せれば問題はないだろうと考えて、微笑みながら注文した。
- 107旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/14(水) 14:52:25
ふむ、と“旧愛卿”は目を瞬かせた。
この類いの人間には覚えがある。というか偶に接触する。執念で、優れた技術を成し遂げる者だ。
にこやかに微笑んだ。
・・・・・・・・・・・・
「意見の相違がありますわね。個人的な感想ですが」
とは言え、“旧愛卿”はそういった類いの零から一を創造する技術者ではないのだが。
「『人命軽視』という評価を覆したいのなら、軽量化による速度の上昇と、速度の上昇による回避率の向上に関するデータを持ち出すべきです」
「その表現では、装甲の薄さを殊更に強調するだけで従来の軽装甲と比較した生存率への貢献を言語化出来ていないのでは?」
技術者の視点、というよりも経営者の視点だ。
良い商品であっても、宣伝が悪ければ売れない事もある。
「それから、何故バディフレームが人型であるかについてですが」
“旧愛卿”は言葉を、少しだけ留めた。
───────あくまで彼女の個人の思想であると念押しした上で、口を開く。
・・・・・・・・・・
「汎用性を高める為です。人類の発展は手によって様々な道具を利用する事が可能になった、というのが大きな理由の一つです。人体の手というのは、正に汎用性に長けているのですよ」
・・・・
「必要なのは使い分けです。射撃兵装だけが市場を独占するのは健全ではないとは私も考えていますが、それはあくまで安全保障の問題───────現行の射撃兵装を対策したインベイドが現れた場合に、近接兵装という備えが必要だからです。コレは逆もまた然りでしょう」
「──────────あぁ。それこそインベイドを近接武装だけで絶滅させられる構想があるのでしたら、前言撤回しますが」
- 108逆巻重工・実働部隊◆ECPjTIh3Iw25/05/14(水) 15:40:39
『こちら補佐官、了解!マッピングと共有……迂闊に進まないでね、内部は危険よ!』
[音声通信、封鎖されました!]
大丈夫、まだ挽回はできる。ユエギは己を鼓舞した。
望月から送信されたデータを、すぐさまシュヴェルトライテと葉桜に共有する。
『望月が閉じ込められた隔壁位置と内部データを送信します!シュヴェルトライテは内部システムを掌握し、真空状態の解除を!葉桜には真空状態の解除までのシュヴェルトライテの護衛、その後は隔壁を開くように要請します!』
電子戦、そして工学的知見に優れる二機への指示は簡潔だ。
同時に望月の素体になっているのがデータリンク系を刷新した廉月で助かった、とユエギは胸を撫で下ろした。月風ベースでは数秒遅れていたかもしれない。
- 109工房の2人25/05/14(水) 15:48:02
「うぅ…ぐうの音も出ない…前の上司みたいだぁ…」
「…驚いた。まるきり僕と同じ考えじゃないか!
…確かに対インベイドにおいて近接武装は明らかに向いていない。機能的に銃は最適なんだろう。
ずっと前から薄々感じてはいたけれど…君のおかげで完全に理解できたよ。
…でもこれを伝えたい。銃火器は、言葉にすれば…美しくないんだ。特にBFがそれを使う光景が。」
【少しの間が置かれる。】
「今までに感じたこと、聞いたことはないかい?『人体は美しい』と。『進化によって野生を失った』と主張する人は多いし、実際向いてはいないだろう。でも見方を変えれば、走る、跳ぶ、持つ、振る、投げるといった行動は野生の頃から磨かれた動作。そしてそれらの動作に対応する為に、見方を変えれば装飾として作られたのが…」
「前提から異なります。」
【言葉を入れ込み、話を中断させる。顔から退屈さが窺える】
「私だって話したいんですよ…BFとは『兵器』です。そして、私のそれに対する美しさの観点も違います。
…あなたたちは、かつてのサバンナの肉食獣を見たことがありますか?私は動画でしか見れませんでした。」
- 110ソフィー◆KPwoT407kA25/05/14(水) 16:11:33
『護衛ノ必要ハアリマセン。換気システム掌握完了…空気ノ循環ヲ再開シマス』
【その返答もまた、簡潔だった】
『続ケテ隔壁ノ電子ロック解錠開始、並ビニCv-A8/F及びデスペラード機トノ合流最適ルートノ選定…完了。データヲ送リマス』
『此方ニハ既二護衛のR/W-N01ヲ配置シテイマス。オ気二ナラサズ救助二専念シテクダサイ』
【廉月と葉桜に救助用ルートデータを送信する。最短では無いがトラップの危険性を限りなく排したそれは、『アブソーバー』戦でもジークルーネ伝いに見せたシュヴェルトライテの得意技だ】
(ついでにメインコンピュータを乗っ取って戦艦の動きそのものを停止させようとも試してみたけど…やはりスタンドアロン化されている。外部干渉で機能停止させるにはやはり機関部の破壊が最も簡潔か)
【となれば、時間経過も踏まえれば賢工の子飼いと化したゴエティアとの接敵も避けられないだろうと。ソフィーの戦略眼はこの瞬間も尚多方面に向いていた】
- 111復讐するは我に在り◆OXAm1h6odk25/05/14(水) 16:44:01
──────────────雑多な弾幕は、舞うように進むアウタースカイには当たらない。
逸脱した反応速度と、『月風』系列機体が保有する小型推進機関によるクイックブーストが重機関砲の砲身移動に合わせて小刻みに回避する。
““ゲヘナ””の操縦士が次の矢を放つ。ロケット弾と誘導ミサイルの嵐。広範囲を制圧する攻撃が静かに装填されて、鴉を焼き尽くそうとする寸前。
・・・・・・・・・・・・・
左翼への狙撃が体勢を崩した。
““ゲヘナ””が咄嗟に飛行高度維持の為に攻撃行動を一瞬だけ停止し、しかしその隙にロケット弾に粒子ビームを撃ち込んで遅延させる。
・・
「………………コレで、一つ」
超音速。最高速度に達したアウタースカイが、蒼色の光刃を閃かせて振り抜く。
すれ違い様に、““ゲヘナ””右翼部の回転翼の一つが切断されてバランスが崩れる。横転しない為に左翼部の回転翼の出力を落とさなくてはならない。
「如何なる鳥も、翼を捥がられば墜ちるだけだ」
馬鹿正直に、戦車数台分の重装甲で守られた胴体部を狙う必要はないと“月桂樹の亡霊”は笑った。
- 112東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/14(水) 16:54:21
『ん。よーやっと動けるようになったわ
......あの拳の重さは作りモンやなかったで』
(フィードバックされた頬と背中ダメージを
回復キットで補填しながら、台は呟いた)
『うし、そろそろ動くか』
【システム:再起動...成功。
パイロット生体認証:確認しました。】
『"葉桜:暫定的補強仕様"ってとこやな...
馬力は大差ない、グレネードは駄目で、
その代わり折り畳みライフルとナイフが有る
四肢はとりま補強して動けるようにしたなァ
ブースターも着火がちょい遅くなっとるけど
まぁ、許容範囲内ってところか......起き!』
ガギギシギギッ、と再び鉄が軋む音を立て
多くの残骸と補給品で補填された機体が、
カッと光を両眼に宿して再起動する。
『────忘れモンもこれで良し
戦線復帰や!待っとれよ、リン!』
落ちていた回転丸鋸を拾い上げ、
葉桜は親友の待つ区間へと向かっていく
- 113逆巻重工・実働部隊◆ECPjTIh3Iw25/05/14(水) 16:55:22
[シュヴェルトライテから返信……早い!?データ送信きました!!循環システムも回復しています!隔壁の電子システムも!]
『よし!セイドウ機は葉桜を伴って隔壁を開放!今すぐ救出に向かって!内部では接近戦になるわ!望月へ予備のビームライフルを持って!』
「了解した!ハザマ、行くぞ!」
〈了解!!〉
戦局モニター上でセイドウとハザマの二機連携が葉桜と合流する。陸上戦艦の後方側に視点を移せば……。
『さすがは月桂樹の亡霊、か。サヤギリさんや龍影さん並みの強さね』
鴉色のアウタースカイを示すマーカーは未だ健在。
ゲヘナを相手に戦闘を行っているのを見てユズハは頷いた。
『最寄りの支社守備隊から一部戦力を数班ほど抽出!留置所近辺まで飛ばして補給線の確保に専念させて!望月の予備パーツを最優先に輸送!シズクとサミダレ機は甲板で補給コンテナを防衛!』
「「了解!」」
(いつ賢工に掌握されているゴエティアが来てもおかしくない……!こちらも修理環境を前に移動させないと……!)
ユズハは息を吐く。最前線を張っている望月と蒼風改は限界間近だ。残りゴエティアが来たとなれば動く目的になるはずと思考した。
『テスタロッサへ。対BF戦闘法はそちらに委託します。補給コンテナ防衛と人命救助範囲の拡大を許可。甲板の安全範囲拡大を要請します……できますか?』
主義に合わない内容かもしれない、と思いつつ通信を繋ぐ。
いざという時に味方を守ってくれる戦力が欲しい。それが偽らざる願いだった。
- 114旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/14(水) 17:02:43
「狼なら飼っておりましたよ。生きた羊を襲って骨の髄まで噛み砕くのが趣味の、飛び切り獰猛な狼を一匹──────あぁ、ご心配なく。私の趣味ではなく、実家の伝統だったというだけなので」
嫋やかに微笑みながら、旧愛卿は少し冷たくなったカフェに口を付けた。
グランセン王国が存在していた地域は、古代の時代において旧西方列強連合領全体を支配する巨大帝国の起源となった地でもあった。
彼らの国祖は狼に育てられたと謳われており、必然その流れを汲むグランセン王国ではそのような伝統が存在していた。
・・・・・・・・・・・・・・
「動物は手段を選り好みしません。生きる為には、自身が生存した上で相手を殺す必要があるのですよ────────そして、私もまた彼らの論理には『兵器』に相通じる原理があると思っています」
獣の美しさとは“機能美”である。
個人的な感想に過ぎないが、しかし肉食獣が自らの牙と爪で獲物を仕留めるという“過程”を重視すると旧愛卿は考えてはいなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・
「最小限のコストで最大限多く殺す。兵器の在り方の理想形は効率的な虐殺だと、私は考えています」
彼らは“生きる”という結果の為に最大の努力をしているのだ。
獣は“理想”を持たない。不適切な進化をした形態も自然淘汰される定めだ。
「私からも一つ、質問をしましょうか。既存の兵器と比較した場合に、バディフレームが有する戦略的な意義とは何でしょう?」
- 115ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/14(水) 17:30:17
(1/2)
『月だ!!私は月になる!!それが憎悪の蒼い炎に輝くとしても!!』
「それは……!願いを受け取るだけじゃ、ノインさんが!!」
いなくなってしまう、という言葉を出す前に。
左腕を失い軽くなった分、相手のギアが上がったことにケイは気づく。即座に機体を反転させて逃げの姿勢に入る。
最大水力を維持したまま右へ、左へ。上昇からの宙返りも行って────振りきれない。
(く、そっ……Gが…‥っ!?)
視界が狭まる。まだリミッターは解除していない……当然だ。
蒼風も蒼風改とそもそも、最高速度を維持し続けたまま機動はできる。
だがそれは、減速をしなくても良いわけではない。
・・・・・・・
身体が保たないのだ。
アブソーバーを相手にして吐血だけで済んだのは、加減速を繰り返したことによる振り回しのおかげだ。一瞬とは言え、Gを和らげされる瞬間があってこそ。
しかし今相手取っている蒼月を相手に接近戦を挑めるほど、ケイのギアは上がりきれていない。『ケルベロス』と戦った疲労だ。
さらに言えば。
「左、っ、腕もダメか!!」
《左腕部の関節に異常。高負荷で先ほどのような防御では動かせません》
左腕部の関節がとうとう負荷に耐えきれない。腕は蒼月から見てもだらんと垂れ下がっているだろう。
- 116ラバー◆m3XwMsEekQ25/05/14(水) 17:33:14
- 117ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/14(水) 17:41:01
(2/2)
「……俺には、無理だ」
綺麗なのだ。照らした火が己と相対するものだとしても。今の彼女は、どこまでも。
速度を落とし、失速を意図的に起こして、暗くなった視界でも意地で蒼月を見る。
ボソリと呟いた。
「まだ生きていたいって!俺は、龍影と二人きりで一生幸せになりたいって思って……!そう思う俺は、っぁぁぁ!」
Gに耐えながら、見据え続ける。叫ぶ。
「きっと、いや、絶対に!貴方みたいにはなれない!」
だからそれは、羨望だった。
龍影に会えなかった自分なら、そうなれたかもしれないという羨ましさだった。もう二度と戻れない過去を思う声だった。
「もう俺は!!ただ背負うだけの人間じゃいられなくなった!背負いたいのに、捨てたくて!馬鹿なやつだろ!?」
後ろから追う蒼月を前に押し出しながらコア粒子砲を稼働させ、右腕のシールドを構える。
背負った荷物を、放り捨ててしまいたいと思う時が生まれた自分がいて。
「だから、貴方は貴方のまま来い!!“艦長”を斬り捨てた俺でも良いなら!大陸一の月風乗りとして!」
矛盾しても、自分と反していてもだからこそ彼女の答えを受け入れてやりたいと。
意地を張った。
「俺は!!貴方を、貴方を照らす炎ごと超える!!ノインンッ!!」
そのうえで、自分はまだ終われないと。頭部コア粒子砲からビームを放つ。蒼月に対してそのまま、加速する。
- 118エイダン◆Fd5AlHEdkk25/05/14(水) 18:11:36
【忠義者な男の後ろ姿を見送ったあと、エイダンはメモに指定された場所へ向かった】
【広々とした青空に点々と浮かぶ羊雲の足下。
ビルよりも家が作る影のほうが多い《A-1コロニー》の郊外に建てられた一軒のカフェ】
【まばらに二輪車や人影が行き交う道を渡り、洒落た庇の下の日だまりの中に並べられたテラス席へ足を向ける】
【休日ゆえに穏やかな表情で談笑する客たちの後ろを通り過ぎ、サイバーグラスの裏から自分を招いた相手の姿を探す】
「やあ、久しぶり。お招きありがとう」
【そして目当ての人物はすぐ見つかった】
【差しこむ陽光を反射して、煌びやかな輝きを放つ金髪の下で遠くを見つめる青年のそばにより、簡単な挨拶をかけながら席に座る】
【次いで、彼の隣で控えるように気配を薄くしていた側付きへの会釈も忘れない】
「待たせてすまないね。何か食べたかい?……あ、アイスティーを一つ」
【目ざとく駆け寄ってきた店員へ注文を述べつつ、まるで親戚の叔父さんが甥っ子の機嫌を伺うような気やすいノリで話しかける】
【少なくとも、自分には必要以上に気負うことはないと言外に示す形だ】
- 119龍影◆9BZ6kXGcio25/05/14(水) 18:14:11
「なんだよ…ここは…」
足元には眼球が眼窩からこぼれ、鼻、口、耳から出血して死んでいる兵士がいる。血溜まりは全て人工血液、ここにいる兵士は全て全身義体なのだろう。
「あの人は判断から実行までが早すぎる…」
殺したあの男は躊躇無く仲間の命を勘定出来た。前線の指揮官としては最高峰だろう。
突如アラートが鳴った。
後方に加速したが太ももに着弾した。歩兵携行装備の対装甲目標用ミサイルである。
「そこか!」
頭部の12.7mmガトリング砲を射撃地点に掃射した。
反応は無い。
ライフルを構えて望月は慎重に遮蔽箇所へ接近する。
突然視界が一瞬だが燃えた。鎮火するも燃焼剤は装甲にへばりついている。
「ナパームゾル?!さっきの歩兵か!」
龍影は万が一に備え、コックピットを再度減圧して外との気圧差を無くす。人の影が動くのを見た。望月は42mmライフルの引き金を引いた。ジェットパックを背負っていたのだろう、引きちぎれた腕が装甲にへばりついている粘性のある燃焼剤に張り付いた。
「クソ!」
悪態を付く。
- 120ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/14(水) 18:26:39
やぁ……エイダン殿……
【ぼんやりと人の行き交いを眺めていた所を横から挨拶され、青年はポケットに手を入れて座ったまま、頭だけを向けて返事する】
【そうしたらすぐに戻し、また1度人々を眺め始めた】
最近はまぁまぁ食えてる方だよ……
ここでは何も食ってねぇが、今朝はジャム塗ったパンと牛乳で済ませたばっかだ……
【あの時の覇気はどこへ行ったのか、実に弱々しい声だった】
まぁ、俺の心配は良いさ
ただエイダン殿、ケイは……俺の親友は……助かったんだよな……
ハニヤの姐さんは……俺の元から消えるんだよな……
【K.Iの制服を羽織ったまま裾を通していない彼は、物憂げな目をしていた】
【メビは何も言わず、2人の姿を後ろから見ていた】
- 121ルカ◆j28rRKKOSY25/05/14(水) 18:47:56
- 122東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/14(水) 18:56:45
- 123龍影◆9BZ6kXGcio25/05/14(水) 19:02:51
脚部損壊のアラートがコックピット内に鳴り響く。
「あのミサイルがトドメか…」
ケルベロスを蹴り、ミサイルを受けた足で戦闘速度の着地をしたら恐らく動けなくなるだろう。
「最近はいっつも壊すなぁ…チャオレンの時はそんなこと無かったのに。」
思い返してみれば、以前はこのような大規模戦は割に合わない、アウトサイドには関係ないと無視していた。ケイと関わったから機体を酷使しなければいけない作戦に出るようになった。デスペラード(無法者)のような半端者なら彼を疫病神と罵って離れるだろう。だがアウトサイダー(外を知る者)の龍影は充実感に満たされていた。
「愛する者の為に…か。ケイは凄いや。私にここまでさせるんだもん。」
通路の先が光った。
シールドを構えるが間に合わず、左腕の装甲が削れた。
すぐさま42mmを発射点に撃ち返す。
龍影は噛み合わない神経接続と機体のズレを経験で修正していた。腐っても20年近くは乗っているパイロットである。だがその隙間を縫うように走ってくるシンセイがいた。
望月はライフルを右ハンガーに格納して、盾に取り付けていたビームサーベルを抜いて迎え撃つ。
[その構え…龍影の姐さんか!]
聞き覚えのある声だ。
「陸上戦艦の艦載に選ばれてたんだなんてね!でも今は敵よ!マモル!」
一撃、二撃と切り結び、鍔迫り合いになる瞬間、ビームサーベルの発振をやめて脇を抜けるように望月は回り込む。
[まだまだぁ!]
シンセイもビームサーベルの発振をやめてしゃがむ。望月の突きが躱された。
「いいえ、終わりよ。」
盾を取り外した左腕で左ハンガーに付いているビームライフルを抜き、しゃがんだシンセイを銃口が捉える。
銃口から光が漏れる。
放たれた加粒子は自分を姐として慕っていた仕事仲間を蒸発させた。
- 124逆巻重工・実働部隊◆ECPjTIh3Iw25/05/14(水) 19:38:03
- 125◆KPwoT407kA25/05/14(水) 19:59:31
- 126東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/14(水) 20:05:43
- 127旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/14(水) 20:42:52
- 128エイダン◆Fd5AlHEdkk25/05/14(水) 20:52:13
【青年が浮かべた惨憺たる表情を横から見つめながら、自傷的な声色をまとう質問に答えようと口を開く】
【今、彼を蝕んでいる胸痛が如何程のものか想像もつかない。だが、何を述べてもそれを深める結果に落ち着くことは目に見えている】
【だから、エイダンは自分が必要だと思う痛みだけを与えることにした】
「……Ms.アル=アサドの件は、そうだね。
シェセプは退職金代わりに持たせることになったから、口裏合わせは頼んだよ。何か渡したいものがあるなら預かろう」
【先ずは既に精神は無法の路地へと踵を返した猫の話から。といっても、伝えることは以上の通りで少ないが】
「そして、Mr.サヤギリだが……生死不明だ。彼を慕う人々が動いている分、生きている可能性の方が高いとは思うけどね。7:3といったところかな」
【刑務所のデータベースや周辺の監視カメラを見張らせていたリンゼイから、何やら一騒動起こったらしいことは教えられている】
【恐らくは救出が行われたのであろうが、それ以上のことが追えていない現状、これは希望的観測の域を出ない】
【遅効性の激毒になり得るものを、今の彼には与えられない】
- 129復讐するは我に在り◆OXAm1h6odk25/05/14(水) 20:56:29
「───────良い援護」
大型武装ヘリ““ゲヘナ””の背後に陣取っていた黒鴉に向かって振り返るよりも先に、背部の双発の大型コア粒子推進機関を炸裂させる───────怪物が鋼を引き裂く絶叫にも似た音が響いて、蒼色の光刃が大きく振るわれて装甲と共にまた一つ回転翼を破砕する。
元々、単騎で運用する想定の兵器ではないのだ。
“スカッド・ソルジャー”や“ローン・ソルジャー”を上空から蹂躙する為の『対地』攻撃大型武装ヘリであり、空戦性能は“ゴライアス”にも劣るだろう。
だからこそ、超音速で機動する『アウタースカイ』の速度にも。解放戦線の“独立闘士”の動きにも追随する事が出来ていない。
──────────────────ギィィィィィィィィィィヤァァァァァァァァァァ………!
・・ ・・・
だが、まだだ。
数を減らした回転翼を、しかしそれでも酷使して。大型武装ヘリが更なる高空への移動を開始しようとする。
一発当たりの命中精度は落ちるだろう。だがコチラから““ゲヘナ””を撃墜するのも難しくなる。
「……………面倒な」
ジェネレーターを確認して、一度大型コア粒子推進機関を休ませておく必要があると判断した“月桂樹の亡霊”は苛立ち混じりにその様子を見た。
- 130ノイン◆fDey8JUvvk25/05/14(水) 21:05:12
【無理だ、といいながら意図的な失速をする目の前の少年と機体を捉える】
「自覚はあるようだな!!」
【エゴを曝け出し、戦場で恋人の名前を出す馬鹿な奴。そうだ、貴方はそういう奴だ】
【蒼風改の前に出ながら当然の権利だとすり抜けざまにサーベルを振るう】
【それは右手に構えたシールドに阻まれ、押しあたり、対ビームコーティングと反発して弾けるような音を立てる】
『だから、貴方は貴方のまま来い!!“艦長”を斬り捨てた俺でも良いなら!大陸一の月風乗りとして!』
「そうだな、貴方は英雄ではない!!ただの少年だ!!」
【弾かれた反動を利用し機体を転回する。それでも間一髪だ。反らせるか】
「だが大陸一の月風乗り!!」
【事実だけを見る。】
【不完全な形で向け直したビームサーベルがビームを反らしきれない。拡散した粒子が蒼月の対ビームコーティングを次々と焦がしていく】
【片目も粒子に潰された。電源が落ちる。蒼はまるで墨色の瞳の様に】
「捉えて、居る!!!」
【ベクトルの反転も終わる。蒼風改へと幾たび目かの突撃をかける】
・・・・・
「超えてみろ!!」
- 131ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/14(水) 21:06:51
そうか......メビ
【主人の言葉に対し、召し使いは両手で黒いデータチップを手渡す】
それには"タイガーの弾薬費"が入っている......
少しずつ定期注文をするから......お願いします......
【声が、徐々に震える】
『金龍様......』
泣かねぇよ......姐さんの件については泣かねぇ......絶対いつかどこかで会えるからよ......そう信じているからよ......
【腕を通していない裾を掴む力が強まる】
......だが俺の親友についてはよ......直接会って謝りたいんだ......
俺はまだ......本当にK.Iに加入してからの事を言えてないんだ......言えてないんだよ......まだ返せてない物が沢山あるんだよ......
- 132ミハエル◆j28rRKKOSY25/05/14(水) 21:07:47
- 133東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/14(水) 21:30:01
『───成程、あの真空は咄嗟の判断か
......敵ながら天晴れやって言うておくわ』
真空が少しずつ換気により緩和されたものの
それでも酸素はまだかなり薄いままだ
無惨に窒息死した義体たちを見遣りながら、
台は冷静に周りの状態を確認していく
『(かなり新しい痕跡が残っとる、それも
たった数分前に発砲したレベルのがな...)』
そして進んだ先で、辺り一面に広がる
義体の山を見ながらも先へと更に進んだ。
『(ここまでの惨劇は久々に見たなァ...)』
龍影が居るエリアまで、少しずつ近づいている
『────リン?何処におるー?』 - 134二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 21:30:10
このレスは削除されています
- 135二次元好きの匿名さん25/05/14(水) 21:46:36
このレスは削除されています
- 136ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/14(水) 21:48:28
『捉えて、居る!!!』
「足りないか!!」
片目を剥いでなお向かってくる蒼月。ビームコーティングは剥がれ、一部焦げた装甲が見える。ベクトルの反転は終わった。蒼と墨の目がこちらを射抜いている。突撃の始動は衰える気配がない。
(――――持久戦は不利。ビームサーベルの間合いはもう何度も見た。3度、いや4度)
一秒を切り分けた。80、90に分けて蒼月の突撃姿勢を見る。
・・・・・・・・・・
Gに身体を蝕まれるか。それが生身と義体の圧倒的差であった。
――――知るかと、ケイは斬り捨てた。ヒューズが飛ぶような音がした。
「すぅ……はぁ……」
・・・
瞬きのように目を閉じ。息継ぎをした。体力を回復させた。
・・・・・
『超えてみろ!!』
・・・ ・・・
「上等だ!ノイン!!」
叫ぶ。叫んで、3つのスイッチを同時に押す。電磁弾体加速砲は左ハンガーにしまった。
【非推奨】『コア粒子推進装置リミッター・解除』【非推奨】
【非推奨】『関節駆動出力条件上書(オーバーライド)』【非推奨】
【非推奨】『コア粒子伝達流路流入制限解除』【非推奨】
蒼風改の背部コア粒子推進機関が待ち焦がれたように高音、重低音がかき鳴らされる。『遅い』と主に怒るような音だった。
「俺は――――!アンタを!!超えてやる!!」 ・・・
色を残して。鋭角に蒼風改が蒼月に詰め寄った。思うように動かぬ左腕は盾のように。右腕は横に伸びて青い柄を手に持っている。発振して、宙返りで後ろから斬り掛かる。白兵戦。
撃墜王の“再来”と“後継”が、ぶつかり合う――――。
- 137ラバー◆m3XwMsEekQ25/05/14(水) 21:53:43
- 138ルカ◆j28rRKKOSY25/05/14(水) 21:54:35
- 139復讐するは我に在り◆OXAm1h6odk25/05/14(水) 22:09:18
・・・
「────────当然だ!」
今、正に牽制として放たれようとしていたロケット弾と誘導ミサイルの雨が出鼻を挫かれる。
それでも無数に積まれた武装によって少なくない数の火器がアウタースカイを照準しようとして───────────拡散ミサイルが薙ぎ払う。威力ではなく攻撃範囲を重視した武装が弾幕を迎撃して、大型コア粒子推進機関の加速出力を限界まで上げた。
急加速によって、躰が真正面から押し潰されるような痛みがする。
其れは生きている証拠だ。彼女だけが、生き残ってしまった証明である。
誰だって、仇を討ちたいのだ。
憎悪を発露したい。奪った者に復讐したい。其れは当然の心理であり、普遍的な感情であり、陸上戦艦を建造した者達の総意であり。
・・・ ・・・・・・・・・・・
─────────────────そして、彼らに踏み躙られた者も同様に懐く感情だ。
復讐者が復讐されないなど、誰が決めたか。
「私の目の前から────────」
アウタースカイが翔び立つ。高く、高く、他の誰もを置き去りにするような疾さの最中で。
“月桂樹の亡霊”は。或いは、賢工グループによって全てを奪われた少女は叫んだ。
「────────消えろッ!!!!!!」
““ゲヘナ””左翼の回転翼を、突き抜けた黒色の閃光が蒼色の光刃で破壊し尽くした。
鋼鉄の猛禽が、墜落する─────────其れに紛れて、アウタースカイもまた推力を失って急降下していた。
- 140龍影◆9BZ6kXGcio25/05/14(水) 22:31:31
- 141ルカ◆j28rRKKOSY25/05/14(水) 22:38:22
- 142ノイン◆fDey8JUvvk25/05/14(水) 22:40:28
【音が聞こえるより先に蒼風改がブレたのが分かった】
(持)
【持久戦は不利だろうな、と考えるより先に反射が蒼月にコマンドを打ち込む】
【最後の切り札を切った】
【生身と義体の圧倒的性能差は耐Gだけではない】
・・・・・・
【反応速度の差だ。作りからして違う】
【色を寸分たがわず蒼月とノインは見ている】
【鋭角な動きを追い、宙返りに合わせて転回する】
【遠心力でウイングバインダーの根本が嫌な音を立てる。知るか】
『俺は――――!アンタを!!超えてやる!!』
「何をォ!!!」
【サーベルの間合いは見切られている。ならばそれ以外だ】
【蒼月の発振したサーベルが、青い粒子が。蒼風改のサーベルを受ける】
【触れる蒼と蒼。交わらない青と青】
【サーベルを支点に回り、右足で蹴りを叩きこもうとするのが】
【蹴り上げた脚のコア粒子推進機関からの噴射炎での目つぶしが】
【さらに左足の膝蹴りが】
【サーベルの出力を一瞬落して、つばぜり合いを外してからの首筋への手刀が】
【全力のぶちかましが】
【そして頭突きが繰り出されるような。そういう未来が見えてもいい】
- 143東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/14(水) 22:45:34
- 144復讐するは我に在り◆OXAm1h6odk25/05/14(水) 22:54:11
- 145ルカ◆j28rRKKOSY25/05/14(水) 23:05:26
- 146龍影◆9BZ6kXGcio25/05/14(水) 23:08:59
- 147エイダン◆Fd5AlHEdkk25/05/14(水) 23:09:50
「ああ、任されよう」
【渡されたチップを丁重に持参した鞄の中へ仕舞う。あとで新しい口座を開設しなければ】
【などとよぎった思考を隅に追いやり、目の前で込み上がる嗚咽を噛み締めながら言葉を紡ぐ青年へ目を向ける】
【溢された関係については驚いたが、意外だ。とは思わない。向ける先、指向性は違えど、彼らのまっすぐさはよく似ている】
【関わった時間は短いが、それがわかる程度には、この青くて蒼い青年たちは鮮烈だった】
「……ことが済んだら、ダメ元にはなるけど、僕から話せるように取り次いでみるよ。だからそれまで、話したいことをまとめておきな」
【顔を合わせて話すにしろ、墓跡に向かって語りかけるにしろ、虚空を仰いで打ち明けるにしろ。幸い、そのための時間が彼にはある】
【老婆心ならぬ老爺心からくるアドバイスもそこそこに、机上に置かれたアイスティーを口元へ運ぶ】
【いつものお茶とは違う爽やかな苦味と微かな甘さが、涼やかに喉を通っていった】
- 148ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/14(水) 23:13:43
「!!!」
ノインの叫びの後。蒼月が動き始めた。
速い、と思う前に一秒が切り分けられる。
あらゆる動きにつながる、蒼月の鍔競り合いから予測できる動き。
足蹴り、手刀……からの追撃と、頭突き。
(読み筋のオーバーフローが狙いか!!)
肉弾白兵戦すらも対BF戦術の一種であることはケイも知っている。やろうと思えば蒼風改でもできる。
――――だがここまで精密、かつ高速の操縦はできない。
・・・・・・・・
リアルタイムではこちらの機体操縦が間に合わない。
「だからどうしたァ!!!」
ならば、先行入力とキャンセルを組み合わせれば良い。叫んだ。
衝突点を支点として回る蒼月の蹴りを、コア粒子推進機関を吹かすことで強引に上へ飛んで躱す。炎の目潰しは効果範囲外へ。
修正された膝蹴りをどうにか同じように膝で受けて、互いの鍔競り合い状態が解除される。
手刀と頭突きは射程範囲外へと、蒼風改が後ろへズレていく。
嫌な音を立てながら左腕を向け、高速速射砲を構えた。
「ッッ!!」
最高レートでは砲身が破壊される可能性を懸念した、高レート射撃。
だがズレた銃身から放たれる弾丸はメチャクチャに。しかし脅威度は変わらない。
逃げれば、今度は蒼風改が追う側となる。逃げなければ、蒼風改が右に飛ぶ。
そしてそのまま、青の刃を再度発振して鋭角に襲いかかる。一撃離脱の動きだ。
- 149東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/14(水) 23:16:20
- 150復讐するするは我に在り◆OXAm1h6odk25/05/14(水) 23:17:00
- 151逆巻重工・実働部隊◆ECPjTIh3Iw25/05/14(水) 23:29:11
- 152ルカ◆j28rRKKOSY25/05/14(水) 23:34:07
- 153龍影◆9BZ6kXGcio25/05/14(水) 23:35:46
- 154東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/14(水) 23:41:02
- 155ゴルドラ◆Ieyngk2TZs25/05/14(水) 23:44:11
ありがとう……ありがとう……!!!
【涙を誰にも見られないように、俯いて目頭を抑える】
『金龍様に変わって、私の方からも1つお願いを』
【嗚咽を引っ込ませている主人を示しつつ、エイダンのサイバーグラスにとある子供の関連データを送る】
『実を言うと、最近私たちが保護した少年ポリトですが、色々と混み入った状況下に居ります。金龍様もどうにか普通の暮らしを送らせたいと尽力なさっているので、どうか助力をお願い致します』
- 156復讐するするは我に在り◆OXAm1h6odk25/05/14(水) 23:51:38
- 157逆巻重工・実働部隊◆ECPjTIh3Iw25/05/14(水) 23:59:34
- 158ルカ◆j28rRKKOSY25/05/15(木) 00:06:24
- 159ノイン◆fDey8JUvvk25/05/15(木) 00:09:55
【蹴りは、コア粒子推進機関を吹かすことで強引に上へ飛んで躱された。炎の目潰しは十分に届かない】
「逃がすか!!」
【体にかかるGは半ば無視し、墨色の目の毛細血管を切らしながら修正した膝蹴りを叩きこもうとして膝をギリギリで併せられる】
「!!」
【推力は互角。弾かれた】
【手刀を繰り出す。届かない。次の手。頭突き。これも射程外】
「ちいっ!!」
【蒼風改の左腕が向けられる。バックブーストで距離を取りつつウイングスラスタで倒れ込むように。蒼色を残して回避行動を選択した】
【放たれる弾丸はメチャクチャで、しかし脅威度は変わらない】
【だからこそ激しい動きでの回避を要求される】
(追いつかれる!)
【追われる側。そして逃げられない】
「ならくれてやるッ!!」
【転回しつつ右回し蹴りを叩きこもうとする】
【当然ビームサーベルと打ち合うような機能はない。刃を立てられれば足は即座に両断されるだろう】
【その1手に行動を絞らせ、自分のサーベルは蒼風改の胴体を切り裂いてやろうと返す刀を用意して。】
- 160龍影◆9BZ6kXGcio25/05/15(木) 08:26:47
- 161復讐するは我に在り◆OXAm1h6odk25/05/15(木) 08:36:00
「───────貴方もね。貴方が復讐する時は、私も手伝うよ。“戦友”」
翔び立つ黒い機影を見送ってから、アウタースカイは轟音と共に大地を引き裂いて前進する陸上戦艦の方角を眺めた。
───────まだ、小さな“戦争”は終わらない。
- 162ニライニスト25/05/15(木) 09:46:38
「え、いいんですか?」
【メニューの金額を見ながら話す。割と高い。】
(この人達、かなり育ちがいい?なら何でこんな所に…)
【呼び鈴を押すが、店員が来るまでに時間が空く。そんな時間は会話で埋めるのがいい。】
「ごめんね、君の事を考えてなかったこっちが悪かった。…BFの意義…『ほとんどの需要に合う』かな?」
「…まあそうですね、個人・組織・場所に合わせ最適な姿にできる…認めたくは無いですが重装甲が最適な場合もあるでしょうし。」
「あれ、珍しいね。君がそんな事を言うの。」
「え?ま、まあ私は軽量機が至高と思っていますが、主にする事は『素材・装備開発』です。今はアレに注力していますがそっちはあくまで内一つで…頼まれたら例え重量級の装甲だろうと作りますよ。嫌ですけど。」
「まぁ僕も似た様なものか。開発こそしてるけど、本業は実質別だし。」
「…あ、気になったのが…2人はどんなBFに乗るんです?」
(まあ高機動機は無い。体がもちそうにないし。)
(それともう1人は…乗る機会がそもそもなさそう。もしかしたら両方だけれども)
- 163旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/15(木) 11:18:32
「えぇ、好きに食べてくださいね。私の故郷の料理ですので、コレも布教の一環というものです」
カフェを嗜みつつ、ナポリタンを待ちながら旧愛卿は微笑んだ。
除け者にするつもりはないが、しかしコレばかりはバディフレームの設計者としての思想に関わる分野である。
・・・・・
「戦略的意義を考慮するのならば、バディフレームの最大の利点はカスタム性である。というのは私も同意する所です。様々な兵種を駆使するインベイドと戦争を遂行する上では必須でしょう」
だからこそ、近接武装“だけ”が存在意義であるとの論説には不同意なのですが。そう続けて唇をカフェで濡らす。
クローンのような、遺伝子的多様性が少ない動物や植物が特定の疾病によって壊滅的被害を受ける事象は反面教師にするべきである。
その点で、“旧愛卿”は特定の何かを崇めるつもりは一切ない─────────『必要性』こそが重要なのだ。
・・・・・・・・・・・・・・
「本質的には優劣は存在しません。無数の重装兵級の砲撃陣地に軽量機を投入するのも、無数の騎兵級の隊列突撃の前に重量機を投入するのも、同じ程度には愚かなのですから」
・・・ ・・・
「そして、重装甲の専門家が貴女のように軽装甲を作れないのと同様に、貴女も重装甲の専門家と同じクオリティの重装甲は作れないでしょう」
軽量機の設計者に重量級の機体の制作を依頼するのは愚者が行う事だ。客を大事にするのなら、専門外の分野に下手に手を出すよりも素直に別の企業でもお勧めした方が良い──────旧愛卿はそのように考えている。
「あぁ、私が操縦するバディフレームはブレードとタワーシールドを装備した量産機ですよ。
この付近は大規模なインベイドの侵攻がないので大火力兵装は必要ではありませんし、農場への誤射の被害などを考慮すれば近接武装で済む分には其れで構いませんので」
- 164ラバー◆m3XwMsEekQ25/05/15(木) 11:48:45
わたくしの機体ですの?
よくぞ聞いてくださいましたわー!
【スイッチが入って目を輝かせる】
まずはどんな悪路でも突き進めるタンク足!スパイクもあって便利ですのよ!そしてあらゆる攻撃に耐える重装甲!とっても頼りになりますわー!
そして1番のセールスポイント!両腕に2つ!つまり四つ装備した武器腕のガトリングですの!1秒に200発を叩き込むことができますわ!……まあ3秒以上の維持はできないのですけれど
それからそれから〜!
【続々と機体の説明が連なっていく】
【一度フラペチーノで喉を潤していく】
なるほど、旧愛卿様の意見に納得ですわ
要するに多様性こそがBFの武器ということですわね
無数に存在する武器やパーツを自分好み、任務に合うようにカスタムしていくことこそ大事なのですわね!
- 165ニライニスト25/05/15(木) 12:25:24
- 166ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/15(木) 12:42:24
「まずい!?」
(合わせられた!!)
速射砲のぶれた弾幕に逃げを選択した蒼月へ追いついた瞬間に、右回し蹴りが目の前に襲いかかる。
蹴りを迂闊に受ければ姿勢が崩れる。青のビームサーベルで足を斬るべきか、迷って。
《ビームサーベル》
「!?!」
スイがアラートを鳴らす。蹴り以上に致死の攻撃が、返し刃で来る。
(二択、いや実質一択誘導……!!)
「!!!」
・・
ケイの選択は、わざと回し蹴りを胴で受けることだった。反応が追いつけなかったと偽装する。
蒼風改の胴体に深く、深く蒼月の右ふくらはぎ部分が衝突する。衝撃の瞬間を減速で和らげようとして。
「ぐ、ぅぁぁ!!」
半分は成功した。
胴体にぶち当たった蹴りの衝撃をなんとか和らげつつ。蒼風改は前方へ回転しながら、背部コア粒子推進機関を不規則に吹かす。
ビームサーベルが浅く胴体部を切り裂き、コーティングを焦がす。
しかし蒼風改が蹴りの衝撃で右手からビームサーベルを取り落としたことに、ケイは気付く。
「……っ!!ぐぅっ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
盾内部のカッター以外は近接武装を全て喪失したように見せた。
蒼月のビームサーベルの致死から逃れた代償は重い。そのまま下へ垂直に飛び、弾かれたように水平に戻す。左右に飛んで。次は蒼風改が逃げる。
試作電磁弾体加速砲を左ハンガーから曲芸で右腕に装備し直しながら、蒼月の機動に対して蒼風改は対応しきれていない。追いつけない。
ゲホ、とケイの喉が咳き込み、血液がこぼれた。ヘルメットがあるから拭えない。
牽制で一発を放つのが精一杯だった。
- 167旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/15(木) 12:43:31
- 168逆巻重工・実働部隊◆ECPjTIh3Iw25/05/15(木) 12:57:25
- 169東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/15(木) 13:04:14
- 170龍影◆9BZ6kXGcio25/05/15(木) 13:24:28
- 171ニライニスト25/05/15(木) 15:33:06
「レーザー系の技術は知らないから、特に何も言えないな…」
【まるでそれを知っていたらやっていたかの様に言う。だいぶ恨めしそうな声だ。】
「でも聞いた限りではBFに対しての効果は大きい…ただランス系とパイルバンカーはおすすめできないかな。重量・燃費がひどい上に装備させるのが片腕だからバランスも悪い、さらに対多数がかなりきつい…前に似た様なモノを使っていたけど、何となく付けてたパージ機構が無かったらBFが棺桶になってたよ…少なくともよほどの重装甲が必要、でもそれなら重火器でいい…難しいよね、コレ。でもその言い方からして、今は違う武器を使っていると見た…どういったのを使ってる?」
「…ラバーさん、私と話しませんか?話に置いていかれるのはいい気がしません。題材はそちらで決めて構いませんよ。」
- 172ラバー◆m3XwMsEekQ25/05/15(木) 15:38:06
- 173東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/15(木) 15:43:00
- 174旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/15(木) 16:08:08
「あぁ、なるほど。対多数での殲滅力の薄さ、それから重量と燃費の悪さが問題であると──────個人で活動する独立傭兵には不向き、というのは私も同意ですわね」
届いたナポリタンをお皿に分配しながら、旧愛卿は苦笑した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
対多数なぞ其れが得意な機体に任せれば良いというのが、一定の兵数を揃えられる大企業の正規部隊のドクトリンの一つだ。
それこそ「ゴエティア戦団」が最たる例であろう。アレらは各々が得意分野で相方の苦手分野をカバーする形で基本的には運用されるから。
「両腕に装備すればバランスは取れるのでは?一撃必殺が主な用途ならば、燃費の悪さもマシかと。
………………というよりも、基本的に近接装備は大規模な殲滅には向いてないのでそこは役割分担が主になりそうなんですわよねぇ」
それこそ無人戦闘随伴機である『UNBF』の技術が発展すれば、物量は彼らに任せてしまうのも可能になるだろう。
二足歩行種のインベイドについての報告も存在している。謂わゆる『ボスキラー』としての役割で市場のシェアを拡大する構想を、旧愛卿は考えていた。
「しかし燃費の問題は克服するのが難しいですね。『テスタメント』に試作モデルの依頼をしてみる、としてもそもそも『カートリッジ』システム自体が巨大なので………………パイルバンカーというよりも両手持ちのドリルみたいになる予感がしてしまいますわね」
- 175ニライニスト25/05/15(木) 16:41:53
- 176旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/15(木) 17:01:30
・・・・・
「武装の重量に依りますわね」
フォークでナポリタンを絡め取って、美しい所作で口元に運びながら旧愛卿は断言した。
蒼色に染めた髪を頸に回し、艶やかな白い肌を覗かせて微笑む。
・・・・・・・・
「『何でも斬れる火力』が必要になるのは、相当の重装甲を有する機体でしょう。そうなりますと積載量も多く、重火器類による制圧射撃が予測されますので─────どうやって其れを乗り越えるのか、が課題になりますかと。その要素の一つとして重量に興味がありますわ」
眼前の全てをブッタ斬る為には、何よりも先に眼前まで敵を捕捉しなければならない。
軽量機で急接近しての必殺を目論む場合は、重量は大きな考慮要素になるであろう。
そう言葉にしてから、旧愛卿は少し考え込んだ。
(……………パイルバンカーにロケット推進機関も仕込んで、自己加速機能も付与した方が良いかしらね?有効射程も増えますし、単純な火力の増加にも繋げ易いですから……………)
振るという動作が必要な刀剣類とは違い、突撃からシームレスに攻撃に繋げられるパイルバンカーとの相性は悪くない─────気がする。
燃費は更に悪化するだろうから、一度きりの切り札のようになる可能性もあるが。
- 177ラバー◆m3XwMsEekQ25/05/15(木) 17:55:05
どんな方か、会ってみるまでその方の本来はわかりませんもの
いつか会ってみたいですわね……美味しいですわ〜!
【ナポリタンに舌鼓を打ちながら質問の回答を考える】
尊敬する人……やはりお父様とお母様ですかね
NAに所属しているのですが、今のわたくしがいるのもお二人のためですから
ノーディス先輩?いったいどのような方なのでしょう……気になりますわ!
- 178逆巻重工・実働部隊◆ECPjTIh3Iw25/05/15(木) 18:15:57
「よし……出口だ!!」
何度か疲労限界を考えて前衛を複数回交代した後、セイドウが一番前に立った頃に出口が見えた。
外へと抜ければ、メイツーやミハエルらが守りを固める甲板に出れる。
「ミドリマ補佐官、望月を救出した!」
『良し……簡易補給所をマークします!龍影さんとセイドウ、ハザマ、シズクとサミダレは一時後退で補給を受けて!』
データリンクで補給と修理が受けられる野戦修理場がマッピングされた。
後はそちらに向かえば、修理と補給ができるだろう。
――――空では未だ、”再来”と”後継”が互いを削ってぶつかりっている。
『……いつゴエティアが出てきてもおかしくないわ。全機急いで!』
ミドリマは各個撃破のため、甲板を守れる位置にいるパイロット以外には補給を受けるよう指示した。
- 179二次元好きの匿名さん25/05/15(木) 18:33:25
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- 180ノイン◆fDey8JUvvk25/05/15(木) 18:36:29
【蒼風改の胴体に深く、深く蒼月の右ふくらはぎ部分が衝突する】
(捉!)
【崩れたところ。望む動きをできたものとできなかったものの硬直の差を利用し、前方へ回転する蒼月改へビームサーベルを切り上げる】
【切り上げたビームサーベルは『浅く胴体部を切り裂き、コーティングを焦がした』だけだ】
「んん……んんんん!!!」
【ケイ・サヤギリの苦悶の声を聞きながら。脳内に警告のメッセージを流し込まれながら。曲芸をする暇があるのかと問いかけんばかりに真下へ。左へ。左へ右へ右へ右へ。】
(そこが、貴方の限界か)
【牽制の1発を掠らせながら。墨の目と鼻から赤いものを垂れさせながら。】
【少なくともこの局地戦においてはノインは完全に体の性能で優っていることを確信した】
「だが!!」
【ノインの左手がアラーム・リセット・ボタンを叩き】
【過負荷。過熱。損傷。コア粒子残量。雑多な警報を黙らせる】
(限界は超えてくる)
(その上で、振り切るだけだ)
【墨と蒼の目は目の前のBFと少年をただただ見据えて】
(行こう、蒼月)
【最後の突撃を敢行する】
「は、ああぁぁあああああ!!!!」
【先ずは右膝蹴り。先に蹴り入れたところを寸分たがわず抉ろうとする】
【右に注目を集めたところで左脚はロー・キック。飛翔するBFの体幹を確実に刈り取ろうとする】
【戻って右脚。折り曲げていた右脚を伸ばして蹴り上げその勢いのまま宙返り】
【背を向けたところで蒼月最大のコア粒子推進機関。背部のそれからコア粒子の噴射を、青色を浴びせつつ転回も開始】
【宙返りと捻りを合わせた3次元的な軌道で振り向きながらビーム・サーベルを刺突し】
【最後の1手。腕だけでサーベルを切り払う】 - 181ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/15(木) 19:18:14
(1/2)
「はぁ、はぁ、はぁ……っ!!ぐ、ぅぅ!!」
荒く、しかし呼吸を整えようとしながら。ケイは向かってくる蒼月を睨む。
次の突撃が来る。
・・
(相手の動きは――――六手!!)
義体としての強み。そして機体を活かした動きをするはずだ。
ただの人間として動いては勝てない。
限界を超えるしかない。それも、踏み越えてはいけないラインを超えて。
だが全てを捌くのは無理だ。見極めなくては――――!
「――――来いっ」
気を入れたところへ蒼月が、来た。
右膝による蹴り。損傷箇所を抉るための動き。/蒼月一手目。
同じく蒼風改を右側面に回り込ませる。/返した。
左足のローキック。こちらの脚を刈り、姿勢を崩しに来る。/蒼月二手目。
「ぐ、ぅぅぅ!!」
受け入れた。ゴッ。という音と共に視界が回る、姿勢を戻すのではなく、無理やりメチャクチャにする。/返して……
蒼月が右を戻した脚で蹴り上げ。/蒼月三手目。
メチャクチャに回転をかけながら、右盾で無理やり受ける。なにかが上に飛ぶ。/返――――
「っっっ後ろっ!!」
衝撃に耐え、腕がカチ上がる。姿勢制御を取り戻す。蒼月が消える。予測で振り向く。相手の宙返り――――背後!!/蒼月、四手目。
- 182ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/15(木) 19:22:14
(2/2)
「―――――!!!」
ビームサーベルの刺突。/五手。
背後から刺される。
(終わる)
直感した。このままでは、どう足掻いても自分は落ちる。焼かれる。/返せない――――。
――――本当に?
「こ・こ、だァ!!!!」
《脚部及び、胸部小型コア粒子推進機関、推力上限解除……!》
重音が重ね合わせで、一気に響き。蒼風改が背部コア粒子推進機関だけではなく、左脚を曲げて推力に変える。
・・
左胸部を強く、右胸部を弱く吹かした、全ての先行入力を――――待機させていたのだ。
上半身を捻り、蒼月の刺突を背中へと加速で振り切る。/返した!
腕だけでの、切り払いが、彼女の六手目。このままでは背中から切り裂かれる。だから。
「ぅぅうううああアああ!!」
背部を含めた全ての推力を最大値まで引き上げる。機体頭部一つが埋まるか埋まらないかのギリギリを、蒼月のサーベルが掠めた。
バク宙の要領で蒼月の切り払いを躱し、減速を加速を組み合わせて綺麗に上を取る。
相手が僅かに上に動けば衝突し、互いにクラッシュ――――そんな無様を晒す人ではないと知っているから取れる、危険ラインを攻めた。
・・・
そして蒼風改がロールしつつ、右手に赤い柄を、綺麗に収める。初期型のビームサーベル。
――――望月から受け取った、ビームコーティングを切り裂くように作られた規格外品!
三手目を盾で受けた瞬間に、上に排出させていたのだ。
・・・
「七手目だア!!!ノイン!!!」
ケイが叫ぶ。蒼風改と正反対の赤が発振されて、蒼月の背後に回った蒼風改が、横薙ぎに刃を振るった。
”撃墜王”でもなし得なかった、『七手読み』だ。
- 183第一工廠◆OXAm1h6odk25/05/15(木) 19:23:30
────────────────賢工グループが保有する生産施設の中でも、最大規模のプラント。
““陸上戦艦””という鋼鉄の巨獣を建造する事を可能としたのは、即ち““陸上戦艦””以上の規模を誇る超巨大工業都市に他ならない。
だから、逆巻重工によって宣戦布告が行われた後も直ぐに対空迎撃体制が整えられて。
「何だ、コイツらは──────ッ!?」
全く予想もしていない大規模な戦力により、呆れる程の大攻勢に晒されていた。
『テスタメント』
逆巻重工による賢工グループへの宣戦布告から十二分後に賢工グループに企業間抗争を宣言。
『ローガン工機』
逆巻重工による賢工グループへの宣戦布告から三十五分後に賢工グループに企業間抗争を宣言。
『ミュール・コーポレーション』
逆巻重工による賢工グループへの宣戦布告から四十一分後に賢工グループに企業間抗争を宣言。
『紅陽機関』
逆巻重工による賢工グループへの宣戦布告から七十二分後に賢工グループに企業間抗争を宣言。
『アトリエ“バーテックス”』
逆巻重工による賢工グループへの宣戦布告から百二十分後に賢工グループに企業間抗争を宣言。
──────────────逆巻重工の実働部隊が、軌道降下によって接近不可能の難攻不落の機動要塞であると思われていた““陸上戦艦””への揚艦に成功したという報を受けた、彼らは次々にその旗色を明確にした。
・・・・・・
勢いに乗じたハイエナ─────────そう思わせて、五つの企業は兼ねてよりグランセン解放戦線と策定していた入念な侵攻計画を実行に移したのである。 - 184第一工廠◆OXAm1h6odk25/05/15(木) 20:02:46
「第一航空打撃群はどうした!?対バディフレーム砲台は何をしている!?」
「だ、第一航空打撃群は上空からの攻撃で全滅しました!兵舎への攻撃です!宣戦布告する前に何処かの企業が攻撃を仕掛けたとしか…………!」
「───────そんな事は聞いていない!月風を仮想敵として対空防衛網を敷いていた筈だろうが!索敵部は何をしていたのだ!」
ステルス機能を備えた〈ガサル・ドゥーラ〉の電撃的奇襲によって、第一航空打撃群のパイロット達は機体に乗る間もなく皆殺しにされた。
降り注ぐ粒子ビームの雨は、その余熱だけで人体を燃やし尽くすには十分である。
その混乱に乗じて、都市内に浸透した〈ドゥール・バ〉もまた履帯による優れた地上走行能力によって管制塔を次々も襲撃。前線と司令部の繋がりを意図的に断裂させていった。
─────────しかし、賢工グループにとって何よりも予想外だったのは都市外縁に対する極めて熾烈且つ激しい攻勢であろう。
「第三次防衛線、突破されました!既に『ローガン工機』と『紅陽機関』の重装BFが第四次防衛線に総攻撃を行っております!」
「馬鹿な!どんな手品を使った!?何故互いに争わない!?」
当初、賢工グループは“ハイエナ”同士の潰し合いに勝機を見出していた。
敵は企業の実働部隊。つまり、自社製品への理解が深く。またカスタムを施したBFが与えられる精鋭である。
しかし違う企業に所属して、且つ同じ目標を求める以上は互いに牽制し妨害しながら突っ込む筈───相手が自滅するまで耐え凌いで、戦力が削れた隙に反攻に移れば防衛は可能だと考えていたのだ。
結果として、所属の異なる機体を駆る彼らは完璧な連携を見せていた。
・・・・・・
────────共謀している。そう気付いた時には既に通信塔は〈ドゥール・バ〉による激しい攻撃を受けて破壊されており、また通信妨害によって誰とも無線では連絡を取れない有様となっていた。 - 185龍影◆9BZ6kXGcio25/05/15(木) 20:05:37
ピンの打たれた地点に飛ぶ。誘導が見えた。
誘導灯に従いながら簡易滑走路に近づき、足を突き出して着地に備える。
滑走路に足が触れた途端望月は膝から崩れ落ちるように倒れた。その時に散ったスパークで装甲表面に付着していたナパームゾルに引火する。
「コレって確か…整備長!ナパームフレイムだから粉末膨張剤!」
『聞いたなお前ら!まずは消火だ!かかれ!』
ヤマト達は消火剤を手に取り駆けつける。
火は消せれたが状態が酷い。
『おい王!予備の廉月に乗り換えろ!望月は整備程度じゃどうしようもないぞ!』
望月を膝立ちにさせてから、コックピットの内側から叩き上げるように緊急ハッチを開けて龍影は這い出てきた。
「コックピットはどうなのそれ!」
『コックピットがぶっ壊される想定なんかしてないからんなもんねえ!』
「無茶を!」
『チャオレンで出来てたんだ!無理とは言わせねえ!』
「なら期待はぼちぼちぃっておわァァ?!」
膝立ちをしていた望月の上半身が前方向に傾き、上部装甲で待機してた龍影は転げ落ちる。
ガゴン!
生身が落ちたとは思えない落下音を出す。
【姐さん!】
整備士達が駆けつける。
「いったぁぁ…」
叩き付けられた仙骨付近をさすりながら立ち上がる。
「大丈夫大丈夫。台ちゃん達の整備に戻って。」
駆けつけた人員を持ち場に戻るよう促す。
- 186ノイン◆fDey8JUvvk25/05/15(木) 20:08:03
(1/2)
【1手目。右膝による蹴りが躱されたのは想像通りだった。】
【2手目。ローキックを受け姿勢を戻すのではなく、無理やりメチャクチャにするのも想像の範疇だった。】
【だから3手目。立て直す前にさらに崩す。右盾を蹴り上げた。だが正面からは仕掛けず。】
【4手目。相手の下を潜り抜けながら転回。背後を取る。】
【5手目。どう足掻いても蒼風は捉えた。焼ききる/返せまい――――。――――いや、まだだ。】
【蒼風改が背部コア粒子推進機関だけではなく、左脚を曲げて推力に変えていく。】
【刺突が振り切られていく。】
【その前に出ていく一瞬へ、サーベルの出力を引き上げ刃を伸ばす。】
【あとはそれを振り切るだけだ。6手目。】
「な………!!!」
【斬ったのは空だけだ】
【蒼い光が。自分の物ではない青い光が。そして白い機体が蒼月の上を行く】
・・・
「七手目か!!」
【蒼風改の右手に赤い何かが綺麗に収まっていくのが分かる。いつだ?3手目だ。蒼月とノインの消耗はあろうことかそれを見落としていた】
・・・
『七手目だア!!!ノイン!!!』
【腕が戻らない、いや戻すには時間が足りない。転回も。ダメだ。最速でも間に合わないと200に割った内の1秒で結論が出る】
【赤が発振されるのが見える。】
(そうか、私は、ここで……)
- 187ノイン◆fDey8JUvvk25/05/15(木) 20:12:26
- 188第一工廠◆OXAm1h6odk25/05/15(木) 20:24:47
『第四次防衛線、突破完了』
『弾薬が不足している。人員交替の時間だ』
『敵BF8機。アサルトライフル、それからショートミサイルを装備────訂正。今6機にした。我々ミュールが仕留めよう』
至って単純な戦術である。
均一な品質の弾薬類を武器とする『ローガン工機』に所属する実働部隊がロケット弾及び高速徹甲弾を防衛線に叩き込み、脚部パーツで名を馳せる『紅陽機関』が重量四脚のホバリングユニットを装備した機体の質量と速度で防衛線を圧迫する。
『テスタメント』に所属する機体はチャージランスによって推進は短時間ながらも極めて高い貫通火力を『カートリッジ』の補給によってコンスタントに叩き出し、『アトリエ“バーテックス”』の古強者は特注の対建造物用スナイパーライフルを持ち出して砲台を次々と破壊して制圧する。
『ミュール・コーポレーション』の実働部隊も、対BF用に調整された機体装甲の上からでもパイロットを感電死させられるパルスショットガンを担ぐ重装BFで効率的な殺戮を繰り広げていた。
『───────待て。其方に巨大兵器が接近している。注意されたし』
『我々のホバリングユニットでも拮抗は難しいか』
『恐らくは、だが。しかし巨大陸戦兵器か、久しく見ていない類いの兵器だ』
熟練のパイロット達によって行われる蹂躙を何とか阻止する為に、防衛側も隠し札の一つを切った。
計六つの大型コア粒子推進機関を組み込み、戦場を亜音速で駆け巡りながら二十門にも及ぶ重機関砲によって総てを薙ぎ払う醜悪な恐竜的進化の果ての超巨大重戦車。
“ジュデッカ”の名を冠する最終防衛線兵器である。 - 189ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/15(木) 21:13:41
(1/2)
「あ、は、はは!!はははは!!」
ケイは笑った。蒼月の右ウイングバインダーが、弾けるように炎を出したから。
――――意識的なものか、否か?いや、そんなことは関係ない。
確かなのは、通常以上の運動エネギーによって蒼月は旋回しきったこと。
七手目は、返された。
『終わるものかッ!!』
「そうだよなァ!!アンタは、終わらないよなァ!!」
そして自分の赤に、ビームサーベルをぶつけ合わせたこと。
ケイは限界を超え、ノインはノイン自身の限界を超えた。叫びあう。
・・・・・ ・・・・
蒼風改へ託された赤と、蒼月を照らす青がぶつかって反発し、白いスパークを生む。
『これが私だ、私のすべてだ!』
・・・・・
「ああ、分かる。分かるよ!全部受けてやるから!俺の全部を受けてくれ!!」
限界の先へ押し込もうとする蒼月に応える。蒼風改の推進機関全てを前進に向けて、押し込む。
警報は全て聞こえてはいない。視界の半分が、赤に染まった。限界を超えた影響で、左の目蓋から血が溢れる。
ケイの目は、煌々と青に光っている。楽しくて、仕方がない!!
- 190ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/15(木) 21:16:59
(2/2)
・・・
「行こうぜ。八手目……!!」
赤いビームサーベルからバチンとコア粒子が弾けて、蒼風改の左側バイザーを焼いた。
モニターの半分にノイズが走る。
けどそれはもはや障害にすらならない。止まらない。
命尽きようと止まりたくない――――!!!
全盛期の“撃墜王”を模したノイン。 老いた“撃墜王”に育てられたケイ。
ケイにとってそんなものはどうでも良かった。ノインだけを見ていた。
“再来”と“後継”が、仕切り直さず。前代未聞の『八手目』へと望む瞬間に。
『撃墜王の、先へ進むのは──!!!』
「爺ちゃんを、超えた先に――――!!」
共に行こう、と。
蒼風改のバイザーアイが光る。わざと一瞬押し負けたあとサーベルを押し込み、切り返して。
バインドが外れる。
「アアアアア!!」
相手に合わせて振るったビームサーベルが、ケイの八手目。
右関節がショートして動きが遅れたが、構わなかった。そのまま……振り切った。
- 191第一工廠◆OXAm1h6odk25/05/15(木) 21:21:13
──────────対応は極めて迅速であった。
ヅィィィィ、と鋭い音を響かせて。対建造物用スナイパーライフルが放つ徹甲弾が空を切り裂いて駆け抜ける。
“ジュデッカ”本体ではない。履帯を狙撃して、絶大な質量が一気に地盤を凹ませて足が止まる。
まだだ。強引に大型コア粒子推進機関に火を灯して無理矢理に──────躯体が沈み込むよりも疾く駆け抜けようとする。
しかし僅かに足を止めた隙に、パルスショットガンを装備した軽量機が飛び跳ねるようにして機体背後に回り込んで引き金を引いた。紫電が弾けて、大型コア粒子推進機関の一つが破壊される。動力のバランスが取れずに“ジュデッカ”の軌道が円を描く。
軽量機に対して、確実に屠るべく“ジュデッカ”が重機関砲よりも面制圧射撃を繰り出す─────命中するよりも前に、突き進むロケット弾の爆発が離脱の時間を稼いだ。
追撃に移ろうとした“ジュデッカ”の視界を誘導ミサイルの爆煙が覆い隠す。重量級ホバリングユニットを装着したBFが、遠慮なく一瞬だけでも意識を走行から外した陸戦兵器に背負った無数の誘導ミサイルを叩き付ける。
その隙に紛れて距離を詰めた四つの機体が、同時に四方向から同一の武装を“ジュデッカ”に突き立てた──────『テスタメント』製のチャージランスが、速度に見合った多大なる衝撃を“ジュデッカ”に与えてスタンさせる。
一時的とは言え、完全に動きを止めた超重戦車からチャージランスを手放して機体が一切に飛び退く。
瞬間、成層圏を巡航する機体より直下に放たれた大口径粒子ビームが“ジュデッカ”を縦に切り裂いた。
『…………弾薬と武装を多く消費させられた。他の企業が駆け付ける前にさっさと壊滅させるぞ。そうでなくては怪しまれる』
淡々と、然れども大きな犠牲なく倒せた事に安堵の想いを懐きながらテスタメントBFを駆る、元グランセン王立陸軍中尉は合同部隊に号令を下した。 - 192◆KPwoT407kA25/05/15(木) 21:21:43
【────────これはあくまで“前哨戦”である、シュヴェルトライテの打ち出した予測だ。この場にいる敵側の特記戦力を“たった一機”で拮抗させられていたとしても攻めきれない理由が、そこにあった】
・・・・・
…行かせないっ!!!!!!!!
【この戦いは初めから対等などではなく】
【つまるところ“待っていた”のだ、再来が己の全力を、眼前の敵に全て回さねばならないこの状況を。得手とする反射を全く活かせないこの状況で、補給を済ませた白銀の戦乙女は推力を喪失した蒼月の右スラスター目掛けてワイヤーアンカーを打ち込んだ】
【どれだけ早く動こうと、こうしてしまえばもう関係ない】
はじめましてで良いのかな!こないだ貰った伝言、あたしにも返さないといけないものがある!気を使ってくれたのは嬉しいけど…!
────────あたしはあれが最善だったなんて認めない!
【本来であれば別の試作機パイロットか…最悪、トドメのアテはあるのだからヴァルキリーに任せても良かったこの役目を、マルタは自ら志願した。伝えたいことがあったからだ】
もっとやりようがあったんじゃないかって一生迷ってやる!
それでも進み続けるんだ…!あたしが!そうしたいから!!
【最新鋭機由来の膂力が、蒼月を強く引き寄せる。そのまま陽電子ランスを起動】
(取った!これで殺せ───────
───────────違う!“直感”に飲まれるな!あたしの敵は…あたしが決める!)
【…………することは、なかった。ロスヴァイセはただ、撃墜王を彷彿とさせる2機の決闘に、茶々を入れるだけに留まった】
- 193東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/15(木) 21:30:47
『言うても葉桜は動けるようにしたし...
うん、アイツに文句言うか』
くるりと単身方向転換すると、
三度丸鋸の回転を激しくさせ始め
ある場所へと葉桜を駆り立てる
『久しぶりやなァ、お前ら...!』
今の葉桜はあくまで動けるようにしたのみ、
故に持っている飛行機能だけでは届かない
ならばどうするか。それは強引な結論だった
『すまんな、不意打ちで仕留めるんは
ウチも不本意やけど...ここで止めんで!』
・・・・・・・・・・・・・・
ミサイルに機体を接続した状態で、
ブースターの勢いに乗って接近し...
『─────これで、終わりや!』
コックピットを傷付けないギリギリで、
丸鋸が鈍い音を立てて蒼月を両断した
- 194ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/15(木) 21:46:13
- 195考える人◆xZJxX8ZGsA25/05/15(木) 21:47:05
(死刑、ね。決まるのが早すぎる。カンナちゃんが間に合うと良いんだけど…)
【黒紫のヘッドホンを付け、青いロビーベンチの上で横になりながら欠伸を噛み頃す】
【ユスラのお昼寝タイム。知る者は全員がサボリとして認識している行動だが、それは半分当たりで半分外れている】
(…出たのは、複面と刃狼。そういえば刃狼はG-3コロニー戦でも居たか。それと、侵食級でも)
(複面は…相変わらず目立った履歴が残ってない。まぁ受けるとすれば奪還の方だけか、襲撃も受けたとして援護までかな)
【集積した情報の統合や考察、そこから未来予測を立て、今後へ向けた一人作戦会議。凡そお昼寝とは正反対の頭脳労働にも、この時間は使われていた】
【今日の議題は、ケイ・サヤギリと逆巻重工についてだ。奪還が失敗した場合、彼の英雄を…人自連の裏切り者としてでも、ユスラは保護しなければならない】
【彼がそれを望もうが望むまいが関係なく、約束を果たす為に】
(大型戦艦が動いてる可能性も見える、報復の好機で黙ってる連中じゃないし納得…だけど…)
【巨獣を動かすための餌が集められている傾向が見えることから、人自連の保有する大型陸上戦艦が動いている可能性は高いとユスラは推測している。しかしそうなると、コロニー防衛の必要が生じる。そうなれば死刑の執行までにケイの奪還を行う事は非常に難しくなるだろう】
【無論、巨獣がコロニーを陥落させるとは思っていない。しかし打撃は間違いなく大きくなるというのも確かだ。それは戦争の火蓋となるし、そこで英雄の裏切りなどというゴシップが大々的に公となれば、炎がどれ程大きくなるかは想像もつかない】
「たーたたーたーとぅーとぅーとぅーとぅとぅー」
【最善を尽くすしかないが、この状況で最善なんてあるとすれば逆巻重工の奪還成功だけだ。失敗するとは思えないが、どうしても悲観主義に陥り易いユスラは鼻歌でそれを誤魔化すことしかできなかった】 - 196ノイン◆fDey8JUvvk25/05/15(木) 21:51:53
(1/2)
【バインドが外された。切り返される。】
(分かる、あなたの呼吸が!!)
「はは!!はっ”!!」
【絞り出したように哄笑する。限界を超えた先に義体すら不調を零し始めた】
【伝達が僅かに遅れる。八手目。ビームサーベルのタイミングはピッタリと合い、またバインド。赤と青。互いに燃え尽きるまで終わらないような交わりが繰り返されようとして】
【しかし、そうはならなかった。蒼月が崩れる。】
(推力が落ちたのではない!引かれているんだ!!)
【声が聞こえる】
『────────あたしはあれが最善だったなんて認めない!』
『もっとやりようがあったんじゃないかって一生迷ってやる!』
『それでも進み続けるんだ…!あたしが!そうしたいから!!』
「そうか」
【最後まで聞いていた。】
【熱狂の時間は終わりだ。覚めていく。蒼月のコア粒子機関の高音が消えていく。】
【確かな『人』の声が、ノインを絡めとり。推進力を失いつつある蒼月を捉えて引き戻す】
「大変だぞ?」
【優しい声がした】
「……しか、し、最後は……」
(あなたが、ここまで飛んでくるとは)
【蒼月に丸鋸が食い込む。鋸の音がコクピットまで響く中、ノインはもう抵抗しなかった】
【蒼月もまた、その意を組んだかのように、コア粒子をすべて使い果たしていた】
【両断されながらも誘爆を発生させることなく下半身が落ちていく】
- 197ノイン◆fDey8JUvvk25/05/15(木) 21:52:51
- 198東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/15(木) 21:59:31
- 199ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/15(木) 22:09:11
終わりのない戦いを止めてくれたのは、シュヴェルトライテと葉桜だった。
『────────あたしはあれが最善だったなんて認めない!』
『もっとやりようがあったんじゃないかって一生迷ってやる!』
『それでも進み続けるんだ…!あたしが!そうしたいから!!』
『そうか』
「――――そう、だな」
彼女の機体が打ち出したワイヤーによって引かれた蒼月を見て。す、とケイの中の熱も引いた。
迷いながら進む。それができれば……きっと誰もが道を開くことができる。
『大変だぞ?』
「大変だろうけど……皆で喧嘩しながら、行けるんじゃないかな」
ノインの優しい声に乗せるように。聞いたことのある誰かの声に、ケイも言葉を乗せた。
「きっとそれは、楽しいよ……ゴホッ」
肯定を返して。同時に、ケイも限界が来た。咄嗟にヘルメットのバイザーを上げて、咳き込む。止まらない。
「ありがとう……台、さん」
丸鋸で蒼月を切断する葉桜を見た。ああ、自分がやりたかったという気持ちと一緒に。彼女たちに止めてもらえてよかったという気持ちのほうが、大きかった。
『すまないな、ケイ。私た……ゲホッ。たちにはまだ早いらしい………』
「そう、だ、な……ごひゅ、げ、ぅ゛っ……!」
頑張りすぎるとこうなる、と。ケイも笑った。口の中も何もかも血まみれだ。
「……またやろう、ノイン。今度は、八手目より先に」
敵でも味方でも、受け入れるよと。笑った。そのまま、蒼風改も力尽きるように落ちていく。なんとか姿勢制御は――――できるはずだ。
「修理と……補給、しな、きゃ……」
限界を超えて、気絶しかけながら考えたのは、次へ備えなくてはという少しの虚しさと期待。もっともっと、皆となら――――その考えが、残滓になっていた。
- 200マルタ◆KPwoT407kA25/05/15(木) 22:10:24