【ファルトレ♀】重大発表、しちゃいます☆

  • 1二次元好きの匿名さん22/04/01(金) 01:25:52

    「トレーナーさん、重大発表があります」
     いつになく神妙な顔のファル子。どうしたのかと聞いてみれば……。
    「私、スマートファルコンは――」
     ひとつ息を吸い、覚悟を決めたようにファル子が続ける。
    「演歌系ウマドルになりますっ!」
     突然の宣言に私はすっかり驚いて返事をするのも忘れてしまい、トレーナー室が静寂に包まれた。
     少しして、落ち着いた私が当然の疑問を口にする。
    「……どうして?」
     あまりにも急すぎる。
    「ファル子、演歌の素晴らしさに気づいたの。ほら、覚えてる? 温泉旅行の時のこと。宴会で演歌を歌うみんなの顔、すっごくキラキラしてた……。あの時、ファル子の求めてるものって、ここにあったんだ……って気づいたの」
     温泉旅行、といえば……福引で特賞を当て、ファル子とふたりで行ったあの旅行のことだろう。あの時、ファル子は慰安旅行に来ていた団体の宴会に飛び入り参加したのだ。そこで歌ったのは温泉ソングメドレー……普段のウマドル活動の時のような、ポップな曲調のものばかりだったのだが……どうやら、参加する前に宴会を賑わせていた演歌に強く惹かれたらしい。
    「わかった。ファル子がそうしたいなら、私は全力で応援するよ!」
     ファン一号として、彼女のトレーナーとして。夢を応援するのが私の仕事だ。突然のことで驚きはしたが、私のやることは変わらない。これからも隣でファル子が輝くための手伝いをし続ける。
    「……っ。トレーナーさん……!」
     ファル子は少し驚いたような顔をして、またいつもの笑顔に戻る。
    「それじゃあ、聞いてください! ファル子の初めての演歌ライブ! 最初の曲は――」

  • 2二次元好きの匿名さん22/04/01(金) 01:26:07



    「――以上! ファル子のぶっ通し☆こぶし☆演歌メドレーでしたー!」
     ファル子は、普段とは違うこぶしの効いた歌声でいくつもの演歌を歌ってみせた。ウマドルらしくダンスも交えたその力強いパフォーマンスは、まさに圧巻の一言に尽きる出来だった。
    「とても良かったよ!」
     心から賛辞の拍手を送る。顔一パイに笑みを浮かべるファル子の額の努力の証が、いつもに増して輝いて見えた。
    「……っと、もう午後だね」
     言われて時計を見てみれば、針は既に12時を示す場所を通り過ぎている。どうやらファル子のライブに夢中で時間を忘れていたらしい。
    「午後になったから、ネタばらし☆」
    「えっ?」
    「ファル子は……演歌系ウマドルにはなりません! エイプリルフールの特別ライブでした☆」
     そういえば、今日は4月1日……エイプリルフールだ。エイプリルフールのジョークにまでウマドルとは……なんともファル子らしい。
    「でも、さっきのライブはすごく良かったよ。今日だけなんてもったいない」
     これまでの努力がはっきりとわかる、素晴らしいステップと歌声。これを一度だけで終わらせてしまうにはどうしても惜しい。
    「えへへ……最初はほんのちょっぴりだけ歌う予定だったんだけどね。練習を始めるとファル子のウマドル魂に火がついちゃって……☆」
     ……もしかして。
    「そのせいで最近ちょっと勉強がおろそかになってたの?」
    「うっ……」
     トレセン学園は文武両道を重んじる学園だ。補習のせいでトレーニングの時間が無くなっては困る。
    「ファル子のウマドルとしての努力は素晴らしいけど、学生なんだから勉強もしっかりしないと」
    「う~……謝意っ☆」
    「……仕方ない。今日は予定もないし、一日中付き合うよ」
    「ホント!? うれしいーっ! トレーナーさん、ありがとー!」
     コロコロと変わる彼女の表情がとても微笑ましい。これからも彼女の笑顔を見るために、ずっと彼女の夢を支えるために、私はできるだけの努力をし続けよう。

  • 3二次元好きの匿名さん22/04/01(金) 01:26:13



    「……そういえば、トレーナーさんは何も嘘つかなかったね」
     勉強も一段落ついたころ、ファル子がそう切り出した。
    「そもそも私はエイプリルフールの存在を忘れてたからなぁ……。まぁ、覚えてても特に何もしかったと思うけど」
    「えっ、どうして? せっかくの一年に一度のイベントなのに?」
    「そう言われても嘘なんて急につけるものじゃないよ」
    「例えば……『ファル子のこときらいー』とかでもいいんだよ? それなら絶対嘘ってわかるし」
    「言わないよ」
    「えっ?」
    「私は、嘘でも絶対にファル子が嫌いだなんて言わない」
    「トレーナーさん……」
     それだけは絶対にないと即答できる。だって私は……ファル子の『ファン一号』なのだから。
    「……そっか、あなたは、そんなにも――」
    「ファル子?」
    「気にしないで、ひとりごとっ!」
     その日はずっと、どこか機嫌のよさそうなファル子の勉強を見たのだった。

  • 4二次元好きの匿名さん22/04/01(金) 01:28:45

    良SSありがとー☆

  • 5二次元好きの匿名さん22/04/01(金) 02:09:02

    いいSSだぁ

  • 6二次元好きの匿名さん22/04/01(金) 02:17:08

    まぁ...100点ってところかな...😇

  • 7二次元好きの匿名さん22/04/01(金) 02:17:55

    応援ありがとー⭐️

  • 8二次元好きの匿名さん22/04/01(金) 05:24:17

    ファルトレ♀は良い……

  • 9二次元好きの匿名さん22/04/01(金) 05:34:25

    いいじゃないの

  • 10二次元好きの匿名さん22/04/01(金) 05:45:23

    SSありがとー☆

  • 11二次元好きの匿名さん22/04/01(金) 07:18:25

    謝意っ!!朝からいい物見れたー!ありがとー!

  • 12二次元好きの匿名さん22/04/01(金) 17:42:24

    ファルトレ♀流行ってほしゃい☆

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