- 1二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 08:57:24
- 2二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 08:58:04
スレ画はその一例。
- 3二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 08:58:09
VACならともかくコジマやコーラルが関わってるのはあかんでしょ
- 4二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 09:04:45
【牙を拾った日】
本編の一年ぐらい前
シロコ「ん、スクラップ業者のおじさんのバイトしに行ってきた」
ホシノ「お疲れ、シロコちゃん。ところでそのトレーラーは?」
ノノミ「あと、何か機械みたいなものを載せていますが…」
シロコ「ん、スクラップヤードに兵器の残骸があって、その中から持って帰ってもいいものはあるかどうか聞いたの。で、それを貰ってきた」
ホシノ「うへ、この前の勝手に盗んできたのから随分と成長したなぁ」
ノノミ「それで、どうするんですか…?」
シロコ「ん、ちゃんと使える様にする」 - 5二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 09:08:16
コジマは…まずい…
- 6二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 10:27:57
ノノミ「ある程度、パーツはアルバイトの合間に拾ったりして集まりましたが…これ、確かカイザー・グループが販売し始めているという機動兵器ですよね…」
シロコ「ん、それを私たちも使える様にする。足りないものもアルバイトで稼いだお金で買えるし、何より最近は抗争とかデカグラマトン?って奴との戦闘で結構な量のスクラップが出ているから、至る所で拾えるって廃品回収業者のおじさんが言ってた」
ホシノ「どうりで最近、見回りをしている最中に変な兵器の残骸を見るようになった訳だね…」
シロコ「それと、実はこれにつける名前も決まってるの」
ノノミ「名前、ですか…?」
シロコ「『デサート・ファング』…砂漠の牙って意味だよ」
- 7二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 10:31:24
マルクトお姉様がアイビスシリーズっぽい
- 8二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 10:41:15
一年後 アビドス自治区
シロコ「準備よし。行こう」
???「キュルル…」
シロコ「ん?…ああ、バルチャーか。そういえば今日は『ファング』に乗って帰ったんだっけ。見回りをしつつ登校しようか」
バルチャー「キュルル!」
シロコ「『ファング』に乗ってると風は感じられないけれど、砂ぼこりを被らずに済むのは有り難いね。そうでしょ、バルチャー」
バルチャー「キュルルル…」
シロコ「ん、誰か倒れてるって?降りてみよう」
???「み、水…」
シロコ「…生き倒れかけてるね。助けようか」
- 9二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 10:53:04
アリーナ風解説
砂狼シロコ
アリーナ・ランク圏外ミグラント
AC『デサート・ファング』
アビドス高校廃校対策委員会に所属するミグラント。
アビドス高校でたった二名しかいない二年生の一人で、サイクリングを趣味としている。
アビドス高校唯一の三年生である小鳥遊ホシノに拾われた彼女は、スクラップヤードでのアルバイト中に一つのACの残骸を拾った。
企業間抗争の中で廃棄された機体を修復し、自身の相棒とした彼女は、アビドスで唯一のACパイロットとして他のミグラントや武装勢力の襲撃から母校を守っている。 - 10二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 10:59:45
AC『デサート・ファング』
見た目は『アーマードコアV』に出てくるUCR‐10フレームの中量二脚型AC。
ライフルとハウザーをメイン武装にしており、近接装備として実体ブレード『ムラクモ』を装備している。
UCR‐10自体はカイザー・グループが発売を開始した第一世代型の旧型ACであり、一般的な不良生徒や武装勢力が用いているMTとサイズ面では大差がない。
しかしアルバイトの報酬で買った新規製造パーツや内装によってチューンアップが施されており、中近距離戦を得意としている。
- 11二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 12:25:17
【アビドスの渡り鳥】
人々の日常を神秘と硝煙が彩る世界、キヴォトス。そこには大きく分けて、三つの戦士がいる。
一つは、企業や学園の雇われとして戦地へ飛び、戦う烏『レイヴン』。
一つは、学園に身を置き、首輪につながれる事と引き換えに強大な力を得た山猫『リンクス』。
一つは、貧しき立場になることを受け入れ、自由気ままに飛び、戦う渡り鳥『ミグラント』。
ACと呼ばれる鋼鉄の肉体を手に入れた彼女らは、利益や母校の名声、あるいは自由のために戦場を駆けていた。
うちアビドスの砂漠の中にあるアビドス高校。そこに通う砂狼シロコは、連邦生徒会から傭兵としての承認を受けていないミグラントだった。 - 12二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 13:32:37
非合法の独立傭兵しかいない、寂れた高校。そこをアジトの拠点として欲する武装勢力の数は少なくなく、この日もヘルメット団の勢力が攻め込んできていた。
『簡潔にブリーフィングを始めるよ。今攻めてきているのはカタカタヘルメット団のMT。幸いにしてACは確認されてないけど、数は厄介だから注意して』
『デサート・ファング』のコックピット内に、連邦生徒会特別捜査部『シャーレ』から来たという、先生の声が響く。シロコはそれを聞きつつ、目前のタッチパネルを操作する。
『ホシノたちはMT以外の戦力に対して対応して。アヤネはドローンでシロコとホシノたちを支援。私も出来る限りサポートするから』
「ん、分かった。ホシノ先輩たちも気をつけて」
『うへへ、任せてよ。んじゃ、いっちょ始めますか』
ブリーフィングを終え、シロコは操縦桿を握り締める。それと同時に、ノイズの混じった電子音声が響く。
『メインシステム、戦闘モード起動』
- 13二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 17:09:07
「行くぞお前ら、このアビドス高校をアタシたちヘルメット団のアジトにしてやるんだ!」
ヘルメットをかぶり、ゴーグルとマスクで顔を隠した赤ジャージの少女はそう怒鳴り、自ら四脚型MTに乗って先陣を切る。その後にバイクヘルメットをかぶった少女たちの操縦するMTや、ジープに乗って進む少女たちが続く。
「この規模で攻めるんだ、いくらアビドスの連中が強くても太刀打ちできねーだろ!」
「いいぞ親分、どんどんいったれー!」
声がさらに賑やかになり、士気も最高潮に達する。がその時だった。
突如として真横より砲撃が飛来し、MTの一機に直撃。MTは瞬く間に崩れ、黒煙を噴き出す。さらに地面から火柱が噴き上がり、MTの何機かが転倒する。
「な、なんだ!?」
「トラップだと!?連中、いつの間にこんな―」
突然の事態に行き足が止まり、一人が周囲をサーチし始める。がそこにアサルトライフルの狙撃が襲い掛かった。
- 14二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 21:06:36
「命中、対戦車部隊クリア!シロコ先輩、今よ!」
『ん、ナイスタイミング』
セリカが歩兵戦力を狙撃で倒し、ホシノとノノミが牽制を仕掛けたタイミングで、『テザート・ファング』はMTへ急接近。その中の一機を蹴飛ばす。そして着地する瞬間に目前の二機目へハウザーを撃ち、一瞬のうちに二機のMTをスクラップへと変えた。
「て、敵襲!」
「くそ、アビドスのミグラントだ!距離をとーギャッ!」
MTは即座に距離を取ろうとするが、そこに一機の巨大な鳥型の機械が遅いかかる。それを目の当たりにしたヘルメット団の少女たちは血相を青くする。
「す、スカベンジャー!?なんで自律兵器がいんだよ!」
「逃げろ、レーザーで焼かれるぞ!」
ここアビドス砂漠において恐怖の象徴である自律兵器の出現に、ヘルメット団は統率を失っていく。それと引き換えに対策委員会はヘルメット団に対して攻勢を強めた。
- 15二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 22:18:40
- 16二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 22:27:52
- 17二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 22:31:31
【SS・三人の狼】の奴を書いてた人ですハイ。
- 18二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 23:11:12
『シロコ、お疲れ様』
稼働可能なMT全てを失ったヘルメット団が撤退していく中、先生は無線で話しかけてくる。シロコはホルダーに入れていたペットボトルを取り出しつつ、息をついた。
『しばらく、連中は私たちに喧嘩を売ることなどしてこないでしょうね!』
『そうですね。バルチャーちゃんも大活躍してました♪』
『キュルルル』
『いやー、若いっていいねぇ。おじさん皆についていくのがやっとだったよ』
『一人でしれっとMT一機撃破してる人の言う事ですかそれ…?』
目前で繰り広げられる、賑やかな光景。そして締めに、電子音声が告げた。
『作戦目標クリア。システム、通常モードに移行します』
- 19二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 06:46:28
待機
- 20二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 10:04:00
××××との邂逅やいかに…
- 21二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 10:35:01
この各学園にACが当たり前にある世界線だと、確実に互換性や整備面考えて規格統一されてそうだな。流石にコジマとコーラルの同時使用とかはやらんだろうが・・・それらのどっちかとオーバードウェポンの併用は各学校最強格の切り札で用意されてるかも
- 22二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 11:24:47
【便利屋参上】
ブラックマーケット某所 高層ビル
カイザーPMC理事「そうか…カタカタヘルメット団の連中は壊滅したな。約束通り報酬を支払うとしよう」
黒服「おや、例の便利屋は仕事を終えましたか。実力は伊達では無い様ですね」
カイザーPMC理事「ああ…それに、奴らには例の『試作品』を与えている。現状は各学園自治区の企業が新型ACの開発で我々カイザーグループに追いつきつつある。それを再び引き離すためのものだ」
黒服「確か、この基地で作られた最初の『強化人間』でしたね。このアビドスの砂漠の下に、理想的な物質が埋蔵されていたとは…確か、この計画には他の組織も関与していると聞きましたが」
カイザーPMC理事「ああ。連邦生徒会はACを用いる独立傭兵…『レイヴン』を適切に管理するために、傭兵支援システムなるものを防衛室傘下で設置したそうだ。そのシステム開発者の協力だよ」
黒服「フム…それは興味深い」 - 23二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 12:04:44
アビドス市街地 ラーメン柴関
先生「取り敢えずは、シロコを正式にミグラントにすれば、弾薬費と修理費に関しては連邦生徒会へ経費として申請できる様になるから、それで借金への負担を軽くするとしよう」
シロコ「ん、それが最適だね」
ホシノ「あとバルチャーのメンテも何とかしていかないとねぇ」
セリカ(アルバイト)「ん?いらっしゃいませー」
ノノミ「あら?見たこと無い人たちが五人も来ました」
???「マスター、私は食事など不要です。わざわざ連れてこなくても…」
アル「そう意地を張らないの!あとマスターじゃなくて社長と呼びなさい」
ムツキ「くふふ、やっとまともなお昼ごはんにありつけるんだから、一緒に楽しもうよ!」
カヨコ「はぁ…余り欲を張らない様にね」
ハルカ「と、取り敢えず注文致しましょう…」
- 24二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 12:23:00
- 25二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 12:54:06
セリカ(アルバイト)「またのお越しをお待ちしていまーす!」
アル「中々に優しい人たちだったわね、皆」
スミカ「ええ、マスター。何故かラーメンも大盛りにされてましたし」
カヨコ「ところで社長、彼女たちのことまだ気づいてないの?」
アル「?彼女たちがどうしたの?」
ムツキ「アビドスの対策委員会の奴らだよ?」
アル「そう…なななな、なっ、何ですってぇー!?」
スミカ「…マスター、気づいていなかったんですか…しっかり学生証もあったというのに…」
ハルカ「よ、よければ今のうちにやっつけてしまいますか!?」
カヨコ「いや、ちゃんと準備を整えて行きましょう」
- 26二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 16:42:31
待機
- 27二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 18:45:44
【対策委員会対便利屋】
翌日 アビドス高校
「さて、皆これを見て。昨夜に少しヘルメット団の使っていたMTを解析したところ、正規ルートで購入したものも含まれているのが分かってきたんだ」
対策委員会の部室にて、先生は一同に説明する。それを聞いたシロコはホシノと顔を見合わせる。
「ということは、ヘルメット団を裏で支援している連中がいるのかな?」
「かもね。正規品はすごい高いし、かといって中古やデッドコピー程度で『ファング』の相手にならないことは割と知られているからね。何かしらの手は入れられてる可能性は考えた方がいいかもね」
そう話し合っていたその時、アヤネのタブレット端末から警報が鳴り響き、アヤネは即座に確認する。そして目を見開いた。
「皆さん、敵襲です!正門方向より複数のMTを確認!さらにその中に…見たことのないACがいます!」
「AC?ただの武装勢力ではなさそうだな…」
先生たちがいぶかしむ中、シロコは席から立ち、アヤネへ声をかける。
「ん、先にガレージに行ってる。とにかく今は迎撃しよう。考えるのはその時」 - 28二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 22:15:29
たいき
- 29二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 22:26:49
「こちらスミカ、準備完了しました」
砂に覆われた街並みを、一機のACが進む。赤色の巨体はマシンガンを片手に進み、その足元を四人の少女が乗った車が追う。
「社長、そろそろ会敵するよ。気を引き締めて」
「久々の大きな仕事なんだからさ、切り替えて行こう!」
車内でカヨコとムツキは言い、アルは大きくため息をつく。とその時、真上から砲撃が降り注いだ。
「っ、回避!」
カヨコの指示に従い、MTは散らばる。スミカも後ろへ飛び退き、直後に目前に一機のACが現れる。
「…!」
『ん、ここから先は通さない』
目前に現れたACは、即座にハウザーを構える。スミカは真横へ飛び、マシンガンを撃つ。
「スミカ!」
「社長、敵ACは彼女に任せよう。私たちはアビドス高校へ迫るよ」
無線からアルたちの声が流れる中、スミカは愛機『コーラルスター』の左腕に装備してあるパルスブレードを展開した。
- 30二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 07:31:15
いよいよ直接対決が!
- 31二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 15:45:10
「ん、見たこと無い武装…でも!」
シロコは操縦桿を引き、バックステップを踏む様に後退。ライフルを撃ちながら下がり、しかしスミカは跳躍して回避し、同時に距離を詰める。
「当たらなければ、どうということはない」
青い光の刃が振り下ろされ、『デサート・ファング』のライフルが切り落とされる。が、直後にシロコは手放し、タックルを仕掛ける。
『コーラルスター』より一回り小さい筈の『デサート・ファング』のタックルが相手を吹き飛ばし、激突したビルは音を立てて崩れていく。
「ぐっ…!」
「ん、飛び道具一つ潰されたけど…まだやれる」
シロコは呟き、ウエポンハンガーを跳ね上げる。空中に飛ばしたハウザーを右腕でキャッチし、左腕は即座に実体ブレードに持ち替える。
武装を変えたシロコは一気にブーストを焚き、突進。アビドス高校へ攻撃を加えるMTの一機を後ろから蹴り潰した。
- 32二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 20:44:28
「くそっ、アビドスのミグラントが来やがった!」
「自律兵器の方にも気をつけろ!体当たりだけでも十分に潰れるぞ!」
傭兵たちが喚く中、シロコは一機ずつハウザーとブレードでMTを撃破していく。とそこにバルチャーが飛んできて、両足で掴んでいたものを落としてくる。
それは、予備のライフルだった。それを受け取り、『デサート・ファング』はさらに多くのMTを屠っていく。地上ではホシノたちが便利屋を名乗る少女たちの率いる歩兵戦力と対峙し、先生の指示もあって拮抗していた。
『皆、間もなくアルバイト傭兵が帰り始める時間だ。それまでに出来る限り多くのMTを撃破して!』
「ん、分かってる」
シロコは先生からの指示に応じる。とアラートが鳴り響き、即座に近くのMTを掴んで引き寄せる。直後にMTにミサイルが命中し、火柱が聳え立つ。
それは、先程ビルの瓦礫に埋まっていた筈の敵ACだった。背部のミサイルランチャーを向け、ブースターが破損したのかジリジリと迫ってくる。
とそこで、MT部隊に動きが見られた。
「皆、定時だ!」
「急いで撤収するぞ!」
律儀にも定時に合わせて撤退し始めた傭兵たちを見て、シロコは小さくため息をつく。とその時、相手ACより一人の少女が現れた。
- 33二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 22:28:10
ここでもひと悶着かな
- 34二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 07:38:21
「…あの子、便利屋と一緒にいた…」
シロコがそう呟く中、敵ACの少女はその赤色の瞳を向け、大声で言った。
「アビドスのミグラント!今、貴方たちの学校はあらゆる者たちから狙われています!それに気付かぬうちはずっと攻撃に晒される事となります!」
「…」
そう言った少女は再びACの中に戻り、そして踵を返す。シロコたちはそれを見送るだけだった。
「…便利屋、撤退を開始」
「フム…やはり対AC戦では真人間に対する適応能力に課題がありますね。帰投後調整をしましょう」
「しかし、『井戸』なら今ある地点だけで十分だろう?ここの地点に埋蔵されている分も欲しいとは、強欲だな」
「大人とは、得てして強欲なものです。これからも引き続き協力してもらいますよ…クックックッ…」
- 35二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 07:56:34
待機
- 36二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 08:33:15
待機
- 37二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 09:56:23
アリーナ風解説
長沢スミカ
アリーナ・ランク圏外ミグラント→ランク圏内下位レイヴン
AC『コーラルスター』
ゲヘナの非合法部活『便利屋68』に所属する強化人間。
キヴォトスの某組織が企業からの要求に従って開発した強化人間で、アビドスで発見された新物質により反応速度を強化している。
かつては名の知られぬ自治区出身といい、事実上の人身売買を経て組織で改造され、そのテストモデルとして便利屋68に譲り渡された。
彼女は『備品』として使い潰される運命を受け入れていたが、便利屋では『新たな社員』として望外の待遇とされている。 - 38二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 10:04:07
- 39二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 10:05:56
ACキャラも全員生徒にしよう女の子にな
- 40二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 10:22:23
- 41二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 11:06:36
コジマ粒子とかで生徒みんな精神汚染されそうだなって思う
- 42二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 13:02:42
【ある生徒の追想】
どうして、こうなってしまったのでしょうか?
私、阿慈谷ヒフミはペロロ様のレアグッズを手に入れるためにブラックマーケットに来ました。そうしたら、突如として不良の集団に追われ、お金を取られそうになっちゃいました…。
その後、たまたまブラックマーケットを訪れていたアビドスの生徒さんたちに助けられて何とかなりましたが、大変なのはこの後でした。
なんと、アビドスの人たちはカイザーローンから借金をしており、しかも利息の一部はカイザーローンが支援している武装勢力へ報酬として支払われていたのです!
この証拠を得るために私は、アビドスの人たちの悪事に加担してしまいました…。しかも『ファウスト』と呼ばれて強盗団のリーダーにされてしまいました…はうう…。 - 43二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 13:08:16
アビドス高校に来て、私は多くの驚きを得ました。
まず、シロコさんはACで戦うミグラントだということ。彼女はキヴォトスでも危険な兵器だと言われている自律兵器『スカベンジャー』を飼い慣らしていること。そしてカイザーローンは、以前からティーパーティーが危惧していた通り、違法行為に手を染めていたということ。
私はアビドスの皆さんが少しでも楽になる様に、そしてトリニティのためになる様に、ナギサ様に報告する事となりました。帰る際、私はシロコさんが『バルチャー』と名付けている『スカベンジャー』に乗せてもらいました。わずか10分の空の旅でしたが、それなりに楽しかったなぁ。
あと一つ。ブラックマーケットで彷徨っていた時に大きな昆虫みたいなものに懐かれて、アビドスの一件以降も一緒に付いてきてるんですが、何でしょうかこれ…?
- 44二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 13:31:20
- 45二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 13:33:17
そんな簡単に再現したり開発出来たりするもんか?
- 46二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 14:13:18
修復自体はネット(出所不明の情報とか)を頼りに出来るんじゃないかな?そもそも『デサート・ファング』自体がスクラップをかき集めて使える部品を組み合わせての修復だし
- 47二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 14:22:53
【アビドス対ゲヘナ】
アヤネ「皆さん、朗報です!先生のご協力によって、新たに大型ヘリを買う事が出来る様になりました!」
みんな「おおー!」パチパチパチ
アヤネ「それも、ACを輸送可能なサイズのモノです!これまではバルチャーに掴まってでしたが、これからはバルチャーに余り負担をかけずに輸送する事が可能となります!」
バルチャー「キュルッ!?」
シロコ「ん、大丈夫。誰も貴方はいらないなんて言ってないから」
先生「今後、シロコには色々と手伝ってもらう事が多くなるからね。輸送手段はしっかり整えないと」
セリカ「まさか、こんな大きな買い物が出来るまでになるとは思ってもみなかったわ。ともあれこれで、私たちは遠いところにも行ける様に—」
ノノミ「…ん?爆発音?それも市街地の方から…?」
アヤネ「えっ…?少し、調べてみます…」
アヤネ「…!?ら、ラーメン柴関に砲弾が着弾しました!しかも、撃ってきたのは…ゲヘナです!」 - 48二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 14:23:31
ACVD-LINKくらいは見たほうがいいと思う
特にSecret Report #1
実は思ったよりもスカベンジャーとへんなのは配備されてんのかいってなる - 49二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 14:42:45
先生「シロコ、先に現場へACで向かってくれ!私たちは車で追いかける!」
シロコ「ん、分かった。バルチャーはお留守番頼むね」
バルチャー「キュルル…」
先生「アロナ、解析頼む」
アロナ「はい、先生!」
アロナ「解析、完了しました!先程の爆発はグレネード…ワイルドハントに拠点を置く企業『メリニット』で開発されたグレネード砲『イヤーショット』の砲撃によるものです!」
先生「メリニット?ゲヘナの攻撃なのに?」
アロナ「メリニットは主に、ゲヘナを拠点とする企業『ベイラム・グループ』のACが用いる武装を製造しています。過去、ベイラム・グループはGA(ゲヘナ・アーマメンツ)やシュナイダー社との勢力争いで優位に立った事があり、それ以降メリニット社と親密な関係にあるそうです!」
先生「ベイラム、か…」
- 50二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 14:55:21
アビドス市街地
「あ、アル様!アル様!」
黒煙がたなびく市街地の中に、ハルカの声が響く。瓦礫の中から這い出る様に出てきたカヨコは、頭を振りながら辺りを見回した。
「っ、アレはゲヘナの風紀委員会…いや、ベイラムに身を置くリンクス集団『レッドガン』…!」
「レッドガン…!?」
カヨコの言葉に、スミカは目を丸くする。やがて彼女たちの真上に一機のACが現れ、その目前に着陸した。
『シロコさん、見えますか!?アレは風紀委員会のエリート部隊としても名高いAC部隊、レッドガンのACです!』
『レッドガンって、ベイラムって会社がスポンサーについている風紀委員会のACよね!?どうしてこんなところに…!』
「ベイラム…レッドガン…」
シロコは呟く。とモニターに幾つものウィンドウが表示された。
『皆様、失礼致します。私はゲヘナ風紀委員会にて行政官を務めております、天雨アコと申します』
ウィンドウに姿を現した、アコなる少女は語る。
『現在、ここアビドス自治区にはゲヘナの指名手配犯でおる便利屋68がいるとお聞きしました。その身柄確保のために、こうして馳せ参じました』
『こちら、対策委員会の奥空アヤネです。今貴方たちは我が校の敷地内に対して勝手に侵入しております!私たちは貴校の行いに対して抗議致します!』
『ほう、そのためならば我が校とも対立することも厭わないと?どうやらそちらには、古臭いACを駆るミグラントが一機のみの様ですが…私たちのことを軽んじてもらっては困りますね』
- 51二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 17:39:49
『っ、シロコ!来るよ!』
先生の呼びかけに、シロコは咄嗟に反応する。直後、真横を数発のグレネード弾が通過した。
『最初の砲撃を躱すとは、やるじゃねぇか』
『まぐれだ、まぐれ!さっさとくず鉄にするぞ!』
相手AC二機はそう話し合いながら、『デサート・ファング』を挟み込む形で位置取る。マシンガンとグレネードの雨が降り注ぎ、シロコは爆炎の中を跳ねる。
「ん…強い!」
砲撃が飛び交う最中、シロコは建物を陰にして砲撃を躱しつつ、ハウザーで曲射。しかし相手もブーストを吹かして動き回り、距離を詰めてくる。
『どうした野良犬、コソコソと逃げ回ってんじゃねーぞ!』
『イグアス、熱くなりすぎるなよ!コイツはチビな分小回りが利く!』
二機のACはミサイルにマシンガンといった、火力の高い兵器で押し通り、ビルを崩しながら迫ってくる。シロコも応戦するが、中量二脚型はパルスシールドを前に立てて攻め、タンク型と連携して攻め寄せる。そして遂にシロコは、三方をビルで囲まれた袋小路へと追い詰められる。
『ようやく追い詰めたぜ、野良犬…とっととくたばりな!』
- 52二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 18:55:39
- 53二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 21:30:39
二機のACが倒された後、風紀委員会を待ち構えていたのは、暴力の嵐だった。
「べ、便利屋の『コーラルスター』だ!」
「撃て撃て!応戦しろ!」
風紀委員会のMTや戦車が砲撃を見舞う中、二機のACは高く跳躍し、圧倒的な機動力で翻弄。ライフルとサブマシンガンが唸る。
さらに地上でも、セリカたちや便利屋の面々が風紀委員会と対峙し、攻勢を仕掛けていく。
「アコちゃん、ヤバい!イグアスもヴォルタもやられた!」
「これ以上は耐えきれません!後退指示を!」
『まさか、対策委員会と便利屋が手を組むとは…!』
イオリとチナツが助けを求め、アコは形相を険しくする。そして判断に困っていたその時だった。
「貴方たち、随分と派手にやっているわね」
『貴様ら、勝手に他校の敷地内で遊び呆けているとは随分とご立派な様だな!』
『…!?』
一同は顔を見あげる。そこには一機の四脚型ACの姿があった。
- 54二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 22:20:08
ホシノ「うへ、これは一体どういう状況なのかな?」
ヒナ「単に、ウチの部下たちのバカ騒ぎよ。申し訳ないわね」
???「アビドスの生徒会副会長どのとここで会うとはな。我々レッドガンの役立たず共が迷惑をかけた」
先生「すみません、貴方は?」
???「ん?おお、アンタが噂のシャーレの先生か!私はゲヘナ風紀委員会AC部隊『レッドガン』隊長のミシガンだ。風紀委員会と共にアビドスへ足を踏み入れたと聞いてな、このバカ騒ぎを止めに来た」
イグアス「だからってコックピットから引き摺り出した上で殴り飛ばすのはねぇだろ!」
ヴォルタ「いってぇ…顎の骨外れてねぇよな?」
シロコ「ん、人が殴られて文字通り空を飛ぶの、初めて見た」
ミシガン「ともかく貴様ら!帰ったら反省文の後でしっかりしばき倒すからな!覚悟しておけ、役立たず共!」
セリカ「うっわ、声がデカい…」
先生「あ、あはは…」
- 55二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 23:08:06
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- 56二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 23:16:18
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- 57二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 07:14:20
ヒナ「そうそう、先生。貴方には一つ伝えておきたい事があるの」
先生「私に?」
ヒナ「ええ…今、カイザー・グループはアビドス砂漠で『何か』を掘り出しているわ。わざわざ資源が無い筈の砂漠を掘り起こしているもの、用心はしておいた方がいいわよ」
先生「…何か、か…」
- 58二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 07:25:45
【夢のチカラ】
ヒナの情報を頼りにカイザーPMC基地を訪れ、カイザーPMC理事からアビドス残骸での『事業』を聞かされた対策委員会は、真正面からの衝突は無理だとして撤退した。
そしてその夜、アビドス高校の校舎屋上では、シャーレの先生が一人、星空を眺めていた。
「…アロナ」
「はい、先生」
『シッテムの箱』にある教室の一角で、先生はアロナに尋ねる。
「カイザーPMC基地を訪れた際、解析出来た?」
「出来ましたよ、先生。あの基地の中央からは、全く未知の物質が検出されました。どうやらカイザーPMCは、その未知の物質を採掘している模様です」
「未知の物質…」 - 59二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 12:16:34
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- 60二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 13:46:00
星空を見上げる中、先生は呟く。
「…私は無力だ。私は彼女たちの様に頑丈な身体じゃないし、戦場で撃ち合う度胸もない。その中で私は、ACという兵器に乗って危険な戦いに身を投じるシロコや、それを支える対策委員会の皆に頼ってばかりだよ」
「そんな風に僻まなくても大丈夫だよ、先生」
不意に声が聞こえる。顔を上げるとそこには、ホシノの姿があった。
「先生も先生で、ACを整備するためのお金とか、連邦生徒会からの補助を引き出すための手回しとか色々してくれてる。おじさんにとっては大助かりだよ」
「そんな…私はただ、そういう仕事しか出来ないだけだから」
謙遜を崩さない先生に対し、ホシノは隣に立つ。
「それにしても、あの砂漠の地下の『お宝』って…一体何を探しているんだろうね…」
「…少し調べてみたんだけど、何か未知の物質を掘り出しているみたい。それが一体何なのか、もう少し調べてみるよ」
「…頑張ってね、先生」
- 61二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 14:21:31
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- 62二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 16:37:29
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- 63二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 17:25:23
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- 64二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 22:06:04
待機
- 65二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 20:14:38
待機
- 66二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 20:29:30
待機
- 67二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 22:37:25
保守
- 68二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 07:31:41
…ほんとにどうした
- 69二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 08:41:33
【カイザー侵攻】
翌朝 アビドス高校
先生「ふぁ、眠い…昨日はオフィスに戻って徹夜で資料作ってたからまだ眠いな…ん?」
アヤネ「あっ、先生…大変です、ホシノさんが!」
先生「そんな…ホシノ、どうして…」
セリカ「勝手にカイザーと契約結んで退学だなんて…どういう事なのよ…!?」
ノノミ「…」
アヤネ「皆さん、大変です!カイザーPMCが市街地に侵攻してきました!相当数のMT及びLC機体を確認!」
シロコ「ん、悩むのは後で。直ぐに迎撃に向かうよ」 - 70二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 16:52:47
「ふはは、進め進め!小鳥遊ホシノを失ったアビドスなど恐るるに足らず!」
何十機ものMTに、それより一回り大きなLC機体が列を成して進む市街地に、カイザーPMC理事の声が響く。その上空にはPMCで運用が開始されたばかりの大型武装ヘリコプターの姿もあった。
「これだけの大兵力、AC単機のみで相手できるものでもあるまい!それにこちらには、砂漠で発掘したもの解析して作った新兵器もある!勝利は確実だ!」
鼓舞する様に、理事は言う。ここまでの大兵力を前に、アビドス対策委員会など鎧袖一触だろう。それは確信そのものだった。
「理事、前方よりACが単機で接近中!」
「ふん…来たな。この手で捻り潰してくれるわ!」
- 71二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 21:42:18
『シロコさん、MTは市街地の各所にまんべんなく展開しています!バルチャーと連携して攻撃を…』
『デサート・ファング』のコックピット内で、アヤネが説明を行う。シロコも顔をしかめながら、侵攻してきた敵をモニター越しに見つめる。
そして着地するその直前、別の通信が入ってきた。
『…随分と、無茶な戦いに身を投じるみたいですね』
「ん…その声は…!?」
その時だった。突如としてMTの真上に大量のミサイルが降り注ぎ、回避し遅れたMTが次々と爆破されていく。
「っ、何事!?」
上空を飛んでいた大型武装ヘリは、センサーで以て周囲を捜索。しかしその結果がパイロットにもたらされる前に、目前に一つの影が現れた。
刹那、空中で白い光が瞬く。強力なパルス放射を全方位へ放つアサルトアーマーが大型武装ヘリに痛打を与え、直後にパルスブレードがメインローターを切り裂いた。
『ひ、被弾した!被弾した!』
パイロットの絶叫と共に、大型武装ヘリは墜ちていく。そして数秒後、市街地の中央に火柱が聳え立った。
- 72二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 06:41:42
待機
- 73二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 13:58:44
- 74二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 17:56:20
『くそ、速い!LC、対応してくれ!』
『こっちも無理だ、自律兵器に襲われてる!』
無線に兵士たちの悲鳴が響き、それを各所から響く爆発音が掻き消していく。ビルを足場に跳躍する二機のACは数頼みのMTを瞬く間に蹴散らしていき、その場に大量のスクラップが散らばっていく。さらに対策委員会と便利屋68が移動型砲台を利用して支援射撃を行い、圧倒的優勢だった筈のカイザーPMCを圧していた。
『こ、こっちに来るな!やめ―』
『た、助け―おあーっ!?』
「り、理事!我が方の被害は拡大しております!さらに便利屋のしわざと思しき破壊工作により、増援も間に合いません!」
「おのれ…『虎の子』を持ってこい!今すぐにだ!」
- 75二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 21:44:05
待機
- 76二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 22:39:03
ほしゅ
- 77二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 07:58:34
朝待機
- 78二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 12:10:07
待機
- 79二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 19:12:36
待機
- 80二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 21:01:13
シロコとスミカは、巧みな連携と尋常ならざる機動力で以てカイザーPMCを圧倒していた。
「ん、これで15機目!」
「LCも不意を突きつつ3機撃破しました!社長、そろそろ撤退—」
その時だった。二人の間に青い光の奔流が迸り、高く跳躍して回避する。そして着地すると、その攻撃の大元へ目を向けた。
『おのれ、アビドスめ!この『カタフラクト』で捻じり伏せてくれるわ!』
そこには、一機の巨大な兵器があった。カイザーPMC理事を乗せて現れたそれは、背部に拡散レーザー砲とミサイルランチャーを背負っており、図体も相まって鈍重そうに見えた。だがあれ程の巨体である、防御力は相当なものだろう。
「アレは、カイザーPMCの新兵器…!」
『シロコさん、ここは一旦引いて下さい!バルチャーと連携して攻撃するべきです!』
アヤネが警告をし、シロコはカタフラクトを遠目で見つめる。とそこで、シロコは先生に回線を繋げた。
「…先生。頼みがある」
- 81二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 22:53:08
- 82二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 07:48:51
ほ
- 83二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 15:07:50
二機のACに向けて、『カタフラクト』は脚部の履帯で駆け出し、その巨体に見合わぬ速度で突撃。二機は左右に分かれて回避し、銃撃を見舞う。
しかし、『カタフラクト』は堅牢な装甲で銃撃を弾き、背部のミサイルランチャーより大量のミサイルをばら撒く。さらに砲塔に装備されたガトリング砲はビルを蜂の巣にしながら弾幕を張り、接近を許さなかった。
『ふははは、どうだ、この『カタフラクト』の威力は!』
圧倒的の一言でしか言い表せぬ火力を前に、スミカは攻めあぐねる。さらに機動力も高く、ミサイルである程度衝撃を稼いで鈍らせることは出来ても、その足を止めることは出来なかった。
「攻め手がない…カイザーめ、なんてものを…」
「ん…でも、不意は突ける!」
シロコはビルの合間を駆けて回り込み、『カタフラクト』の背後に位置する。そして実体ブレードを展開して叩き付けるが、その装甲を引き裂くことは出来なかった。
『無駄だ、その鈍らでこの『カタフラクト』を撃破出来るものか!』
『カタフラクト』は急旋回し、『デサート・ファング』を突き飛ばす。そしてレーザー砲を発射し、『デサート・ファング』の左腕は吹き飛ばされた。
- 84二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 15:33:46
「シロコ…!」
スミカは驚きを露わにし、しかし相手の弾幕を前に動揺を即座に掻き消す。『カタフラクト』は手負いにトドメを刺すべく動くが、直後に移動型砲台からの砲撃を受け、回避に動く。
その間に『デサート・ファング』は煙幕を焚いて後退し、距離を取る。『カタフラクト』も直ぐには追わず、一撃離脱を繰り返す『コーラルスター』へ照準を変えた。
『便利屋め、我々を裏切ったその報いを受けてもらうぞ!』
理事は『カタフラクト』を『コーラルスター』へ向ける。そしてレーザー砲を撃とうとしたその時、レーダーに新たな反応が現れた。
『む…?直ぐに戻ってきただと?片腕を失ったというのに頭の悪い…』
理事はそう言いながら、視線を向ける。そして目を見開いた。
そこには一台の大型トレーラーがあり、『デサート・ファング』はその真横にあった。だがその姿は大きく変わっていた。
『なんだ、アレは…?』
- 85二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 15:51:40
「シロコ、本当に大丈夫?試運転も全くしてないんだよね?」
トレーラーの運転席で、先生は不安そうな表情を浮かべる。しかしシロコの表情に迷いの色はなかった。
「ん、だからこそここで決める。だから先生…私を信じて」
シロコはそう言い、スイッチの一つを押す。その瞬間、モニターの映像が乱れ始めた。
背部に背負った、巨大な機械が動き始める。外付け式のジェネレーターが赤く発光し始め、六つ束ねられた長大なチェーンソーが音を立てて回り始める。そして『デサート・ファング』の後ろで開き、赤い光と火花を撒き散らす。
『不め…なユニ…トが接続…れました。シ…テムに異常…発生し…います。…ちに使用を…止して下…い』
COMボイスがより激しくノイズをまとって警告を出し、頭部も全力で稼働するジェネレーターの排熱のために変形。バイザーの裏に隠された一つ目を赤く輝かせた。
- 86二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 17:26:10
『な…なんだ、あの兵器は!?』
自分の知らない武装を見せてきたACに対し、理事は動揺する。『デサート・ファング』は右腕に六枚のチェーンソーをまとわせ、全身に『熱』そのものを覆わせる。その『熱』は『カタフラクト』のセンサーに干渉し、照準そのものを狂わせてきた。
『そ、その様な武器で、この『カタフラクト』を倒せるとでも思ったか!』
理事は即座に照準を定め、一斉に武装を撃つ。がその弾幕をすり抜ける様に『デサート・ファング』は駆ける。本来ならば直撃するはずのグレネード弾は直前で炸裂し、破片はACの発する『熱』に弾かれる。
『馬鹿な、攻撃が当たらないだと…!?』
信じがたい光景に、理事は怯みを見せた。しかし下がるには余りにも遅すぎた。
チェーンソーを束ねた右腕が炎をまとい、『カタフラクト』の真正面にそれを叩き付ける。金属が激しくぶつかり合う音がその場にあった音全てを踏み潰し、『カタフラクト』の巨体は大きく跳ねる様に吹き飛ばされる。そして道路を跳ね回る様に転がっていき、やがて増援とおぼしきMTの群れに直撃。巨大な火柱が市街地に聳え立った。
- 87二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 18:53:40
「か、『カタフラクト』が撃破された!」
「理事を救出しろ!撤退、撤退!」
カイザーPMCは虎の子の『カタフラクト』が撃破されたことに動揺し、直ちに撤退に取り掛かる。一方で『デサート・ファング』はチェーンソーを畳んでいき、機能を停止させていく。
『作戦…標クリア…メ…ンシステ…通常モードに移行します』
『熱』を脱ぎ捨て、武装の機能を停止させた『デサート・ファング』は片膝をつく。そこへ先生が急いで駆けつけた。
「シロコ…!」
両手が火傷するのも厭わず、先生はハッチを開ける。そしてコックピットから吹き出る熱気を浴びながら、シロコを引きずり出した。
「ぐっ…アヤネ、連絡を入れて!今すぐ!」
「は、はい…!」
そうして先生がシロコを助けようとする中、『コーラルスター』は静かにそれを見下ろすばかりだった。
- 88二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 20:08:47
待機
- 89二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 22:37:25
保守
- 90二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 22:53:06
待機
- 91二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 07:47:39
【決戦に備え】
目を覚ました時、シロコの視界に入って来たのは白い天井だった。
「あっ…ようやく目を覚ましましたか」
声を掛けられ、シロコはその方へ顔を向ける。そこには鷲見セリナの姿があった。
「先生からお聞きしましたよ。大分無茶をなさったと…大急ぎで治療を施しましたが、間に合ってよかったです」
「…せん、せい…は…」
「先生なら今、当番の人たちに声をかけて色々と手をまわしているところです。今回のカイザーの動きは他校の方々も気にされていまして…ああ、シロコさんのACも修理が進められていますよ。ですが今は安静にして下さい」
セリナはそう言って、その場を後にしていく。シロコは一人、静かに天井を見つめていた。 - 92二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 11:42:22
アビドス高校 ガレージ
「キュルル…」
バルチャーが不安げな鳴き声を上げる中、ガレージでは『デサート・ファング』を複数のドローンが囲み、整備を行っていた。
「内装は全面的に取り替える必要がありそうだね。ウチにカイザー式ACのパーツがあるから、それを用いるとしよう」
白石ウタハはそう言いながら、ドローンを操作して整備を進める。その様子を見つつアヤネは尋ねる。
「あの…予算については…」
「ああ、それについては心配しないで。私は君たちに請求するつもりはないよ。むしろ私は、シロコの作った自作兵器に興味がある」
そうして向けられた視線の先に、焦げ付いた兵器が一つ。ウタハは言う。
「建物解体用グラインダーを六つ束ねて、外付け型ジェネレーターで無理やり全力稼働させ、破壊力を高めた近接兵装…浪漫そのものだよ。名前を付けるとするならば、『グラインドブレード』とでも呼ぼうか」
「ですが、これを使う際に機体に相当な負担が掛かっていました…もしも機能を停止するのがあと数秒遅れていたら…」
「その時の戦闘データは焼け焦げてしまったが、ここに現物がある。本職のメカニックとしてもう少しマシなものに仕立て上げておくとするよ」
ウタハはそう言い、近くで作業している部員たちに声をかける。
「コトリ、ヒビキ!少し手を貸してくれないか?」
- 93二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 12:03:32
アビドス高校の一室で、声が響く。
『ナギサ様に提出した報告書と、今回のカイザーの行動を元に、トリニティは正義実現委員会の専属AC部隊より一人を出向させるとのことです!私も何とかお手伝いします!』
『ゲヘナ風紀委員会も、ACを一機出す事としたわ。元々カイザーはゲヘナ自治区で悪さを働いているテロリストや、万魔殿と敵対している勢力にも支援を回していた疑いが持たれている。スポンサーもアビドスへの支援を主張してたわ』
「そうか…ありがとう、ヒフミにヒナ。私も出来る限りのことはするよ」
『そうですか…先生もお気をつけて!』
『じゃ、また今度ね』
通信を終え、先生は深く息を吐きながら天井を見上げる。とその時、ドアをノックする音が聞こえる。
「…?どなたですか?」
返事は来ない。先生は席を立ち、ドアへ向かう。そして開けるとそこには誰もいなかった。
「今のは…?」
辺りを見回し、足元にハガキの様なものがあることに気付く。先生はそれを拾い、眉をひそめた。
- 94二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 18:14:21
待機
- 95二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 21:16:55
スレ再開は明日予定なので保守
- 96二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 22:48:59
待機
- 97二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 07:46:13
待機
- 98二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 12:23:00
【大人のやれること】
ブラックマーケットの一角にあるビルに、先生は来ていた。
「このハガキによると、住所はここみたいだけど…」
ビルの中に入り、エレベーターに乗って一つの部屋に辿り着く。そしてドアを開けるとそこには、一人の男がいた。
「…お待ちしておりましたよ、シャーレの先生」
男はニヤリと笑みを浮かべながら、先生に話しかける。
「…貴方が、ホシノの言っていた『黒服』?」
「ええ、如何にも。私はここアビドスにて、カイザー・グループと協力して砂漠の下に眠る『宝』を探しに来た者です。私はこのキヴォトスにて神秘を研究する組織『ゲマトリア』に属しております」
「…そのために、貴方はホシノや対策委員会の皆を困らせようとしているのか?」
先生の問いに対し、黒服は無言を返す。が、席から立ち上がると机の上にある写真を手に取る。
「…アビドス砂漠にて起きた砂嵐は、あくまでも我々の仕業ではなく、ここでよく起きる自然現象です。その結果もたらされた状況を我々は利用しているに過ぎません。が…状況は変わってきました」
黒服はそう言いながら先生に歩み寄り、写真を手渡す。受け取るとそれには、赤く光る物質で満たされた施設が写されていた。 - 99二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 19:29:04
「現在、カイザー・グループは我々と異なる組織と手を組み、アビドス砂漠の地下で発見された未知の物質の開発を進めております。我々ゲマトリアは完全に蚊帳の外に置かれており、ホシノさんも件の組織に身柄を押さえられています」
黒服の言葉に、先生は目を見開く。説明は続く。
「先の戦いで、砂狼シロコさんの用いているACは損傷しました。我々としてはこのままアビドス高校が敗北するのは良しとしておりません。よってこちらの武器を提供する事としました」
そう言って差し出された書類。それには剣の様なモノの写真があり、タイトルには『LB‐66 MOONLIGHT』と書かれていた。
「試作型AC用レーザーブレード、通称『ムーンライト』。こちらを提供致しましょう。必ずや彼女の力となる筈です」
- 100二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 21:38:59
- 101二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 22:45:32
- 102二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 05:39:17
型番を見てみて、Vに出てくるタイプの月光やぞ
- 103二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 13:46:22
『デサート・ファング』の整備は、丸一夜費やされた。
「エンジニア部のスクラップヤードにあったガラクタとか試作品を利用して、シロコの作った『グラインドブレード』を小型化。左腕をパージしなくても使える様にしたよ」
「また、左腕には試作型レーザーブレード『ムーンライト』を装備し、近接攻撃能力を強化しました!ウエポンハンガーにはヒートハウザーを装備し、大型目標への対応力を高めています!」
「そして内装も変えたよ。『グラインドブレード』の使用を前提にした改設計を行い、ジェネレーターは『バイタル』に変更。FCSもエンジニア部独自の開発品にした」
エンジニア部の面々は説明し、修復と改設計成った『デサート・ファング』を見上げる。シロコは小さく頷き、先生に顔を向けた。
「ん。これで私はまた戦える。怪我も癒えたし、後はホシノ先輩を助けに行こう」
「…そうだね。アヤネは?」
「私も、「雨雲号」の整備を完了しました!それと、砂漠で拾った兵器の残骸も、エンジニア部の皆さんの協力によって運用可能にしました!」
「絶対にホシノ先輩を助けるんだから!」
「エンジニア部の皆さん、本当にありがとうございます!」
アヤネたちからの報告を聞き、先生は小さく頷いた。
「よし…行こう!」
- 104二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 18:49:06
待機
- 105二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 22:00:55
待機
- 106二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 07:28:33
雨雲号の整備…
下に榴弾砲つけてそうだな… - 107二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 11:30:25
ほ
- 108二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 18:17:07
【砂漠で狼は吼える】
アビドス砂漠の上を、一機のヘリコプターが飛ぶ。その機体の真下には、一機のACが吊り下げられていた。
「間もなく、カイザーPMC基地の索敵圏内に突入します!あっ…!」
ヘリコプター「雨雲号」を操縦するアヤネの報告に合わせ、一機のACが真横に現れる。その青色のACの搭乗者は「雨雲号」と『デサート・ファング』へ無線を繋げてきた。
『君がアビドスの猟犬か。正義実現委員会AC部隊『ヴェスパー』より派遣された、ヴェスパー4のラスティだ。これからよろしく頼む』
「ん、対策委員会の砂狼シロコ。よろしく」
やがて一機のヘリが飛んでくるのが見えてきて、無線が入って来た。
『聞こえるか、シャーレの先生!私たちレッドガンも馳せ参じた!ヒナたちもここにいるから、安心してくれ!』
「ありがとう、ミシガン。まもなく戦闘が始まる。皆、引き締めていこう!」
『了解!』
直後、砂漠の上を三機の兵器が駆け出す。それらはバルチャー率いる自律兵器の群れだった。
「間もなく投下します!突入予定地点に砲撃が加わりますので、そこから基地施設内へ入って下さい!」 - 109二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 22:56:30
滅多にない作戦、楽しんできな…
- 110二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 07:34:00
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- 111二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 09:25:07
太陽が真上に差し掛かった時、戦闘は始まった。
砂丘の向こう側から要塞に向けて幾つもの砲撃が降り注ぎ、門の一つに火柱が聳え立つ。直後に一機のACが現れ、混乱の巻き起こるカイザーPMCのいち部隊へ襲い掛かった。
『こ、こちらファウスト!侵入口を確保しました!』
バーストライフルとレーザーブレードでカイザーPMCのMTを撃破しつつ、ヒフミのACは侵入口を確保。シロコは小さく頷きつつ後続に言う。
「ん、基地施設内に突入するよ。ついてきて」
『了解した。では行こう』
『いちいち指示してくんじゃねえよ、野良犬!』
『デサート・ファング』を先頭に、3機のACは防壁の内側へ突入する。そこにはMTのみならず、『カタフラクト』も複数機待ち構えており、その兵力は予想を超えていた。
『こいつら、こんなにしこたま抱えていやがったのか…!?』
『成程、ナギサ様が極秘裏に支援しろと言うわけだ。では、行くか』
そうして三機は一斉に散開し、カイザーPMCと戦闘を開始した。
- 112二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 11:22:32
『アレは、ヴェスパーの番号付きだと!?トリニティとアーキバスめ、我々と戦争をする気か!』
『レッドガンの番号付きもいるぞ!確実に取り囲んで叩き潰せ!』
無線がけたたましく響く中、シロコはブーストを全力で吹かし、敷地内を駆ける。敵も複数方向から攻撃を仕掛けるが、その弾幕を搔い潜る様に『デサート・ファング』は駆け抜け、射撃。さらに左腕のブレードより光の刃を投げ飛ばし、複数のMTを切り刻む。そして一気にブーストで突進し、ラスティの背後を狙っていたMTを蹴り飛ばした。
『魅せてくれる…私の戦友として申し分ない』
「ん、そっちこそ」
と、そこに一機の『カタフラクト』が現れ、二人へ襲い掛かる。そして至近距離でレーザー砲を浴びせようとしたその時、上方から正確な砲撃が『カタフラクト』に叩き込まれる。
『お待たせしました。これより加勢します』
見上げるとそこには、『コーラルスター』の姿もあった。外でMTを撃破していたヒフミも駆けつけ、総勢五機のACがカイザーPMCをかき回していく。そして先生たちを乗せたヘリコプターは中央のヘリポートへと着陸する。
『シロコ、これから基地内部の地下施設に突入する!援護は頼んだ!』
「ん、分かった。ラスティにイグアス、ここは任せたよ」
- 113二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 19:58:19
この流れで行くと例のバケモンも…
- 114二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 21:34:30
『貴様ら、良くも我々に手を出したな!』
無線越しに怒号が響き、ラスティとイグアス、スミカにヒフミは揃って振り向く。そこには一機の黒い『カタフラクト』の姿があった。
「カイザーPMC…シャーレの先生から話は聞いた。ここにきて違法な手段でアビドスの土地を奪いに来たそうだな。これ以上の不法は見過ごすことは出来ない」
「ここに来る前、先生から聞いた!貴様ら、ブラックマーケットで稼いだ金とここで生産した兵器で、ウチやトリニティの敷地で暴れ回るテロリスト共に手を貸していた様だな!」
ラスティとミシガンの言葉に、ヒフミやイオリは驚愕を露わにする。
「そ、そんな事を…!?」
「最近、反社どもが見慣れたMTを沢山使っていると思ったら…」
『おのれ…かくなる上は、『決戦兵器』で貴様らをまとめて蹴散らしてくれるわ!』
「『決戦兵器』とは、その『カタフラクト』ではないのか?それに、対策委員会の面々はすでに施設内に入っている。もうお前たちの負けなんだぞ!」
ラスティはそう言いながら、バーストハンドガンの銃口を向ける。とその時、クククという笑い声が聞こえてきた。
『…愚かな。この『カタフラクト』はあくまでも商品!本当の決戦兵器とは、ここアビドス砂漠に眠るお宝…新物質『コーラル』を用いた自律兵器である!それに、貴様らの様な不届き者が侵入してきた時の備えも万全だ!』
そう言った直後、地面が揺れ始める。やがて砂の中から火柱が噴き出し、ラスティたちは顔を青くした。
『まさか、基地を爆破するつもりか!?』
『先生、急げ!奴らとんでもない事を始めたぞ!』
- 115二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 22:59:36
姉御ぉぉぉぉ!!助けてくれ!!レールガンがいる!!デッカイやつが!!
- 116二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 23:06:38
まとめ動画になりそう
- 117二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 23:07:39
このレスは削除されています
- 118二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 08:01:34
ほ
- 119二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 08:13:44
地下の広大な通路を、四機の機体が進む。その目前に幾つものMTが現れるが、バルチャーより一回り大きい二つの自律兵器がレールキャノンとヒートキャノンで蹴散らしていく。それらの背中には、先生たちを乗せたコンテナがあった。
「キュル、キュル!」
『シロコさん、バルチャーちゃんが『ホシノの気配を感じた』そうです!』
「分かった。先生とノノミはバルチャーでホシノのところに、セリカとオストリッチは接近してくるMTを迎撃。アヤネとカソワリーは周囲を警戒しつつ援護して」
『グァーッ!』
『分かったわ!』
『ギュンギュン!』
『シロコさんもお気をつけて!』
そうして一行は、隔壁を突き破ったその先でさらに広い空間に出る。目の前には大きなカプセルがあり、シロコは最大望遠で確認。赤い液体の中に人影を見た。
「ん…ホシノ先輩を確認した!」
『こっちも確認したよ!二つもある!』
『それにしても、広いわね…しかも真下を見て!』
セリカの言葉に、シロコは長大な橋の下に目を向ける。そこには幾つもの穴があり、その中には赤い液体が貯められていた。
『ドローンによるサンプル回収と解析、完了しました!これは…石油とかありとあらゆる鉱物資源とは異なるものです!』
『そんなものが、アビドス砂漠の下に眠っていたなんて…』
アヤネの説明に、ノノミは驚きを露わにする。とその時、ガリガリというノイズと共に無線が入ってきた。
『…こえるか、シロ…カイザーが…にかやろ…としてい…!早く脱出…』
「…ん、時間はなさそう。ホシノ先輩を救出したら、急いでここから逃げよう」
- 120二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 08:26:30
カプセルの中に入れられていたホシノと、その隣の人物は、対策委員会に同行してくれたウタハとセリナによって回収された。
『ホシノさんと、隣のカプセルの子を回収しました!』
『ついでにこの施設のデータも回収した!カイザーを糾弾するのにこういう資料は必要だからね!』
「ん、セリナにウタハ、ありがとう。先ずはカソワリーを先頭に、バルチャーがそれに続いて。オストリッチは三番目、私は最後に出る」
それなりの機動力を持つ『プレデター』タイプのカソワリーを先頭に立て、次にバルチャー、それから足が遅い部類になる『ハンター』タイプのオストリッチの三機は、元きた通路へと入っていく。
そうして三機の自律兵器が脱出していく中、シロコは真下に広がる設備を見下ろす。あのカイザーがアビドス自治区の殆どを占拠してまで欲した、謎の物質。これさえなければ、カイザーはこの砂漠を欲する気はなくなるだろう。
そう思い、ヒートハウザーを向けたその時。
『シロコ、各所で爆発が起きてる!急いで脱出するんだ!』
先生の言葉に、シロコは直ちに立ち去ろうとする。がその瞬間だった。
「…!」
突如として、真下から赤い光が噴き出す。そしてそれは瞬く間に『デサート・ファング』を飲み込んだ。
- 121二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 10:07:06
「な、何とか外に出れた…!」
三機の自律兵器はどうにか出口へ辿り着き、地下から脱出することに成功する。
しかし、その周囲に広がっていたのは炎と、無数の残骸の山だった。
「な、何が起きてるの…!?」
『ようやく来たか、対策委員会…!』
とそこに、ラスティの駆るAC『スティールヘイズ』が駆け付ける。見れば片腕はもげており、ところどころ傷だらけであった。
『ヘリは何とか死守出来た…だが、急いで乗り込め!カイザー・グループは基地もろとも全て消し去るつもりだ…!』
「なんだと…!?」
先生がその言葉に驚く中、一機の『カタフラクト』が迫る。そして聞き覚えのある声が聞こえてきた。
『シャーレの先生、貴様のせいで我々は大損だ!この場で貴様を潰してくれるわ!』
「カイザーPMC理事…!」
「雨雲号」に向けて迫る『カタフラクト』に対し、カソワリーが咄嗟に前に出る。そしてヒートキャノンを発射し、『カタフラクト』は大きく仰け反る。
『ぐうっ、自律兵器か…!しかもスカベンジャーシリーズを三機も揃えているとは…!』
「皆、急いでヘリに乗り込むんだ!」
対策委員会の面々は自律兵器の背負うコンテナから降り、「雨雲号」へと乗り込んでいく。最後に先生が乗り込み、カイザーPMC理事の乗る『カタフラクト』が攻撃してくる前に離陸する。
『急げ、奴らは全く見たことのない自律兵器を投じて来ている!大急ぎで逃げろ!』
ラスティが切羽詰まった声で言い、先生は「雨雲号」を操縦するアヤネに向けて言う。
「アヤネ、先ずは安全圏に出よう!シロコなら大丈夫、きっと追いついて—」
とその時、「雨雲号」に着弾。メインローターの片側が吹き飛ばされ、「雨雲号」は砂漠に向けて墜落していった。
- 122二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 10:17:00
- 123二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 10:18:28
このレスは削除されています
- 124二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 10:59:03
カイザーPMC基地の地下施設。その入口から一機のACが現れる。
『やっと来たか…!遅かったじゃないか…』
『気をつけろ、野良犬!カイザーの連中、とんでもないバケモンを抱えていやがった…!』
無線が入り、シロコはその方向を見やる。そこには大破した『スティールヘイズ』とイグアスの『ヘッドブリンガー』があり、直後に『声』が響く。
『…シロコちゃん、敵が来るよ』
『デサート・ファング』は振り向き、武器を構える。そして空から一機の巨大な兵器が降りてきて、禍々しい雰囲気を帯びだしてくる。
シロコはゆっくりと見上げ、それを静かに睨みつける。そして『声』は言った。
『シロコちゃん。貴方の脳波と同期し…『交信』でサポートするね』
- 125二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 15:54:04
『メインシステム、戦闘モード再起動』
それを合図に『デサート・ファング』は再び動き出し、ブースターを焚いて突っ込む。それに対して敵はミサイルを発射し、無数の飛翔体が降りかかる。
『敵機について調べたよ。カイザー・インダストリーが開発した大型無人制圧機体、AAP07『バルテウス』。高機動ミサイル『オザーカ』による面制圧と高性能グレネードによる精密射撃を得意としているみたい。そして機体にダメージを与えるには、展開しているパルスアーマーを剝がさないと…!』
ユメの言葉に、シロコは即座に左腕武装を切り替える。そして真下を潜り抜けて背面に回り、至近距離から光波を叩き込んだ。
対する『バルテウス』も急旋回して機関砲を撃つが、直後にクイックブーストで死角に回り込み、二度目の斬撃を叩き込む。
『パルスアーマーの消失を確認、今だよ!』
半透明のバリアを切り裂いて、『デサート・ファング』は相手の懐に潜り込む。そして頭部へ蹴りを入れつつライフルの銃撃を叩き込む。
空中で繰り広げられる格闘戦を前に、地上で身動きが取れない状態にある『スティールヘイズ』はただ、その光景を見上げるだけだった。
- 126二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 16:44:30
「先生…!シロコちゃんが…!」
「雨雲号」から何とか這い出て、先生はノノミの指さした方へ見上げる。その上空では一機のACが敵の巨大兵器と激しく戦う光景が広がっていた。
「シロコ…!」
『な、何なのあの動き…!?』
『パルスアーマーを剥がしつつ、攻撃を瞬発的に叩き込んでいる…!』
地上から戦闘を見守る立場にある者たちは、その尋常ならざる機動で敵に食らいつく『デサート・ファング』を追いかけることしかできなかった。
そしてその上空で、『デサート・ファング』は獲物に牙を突き立てるかの様にライフルを撃ち、『ムーンライト』でパルスアーマーを切り裂き、キックで地面へ叩き落そうとする。
『現在、通信は途絶しているよ。貴方は今、致死量のコーラルを浴びた直後だから、今は目の前の戦闘に集中して』
ユメの言葉に、シロコは無言で真正面を見据える。ミサイルの雨が降り注ぐ中、『デサート・ファング』は相手の照準を掻い潜る様に左右に飛び回り、攻撃を加えていく。『バルテウス』もマシンガンやグレネードを撃って接近を阻止しようとするが、シロコの目にはその攻撃は余りにも遅く見えていた。
- 127二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 20:23:21
『パルスアーマー展開装置、破壊!もう一押しだよ、シロコちゃん』
ユメの声に、シロコは頷く。そして着地した瞬間、その場の『空気』が変わる。
「で、『デサート・ファング』から高エネルギー反応!でも、コレは…!?」
「シロコ…!?」
先生たちは一斉に『デサート・ファング』へと目を向ける。背部に背負った『グラインドブレード』が展開を開始し、ジェネレーターより赤い光が漏れ出る。そしてその光は靄の様に『デサート・ファング』にまとわり付き始め、その量を増していく。
すると、信じがたいことが起きた。『デサート・ファング』の頭上、何もない筈の空間に青い光が浮かぶ。そしてそれは、明確な形へと変じた。
「あれは、シロコのヘイロー…!?」
普通の生徒には見ることの出来ない晄輪。それを背負い、『デサート・ファング』は飛び上がる。『バルテウス』はミサイルとグレネードを一斉射し、絶対に避ける事の出来ない弾幕を叩き付けた。
が、その弾幕は『デサート・ファング』の纏う赤い光が消し飛ばす。そして右腕にグラインダーと光を巻き付け、その剛腕は『バルテウス』を真正面から穿った。
- 128二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 23:15:52
ユメパイキタ――(゚∀゚)――!!
- 129二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 07:53:46
このレスは削除されています
- 130二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 08:08:03
爆発と共に、機体の半分を粉砕され、全身火達磨となった『バルテウス』は砂漠へと墜ちていく。そして『デサート・ファング』は着地し、『グラインドブレード』を停止させた。
『…シロコちゃん、貴方には休息が必要だよ。それに…』
コックピットの中で、シロコは砂漠の別の方向に目を向ける。そこにはより大きな火柱が聳え立っていた。
『この砂漠には、皆の知らないものがまだまだある。私は、それを知ってほしいの』
遠くで起きた爆発の余波が、熱風となって『デサート・ファング』に吹き寄せる。その光は夕方に差し掛かりつつあったアビドスの砂漠を明るく照らしていた。
- 131二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 08:54:18
【砂嵐の吹き去りし後に】
カイザーPMC基地の襲撃から数日。シロコは再び病院にいた。
「基地施設の地下で大量に浴びたと思われる物質ですが、どうやら向精神薬と同様の作用があるみたいです。それも普通の覚醒剤や向精神薬では致死量のレベルを浴びたのですから、今は治癒に専念して下さいね」
「ん…」
セリナにそう言われ、シロコは小さく頷く。とそこに、先生が話しかけてくる。
「シロコ、今の調子はどうなんだ?」
「ん、調子はいいよ。ただ…頭の中に声が見える様になってきちゃったんだ」
「声…?幻聴じゃないのか?」
「恐らく、先の戦闘で地下施設にあった物質の影響ではないのでしょうか?現在、ウタハさんがミレニアムに戻って、知り合いたちと共に調べているそうです」
セリナの言葉に、先生は頷く。戦闘後、先生は廃墟と化したカイザーPMC基地を調べたが、ホシノが囚われていた空間にはかつての物質は残っておらず、ほぼ全て消失したかの様に思われていた。
「ホシノさんに、同じ場所で保護した方も耳鳴りを訴えていますし、カイザー・グループがアビドスで開発していた未知の新物質が原因なのは明らかでしょう」
「ああ…もう少し、調べていかないとね」 - 132二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 09:28:32
先生とセリナが退室した後、シロコはテレビの方に目を向ける。
ニュース番組ではカイザー・グループの違法行為について報じており、アビドス自治区で起きた爆発と、その余波で起きた自治区外での砂嵐や熱汚染についても論じられていた。
『…シロコちゃん。アビドスで起きたコーラル爆発は、他の自治区にも影響を及ぼしたみたい。連邦生徒会もこれを重く見て、対策委員会を生徒会の後継組織として承認すると共に、砂嵐による被害対策に予算を投じる事としたって』
そう語るユメの声色には、悲しげな感情があった。
『でも、これだけではアビドスに暮らす人々は幸せになれない。私は、どうしたら良いのか知りたいの』
「…ん、そうだね。私も手伝うよ」
- 133二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 09:30:53
スレ立て主です。
午後8時までレス出来る状態になれないので保守ないしレスお願いします。 - 134二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 19:09:01
保守
- 135二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 19:09:44
- 136二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 21:46:36
待機
- 137二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 04:34:48
待機
- 138二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 08:37:52
- 139二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 14:45:50
- 140二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 17:36:53
カソワリー
英語で『ヒクイドリ』の名を与えられた自律兵器。
外見はACVDに出てくる特殊兵器『プレデター』で、ヒートキャノンとヒートロケットによる面制圧攻撃を得意とする。
再起動した際、それぞれに『性格』と呼べる様なものが生まれており、オストリッチが慎重な性格であるのに対し、カソワリーは積極的かつ攻撃的な性格である。
- 141二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 18:47:28
待機
- 142二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 22:13:21
待機
- 143二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 22:13:27
ヘルカイトはいないのね
- 144二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 22:15:18
- 145二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 22:32:12
- 146二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 22:37:25
- 147二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 07:01:25
保守
- 148二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 11:08:46
【名を与える】
その日、シャーレの先生はアビドス高校の保健室を訪れていた。
「…入るよ」
そう言いながらドアを開け、先生はベッドの上で静かに寝ていた少女に目を向ける。その少女はホシノを一回り大きくした様な見た目で、そのホシノと最大の差異である青色の髪が印象的だった。
「…調子はどう?」
先生の呼びかけに対し、上半身を起こした少女は小さく頷く。先生は無言で少女の髪を撫で、その顔を見つめる。
「…まだ、喋れないか…どうしたものかな…」
カイザーPMC基地でホシノと共に保護した少女。先生は彼女の扱いに苦慮していた。何せ言葉を喋らないし、感情が希薄で何を考えているのか分からなかったからだ。
「…とりあえず、外に連れ出してみるかな」
先生はそう言い、傍に設置されている車椅子へ彼女を乗せる。そして校舎の外に出ると、一機のヘリコプターが校庭へ降りて来た。 - 149二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 15:04:06
「…こんなところに連れてきて、どうしたの?」
ミレニアム自治区の中にある工房で、先生は少女を乗せた車椅子を押しながら、ウタハに尋ねる。
「実は、とあるメカニックと協力関係を築いたばかりでね。リハビリテーションのついでに試作品のテストを頼む事としたんだ」
「試作品…?それにリハビリって…」
三人は通路を進み、やがて広大なガレージに辿り着く。するとそこには、一機のACが置かれていた。
「…すでに聞かされていると思うが、彼女には機械との物理的な接続を目的としたインプラントが確認されている。恐らくはAC操縦のための神経接続デバイスだろう」
入院させる時にセリナから聞かされた話だった。ウタハは説明を続ける。
「そこで、彼女にはACに乗ってもらい、身体の動かし方を覚えてもらう事とした。この試作品は外部からの遠隔サポートも盛り込まれている。歩く事ぐらいは出来る様になるだろう」
- 150二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 20:33:23
『搭乗を確認。接続は出来た?』
ウタハの問いに対し、コックピット内で作業を手伝っていた先生は答える。
「接続完了したよ。でも、これでちゃんと歩ける様になるの?」
『わざわざ物理的に機械と接続するための手術が施されているんだ、やってみる価値はあるさ。先ずは歩かせてみよう』
その言葉に、先生は疑心を持ちながらもコックピットから離れる。そして距離を取ったところで、ウタハはタブレット端末でACを遠隔操作し始める。
ACはゆっくりと歩き始め、先生はそれを見上げる。そしてウタハはインカムで指示を出す。
「先ずは右に曲がってくれ。そしてそこで停止。それから1秒後に反転」
簡単な指示が出され、ACはその通りに動く。ウタハ曰くタブレット端末は基本的な行動パターンをAC本体に指令するのみであり、後は搭乗者が外部からの指示に応じて操縦するのだという。この様子を見るに、ACの操縦能力は確実にあることが伺えた。
「…仮説になるけど、恐らく彼女はACの操縦のみを目的に作られている。遺伝子検査したところ、小鳥遊ホシノの遺伝子から作られた人造人間である可能性が高い」
- 151二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 20:41:12
「人造人間…」
「感情とか、生物としての能力の一部が欠落しているのは、最初からACに乗せて使うつもりだったんだろう。それにあの時採取したデータによると、ある程度完成したところで四肢を切断して機械化する予定も見られた。歩こうとしたりモノを持つ様に出来なかったのは、『その身体でやること』じゃなかったからだろう」
ウタハはそう説明し、先生の表情が歪む。やがて全ての動作が完了し、コックピットが開かれる。すると少女は自身と物理的に繋がっていた端子を外し、軽やかな足取りでコックピットから降りてきた。
「うん…検証は成功だ。やはりACに乗せて基本的な動作を『学習』させると、その動きを覚える様だね」
「…ありがとう、ウタハ。それと、このACを用意してくれた人にも感謝を伝えてくれるかな?」
先生はウタハにそう言い、ウタハは笑みを浮かべて頷いた。
- 152二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 20:54:11
「さて、後は彼女の名前だけど…」
ミレニアム自治区の中にあるカフェで、先生は呟く。先の『リハビリ』によって手足の使い方を覚えたのもあり、少女は紙コップを手に持ってジュースを飲んでいる。これまでは第三者に介護してもらいながら食事を取っていた時から随分と進歩したものである。
「…そういえば、基地で保護した時にドローンで撮影とかしてたな。アロナ、その時のデータ見せてくれる?」
『分かりました!こちらに投影します!』
アロナは『シッテムの箱』の画面に幾つもの画像を投影し、先生は一つずつ見る。そして彼女が入れられていたカプセルの写真と、それに付随していたデータに目を通した。
そのカプセルで管理されていた彼女には、暫定のコードネームとして『人造タイプ強化人間C4‐621』という名称が割り振られていた。それを見つめること一分。
「…アロナ、頼み事をしていいかな」
- 153二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 22:58:39
おや、こんなところに621が…
- 154二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 08:20:26
アビドス高校に戻って少したった頃。少女は対策委員会の部室に呼ばれていた。
「来たね。じゃ、これを渡すよ」
対策委員会の面々が見つめる中、先生は学生証を手渡す。それには名前が書き込まれていた。
「『四代ムツイ』…それが、貴方の名前。これから貴方に、ここにいる意味を与えて上げる」
先生は誇らしげに言い、少女は無言で真正面から見つめた。
その日、アビドス高校廃校対策委員会は、六人目の仲間を迎え入れた。
- 155二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 10:41:23
四代ムツイ
所属 アビドス高校廃校対策委員会
カイザーPMC基地襲撃時、ホシノが囚われていた施設にて保護された少女。
エンジニア部や救護騎士団の調査や身体検査等により、ホシノなど複数人の遺伝子を元に作られた人造人間である事が判明しているが、その事を知っているのはシャーレの先生とウタハの二人のみである。
感情の起伏というものがなく、普段は何も考えずに静かにしている事が多い。 - 156二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 11:21:33
待機
- 157二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 19:34:52
待機
- 158二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 22:49:18
【初めての依頼】
四代ムツイはアビドス高校の一室で寝泊まりしていた。彼女にとって家と呼べるものはなく、仕方なくという形でアビドス高校の設備を利用していた。
『ムツイちゃん、先生から連絡が来てるよ』
と、そこに『声』が聞こえてくる。ムツイはその声を『見る』事が出来た。
『ミレニアムの方から複数の依頼がきてるから、それを手伝ってほしいんだって。取り敢えず内容を確認してみましょう?』
ムツイは無言で頷く。そして静かに立ち、ガレージの方へ向かっていった。 - 159二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 08:32:01
ACで移動する最中、コックピット内でムツイは先生と回線を繋げる。
『ムツイ、聞こえているかな?今回依頼を出してきたのはミレニアムのセミナー。先ずはブリーフィングを確認してみて』
そしてコックピット目前の画面に、複数のウィンドウが展開される。
『回線繋がりました。ミレニアムサイエンススクールのセミナーにて会計を務める、早瀬ユウカと言います』
『今回の依頼は、ミレニアム自治区内にある工場の調査です。この工場ではレッドウィンターにて発見された未知の物質の研究が行われており、我々セミナーにも貢献してくれていました』
『ですが、この工場では見たことのない兵器の開発も行われており、これの監査を行うこととなりました。シャーレの先生には、監査のための先行調査を依頼致します』
『こちらの依頼をお受けして頂ける事をお待ちしております』
ブリーフィングが終わり、ユメが話しかけてくる。
『工場の調査だって。まるで冒険だね』
『見たことのない兵器が開発されているそうだから、ちゃんと注意してね』
そうして通信が終わり、ムツイは機体をミレニアムの方へ向けた。
- 160二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 11:41:11
- 161二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 12:29:17
暫く経って、ムツイはエンジニア部の工房に辿り着く。ガレージに着地し、コックピットから降りる中、ウタハが多目的椅子ロボット『雷ちゃん』に腰掛けながらやってきた。
「久し振りだね、ムツイ。調子はどうだい?」
「…良好」
小さく呟き、そしてタブレット端末を手渡してくる。
「ACのチューンアップを頼みたい。シャーレの先生から依頼を受けてるから、即座に頼む」
「分かったよ。しかし、ACにちゃんとした名前でも付けておかないとね…」
ウタハはそう言いつつ、タブレット端末を操作する。とそこにシロコも『デサート・ファング』に乗ってやって来た。
「ん、二人とも久し振り。セミナーからのばらまき依頼を受けてやって来た。ついでに整備も頼むね」
「奇遇だね、シロコ。そういえば二人とも、連邦生徒会の防衛室が傭兵支援システムなるものを採用したという話を聞いてるかい?」
「ん、レイヴンに対して弾薬費や修理費の一部負担や依頼の斡旋などを行なってくれるアレだよね?あと『アリーナ』っていう戦闘シミュレーションプログラムもあるとか…」
シロコの説明を聞き、ムツイは無言で見つめる。そしてウタハは整備用ドローンを展開しつつ、二人へ話しかける。
「ところで、ムツイのACの名前をどうするのか、考えているかな?名無しのままだと寂しいだろう?」
「ん…そうだね…」
- 162二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 12:46:33
- 163二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 12:59:52
それから十分後、『サンドクロウ』は工場の目の前に辿り着く。敷地はそれなりに広く、至る所にMTが配置されているのが見えた。
『MTを確認したよ。それじゃ、仕事を始めましょう』
ユメの言葉に従い、ムツイは前へ進み始める。とコックピット内にアラートが鳴り響き、咄嗟にブースターを焚いて砲撃を避ける。
ムツイは即座に発射元を特定して捕捉し、ミサイルを発射。両腕に装備したバーストライフルでMTを次々と撃破していく。
『なんだぁ?見ねぇツラだなぁ?』
とそこに一機のACが現れ、グレネードを発射。『サンドクロウ』は回避し、相手を見やる。
『ボス、見てて下さいよぉ!この無敵のラミーめが、客人をもてなしてやりますんで!』
黄色いACはそう言いながら腕を振り回し、『グラインドブレード』をより小型化させた様なチェーンソーをぶつけてくる。それもバックステップで回避する中、ユメが報告してきた。
『相手ACについて調べたよ、ムツイちゃん!相手のレイヴンの名前はインビジブル・ラミー、ACの機体名は『マッドスタンプ』!アリーナとかいうシミュレーションにも登録されてるけど、ランキングは最下位だって!』
- 164二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 13:20:05
ユメからの報告を聞きつつ、ムツイは冷静に相手の挙動を観察。そして動きが鈍った瞬間を見て一気に距離を詰めた。
『ぐっ、ビジターの癖に中々やるな…!でもこの『マッドスタンプ』に勝てるものかよ!』
黄色いACこと『マッドスタンプ』は多連装グレネードを撃ち、チェーンソーを振り回す。しかしムツイは左右に跳ねて回避し、背後に回り込む。そしてパルスブレードを展開し、相手の背中を叩き切る。
駄目押しとばかりに『サンドクロウ』は蹴飛ばし、『マッドスタンプ』は全身から炎を噴き出しながら壁を突き破っていった。
『お、俺の『マッドスタンプ』がぁぁぁぁぁ!!!』
『敵ACの撃破を確認。先に進もう』
ユメの報告を聞き、ムツイは突き破られた壁から内部へと侵入する。とそこに広域放送が響き渡る。
『ビジター!随分と好き放題に暴れ回ってる様だね。私らRaD(ラッド)は、来る者は拒まないのがモットーだ。せいぜい歓迎しようじゃないか』
『…成程。せっかくの機会だから、歓迎に応じてみましょう』
ユメの言葉に、ムツイは無言で頷いた。
- 165二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 13:49:36
工場の敷地内に入り、ムツイは辺りを見回す。とユメが話しかけてくる。
『広域放送の主について調べたよ、ムツイちゃん。レッドウィンター自治区で採掘される鉱物資源を向精神薬として利用する不良集団『ドーザー』…その一派であるRaDの頭目、カーラ』
『彼女がジャンク技師やハッカー集団を率いてミレニアムに来たのは凡そ二年前。それから僅か半年で勢力を拡大し、ここミレニアムにおけるAC市場のシェアの多くを持っているんだって』
ユメの説明を聞きつつ、ムツイは先へと進んでいく。とそこに数機のMTが現れ、複数方向から攻撃を仕掛けてきた。
『ムツイちゃん、MTはほぼ全てがAI制御みたい。それに、コーラルとは異なるエネルギー反応もあるよ。十分に注意して!』
ムツイはブースターを焚いて飛び回り、MTを次々と撃破して先へと進んでいく。さらにダンゴムシの様なMTも奇襲を仕掛けてくるが、ムツイは武装を展開した瞬間にバーストライフルを撃ち、瞬時に返り討ちにしていく。
そうして迫る敵を全て撃破し、『サンドクロウ』は前へと進んでいく。そして一つの扉の前に辿り着いた。
- 166二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 18:51:26
『…ビジター、アンタは向こう見ずだね。嫌いじゃないよ、そういうヤツは』
目前の扉が開かれていく中、カーラは語る。そしてムツイは目前に新たな反応があることに気付く。
『でも…ここまでだ』
直後、一機の巨大な機械が迫りくる。『サンドクロウ』は真横に飛び退き、一定の距離を取りながら撃ち始める。
『ひぃんっ!だ、騙された…』
『さーてビジター、アンタはこの『ガードクリーナー』に勝てるかな?』
ムツイは改めて、敵に目を向ける。それは一対の巨大な腕を持った大型機械で、背部には巨大な目玉の様な機械を背負っていた。
『か、解析完了したよ!機体名『ガードクリーナー』、両腕部のグラインダーブレードと背部のレーザーターレットに警戒して!レーザーターレットはレーザー発射時に装甲板を展開するから、攻撃するならその時を狙って!』
ユメのアドバイスを聞き、ムツイは相手の挙動を見る。『ガードクリーナー』はレーザーターレットからグレネードを放ち、周囲は炎に包まれる。そうして動きを制限したその瞬間、レーザーターレットの砲門が開かれる。
刹那、緑色の閃光が輝き、背後の壁が溶け落ちる。そして発砲直後を狙い、バーストライフルを撃った。
- 167二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 19:32:40
バーストライフルの一撃がレーザーターレットを揺らし、それを合図に『サンドクロウ』は一気に迫る。パルスブレードが砲門を砕き、緑色の粒子がその場にまき散らされる。そうして動きが鈍ったところで、ムツイは真正面の複合センサーへと迫った。
バーストライフルの銃口がセンサーへねじ込まれ、ゼロ距離で発射。そうして割れた個所に向けて、冷却を終えたパルスブレードをねじ込んだ。
刹那、『ガードクリーナー』の全身から火花が噴き出し、そしてついに沈黙する。ムツイは即座に下がり、警戒を続ける。直後、広域放送で大きなため息が流れた。
『…ビジター、私たちは不幸な出会いだった。どうやらアンタとは仲良くした方がよさそうだね』
『…戦闘終了したね。とりあえず先生にレポート用意しようか』
ユメの言葉に、ムツイは小さく頷いた。
- 168二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 22:28:31
AC『サンドクロウ』
ムツイに与えられたAC。ACフレームとしては汎用性に長けたアセンブルが施されており、あらゆる敵に対応できる。
見た目はAC6のLOADER4。 - 169二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 06:24:37
『ガードクリーナー』
ミレニアムの武器商人『RaD』が開発した無人重機。
背部にミレニアムの企業が開発した高出力レーザーターレット『ソルディオス』を装備しており、高い火力を誇る。 - 170二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 09:56:36
待機
- 171二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 10:22:30
【私はアリスです】
RaD工房
カーラ「ビジター、こうして顔を合わせるのは初めてだね。早速だがアンタの雇い主に会いたいんだけどいいかい?」
ムツイ「…了解した。少し待って」
ムツイ『ユメ、先生は何処に?』
ユメ『先生は今…ゲーム開発部の部室にいるね。ゲーム開発部からの依頼を受けて廃墟に行ってたみたい』
ムツイ「…シャーレの先生なら、今ゲーム開発部の部室にいる。案内しようか」
カーラ「それはありがたい。チャティ!ラミーの手当ては任せたよ!」
チャティ「了解した、ボス」
カーラ「しかし、あの噂のシャーレの先生に雇われているとはね…それにその校章、アビドスのだろ?」
ムツイ「…」
カーラ「おしゃべりは余り得意じゃない方か。まぁいい、先生って奴に聞いてみることにするよ」 - 172二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 11:04:18
ゲーム開発部部室
ムツイ「先生、入るよ」
先生『ん?ムツイか。どうぞ』
カーラ「失礼するよ。アンタがビジターの雇い主かい?」
先生「おや、貴方は…」
モモイ「あっ、カーラ姐さん!工房の外に出てるなんて珍しいね」
ミドリ「先生、この人が例のエンジニアさんです。ちょくちょくエンジニア部に助言してくれてる人なんですよ」
カーラ「改めて、名乗るとするか。私がRaDの元締めのカーラ、『灰かぶり』のカーラさ。宜しく、先生」
先生「よろしく、カーラ。ムツイが世話になったみたいですね」
カーラ「礼を言うのはこっちの方さ。コイツが使っているAC、実は私らが作ったフレームなんだ。それを大切に使ってくれてるみたいで何よりだよ」
先生「あっ、そうだったんですか。それは知りませんでした…」
- 173二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 11:23:02
カーラ「で…そこでゲームしてる娘は誰だい?新入りかい?」
???「…?」
モモイ「あっ、えっと…」
ミドリ「ど、どうするの…?カーラ姐さんに全て話す…?」
カーラ「おいおい、私を何だと思ってるんだい。安心しな、セミナーには言わないよ。素直に喋りな」
カーラ「…廃墟で拾った、ねぇ…どの辺りだい?」
先生「確か、シッテムの箱にログがあった筈…これだこれだ」
カーラ「ここは…おいおい、随分と無茶したねぇ。よりによって『タワー』の中かい」
先生「…『タワー』?」
カーラ「ああ。ミレニアムのみならず、キヴォトスの各地に点在する謎の遺跡のことさ。大昔の古代文明の産物らしいが、詳しいことはよく知られてないんだ。まさかそこに足を踏み入れるとはねぇ…」
モモイ「えっ、そうだったの…!?何か珍しい場所だな、としか思って見なかった…」
カーラ「…モモイには大嫌いなお勉強の時間が必要なみたいだね。今度のテストで笑えない事になる前に、ちゃんと知識を鍛えておきな」
- 174二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 11:34:59
あちこちのシリーズから出張してるけど、機体のサイズは各シリーズ準拠?それともどれかのシリーズに統一?
- 175二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 11:39:38
機体サイズについては、『ACの企業ごとの規格世代』という形で各シリーズ順序にしています。
カイザー・インダストリーが開発・生産している第一世代型AC→全高5メートルから7メートル程度のVシリーズ系統AC
キヴォトス三大校に拠点を持つ企業が開発・生産している第二世代AC→全高10メートル程度の4シリーズ及び6シリーズ系統AC
- 176二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 11:50:54
【廃墟の冒険】
ミレニアム自治区の郊外に広がる、廃墟と化した街並み。その中を二機のACと一機のヘリコプターが進む。
『貴方たち、随分と珍しい依頼を出すわね。廃墟で宝探しなんて、相当無茶よ』
ヘリコプターのキャノピーから、操縦士のロザリィはキャビンにいるゲーム開発部の面々に話しかける。その真下には二機のACの姿があった。
『たまにはこんな仕事も面白いだろ、ロザリィ?この前もヒマリの奴から『ゴミ拾い』の依頼を受けてたそうじゃないか』
『それはそうと姐さん、この辺りはヤバいっすよ。『粒子濃度』もそこそこ高まっているし、さっさと目当てのモノを見つけてずらかりましょう』
『粒子濃度?』
先生が首を傾げると、ロザリィと共にパイロットを務める少女が説明を始める。
『ここミレニアムでは、次世代の新エネルギーとして廃墟から見つかっている鉱物を使った、『コジマ粒子』っていうモノを研究してるんです。でもそれはエネルギー効率が非常に高くて汎用性もバツグンなんすけど、汚染の問題から軍用に限定されてるんす』
『それでも、先代セミナー会長の手で除染技術や毒性を除去する技術が確立して、安全に使える様になってきたんだけどね…』
そう話していたその時、ヘリコプターのキャノピーにアラートが鳴り響く。その方向に目を向けると、そこには一機のACと数機のMTの姿があった。 - 177二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 12:12:57
『アレは…第一世代型AC…!?』
『気をつけな、アリャ最近このミレニアムでチラホラ見かける様になったミグラントだ!』
ユメが驚きを露わにする中、カーラの乗るAC『フルコース』は即座に照準し、ミサイルを撃ちまくる。そして牽制射撃を仕掛けつつ説明する。
『アイツは純粋にヤバい奴だよ。負けた相手のACを必ず逆さまに吊るし上げる事で有名なんだ。そこからエンブレムも含めてアイツはこう呼ばれている…『逆吊り男(ハングドマン)』ってね!』
そう語る最中も、敵ACはレーザーライフルとバトルライフルの二丁持ちで撃ちながら迫り、そして『フルコース』を蹴飛ばした。『ぐっ…!』
『カーラ…!』
ロザリィは即座にヘリコプターに装備しているロケット砲を撃ち、しかし『ハングドマン』はレーザーライフルでそれを撃ち落とす。そしてレーザーライフルを持ち替え、ヘリコプターへ突っ込んだ。
と、そこへ『サンドクロウ』は一気に迫り、真横からパルスブレードを振り下ろす。そしてバトルライフルを叩き斬り、連撃として回し蹴りを加えた。
『ビジター!』
「カーラ…!」
ムツイは即座に次の目標へと狙いを定め、ミサイルを発射。MT一機を撃破する。とそこで『ハングドマン』は下がり、暫し一同を見つめる様に佇む。
- 178二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 12:24:49
『ムツイちゃん、大丈夫…?』
ユメが不安そうに語りかけてくる中、ムツイは静かに相手を見つめる。とその時、頭の中に『声』が響いた。
『ほう、コイツは面白い。アビドスの生徒会長と、役立たずのホルスの遺伝子を混ぜて作ったお人形と、生徒会長サマの亡霊がシャーレに協力してるとはねぇ』
『っ…!?』
その声に、ユメは息を飲み、ムツイも警戒心を露わにする。その声は何故か聞き覚えがあり、却ってそれが警戒をより高めることに繋がったからだ。
『さーて、お前たちの力を知ることが出来たし、そろそろ帰るとしますかね!それまで生きてる保障はないだろうけどね、うへへへへへ!!!』
笑い声を響かせ、『ハングドマン』はその場から立ち去る。一同はそれを見送ることしか出来なかった。
「何とか、『G.Bible』のデータも手に入れることが出来た…後はヴェリタスで解析してもらおう」
廃墟から戻り、モモイたちはヘリコプターから降りていく。ムツイも『サンドクロウ』から降り、彼女たちの後に続く。
とそこで、アリスがムツイに話しかけてきた。
「ムツイさん、少しいいですか?実はあの時、アリスはあのACから『声』が見えました。何かムツイさんに向けて話しかけていたみたいですが、アレは一体何だったのでしょうか?」
「…」
その問いに、ムツイは直ぐに答えることは出来なかった。
- 179二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 13:08:03
【『鏡』争奪戦】
その日の昼頃、セミナーのあるビルは大騒ぎになっていた。
「光よ!」
レールガンが次々と施設を破壊していき、アリスはその中を駆けていく。そして新たな扉の前に辿り着こうとしたその時、真横から大量の銃弾が飛んできた。
「きゃっ…!」
足が止まったその時、アリスの目前に一人の少女が現れる。桃色の髪をショートカットにまとめたその少女は、笑みを浮かべながらアリスを踏みつけた。
「馬鹿正直に正面突破を図ろうなんて、無茶するねぇ。まぁ嫌いじゃないけどさ、うへへへへっ!」
弾幕の後に投げ飛ばし、床面に組み伏せたところで、ユウカとアカネが駆け付ける。そしてその後ろには、一人の金髪の少女がいた。
「お見事です、ウツロ主任。彼女が例のゲーム開発部の新入部員ですか」
「中々やるよ、コイツは。この後是非ともスカウトしたいところだね」
「ですがその前に、ちゃんと捕縛して反省部屋に放り込みましょう。今はただ、セミナーからの依頼に応じるだけです」
二人はそう話しながら、アリスを連れて行った。 - 180二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 14:16:14
アリスがセミナーで暴れたその日の夜。セミナー内部を三人の少女と一人の大人が走る。
「先生、ハッキングやセミナーへの妨害は無事に進んでる模様。もうすぐ『鏡』のある保管庫に到達する」
タブレット端末を手に、ムツイは報告を上げる。廃墟で得られた『G.Bible』のデータを解析するためのツールである『鏡』を、セミナーから奪うための今回の潜入にて、ゲーム開発部とヴェリタス、そしてエンジニア部の面々は様々な策を講じていた。
まず、監視カメラや警備システムに細工を仕込み、セミナーとビルの警護を任されたC&Cの面々を隔壁で分断。そうしてメインとなるモモイとミドリが動けるルートを確保していた。
さらに外から狙撃を仕掛けてくるカリンに対しても、ウタハがドローンを連れて対応しており、ここまでは順調に進んでいた。
『ムツイちゃん、警備システムのハッキング完了したよ!エンジニア部がペーパーカンパニーを介して仕込んだもの以外のシステムも、何とか干渉出来た!』
ユメが報告を上げ、ムツイは小さく頷く。そして先生に視線を向けた。
「先生、間もなく目標地点に到達する。これで、私たちの目的は—」
- 181二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 14:29:54
「ところがぎっちょん!」
と、そこに銃弾の雨が降り注ぎ、ムツイはモモイたちを庇う。そして目前に一人の少女が現れ、ムツイを蹴飛ばした。
「む、ムツイさん!?」
「回り込まれた…!?」
一同がどよめく中、笑い声が響く。そして先生は相手を見て言葉を失った。
「うへへへへへっ!見てたよルーキー!中々やるじゃない?ちょっと時間がかかったけどねぇ!」
「ホシノ…!?でも、髪とかが違う…!」
先生が驚きを露わにする中、さらに一人の少女がドローン軍団を連れて現れる。そして先生に視線を向けながら言った。
「お初にお目にかかります、シャーレの先生。私たちはセミナーに雇われてこちらに参りました。申し訳ありませんが、ここから先には行かせません」
そう語る少女の隣に、ユウカやノア、アカネにアスナも現れる。明らかに数的不利にあった。
「せ、先生…!どうしよう…!」
モモイが弱音を漏らす中、先生は桃色の髪の少女に視線を向ける。そのホシノに良く似た少女は、ニヤニヤと笑いながら話しかけてきた。
「さーて、シャーレの先生。こっからどうするつもりかな?先に言っておくけど俺は厳しいよ?このまま大人しくしてくれると助かるんだけどねぇ」
少女はそう言いながら、右手に持つアサルトライフルの銃口を先生に向けた。
- 182二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 18:57:34
その時だった。突如として背後のエレベーターが動き、その扉が開かれる。そしてそこから閃光が迸り、オートマタやドローンが吹き飛ばされる。
「…!?」
「何…!?」
想定外の不意打ちに、アスナが壁の向こうまで吹き飛ばされ、ユウカにノア、アカネも爆風に圧される。その中で一人だけ、これに対応できた者がいた。
「うへへへっ!やるじゃないか!」
「モモイ、ミドリ!今です!」
アリスは『光の剣』を振るいながら少女と相対し、四人は急ぎエレベーターへ走る。とそこへ金髪の少女が迫るが、ムツイは即座にアサルトライフルを構え、応射した。
「ぐっ…逃がしま—」
『今…!』
さらにユメがドローンをハッキングして二人にぶつけ、その隙にアリスが砲撃。ホシノに似た少女をも壁の向こうへと吹き飛ばした。
そして四人がエレベーターの向こうへと姿を消し、金髪の少女は深くため息をついた。
「…逃げられましたか。むしろ、こうなる事も想定していたのですか?」
セミナーのビルにて繰り広げられた戦闘とその顛末を、様々な手段で観測する者たちが三人。
「…成程、アレが例のゲーム開発部の…」
「…まさか、セミナーの雇ったミグラントとそのドローンを蹴散らすなんてね。しかも高度なハッキングが行われた形跡もある」
「どうだい、二人とも。随分と面白い子たちだろ?」
- 183二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 20:16:51
【新たな力】
ミレニアムプライスの授賞式から数日後 RaD工房
アリス「カーラさん!アリスもACが欲しいです!」
カーラ「藪から棒に言うねぇ、アンタ。どういう風の吹き回しだい?」
シロコ「ん、私とムツイの模擬戦とか、ネルのACを見て乗りたくなったんだって」
ムツイ「それに、私がいない時に自力で皆を守れる様になりたいって」
カーラ「成程ねぇ…既存のフレームの使い回しだと面白くもないし…ここは敢えてエンジニア部の連中とつるんでみるかね。チャティ!ウタハを呼んできな!」 - 184二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 20:34:03
ウタハ「随分と珍しいリクエストをしてきたものだね。で、どういうACに乗りたいんだい?」
アリス「アリスらしい、勇者の様なACが良いです!そしてネル先輩に勝てる様な感じの機体が欲しいです!」
ウタハ「ネルに、か…これはまた、随分と贅沢な事を…」
カーラ「となると、新規設計が必要になりそうだね…それに、今ある技術だけでは駄目だね…」
チャティ「…ボス、今かなり無茶な手段を考えてないだろうな?」
シロコ「…もしかして、あの『タワー』でゴミ拾いする気?」
カーラ「いいや、ミレニアムの『企業』にちょいと声をかける。レッドウィンターで見つかった『コーラル』って奴を利用したい連中は、技術実証の機会を欲しがってたからねぇ。首を振る奴はそうはいないさ」
- 185二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 22:27:27
1時間後 RaD工房前
モモイ「…随分と多くの人が集まってきたね」
コトリ「ミレニアムで最大の企業勢力であるインテリオルに、トリニティでアーキバス傘下にあるシュナイダー・ローゼンタール社、ブースターの名家ファーロンまでも…!」
カーラ「本来、ACの新型フレームってもんは企業単独で開発することが多いんだが、今回は知恵が多い方が良いからねぇ。知り合いに声をかけてみたのさ」
アリス「わぁっ…!カーラさん、ありがとうございます!」
カーラ「さて…ACの設計図が完成する前に一つ、済ませておくべき事をしておくかね。ビジター、先生を呼んどいてくれ」
- 186二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 07:19:36
保守
- 187二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 08:46:28
【その名は『鍵』】
「先生、それにアリスとモモイ、ちょっといいかい?」
アリス用ACの設計が開始された頃、カーラは先生やアリス、そしてモモイに声をかける。
「カーラさん、どうしましたか?」
「『G.Bible』のデータを解析する際にモモイのゲーム機を借りたんだがね、その際別のデータも入っていてね。ビジターの協力もあって解析が終わったところなんだ。こっちに特殊なVR装置があるから、その『中身』を見てもらおうと思ったのさ」
「別の、データ?」
カーラの言葉に、先生は驚きを露わにする。するとモモイが尋ねて来た。
「にしても、どうしてVRなの?それに先生ならともかく、私とアリスにだけ話すなんて…」
その問いに対し、カーラは珍しく無言を返す。そしていつもの笑みを消し、真顔で言い始めた。
「モモイ。これはアンタに直接知ってもらうためだ。私がどうしてここミレニアムに来たのか、その理由をね」
カーラが作ったVR装置に入り、起動。一行は仮想現実の中に入り込む。そして目を開いた時、彼女たちの目の前には広大な空間が広がっていた。それもモモイたちにとっては見覚えのある場所だった。
「ここは…廃墟?しかも、アリスと出会った場所だ…」
「おっ、成功したみたいだね。ここはモモイたちがアリスと出会った場所を再現した仮想空間だ。ゲーム機に『G.Bible』と共にインストールされてたデータが面白いモンだったからね」
いつの間にか背後に立っていたカーラはそう言いながら、隣に立つアリスの頭を撫でる。
「面白い、データ?」
その言葉に首を傾げた、その時だった。
「…成程。王女を利用してこの空間に誘い出したというわけですか。実に悪趣味です」 - 188二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 17:55:13
背後から声をかけられ、一同は振り向く。
そこには、一人のアリスによく似た少女の姿があった。
「えっ…!?」
「アリスが、もう一人…!?」
「…いや、正確にはアリスの姿を借りて現れたプログラムだ。『G.Bible』のデータに紛れ込んでモモイのゲーム機に忍び込んできてたのさ」
カーラはそう語りながら、アリスの前に出る。そして少女は紫色の瞳を向けながら言った。
「…私の名はKey。名もなき神々の王女AL‐1Sに仕えし者であり、アトラ・ハシースの箱舟の玉座へと王女を導く鍵。貴方がたは王女にとって不要な存在です。この場で排除します」
Keyはそう言い、手を伸ばす。とその時、周囲に複数のドローンが現れる。そしてそれは半透明の壁を作り、Keyを隔離した。
- 189二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 21:39:10
「悪いね、アンタがアリスへ手を出そうとしてくるのは見えてた。ビジターが仕込んでくれて助かったよ」
カーラはタブレット端末を操作し、Keyを光の檻の中に閉じ込める。とそこでムツイも現れ、そしてさらなる操作を行う。
「…ここで貴方を消去するのは容易い。けれどまだ分からない事が多いから、少し大人しくしてもらう」
直後、光の檻はKeyと共に姿を消す。ムツイは操作を終え、モモイたちに顔を向けた。
「む、ムツイさん…彼女はどうなったの?」
「カーラが用意したタブレット端末に封印した。あの『タワー』由来のプログラムかもしれないから、解析のためにより安全な端末に移植した」
「安心しな、二人とも。ともあれこれで、アリスは安心して暮らす事が出来る様になる」
カーラはそう言い、アリスの頭を優しく撫でた。
- 190二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 05:13:03
- 191二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 11:10:47
「…おや、『王女』から『鍵』を隔離したのか。察しが良いようだね」
「どうするの?計画は大きく狂う事になるけど…」
「それなら大丈夫さ。すでに傭兵支援システムは稼働し始めている。我々はただ、新たな力を作るのみだよ」
- 192二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 13:30:33
【登録】
シャーレ・オフィス
シロコ「先生、例の傭兵支援システムに登録しに来た」
ムツイ「私も同じく」
先生「そういえば、二人ともこれまで忙しくて出来ていなかったね…早速登録してみようか。ACのデータはある?」
シロコ「ん、紙とデータ双方用意済み」
ユメ『ムツイちゃん、シロコちゃん、この端末から登録作業が出来るみたい。レイヴンとしてのアカウント制作を手伝うよ』
『砂狼シロコ、及び四代ムツイ。両者の認証を完了。ユーザー権限を付与します。傭兵支援システム『オールマインド』へようこそ』
『砂狼シロコ、四代ムツイ、両者の独立傭兵としての活動をお待ちしております』
シロコ「ん、簡単に終わったね」
ムツイ「これで、修理費で対策委員会を困らせる事はないだろう」
先生「その分、しっかり稼がないとね。二人とも頑張って!」 - 193二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 13:53:29
- 194二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 14:03:18
- 195二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 14:30:43
後は埋めても大丈夫です。
それと、とあるスレの人にちょっと助力を頼もうかと思います。 - 196二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 21:03:25
埋め
- 197二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:44:57
埋め
- 198二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 08:34:43
埋め
- 199二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 15:57:35
梅ます
- 200二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 17:58:12
完結しました!