- 1125/05/16(金) 22:12:52
- 2125/05/16(金) 22:13:05
前スレ
【クロス注意】幼馴染inNRC Part15|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼プロローグ
【クロス注意】ここだけ|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>個性は dice1d3=@2 (2)@1. 二人とも使えない2. かっち…bbs.animanch.com▼第一章
【クロス注意】幼馴染みinNRC|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第二章
【クロス注意】幼馴染inNRC Part3|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第三章
幼馴染inNRC Part5|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第四章
【クロス注意】幼馴染inNRC Part8|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第五章
【クロス注意】幼馴染inNRC Part11|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com▼第六章(進行中)
【クロス注意】幼馴染inNRC Part13|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com - 3125/05/16(金) 22:13:24
- 4125/05/16(金) 22:13:36
素敵な支援SS様
……ノーコメントで | Writeningパソスト風じゃなく普通のSSです。お目汚し失礼。 登場人物:出久+勝己+グリム+エース+デュース+ジャック+エペル+セベク ふわっと頭に浮かんだワンシーンを書きたいなと思ったらなんか長くなってしまいました…writening.netなんてことない普通の日 | WriteningパソストではなくSSです、ご注意を。 登場人物 トレイ・クローバー 尾白猿夫 砂藤力道(名前のみ) 個人的に尾白くんとトレイ先輩は仲良しであってほしいなぁと思う今日この頃。 アリアーブ・ナーリヤとかいっ…writening.netマスターシェフ〜地獄のニラ〜 | Writening登場人物:轟、リリア、砂藤、トレイ、エペル、デュース、エース、麗日、峰田、青山、学園長 ちょっと体調不良表現あるので苦手な方要注意、なんでも許せる人向け 「食」それは生命の礎。 清き海。強き山。優…writening.netもぎもぎパニック!ドアと化したフロイド | Writening登場人物:フロイド、峰田、緑谷、エース、デュース、ラギー、カリム、ジャミル、ルーク、リドル、セベク、飯田、イデア、オルト キャラエミュ間違い、キャラ崩壊あるかも なんでも許せる人向け 「おーいエ…writening.netドキッ!漢だらけの新メニュー決定戦〜飯テロもあるよ〜 | Writening登場人物:アズール、ジェイド、フロイド、ラギー、青山、飯田、上鳴、切島、瀬呂、砂藤(回想のみ) キャラエミュ間違いあったらスマソ、後半キャラ崩壊あるかも 何でも許せる人向け 「……皆さんが集まっていた…writening.net - 5125/05/16(金) 22:13:51
- 6125/05/16(金) 22:14:09
- 7125/05/16(金) 22:14:28
現在好感度まとめ
【出久→相手/相手→出久、 爆豪→相手/相手→爆豪】
*😺グリム 95/97、 58/47
*❤エース 100/100、 42/88
*♠デュース 100/100、 100/93
*🌹リドル 61/70、 57/94
*🔶ケイト 99/100、 85/87
*☘トレイ 30/27、 60/40
*🦁レオナ 18/65、 36/16
*🍩ラギー 14/59、 72/21
*🐺ジャック 84/100、 52/91
*🐙アズール 72/93、 73/21
*🐬ジェイド 26/65、 21/43
*🦈フロイド 8/33、 28/69
*🦦カリム 77/100、 49/86
*🐍ジャミル 84/66、 47/62
*👑ヴィル 98/76、 75/100
*🏹ルーク 100/100、 70/100
*🍎エペル 97/74、 88/100
*🐲マレウス 75/67、 7/14
*🦇リリア 39/36、 45/21
*🐶クルーウェル 56/-、 13/-
*📚トレイン 78/-、 36/-
*🦾バルガス 16/-、 6/ - 8125/05/16(金) 22:21:07
前回までのざっくりあらすじ
『S.T.Y.X.(ステュークス)』と呼ばれる謎の組織に攫われてしまったグリムやオーバーブロット経験者たちを追いかけて飛び出していった勝己のもとにかけつけるため、出久はエペルとルークとともに『S.T.Y.X.』本部があるとされる嘆きの島に向かった。
出久が顔色最悪の状態でやきもきしている間、勝己は機械に全身を丸洗いされてブチ切れたりブロット検査をさせられたりしていた。
辿り着いた嘆きの島で、『S.T.Y.X.』所長代理であるイデアから勝己をはじめとした面々はピンピンしていると聞いた出久はほっと胸を撫でおろし、攫われた面々が受けている残り半日だという検査が終わるのを待つのであった。 - 9125/05/16(金) 22:30:12
ツイステの6章ですが、実質シュラウド兄弟の物語であり、監督生が口を挟める余地が少ないストーリーとなっています
なので、シナリオの雰囲気としてはジュリオとアンナが実質的な主人公だったユアネクストみたいなイメージに着地するかな~という予想です - 10二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 22:30:55
ピンピン……ピンピンかなぁ?
- 11二次元好きの匿名さん25/05/16(金) 22:59:50
肉体的には無事なのでピンピン
- 12二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 05:38:48
⭐️
- 13125/05/17(土) 12:26:24
出久たちを研修室に送り届けた後、オルトはイデアが“被検体”ことグリムのブロット解析を続けている『S.T.Y.X.』の管制室へと戻った。
グリムのブロット蓄積量は『S.T.Y.X.』の設備をもっても正確に計測することができず、まともな数値を得られない。
検査で判明したこととしては、グリムが魔獣となんらかの動物を魔法的に掛け合わせた存在であることと、人間と同等の思考能力をもつこと、使える魔法がショボいこと、それからなんらかの強烈な魔術がかけられた痕跡があること。
何重にもかけられている魔法はあまりにも複雑で正体不明だが、千年前クラスの原始魔法の類であることだけが分かった。
🔥「彼の耳から出ている青い炎、魔獣だから種族特有のものかと思っていたけど、もしかすると兄さんと同じで、呪いが具現化してるの?」
シュラウド一族の青く燃える髪は、「ブロットを焼却し続ける呪い」が具現化したもの。
呪いの炎はブロットを焼却して宿主をオーバーブロットしないように加護する一方で、ブロットが無いときは魔法士の命である魔力を燃やしてしまう。
シュラウド一族の力を削ぎ、ブロットの化身たるファントムの墓場の『冥府』を守る『嘆きの島の番人』としての役割にのみ適応させる、生まれたときから運命を決定づける呪いだ。
生まれてから死ぬまで『冥府』に縛り付けられる“兄”を想うと、オルトは兄の呪いを模した青い炎が吹き出る自身の左胸部のパーツが軋むのを感じた。 - 14125/05/17(土) 12:41:58
🔥「…………ねぇ兄さん。兄さんは天才だよ。だから、本気を出せばこの状況を変えられるかも!」
💀「そりゃ、拙者はけっこう優秀ですよ?でも……先祖代々どうにもならなかったことを、なんとかできるほどじゃない。本気出すだけ無駄」
💀「……それに、オルトだって忘れたわけじゃないだろ」
💀「この場所から出ようとして、“オルト”がどうなったか……」
🔥「それは……」
💀「僕の運命は生まれたときから決まってる。この暗くて辛気臭い場所で、亡霊たちと一生を共にするしかない」
💀「万が一にも僕らが役割を放棄し、『タルタロス』に封じられたファントムたちが地上に溢れ出すことがあれば……世界はまた混沌(ふりだし)に戻る」
💀「そしたら気になってる漫画の続きや『がけも』のライブも見れなくなるし……ゲームだってやってる場合じゃなくなる。ただでさえリアルには夢も希望もないってのに、“推しごと”までできなくなったら最悪オブ最悪」
💀「それに……先祖代々コツコツレベリングしてきたセーブデータのリセットボタンを押す勇気は、流石にないよ」
生まれつきの青い唇から深く長いため息を吐き、イデアは若者らしくない疲れ切った表情を浮かべた。
オルトが“兄”に声をかけるまえに、所員からの通信が入った。
被検体Fを除く全被検体の検査工程が終了したが、各個室で待機を言い渡したところで問題が発生したのだという。
💀「あの問題児たち、次はなんだっていうんだ」
肩をいからせ、イデアが管制室へと向かう。
🔥「……兄さんならできるよ、きっと」
声帯ボリュームを最小にして発せられたオルトの言葉は、“兄”の鼓膜に届く前に消えていく。
💀「……え?今、なんか言った」
🔥「ううん。なんでもないよ、兄さん。行こう」 - 15125/05/17(土) 12:43:53
ちょっとダイス
現在被検体のみなさんが集められている部屋は混迷を極めていますが……
*かっちゃんの様子 dice1d2=2 (2)
1.オバブロ勢のみなさんと一緒に荒ぶっている
2.周囲にドン引きしている
- 16二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 14:13:41
自分より騒いでるやつがいると落ち着くの法則か…
- 17125/05/17(土) 14:19:56
👑「あら、ようやく所長代理ご一行様がおでましね。従順に検査を終えた被検体に、ねぎらいのお言葉でもいただけるのかしら?」
問題が発生したという部屋に訪れたイデアに、とんでもなくチクチクした視線が一斉に向く。
レオナとジャミルは保存食と缶詰だけの食事内容に皮肉とともに文句を垂れ、リドルは可能な限り“ハートの女王の法律”を守るべく声高に食後の紅茶を所望し、アズールは一日たりとも経済の動向を見逃せないと朝刊と夕刊を要求した。
💀「ギャーギャーギャーギャー……ここは動物園か?」
🧨「たった一日で終わる検査のときくらい我慢できねンかコイツら……」
💀「ドゥエ~、バクゴー氏がこのメンツの中で一貫して一番まともでござる~~!ちょっと好きになっちゃうかも」
*好感度変動
イデア→爆豪(現在値29) + dice1d20=5 (5)
🧨「は?キメェ冗談やめろや」
💀「アッハイ、サーセン」
💀「っていうか君たち、また自分の立場を忘れてるだろ。何度も言わせないでくれないかなぁ……」
💀「僕が!!!!ボスだ!!!!!」
- 18125/05/17(土) 14:21:35
そういえば >>7 にイグニハイド勢の数値入れ忘れてますね
あと、嘆きの島到着時点で振ろうと思っていたデクの分の好感度ロールも振り忘れているので今振っちゃいます
*第一印象ロール
出久→イデア dice1d100=74 (74)
イデア→出久 dice1d100=8 (8)
出久→オルト dice1d100=42 (42)
オルト→出久 dice1d100=38 (38)
- 19125/05/17(土) 14:23:00
- 20二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 14:33:31
あからさまに気の合わなさそうなかっちゃんより同じオタク属性であろうデクの方が好感度低いイデア氏って以外
- 21125/05/17(土) 14:36:05
👑「それじゃあ言わせてもらうけど、ボス。無理やり連れてきたアタシたちの面倒をちゃんと見るのも、ボスの役目なんじゃない?こっちはアンタたち『S.T.Y.X.』の研究のために無償でデータを提供して貢献してあげてるのよ。なにかご褒美があるべきよね」
ブロットについて調べる検査の内容はストレス負荷をかける内容のものが多く、立て続けに検査を受けさせられた面々に降り積もった不満がイデアに向けて噴出する。
💀「不満ばっかり一人前の問題児どもが……」
🧨「テメーらの怠慢もあンだろ、棚上げすンな。いまどき病院の待合室にゃ気を紛らわせるためのテレビが備え付けられてンのが普通だし、検査が終わった後に飴の一つでも握らせとくもんだろ。ストレスかかる検査を強制しといてガス抜きの一つも用意してねェテメーら側の体制もお粗末なんだわ」
💀「うぐぐ……。自分に向けられる正論ってマジで腹立つんだよなぁ……」
目の下の隈とともに刻まれた皺をより一層深くして、イデアがブツブツとぼやきはじめ、そのままオルトとヒソヒソ話を始めた。
*爆豪 聞き耳ロール dice1d2=1 (1)
1.成功
2.失敗
- 22二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 14:38:01
- 23125/05/17(土) 14:50:31
イデアとオルトが顔を付き合わせてブツブツと呟く会話に、勝己は耳を立てた。
断片的に聞き取れた内容を統合すると、『S.T.Y.X.』の本来の所長である彼らの両親は学園長の事情聴取のために、ナイトレイブンカレッジがある黎明の国に出向いているらしい。
それから、オルトが「兄さんのお友だちが家に来てくれるなんて嬉しい」と場違いな感想を零すのが聞こえた。イデアは必死に否定していたが。
👑「ちょっと、そこの2人。なにぶつぶつ言ってるのよ。アタシたちの話聞いてる?検査が終わったっていうなら、日課のワークアウトかヨガをさせてほしいんだけど」
🐍「俺も少し身体を動かしたいですね」
🦁「肉」
🌹「紅茶!」
🐙「経済誌!!」
💀「あ~~~~~~~!!やかましい!!」
💀「明日には帰れるんだから、ちったあ大人しくできんのか~~~~!」
検査のガス抜きの要求というには我儘が過ぎるメンバーを前にイデアが文字通り頭を抱えた。
🧨「あ”あ”~~、全員うるっせェ~~~~~~!!!!」
声量のみならず、腹をぶち抜かれて内臓を損傷しながらも意識が戻った瞬間に大声を出して暴れ回った前科のある勝己は全く人のことを言えないのだが、それを指摘できるA組のクラスメイトは生憎ここにはいない。
🔥「声量だけで言えばバクゴー・カツキさんの数値が一番大きいってことは伝えておくね!」
代わりに、オルトの極めて科学的なツッコミが勝己に炸裂した。 - 24125/05/17(土) 15:28:18
『ヒトサンマルマルより、被検体ROS-859A、SUS-3320Bのテストを開始します』
ストレスでイデアの髪の炎の勢いが強くなるのと同時に、緊迫感のある館内放送が響いた。
『現在、該当ファントムのケージを凍結解除中。職員の安全に万全を期すため、テスト終了まで館内の扉は全て施錠されます。館内を移動中の方は、すみやかに管轄エリアにお戻りください』
💀「……今日はAクラスのファントムのテストか。少し時間がかかるかもしれないな。というわけで、君らは今から2,3時間はこの部屋から外に出られません。各自適当に暇つぶしヨロ」
「「「ええ~~~~~!!!」」」
突然の軟禁宣言に非難の声が上がる。
💀「データ収集のため『タルタロス』から危険なファントムを一時的に解放して、テストをするって言ってたでしょ」
🧨「『タルタロス』……?」
💀「そ。防衛システム『ケルベロス・システム』があるとはいえ、トラブルが起きる可能性はゼロじゃない。だぁら万が一に備えて、テストは終わるまではシェルターも兼ねた部屋の中に全員引っ込めって話」
異世界の秘匿された施設で、突如聞き慣れた単語を耳にした勝己は少なからず驚いた。
『S.T.Y.X.』の紹介ムービーにその名は出ていなかったが、『S.T.Y.X.』の研究内容を加味すると、『タルタロス』という施設で行われていることは自然と察しがつく。
🧨「冥府タルタロス。なるほど、ファントムの収容所か」
💀「……あれ?そういえば君たちに『タルタロス』の説明ってしたっけ」
🔥「ううん、してないはずだよ。どうして『タルタロス』が収容所のことだって分かったの、バクゴー・カツキさん?」
*爆豪 dice1d2=1 (1)
1.話をする
2.話をしない
- 25二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 15:50:12
そっかどっちもタルタロスか……
民衆に害をなすものが収容され、一度入ったら出られない(とされているはず)のも一緒か… - 26二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 15:50:29
このレスは削除されています
- 27125/05/17(土) 15:52:11
閑話
~おしゃべり 爆豪 【タルタロス】~
🧨「文脈で察しが着くだろ。それに、俺らが元いた世界にも同じ名前の収容所があった。こっちは化物じゃなく、凶悪な個性犯罪者をぶち込んどく拘置所だけどな」
🔥「へえ~~!同じ名前で似たような施設なんて、すごい偶然だね!」
🧨「偶然でもなんでも無ぇだろ。『タルタロス』ってのは、ギリシャ神話で冥府の底にあるとされる、神への反逆者を永遠に幽閉しておくための奈落の名前だ。ヤバイもん隔離する施設につける名前としては妥当だろ」
🌹「ギリシャ?聞いたことない単語だね」
🔥「Webで検索してみてもヒットしないや」
💀「こっちの『タルタロス』の語源は不明だけど、そもそも『S.T.Y.X.』の前身である『嘆きの島の番人』は神々の時代に発足したもの……」
💀「異世界といえど、神々の時代まで遡ればもとは同じ世界だったのかもしれませんなァ。フヒヒッ」
🦁「まあ、何の接点が無ぇ世界を渡るなんざ、原始魔法でも無理だろうからな。それくらいの接点はあったと考える方が自然だろうぜ」
🌹「ふむ。キミたちが元の世界に戻るときの手がかりになりそうな情報だね。僕も興味をひかれる話題だし、学園に戻ったら神代史の書籍や論文を読んでみようかな。それで何か分かったらキミたちに教えるよ」
🧨「……!それは助かる」
🐙「バクゴーさん、僕もぜひ助力いたしましょう。お代は……」
🧨「テメーは断る」
🐙「つれないですねぇ」 - 28125/05/17(土) 16:08:27
イデアの説明によると、ツイステッドワンダーランドの『タルタロス』には一万体を越えるファントムが収容されており、時間経過とともに消滅する個体も多い中で1000年以上収容されている強力なファントムもいるのだという。
更にオルトの補足によると、万が一の事態が起こらないよう、イデアの父がベースを作り、6年前にイデアが完成させた『ケルベロス・システム』という防衛システムによって、ファントムは厳重にされているとのことだ。
💀「というわけだから……諦めてこの部屋で大人しく時間潰しててください……。じゃ、拙者はこれで……」
🐙「なにを勝手に話を切り上げようとしてるんですか、イデアさん。せめて暇潰しできるものをなにか提供して欲しいという話が終わっていませんよ」
アズールの要求を皮切りに、一度は治まっていたクレクレ攻撃がイデアを襲う。
🔥「この人たちを同じ部屋に3時間収容していた場合、揉め事に発展する確率は87%以上だよ」ヒソヒソ
💀「ある程度の人数でできる、穏便な暇つぶしか……」ヒソヒソ
頭の青い炎同士がくっつくような距離感でシュラウド兄弟がヒソヒソ話をしたかと思うと、オルトが満面の笑みで両腕を広げて空中でくるりと回った。
🔥「みなさーん、ちゅうもーく!」
💀「ち、ちょっ……オルトッ!」
🔥「これから約3時間同じ場所で過ごさなくてはならなくなった皆さんに、コンピューターゲームのプレイを提案しまーす!」
*爆豪 ゲーム経験 dice1d3=3 (3)
1.あまりやったことはないがやればできる
2.小さい頃はそこそこ遊んだ
3.上鳴に誘われて今もたまにゲームで遊ぶ
- 29125/05/17(土) 16:14:25
- 30二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 16:16:23
マリオパーティ
上手い人から未経験者まで楽しめるチョイスだったらこれな気がして - 31二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 16:20:38
マリオカート(的なもの
やっぱ多人数でってなると強いな任○堂
スマブラ的なのはさすがにあれかなと - 32二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 16:24:59
具体的なタイトルは思いつかんけど家庭用のシューティングゲームとか…
- 33二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 16:29:24
スプラみたいなやつかな?
- 34125/05/17(土) 17:08:03
- 35二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 18:44:11
それは助かる/テメーは断る、の韻の良さと相手への信頼度の対比がとても良い
- 36125/05/17(土) 20:10:09
- 37二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 20:27:50
- 38125/05/17(土) 21:32:46
💀「あっ、あっ、みなさん、ゲゲ、ゲームとか興味ないですよネ」
👑「ふぅん。どんなゲームがあるの?」
🧨「まァ、このまま何もしないで3時間過ごすよりか、ゲームでもした方がマシかもな」
💀「サーセン、オタクってやつは往々にして空気が読めないもので……えっ?」
ゲームに前向きな姿勢を示すと、イデアがビックリした猫のように目を丸くした。
ヴィルと勝己以外のメンバーも決して否定的ではない反応だ。
アズールはゲーム実況を始めとする新たなビジネスのきっかけになるかもしれないと興味を示し、ジャミルは実家に携帯ゲーム機があったがしばらくやっていなかったなと零した。
レオナはPCのチェスゲームで暇潰しをした程度で、リドルは実家にゲーム機どころかテレビも置いていなかったため完全な初見だという。
🔥「じゃあ、初心者でも遊べる簡単なゲームをチョイスするね!」
🌹「いや、ボクは遠慮しておくよ。ゲームには依存性があり、学力低下を招くとお母様が……」
💀「は?ゲームが学力低下に影響する?」
リドルがありきたりな文句でゲームの提案を断った瞬間、それまでどもっていたのが嘘のように、イデアが早口で「ゲームが学力低下に影響する」という説がいかに誤った説であるかをまくし立てた。
*かっちゃん ゾワムカ度
出久のブツブツ比 + dice1d100=6 (6) %
🔥「ありゃ……兄さんのヒートアップスイッチを押しちゃったみたい」
🧨「ブツブツと頭ン中垂れ流すなや……!!」
👑「ちょっとアンタ、すごい鳥肌だけど大丈夫なの?」
イデアのオタク語りは、興奮しているときの出久のような早口に加えて神経を逆なでするような煽りが織り交ぜられており、勝己はゾワゾワとムカムカが止まらずに全身が鳥肌まみれになった。
真正面からオタク煽りを受けているリドルは言葉の洪水を浴びせかけられて完全に硬直している。
🦁「……イデアのヤツ、本当に他人をイラつかせる天才だな」
🐍「イデア先輩って、あんなにハイテンションでたくさん喋れる人だったのか……」
🐙「部活中も、ゲームやアニメのこととなると急に早口になることは多いですよ」
🧨「何でクソナードって生き物は揃いも揃って急に早口になンだよ」
- 39125/05/17(土) 21:40:49
イデアのおちょくるような煽りマシンガンを受けたリドルが、ついに反撃にでた。
🌹「いいだろう!それならやってやろうじゃないか。そして、ゲームなんかじゃボクの学力に傷ひとつつけられないことを証明してやる!」
💀「ヒヒヒ!楽しくてやめられなくなっても知りませんぞ。オルト!モニターにプレイできるゲームのタイトル一覧を表示して!」
🔥「はーい♪」
リドルが完全にイデアの口車に乗せられて、まんまとゲームをプレイする流れになった。
🧨「クソナードの布教トークに乗っちまったな。相手の思う壺だ」
🐙「リドルさん、頭は良いはずなのに煽り耐性がゼロですからねぇ」
👑「イデアもイデアよ、後輩相手に大人げない」 - 40125/05/17(土) 21:52:03
ゲーム初心者のリドルのためにオルトが選んだのは、『冥界伝説』という初期8bitの古めかしいゲームだった。
強制横スクロール画面上でアイテムを集めながら、ライフを守りぬいてゴールするだけのシンプルなゲームだが、コントローラーのボタンの名称すらおぼつかないリドルは悪戦苦闘している。
🔥「あ~っ、ライフがゼロになっちゃった。ゲームオーバーだね」
🌹「くっ…………ほ、ほとんどなにもできなかった……」
🐙「ふふふっ。リドルさんにも苦手なものってあったんですねぇ」
クスクスと笑うアズールにリドルがむっとして「キミもやってごらんよ」とコントローラーを渡し、プレイヤーを交代する。
アズールはフロイドが所持する陸のゲームをプレイした経験があるようで、危なげなくクリアした。
🔥「アズール・アーシェングロットさん。ノーミスでステージクリア!おめでとう~!」
🐙「ふふん。当然です」
🧨「イージーモードの一面クリアしたくらいでドヤ顔してんじゃねーよ」
*かっちゃん 『冥界伝説』への興味
dice1d100=34 (34)
- 41125/05/17(土) 22:05:01
クリアできなかったリドルはたいへんに悔しがり、卓上の小モニターで『冥界伝説』の特訓を始め、アズールも「有料でアドバイスしてさしあげますよ」とリドルに着いて大スクリーンの前から移動した。
🦁「チッ。ゲームごときでキャンキャンうるせぇ。ガキかよ」
🔥「じゃあ、レオナ・キングスカラーさんも一緒にゲームしようよ!実は、レオナ・キングスカラーさんにピッタリのゲームがあるんだ」
ご機嫌ななめなレオナのために次にオルトが選んだのは、『ヒドラの逆襲』、通称『ヒド逆』という初期のパーティゲームだった。
オルトの解説によれば、『ヒド逆』はミニゲームをより充実させた携帯ゲーム版がリリースされており、それがとある理由で最近再流行しているのだという。
🦁「なんだ、そのとある理由ってのは?」
🔥「ふふふ!それはやってみてのお楽しみ。ほら、レオナさん。コントローラーを持って!それじゃ、はりきっていってみよー♪」
オルトが『ヒド逆』のミニゲーム一覧から一つえらび、レオナに強引にコントローラーを握らせた。
始まったのはいわゆる“モグラ叩き”ゲームだが、レオナは持ち前の動体視力と反射速度で文句を言いながらも次々とモンスターを叩いて得点を稼いでいく。
🔥「わー!すごい高スコア!」
*かっちゃん 『ヒドラの逆襲』への興味
dice1d100=22 (22)
- 42二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 22:08:53
安定して低いな…
- 43二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 22:25:21
- 44二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 22:55:10
まあかっちゃんは乗り込み三人組のことを聞かされてないから、あのとんでも問題児幼馴染が何やらかしてるかって気が気じゃないのも納得いくわ…
- 45二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 23:21:07
デクの行動力の高さに驚くのはいつもの事なんだけど、インパクトだけで言ったら化粧水届けに来たルクハンの方が狂って見えるんだよね。(((
- 46二次元好きの匿名さん25/05/17(土) 23:47:36
デクは一見普通だけど蓋を開けたらぶっ壊れてるタイプの狂人なんだけど、ルクハンはいつどこで誰が見てもおかしいタイプの狂人だからな
- 47二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 07:18:50
かっちゃんパーティーゲームよりバトル要素あるゲームの方が好きそうだしな
上鳴たちと一緒にスプラやってるときも一人だけキル数稼ぐ別ゲーになってそう
才能マンなのでキャリーもバリ上手くて、全然塗ってないのにチームの勝利に貢献する動きしてそうだけど - 48二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 12:47:54
ほんまに話だけ聞くとルクハンおかしいんだよな……
- 49二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 13:34:58
- 50125/05/18(日) 16:16:27
🦁「……で、このゲームのどこが俺向けなんだ?」
🔥「それはね……」
オルト曰く、マジカメで猫が『ヒド逆』の画面に夢中になってじゃれつく姿が大バズりして大流行。そのうち、とある研究者がライオンも同様なのかと実験したところ、ライオンも猫と同じように『ヒド逆』にじゃれついたのだという。
👑「猫科のサガには逆らえないなんて、レオナにも案外可愛いところがあるのね?」
🔥「レオナさん。楽しんでくれたなら、もう1ステージやってみない?」
🦁「…………はァ~~~~。悪いなァ、おチビさん。そちらのみなさんの仰る通り、俺は猫科のサガに逆らえないタイプでな。昼間は眠たくてしかたねぇんだ。もっと遊びたいところだが、眠くて眠くて続けられそうにない。悪いが他をあたってくれ」
レオナはコントローラーをジャミルに投げて渡すと、その場で横になって3秒で入眠してしまった。
昼間は眠くて云々の話はゲームから逃れるための方便だろうが、眠気があること自体は嘘ではないようだ。
🔥「ジャミル・バイパーさんも『ヒドラの逆襲』をプレイする?」
🐍「いや……俺がプレイするより、ヴィル先輩やバクゴーのゲームの腕前を拝見してみたいな」
*ジャミル コントローラーを
dice1d2=2 (2)
1.ヴィルに渡す
2.爆豪に渡す
- 51125/05/18(日) 17:40:32
🧨「ンで俺に渡すんだよ」
🐍「さっきからずっと見ているだけだったからな。それとも、片手じゃプレイできないか?」
🧨「できるわ!!!おいメラメラロボ、俺に相応しいゲームを選べ!!!!」
👑「アンタも単純な男ねぇ……」
安い挑発にのって左手で器用にコントローラーを持った勝己がオルトに吠えるのを見て、ヴィルが呆れたようにため息をついた。
🔥「待ってました!バクゴー・カツキさんには絶対コレをやってもらおうって決めてたんだ!異世界から来たヒーローを自称するバクゴーさんには……」
🧨「自称じゃねェわボケ!!!」
🔥「『スター・ローグ ~英雄(ヒーロー)への道~』!」
💀「キターーーーー!!拙者たちのレジェンド!!!」
🧨「テメェは急にテンション上げンな!!!」
オルトがタイトル名を告げた瞬間、イデアのテンションがブチ上がり、声のトーンが3度ほど高くなった。オタク気質の出久との付き合いが長い勝己は、イデアのオタクスイッチが完全にONになったことを悟った。
💀「これはあるひとりの男が、本当のヒーローになるまでの物語である――。星歴1997年――ティターン星雲より侵攻してきたクロノス軍の」
🧨「要約しろ」
💀「最後まであらすじ聞いてよ!!じゃないとこのゲームの本当の面白さと奥深さはブツブツブツブツ」
🧨「あ”あ”~~~~うっせェ~~~~!!!」
先ほどまで勝己の荒い言動に怯んでいたイデアはどこへ行ったのか、オタクスイッチに火が着いたイデアは結局勝己に『スター・ローグ』の導入を最後まで語ってきかせた。
要約すると、敵国に侵攻されて王朝が滅ぼされたかと思われた国の王子が身分を偽って生き延びており、本当の両親と国の平和を取り戻すべく旅立ち真のヒーローになるまでの物語、らしい。 - 52125/05/18(日) 17:43:33
💀「………………ハッ!」
ひとしきり語りきり、謎の効果音つきであらすじを締めくくったところでイデアが我に返った。
🧨「……気ィ済んだか?」ニコッ
💀「ひぃッ!あっ、サ、サーセン、つい盛り上がっちゃって……シュ、シューティングゲームなんだけど、ほんと、全編ストーリーがエモエモのエモなんで……よ、よ、よかったらやってみてクダサイ……」
イデアは勝己の威圧感を前にどもりながらも、最後まで布教しきった。大した作品愛のなせる業である。
🧨「『真のヒーローになるまでの物語』ね……」
💀「せ、拙者のプレゼンより、プレイしてもらえれば面白さがわかってもらえるはず。とりあえず、まずは1ステージやってみて!」
👑「アタシ、シューティングゲームってほとんどやったことないんだけど……バクゴーみたいに片手もちでもプレイできるものなの?」
🔥「確かに。快適なプレイのために初心者モードに設定しておくね」
🧨「はァ!?余計なハンデ入れンな!!」
👑「最初くらい様子見だと思えばいいじゃない。本当に負けず嫌いなんだから」
勝己の右手の指はまだ錆びついたようにしか動かないため、床にコントローラを置いて左手の親指と人差し指でメインキー、薬指と小指で十字キーを押す構えを取っている状態である。
オルトはゲームのスタート画面で難易度と調整すると、楽しそうにくるりと回った。
🔥「では……」
🔥💀「「遥か彼方の栄光を目指し、流星のように駆け抜けろ!」」
まるでヒーローごっこに夢中になる子どものような無邪気な掛け声とともに、ペガサスの形をした勝己の自機が画面に表示された。
*かっちゃん 『スター・ローグ』への興味
dice1d100=75 (75)
- 53125/05/18(日) 17:50:10
1ステージ目なんてチュートリアルのようなものなのだが、中々に奥深い。テキストの少ないシューティングゲームでありながら随所に挟まる仲間との通信会話が小気味よく、スッとストーリーを理解させて先の展開への好奇心をかき立てる。
🔥「うまい、うまい!第1ステージのボスまで難なくクリアできたね!」
💀「片手縛りでこの腕前……やりますなァ」
👑「横で見てて気づいたけど……このゲーム、実写映画化されてない?このストーリー。おぼろげだけど、父と一緒に映画館で見た記憶がある」
💀「マ?ヴィル氏、実写映画見たの!?」
好きなものを語れる状況になったオタクは止まらない。イデアとオルトは『スター・ローグ』が打ち立てた輝かしい功績と人気ぶりについて語り、めでたく続編が決定!!という下りまで話したところで急に肩を落とした。
なんでも、制作チームが仲違いして全員会社を辞めて散り散りになり、続編の話が流れてしまったのだという。「続編が発表される奇跡を、拙者は夢見てるんでござるよ……」と語るイデアは目じりに涙まで浮かんでいる始末だ。
👑「あら。夢見てるだけなの?」
💀「えっ?」
👑「手始めに散り散りになったクリエイターひとりひとりを尋ねて、アンタの暑苦しい情熱を伝えて回ってみたら?続編を心待ちにしている熱烈なファンがいることを真剣に伝えれば、なにか変わるかもしれない」
🧨「…………」
💀「そ、そんなの……過去に何度もファン有志が署名とか寄せ書きとかしてますし……」
👑「それはアンタじゃなくて他の誰かがやったことでしょう。アンタ自身はなにかアクションを起こしたの?」
💀「む、無理無理。拙者1人がなにかしたところで、どうにかなるわけないし……」
🧨「……でも、自分で行動を起こさなきゃ、夢は永遠に夢のままだろ」
💀「バ、バクゴー氏まで……!」
ヴィルが語ったことは、元の世界に戻ってから勝己がすべきことそのものだった。
恥など忍んでいられない。たくさんの人の協力を募って、頭を下げて、力を借りる。全ては、一人きりでは到底叶えられない夢を現実にするために。
🧨「夢ってのは勝手に叶うモンじゃねぇ、自分で叶えに行くモンだ。違うか?」
👑「良いこと言うじゃない。最初から無理だって決めつけてなにも行動を起こさなければ、可能性はずっとゼロのままよ、イデア。アタシなら、ゼロをゼロのままにしない」
🔥「…………!?」 - 54125/05/18(日) 18:06:30
🧨「このゲームの主人公……ゼロからスタートして、最後はヒーローになンだろ」
💀「そりゃそうですけど、それは作り話ですし……現実はそう上手くいかないでしょ」
🧨「俺ァ実際にゼロからヒーローになったヤツをよォく知ってンぞ。そりゃ思い通りにいかねぇことのが多いし、理不尽だの不平等だの山ほどあっけど……俺は何も諦める気はねぇよ」
勝己はまだ不自由な右手を握った。錆びついたような指はぎこちなく、もどかしい程にゆっくりと、しかし確かに握り拳の形を作った。
一度は「元には戻らない」と断言され、切断まで勧められた右腕が、少しずつだが元に戻ろうとしている。その事実が勝己に勇気と希望を与える。
🧨「一度はこの手で運命とやらを書き換えてやったからな。もう一回できねぇ道理なんざどこにも無ぇんだわ」
💀「で、でも、拙者にはそんなの…………」
🔥「無理じゃないよ、兄さん!!」
なおも後ろ向きなイデアに向かってオルトが“叫んだ”。ボリュームを上げたというには真に迫るような気迫で発せられた声はまるで肉声のようで、精巧なフェイシャルパーツには歪んだ皺が寄ってまるで本当に生きているかのような表情を作る。
🔥「学校の友だちを家に呼んで一緒にゲームをするなんて、僕たちには絵空事(フィクション)だってずっと思ってた。でも、こうして実現したんだもの」
💀「え、えぇ~?今回のは友だちを家に呼ぶのとはちょっと違うでしょ……」
🔥「僕、なんだか自分がやるべきことがすこしだけ見えてきた気がするよ」
オルトはふわふわ浮いてイデアの手を握ったかと思うと、ヴィルの勝己の方へ来てニッコリと笑った。
🔥「ありがとう。ヴィル・シェーンハイトさん!バクゴー・カツキさん!」
🧨「……テメーさっきから何の話してンだ?」
👑「お礼を言われるようなことはなにもしてないけど……アンタがなにかポジティブな気付きを得たんなら、良いことね」
🔥「うん!」
💀「お、おーい、オルト?拙者の話聞いてる……?」
その時、リドルが子どものように「やった!!」とはしゃぐ声がした。ようやく『冥界伝説』の一面をクリアできたらしい。その後もゲームは盛り上がり、あっという間に時間が過ぎていった。
🔥「ゼロを、ゼロのままにしない……。書き換えられる運命もある……か」
*爆豪 オルトの呟き dice1d2=1 (1)
1.聞こえた
2.聞こえなかった
- 55125/05/18(日) 18:38:54
ゲームのBGMと喧騒に包まれた空間で、勝己の耳にオルトの確かな感情が籠った呟き声が妙にハッキリと聞こえてきた。
その内容にオルトに追求する間もなく、テスト終了の館内放送が響く。全室の施錠が解除されて軟禁状態から解放されるとともに、イデアから明日の朝8時に学園に向けて出発する予定なのでそれまでは全員個室に戻って待機するように通達があった。
💀「……あ、そうだ。ヴィル氏とバクゴー氏。ちょっと話があるから残ってくれる?」
👑「アタシたちだけ?かまわないけど……」
他のメンバーが個室へと戻っていく中で、ヴィルと勝己だけがその場に残る。
他の全員が去った後にイデアから聞かされた内容は衝撃的で、ある意味で予想通りだった。
👑「ルークとエペルが、嘆きの島まで追いかけてきた!?ミドリヤまで!?冗談でしょう!?」
🧨「あんにゃろ……」
💀「冗談だったらどんだけよかったか。おそらくルーク氏たちの襲来は『S.T.Y.X.』始まって以来の珍事として後世に語り継がれますぞ」
イデアは全く頭が痛い、とでもいうようにこめかみを押さえたが、勝己も心なしか頭が痛むような気がした。
🧨「あの馬鹿、どうせ俺たちのこと救けに無茶苦茶したンだろ」
💀「いやまあ半分はその通りなんだけど……オルト、ルーク氏から預かったもの出して」
🔥「はい。ヴィル・シェーンハイトさん愛用のスキンケア用品一式!」
👑🧨「「…………は?」」
💀「だよね?やっぱその反応になるよね?」
出久が自分たちを救けるために乗り込んでくることは心のどこかで予感していたが、ルークがわざわざ嘆きの島までスキンケア用品を届けに来たということについては全く理解できず、勝己はヴィルともども口をぽかんと開けて呆然とした。 - 56125/05/18(日) 18:41:19
👑「…………ふっ、あははははは!!!あの子たちを抱きしめてキスしたあと、ビンタしてやりたい気持ちよ」
🧨「どんな感情だよそれ」
👑「ルークの突飛な行動には慣れたつもりでいたけど、今回はさすがに驚いた。しかも、エペルやミドリヤまで来てるなんて!自分たちがどれだけ馬鹿な真似をしたのか、学園に戻ったらみっちり説教してやらないと」
口では厳しいことを言いながらも、ヴィルの表情には笑みが浮かんでいる。
👑「……あら?普段使いのものじゃなく、“特別なおまじない”が込められたスペシャルケア用を持ってきたみたい」
🧨「“おまじない”だァ?ンなもん本当に効くンかよ」
👑「ええ、とっても。外部から被検体の差し入れを許可するなんて、きっと顔見知り特権よね?感謝するわ、ボス」
ルークが持ってきたという小瓶は勝己たちが『VDC』の合宿で配られたものと同じに見えるが、ヴィルはとても嬉しそうに検査着のポケットにしまいこんだ。
イデアからの話というのはこれで終わりらしく、ヴィルと勝己も解散してそれぞれに宛がわれた個室に戻った。
扉を閉める直前、扉の隙間から見えたイデアの傍で浮かぶオルトの表情が、勝己の目には今にも泣きだしそうに見えた。 - 57二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 18:50:45
ヴィルさんもかっちゃんも発言が人生2週目すぎて本当に高校生か??ってなるな
かっちゃんは『不屈』のサバナクローが似合うと思ってたけど、寮長の雰囲気的には『奮励』のポムフィオーレの方が合ってるのかもしれない
美容には一切興味なさそうだけど
- 58125/05/18(日) 18:59:39
ここからしばらくハイパーシュラウドタイム入ります
ここが6章の肝なので省略できないんですね - 59125/05/18(日) 19:12:40
被検体が全員去った後、所長代理であるイデアのもとに通信が入った。内容は、『レテの河』のチャージがもうすぐ完了する件について。
『レテの河』は人々の記憶やデータから『嘆きの島』や『S.T.Y.X.』に関する一切の記憶を押し流し、齟齬のないように書き換える神々の時代の魔法システム。
「嘆きの島へ連れ去られて戻ってきた魔法士はいない」という言い伝えは、嘆きの島に行ったこと自体を忘却してしまうために“戻った”と認識できる者がいないというのが真相だ。
『レテの河』は一度に使った方が記憶の齟齬が少ないため、出久たちは勝己たちと同じタイミングで『レテの河』を使用できるように強制送還されずに島の内部に留め置かれている。
🔥「……ねえ。『レテの河』を使ったら、みんなで一緒にゲームしたことも、忘れちゃうの?………………」
💀「…………オルト?さっきから少し様子がおかしいけど、どこか調子悪い?魔導回路か、リアクターに不調があったりするのかな……念のためにメンテしようか?」
🔥「ううん!ボディのどこにも不調はないよ。兄さんの綿てはいつもどおり完璧。普段あまりしないことを経験したから、メモリの処理に時間がかかってるのかも」
💀「そう?ならいいけど……」
🔥「僕、研修施設のルークさんたちの様子をみてくるね」
💀「ああ、うん。いってら」
どこか話題を断ち切るような不自然さで、オルトがイデアの前から立ち去っていく。
💀「オルト……?」 - 60125/05/18(日) 19:27:51
🔥「ゼロをゼロのままにしないために、僕ができることってなんだろう……」
『――教えてあげようか――』
悶々と魔導回路内で計算を繰り返すオルトの内部に、囁くような声が響いた。
🔥「!!誰!?」
『……おいで。こっちへおいで』
囁き声は、地底深く、『タルタロス』の方から聞こえてくる。
『知りたいんでしょう?君になにができるか……』
声は甘くオルトの内部に響き、電子回路に染みわたっていく。“兄”を想うオルトの隙に、的確に滑り込むように。
🔥「……知りたい。どうしても変えたいんだ……未来を」
『なら、もっとこっちへ……おりておいで』
声がいざなわれるままに、オルトは冥府を下りていく。深く、深く、暗くて冷たい地の底まで。
オルトはやがて『タルタロス』の最下層、『冥府の門』の前に辿り着いた。
ファントムの墓場であり、固く封じられているはずの『冥府の門』の扉の隙間から、きゃらきゃらと笑う声が漏れている。
🔥「……そこに、いるの?」
『うん。君が生まれる前からずっと……』
『でも、寂しくなかったよ。ここにはたくさん友だちがいるから』
🔥「友……だち……?」
『僕は君に……。ううん、世界中のみんなに僕たちの友だちになってほしいんだ』
『そうすれば――この檻はいらなくなる』
『兄ちゃんは自由になれる!』
囁き声の主は、高揚したように地の底で高らかな声を上げた。
🔥「“兄ちゃん”って……、君はまさか……っ!」 - 61125/05/18(日) 19:41:53
🔥「やあ、ルーク・ハントさん。エペル・フェルミエさん。ミドリヤ・イズクさん。なにか不便なことはない?」
出久たちが時間が経つのを待っている研修室に、オルトが様子を見に訪れた。
🏹「ああ、オルトくん。お気遣い痛みいるよ。おかげさまで快適に過ごさせてもらっている」
🔥「みんなの検査は全行程終了したよ。大きな異常もなく、経過は良好。君たちと合流できるのは、明日の朝この島を発つときになりそうだ」
🥦「連絡ありがとうオルトくん。みんな無事で、一緒に帰れるって聞けてすごく安心してる」
出久は知らず張りつめていた全身の力が抜けていくのを感じた。心配が取り越し苦労に終わるなら、それより素晴らしいことはない。
🔥「そうだ。ルークさんから預かった化粧品……ちゃんとヴィルさんに渡したよ」
🏹「本当かい!?メルシー!キミたちの友情と厚意に感謝を」
🔥「ううん。お礼を言うのは“僕ら”のほうだよ」
🔥「君たちが嘆きの島にやってきたことで、僕が生まれてきた意味がやっと掴めそうなんだ」
🔥「僕も『やれるだけのことはやった』って言えるように頑張ってみる。ゼロをゼロのままにしないように」
オルトの言葉は、雑談として口にするには重苦しいものだった。
🥦「オルトくん、大丈夫……?何かあった?」
🔥「ううん。なんでもないよ!」
🏹「ムシュー・お人形……キミが掴み取る未来が輝かしいものとなるよう、願っているよ」
🔥「ありがとう。それじゃあ、また……」
オルトは静かにお辞儀をして、研修施設から去っていった。
🍎「……なんだかオルトクン、昼間とは雰囲気が違うような?」
🥦「うん。……余計なお世話かもしれないけど、……心配だね」 - 62125/05/18(日) 19:50:43
『――最後のお礼は済んだ?』
🔥「うん。これで心残りはないよ」
オルトは再び冥府の底へと下りていく。
『さあ……。まずはケルベロスを眠らせよう』
🔥「『このコマンドは取り消すことができません。実行しますか?』」
『時はきた。いこう、全宇宙が僕らを待っている』
🔥「『声帯認証完了。システム・オールグリーン。プログラムを実行します』」
オルトは『ケルベロス・システム』に侵入し、不可逆なコマンドを入力する。冥府の門を守る防衛システムを眠らせるために。
『ああ……この日がくるのをずっと待ち望んでた。僕たちなら、きっと未来を変えられる』
🔥「ゼロをゼロのままにしないために……」
オルトの目の前で、『冥府の門』が開いていく。
🌀『やっと会えたね』
🔥🌀『「――はじめまして、僕(オルト)――」』
誰の目も届かない地の底で、二人は『冥府の門』越しに手を取り合った。 - 63二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 19:54:08
ぶっちゃけ6章のシュラウド兄弟の暴走が無ければ、オルトの夢は叶ったのか…って言われると愚問なんだよね。
だから、どうしてもこれを"悪"にしてしまうのには何か違うって思っちゃう。他のオバブロ組は突き詰めた結果、悪事に走るみたいな構図だったけど、6章はお互いの要求のぶつけ合いみたいな印象持ってた。
奥が深いぜ。 - 64二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 20:05:36
6章はね……シュラウド兄弟は自分たちのささやかな願いを叶えたいだけなんだよね
イデアって転弧と同じく生まれたときから人生詰んでるんだよね
しかも転弧みたいに仕組まれたものじゃなく、現行の世界のシステムそのものに縛られる仕組みになってるから、世界を一回ぶっ壊さないとどうしようもないっていう構図 - 65125/05/18(日) 20:22:09
イデアがデータの最後の処理をしているとき、突如『S.T.Y.X.』内部が停電した。AIシステムの応答はなく有線もつながらない。非常用電源が作動していない。
イデアは事態を把握するために非常用コックを捻ってなんとか部屋の外に出たが、オルトとの通信がつながらない。
非常用電源が復旧したかと思えば、「館内のブロット濃度が上昇」との警報が鳴り響いた。
💀「『ケルベロス』!島内全域のセキュリティレベルを最高に設定。……『ケルベロス』?『ケルベロス』、応答せよ!」
ファントムから島内を守る防衛システムである『ケルベロス・システム』の応答もなく、イデアの背に冷たい汗が伝った。
なんとか他の所員がいる管制室に辿り着いたが、『ケルベロス・システム』が復旧できずに皆額に汗を浮かべていた。
💀「『ケルベロス・システム』の設定を変更するには、シュラウド家の人間の生体認証が必要だ。この島で今その権限を持っているのは僕だけのはず……なのに、どうしてこんなことに?」
🔥『――兄さん』
手動で復旧コードを打ち込もうとPCに向き合ったイデアの目の前に、オルトのホログラムが現れた。やっと通信できたことを喜んだのも束の間、オルトは『ケルベロス』を復旧させることはできないとイデアの指示を拒否した。
🔥『僕ね、いっぱい考えて、さっきやっと最適解を導き出すことができたんだ。運命(シナリオ)を修正するのが難しいなら、一度全部消して、最初から書きはじめればいい』
🔥『このバグだらけの世界を、一度リセットして兄さんが新生すればいいんだ!』
💀「オルト、なにを言ってるんだ!?」
イデアは額に手をやり、オルトとの最後のやりとりを思い出した。不自然な、今までのオルトとほんの少しずれた剣道に違和感を覚えたことを今更のように思い出し、後悔に舌打ちをする。
💀「……やっぱりあの時、AIの演算装置内でバグが発生してたんだ。すぐにメンテしてれば!」
🔥『バグじゃないよ、兄さん。これは僕の“意思”だ』 - 66125/05/18(日) 20:36:36
💀「違う。お前は……今のお前は、僕の“弟”を模して造られた自律型AI搭載の魔導ヒューマノイド。お前が“意思”だと思ってるものは、全部プログラムされているんだ……」
残酷な真実を告げるイデアの声が震える。
オルトはイデアの言葉を冷静に受け入れた上で、止まらなかった。“異端の天才”と称されるイデアに造られた存在として、自分は「プログラム」を超えるのだと高らかに言い切って。
その瞬間、『S.T.Y.X.』のあらゆるシステムがオルトにハックされ、乗っ取られていく。
💀「や、やめるんだ、オルト。世界を新生するなんて、不可能だ!」
🔥『不可能じゃないよ。『冥府』と『タルタロス』を解放するんだ。そうなれば世界はブロットで満たされて……ブロットを焼却できる呪いを持つ僕たちが、新しい世界のボスになれる!』
🔥『そうしたら、“普通”の人みたいに気軽に友だちを家に呼べちゃう。兄さんがやりたいことは、望めばなんでも叶うんだ!』
将来の夢を語る幼子のように、オルトが目を輝かせて無邪気に語る。
🔥『新しい世界では、“兄ちゃん”は全宇宙の支配者で、スーパーヒーローなんだ!』
💀「“兄ちゃん”……だって!?……そんな、ありえない!だってオルトはあの日……!」
魔導ヒューマノイド『ORTHO』からは決して発せられるはずのない言葉に、イデアは愕然とし、そして思い至った。『ケルベロス・システム』を書き換えられるのは、シュラウド家の遺伝子をもつ者だけなのだと。
その瞬間、イデアは弾かれたように駆け出した。運動不足の肉体は少し走っただけでも息が切れ、心臓が限界まで拍動する。それでも止まることができず、イデアは地の底まで一直線に駆け下りた。
果たして、『冥府』の門は、僅かではあるが開かれていた。 - 67125/05/18(日) 20:44:03
💀「……オルト、そこにいるの?」
🌀『うん。ここだよ、兄ちゃん』
門の向こうから、ヒューマノイドのオルトよりもいくらか低く落ち着いた声が返ってくる。
🌀『あの日からずっと、また会える日を夢見てた。今度こそ一緒に遠くへ行こう』
🌀『でも、ごめん。外に出るには少し時間がかかりそう。僕、昔に比べてすごく大きくなったから……』
少し大人びたその声は、イデアにとってはあの日から少しも変わらない、愛すべき弟のものだった。
イデアは青い唇をきつく食いしばり、やがて解いた。
イデアは常人ならば数秒で死に至るような濃度のブロットの中を進み、『冥府』の門の扉を撫でた。
その向こうの存在がどんな姿をしていても、どれほど禍々しい存在と成り果てていようとも、イデアにとってはただ愛すべき弟だった。
💀「――兄ちゃんに任せとけ」
ただ外へ出たいとねだる弟に、イデアは手を伸ばした。 - 68125/05/18(日) 21:37:21
今日の更新はこのくらいにしておきます
幼馴染が出ないシーンはツイステ原作の再放送になっちゃうので早めに通り過ぎたかった
今のうちに回復ロール振っときましょう
*回復ロール
出久(現在ダメージ16) - dice1d10=2 (2)
爆豪(現在ダメージ17) - dice1d10=10 (10)
ルーク(現在ダメージ13) - dice1d10=8 (8)
エペル(現在ダメージ15) - dice1d10=7 (7)
- 69二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 21:40:39
全然気が休まってないデクと、図太く爆睡してるかっちゃんだ
- 70二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 05:26:56
反動もきちゃうかっちゃんがしっかり休めたならまあよし!!
- 71二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 08:41:59
ステインの理想を狂人以外が背負ったらどうなるか?、なんだよねシュラウド兄弟
- 72二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 10:32:31
さすがはムシュー・タフネス
- 73二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 18:04:33
地味にルークとエペルも結構休めてる
流石は狩人と農家… - 74二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 21:54:04
そういえば騒動時はデクとかっちゃんは別々で行動かな?
レオナ、ジャミルペアとかっちゃんが行動とか - 75125/05/19(月) 22:07:31
😺「なんだぁ!?急に真っ暗になっちまったんだゾ」
検査を終えて個室でゴロゴロしていたグリムは、突然の停電に驚いて飛び上がった。
😺「おーい、誰かいねぇのか?イデア~!オルト~!」
😺「……あ……このニオイ……」
部屋から出ようと扉を引っかいてもビクともしない。少しでも外の様子を探ろうと顔を扉の隙間に近づけたところで、グリムの鼻がヒクヒクと反応した。
😺「ウ”…………ウ”ゥ…………」
😺「……ケヒヒッ、イイニオイ……このニオイはぁ……」
グリムの口の端から涎が垂れ落ちる。
匂いによって呼び覚まされた獰猛な食欲はグリムの本能を支配し、一人きりでいることの寂しさや出久たちのもとに帰りたいという気持ちの一切を押し流した。
😺「石だァッ!!!石のニオイがするゾォッ!!」
😺「出せェ!ここから出せェ!!」
グリムは鋭く尖った歯をのぞかせながら、恐ろしい形相で吠えた。
😺「グルルル…………ガァアッ!!!」
言葉さえ失ったグリムは本能のままに膨れ上がった力で思い切り扉をぶち抜き、ガシャン、と耳障りな騒音が響いた。
そのまま、グリムは闇に包まれた『S.T.Y.X.』本部の中を、嗅覚に導かれるままに駆けていった。 - 76125/05/19(月) 22:21:38
――ドゴォォン!!
🧨「何だァ!?」
解散後、有事に備えて宛がわれた個室でしっかりと睡眠を取り体を休めていた勝己だったが、大きな破壊音によって飛び起きた。
🧨「停電してやがるし……。ア?首輪が外れとる」
魔法を封じ込めるチョーカーはロックがかかっていたはずだが、勝己が部屋を見渡した拍子にコトリと首から落ちた。それと同時にけたたましい警報が響き渡る。
🧨「停電に警報……。只事じゃねぇな」
状況確認のために個室に備え付けの内線でスタッフに連絡を取ろうとしても繋がらない。
オルトの話では、施設全体が『ケルベロス・システム』によって厳重に管理されているとのことだが、おそらくシステムに相当大きな障害が発生したのだろう、と勝己はアタリをつけた。
🧨「……それか、システムAIの反逆か。どちらにせよ、ここで待ってても埒が明かねェ」
何も分からないまま救けを待つなど勝己の性に合わない。
まずは行動、次に情報を。そして、適切な対処を。
勝己は部屋の外に出て『S.T.Y.X.』スタッフから情報を聞き出すため、ロックがかかったままの扉に左の掌を向けた。
*爆豪 反動ダメージ die1d10= - 77125/05/19(月) 22:22:00
ダイスミス dice1d10=3 (3)
- 78125/05/19(月) 22:35:35
勝己が廊下に出るのと同じくして、ヴィルが呪いを付与した化粧水を用いて扉を溶かして脱出してきた。
👑「あら、お早いのね」
🧨「言ってる場合かよ。被検体が脱走したってのに警報の一つも鳴りゃしねェ。施設のシステムが完全にダウンしとる。相当デケェトラブルが起きてンぞ」
👑「緊急事態のときこそ、意識して落ち着くものじゃなくて?とにかく、他のメンバーも部屋から出しましょう」
緊急事態でもヴィルは憎たらしいほど優雅な仕草を崩さず、的確に他のメンバーの部屋のロックを溶かして回った。
全員が部屋から出てきたが、このブロックにはもう一枚扉がある。つきあたりにある一番奥の扉は、無残にひしゃげて破壊されていた。
🦁「この一番奥の部屋、誰が入ってたんだ?どことなく嗅いだことのある魔力の匂いがするような……」
👑「わからない。アタシが外に出た時、すでにドアが破壊されていて部屋の主の姿は見なかった。バクゴー、アンタは?」
🧨「俺も同じだ。中にいたヤツは見てねェ」
*爆豪 アイデアロール dice1d2=1 (1)
1.成功
2.失敗
- 79二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 23:24:42
さすかっちゃん
- 80125/05/19(月) 23:46:41
🧨「……だが、十中八九クソ狸の部屋だろ。俺たちと同じブロックの一番奥にわざわざ全く関係無ェ被検体を宛がうとは考えにくい」
🐙「ええ?防魔素材が使われたドアを吹き飛ばすなんて、かなりの魔法の使い手じゃないと無理ですよ。グリムさんの実力ではとても……」
🧨「魔法じゃなくても、物理的な力さえあればぶっ壊せンだろ。アイツは魔獣だ。フラフラだったとはいえ出久を気絶させた前科がある。緊急事態にビビって火事場の馬鹿力が出たら、どこまでパワーが出るか分かンねぇだろ」
🐍「なるほど。それも一理ある……か」
その場にグリムの足跡は残されておらず、施設のどの方向に向かっていったのかは分からない。下手に動き回ると施設内で迷う可能性があり、闇雲に探すのは得策ではない。
グリムの行方よりも、勝己以外の魔法士であるメンバーは施設内に漂うブロットの気配を嗅ぎつけ、そちらを警戒した。
🌹「……この瘴気、高濃度のブロットか。まさか、『タルタロス』で問題が?」
👑「チョーカーが外れて魔法が使えるようになってるし、魔法防御力が高い寮服に着替えましょう」
そう言うが早いか、彼らはマジカルペンを召喚して服を着替えた。
押収されていたはずのマジカルペンがあまりにもあっさりと取り戻せてしまったので、『S.T.Y.X.』内部で起きているトラブルに対する警戒が更に高まる。
👑「バクゴーだけ検査着のままじゃブロット汚染が心配ね。しょうがない、特別に我がポムフィオーレ寮の寮服を着せてあげましょう」
🧨「ア?……袖がヒラヒラしてて動きづれェ」
👑「文句があるなら全裸にしてやっても良いのよ?」
🧨「チッ!!」
和服のように袖が余る構造のポムフィオーレの寮服は勝己の個性と相性が悪く、仕方なく袖を体の後ろで縛った。ヴィルがとんでもなく嫌そうな顔をしたが、構っていられない。
『……半径10m範囲内にて、魔力反応を感知。ターミネーションモード機動』
そのとき、聞き覚えのある無機質な声が廊下の向こうから近づいてきた。
『対象を確認。直ちに排除します』
👑「カローン……!」
🧨「コイツの装備にゃ魔法が効きづれェんだろ、テメーらは下がってろ!!」
オンボロ寮の襲撃時に相手の戦闘のパターンはある程度把握している。勝己は前に進み出て、カローンに思い切り爆破をぶちかました。
*爆豪 反動ダメージ dice1d10=8 (8)
- 81125/05/19(月) 23:56:43
BOOOOOM!!と轟く爆音とともにカローンが吹っ飛んでいく。勝己は中に入っている人間に大事が至らないように威力を調節して爆破したが、壁に激突して崩れたカローンの鎧の内部は無人だった。
🦁「……どうも嫌な予感がしやがるな」
👑「これ以上自体が悪化する前に、イデアがいるであろう管制室を目指しましょう」
ヴィルの案に異論のあるものはいない。皆、施設の構造が分からないなりに管制室を目指して歩き始めた。 - 82二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 06:23:30
保守
- 83二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 06:29:57
かっちゃんもポム寮服に!
- 84二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 12:38:30
確かにかっちゃんはひらひら邪魔よなあ
- 85二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 13:56:58
かっちゃんたすきがけにしよ!!!似合うよ絶対!
- 86二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 18:04:09
裾を身体の後ろにを縛ったってことは襷掛けかな?紐1本あればできるし
- 87二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 20:29:09
ルーク先輩の寮服SSRはツイステ界でも上位の高火力カードなので戦闘時はなんかこういい感じに捌けるような作りになってるとも考えられる>ポム寮服
- 88二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 04:54:04
保守
- 89二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 20:17:42
イラストがー!!
- 90二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 20:28:11
このカテで一番楽しみにしていたから復活していて良かった
- 91125/05/21(水) 20:33:44
- 92125/05/21(水) 20:35:02
- 93125/05/21(水) 20:48:29
急にポム馴染描きたくなって数年ぶりにツイステの設定資料集開きましたが、ポム寮服の袖の裏地にシースルーのプリーツ生地があったことを初めて知りました
ハンギングスリーブ・帯構造・ヒールブーツのせいで全寮服で一番動きにくそうです
あと帯の飾り紐が長くて先端のタッセルが重そうでマジで邪魔そう
- 94二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 21:31:56
二人の着こなしを見て真似するポム寮生居そう
絶対邪魔だと思ってたやつ居るよ
寮長はキレた - 95二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 22:01:01
和服っぽいからたすき掛けが似合う似合う。そしてスレ主の絵が上手い。すごい。
- 96二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 23:04:35
ほしゅ
- 97二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 05:48:03
2人ともよく似合うー!!
そしてヴィル様落ち着いてくださいこれも1つのファッションで……寮服の着こなしとして怒ってる?それはそう - 98二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 12:11:34
サーバー安定してくれ頼む
- 99二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 17:17:18
たすき掛けは、たすき掛けは許してください寮長!!
- 100二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 20:08:38
動きやすさ重視派VS寮服はちゃんと着ろ派で寮内のあちこちで手袋が飛び交う事になりそう
- 101二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 20:24:14
- 102二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 20:26:25
- 103二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 22:04:41
- 104125/05/22(木) 22:10:01
同時刻、出久達の滞在する研修施設でも停電が起きていた。本部への通信手段である端末を含め、電子機器は全滅。ドアのロックも開かず、閉じ込められてしまった。
優れた聴覚を持つルークがドアの外に聞き耳を立て、この停電が『S.T.Y.X.』にとっても意図しないものであることを察知した。
🏹「ここにいるスタッフたちは、みな本部へ向かうようだ」
🍎「僕たちは、どうしますか?オルトクンが来てくれるまでここにいた方がいい……かな?」
🥦「部屋から出ようと思えば出られますけど……」
嘆きの島に同行する際、出久とエペルはルークの指示下に入ることを条件として課されている。出久がルークに判断を仰ぐと、ルークは「少し待っていてくれるかい?」と断ってユニーク魔法の『果てまで届く弓矢(アイ・シー・ユー)』を発動させた。
🏹「……ヴィルたちが個室から出て、本部の中を移動しはじめている」
🍎「え?ヴィルサンたちには会えなかったし、ユニーク魔法はかけられてないはずじゃ……?」
🥦「……そうか!ルーク先輩の追跡のユニーク魔法、人だけじゃなくて物にもかけられるんですね!?」
ルークがヴィルに差し入れたスキンケア用品には“おまじない”がかけられていたことを思い出し、出久は合点がいった。道理で、嘆きの島で強制送還されそうになったとき、ルークはやけにあっさり引こうとしていたわけだ。
🏹「ふふふ。私が狙う獲物は、人間に限らないからね」
ルーク曰く、『果てまで届く弓矢』の目印は毒性も攻撃性も帯びていない微弱な魔力であり、例のスキンケア用品は魔力スキャンを免れることができたらしい。
🍎「すごい!……けど、やっぱおっかねえ魔法だな……」
🥦「なんてすごい魔法なんだ!盗難の心配があるような芸術品にかければ安心だし、護衛対象にかければ万が一のときも位置情報をロストしなくて済むし、敵の構成員にかければアジトごと一網打尽にブツブツブツブツ」
🍎「おろ~、停電した真っ暗な部屋で聞くミドリヤクンのブツブツ、ちょっと不気味……かな」 - 105125/05/22(木) 22:26:40
🥦「……ハッ!ルーク先輩の魔法の分析をしている場合じゃないぞ!先輩、これって……」
🏹「ああ。もしかすると、本部でなにかトラブルがあったのかもしれない」
つばの大きな帽子の影の下で、ルークの切れ長の目が厳しく吊り上がる。
最新のセキュリティ・システムで管理されている嘆きの島で予期せぬ停電が起き、全ての検査を終えて明日の朝に学園に戻るばかりだったヴィルたちが施設内を不自然に移動している。怪しさ満点だった。
🥦「ルーク先輩、外に出ましょう!……この状況でオルトくんに繋がらないのが気がかりなんです。もしかしたら、システムが反逆を起こしてるのかもしれない」
🍎「システムの反逆?機械が勝手にシステムをおかしくするなんて、そんなこと……」
🥦「可能性の話だけどね。ここは最新の設備が揃っているみたいだから、逆にあり得ない話じゃない」
🏹「ふむ、面白い考察だね。でも、ひとまず外に出ようという意見には賛成だよ」
外に出る、という方針が一致したところで、出久はすぐさま研修施設の非常用ドアコックを引いてドアを開けた。
ここはあくまで収容施設ではなく、研修施設。非常時の動線を気にしてしまう癖が役に立った。
🏹「メルシー、ミドリヤくん。私たちも本部へ向かってみよう。なにもないならそれに越したことはないが、どうも胸騒ぎがする。エペルくん、ミドリヤくん、私の後ろをはぐれずついておいで」
🥦🍎「「はい!!」」
🥦(かっちゃん、グリム、みんな、無事でいてくれ……!) - 106二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 22:33:29
AIの反乱経験あるからなヒロアカ世界
- 107二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 22:57:24
- 108二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 05:56:51
ユニマどれも便利だけど、ルークとエペルはもちろん、個性にも効かせられるように適応するならリドル、フロイド、上書きの程度次第ではトレイ、目を合わせるだけでいいジャミル、あとリリアの辺りはヒーロー活動というかヴィラン対応や調査とか色々使いやすそう
- 109二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 06:40:04
- 110二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 09:58:30
「一度だけ確定情報を喋らせることができる」と考えると、結構強力ではある
どちらかというと公安とか内調とかで活躍しそうな能力だけど - 111二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 10:15:44
- 112二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 11:43:55
- 113二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 11:55:10
- 114二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 15:33:41
かっちゃんの個性を完封できるならA組内だけでもアシミナ、ヤオモモ、峰田、瀬呂あたりは個性完封、梅雨ちゃんは乾燥による特大デバフ、相澤先生はドライアイの悪化で抹消の持続時間大幅短縮だもんな
しかも本人の魔力効率がバリ高いので魔力切れとブロット蓄積を起こしにくいとかいう
遠隔でエネルギー性の攻撃あてられる轟と常闇くらいしか安定して対峙できるのがいない
青山と上鳴もいけそうだけど反動がでかいからな
- 115125/05/23(金) 18:48:49
非常灯のおかげで壁がどこかにあるかはかろうじて分かるものの、照明が落ちた廊下は真っ暗で、靴音が反響するのが洞窟のようで不気味だった。
「だ、誰か……!!誰か助けてくれ~~~!!」
🥦「……!!大丈夫、今行きます!!」
突如廊下に反響した悲鳴を聞きつけ、出久はルークを追い越して駆けつけた。
廊下を曲がった先で、『S.T.Y.X.』の所員がカローンに襲われている。
🍎「なんで、仲間なんじゃねぇのか!?」
🥦「事情は後で良い!!今はとにかく救けるんだ!!」
所員を襲っているカローンがもつオールのような杖には、出久たちと戦ったときのスタン魔法よりも強力なエネルギーが集まっている。あれをくらえば気絶では済まないだろう。
🥦「――スマーーーーッシュ!!」
出久はカローンの魔法の軌道を逸らすべく、敵の懐に全力で突っ込んでいった。
*戦闘ダメージ
出久 dice1d10=6 (6)
エペル dice1d10=1 (1)
ルーク dice1d10=3 (3)
- 116二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 19:01:52
真っ先に突っ込んでいってるぅ
- 117二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 19:02:33
まあね、魔法士と前衛ヒーロー(仮)じゃそうなるよね
- 118二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 22:37:58
ダメージ量の大きさ順凄い納得
- 119二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 06:01:31
エペルくん前に出ようとしても先輩に下げられたんだろな
- 120二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 13:24:32
継承権持ち第二王子、ってのが本当に本人の詰まりっぷりがね……サバンナみたいな土地で乾燥に困らされてる生活区だしね……いや本当にレオナさん自体はあらゆるスペック高いのに……高いゆえに……
- 121二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 19:25:29
⭐️
- 122二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 22:23:29
デクくんらしいなあ、後でちゃんとかっちゃんにとっとかい
- 123125/05/24(土) 23:18:01
「うわあああああっ!助けてくれーーーっ!!!」
🥦「大丈夫、僕が来た!!」
魔法が放たれる寸でのところで、出久の靴がカローンの杖を弾き飛ばした。足に反動を感じたが、動けなくなるようなものではない。
「き、君は……」
🥦「立てますか?一緒に避難しましょう」
この場にいるカローンは一体ではない。出久が蹴り飛ばしたのとは他の個体が魔道エネルギーのチャージを始めた。今すぐこの場を離れなければ命はない。
🍎「あいつら、俺たちをビームで消し飛ばすつもりか!?」
🏹「おそらく私の魔法障壁では耐えられない。みんな走れ!カモシカより速く!」
「こ、腰が……腰が抜けて動けない……っ」
🥦「大丈夫。僕につかまって――」
出久が所員を背負おうとしたとき、「きゃああああ!!」と別の悲鳴が聞こえた。少し離れたところに、腰が抜けてへたり込んでいる人影と、魔導エネルギーが今にもチャージ完了しそうなカローンがいる。
🥦(もう一人逃げ遅れてる……!今すぐ走り出さないと間に合わない!!)
出久の頭が急回転し、もれなく救けるための解を弾き出す。
🥦「ルーク先輩、この人をお願いします!!」
この場で最も体格がよく体幹も優れているルークに向けて所員を投げ飛せば、予想通りにルークは逃げる足を止めることなく所員を受け止めてくれた。
🍎「待って、ミドリヤどこ行くんだ!!」
🥦「もう一人いるんだ、救けないと!!」
出久はへたり込んでいるもう一人の所員のもとへと駆けだした。特別な力を持たない出久は救けを求める人のもとまで飛んでいくことはできなくて、必死に足を動かした。
🥦(間に合え、間に合え、間に合え……!!発射の直前に飛び出せばまだ間に合う……!!)
カローンの射線と自分が飛び込む角度を計算する。主要な臓器を避けるように背中でビームを受ければもう一人の所員を庇えるはずだった。 - 124125/05/24(土) 23:29:59
🍎「ダメだ、ミドリヤ!!逃げろ!!!」
🏹「くっ!耐えきれるかわからないが、私の全力の魔法障壁であの2人を……」
カローンは逃げ遅れている出久たちの方を向いている。出久は振り向かず、逃げる素振りもない。
🍎(俺、また見てるだけしかできねぇのか!?)
この場の誰よりも勇敢で、魔法の力を持たず誰よりも非力な出久の背中から、エペルは目を離すことができなかった。
🍎(役立だず!ここまでなにしにきた!)
🍎(なにもできずに見てるだけなんて、もう嫌だ!)
🍎(俺だって、ミドリヤみたいに――!!)
エペルの感情の高ぶりに呼応するように、魔力が急速に高まっていく。
『発射まで3、2、1』
🥦「伏せて!!」
🍎「させるかぁーーーーーッ!!」
カローンが魔導ビームを撃ちだすのと、出久がその射線上に飛び込んでいくのと、エペルの体から眩い光が溢れ出したのは、ほとんど同時だった。
🥦(―――この光は……)
覚悟していた熱線に焼かれる痛みが襲って来ず、その代わりに心地よく抗いがたい眠気が出久を包み込んだ。
強い光で眩んだ目を閉じれば、出久の意識はふわふわと眠りの中に溶けていった。 - 125二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 23:34:29
覚悟してたってオメェさんよぉ
- 126二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 23:42:45
うん、デクが安定のヒーローデク
- 127125/05/25(日) 00:00:08
何かに守られるような安らかな眠りの中で、出久は夢を見た。
――死者の国のハデスです、どうも
――頼みを聞いてほしいんだよ……一日だけヒーローの仕事を休んでもらえないかな
冥府の神が、ヒーローの青年に取引を持ちかけている。
――簡単に断らん方がいいぞ。こういうことになってる!
断ろうとした青年の前に、囚われの身となった長髪の女性の姿がさらされる。彼女は青年にとって、特別で大切な存在だった。
冥府の神は狡猾にも、無敵のヒーローとして称えられた青年を潰すための弱点として彼女を利用した。
――じゃ取引だ!24時間の間、俺にパワーを預けてくれ。そしたらメグは自由の身だ
――三つ数えるうちに答えろ。ひとつ、ふたつ……
大事な人を失いたくないという純粋な願いでもって、青年は冥府の神との無茶な取引に応じてしまう。
――わかった
――よし決まった
取引に応じた途端、青年を無敵のヒーローたらしめる神の力が失われていく。半人半神だった青年は、特別な力をもたないただの人間と成り果てた。
――よかったじゃないか。他の人間と同じになれたんだ……
冥府の神が悪辣な笑みを浮かべる。かつて青年が力が強すぎる余りに人と馴染めなかった過去を、それでも人の役に立ちたくて必死だった過去をあざ笑うように。
――夢だったんだろ、長年の……
全ては彼自身が神の国を統べる王となるため、予言で彼の邪魔になるとされた神の子を無力化するための謀略。
ヒーローたり得る力を失った青年の前で、冥府の神は地の底から恐ろしい怪物を封印から解き放った。 - 128125/05/25(日) 00:32:27
🥦(みんなと同じになるのが……夢……)
どこか他人事とは思えない青年を夢の中で見守っていた出久だったが、遠くから名前を呼ばれて夢の世界から現の世界へ引き戻された。
🍎「……ミドリヤ、ミドリヤッ!!」
🥦「……エペルくん。あの人は……?」
🏹「よかった、目を覚ましたね。キミが助けようとした人は無事さ。見てごらん」
🥦「!!あれは……」
ルークが指し示した先には、凍り付いたカローンの姿があった。カローンを閉じ込めている透明な結晶は一見氷のようだったが、よく見ればどれも棺のような六方体で、よく磨かれたガラスのような美しい艶を放っていた。
🏹「ふふふ。ミドリヤくん、驚いた顔をしているね。あれはね……エペルくんがやったのさ!」
🥦「ええっ!!」
🍎「み、みんながやられちゃうと思ったら、無我夢中で……」
ルークは嬉しそうな笑顔を浮かべながら、出久が気を失っていた間のことを話してくれた。エペルのガラスの棺の魔法は、あの瞬間にカローンではなく出久と『S.T.Y.X.』の所員も包み込んでいたらしい。
ガラスの棺は強力な魔法障壁を用いた結界で、魔導ビームの衝撃を全く通さないほどの守護力を持つばかりか、包み込んだ人間を深い眠りにつかせる効果があるのだという。
美しくも強力なその魔法の名前は『深紅の果実(スリープ・キス)』。
🥦「こんな魔法、初めてみるよ!これってもしかして……」
🍎「えへへ!そう!俺のユニーク魔法だ!」
🥦「す……すごいよ、エペルくん!!誰かを守りながら、敵も傷つけることなく捉えられて、守られている間は本当に安らかに眠っていられるから心理的な負担も軽減できる……。攻防一体で強力だけど優しい、どんな現場でも活躍できるものすごくヒーロー向きな魔法だ!!!」
出久たちを守る一方でカローンたちの動きを封じたエペルの魔法を見て、一瞬で百通りは活躍方法を思いついてしまった出久は興奮で顔を赤らめ鼻息を荒くした。
🍎「そ、そんな勢いで褒められると照れる……かな」
🏹「ブラヴォー!愛しの姫林檎!感謝と称賛の抱擁を!」
🍎「ぐええぇっ!ルーグザン、ぐるじぃれす!」
🏹「それから、彼の心に勇気の火を灯したキミにも」
🥦「わぷっ!いででで……っ!」
ルークの抱擁はギュウと抱きしめるどころかギリギリと熊を締め上げるような力強さで、出久とエペルは腕の中でジタバタともがいた。 - 129125/05/25(日) 01:06:30
🏹「おっと、すまない。感情が昂って力が入りすぎてしまった」
🥦🍎「「ぷはっ……!」」
ルークの熱い抱擁から解放されるのと同時に、まだ眠っていた『S.T.Y.X.』の所員が目を覚ました。
🥦「よかった、目が覚めたんですね。お怪我はありませんか?」
「君たちが助けてくれたのか。本当にありがとう……」
所員はまだ震える足でゆっくりと立ち上がると、困惑気味にガラスの棺に封じ込められたカローンを覗き込んだ。
所員曰く、このカローンたちはオートパイロットモードであり、通常は人を攻撃することはあり得ない状態であることから、『ケルベロス・システム』にトラブルがあった懸念がある、とのことだ。
「もしかすると、本部内はここよりも危険な状態になっているかもしれない。キミたちも今すぐ来た道を戻り、外周部にある緊急脱出用ターミナルから島外へ脱出するんだ。この様子では、ターミナルが動いているかもわからないが……」
🏹「ご忠告ありがとう、ムシュー。しかし……その話を伺い、私たちは一刻も早くこの建物の中へ向かわなければならなくなった」
人の良さそうな所員は、ルークの言葉に驚愕の表情を浮かべた。
「そんな!危険だ!」
🏹「百も承知さ。しかし、そこには我らの愛する学友たちがいる。大丈夫。私たちはナイトレイブンカレッジで緊急事態発生時の対応訓練を受けているからね」
「しかし……そちらの子だけでも……。私同様に魔法が使えないのなら……」
🏹「ノン。彼はこの場の誰よりも緊急時のセオリーを知っている。そうだね?ムシュー・そばかす」
🥦「はい。僕も緊急時に必要な訓練は一通り受けてますから、大丈夫です」
「そうか……」
所員は出久たちの表情から決意が固いことを感じ取り、心配そうな表情を浮かべながらもそれ以上引き留めることはしなかった。代わりに、彼は一枚のカードを差し出した。これは『S.T.Y.X.』本部へのアクセス権限をもったIDカードであるらしい。
🥦「でも、これを僕たちに渡したらあなたは……」
「私なら大丈夫。生まれも育ちもこの島の中だ。どうとでもなる」
🏹「お心遣い、感謝します」
「こちらこそありがとう。どうか気を付けて」
礼の言葉とともに、所員は島の外周部に向けて去っていった。出久たちがこれから目指すべきはその反対、島の中央部に位置する本部だ。
🏹「……さあ、行こうか。我らが女王の御前へ!」 - 130125/05/25(日) 01:14:55
ナイトレイブンカレッジは男子校なので、ハーツラビュル生とかポムフィオーレ生が自分たちの寮長を「女王」と表現するのはよく考えるとそこそこイカレてるんですが、顔の良さで違和感を完全にカバーしてるのが面白いですよね
「魔女」の寮であるオクタヴィネル生とディアソムニア生は寮長をそういう風に呼ばないのと一体何の差があるのか - 131125/05/25(日) 01:34:42
一方その頃、勝己たちは似たような廊下が続く『S.T.Y.X.』の本部を走り回っていた。本部な迷路のように入り組んでおり、本当に管制室に近づけているのかまるでわからない。
一応、曲がり角に印をつけながら進んでいるので、同じ道に戻ってきてはいないということはわかっているのだが。
🦁「チッ。IDカードがないと通れない道が多すぎる。壁が防魔素材でなければ、ドアを全部砂にしちまうところだが……」
🧨「だァら俺が壁を爆破するつってンだろが!!管制室なんてIDカードで出入り制限されとる区画にあるに決まってンだからよォ」
🐙「絶対にやめてください!!あなた、自分の体の状態がわかってるんですか!?」
勝己による強行突破案は、疑似的に勝己の傷を肩代わりしたことがあるアズールによって食い気味に棄却された。
🌹「そういえば、過去に何度かバクゴーが喀血しているところを見たことがあるけど、体調は大丈夫なのかい?」
🧨「クソ余裕だわ」
🐙「嘘おっしゃい!あなた、心臓に破裂したような深い傷があるでしょう。しかもまだ本調子じゃなくて、心肺機能がボロボロじゃないですか」
🌹「はぁっ!?全然大丈夫じゃないじゃないか!!」
🧨「おい、ベラベラ喋んなクソ蛸!お得意の守秘義務はどうしたよ」
🐙「今はやむを得ない緊急事態ですから、守秘義務の適用外です」
🦁「無茶してぶっ倒れたら置いていくぞ、バカ犬。緊急事態に余計な荷物を持って行くなんて馬鹿な真似はできないからなァ?」
🧨「チッ!」 - 132二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 03:53:10
- 133二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 03:54:01
マークとか色々省略してます!
- 134二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 07:48:47
- 135二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 08:06:11
- 136二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 15:23:47
- 137二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 21:01:11
むしほ他寮長はそんなかっちゃんを色々巻き込んだ(デクの関係もあって巻き込まれに来た)のを少し省みるべきかもしれない
いや()書きの通り向こうから突っ込んできてる所はあるけれど - 138二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 21:10:33
- 139二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 23:16:38
レオナ、イデア…推測正解してんじゃん
- 140二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 00:41:35
ガチンコとかパチンコみたいにチンコが含まれてるだけで
そっちの世界では一般的な単語なのかと思って
どういう意味か確認したらやっぱりチンコじゃねーか!
みたいなやり取り起きそう
由来聞いたら良い話かよ!ってオチ - 141二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 01:22:02
- 142二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 07:27:03
そう、由来というかきっかけはむしろいい話なのがな……
- 143二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 13:28:18
⭐️
- 144二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 17:27:47
⭐︎
- 145二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 20:43:35
- 146二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 21:54:05
このレスは削除されています
- 147125/05/26(月) 21:56:16
――ビーーーッ!ズガーーン!!
その瞬間、青山のネビルレーザーの発射音に似たような音と、少し遅れて固いものが砕けるような轟音が響いた。
「ひ、ヒィ!!助けてくれェ!」
🧨「ア?どうした、状況を説明しろ」
廊下の曲がり角から『S.T.Y.X.』の所員が息を切らせて走ってきて、そのまま腰が抜けてへたり込んだ。
只事ではなく、なにかから逃げている様子を見て、勝己は所員を担いで立たせながら廊下の先を睨んだ。
「あ、あ、あそこに……!」
『魔導ビーム再装填完了。ターゲット・ロックオン』
所員が震える指で廊下の向こうを指した。果たして、向こうから追ってきたのは、オンボロ寮で戦った鎧の兵士、カローンだった。
🧨「またテメェか。今度こそぶっ飛ばしてやんよ!!」
🦁「ちょうどいい。アイツに恩を売って道案内させようぜ」
👑「まったく……“王子様”らしくな発言は慎みなさいよ。でも、賛成」
万事休すといった状況の所員を他人事のように遠巻きに眺めながら、レオナとヴィルが悪い笑みを浮かべる。
🧨「おいテメーら、くっ喋ってねェでコイツ邪魔だから受け取れ!!」
「えっ、うわああああああ!!」
爆発は熱のみならず、衝撃波による殺傷力が大きな危険な現象だ。『爆破』の個性は下手に救助対象に傍をうろつかれると巻き込んでしまう恐れがあるため、勝己は安全圏でニヤニヤとしていたレオナたちに向かって所員をぶん投げた。
*戦闘ダメージ (ぶん投げた相手 dice1d5=1 (1) )
勝己 dice1d10=7 (7) (反動 dice1d5=4 (4) )
1.リドル dice1d10=2 (2)
2.レオナ dice1d10=3 (3)
3.アズール dice1d10=8 (8)
4.ジャミル dice1d10=3 (3)
5.ヴィル dice1d10=4 (4)
※ぶん投げられた相手はダメージ免除
- 148125/05/26(月) 22:09:20
勝己の爆破と、他のメンバーの魔法と。オンボロ寮で戦ったときとは全く別物のように、カローンはあっけなく吹き飛ばされた。
🧨「……妙だな、手応えが無ェ」
👑「そうね。学園に現れた連中よりも、動きが規則的で単調に感じる」
🧨「まァいいわ。おいテメェ、怪我は」
引っかかる点はあるが、弱体化されて無事に倒せた分には問題ないだろう、と判断して、勝己は救助した所員に話しかけた。
*所員の反応 dice1d2=2 (2)
1.「助けてくれてありがとう……」
2.「ヒ、ヒィッ!近づくな!化け物!」
- 149二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 22:19:19
元の本編とモブのリアクションが同じなのと同時に、黒デクん時の市民もこんなんだったなぁ…って1人静かにニヤニヤしてる
親和性が高くて変に拗れたヲタクの壁に刺さってくる☺️ - 150125/05/26(月) 22:28:38
「ヒ、ヒィッ!近づくな!化け物!」
🧨「――ア?」
腰が抜けて立てないでいる所員に勝己が差し出した手は、パシッという乾いた音とともに跳ねのけられた。所員は勝己から逃げるように、腰が抜けたまま這々の体で後ろずさる。
爆発する掌が恐ろしいのかと思い手を下ろしたが、「恩返しに俺たちを所長代理サマのところまで案内してもらおうか」と詰め寄るレオナを前にしても同じように震えていたため、勝己個人ではなくこの場にいる全員に怯えているようだった。
🐙「慈悲の心で助けて差し上げたというのに……ひどい言われようですね」
🦁「まったくだ。こちとら右も左もわからねぇ迷子なんだぜ?いいから管制室(迷子センター)に連れて行けって言ってんだよ。あ?」
👑「そんな人相悪くて偉そうな迷子がどこにいるのよ」
レオナが杖を所員の真横にカツンと突き立てると、所員はますます体を縮こめた。顔は青ざめ、歯の根が噛み合わずにガタガタと音が鳴っている。尋常ではない怯えようだった。絶望に打ちひしがれたような虚ろな瞳は、目の前の勝己とレオナではなく虚空を映している。
「い、嫌だ!中央地区には……『タルタロス』には近づきたくない!『ケルベロス・システム』が乗っ取られた。ファントムが溢れ出したら、この島はもうおしまいだ!」
🧨「おい、今何つった!乗っ取られたって、どういうことだ!」
「うるさい、そんなことを説明してる暇はないんだ!そこをどけ!俺は脱出用ターミナルへ行かせてもらう!」
所員は冷や汗をまき散らしながら立ち上がり、ふらふらと歩き出そうとした。
*爆豪 説得ロール dice1d2=2 (2)
1.成功
2.失敗
- 151二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 22:30:36
あからさまな死亡フラグ言動をとるモブだ!
囲め!(保護) - 152125/05/26(月) 22:50:04
「そこをどけ!俺は脱出用ターミナルへ行かせてもらう!」
🧨「待て。確かここに収容されとるファントムは1万体はくだらないつったな。それが逃げ出したとなりゃ、どこに逃げたって変わンねェだろ」
「……な、何が言いたいんだ」
🧨「これは俺の予想だが、『ケルベロス・システム』を乗っ取ったのはメラメラロボだろ。アイツの性能はこの島で見た機械ン中でも別次元だしな」
「それはっ、その通りだが……だから何だって言うんだ!」
🧨「俺らは管制室に向かっとる。ンで、元凶をぶっ飛ばす予定だ。島から逃げてほんの数時間延命するより、俺らを管制室まで案内した方が賢い選択だと思わねェか」
「おっ……思わない!!お前らに一体何ができるっていうんだ!!悪いが、俺はいかせてもらう!!」
🐍「やれやれ……仕方がないな」
勝己の説得は響かず、所員は走り去ろうとする。今度はジャミルがやんわりと通路を塞いで、所員と向き合った。人が良さそうな――勝己には胡散臭いように見える――笑みを浮かべながら。
結局、ジャミルが所員に洗脳のユニーク魔法をかけ、IDカードで通路を開けさせながら道案内させる流れになった。
🧨「チッ。三つ編みの世話ンなったみてェで気に食わねェが……」
👑「ともかく、このスタッフのIDカードと案内があれば迷わず管制室まで辿り着けそうね」
🌹「ええ。そしてそこまで行けば、今ボクたちが置かれている状況も把握できるはず」
🧨「ンで、セキュリティ上の重大インシデント起こしやがった所長代理サマをぶん殴る。……急ぐぞ」
おそらく、状況は刻一刻と悪くなっている。早く管制室まで行かなければ、協力を仰いだ(洗脳した)所員が逃げ遅れてしまう。
勝己たちは管制室を目指し、再び走り出した。 - 153二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 05:58:29
この状態で脱出用ターミナル動いてるのかな、ってのは思ったりしたなあ
- 154二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 10:14:44
何度読んでも完璧な悪人ムーヴの公式美形寮長ズと洗脳に何ら抵抗がないジャミルに笑ってしまう
- 155二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 17:36:02
雄英なら多分出ない手法というこの
- 156二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 20:26:29
精神がヴィランなオバブロ組と一緒にいるとかっちゃんのヒーロー性がすごく眩しく見えちゃうな…
- 157125/05/27(火) 22:38:17
管制室に近づいてくると、けたたましい警報の音に『S.T.Y.X.』所員たちの慌ただしい声が混じり始めた。
聞こえる単語を拾った限りでは、『S.T.Y.X.』の魔導回路を搭載した危機は全てオルトに権限を乗っ取られ、タルタロスで凍結されているファントムの封印は上層部から順次融解し始めているらしい。
「もはや我々に打つ手はないのか……」と力なく呟く声が耳に届いた瞬間、勝己は瞬間的に苛立って目の前の扉を蹴破った。
――BANG!
🧨「しょうもねェ泣き言吐いてねェで、根性見せろやクソギークども!!!」
「うわああっ!!?き、君たちは……ナイトレイブンから連行されてきた被検体たち!」
🧨「被検体じゃねェわ!!文句あっからテメェらンとこの所長代理出せや」
悪鬼羅刹のような表情を浮かべ、流れるように罵詈雑言を吐きながら突入してきた勝己たちに、『S.T.Y.X.』所員たちはビクッと肩を跳ねさせた。
🔥『兄さんなら、僕と一緒にいるよ』
🐙「この声は……オルトさん!?」
管制室を監視していたのか、偶然とは思えないタイミングでオルトからの通信が入った。
🔥『さすがはSSR[前代未聞の問題児]。隔離棟のドアは内側から開かない仕様のはずだけど……』
🧨「ハッ。障子窓みてェに吹けば飛んでったペラペラのドアによく言うぜ」
👑「それで?これはどういう状況?ボスにご説明願いたいところね。まずアンタたち、今どこにいるの?」
🔥『ごめんね。兄さんは今、手が離せないんだ。だから、僕からお話させてもらうよ』
勝己の挑発もヴィルの質問も受け流し、オルトは静かに語った。
もう一度ゼロからスタートするために、この世界には余計な積み重ね(セーブデータ)が多すぎるから、一度リセットしなくちゃいけない、と。
🧨「……魔王気取りが」
オルトの語る計画が、世界の崩壊を望んだ死柄木の目論見と重なる。
彼が理想を叶えんと進んだ過程で失われた多くのものが脳裏をよぎり、勝己は拳を固く握りしめた。
👑「信じられない。アンタたちが世界を新しく作り変えようというの?……フッ、フフフ!アハハハハ!」
🧨「ア?テメーなに笑ってやがる」
怒りに震える勝己の横で、ヴィルが屈託のない笑い声を上げた。心底おかしそうに頬を持ち上げたその表情は、子どものように純粋だった。 - 158125/05/27(火) 22:54:28
👑「上等じゃない!見直したわ」
🔥『え?』
👑「やる前から無理だと決めつけて、ぐじぐじと蹲っているだけの状態より、ずっと健全」
カラリとした口調で、ヴィルは「アンタたち兄弟のチャレンジを応援する」とまで言ってみせた。同時に「アタシにも夢があるから、アンタたちの計画を全力で潰す」とも。
ヒーローとしての意識で大勢の人の命や未来を想って義憤い駆られた勝己とは対照的に、ヴィルはあくまで今の状況を「同級生どうしの夢のぶつかり合い」として今の状況を捉えているらしい。
ヴィル以外のメンバーも、各々がどこか自己中心的な言い分と共にオルトたちに刃向かう意志を表示した。
👑「……というわけで。アタシたちは全員、アンタたちの敵に回ることにするわ」
🔥『そっか……残念だよ。みんなとまた一緒にゲームがしたかったな』
どこか大人びた声でオルトが『さようなら』と告げ、通信が途絶える。
次の瞬間、警報音とともに大量のカローンが管制室になだれ込んできた。
🐍「!!またあの鎧が来たぞ!」
🧨「ゴミ虫みてェにウジャウジャと……!!」
🐙「イデアさんたちは、本当に僕たちを排除するつもりのようですね」
無機質な声とともに迫るカローンたちを前に、勝己たちは戦闘態勢に入った。この場にいる大勢のカローンも、全員で力を合わせれば倒すことは不可能ではない。が、勝己は相応の心臓への負荷を、リドルたちはブロットの蓄積を覚悟しなければならない。
まずは相手の視覚センサーを潰すところから、と勝己が“閃光弾(スタングレネード)”の予備動作に入ったところで、静かに呪文を詠唱する声が届いた。
「目を閉じて、息を止めて……『深紅の果実』」
キィン、と甲高い音が鳴ったかと思えば、次の瞬間、大量のカローンたちが氷漬けにされたように、ガラスの棺に閉じ込められていた。 - 159二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 22:56:08
やっと合流か!?
- 160125/05/27(火) 23:01:46
🍎「やった!今度だば上手ぐ閉じ込められだ!」
🥦「すごい!この短時間でどんどん精度が良くなってる!」
👑「この特徴あるイントネーションは……」
🧨「このムカつく上ずり気味の早口は……」
聞き覚えのある声に、ヴィルと勝己が反射的に振り向いた。
🍎「ヴィルサン!やっと見つけた!」
🏹「ああ、我が愛しの毒の君(ロア・ドゥ・ポアゾン)!会いたかったよ!」
👑「エペル!ルーク!」
駆け寄ってきたエペルとルークを、ヴィルが笑顔で受け止めた。
🥦「かっちゃん!無事でよかった!!」
🧨「……出久」
*出久の涙腺 dice1d100=20 (20)
(51以上で涙が出ます)
*かっちゃんの反応 dice1d2=2 (2)
1.大人しく迎える
2.爆ギレ
- 161125/05/27(火) 23:02:12
*対抗ロール
出久 dice1d100=5 (5)
爆豪 dice1d100=23 (23)
- 162125/05/27(火) 23:14:18
心配と安堵を滲ませた表情で、出久がパタパタと勝己のもとへ駆け寄ってくる。
――ところで、出久は誰かと向き合う際に「手を握る」という行為を大切にしている。なんでも、手を握るだけで心が和らぐのだとか何とか。
出久が勝己の手を握ろうとしたのが、見ずとも気配で分かった。
🥦「かっちゃ……あれ?」
🧨「隙だらけ。油断し過ぎ。ボケカス馬鹿。マジでクソ」
🥦「ぐえっ!?」
こちらに伸ばされた出久の腕を反対に掴んで引き寄せ、勝己は左腕に力を籠める。
🧨「死ィィねェェエエエエ!!!」
🥦「しねって言った!!?」
次の瞬間、勝己の華麗な dice1d2=2 (2) が出久に炸裂した。
1.一本背負い
2. ジャーマンスープレックス
🐍「何をやってるんだ」
🐙「……いや、本当に何をしているんですか?」
🌹「幼馴染の再開のルールについて僕は詳しくないけど、あんな風にするものなのかい?」
🐍🐙「「そんなわけないだろ/ないでしょう」」
🦁「馬鹿どもが」
- 163二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 23:15:24
まあ、待ってろって言ったもんね
デクはそれで待つような子じゃ無いが - 164二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 23:17:18
合気道の要領でジャーマンスープレックスやったんか
- 165125/05/27(火) 23:37:27
ちょっとダイス
*怒っているかっちゃん dice1d100=94 (94)
1:素直じゃないっちゃん
100:素直っちゃん
- 166二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 23:51:31
やはり闇の幼馴染は教育に悪いな…
- 167二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 05:28:08
まあ今回はね、色々しゃーないよ
- 168125/05/28(水) 06:50:52
- 169二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 07:00:08
とっても素直っちゃんだ!
- 170二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 12:34:27
リドルの困惑を訂正できる人が二人もいて良かった…このままだとトレイかチェーニャがジャーマンスープレックスの餌食になるところだった…
- 171二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 19:47:39
保守
- 172二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 20:03:23
今ようやく追いついたわ キャラの解像度といい文章力といい丁寧で良……
クロススレの中でもかなり好き - 173二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 22:34:48
な、スレ主丁寧でいいよな……分かる
- 174二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 22:41:26
このレスは削除されています
- 175125/05/28(水) 22:42:03
🥦「痛った……なにすんだよ!」
🧨「黙れ。なんで追いかけてきた」
再会した瞬間に技をかけられた出久は床に打った頭を押さえて怒ろうとしたが、それ以上の真剣な怒りを放つ勝己の気迫を前に口を噤んだ。
🧨「俺は!!待ってろって……、『信じろ』っつったよなァ!!」
🥦「……ちがう、僕は君が強いってちゃんと知ってて、信じてる」
出久の胸倉を掴み上げながら勝己が叫ぶので、出久は負けじと見つめ返した。
🥦「でも!君が戦っているところに行きたかったんだ!!」
🧨「だからって約束破って良い道理にゃなんねェだろうが!!」
🥦「だって!だって……どうしても、心配だったんだ。」
🧨「心配だァ?」
🥦「万が一のことがあったらって……。僕の知らないところで、君が永遠に戻って来なかったらどうしようって……。僕一人で元の世界に帰るのは嫌だよ」
🥦「…………もう、間に合わないのは嫌だったんだよ」
約束を破ることになってしまった勝己に向けて、出久は胸の内を全てさらけ出した。目の奥は火傷しそうなほどに痛むのに、涙腺が焼き切れたように涙は出てこなかった。鋭い舌打ちとともに勝己が出久の胸倉を放し、出久はその場に尻もちをついた。
🧨「テメェの心配が何だ。そんなの……そんなのはなァ……」
🧨「……俺も同じなんだよ」
🥦「…………!!」
掠れた声で呟いて見下ろす勝己の瞳は、ほんの少し潤んでいた。
🥦「かっちゃん……ごめんね」
🧨「……ハァ~~。絶対ェ帰ンぞ」
🥦「うん!」
謝罪の言葉を口にした出久に勝己が手を差し出したので、出久は今度こそその手を握り、勝己の力を借りて立ち上がった。
🌹「……結局、バクゴーがミドリヤを投げ飛ばした意味はあったのかい?」
🐍「心配だったと素直に言えないんだろう。全く、捻くれたヤツだ」
🐙「あなたは他人のことを言えないでしょうに」ボソッ
🌹「心配なら心配だと言えばいいんだ。彼らのルールはよく分からないね」 - 176二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 22:44:48
かっちゃん、「やっぱり来やがったコイツ!!」って感じなんだろな
- 177二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 22:45:49
このレスは削除されています
- 178125/05/28(水) 23:08:51
- 179二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 06:04:59
大丈夫ですリドル寮長、ルールとかでなくその2人色々難しいけど今は一応ある程度上手く回ってるので
- 180二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 06:33:47
ダイス目次第では普通に再会してたっぽいのに、ダイス神のイタズラで爆ギレジャーマンスープレックスからの素直っちゃんでかっちゃんの情緒がおかしいことに…
原作でも情緒がおかしい?それはそう - 181二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 10:12:02
作品に感じる倫理観を大事にしてくれるのすごくありがたい
- 182二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 11:39:47
スレ主夢の国リスペクトがしっかりしてるからSSR問題児たちへの理解度も高いんよね
二次創作だと露悪的になりがちな所をヒロアカヴィランラインの一歩手前ぐらいで上手く手綱にぎってる感じ - 183二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 17:54:07
ほしゅ
- 184二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 21:18:28
めっちゃ最高…二人の会話で色々思い出しちゃった
そうだよな二人はな… - 185二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 21:20:24
あのかっちゃんがデクを心配して、しかもそれを素直に話せるようになるなんて……ホロホロ
- 186125/05/29(木) 23:01:48
🥦「……そういえば、グリムの姿が見当たらないけど、もしかして一緒じゃないの?」
🧨「ああ。輸送の段階から別扱いで、検査のときも、それ以外でも、一度も見かけてねぇ。だが、脱走したような形跡が残っとった」
管制室のオペレーターに確認をとれば、やはり勝己たちが見た扉が大破した部屋は、グリムが収容されていた場所だったと裏付けが取れた。
魔力に乏しいグリムが頑丈な防魔素材の扉を破った件については『S.T.Y.X.』の研究員たちも懐疑的だったが、グリムは正確なブロット蓄積値が測定できなかったことと、古代魔術が何重にも重ね掛けされていたという解析結果が特記事項としてあり、万が一のことがないとも言い切れないとのことだった。
「はっ!!『タルタロス』内部の通貨センサーに、被検体Fのウェアラブルデバイスの通過ログがあります!」
🥦「被検体Fって、グリムのことですか!?どうして『タルタロス』に……」
『タルタロス』には一万体以上のファントムが収容されており、現在少しずつ封印が融けてきている。言わずもがな危険極まりない場所だ。
🧨「だがこれで居場所は絞れた。丁度良い、魔王気取りどもをぶっ飛ばしにどうせ『冥府』の底まで下りるんだ。道中でついでに拾ってくぞ」
世界をリセットする第一歩として『タルタロス』と『冥府』の門を開放するのだと先ほどオルトは語っていた。ならば、シュラウド兄弟は十中八九『タルタロス』の底にある『冥府』の門にいるはずだとアタリがついた。
👑「そうね。アイツらの世界リセット計画を止めたいのなら、危険だろうがなんだろうがそこまで行くしかない」
🐙「……はぁ。確かに、それしか道はないでしょうが……」
🐍「随分と気軽に言ってくれる……」 - 187二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 23:24:13
かっちゃんの「魔王気取りども」って言い回しが地味に好きなんだよな……
- 188125/05/29(木) 23:32:23
「待ちなさい。君たちはまだ魔法士免許ももっていない学生だろう!?」
「今、この危機的状況に必要なのはアマチュアの魔法士じゃない。プロの魔法機動隊だ。外部からの救援が来るのを待とう!」
『タルタロス』へ向かうことで意見を一致させた出久たちを、所員たちが慌てて引き留めた。
🦁「……『タルタロス』に収容されたファントムの凍結が全て溶けきるまで、あとどれくらいだ?」
「ろ、6時間を切っています」
🦁「その間に外部との通信が復旧し、救援がくる見通しは?」
レオナの問いかけで、管制室に沈黙が下りる。嘆きの島は世界地図にも載っていない禁域。外部からの助けが来る可能性は絶望的だった。
🦁「もうどうしようもないから『みんなで震えながら輝石が起きるようにお祈りしましょう』って?冗談じゃないぜ」
🌹「確かにボクたちはまだ魔法士免許を持たない学生です。しかし、重大事案発生時において初動処置については学園で訓練を受けています。魔力をもたない彼らも同様に。……そうだね?ミドリヤ、バクゴー」
🥦「うん」
🧨「こちとら免許もちのヒーローなんだわ。パンピーに心配される筋合いはねェんだよ」
🥦「まぁ、まだ学生だから仮免なんだけどね」
🦁「……バカ犬。お前仮免でそんなにイキってんのか」
🧨「アァ!?実質内定決まってっからほとんどプロみてェなもんだわ、ナメんな!!」
フン、と鼻で笑ったレオナに、勝己が歯茎を剥き出しにして猛獣のような勢いで噛みついた。どちらが獣人なのか分かったものではない。
🐍「そして……俺たちはオーバーブロット経験者だ」
🐙「オーバーブロットは“魔力保有量が多く、実力ある魔法士しか陥らない稀な現象”でしたよね?それはつまり、僕たちが非常に有能な魔法士であることの証明だ。そうですよね?『S.T.Y.X.』のみなさん」
「それは……」
アズールの問いかけに所員たちは反論できない。増援の見込みがなく、非戦闘員が大半を占める嘆きの島において、この場にいるナイトレイブンカレッジの生徒は最高戦力といって差し支えない状況だった。
🏹「最悪の事態を回避するために、私たちにはまだやれることがあるはずだ」
🍎「僕も、覚悟はできてます!」
🥦「それじゃあ、手遅れになる前に急ごう」
全員、気合も覚悟も十分だ。
――いざ、『タルタロス』へ。 - 189二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 23:51:37
このレスは削除されています
- 190125/05/29(木) 23:57:37
危険な場所へと赴く出久たちに、所員たちが声をかけた。相変わらず学生の身を案じるような心配混じりの声色ではあったが、今度は引きとめられなかった。
「せめて、これを持っていってほしい」
そう言って、この場の代表としてヴィルが受け取ったものは、IDカードと『S.T.Y.X.』本部の地図、古めかしい電池式のトランシーバー、そして3本の鍵だった。
この鍵は、対ファントム用決戦アームズ『雷霆の槍』の機動キーである、と所員は語った。
『タルタロス』は3本のタワーからなる12層の巨大地下施設で、それぞれの第6層に『雷霆の槍』が設置されているのだという。
最下層に封印されている、『タイタンズ』と呼ばれる原初のファントムたちは一個人の魔力で太刀打ちできる相手ではなく、対峙するのならば『雷霆の槍』の力が必須になるとのことだった。
「学生である君たちにこれを託すしかない、無力な我々を許して欲しい…………」
👑「私たちがタルタロスに向かうことに、あなたたちが責任を感じる必要はない。どうやらオルトを焚きつけてしまったのは、アタシみたいだしね」
オルトは「ゼロをゼロのままにしない」とヴィルの言葉にいたく感銘をうけていた。この凶行は、彼なりにヴィルの言葉を実践した結果でもある。
🧨「まァ、どーしても責任取りてェっつーなら、お誂え向きの方法があンぜ。テメーらみてェなクソギーク集団にしかできねェ方法でなァ」
「我々にしかできない方法?もしそんなものがあるのなら、喜んで協力しよう」
責任を負う能力さえない無力に負い目を感じている所員たちは、勝己のふてぶてしい言葉に顔を上げた。
🧨「こんな辺鄙な場所に引きこもって、最新鋭の設備に囲まれてファントム倒すためにカローンだの魔導アーマーだの弄り回してンだ。当然、テメェらは好奇心に負けて作ったことがあるよなァ?」
🥦「……?」
勝己の言葉に、出久をはじめナイトレイブンカレッジのメンバーはピンと来ずに首を傾げたが、『S.T.Y.X.』の研究員たちは何のことか分かったようで肩をギクリと跳ねさせた。
🧨「テメーらが作ったパワードスーツ。そン中でも最強のやつ。俺らに貸せ」 - 191二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 02:15:28
アーマードデクくん!?
- 192二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 07:18:51
ここから先バトルばっかりだからね
戦闘力を底上げしないとね - 193二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 08:46:56
アーマードデクもアーマードダイナマもアツい
- 194二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 09:06:24
魔導回路と純粋な科学技術だからちょっと違うかもだけど、ここでの知識がのちのアーマードデクに繋がったかもと思うとアツすぎるな
- 195二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 12:46:56
胸熱!!!!!!
- 196二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 21:03:27
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- 197125/05/30(金) 22:29:19
- 198二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 23:10:37
たて乙です!アーマードデクくん楽しみ!!
- 199二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 23:14:03
立て乙です
- 200二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 23:20:27
立て乙埋め