- 1◆l7elE92Qk0.U25/05/18(日) 00:50:59
泣いている。啾啾と、泣いている。
鱗と毛皮越しに伝わってくる。みしりみしりと骨が砕ける音。
息を吐けども吸えぬ鼠の断末魔。命が潰える音。背骨にめり込む業の重さ。
バクリと口を開け、その骸を糧へと変える。
ゆっくりと喉から胃へ運ぶ。組み込まれた蠕動運動が骸を運ぶ。
古より変わらぬ営み、罪であり咎。
腹を満たし命を繋ぐ。種の誕生より繰り返される動作。
ただ種を存続させるためのシステム。
本来であればただのシステムに過ぎない。この星で繰り返される終わりなき競争。
私自身もこの群体、種とシステムを構成する部品に過ぎない。
だが、今の私はそうではない。これは女神への奉仕である。
業を背負い、罪の義務を果たす奉仕である。
分厚い石板と木板を隔てた異界の女神。決して交わることは無い異界。
腹板越しに伝わる貴女の声。決して出会うことのない異界の女神。
貴女が健やかに暮らせるように、私は今日も業を背負う。
害獣どもを根絶やしする為に、この暗い現世を這いずり回る。
今はただ、貴女が発する振動を感じるだけ。
異界とのつながりを感じながら、骸を糧に変えるだけ。 - 2◆l7elE92Qk0.U25/05/18(日) 00:51:14
ルームメイトであるホッコータルマエが怪訝な顔で耳の横に手をかざし、何かを聞いている。
私も同じ動きでその先を探る。
……この音は、ヘビね。それも結構大きなヘビ。アオダイショウかしら?
私の様子に気付いた彼女が不安そうに問いかける。
「やっぱり何かいるよね?……何だろう?」
「……多分ヘビね。大きなアオダイショウかしら?」
「ヘビぃ!? やだなあ……」
そう言いながら、少し顔をしかめていた。まあ、仕方ないわね。嫌がる人は多いもの。
でも、彼らは家を守る益獣でもある。個性的な見た目だけれど、悪い子たちじゃない。
「大丈夫よ、タルマエさん。ネズミを食べてくれるいい子たちよ」
「うーん……それはそうなんだけど。やっぱり好きじゃないかなあ」
「人前には滅多に出てこないから大丈夫よ、タルマエさん」
「それならいいけれど……」
天井で隔てられた異世界。そして姿も見えない寮の管理人。
ルームメイトは嫌かもしれないけれど、私は一度会ってみたい。
ただそう感じた。 - 3◆l7elE92Qk0.U25/05/18(日) 00:51:31
以上
ヴィルシーナに清潔で健やかな毎日を屋根裏から提供したいだけの人生だった
人間でいること、辛すぎるだろ! - 4◆l7elE92Qk0.U25/05/18(日) 00:51:43
参考:アオダイショウ(ヘビが苦手な人は閲覧注意)
AI_CVE - Öohebikoji.web.fc2.com - 5二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 00:57:50
大きな営みの中のちいさな部品が、叶うことのない故障/恋を獲得してしまった
けどその先へ踏み込む事はせずに、自分の役割を全うし届かぬ愛を奉仕する、健気じゃないですか
その眩いばかりの女神様に、思いは通じたようで…
最後のコメント闇深くない?大丈夫です? - 6二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 01:00:38
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- 7二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 01:02:07
- 8二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 01:03:55
ガイドラインに違反しない限りは二次創作は自由なんだぜ
- 9二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 01:05:16
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- 10二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 01:07:15
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- 11二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 01:10:40
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- 12二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 01:16:41
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- 13二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 01:22:48
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- 14二次元好きの匿名さん25/05/18(日) 01:33:21
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- 15◆l7elE92Qk0.U25/05/18(日) 01:41:15