- 1二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 01:50:30
ビーム砲が赤熱する瞬間、目の前に敵が猛烈な速度で迫ってきた。機体はまるで光の矢のようにサイコ・ガンダムに肉薄し、その動きはドゥーの予測を完全に超えていた。
敵の動きは止まらない。サイコ・ガンダムの巨大な腕、ドゥの本当の腕が振り上げられ、敵を殴打せんとする。しかし敵は更に加速、サイコのヘッド、コックピットの位置に激突した。
コロニーの壁面に反射する光が二機を照らし、サイコ・ガンダムのビーム砲口が一瞬だけ躊躇った。ドゥーの心臓が高鳴り、敵か味方かさえ曖昧になるほどの緊張が彼女を支配した。息遣い。必死。やめて。やめて。母さんが。敵パイロットの気配があまりにも近く、まるで触れそうな距離で、戦場の空気が凍りついた。
無数の光の粒。キラキラと輝く粒子たち。淡いピンクと金色の輝き。宇宙の鼓動を刻み、心を包む。遠く懐かしい記憶。希望と儚さ。永遠の一瞬。一瞬の永遠。
視線は敵ージークアクスを捉えた。マチュ。誰。誰。知っている。いま知った。マチュはキラキラを知っている。見せている。ドゥーの心は抑えきれぬ衝動に駆られ、まるで子猫がじゃれつくように、彼女はサイコ・ガンダムのハッチを開放した。
コロニーの無重力空間を蹴り、ドゥーは一気にジークアクスへと飛び移る。ゲーツ・キャパの困惑しきった叱咤を尻目に。ジークアクスのコックピットが開かれる。朝焼けを思わせる薄紅色の短髪。透き通るような青い瞳には、どこか遠くを見つめるような冷静さと、同時に秘められた感情の炎。彼女を知っている。色が流れている。
「マ...チュ...あねさま」
ドゥの呼びに、マチュことアマテ・ユズリハはえっ?と狼狽えた。母の職場にビームを向けた機体から、こんなちいさくて白い子が出てきて、ニックネームの敬称付きで呼ばれた。急に出てきたから思わずこっちも開けたけど、これは予想していなかった。不思議がいっぱい。
白い子が操縦席に入ってくる。近くで見ると余計細くて、スレンダーというよりも病的だった。その子はこちらをまじまじと見つめると、糸を切ったように私の膝の上に倒れ込んだ。体は思ったよりも暖かくて、生の鼓動を感じさせていた。