先生、私はキヴォトスで畑を耕したいんですよ。その3

  • 1◆Qihk7ENzE625/05/19(月) 23:23:21
  • 2◆Qihk7ENzE625/05/19(月) 23:24:29

    とはいえ、私はまだ本調子ではないので、今日はここまで。明日もよろしくお願いします。

  • 3◆Qihk7ENzE625/05/19(月) 23:25:58

    明日は14時以降からの投稿になるかと思います。

  • 4二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 23:26:17

    スレ建てお疲れ様です

  • 5二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 23:26:25

    3スレ目も何卒よろしく頼みます

  • 6二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 23:27:11

    10まで行かないとなぁ!

  • 7◆Qihk7ENzE625/05/19(月) 23:27:38

    さすがに3スレ…補正はもっとかけてサクサクと行きます

  • 8二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 23:28:53

    立て乙。
    こちらこそよろしくです。

  • 9二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 23:29:22

    たておつおつ

  • 10二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 23:30:11

    立て乙ー

  • 11二次元好きの匿名さん25/05/19(月) 23:30:12

    ノリコメー

  • 12二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 02:15:26

    14時まで保守だー

  • 13二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 07:23:03

    あさほというやつです

  • 14二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 11:59:50

    このレスは削除されています

  • 15二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 15:50:27

    一応の保守

  • 16◆Qihk7ENzE625/05/20(火) 16:06:35

    本調子が戻ってくるまでに少しだけ小話を。

    主人公ちゃんのモデル…モデル?はシュレディンガーの猫。あと本当に若干南米の太陽(神様)が混ざってます。
    割合的には8.7:1.3くらいの割合で。
    クソエイムの原因も南米の太陽が原因です。ほら、某聖杯探索するゲームに出てくる南米の神様グランドクソエイムじゃないですか。原因はこれです。反動も原因ですが原因の6割はクソエイムです。だからゼロ距離射撃が必要だったんですね。(メガトン構文)
    まぁ1.3割程度なので戦闘力もないです。相打ち覚悟なら先生でも殺せるくらいには戦闘力と耐久力は無いです。先生はそんなことしないけど。

    まぁ、とにかく主人公ちゃんは戦闘するとグランドクソエイムを発揮するのを自覚しているので、ゼロ距離でぶち抜くために前線に突っ込んでいきます。遠距離であれこれやっても、

    「ダメだ○○、当たらん」
    「何やってんのリーダー…」
    「やはりゼロ距離だな」
    「リーダー耐久力ないじゃん」
    「ああ。まぁ、当たらなければ、という言葉もある」
    「後ろで指揮してなよ…」

    となります。頑張れ主人公ちゃん。グランドクソエイムは直らないから頑張れ主人公ちゃん。

  • 17◆Qihk7ENzE625/05/20(火) 19:48:35

    >>16の補足。


    農業主人公ちゃんになった理由としては、南米の神様のことやアステカ、マヤの文化を調べていた時期がありまして、それが起因してます。まぁ、農耕の神様でもあるわけなんですね、テスカトリポカ。あの神様、馬鹿みたいな量の権能と側面持ってます。調べると結構面白いですよ。正直なんだこいつってなる時もありますけど。


    あと、シュレディンガーの猫は単純に主人公ちゃんの要素がテスカトリポカ10割にすると大変なことになりかねないということでエッセンスとして入れました。こちらはリアルでサイコロを転がしたらこんな割合になってしまいました。99面ダイスなんて振るもんじゃねぇっすね。

  • 18◆Qihk7ENzE625/05/20(火) 21:35:35

    ではルール説明を。
    大体の選択や成功率は賽子で決めます。成功失敗は1d100で行います。クリティカルとファンブルもあります。補正値バリバリで耕していくのでファンブルは無いと思います。ないはず。

  • 19◆Qihk7ENzE625/05/20(火) 21:51:33

    資材確保の目途が立ったことを伝えるべく、私は拠点に戻ってきた。…何か、騒がしくないか?

    「あ、リーダーおかえり!色々言いたいけどまずは手伝って!」
    「何があった?」
    「牛!」
    「牛?」
    「そう、牛!野生化してたけど牛がいたんだ!」
    「…………つまり、狩りか?」
    「それは最終手段!とりあえず捕獲!接触した子から聞くに、結構大人しいみたいだし!」

    それはそうだ。私としても無駄な殺生はしたくないし、牛がいるのなら農作業だけではなく、拠点改築のための資材搬入も――――ん?

    「「「ブモオオオオオオッ!!!」」」
    「「「ギャアアアアッッ!!?」」」
    「…………なぁ、牛というのはあそこまで巨大で獰猛な存在だったか?」

    どこに潜伏していたのか、泥まみれになった襲撃者たちが巨大な牛に蹴散らされている。…牛というには、あまりにも大きすぎる気がするが…サイズは二メートルはゆうに超えているのはまだ理解できる。牛は結構大きいからな。だが…あんなに筋骨隆々で角が極太なものだっただろうか?もはや重機ではなかろうか。

    「雄牛…じゃないんだよね、多分あれ」
    「ん?雄牛はあのサイズになるのか?」
    「なるやつはなる。まぁ、去勢するからああはならないはず…なんだけど…」
    「野生化しているなら去勢などされないだろう」
    「それはそう。でもあれ雌牛」
    「…………母は強し、というやつか?」
    「いや、そんなレベルじゃないでしょ…」
    「大人しさは…ないな」

    あの襲撃者共、縄張りにでも踏み込んだか?…おお、見事な突進からのかち上げ。敵に回したくはないな。

  • 20二次元好きの匿名さん25/05/20(火) 23:12:29

    南米要素込みか…
    まぁ第三帝国時代の頃も少し南米と関わりはあるがそもそも神秘もだったか

  • 21二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 20:19:44

    狂暴じゃないですかヤダー!?

  • 22◆Qihk7ENzE625/05/21(水) 20:28:55

    「…それで、どうする?」
    「捕獲したいけど…難しそうだよね、あれ…」
    「そもそも何をどうすればあんな牛になるのだ」
    「なんの品種が混ざってるのかな…」

    もはやあれは闘牛の類だろう。知識が乏しい私でも分かるぞ…あれは闘牛やヌーなどが混ざっている。だが、それでもあの姿になるのか?そもそも混ざるのか?

    「………」
    「ねぇリーダー」
    「なんだ?」
    「なんか、あの牛たちこっち見てない?」
    「……見ているな」

    私達をあれと同じと認識したのか?だとしたら次に起こることは――――

    「一応言っておくけど、舐められたら終わりだからね、リーダー」
    「…ん?ああ、前にも聞いたな、その話は」

    動物はこっちが怖がってるのが分かるから、少しでも臆せばこちらが下であると認識される。それは絶対に避けなければいけないことだと。野生化している家畜にもその理論が通じるのかは少々疑問が残ることだが…今のところ、向こうは攻撃してこない。こちらをジッと見つめて何かを考えているような…そんな気がする。害あるものなのか否かを見定めているのか、それとも、私達のようなものがいるのが不思議で見ているだけなのか…分からない。同じ人間が考えていることすらしっかり理解できていない私が動物が考えていることが分かるわけがない。

    「………ブルッ」

    一鳴きしてからその勇ましい筋骨隆々の体からとても想像できない軽やかな動きで去っていく野生化した牛。許されたのか?

    「熊とかいるのに、生き残ってる時点でここの生態系は凄いことになってそうだよ…」
    「一度しっかり調査した方が良さそうだな…」

  • 23二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 21:39:46

    実際の牛だって相当危険だし、このレベルの牛なら下手したらヘイローに関わるな
    生きるって、命がけだ

  • 24二次元好きの匿名さん25/05/21(水) 23:09:28

    うり坊らの時みたいに牛も主人公に何か感じたのかね

  • 25二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 00:52:02

    取り敢えず敵とは認識されなかったか…?

  • 26二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 02:06:25

    さて一口に牛といってもブルなのかバッファローなのかバイソンなのか
    野生化した元家畜牛なら先祖返りでオーロックスみたいな…?

  • 27二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 07:45:59

    乳牛ゲットで酪農開始だー!

  • 28二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 13:12:13

    保守

  • 29二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 15:22:20

    仮に土地そのものがヤベェ系なら何か調査の依頼位頼った方がいい気がしてきたな…

  • 30二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 21:56:31

    植物の異常な成長速度、強大な野生生物、果ては結実のランダム性、うーんどう考えてもヤバイ土地

  • 31◆Qihk7ENzE625/05/22(木) 22:22:40

    26日目、夜。
    猛牛の住む土地であったことが分かった私達は、本格的な生態系調査に乗り出すことを決めた。元々植物の成長速度や動物の巨大化などの異常性は見て取れていたが…何がいて、何がいないのか、何が危険で何が危険ではないのか、どこからどこまでがどんな生き物の縄張りなのか…分からないままでいるのは色々と不味い。

    「山菜収穫の時は猪たちが案内してくれたから動物の縄張りに踏み込まなかったけど…」
    「熊とかはいたし、確かに生態系の調査は必要だよね」
    「ああ。とりあえず拠点近辺の生態系の調査を行いたい」
    「今のところ確認できてるのは猪と…鶏くらい?」

    拠点周辺の分布としては猪と鶏。ただ、襲撃者に襲いかかった牛が今日発見されたこともあって、この拠点近辺にあの牛の縄張りがあるのでは、という仮説が立てられたのだ。

    「牛、鶏、猪…うん、家畜だね」
    「となれば…この拠点周辺に縄張りがあるのは――――」
    「うん。多分この学校が運営されていた頃の名残…だと思う。放牧用の牧草地とかあったんじゃないかな?」

    なるほど…となれば、この周辺の地図があればどこにどんな生き物の縄張りがあるのか仮説が立てられるのだが…資料室には地図は無かった。足で稼ぐ、という原始的な行動をしないといけない。いつものことだな。

    「あの牛と初めて遭遇したのはどこだ?」
    「水源だね。あそこ、動物達としても大事な場所みたいだから」
    「ふむ…」
    「近付くのはヤバそうだったし、追わなかったよ」
    「懸命な判断だな。怪我をしてはやりたいこともやれなくなるだろう」

  • 32二次元好きの匿名さん25/05/22(木) 23:13:53

    あの土地水源あったんだ…

  • 33二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 02:42:28

    繁殖用に残した僅かな雄牛や雄鶏が群れの頭目となってハーレム(ライオンとかの)築いてそう

  • 34二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 07:43:13

    生き残ってそういう生態系築いてるの真面目にヤベェだろうな…

  • 35二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 12:32:16

    保守

  • 36二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 14:41:56

    何と言うか…
    生存競争的な意味で試される大地過ぎるな…

  • 37二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 17:43:56

    >>36

    アビドスは北海道だった?

  • 38二次元好きの匿名さん25/05/23(金) 23:15:39

    季節がアレなだけで北海道並みではあるかね…?

  • 39二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 07:44:01

    朝保守

  • 40二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 15:01:32

    昼ほ

  • 41二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 16:04:19

    そういや、動植物が異常なように魚とか虫とかもそうなんだろうか
    (見つけた蚕は結構普通っぽかったけど)

    でっかい羽虫とか最悪だぞ

  • 42二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 18:13:55

    今ムシキングの話した?

  • 43◆Qihk7ENzE625/05/24(土) 19:39:58

    本日はちょっとお休みいただきます。
    なのでちょっと小話。

    この土地に住んでる人間メンバーは全員ネームドより弱いです。正直雑魚と言ってもいいでしょう。しかし代わりにゾンビかってレベルで復帰が早いという設定で私は作ってます。じゃないと大自然に圧し潰されるので…
    当たり前ですが人間より自然の方が強いです。巨大猪を狩れたのは単純に奇襲と数の暴力で圧し潰したから。正攻法じゃまず勝てません。ネームドなら苦労するけど正攻法でも狩れるとは思います。まぁ、そんな感じの魔窟がこの土地です。原因はまた追々。

  • 44二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 21:51:55

    戦闘はアレかもだけど、建築とか農業とかのスキルが凄いからね
    そこはネームド生徒にだって中々マネできることじゃないよね

  • 45二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 23:25:50

    全員TOKIOに技術教えた先達者レベルに技術力有りすぎるからな…

  • 46二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 02:37:08

    神秘性質の元が地霊や製作系の精霊系とかで強さは無いけど基本的な一次産業や製作方面には滅法強い感じかー

  • 47二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 09:20:11

    それなら砂漠で始めてもここまでやれるのは主人公の神秘もあるけど付いてきてる子が>>46の言う感じなら確かに納得が個人的に出来るな

  • 48二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 14:45:12

    そういや主人公はシュレディンガーの猫要素あるからこの子がその気になれたならセリナレベルの瞬間移動とか覚えられた可能性あるのかね…?

  • 49二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 20:37:55

    考えてみたら、確率的な事象っていうとどうしても箱舟を連想するね
    猫の意匠って雷帝から贈られたやつだよね……流石に飛躍しすぎか

  • 50二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 23:26:01

    まああのゲヘナで卒業まで中立し続けた覚悟がある人物ならてのもあるけれど雷帝は他に気にかける要素でも主人公から感じたのかね…?

  • 51二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 06:41:46

    保守

  • 52二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 12:27:09

    自然って大変だなぁ(他人事)

  • 53二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 14:59:00

    農業所か畜産含むなら尚更だろうしなぁ…

  • 54二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 21:02:13

    早いとこ畜産安定させて食生活豊かにしたいけど、まぁ生物相手するのは農作物相手するよりよっぽど難航するだろうからなぁ
    鶏の卵すら高級品だこりゃ

  • 55二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 22:49:13

    とりあえず野生化した家畜を捕獲しないことにははじまらないな

  • 56二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 23:23:20

    難しそうだがそうよな…

  • 57二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 07:18:55

    朝保守

  • 58二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 12:41:05

    保守

  • 59二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 14:51:57

  • 60二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 21:33:17

    このレスは削除されています

  • 61二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 22:53:06

    最初の頃振ったダイスで確かトリニティが『興味』だったよな
    そろそろコンタクトとか取りに来んかね

  • 62二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 23:23:53

    確かに興味だったり好印象の所はそろそろ接触計るのありか

  • 63◆Qihk7ENzE625/05/28(水) 00:39:28

    27日、朝。
    私達は信じられないものを見るような目で、畑を眺めていた。

    「…リーダー」
    「…なんだ?」
    「リーダーが買ってきた大根ってさ」
    「ああ」
    「普通の品種だよね?」
    「ああ。普通の品種だな。暑さに強いという特徴はあるが」

    朝起きて、いつも通り全員で外に出て畑を見た瞬間、信じられないものがあったのだから当然ではあるが、私達は思わず天を仰ぎそうになるのを耐えながらそれを眺めている。
    一応言っておくが、私が買ってきたのはただの大根だ。甘くて辛味が少ない、生食用、加熱どちらでも美味しく食べられるという品種の大根である。暑さや病害虫にも強いらしく、店員もこの品種を推していた。だから購入した…のだが。

    「じゃあさ、あれは…何?」
    『Ouhhhhhh…』
    「唸る大根だな」

    しかも皮がまるで甲冑のような見た目になっている。

    「…買ってきた大根の品種言ってみて?」
    「夏あおい、だな。ちょっと品種改良しているので本来の夏あおいとは違うとは聞いていたが…」
    「この土地どうなってんのさ!?」
    「調査と言いたいが、疑問が山積みになるだけだろうな」
    「生態系調査もあるしねぇ」
    「とりあえずあれ、収穫してみる?」
    「…そうだな」

    あんな巨大で甲冑のような見た目の大根、収穫できるのかというのは凄く疑問ではあるが。

  • 64二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 07:28:05

    マンドレイクの因子でも混ざってた?
    それともタキオンのキーくんか?

  • 65◆Qihk7ENzE625/05/28(水) 12:45:40

    ではここで久しぶりのサイコロの時間です。賽の目の女神、頼みました。


    収穫成功率(クリティカル1~6、成功7~70、失敗71~95、ファンブル96~100。人数による補正として出た数値-25)

    dice1d100=75 (75)

  • 66◆Qihk7ENzE625/05/28(水) 13:09:35

    巨大な大根を大人数で掘り起こす。まるで絵本のような話だと苦笑しつつ、土を掘る。順繰りに、交代しながらにはなるが、大根畑の約五分の一を占領するサイズの大根、中々掘り出せずにいる。

    「甲冑の中はどうなってるのかな」
    「これで鉄色だったらどうする?」
    「迷ったら食ってみろって前のバイト先のばっちゃが言ってた」
    「鉄も栄養!」
    「ああ、あんた達飲食店でもバイトしてたんだっけ」
    「ふふ…手芸はね、お金がかかるんだ…」
    「まぁそのお店もう閉まっちゃったけど」
    「その店、店名は?」
    「あ、リーダー。えーと…○○○○だったはず」

    気になって声をかけてみればビンゴ、というやつだ。私がゲヘナ学園に通っていた時、何度か――――いや結構な頻度で通っていた飲食店だ。店主と女将の二人で切り盛りしていたと記憶していたが、私が最後に行った時にはもう歳の瀬には勝てない、と話していたような気がする。そうか…店仕舞いしてしまったのか。

    「店仕舞いの時さ、お店の鍵貰ったんだよね」
    「鍵?」
    「うん。私達、あのお店唯一のバイトだったんだけど…」
    「いつかお店を新しい姿で復活させてほしいんだって」
    「資金も渡されそうになったけど、さすがに受け取れなかったよねー。店長と女将さんの老後の資金だもん」
    「あ、そうだ。ここに学校と農園ができたらあのお店で農家レストランやろうよ!黒い蚕の絹使った雑貨とか売ってたりする感じの。うん、それがいい気がする!」
    「お?なんか楽しそうなこと話してんな」
    「リフォームとかなら任せろ」

    こういう性格だからこそ、あの頑固な店主とおおらかな女将が鍵を渡したのではないか?この土地に来てから分からないことが増えていく毎日ではあるが…本当に私は恵まれている。間違いなく私は縁に恵まれていると思う。学校に、大農園に、農家レストラン。…うん、中々いいものではないか。そう思った矢先。

    「「「「おああああああ!!抜けたぁあああ!!!??」」」」

    巨大な甲冑大根の収穫が完了したようだ。

  • 67◆Qihk7ENzE625/05/28(水) 13:38:26

    さて、この辺りでもう一度小話。

    主人公ちゃん、幻覚幻聴などの精神攻撃は一切通用しません。紙装甲、グランドクソエイムの代わりに手に入れたものと言っても過言ではないでしょう。幻覚幻聴で色々精神攻撃食らったとしても「そうか。そうだな。そういう考え方もある。だが、それでも私は変わらん」ってなります。色々意味の分からない言葉や遠回しな言葉、長々とした話を受けると「馬鹿は要約できないから話が長い」or「お前は何を言っている?人と話すつもりがあるのか?」or無言の発砲、この三択が出ます。なお、例外として長い話をしていても喜怒哀楽感情剥き出しの言葉であればちゃんと話を聞いてくれます。

  • 68◆Qihk7ENzE625/05/28(水) 19:50:43

    「…で、これはどう調理するべきなんだ?」
    「とりあえず皮剥きからでしょ」

    尤もな意見だ。食堂に置いてある調理器具をいくつか持ってきた私達は、目測1メートルはある巨大な大根、仮称甲冑大根の皮を剥く。…硬い、が、全く刃が通らないというわけでもない。改築組が持ってきたバーナーで炙ると剥きやすくなる。

    「んー…この皮、本当に鎧みたいだね」
    「成分調査しておきたいところだな」
    「とりあえず叩いてみようかな」

    そう言った拠点改築組の一人である少女が金槌で軽く皮を叩くと、カーン、と金属と金属がぶつかるような音が聞えた。野菜の皮が鳴らしていい音ではないだろう。

    「リーダー、この皮干して使ってもいい?」
    「構わんが…あまり千切れないように剥いた方がいいか?」
    「できれば」
    「善処しよう」

    金属資源――――ではないはずだが、こういった金属資源は貴重だ。有効活用しなくてはな。

  • 69二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 23:16:57

    大根から有効活用の幅が広がったな

  • 70二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 23:25:05

    大根ってなんだろ?

  • 71二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 01:09:51

    これはアレだ、土地の性質の所為で『環境に強い大根(比喩)』が
    『(物理的に)環境に強い大根』に変わっちゃった感じか・・・
    そういやゲヘナの地下水も使い方によっては同じ様な方向で変異起こす事も有るから有りえなくもないのか・・・

  • 72二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 07:15:24

    うーん、キヴォトスの神秘やねぇ

  • 73二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 13:39:02

    なんだよ、物理的に環境に強い大根って...w

  • 74◆Qihk7ENzE625/05/29(木) 17:32:27

    ちょっとリアルで畑仕事と田の管理と熊対策で今日はお休みです。正直熊より猪の方が怖いと思う今日この頃。甲冑大根の味だけダイスで決めたいと思います。


    (1に近い程生では美味しくないが、加工すると美味しい。100に近い程生では美味しいが、加工するとあまり美味しくない)

    dice1d100=9 (9)

  • 75◆Qihk7ENzE625/05/29(木) 17:33:04

    >>74

    …1に近ければ近い程美味しくないことにすれば色んな意味で美味しかったな…

  • 76二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 20:06:06

    ま、不味いだけだと金属資源にされちゃうから……
    というか本当にQihk7ENzE6はスレの主人公とゃんみたいなことしてるのか

  • 77二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 23:23:27

    大根の加工か
    何があるかね……

  • 78二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 00:05:49

    >>77

    メジャーなところで言えば、たくあんとか切り干し大根とかかな

  • 79二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 07:19:35

    朝保守だ

  • 80二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 14:18:17

    漬け物系は確実になるか

  • 81二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 21:33:56

    ちょっと外したところだとカクテキとかかね
    あんまキヴォトスでキムチ食べてるイメージ無いけど

  • 82二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 23:26:25

    山海経辺りは作ってそうだが確かにキムチもアリかもな

  • 83二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 01:01:54

    きんぴらやおでんにしてもいいかも

  • 84二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 04:22:57

    外皮が金属に近い硬さだけどその関係で内部にギッチリ水を蓄えてる所為で
    水抜き加工をしない生のままだと殆ど水の味しかしない感じだろうか?
    その場合大根から取れる素材は絞った大根水と絞った後の実と腐食に強い未知の生体金属の可能性が有る外皮か?

  • 85二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 11:13:45

    ……意外と取れる物は多かったりするのかね?

  • 86二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 15:02:18

  • 87◆Qihk7ENzE625/05/31(土) 22:31:47

    申し訳ないのですが、今日はお休みです。なので甲冑大根の詳細を主人公ちゃんの農業日誌として。

    本日の収穫物

    名称:甲冑大根(仮名)
    この土地で植えた大根が突然変異した姿。夏あおいを植えたはずだったのだが…
    太さは90cm弱、長さは1m70cm程度。根張りも悪くはなかった。
    甲冑のような分厚く、硬い皮に包まれており、唸り声のようなものを発する。妙な唸り声は恐らく品種改良の際に利用されたマンドレイクの遺伝子によるものだろう。(種の袋に品種改良に使った植物についても書いてあった)

    食べ方:加熱推奨
    生で食べることもできるが、食べられたものではない。瑞々しく、シャクシャクと食感も楽しいものではあったが、生臭い鉄の味――――いや、比喩表現はやめよう。言ってしまえば血の味がした。昔気になって輸血パックの血を舐めたことがあったが、それと同じ味がした。食べられたものではない。絶対に生では食べられない。猪たちも食べようとしなかった。
    ただ、加工した際には血の味が全くせず、むしろ、昆布の出汁をベースに作ったおでんの汁ような旨味を感じられた。茹でる、煮る、焼く、蒸す、炒める、燻すなど、調理をいくつかパターン分けした結果、火を通したものについては血の味がしなかったため、加熱することによって血の味が消え、別の味に変化すると考えられる。特に皆に好評だったのは茹でる、煮るといった工程を経た甲冑大根だった。
    なお、生で齧ったものについては少々もったいないが、まとめて砕いてから肥料として使うことにした。

    発生条件:初見のため、不明。
    ランダム性があるのか、甲冑大根へと変化するための条件があるのかは現在不明。
    記録に残すことで条件を探っていきたいところだ。

  • 88二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 23:05:16

    >太さは90cm弱、長さは1m70cm程度

    改めてサイズ書くとクソでっかいな

  • 89二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 00:40:57

    >>87

    トリコの少し調理方法に癖のあるタイプの食材思い出すなぁ・・・

  • 90二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 09:40:18

    血液に似た味ってことは鉄分が多いのだろうか?

  • 91二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 15:24:19

    設備があれば輸血とかの血作るのに使えそう

  • 92二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 18:22:20

    輸血液(大根のしぼり汁)

  • 93◆Qihk7ENzE625/06/01(日) 21:05:53

    28日目、昼。
    今日は周辺の生態系の調査に出向くことになった。我々はこの土地について知らないことが多すぎる。徹底的に、とまではいかないが、ある程度まで知ることができると信じたい。

    「リーダー、とりあえずA地区からでいい?」
    「A地区となると…鶏エリアか」
    「うん。あれを鶏って呼んでいいのかちょっと疑問だけど」
    「だが鶏だろう」
    「そうだけどさー」

    まぁ、オオワシ並みのサイズの鶏を鶏と呼びたくない気持ちは分からなくはない。それにしても、なぜあそこまで巨大化するのだろうか…

    今のところ生態系の頂点に遭遇したことはない。やはり熊なのだろうか?ヒグマ…グリズリー…いるのか?いたとして、この土地の熊はキヴォトスの実力者すら手を焼くレベルの怪物になっているのでは?空崎でも呼び出すか?…いや、彼女はあくせく働いている。呼び出すのは良くないだろう。鬼方が所属している便利屋68とやらに依頼は…止めておこう。爆発物を使われても困る。

    「A地区の生態系調査の目標は…まあ、鶏以外の生物の分布とかになるのかな」
    「それと植物だな。病院が近いとは言えん。薬草の類は欲しい」
    「トリニティにはワープする救護騎士団のメンバーがいるらしいよ」
    「ほう。氷室とはまた別ベクトルの特異性か」
    「氷室って…氷室セナ?」
    「ああ。知り合いか?」
    「いや違うよ。ただ、昔救護車両に放り込まれたことがあったなって」

    不良時代にあれをやられたことがあったようだ。氷室か…久しく会っていないが、彼女も働きづめになっていることが多い。休めているといいのだが…

    「まぁ、トリニティの救護騎士団も大概だけどね!」
    「ほう?」
    「銃使うより拳使った方が強い人いるし。盾をコンクリに突き刺すとかどんなパワーよ…」
    「姐様はやれそう」
    「七囚人クラスはまた別ベクトルでしょ…」

    姐様、七囚人…栗原アケミか。所属が変わっても慕われ続けているあたり、人徳はあるし人柄も良い人間なのだろう。どのような人物かは知らないが、機会があれば話をしてみたいものだ。

  • 94◆Qihk7ENzE625/06/01(日) 21:26:01

    さて、A地区――――もとい、鶏エリアに踏み込んだ私達はこの場にある植物や生息している生物について写真やメモ帳などに記録し始めた。イネ科の植物らしき植物の他に、元々はトウモロコシだったのだろう植物など…鶏の飼料としてよく見る植物が多く群生している。
    虫は…バッタ、コオロギが多く生息しているようだ。大量発生していないのは恐らく鶏たちが食べているからなのだろう。それと…

    「うわっ蜂!?」
    「あ、クマバチだ。刺さないよ。刺激しなければ」
    「え、そうなの?」
    「とんでもないパワーの持ち主だけどね」

    蜂が生息している。クマバチ…クマハチ?まぁどちらでも構わないだろう。大きな体を持った蜂だ。あの蜂が飛んでいる付近には見事に咲き誇っている藤の花があった。時期が違う気がするが…クマバチがいないと受粉できないのだったか?

    「ココッ」
    「「「ん?」」」
    「コココッ」
    「コケココ」

    私達が藤の花が咲き誇る場所で少し休憩を取っていると、茂みから巨大な鶏たちが現れた。…本当に巨大だ。オオワシが翼を広げた時並みのサイズ。正直、初めて遭遇した時は目を疑ったものだ。

    「ブロイラーというか、闘鶏だよね」
    「1メートル弱ある闘鶏とかもう別の生き物でしょ」
    「もうこの地区の頂点この鶏たちなんじゃないかな」
    「ふむ………お前達人間の言葉は理解しているのか?」
    (((リーダー行ったぁあああ!?)))
    「コココッ」
    「…伝わっているらしいな」
    (((嘘でしょ!?)))

    猪たちもそうだったが、人間の言葉を理解できるレベルまで知性を獲得しているやつもいれば、そうでもないやつもいると見ていいだろう。そのラインは分からないが、これは大きな進歩と言っても過言ではない――――はずだ。

  • 95二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 21:50:02

    この土地……未知への好奇心より未知への恐怖が上回るんですが

  • 96二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 22:18:50

    うーん、家畜と意思疎通できるってのは良い悪いがわからんなぁ

  • 97二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 23:15:21

    こうなっちゃうと食肉は厳しいね
    無精卵くらいは分けてもらえんもんか
    あとは羽とか?

  • 98二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 07:32:12

    なんとかギブアンドテイクに持っていきたいが

  • 99二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 09:45:28

    ビーストテイマーリーダー

  • 100二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 17:13:01

    警備用の戦力に一部は動物頼って良いのではレベルで動物達とは共存ルートになりそう

  • 101◆Qihk7ENzE625/06/02(月) 19:34:16

    ある程度の知性を獲得している元家畜の動物と、知性を獲得していない元家畜の動物のラインはどこにあるのだろう。気になるところではあるが、今回の目的はそこではない。

    「言葉はある程度理解していると見て話を進めさせてもらうが、お前達の縄張りにはボスがいるのか?」
    「「「……………」」」
    「ボス、という言葉が理解できないか?群れの主なら伝わるか?」
    「リーダー、絶対そこじゃないと思う…」
    「ふむ…」

    しかし、人間の言葉を理解できているということは会話である程度のコミュニケーションが取れるはずなのだ。種族が違うとはいえ、言葉が伝わるのならそれに越したことはないだろう。
    私達が回答を待っていると、巨大な鶏たちは何を思ったのか来た道を踵を返して歩き出した。

    「…ついてこいってこと?」
    「だろうな。こちらを見ている」
    「行くの?」
    「行くしかあるまいよ」
    「意外と好奇心とかの化身だよね、リーダーって」

    巨体を利用して茂みを突破していく鶏たちの後ろをついていく。キヴォトス中を探しても、巨大生物に道案内される経験をした者はいないのではないだろうか?

    「ねぇ、リーダー。気付いてる?」
    「ああ、藤の花だろう」

    鶏たちの進む道に藤の花が咲いているのは偶然ではないだろう。この藤の花を辿っていけばこの鶏たちが目指している場所に辿り着く…のだろうが、この土地に学校があった頃、何を思ってこの藤の花を植えたのか気になるところだ。
    私達が鶏たちの後を追いかけること数十分。藤の花や背の高いイネ科の植物の茂みを抜けて視界が晴れた先で見えたのは――――

    「「「すご…」」」

    巨大な藤の木を中心に造られた巨大鶏たちのコロニーのような場所だった。数は…30羽程度。ここにいるのが全てであるとは考えにくいが、この鶏たちは一つの社会を作って生きているようだ。カラスも社会を作って生活しているというし、このようなコミュニティーを知性を獲得している鶏たちが作っていてもおかしくはないだろうが…………ん?

  • 102二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 19:34:32

    このレスは削除されています

  • 103◆Qihk7ENzE625/06/02(月) 19:34:48

    「あれは――――dice1d3=1 (1) 」

    1:ロボ、か?

    2:人、か?

    3:絵画、か?

  • 104◆Qihk7ENzE625/06/02(月) 20:10:23

    ロボット、と呼ぶには少々ボロすぎるというか、なんというか…ずんぐりむっくりした姿のロボットだ。

    「嘘でしょ」
    「あのロボットについて知っているのか?」
    「あ、うん…でも、信じられない。もう存在しないはずのロボットだよ、あれ」
    「何?」
    「超骨董品。博物館にあってもおかしくないくらいの」

    そこまでの貴重品、誰も手を出そうとしなかったのは…鶏たちが強すぎるから、だろうな。あの牛といい、猪といい、この鶏たちといい、真正面から戦った場合、数の暴力と個の戦力で圧し潰されること必至だ。

    「一世紀以上前に生産終了したレアモノが動いてるところをこの目で見れるなんて…!」
    「待て、一世紀以上前だと?」
    「うん。あのロボットが作られてから何年か経った後、私達がよく見るスイーパーが生まれて廃番になったんだって」
    「…人の整備も無しに、動いているのか?一世紀以上も前に生まれたものが?」

    動きは鈍い。藤の蔓に巻き込まれているあのロボットが、素人目から見てもずっと整備されていないのが分かる。そんなものが、なぜ動いている。なぜ動けている?そう思いながらも、間違いなくコミュニケーションが取れるロボットに近付く。その時だった。

    「――――ID確認中――――該当ID確認。承認されました。お待ちしておりました、鏡の方」
    「あなた宛てに、お手紙が届いております。お受け取りください」
    「鏡の方って、リーダーのこと?」
    「リーダー、ここに来たことがあるの?」
    「ない。断言できる」
    「だよね?」

    このロボットが私と誰かを勘違いしている可能性が高いが――――手紙は受け取った方がいい気がする。手紙を受け取って、本来受け取るはずだった者を探すこともできるかもしれないから。

    「…ああ、ありがとう」
    「受け取りを、確認。…………………………」

    緑色に輝いていたツインアイが灰色になってしまった。役目を果たしたことで、活動を停止してしまったのだろうか。

  • 105◆Qihk7ENzE625/06/02(月) 20:21:29

    それではここでロボットの詳細。

    この学園が開校する前からいるロボット。
    元々は学園の長の秘書をやっていたが、いつしか寮の管理を任され、郵便物の管理なども担当することになった。
    学園が無くなってしまった後もずっと稼働して、なぜか鶏たちに知性を与えるような教育をしていた。しかしながら整備されていなかったため会話することぐらいしかできなくなっていた。
    ある人間から郵便物を預かっていたため、それを届けるまでは絶対にシャットダウンしない、という執念がこのロボットを稼働させ続けていた。おかしな話である。機械に心が宿るなど。

  • 106二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 20:24:07

    雷帝は彼女がここに来ることを解っていたのか?

  • 107二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 23:11:49

    雷帝か?

  • 108二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 06:36:43

    保守

  • 109二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 12:36:42

    昼保守

  • 110二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 15:16:32

    仮に雷帝なら失脚する1週間前とかに仕込んでたりしそうやな今回のは…

  • 111二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 21:21:31

    保守

  • 112◆Qihk7ENzE625/06/03(火) 22:03:43

    28日、夜。
    A地区での探索を切り上げて拠点に戻ってきた私達は、ロボットから渡された手紙をテーブルに置いたまま集まっていた。

    「読むべきか?」
    「いやぁ、どうだろう?」
    「人違いの可能性が高いわけでしょ?開けない方がいい気がするけど…」
    「中身が気になるのも事実、だよねぇ」

    拠点に留まっていたメンバーにも情報共有を行った後にこの集会を開いているわけだが、封蝋が押されているこの手紙、読むべきか否か。鏡の方…という呼び方も気になる。そしてあのロボットが言っていたID…私はそんなものを持ち合わせていないはずだ。となると、ロボットが誰かと勘違いしたり、バグでIDを認証してしまったのだろうが…

    「とりあえず開けちゃえば?手紙の中に鏡の方?って人の名前が書いてるかもしれないし」
    「一理ある、が…」
    「見たらダメなものだったらちょっとあれだけどさ、誠心誠意謝ったら許してくれるでしょ、きっと」
    「ううん…」
    「それに、ほら。結構風化してたから解読するために開いたって言えばワンチャンありそうだし」

    少女達の提案を聞いて、唇に指を当てながら考える。読むか、読まないか…私の勘では分水嶺、となる感じは全くしない。………………ふむ。気になるのもまた事実。これを読んだことで何かが起こる、という予感はちょっとだけあるが、そこまで致命的なものではなさそうだ。

    「読むとしよう」
    「お、じゃあ開封だね」

    封蝋を丁寧に剥がし、中に入っていた紙――――これは羊皮紙か?これはまた古風なものに書いたものだな。

    「拝啓、桜の花が咲き始める頃、黒い鏡のようなあなたは元気にしているだろうか――――」

    初っ端から詩的な表現を叩き込んでくるな。

  • 113二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 23:21:26

    読み始めたか…

  • 114二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 07:21:12

    さて、誰からの手紙だ?

  • 115◆Qihk7ENzE625/06/04(水) 11:32:23

    ――――この手紙を読んでいる、ということは、あなたは…いや、君は夢を叶えるための第一歩を踏み出したというわけだ。まずはおめでとう、と言っておこう。君の夢が完成するところを見ることができないのは少々残念なことではあるが。

    さて、私がこの手紙を残したのは何か大きな出来事を起こすためではない。それだけは誓える。ではどうして手紙をあの秘書に渡していたのか…ゲヘナ学園の自治区に近く、比較的安価で買い手のない土地となれば君はこの土地を購入して、いつかこの場所に辿り着くだろうと予想できていたからだ。

    何度も言うけれど、大事をやらかすために残したわけではないよ。…まぁ、私なりのプレゼントはこの土地のどこかに仕込んでいるけど。恐らく拠点にするだろうなぁ、という場所の地下に頑丈な発電装置兼蓄電装置を用意した。壊れているかもしれないけれど、縁に恵まれる君であればきっと修理して使えるだろう。他にも用意したものはあるが…場所は伝えなくてもいいだろう。君はどうにかして見つけるだろうから。

    ああ、ただこの土地の特異性にだけは触れておこうか。君はもう理解しているだろうけれど、この土地はとあるオーパーツによって開拓されたもの。原理は調べていないが、遥か昔にテラフォーミングされたものみたいだ。だから動植物の成長が早かったりする。そこにとある生徒が持ち込んだものが混ざったことで野菜の結実にランダム性が生まれたり、生物が妙な方向に進化していたり、巨大化したり――――とにかく愉快な土地に変化したようだ。ここに学園があった頃は実験研究もしていたかもしれないね。興味があれば砂漠の図書館や博物館を訪ねてみるといい。砂に埋もれている可能性は高いけど。あとは…トリニティの古書館とかには古い資料があるかもしれない。

    長々と書き綴ったが、君や、君が連れてきた人間には興味のない話だったかな。とにかく、君の夢が形になることを願っているよ。大農園、直売場なんかもできたらこっそりと伺わせてもらうつもりだ。なるべく早めに頼むよ?その時には手土産片手に行かせてもらう。……兵器とか、そういう物騒なものが手土産ではないからね?

                                                また会おう、友よ。

  • 116◆Qihk7ENzE625/06/04(水) 12:04:27

    「…なるほど」
    「え、これ書いたのリーダーの友達?」
    「ああ。彼女が私のことを友人と思っていたとは予想していなかったが」

    改めて封蝋を確認してみれば、見覚えのある雷のマークだ。いつ、この土地に足を踏み入れたのか分からないが…まぁ、害意があるというわけでもなさそうだ。

    「リーダーはこの手紙の人にどう見られていたと思ってたん?」
    「なんかいるな、程度にしか認識されていないと思っていたよ。この銃とコートも実験の副産物で処分に困っただけだと思っていたし」
    「それを誕生日プレゼントって呼んでたの?」
    「ああ。彼女からもそう言われたしな。建前であっても、プレゼントは嬉しいものだ」

  • 117二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 12:36:47

    厄ネタ急上昇してれぅ!
    主人公ちゃん謙遜が過ぎるて、文面からは雷帝の忘形見と言っても過言ではない

  • 118二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 15:03:25

    地下探索も作業に入るだろうが、コレ地下にも何か動物とか居る可能性あるだろ…

  • 119二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 21:51:44

    うぉ、物語が大きく動き始める音がする
    トリニティとの交流のきっかけになるか、これは

  • 120二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 23:22:32

    マジでどうなるか期待したい…

  • 121二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 06:32:02

    原作でもいまだよくわからん奴だけど、この世界の雷帝は恐れられてはいるけど、人間味はあるっぽいね

  • 122二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 07:58:30

    何か雷帝がこれまで遺産となるヤツを作る目的が発電及び蓄電器の開発の為の足掛かりだったらある意味この主人公もゲヘナやキヴォトスを揺るがす間接的な要因になってそう……

  • 123二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 12:49:53

    こんだけ思われてたら、各所からガチ警戒されるのも仕方ないな

  • 124二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 15:55:47

    ある意味対等な友人だからなぁ

  • 125◆Qihk7ENzE625/06/05(木) 21:02:32

    30日、朝。
    今日は少し前に招待状を貰っていた場所に赴いていた。我々の拠点と比べて華やかな場所だ。学園の敷地に薔薇園とは…中々手入れに時間がかかるものを育てている。

    「本日は遠路はるばる、ようこそお越しくださいました」
    「招待状をありがとう。まさかティーパーティーの一人と話ができる日が来るとは夢にも思っていなかったよ」
    「ええ、私もあなた程の方とお話しできる機会がやってくるとは夢にも思っていませんでした」

    今日訪れたのは、トリニティ総合学園。まさか元とはいえゲヘナの人間がトリニティの学園内に入れるとは…エデン条約とは中々の条約だ。…ところで条約を提案したという連邦生徒会長はどこへ行ったのだろうな。
    それはともかくとして。私の向かいに座る少女――――桐藤ナギサと言ったか?気苦労が絶えない重鎮の席に座るだけあって、色々と考えを巡らせているのが分かる。ティーパーティー、という組織がどのようなものかはざっくりとしか知らないが、三人体制ではなかっただろうか。

    「少々諸事情がありまして、今は私が中心となっているんです」
    「ああ、顔に出ていたか?デリケートな部分だろう。詮索はしないよ」
    「お気遣い、痛み入ります。それで――――今回、私達があなたを招待した理由についてですが…」
    「黒蚕の絹糸の件、と聞いているが…」
    「はい。かつてトリニティが購入していた黒蚕の絹糸――――というよりも、絹糸を利用した製品の件で」

    私が土地を購入したという情報がどこから流れたのかは知らないが、トリニティの自治区内であの黒蚕の絹糸の製品がもう一度購入できるかもしれない、という噂が流れているらしい。どこからそんな噂が、と思ったが…私達が販売している桑の葉茶か。あれを購入する人間の多くがトリニティにコミュニティーがある人間だと聞く。なるほど、販路拡大のチャンス、ではあるのだが…

    「正直な話、まだ養蚕をスタートできるような段階に私達は立っていない。年内には少量ずつ販売していきたいと考えてはいるが…」
    「ええ、我々としても噂程度でしたので事実確認をしたかったのです。あわよくば、とも考えていましたが」
    「私達としても販路拡大の目途が立つのは嬉しいことだが、まだ、だな」

  • 126◆Qihk7ENzE625/06/05(木) 21:21:11

    だが、しかし…ふむ。そうだな。

    「もし黒蚕の養蚕が始まった時、優先して連絡させてもらおう。確約できるのはこの辺りまでだが」
    「願ったりではありますが…よろしいのですか?」
    「ああ。そもそも、元とはいえゲヘナ学園の人間をこんな内部まで招いてくれたのだ。それなりの誠意は必要だろう?」

    いくらエデン条約が結ばれたとはいえ、トリニティ総合学園の内部にゲヘナ学園の人間を招き入れるなど、各方面からとやかく言われる可能性があるというのに、そのリスクを背負ってでも私に直接アポを取り、招待状を送ってくれた桐藤ナギサという少女にそれなりの誠意を見せなければ不作法というものだ。

    「…噂は事実でしたね」
    「うん?」
    「いえ、こちらの話です」
    「そうか。…それにしても、見事な薔薇園だ。これほど見事なものは見たことがない」
    「そう言っていただけると、招待した甲斐があるというものです」
    「そしてこの茶菓子と紅茶…市販のものではないな。もしや、君が?」
    「ええ。お口に合えば幸いです」
    「素晴らしい出来だ。私が作ったのではこんなクオリティで提供はできないな…」

    昔から菓子類を作るのだけはどうにも苦手だった。チョコレートを使った飲み物や砂糖菓子は得意なんだがな…あとトウモロコシを使った料理。

    「多く作っていますので、拠点にいらっしゃる方々にお土産としてお持ちいただいても構いませんよ」
    「90人いるが、大丈夫か?」
    「ええ。実はたくさん作っては冷凍していまして…在庫処分、と言うと聞こえが悪いですが、お手伝いしていただければと」
    「そういうことであれば、是非とも。彼女らも喜ぶ」
    (本当に、噂通り恐ろしい人ですね、彼女は。”先生”とはまた違いますが…)

    拠点で色々と作業をしてくれている彼女達にいい土産ができた。今日は資材も届くし、拠点の改築が大きく進展するかもしれない。

  • 127二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 22:10:07

    何やら警戒されてることだけはわかった。

  • 128二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 23:20:25

    トリニティ的には尚更警戒してるのあるだろうな…

  • 129二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 00:31:02

    先生とは別ベクトルで『平等』気質だから瑕疵が殆ど無いのに迫害や冷遇されてたりした娘とかの
    刺さる娘にはとことん刺さりそうだからそこら辺を警戒されてる感じかな?

  • 130二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 00:50:14

    そうか、確かに……
    この娘はどんな相手であっても平等なんだな

    恐れ、阿るということが決してない
    単なる一卒業生に過ぎない身が、雷帝だろうがティーパーティーだろうが自然体を崩さなければ……
    そりゃ、異質な存在として見られるわな

  • 131二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 06:33:29

    なるほど、そういうことか

  • 132二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 07:47:51

    仮に主人公が学生時代から既にこのスタンスができていたなら尚更だろうからなぁ…

  • 133二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 14:58:38

  • 134二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 16:16:11

    保守

  • 135二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 23:23:40

    良くも悪くも中立の人なんやね

  • 136二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 07:26:10

    朝保守

  • 137二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 14:13:45

    昼過ぎ保守

  • 138◆Qihk7ENzE625/06/07(土) 14:54:00

    本日は21時以降の投稿になるかと思います。よろしくお願いいたします。

  • 139二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 20:02:28

    お待ちしてまーす

  • 140◆Qihk7ENzE625/06/07(土) 22:10:20

    申し訳ない。ちょっとリアルでごたついたので情報をちょっとだけ投下。


    黒蚕
    品種改良の末に突然変異を起こした黒い蚕。飛べるし、普通に人の手を離れても生活できる虫。サイズはそこまで大きくないが、野生化したこの蚕が生態系を支えていたりする。桑の木に集まっていたのは産卵期だったため。成虫になる時に食い破られた黒い繭によって作られた黒い絹は高級品として、主にトリニティや全盛期のアビドス内で取引されていた。


    鶏。巨大な鶏。強く、賢い巨大な鶏。それ以上でもそれ以下でもない。

  • 141二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 22:12:36

    いじわるしてたら、某緑の勇者みたいに集団で仕返しされそうだな。この鶏

  • 142二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 23:18:38

    生態系的に鶏は熊と戦って生き延びてるヤツが…の可能性あるかね

  • 143二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 08:27:22

    今更ながら思ったが真面目にミミズかムカデがモンゴリアンデスワームみたいになりそうよなこの土地

  • 144二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 15:27:30

    保守丸

  • 145二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 15:34:44

    何と言うか何らかの形で『生命』の力が強化されてるっぽい感じだよなこの土地・・・
    ただ主人公に混ざってる神秘性質考えると強力な『死』の性質を持つ物が何処かに有る事で
    対になる『生命』の力もそれに引きずられる形で強まってる可能性が有りそうなんだよなぁ・・・

  • 146二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 23:30:34

    保守丸戦隊 ミタインジャー

  • 147二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 07:19:30

    おはよう諸君、朝保守だ

  • 148二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 12:25:18

    このレスは削除されています

  • 149二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 12:26:22

    途中送信につき削除

    強化生物群を率いてのビナー討伐なんて夢見ても……?

  • 150◆Qihk7ENzE625/06/09(月) 17:15:03

    リアルのごたつきがある程度片付いたので、今日の夜には投稿します。お付き合いください。

  • 151◆Qihk7ENzE625/06/09(月) 21:20:11

    30日目、昼。
    拠点からの連絡を受けて茶会を切り上げて帰ってきた私は、拠点の応接室――――と言っても資料室と併用している場所だが――――にいる人物を見て、小さく息を吐く。

    「恐ろしい程の肉体美だ。名のある彫刻であっても君の肉体美には負けるな」
    「あら、お上手ですこと」
    「しかも魅せる筋肉ではなく、使うための筋肉ときた。戦車を投げ飛ばしたというのも眉唾物ではなさそうだ」
    「さすがにそこまではしていませんわ。ひっくり返しはしましたけど」

    それができる人間がどれほどいるだろうかと疑問が残るがな。…………空崎ならいけるか?トリニティにもそれができそうな人間がいると聞く。案外やれる人間はいるかもしれない。

    「まずは突然の訪問を謝罪させてくださいまし。あなたの噂を聞き、居ても立っても居られずアポも取らずに訪問してしまいました」
    「ああ、それは構わない。うちのメンバーが何か粗相などは?」
    「思ってもいないことをおっしゃりますのね?」
    「まあな。彼女らが銃を握る時は大抵、何かから居場所を守る時だ。…とはいえ、何かしてしまったのなら、リーダーを務めている私が頭を下げるのは道理だろう?」
    「素晴らしい心がけですわ。…そんなあなただからこそ、あの子達もあんな笑顔を見せてくれたのかもしれませんわね」

    あの子達…ああ、元スケバンとかいう彼女達か。なるほど、舎弟だと言っていたし、私が来るまで応対していてもおかしくはない。

    「それで…今日はどのようなご用件で?伝説のスケバン、栗浜アケミ」

    何が目的なのかは知らないが、害意が無ければいいのだが。

  • 152二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 21:29:51

    おおおぉぉぉ……とうとう来たか、スケバンの元帥
    これは展開読めないな

  • 153二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 02:49:41

    とりあえず深夜保

  • 154二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 08:54:05

    姉御が登場。
    どうなる!?

  • 155二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 16:55:45

    生徒会系組織だけでなく七囚人とも関わるのはかなりよな…

  • 156二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 21:50:42

    主人公の活動自体は情報さえ聞けば気になるヤツではあるか

  • 157二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 02:20:09

    …猪と押し相撲やったらどっちが勝つかな?

  • 158二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 07:17:15

    確かに気になるな、>>157の結果は…

  • 159二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 13:49:54

    >>157

    熊じゃないけど金太郎かな?

  • 160二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 17:50:25

    アオアシラ並みの可能性ある熊とアケミの差しはいつか見たいな…

  • 161◆Qihk7ENzE625/06/11(水) 19:02:21

    栗浜アケミ。伝説のスケバンと謳われる女傑。
    ヴァルキューレにとって悪夢のような事件があった。警備車両12台、戦車2台が全損、生徒にも多くの負傷者が出たというその事件。
    その実行犯はたった一人。まずはティータイムにしよう、という提案をした私の目の前で優雅に桑の葉茶と、マルベリージャムを乗せたトウモロコシ粉で作ったスコーンを食べている女傑の犯行だったという。凄まじいこともあるものだ。
    …それにしても、本当によく鍛えている。筋肉も脂肪も付きにくい私には絶対に届かない領域にある肉体と言っていいだろう。健全な精神には健全な肉体が宿る、などと言うが…肉弾戦、銃撃戦…様々な戦いによって磨かれた精神により手にした鬼神のごとき肉体と言ってもいいだろう。

    「それで…今日はどういった用件で?」
    「そうでしたわね。私が今日、ここに来た理由は二つ。一つ目は…あなたに格別の感謝をするためですわ」
    「何?」

    私は彼女に感謝されるようなことをした覚えがないのだが…

    「あの子達――――元スケバン、元ヘルメット団の子達に光ある場所での居場所を作ってくださったこと、どれだけ感謝してもしきれません」
    「ふむ…彼女達は私の面接を受け、見事に私を納得させた。雇うのは当然のことだろう?それに、感謝するなら私の方だ。彼女達に助けられてばかりだからな」
    「何をおっしゃいますか。あの子達の話では、多額の金銭での報酬だけではなく、衣食住も提供してくださっているとのこと。あの子達に慕われる者として、頭を下げられず、何が『伝説のスケバン』でしょうか」

    …なんというか、不良とは思えぬ淑女だな、彼女は。

  • 162二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 20:23:18

    人並みに、"平等"に扱われるということが、どれだけ彼女らを安心させたことか
    アケミの感謝ももっともだろうね

  • 163二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 22:55:20

    まあだとしたら住んでる場所が試される大地過ぎではあるが普通に慣れてるからなぁ……

  • 164二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 02:21:50

    念の為深夜保

  • 165二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 07:16:54

    ニヤニヤ教授の手紙の中身の件かと思ったがそっちの方なら良かった

  • 166◆Qihk7ENzE625/06/12(木) 11:21:15

    「私達スケバン…不良というのは、結局のところ社会のはみ出し者。理由がどうあれ、一度その身をやつしてしまえば、深淵に落ちるようなものですわ」
    「その深淵の中で極光を放ち、勇往邁進するのが君のようにも見える」
    「ええ、もちろんあの子達が悪意ある者達に喰われぬよう、守るためならば私はこの身体を盾としましょう。矛ともしましょう。光にもなりましょうとも。ですが…私の手は、彼方にまで届くようなものでもありません」
    「光は届けど、手は届かずか」

    どこまで個としての武を極めたとしても、彼女は個人だ。届く範囲というものには限りがある。こういう言い方は彼女達に悪いかもしれないが、表側の空崎と、裏側の栗浜。立場は違えど、やっていることはほとんど同じように見える。

    「これは私の妄想だが…多くのものを取りこぼしたように見える」
    「これでも数年以上は裏社会で生きる身。地獄を見ました」
    「…」
    「これが末路か、これが居場所をなくした者の終わりなのか、と絶望しかけたことは何度もありましたわ」
    「だろうな」

    キヴォトスは悪い大人が違法物を使って子供を食い物にしていること多いのが現状。”先生”がそれを無視するとは思えないので、違法ドラッグとか違法物の取り締まりは何とかしているのだろう。まぁ、そういう一寸先は闇、というのがキヴォトスの現状だ。力が無ければ食われ、力あっても食われることもある…ゲヘナ学園にそういうものの噂が無かったのは恐らく、力こそが全てがゆえに必要ないのだろう。

    「だからこそ、私は力を振るいました。せめて、私の手が届く範囲にいる子を守るために。居場所のない者達を守るために」
    「見事な覚悟だ。だが、その言い方から察するに…不良をやらずに生活できるなら、その方がいいと言っているようにも感じる」
    「ええ。表側に居場所を作ってあげることは、私にはできなかったこと…それを成したあなたを私は尊敬せずにはいられませんわ」

    まぁ、私の面接を突破した者しか受け入れていないが。…そもそも募集をかけて面接に来てくれたのが彼女達だけだったというのもあるが。

    「用件の一つ目、それは理解した。…だが、ふむ…そうだな」
    「あら、何かございましたか?」
    「栗浜、君が良ければだが、私達の活動を見学していくつもりはあるか?彼女達の現状を君の目で見てもらいたい」
    「まぁ…!願ってもないご提案ですわ。是非とも」

  • 167◆Qihk7ENzE625/06/12(木) 11:39:29

    「そっち行ったぞ!」
    「ちょ、待ってそれは聞いてないぃいあああああいッ!?」
    「おー、ナイス回避」
    「言ってる場合か!?」

    食べる分だけ獲る、ということを徹底している私達は、肉が切れたら狩りに赴く。理性を失くした獣だけを狩っているが、知性や理性が無くなっているやつらは基本的に目が血走っているように見えるな。

    「ぜぇ、ぜぇ…だけど誘い込んだぞ…!全員、攻撃開始!」
    「「「うぉおおおおおお!!!」」」

    今日の獲物は猪――――ではなく、熊。熊である。デカいが、知性の欠片も感じられない暴力性を発揮して巨大鶏たちの領域に踏み込んでくることもあるらしい、縄張りを持たず、縄張りに踏み込んでくる怪物。畑を荒らしたりもしていたので、この辺で狩ることになったのだ。
    銃だけではなく、用意した投げ槍なども駆使して熊を攻撃すること数分。断末魔を上げることもなく、理性を失くした巨大な熊の命は絶たれた。

    「はぁ…!よし、解体班頼んだ!」
    「任せて」
    「うっはぁ、銃弾全く効いてないじゃん。効いたの投げ槍だけってどういうことよ」

    わいわいと巨大な熊の解体を進める少女達。血抜き、解体の手際が肉の味を決めるとのこと。

    「見事なものですわね」
    「ああ。私にはできない芸当だ」
    「リーダー、突っ立ってないで肉入れたタッパー運んで!」
    「ああ、今行く!」
    「でしたら、私もお手伝いさせていただきますわ。狩りではお手伝いできませんでしたので、これくらいは」
    「そうか?助かる」

  • 168二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 15:06:21

    アケミが帰った後か過ごしてるうちにカンナとか来たりしないかなぁ。カンナじゃ無いにしてもヴァルキューレからの調査くるだろうな。

  • 169二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 20:46:22

    ヴァルキューレが七囚人の所在地を把握しているかと言われると何とも

  • 170二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 23:05:58

    場所が場所だからそういう類いが来るのは正直無い気はする…

  • 171二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 06:14:24

    とりあえず良好な関係は築けそうだな。
    相手は七囚人だけど!

  • 172二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 07:21:49

    熊の槍が効いても銃弾効かないの少し神秘でもついたか?

  • 173二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 15:17:55

    保守

  • 174◆Qihk7ENzE625/06/13(金) 22:54:40

    すみません。明日の14時投稿します

  • 175二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 23:20:58

    お疲れ様です

  • 176二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 02:55:33

    オッケー保守

  • 177二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 07:59:41

    待機

  • 178二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 14:05:17

    一応の保守

  • 179◆Qihk7ENzE625/06/14(土) 16:09:43

    30日目、夜。
    夕食も終えて、私と栗浜は再び二人きりで対面していた。

    「お食事までいただき、ありがとうございます」
    「いや、こちらこそ助かった。…それで」
    「ええ、二つ目の用件、ですわね」

    私が頷くと、栗浜は懐から通信機を取り出した。…ふむ、ゲヘナのものとはちょっと型が違うがホログラム投影機でもあるようだな。…つまり、なんだ?

    「栗浜を御せるような人間がいると?」
    「恩義があるので傘下にいる、というところですわね」

    栗浜が通信機をテーブルに置くと、ホログラムが投影され――――見覚えの無い少女が現れた。手入れが面倒そうなボリュームの髪…空崎レベルの毛量だな。

    『ほむ、ようやく繋がりましたか。初めまして…というわけではありませんが、初めまして、無常の才女。私はニヤニヤ教授。しがないコンサルタントを営んでいる人間です』
    「…栗浜、私は舐められている、ということで間違いないか?」
    『おや、邪険にされるようなことをした覚えはありませんが』
    「話をするつもりがあるなら生身で来い。…まぁ、その程度の度胸もない臆病者なのだろうが」

    見かけは空崎の様に小柄だが、気に入らない。胡散臭いのも謀をしているのも別にいい。だが、栗浜をメッセンジャーにして、生身で会話する度胸もない、虎の威を借りる狐のようなやり方が気に入らん。敵陣だろうが堂々としている羽沼を見習え。

    『ほむ…では、本題に移りましょうか。また耳を潰されても敵いませんし、ね。――――無常の才女、私と提携を結ぶつもりはありませんか?』
    「ない。お前のようなやつと手を組むメリットが見当たらん。うちで雇ってる子達は皆優秀でね」
    『…あなたにとっても悪い話ではないと思いますが?』
    「…なぁ栗浜、これは笑うところか?彼女は、裏社会にいたくないから手を伸ばしてきた子達を雇っている私のことを知っているんだよな?」

  • 180◆Qihk7ENzE625/06/14(土) 16:25:58

    そもそも、私の夢は大農園と学校を作ることだ。儲けたいとか、裏社会とのコネクションを手に入れたいとか、そんなことを考えているわけでもないのに。下調べをしていないのか?

    『ほむ…中々に強敵のようですね』

    なぁ、栗浜。笑うのを耐えているだけじゃなくて答えてくれるか?君はこんなのに雇われているのか?条件は要相談だが、こちらでヘッドハンティングするのもやぶさかじゃないんだが?

    『では、あなたが拒めないであろう取引を一つ。――――襲撃者が増えていることが悩みだそうですね?』
    「…………」

    なるほど。

    『拠点としている場所や畑を荒らす襲撃者…気を揉まれていることでしょう』
    「……………」
    『裏社会でもあなたのお話はよく耳にしますよ。奇妙な土地を購入して不良生徒を雇っている奇特な方、と』
    「…………………」
    『私と提携を組んでいただけるのであれば、襲撃者達、こちらでいかようにも料理して差し上げますが…』
    「…………………………」
    『ああ、今すぐにお返事を、とは言いません。そうですね――――』
    「ふむ、そうだな」

    小さく呟いた声に、ニヤニヤ教授とやらがピクリと反応し、口角を上げた。

    『賢明な判断が――――』
    「ここまで舐められていると感じたのは初めてかもしれんな。さて…私は銃の扱いが苦手だからな。どうしたものか…」
    『?』
    「ふむ。餅は餅屋か。栗浜、悪いが少し出かけることにした。泊っていくのであれば、この部屋を使うといい」
    『何を――――』
    「うん?ああ、旧友と連絡するつもりでな。卒業式以来連絡などしていないから繋がるかどうか…」
    『!?!?!?!?』
    「うん?どうしたニヤニヤ教授とやら。脂汗が滲んでいるようだが?」

  • 181◆Qihk7ENzE625/06/14(土) 16:47:53

    私の旧友が誰なのか知っているからなのか、それとも私の地雷を踏み抜いた自覚をようやくしたからなのか。とにかく脂汗が滲んでいるニヤニヤ教授。ホログラムの技術進歩というのは目覚ましいな。ミレニアムサイエンススクールなんかはそういったことも研究しているようだが…今度作品展にでも行ってみるか?

    「しかし卒業式以来か…空崎と羽沼も呼んでパーティーでも開くか?場所は…ふむ。黒舘にでも聞いてみるか」
    『ふっ、ふふふ…!黒き鏡…これ程とは…!』
    「黒き鏡、か。昔、それらしいことを言ってきた胡散臭いやつがいたな。黒い割れた鏡はお前の方だろうと思ったが…まぁ、それはいい。ニヤニヤ教授、お前にもパーティーの招待状を送っておく。栗浜、悪いが招待状を届けて――――」
    「その必要はありませんわ」
    「うん?」
    「ニヤニヤ教授、もし彼女達に干渉するつもりであれば…私はヴァルキューレに出頭することも吝かではありませんわ」
    『なぁ…!?』

    ほう。釈放後はヘッドハンティングも可能ということで間違いないだろうか?

    「彼女は私が守ろうとした少女達を掬い上げ、光ある場所に居場所を作ってくださいました。そんな彼女と、今、居場所を手にしようと努力を重ねる少女達を守るためなら、あなたとの契約を破棄し、矯正局に戻りますわ」
    『アケミ、あなたはそれがどういう意味か分かっているのですか…!?』
    「私は守るために剛力を振るっただけ。あなたに与しているのは脱獄の恩義があるからこそ。さぁ、どうなさいます?七囚人の一角を一時の戯れで失い――――パーティーに招待されるのは、あなたとしては最悪の状況ではなくって?」
    『~~~~ッ!……………戯れが過ぎました。申し訳ございません…!』
    「報復を考えているのなら止めておけ。この土地は外敵にいとも簡単に牙を剥くぞ」

    七囚人が相手であっても巨大な鶏たちは戦いを挑んでくるし、熊は普通に殴りかかってくるし、牛や猪は突撃してくる。さらには最近、水場に巨大なアオダイショウがいることが判明した。栗浜並みの筋肉と鍛錬を成していた少女だからこそ受け止められていたが、この土地の生き物は外敵に容赦しない。

    『では…また別の機会に』
    「次は生身で話せることを願うよ。やはり会話というのは生身でやった方が楽しいからな」
    『……失礼します』

    ビビるくらいならやらなければいいものを。

  • 182◆Qihk7ENzE625/06/14(土) 16:51:15

    なお旧友の電話番号は知らないのでブラフです。頭痛いので休みます申し訳ございません。

  • 183二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 17:47:53

    更新お疲れ様です。
    基本的に物事をフラットに見ている主人公ですが、手を出されるのならコネを総動員してでも相手を潰しにかかると・・・
    これはいろんな人から慕われるわけですわ。

    お大事に、ゆっくり休んでください

  • 184二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 20:13:31

    ははぁ、先生のソレにも通ずる胆力があるねぇ
    間違いなく組織の長の器だ

  • 185二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 23:17:00

    これは旧友が気に入ってもおかしくないメンタルの強さですな…

    ……にしても黒き鏡はこの子の神秘がシュレディンガーとテスカの要素だから元はどっちかからかね?

  • 186二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 23:18:36

    更新乙ー
    そしてサラッと(外見情報からの推定だが)黒服の接触情報も出て来た・・・
    そっちの方は無理に深入りしなかったからか胡散臭い奴程度の印象持たれる程度で済んだ感じか?

  • 187二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 07:27:34

    あー、黒い割れた鏡って何のことかと思ったら、推定黒服かー

  • 188二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 14:04:02

    そりゃ悪手だろ... 蟻んコ

    主人公の感情が読みにくいとはいえ、手札が悪すぎるし出し方もカスときた...
    こりゃ無理に決まってるだろ、
    (あと前電話でブチ切れさせてだろ教授...)

  • 189二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 22:07:51

    保守

  • 190二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 22:57:14

    色々と分かりつつ人は増えて来たがそろそろですかね…?

  • 191二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 06:43:36

    良くも悪くも繋がりが増えてきたから、おいたするのも増えてくるか

  • 192二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 07:26:13

    ニヤニヤ教授レベルは何とかなるがゲマとかのレベルになると場合によりけりになりそう
    一応主人公ちゃんは大人といえど……

  • 193二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 12:35:48

    保守

  • 194二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 15:32:54

    そろそろ次のスレですかね…?

  • 195二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 22:58:07

    保守ー

  • 196二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 07:15:12

    朝保守だ、おはよう

  • 197二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 15:45:47

    一応の保守

  • 198二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 22:36:57

    期待の保守

  • 199二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 23:38:17
  • 200二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 07:09:29

    うめうめ

オススメ

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