そいつは突然やって来た

  • 1二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 19:36:31

    7時、朝食をとっているとカルデア館内をけたけましい警報音が包んだ。
    何事かと急いで司令室へ向かうと、どうやら空き倉庫内に謎の波形が観測されたと同時に空間を裂いて"何か"が現れたらしい。
    その"何か"の出現によって倉庫内の監視カメラが全て破壊されてしまったらしくい。
    倉庫の調査に向かうためマシュをはじめ数人のサーヴァントを連れ、倉庫へと向かう。
    倉庫の損傷は酷いものだった。
    内側から何か膨大なエネルギーが爆発したような、爆発痕とも取れるものがあちらこちらに散見された。
    その中でも一際大きいクレーターの中に"それ"はいた。
    第2異聞帯で出会った巨人よりも大きなそれは、光の灯っていない目でこちらを静かに見つめていた。

    それが、4号機とカルデアのファーストコンタクトであった。

  • 2二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 19:41:02

    あーそういやこいつディラックの海に沈んだんだっけ?

  • 3二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 19:47:38

    ディラックの海=彷徨海の解釈はいいな…。

  • 4二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 19:48:31

    これはおもしろそう

  • 5二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 19:49:05

    最近正式パイロット決まったらしいな

  • 6二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 20:10:14

    「顕現体」と名付けられたそれは技術班によって解析が行われた。
    その多くが既存の技術から逸脱しているものであるが材質は2015年の段階で使用されていたものとそう大差はなかった。
    装甲板と思しき表面部に刻印された「EVANGELION UNIT-4」の文字列から「顕現体」の呼称から「エヴァンゲリオン4号機」へと変更され、もっぱら4号機と呼ばれた。
    解析から13日後、脊柱ブロックのパネルから機体システムを引き出し、おおよその機体構造とコックピットと思われる脊椎に埋め込まれた円柱状の物体の存在が確認された。
    また、この間背部にある電源コネクタと思われる開孔部より電力の供給が開始された。

    解析から15日後、ついに脊柱ブロックを覆っていた装甲のロックの解除に成功した。装甲の展開とともに円柱状の物体が4号機より排出された。
    円柱状の物体のハッチを開放したところ、謎の液体と衣服、コントローラーと思われるものと一体化した座席の存在が確認された。
    液体は化学班へと廻され、液体が付着した作業員は現在精密検査が行われている。
    衣服も同様に解析が行われ、生命保護装置の存在が確認されている。

    円柱状の物体の解析の最中、ヘアピンのようなものを発見、こちらも解析に送られた。
    謎の液体を調査していた化学班からも情報が出たようだが、何やら都合が悪い情報らしくカルデアのマスターに伝えられることはなかった。

  • 7二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 20:12:02

    >>6

    ヒェッ…。

  • 8二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 20:21:44

    解析が進むに連れて、様々なことが分かった。
    4号機は完全な機械ではなく、なんらかの生命体に外骨格である鎧を取り付け存在を成り立たせていること。
    4号機内を循環する謎の液体とコックピット-物体に刻印された文字よりエントリープラグと命名された-にあった液体は同一のものであること。
    そして、4号機内部の生命体の暴露はこの世界の価値観に大きな影響を与えかねないということだ。

    詳しいことは教えてもらえなかったが、技術班の方々の反応を見る限り、とにかく大変な代物であることは間違いないようだ。
    カルデア内では4号機の起動実験計画が持ち上がっているようだが、「君は君のなすべきことに心血を注ぐべきだ」と話を聞かせてはくれなかった。

    でも何故だろう。4号機を動かす事に謎の抵抗を覚えるのだ。何か墓暴きをしているような、そんな後ろめたいことをしているような、そんな気すらするのだ。

  • 9二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 20:38:06

    ゴッフ、止めて!どう考えてもハイ(略)リスク・ローリターンだよ!?

  • 10二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 20:41:34

    数週間後、いつものようにシュミレーターでの訓練を終えると、職員の方に呼び止められた。
    曰く、ついてきてほしい場所があるそうだ。

    案内された場所は、4号機が顕現し、解析場所となっている空き倉庫であった。
    やけに重そうな歯車が剥き出しの扉の先にあったのは、赤い液体で満たされたプールの中に佇む4号機の姿であった。

    はて、彼は4号機を見せるためだけに自分を呼び出したのだろうか?
    疑問に頭を悩ませていると、大きめな真空パックを手渡された。
    見るとそれは以前エントリープラグ内で発見された衣服とヘアピンであった。
    なんでも衣服の方は「プラグスーツ」、ヘアピンの方は「インターフェース・ヘッドセット」と言うらしく、着用を強要された。
    ますます疑問であるが、いい予感がしないのは確かだ。
    その予感はそのまま的中することとなる。

    数分後、エントリープラグへの搭乗を求められた

  • 11二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 21:04:19

    保守

  • 12二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 21:05:46

    エヴァの呪縛をマスターに付与するな!

  • 13二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 21:06:10

    気づいたら、エントリープラグ内の座席に座っていた。
    慌ただしく動く人たちの音がプラグの中で反響して、なんだか不思議な閉塞感に襲われた。
    いや、不用意に了承してしまった自分の悪いのだが……
    生来よりロボットやカッコいいものに目がなく、周りからはよく子供っぽいと言われ、ここまでそれを良しとして改善してこなかったのが仇となってしまった。
    だが、しかし、しょうがないだろう。目の前に巨大ロボットがいてそれに乗せてくれると言うのに、断る気すら起きやしない。
    いや、それも言い訳か……

    自分への状況説明をこなしていると、外から『プラグ注水』の声とともにプラグに接続されたポンプから謎の液体が流入してくる。
    事前説明では肺呼吸を可能とし、衝撃緩和剤の役目を持ち、電解質の物質によって水中にモニターを投影するというなんとも都合のいい液体らしく、健康に被害はないとのことであった。
    だがしかし、意図的に溺れることは難しく、昼に食べたうどんが逆流しそうになってしまった。

    注水が完了すると、突然周囲の景色がパタパタと変わっていった。突然のことであたふたしていると、数回の景色の変換後、4号機の視覚とリンクしているであろう景色が周囲に映し出された。
    外では作業服に身を包んだ人がこちらに手を振っていた。

  • 14二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 21:33:07

    エヴァって14歳しか動かせなかったのでは?

  • 15二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 21:33:43

    >>14

    14が一番シンクロしやすいとかだったと思う

  • 16二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 21:35:37

    エヴァに搭乗するのは14歳の母親のいない子供である必要があります。 その理由は搭乗するエヴァのコアにパイロットの母親の魂が組み込まれているからです。 これによってパイロットは母親の魂があるエヴァと深くシンクロすることが可能になりました。

    エヴァ 乗れる年齢 で調べたら1番上にでてきたやで

  • 17二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 21:39:55

    元首ーさっさとやっちゃってー

  • 18二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 22:41:22

    「では、只今より第18回4号機シンクロテストを開始します。準備はいいですか?」
    気の強そうな女性の声で実験の開始が宣言される。
    先ほど聞かされた実験の概要をもう一度思い出す。
    やることはたった一つ、心を空っぽにして集中擦る。それだけ。
    できはしないが、大きく深呼吸をして目を閉じる。

    ピクリと何かに引っ張られた気がした後、急激な落下感に襲われた。
    暖かさも冷たさも感じない、ただただ落ちていく感覚だけが無限に続く感覚に陥っていた。
    焦って目を開けるとそこは一面真っ白の空間だった。どこが上か下かもわからない、だけど落ちていることだけは感じることのできる腹の奥がゾワゾワとする嫌悪感が付きまとう。
    そして少しするとどこからともなく様々な感情が湧き上がってきた。
    寒くもないのに寒いと感じ始めた。
    寂しくなどないのに寂しくてたまらなくなった。
    孤独感などないのに独りぼっちでいるような気がした。
    泣きたくなんてないのに無性に泣きたくなった。

  • 19二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 22:41:41

    その内、内側から自分の体を引き裂きたい衝動に駆られて、自身の肩の肉に指を食い込ませ、血が出るほど下唇を噛んだ。
    膝を抱えて半べそをかいていると、それまでの落下の感覚がない事に気づいた。
    そこは白い大地と青い空が広がる世界だった。
    まるで、地表が白紙化されたような………
    これまでの経験で染みついた状況確認を無意識でおこなっていると、遥か遠くにほんの少しの違和感を感じた。
    そこだけポッカリと黒く塗りつぶされた穴があるような、実感のない確信があった。認識すると同時に勝手に歩を進めていた。
    相変わらず、自分が感じていないが感じている感情は付き纏っていたが、別に無視できる程度だしもう慣れた。
    それよりも、この感情に一つの仮説が生まれていた。
    この感情はかつて4号機に乗っていた誰かの感情なのではないのだろうか?
    それが誰かを知る由はないが、それ以外のそれらしい理由も見つからなかった。
    そうすると、この服もヘッドセットもその誰かの物という事になる。自分のものを取られて怒っているのだろうか?それとも、誰かに救って欲しかったんだろうか?

  • 20二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 22:42:01

    穴は確かにあった。
    ここを通れば恐らく、この不思議な場所から帰れるのだろう。
    穴に足を掛けようとしたその時、誰かに手を掴まれた。
    咄嗟に後ろを振り向こうとしたが、固定されたかのように体を動かすことができない。掴んだ手はぎゅっと力を込めていた。……それでも驚くほど弱い力ではあるが。
    何を言うでもなく何かをすることもなく、ただ時間とも呼べないものが流れていった。
    掴んだ手を一瞬緩めてまた掴んだ時、手の主がポツリと呟いた
    「忘れないで……僕を忘れないで………」
    なぜ、考え付かなかったんだろう。
    言われなくても、4号機は異物でその中に乗っていたであろう手の主はきっと独りぼっちだったのだ。きっとあの何もない白い空間を落ち続けていたのは手の主の記憶で、それしか自分の存在を誰かに伝えることができなかったのだろう。
    忘れてほしくない、そんな理由は自分の記憶を他人に曝け出すには悲しすぎるではないか。
    「忘れないよ」
    言えることはたった一つしかなかった。でも、何度も心の中で言った言葉だと思う。
    現実に打ちひしがれるたびに呪文のように言い聞かせた言葉だったと思う。

  • 21二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 22:42:22

    きっと手の主と自分はどこか似ているんだ。
    手の主は、落ちていく感覚だけが無限に続く地獄の中で、誰かに忘れてほしくないと自分の存在を強く願った。
    自分は、つい、こないだまでそこにあったものをこの手で閉じて来たものを忘れたくなかった。
    どちらも究極的に言えば他人がいて欲しかったのだ。関わらなくても触れられなくてもいい、2人とも誰かの存在が自分という存在の肯定になる実に人間らしい人間であった。
    「忘れないよ、絶対に……」
    そして彼は手の主を置き去りにした。
    手の主はもうどこにもおらず、だがしかし、この白い大地と青い空の世界で誰かに覚えてもらったたった1人の存在であった。
    それが手の主にとって救いであったか絶望であったかなど誰にも知る由はない。
    だが、彼は少なくとも多少は幸せになったのだと考えた方が我々にとっては楽な選択肢だろう。

  • 22二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 22:42:40

    その後、パイロットを変えシンクロ実験が行われたが誰一人として起動に成功したものはいなかった。
    当初の目論見ほどの結果が得られず、結果として4号機の実戦投入は凍結され今は空き倉庫でデータ取りにのみ使われるだけである。
    結局、カルデアのマスターが出会った手の主に出会った人間はおらず、何故カルデアのマスターだけが謎の存在意識に干渉できたのかは目下として調査中である。

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