【ホラー注意】廃病院ぶっ壊しに行こうぜ!【1:00】

  • 1スレ主25/05/24(土) 13:04:46

    ────目が覚めたら、そこは廃病院の入口だった。

    「行くか、アイツらを探しに」

    「待っててね、レオ。必ず助けるから」

    「取り込まれてバケモンになってんじゃねーだろうな」

    「可能性としては有り得るな。バケモンでもサッカー出来ればそれでいいか」

    「全然良くないんだよなー笑」

    時計の針が刻むのは、“時間”ではなく、“精神の崩壊”。…いや、この物語では“廃病院の崩壊”が正しいだろう。

    なぜなら、目に見えないものが、確かにこちらを見ていても、それを叩き潰すのが彼らの役割だからだ。

  • 2スレ主25/05/24(土) 13:05:21

    このスレは、ブルーロックの登場人物による探索型ホラーSSです。

    舞台は“廃病院”。以前ここにやってきた潔世一、烏旅人、御影玲王、二子一揮は、廃病院に取り込まれてしまいます。

    そこで4人を救出するためにやってきたのが千切豹馬、凪誠士郎、糸師凛、糸師冴。彼らの逆襲劇が始まります。

    ※「時計の針が進むたびに、俺たちは壊れていく」のifルートになります。こちらをお読みいただいた後の方が、より物語が楽しめると思います。

  • 3スレ主25/05/24(土) 13:05:47

    ※プレイヤーの選択(安価)、運命(ダイス)によって、ストーリーの進行・視点が変化します。

    ※選択肢次第で“発狂”“精神崩壊”“絆”に分岐するかもしれません。

    ※正気度(SAN値)管理あり。

  • 4スレ主25/05/24(土) 13:06:19
  • 5スレ主25/05/24(土) 13:06:50

    ■キャラヘイトを目的とするものではありません

    ■キャラsage、腐発言、アンチコメはお控えください

    ■荒らしはスルーします

    ■ゆっくり進行ご容赦ください(平日は仕事の都合上、特に進行が遅くなります)

    ■感想、質問、イラスト等頂けるとスレ主が大変喜びます

    ■広域ホスト規制に巻き込まれがちです。保守して頂けると幸いです

  • 6スレ主25/05/24(土) 13:07:56

    【登場人物紹介】


    千切 豹馬(ちぎり ひょうま)/初期SAN値:22→20

    マイペースでよく笑い、よく叫ぶスピードスター。
    突飛な出来事に驚きつつも、誰よりも仲間を信じている。4人の奪還のために全力を尽くす、熱き疾風。

    「13:00遊園地ホラー」のクリア経験者。
    「廃病院ホラー」にも登場。精神に“ある記憶”が刻まれている。


    ■固有能力

    【光刃の脚】怪異の行動を先読みし、自動回避と自動反撃を行う(2回まで・回避ターンで攻撃可能)
    【絆の加速】戦闘時、追加攻撃し、+1のダメージを与える(2回まで)
    【共鳴の記憶】遊園地ホラークリア特典。SAN値減少イベントを1回自動回避できる
    【疾風の破片】遊園地ホラークリア特典。罠や影の追跡から仲間を救出できる(2回まで・味方1名の回避失敗を自動成功に変換する)


    ■初期装備

    ・かりんとう饅頭×4:SAN値+4回復

    「オーブンで焼いて食べたいけど、廃病院にはそんなもんないから我慢する」

  • 7スレ主25/05/24(土) 13:08:48

    凪 誠士郎(なぎ せいしろう)/初期SAN値:25→23

    マイペースでルーズ、何事にも「面倒くさい」が口癖。怪異にも無表情で動じず、声すらあげない超然プレイヤー。御影玲王を救うため、「頑張りまーす」と静かに決意を燃やす。

    「廃病院ホラー」にも登場。


    ■固有能力

    【夢境感知】見えない怪異の存在を探知し、戦闘開始前に怪異に先制攻撃を与える。その後、通常通り戦闘行動に参加可能(3回まで)
    【無意識の庇い】仲間の失敗を肩代わりし、かつ自身のSAN値減少を無効化することができる(3回まで・なにかに突き動かされた感覚だけが残る)


    ■初期装備

    ・レモンティー×4:SAN値+4回復

    「え、全部俺のだけど。まあ、どうしてもっていうならあげてもいいよ」

  • 8スレ主25/05/24(土) 13:09:41

    糸師 凛(いとし りん)/初期SAN値:24→22

    高圧的かつ超エゴイスト、口も態度もとにかく強気。ホラー好きで、廃病院の突入にも密かにワクワクしている。兄にはなぜか強く出られず、ちょっとだけ不器用。

    「13:00遊園地ホラー」のクリア経験者。
    「廃病院ホラー」にも登場。精神に“ある記憶”が刻まれている。


    ■固有能力

    【百鬼夜行】戦闘イベント時、怪異の行動を3ターン封じ、攻撃に専念することができる(持ち越し可能)
    【記憶の盾】自分と味方全員のSAN値減少を1回ずつ無効化できる(重複不可)
    【共鳴の記憶】遊園地ホラークリア特典。SAN値減少イベントを1回自動回避できる
    【記憶のページ】遊園地ホラークリア特典。“消されかけた記憶”や“不自然な空間”を感知し、1度だけ探索を自動成功にすることができる
    【記憶の継承者たち】 遊園地ホラーペア特典。1度だけ“忘れられた者”に対し、言葉だけで道を開くことができる(怪異の脅威を無効化し、部屋から自動脱出可能・A-7通路最終戦、地下最終戦を除く)


    ■初期装備

    ・鯛茶漬け×4:SAN値+4回復

    「お湯なら持ってきた。実際にホラーやりながら好物食える機会なんざ、そうそうねーだろ」

  • 9スレ主25/05/24(土) 13:10:35

    糸師 冴(いとし さえ)/初期SAN値:23→22

    冷静かつ天然、日本の至宝と呼ばれる実力者。口が悪いが的確に褒めるタイプで、弟の態度は「反抗期」で片付ける。驚いた時は小さく反応、目を見開くのが最大のリアクション。

    「13:00遊園地ホラー」のクリア経験者。
    「廃病院ホラー」にも登場。精神に“ある記憶”が刻まれている。


    ■固有能力

    【断罪の策略】戦闘において、+1ダメージを与え、且つ敵の攻撃を1回無効化できる(1ダメージは常に継続)
    【最適解】自分または味方1人の失敗判定を再試行できる(1部屋1回まで)
    【共鳴の記憶】遊園地ホラークリア特典。SAN値減少イベントを1回自動回避できる
    【白き空間の鍵】遊園地ホラークリア特典。他人の精神領域に1回だけ“干渉”して引き戻すことができる(精神異常発生時、精神を安定させることが可能)
    【記憶の継承者たち】 遊園地ホラーペア特典。1度だけ“忘れられた者”に対し、言葉だけで道を開くことができる(怪異の脅威を無効化し、部屋から自動脱出可能・A-7通路最終戦、地下最終戦を除く)


    ■初期装備

    ・塩こぶ茶×4:SAN値+4回復

    「お湯は凛が持ってきた。飲んでみろ、落ち着くぞ」

  • 10スレ主25/05/24(土) 13:14:31

    ●所持アイテム

    ・デジタル腕時計×4:戦術支援デバイス付き
    ・避難経路図:廃病院の地図
    ・蛍光グリーンの宝石:脈打つようにかすかに光る

    ・《沈静ノ滴》×1:SAN値+1回復
    ・《静心の記録》×1:SAN値+1回復
    ・《帰神の雫》×1:SAN値+1回復
    ・《沈静カプセル》×1:SAN値+1回復
    ・《Lucid Drop》×1:SAN値+1回復

    ・《遮断注射》:SAN値減少を1回無効化

    ・《鍵(【NURSE】の刻印)》×1

    ・医師の手書きメモ
    ・医師用内部資料
    ・被験体37のメモ
    ・職員O・Yの看護記録
    ・観察記録23

  • 11二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 17:30:36

    【回避開始】1:00

    【千切豹馬:SAN値-1(21→20)】


    呻き声が、悲鳴のように変わる。

    被験体23の全身──絡み合った無数の腕が、一斉にうねり、四人を襲った。


    冴「くっ……!」

    冴は肩をすぼめ、腕の渦をすんでのところでくぐり抜ける。
    冷静な観察で、予備動作から軌道を見切っていた。


    凛は、まるで本能のように動いた。
    素早く腰を落とし、逆側へ抜けるようにして攻撃をかわす。

    凪は一歩も動かないまま、ほんの数センチだけ体を傾けた。
    腕が鼻先をかすめ、空を切っていく。

  • 12二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 17:31:54

    ──だが。


    千切「うわっ──!!」

    千切の足が、床に刻まれた引きずり跡にとられる。

    ほんの一瞬の遅れ。
    それだけで、背後から異形の腕が鋭く振るわれた。


    千切「っ、ぐあッ……!!」

    脇腹に強烈な衝撃。
    鉄の棒のような感触。次いで、皮膚の下を突き破ってくるような異質な冷たさ。


    千切「……っ……やば……」

    口の端が震えた。
    恐怖ではない。だが、脳の奥が妙にざわつく。
    見てはいけないものを見たような、感覚のブレが起きていた。

    視界の端で、何かが蠢いて見えた気がする。

    でもそこには何もいない。
    その“何もなさ”が、逆に怖い。

  • 13二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 17:35:21

    凛「ちょっと、急ぎすぎだ」


    凛が小声で言う。


    千切「うるせぇ……!次で絶対、仕留める!!」


    千切は歯を食いしばり、立ち上がる。



    被験体23は、腕を再び絡ませながら次の波を繰り出す準備をしていた。


    千切「決めてやる…!」


    千切が一歩踏み出し、拳を強く握る。



    【検査室】《被験体23:異形》

    (1回攻撃成功で討伐完了/30以上で攻撃成功)

    千切:dice1d100=69 (69)

    凪:dice1d100=78 (78)

    凛:dice1d100=84 (84)

    冴:dice1d100=66 (66)

    ※被験体23の情報入手:+5補正

  • 14スレ主25/05/24(土) 17:42:56

    他のスレに行った時、名前戻すのをよく忘れるんですが、物語を紡いでるのはスレ主で間違いないのでお気になさらないでくださいね。

  • 15二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 18:11:16

    スレ立てありがとうおつおつ!
    討伐成功めでたい

  • 16スレ主25/05/24(土) 18:18:49

    >>15 ありがとうございます!2回目攻撃のダイスを1回目で出してくれればなあ…と思ったり思わなかったり…笑 引き続きゆっくり進行でよろしくお願いします!

  • 17スレ主25/05/24(土) 18:24:11

    呻きとノイズが、ますます激しくなる。
    被験体23の腕が、空間を切り裂くようにうねりながら、最後の猛威を振るおうとしていた。

    だが、4人の視線は、誰一人として逸れていなかった。


    冴「──叩くぞ」

    冴が一歩前に出る。
    冷静な目線が、歪な存在の中心にぴたりと定まる。

    まるで決まっていたように、一本の“腕”を穿ち、連鎖的にその内部構造を崩壊させる。

    異形の体が、わずかに崩れた。


    千切「俺の分も……いくぞ!!」

    千切が疾風のように前へと出る。
    怒りと悔しさ、恐怖すらも押し込めて、拳を振るう。

    千切「俺は……絶対に負けねぇからな!!」

    その拳が、絡みつく腕を押し返すようにして“空洞”へとめり込む。


    凪「……この距離、もらう」

    凪はほとんど音もなく滑り込む。
    その蹴りは、腕の隙間を抜けて、的確に“中枢”を砕いた。

  • 18スレ主25/05/24(土) 18:26:20

    凛「……じゃあ、終わらせるか」

    凛が静かに、しかし確実に一歩踏み込む。

    凛「二度と、呻けないようにしてやるよ」

    その声とともに、最後の一撃が闇の中心を貫いた。


    ギィィィィィィィィィ……ガ……ァ……ア……


    呻き声が、徐々にノイズに飲まれていく。


    形なき腕は霧のように崩れ、
    影の身体は溶けるように床へ沈み──

    やがて、完全に“音”ごと消えた。

  • 19スレ主25/05/24(土) 18:43:04

    【戦闘終了】1:00

    【撃破報酬/オーバーキル報酬:取得】


    残されたのは、静けさと、ふたつの異物。

    一つは、破れかけたファイル。
    もう一つは、黒く鈍く光るペンダント型の小物。


    凪「……なんか、出た」

    凪がしゃがみ込み、ペンダントを拾い上げた。

    千切「《シールド・トリガー》……?ヒーロー物の技名っぽいな」

    千切が覗き込む。

    凛「裏、見てみろ」

    凛が促すと、凪はひっくり返し、銀色の小さな刻印を見せた。

    凪「“次の干渉、遮断せよ”って書いてある。たぶん、精神バリアみたいなやつ」

  • 20スレ主25/05/24(土) 18:51:10

    千切「……これ、俺が持ってていい?」

    千切が尋ねる。

    凛「ああ。お前、さっきくらってたしな」

    凛があっさりと了承する。


    一方で、冴はファイルを手に取っていた。

    表紙には、かすれたラベル。


    ──「D号患者記録」


    冴「……前の隔離対象は、安定化。危険性はない」

    パラパラと内容を確認しながら冴が言う。


    千切「つまり……?」

    冴「このD号って部屋は、休憩可能エリアと判断できる。少なくとも、異常が出るまでは、な」

    千切「マジ!? やったー……!」

    千切がその場にバタッと寝転んだ。

  • 21スレ主25/05/24(土) 18:51:47

    千切「しりとりやる?」

    千切が即座に言い出す。

    「やらない」
    「やらねえ」
    「また今度な」

    千切「えぇぇぇぇぇぇ〜〜〜っ……!」

    けれどその声に、どこか笑いに近い安堵感がにじんでいた。


    ほんの一瞬。

    けれど、明確な“安全”がこの病院に確保された。


    ■入手アイテム
    ・《シールド・トリガー》×1:SAN値減少を1回無効化
    ・「D号患者記録」:D号室の安全疎明資料

  • 22スレ主25/05/24(土) 19:30:55

    検査室の扉を開けると、そこには──
    一匹の黒猫が、静かに座って待っていた。


    千切「……ヨイチ」

    千切がすぐに名前を呼ぶ。

    今度のヨイチは、不機嫌そうな“うみゃみゃ”は言わなかった。

    ただ、喉を鳴らすように──「にゃあ」と、短くひと鳴き。

    その青い瞳が、少しだけ柔らかく見えた。


    千切「お、今回は機嫌いいじゃん」

    千切が笑いながら近づくと、ヨイチは静かに立ち上がる。

    冴「……次、案内してくれるんだな」

    冴がその動きを見て察する。

  • 23スレ主25/05/24(土) 19:31:11

    ヨイチは返事のように、ぴんと尻尾を立てると──
    くるりと背を向けて、再び廊下を歩きはじめた。


    凛「さて……次は何が出るか、楽しみだな」

    凛が小さく笑った。

    凪「……楽しむとこ?」

    凪が淡々と返す。

    千切「生きてるうちに、笑っとかねーと」

    千切が肩をすくめながら、ヨイチのあとを追った。

  • 24二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 19:44:29

    前スレでファンブルした時にはヒヤッとしたけどなんとか勝てたね!
    しりとりにハマったらしい千切、ダメージ食らったけど元気そうで良かった
    そして相変わらず猫ヨイチが可愛い

  • 25スレ主25/05/24(土) 20:17:31

    >>24 ファンブルが出るとどう物語を展開すればいいのかめちゃくちゃ悩むんですよね…笑 攻撃失敗して回避も失敗した千切が心配でしたが、元気そうでよかったです!ヨイチは感情豊かで可愛らしいですよね。

    しりとりですが、千切「さっき負けたのが悔しかったからリベンジしたい!」とのことです。

  • 26スレ主25/05/24(土) 21:13:56

    ヨイチは先導するように、すたすたと進んでいく。

    その足取りには迷いがない。
    まるで、“何が待っているか”を知っているかのように。


    冴「……ここまで来ると、音すら息を潜めてるな」

    冴が周囲を見回す。

    凪「さっきのとこより、空気が“重い”って感じ……」

    凪が小さくつぶやいた。

    千切と凛は、無言のまま歩を進める。


    ヨイチの尾がぴんと立ち、止まったその先に──


    廊下の突き当たり。


    そこに立っていたのは、黒く、どこか濡れたように沈んだ質感の鉄扉。

    まるで、意識を持った“口”が開いているように、ゆっくりと四人を“待っていた”。

  • 27スレ主25/05/24(土) 21:14:25

    錆びた鉄扉の表面には、うっすらと四つの刻印。

     ──「A号病棟」
     ──「B号病棟」
     ──「C号病棟」
     ──「D号病棟」

    そのすべてが、赤黒く錆に埋もれながらも、確かに存在していた。


    冴「入院病棟……だな」

    冴が静かに言う。

    千切「この扉の先、どこに繋がってるんだ……」

    千切が思わず息をのむ。


    ヨイチは、扉の前で立ち止まり、振り返って──

    一度だけ、小さく「にゃあ」と鳴いた。

    それはまるで、「覚悟はいいか」とでも言うように。

  • 28スレ主25/05/24(土) 21:31:40

    ギィィ……

    錆びた鉄扉を押し開け、四人は、入院病棟へと足を踏み入れた。


    扉の向こうに広がっていたのは、
    音を吸い込んでしまったかのような、異様な静寂。

    空気はひんやりとしていて、ほんのわずかに鼻を刺すような消毒液と鉄錆の匂いが混じっている。


    凛「……人のいた気配が、全部時間に喰われたみたいだな」

    凛が、低くつぶやく。


    剥がれた壁紙、ところどころ割れた床のタイル。
    時間だけが流れ続け、手入れもされないまま、死んだように残された病棟の廊下。

    その廊下の左右に、四つの部屋がぽつ、ぽつと並んでいた。


     ──【A号室】
     ──【B号室】
     ──【C号室】
     ──【D号室】

  • 29スレ主25/05/24(土) 21:32:53

    どの扉も白くくすんだ鉄製で、表面にはかすれた白いペンキで記号が記されている。


    だが、その中で──

    D号室だけは、ほんの僅かに“空気が違っていた”。

    その扉の周囲だけが、わずかにあたたかい。
    見えない膜のようなものが、部屋を静かに包んでいるようだった。


    冴「……あそこ、例の“D号患者”がいた場所か」

    冴がファイルを一瞥しながら呟く。

    千切「うん、でもヨイチが向かってるのは……」

    千切が言いかけて、猫の動きを見る。


    ヨイチは、迷いなく、C号室の前へと進んでいた。

    くるりと振り返り、青い瞳で四人を見上げる。

    「にゃあ」

    その一声は、静かだけれど確かな“警告”のようにも聞こえた。

  • 30スレ主25/05/24(土) 21:45:14

    ギイィィ──

    鉄の扉が軋みながら開かれた。

    その瞬間、ふわりと鼻をかすめるのは、古い薬品のような、甘ったるい匂い。

    明らかに廃棄された空間なのに、どこか“生活の痕跡”を感じさせる香りだった。


    凪「……他と、雰囲気が違うな」

    凪が低くつぶやく。


    C号室は、これまでの部屋よりも“少しだけ人間味がある”病室だった。

  • 31スレ主25/05/24(土) 21:45:46

    割れたベッドが一台。
    その下には、何かが落ちているように見える。

    壁際には、カルテが山積みにされた小棚。

    床には、カバンや衣類の切れ端──誰かの私物らしきものが散らばっていた。


    だが、何よりも目を引いたのは──

    部屋の隅に広がる、“黒い染み”。

    それは、水でも血でもない。
    まるで空間そのものが“焦げて”いるような、異質な闇。


    千切「……あれ、絶対ヤバいやつじゃん」

    千切が身をすくめながら指差す。

    凛「見た目で判断すんな。中身が重要だ」

    凛がすぐに歩き出す。

  • 32スレ主25/05/24(土) 21:49:02

    【入院病棟:C号室エリア】

    ①ベッド下
    壊れたベッドの下に何か落ちている

    ②カルテ棚
    古いカルテが無造作に積まれている

    ③床の私物
    誰かの落とし物らしきもの(何かの手帳?)

    ④黒い染みの周辺
    異様な黒い染み(異常発生リスクあり)

  • 33スレ主25/05/24(土) 21:51:21

    千切「俺はこれ見る」

    千切は、③床に散乱している私物の山へと向かう。
    その中に、何かが挟まっている気がした。


    凛は、躊躇なく④“黒い染み”に近づいていく。
    足元がじわじわと冷えていく感覚がある。


    凪「カルテってさ、無限にあるよね……」

    凪はぼやきながら、棚に積まれた②古いカルテの束へと向かった。


    冴は、沈んだ目で①ベッド下をのぞき込む。
    埃にまみれたフレームの下に、何かの端が見えた。

  • 34スレ主25/05/24(土) 21:56:00

    【入院病棟・C号室探索:①ベッド下・糸師冴】


    【探索開始】1:00



    冴は無言のまま、壊れたベッドへと歩み寄った。


    無残にひしゃげた金属のフレーム。

    錆びたネジ、剥がれかけたマットレス。


    それらに一瞥をくれただけで、彼は黒い染みから最も遠い位置──ベッドの端に、静かに膝をつく。



    冴「……この位置なら、視界は守れる」


    低くつぶやいて、体をかがめた。



    視界の端。


    ホコリにまみれた床板の隙間から、小さな何かが顔を覗かせていた。


    角張った形。紙のような質感。

    だがそれは単なる紙くずではない──誰かが意図的に、ここに隠したような、微妙な配置だった。


    冴は埃に手を伸ばし、音を立てないように静かに“それ”に指をかけた。



    dice1d2=1 (1)

    1:成功 2:失敗

  • 35スレ主25/05/24(土) 22:12:48

    【探索成功】1:00


    冴の指先が、ホコリまみれの床に隠れていた物体をそっと引き寄せた。


    小さなファイル──
    それは、誰かが故意にベッドの下へ滑り込ませたような、そんな位置にあった。


    表紙には何も書かれていない。

    だが、ページを開いた瞬間、血痕に似た赤茶色の染みが目に飛び込んだ。

    内容は、観察報告。断片的なメモ。

    そして、所々に墨塗りされた単語──

  • 36スレ主25/05/24(土) 22:13:10

    『“対象G”における異常行動、再確認』
    『声が、逆再生されるような感覚』
    『姿は見えず、鏡面にのみ映る可能性』
    『遭遇時、聴覚と平衡感覚に干渉──“方向感覚の喪失”を訴える症例、多数』
    『C号室での目撃情報が最も多く、以降の出入りを制限』


    冴「……“対象G”」

    冴が目を細めて記録を読み返す。

    その内容は、明確な被験体の輪郭を与えてはくれない。

    だが、“見えず、音だけが干渉する存在”という記述は、十分すぎるほどの警戒信号だった。


    冴「……知覚系の干渉タイプ。最も面倒な部類だな」

    冴はファイルを閉じ、立ち上がる。


    ベッドの影からちらりと見えた“黒い染み”の方を、ほんの一瞬だけ、静かに見つめた。

  • 37スレ主25/05/24(土) 22:21:39

    【入院病棟・C号室探索:②カルテ棚・凪誠士郎】


    【探索開始】1:00



    凪は部屋の壁際に置かれたカルテ棚の前に立った。


    本棚のように整然と──されている“はず”のその紙束は、見るも無惨な状態だった。



    カビと埃にまみれた紙の列。

    湿気を含んだその紙たちは、まるで“人間の皮膚”のように、時間を喰らって朽ちていた。



    凪「うわ……においすご……」


    思わず顔をしかめつつも、凪はいつもの調子で棚に手を伸ばす。


    背表紙のタイトルはすでに判別できない。文字のインクはにじみ、角は丸まり、触れるだけで崩れそうなものも多い。



    凪「……これってさ、捨てないの? いや、もう“捨てられない”のか」


    ぼやきながら、奥のほうでわずかに厚みのある紙束を引き抜こうとする。


    それは、他のカルテと違って、妙に“乾いている”感触だった。



    dice1d2=2 (2)

    1:成功 2:失敗

  • 38スレ主25/05/24(土) 22:40:01

    【探索失敗】2:00

    【SAN値-1:23→22】


    凪は、棚の奥に挟まっていたやや厚みのある紙束を、ゆっくりと引き抜いた。


    ぱら──……

    指先でページをめくった瞬間、乾いた紙片が崩れるように剥がれ落ちた。


    凪「……え?」

    その一枚が、凪の手の甲に触れた。

    その感触は、“紙”ではなかった。

    じっとりと、生ぬるい。


    見ると、そのページだけ──

    インクではなく、“何かの液体”が染み込んでいた。


    カビではない。インクでもない。
    見覚えのない、暗い灰色の染み。

  • 39スレ主25/05/24(土) 22:40:29

    凪「……これ、何……?」


    そのとき。

    後ろ──凪の背中越しに、棚のすぐ裏から、かすかに“息を吸う音”が聞こえた。


    ──スッ……ハァ……


    空調ではない。風ではない。

    誰かが、至近距離で自分の背中を“見ている”気配。


    凪は振り返らない。
    何も言わない。
    ただ、淡々と紙束を棚に戻し、立ち上がった。


    “それ”はもう、いない。

    でも、一瞬だけ重なった“気配”が、背骨の内側に貼り付いて離れなかった。

  • 40スレ主25/05/24(土) 22:52:23

    【入院病棟・C号室探索:③床の私物・千切豹馬】

    【探索開始】2:00


    千切は床に散らばった私物の山へとしゃがみ込んだ。

    誰かが慌てて出ていったような、
    あるいは二度と戻らなかったような──

    どこか生活感がある散乱の仕方だった。


    千切「これは……患者の荷物か?」

    埃を払いながら手を伸ばすと、
    最初に触れたのは、破れたリュックサック。
    ファスナーは壊れ、片方の肩紐はちぎれかけている。

    中からは、壊れたペンダントが転がり出た。
    中身の入っていないロケット式の銀色の殻。

  • 41スレ主25/05/24(土) 22:52:50

    その下──

    布の奥に押し込まれるようにして隠れていたのが、一冊の古びた手帳だった。


    革表紙は擦れて色あせ、端はめくれ、ページの隙間には黒ずんだ指紋のような汚れ。


    けれど──それだけに、この手帳が“実際に使われていた”ことを物語っていた。



    千切「……何か書いてるかな」


    千切は膝をつき、そっと表紙を開く。


    ページの中身は、今にも崩れそうなほど脆く乾いていた。



    dice1d2=2 (2)

    1:成功 2:失敗

  • 42スレ主25/05/24(土) 23:01:19

    【探索失敗】2:00

    【SAN値-1:20→19】


    千切は、古びた手帳をそっと開いた。


    ──だが、ページはすべて白紙だった。


    千切「……え?」


    めくる。めくる。めくる。
    それでも何も書かれていない。

    まるで、インクだけを奪われた紙のように、ただの空白が並んでいた。


    だが、それが“真っ白”という意味ではなかった。

    光にかざすと、ページの一部に──
    爪でひっかいたような痕跡が無数に走っていた。

    ページの隙間から、乾いた粉のようなものがふわりと落ちる。

  • 43スレ主25/05/24(土) 23:01:50

    そのとき──

    ペンダントの殻が、ひとりでにカチリと音を立てて閉じた。


    千切「っ!? な、なに今の……!?」

    千切は思わず後ずさる。

    開いていたページが、バサリと一人でに閉じた。


    風はなかった。

    けれど、まるで本そのものが“見られたくなかった”かのように──


    千切「っくそ、やっぱこういうの俺苦手だわ……!」

    手帳は、そのまま床に落とした。


    拾う気には、なれなかった。

  • 44二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 23:05:02

    失敗が目立つね
    反動かな

  • 45スレ主25/05/24(土) 23:32:55

    >>44 千切は成功が続いた分失敗が目立ちますよね、凪も成功1回しかしてないので…これからどうなるかですね。


    さて、スレ主は眠いので寝ます。明日は凛ちゃんの探索からスタートです!また明日もよろしくお願いします。

  • 46二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 03:36:40

    今日もお疲れ様でした!
    探索に疲れてきたのか、失敗続きでちょっと心配になってきたね
    1週目メンバーも失敗多かったけどなんとかなったし、奪還メンバーもなんとかなると信じたい

スレッドは5/25 13:36頃に落ちます

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