【ホラー注意】廃病院ぶっ壊しに行こうぜ!【1:00】

  • 1スレ主25/05/24(土) 13:04:46

    ────目が覚めたら、そこは廃病院の入口だった。

    「行くか、アイツらを探しに」

    「待っててね、レオ。必ず助けるから」

    「取り込まれてバケモンになってんじゃねーだろうな」

    「可能性としては有り得るな。バケモンでもサッカー出来ればそれでいいか」

    「全然良くないんだよなー笑」

    時計の針が刻むのは、“時間”ではなく、“精神の崩壊”。…いや、この物語では“廃病院の崩壊”が正しいだろう。

    なぜなら、目に見えないものが、確かにこちらを見ていても、それを叩き潰すのが彼らの役割だからだ。

  • 2スレ主25/05/24(土) 13:05:21

    このスレは、ブルーロックの登場人物による探索型ホラーSSです。

    舞台は“廃病院”。以前ここにやってきた潔世一、烏旅人、御影玲王、二子一揮は、廃病院に取り込まれてしまいます。

    そこで4人を救出するためにやってきたのが千切豹馬、凪誠士郎、糸師凛、糸師冴。彼らの逆襲劇が始まります。

    ※「時計の針が進むたびに、俺たちは壊れていく」のifルートになります。こちらをお読みいただいた後の方が、より物語が楽しめると思います。

  • 3スレ主25/05/24(土) 13:05:47

    ※プレイヤーの選択(安価)、運命(ダイス)によって、ストーリーの進行・視点が変化します。

    ※選択肢次第で“発狂”“精神崩壊”“絆”に分岐するかもしれません。

    ※正気度(SAN値)管理あり。

  • 4スレ主25/05/24(土) 13:06:19
  • 5スレ主25/05/24(土) 13:06:50

    ■キャラヘイトを目的とするものではありません

    ■キャラsage、腐発言、アンチコメはお控えください

    ■荒らしはスルーします

    ■ゆっくり進行ご容赦ください(平日は仕事の都合上、特に進行が遅くなります)

    ■感想、質問、イラスト等頂けるとスレ主が大変喜びます

    ■広域ホスト規制に巻き込まれがちです。保守して頂けると幸いです

  • 6スレ主25/05/24(土) 13:07:56

    【登場人物紹介】


    千切 豹馬(ちぎり ひょうま)/初期SAN値:22→20

    マイペースでよく笑い、よく叫ぶスピードスター。
    突飛な出来事に驚きつつも、誰よりも仲間を信じている。4人の奪還のために全力を尽くす、熱き疾風。

    「13:00遊園地ホラー」のクリア経験者。
    「廃病院ホラー」にも登場。精神に“ある記憶”が刻まれている。


    ■固有能力

    【光刃の脚】怪異の行動を先読みし、自動回避と自動反撃を行う(2回まで・回避ターンで攻撃可能)
    【絆の加速】戦闘時、追加攻撃し、+1のダメージを与える(2回まで)
    【共鳴の記憶】遊園地ホラークリア特典。SAN値減少イベントを1回自動回避できる
    【疾風の破片】遊園地ホラークリア特典。罠や影の追跡から仲間を救出できる(2回まで・味方1名の回避失敗を自動成功に変換する)


    ■初期装備

    ・かりんとう饅頭×4:SAN値+4回復

    「オーブンで焼いて食べたいけど、廃病院にはそんなもんないから我慢する」

  • 7スレ主25/05/24(土) 13:08:48

    凪 誠士郎(なぎ せいしろう)/初期SAN値:25→23

    マイペースでルーズ、何事にも「面倒くさい」が口癖。怪異にも無表情で動じず、声すらあげない超然プレイヤー。御影玲王を救うため、「頑張りまーす」と静かに決意を燃やす。

    「廃病院ホラー」にも登場。


    ■固有能力

    【夢境感知】見えない怪異の存在を探知し、戦闘開始前に怪異に先制攻撃を与える。その後、通常通り戦闘行動に参加可能(3回まで)
    【無意識の庇い】仲間の失敗を肩代わりし、かつ自身のSAN値減少を無効化することができる(3回まで・なにかに突き動かされた感覚だけが残る)


    ■初期装備

    ・レモンティー×4:SAN値+4回復

    「え、全部俺のだけど。まあ、どうしてもっていうならあげてもいいよ」

  • 8スレ主25/05/24(土) 13:09:41

    糸師 凛(いとし りん)/初期SAN値:24→22

    高圧的かつ超エゴイスト、口も態度もとにかく強気。ホラー好きで、廃病院の突入にも密かにワクワクしている。兄にはなぜか強く出られず、ちょっとだけ不器用。

    「13:00遊園地ホラー」のクリア経験者。
    「廃病院ホラー」にも登場。精神に“ある記憶”が刻まれている。


    ■固有能力

    【百鬼夜行】戦闘イベント時、怪異の行動を3ターン封じ、攻撃に専念することができる(持ち越し可能)
    【記憶の盾】自分と味方全員のSAN値減少を1回ずつ無効化できる(重複不可)
    【共鳴の記憶】遊園地ホラークリア特典。SAN値減少イベントを1回自動回避できる
    【記憶のページ】遊園地ホラークリア特典。“消されかけた記憶”や“不自然な空間”を感知し、1度だけ探索を自動成功にすることができる
    【記憶の継承者たち】 遊園地ホラーペア特典。1度だけ“忘れられた者”に対し、言葉だけで道を開くことができる(怪異の脅威を無効化し、部屋から自動脱出可能・A-7通路最終戦、地下最終戦を除く)


    ■初期装備

    ・鯛茶漬け×4:SAN値+4回復

    「お湯なら持ってきた。実際にホラーやりながら好物食える機会なんざ、そうそうねーだろ」

  • 9スレ主25/05/24(土) 13:10:35

    糸師 冴(いとし さえ)/初期SAN値:23→22

    冷静かつ天然、日本の至宝と呼ばれる実力者。口が悪いが的確に褒めるタイプで、弟の態度は「反抗期」で片付ける。驚いた時は小さく反応、目を見開くのが最大のリアクション。

    「13:00遊園地ホラー」のクリア経験者。
    「廃病院ホラー」にも登場。精神に“ある記憶”が刻まれている。


    ■固有能力

    【断罪の策略】戦闘において、+1ダメージを与え、且つ敵の攻撃を1回無効化できる(1ダメージは常に継続)
    【最適解】自分または味方1人の失敗判定を再試行できる(1部屋1回まで)
    【共鳴の記憶】遊園地ホラークリア特典。SAN値減少イベントを1回自動回避できる
    【白き空間の鍵】遊園地ホラークリア特典。他人の精神領域に1回だけ“干渉”して引き戻すことができる(精神異常発生時、精神を安定させることが可能)
    【記憶の継承者たち】 遊園地ホラーペア特典。1度だけ“忘れられた者”に対し、言葉だけで道を開くことができる(怪異の脅威を無効化し、部屋から自動脱出可能・A-7通路最終戦、地下最終戦を除く)


    ■初期装備

    ・塩こぶ茶×4:SAN値+4回復

    「お湯は凛が持ってきた。飲んでみろ、落ち着くぞ」

  • 10スレ主25/05/24(土) 13:14:31

    ●所持アイテム

    ・デジタル腕時計×4:戦術支援デバイス付き
    ・避難経路図:廃病院の地図
    ・蛍光グリーンの宝石:脈打つようにかすかに光る

    ・《沈静ノ滴》×1:SAN値+1回復
    ・《静心の記録》×1:SAN値+1回復
    ・《帰神の雫》×1:SAN値+1回復
    ・《沈静カプセル》×1:SAN値+1回復
    ・《Lucid Drop》×1:SAN値+1回復

    ・《遮断注射》:SAN値減少を1回無効化

    ・《鍵(【NURSE】の刻印)》×1

    ・医師の手書きメモ
    ・医師用内部資料
    ・被験体37のメモ
    ・職員O・Yの看護記録
    ・観察記録23

  • 11二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 17:30:36

    【回避開始】1:00

    【千切豹馬:SAN値-1(21→20)】


    呻き声が、悲鳴のように変わる。

    被験体23の全身──絡み合った無数の腕が、一斉にうねり、四人を襲った。


    冴「くっ……!」

    冴は肩をすぼめ、腕の渦をすんでのところでくぐり抜ける。
    冷静な観察で、予備動作から軌道を見切っていた。


    凛は、まるで本能のように動いた。
    素早く腰を落とし、逆側へ抜けるようにして攻撃をかわす。

    凪は一歩も動かないまま、ほんの数センチだけ体を傾けた。
    腕が鼻先をかすめ、空を切っていく。

  • 12二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 17:31:54

    ──だが。


    千切「うわっ──!!」

    千切の足が、床に刻まれた引きずり跡にとられる。

    ほんの一瞬の遅れ。
    それだけで、背後から異形の腕が鋭く振るわれた。


    千切「っ、ぐあッ……!!」

    脇腹に強烈な衝撃。
    鉄の棒のような感触。次いで、皮膚の下を突き破ってくるような異質な冷たさ。


    千切「……っ……やば……」

    口の端が震えた。
    恐怖ではない。だが、脳の奥が妙にざわつく。
    見てはいけないものを見たような、感覚のブレが起きていた。

    視界の端で、何かが蠢いて見えた気がする。

    でもそこには何もいない。
    その“何もなさ”が、逆に怖い。

  • 13二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 17:35:21

    凛「ちょっと、急ぎすぎだ」


    凛が小声で言う。


    千切「うるせぇ……!次で絶対、仕留める!!」


    千切は歯を食いしばり、立ち上がる。



    被験体23は、腕を再び絡ませながら次の波を繰り出す準備をしていた。


    千切「決めてやる…!」


    千切が一歩踏み出し、拳を強く握る。



    【検査室】《被験体23:異形》

    (1回攻撃成功で討伐完了/30以上で攻撃成功)

    千切:dice1d100=69 (69)

    凪:dice1d100=78 (78)

    凛:dice1d100=84 (84)

    冴:dice1d100=66 (66)

    ※被験体23の情報入手:+5補正

  • 14スレ主25/05/24(土) 17:42:56

    他のスレに行った時、名前戻すのをよく忘れるんですが、物語を紡いでるのはスレ主で間違いないのでお気になさらないでくださいね。

  • 15二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 18:11:16

    スレ立てありがとうおつおつ!
    討伐成功めでたい

  • 16スレ主25/05/24(土) 18:18:49

    >>15 ありがとうございます!2回目攻撃のダイスを1回目で出してくれればなあ…と思ったり思わなかったり…笑 引き続きゆっくり進行でよろしくお願いします!

  • 17スレ主25/05/24(土) 18:24:11

    呻きとノイズが、ますます激しくなる。
    被験体23の腕が、空間を切り裂くようにうねりながら、最後の猛威を振るおうとしていた。

    だが、4人の視線は、誰一人として逸れていなかった。


    冴「──叩くぞ」

    冴が一歩前に出る。
    冷静な目線が、歪な存在の中心にぴたりと定まる。

    まるで決まっていたように、一本の“腕”を穿ち、連鎖的にその内部構造を崩壊させる。

    異形の体が、わずかに崩れた。


    千切「俺の分も……いくぞ!!」

    千切が疾風のように前へと出る。
    怒りと悔しさ、恐怖すらも押し込めて、拳を振るう。

    千切「俺は……絶対に負けねぇからな!!」

    その拳が、絡みつく腕を押し返すようにして“空洞”へとめり込む。


    凪「……この距離、もらう」

    凪はほとんど音もなく滑り込む。
    その蹴りは、腕の隙間を抜けて、的確に“中枢”を砕いた。

  • 18スレ主25/05/24(土) 18:26:20

    凛「……じゃあ、終わらせるか」

    凛が静かに、しかし確実に一歩踏み込む。

    凛「二度と、呻けないようにしてやるよ」

    その声とともに、最後の一撃が闇の中心を貫いた。


    ギィィィィィィィィィ……ガ……ァ……ア……


    呻き声が、徐々にノイズに飲まれていく。


    形なき腕は霧のように崩れ、
    影の身体は溶けるように床へ沈み──

    やがて、完全に“音”ごと消えた。

  • 19スレ主25/05/24(土) 18:43:04

    【戦闘終了】1:00

    【撃破報酬/オーバーキル報酬:取得】


    残されたのは、静けさと、ふたつの異物。

    一つは、破れかけたファイル。
    もう一つは、黒く鈍く光るペンダント型の小物。


    凪「……なんか、出た」

    凪がしゃがみ込み、ペンダントを拾い上げた。

    千切「《シールド・トリガー》……?ヒーロー物の技名っぽいな」

    千切が覗き込む。

    凛「裏、見てみろ」

    凛が促すと、凪はひっくり返し、銀色の小さな刻印を見せた。

    凪「“次の干渉、遮断せよ”って書いてある。たぶん、精神バリアみたいなやつ」

  • 20スレ主25/05/24(土) 18:51:10

    千切「……これ、俺が持ってていい?」

    千切が尋ねる。

    凛「ああ。お前、さっきくらってたしな」

    凛があっさりと了承する。


    一方で、冴はファイルを手に取っていた。

    表紙には、かすれたラベル。


    ──「D号患者記録」


    冴「……前の隔離対象は、安定化。危険性はない」

    パラパラと内容を確認しながら冴が言う。


    千切「つまり……?」

    冴「このD号って部屋は、休憩可能エリアと判断できる。少なくとも、異常が出るまでは、な」

    千切「マジ!? やったー……!」

    千切がその場にバタッと寝転んだ。

  • 21スレ主25/05/24(土) 18:51:47

    千切「しりとりやる?」

    千切が即座に言い出す。

    「やらない」
    「やらねえ」
    「また今度な」

    千切「えぇぇぇぇぇぇ〜〜〜っ……!」

    けれどその声に、どこか笑いに近い安堵感がにじんでいた。


    ほんの一瞬。

    けれど、明確な“安全”がこの病院に確保された。


    ■入手アイテム
    ・《シールド・トリガー》×1:SAN値減少を1回無効化
    ・「D号患者記録」:D号室の安全疎明資料

  • 22スレ主25/05/24(土) 19:30:55

    検査室の扉を開けると、そこには──
    一匹の黒猫が、静かに座って待っていた。


    千切「……ヨイチ」

    千切がすぐに名前を呼ぶ。

    今度のヨイチは、不機嫌そうな“うみゃみゃ”は言わなかった。

    ただ、喉を鳴らすように──「にゃあ」と、短くひと鳴き。

    その青い瞳が、少しだけ柔らかく見えた。


    千切「お、今回は機嫌いいじゃん」

    千切が笑いながら近づくと、ヨイチは静かに立ち上がる。

    冴「……次、案内してくれるんだな」

    冴がその動きを見て察する。

  • 23スレ主25/05/24(土) 19:31:11

    ヨイチは返事のように、ぴんと尻尾を立てると──
    くるりと背を向けて、再び廊下を歩きはじめた。


    凛「さて……次は何が出るか、楽しみだな」

    凛が小さく笑った。

    凪「……楽しむとこ?」

    凪が淡々と返す。

    千切「生きてるうちに、笑っとかねーと」

    千切が肩をすくめながら、ヨイチのあとを追った。

  • 24二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 19:44:29

    前スレでファンブルした時にはヒヤッとしたけどなんとか勝てたね!
    しりとりにハマったらしい千切、ダメージ食らったけど元気そうで良かった
    そして相変わらず猫ヨイチが可愛い

  • 25スレ主25/05/24(土) 20:17:31

    >>24 ファンブルが出るとどう物語を展開すればいいのかめちゃくちゃ悩むんですよね…笑 攻撃失敗して回避も失敗した千切が心配でしたが、元気そうでよかったです!ヨイチは感情豊かで可愛らしいですよね。

    しりとりですが、千切「さっき負けたのが悔しかったからリベンジしたい!」とのことです。

  • 26スレ主25/05/24(土) 21:13:56

    ヨイチは先導するように、すたすたと進んでいく。

    その足取りには迷いがない。
    まるで、“何が待っているか”を知っているかのように。


    冴「……ここまで来ると、音すら息を潜めてるな」

    冴が周囲を見回す。

    凪「さっきのとこより、空気が“重い”って感じ……」

    凪が小さくつぶやいた。

    千切と凛は、無言のまま歩を進める。


    ヨイチの尾がぴんと立ち、止まったその先に──


    廊下の突き当たり。


    そこに立っていたのは、黒く、どこか濡れたように沈んだ質感の鉄扉。

    まるで、意識を持った“口”が開いているように、ゆっくりと四人を“待っていた”。

  • 27スレ主25/05/24(土) 21:14:25

    錆びた鉄扉の表面には、うっすらと四つの刻印。

     ──「A号病棟」
     ──「B号病棟」
     ──「C号病棟」
     ──「D号病棟」

    そのすべてが、赤黒く錆に埋もれながらも、確かに存在していた。


    冴「入院病棟……だな」

    冴が静かに言う。

    千切「この扉の先、どこに繋がってるんだ……」

    千切が思わず息をのむ。


    ヨイチは、扉の前で立ち止まり、振り返って──

    一度だけ、小さく「にゃあ」と鳴いた。

    それはまるで、「覚悟はいいか」とでも言うように。

  • 28スレ主25/05/24(土) 21:31:40

    ギィィ……

    錆びた鉄扉を押し開け、四人は、入院病棟へと足を踏み入れた。


    扉の向こうに広がっていたのは、
    音を吸い込んでしまったかのような、異様な静寂。

    空気はひんやりとしていて、ほんのわずかに鼻を刺すような消毒液と鉄錆の匂いが混じっている。


    凛「……人のいた気配が、全部時間に喰われたみたいだな」

    凛が、低くつぶやく。


    剥がれた壁紙、ところどころ割れた床のタイル。
    時間だけが流れ続け、手入れもされないまま、死んだように残された病棟の廊下。

    その廊下の左右に、四つの部屋がぽつ、ぽつと並んでいた。


     ──【A号室】
     ──【B号室】
     ──【C号室】
     ──【D号室】

  • 29スレ主25/05/24(土) 21:32:53

    どの扉も白くくすんだ鉄製で、表面にはかすれた白いペンキで記号が記されている。


    だが、その中で──

    D号室だけは、ほんの僅かに“空気が違っていた”。

    その扉の周囲だけが、わずかにあたたかい。
    見えない膜のようなものが、部屋を静かに包んでいるようだった。


    冴「……あそこ、例の“D号患者”がいた場所か」

    冴がファイルを一瞥しながら呟く。

    千切「うん、でもヨイチが向かってるのは……」

    千切が言いかけて、猫の動きを見る。


    ヨイチは、迷いなく、C号室の前へと進んでいた。

    くるりと振り返り、青い瞳で四人を見上げる。

    「にゃあ」

    その一声は、静かだけれど確かな“警告”のようにも聞こえた。

  • 30スレ主25/05/24(土) 21:45:14

    ギイィィ──

    鉄の扉が軋みながら開かれた。

    その瞬間、ふわりと鼻をかすめるのは、古い薬品のような、甘ったるい匂い。

    明らかに廃棄された空間なのに、どこか“生活の痕跡”を感じさせる香りだった。


    凪「……他と、雰囲気が違うな」

    凪が低くつぶやく。


    C号室は、これまでの部屋よりも“少しだけ人間味がある”病室だった。

  • 31スレ主25/05/24(土) 21:45:46

    割れたベッドが一台。
    その下には、何かが落ちているように見える。

    壁際には、カルテが山積みにされた小棚。

    床には、カバンや衣類の切れ端──誰かの私物らしきものが散らばっていた。


    だが、何よりも目を引いたのは──

    部屋の隅に広がる、“黒い染み”。

    それは、水でも血でもない。
    まるで空間そのものが“焦げて”いるような、異質な闇。


    千切「……あれ、絶対ヤバいやつじゃん」

    千切が身をすくめながら指差す。

    凛「見た目で判断すんな。中身が重要だ」

    凛がすぐに歩き出す。

  • 32スレ主25/05/24(土) 21:49:02

    【入院病棟:C号室エリア】

    ①ベッド下
    壊れたベッドの下に何か落ちている

    ②カルテ棚
    古いカルテが無造作に積まれている

    ③床の私物
    誰かの落とし物らしきもの(何かの手帳?)

    ④黒い染みの周辺
    異様な黒い染み(異常発生リスクあり)

  • 33スレ主25/05/24(土) 21:51:21

    千切「俺はこれ見る」

    千切は、③床に散乱している私物の山へと向かう。
    その中に、何かが挟まっている気がした。


    凛は、躊躇なく④“黒い染み”に近づいていく。
    足元がじわじわと冷えていく感覚がある。


    凪「カルテってさ、無限にあるよね……」

    凪はぼやきながら、棚に積まれた②古いカルテの束へと向かった。


    冴は、沈んだ目で①ベッド下をのぞき込む。
    埃にまみれたフレームの下に、何かの端が見えた。

  • 34スレ主25/05/24(土) 21:56:00

    【入院病棟・C号室探索:①ベッド下・糸師冴】


    【探索開始】1:00



    冴は無言のまま、壊れたベッドへと歩み寄った。


    無残にひしゃげた金属のフレーム。

    錆びたネジ、剥がれかけたマットレス。


    それらに一瞥をくれただけで、彼は黒い染みから最も遠い位置──ベッドの端に、静かに膝をつく。



    冴「……この位置なら、視界は守れる」


    低くつぶやいて、体をかがめた。



    視界の端。


    ホコリにまみれた床板の隙間から、小さな何かが顔を覗かせていた。


    角張った形。紙のような質感。

    だがそれは単なる紙くずではない──誰かが意図的に、ここに隠したような、微妙な配置だった。


    冴は埃に手を伸ばし、音を立てないように静かに“それ”に指をかけた。



    dice1d2=1 (1)

    1:成功 2:失敗

  • 35スレ主25/05/24(土) 22:12:48

    【探索成功】1:00


    冴の指先が、ホコリまみれの床に隠れていた物体をそっと引き寄せた。


    小さなファイル──
    それは、誰かが故意にベッドの下へ滑り込ませたような、そんな位置にあった。


    表紙には何も書かれていない。

    だが、ページを開いた瞬間、血痕に似た赤茶色の染みが目に飛び込んだ。

    内容は、観察報告。断片的なメモ。

    そして、所々に墨塗りされた単語──

  • 36スレ主25/05/24(土) 22:13:10

    『“対象G”における異常行動、再確認』
    『声が、逆再生されるような感覚』
    『姿は見えず、鏡面にのみ映る可能性』
    『遭遇時、聴覚と平衡感覚に干渉──“方向感覚の喪失”を訴える症例、多数』
    『C号室での目撃情報が最も多く、以降の出入りを制限』


    冴「……“対象G”」

    冴が目を細めて記録を読み返す。

    その内容は、明確な被験体の輪郭を与えてはくれない。

    だが、“見えず、音だけが干渉する存在”という記述は、十分すぎるほどの警戒信号だった。


    冴「……知覚系の干渉タイプ。最も面倒な部類だな」

    冴はファイルを閉じ、立ち上がる。


    ベッドの影からちらりと見えた“黒い染み”の方を、ほんの一瞬だけ、静かに見つめた。

  • 37スレ主25/05/24(土) 22:21:39

    【入院病棟・C号室探索:②カルテ棚・凪誠士郎】


    【探索開始】1:00



    凪は部屋の壁際に置かれたカルテ棚の前に立った。


    本棚のように整然と──されている“はず”のその紙束は、見るも無惨な状態だった。



    カビと埃にまみれた紙の列。

    湿気を含んだその紙たちは、まるで“人間の皮膚”のように、時間を喰らって朽ちていた。



    凪「うわ……においすご……」


    思わず顔をしかめつつも、凪はいつもの調子で棚に手を伸ばす。


    背表紙のタイトルはすでに判別できない。文字のインクはにじみ、角は丸まり、触れるだけで崩れそうなものも多い。



    凪「……これってさ、捨てないの? いや、もう“捨てられない”のか」


    ぼやきながら、奥のほうでわずかに厚みのある紙束を引き抜こうとする。


    それは、他のカルテと違って、妙に“乾いている”感触だった。



    dice1d2=2 (2)

    1:成功 2:失敗

  • 38スレ主25/05/24(土) 22:40:01

    【探索失敗】2:00

    【SAN値-1:23→22】


    凪は、棚の奥に挟まっていたやや厚みのある紙束を、ゆっくりと引き抜いた。


    ぱら──……

    指先でページをめくった瞬間、乾いた紙片が崩れるように剥がれ落ちた。


    凪「……え?」

    その一枚が、凪の手の甲に触れた。

    その感触は、“紙”ではなかった。

    じっとりと、生ぬるい。


    見ると、そのページだけ──

    インクではなく、“何かの液体”が染み込んでいた。


    カビではない。インクでもない。
    見覚えのない、暗い灰色の染み。

  • 39スレ主25/05/24(土) 22:40:29

    凪「……これ、何……?」


    そのとき。

    後ろ──凪の背中越しに、棚のすぐ裏から、かすかに“息を吸う音”が聞こえた。


    ──スッ……ハァ……


    空調ではない。風ではない。

    誰かが、至近距離で自分の背中を“見ている”気配。


    凪は振り返らない。
    何も言わない。
    ただ、淡々と紙束を棚に戻し、立ち上がった。


    “それ”はもう、いない。

    でも、一瞬だけ重なった“気配”が、背骨の内側に貼り付いて離れなかった。

  • 40スレ主25/05/24(土) 22:52:23

    【入院病棟・C号室探索:③床の私物・千切豹馬】

    【探索開始】2:00


    千切は床に散らばった私物の山へとしゃがみ込んだ。

    誰かが慌てて出ていったような、
    あるいは二度と戻らなかったような──

    どこか生活感がある散乱の仕方だった。


    千切「これは……患者の荷物か?」

    埃を払いながら手を伸ばすと、
    最初に触れたのは、破れたリュックサック。
    ファスナーは壊れ、片方の肩紐はちぎれかけている。

    中からは、壊れたペンダントが転がり出た。
    中身の入っていないロケット式の銀色の殻。

  • 41スレ主25/05/24(土) 22:52:50

    その下──

    布の奥に押し込まれるようにして隠れていたのが、一冊の古びた手帳だった。


    革表紙は擦れて色あせ、端はめくれ、ページの隙間には黒ずんだ指紋のような汚れ。


    けれど──それだけに、この手帳が“実際に使われていた”ことを物語っていた。



    千切「……何か書いてるかな」


    千切は膝をつき、そっと表紙を開く。


    ページの中身は、今にも崩れそうなほど脆く乾いていた。



    dice1d2=2 (2)

    1:成功 2:失敗

  • 42スレ主25/05/24(土) 23:01:19

    【探索失敗】2:00

    【SAN値-1:20→19】


    千切は、古びた手帳をそっと開いた。


    ──だが、ページはすべて白紙だった。


    千切「……え?」


    めくる。めくる。めくる。
    それでも何も書かれていない。

    まるで、インクだけを奪われた紙のように、ただの空白が並んでいた。


    だが、それが“真っ白”という意味ではなかった。

    光にかざすと、ページの一部に──
    爪でひっかいたような痕跡が無数に走っていた。

    ページの隙間から、乾いた粉のようなものがふわりと落ちる。

  • 43スレ主25/05/24(土) 23:01:50

    そのとき──

    ペンダントの殻が、ひとりでにカチリと音を立てて閉じた。


    千切「っ!? な、なに今の……!?」

    千切は思わず後ずさる。

    開いていたページが、バサリと一人でに閉じた。


    風はなかった。

    けれど、まるで本そのものが“見られたくなかった”かのように──


    千切「っくそ、やっぱこういうの俺苦手だわ……!」

    手帳は、そのまま床に落とした。


    拾う気には、なれなかった。

  • 44二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 23:05:02

    失敗が目立つね
    反動かな

  • 45スレ主25/05/24(土) 23:32:55

    >>44 千切は成功が続いた分失敗が目立ちますよね、凪も成功1回しかしてないので…これからどうなるかですね。


    さて、スレ主は眠いので寝ます。明日は凛ちゃんの探索からスタートです!また明日もよろしくお願いします。

  • 46二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 03:36:40

    今日もお疲れ様でした!
    探索に疲れてきたのか、失敗続きでちょっと心配になってきたね
    1週目メンバーも失敗多かったけどなんとかなったし、奪還メンバーもなんとかなると信じたい

  • 47スレ主25/05/25(日) 08:46:49

    >>46 これからどんどん厳しくなってくるので、少し心配ですよね。幸いにして時計の進みは遅いので、このままのペースで行けるといいですね!


    おはようございます。本日も更新続けていきますのでよろしくお願いします。外すこともあると思いますがご容赦くださいませ。

  • 48スレ主25/05/25(日) 08:52:55

    【入院病棟・C号室探索:④黒い染みの周辺・糸師凛】

    【探索開始】2:00


    凛は、部屋の隅に広がる異様な黒い染みに向かって、ためらいなく歩を進めた。


    空気がそこだけ違う。

    湿度でも温度でもない──“何かが潜んでいる気配”が、視覚ではなく皮膚を通して感じられた。


    凛「……やっぱ、こいつが一番怪しいな」

    染みは、まるで壁から漏れ出した闇のように、じわじわと床に滲んでいた。

    液体ではない。熱でもない。

    それは“空間そのものの変質”──そんな印象を抱かせる不自然さだった。

  • 49スレ主25/05/25(日) 08:53:36

    凛「……近づくと、なんか音……?」


    凛は耳を澄ます。


    空気が歪むようなノイズ。

    高い音でも低い音でもない、“耳鳴りのようで耳鳴りではないもの”が頭の奥で鳴っていた。


    そして気づく。



    視界が、微妙に揺れている。


    頭がぶれるような、ほんのわずかな視差。


    まるで、自分だけが別の空間に足を踏み入れたかのような違和感。



    凛「……面白ぇ」


    凛はわずかに口角を上げて、その染みの縁に手を伸ばす。



    ※異常発生リスクあり:60以上で探索成功

    dice1d100=57 (57)

  • 50二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 08:54:42

    微妙に足りてない……ッ

  • 51スレ主25/05/25(日) 09:00:07

    >>50 あと3……凛ちゃん残念ですが、異常発生リスクありの場合は【最適解】の発動条件が変わりますので、もう1回チャレンジしてもらいます!

  • 52スレ主25/05/25(日) 09:08:11

    凛の指先が、染みの縁に触れた瞬間。

    ──ズン、と視界が揺れた。

    まるで、世界が一秒だけ“遅延”したかのような感覚。

    空間と自分の意識が、わずかにずれていく。
    吐き気にも似た感覚が、頭の奥から湧き上がった。


    凛「……っ、チッ……」

    凛は一歩、足を引いた。
    手のひらが微かに震えていた。


    その様子を、部屋の反対側から冴がじっと見ていた。


    冴「──凛」

    低く、しかしはっきりと呼ぶ。


    冴「……もう一度、やり直せ。お前はまだ、“その染み”の核心に触れていない」

  • 53スレ主25/05/25(日) 09:09:01

    凛「……見てたのかよ、兄ちゃん」


    凛が肩越しに振り返る。


    冴「今のは、読みを誤っただけだ」


    凛「……ああ、わかってる。今度は、間違えねぇ」



    ──冴の固有能力【最適解】発動。


    糸師凛の黒い染みの周辺探索、再試行。



    凛は再び染みに向き直る。

    冴の言葉に従って、今度は少し角度を変えて染みの中心を探り直す。


    空気のノイズはまだ続いている──だが、今度はそれが“道標”のようにも聞こえた。



    ※異常発生リスクあり:60以上で探索成功

    dice1d100=62 (62)

  • 54スレ主25/05/25(日) 09:18:03

    【再試行成功】2:00


    凛はもう一度、染みの中心へと手を伸ばす。

    今度は焦らず、呼吸を整え、
    じっと“そこにある違和感”をなぞるように──


    空間が、脈打った。

    ただの錯覚かもしれない。
    けれど、確かに“何か”が返事をした。


    染みの中央、壁と床の接点。
    そこに、極わずかに盛り上がった部分があった。

    指先で押すと、カチリと音を立て、何かが“外れた”。


    凛「……やっぱ、あったな」

  • 55スレ主25/05/25(日) 09:18:43

    床の隙間から、小さな布袋が押し込まれていた。

    中を開くと、そこには──


    ダークブルーの宝石。


    青黒く、深海のような色合い。
    小さく、けれど生き物のように脈打つ微光が、心臓の鼓動のように瞬いていた。


    凛「……見た目のわりに、おとなしいな」

    凛は宝石を光にかざしながら、ぼそりと呟いた。


    その“静かな力”が、何かを封じているようにも、逆に何かの一部であるようにも思えた。

  • 56二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 10:09:38

    凛ちゃんすごい!偉い!

  • 57二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 11:35:11

    糸師兄弟頼もしいな

  • 58スレ主25/05/25(日) 11:54:32

    >>56 しっかり兄ちゃの指示を守れましたね!

    >>57 何かとホラーに巻き込まれがちな糸師兄弟ですので、ホラーには耐性がついてるのかも知れませんね…。

  • 59スレ主25/05/25(日) 11:59:24

    探索を終えた4人が、再びC号室の中央に集まった。


    冴「あったぞ」

    冴が取り出したのは、小さな血痕付きのファイル。

    ページの隅はかすかに濡れていて、乾いた紙がパリパリと音を立てる。


    千切「視えないって……また厄介なの来たな」

    千切が肩をすくめる。

    凪「鏡にしか映らないとか、ゲームじゃん」

    凪もファイルを覗き込むが、やはり真顔だ。

    凛「逆再生って……音もバグってる感じか」

    凛が淡々と読み進める。


    そのとき、凛のポケットから光が漏れた。

    彼が取り出したのは、
    探索で見つけた──ダークブルーの宝石。

    その脈打つ微光が、ほんのわずかに強くなる。

  • 60スレ主25/05/25(日) 12:03:07

    千切「……これ、さっきより光ってね?」

    千切が目を細める。

    凛が口を開こうとした、その瞬間──


    ピッ──ピッ──

    手首のデジタル時計が、静かに音を鳴らした。

    液晶には、いつの間にか表示が変わっていた。


    ──【2:00】


    冴「……気が付かなかった」

    冴が一言、つぶやく。

    千切「マジで!?俺ら今、2時間!?ヤバいじゃん!!」

    千切が目を見開く。

    凛「時間が進むってことは、“奴らの活動領域も広がる”ってことかもな……」

    凛が時計をじっと見つめた。

  • 61スレ主25/05/25(日) 12:04:23

    そのとき──


    キィ……キィ……キィ……キィィィィ──


    異様な音が、部屋の奥の鏡から鳴り出した。

    鏡は曇っておらず、割れてもいない。
    ただ、そこに映る“部屋”だけが、ゆっくりとズレていた。


    そして、曇る鏡面の中──

    そこに映ったのは、逆さにぶら下がるようなヒトガタのシルエット。

    顔がない。目がない。
    だが、“こちらを見ている”としか思えない。


    ズシャッ……!

    鏡面の中から、“それ”が這い出てきた。

    空間の軸が、ぐにゃりと歪む。
    視界が傾き、足元が浮くような感覚。
    聴覚にノイズ、そして耳鳴りにも似た逆再生の声が脳を揺らす。

  • 62スレ主25/05/25(日) 12:08:10

    冴「来たな──“対象G”」


    冴が冷静に構えを取る。


    千切「重力おかしいって……!」


    千切がわずかに体勢を崩しながらも、拳を握る。



    逆さまに現れたその存在が、首を“音もなく”捻る。

    だが音は、鏡の中から遅れて──

    逆再生されたように響いた。



    凛「……いいか。ここでビビったら終わりだ」


    凛の声が、染み入るように静かに響く。


    千切「…こっちが正面じゃないなら、“逆から殴る”までだろ」


    千切が笑った。



    【入院病棟・C号室】《対象G:ヒトガタ》

    (4回攻撃成功で討伐完了/30以上で攻撃成功)

    千切:dice1d100=44 (44)

    凪:dice1d100=52 (52)

    凛:dice1d100=16 (16)

    冴:dice1d100=96 (96)

    ※対象Gの情報入手:+5補正

  • 63スレ主25/05/25(日) 12:36:25

    【戦闘開始】2:00

    【冴のクリティカル:凛の攻撃失敗を成功に変換】


    視界がぐにゃりと傾ぐ中、対象Gがゆっくりと動き出す。
    その動きは、まるで映像を逆再生したかのように滑らかで、不自然だった。

    けれど──四人のうち三人は、すでに動き始めていた。


    千切「うおおおおおおっっっ!!!」

    千切がまっすぐ突っ込む。
    空間の歪みをものともせず、拳で空間ごと殴る勢いで対象Gに体当たり。

    ズガッ!!

    “逆さの首”に直撃。しなやかに回避される寸前で、拳は“重さ”を確かに捉えた。


    凪「はいはい、次ね」

    凪がするりと影に滑り込み、相手の動きに合わせるのではなく、先読みして軌道に差し込む。

    足払いのような蹴りが、対象Gの腕のような影を床に縫い止めた。

  • 64スレ主25/05/25(日) 12:37:32

    凛「…………!」

    凛が反応しようとしたが、バランスを崩し、わずかにタイミングを外す。


    その瞬間、冴が動いた。


    冴「補完する。動きを読むな、“構造”を断て」

    凛の背後に入り、そのまま凛の肩を軽く押すようにして体勢を修正。


    凛「──ッ、分かった!」

    凛が振りぬいた足が、冴の指示通り“逆さまの中枢”に突き刺さる。


    直後、冴の一撃が、時差で動く“仮の心臓”に直撃。


    ビシィ……! ガガガ……ギィィィ──!


    対象Gの身体がねじれ、悲鳴ともノイズともつかない声を発した。

    そして、まるで映像が巻き戻されるように──
    その姿は“鏡面の中”へ吸い込まれ、静かに、消えた。

  • 65スレ主25/05/25(日) 13:00:14

    【戦闘終了】2:00

    【撃破報酬/1ターン撃破報酬:取得】


    床に、2つの物体が残されていた。

    一つは、青く透き通ったガラス瓶。
    光にかざすと、内部の液体が微かに揺れて光を返す。

    凪が拾い上げ、ラベルを指でなぞる。


    凪「《メモリ・リキッド》……精神回復系かな、これ。深呼吸したくなる色してる」

    そう言いつつも、ほんのりと瓶を嗅いでみる。

    凪「うわ、なんか甘い……ラムネ味っぽい……?」

    千切が覗き込んでくる。

    千切「うわ、疲れた身体に染み渡るやつじゃん。後で俺飲みたい」

    凪「まあいいんじゃない?」

    凪は気だるげに呟いた。

  • 66スレ主25/05/25(日) 13:07:50

    もう一つは、楕円形の金属プレート。
    光沢のある表面には、細かい文字が刻まれていた。

    冴が手に取り、刻印を読む。


    冴「《ノイズキャンセラー》。脳波干渉対策の護符……今のやつにピッタリだったな」

    凛「要するに、精神異常遮断アイテムか」

    凛が腕を組んでぼそりと漏らす。

    千切「うーん……これさ、説明書とか欲しくない?」

    千切が思わず本音をこぼす。


    だが、それでも──
    確かにこの空間は、たった今“浄化された”のだった。

    あの、視界のブレ。
    逆再生された声。
    歪みきった空気の重さ。
    それらが今はもう、何も残していない。


    ■入手アイテム
    ・《メモリ・リキッド》×1:SAN値+2回復
    ・《ノイズキャンセラー》×1:SAN値減少を1回無効化

  • 67スレ主25/05/25(日) 13:27:20

    4人がC号室を出て、廊下に足を踏み出すと──


    そこには、2匹の猫が待っていた。

    一匹はおなじみの黒猫・ヨイチ。
    もう一匹は、見慣れない子だった。

    青紫色の毛並みに、ダークブルーの瞳。
    ヨイチより大柄で、やけに声が大きい。


    「にゃっ、にゃにゃにゃっ、うにゃーーっ!」

    千切「うおっ!? 猫増えてる!!!」

    千切が瞬時にテンションを跳ね上げる。

    千切「ちょ、かわっ……なにその色!毛並みキレイすぎでしょ!?えっ、しかもめっちゃ喋る!?」

    しゃがみ込んだ千切は、嬉しさと興奮が爆発して、満面の笑みで手を伸ばす。


    凛「ほら見て凛!この子、めっちゃ人懐っこいっぽい!」

    千切が猫のほっぺたをそっと指でつつく。

    凛「……落ち着け。声がデカいんだよ」

    凛が呆れ気味に言いながらも、その猫の瞳に見覚えを感じていた。

  • 68スレ主25/05/25(日) 13:28:29

    凛「……なんか、烏に似てるな」

    その一言に、場がしんとなる。


    凪「……あーー……わかる」

    凪が即座に同意。

    千切「じゃあ、君の名前、“タビト”で決まりだな!」


    千切が勝手に宣言すると──

    「にゃう!」

    タビトが即座に返事をした。


    ヨイチは無言で尻尾を立て、くるりと背を向ける。
    そのあとを、タビトも鳴きながら追いかけるように並んで歩き出す。


    冴「……同じ方向行くんだな」

    冴がぽつりと言う。

    凛「てか、猫に先導されて次の部屋行くっておかしいだろ」

    凛が若干忘れかけていた空気感を思い出し、目を細めた。

  • 69スレ主25/05/25(日) 20:59:29

    C号室を出たあとも、廊下には不穏な静けさが残っていた。

    だが、ヨイチとタビト──2匹の猫が前を歩くその背中には、不思議と安心感があった。


    凛はふと、その場に立ち止まると、冴の背に向かって声をかける。


    凛「……兄ちゃん」

    冴がわずかに振り返る。

    凛「さっきの、“黒い染み”のとこ……あと、フォロー。助かった」

    短い言葉だったが、そこにはいつもとは違う、素直な響きがあった。


    冴「……当然のことをしたまでだ」

    冴はそれだけ言って、再び前を向いた。

    凛も、それ以上何も言わず、静かにその背中を追う。


    やがて、ヨイチとタビトが一枚の扉の前で足を止めた。

    古びた金属製のプレートには、かすれた文字が残されていた。


    ──【A号室】

  • 70スレ主25/05/25(日) 21:02:26

    ヨイチが一度だけ、「にゃ」と鳴き、タビトは短く「んにゃっ」と返す。


    千切「じゃ、開けるか」

    千切が扉に手をかけ、ギイッとゆっくり押し開けた。



    ドアを押し開けた瞬間、四人の鼻を突いたのは、乾いた埃と、わずかに焦げたような匂い。

    空気が、さっきまでとは“別の種類の静寂”を湛えていた。

    重さではなく、焦げ跡のような“残骸の気配”。


    A号室は、比較的小さな個室だった。

    窓はひび割れ、外の光が乱れて差し込んでいる。
    ベッドは片側が崩れ、マットレスは半ば床に落ちていた。
    散乱する薬瓶と注射器は、何かの急変を物語っていた。

  • 71スレ主25/05/25(日) 21:04:09

    そして──


    部屋の壁面一面に、幾重にも刻まれた“爪で引っ掻いたような傷”。


    千切「うわ……これは……」

    千切が思わず声を漏らす。


    それは単なる破壊ではなかった。
    強迫的な、もしくは“何かと格闘したような”動きが、壁の奥にまで深く食い込んでいた。


    凛「何があったんだよ、ここ……」

    凛の声が、やや低くなる。


    部屋の空気は、過去の“何か”を無理やり押し込めたまま、今もなお、そこにあった。

  • 72スレ主25/05/25(日) 21:10:24

    【入院病棟・A号室エリア】


    ①ベッド脇の小机
    引き出しあり、中に何か入っているかも

    ②薬棚
    散乱した薬瓶、メモらしきものも混じっている

    ③壁の傷跡付近
    不自然な傷跡の奥に何か隠されている?

    ④壊れた窓際
    外に続く通路の一部が見える(異常発生リスクあり)

  • 73スレ主25/05/25(日) 21:14:59

    小さな個室に、4人の視線が散った。

    壁に刻まれた無数の爪痕と、焦げた匂い。

    何かがここで終わった、あるいは、まだ終わっていない──そんな気配が漂っていた。


    千切「……ここだな」

    千切がまっすぐ、③壁の傷跡へと歩み寄った。

    刻まれた線を、指先でなぞりながら顔をしかめる。

    千切「この深さ……人間の指じゃねぇな、たぶん」


    凛は一言も発さず、①ベッド脇の小机へ。

    引き出しの取っ手に薄く残った指紋に気づくと、じっと見つめた。

    凛「……誰か、最近まで触ってたな」

  • 74スレ主25/05/25(日) 21:15:47

    凪「こっち、薬棚だっけ」

    凪は②散らかった瓶やメモの間を、いつものように無表情で歩く。
    だが、足取りには無駄がない。

    凪「注射器……使った形跡もある。誰が?」


    冴は最後に、④ひび割れた窓際へと向かった。

    外に続く錆びた通路の一部が見える。

    風は吹かない。
    なのに、カーテンだけがふわりと揺れた。

    冴「……この風、自然じゃないな」

    窓の隅に貼り付くような影を見つけて、冴は無言で警戒を強める。


    それぞれが、何かの“痕跡”に触れようとしていた。

    空気が静まった瞬間、次の異常が口を開ける気配が、確かにあった。

  • 75二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 21:20:06

    ネコチャン増えてて和んだ
    猫好きの千切にはたまらないだろうね

  • 76スレ主25/05/25(日) 21:22:24

    >>75 千切、猫吸いし始めそうですよね。ホラーな病院でも猫がいるだけで一気に癒し空間になります。

  • 77スレ主25/05/25(日) 21:25:12

    【入院病棟・A号室探索:①ベッド脇の小机・糸師凛】

    【探索開始】2:00


    凛の視線が、ベッド脇にぽつんと置かれた小机に留まった。

    小さく、古びていて、あちこちに傷がある。
    片足はわずかに傾いており、触れると軋むような音がかすかに鳴った。


    凛「……粗末な作りだな。けど、こういうのに限って何かある」


    小机には、引き出しが一つだけ。

    金属製の取っ手に、うっすらと指紋の跡が残っていた。


    凛はしゃがみこみ、ゆっくりと取っ手に指をかける。

  • 78スレ主25/05/25(日) 21:25:55

    ギィ……ッ……


    乾いた金属音。

    引き出しが少しずつ開くたびに、空気がわずかに変わった気がした。



    中には──


    紙くずと、何か小さな物体が転がっていた。


    紙は丸められ、しわしわに潰れている。

    小物の方は、埃に埋もれながら、どこか“隠すように”そこにあった。



    凛「……さて。どっちが本命か」


    凛は、まずは紙をそっとどけながら、視線を深く沈めていった。



    dice1d2=1 (1)

    1:成功 2:失敗

  • 79スレ主25/05/25(日) 21:39:41

    【探索成功】2:00


    紙くずを慎重にどけていくと、
    その奥に──硬質な金属の光が、微かに覗いた。

    凛は指先でそれをつまみ上げ、埃を払う。


    小さな鍵だった。
    古びてはいるが、錆は少なく、まだ十分に使えそうだ。

    その持ち手には、細く、だがはっきりと刻まれている文字。

    ──【B-1】


    凛「……B号室の鍵か、それとも……」

    凛は小さく眉を寄せ、鍵を光にかざす。

    “B”の文字の横にある「1」が、部屋番号なのか、それとも何か別の意味を持つのか──今の時点では判断できない。

    だが、ここで見つかったということは、次の行動に直結する“手がかり”であることは間違いなかった。


    凛「……ま、外れじゃなかったな」

  • 80スレ主25/05/25(日) 21:44:52

    【入院病棟・A号室探索:②薬棚・凪誠士郎】

    【探索開始】2:00


    凪は足元のガラス片を注意深く避けながら、薬棚へと歩を進めた。

    棚はすでに原型をとどめておらず、ガラスは粉々に砕け、いくつかの棚板は崩れ落ちている。

    散乱する薬瓶は、ラベルの文字が滲んで判読できないものがほとんどだった。

    中身も、液体だったものは蒸発し、錠剤は砕けている。


    凪「……崩壊寸前、って感じだね。片付ける気ゼロだったんだろうな」


    凪の目が、棚の隙間に挟まれた何かの紙片を捉える。

  • 81スレ主25/05/25(日) 21:45:37

    ──破れて、角が焦げているメモの山。



    だが、その中に──


    一枚だけ、きちんと折り畳まれ、形を保っている紙があった。



    凪「……お。あからさまに怪しいやつ、発見」


    慎重に指を差し込み、その紙を引き抜く。



    ぱらりと開くと、中には見慣れた文字列が並んでいた。


    英語──明らかに、“誰かが残したレポート形式の文章”だった。


    凪の瞳が、淡く光を映す紙面に静かに沈む。



    dice1d2=2 (2)

    1:成功 2:失敗

  • 82スレ主25/05/25(日) 22:00:37

    【探索失敗】2:00

    【SAN値-1:22→21】


    凪は紙を開いた。


    英語──確かに読み取れる。

    だが、それは“言葉”ではなかった。


    語順は正しい。文法も破綻していない。
    なのに、意味がまったく頭に入ってこない。


    凪「……?」

    まるで、目だけで読んで、脳だけが理解を拒絶しているような違和感。

    一文一文を追うたびに、耳の奥がキィンと軋んだ。

  • 83二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 22:01:58

    凪もじわじわ削られてるねぇ

  • 84スレ主25/05/25(日) 22:06:32

    >>83 SAN値高いとは言え、疲れも出てきそうなので、情報共有フェーズでアイテム使いましょうかね。

  • 85スレ主25/05/25(日) 22:07:19

    “Subject injected”
    “Failure”
    “Distortion”
    “Removed”


    並ぶ単語はどれも簡単なものばかり。
    なのに、読むたびに、言葉ではなく“感覚の羅列”として、じわりじわりと入り込んでくる。


    凪「……気持ち悪……」

    紙を閉じた瞬間、指先にぬめりのような感触が残った。

    確認しても、液体は付着していない。
    だが確かに“触ってはいけないもの”に触れた感覚だけが、皮膚の内側に残っていた。


    凪は無言のまま、紙を薬棚に戻す。

    目線だけが、どこか遠くを見ていた。

  • 86スレ主25/05/25(日) 22:12:48

    【入院病棟・A号室探索:③壁の傷跡付近・千切豹馬】

    【探索開始】2:00


    千切は、部屋の中でもとりわけ異様な存在感を放っていた壁の傷跡へと近づいた。

    まるで何かが内側から暴れたかのように、荒々しく、深くえぐれている。


    千切「……これは、ただの落書きじゃねぇな」

    爪、あるいは何か鋭利な道具で引き裂かれたような跡。
    無数に交差した線が、薄暗い照明のもとで、影のように広がっている。


    千切は恐る恐る、指先を壁に触れた。

    ざらついた感触がじわりと指に伝わる。
    それは石膏のざらつきとは少し違っていた──

    どこか、“生き物の肌”を思わせる硬さがあった。


    なぞるように、深い傷の中をなでていく。

  • 87スレ主25/05/25(日) 22:13:16

    そのとき──


    指先が、微かに“引っかかり”を捉えた。



    千切「……ん?」


    その感覚は、ただの割れ目ではない。

    何かが“挟まっている”か、“裏に隠されている”感触。


    千切は、額にうっすら汗をにじませながら、その引っかかりに指をかけた。



    dice1d2=2 (2)

    1:成功 2:失敗

  • 88スレ主25/05/25(日) 22:32:16

    【探索失敗】2:00

    【SAN値-1:19→18】


    千切は、指先で感じた“引っかかり”を、慎重に引っ張った。

    ──その瞬間。

    グニッ……という、乾いているのに湿ったような感触が返ってきた。


    千切「……っ!? なにこれ……」

    指に力を込めた拍子に、壁の傷の一部がぬるりとめくれた。

    しかし、中から現れたのは──何もなかった。

    何も、ないはずなのに、壁の裏から、“何か”が呼吸しているような気配が、確かにあった。


    千切「……っ、マジでやだ、こういうの……!」

    千切は思わず指を引き抜き、数歩後退する。

    指先に、液体も汚れも付いていない。それでも、壁の奥に“誰かの目”があった気がしてならなかった。

    冷たい汗が背筋を伝い、首の後ろでじわりと重たくなる。

    千切「こんな……誰がこんなとこに、何を隠してたんだよ……」

  • 89スレ主25/05/25(日) 22:37:57

    【入院病棟・A号室探索:④壊れた窓際・糸師冴】

    【探索開始】2:00


    冴は、部屋の隅──ひび割れた窓際へと静かに歩み寄った。

    割れたガラスが床に飛び散っており、細かい破片が鈍く光を反射している。

    カーテンは無残に破れ、ところどころが焦げているようにも見えた。


    その隙間から──

    ひどく冷たい風が、ふわりと部屋の中に流れ込んでくる。

  • 90スレ主25/05/25(日) 22:39:02

    冴「……風?」


    この病棟に、空調は機能していないはずだった。

    だとすれば、この風は外からのもの。

    しかし、それにしては異様だった。


    空気が“冷たい”のではなく、“重たい”のだ。



    冴は身を屈め、窓の枠に指をかけた。


    外に続く通路の一部が見える──

    だが、そこに“人の気配”はない。風の音すら、まるで音を絞ったようにぼやけている。



    冴「この静かさは、自然じゃないな……」



    そのとき──視界の端。


    カーテンの裂け目に、わずかに“何かの影”が揺れた気がした。


    風の流れとは逆方向に。


    冴は眉一つ動かさず、静かにその隙間へと手を伸ばした。



    ※異常発生リスクあり:60以上で探索成功

    dice1d100=53 (53)

  • 91二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 22:46:14

    凛ちゃん以外みんな失敗か
    みんなだいぶ疲れてきてるみたいだね

  • 92スレ主25/05/25(日) 22:52:19

    >>91 兄ちゃには再試行してもらいましょう。A号室の討伐が完了したら小休憩入れますかね。

  • 93スレ主25/05/25(日) 22:57:29

    カーテンの裂け目に手を伸ばした──その瞬間、風が一気に冷たくなった。


    ただの冷気ではない。

    視界がぼやけ、足元の感覚が一瞬ふわりと浮いた。


    (……妙だな。バランスを崩すような風圧じゃねえのに)


    冴はすぐに手を引き、身体を元の位置に戻す。



    ──冴の固有能力【最適解】発動。


    壊れた窓際の探索、再試行。



    冴「……一度外す。今のやり方じゃ、足を取られるだけだ」


    冴の眼差しは変わらない。

    失敗を恐れるのではなく、次の一手を即座に練る。


    再び、足元の破片を踏まないように配置を変え、カーテンではなく、窓枠そのものを重点的に調べ直す構えに変える。


    冴「動きの源を探る。風ではなく、“風の出所”だ」


    そのまま、冴は今度はゆっくりと──

    窓の外の影に、真正面から手を差し入れていった。



    ※異常発生リスクあり:60以上で探索成功

    dice1d100=26 (26)

  • 94二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 23:02:27

    さらに下がった……

  • 95スレ主25/05/25(日) 23:16:02

    >>94 兄ちゃにも無理なことはありますよね…。


    ということで、区切りが悪くてすみませんが、明日から仕事なのでスレ主は寝ます。明日は色々情報整理し、怪異(情報未出)との戦闘が始まります。戦闘終了後、小休憩という名の遊びを挟みたいと思います(息抜きしたら成功率上がるかな…)。遊びを募集しますので是非ご意見よろしくお願いします!

  • 96二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 04:07:24

    今日もお疲れ様でした!
    みんな無事に戦闘勝てるといいな…

    しりとり以外で思いつく遊びっていうとなぞなぞとかですかね?
    前作の二子の遊戯王みたいに持ち込んでる物があればそれを使った遊びもアリかなって思ったんですがたぶん持ち込んでなかったですよね…?

  • 97スレ主25/05/26(月) 08:25:33

    >>96 ありがとうございます!徐々に難易度が上がっているため、厳しい戦いになっていきそうですね…。

    なぞなぞで承知しました!持ち込みの有無はあんまり気にしてなくて、例えばサッカーするって話になれば誰かがサッカーボール持ってきてくれるので大丈夫です笑


    おはようございます。本日はのんびり更新です、よろしくお願いします。

  • 98スレ主25/05/26(月) 08:28:22

    【再試行失敗】3:00

    【SAN値-1:22→21/精神異常発生】


    冴の指先が、もう一度、裂けたカーテンの隙間をなぞる。

    すると──風が、動きを変えた。
    それは“吹き込む”でも、“吹き抜ける”でもなく。窓の外から、“誰かが吸い込んでいる”ような風。


    ぞわり──

    空間が、微かに波打った。

    そして、冴の脳裏に突き刺さるような音が響いた。


    ──「ぎィ、い…… や、よ る ヨ……」


    誰かの声。
    いや、逆さまになった文字列のような音。
    意味を成していないのに、精神の奥を直接削るそれは──


    冴「──っ……!」

    冴は一歩、ふらついた。
    体ではなく、意識が滑った。

  • 99スレ主25/05/26(月) 10:08:28

    4人は再び中央に集まり、それぞれの成果を報告し合う。


    千切「俺のほう、何もなかった……っていうか、変な気配だけで、ちょっと……休憩しね?」

    千切がぐったりと背中を伸ばしながら言う。


    凪「こっちも、紙は見つけたけど、……読んだら気分悪くなった。パス」

    凪もいつになく目を伏せ、息を吐いた。


    その隣で、冴は無言だった。

    窓際から戻った彼の目は、わずかに焦点が合っていない。
    額に浮かぶ汗も、珍しく拭おうとしない。

  • 100スレ主25/05/26(月) 10:09:26

    凛「兄ちゃん……?」

    凛が声をかけると、冴は低く、しかしはっきりと口を開いた。


    冴「……俺は問題ない。あれは……見ない方がいい」

    手を差し出されたとしても、拒むような強さが、その言葉には宿っていた。


    一方、凛はポケットから小さな鍵を取り出す。

    銀の持ち手に、薄く刻まれた文字──【B-1】


    凛「これ、恐らくB号室……か、そっち関連の部屋に繋がってる。鍵があるってことは、“入れなかった場所”があるってことだ」

    4人の中で、唯一の“具体的な成果”だった。

  • 101スレ主25/05/26(月) 10:12:08

    その場の重たい空気を、凪がふわりと崩す。


    凪「はい、千切。疲れてるでしょ、これ使ってみたら?」

    彼が取り出したのは、青く透き通ったガラス瓶。
    ラベルはないが、瓶を開けるとほんのりラムネのような香りが漂った。

    凪「《メモリ・リキッド》……だっけ。味は……保証しないけど」

    千切「おぉぉぉ……! ありがと凪ーっ!」

    千切は喜びつつ、瓶を受け取って一気に飲み干した。


    【千切豹馬:SAN値+2回復/18→20】

  • 102スレ主25/05/26(月) 11:36:49

    千切が《メモリ・リキッド》を飲み干し、「っは~~!なんかスーッとした!これ冷蔵庫に常備したいレベル!!」と、元気を取り戻して暴れている頃。


    冴はそっと、自分のポーチから小さなガラスの小瓶を取り出していた。

    中には、光を宿したような淡い液体が揺れている。
    気配は静かで、どこか“精神の奥に染み込むような落ち着き”を感じさせる色だった。


    冴「凪誠士郎、お前の方が必要そうだ」

    冴はそれだけ言って、小瓶を差し出す。

    凪は少しだけ目を丸くしたが、すぐに受け取った。


    凪「……《静心の記録》か。へぇ、名前ついてたんだ」

    瓶の中身をくるくると回し、ふわりと笑う。

    凪「んじゃ、いただきまーす」

    そのまま軽く口に含み、喉を通す。

    凪「……うん。水より軽いのに、あったかい……不思議だね」


    【凪誠士郎:SAN値+1回復/21→22】

  • 103スレ主25/05/26(月) 11:57:25

    千切「よし……行くか」

    千切が出口に向かって一歩踏み出した、その瞬間だった。


    ──ギ……チ、チチチチ……ッ……


    背後から、何かが“剥がれる音”が響いた。

    壁でも床でもない。
    空間そのものの皮を、無理やり引き裂くような音。


    凛「ッ、後ろ──!」

    凛が振り返った。


    そこにいたのは──


    影。

    いや、“影”というにはおぼろげで、輪郭を持たない。

    黒い布を水に沈めたような、ゆらめく質量。だがその中心に、“顔”のようなものが、いくつも浮かんでいた。

    目がない。口がない。
    なのに、何かを叫びながら沈んでいく“感情の断片”が、泡のように湧き出しては消えていく。

  • 104スレ主25/05/26(月) 11:59:29

    千切「っ……あれ、なんだ……?」

    千切の声が掠れる。

    凪がぽつりと呟いた。

    凪「……名前、ないっぽいね。情報、ゼロ。完全に初見」

    凛が腕を振るい、即座に体勢を低く構える。

    凛「喰らう前に叩く。それだけだ」


    だが、冴はその場に立ち尽くしていた。

    視線は怪異の方を向いているのに、焦点が合っていない。

  • 105スレ主25/05/26(月) 12:00:53

    凛「冴……兄ちゃん!?」


    凛が呼ぶが、冴は答えない。



    その目には、戦闘の意志ではなく、まだあの“風の声”が残っていた。


    意識が戻らない。

    今の冴は、“自分の力”を扱える状態ではなかった。



    得体の知れないそれは、こちらに気づくと同時に、ぬるりと形を変えた。


    影が、腕のように伸びる。

    空間が、波のように揺れる。



    【入院病棟・A号室】《???:???》

    (5回攻撃成功で討伐完了/30以上で攻撃成功)

    千切:dice1d100=52 (52)

    凪:dice1d100=58 (58)

    凛:dice1d100=15 (15)

    冴:dice1d100=56 (56)

    ※冴:精神異常発生により-5補正

    ※冴:精神異常発生により固有能力使用不可

  • 106スレ主25/05/26(月) 12:07:58

    【戦闘開始】3:00


    千切「よし……! いくぞぉぉおお!!」

    千切が一番に跳び出す。
    その足取りは、一見いつも通り軽やかに見えたが──踏み込むたびに床がぬるりと“沈む”。

    千切「は!? なんだこれ、地面が粘っ……けど止まるかっての!」

    そのまま加速し、渦巻く影の中心へ拳を叩き込む。
    拳が突き抜けたと同時に、“感情のような顔”が一つ、泡のように崩れた。


    続いて、冴。

    彼の目は焦点が合っていない。
    だが、身体は反応していた。

    まるで過去の戦闘記録が再生されるかのように、正確な間合い、正しい角度。
    意識ではなく、本能だけが命じる“一手”。

    その蹴りが、黒い影のうねりを一瞬だけ沈黙させた。

  • 107スレ主25/05/26(月) 12:11:04

    凪「じゃ、俺もやっとくか」

    凪が遅れて前に出る。
    面倒くさそうな顔をしながらも、攻撃の軌道は鋭い。

    凪「なにこれ……ゼリー?」

    伸びかけた影の一部を蹴り払い、ひと塊を切り落とすように叩き込む。


    一方、凛は──動けなかった。

    凛「兄ちゃん、今の……あれ、戦ってたのか?」

    虚ろなまま正確に動く冴の姿に、わずかに目を奪われる。


    ──その一瞬の遅れが、行動に響いた。

  • 108スレ主25/05/26(月) 12:11:49

    影は膨らみ、形を失いながら、突然四方に伸びる。


    まるで触手でもなく、煙でもない。

    空間そのものを“攻撃してくる”ような奇怪な動き。



    凛「チッ、来るぞ……!」


    凛が再び集中し直すと同時に、全員が身構えた。



    【入院病棟・A号室】《???:???》

    (2回攻撃成功で討伐完了/30以上で回避成功)

    千切:dice1d100=44 (44)

    凪:dice1d100=58 (58)

    凛:dice1d100=93 (93)

    冴:dice1d100=44 (44)

    ※冴:精神異常発生により-5補正

    ※冴:精神異常発生により固有能力使用不可

  • 109二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 12:21:17

    凛ちゃん攻撃ミスったけど回避がすごい! 
    冴はデバフかかってるのに両方成功しててすごいね

  • 110二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 12:22:12

    千切が44なの本人に関連ある数字ですごいな

  • 111スレ主25/05/26(月) 13:48:00

    >>109 攻撃失敗しても回避成功すればSAN値減らないのでいい感じです!兄ちゃ流石は日本の至宝…

    >>110 実はC号室でも44出してるんですよね…


    奪還編なので盛っても良しとスレ主が判断しましたので、千切の44特典(2回分)につきご意見を募集します。基本的になんでもありですが、あまりに強すぎるのは除きます(今後全部探索自動成功とか、戦闘強制終了とかはダメ)。ご自由によろしくお願いします!

  • 112スレ主25/05/26(月) 13:49:01

    【回避開始】3:00


    怪異の影が、空間そのものを掴みとるように伸びてくる。

    黒煙のようで、刃のようで、息のような、名前のない圧力。


    千切「わかってんだよ、そういうのは“踏んで”避けんだろがッ!!」

    千切は床を蹴り、低空のタックルのように滑り込む。

    影が頭上をかすめ、わずかに千切の髪を逆立てながら通り過ぎた。


    冴は、反応の一瞬が遅れた。
    けれど──身体は自然と動いた。

    影が空間を歪めるより先に、
    軸足を滑らせ、ほとんど無意識の回転でかわす。

    その姿は、まるで戦術の記憶が冴を動かしているようだった。

  • 113スレ主25/05/26(月) 14:55:43

    凪は、ただ一歩だけ横にずれた。
    その動きはまるで、“影がそこを通らないことを知っていた”かのよう。

    凪「読めない攻撃ほど、こっちも勘で動いたほうが強いってね」

    影は空振りし、床に焼け跡のような痕を残して消えた。


    凛は一瞬、冴の背中を見ていた。
    まだどこか、兄の虚ろな瞳に引っ張られていた。

    だが、視界の隅に迫る黒を捉え──

    凛「……今は、こっちが動く番だ」

    影が来る瞬間に、凛は軽やかに身を翻す。
    回転と共に視線を前に戻し、呼吸を整える。


    ──全員、影の波をかいくぐり、再び構えを取り直した。

  • 114スレ主25/05/26(月) 14:57:14

    空間は揺れている。

    だが、この一手で形勢を崩せるはずだ。



    千切「これで終わらせるぞ……!」


    千切が腰を落とし、

    凪が静かに前に出て、

    冴は無言で立ち、

    凛は兄の背を追うように、前を見据えた。



    【入院病棟・A号室】《???:???》

    (2回攻撃成功で討伐完了/30以上で攻撃成功)

    千切:dice1d100=22 (22)

    凪:dice1d100=18 (18)

    凛:dice1d100=94 (94)

    冴:dice1d100=53 (53)

    ※冴:精神異常発生により-5補正

    ※冴:精神異常発生により固有能力使用不可

  • 115二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 16:08:37

    ああ千切と凪が…!でも糸師兄弟がカバーしてくれたね!


    >>111

    特典なんだけど、2回だけ猫をモフることでSAN値回復(数値はスレ主にお任せで)できるとかどうかな?

    使えるのは猫に会えるタイミングだけで、2回目まではおとなしくモフらせてくれるけど3回目以降はモフるのを拒否されるので使用不可とか


    猫好きだからモフるのはメンタル回復に効きそうなのと、回数制限あるから強すぎるってことは無いと思うんだけど…もしダメだったら却下してください

  • 116スレ主25/05/26(月) 16:41:16

    >>115 兄弟の絆で討伐成功です!(一応この世界線では仲直りしてます、言うの忘れてました(13:00はちょっとギクシャクしてたけど、時間経過で仲直り完了です!))


    特典OKですよー!

    ・千切:2回まで猫触りにてSAN値回復(上限5/最低値3)


    一応こんなのもアリです!

    ・千切:猫触りにて2回まで時計の進行を遅くする(通常SAN値-4で進行するが、1時間の進行を-6まで遅くすることが可能(効果が切れたあとは通常通り-4にて進行))

    ・全員:千切に限らず猫触りによりSAN値回復の恩恵を受けることが出来る(千切は猫好きのため上限5/最低値3、他は上限4/最低値2)(2人まで)

    ・全員:戦闘時ダイス+5補正(2回まで使用可能)

    ・全員:固有能力の回数を1増やす(最適解や断罪の策略など効果が持続するものはダメ)


    長くなってしまいましたが、お好きなものをお選びくださいね!(矛盾してたらごめんなさい!)

  • 117スレ主25/05/26(月) 17:43:07

    【戦闘開始:2回目】3:00


    揺れる影。
    空間そのものが捻れ、空気が音をなくしていく。

    千切が拳を構えたが、すぐにその手を降ろした。


    千切「……これは、手を出さないほうが良さそうだな」

    横目で冴を見て、ぐっと息を呑む。


    千切「ねー、凛。冴。ちょっと変だけど……頼んだわ」

    凪も軽く首を回しながら後ろに下がる。

  • 118スレ主25/05/26(月) 17:44:53

    冴は反応しない──
    だが、目だけがほんのわずかに光を取り戻していた。
    まるで、怪異そのものを通じて、意識が刺激されたかのように。

    次の瞬間、彼は迷いのない一歩を踏み出し、空間の歪みに逆らって──直線で突き進んだ。


    ドンッ──!
     
    影の核に、本能だけで放たれた蹴りが突き刺さる。
    “感情の断片”が一つ、黒い水滴のように弾けた。


    凛はその背中を見ていた。

    歪んだ目。感情の揺れ。精神の乱れ。けれど兄は、それでも“自分のやるべきこと”をやった。

    凛の顔に、怒りが混じる。


    凛「兄ちゃんを……返せよッ!!」

    吠えるように、凛が踏み込む。
    振り抜いた脚が、影の中心にまっすぐ突き刺さる。


    ガンッ──!


    空間が弾けるような音と共に、怪異の姿が崩れ落ちた。影は音もなく散り、そこにはもう、何も残っていなかった。

  • 119スレ主25/05/26(月) 18:09:09

    【戦闘終了】

    【撃破報酬:入手】


    空間が静まり、空気が再び“人の世界”に戻ってくる。

    冴はその場に立ったまま、ふっと静かに息を吐いた。

    そして、ほんの一瞬だけ、
    凛の方へ目をやり──わずかに、うなずいた。

    それだけで、凛の怒りは少しだけ、落ち着いたようだった。


    その時、キン、と小さな音を立てて、何かが床に転がった。

    それは、銀色に光る楕円形のチャームだった。

    凪がしゃがみ込み、それを拾い上げる。

    凪「……これ、また精神異常遮断系かも」

    裏面には、微細な文字で刻まれた文。

    ──“対象者の精神領域を一度だけ保護します”


    ■入手アイテム
    ・《セーフライン・タグ》×1:SAN値減少を1回無効化

  • 120スレ主25/05/26(月) 19:14:06

    凛は一息ついて、ようやく時計を確認する。
    だが、液晶には、さっきまでと違う数字が表示されていた。

    ──【3:00】


    凛「……また、進んでる」

    凛が低くつぶやく。

    凪も時計を確認して、軽く首を傾げた。

    凪「なんかホラー要素増してるからかな」

    千切「……ちょっと心にくるものがあるな」

    千切が苦笑いを浮かべながらも、真顔に戻る。


    凛「時計って、黙って進むよな。気づくと、“戻れないところ”に来てる」

    凛の口調がいつになく静かだった。


    冴「だが──終点は、まだ先だ。焦るな」

    冴の言葉には、ようやく戻ってきた明瞭さがあった。

  • 121スレ主25/05/26(月) 19:16:43

    千切「……なあ」

    千切がふいに声を上げる。

    千切「ちょっと、休憩しね? 今度はさ、なぞなぞでもやろうぜ!」


    凛「……なぞなぞ?」

    凛が目を細める。

    千切「うん!なんか、こういう時ってさ……脳みそ切り替えたいじゃん?暗いのばっかだと、気持ちも沈むしさ!」

    凪「……じゃあ、俺、馬狼関連のなぞなぞ出すね」

    凪が即答して場をかき乱す。

    凛「やめろ。絶対に馬狼から離れろ」

    凛の突っ込みがすかさず入った。


    空気が少しだけ、軽くなる。

    その隙に、彼らの心もほんのわずか、深呼吸できていた。

  • 122二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 20:08:51

    戦闘お疲れ、休憩タイムだ!

    凪は馬狼ネタいっぱい持ってるなあ

    みんなゆっくり休めるといいね!


    >>116

    みんな失敗が増えてきて心配なので全員に使えるSAN値回復か時計を遅らせるのが安心できそうかな?(猫達の出番が増えてほしいのもあったりする)


    固有能力は回数増やせないものもあるし、ダイス補正にするとカバーできないくらい数値の離れた失敗の時に不安かも

  • 123スレ主25/05/26(月) 20:22:51

    >>122 凪はバロウに味をしめたようです…。


    承知しました!ではここは構成にダイスで決めます!

    1 SAN値回復チャンス

    2 時計遅延チャンス

    dice1d2=2 (2)

  • 124スレ主25/05/26(月) 20:23:53

    という訳で時計の進行を遅らせる特典が付与されます。
    猫達の機嫌がいい時に発動しますので、是非お楽しみに!

  • 125スレ主25/05/26(月) 20:30:23

    【小休憩:なぞなぞ大会・第1部】


    戦闘の余韻も、どこかへ消えていったA号室の静寂。

    空気が落ち着いた今だからこそ──
    千切が突然立ち上がった。


    千切「いいか!今から“なぞなぞ大会・第1部”を開催する!!」

    高らかに宣言する千切。


    凛「マジでやるのかよ……」

    凛が一歩引きながら眉をひそめる。


    千切「さっきのしりとりで負けたから!今度は“解けなかったら出題者の勝ちルール”ってことで、いいな!」

    凪「おー……完全にリベンジの構え……」

    凪は何とも言えない顔で腕を組む。

    冴「ルール自作か。エゴが過ぎるな」

    冴が冷静に突っ込んだ。

  • 126スレ主25/05/26(月) 20:39:05

    千切「えー、では千切豹馬、問題を出します!」


    千切は胸を張って言ったあと、おもむろに腕を組んで考え込む。


    千切「……よし、いくぞ! 難易度は、中くらい!」



    千切「問題ッ!!」


    千切「“手で触れても熱くない、でも目に入ると痛いものって、なーんだ!?”」



    一瞬、場が静まる。


    凪「え……普通に怖くない……?」


    凪が真顔でつぶやく。


    凛「答えが出せねえなら、お前の勝ちだっけか」


    凛が静かに確認する。


    千切「うん、完全勝利いただきます」


    千切は満面の笑みで腕を組む。



    (1つでも50以上があれば正解=千切の負け)

    dice3d100=43 19 27 (89)

  • 127スレ主25/05/26(月) 20:54:25

    【千切豹馬:勝利】


    千切「……正解はっ……!」

    千切がドヤ顔で腕を広げる。

    千切「目薬でしたーーー!!!」


    凪「えっ……そんな感じ?」

    凪が目を見開いて反応する。

    凛「絶対“火”とかそういうのかと思ってた」

    凛が唸るように言う。

    冴「俺は“光”だと思ったが……微妙に外れか」

    冴がほんの少しだけ悔しそうに目を伏せた。


    千切「いやいやいやいや、どれも惜しくないからな!?これ、完っ全に俺の勝ち!!!」

    千切はその場で両腕をぐるぐる回してガッツポーズ。

    千切「っしゃああああ!しりとり以外で初勝利きたああああ!!!」

    テンションMAX。

  • 128スレ主25/05/26(月) 20:58:03

    そんな中、凪は肩をすくめながらこう呟いた。

    凪「正解わかんないし……『バロウの瞳』って言っとけば正解になるかと思ったんだけどなー」

    凛「馬狼万能説やめろ」

    凛の突っ込みが即座に飛んだ。


    だが、次の瞬間。
    凛の目がキッと細められる。

    凛「……お前が勝つと、なんかムカつくな」

    千切「え、何で!? 今俺が主役だったろ!!」


    千切があわてて振り返るが──

    凛はもう、ポケットからメモ帳を取り出していた。

    凛「今度は俺が出す。ルールは同じ。誰も正解できなかったら俺の勝ち」

    凪「うわ、やば。凛のなぞなぞって、絶対ひねくれてるやつだ」

    凪が眉をしかめる。


    凛「お前ら、覚悟しろよ」

  • 129スレ主25/05/26(月) 21:02:04

    【小休憩:なぞなぞ大会・第2部】



    凛が一歩前に出て──口を開いた。



    凛「問題!」


    凛「“触れないのに動かせる。重くないのに、心を潰す。正体がわかった瞬間、消えるもの──なーんだ?”」



    空気が静まり返る。

    さっきまでの軽さが、一気に引き締まったような感覚。


    千切「……おい凛、それちょっと哲学入ってないか」


    千切が引きつった顔で笑う。


    凪「ていうか詩じゃん」


    凪が真顔で言った。


    冴「面白いな」


    冴だけが、淡く微笑んだ。



    (1つでも65以上があれば正解=凛の負け)

    dice3d100=69 94 1 (164)

  • 130スレ主25/05/26(月) 21:12:56

    【糸師凛:敗北】


    沈黙の中、それぞれが考える。


    千切は腕を組んで唸るように呟いた。

    千切「えーと、正体がわかった瞬間に消える……んだから……えーと、えーと……“気配”?」

    凪「俺、“空気読みすぎたバロウの霊圧”でいきます」

    凪がまたバロウに逃げた。


    冴「“不安”だな」

    冴が静かに答えた。


    凛はぴくりと眉を動かす。
    そして、深くため息をついた。


    凛「……正解だ。“不安”」

    凛「兄ちゃん、つええな……」

    凛が苦笑する。

  • 131スレ主25/05/26(月) 21:15:51

    凪「うわーーー、千切、勝てなかったじゃん」

    凪が茶化す。

    千切「いや!俺今回正解にめっちゃ近かったからな!?“気配”ってけっこう惜しくね!?」

    千切がなぜか回答者側でも、勝利宣言をしかけていた。


    そんなやりとりの中で、冴は一歩前へ出た。


    冴「……じゃあ、次は俺が出題する」


    千切「来た……!絶対ムズいやつ来た……!」

    千切が青ざめる。

    凪「冴の問題って、たぶん真面目に取り組まないと怒られるやつ」

    凪がこそこそと囁く。

  • 132スレ主25/05/26(月) 21:17:45

    【小休憩:なぞなぞ大会・第3部】



    冴は少しだけ口角を上げて、淡々と問題を読み上げた。



    冴「問題。」


    冴「“存在しないのに、命を握るもの。見えないのに、数を持つもの。知るほど、動けなくなるもの──なーんだ?”」



    場に再び沈黙が落ちる。


    問いが、空気をひとつ“濃く”した。



    (1つでも80以上があれば正解=冴の負け)

    dice3d100=4 98 88 (190)

  • 133スレ主25/05/26(月) 21:47:36

    【糸師冴:敗北】


    冴「……正解は──“運命”だ」

    冴が静かに答えた直後、

    千切「はいっ、それ俺も思ってた! 運命!」

    千切が勢いよく手を挙げる。

    凛「俺も……割とすぐ思いついたな」

    凛がさらっと言う。


    冴が無言で2人を見たあと──
    ほんの少しだけ、肩を落とした。


    冴「……チッ」

    吐き捨てるように言ったが、どこか悔しさと楽しさが混ざっていた。


    その様子を見ていた凪が、唐突に手を挙げる。

    凪「……じゃあ、俺も出す」

  • 134スレ主25/05/26(月) 21:51:40

    【小休憩:なぞなぞ大会・第4部】


    千切「お!?凪が真面目に出すの!?マジ!??」

    千切が勢いよく振り返る。

    凛「また馬狼じゃねえだろうな」

    凛が訝しげに目を細める。

    凪「今回はちゃんと考えたから」

    凪はきっぱり言った。


    そして、出題。


    凪「問題。」

    凪「“見つけた瞬間、運命が決まる。触れれば、全てを変える存在。その名は八文字。だが、一言で世界を震わせる──なーんだ?”」

  • 135スレ主25/05/26(月) 21:52:28

    空気が一瞬、引き締まる。



    千切「……なんか、真面目っぽいな」


    千切がそっとつぶやく。


    凛「馬狼か……?いや、違うだろ流石に……」


    凛が悩むふりをしてから、こっそり凪の顔を見た。


    冴は腕を組み、静かに考え込む──が、どこか疑っている。



    (1つでも95以上があれば正解=凪の負け)

    dice3d100=22 38 81 (141)

  • 136スレ主25/05/26(月) 21:59:53

    【凪誠士郎:勝利】


    沈黙の中、3人が考え込み……そして、誰も声を上げなかった。


    凪「……答え、なかったってことで、俺の勝ちだね」

    凪があっさりと言った。

    千切「えっ、マジで!?答えなんだったの!?!?」

    千切が食いつく。

    凪はまるで当然のように口を開いた。


    凪「馬狼照英」

    凛「結局馬狼じゃねーか!!」

    凛が瞬時に食い気味で詰め寄る。

    凪「ちがうし。“バロウ”じゃなくて、“馬狼照英”だし。正式名称」

    凪は真顔で返した。

    千切「それ変化球すぎて逆に危険球だろ!!」

    千切がツッコんだ。

  • 137スレ主25/05/26(月) 22:02:14

    こうして──


    しりとり王者・凪誠士郎
    なぞなぞ王者・凪誠士郎


    凪「……ってことで、二冠だね」

    凪があっさり手を挙げる。


    千切「なにこのゆる王者……!!」

    一応、なぞなぞ王者(2)の千切が膝をついた。

  • 138スレ主25/05/26(月) 22:05:29

    多分スレ主が1番楽しんでたと思います。ホラー好きなのですが、ずっとホラーだと気が滅入るので、たまにはこうやってふざけさせてください。

  • 139スレ主25/05/26(月) 22:09:48

    その瞬間。


    バンッ!!


    A号室のドアが開いた。


    「ニャアアアアアアア!!!」
    「にゃうっ、にゃっ、にゃにゃにゃっ!!」


    ヨイチとタビトが怒涛の鳴き声で部屋に入ってくる。


    凪「うわ、凄い怒ってる……」

    凪が耳を押さえる。


    千切「お、ヨイチー、タビトー!ちょっと休憩してただけ!」

  • 140スレ主25/05/26(月) 22:11:22

    千切が顔を近づけたその瞬間──


    パシッ!!


    千切「いったぁぁぁ!?猫パンチーー!?」

    頬を押さえて後ずさる千切。


    猫たちは一瞥もくれず、スタスタと廊下へと向かって歩き出す。


    凛「完全に“迎えに来た”って感じだな」

    凛がふっと笑った。

    冴「ほら、次はB号室だ。置いてかれるぞ」


    冴が歩き出し、凪と千切も慌ててあとを追った。

  • 141スレ主25/05/26(月) 22:33:32

    ということで、なぞなぞしてたら寝る時間になってしまいましたのでスレ主は寝ます。今週どこか平日で休みを貰って、サクサク進められたらなーと思ってます。おふざけの多い奪還編、見てくださっている読者の方々に感謝です。見てくれる限り物語は続けます。
    明日はB号室からスタートですので、引き続きよろしくお願いします。

  • 142二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 04:03:13

    更新お疲れ様でした!
    おふざけもシリアスもどっちも楽しんでますよー
    しりとりに続いてなぞなぞも楽しかったです!
    息抜きしたことで奪還メンバーのダイス運が良くなるといいな
    猫ちゃん要素も楽しみにしてますね!

  • 143スレ主25/05/27(火) 08:47:58

    >>142 そう言って頂けると嬉しいです!せめて異常発生リスクありの部分は成功して欲しい…!猫様いまご機嫌斜めなので、この次かな?と思ってます!


    本日もぼちぼち更新しますので、よろしくお願いします。

  • 144スレ主25/05/27(火) 10:11:28

    猫たちのあとを追い、
    四人はB号室の扉の前に立った。


    凛は、手に持っていた《B-1の鍵》を一応試すが──

    凛「……使えねぇな。鍵穴、形が違うし、B号室は鍵がかかってねえ」

    凪「じゃあ、鍵は別のとこだね」

    凪は淡々と呟く。


    ギィ……と音を立てて扉が開いた瞬間。
    空気が変わった。


    湿った土のような匂い。
    床一面に広がる破れたカルテや割れた点滴スタンド。

    そして、ベッドの中央には──

    黒く焼け焦げたような痕跡。

    それはまるで、
    “誰かの影”が焼き付いたようだった。

  • 145スレ主25/05/27(火) 10:12:46

    千切「……うわ、なにこれ……」

    千切がベッドを見て眉をひそめる。

    凛「焦げ跡、直線じゃないな。潰れてる。……人の形?」

    凛はしゃがみ込み、楽しそうに観察している。


    凪「湿気と紙の匂い、混ざってんね。んー……面倒くさい」

    凪は手をポケットに突っ込んだまま、視線だけでカルテの山を見つめた。


    冴「物の崩れ方が不自然だ。点滴スタンドが“折れてる”」

    冴はすでに現場分析を始めていた。

  • 146スレ主25/05/27(火) 10:14:16

    【入院病棟・B号室エリア】


    ①焦げたベッド跡周辺
    何か異常な痕跡が隠れているかも

    ②点滴スタンド付近
    落下物の中に、情報が混じっている可能性

    ③カーテン裏側
    物音がした気配あり(異常発生リスクあり(小))

    ④破れたカルテの山
    必要な記録が紛れているかもしれない

  • 147スレ主25/05/27(火) 11:35:44

    千切「じゃ、俺、そこのカーテン見るわ。音、聞こえた気がするし」

    千切がやや警戒しながら、③カーテンの方を指差す。

    凛「……わざわざリスクを選ぶタイプだったか?」

    凛が鼻で笑う。

    千切「俺、スピード担当だからな!危ないとこは俺に任せとけって!」

    千切は笑いながら軽く拳を握った。


    凪「俺はカルテ。紙見てるだけなら座ってられるし」

    凪がしゃがみ込み、④床の紙束をずるっと引き寄せる。


    凛「じゃあ俺はベッド。……この焦げ方、何か“焼かれてる”ってより“溶けた”感じだな」

    凛が①ベッドの縁をなぞりながらぼそりと呟く。


    冴「俺は点滴周辺を確認する。……何か“落とした”形跡がある」

    冴は静かに歩を進め、②倒れたスタンドに手をかけた。


    四人がそれぞれの位置へ散らばる。
    空気の重さは、この部屋だけが持つ異質な圧に変わっていた。

  • 148スレ主25/05/27(火) 11:53:37

    【入院病棟・B号室探索:①焦げたベッド跡周辺・糸師凛】


    【探索開始】3:00



    凛は焦げ跡の残るベッドの横にしゃがみ込む。

    黒く炭化したような痕は、まるで誰かのシルエットを焼き付けたように広がっていた。



    凛「……完全に“溶けた”形だな」


    ベッドのマットレスに指を滑らせる。

    布地は炭のように脆く、わずかな力で崩れ落ちた。


    凛はその手元を見つめながら、顔をしかめる。



    焦げ跡の周囲には、微かに液体が染み込んだような痕も残っていた。


    それは水ではない。薬品とも違う──

    “揮発した跡”だけが残る、不気味なにじみ方。



    凛「何がどうやってこんな痕になるんだよ」


    凛は周囲を見回し、焦げ跡の“中心”付近へと体を乗り出した。



    dice1d2=2 (2)

    1:成功 2:失敗

  • 149スレ主25/05/27(火) 11:59:00

    【探索失敗】3:00

    【SAN値-1:22→21】


    焦げ跡の中心──
    凛は慎重に、炭化したシーツの下へ指を滑り込ませた。

    感触は、なかった。
    けれどその直後、背筋に冷たいものが這い上がる。


    凛「……なんだ、今の」

    何もない。
    だが、“何かを掴んだ感覚だけが残っている”。

    それは物理的な感触ではない。まるで“記憶の底にある、別のものを撫でたような感覚”。


    凛は一瞬、息を止める。

    視界がほんの一瞬、グニャリと歪んだ気がした。


    凛「……くそ。何もねぇのに……うぜぇ気配だけ残しやがって」

    焦げ跡の下からは、手がかりらしきものは出てこなかった。

    ただ、“誰かがそこにいた”感覚だけが、凛の中に焼き付いた。

  • 150スレ主25/05/27(火) 12:04:19

    【入院病棟・B号室探索:②点滴スタンド付近・糸師冴】


    【探索開始】3:00



    冴は、床に倒れた点滴スタンドの根本に視線を落とした。

    細く、曲がった金属の柱。転倒の衝撃で、支柱が不自然にへこんでいる。



    冴「……ここまで変形するには、倒れた以上の力が加わってる」


    スタンドの脚に絡みつく、切れかけたチューブ。

    その先には、破損した点滴パックがいくつも転がっていた。


    中身は空。液体は、すべて蒸発している。

    だが、一つだけ、チューブの先端に何かが“詰まっている”ように見えた。


    冴は無言で屈み込み、破片をかき分ける。

    床には細かなガラス片、破れたラベル、そして──


    冴「……足跡」


    床にうっすらと、土の粒のような跡が残っていた。

    ここには“土”などないはずなのに。


    それは、明らかに誰かの足が踏み入った痕跡だった。



    dice1d2=2 (2)

    1:成功 2:失敗

  • 151スレ主25/05/27(火) 12:09:45

    【探索失敗】3:00

    【SAN値-1:21→20】


    冴は、点滴パックに残された微かな液痕に目を凝らしていた。

    チューブの先を持ち上げ──
    ほんのわずかに揺らす。


    カタ……カタ……

    残された液体が、ガラスの破片を叩く音。
    乾ききったパックが、どこか“呼吸するように”膨らんでは縮んでいた。


    冴「……?」

    何も、ないはずだった。
    だがその音が、次第に規則的なリズムに聞こえてくる。


    カタ……カタ……カタ……

  • 152スレ主25/05/27(火) 12:10:51

    (……脈拍か?)


    それは冴自身の鼓動ではない。
    だが、音は確かに彼の耳のすぐそばで響いていた。 


    次の瞬間──

    “何か”が、耳の奥で囁いたような感覚が走る。

    言葉ではない。だが、そこに“意志”があった。


    冴は瞬時に立ち上がり、チューブを床に落とした。


    冴「……チッ、無駄足だったか」

    表情は変えずとも、胸の奥に小さなざらつきが残る。


    それは情報の不足でも、敵の存在でもない。

    “理解できない気配に触れた”という、不快な現実。

  • 153スレ主25/05/27(火) 12:15:49

    【入院病棟・B号室探索:③カーテン裏側・千切豹馬】

    【探索開始】3:00


    カーテンは、かすかに揺れていた。
    風などない室内で──それが自然ではないことは明らかだった。


    千切「……おいおい、マジで言ってんのかよ……」

    千切は苦笑しながらも、一歩踏み出す。


    カーテンの内側には、ベッドと壁のわずかな隙間。
    そこに身をかがめ、慎重に手を伸ばす。


    千切「こーいうとこって、だいたい“ヤバいやつ”が隠れてるんだよな……」


    それでも、千切の手は止まらなかった。


    誰よりも驚きやすく、誰よりも臆病。
    だが──誰よりも、仲間を思って前に出る。

  • 154スレ主25/05/27(火) 12:16:44

    千切「行くぞ……!」


    指先がカーテンの端に触れる。

    布地の向こうから伝わってきたのは──


    ひどく冷たい空気だった。



    千切「っ……うわ、なんだこの感じ……」


    空気の密度が違う。

    まるで、ここだけ“人が立っていた”痕跡がそのまま残っているような。


    千切は、そっとカーテンをめくった。



    ※異常発生リスクあり(小):55以上で探索成功

    dice1d100=4 (4)

  • 155スレ主25/05/27(火) 12:17:55

    4か…どうしよう…
    千切は本当に4がよく出ますね…

  • 156スレ主25/05/27(火) 13:15:16

    とりあえずSAN値-1(ファンブル扱い)で、失敗すればまたSAN値と精神削れる感じにします!

  • 157スレ主25/05/27(火) 14:09:53

    【SAN値-1:20→19】


    カーテンをめくった瞬間──

    千切の背筋に、氷を流し込まれたような感覚が走った。


    千切「っ……うお、な、なんか寒っ!?……え、空調、ここだけ動いてんのか?」

    空間が凍ったように静まり返っている。

    誰もいないはずなのに、カーテンの裏には──
    “さっきまで人が立っていた”ような余熱だけが残っていた。


    千切は無意識に数歩、後退する。


    だがその顔を見た冴が、そっと口を開いた。


    冴「……もう一度、見てこい」

    千切「へっ……?いやいやいやいや、今のマジで“ヤバいやつの残り香”だったんだけど!?」

    冴「俺が見るより、お前が感じた方が正確だ。……行け」

    その目は、冷静で揺らぎがなかった。

  • 158スレ主25/05/27(火) 14:11:31

    ──冴の固有能力【最適解】発動。


    千切豹馬のカーテン裏側探索、再試行。



    千切「……もう、マジでさあ……」


    そう言いながらも、千切はもう一度足を踏み出す。


    誰かが背中を押してくれる限り、彼は絶対に逃げない。



    千切「行くぞ、千切豹馬……二回戦!」


    再び、カーテンへと手を伸ばす。

    今度は、さっきよりも深く、布の向こうを覗き込んだ。



    ※異常発生リスクあり(小):55以上で探索成功

    dice1d100=15 (15)

  • 159二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 15:21:39

    この部屋やばいな
    3人失敗してる

  • 160スレ主25/05/27(火) 15:40:40

    >>159 なぞなぞ張り切りすぎたんですかね…。初期SAN値が高いのが救いです。

  • 161スレ主25/05/27(火) 15:42:30

    【再試行失敗】4:00

    【SAN値-1:19→18/精神異常発生】


    先ほどの“気配”はまだ、そこに残っている。
    冷気と沈黙。空気の層が、薄い膜のように彼の指先に絡みついた。


    ──そして、


    千切「……あ?」

    何かが、“指先をつかんだ”気がした。

    見たわけじゃない。
    触れたわけでもない。

    それでも──確かに“誰かがそこにいた”感覚だけが、脳に直で流れ込んできた。

    千切の全身から、一気に力が抜ける。


    千切「っ、は、……くそ、マジで……なんだよコレ……っ」

    顔面から血の気が引き、肩で息をする。
    足元が、ぐらついた。

    立っているのに、平衡感覚がうまく保てない。

  • 162スレ主25/05/27(火) 15:45:05

    凛「おい、赤髪!」

    凛が声を上げて駆け寄る。


    千切「千切豹馬だっつーの…………ダメだ、なんか……地に足がつかねぇ……視界もブレる……」

    視界は二重にぶれ、音は遠くなっていく。
    目の奥がズキズキと疼き、意識が削がれるような感覚。


    千切「……ちょっとだけ、休むわ……すまん……」


    千切は壁に背を預け、額に手を当てる。

    どこか、“空間そのものがブレている”ような目で、ぼんやりとカーテンの奥を見つめていた。

  • 163スレ主25/05/27(火) 16:28:44

    【入院病棟・B号室探索:④破れたカルテの山・凪誠士郎】

    【探索開始】4:00


    凪は床にしゃがみ込み、
    紙の山をぼんやりと見つめていた。

    破れたカルテ。
    カビ臭さと埃の混じった、劣化した書類の束。


    凪「んー……こんだけ散らかってると、逆にやる気なくなるな」

    そう言いつつも、
    凪は一枚一枚をゆっくり指先でめくり始めた。

    雑誌をめくるようなテンポで。


    内容は、日付が消えかけた診療記録、
    服薬リスト、処方せんのコピー。

    だが、その中に──少しだけ紙質が違う一枚が混じっているのを、凪は見逃さなかった。

  • 164スレ主25/05/27(火) 16:38:03

    凪「ん?」


    手を止めて、その一枚を慎重に引き抜く。


    周囲とは明らかに異なる、

    印刷ではなく、手書きのメモ。


    しかも、英語と日本語が混ざっていて、

    走り書きされたように乱れている。



    凪「……誰かの記録かな。症状?観察メモ?」


    凪はその場に座り込み、

    あくび混じりに続きをめくっていく。



    凪「……これも、レオのためだ」



    dice1d2=1 (1)

    1:成功 2:失敗

  • 165スレ主25/05/27(火) 16:50:20

    【探索成功】4:00


    凪は破れたカルテを適当にめくっていたが、
    その中に、紙質の違う一枚のメモを見つけて手を止めた。

    他とは明らかに異なる──
    罫線なし、汚れ、端の焼け跡。
    おそらく正式なカルテではなく、
    職員が“個人的に残した記録”だ。


    『入院病棟・B号室/記録断片』
    『観察対象:No.15』
    『照明の点滅・器具の転倒など、異常現象の前兆あり』
    『視認困難。視界の端でのみ動きが確認される』
    『映像記録不可(カメラ・モニター無反応)』
    『対象の周囲では、思考の混濁、空間認識の乱れを訴える例あり』


    凪「……No.15、か」

    凪はぼそりとつぶやきながら、
    その紙を二つ折りにしてポケットへ押し込む。


    凪「見えないし、記録に残らない。……こういうの一番嫌なやつだよね」

    表情は変わらずとも、
    その目には、確かに“危機感”が灯っていた。

  • 166スレ主25/05/27(火) 17:01:17

    凪は立ち上がりながら、
    ポケットから一枚のメモを取り出して無造作に広げた。


    凪「No.15、って書いてあった。視界の隅でしか見えないらしい。あと、機械とかライトが変になる。記録にも残ってない。」

    千切「……記録にすら残せないって、逆に一番ヤバいやつじゃん」

    千切が、壁に寄りかかったまま苦笑する。


    顔色は悪い。汗も滲んでいる。
    けれど、その目だけはまだ死んでいなかった。


    冴「俺は何もなかった。点滴のところは……ただ、不快だっただけだ」

    冴が静かに報告する。
    いつもの口調だが、若干瞳の奥が陰っている。


    凛「俺も収穫なし。焦げ跡はただの痕跡。何があったかはわからねぇ」

    凛が短く言い放ったあと、凪のメモに目を落とす。

  • 167スレ主25/05/27(火) 17:06:43

    そのとき。


    ピチッ……ピチ……


    部屋の天井にある蛍光灯が、不規則に点滅し始めた。


    冴「……来るな」

    冴が、目を細めて呟く。


    天井の明かりが一瞬だけ完全に落ち──

    次の瞬間、照明が再点灯した時には、
    空間の“気配”が変わっていた。


    空気が沈む。
    視界の端に、何かが蠢いた。

    凪が、無表情のまま天井を見上げる。


    凪「……ほんとに、視界の端っこにいる感じ。見えないけど、いるよ」

  • 168スレ主25/05/27(火) 17:08:06

    千切「っし……! 来たか」


    千切がふらつきながらも、壁から体を離し、

    ぐっと足に力を込めた。

    片手で額をぬぐい、もう片手をゆるく握る。



    千切「フラフラだけど、まだ動ける……俺、やるから。ちゃんとやるからな」


    冴「無理はすんな。けど、前に出る気があるなら、止めはしねえ」


    冴の声が静かに響く。



    凛「じゃあ、やるか。No.15──そっちが記録に残らねえなら、俺たちの記憶に焼き付けてやるよ」


    凛の目が鋭く光った。



    【入院病棟・B号室】《観察対象:No.15》

    (4回攻撃成功で討伐完了/35以上で攻撃成功)

    千切:dice1d100=8 (8)

    凪:dice1d100=19 (19)

    凛:dice1d100=70 (70)

    冴:dice1d100=93 (93)

    ※No.15の情報入手:+5補正

    ※千切:精神異常発生により-5補正

    ※千切:精神異常発生により固有能力使用不可

  • 169スレ主25/05/27(火) 17:42:36

    【戦闘開始】4:00

    【冴の固有能力:断罪の策略──発動】


    千切「行くぞ……、ッ!」

    千切は足を踏み出したが──
    ガクッ、と膝がわずかに沈む。

    視界が揺れた。距離感が掴めない。


    千切「っ……くそっ……見えねぇ……!」


    その瞬間、横から伸びた腕が千切を支えた。


    凪「無理しすぎ。ちょっと下がって」

    凪の静かな声。


    だが、凪もその隙に攻撃の機会を逃していた。

  • 170スレ主25/05/27(火) 17:46:22

    一方で、凛は鋭く踏み込み、
    何もない空間に向かって腕を振る。


    凛「視界の隅でも、感触はある──なら倒せる」

    虚空に走った一撃が、
    何かを引き裂くような感触を残す。


    その一瞬の刹那、冴は迷いなく動いていた。


    冴「──そこだ」

    低く、鋭い声とともに空間に踏み出す。

    一撃──
    そして、続けざまにもう一撃。


    冴「記録にも残らねぇなら、肉に刻んでやるよ」


    空気が震え、気配がわずかに“ズレた”。

    確かに──手応えがあった。

  • 171スレ主25/05/27(火) 17:49:02

    視界の端で何かが“跳ねる”ように動く。


    そのまま──誰の正面にも立たないまま、

    影が4人に横殴りに襲いかかる。



    凪「──来るよ」


    凪の声に合わせて、それぞれが身構えた。



    【入院病棟・B号室】《観察対象:No.15》

    (1回攻撃成功で討伐完了/35以上で回避成功)

    千切:dice1d100=53 (53)

    凪:dice1d100=78 (78)

    凛:dice1d100=38 (38)

    冴:dice1d100=53 (53)

    ※No.15の情報入手:+5補正

    ※千切:精神異常発生により-5補正

    ※千切:精神異常発生により固有能力使用不可

  • 172スレ主25/05/27(火) 18:35:23

    【回避開始】4:00


    ──ザァァ……

    誰の耳にも届かないはずの“音”が、
    頭の奥で鳴った。
    それと同時に、No.15の気配がぐぐっと近づく。


    凛「来たな──」

    凛が即座に横へ跳ぶ。

    気配の主は見えない。
    だが、空間の歪み、風の通り、音の変化。
    そのすべてを感覚で読む。


    千切「おっとっと……!」

    千切はふらつきながらも、
    凪に肩を借りる形で一歩後退。

    直撃を回避しながら、なお笑みを浮かべていた。

    千切「動けるぞ……まだイケる!」

    脚は揺れている。
    だが──千切の前進を止めるものではなかった。

  • 173スレ主25/05/27(火) 18:37:29

    冴「横に……“ズレた”か」

    冴は一切の無駄なく、足を滑らせるように避けた。

    相手の姿がなくとも、
    そこにいる“気配”は読める。

    淡々と動き、鋭く空間を観察するその姿は、
    まるで訓練された兵のようだった。


    凪「……無音ってのも、分かりやすいね」

    凪はわずかに体を傾けるだけで、攻撃を回避。

    その瞳は、一点を見つめていないようで、
    実は誰よりも研ぎ澄まされていた。

    凪「変な感覚だけど……次は当てる」


    再び、No.15の気配が壁の向こう側に、
    “逃げる”ように散った。

    視界の隅──まだ姿は捉えられない。
    だが、確実に“そこにいる”という認識だけは、
    全員が共有していた。

  • 174スレ主25/05/27(火) 18:39:25

    千切「動けてるうちに、決めるぞ……!」


    千切が、ふらつく足に再び力を込める。


    凪「レオが見てたら笑われるな……」


    凪が軽く肩を回す。


    凛「どこにいるか分かってなくても、ブチ当てりゃいい」


    凛の声に、熱が乗る。


    冴「……俺たちが“記録”にしてやる」


    冴が冷静に言い放つ。



    【入院病棟・B号室】《観察対象:No.15》

    (1回攻撃成功で討伐完了/35以上で攻撃成功)

    千切:dice1d100=83 (83)

    凪:dice1d100=100 (100)

    凛:dice1d100=93 (93)

    冴:dice1d100=15 (15)

    ※No.15の情報入手:+5補正

    ※千切:精神異常発生により-5補正

    ※千切:精神異常発生により固有能力使用不可

  • 175二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 18:41:44

    ついに100が出たか

  • 176スレ主25/05/27(火) 18:55:07

    >>175 出そうで出なかった100、やっと出ました!


    というわけで100特典についてご意見を募集します。

    潔達の廃病院では、探索1回自動成功と戦闘時+10補正でした。

    探索1回自動成功と同じくらいのもの+補正と同じようなものでも、2つ合わせてもっと強力なものでも大丈夫です!遠慮なくご意見をくださいませ。

    スレ主の方でこれはダメ、というものがあれば除外させていただきますので、ご了承願います。

    ご意見複数ならダイスで決めますね。

  • 177二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 18:57:09

    凪探索も成功させたしすごい!

  • 178スレ主25/05/27(火) 20:26:54

    >>177 レオのために頑張りましたね!案外なぞなぞを1番楽しんでたのは凪かもしれません。

  • 179スレ主25/05/27(火) 20:31:57

    【戦闘開始:2回目】4:00


    千切「──そこだ!」

    千切が一歩踏み込み、虚空を蹴った。

    ふらつきながらも、足元は鋭く。
    視界の隅に揺れた“気配”へ、拳を叩き込む。

    千切「見えなくても、気配でわかるんだよ!」


    空間がビクリと揺れた瞬間──


    凛「そっちからか」

    凛が、そのわずかな“揺らぎ”を正面から突く。

    まるで隠れていたものの幕を剥がすように、
    斜めの一撃が走った。

    凛「姿を隠してんじゃねぇよ。こっちは全部見えてんだよ」

  • 180スレ主25/05/27(火) 20:33:40

    そして──

    凪がまったく無駄のない動きで、
    横から踏み込んだ。

    静かに、淡々と手を伸ばし──


    凪「消えるなら、消えなよ」

    軽く打ち払うような一撃が、
    No.15の“気配”を掻き消した。


    空気が軽くなる。
    部屋に満ちていた沈んだ圧が、ひゅっと抜けた。


    そして、闇の中から──

    床に、何かが“ぽとり”と落ちた。

  • 181スレ主25/05/27(火) 20:43:41

    【戦闘終了】4:00

    【撃破報酬/オーバーキル報酬:取得】


    冴「……これは」

    冴が拾い上げたのは、
    丸く小さな蒼白のカプセルだった。
    中には、ほのかに光る液体が揺れている。


    冴「《ラストリウム》──精神安定剤の名をもじってあるな。飲めば心が澄む、ってタイプか」

    冴が説明しながら、千切へ手渡す。


    冴「……立てるか?」

    千切「……ありがとな、冴。ってか、俺けっこう頑張ってたよな!?」

    冴「うるせえ。耳元で大きな声出すな」

    冴は言葉とは裏腹に、千切が元気を取り戻した様子を見て、目を伏せてわずかに安堵の色を見せた。

  • 182スレ主25/05/27(火) 20:45:44

    その隣では、凛が無造作に何かを拾い上げていた。

    透明なガラス管に閉じ込められた淡い光──


    凛「……《ノーカウント・セラム》」

    千切「おぉー。やっぱ出るんだな、撃破報酬ってやつ!」

    千切が目を丸くする。


    凪「二本あるから、一つは俺がもらってもいいでしょ」

    凪がもう一本をひょいと拾い上げ、
    ポーチにしまった。


    凪「正直、面倒な相手だったけど……まぁ、勝ったならそれでよし」

    凪はあくまでマイペース。

  • 183スレ主25/05/27(火) 20:46:25

    冴「……俺は、今回控えでよかったみたいだな」

    冴が小さく呟いた。


    凛「いや、兄ちゃんがいたから、俺たち余計なミスしなかったんだよ」

    凛の声には、素直さが滲んでいた。


    No.15の気配は、もうどこにもなかった。

    静まり返ったB号室に、
    4人と2匹の気配だけが、静かに佇んでいた。


    ■入手アイテム
    ・《ラストリウム》×1:SAN値+2回復
    ・《ノーカウント・セラム》×2:SAN値減少を1回無効化

  • 184スレ主25/05/27(火) 21:07:56

    凛「……あ」

    凛が手元のデジタル時計を見て、眉をひそめる。


    凛「4:00になった」

    冴「また進んだのか」

    冴が小さく頷く。


    千切「なんかさ、時間だけは容赦なく進むんだよなー」

    千切が疲れた笑みを浮かべながら、額の汗をぬぐう。



    扉を開けると、向こうで待っていたのは──

    ヨイチとタビト。

    ふたりの猫が、並んでこちらを見ていた。
    ……どこかジト目気味で。


    千切「おっ、いた!おーい、ヨイチー、タビトー!」

    千切が駆け寄るなり、
    両手を猫たちに向かって伸ばす。

  • 185スレ主25/05/27(火) 21:09:51

    千切「なぁなぁ、見てた!?俺さ、マジでフラフラだったのに頑張ったんだぞ!」

    わしゃわしゃと、全力で撫で回す。


    「ニャ……ッ!」

    ヨイチが迷惑そうに鳴き、耳を伏せる。

    「にゃあうっ……うみゃ……っ」

    タビトも毛を逆立て気味に、体をひねる。


    千切「だーっ! ごめんごめん、撫ですぎたー!」


    千切が慌てて手を離した瞬間──

    ヨイチが、千切の腕をすり抜けて、
    そっと何かに歩み寄る。


    その先は──千切の手首に巻かれたデジタル時計。

    ヨイチは無言で、
    それに肉球をぴとり、と押し当てた。

  • 186スレ主25/05/27(火) 21:11:52

    その瞬間──

    時計の画面が、
    淡く、かすかに緑がかった光を放つ。


    凪「……あれ、今光った?」

    凪が時計を覗き込むが、
    何も異常はないように見える。

    凛「コイツら……時計も操作できんのかよ」

    凛がぼやきながらも、
    自分の腕時計を見て首をかしげる。

    千切「まぁ……ヨイチだしな」

    千切は苦笑しながら、今度はそっと撫で直した。


    ヨイチとタビトは、くるりと踵を返し、
    廊下の先へ歩き出す。

    その姿は、
    まるで「さあ、次だ」と言わんばかりだった。


    ■ダイス44特典
    ・5:00到達までのSAN値累計が延長(-4→-6)

  • 187スレ主25/05/27(火) 21:23:42

    猫たちは、何のためらいもなく廊下を進む。

    ──そして、【D号室】の前を、
    ぴたりとも足を止めずに通り過ぎた。


    千切「おーい、そこ安全なんだってばー……って無視かー」

    千切が苦笑混じりに肩をすくめる。


    凛「どうせスルーされるって分かってたろ」

    凛が冷たく返すが、
    口元には微かに笑みが浮かんでいる。


    猫たちが導いた先──
    それは、かつての記録にもあった場所。

    【看護師休憩室】の扉の前だった。


    木製の扉。年月の経過を物語るような乾いたヒビ。
    ノブの下には、くすんだ金属のプレートが取り付けられている。


    ──【NURSE】

  • 188スレ主25/05/27(火) 21:33:30

    冴が無言でポケットから鍵を取り出す。

    その手の動きは、迷いなく、静か。


    冴「開くぞ」


    扉を押し開くと──

    中は、思ったよりも整っていた。


    だが、それは“異常な整い方”だった。

    長机と数脚の椅子。
    ロッカーと鏡台、給湯器。
    書きかけのメモ、空になったティーカップ。
    読まれかけた雑誌。

    まるで“ついさっきまで誰かがいた”ような気配が部屋全体に残っていた。

  • 189スレ主25/05/27(火) 21:35:40

    凪「……生活感あるのに、人の匂いがしない」

    凪がポツリと呟く。


    凛「片付いてるのに、不自然すぎる。誰が……?」

    凛の声に、微かに警戒の色がにじむ。


    冴は壁にかかった時計を一瞥した。


    針は──動いていなかった。


    冴「時間が止まってる。都合のいい演出だな」


    部屋の奥には、さらに細い扉がある。

    小さな札に「備品庫」と記されていたが、
    鍵がかかっている。


    千切「さて……この部屋に何が残ってんだろうな」

    千切が軽く拳を鳴らす。

  • 190スレ主25/05/27(火) 21:40:46

    【看護師休憩室エリア】

    ①ロッカーエリア(壁際の個人用ロッカー)
    扉がわずかに開いたものや、鍵が壊れているものもある。中には白衣や私物が残されており、「退室後に放棄された」ような印象。

    ② 鏡台と洗面スペース
    古びた三面鏡。鏡は曇り気味だが、うっすらと像を映す。鏡の裏には収納スペースがあり、小物や書き置きが残されているかもしれない。

    ③ 給湯器とカップ棚(異常発生リスクあり(小))
    古い給湯器、ティーカップが数個残されている棚。カップのひとつには何かが沈んでいるように見える。

    ④ 備品庫前のデスクと椅子
    備品庫の前に置かれた小さなデスクと椅子。引き出しは鍵が壊れており、誰かが強引に開けた形跡がある。

  • 191スレ主25/05/27(火) 21:42:08

    潔達の廃病院では、看護師休憩室は休憩場所でしたので、探索につき安価で決定します。

    誰が何番を探索するかお選びくださいませ。


    >>192

  • 192二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 21:48:53

    ①凪
    ②お嬢
    ③兄ちゃ
    ④凛ちゃんさん

  • 193スレ主25/05/27(火) 21:50:59

    >>192 ご選択ありがとうございました!

    それでは物語を進めてまいりますね。

  • 194スレ主25/05/27(火) 21:56:00

    【看護師休憩室探索:①ロッカーエリア・凪誠士郎】

    【探索開始】4:00


    凪は、壁際に並ぶロッカーの前に立った。

    古びた鉄製の扉たちは、
    どれも塗装が剥げ、静かに軋む。


    凪「全部開けるの、だる……」

    そうぼやきながらも、
    ひとつ、またひとつと扉を開いていく。


    中には黄ばんだ白衣、空の水筒、退勤カード、
    そして──紙袋にくしゃっと押し込まれた何か。


    凪「……私物、かな。服の下に何かある」

    凪は白衣の端をめくり、小さく首をかしげた。

  • 195スレ主25/05/27(火) 21:56:39

    紙の感触。

    封筒のようなものが手に当たった。


    ただ、それはあまりにも古く、

    ちょっとした力で崩れてしまいそうなほど脆い。



    凪「……これ、開けていいやつ?」


    誰に問うでもなく、凪は紙片を慎重に引き抜く。



    dice1d2=1 (1)

    1:成功 2:失敗

  • 196二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 21:57:29

    凪の成功率あがってきてる!その調子!!

  • 197二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 21:59:43

    凪は後から実力発揮するタイプだったのか…
    いいぞもっとやれ!

  • 198スレ主25/05/27(火) 22:08:56

    >>196 >>197 ゆっくり本気を出すのって原作とちょっと似てますね。


    次スレ立ててきますのでお待ちくださいね!

  • 199スレ主25/05/27(火) 22:20:43
  • 200スレ主25/05/27(火) 22:23:08

    凪の100特典、引き続きご意見募集中です。

    ここまでのダイス成功確率

    ●ダイス成功確率(探索)

    ・千切豹馬:3/7(最適解:0/2)
    ・凪誠士郎:3/8(最適解:0/1)
    ・糸師凛:3/7(最適解:2/2)
    ・糸師冴:4/7(最適解:1/2)

    ●ダイス成功確率(戦闘・回避)

    ・千切豹馬:9/12(ファンブル影響除く)
    ・凪誠士郎:9/12
    ・糸師凛:8/12(クリティカル影響除く)
    ・糸師冴:11/12

    ●ファンブル/クリティカル

    ・凪誠士郎:クリティカル(1回:100)
    ・糸師凛:ファンブル(1回:4)
    ・糸師冴:クリティカル(1回:96)

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