清夏Pに

  • 1二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 21:59:53

    人間性に支障が出るレベルの重い過去を背負ったままプロデューサーを続けてほしい
    表面上はそんなの一切見せないでしゅみたんと恋人みたいな距離感で接してほしい
    そんでもって何処かのタイミングで今までの全部が本心じゃなかったってしゅみたんにバレて一度仲違いしてほしいし、その後実はしゅみたんの影響でだんだんと回復していってた学Pがまた壊れたことを知って曇ってほしい
    最終的にはしゅみたんがそんな学Pに対して「私じゃなきゃダメなんだ」的な背徳感か優越感かもわからない独占欲じみた感情を向けて永遠に一緒にいてほしい

  • 2二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 22:00:50

    それをssにするのは誰かな?

  • 3二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 22:03:28

    君は優秀だ

  • 4二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 22:04:27

    例えばなんだけど
    四音がしゅみたんにやった行為はPっちにとっても結構地雷でそれをよりによって大切な清夏さんにやりやがったなこいつ…って感情が抑えられなくなったから出てしまった
    「だまれ」ってのはこのPっちにはありそう

  • 5二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 22:06:17

    >>4

    しゅみたんのためにだけ、ほんの一瞬「感情」が出る学Pは良い

  • 6二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 22:11:40

    >>1

    僕個人としてはエンディングは互いに離れられなくなった共依存なのが理想なんだけど、肢体不自由的な学Pと添い遂げるしゅみたんENDでもいいし、結局一度仲違いしたことが原因で2度と社会生活を営むことができなくなった学Pと心中ENDでもいい

    気付いた過程で裏切ったら恨むからって台詞が呪詛のように返って来るしゅみたんも捨て難い

  • 7二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 22:19:33

    >>2

    言い出しっぺの僕が…と言いたいところだけど、残念ながら僕にSSを書くほどの文才は無いのだ…

    申し訳ない…

  • 8二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 22:25:24

    なのでせめて誰かと共有したくてスレ立てさせてもらいました…
    しゅみたんの曇らせというよりは、学Pに重い過去なり後遺症なりを背負わせたいよねっていう
    それでしゅみたんなら紆余曲折の果てにちゃんと向き合って依存し合うのがすごく画になると思う

  • 9二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 22:28:13

    また清夏ちゃんが曇らされてる…

  • 10二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 22:28:19

    >>7

    関係ない

    書け

    俺もSS経験したことないし共テ国語91点なのになんか想像したこと適当に書いたらそんままSS書けの流れになって書き始めたことあるから大丈夫だ

  • 11二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 22:42:00

    >>10

    わ、わかりました…

    すぐに上げるのはむずかしいですけど頑張って書いてみます…!

  • 12二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 23:32:20

    >>11

    SSを書くに当たって、学Pの重い過去の原因とか、バレた時のシチュとか、こういうのがあったらいいよねってのをだしてくれるとありがたいです…


    あとは多分上げるまで相当時間が空いてしまうと思うので、それまでは上記のことやそれに関する雑談として使ってほしいです


    (どちらも何かいい案があれば採用するかもです)

  • 13二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 23:45:43

    まー無難に行くなら過去はいじめだよね

    >>4を取り入れるなら親友がいじめられてたとかもありかも

    バレた時の清夏の一言目は「Pっち?」だと唆る

    それに対して「あっ、清夏、さん……。」てなって自己嫌悪し始める学Pが美しいと思う。

  • 14二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 23:47:12
  • 15二次元好きの匿名さん25/05/24(土) 23:47:52

    >>14

    これ俺ガチ好き

  • 16二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 00:41:19

    すみません、ここの店に

    虐められていた親友を庇って右腕に怪我を負った過去のあるPっち概念
    親友は転校してしまい、親友を守れなかったことを今も悔やんでいる
    ペンで深々と右腕を刺されたトラウマで、ペン先を向けられたり右手でペンを持ったりすると呼吸が浅くなる
    他人を貶めるような行為は絶対に許さない
    怪我の後遺症により重いものを持ったり精密な作業をしたりすることは出来ず、普段は左腕が利き手かのように振る舞っている

    「Pっちも左利きなんだ〜オソロじゃん♪」
    「…Pっち、もしかして重いもの持つのニガテ?台車からダンボール降ろすの、いっつも大変そうだよね。 あたしだって手伝うよ!」
    「Pっちってば、ライブが上手くいっても左手でしかハイタッチしてくれないんだよね〜、も〜お堅いんだから〜」
    「(親愛度14話)Pっちがこんなに怒ってるトコ、始めて見た…」

    「サイン会では手を酷使するので、気を付けてくださいね」
    「オッケー……あれ、手を痛めないコツってなんだっけ」
    「適度なストレッチは欠かさないようにしてください。両手とも適度に休めながら」
    「ファンから見えないように、机の下で、だっけ」

    「そうだ!Pっち、逆の手でサインって書ける?」
    「あたし、右手でもサイン上手に書けたらいいなーってちょっと思ってたんだ!左手を休めてる時とかにできたら、完璧じゃない?」
    「ほら、これとかいい感じでしょ!?せっかくだし、Pっちもやってみてよ!はいペン!」

    ハァ…ハァ… 
    「…Pっち?」
    「…ねえPっちどうしたの!?苦しそうだよ!!?」
    コヒュッ、ハァ…ハッ…
    「ちょっと、Pっち!しっかりして!Pっち!!!?」

    ってとこからしゅみたんが「約束したんだ!Pっちと、2人で強くなるんだって!!今度はあたしが、Pっちの背中を押すんだ!!」
    と言って2人でトラウマに向き合うコミュがあるって聞いたんですけど、まだ在庫ってありますか?え、湿気が足りない?そっかあ…。

  • 17二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 00:43:24

    >>16

    スゥゥゥゥァウ(良質なスミカ成分を摂取する音)

  • 18二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 01:27:10

    >>16

    スゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥハァァァスゥゥゥ(摂取音)

  • 19二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 01:49:20

    >>16

    はい加湿器

  • 20二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 02:35:42

    久々に有能クモラ星人来たな

  • 21二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 03:02:51

    スレの本題とは違うかもしれないけど、リーとすみのPの「等身大のヒーロー」感好きなんですよね……
    時折出る年齢相当の感情の振れとかがとても美味しい

  • 22二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 07:19:01

    わかる。しかも桜清夏の固有がヒーローとの出会いでいいよね

  • 23二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 09:13:12

    >>21

    学PのなかでセンパイとPっちはいちばんえっち

  • 24二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 09:51:03

    ならこちらの店では逆に
    【いじめられてた親友を庇うために手を出したら相手に大怪我させてしまった概念】を

    一応事件ではなく正当防衛として処理されたけど、一時の感情に左右されて暴力的になってしまったのは完全に自分が悪い、今後絶対にしないと誓ったPっちだけど
    四音の行いではそれが一瞬でも出かけてしまった…
    気をつけねばと反省してた矢先

    しばらく経ったある日【紫雲清夏のプロデューサーは暴行事件を起こした過去がある】
    って噂を流されてしまう
    四音の件で少し表に出過ぎてしまい、いじめてたやつに復讐の機会を与えてしまう

    Pっちは(こういう形で来たか)
    とこのままでは清夏のプロデュースの邪魔にしかならないから清夏の元を去ろうとするんだけど
    清夏は自分も噂に振り回されて孤立しそうになったからPっちが噂の詳細はPっちの口から聞くまで微塵も信じてなくて

    「言ったじゃん!一緒に強くなろうねって!」といい全然離れてくれない
    どうしたらいいんだと頭を抱えてたらいつの間にか噂話は鎮火
    いじめられてた親友が裏で火消しに回っててくれたのと
    清夏の件もあったから初星の生徒たちは噂を鵜呑みにせずにいて無事に清夏のプロデューサーに戻れるようになる

    最後に清夏に「もう〜Pっちったら、あたしがいないとダメすぎ〜」ってあたしがそうなように、この人にもあたしがいないと駄目なんだって共依存の感情でゾクゾクしちゃうエッチな清夏ちゃんが生まれるエンド

  • 25二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 14:12:28

    このレスは削除されています

  • 26二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 14:18:59

    最初の出だしだけかけたので少しだけ…
    エミュとかホント上手くないので、解釈違いをさせてしまったら申し訳ないです…



     最近、Pっちの様子がおかしい。
     春からずっと、あたしのことをプロデュースしてくれたPっち。あたしの考えることなんてお見通しで、欲しいときに欲しい言葉かけてくれるPっち。自惚れじゃないけど、きっと彼はあたしに好意を持っているんだって、そう思っていた。

     ここはプロデューサー科の教室前。
     少しだけ早く授業が終わったあたしは、サプライズでPっちを迎えに行ってあげようと何処か足速に廊下をすり抜ける。
    「────」
    「────」
     Pっちのいるであろう教室に入ろうとして、ふと耳に届いたプロデューサー科の人の声。上手くは聞き取れなかったけど、どうやらPっちの話をしているらしくて。ただそう、自分の知らない彼が知れるんじゃないかと思って、あたしは無意識に聞き耳を立てる。
    「──気味悪いよな」
    「だよな。何話しても『はい』とか『大丈夫です』しか返ってこないし、せっかくこっちが誘ってやってんのにさ」
    「そのくせ成績だけは優秀だろ?思ってもない言葉でよくあそこまでできるよなwこれがホントのプロデュースマシンってか!ぎゃはは!」
     明らかに彼を差した下卑た笑い声。何処か浮足立っていたはずのあたしは、血の気が引く感覚に駆られて、思わずその場に立ち尽くしてしまう。
    「──清夏さん?どうしてここに」
    「っ!?」
     不意に鼓膜を震わせた声に、あたしは慌てて振り返る。そこには、どことなく不思議そうな表情を浮かべた大好きな人がこちらを見つめ立っていた。
    「あっ、えっと…」
     先程の会話が頭を過ぎり、思わず言葉を言い淀む。…大丈夫、あたしは何も聞いてない。あんなにもあたしを優先して、考えてくれる彼が、そんなはずはない。きっとあたしの聞き間違いなんだ。
    「…ちょっと授業が早く終わったから、偶にはあたしが迎えに行こっかなーって。サプラーイズ!的な?」
    「………そうなんですね。とても驚きました」
     若干微笑みながら、そう返してくれるPっち。視界の端にいたあの人達は既にいなくて、あたしはひとまず自分の思い過ごしだと思うことにした。

  • 27二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 15:15:58

    >>16

    >>24

    少年ジャンプとヤングジャンプだろこれ


    好き

  • 28二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 15:33:35

    >>26

     偶然あの『会話』を聞いてしまってから数日。Pっちの態度はずっといつも通りで、あの時の話も忘れかけていた頃。その日のデート──じゃなかった、買い物を楽しんだあたしは、ふと思い立って女子寮前まで送ってくれた彼を呼び止める。

    「どうかしましたか、清夏さん?」

    「その、Pっちってさ…」

     ──あたしのこと、好き?

     言葉に出すつもりはなかったけど、不意に漏れてしまった自分の声。夕焼けに照らされた窓ガラスに、真っ赤な顔の自分が映り込む。

    「っ…なんて──」

     いつもの調子でごまかそうとして、ふとPっちの表情が目に入る。

    『好きですよ。アイドルとして』

     ──とか、彼のことだからそんな返事が返ってくると思っていたのに。どこか苦しそうな彼は、あたしの望むような言葉をくれなくて。

    「…すみません、清夏さん」

     そう発せられた言葉を耳に、あたしはその場を走り去った。


    「清夏ちゃん、プロデューサーさんと何かあった?」

     自室に籠もってしばらく経って。不意にリーリヤに声かけられる。

    「うぇ!?な、なんでそこでPっちが──」

    「だって今日はプロデューサーさんとお出かけだったんでしょ」

    「う、うん…」

     不思議そうにこちらを見つめるリーリヤ。そんな彼女に見つめられるのが今はちょっと辛くて。でも、知られたくなくて。

    「あ、でもでもリーリヤ、今日Pっちがさ──」

     精一杯いつも通りに話をして、相槌を打つ彼女に言い誤魔化す。

    『すみません、清夏さん』

    「っ」

    「清夏ちゃん…?」

    「う、ううん、なんでもない」

     去り際に彼が発した謝罪の言葉。我ながらよほど気持ちが昂ぶっていたのか、思わず発してしまった本音だけど。まさかそんな言葉が返ってくるとは思わなくて。あんな顔をされると思っていなくて。恋人だとか、両片想いだとか、そう勘違いしていた自分が恥ずかしくなって。

    『思ってもない言葉でよくあそこまでできるよな』

     ふと脳裏に過った誰かも知らないあの言葉が、そんなあたしを嘲笑う。

    「清夏ちゃん大丈夫!?」

     驚くような、でも心配するようなリーリヤの声。…でも、今のあたしにはそんな言葉はどうでもよくって。頬を伝う水滴が、あたしの化粧を落としていった。

  • 29二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 15:41:54

    じっとりしてる

  • 30二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 17:43:38

    >>28

    「どうした紫雲。最近動きにキレがないぞ」

     咎めるようなダンストレーナーの声がレッスン室に響き渡る。動きにキレがない。そんなことはあたし自身が一番わかっていて。でもその理由も心当たりしか一つしか無くて。

    「ごめんなさい…」

     幾度目ともなる、言葉だけの謝罪。…あれ以来、彼とはレッスンですら会っていないのだ。今まではずっと、いてほしい時にいてくれて、本心を隠しても察してくれて、欲しいものを、欲しい言葉を投げかけてくれた彼──ううん、Pっち。あたしの為に笑って、一緒に喜んで、心配して、怒ってくれた大好きな人。別にあたし自身がサボっているわけじゃない。でも…

    『すみません、清夏さん』

     ずっと頭から離れない、あたしの告白に返ってきたあの言葉。…あたしはきっと、自分が思う以上にあの人のことが大好きで。せっかく目標を見つけたのに、あの人がいないとそれすら満足にできなくなっていて。

    「裏切ったら恨むって…2人で強くなるって約束したじゃん…」

     一蓮托生だって。アイドルとプロデューサーという以上の関係だと思っていたのに。きっと両想いなんだって。だからあの時、謝罪されるなんて思ってなくて。

    『思ってもない言葉で──』

     嘘だと思い込もうとして、また聞きたくもない言葉を思い出して。これまでの関係が、思い出が、全部、否定されたような気がして。

     いつの間にか誰もいなくなった部屋で、鏡像のアタシがこちらを覗きこむ。

    「…ばか」

     涙顔で話す目の前の女は、見透かしたように呟く。


     

    ───その日に彼が倒れていたことを知ったのは、あれからさらに数日後のことだった。

  • 31二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 18:32:19

    >>30

    「Pっちが倒れた!?」

    「えっ、清夏ちゃん知らなかったの!?」

     同室の親友が、驚いたように声を上げる。

     当然の反応、なのかもしれない。だってそれは、もう数日も前のことで。噂レベルで拡がっているのに、あたしは一切気付くことはなくて。…あたしは、彼の担当アイドルなはずなのに、あろうことか、そんな事実も知らなくて。リーリヤは、あれからずっと彼の話をしないあたしを心配してくれていたというのに。

    「ちょっと清夏ちゃん!?」

     いきなり立ち上がったあたしを見て、リーリヤあたしの名前を呼ぶ。

    「ごめんリーリヤ!まおっち先輩には後で謝っておいて!」

     何かを叫ぶ彼女を置いて、衝動に動かされるまま部屋を飛び出す。

     陽は既に落ちていて、夜空の星が街灯によってかき消される。…あたしの足は、気付けば学園の前まで身体を運んでいた。

    「紫雲さん…?こんな時間にどうしてここに残っているんですか?」

     背後から声を掛けられ、ビクリと跳ねて振り返る。…幾度か彼と一緒にいたところを見たことがある、プロデューサー科の根緒先生。少しだけ目を細めて、あたしを一瞥した彼女は、合点がいったかのように頷くと、静かに口を開く。

    「──丁度よかったです。紫雲さんも少しだけ、付き合ってもらえませんか?」

    「ぇ──あ、はい…」


     流されるまま根緒先生に連れられて、やってきたのは学園から離れた一般寮の一室。当たり前のように鞄から鍵を取り出した彼女は、ガチャリとその戸を開けると、慣れた手付きで部屋の中へと入っていく。

    「紫雲さん、どうしました?」

    「えっと…ここ、勝手に上がっちゃマズイんじゃ…」

     不思議そうに中へ促す彼女に、思わずそんな言葉が口から漏れる。根緒先生は一瞬、考えたような仕草をすると、思い出したように言葉を続ける。

    「大丈夫ですよ、紫雲さん。アイドルが入る許可はちゃんと取ってますから」

    「いや、そういう問題じゃなくて──」

    「プロデューサーくん…貴女のプロデューサーから、入っていいとは言われてますからね」

  • 32二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 20:17:45

    >>31

    「え───?」

     腕を引かれるように中へ入って、玄関内に足を踏み入れる。

     困惑するあたしの鼻腔をくすぐる、何処か落ち着く匂い。見覚えのある靴に、見覚えのあるラッピングされた箱の数々。ポツンと置かれた鏡に映るすっぴんのあたしは、その正体に気付いて根緒先生に振り返る。

    「ここ、Pっちの部屋…」

     コクリと頷いて、部屋の奥へと消えて行く根緒先生。慌てて靴を抜いだあたしは、彼女の後を追いかけるようにして、奥へとつながる扉を開ける。


     月明かりが差し込んだ、『彼』の私室。根緒先生が歩く度、この数日主がいなかったことをキラキラと再び舞い積もる。

     かつて冗談交じりに誘っても、一向に教えてすらもらえなかった場所。あたしが知らない、彼のいたはずの場所。

     …玄関以外、ほとんど『何も置かれていない』部屋は、まるで世界から彼を拒絶しているようで。唯一残ったカビだらけの布団すら、使われた形跡すら無い。

    「根緒先生…」

     ただ漠然と不安に駆られて、同室の大人へ顔を向ける。クローゼットの中から、見覚えのある服と鞄を取り出した彼女は、何処か悲しそうに部屋の中を一瞥する。

    「紫雲さん」

    「っ」

    「貴女は──」

     パクパクと、世界から音がなくなったように開かれるだけの先生の口元。一瞬とも、永遠ともわからない時間で、彼女はそれだけ言い残して、部屋の外へと消えて行く。

    「Pっち…あたし、は…」

     ガチャリと閉まる扉の音。騒々しく漏れ出た外の雑音が、部屋の時間を動かしだす。


     誰もいなくなった部屋には、月明かりに照らされた鍵が、割れた写真立ての側に置かれていた。

  • 33二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 20:55:02

    >>32

     差し込む朝日に照らされて、バキバキになった体を無理矢理起こす。…アイドルとして、見せられない格好だろう。ボサボサになった髪も、頬に残った涙の跡も、窓ガラスに映るアタシが、あたしにこれでもかと見せ付けてくる。

    「裏切ったのは、あたしのほうじゃん…」

     夢に出てきた、しばらく会っていないあの人。彼は既に事切れていて、呪詛のようにあたしへの恨みを並べていた。

    「っ…」

     あたしは彼を知った気になっていて。でも、何も知らなくて。

     あの有象無象の言葉は本当で、本当に心からの言葉なんてひとつも無くて。


     ──でも、それでも。


     あたしが辛い時に、いてほしい時に、一緒にいて、支えてくれたのは嘘なんかじゃなくて。

     溢れ出した想いが、垂れてあたしの掌を濡らす。


    「待っててね、Pっち…」


     置いてあった鍵を手に、部屋の外へと足を動かす。周囲の雑音も、好奇な視線も、そんなものはもはや気にならなくて。ただ、体だけが止まること無く動き続けている。

     目的地なんて、そんなものは決まっている。あたしは、彼に会いに行くのだ。


     ──『あたしが』拒絶してしまった彼の元へ。


     あの時、根緒先生は言っていた。

     彼はずっと前から、もう壊れていたって。

     その理由は、根緒先生も、誰も知らないけど。そんなことがどうでもよくなるくらい、彼はずっと酷い状態で。

     いつの間にかついた病院で、柄にもなく彼の事を呼ぶ。熱を持った体が、教えてもらった部屋の場所へと、引き寄せられるように動き出す。


    「Pっち!」


     引き止めてきた看護師を振り払って、無我夢中で病室の戸を開ける。


     ──部屋の奥、人形のように佇んでいた彼と、一瞬目が合った気がした。

  • 34二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 21:25:27

    >>33

    「すみません、これ以上は他の患者様の迷惑に…」

    「落ち着いてください、せめてちゃんと受け付けを…」


    「ねぇPっち、あたしだよ!?貴方の担当アイドル、紫雲清夏だよ!?っ…ねぇ、お願いだから、返事してってば…」

     両脇を抑えられながら、だんだん細くなる声を絞り出す。はたから見れば、きっと迷惑どころじゃすまないだろう。それでも、今のあたしには、そんなことを考える余裕も、気にする余裕も全く存在しなくて。瞬きすらしない彼に、あたしは必死に縋り付く。

    「お願い、だから…」

     出なくなるまで絞り出して、それでもまだ足りなくて。ボーカルレッスンで鍛えた能力も、全くもってそんなの無意味で。ピクリとも動かぬ彼のその表情が、夢で事切れたあの姿と重なる。


     あたしの言葉に、一挙手一投足反応してくれたPっち。あたしの側で笑ってくれたPっち。あたしの為に怒ってくれたPっち。──そして、あたしの告白に苦しむような顔をしたPっち。

     本当は、何も感じなくて、何も反応できないほど壊れてしまった彼。あたしにはそんなことをしていなかったのに。根緒先生は、あたしと一緒にいることで、少しずつ回復していたと言っていて。でも、あたしが勝手に塞ぎ込んで、そんな彼を拒絶して、また苦しめて、倒れさせて。

     ぐちゃぐちゃになった心を、気持ち悪くなった胸の内を、必死に吐き出して。

     隠そうとしたこの想いを、あたしはゆっくり絞り出す。


    「Pっち…好き、なの…あたしは、もうどうしようも無いくらい、好きで…好きで!Pっちがいないと、何もできないの…!」

  • 35二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 21:29:01

    良質なクモラセ!!オイシィ!!

  • 36二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 22:21:49

    俺はクモラ星人ではないがありがとう
    内臓に染み渡る

  • 37二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 22:22:29

    >>34

    「──だから…だから、返事してよ…ねぇ…」

     彼の服にしがみついて、嗚咽混じりに言葉を紡ぐ。

     自己満足のような贖罪で。自分勝手な好意の押し付けで。それでも勝手に依存して。2度と失いたくなくて。

     駆けつけた看護師達に掴まれて、無理矢理彼から引き剥がされる。

     掴んたこの左手を離してしまったら、もう2度と笑ってくれない気がして。一緒に話すことも、関わることすらできない気がして。

     それでも現実は甘くなくて。左手の中から、服の裾がするりと抜け落ちる。

    「あっ…あぁっ…」

     必死に手を伸ばすけど、それでももちろん届かなくて。ズルズルと引かれる体が、あたし達の距離を永遠に引き離そうとしているようで。枯れた息が、あたしに現実を叩きつける。



    ────清夏、さん…?



    「っ…!?」

     聞き間違い、だろうか。へたれた手が地面に付く寸前、聞こえたような彼の声。

     ゆっくりと、体にかかる拘束が解けて、落とした視線を持ち上げる。


    「Pっち…」


     僅かだけど、確かに微笑む彼。

     久々に見たその表情は、とても儚くて。またすぐに消えてしまいそうで。

     思わずその場を駆け出して、全身で彼にしがみつく。…今度こそ、2度と離れないように、強く。強く。

  • 38二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 23:05:18

    >>37

    「清夏さん」

     今度は確かに耳元で聞こえた、あたしの名前を呼ぶ彼の優しい声。

     ぎこち無い手付きで回された手が、あたしの全てを包み込むようで。あたし達は、互いに強く抱きしめ返す。


     一拍遅れてざわつき出す、あたしを取り押さえていた看護師達。…その理由はきっと、回復の兆候すらなかったPっちが、自分から言葉を発したから。

     慌ただしくなる空気の中。全身で感じる、彼の確かな熱と鼓動を前にして、あたしはゆっくりと意識を手放した。





     あたしが病室で騒動を起こしてからいくらかの月日が経った。

     病室騒動は、流石にお咎めなしとはいかなかったけど、Pっちの体調も、それ以外も、だんだんと回復傾向に進んでいる。


    「おはようございます、清夏さん」

    「おはよう、Pっち」

     朝日が差し込む布団の中で、向かいに横たわる彼と挨拶を交わす。

     …あの日以来、離れる度に生活に支障をきたすようになってしまったあたし達。

     学園は、元々Pっちの状態を把握していたのか、そんなあたし達を離すべきではないと、案外すんなりと提案を受け入れてくれて。あの時の何も無い部屋は、あたし達の生活感溢れるものへと変貌を遂げていた。…まぁ、同室だったリーリヤには、少し悪いと思ったけど。


     2人揃って布団を這い出て、朝の支度を済ませていく。

     ふと隣に視線を向けて、互いにいることを確認する。

     …あたしがいないと、笑う事も、話すことも、生活することもできないPっち。でも、それは彼だけじゃなく、あたしにも当てはまることで。あたしだけに依存してくれるこの人が、とてつもなく愛おしくて。あたし達はもう、きっと死ぬまで離れられなくて。でも、それがきっと、あたし達なりの幸せなんだろう。


    「ねぇPっち」

    「…?どうしました、清夏さん」



    「裏切ったら恨むからね?」

    「そんなことはしませんよ。『俺達は2人で強くなる』…そう、約束しましたから」

  • 39にわか25/05/25(日) 23:14:55

    >>38

    以上です

    エミュも文も下手くそな駄文でお目汚し失礼しました…

    >>6に置いたどのエンディングにしようか迷いましたが、僕には心中ENDや介抱ENDは難しかったたので、誰か書きたいと思ってくれた別の方にお任せしたいと思います

  • 40二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 23:19:51

    このレスは削除されています

  • 41二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 23:20:51

    乙です

  • 42二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 23:33:06

    乙乙
    クモラ星人じゃないが楽しませていただきました

  • 43にわか25/05/25(日) 23:38:39

    >>1 >>39

     

    以下のスレはまた似たような話題や題材でSSを書いたりする方へ譲ります


    僕の勝手な妄想にここまでお付き合いありがとうございました



    今回初SSを書かせていただきましたが、前に似たようなスレ立てした時も野生の文豪様が書いてくださったので、書いてくださった方々に改めて感謝を

  • 44二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 23:47:37

    ずっとニヤついた口角が下がらん
    俺はクモラ星人だったか…

  • 45二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 23:52:42

    優秀なクモラ星人って周りの人間クモラ星人に変えてくるから厄介なんだ…

  • 46二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 00:11:22

    でも前に見たクモラ星人は晴らすのは邪道的なことを言っていたし、形はどうであれ晴れてるから今回はまた違うのか…?

    さしずめ>>1は「Pドル共依存サ星人」か

  • 47二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 00:29:43

    >>39

    あなたもまた野生の文豪の一人よ

  • 48二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 05:16:09

    乙です
    曇らせが晴れた純愛共依存はそのうちがんにも効くようになるな
    しゅみたんに特にそういうシチュ似合うのはわかる

  • 49二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 08:40:54

    >>7本当に?

オススメ

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