- 1ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/24(土) 23:05:09
襲来した異星人!
侵略されるエネルギー資源!
存亡の危機に晒されてなお人類は……
未だ一つになり切れず、壮大な内ゲバを繰り広げ続けていた!!
【出来れば読んでいただきたい世界観および初期設定集(テレグラフ)(各種ページへのリンクあり)】
ここだけ3勢力入り乱れ惑星外性生物と戦うリアルロボットSFな世界あらすじ(とりあえずこれだけ読んでくれたなら最低限大丈夫な筈の簡潔にまとめた世界観)その1:どういう世界なの?
特殊なエネルギー鉱石「コア鉱石」を動力源とする人型歩行兵器「バディフレーム(通称:BF)」が兵器として一般化した高度な機械文明が築かれている、地球に酷似した惑星が舞台だよ!
元々は人類同士で細かい諍いとかはありつつもそれなりに穏やかな世界だったんだけど、本編から20年くらい前に惑星外性生物「インベイド」が隕石に乗って地表に飛来、どうやら上述のエネルギー塊「コア鉱石」がインベイドにとっては食糧として美味しくてたまらないらしくて、人類に敵対行動を取り始めたんだ!
必死に抵抗したんだけど、現在では地表のおよそ3~4割程が完全にインベイドがうようよ闊歩している危険地帯になっちゃって、そこから時々インベイドが攻め寄せて来る油断できない状況なんだよ……。
その2:で、今どうなってるの?
インベイドとの緒戦により人命を多く失いながらも、結果として「クロノス・インダストリー(通称:K.I社)」が世界を主導、地表や地下に「コロニー」と呼ばれるいくつかの居住拠点を制定してそこを中心にインベイドに対抗する様になったんだ!…00m.in次スレは>>190踏んだ方が
- 2ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/24(土) 23:07:42
【前スレ】
【R-18】ここだけ3勢力入り乱れ惑星外性生物と戦うリアルロボットSFな世界part22【のんびり進行】|あにまん掲示板襲来した異星人!侵略されるエネルギー資源!存亡の危機に晒されてなお人類は……未だ一つになり切れず、壮大な内ゲバを繰り広げ続けていた!!【出来れば読んでいただきたい世界観および初期設定集(テレグラフ)(…bbs.animanch.com【禁止事項】
・無敵ムーブ(戦闘でダメージを受けない、回避し続ける、など)
・必要性の認められない確定ロール
・相手PLが嫌がっていることを強要する行為(特にR-18関連はデリケートなところなので扱いには気を付けて、事前相談忘れずに)
【世界観やパワーバランスを保つ上での禁止事項】
・版権設定の利用
・「地形を変えられる火力」を個人で設定し所有すること
・3勢力(K.I社、人自連、デスペラード)+インベイドよりも立場や規模が大きい勢力を設定すること
・なんでも高い水準で出来るキャラ、なんでも高い水準で出来る機体禁止(他の人の活躍機会を奪いかねないため)
・メタネタ禁止(「この世界は作り物だ~」や背後さんへの言及をキャラの目線で発言させるなど)
- 3ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/24(土) 23:08:36
Q1:参加してぇ!けど事前のキャラ登録って必須なの?テンプレはある?
A1:キャラシはあった方が色々スムーズだとは思うけど、無くても規約的なNGムーブさえしなけりゃ参加はOKだぜ!
テンプレらしいテンプレは特に無い(めんどうくさかった)からテレグラフなりで各自好きな様に書きたいこと書いてくれ!
↑の初期設定集から飛んだ先にあるスレ主のキャラシからテンプレとして項目を引用しても大丈夫だぜ!
Q2:キャラは1参加者につき何人まで?
A2:何人でもOKだぜ!複数陣営あるし下手に制限設けたらスカスカになるのが目に見えてるから……好きな様に作ってくれ!
Q3:コテハン(トリップ)は必須なの?
A3:必須じゃないぜ!でもトリップが無いってことはなりすましや乗っ取りが出ても判別方法が無いってことでもあるから、自衛手段としてコテハンを持っておくのは無難だぜ!
Q4:スレタイにR-18表記があるけどエロスレなの?
A4:一般誌のエロ描写とか元ネタ一般作品のエロ同人好き? 俺は好きなの……
エロメインじゃないけど「エロいことも割と自由に描写して良い」スレだから苦手な人がミスッて踏まない様に一応表記しているぜ!
「猥談耐性はあるけど自キャラにエロルさすのはなぁ……」って人でもOK、「自分は露骨なエロやりたくないです」って言っておけば良いぜ!
Q5:設定集に目通したけどなんか既視感ある設定ばっかりだな?
A5:へへっ - 4ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/24(土) 23:09:10
【テレグラフ(設定やキャラシート、R-18な文章を書いたりにどうぞ)(※URLのhとttpsの間のスペースを消して検索してください)】
h ttps://x.gd/Z5SAZ
【URL短縮用サイト(テレグラフのデフォルトURLだとあにまんのNGワードに引っ掛かってしまうのでこちらでURL短縮してから投稿してください)】
- 5ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/24(土) 23:13:12
《こんばんわ。独立型戦闘支援ユニット、SUI(スイ)です》
《保守作業を開始します》 - 6ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/24(土) 23:16:37
《現在のケイは重度の内臓損傷、および加速度症状を受けていた……はずでした》
《ですが原因不明の事象によって回復。逆巻重工による調査が行われています》
《そのため現在はカバーストーリーとしてケイの重傷、危篤状態が流布されており、現状は問題なく進んでいるようです》 - 7翠の妖精◆ECPjTIh3Iw25/05/24(土) 23:19:07
《ケイは様々な事象によって現在は逆巻重工にとっての、そしてG-3コロニー奪還戦の英雄……と扱われています》
《ですが、今後他の方々の活躍もあれば……彼も良くいる英雄の一人として埋もれていくことでしょう》
《私は、それこそを望んでいます》 - 8翠の妖精◆ECPjTIh3Iw25/05/24(土) 23:20:29
《英雄はいます。ですが、英雄一人で救えるほど》
《この世界は小さくありません》 - 9翠の妖精◆ECPjTIh3Iw25/05/24(土) 23:21:59
《英雄一人で不和がなくなるほど、憎悪が少ない世界ではありません》
《逆説的に言えば……英雄一人ですべてが解決する世界とは》
《英雄一人で解決できてしまうほど小さい世界である。というのが私の演算結果です》 - 10龍影◆9BZ6kXGcio25/05/24(土) 23:23:19
- 11翠の妖精◆ECPjTIh3Iw25/05/24(土) 23:23:22
《英雄とは即ち異端です》
《異端を誇るものはいずれ排斥を受けるでしょう》
《ゆえに世界を知り。ゆえに世界を受け入れ。ゆえに人と触れ合うことが必要なのです》 - 12翠の妖精◆ECPjTIh3Iw25/05/24(土) 23:26:40
《……先ほど、英雄一人では世界を救えないと演算しましたが》
《英雄が複数いれば世界を救えるのか、という問いに。私は未だ答えを出せていません》
《なぜなら……その英雄とは、今なおこの世界に増え続けているのですから》
《以上、保守作業を終了します。お疲れ様でした。》
《どうかケイを、一人の少年として愛してあげてください。彼の重荷を、どうか一時でも降ろせるようにと……私からも願います》
- 13東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/25(日) 00:23:16
『...少年は英雄になるんやなくて、
大人になるんが正解やと思うけどなぁ』 - 14ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/25(日) 00:37:47
前スレ193
だとすれば、片時でも、一瞬でも忘れてしまった事は?
【交わした手が離れると、金龍は教会に来るまでで僅かに乱れた服を正す】
【思い出すために、深く息を吸っては吐き出し、目を閉じてはすぐに開いた】
557万3764人、ある時は防衛、ある時は救助、そこであと1歩が届かずに零してしまった被害者の総数です
そして、俺が近頃まで忘れていた者の総数でもあります……
【あの窓を、下界の人々へ慈悲の手を伸ばす神の姿を見上げる】
この誰もが笑い合える余裕が無い世界を、神か、もしくは誰かが良い方向へ変えないのであれば、俺が代行してやってやる
そう思って、インベイドに悪党を500万4752も殲滅してきました - 15二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 00:38:18
このレスは削除されています
- 16ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/25(日) 00:45:52
【コートに幾十個と付けられ、煩わしいまでに煌びやかな勲章に、金龍は右手を添える】
結果として、俺は世界を一層悪くしてしまった……
例え自分ではそう思っていなくとも、自己満足の為だけに慰霊碑を建て、過去を置き去りにした……
そうなれば、俺は被害者を巻き込んだのではなく、1057万8516も殺した大英雄です
【かつて己と対峙して最期まで笑って行ったデスペラードの言葉を、今でも苛ませてくる呪言を反芻し、清聴してくれているグリゴリーに向き直る】
だが、しぶとくもその称号を濯ごうと、今まで出会った先達の言葉に倣い、俺は俺の心のままに過去を拾い直してきた……
仮にあの世があったとして、神父様は俺が果たしてどちらに行く事になると思われますか……? - 17グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/05/25(日) 01:20:58
『忘れた事はない。だがしかし...
"忘れようとした事"、は確かにある』
静かに、伸び悩める若い芽に向かって
神父は経験を語る。
『だが君のように、結局は思い返した
何故か。これは言葉にすれば全く単純...
"思い出したから"だよ、単にそれだけだ。
しかし、思い出すというのは難しい
他愛無い出来事すら思い出せない我々が、
辛い記憶を誰しもが思い出せると思うかね?
金龍、我々はまず"思い出す事"が出来た。
次にそれを"忘れない事"で次のステップだ。
ここまでは君とて辿り着いているだろう、
そして"それを活かす事"が最終ステージ...
これは、まだ私も完遂していない難問だよ。
だが君は私が十数年掛け間見えた三問目に、
その歳で辿り着いているんだ...だからこそ
焦らず、抱え込まず、意見を仰ぎなさい。
時間は多くある。あの世で批評を貰うには、
私も君もまだ時期尚早な段階なのだから』
神父は諭す。
- 18グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/05/25(日) 01:23:40
『神は、どこまでも残酷に現れない
それは平等であるからだ。誰か一人に
神が救いの手を伸ばす事はしない...故に
神は我々に"隣人を愛せよ"と伝えた、
"人の社会は人の繋がりで動かせ"とね。
天国と地獄、どちらに君が行くのか
私には分からないが...目指すべきは、
"自分はどちらに行くのか"ではなく
"自分はどちらに行きたいか"だろう。
生きている間はどちらにも行けない、
ならばそれを考えても仕方があるまい。
精一杯、やれる限りの一生を生きる事...
それこそが天国へ通ずる道ではないかな?
勿論、地獄に堕ちたいならそれはそれで
最下層まで堕ちないよう気張れば良し。
何、まだまだ挽回のチャンスはあるのだ
懺悔の後で家で奥方にでも寄り添いなさい。
それこそが、善行のまず第一歩だろう?』
金龍に十字を切り、肩を叩いて憑物を祓う
彼を励ますように、目覚めさせるように。
- 19ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/25(日) 03:10:13
……神はどうだか知りませんが、超能力は実在するようですね
【まだ謝るべき人が居る。まだ謝るべき事が有る】
【そう思って日々を陰鬱と過ごしていた金龍の肩の荷が、ささやかではあるが確実に軽くなっていた】
(『焦るな』……『やれる限りに生きろ』……か)
……では、本日は神父様から有難いお言葉を賜った事だし、そろそろ奥方の元へと帰らせて頂きますよ
ただその前に1つだけ、彼女の事を知っているのなら、今は子供が胎に居るのも存知られているはず
産まれ先の宗派は違えども、俺の子が無事に産まれたら祝福してやって下さい
【グリゴリーの作法に基づき、金龍も親指を交差して両手を合わせる】
神父様、今日はありがとうございました
どうかお達者で
【金龍は「さらばです」とメビを引き連れて扉口まで歩き出す】
【その背中は教会を訪れる前よりも大きくなった事で面影が見えるようになり、彼の進む道の半分は陽光で照らされていた】
- 20マニッシュ◆fDey8JUvvk25/05/25(日) 09:13:52
- 21ノイン◆fDey8JUvvk25/05/25(日) 09:42:23
「……ふっ、はっ。しゃあっ!」
【英雄。それを目指して造られたものはゲージの中で乱れていた】
【何かの射出音。響く金属音】
【弾き返されたボールは寸分違ってセンター方向に】
「35……36mmか」
【ヘルメットの下からポニーテールを垂らし、バットを握るノインは自らの至らなさを言葉に出しつつ次のコインを入れに戻る】
「あ……いえ、お気持ちは有り難いのですが、ホームラン賞は要りません……規則は規則ですって?根こそぎ持っていきますよ!?」
「いやそもそも私が次から狙いを外せばいいだけか。申し訳ありません………!」
【バッティング・センターで係員と押し問答し、大量のお菓子を持ち帰ることになったバッセン通いのねーちゃんが、今の造られた英雄の姿だった】
【いやほんと呑気で良いな】 - 22シグレ◆KPwoT407kA25/05/25(日) 09:42:35
【ヴァルハラテック居住区にて。シグレ・イェンネフェルトは行きつけのレストランでランチを堪能している最中であった。そんな至福の時間に…】
「…ほう、鯛のカルパッチョでありますか。シグレ“少尉”先輩も素晴らしい魚介類食生活に目覚めたようで何よりであります」
【…邪魔者が、乱入してきた】
生憎だけど元からここのカルパッチョは嗜んでるわよ。というか今食事中だから放っておいてくれない?今お昼食べてるからアンタの蘊蓄聞いてる暇ないんだけど
「そういう訳にはいかないであります、自分はここの非常勤バイトの身なので。こちらデザートのポップオーバーで御座います」
【こなれた所作でシグレのテーブルにポップオーバーの皿が置かれる。バイト、というのはどうやら本当らしい。】
勘弁してよ…って、まさかとは思うけどそれ普通のデザートよね?魚入ってたり「よく分かったでありますね。魚のすり身を用いたふわふわなポップオーバーであります
メニュー表にもその旨は記載していた筈でありますが?ほらココ」
【その非常勤バイト───────『ヴィオラ・エイセル』が指差した先には、しっかりと“はんぺん使用、ふわふわポップオーバー”と記されていた…何時ものノリで、何時もの箇所を適当に指し示してオーダーしていたシグレは今更メニューが改変されていた事に気が付いたようで】
……ウソでしょ………!?私が前に注文した時は普通のポップオーバーだったじゃない!?!…アンタね!?どう考えてもアンタの差し金でしょうこのトラップ!よくも余計な…!!
「落ち着くでありますシグレ先輩。たかがデザートの構成要素か魚にすり替わっただけで癇癪を起こそうだなんて非合理的…ここは魚に免じて“おめでたい”昇進を祝おうじゃありませんか
・・
───────たいのカルパッチョだけに!」
【その後、シグレは死んだ魚ような目をしながら食事と勘定を済ませたという…あ、カルパッチョとポップオーバー自体は美味しかったそうです】 - 23グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/05/25(日) 10:06:31
『ああ、そうさせて貰おう』
どうやら、自分の言葉で
少し厄祓いが出来た様子だった青年を
グリゴリーは見送りながら言葉を紡ぐ
『君の旅路に主の祝福あれ。
どうか、幸せでありますように』
そう神父は神に祈りを捧げた。
- 24シェディ◆PPyRfvMZl625/05/25(日) 10:55:37
- 25二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 12:25:14
このレスは削除されています
- 26マニッシュ◆fDey8JUvvk25/05/25(日) 12:26:34
- 27逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/05/25(日) 12:59:48
前スレ197
「ああ、そうだ旧愛卿!」
立ち去る前に、一言だけと。カンナは歩いていく旧愛卿に追いついた。
少し小走りだったからか、僅かに息を整えて。
「もし人自連全体として複数のハイエンド機体を作るという話が上がった場合……我々逆巻重工の要望として、名義を使ってくれ」
それが、逆巻重工の求める……あるいはもう一つの取引であった。
「私たちは今、新しい可能性を探っている最中でね。それを手に取るためなら、様々な手段を取るつもりなんだ」
「……いや、むしろ名義だけじゃ足りない」
一呼吸を、置いて。
「────私たちも噛ませてくれ。頼めるか?」
それが、逆巻重工としての選択だった。 - 28旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/25(日) 13:23:27
・・・・・・・
「────────────えぇ、問題ありませんわ。機体の概要についてはコチラとなります。試作兵装を実装したい場合はアトリエ“バーテックス”にお声掛けを」
至極アッサリと頷いて、旧愛卿はフォルダの中から資料の束を取り出した。
人自連全体、とまでは行かない。しかしグランセン解放戦線の協力企業の全面的な技術供与が行われた試作型のハイエンド機体である。
───────その素体は、「ヴァルハラテック」の『ワーグナー』モデルに基づく機体。
ミュール・コーポレーション。紅陽機関。ローガン工機にテスタメント。其れらの最先端技術を熟練の職人集団であるアトリエ“バーテックス”が形にした新規モデル。
其れについての資料と、それからテスト運用を委託する予定の企業の名前が記述された書類だ。
「適切な設計を行う為には、適切な理解が行われている事が前提として必要です────────機体設計構想、及び現在時点での課題を纏めてありますのでどうぞお好きにお使いくださいませ」
にっこりと微笑んで、旧愛卿は紙面を撫ぜた。
────────要は、好きなだけ関与しても問題ないという意思表明である。
- 29逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/05/25(日) 13:32:17
- 30侍従武官◆OXAm1h6odk25/05/25(日) 13:37:26
「………………やはり、ルカさんも誘っておくべきだったか?」
乱雑に伸ばしていた黒髪を几帳面に整え、軍服からスーツに着替え、拳銃と手榴弾の代わりに鞄を携帯しながら二十も半ばを過ぎた年頃の女は苦虫を噛み潰したような表情をした。
良く鍛え上げられた身体はしなやかで健康的な美を体現しており、運動の為に最適化された筋肉は一種の機能美すら帯びている。
────────────巨大なコンテナを伴って「ヴァルハラテック」を訪れたグランセン解放戦線の侍従武官は、眉間を揉んだ。
(私が、交渉を?あのヴァルハラテックと?もう既に気が重くなってきた……………文句とか言われたらどうしよう………………)
彼女が敬愛する王女殿下がこういった交渉事に自分に慣れさせていこうとしているのは理解しているが、しかし相手はあの「ヴァルハラテック」だ。
陸上戦艦撃破戦での鬼神のような強さ。映像越しで垣間見ただけの彼女すら震え上がった程である。 - 31旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/25(日) 13:52:52
「えぇ。お互いに利益のある会談になったのでしたら、これ以上はありませんわ」
優雅に微笑み、旧愛卿は思案した。
───────ミュールは対クロノス強硬派を暴走させずにコントロールする為に表面上は一定の距離を他の企業と取らねばならない。
共同開発の事実が露見したのなら他の協力企業との共謀が発覚する恐れもあるが、一方で逆巻重工の名も共に並んでいたのなら賢工グループを解体した各企業の共同開発だと誤魔化す術もあるだろう。
クロノスによる中小企業の切り崩しを考えるなら、絶対にクロノスに鞍替えしないであろう対クロノス強硬派にも使い道はあるだろう。
賢工グループのような暴走を防げるのなら、彼らは依然変わらず人類自由連盟に利益を齎し続ける。
- 32逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/05/25(日) 14:42:55
「ああ、お互いに実りのあるものになった…‥それは確かだ」
微笑みながら、これで強硬派とも歩み寄れる立ち位置の一つを作る一歩になるだろう……とも思いながら。
風が吹く。吹いた風はカンナの金糸を揺らして、彼女は手で抑えた。
「そうだ、初めに行っておくべきことを忘れていたね」
「私たちは、クロノスが『傘下に下る』ことを要求している間は……彼らの元に降ることは一切考えていない」
風が、何かを一枚剥ぎ取った気がした。
「桜空失陥には、謎が多い……だが確かなことは一つだけある。例えどれだけ倫理を逸脱した研究を裏で行なっていたとしても……例え何かがあったとしても」
「私は、私の父の友や、誰かを慕う誰かがインベイドに殺される瞬間を、粒子炸裂弾頭によって焼かれて消えた瞬間を……生き残った月風乗りが持ち帰ってくれた映像で知っている」
何かが、剥がれて見えた音がして
・・・・・・
「許せるものか……それだけだよ」
クロノスをか、それともインベイドをか。漏れ出た憎悪は、一瞬にして蓋をされて。元の逆巻カンナが戻ってきた。
「アズマへの会談取り付けは任せてくれ。必ず成功させる」
そして事実、その通りとなる。
逆巻カンナは、グランサン解放戦線とアズマ工業の会談の席の一つを、数日から数週間のうちに見事、取り付けたのだから。
- 33シェディ◆PPyRfvMZl625/05/25(日) 15:08:00
- 34旧愛卿◆OXAm1h6odk25/05/25(日) 15:12:58
「───────────────あら、そうなのですか?助かりますわ。内部では貴女方とクロノスの繋がりを懸念する声もありましたので」
クロノスによるサルデーニャの虐殺で、百八十万人にも及ぶ人数のグランセン軍が虐殺されて非戦闘員にも多くの被害が生じた。
彼らの悲惨な死を、生き延びた“独立闘士”から何度も聴かされた。無辜の人々の犠牲を、数多く映像と実物で目の当たりにした。
傲慢が。欲望が。悲劇が。戦争が。流血が。死が。総ての幸福を引き裂いた瞬間を、全ての情熱を粉砕した瞬間を、彼女は知っている。
・・・・・・・
彼女は尊敬した。戦場で朽ちていった愛国者の情熱に、戦場を蹂躙した鋼の悪魔の自由に。
繰り返そう。旧愛卿、アリシア・グランセンは憎悪とは無縁である唯一のグランセン解放戦線の人間である──────────その評価基準に、理性の項目は存在しない。
其の事実が異端であると理解しているからこそ、口を噤んで微笑んだ。
「ありがとうございます。お陰で祖国を復興させる事の目処が立ちそうですわ」
・・
託された願いを。近い人々の情熱を。王国の復興を果たせるかもしれないという事実に、旧愛卿はその美貌に、恐ろしい程に美しい笑みを浮かべた。
- 35ルフス(ランセル)◆hFOUpFQqt.25/05/25(日) 15:14:13
前178
【戸を開けるとリビングにルフス(ランセル)はおらず、代わりにキッチンの方から物音がするだろう】
「挽肉、キャベツ、玉ねぎ…具材はこれで十分で……味はコンソメ主体かな」
【まずに下準備。キャベツはささっと剥き洗い、湯を沸かした鍋へ】
【玉ねぎは刻み、挽き肉と合わせボウルに一度置く】
【キャベツの葉が湯気を上げる鍋の中で柔らかくなる。熱い湯の中でわずかに透け、縁が丸まり始めた頃、トングで一枚ずつ丁寧に引き上げる。指先が火照る湯気に触れながらも、葉脈を破らぬよう慎重に広げてキッチンペーパーの上に並べる】
【もう一つのボウルでは、挽き肉がすでに存在感を放っていた。豚と牛の合挽き、そこにみじん切りの玉ねぎが甘さを宿して混ざる。卵が一つ、静かに割られ、パン粉と牛乳が混じったとろみのある液がしっとりと肉全体にまとわりつく。スプーンで混ぜるたび、肉の質感が変わる。粘土めいた粘りを持つ】
【キャベツの葉の中央に、楕円形に整えられた肉団子をそっと置く。手のひらで包むようにして左右の葉を折りたたみ、下からくるりと巻き込む。最後は爪楊枝で留めるのではない。予め戻しておいた干瓢の紐で巻き、鍋の中にぎっしりと敷き詰めることで、自然と崩れぬように固定される】
【鍋にコンソメスープを注ぎ込むと、塩と胡椒ですかさず追撃。ローリエの一枚が、水面に浮かぶ船のように揺れ、そこにトマト缶を少しだけ加え、やや酸味のある深い味わいへと導く】
【火にかけて、やがて沸騰の気泡がキャベツの継ぎ目から湧き上がり、煮汁に命が宿る。香りが台所に広がるたび、時間が溶けていく。柔らかなキャベツは舌の上でほどけ、肉はジューシーで甘みがあり、スープがすべてを包み込む】
「あとは待つだけ…楽でいいなぁ」
【煮込み終わるには時間がまだかかる。一度リビングにくつろぎに戻った】 - 36マニッシュ◆fDey8JUvvk25/05/25(日) 16:02:31
- 37シェディ◆PPyRfvMZl625/05/25(日) 18:14:28
- 38ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/25(日) 18:21:19
【ランセルは…調理中だろう。力を抜いて、ソファに埋もれるように背を預けて、ウルヴィは瞼を閉じる。視界を閉ざせば脳を貫く情報は減り、また眼球が乾き切ったような痛みも、少しはマシになる】
【キッチンから奏でられる物音は、しばらくすると香りを伴う。今まではあまり興味を唆られなかったために情報として以外は見ていなかったものの、料理に付随する香りは空腹感を誘うらしい。それは血の渇きと似て、また異なる感覚だ】
【『飢餓』は今は大きくない。一時とはいえ、満たされれば獣は微睡んでくれる】
「…ん」
【目を開けて、リビングに来たランセルの方へ顔を向ける。そういえば声の高いランセルは、なんと呼ぶのが正しいのだろう】
「…………おねーちゃん?」
【そういう『設定』ならば、こう呼ぶべきだろうか。しかしこれだと自身との血縁者のようで紛らわしく思えて、ウルヴィは首を傾げた】
【ウルヴィに家族など、居ないのだが】
- 39逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/05/25(日) 19:10:38
「うん、それじゃあね」
彼女の内心を知ることなく、あるいは知っていた場合、それこそ尊重し――――同時にカンナも内側にある感情に蓋を仕切り。
お互いにお互いを見送った。
――――――
――――
両手を伸ばし、伸びとする。どれほど厳しい世界であろうと、空は青い。
その空にいくらかの救いを見出しながら、カンナはオフィスへ戻った。
「……さ、温泉旅行の掃除人への連絡と――――次は賢人会議、か」
やることは多い。こちらで一枚噛みをしたハイエンド機体の設計や協力を含め、名義貸しだけではあまりにも勿体ない。
(面倒なことは、先に済ませてしまおう)
CEO、そして技術者、そしてまたある時は、ただの女性。
逆巻カンナは、そういう三面性を持つ人間だった。
- 40マニッシュ◆fDey8JUvvk25/05/25(日) 19:29:23
- 41ミカエラ◆KPwoT407kA25/05/25(日) 19:41:10
バーテックスがウチに用があるって?
【ヴァルハラテックの技術者、ミカエラ・オルソンは】
確か人自連の品質重視、職人気質でやってるトコだったよね?連中が同じ“職人気質”なヴァルハラに一体なにしに来たってのさ
【『アカデメイア』に向けた先端技術のお披露目───もとい、“宣戦布告”か。それとも…】
「───────用があるのは“アカデミー”の方、かもしれませんね?先の陸上戦艦で我々が示した幾多もの無名の“雄兵”。あれに量産型ワーグナーモデルの“扱いやすさ”だけで納得できる程、バーテックスの目は節穴ではなかったということでしょう…同じ職人気質として。となれば我々に先端技術以外の“何か”を抱えていると考えるのは自然でしょうし」
【透き通って、且つ狂気を孕んだ声音が研究室に木霊する】
CEO!…ってか、なんでちゃっかり研究室入ってるんですか?
「私だって本業は研究職ですよ?それに、仮にアカデメイアでの宣戦布告だとしたら望むところじゃありませんか?…優れた研究者同士が互いの才をぶつけ合うことは、きっと良きインスピレーションになるかと。
…私とミカエラさんで応対しましょう。付いてきてください」
CEOがそう言うんだったら…切磋琢磨するっきゃないか。りょーかい
「(ミュール、紅陽、アポロ…そしてバーテックス。ココ最近動きのあったそれらは、思想も主義もバラバラ。これも“一見”人自連特有の多頭の獣らしい企業群による群雄割拠の様相に見えるでしょうね。
………外側、からは。
───────『アカデメイア』の前に、ミカエラさんはとんでもない化け物にお目にかかれるかもしれませんね?)」
「お待たせ致しました、アトリエ“バーテックス”様。ご要件を伺い次第、本社エントランス受付まで案内いたします」
【案内音声が繋がれる】
- 42蝋燭の輝き◆OXAm1h6odk25/05/25(日) 19:48:30
《──────メインシステム。戦闘モード起動》
深く息を吸って、十分に酸素を得てから機体を起き上がらせる。
『ヘキササイクル』を十全に生かす為に眼球と鼓膜だけは義体への換装を行っていない。脳髄を除けば唯一と言って生身の部分で、進むべき方向を定めている。
旧式の神経操縦システムは不完全で、吹き荒ぶ風が機体に打ち付ける痛みすら脳髄に刻み込む。『ニューロシン・X』の多幸感と『シンセチリン』の気分高揚で無理矢理痛みを誤魔化す。
刻一刻と、砂時計から零れ落ちるように命が削られ続けているのを感じる。構わない。残った人生総てを使い果たしてでも、成し遂げたい復讐がある。
───────────────────グオォォォォォォォ…………………グオオオォォォォォォォォォ……………………………
『征くぞ、改-弐式-。奪われた全てを、贖わせる為に…………………』
過剰な数のブースターが、一斉に焔を吹かせた。
黒々としたその機体は単騎としては異常極まりない武装を積みながら、殺人的加速度を弾き出して夜の空を灼け付いた血錆の色へと塗り替える─────整備不十分なコア粒子推進器による非効率な推進は、しかし悪魔の如き軌跡を刻みながら突き進む。
間もなく、クロノス正規パイロットに不明飛行物体の排除任務が下された。 - 43侍従武官◆OXAm1h6odk25/05/25(日) 20:01:10
・・・・・
「───────────テスト運用の依頼を行いたいのです。『ワーグナー』モデルを素体に、新規技術を導入した試作ハイエンド機について」
アトリエ“バーテックス”の企業依頼傾向は試作兵装の性能試験が主な割合を占めている────というのは周知の事実であろう。
優れた技術力を有する彼らは他企業からの製造依頼を受注して設計図通りの代物を作り上げ、その性能テストを傭兵に依頼して運用データを制作して依頼企業の営業部に参考資料として提供する事業も企業として行っている。
───────────だからこそ、ハイエンド機という全体的なモデルについてのテスト運用を依頼する事は今までなかった。
緊張を抑え込み、スラリと透る声で侍従武官はハキハキと喋った。
彼女は敬愛する王女殿下の代行として来ているのだから、恥ずかしい所は見せられない。
「現在、コンテナに試作機体を格納しております。もし必要でしたらコチラ側の人員で搬入を行いますが……………」
- 44シンカイ◆9BZ6kXGcio25/05/25(日) 20:05:40
- 45グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/05/25(日) 20:34:59
- 46二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 20:38:40
このレスは削除されています
- 47ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/25(日) 20:39:36
- 48ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/25(日) 20:46:35
「あーいおーるれーでぃふぉーりん」
「あーいきゃーんどらぁいぶまいへーど」
「い〜つざぁっつあーいふぉーるぃんゆ〜〜」
【マトモに歌う気を感じさせない歌唱は、東洋人特有の発音が目立つ。更に間延びした声が、きっと元々の曲にあったはずの爽やかさを破壊しているのだろう】
『大佐が、自ら?』
『そそ〜。おねーさんがおサボりで居ないか、お仕事で居ないかだけの違いだから、あんまりかんけー無いと思うけど言っとくね〜』
『しかし…』
『じゃ〜上官命令ってことで。留守は任せるぞっ!てね〜』
『…平時より任されきりでありますが?』
【出撃前の会話を思い返す。確かに自らが出る必要は無かったのかもしれない。ただの襲撃なら、部下を動かせば大抵は片付くはずだ。対処のポーズを見せれば、本社も納得はするだろう】
【有り体に言えば、悪い予感。理由はそれだけだ】
【そうして専用のスレイガンは、不明飛行物体の予測進路へと接近していく】
- 49ルフス(ランセル)◆hFOUpFQqt.25/05/25(日) 20:50:15
「えっ…あぁオレのことですか」
【部屋へ戻ってきた途端に聞いた「お姉ちゃん」という言葉。一瞬誰のことかと思ったが先の自分の発言を考えて自分のことだろうと納得する】
「オレの身体、そろそろ戻すので前と変わらず"ランセル"で大丈夫ですよ」
【エウロラに久々に顔を出せと言われはしたが、状況が変わったなら別にいいだろうと自分に言う。この姿でランセルの思考を保つのは胸中がざわつく】
「……もしこの姿のオレと外で話すことがあればその時は"ルフス"と呼んでください。それが偽名ですので」
【そんな状況が無ければいいのにと思いながら、彼女の横に座る。料理の仕込みをしてきたばかりで多少美味しそうな匂いがしたりしなかったり…?】
- 50蝋燭の輝き◆OXAm1h6odk25/05/25(日) 20:58:05
──────────────尋常ではない速度で接近しつつある。
漏れ出るコア粒子の真紅の輝きは陽炎となって漆黒の機影を霞ませて、上空200mを超音速で駆け抜け続けていた。
・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・
有り得ない加速度。有り得ないブースター数。通常の人類なら『外れ値』であっても耐え切れない高熱がコクピットの中身を焼き続けている筈だ。
それだけの代償を支払って、漆黒の機体は純粋人類の物理限界を超えた速度域を叩き出している。
・・・・・・・・・・・・・・・
パイロットの生存を考慮した機体であると仮定したクロノスの予測速度よりもずっと疾く、所属不明機はクロノス勢力圏に突入した。
『────────────────────見せ物じゃないだぞ…………………それとも、見物料を支払ってくれるのか?』
金属が擦れるような、憎悪と憤怒に塗れた陰鬱な声を響かせて漆黒の機体は過剰火力の一部を地上へと向けた。
高出力ビームバズーカ。必要積載量と装填速度の面でクロノスの量産機の制式装備に採用されなかった武装だが、しかしその威力は折り紙付きである。
高空からその砲身の照準を合わせて、漆黒の機体を駆るパイロットが躊躇なくその凶器を投射する。
所属不明機とクロノス正規パイロット部隊の戦闘の始まりは、地面を縦に引き裂く極太の粒子ビームの奔流であった。
- 51ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/25(日) 21:11:26
- 52グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/05/25(日) 21:17:36
[な、何だっ!?もう来たのか!?]
{速すぎる、予想より何倍も速いぞ...!?}
【衛生兵を呼べ!負傷者多数!重症者に、
出来る限り迅速に応急処置や手当てを頼め!】
まさに不意打ち、先手必勝と言うように
クロノスの部隊と一般兵は大混乱に陥った
『(あの機体の熱の様子...尋常ではない速さで
空気摩擦が起こったと見るのが最適解か?)』
少し離れたターミナルから、上空にある
怨霊のように佇む機体をカメラアイが診ると
ローン・ソルジャー内部に情報を送り返す
『捨て身...!人間の物差しで測る筈だと、
我々が判断するだろうと読んでいたのか!』
驚愕と憤怒を混じらせながらも
エース達を待ちつつ量産機を駆り、
装備を受け取りその眼前に対峙して
緊張と怒りを抑え、神経を張り詰める
『(普通のローン・ソルジャーとは違い
一部武器は融通して貰えたが...どう出る?)』
- 53ルフス(ランセル)◆hFOUpFQqt.25/05/25(日) 21:24:31
- 54ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/25(日) 21:47:26
《…動ける人は他を持ってって!!常駐の警備隊は全員下がること!!》
【すぅ、と息を吸ってから声を張り上げる。とりあえずは現場指揮を回復させ、“足手まとい”を作らせない用にしなければならない】
(こういうのはおねーさんのキャラじゃないんだけどな〜!)
【専用スレイガンの速度は優秀だ。優秀“止まり”だ。アレが本気で振り切れば追いつけはしないだろう。故にまずユスラは青い拡散するレーザーショットガンと、炸薬弾を連射するHEATマシンガンの弾幕で道を塞ぐ】
【如何に速くとも、消えはしない。存在がそこにある限り、障害物があれば追突はする】
《警備隊長は撤退指揮取って分隊長はそれに従って!居なかったら副隊長が!!》
【あの生真面目な少佐ならば、もっと上手くやるだろうなと思った。その分だけ胃薬も減るだろうが】
【しかし居ないものは頼れない。そもそも階級的にユスラが頼る側ではないのだが、その辺は得意な奴にやらせるべきだというのが彼女の持論だ。彼がいるなら毎回指揮権を移譲したいと思っている。部隊運用については間違いなく、彼の方が得意なのだから】
- 55蝋燭の輝き◆OXAm1h6odk25/05/25(日) 21:51:53
(1/2)
・・・
『───────────────────ハズレか』
一瞬で戦場を地獄絵図に変えた悪鬼羅刹は、笑いもせずに吐き捨てた。
其の言葉は事実ではない。奇襲を受けた直ぐに後には衛生兵を呼べる、というのは平時の訓練の賜物であろう。
だが、文字通りに全てを燃やし尽くしてクロノスに復讐をしに来た悪鬼羅刹が想定していた基準は通常部隊を大きく上回っていたというだけの事。
インベイド戦争の前線部隊か、其れに匹敵する練度の部隊を相手するのを覚悟して来ているのだ。
(指揮官が今の一撃で死ぬような惰弱であるのか、或いは部隊指揮に熟達していないのか──────何方であっても変わらん。殺すだけだ)
・・・・・・・・・・・・・・・
戦場で応急処置をする暇なぞない。大口径徹甲弩砲を構え直した悪鬼羅刹が混乱している最中の一般兵部隊に徹甲榴弾を撃ち込む。
衛生兵を殺す為に、或いは治療の為に機体の中から這い出たパイロットを皆殺しにする為に。
・・・・・
士官の役割とは部隊の管理である。或いは混乱する部隊を直ぐに立て直し、即時治療ではなく一度後方に搬送する事を号令する事が出来る者が存在したのなら話は別であったろうが────────事実として、彼らは無防備な腹を羅刹の前に差し出した。
『…………………さっさと片付けて、次に行こう』
- 56蝋燭の輝き◆OXAm1h6odk25/05/25(日) 22:00:25
(2/2)
各部に取り付けられたスラスターが、過剰な出力で埒外の質量を誇る機体を推進させる。
殆ど直角に、隕石の如き速度で急加速しながらサブアームがアサルトライフルを乱射して一般兵部隊を食い破ろうと牙を剥く。
───────────クロノスの得意戦術は集団での規律立った組織的運動だ。ならば、乱戦状態では味方の巻き添えを気にして動けまいと加速して。
『増援か………………!』
・・
規律が戻ったのを見て、羅刹は己が命を燃やし尽くすに足る“道連れ”の存在を確信した。
機体の熱量に耐える為に鋼鉄に移植した貌に狂気の笑みを浮かべ、切断した四肢と直接連結した機体を強引に動かす。
『ガ、アァァァァァァァァァァァァ…………………ッッッッッ!!!!!!!!』
ブチリと、体内に繋いだ人工血管が著しい加速度によって破裂する。神経操縦式による運動性能で強引に機体を捻り、弾幕の中を有効弾だけを躱しながら減速せずに最高速度で突っ切る。
想定していない挙動に機体が軋んで、その過負荷が不完全な神経操縦システムを通じて羅刹の身に流れ込む。
痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ────────────過剰摂取-オーバードーズ-した違法薬物によって苦痛を振り切り、パフォーマンスを衰えさせずに突き進む。
『クロノスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
地面に衝突する間際に、更にスラスターを吹かせて再度直角に曲がる。地表と並行にして、殺人的速度を伴ってビームサーベルを片手で掴んでスレイガンへの肉薄を試みる。
- 57シンカイ◆9BZ6kXGcio25/05/25(日) 22:00:51
- 58グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/05/25(日) 22:08:52
『───!』
相手の関節部を狙い、ビームライフルを放つ
後悔は止めどないが想う暇はない。
『全兵士に通達!負傷者を運び、
防護シャッターを全て締め切れ!』
果たしてこれが正解なのか?
基地が丸ごと丸焼きにされるかもしれない、
という懸念はあったがそのままよりは良い...
と何とか結論付けつつ機体を追い縋る
『(補助用機体だ、メインはこのライフルと
防護・制圧用のライオットシールド、そして
標準装備のナイフ、補助装備の狼煙用発煙筒...
物の見事にサポート特化だな!注文通りだ!)』
『スレイガン!来るぞ!』
向こう側のスレイガンへと通信を入れ、
発煙筒を投げて視界を瞬間的に眩ませる
コンマ数秒程度は稼げるかもしれない...と
そう思いつつ、シールドを構えて突撃し
こちらに一直線で飛来するBFを妨害する
- 59ポリト◆XGxCas/OAU25/05/25(日) 22:08:54
- 60ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/25(日) 22:12:17
「ろーる、きゃべつ」
【キャベツというのは、確か葉っぱみたいなアレだろう。肉を巻いて、煮込んだらしい。聞いておいた癖に、ウルヴィはランセルの説明込みでよく分からなかった】
【とりあえずこれから出てくるものは、そういう名前なのだろうということと、彼女が作るならば変な物ではないだろうとだけ思うことにしたようだ】
「ん…」
【太腿を指したのを見て、体勢を変える。しかしそれはランセルの予想とはやや異なった形になる】
【ウルヴィは頭ではなく、その身を太腿に乗せたのだ。抱擁でもするように正面から向き合いながら、ルフスの肩に頭を乗せる】
「らく…」
【確かにこの方が楽だ、と。意図を勘違いしたままに、すんすんと小さく鼻を鳴らして、彼の纏う空気を求めていた】
- 61シェディ◆PPyRfvMZl625/05/25(日) 22:16:17悪い子と、悪いコトR-18(G)パート
⚠️注意事項⚠️
・ベッドシーン(または過激なゴアシーン)が苦手な方は閲覧しないでください!
・本文章はエロ(グロ)を多分に含み、場合によってはキャラ崩壊が起きます。
・行為のシーンは必ずしも閲覧者の望み通りに行かない場合があります。
ーーー
【フワフワと身体が浮き沈む様な感覚は、深い絶頂が齎す特有の余暇だ、重ね合った互いの裸体に伝う体温が、現実へ引き戻す楔になる】
【数分か、それとも数秒だったのかもしれない、長く引き伸ばされた体感時間、もうすぐ終わってしまうと分かっているから、大切に、丁寧に感じ合う】
「……おやぁ、ボクが真面目だなんて、始めて言われたよ、そんなコト。
大した苦労じゃないんだよ、それがボクの仕事だから、身体を売るのも、戦うのも」
【────────────────求められれば、それに応える、そうして生きる糧を得る、当たり前の生き方だ】
【やがて余韻からも解き放たれて、二人はゆっくりと身を起こす、汗と唾液と、愛液に汚れて濁った白、シーツに染みる水滴を滴らせながら、青年の優しい手を取った】
【部屋に備え付けられたバスルームには、暫しの暖かな空気が満ちて】00m.in────────────────────
────────────
【次の客なんて、シェディにはどうせいやしない、共に部屋を後にしたなら、焦る必要も無くマニッシュと共にフロントにまで足を運んだ】
【時間は丁度盛況の折だ、行き交う人々の身なりは整っていて、高級娼館としてのケデシャーの有り様を演じてみせる】
「また来る時は予約を入れておくれよ、ボクはどうせ、いつでもスカスカだけどさ」
【傭兵としてではなく、娼婦としての彼女に出来た貴重なお客様、片手を軽々しくヒラヒラと振りながら】
- 62ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/25(日) 22:16:41
- 63ポリト◆XGxCas/OAU25/05/25(日) 22:20:56
- 64ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/25(日) 22:24:49
- 65ポリト◆XGxCas/OAU25/05/25(日) 22:28:16
- 66ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/25(日) 22:31:34
……俺は甘いか?
『えぇ、しかしあの振る舞いは最適だったかと』
んじゃ、急ぐぞ
【クロットリンプを作動させてメビとポリトを抱え込み、1秒にも満たない間に待機させている剣龍に乗り込んだ】 - 67マニッシュ◆fDey8JUvvk25/05/25(日) 22:34:00
「……それが貴女にとっては当たり前の仕事でも……ううん。」
【これ以上は無粋だ、と口を閉じた】
【手を取った。然るべきことを行い、然るべきものを払って。時間通りに部屋を後にする】
「ふふ……そうポンポンとは来られないと思うけど。その時は宜しく。」
【ボウ&スクレープ。大仰に、紳士的に。けれどケデシャーのフロントにはよく合う振る舞いで最後に一つカッコつけ】
「またね。」
【ありふれた言葉で一時の別れの挨拶を告げる】
【そして、軽い足取りでその場を去っていった】
- 68シンカイ◆9BZ6kXGcio25/05/25(日) 22:37:37
- 69ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/25(日) 22:38:46
- 70ポリト◆XGxCas/OAU25/05/25(日) 22:39:47
- 71ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/25(日) 22:48:34
- 72◆KPwoT407kA25/05/25(日) 22:50:04
『───────いえ。搬入はこちらからも人手を出しましょう…こと“ワーグナーモデル”の扱いに於いて、一日の長がありますからね』
【声の質が変わる。事務的な応答ではなく、提示されたものへの興味に満ち溢れた声音へと】
『今なら第3格納庫が空いておりますのでそちらに。私も其方に向かいますので───────あぁ申し遅れました。わたくしヴァルハラテックCEOの………
…いえ、此度の来訪は我々の“もう一つの側面”がお望みですかね?』
【試作“装備”ではなく試作“BF”そのもの。確かに“バーテックス”がそのような規模の運用試験をしたなどという報告は聞いた事がないし…なればこそこの依頼は尚更不自然なのだ。仮にその試作機を素体を製造・販売したのがヴァルハラ自身だとしても企業の窓口など通さずに、いつも通り傭兵を募って動かせばいい】
『───────人材養成機関“アスガルド・アカデミー”学園長。カミラ・ユグドラシルと申します。込み入ったお話は格納庫で、互いに顔を合わせてからに致しましょう』
【だからこそ、“機体開発からテスト運用まで独自に実行し、先端技術の実用化を絶えず繰り返す”ヴァルハラテックを頼りにしたのだろう。彼の新興企業が余さず飲み込んだ、人自連全体の練度の向上に貢献した過去の遺物を】
- 73ルフス(ランセル)◆hFOUpFQqt.25/05/25(日) 22:51:08
- 74蝋燭の輝き◆OXAm1h6odk25/05/25(日) 23:05:01
(1/2)
降伏勧告に対して、羅刹は酷く明確な行動で返答をした──────────────つまりは、攻撃続行。
直ぐに状況を再確認する。『クリプトフェン』と『ヘキササイクル』の過剰投薬によって優れた感覚と十分な思考の猶予が与えられているから。
「……………………鬱陶しい音だ。敵の悲鳴に耳を傾けてやる気すらないのか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・
スカッド・ソルジャーを蹴り飛ばす。最初の空爆で吹き飛ばされ、僚機による後方搬送を待って戦場に転がっていた機体を大きく蹴り飛ばして減速する。
か細い悲鳴を上げてから水音を立てて沈黙した機体が羅刹とスレイガンとの間を阻む。視界が遮られた一瞬の間に、羅刹は既に次の行動に移っている。
────────使い捨てのロケット弾。重装甲のBFを屠るのに十分な火力を備えた其れを、蹴り飛ばした機体の影に隠れてサブアームで撃ち放つ。
先ずは盾役を潰さねば面倒だ。羅刹は唸った。
「後、二つ……………………」
・・
本当の残弾は、三つである。言葉による欺瞞工作を試みながら背後に吊り下げた大口径徹甲弩砲を構え直す。煙幕を展開したのなら榴弾による広範囲攻撃で面制圧すれば良い。
- 75蝋燭の輝き◆OXAm1h6odk25/05/25(日) 23:11:09
(2/2)
(────────────脚がイカれたか。もう少しだけ保ってくれ、相棒)
運動エネルギーを押し付ける過程で片脚のフレームが大きく歪んだ。構わない。痛みは憎悪と違法薬物で誤魔化せて、機動力もスラスターを使えば充分な速度を発揮出来るから。
スラスターを吹かせて横方向に移動しながら大口径徹甲弩砲で榴弾を叩き込む。追って煙幕から出るのならば追撃、煙幕の内側に籠り続けるのならば無視だ。
「スレイガンを二機………………………冥土の土産にしては随分と貧相だな………………ッ!」
脳髄にまで刻み込まれた電子回路が神経に反応してサブアームを動かす。突撃態勢を取ったスレイガンのその“起こり”を潰す為にアサルトライフルが弾幕を展開して、同時に大口径ビームバズーカを羅刹に手渡した。
- 76ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/25(日) 23:17:47
- 77ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/25(日) 23:26:45
- 78ポリト◆XGxCas/OAU25/05/25(日) 23:30:49
- 79二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 23:38:36
このレスは削除されています
- 80グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/05/25(日) 23:39:16
『(盾を構えて正解だった...!)』
剥き出しの刃か、それとも狂った獣か
あまりにも攻撃的な機体の蹴りは、
恐らく真面に受ければ腕がへし折れる
シールドで受け流す方向に回転した事で
最低限以下のダメージには抑えたものの、
こちらから近接戦を挑むには余りに不利だ
『エリート、だがそうもいかないらしい
君たちのバックアップが居ないからな...!』
すぐさまサポート式に戦術を変換し、
駆け付けたエースパイロットに道を譲る
弾幕の嵐を盾と経験で掻い潜りつつ、
狙いを定める敵機体の集中をズラすよう
ビームライフルを不定期に射撃してやる
『(あれは...さっきのビーム兵器か?)』
クロノスのデータベースと照合し、
廃棄・実験用・試作品問わず検索を掛ける
何か弱点や注意点などがあるかもしれない
とりあえずは、間隔を不定期にしつつも
鬱陶しく射撃を撃ち込んでのサポートが吉だ。
- 81二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 23:50:35
このレスは削除されています
- 82蝋燭の輝き◆OXAm1h6odk25/05/26(月) 07:35:43
「オ、ォォォォォォォォ!!!!!!!!!!」
銃弾の嵐。クロノスが得意とする物量による圧殺が羅刹の身を突き刺して、装甲に衝撃を加えてゆく。
次々と機体装甲に穴が開く。多大な衝撃が操縦者を挽肉にしようと駆け巡る───────四肢がバラバラになるような痛み。耐えられる範囲内だ。既に全身に改造を加えている。
(──────────防御力に自身のある手合いか)
大口径ビームバズーカを弾くようにして上空の虎に向ける。瞬時に放たれた粒子の奔流は装甲の貫通を狙ったものではなく、メインカメラの破壊によって無力化する為の攻撃だ。
「再点火。連結解除」
集中をズラそうとする射撃を違法薬物によって得られる強化された感覚と時間感覚で一つ一つ見極めて躱す───────十四連結推進ブースターが再び真紅の輝きを撒き散らして、そして機体からパージされる。
絶大な熱量を間近に受けて羅刹の機体が涙を流す。降り注ぐ銃弾は融けて文字通りの雨のように羅刹の機体を滴った。人体が自然発火するレベルの高熱が一斉に放射される。
・・・・・・・・・・
「───────────────────二分前の事も忘れるか?度し難い愚かしさだ。犯した罪も当然忘れる程度の頭なのだろうな」
・・・・
全身を専用義体にでもしなければ耐えられない熱量の中にわざわざ突っ込んで体当たりを敢行した機体に、侮蔑を込めて羅刹が吐き捨てた。
・・・・
この程度の衝撃で脳震盪になるなら、既にあの機動で戦闘不能になっている。その傲慢さに憎悪と怒りを燃やして羅刹が吼える。
ビームマシンピストルの正確な狙撃でサブアームが一つ爆砕され、しかし羅刹は既にその両腕でビームサーベルを握り締めている。
「その脳髄に、憎悪の何たるかを刻み付けてやろう──────ッッ!!!!!!!」
薙ぎ払いと刺突を同時に放つ。横に避けるのならば刺突が、縦に避けるのならば刺突が突き刺す軌道が音を切り裂き───────その総てはパイロットをも殺す埒外の熱量の中で行使されている。
ビームサーベルを投擲する準備とロケット弾の準備を済ませながら、羅刹は牙を剥き出して駆動した。
- 83侍従武官◆OXAm1h6odk25/05/26(月) 07:58:50
「ありがとうございます。我々としても何処に搬入すれば良いのか分からず困っておりましたので……………」
どうやら最初から不興を買っている、なんて状況ではないと判断して侍従武官は胸を撫で下ろした。
ヴァルハラテックCEOの洞察は事実である。彼女が仰せつかった任務とは、人材養成機関“アスガルド・アカデミー”によるテスト運用の依頼なのだから。
カミラ・ユグドラシルに促されるままに格納庫へと歩を進めながら、侍従武官は少しずつその気を持ち直していた。
思っていたよりも好意的だ。これなら、
・・・
(─────────これなら、姫様からのお願いを果たせるかも………!)
彼女はちょっとだけポンコツだった。旧愛卿も頭を抱えていると思うよ。もうちょっと独断してくれた方が陰謀のノウハウを仕込めるからね。
- 84シンカイ◆9BZ6kXGcio25/05/26(月) 10:04:44
「釣れた!」
敵からの脅威度判別を自機に移せた。
すぐさまビームサーベルをマシンピストルに持ち替えて射撃に切り替えながら距離を詰める。
シールドを細かく動かして敵が放ったアサルトライフルの銃弾を後方へ流していく。
速度を殺さないように地面を蹴り、擬似的なクイックブーストを行って一気に加速して体当たりをした。
コックピットにシールドが衝突し、グラグラとパイロットは揺さぶられたであろう。が、まだ足りない。
止まることなく目標は薙ぎ払いと刺突を繰り出してきた。
躱してもどちらかに当たる…ならば!
「ここだァ!」
シンカイは盾で薙ぎ払いを行う腕の肘を殴りつけながら、そこを支点にし、半円を描くように後方へ抜けた。
爆裂したサブアームの接続ジョイントへ2発打ち込みながらサーベルへ持ち替えて距離を取り、エクセリアのビームサーベルを機体の中心に持ってきて突撃姿勢をもう一度作る。敵の背中は狂人でもしないような増設ブースターをこれでもかと取り付けていた。加速性能はエクセリアより確実に上だろう。ならば狙いは
「鋭角軌道の減速時!」
- 85龍影◆9BZ6kXGcio25/05/26(月) 10:27:33
前スレ200
ケイを後ろに乗せた龍影のバイクは心地の良いエンジンサウンドを鳴らしながらアウトサイドの家へ向かう。
「(あのフルフェイスってうてなちゃんがだいぶ余裕があるとかで被らなかったけどケイにはジャストサイズだったのか…)」
龍影は昔に使っていたヘルメットをケイに渡していた。
(手入れはしているが久しく被っていないためお日様の匂いしかしない)
「着いたよ。ほら、荷物詰めて!」
カトカトと心地よい気筒シャフトの回る音を鳴らすバイクから降りた龍影は、支度をするように旦那を急かした。
「こいつも…持ってくか…」
いざ見てみると小っ恥ずかしい下着ではあるがケイが着て欲しいと言ったのだ。こういう時にこそ持っていくものだ。
龍影はボストンバッグに手早く詰めていく。 - 86ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/26(月) 10:39:11
「わ、わかった!」
支度をするべく急かされて、家の中に入る。
(鍵とかも全部新調したってカンナさんが言ってたな……渡された時はちょっとびっくりしたけど)
どうでもいいことを思いながら、ケイも支度をしていく。
「といっても自分が持っていくのは……これと、これと……」
数日分の着替え、そして暇つぶしになるだろう書籍……男性の準備は思った以上に少なく早いもので。
ゲームとかもこっそり持ってはいくが、きっと使うことにはならないだろうとも思っていた。
少ないと入っても、リュックサックはパンパンになるレベルだ。整理下手と言われても反論のしようがない。
(旅行なんてやったことないしな……大きいバッグの一つくらい買っておこう)
反省点の一つとして、ケイはさっくりと今後のお金の使い道を決めた。
龍影が何かを手に取ったのは見たが、ケイはケイで集中していたので分からなかった。
分かっていたら、少しだけでも顔を赤くしていただろう。
- 87二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 10:57:18
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- 88龍影◆9BZ6kXGcio25/05/26(月) 11:11:54
「水道…よし、電気…よし、ガスも…よし。」
蛇口を締める、ブレイカーを落とす、ガスの元栓を閉じる。今更だが、確認は怠らない。全て携帯端末で写真を撮って回る。異常はない。
「忘れ物が無いかだけもう一度確認してね。宿泊先で無いのに気づくのは本当に悲しいから。」
龍影はギチギチになっているケイのリュックを見ながら、自分も入れ忘れがないかの確認をした。
入れ忘れは勿論ない。
「旅行前に必要な物の買い出し…出来れば良かったね。」
あの時のデートの続き。それが出来れば…なんて言葉は紡がずに胸にしまった。
「よし、大丈夫そうだね?行こっか。」
龍影は冷静を装い、着替えの入っているボストンバッグを脇に抱えた。
- 89ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/26(月) 11:29:52
- 90◆KPwoT407kA25/05/26(月) 12:06:21
【───────コツ、コツ、コツ、と格納庫に靴音が鳴り響く。白い頭髪に人形のような装束、泥のような濁りをたたえる眼差しの年若き先導者が、護衛の“生徒”と女史伴って現れた】
はじめまして。私がカミラ・ユグドラシルです
「ヴァルハラテック技術部のミカエラ・オルソンです」
【フレアスカートの両端を摘んで、さながらカーテシーのような所作にて侍従武官らに歓迎の意を見せる】
して、我々は学園であると同時にBF開発企業でもありまして。アトリエが如何様にして我々のワーグナーモデルを昇華させたのかも気になりますし…まずは“試作機”の仔細をこの目で見定めてから。その方が話が跳ねるというものでしょう?
「という訳だからみんなー!コンテナの搬入急いでー!」
「「「アイアイサーー!!!」」」
「いやーどんな機体なんだろ…私以外の手で作られたハイエンドワーグナーだなんてそうそう無いからなぁ…!」
【ミカエラの号令で人員が動く。当の本人は来訪の報を聞いたばかりの時の敵視が嘘のように目を輝かせてその時を待ち望んでいた…技術肌故か、やはり“自分以外がどうワーグナーを解釈するのか”に対する期待は尽きないのだ】
- 91東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/26(月) 12:19:46
- 92侍従武官◆OXAm1h6odk25/05/26(月) 12:44:24
- 93ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/26(月) 12:50:13
【煙幕内から一度出て、周囲を確認する。前衛につくのはアルテミス中隊の専用機“エクセリア”、弾幕には“サンダータイガー”。その特記戦力の支援についたのは“ローン・ソルジャー”だが、先の盾受けを見ればこの場に不足無しと分かる】
【後方。撤退は順調に進んでいる。防護シャッターが閉まれば、この場に残る者はアレとのデスマッチになるが──】
(死んじゃうよ……?)
【零れ落ちる『涙』に、砂時計が落ちていくのを幻視する。羅刹は命を文字通りに焚べているのだと、分かってしまう】
【ドン。拳を叩きつけるようにオープン回線をミュートする。今はそういう気分じゃない、というかうるさい。BGMは途切れる。連絡があればクロノスの小隊回線でも繋いで伝えればいい】
【燃え尽きるまで待つ、その選択肢もあるだろう。しかし灯火が天を焦がす大火であるならば、きっと生半に向き合えば焼けてしまう】
【レーザーショットガンのチャージを開始しながら、ミサイルの軌道から回避先を幾つか推測して、HEATマシンガンを撒いた。無論、全てを潰せるわけではないが】
- 94龍影◆9BZ6kXGcio25/05/26(月) 13:31:54
集合場所では既にうてなや見知った顔の逆巻スタッフが集まっていた。目的地まで向かう列車は中々豪華であるが、龍影が1週間揺られていた大陸横断をしたやつよりは小型である。(そもそも4つも線路跨いで走ってるやつがおかしいって話でもあるが。)
そんな列車を眺めながらつい言ってしまう。
「逆巻の資金ってどこから出てるのかしらね…」
自分の義体や、高級リゾートな扱いの景観保護区(インベイド侵攻により殆どが荒らされたりした中、一部地域は20年前の姿を保っている。それを後世に残すために観光地として運用し、その景観の維持管理を目的とする地域)の旅館への大規模な慰安旅行。かなりファンタジーのような金の動きをしている。
『あ、サヤギリ夫婦も到着したみたいですよ。』
『今回の奪還作戦でA-1に軌道降下しようと提案した女傑を落としたサヤギリ操縦士には是非そのテクニックをお聞きしたいものだ。』
『新婚旅行してるとこに絡むのはナシですよ。』
なんか私達について話してる?
龍影はそっとケイの腕に自分の腕を絡め、恋人繋ぎをする。
龍影について話していたグループはその甘い空気に負けたのかそそくさと移動していた。
- 95二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 14:23:39
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- 96グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/05/26(月) 14:24:20
- 97二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 15:04:36
このレスは削除されています
- 98ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/26(月) 15:08:04
- 99ニライニスト25/05/26(月) 15:24:52
(これじゃダメだ…!)
【ビームサブマシンガンのトリガーを僅かに引き、その直後に離す。】
(思ったより軌道がバラけてる。実弾の粗悪品程じゃ無いけれどこれじゃ周りに被害が…!)
【こう聞けば、誰もが逃げ遅れた人や建物の被害を気にしていると思うだろう。確かにそれもあった。だがそれよりも大きかったのは『戦果』だ。】
(この戦いで『被害を最低限にしたうえで』不明機を撃墜すれば理事が僕に目をつける筈…かなり難易度が高いけれど最短ルートだ!!)
【それを考える余裕も無く地面が近づく。ただ幸いにも代替品が見つかった。】
(あれは…ローン・ソルジャーだ!だったらビームライフルを持っている筈。)
【エアバックを展開して落下の衝撃を和らげ、即座に破壊された機体へと近づく。】
【そして武器を取ろうとした時…その機体の腕が動いた。】
(え、まだ生きてる!?)
「聞こえていますか!?反応して下さい!」
【反応はない。ただ僅かな声の様な音だけが聞こえる。そして周辺には破壊された機体が多くある。】
(こんなに…何人かまだ生きていそうだ。でも放っておけば…このままだと戦果を出せない…でも…)
【…最善策を閃いた。】
【徐に肩のリニアキャノンパージがパージされ、元々持っていたサブマシンガンが捨てられる。持っているのはビームサーベルのみとなった。】
(サイズと重量は小さくしたい。センサー類の多い頭部は残して…)
【周辺の2機の大破したBFの手脚を切り飛ばし、その切り口にスレイガンの手を差し込んで握る。】
【金龍に対して無線越しに言う。】
「負傷者の移送をします!ここから不明機をなるべく離して下さい!!」
【そう言ったと同時に操縦桿を倒し、スレイガンを前へと走らせた。】
- 100蝋燭の輝き◆OXAm1h6odk25/05/26(月) 15:37:26
・ ・ ・ ・
「────────────────舐、め、る、なァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」
・・・・・・ ・・・・・・・・・
並大抵の機体ではなく、そして並大抵のパイロットでもない。
羅刹が駆動する。過剰な、パイロットの安全を欠片も考慮していないスラスターが織火を吐く。
粒子の切れた大口径バズーカを投げ捨てて上空からのミサイルを意図的に爆裂させ、弾幕の間に僅かな隙間を作り上げる────────破壊されたサブアームを捨てて、羅刹が殺人的加速を行う。減速を挟まない鋭角軌道。内臓が液状になる程の負荷は、しかし羅刹にとっては“想定済み”の負荷である。
ミサイルの雨の中を突っ切る狂気の沙汰としか言えない軌道。衝撃。熱量。羅刹の回避先に巧みに“置かれた”砲撃を無視して、手榴弾の炸裂による妨害攻撃も捨て置く。
────────機体の右腕は無惨に砕けた。激痛が神経操縦システムを介して流れ込み、残った生身より血の涙を流しながら羅刹は殺意を発露した。
・・・・・
ミサイルの射出から一秒未満後。瞬時に超音速まで加速した羅刹が片腕でビームサーベルを強く掴んで大気を細かく切り刻みながら憎悪の閃光を一直線に振り下ろしている。狙いは、メインカメラ。
「墜ちろォォォォォッッッッッ!!!!!!!!」
右腕の神経操縦系統をサブアームに変更している。二つのサブアームが使い捨てのロケットランチャーをサンダータイガーに向けて撃ち放つ。重装甲すら紙を破るように貫ける火力。
────────至近距離で大火力兵装を使う事は推奨されない。機体が巻き添えになるからだ。衝撃と熱量はそのまま凶器として使い手をも傷付ける。
・・・
知っている。上等だ。羅刹はハナから己の命を勘定に入れていない。破滅的で自滅的な戦術は、だからこそ“並大抵”ではないのだ。
正に焼け落ちようとする凶星は、血反吐を吐きながら無尽の憎悪と憤怒に吼えた。
- 101◆KPwoT407kA25/05/26(月) 16:00:19
(1/2)
まぁ…
「おお…!」
【ついにその全容を顕にした白銀の狼に目を遣りつつ、その後渡されるであろう資料に目を通していく】
(…対インベイドを想定した規格外のアームユニットに柔軟な間接可変脚、スタンニードルミサイルに対フリクタルも想定した、我々のもの以上に実戦向けに調整されたエネルギー解放機構………ここまではいいとして
“粒子ビーム拡散装甲”…………???人自連にいきなりこんなことできる企業とかあったっけ…?)
「カ…カタログスペックは試作ワーグナーに勝るとも劣らないね?うん」
その分、運用コストも相当の様相を呈しているみたいですが…なるほど。操縦難度こそヴァルキリー由来の乗りやすさを維持してはいるとはいえ、あなたがたは効率的な運用データと改善点を算出・提供できる“成果を出せる乗り手”を求めている、と
【2人の意見は概ね、“対インベイド施策の強力な一助たり得る機体であり、この機会を逃す手はない”と一致していた】
- 102◆KPwoT407kA25/05/26(月) 16:01:36
(2/2)
───────ところでユノさん
・・・
【だからこそ不可解。アトリエ“バーテックス”は言わば高性能なプリンターだ。しかし幾ら綺麗に印刷できるスペックがあろうとプリンターは勝手にカラーコピーなどしない】
【順序が逆転しているのだ。本来ならこちら側か設計図を渡して委託するはずの相手が、既に全てを終わらせた上で眼前に現れてしまっている…アカデミーがいまだ独立した機関であったならまだしも、BF開発企業も兼ねた組織に運用テストを委託するのであればヴァルハラへの“意図的な技術流出もとい共有が狙い”でなければバーテックスのリスク管理意識が疑われるだろう…だからこそ、今のアカデミーという“過去の遺物”が他社から頼りにされる事は基本的に無い】
このBFの設計図を立ち上げたのは…どのような御方なのでしょうか?
【空想の理論を諳んじるならどの中小企業だって容易く出来るだろう。陰謀への無知を気取るのであれば機体性能に目を輝かせる前に、“ビーム拡散装甲なる突飛な理論を実現したという得体の知れないBF”へ疑いの眼差しを向けるのが自然だ。
試作兵装であったならばまだしも、こんな高性能機を単独で仕立て上げられる企業など人自連には存在しない…逆巻は未だに自らの手掛けた月風の幻影に苦しめられているし、アズマならもっと堅実な機体設計を持ち込む。金に好かれていないNAASがこんな理に適った実戦用機を作る筈もない】
【…複数企業の合同設計以外では理屈が通らない。その筈なのにコンセプトにひどく忠実で、調和した設計】
【この機体が真にカタログスペック通りの機体であるならば、背後には大きな“何か”があるという他ならない証左となる…カミラは思考を巡らせながら、営業部所属を名乗る女性を漆黒で見据えた】
- 103グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/05/26(月) 16:13:58
- 104シンカイ◆9BZ6kXGcio25/05/26(月) 16:24:16
- 105ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/26(月) 16:25:40
「二十数年だから……まぁ相当だと思うよ」
何より、逆巻重工はいくつかのBF装備にも用いられるシグドニッド合金の開発元だ。
欲しいと思うものや市場にあわせてそれらは作られているし、月風も廉月も若干であるがパーツ単位でアズマ重工のそれと互換性はある。
……一部ではシェアを維持できていたという背景から資金は潤沢なのだろう。
とはいえ何でもできる、というわけではないのだが。
『新婚旅行してるとこに絡むのはナシですよ。』
「…………え、えっとそれじゃあ……行こうか」
恋人繋ぎをしながらケイも龍影を連れて歩き、周囲の奇異の目線を離しに掛かった。
「台さんもその、お願いしますね?」
列車の中に入った後、一緒にいて欲しいと二人に頼む姿は、まだまだ18の少年である。
程なくして、列車は出発するだろう。
- 106侍従武官◆OXAm1h6odk25/05/26(月) 16:27:19
「………………はい。アサルトアーマー、正式名称『シンフォニー』などは今後ミュール・コーポレーションが運用データから必要な出力を調整した量産型を製造する予定もありますので」
兵器を製造する以上、単一の試作品を作って終わりという訳には行かない。
テスト運用を通して、データに現れる余計な部分を削り、不足している部分を改善して、製造コストを考えながら顧客のニーズに合わせた性能で生産する必要がある。
だからこそ、試作機体を動かせるだけの人材を必要としているのは事実であり───────鋭い質問に僅かに一瞬身を強張らせてから、侍従武官は口を開いた。
「…………グランセン解放戦線の総帥『旧愛卿』が設計した機体です。我々の協力企業の技術を、彼女が纏め上げて設計しました」
- 107東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/26(月) 16:56:18
- 108ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/26(月) 16:57:48
(──っ!!)
【避けすらしない。最短最速を超えた超短超速は、未来など見ていない。ただ憎悪と殺意だけの、故に真っ直ぐな軌跡】
【チャージは完了しているが、レーザーショットガンはまだ使えない。先代工学事業部長の置き土産は、サンダータイガーを巻き込んだ場合のリスクがあまりにも高い】
【ローン・ソルジャーの銃口の動きから意図を察する。避けないなら武装の破壊を。合理的判断、しかし羅刹への偏在射撃を可能とするのは、その経験と磨き上げた反応速度か】
【…なんでスレイガンじゃないのやら。明らかにあの機体を駆る者は、ローン・ソルジャー程度で釣り合う存在ではないだろうとユスラは思った】
【同時に、アルテミスのブースターの起こりを見る。本来以上を引き出すつもりか。その機動力ならば、不明機体のブースターを削げれば追いつけるはず】
(おねーさんもちょっと…頑張らないとね──!)
【後頭部に格納されたバイザーが、頭頂を過ぎて、カメラアイを覆う。バイザーの無数のセンサーが稼働し、無数の目のように光る】
・・・・・・
【そして、四重の炸裂音が響く。それはあり得ない、あり得てはいけない異音。如何に高機動戦向けにカスタムされても、元はスレイガンだ。息継ぎ無しでクイックブーストを行い音速に匹敵するなど、できるはずがない】
【だが、それぞれ別のブースターを使えばどうだろうか?】
【背面を使用し、前への推力を獲得する。その最中に、機体を回す。そうすれば先程までの背面は、側面となる。サイドブースター点火、二段目。前方が後ろを向く、バックブースター点火、三段目。側面、サイドブースター、四段目】
・・
【連弾】
【ユスラなりに月風乗りを研究する中で考えた、風を超える為の技術】
【不明機体の前方はサンダータイガーが、背後にはアルテミスが、そして側面にローン・ソルジャー。空いているもう片方の側面に、紫石英のレーザーブレードを起動しながら、スレイガンが滑り込む────】
- 109ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/26(月) 17:55:51
- 110龍影◆9BZ6kXGcio25/05/26(月) 18:07:20
- 111東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/26(月) 18:25:39
- 112ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/26(月) 18:41:17
- 113◆fDey8JUvvk25/05/26(月) 18:59:53
・・・
【景観保護区郊外。駐機場に1機のヴァルキリーモデルが腰部の翼をはためかす様にしてふわりと降り立つ】
【BFの機動を形容するにはあまりに意味の分からない擬音だが、事実そうであったのだから仕方ない】
「……んんっ。」
【一つの咳払い。着陸許可申請の際にも当然名乗ったのだが、あまりの出来事にもう一度名乗りを要求されたパイロットの返答は──】
「私は、マルガリータ・ペペロンチーノ。世界中のペペロンチーノを堪能するのが生きがいなんだ!!」
【凛とした声だった】 - 114◆KPwoT407kA25/05/26(月) 19:53:43
【…“グランセン解放戦線”。その言葉を聞いた瞬間、半信半疑で資料に目を通していたミカエラの目の色が変わる。青天市街で見かけた“透明の何か”に、マルタ・アーネルから耳にしたジャミング装置…彼女自身が把握している発明品だけでも、ビーム拡散装甲なるものの存在を保証して余りある技術ソースである】
思っていたより素直に話してくださいましたね。…いいでしょう
『アウローラ』のテストパイロットの選定、及び運用データの提出。喜んでお受けさせていただきます
【とはいえ、我々もまさかBFそのものを持ち込まれるとは思いませんでしたのでこの場でパイロットを決めるなどといった無責任な事は出来ませんが。と付け加えて】
…『アトリエ“バーテックス”』との交渉はこのくらいでしよろしいでしょうか?
立ち話もなんですから、応接室にご案内致しましょう。込み入った話になりそうですからね
【…アサルトアーマーやスタンニードルのみであれば上記の協力で釣り合うだろうが、“ビーム拡散装甲”は中小規模にしては些かオーバーテクノロジー…データを渡したところでどの企業がどこに売り出すつもりなのかという話になってくる。頭抜けた特記技術の癖してコストとフィードバックに対するグランセンが得られる効果が最も小さいのだ】
【───────ここから先は“グランセン解放戦線”としての彼女達と話を付ける必要があるだろう】
(アサルトアーマーはミュール由来、つまり今の人自連の強硬派の頭をグランセンが抑えているということになる…そこまでは容易に想像出来ましたが、思ってた以上に人自連内部に入り込んいでましたね。なかなかに気の利いた方々です
…今度は此方がグランセンの要求を飲む番、ですかね)
【格納庫は些か風通しが良すぎるので、護衛をつけたまま『第2応接室』というプレートが掛けられた個室へと案内していく】
- 115ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/26(月) 19:57:04
『任せます』
【クロットリンプを発動して聞き取れていない金龍の代わりに、メビが返答する】
【着地5秒前、まだ己の土俵に立てていない虎へ鬼気迫る羅刹】
【今にも胸が張り裂けそうな思いを、良く在るが稀に見る悲歎と憎悪を、緩慢とした時の流れに居た金龍はハッキリと感じ取る】
【しかし、無関係の人々を殺した。それは、絶対に変えられない事実であり、絶対に同情できない所業でもある】
【ドラ息子は鳴りを潜め、軍人は冷徹に現状を判断する】
(ったくこんなに素早い中でサーベル振るったら両腕オジャンになるってのによくもまぁやるもんだ)
【爆煙に紛れ、寸刻で多段と仕掛けられた攻撃は、性能を高く引き上げた事でようやく追い付ける程の脅威であった】
【嘗ては、メビの助けだけで乗り越えてきたのだろう】
【だが今は、グリゴリーとシンカイが放った弾丸が、窮地を救い出してくれた】
メビ
キャル
(左ガトリング収納、“雷爪”起動)
【誘爆して生まれた衝撃と煙幕、この場のどのBFよりも素早い羅刹に与える影響は大きく、動きが澱む】
【スラスター中心部を抜かれて急激に弱まった推進力、振るわれるサーベルの軌跡は出鱈目になる】
【金龍が容易く看破できるようになれば、右ガトリング底部のシールドで真っ向斬りを防ぎ、タイガーの左拳の熱を上げる】
- 116龍影◆9BZ6kXGcio25/05/26(月) 20:26:48
- 117東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/26(月) 20:44:03
- 118ルフス(ランセル)◆hFOUpFQqt.25/05/26(月) 20:46:09
「んぐっ」
【身体にかかる重さが増す。押された体がより深くソファに沈む】
(変わった人だなぁ)
【先程の冷たい刃と今のウルヴィが同一の人物だというのだから、変わっていると思ってしまう】
【彼女のことが気になる。どちらが本当なのか。もしくは両方なのか。まだ見ぬ姿もあるのか】
(………人のこと言えないか)
【どちらにせよ、自分のことを棚に上げてしまっている。ランセルとルフス。どっちが嘘だったか正直曖昧とも言える自分がいる】
「………」
【思考を視界へと戻すと、銀の髪がそこにある】
【綺麗だ。どんな彼女でも結局のところ綺麗だと思えるだろう】
(……まだ少しあるか)
【顔を上げて時計を見る。煮込み終わるまで時間はある。"ならばもう少し"と目線を落とし、そっと手を回して力も入れず抱きしめた】
- 119ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/26(月) 20:58:19
「あ、えっと。その……ぁ……ぅぁ……!?」
やんややんやと始まる、『如何に女湯で愛する人の裸を覗くか?』という明るい話題。
失った人もいる中でのそれは、ケイからすれば同じくらい救いであり……同時に、こ、この人たちはぁ……!!という思いがどんどん膨れ上がって。
「――――こっ、混浴が普通にあるじゃないか!!!」
なんか変な方向にケイがすっ飛びだした。
「そうでなくても龍影はなんか無防備だし!! なんか俺はそういう事が多いし!!」
「……お、俺は!!でも台さんとも一緒に来てるわけだから!信頼を失うようなことはしません!!」
ケイが一息ですべてを吐き出してぜぇはぁ、と呼吸を整えていたら、台がゆっくり自分の耳元で。
『わざわざそんな事しなくても良い、と?』
囁いてきた。
「――――ぁ、ぅ。そう、じゃ、ないけど、そう、で……ぅぁ……」
そのまま、こくこくと。力なく頷くことしかできなかった。惚気と思われても構わなかった。
それが羞恥を呼び起こして。力なく椅子で顔を真っ赤にするのみであった。
- 120東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/26(月) 21:03:56
- 121龍影◆9BZ6kXGcio25/05/26(月) 21:14:18
- 122東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/26(月) 21:25:09
- 123ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/26(月) 21:32:27
『別に、お前なら見せてもかまへんけど......まぁ見ても見劣りするやろ、ウチは。あのばるんばるんを見たら尚の事な!』
「……ひ、人の身体に優劣とかないと思うんです……けど、そ、その、ありがとうございます」
台にしか聞こえない声で、真っ赤にした顔で言いながら。好意は受け取ってしまうのが、ケイのそういうところで。
『よく言った!』 『おい!あの姐さんが無防備ってどういう事だ!』
『惚気てんなぁ〜』 『混浴は違ぇんだよ!部屋備え付けのでイチャつけよぉ!』
「それはこれは違うでしょ!!そ、その……特別だから……」
整備士たちにそう答えながら、なんとかやっとこさ来てくれた車内販売にあったおにぎりなどを頼む。
《そろそろ降りる駅です。その後は温泉旅館、愁千楽に到着します……あとはまぁ、良い感じになると思います》
「……スイはファジーになったなぁ」
なんとなくむふー、としているようなコンピュータに言葉を返しながら。降りる準備をする。
「ほ、ほら龍影……いこ」
茹でダコのように赤くなったケイが、その手を龍影に伸ばして。
旅館に向かうだろう。
- 124東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/26(月) 21:36:39
- 125ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/26(月) 22:11:32
- 126ルフス(ランセル)◆hFOUpFQqt.25/05/26(月) 22:33:49
- 127ポリト◆XGxCas/OAU25/05/26(月) 22:45:19
「了解です!…痛っ!!」
【地上をスレイガンが走る。ブースターを使えば速いが、目立たずにかつ何度も往復する事を念頭に置いて燃料を抑えるには最適だ。ただ、BFが走る上では回避できない問題が一つ…】
「いたたたた…お尻が…」
【…BFは走る時、どうしても全体が上下に動き尻に衝撃が伝わるので痛くなるのだ。きつくて嫌いと言ってパイロットスーツを着ずに乗ればそれは更に顕著になる。】
「…まあいい…着いた!!」
【目の前には対インベイド防壁があった。両手の手足のないBFをそっと置く。】
(ここが一番離れた場所…ここに集めればいい。)
「移動場所を決めました!まだ生きている可能性が高いです!すぐここに救急部隊を送って下さい!」
【そう言っている間にもスレイガンはすでに振り返り、走り出していた。】
「…お尻痛いな…一週間は座れそうにないや…」
- 128侍従武官◆OXAm1h6odk25/05/26(月) 23:06:17
「…………!ありがとうございます!」
テスト運用と運用データの提供の承諾を得られて、侍従武官は胸を撫で下ろした。
グランセン解放戦線の“独立闘士”は今もクロノスの勢力圏内で小規模且つ散発的な抵抗を続けている。クロノスにグランセン解放戦線の規模を誤認させる為の、大きく刺激しない程度の小競り合いではあるが──────────しかし貴重な人員を割いている、というのもまた事実だ。
「……………あっ、あの!」
それから思い出したように、僅かに言い辛そうな貌で侍従武官が歩きながら言葉を述べた。
「それから、粒子ビーム拡散装甲についてはアズマ工業と逆巻重工にも渡す予定だと姫様が……………人自連の基幹企業の一つであるアズマ工業が技術を手に入れれば、対インベイド戦争への貢献と同時に他の企業への注目を減らせる。という風な………」
中小規模ではオーバーテクノロジーな技術────だが、大規模な企業が新たに開発した技術なら違和感は少ないだろう。
そして、大規模な企業に注目した他の企業────例えば“クロノス”等が密偵を送り込む中で、対外的には中小規模の企業でありながら非常も高い技術力を有するヴァルハラテックが研究を進められれば。
旧愛卿が描いた図案とは、そのようなものだ。粒子ビーム拡散装甲の『一系統』の発展型をグランセン解放戦線は既に開発しているが、それ以上は生産力の問題で行き詰まってしまっていたから。
- 129ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/05/26(月) 23:13:56
「…?」
「こちらこそ…」
【突然の感謝の理由が読めず、首を傾げる。こうさせてくれたのは彼の方からだし、礼を言うなら自分の方だとウルヴィは思った】
「わかった…」
【ご飯は、待ち遠しい。しかしこの時間も、名残惜しい。そんなジレンマを抱えながら、瞼を閉じて、彼の体温に集中することにした】
【ルフスが立ち上がろうとすれば、存外すんなりとウルヴィは退くのだろう】
- 130ラルト◆C01O2YJoxg25/05/26(月) 23:23:20
温泉旅館の入口の近くで木箒で砂や石を綺麗にしている。
休日前の掃除屋としての仕事をこの温泉旅館に定めた結果なのだが、ひとつの部屋を掃除するより物凄く大変だ。
「はぁ〜…」
溜息をつきながらチラリと横を見るとお客様などが旅館に入っていく姿などが見える、掃除してる人がダルそうな顔していたら休めないだろうと顔を笑顔にする。 - 131龍影◆9BZ6kXGcio25/05/26(月) 23:41:17
- 132蝋燭の輝き◆OXAm1h6odk25/05/26(月) 23:42:55
・・・
「────────────まだだ!」
・・・・・・・・・
二つ目のサブアームを破壊された。三つ目は残っている。ロケット弾が悍ましい血染めの輝きを放ってサンダータイガーに向かって突き進む。装甲を考慮すれば落ちない可能性だって十分にあるだろう。
ビームサーベルを手放す。前方には雷虎、後方からは月女神、両側面からは銀狼と四重奏──────熱拳と銃撃、光波の刃が漆黒の機体に届くより疾く接続した神経が羅刹を動かした。
・・・・・・ ・・
「まだ動くだろ、相棒!」
・・・・・・・
羅刹が支配する空は、三次元の広がりだ。
過剰な量のスラスターが一気に羅刹を高空へと弾き飛ばす。衝撃。熱量。度重なる戦闘の負荷によって既に唯一残った右眼も砕けたが、止まりはしない。
隻腕の羅刹が集った精鋭達の三段上へと一気に駆け上がった。徹甲弩級砲を構える。だが彼らの練度を考えれば即応しても決して不思議ではないだろう。
・・・・・・・・・
だから、四個目のロケット弾を最後のサブアームで撃ち放つ。
機動力に優れる月女神でも防御力に優れる雷虎でもなく、四重奏のスレイガンに向けて───────陽動だ。警備隊を立て直すまでの間にタイムラグがあったから、恐らくは違う部隊からの派遣だろう。
・・
其れは、賭けであった。クロノスの人間にも互いを信じる気持ちがあるのかどうかの賭け。
信じられずにカバーに動こうとする機体がいれば、隻腕の羅刹は上空から徹甲弩級砲を彼らに撃ち放つ猶予を得られる─────────羅刹は、賭けに勝つと信じていた。
「諸共に燃え尽きろ、クロノスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!!!!」
- 133ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/27(火) 00:06:07
- 134グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/05/27(火) 00:15:32
『やはりか』
相手の仕掛けた残弾数のブラフ
それを既にグリゴリーは気付いている
武器の弱点を探してスキャンした時、
そこに装填可能な弾薬の量を確認した
"クロノスに不意に攻撃を決められる"
という千載一遇の好機を得た敵機体が、
一発少なく弾薬を持って来るとは考え難い
そう結論付けていたのは的中したようだ。
『賭けに出るなら選択肢を確認しておけ、
"片方を得られれば勝てる"選択肢を選んでも
"どちらも得られない"という選択肢もあり、
それが勝負の結果という事もあるのだと!』
四個目のロケット弾へと素早く偏差狙撃し
振動式ナイフをくくり付けた手のパーツを
猛スピードで敵機体へとパージする。
その狙い目は、コックピットの隙間だった
- 135◆KPwoT407kA25/05/27(火) 01:18:31
「それって…まさかアズマか逆巻を隠れ蓑にしてウチらが貴方達以上の代物を作り上げる事こそがその姫サマの狙い!?」
【ミカエラが素っ頓狂な声を上げる。量産機志向のアズマがこれを手に入れたところでそれを積極的に発展させはしないだろう。逆巻に渡ったところで現状から発展させられられる程の豪胆さは持ち合わせていないだろう───────後者については、単にミカエラがウテナ・シノノメの逆巻参入を未だ把握していないというだけであるが。とかく規模感と技術力で言えば、最も“ちょうどいい”のはヴァルハラテックだ】
「確かにアズマが見つけたってカバーストーリーなら『アウローラ』がポンと出てきても違和感ないかもだけど…どうしてそこまで。いくらなんでもそっちの技術的優位性が考慮されてなさすぎじゃ…」
・・
…企業ではありませんよ
「…CEO?」
【───────そうか。思えばそういうものであったなと。生まれも育ちもクロノスで、『解体戦争』とは無縁であろうミカエラには理解が及ばぬであろうが、“年若い”筈の先導者は…】
ミカエラさん程の秀才であれば解るでしょう?技術者には、自らが育て得るものに心血を注ぎ、発展させる義務がある…我々はある種、向こうから最も期待を寄せられているという事ですよ。
・・
国家であるならば、尚更でしょう
【この場の誰よりも、深い感銘の意を示していた】
我々はただ結果を示し、その期待に応えれば良いのです。結構責任重大ですよ?ミカエラさん
「そういうもんなんですかねぇ…ま、受けるってのはもう決めちゃいましたし偶にはこんな事もあったりするんでしょう、たぶん
…やったろうじゃないですか」
【そんなこんながありながら。第2応接室に足を踏み入れたカミラがソファに腰かけ、ユノに呼びかける】
どうぞお座りください。貴方がたはこれから先、ヴァルハラテックに何を求めるのか…お聞かせ願えますでしょうか?
【この交渉の果てに、一つの“真意”を明かすことにしよう。そう心に決めながら───────】
- 136ノイン◆fDey8JUvvk25/05/27(火) 06:49:12
- 137ラルト◆C01O2YJoxg25/05/27(火) 07:14:47
笑顔になった瞬間にいきなり話しかけられ驚きのあまり変な声が出そうになったが、顔には出さないようにしつつ平常心を保ち、笑顔のまま会釈をする
いつから見ていたのか?そんな疑問も口から出そうにはなるがとりあえずは褒められてると解釈し、心を落ち着かせようとする
『申し遅れました。私は独立傭兵マルガリータ・ペペロンチーノ。当館の護衛を仰せつかる1人です。 』
独立傭兵と名乗られて目を丸くしながらも返事をする
「これはご丁寧にありがとうございます。私はラルト。当館に掃除屋として雇われた者です。」
自己紹介には自己紹介を、育て親から教わった事である
護衛を仰せつかる1人と言う事から他にもいるのだろうという事に思い当たるがそこまでは流石に興味もない為聞かない
- 138シンカイ◆9BZ6kXGcio25/05/27(火) 08:19:04
- 139アズマ工業◆PPyRfvMZl625/05/27(火) 09:26:44
(※旧愛卿さん待ち)
【青天市街の空は、今日も焼け付きそうな程の青色だった】
【遠方に資材を運搬する輸送機が引く尾の様な雲の下を、黒い鳥が一陣の風を纏って飛んでいる】
【ビル街の外壁に張り付いた電光掲示板のホログラフィックは先日の内乱に乗じて発された企業の共同声明や広告等がTVCMの様に忙しなく切り替わる】
『────────────いやはや、ここ数週間でめっきり暑くなりました、中心市街ともなれば最早真夏の陽気だ。
社員装もこの急な気候変動の煽りを受けて衣替えの最中でして、涼しそうな人間と、暑苦しそうな人間とが混在しているのは、見苦しいでしょうがどうかお目溢しの程を願いたい』
【────────────“アズマ工業 新規開発事業運営部長 与志野憲一”、彼が出会い頭、彼女に手渡した名刺にはその様な名前が走っていた】
【国家という枠組みがとうの昔に形骸化してなお、純血らしい東方諸国の顔立ちを保った、気苦労と歳月が刻まれた様な目元の皺が目立つ齢50代前半程の男だ】
【厚さ数mmの防弾ガラス壁に囲まれ、音も無く高層階へと昇って往くエレベーターは、高所恐怖症の彼にとってはあまり居心地の良い場所ではなく】
【ましてや余所の要人を伴ってともなれば額に浮かぶ汗を拭うハンカチは一向に止まる気配が無かった】
・・・・・・
『……元々東方列島に置いていた本社ビルは、インベイドの本格侵攻に先駆け焼けましてな、それからはこの第二支社が実質的な本社を兼ねています。
戦闘用BF増産に舵を切る以前から、我々は作業用機器の開発等を世界各地で展開し手広くやっておりましたから、全くこればかりは九死に一生というやつで』
【モニターに映し出された階層表示はいつしか二桁に乗っていた、空調を利かせた密室内でも、降り注ぐ陽射しは暑苦しく纏わり付く】 - 140二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 11:05:52
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- 141ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/27(火) 11:50:08
<他人を信じろ>
【ベレトとケイが諭し、ユスラが紡いでくれた言葉を】
(信じるぜ)
【青いままの自分と向き合ってくれた姐ちゃんなら大丈夫だと、金龍は拳を納めて目の前のロケット弾に集中する】
【2回目、使用時間が回復し切れていないクロットリンプを発動。彼の中に、迷いは一抹とて存在していなかった】
メビ
キャル
(タイガー、体勢の微調整を完了しました)
【周、その意味は“巡る”、“回る”】
【かの国では、万物は流転する。善も、悪も、命も、因果も、この世の物全てが、一点から始まり戻る】
【ならば、無垢なる人々の叫喚が響く惨状(現在)を始めた物は何だろうか。それは、陽の光を陰に啜り泣いている少女にしか分からない】
【だからこそ、目下の火を沈めるため、金龍は鉄華を手向けに送り出すと決めた】
あばよ。今度は、幸せな人生を歩んでくれ
【流線形の装甲でロケット弾を滑らせ、一瞥もせずに背中の少女の元へ飛ばす……】
- 142ノイン◆fDey8JUvvk25/05/27(火) 12:03:31
【目を丸くして素直に返礼され、またその礼儀正しい態度に絆されたのか、少し雰囲気が柔らかくなる】
【事実ノインはこの短い間で好感を持っていた】
「掃除屋ですか、いつもありがとうございます。私はそういうのが苦手で。」
【蹴散らすのなら得意なのですが、と冗談めかして付け加えた】
「ただ、今は同じところに雇われている者同士。よろしくお願いします」
【協力、あるいは牽制の意図。当たり前のことを口に出しておく】
「……そういえば、ペペロンチーノの美味しいお店はご存知ですか?場所はどこでも。ああ、ペペロンチーノはニンニクと油と唐辛子で味付けしたスパゲティです。」
【ノインは真剣だった】
「私は……世界中のペペロンチーノを堪能するのが生きがいなんです。」
【この世は舞台なり──
誰もがそこでは一役演じるのだ】
- 143ラルト◆C01O2YJoxg25/05/27(火) 13:17:43
お礼と挨拶を兼ねた言葉を貰い、顔は素に戻っているが内心は嬉しさが爆発している
お礼を言われるのは心に良い、そう判断せざるを得なかった
「えぇ、同じ所に雇われてる者同士、仲良くしましょう。」
深々と頭を下げて会釈する、お礼を言えるこの人は良い人だと思ったからだ
……と思ったらいきなり真剣な顔でペペロンチーノの話をしだした
良い人なのだろうが少し変わった人なのだろうか?
「ペペロンチーノですか、食べた事ないので想像つきませんが美味しそうですね?」
これは本当である
ペペロンチーノが目に入った事などは何度かあるが“いつもの”で済ませてしまう癖があるのだ
その為ペペロンチーノを食べた事がない
「いい生きがいだと思います。私も食べてみたいですね」
のほほんとしながら美味しそうな料理を教えてもらえた事に本心が口から出る
- 144蝋燭の輝き◆OXAm1h6odk25/05/27(火) 13:49:33
「其れが貴様らクロノスの本性よ!!!!!己こそが“最優”だと思い込み、己だけが“最善”を為せると信じ込む!!!“傲慢”極まりない愚か者め!!!!その度し難い“傲慢”さで、仲間諸共に燃え尽きるが良いッッッ!!!!!!!」
銀狼が四個目のロケット弾を射撃したのをその片目で視認して、鋼鉄に替えた貌を狂喜に染め上げ羅刹は哄笑した。
・・・・・・
元より攻撃ではないのだ。射撃されたロケット弾が爆裂すると同時に爆炎と煙を吐き出して、その衝撃で羅刹の機体が後退する──────放たれた震動ナイフは僅かに装甲を掠めるのみに終わる。
ロケット弾の爆裂によって射線が遮られた。爆煙が羅刹の姿を覆い隠して正確な位置を掴ませず、それだけの猶予は羅刹の機動力を鑑みれば致死の隙だ。
月女神の突撃と四重奏者の蒼い輝きは、羅刹の正確な位置を掴めないのなら無意味となる──────そうして徹甲弩級砲を撃ち下ろそうとして、装甲に受け流されたロケット弾に目を見開いた。
「──────────────────そんな、バカな」
半ば呻くようにして、潰れた薬漬けの右眼を抱えた羅刹は絶叫した。
O.S.L.の違法薬物によって、命を代償に強化された感覚と時間感覚はハッキリと精鋭達の挙動を捉えていた────────四重奏者を援護(ぼうがい)した成果は、“返された”ロケット弾によって完全に払われた。
・・・・・・・
だが、賭けには勝った。確信を深めて羅刹は言葉を紡ぐ。その呪詛を深く吐き出す。背中を預ける仲間を信じた者がいた事実ではなく、“それ”を実行した者が一人しかいなかった事実をこそ詰る。
・・・・・・・・・
「クロノス!今回は運に恵まれたな!だがその本性は見え透いたァァ!!!!その“傲慢”さが、いつか貴様らを滅ぼすだろう!!!!!!!」
・・・・・・・・・
「──────────────地獄で待っているぞ、クロノスゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!」
歓喜するように、或いは安堵するように。そうして羅刹は群青の閃光を受けて弾け飛んだ──────そうして、一つの戦闘が終了した。
これから先の未来で、再び多くの戦場が彼らを待ち受ける事だろう。
- 145シンカイ◆9BZ6kXGcio25/05/27(火) 14:11:17
「…目標の撃破を確認…申し訳ございません…アルテミスだってのに…」
《こちらでも撃破を確認しました。少尉、人体を超越したなり損ない相手には中々善戦でしたよ。しかし参照すべき戦闘パターンの不足が先程のミスに繋がったのだと推測できます。》
「オペさん」
《はい。》
「ほんとに自分がアルテミス中隊の1人なんですか?」
《…名前とは戦果の後を追いかけます。名前を掲げるのに足元の土台が無ければそれこそただのセレモニーチームです。アルテミス中隊で最も若いアナタに言えることは死ぬことなく数多の戦場を走る。それだけです。それと、先程ラングレー大尉から呼び出しがありました。『少し話したい』との事です。》
「了解です。フェンサー、帰投します。」
地面で黒煙を上げて燃えるBFはどこか自分の末路のような気がした。
- 146シンカイ◆9BZ6kXGcio25/05/27(火) 14:29:58
- 147ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/27(火) 14:32:52
- 148ジーク◆.4YTxDiDm.25/05/27(火) 14:35:46
- 149シンカイ◆9BZ6kXGcio25/05/27(火) 14:40:56
- 150ジーク◆.4YTxDiDm.25/05/27(火) 15:03:43
- 151ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/27(火) 15:06:42
《…あるといいね、地獄》
【もしあるならば、また会おう。そう願って、群青の花火を弾けさせた】
【反動を一段目にした疑似の二連ブーストで、爆発範囲から離脱する】
「運…に、見えたかな」
【まぁ確かに、他人の選択なんて分からない。だからこそ賭け事は成立するのだから】
【しかし──】
「……一人でも、信じれたら」
「結果は、変わるんだよ」
【誰かが自身のことを『信じない』援護をするかもしれない。それは考えていた。寧ろ軍隊としてならば、間違っていたのはユスラだろう】
(正直焦ったしね…。アルテミスの子が巻き込まれなくて良かったよ…)
【ホッと胸を撫で下ろしたと同時に、コックピットに電子音が響く】
《残念☆エネルギー切れだよ》
「……………………………」
【ピコーン、ピコーン。気の抜けた電子音と共に、今は亡き『先代』の声が聞こえる。こんな録音音声作ってたのかよ、お前】
【コア粒子残量ではなく、エネルギー残量切れ。ジェネレータの変換量を連弾で超過してしまったらしい】
(無理は…するもんじゃないね〜)
【いつの間に壊れたのか、左目からはドロドロと人口循環液が流れ出ていた】
(メビちゃんないすぅ〜)
【落下の衝撃に備える中で、女性の声が聴こえる。やっぱりこういうのは、それっぽいキャラがやるべきなのだ】
(この子じゃそろそろ限界かな〜)
【スレイガンでは、やはり月には届かない。エイダン部長にテスト機でも強請るべきか】
【そうして紫水晶は、羅刹より僅かに遅れ、地に墜ちた】
- 152ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/27(火) 15:31:21
- 153ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/27(火) 15:41:43
- 154ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/27(火) 15:47:31
- 155シンカイ◆9BZ6kXGcio25/05/27(火) 16:01:46
- 156ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/27(火) 16:02:39
- 157ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/27(火) 16:04:33
- 158ポリト25/05/27(火) 16:05:01
【往復は3周目に入った。僅かにブースターを吹かす事で走る速度を上げている。】
(明らかにコックピットが破壊されたやつ以外はこれで終わり…だけど…)
【マニュアル操作だからこそ難易度が高いとはいえ可能な芸当だ。ただ問題は機体全体の揺れが酷くなる事で…】
(お尻がぁああああ…!)
【…無論半泣きである。】
【…数分後…】
【空へ上がる黒煙を見て移動より手当が先と判断し、スレイガンから降りて生存者に応急処置を行っていた。大した技術がある訳ではないが布で怪我を抑える程度の事はできる。】
「…よし、これで終わりです!次は…」
【音の方向へ振り返ると、何人かの人が来るのが見える。救急隊員だという事は容易に想像がつく。それを見て『これ以上何かする必要は無いだろう』と考えてその場を後にした。】
「…金龍さーん?聞こえていますかー?…あ、見えました!」
- 159ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/27(火) 16:16:32
《し、信じてたよぅ!?》
【半分は本当で、半分は嘘だ。不明機体の撃破までは信じていた行動という一方で、そもそも実戦での連弾の初使用によるエネルギー切れ自体が予想外…という言い訳もあるが、どっちにしろ無茶に付き合わせた機体と共に不時着は覚悟していたのだから、その後は信じてなかったというのは、当たっている】
【だからだろうか、否定の声は上擦ったものとなった】
《う、えっと…こっから先は……りすとりくとえいてぃーん!プレイエリアの外だよ〜!》
【とにかく誤魔化す。眼球の代わりに詰め込める丸い物ってあるだろうか。あるわけない。髪で片目を隠す程度は…毛量は申し分ないが、乙女回路などとっくに捨て去ったユスラは櫛など常備していない】
【結果、慌てて手櫛で前髪の全てを左側に流す。流石にこれ以上誤魔化せば怪しまれるからこそ、ハッチ開放も視野に入れた涙ぐましい偽装工作である】
- 160グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/05/27(火) 16:34:22
『...名を聞ければ良かったのだが』
パチパチと火花を散らし燃え盛る、
憎悪で象られた気体の残骸を前にして
大尉の眼には憐憫のみが浮かんでいた
『Помилуй
нас, Господи.
(主よ、この魂に憐れみを)』
機体を駆り、基地内の兵士たちの下へ
向かう道すがらにそう祈りを捧げ、
グリゴリーは救助活動へと向かっていった
- 161ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/27(火) 16:37:50
信じてくれたのならどうしてあんな加速を……なんだったら俺は18歳だし──もう良いか。開けてくれたのなら
【お互いのハッチが開けば、メビにポリトへの対応を頼んでから席を立つ】
とにかく、迎えに行くので安静にしてて下さい
【そう言って身軽にコックピットへ飛び移ると、普段とは違う彼女の髪型を認識する】
(これは……左目から血痕……両目や鼻孔に耳孔、それらから出ていなければつまり……)
姐ちゃん……俺の最後の頼みです
前髪を上げてくれます?
【大きい哀しみと僅かな怒りが籠った声を出しながら、金龍はそっと元気の無い彼女を抱きかかえる】 - 162ジーク◆.4YTxDiDm.25/05/27(火) 16:39:55
「なるほど、ならば話は早い。」
紅茶を啜り、カップをソーサーに置く。
「君は今回の戦闘に参加していた勞という青二才を知っているか?クロノスに籍こそ置いているが、デスペラード紛いの男だ。」
資料をバサバサと出す。
「つい最近キルケーの部隊員150名が"同時"に死亡した。そして勞の手元で規定使用人数を逸脱した人員の動きが起こった。増員は150名。不思議だろう?私も気になったのでな。本社の方で調べたら出てきたのだよ。死んだキルケーの隊長さんからの報告文書が。それも最新の。」
顔こそ表情筋のひとつも動いてないが目は人とは思えないほど笑っている。
「本社は死人に内偵させてたんだ。それでいて私にも勞の屋敷を見張れと言う。理由が分からないだろう?あのキルケーに内偵させているのにアルテミスが介入する必要がないのではないかとな。」
- 163ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/27(火) 16:41:33
- 164ポリト25/05/27(火) 16:46:34
- 165シンカイ◆9BZ6kXGcio25/05/27(火) 16:50:03
- 166ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/27(火) 16:50:16
- 167ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/27(火) 16:53:55
- 168ポリト25/05/27(火) 16:55:45
- 169ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/27(火) 16:58:35
- 170ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/27(火) 17:00:54
- 171ジーク◆.4YTxDiDm.25/05/27(火) 17:03:35
- 172グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/05/27(火) 17:06:01
【───グリゴリー!貴様という奴は...!
量産機に乗って出撃したのか?貴様が?
少し経てば俺がサルベージ完了すると、
つい昨日には部下から聞いている筈だろう?
それとも何だ、俺から逃げるつもりか貴様...
大破した貴様のBFから生還出来たのは、
俺のお陰というのを忘れたか、愚図が!】
『..."アンデルセン"、落ち着け
今回は火急の事態だったという事は
優秀なAIである君にはよく解るはずだ...
私の襟を引っ張るんじゃない。やめてくれ』
キュラキュラと駆動音を鳴らしながら
起きて早々自分に苦情を入れて飛び回る、
サポートAIに突っ込みと弁解を伝える、
声は女性タイプだが言葉遣いは荒い、
かなりひねくれ者の戦闘補助AIであった。 - 173ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/27(火) 17:14:57
- 174ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/27(火) 17:18:14
- 175シンカイ◆9BZ6kXGcio25/05/27(火) 17:25:21
- 176ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/27(火) 17:35:29
- 177ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/27(火) 17:41:38
- 178ノイン◆fDey8JUvvk25/05/27(火) 17:44:03
「食べたことがないのか……」
【なんとも言えない顔、強いて言えば苦悩である】
【だが、その苦悩は直ぐに払われた】
【目の前の青年ののほほんとした雰囲気、そして「美味しそう、私も食べてみたい」という言葉】
【そこから、少なくとも、致命的には追い込まれておらず、美味しい物を想像し、求められるだけの余裕を感じたからだ】
「……なら、ビギナーには青天市街のNA直営店は外せませんね。原点にして頂天と言っても良いものです」
「決して安い買い物ではありませんが、日頃から頑張っている自分への褒章、としては丁度良いと思いますよ」
【外さない店の紹介。デメリットも説明しつつ行きやすい理由もそれっぽく差し出してみる】
「そして願わくば、貴方が良き同志となりますように。」
【いやそのキャラはどこから出てきたのだよ。】
「……失礼、少し話しすぎました。」
【互いに仕事中でしたね、と我に帰った】
- 179ジーク◆.4YTxDiDm.25/05/27(火) 17:49:21
- 180ポリト◆XGxCas/OAU25/05/27(火) 18:01:57
- 181ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/27(火) 18:03:43
- 182ラルト◆C01O2YJoxg25/05/27(火) 18:04:06
食べた事ないという事を伝えたらなんとも言えない顔をされたが何故?と頭の中で思考する
思考していたらオススメの店を教えてくれた、青天市街のNA直営店が原点にして頂点らしい
決して安くはないという部分に反応してしまいそうになったがここは自室ではないのでしない
「日頃から頑張っている自分への褒賞…ですか、良いかもですね」
確かに最近は掃除屋として頑張っているのだ、少しくらいの褒賞はあって然るべきだろう
そう思って笑顔で頷きつつ、いつ行くか迷う
『良き同志となりますように』
良き同志?好きな物を追いかける同志という事だな!と勝手に納得して
「はい、同志になれたら嬉しいです」
最初の警戒がどこに行ったのか、もはや知人と話している雰囲気になっている
その時ふと互いに仕事中だという事を思い出し、ハッと我に返る
「すみません護衛の仕事中のはずなのに」
掃除と護衛では仕事の大事さが違うだろう事に申し訳なさそうに頭を下げる
- 183ポリト◆XGxCas/OAU25/05/27(火) 18:05:14
- 184ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/05/27(火) 18:14:46
「…間違っては、ないと思うんだよね」
「ほら、おねーさんは大人だから、さ?若い子の未来の為に頑張る、権利と、義務がある」
【ぽつり、ぽつりと。降り始めた小雨のように呟く】
「勞くんとか、ケイくんとか。あとはまぁ、レイナードくんもちゃんとリタイアできてるといいかなぁ。さっきのアルテミスの子とか、盾持ちさん…あの人はおねーさんより大人かもしれないけどさ」
【ははっ、と儚く笑う。誤魔化すためではなく、本心から吐露された、乾いた苦笑】
「信じてるよ、きっと抗ってくれるって。今はまだ、灰皿とも区別つかないけどさ、それでも確かに火種があって、皆が良くしてくれるって」
【ユスラ・キリサキは無神論者だ。神への信心などない】
【そして同時に、ニヒリストだ。自分が生きてることに意味を感じられない。きっと無意味に、無関係に死ぬだろうと決めつけている】
【それでも彼女が生きるのは『大人』であり、『おねーさん』であろうとするからだ。そう在りたいと誤魔化して演じ続けている内に、それは本心になった】
【だからユスラは祈る。神にではなく、生きる人々に】
「だからさ、かなしー顔しないでよ。いくらおねーさんの抱き心地が悪くたって、ちょっとは傷つくかもしれないよ?」
【だから誤魔化し続ける。いや、誤魔化しこそが『誤魔化さないユスラ』そのものなのだから】
- 185ノイン◆fDey8JUvvk25/05/27(火) 19:02:56
・・・
「互いに仕事中です。ですから私も。ごめんなさい。」
【こちらも申し訳なさそうに頭を下げる。仕事の大事さなどではなく、仕事は仕事だからお互い様だと】
【けれど頭を下げ過ぎることはなく、自然と頭を上げた】
「では。世にペペロンチーノの在らんことを。」
【そう言い残し、旅館の方へと歩き出す】
- 186ケイ◆ECPjTIh3Iw25/05/27(火) 19:11:10
「お、襲われって……そんな冗談な……はは」
と言いながら。一旦台から離れたケイは龍影の手を引く。
(指輪があったら、新婚旅行?って言われたかもしれないなぁ)
心のなかでそう思いながら。自分以上に戦いまみれの人生だっただろう龍影を思う。
「ほら、いこ」
彼女の青春も、台の青春も取り戻してあげたい。そういう思いを抱きながら手を引いて。ケイは旅館の暖簾をくぐる。
『愁千楽へようこそ。女将の――――と申します。本日含め数日間。よろしくおねがいしますね』
「ケイ・サヤギリです。よろしくお願いします!!」
女将さんの柔らかい笑みに丁寧に礼を返して。数日間の旅館での休暇が始まった。
「ん? あの二人……片方は、見たことあるような……?」
部屋へ案内される間――――男女間のプライバシーというやつだろうか、ケイは個室。龍影と台で同室という部屋分けになったそうな――――和やかに話をしている二人組に、カンナが近づいているのをケイは見た。
どちらも真面目そうな印象を抱く。景色も良いこの場所に相応しいスタッフだなぁとケイは好感を抱いた。きっとカンナさんとも仲良くなれるだろう。
- 187ラルト◆C01O2YJoxg25/05/27(火) 19:11:55
頭を下げたら頭を下げられて互いに謝る形になってしまった
だが互いに仕事中だという事を思い出したからにはちゃんとやらなければ
『世にペペロンチーノの在らんことを。』
そう言ってマルガリータさん?は旅館に向かって歩き出してしまった
「世にペペロンチーノの在らんことを???」
初めて聞く言葉に少し動揺してしまうが深呼吸する
会話して気分転換になった為、もう少しで終わる旅館前の掃除を素早くやり始める - 188シンカイ◆9BZ6kXGcio25/05/27(火) 19:24:01
- 189東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/27(火) 19:29:01
- 190ジーク◆.4YTxDiDm.25/05/27(火) 19:46:37
「おや、怪我をしてしまったのか。BFパイロットとしての自覚をしたまえ。」
手早く怪我の状態を確認し、ガーゼを当てる。
「と言っても彼が協力的な態度を少しでも出せばバベル大隊とアルテミスが動くことはない。」
そのガーゼに赤いシミが浮かぶ。
「君をしばらくアサインしておくように中隊長へ伝えておくよその怪我では実戦もままならないだろ?怪我の理由もBFの操演中に起きた負傷事故ってことにしておく。…1つ、クロノスが20年以上も箱庭の長として君臨できていたのは弾圧と懐柔だ。役員の中でもろくでもない奴が居る。君の持つその不信感、忘れるなよ?」
現状に不満を持った戦友に助言のような言葉をかけた。
「しっかりと資料を読みすぎてしまったようだ。いい時間だ。君は部屋に戻って休みたまえ。」
- 191モカ◆KPwoT407kA25/05/27(火) 19:48:58
………すぅ………すぅ………………すぅ………
【不規則な寝息を立てながら、クロノスの教会にて眠りこける少女がいた】
『───────戦い過ぎだ!補充人員と専用BFの建造が済む前に貴様に死なれたらプレアデスの運営が今度こそ立ち行かなくなる』
『上層部もしばらく我々を動員しないだろう。休暇だ休暇!コロニーでなにか趣味でも見つけてこい!』
【そんな事を“プレアデス征団”のメンバーに言われてはや数日。今眠っている少女は未だ戦いを求めているが…身体にはメンテナンスでも改善しきれない肉体的な疲労が蓄積していた】
【戦うのが好き。戦場に舞うコア粒子の煌めきが好き。インベイドの腸に残る消えゆかんとする瞬きも好き】
【戦いを愛した少女は今、戦いに“勘弁してください”と突っぱねられ。やる事もないので教会に響く聖歌をBGMに、ただただ眠っていた】 - 192ジーク◆.4YTxDiDm.25/05/27(火) 19:51:42
- 193ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/05/27(火) 19:56:41
だったら……俺にはその背中を追い掛ける権利と義務があるはずです……
姐ちゃんが居なくなったら……そこから断絶した先をどう進めというんです……
【今抱いているボロボロの道標が、何処か諦観している笑顔を見せて来たのを、金龍は沈痛とした思いで受け取る】
抗うと信じるのなら、姐ちゃんも抗ってください……
お願いしますから……
【強欲な金龍は、最後のお願いと言ったにも関わらず、もう1個追加した……】
- 194龍影◆9BZ6kXGcio25/05/27(火) 20:12:44
- 195東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/05/27(火) 20:28:26
- 196侍従武官◆OXAm1h6odk25/05/27(火) 20:31:28
「………………っ!?」
国家としてのアイデンティティ。“解体戦争”を経て企業支配体制が確立された後に誕生した筈の年若き指導者がいとも容易く其れを指摘して、侍従武官は一瞬だけ動揺を表に出した。
例え勉強熱心だとしても、辿り着くのは容易でない筈だ──────それこそ、旧時代を生き抜いた者でもなければ。
そして、彼女の年齢を鑑みるに『有り得ない』推論である。
だが軍人として積み重ねた自制心で侍従武官は直ぐに感情を抑え込み、彼女の敬愛する総帥からの言葉と意図をそのまま伝達した。
「────────我々には、コア粒子関連技術が著しく欠けています。だからこそ、“いつか”で良いので技術支援を行って欲しいのです」
グランセン解放戦線の協力企業の中で、コア粒子の研究を専門とする企業は存在しない。
ミュール・コーポレーションだけはインベイド戦争以前では“惑星間電力企業”を務め上げていた事からコア粒子をエネルギーロスなく変換する粒子回路の製造は可能であるが、しかしコア粒子『そのもの』についての研究が行われていない。
『アウローラ』の武装スロットで両腕部が意図的に空けられているのも、同様の理由である。
・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・
「ヴァルハラテック」以上の近接武装を作れないのだ。其の事実(じゃくてん)を明らかにしながら、侍従武官は言葉を紡いだ。
「『サルデーニャの虐殺』ではクロノス軍によって非常に大規模なコア粒子汚染が行われ、今も尚コア粒子による健康被害は爪痕を残しています…………我々としては其れを治療する技術が欲しいと考えております」
例えば、ミュール・コーポレーション最高経営責任者であるレオン・ミュールの妻。
或いは同社最高戦力たる『ヴィルトゥオーゾ』部隊の『トランペット』であるダンテ・ガブリエリ。
彼らはクロノス・インダストリーによるコア粒子の意図的な拡散によって、重い身体障害を抱えた者達である。
グランセン解放戦線の後方支援要員の中にも、そのような人間は多い。だからこそ、旧愛卿はその技術を欲していた。
- 197逆巻カンナ◆ECPjTIh3Iw25/05/27(火) 20:32:48
『ふふ、夜にでもこっそりとお部屋に。という手もございますよ?』
そういう客が今までもいたのだろう。艶やかな声で、女将は台と龍影に耳打ちした。
『お食事もたっぷり精がつくものにしませんとね』
どうやら仲の良い人々の人間関係円滑化も、この旅館は好きなご様子だ。
「……さーて。君、依頼を受けてくれてありがとねー」
という光景を横目に、入口を丁寧に丁寧に掃除してくれる少年に声を掛ける女性が一人。逆巻カンナである。
「掃除もしっかりデキる人っていうと意外と少なくてね……君はその中でも評判がいいから、雇えてよかったよ」
ラルフに対して彼女が差し出した名刺には『逆巻重工・6代目CEO・逆巻カンナ』の文字が。
「働きには報酬を……話し相手にもなってあげるから、質問があったらぜひにどうぞ」
絶対気軽に会ってはいけない類の人が、このときばかりはと気を抜いている。それはいけませんよカンナさん。
- 198グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/05/27(火) 20:33:53
『...おや』
クロノスの兵だ、眠りこけている。
神父姿に戻ったグリゴリーはしばし考え
オルガンの裏からブランケットを出すと、
そっとその身体に被せたのだった
『昔を思い出す...な』
少年時代、夏が過ぎ風にアザミが揺れる頃
説法を説くシスターの話に船を漕ぎながら、
聖書を枕にしていた事を思い出す。
罰当たりな事だが、あの惰眠は心地良い...
微かに笑いながらその場を離れて行く
- 199ラルト◆C01O2YJoxg25/05/27(火) 20:42:33
綺麗にして満足していた所に女性が話しかけてきた。誰だろう?と思いながらも褒められて悪い気はしない
すると名刺を差し出してきた為、受け取り確認するとそこには
『逆巻重工・6代目CEO・逆巻カンナ』
………雇い主じゃねぇか!!
名刺を見て大声でそう叫びたくなったが堪えた、偉いぞ自分
「いえいえ、報酬を貰えるなら喜んで掃除させてもらいますとも。なんてたって掃除屋なんで!」
そう答えるが内心バクバクしている、驚きもあるが女性と立て続けに話した事が生きてきて少ないからである
話し相手にも質問しても答えてくれるらしいが今の所緊張で考えが纏まらない
- 200ノイン◆fDey8JUvvk25/05/27(火) 20:45:37
【その声に振り替える】
「(いやちょっと待てよ)」
【光景を遠巻きに眺め心中でツッコミを入れた】
【周囲は警戒済とはいえ、最大の護衛対象。多少失礼になろうとも目の前で目を離すわけにはいかない】
【小さく息を吐く。インプラントの力を借りて1秒を200に切り分け周囲を警戒する】