- 1二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 14:54:48
- 2二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 14:55:06
- 3二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 14:58:04
スレ建てしました
- 4二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 15:02:35
建て乙です!
- 5二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 15:33:33
建て乙
- 6二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 16:18:01
建て乙
- 7二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 17:38:13
このレスは削除されています
- 8二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 17:39:36
建て乙
- 9二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 17:39:53
保守
- 10二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 17:40:47
保守完了
- 11二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 17:43:35
保守
- 12二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 20:13:31
待機
- 13二次元好きの匿名さん25/05/25(日) 22:32:09
ほ
- 14二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 00:58:15
待機
- 15二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 07:44:39
待機
- 16二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 08:41:22
待機
- 17スレ主25/05/26(月) 08:43:57
「夢を追いかけない生など、すでに死んだも同然、この熾死王には我慢がならん」
キラキラと淀んだ瞳を輝かせ、少年のように彼は言った。
ある意味この人も熱い - 18スレ主25/05/26(月) 08:46:11
「早急に片付けますので、今しばらくお待ちを」
すると、レノの表情が緩む。
ニコッと彼女は笑みを浮かべた。
「うんっ、待ってるよ」
良き良き - 19二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 08:46:44
LOVEの波動を感じますねぇ……
- 20スレ主25/05/26(月) 08:49:47
そう口にすると、ミーシャは<創造建築>の魔法で玉座を作った。
俺はそこに腰かけ、仰々しく言った。
「夕餉ゆうげはキノコグラタンにせよ。なに? 示しがつかぬ? では、なんなら魔王らしい食べ物だというのだ? 人間? 人間が食えるか、馬鹿めっ!」
この辺アノス様のノリの良さとミーシャの察しの良さ感じて好き
- 21二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 09:23:03
そういやアノス様に人間食えって言った配下いるらしいけど誰だよ
- 22二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 09:36:45
結局、正体が分からなかったその配下は一体……
- 23二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 14:03:36
魔族に人間食う種類いないからねえ
- 24スレ主25/05/26(月) 23:12:11
「熾死王の感情は苦手」
「まあ、あいつと気の合う奴はそうそういまい」
「でも、少しだけわかる」
ほう。さすがはミーシャだな。
「どういうつもりなのだ?」
「歪んだ憧れ」
淡々とミーシャが言う。
「暴虐の魔王がどこまでも遠い存在であってほしい。彼にとってはそれが第一で、そのためなら滅びても構わないと思っている」
「それが、よくわからぬがな。俺に憧れたなら、配下になればいい。敵など不要だ。それを期待するのなら、一人でも俺は遙か高みへ上ってみせよう」
ここはやっぱ上に立つ者の考え方してるよねアノス様 - 25スレ主25/05/26(月) 23:14:39
「生まれたばかりの魔族を浄化と称して火あぶりにした。それを餌に、魔族の兵を何百と殺した。お前たち、人間がっ! 殺したのだっ!!! その貴様が、今更助けてなどと恥知らずなことを宣うかっ!!」
当時の魔族と人間の亀裂がよくわかる光景 - 26スレ主25/05/26(月) 23:16:38
「助けたところで、どうにもならぬのだがな」
呟き、デビドラを、そして周囲にいる配下たちを睨んだ。
彼らの気持ちもわからないではない。
だが――
「彼は一度無残にも死んだ。せめてこの夢でぐらいは、救われねば嘘だろう」
我ながら、愚かなものだ。
なにも変えられぬかもしれぬ。
本来の目的を果たせぬかもしれぬ。
だが、それでも、ここで見過ごすような俺ではないぞ。
色々とあるけどそんなものは関係ないで助けに行くの好き - 27スレ主25/05/26(月) 23:19:43
「魔王様……偉大なる我が君よ……あなたの命を……私は……どうしても、どうしても……守ることが……できませんでした……」
アノス様は平和を願って死を選んだけど残された者達は…… - 28スレ主25/05/26(月) 23:20:29
「面を上げよ」
デビドラたちは顔を上げた。
それでも、俺を直視することはできない。
「暴虐の魔王からの伝言だ」
彼らに、力強く俺は言った。
「二千年後に会おう」
取るに足らぬ言葉であればいい。
時の秩序からこぼれ落ちるほどの、小さな矛盾であればいい。
彼らの行動を変えず、心だけを変え――
泡沫の夢が、現実に変わるほどの。
「素晴らしい世界がお前たちを待っている」
とうの昔に過ぎ去った、悲しい過去の出来事に、俺はそう願いを込めた。
これがあれに繋がるの本当好き - 29スレ主25/05/26(月) 23:22:21
「おかえり」
彼女は薄く微笑んで、俺を迎えた。
「助けると思った」
思いもよらぬことを言う。
この場に来るまで、俺は、自分がイガレスを助けるなど想像していなかった。
捨ておくことができず、ただ咄嗟に、体が動いたにすぎぬ。
それを、わかっていたというのか?
俺の心底を、俺よりも理解していたと?
「アノシュは優しい」
これは正妻のオーラ…… - 30スレ主25/05/26(月) 23:24:36
「なにか、僕にできることはありますか?」
「なにかとは?」
「お礼がしたいんです。恩人に報いるというのが、勇者として相応しい行動と教えられましたから」
彼を育てたのはさぞ立派な人物だったのだろう。
会いたかったものだ。
「では、生まれ変わったらある噂を広めて欲しい。二千年後まで続く、暴虐の魔王アヴォス・ディルヘヴィアの噂だ」
イガレスの頭に指先を触れる。
「少々複雑でな。忘れぬよう<思念通信リークス>で記憶に刻みつける」
魔法陣を描き、イガレスに噂の内容を伝えた。
理滅剣により、特異な存在と化した彼が広めた噂は元に戻ることなく、現代にまで伝わることだろう。
もっとも、うまく行くかはイガレス次第だ。
「……必ず、約束を果たします……」
2000年越しの約束
- 31スレ主25/05/26(月) 23:25:54
「見て」
暗い光の粒の輝きが消え、壁面の様子がはっきりと見えるようになっていた。
そこには、文字が刻みつけられている。
わたしの魔王さまへ。
二千年後に会いましょう。
今度は、三人で。
たぶん、きっと、必ず。
わたしはまた恋に落ちる。
わたしの魔王さま - 32二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 00:23:01
待機
- 33二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 00:24:41
四章はやっぱ神やな
- 34二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 03:53:24
アノス自身が困惑してるように現代と二千年前でアノスの行動方針って違うんだよね
- 35二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 08:04:14
保守
- 36二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 11:06:25
4章は連載時まじで面白すぎた
- 37二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 13:27:50
これぞファンタジーの王道感が半端ない
- 38二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 18:43:52
- 39二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 21:09:22
このシーン何気に大好きだわ
本当にアノス様を慕っていて、その命令に従いたいんだけど、その想いと同じくらい人間への憎しみもあって、恨みをぶつけずにはいられない
アノス様であっても1000年続く壁作って、風化させるしかないほどにヤバかったっていう悲惨さを物語ってる
- 40二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 22:47:19
しゅ
- 41二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 01:25:40
待機
- 42二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 07:43:00
待機
- 43二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 07:44:02
保守
- 44スレ主25/05/28(水) 11:04:50
- 45二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 12:08:32
あのメッセージの送り主は四章を最後まで見た上で状況整理すると理滅剣があった場所に書いてあって
夜になるとミリティアからのメッセージに変化する魔法が仕掛けられてるからアニメ二期視聴時点で何となくは察せられる情報は出てるんだよね - 46二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 18:33:43
待機
- 47スレ主25/05/28(水) 21:19:25
「アノスを好きな人はいなかった?」
「さて、心当たりはない。この時代は、それどころではなかったからな。俺に恋心を抱くとは光栄な話ではあるが、恐らく言い出すことはできなかったのだろう」
世界が平和だったらカノンもアノス様も普通に世継ぎ作れとか言われてたのかな - 48スレ主25/05/28(水) 21:20:16
「……シンは、愛を手に入れられる?」
「あの男が心から望むのならば可能だろう」
ぱちぱちとミーシャは目を瞬かせる。
「彼の根源は魔剣」
ミーシャが淡々と呟く。
「それでも平気?」
「魔剣だからと言って、人を愛せぬと思ったか」
良い言葉 - 49スレ主25/05/28(水) 21:21:39
「アノス」
「なんだ?」
「世界は平和になった?」
「昔よりはな。だが、どうやら、まだ足りぬようだ」
平和だったらこんな苦労する事なかったのに…… - 50二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 22:06:30
それでも破壊神がいて戦争していた頃よりマシになってるのがね…
- 51二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 23:38:49
保守
- 52二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 03:10:17
めちゃくちゃ荒廃していた世界から、よくここまで立て直したよね……
- 53二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 08:15:18
保守
- 54二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 08:15:27
このレスは削除されています
- 55二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 14:12:35
このレスは削除されています
- 56二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 14:22:39
保守
- 57二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 22:19:48
ほしゅ
- 58二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 06:33:13
待機
- 59二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 11:15:22
待機
- 60二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 14:26:56
待機
- 61二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 23:02:17
待機
- 62スレ主25/05/30(金) 23:18:42
「皆に良い報せがある」
許しを請うように頭を下げ、俺は今はいない配下たちに告げる。
「平和は叶った。誇るがよい。俺たちは勝ったのだ」
果たして、それは勝利なのか。
滅びた者に、なにを告げても、空しさばかりが募る。
「よくぞ誓いを果たしてくれた」
墓標はこの場所でなければならぬ。
共に誓い合った、この丘に彼らの魂は眠っている。
良い…… - 63スレ主25/05/30(金) 23:19:44
「手負いとはいえ、ああも容易く神を切り捨てるとは、さすがは魔王アノスの右腕だ。神が敵わぬのだぞ、魔王ではなく、その配下にだっ!」
口がないのに、どこから声を出しているのか、エールドメードは異様にテンションを上げ、熱く語っている。
傍らでそれに相槌を打っているのは、褐色の肌と金の瞳を持ち、髪をオールバックにまとめている男だ。二千年後に一度会ったな。熾死王の参謀、ジークか。
「では、魔王アノスはどれほど強いというのか? どれだけ強大な敵を差し向けようとも、未だに奴の底が知れんっ! いや底などあるのか? まったく、素晴らしいことだ! なにが素晴らしいと思う、なあ、ジーク?」
本当に生きてて楽しそうだわこの人 - 64スレ主25/05/30(金) 23:20:29
珍しくアノスの力を侮らない敵、熾死王……。
確かに珍しい - 65スレ主25/05/30(金) 23:27:46
「母なる大精霊は恋なんてしないと思っていた」
呆然とレノは、カノンを見返す。
たった今、なにかをはっきりと自覚したような表情を浮かべていた。
「世界は思ったよりも、愛に満ちているのかもしれないね」
でもカノン自身が愛を知るのは2000年後…… - 66スレ主25/05/30(金) 23:35:07
「……じゃ、シン……あの、私と……」
恥ずかしげに、今にも途切れそうなか細い声で、彼女は言う。
「結婚して」
遠くから、その様子を窺っていたサーシャが「いきなりっ!?」と声を上げた。幸いにも、レノはそれどころではなく、聞こえていないようだ。「絶対、玉砕だわ……」とサーシャは小さく呟く。
サーシャも言って見ればいいのに - 67スレ主25/05/30(金) 23:38:46
「もとより、精霊たちの祝福でこれだけ華やかなことだしな。婚儀が多少派手になったところで、なにが変わるわけでもあるまい」
「ふーん。じゃ、わたしたちもやる?」
サーシャが問いかけると、ミーシャはこくりとうなずいた。
二人は手をつなぎ、魔法術式を融合させる。
「氷の花火」
二人の間に魔法陣が描かれると、そこから、氷の結晶が舞い上がり、空に上っていく。それがキラキラと弾けたかと思うと、大空に大輪の花を咲かせる。
まるで氷の結晶のようなそれは、綺麗な火に彩られ、いつまでも空に残る幻想的な花火を作りだしていた。
「それじゃ、ちょっと余興をしてくるよ」
今度はレイが言う。
彼は緑色の全身甲冑を身につけていた。
この辺の皆のノリの良さ好き - 68スレ主25/05/30(金) 23:44:44
「……あ、あのね、シン……」
恐る恐るといったように、彼女はベッドについたシンの手に、自らの手を重ねた。
勇気を振り絞るように、レノは言う。
「……やっぱり、寝るだけじゃ……」
唇を震わせ、レノは顔を紅潮させる。
途切れそうなほど弱々しく、微かな声を、それでもなんとか振り絞った。
「…………やだよ……」
そのまま静かにレノは顔を寄せ、そっとキスをした。
抱きつくように体重を預け、彼女は白い指先をシンの体に伸ばす。
その手を彼がそっとつかんだ。
「……だめかな……?」
一瞬の間の後、シンは言った。
「……傷つけるかもしれません……あなたが愛を、求めるなら……」
「大丈夫だよ」
シンの手に、レノは指を絡ませて、いつものようにニコッと笑った。
「教えてあげるから」
やっぱアニメだと極力こういう描写カットしてるんだね - 69スレ主25/05/30(金) 23:55:07
いやアニメであったっけここ?やばいな、すっかり忘れてる
- 70スレ主25/05/31(土) 00:15:01
アニメ見始めたのいつだっけって過去スレ見返したら去年の7月で目玉飛び出そうになった、もうちょいで1周年かよ
- 71二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 00:16:30
スレ主には多大なる感謝を。ここまで魔王学院を見てくれているのは、本当に嬉しすぎるんだよ。ファン冥利に尽きる
- 72スレ主25/05/31(土) 00:22:26
いえいえ、かなりスローペースなのにここまで保守とかしてもらってるおかげですので……
- 73二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 01:16:26
保守
- 74二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 04:36:47
- 75二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 07:58:06
ほ
- 76二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 08:23:14
- 77二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 14:05:26
ほ
- 78二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 19:46:38
待機
- 79二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 22:40:32
しゅ
- 80二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 01:32:22
待機
- 81二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 09:51:32
待機
- 82二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 12:13:38
待機
- 83二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 16:26:23
待機
- 84二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 20:28:23
待機
- 85二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 22:10:43
>>76 ほんそれ
- 86スレ主25/06/02(月) 00:04:50
「……そんなこと、できないよ……シンは魔王の右腕なんだから……そんなこと、させられない……」
彼の気持ちを慮ったレノに、シンは優しく言った。
「それでも、あなたが私にくれた、愛に違いありません。たとえそこに、神の意図があったのだとしても」
「だけど……」
「……死なせはしません。たとえ、我が君に……」
一旦言葉を切り、シンは毅然と言った。
「我が君に背こうと、私は架空の魔王アヴォス・ディルヘヴィアの噂と伝承を広め、それを守ります……」
1人の忠臣が愛を貫く事を選んだ…… - 87スレ主25/06/02(月) 00:06:27
――ねえ、シン。あのね――
――きっと、伝わってないと思うけど――
――私は、後悔なんてしてないよ――
――シンと結婚できたから――
――ありがとう、シン――
――私に恋を教えてくれて――
――ありがとう、シン――
――私を守ってくれて――
――たった三日間の結婚生活だったけど――
――私は誰より幸せだったよ―― - 88スレ主25/06/02(月) 00:08:34
隣にいるミーシャが涙を浮かべていた。
サーシャは泣いている。エレオノールも、ゼシアも。
レイは悲しげな表情でぐっと奥歯を噛み、リィナは物憂げな顔をしていた。
一歩、俺は歩を刻む。
彼らがゆっくりとこちらを向いた。
「二千年前の悲劇はもう幕引きだ」
彼らに向かい、俺は言った。
「これから、すべてを取り返しに行こう」
ここ全員の優しさがよくわかって大好き - 89スレ主25/06/02(月) 00:15:06
「僕は、3回生のアラミス・エルティモ。かつての名を、イガレス・イジェイシカ! 勇者ジェルガの血縁にして、二千年前のアゼシオン第七王位継承者ですっ! 混血の魔族よりも、遙かにあなた方の敵でしょうっ!」
ここ凄い好きなんだよね、この後のあれに繋がるの - 90スレ主25/06/02(月) 00:18:05
- 91スレ主25/06/02(月) 00:22:41
「……なぜ、助けた? 二千年前、私がお前にした仕打ち、忘れたわけではないだろう」
すると、イガレスは笑った。
「あなたも、二千年前に人間がしたことを、忘れたわけではないんでしょう?」
デビドラは一瞬押し黙り、それから魔法陣を描いた。
「……憎しみは、二千年前においてきた……!」
多分俺がこの章で1番好きなシーン - 92二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 01:02:36
>>91 もう二度と、あの時代を繰り返さないという決意が垣間見えるシーンで良き……!
- 93二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 03:57:00
イガレスにお願いしたのは噂を広めることだからこの辺り自主的にやってくれたんだよね
なのでアノスはアドリブで全部俺の思い通りにいってる感出してる - 94二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 07:33:35
保守
- 95二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 08:08:30
待機
- 96二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 13:46:02
これ以上真の主に逆らうことがないという褒美です
- 97二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 14:14:45
待機
- 98スレ主25/06/02(月) 17:21:41
「兵法の基本は、多数をもって少数を制す。なかなか教科書通りの戦いをするものだな」
こちらに視線を向けたアヴォス・ディルヘヴィアに、俺は言った。
「しかし、駒がとられることはないと踏んでチェスを指していたつもりだったのだろうが、あいにくと俺はルールを知らぬ。たとえチェスだろうと、力尽くで駒を奪うぞ」
煽る煽る - 99スレ主25/06/02(月) 17:23:53
「そうだな、デビドラ」
すると、すぐに彼からの返答があった。
『偽の魔王、アヴォス・ディルヘヴィア』
水晶から伝わってきた<思念通信リークス>が、玉座の間に響く。
『アノシュ・ポルティコーロを知っているか?』
「……なんの話ですの?」
伏線の貼り方の上手さよ
- 100スレ主25/06/02(月) 17:25:29
「お久しぶりです、アノス様。私は、あなたを――」
魔王の右腕、シン・レグリアは二千年前と変わらない、冷たい魔眼めで言った。
「――裏切りました」
真っ先にこの報告してしまうのがシン - 101スレ主25/06/02(月) 17:29:21
「二千年前ならな」
根源の魔力という魔力を魔剣に注いだシンは、糸の切れた人形のように、その場に両膝をつき、前のめりに倒れた。
断絶剣が吸い取った根源を、俺は折れた剣先から吸収し、シンに戻してやる。
そうして、床にひれ伏した彼に言った。
「この時代の俺には父親がいる」
自分の口元が自然と緩むのがわかった。
「なんとも間の抜けた男でな。生き恥を曝すどころか、人生そのものが恥のような人間だ。だがな、シン」
ただありのままの事実を伝えようと、俺は言った。
「それでも、構わぬ。父は俺を愛している。どんなときでも、どんな馬鹿をやらかそうとも、それだけは変わらぬ事実なのだ。そして、それが最も大切なことなのだ。たとえ、父が地獄のどん底にいたとしても、そこから救う手段が未だ見つからぬとしても」
本当に良い親の所に転生できたよね…… - 102スレ主25/06/02(月) 17:31:44
「これから面白くなるのだ、不適合者。君のすべてを奪――がばあぁっ!!」
最後まで言い切る前に、俺に殴り飛ばされたノウスガリアは、勢いよくすっ飛び、ドゴォォンッと壁にめり込んだ。
笑うわこんなん - 103二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 17:57:46
さすが感想欄でかませ神だの脳薄ガリアだの言われた神
そんじょそこらのかませとは格が違う - 104二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 23:02:43
ここまでヘイト貯めたのもあってね
- 105スレ主25/06/02(月) 23:21:05
やらねばならぬことは、大きく二つ。
この世の秩序を滅ぼさずに、天父神ノウスガリアを滅ぼす。
ミサを滅ぼさずに、アヴォス・ディルヘヴィアを滅ぼす。
アノス様以外完全に無理ゲーだよねこれ - 106スレ主25/06/02(月) 23:22:36
あのときとは違う意味で、奇跡なんかじゃなかったと。
凄い「ああ…」ってなった - 107スレ主25/06/02(月) 23:24:08
「蒙昧なる君に神の知恵を授けよう。神の言葉は絶対だ。君が愛を手にしたように、君がアヴォス・ディルヘヴィアを育てたように、私の言葉からは、決して逃れられない。さらばだ、神殺しの凶け――」
ノウスガリアの体に亀裂が入っていた。
彼を貫いている斬神剣の赤黒い剣身に、螺旋を描くような禍々しい魔力の粒子が立ち上り始める。
「斬神剣秘奥が三――<無間むげん>」
ノウスガリアの根源が刹那の間に真っ二つにされた。
シンが斬神剣から手を離すと、天父神はたたらを踏む。
だが、すぐに奴は顔を上げる。
「……ははっ……。神の根源は不滅……決して――がふぅ……!!」
蘇ったノウスガリアは、体に突き刺さったままの斬神剣によって根源を二つに裂かれ、それを四つに分割された。
「……神は、不――ごほぉ……!!」
台詞キャンセル3連発で草
- 108スレ主25/06/02(月) 23:28:14
「返してもらったよ、アヴォス・ディルヘヴィア。君の根源は二つに分かれた。魔族と精霊のものにね。ミサが持っていた魔力はそれほど多くはなくても、半分だけの根源は長くは生きられない」
うっすらとアヴォス・ディルヘヴィアの体が透明になっていく。
彼女にはまだ十分な魔力が残っているにもかかわらず、その存在が維持できないといったように、薄れていくのだ。
精霊病と似たような現象だった。
「噂と伝承通り、勇者カノンの霊神人剣で君は滅びる。君の負けだ、アヴォス・ディルヘヴィア」
この伝承ルール逆手に取った勝ち方好き、この作品良く考えたら頭良い仲間しかいないな…… - 109スレ主25/06/02(月) 23:32:15
「最初に申し上げたはずですわ。あなたはすべてを奪われたのです。名を奪われ、配下を奪われ、城を奪われ、そして今、あなたの力の象徴さえも奪われました」
アヴォスのこのやたら自信満々で態度デカいのってノウスガリアの影響なのか伝承のイメージのせいなのか気になる - 110スレ主25/06/02(月) 23:34:33
「理滅剣を掌握すれば、俺に敵うと思ったか」
アヴォス・ディルヘヴィアが、滅紫に染まった俺の魔眼を見つめる。
その深淵の底を、深く、深く――
「……どうして……見えませんの……。あなたの底が……。わたくしは、暴虐の魔王ですのに……」
「それが答えだ。所詮は噂と伝承にすぎぬ」
黒き滅びの右手にて、奴の根源を握り潰す。
がくん、とアヴォス・ディルヘヴィアの力が抜けた。
「お前は贋物だ、アヴォス・ディルヘヴィア」
いやたまんねえっす - 111二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 01:46:40
ここら辺は流石としか言いようがないよな
- 112二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 03:55:01
アヴォスの性格は多分伝承由来。噂の総量としては人間の深き暗黒の噂が一番多くてそこに皇族派のアヴォス像加わった感じだと思う
- 113二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 07:45:45
保守
- 114二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 10:47:27
待機
- 115二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 14:08:08
ほ
- 116二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 19:10:11
待機
- 117二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 21:00:49
待機
- 118二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 22:26:53
ほ
- 119二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 22:46:12
半霊半魔であり(これは当時知る者が少ないが)
書き換えられたとはいえ男性だったはずなのに女性として現れる
噂と伝承の精霊の力で強引に成立させている矛盾の塊
アヴォス・ディルヘヴィア - 120二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 06:34:22
純血の魔族に転生する(性別未指定)っていう噂と伝承だからセーフ…
- 121二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 09:30:39
待機
- 122二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 14:57:42
待機
- 123スレ主25/06/04(水) 20:57:24
「ほう」
傲慢なノウスガリアの表情に、険しさが浮かぶ。
「自らは関係がないと傍観者を気取り、安全なところから必死に生きる者を嘲笑っては、虐げる。あまつさえ、この二千年の間に起きた悲劇の責任を、他者になすりつけるか」
その声に、ノウスガリアは絶句した。
彼は驚愕の表情を浮かべ、視線を泳がせる。
「そんな神ならば、この世にいらぬ」
次第に闇色の光が晴れ、その場の光景があらわになった。
「…………な…………………………」
俺の顔を見て、ノウスガリアは固まった。
俺だけではない。シンもレイもミサもレノも、この場にいる誰一人、<破滅の太陽>で傷一つ負っていないのだ。
ここまで相手が悪いって言葉が似合う神(笑)がいるだろうか
- 124スレ主25/06/04(水) 20:58:36
「……君は私を滅ぼすことはできない……秩序を生む秩序。天父神を滅ぼせば、世界は崩壊の一途を辿るのみだ……」
「ふむ。確かにな」
「……ははっ」
ノウスガリアが安堵したかのように声を漏らす。
それを嘲笑うかのように、俺は言った。
「などと口にすると思ったか」
途端に絶望的な表情になり、ノウスガリアは絶句する。
その目は、まるで奈落に堕ちたかのようだった。
「どうした、ノウスガリア? 心などないというならば、滅びなど恐れはしまい。それとも、秩序であるお前が生きたいとでも言うつもりか?」
いやー気持ちいいわ - 125スレ主25/06/04(水) 21:00:17
「貴様は虫けらにでも変えてやろう。未来永劫、何度転生しようともな」
「……な…………」
「楽しいぞ、心があるというのはな。秩序などという無味乾燥なものよりも、虫けらの方がよっぽど刺激的な生だ。無論、多少は辛いこともある」
体内に構築した魔法陣に魔力を送り、ノウスガリアから神の秩序を簒奪し、それをエールドメードへ移動させる。
「……秩序が……乱れ……愚かな……おの、れぇ……」
腹の底から湧き出たような、激しい怒り。
とても秩序とは思えぬ感情が、ノウスガリアの言葉に表れていた。
「おのれぇ……おのれぇぇぇ……おのれぇぇぇぇぇっ!!」
絶叫するように彼は言った。
「……おのっれぇぇぇぇぇぇっ!! 世界の理から……秩序から、外れた……不適合者めぇぇっ……!!」
「ふむ。ずいぶんと虫けららしいことを言うようになったものだ」
絶対を謳った神の末路が虫けらなの良いよね…… - 126スレ主25/06/04(水) 21:01:19
カッカッカ、と高笑いが聞こえた。
熾死王が目の前にいた。
「さすがではないか、魔王アノスッ! <秩序簒奪ジ・シェンズ>の魔法術式をあっさりと完成させ、神の力さえ容易く簒奪してみせるとは、それでこそ、この熾死王が認めた絶対なる王者だ!」
上機嫌に言葉を放ちながら、熾死王エールドメードは足を上げ、その場から逃げ出した、一匹のゴミ虫を踏みつぶした。
ちゃっかり美味しい空気吸ってる男
- 127スレ主25/06/04(水) 21:03:13
「暴虐の魔王の伝承の続きを作ればいい。蘇った暴虐の魔王は、霊神人剣エヴァンスマナによって再び滅ぼされる。そして、アヴォス・ディルヘヴィアは転生する。聖剣の祝福を受け、半霊半魔ではなく、精霊ミサとして、元の姿を取り戻すのだ、と」
この辺の伝承ルール思いつく作者やっぱ頭良いなって - 128スレ主25/06/04(水) 21:04:18
俺はそのまま静かにこの場を離れる。
多少の憂いは残ったが、しかし、取り返した。
心の底から願えば、必ず応えてくれるものだ。
たとえ、どれほど荒廃しようと、どれほど争いが蔓延しようと。
彼女が作ったこの世界は温かく、愛と希望に満ちている。
何度でも、それを俺が証明してやろう。
きっと、どこかで見ているのだろうからな。
なあ、ミリティア――
本当にできない事を口にしない男だ - 129スレ主25/06/04(水) 21:06:37
「勅令を出す。このディルヘイドに生きる者は、魔族も精霊も人間も、あらゆる者が平等であり、また公平だ」
七魔皇老と魔皇たちが声を揃える。
「「「仰せのままに」」」
色々な意味でここまで長かった… - 130スレ主25/06/04(水) 21:07:46
「だが、これだけは覚えておけ」
俺は人差し指を立てる。
「一つ、この国は不自由を許さぬ」
続いて、中指を立てる。
「一つ、この国は悪意を許さぬ」
最後に、俺は薬指を立てる。
「一つ、この国は悲劇を許さぬ」
ゆるりと両手を広げ、この国を優しくつかむ。
「これらが侵されるとき、その相手が何であれ、暴虐の魔王は命を賭して戦い、滅ぼすだろう」
それは、かつて果たせなかった誓い――
民を統べる王として、決して違えることのできない、約束だった。
俺もこの国に住みたい…… - 131スレ主25/06/04(水) 21:08:50
「聞いてください。魔王賛美歌第五番『平和』」
元々はアノス様応援歌合唱曲だが、それでは少々格好がつかぬということで、公式の場では魔王賛美歌と名を改めた。
しんみりさせてくれねえww - 132スレ主25/06/04(水) 21:10:07
「おつかれさま」
ひょっこりと玉座の後ろから、ミーシャが顔を出す。
その隣にサーシャもいた。
「なんか、予想以上にあの歌が受け入れられて、ビビるわ……」
サーシャは心底疑問でならないといった表情を浮かべている。
「ふむ。それだけ人々が争いを望んではいなかったということなのだろうな」
「争いを望んでいなかったのは否定しないけど、絶対、みんななにかに取り憑かれてたでしょ」
なんでだよ国民⁉︎ - 133スレ主25/06/04(水) 21:12:18
だが、なぜだ?
その理由がどうしても、思い出せぬ。
「それって……?」
「まあ、なに、大したことではないがな」
だが、いくら自分に試すのは初めてだったとはいえ、俺が<転生>魔法を失敗したとも思えぬ。
一方で、記憶の一部が欠けているのは紛れもない事実だ。
では、いったい、なぜ転生は完全ではなかったのか――?
また謎が残り4章終了!いやー大ボリュームだけどやっぱこの辺めちゃくちゃ面白いな!
- 134スレ主25/06/04(水) 21:16:43
ちょっとしばし休暇いただきます!とりあえず次の日曜日には復帰予定
- 135二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 21:24:54
スレ主お疲れ様です
完結してもおかしくないと言われただけあって4章は本当満足度高い
そしてこの先も物語が矛盾なく面白いのマジでスゴイ - 136二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 22:22:55
乙です
四章は第一部の1つ目の節目だからボリューム凄いよね - 137二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 01:36:01
乙やで〜
- 138二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 07:46:36
日曜まで待機
- 139二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 08:58:47
待機
- 140二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 13:22:52
出来れば完結まで読み切ってほしい
- 141二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 20:45:46
- 142二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 21:53:04
待機
- 143二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 22:32:24
- 144二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 23:30:03
とりあえずスレ主には11章以降も、その調子で駆け抜けて欲しいぞ
- 145二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 06:26:40
- 146二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 07:57:07
待機
- 147二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 14:08:17
ほ
- 148二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 18:14:56
- 149二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 21:36:15
待機
- 150二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 22:03:24
- 151二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 22:05:13
- 152二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 22:42:53
じゃあ向こうで言うとか
- 153二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 00:56:31
待機
- 154二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 02:00:02
待機
- 155二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 07:44:26
待機
- 156二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 13:13:58
5章、6章はアニメと違うところ多いから楽しみ
- 157二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 14:18:22
八章の感想が一番楽しみ
- 158二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 17:16:09
八章は傑作中の傑作だと思ってる。インフレもそこら辺がヤバいし、あらゆる意味でオススメ
- 159二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 21:17:54
待機
- 160二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 22:37:48
待機
- 161二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 00:20:28
待機
- 162二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 02:09:37
待機
- 163二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 07:39:13
待機
- 164スレ主25/06/08(日) 14:07:02
ただいま
- 165スレ主25/06/08(日) 14:08:41
「帰って」
一言、少女はそう言った。
「断る」
そう口にして、魔王はまた階段を上り始めた。
しかし、どれだけ進んでも、その少女との距離は一向に縮まらない。
「目的は?」
「あの月を堕とす」
感情のない無機質な視線が魔王に突き刺さる。
「それはできない」
「不可能など俺は知らぬ」
初っ端から全開だぜ、というわけで5章開始 ついにアニメ範囲に追いついたなぁ…長かった… - 166スレ主25/06/08(日) 14:11:02
「だけど、夢では神が秩序以外の命になれた。わたしは、妹に、わたしのぜんぶを譲った」
「すべてを譲り、お前はどうした?」
じっと俺を見つめ、彼女は言った。
「わからない」
なんか聞いた事ある話してますなぁ… - 167スレ主25/06/08(日) 14:12:59
「それでねそれでねっ、アノスちゃんって、魔王様になっちゃったでしょ。わたし、アノスちゃんはもう遠くにいっちゃうんだと思って。でも、絶対に邪魔しないように、笑顔で送り出してあげなきゃって思ってね」
キッチンからは、パンの焼ける匂いが漂っている。
「たまには、お母さんのことも思い出してねって、アノスちゃんに言ったの。そしたらそしたら、アノスちゃん、なんて言ったと思う? なんて言ったと思う?」
キッチンに入れば、朝食の準備をする母さんと、それを手伝うミーシャの姿があった。
彼女は魔王学院の白服に、エプロンをつけている。
もう殆ど調理は終わっているようで、ミーシャは皿にパンやサラダ、スクランブルエッグ、ベーコンを盛りつけている。
彼女は母さんに視線をやり、淡々とした口調で言った。
「『今日の晩ご飯は、キノコグラタンがいいな、母さん』」
「そうっ、そうなのよっ!」
やっぱ癒しだぜ両親、お互いに大好きって関係は素晴らしい - 168スレ主25/06/08(日) 14:14:13
「もう食べて、工房で仕事してるわ。式典用に使う剣を、どうしてもお父さんに作ってもらいたいって人が沢山なんだって。アノスちゃんのおかげで大繁盛よ」
ふむ。まあ、魔王の父親が鍛えた剣だ。転生したばかりということもある。縁起を担ぐならば、それ以上のものはあるまい。
魔王バレがいい感じにプラスなってるね - 169スレ主25/06/08(日) 14:15:35
「……暴虐の魔王に、謁見がしたいです……」
屈辱と羞恥と、苦しみの混ざった声だった。
真実が明らかになった今なお、未だに俺が本物だと認めがたいのだろう。
理屈では理解しているのだ。
そうでなければ、俺を暴虐の魔王とは言うまい。
だが、すぐに感情はついていかぬ。
今日に至るまでの長い間、ずっと皇族という虚構の存在こそが、彼女のすべてだったのだから。
まだ色々捨てきれてない頃のエミリア先生 - 170スレ主25/06/08(日) 14:19:16
「お前の悲劇を、俺は許さぬ。だが、肝に銘じよ。お前を救えるのは、お前だけだ。お前を責めているのは、お前だけなのだからな」
わからないといった表情で、エミリアは俺を見返した。
「教師の仕事は好きか?」
「……嫌いではありません……続いた仕事は、それだけです……」
ちゃんとお前がやった事許してないぞって釘刺す上で助ける気なのが素晴らしい - 171スレ主25/06/08(日) 14:21:28
だが、そんな甘い考えは通用せぬ。
教えてやろう。暴虐の魔王に救いを求めるのが、どういうことか。
「エミリア。お前は俺に救いを求めた。ならば、救われるのを放棄して逃げることは決して許さぬ」
脅すように嗜虐的な表情で、俺は彼女に釘を刺した。
「忘れるな。どれほど過酷な試練を課そうとも、お前には必ず救われてもらうぞ」
ここから始まるエミリア先生のサクセスストーリー
エミリアが勇者学院の教師ってことは、あの三馬鹿との歴史的邂逅が……。
草 - 172二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 15:50:57
勇者学院の魔族教師編おもしろいよね
- 173二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 19:20:28
エミリア先生マジ主人公
- 174二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:54:51
保守
- 175二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 01:00:29
待機
- 176二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 04:23:47
確か書籍のあとがきでいってたけどよく物語にあるある挫折と成長を魔王学院流にやったらで
誕生したのがエミリア先生らしいから実際もう一人の主人公なんだよね
アノスは精神的に成熟してて挫折どころか動揺することすらほとんどないし
- 177二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 07:31:00
待機
- 178二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 13:14:40
待機
- 179二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 13:51:08
待機
- 180二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 21:56:57
待機
- 181二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 22:37:09
待機
- 182二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 00:20:18
6章以降のスレ主の反応が楽しみですなぁ
- 183二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 06:37:15
待機
- 184スレ主25/06/10(火) 06:53:27
「主君は……アノス……? わたしの魔王」
「そうだ。お前の魔王だ。起こしにきてやったぞ」
「あれぇ……? おかしいわ……アノスが、いるわけないわよね……」
まだ寝ぼけているのか、ふわふわした口調である。
「以前に話しただろう。わざわざ起こしに来てやったのだ。そろそろ目覚めたらどうだ?」
「……あ、夢だわ……」
聞いておらぬ。
「夢ではない。起きろ」
「……夢でも、アノスはそっけないわ……」
シーツをつかみ、ごろんとサーシャは俺に背を向ける。
「サーシャ」
「まだ眠たいの」
手を伸ばすと、サーシャがそれをつかみ、ベッドに引きずりこもうとする。
「……んー、じゃ、ほら……アノスも一緒に寝ればいいわ……わたしのベッド大きいわよ……」
可愛い - 185スレ主25/06/10(火) 06:59:31
「なにを守れと言うのだ?」
「……寝かせないって、言ったくせに……」
すねたようにサーシャが言う。
「……夢なんだから、ちょっとぐらい、抱いてくれても、いいじゃない……」
「ふむ。仕方のない奴だな」
俺はサーシャに手を伸ばす。
そして、彼女の体に触れた。
「……あ、ふふっ……もっと近くに来てよ……もっと……」
嬉しそうにサーシャが笑う。
「ああ」
そのまま軽くサーシャを持ち上げた。
「……きゃっ……!」
両手でサーシャを抱き抱え、ベッドから下りる。
「どうだ? 抱いてやったぞ。まったく、一人で起きる上がることもできぬとは。幼子のようなことを言うものだな」
なんつー夢見てんだよとか、違う そうじゃないとか色々突っ込みてえ… - 186スレ主25/06/10(火) 07:04:52
「あ、そういえば、エールドメード先生。エレンたちがまだ来てないみたいなんですけど……?」
「魔王聖歌隊は本日、公務があると連絡を受けている。それが終われば来るだろう」
「公務かぁ。いつのまにか、有名になっちゃったよねぇ」
そんな風に生徒の一人が感想を漏らす。
魔王聖歌隊の人気は急上昇しており、彼女たちには魔王賛美歌の歌唱依頼がひっきりなしにやってくる。
魔王聖歌隊って名称で笑う - 187スレ主25/06/10(火) 07:09:09
「周りを見てみろよ。勇者カノンに、勇者学院の生徒に、元偽の魔王とネクロンの姉妹だろ。ぜってぇ、近づきたくねえ……」
「えー、みんな優しいから大丈夫だって」
「いやいや、どう考えてもあの組み合わせはヤバイだろ? 勇者カノンって、本当に味方になったのか? 偽の魔王もそうだよ。大体あの二人、学院に通う意味ないよな?」
深刻そうに生徒が言う。
「……ぜってぇなにか企んでるよ。よく考えてみろって。あんな奴らが、ただ普通に生徒してました、とかあるか? 魔王学院に潜伏して、いざというときに暴虐の魔王を裏切るつもりなんじゃ……?」
「ああ……。たぶん、それを見張るために、サーシャ様やミーシャちゃんが目を光らせてるんだと思う……」
こう見返すとアノスパーティーやべーやつオールスターで笑う、この辺の生徒達の意見は事情知らないから仕方ない - 188スレ主25/06/10(火) 07:15:11
魔王学院の白服と黒服は、現在では特に意味を持たない。
混血だから白服、皇族だから黒服という制度は廃止され、生徒たちはそれぞれ自由に制服を選べるようになった。
とはいえ、変更されてからまだ日も浅い。そのため、大体の生徒が以前と同じ色の制服を着ていた。
白服と黒服というのは、このディルヘイドにおける悪しき決まり事の一つだった。
とはいえ、その制服自体を廃止し、色を変えたところで、なにが変えられるものか。
肝要なのは、黒だろうと白だろうと構わぬ、という意志だ。
白服、黒服を廃止しようという意見はもちろんあったが、魔族を二つに割ったこの制服を、俺は戒めとしてあえて残すと決めた。
慣れ親しんだ色で愛着とかありそうだしな - 189スレ主25/06/10(火) 07:26:07
「お前は子供だから、わかんなかったかもしれないがな。よーく考えてみろよ? 都合がよすぎるとは思わねえか? 魔王再臨の式典に合わせるように、たまたま勇者カノン、魔王の右腕シン、母なる大精霊レノ、偽の魔王アヴォス・ディルヘヴィアが集まるなんてよ。どう考えても、仕組まれたものとしか思えないってわけだ」
本気で言っているのか、それとも、俺を勧誘するための方便なのか。
どちらにせよ、まともな結論には行きつきそうもないな。
「俺はどうもその手の話には疎くてな。統一派が悪者ということか?」
子供らしくそう言ってやると、ラモンは嬉しそうに食いついてきた。
「ああ、そうだ。本物の暴虐の魔王は、たぶん転生なんかしない。二千年前にとっくに死んじまったんだよ。それをいいことに、統一派の奴らが転生した魔王をでっちあげた。それが、アノスっていう男だ」
(なお目の前に本物の暴虐の魔王が居る模様) - 190スレ主25/06/10(火) 10:39:38
「子供だからといって、防御が不得手と思ったか」
呆然と俺を見つめ、ラモンは息を飲んだ。
「………………お、お前……何者だ……?」
フッと俺は笑い、こう返した。
「アノシュ・ポルティコーロ。正義の味方に憧れる、ただの天才少年だ」
子供生活エンジョイしてやがる - 191二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 11:37:10
- 192二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 14:36:20
保守
- 193スレ主25/06/10(火) 14:40:20
(色々察してやっぱ俺の予想間違ってなかったんだなって確信)
- 194二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 15:02:26
- 195二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 18:40:01
埋め
- 196二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 21:42:11
建て乙
- 197二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 21:43:28
埋め
- 198二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 22:02:57
埋める
- 199二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 22:04:25
うめ
- 200二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 22:06:08
埋めた