[SS・エ駄死]正直に言うんだがミサキと2

  • 1二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 00:23:11
    [エ駄死]正直に言うんだがミサキと|あにまん掲示板bbs.animanch.com

    前任者は過去ログに送られました。私は新型です。

    書きたくなっちゃったんだ、ミサキとじっとり同棲甘えっち。だから書くね。

  • 2二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 00:36:35

    待ってます

  • 3二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 00:39:31

    見せて〜

  • 4二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 01:21:54

    目を開けると、部屋は薄暗かった。照明をつけていないのだから当然だ。戒野ミサキは身体を覆っていた薄い掛布団から這い出て、まだうまく回らない頭で視線を巡らせる。
    自分以外に人はいない。充電コードには自分のスマホだけ。昨夜放り出した寝間着は畳まれて部屋の戸のそばに重ねられていた。そちらへ近づくと、微かな声が聞こえてきた。
    少なくとも家の中にはいるとわかって、気怠い身体をなだめすかして立ち上がる。本当は寝間着を羽織りたいところだったが、なにぶん汗で肌はべたついているし情事の残滓が残っている。まずはシャワーを浴びなくてはならない。
    バスルームに近づくにつれて、微かな声は少しずつはっきり聞こえるようになった。水を流す音と、鼻歌。時々音程のずれるそれは、とても古い曲。ミサキが生まれるよりも、何十年も前の曲。
    幾度となく彼と聞いたそれは、いつも最後のフレーズだけはちゃんと歌う。

    「I love……」

    数拍空く瞬間、ミサキはバスルームのドアを開けた。

    「どゅわぁ!?」

    驚きに声を上げる声の主。振り向いた動きで水滴が散って、一歩踏み込んだミサキに当たる。

    「おはよう、先生」
    「お、おはよう、ミサキ。急に開けるからびっくりしたよ」
    「私しかいないでしょ」

    あきれたように返すミサキは泡がまだ残る先生の身体にぴたりと密着してシャワーのお湯を浴びる。二人だと狭苦しいバスルームは結果として空間的余裕を得た。
    肌を滑る熱い雫にわずかな吐息を漏らしつつ身体を任せる。こうすると先生が抱き合ったままミサキの背中を流すという中々に器用な真似をすることはもうわかっていた。

    「シャワー、熱くない?」
    「気にしなくていい」
    「気にするよ」
    「……大丈夫。このままでいい」

    普段のスーツ姿では着痩せしてわかりづらいが、先生の腕はミサキのそれより確実に二回りは太い。腕だけではない、筋肉質な身体そのものが大柄ながら引き締まっていて、大きな木に寄りかかっているような安心感があった。
    先生が右手に持ったままだったタオルが背に触れる。粗く作られた繊維にちょうどよく肌を擦られ、心地よい圧力に力を抜いた。

  • 5二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 02:51:53

    おお…

  • 6二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 04:23:29

    楽しみ

  • 7二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 05:09:00

    念の為10レスまで埋める

  • 8二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 05:09:14

    埋め

  • 9二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 05:09:34

  • 10二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 05:10:25

    うめ

  • 11二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 09:29:02

    いくら他人の身体といっても背中だけではそう時間もかからない。終わったよ、と聞こえて、ミサキは頭半分ほど高い先生の目線を見つめる。
    交わした先生の視線に一瞬、情欲が走った。彼がそれに負ければ、ことが終わった後でもう一度身体を洗う必要に駆られるだろう。
    けれど先生は小首を傾げたミサキの背中を優しく撫でて、頬にそっとキスをした。

    「私は朝ごはんの準備をしてるから」
    「……先に出る気?」
    「このままだと朝から始めちゃいそうだし……」
    「今日も、明日も、休みでしょ」

    それだけ言ってミサキは目を閉じる。先生の腕が硬直して、深く息を吸うのが肌から伝わった。
    唇が触れる。ついばむようなそれが唇を軽く食む動きに変わって、ほどなく小さな音とともに吸われるようになる。じん、と頭の芯が痺れる感覚がして、脚から力が抜けた。先生が立ち位置を入れ替え、ミサキを壁にもたれさせる。
    速い鼓動は間違いなくばれている。もう少し胸があればごまかせたかも、などと益体もないことを思いながら、情熱的な先生のキスを受け入れた。
    お湯の温度になじんだ体温が水と相まって密着した肌の境界線をあいまいにする。タオルを脇へ置いた先生の手が薄い背中から小ぶりな尻をゆっくり撫で、片方の太腿を上げさせると膝の裏に手を差し込んで持ち上げる。

    「しっかり掴まっててね」

    文面は気遣う言葉でも、含まれた感情は背筋が粟立つほど甘い。言われたとおりに背に腕を回すと、先生は細い腰を抱いて肌を触れさせた。
    先生のそれがすでに準備万端であったように、ミサキのほうも受け入れる準備はすっかりできている。内腿にお湯とは粘度の違う液体が垂れるのはごまかせても、繋がった瞬間に露見してしまう。

    「っ……」
    「最初はゆっくりするから」
    「しなくて、いいっ……」

    じとっとした睨みを向けつつ、先生が嬉しそうに深くしたキスも招き入れる。舌が絡んで、ミサキの頭が内外全て水音に満たされた。
    そうすると意地を張っていたのが全てどうでもよく思える。常に心の隅にあった「むなしい」という言葉までも熱い震えに押し流されて、先生との行為に全てが集中する。

    つごう二回たっぷり身体を重ねて、バスルームから出てきた二人はいっそう興奮を増していた。
    気取られないように視線をそらしてはいるが、ミサキの身体もまだ火照ったままである。
    先生の休日はまだ始まったばかりだった。

  • 12二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 09:29:17

    ちょっと寝る……

  • 13二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 19:23:31

    保守

  • 14二次元好きの匿名さん25/05/26(月) 22:42:17

    2人の境界線が失われてずぶずぶ快楽に溺れていく様子がエッチすぎますありがとうございます

  • 15二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 07:30:24

    保守

  • 16二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 14:21:01

    保守感謝

  • 17二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 14:21:11

    温まりすぎた感じのある二人がバスルームを出ると、脳より遅れて起きだしたミサキの胃がくぅ、と鳴った。気分を害した、とばかりに頬を染めるミサキだが、先生は寝室へ戻る代わりにキッチンのほうへ足を向けた。本来そうする予定だったのだから当然ともいえる。
    今朝は炊飯をしていないので、買い置きのパンを消費することにした。パサつきが出つつあるパンもトーストにしてしまえば大した問題にはならない。
    コンソメキューブでスープも作ろうか、なんて考えていると、ミサキが冷蔵庫からブロックベーコンを取り出すのが見えた。ベーコンがあるなら目玉焼きも欲しいところだ、と若い成人男性の食欲が先走る。

    「ミサキ、卵もお願い」
    「わかった。ひとつ?ふたつ?」
    「あんまりなかったよね、いくつ残ってたっけ」
    「……三つ」
    「うーん、中途半端」
    「私も食べるから。どうするの」
    「じゃあ、食べきっちゃおう。二つお願い」

    我ながら所帯じみた会話をしているな、と可笑しくなる。この部屋に住み始めたばかりのミサキは、それはもう危なっかしかった。食材と一緒に自分の指まで切ってしまいそうな不器用さだったし、食べられればなんでもいいとばかりに火の通し方もいささかやりすぎで、味付けは濃すぎた。
    改善を試みてみれば「ちょっと焦げているくらいのほうが傷んでてもお腹を壊さない」、「細かく味付けをしてもよくわからない」と返ってきて、しばらくは先生がキッチンを占有していたほどだ。
    寝食をともにするうちに慣れてきたのかミサキは先生の味の好みを模倣しだした。元々凝り性というわけでもない先生の料理はミサキにとっても学び取りやすかったようで、いまではこうして共に食事を作る日も多い。
    そのうちミサキ自身の味の好みがわかるといい、と思いながら、先生はコンソメスープを作り始めた。

    人間、三大欲求を満たせばある程度落ち着くものだ。朝食を終えて一息ついた二人は片付けまで済ませると、ソファに並んで座る。南に高くなりつつある陽光がじんわりと温かく、ミサキは気持ちよさそうに目を細めた。

    「先生。もういっかい、する?」
    「いいの?自分で言い出しといてなんだけど、疲れてない?」
    「嫌だったらそもそも誘わないから。……はい」

    ミサキが両手を広げた。どうしてもいい、という意思表示であり、先生がどうノるかによってその日の行為の大枠が決まる、そんな行動だった。

  • 18二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 18:18:22

    俺このスレ見てミサキの良さに気づいた

  • 19125/05/27(火) 19:04:04

    先生がシャワー浴びながら歌ってたのはFly me to the moonです

  • 20二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 01:42:35

    手を握って膝に乗せられる。なるほど、今は下になりたい気分か、と向かって視線を交わしながら腰を下ろす。先生がミサキを組み敷く日は甘え気味で、ミサキを上に乗せる日はミサキを可愛がりたがる。
    はじめのうちは感覚に振り回されてくたくたになっていたミサキだが、今はどちらも嫌いではない。

    「なに?ずっと見て」
    「美人だな、って思って」
    「……そういうの、いいから」
    「見てたいんだ。だめ?」

    そう問われると、だめとも言い難い。せめてもの抵抗に目を逸らすと、先生はにこにこしながら唇を重ねた。
    ミサキはこの事が始まる前の空気にどうしても落ち着かない。かといって嫌なものではないので言い出す気にもならず、落ち着かなさは目を閉じて行為に集中することで気にしないようにした。
    唇の熱。露出している肌よりは少しだけ熱くて、生々しく血が通っていることを感じさせる熱さ。この唇が、触れ合う舌が、その奥の声帯と、肺とが、この甘やかし癖のあるひとの愛情を無制限に出力するのだ。
    愛情。一言で言い表せる便利な総評の中には、親愛と情愛が入り混じっている。娘を見守る父親のような笑顔と、恋人に向けるような笑顔が、彼の中には同居している。
    それもまた、嫌ではない。判断基準を先生のような楽観的中立にするなら、好ましいともいえた。アリウススクワッドの面々と暮らしているのとはまた違う、庇護者のいる温かい心地よさ。胸の中で時々疼く人寂しさを、熱々の愛情で埋められる気恥ずかしさ。二つは異なる愛情ながら、どちらも受け入れている自分がいた。
    するり、と薄い部屋着の下に指先が潜り込んでくる。たいして立派な身体でもないのに、よく飽きないものだ、と胸の中で呟く。

    「……好きだね、先生。私の身体」
    「好きだよ」

    ノータイムで返ってくる肯定に頬が熱くなる。

    「っ、ふ……っ。なんで、こんな……ただ触れてる、だけでしょ……」
    「ミサキの肌、すべすべで気持ちいい」
    「へん、た、いっ♡」

    背筋を震わせて走った痺れにひきつるような声が漏れた。
    散々不自由と嘆いた肉体に、また振り回されている。だというのに空虚な感覚はなくて、熱いような、くすぐったいような感覚だけがある。
    ロマンチストの先生に聞けば答えてくれるのかもしれないが問うのがなんだかしゃくで、ミサキは先生の首に腕を回した。

    「もっと。……もっと、ちゅーしてよ」

  • 21二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 08:02:39

    規制チェック

  • 22二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 08:02:51

    はっ、はっ、と荒い吐息が聞こえる。どちらの息遣いなのか気にする余裕さえ、もうミサキにはない。
    肌が擦れる触れる手指にも身悶えしてしまう。背筋を伝う汗までもが感じ取れた。先生に抱き着き、時折跳ねた息を整えようとして、唇を吸われて叶わない。
    表情だけは見られたくないのに、先生のキスを拒むのはもったいなくて、結局彼の反応を見ないことだけが唯一の逃げ道だった。目をつぶって耽溺しているうちに、あの感覚が来る。
    身体は幾度となく重ねた絶頂と疲労で重たいのに、ふわりと浮き上がりそうな奇妙な感覚。これに近しいものは知っている。首に縄をかけたとき、手首から血があふれていくのを見ていたとき。
    もう少しで楽になれる、と覚めない眠りを望んでいたころと、よく似ていた。けれど、今感じているこれはずっと複雑で、重い。
    恥ずかしい。気持ちいい。少しだけ、怖い。待ってほしい。でも、やめてほしくない。
    感情が入り混じりすぎて混乱してくる。冷静さなどとっくに失せた思考が、いつも最後にたどり着くところへ行った。
    一番大きくて、普段は照れ臭い、胸が温かくなる感情。
    めまいがするほどの、幸福感。
    それを意識した瞬間に笑みがこぼれたことは、ミサキには気がつかなかった。きゅん、と腹の奥が疼いて、もう少しだけ、と耐えていた先生を締め付ける。同時にミサキから、思い切り深く舌を絡めてキスをした。
    ぞくぞくっ、と二人は同時に身を震わす。ミサキの腕が少し痛むほど抱きしめる。先生がくはっ、と息を吐くのが聞こえた。

    「……せんせ。もういっかい」
    「ん……」

    軽いキス。体力の尽きたミサキが先生の肩に頭を預けると、先生が耳元へ顔を寄せる。

    「ミサキ」
    「なに?」
    「好きだよ」
    「……知ってる」

    まだ自分の感情を言葉にするには、照れてしまうから。精一杯素直になったミサキの返答はそれだけだった。

    「ミサキはあったかいね」
    「先生のほうが熱いけど……」
    「そうかな。……どっちでもいいか。もうちょっとだけ、こうしてよう」
    「……わかった」

    またシャワー浴びないと、と思いながらも、少しの間けだるい心地よさに浸っていた。

  • 23二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 15:26:46

    ほしゅしゅしゅしゅしゅっ勃ッ

  • 24二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 21:23:04

    筆早くない!?尊敬

  • 25二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 00:09:06

    >>24

    書いてて楽しいんだ、性癖に忠実なSSって

  • 26二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 04:29:41

    ほし

  • 27二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 12:20:07

    保守

  • 28二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 20:16:03

    保守

  • 29二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 20:18:07

    再びシャワーを浴びた二人は着替えて散歩に出ていた。温かい風は昼を過ぎて心地よく、これから西へ傾く太陽はまだ目を細めるほどに眩しい。
    行先は決めていなかった。ふらりと出て、気になったものを追って、歩き疲れたら帰る。家にいる間時間を持て余し気味なミサキと一緒に始めた気まぐれな習慣だったが、いざ慣れてみると何かを見つけるのはミサキのほうが上手だった。

    「先生。あのお店、新しくなってる」
    「あ、本当だね。……雑貨店、かな?」
    「甘い匂いがするけど」

    この日見つけたのは、以前はシャッターの降りていた小さな商店。ショーウィンドウにはいろいろなものが展示されているが、一見では何を扱っている店なのか見当がつかなかった。
    視線を交わし、うなずく。「なんだろう」と思ったなら、入ってみよう、と。直情的な考えこそが、この散歩の真意だった。
    ドアを開けた瞬間、涼やかな空気が溢れ出る。あわせて鼻に届いた香料の匂いに、二人はそこが何の店であるのかを理解した。

    「石鹸……だね」
    「いらっしゃいませ!そうですよ、ここはクラフト石鹸を販売しているんです!」

    店主が答えたことでそれは確定する。なるほどメイン商品をガラス張りの窓際に置かないわけである。
    冷房で程よく冷やされた店内に足を踏み入れ、ゆっくりと見ていく。香料や成分、添加物までもが品によって異なり、それらすべてに手書きの解説がつけられている。
    あれは、これは、と見ているうちに、先生の目があるものに留まる。

    「ねえ、ミサキ、あれ見て。ハチミツイメージみたいだよ」
    「本当だ……いい匂い」
    「買っていく?」
    「いや、ボディソープまだ残ってるでしょ」
    「匂いを気に入ったものって、気分が違うんだよ。試してみよ?」

    先生の言葉にそんなものだろうか、と言いたげな顔でミサキはうなずく。
    とはいえまだ品ぞろえはかなり多い。先生と同じようにあちこちを見ていたミサキは気をひかれるものを見つけた。

    「先生、あれ」

    ミサキが指した位置には、これまた別の石鹸が置かれていた。

  • 30二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 22:01:34

    お互いに好きな石鹸の香りを相手にマーキングするんですね分かります

  • 31二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 00:39:58

    先生がミサキの指したラベルを読むと、先に取ったハチミツのものと同様の香料入りの石鹸のようだった。香りはクールライム、と書かれている。
    試しに嗅いでみると、なるほど、石鹸らしいシンプルな香りをベースに青く鋭い柑橘の匂いと、ペパーミントを思わせる残り香がある。もう一、二度確かめると、先生はそれも買い物かごに入れた。

    「これ、いい香りだね。ありがとう」
    「別に……見つけただけだから」
    「選んでくれたのが嬉しいんだよ。そろそろ一巡りしたかな?」
    「あっち。表に近いほう、まだ見てない」

    二人は気づいていないが、店主は肩を寄せ合って興味深げに商品を眺めるさまを微笑ましく見ていた。しかし次いで足を向けた先が浴室用品の一角であることに気づくと、そっと目をそらす。

    石鹸を主に扱っている店だけあって、周辺用品も様々だ。石鹸用の吊り下げネットであったり、よく泡立つと枕詞をつけられた洗体用タオルであったり、石鹸粉砕機などという変わり種まであった。
    せっかく買い物をするのなら、面白そうなものは買ってみよう。無言のうちに同意して、用途が単純そうなものをいくつかかごに入れる。
    支払いを済ませるとき、店主が嬉しそうに話しかけた。

    「気に入ってもらえたみたいでよかったです」
    「よかった……って、もしかして作っていらっしゃるんですか?」
    「いやいや!作るってほど大したことじゃないんですが、匂いとか、混合物なんかは私が選んでるんですよ。自分の選んだものを誰かが気に入ってくれるのは、嬉しいじゃありませんか。……はい、お釣りです」
    「ありがとうございます。……そうですね、少しわかります。その気持ち」
    「へへ、まいどどうも!またどうぞ!」

    店を出て少し歩くと、ミサキがくいくい、と袖を引いた。

    「先生も経験あるの?」
    「経験?というと……何の?」
    「さっき、店の人に言ってたでしょ。気持ちがわかるって」
    「っく、ふふっ……そういうことか。うん、あるよ。経験」
    「……そう」

    ふい、とミサキは目を逸らしてしまった。表情は変わらないが何か後ろ向きなことを考えているな、と気づいた先生は、ミサキと指を組んで手をつなぐ。

  • 32二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 01:52:26

    「ミサキが私の料理をおいしく食べてくれてるとき、とかね」
    「っ……!?い、いきなり何言うの!?」

    至近距離から悪戯っぽく囁かれたミサキは思わず一歩離れようとして、軽く握られただけの手を振りほどけない。
    軽く言っているが、嘘ではないことを知っているからだった。なぜそこまで、と思うほどミサキの好みを気にするし、おいしいと言ったときは本当に嬉しそうに笑うのを思い出したからだった。

    「ほんとだよ?」
    「知ってる!――あっ」


    とっさに言い返したので語気が強くなった。めったに出さない大声に自身が驚いていると、先生も目を真ん丸にしていた。

    「ミサキはたくさん幸せをくれるね」
    「……意味わかんない。暑いから、あんまりくっつかないで」

    ぶっきらぼうな返しに先生が身体を離そうとすると、解きかけた手を引かれる。

    「……手は、いい」

    陽気で石鹸が溶けてしまう前に、家に帰ることにした。

    帰った後、ミサキは何事かを考えているようだった。普段はあまり見ないスマホに集中し、何かを決意したように頷くと、おもむろに玄関へ戻って靴を履き始める。

    「どうしたの、買い忘れでもあった?」
    「大したことじゃない。一人でいい」

    いつものようにミサイルランチャーを背負ったミサキはマスクを着けると、首をかしげる先生を置いて午後の陽気の中、外へ出て行った。

    そして、夕飯の時間になっても帰ってこなかった。

  • 33二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 09:58:59

    保守

  • 34二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 15:35:19

    保守感謝 今日の分はまだです

  • 35二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 23:44:39

    保守

  • 36二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 01:43:33

    保守

  • 37二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 01:51:15

    趣味でSS書いてるけどこんなに描写を繊細に文字で表せないっす。尊敬

オススメ

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