- 1二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 23:36:56
目を覚ますと見覚えのない部屋にいました。
不思議な夢だなあ、と寝返りを打つと。
スカイさんの寝顔が目の前にあらわれました。
情けない悲鳴とともに私は飛び起きました。
同時にスカイさんも目をこすりながら起き上がります。
「どうしたのさフラワー……え、フラワー!?」
どうやら状況を把握できていないようです。
いや、私も把握できてませんけど。
「ふあぁ……なんの騒ぎよ……」
少し離れた場所からまた別の声が聞こえます。
声の方向を見るとウララさんを抱きかかえているキングさんがいました。
私たち四人があたふたしていると、壁からスクリーンがせり出してきました。
『おはようございます、みなさん』
『この部屋はあるゲームをしなければ出ることができません』
スクリーンに映し出された文字を見て、以前観たホラー映画を思い出してしまいます。
スカイさんの袖を無意識に握ると、肩を抱き寄せてくれました。
「なにがゲームよ!早くこの部屋から出しなさい!」
ウララさんを守るように抱きながらキングさんが叫びました。
スクリーンから文字が消えて新たな文字が浮かび上がります。
『というわけで人生ゲームをやってもらいます』
「はい?」
私たちの口から素っ頓狂な声が出ました。 - 2二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 23:37:10
机の引き出しには一見なんの変哲もない人生ゲームのボードが入っていました。
しかしマス目にはなにも書かれていません。
スクリーンに文字が映し出されます。
『止まったマスのイベントはこの画面に表示されます』
「……向こうの掌の上って感じでいい気分ではないね」
『信じていただけないかもしれませんが、一応ランダムなのでこちらでも把握できませんので……』
「ナチュラルに会話しないでちょうだい!」
キングさんの言葉を無視して新たに文字が映し出される。
『また、今回は二人一組でチーム戦をしてもらいます』
「人生ゲームでチーム戦って珍しいですね」
「ねえねえ早くやろーよ!」
ウララさんが桜色の瞳をキラキラとさせながら急かしてきます。
「どうやって決める?じゃんけん?」
『あ、机の中にくじが入ってますのでそちらでお願いします』
「妙に準備がいいわね……」
用意されたくじを引きます。
「あ!印がついてるー!」
「ん~、私のほうは印なしだね~」
そっと自分の引いたくじを見ます。
印がついています。
……つまりスカイさんとは別のチームということです。
耳がへたり込んでしまいます。
するとキングさんが私のくじと自分のくじをさっと交換しました。
「あら、じゃあ私はウララさんとペアね」
「ホント!?よろしくねキングちゃん!」
ぽかんと見つめているとキングさんがウィンクをしてくれました。
印のないくじを握りしめてにこりと笑います。
「よろしくお願いします、スカイさん」 - 3二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 23:37:25
つつがなくゲームは進行していきました。
『就職マスです』
「あら、キングならやっぱりデザイナーかしら?」
『お笑い芸人です』
「なんでよ!?」
『フラワーアレンジメントが高評価!3700万円獲得!』
「フラワーなら当然だね~」
「も、もうスカイさんってば……」
『微笑ましいですねえ……』
「うっらら~♪またお金もらっちゃった!」
『ウララさんは運がいいですねえ』
「……なによ」
『いえ、株で大損くらったキングさんのことはなにも……』
「言ってるじゃない!」
「うーん、もう少し物件ほしいな」
「じゃあ、私の持ってる物件あげる?」
「プレイヤー間の取引は人生ゲームではできないんじゃ……」
『あ、双方の合意があればいいですよ』
「いいの!?」
「もはやモノポリーだね……」
そして─── - 4二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 23:37:40
『キングさんがゴールしましたのでこれにてゲーム終了です!お疲れさまでした!』
同時にガチャリと鍵が開く音がしました。
壁だと思っていたところが開いています。
キングさんとスカイさんが大きくため息をつきました。
「や、やっとゴールできた……」
「あはは、お疲れさま元芸人デザイナーのキング」
「元芸人は余計よ!……あら?」
キングさんに寄りかかるようにウララさんが眠りこけています。
「……かなり長い時間遊んだものね。ごめんなさい、ウララさん寝かせてくるわね」
「うん、いってらっしゃ~い」
ウララさんを抱きかかえたキングさんを見送る。
「さてと、この部屋どうしようか……」
「とりあえず寮長さんたちに報告しましょう」
部屋から出ると開いていた空間があっという間に閉じられました。
「……いやいや、おかしいでしょ」
壁に文字がにじみだします。
『またのお越しを』
「遠慮したいかな……」
文字はさみしそうに消えていきました。
「一応報告しますか。信じてもらえなさそうだけど」
苦笑しながら廊下を歩きます。
しばらくしてからスカイさんが口を開きました。
「それにしてもたかがゲームなんだし、キングも気を使わなくてよかったのに」
「……気づいてたんですか?」
「まあね~」
頭の後ろで手を組みながら天井を見上げるスカイさん。
「キングってほんとお節介であわてんぼで……優しいよね」
そう口にしたスカイさんの目はどことなく嬉しそうで。
私はちょっとだけ───本当にちょっとだけ、嫉妬してしまいました。 - 5二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 23:37:59
多分安価募ってマスの内容とか決めるのがよさげだとは思いますが、安価を乗りこなす自信がないので私はやりません
ぶっちゃけフラウンスを応援するキングとキングを警戒するフラワーが書きたかっただけです
お目汚し失礼しました - 6二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 23:41:46
やるやん👍
- 7二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 23:43:25
デスゲーム系かと思ってハラハラハルウララでしたよ
- 8二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 23:43:47
くじを交換するキングすこ
- 9二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 23:51:00
いい文章だ
- 10二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 23:55:23
キングはウララ大好きだな、そんな二人が俺は好き