【ホラー注意】廃病院ぶっ壊しに行こうぜ!【4:00】

  • 1スレ主25/05/27(火) 22:10:28

    ────目が覚めたら、そこは廃病院の入口だった。

    「行くか、アイツらを探しに」

    「待っててね、レオ。必ず助けるから」

    「取り込まれてバケモンになってんじゃねーだろうな」

    「可能性としては有り得るな。バケモンでもサッカー出来ればそれでいいか」

    「全然良くないんだよなー笑」

    時計の針が刻むのは、“時間”ではなく、“精神の崩壊”。…いや、この物語では“廃病院の崩壊”が正しいだろう。

    なぜなら、目に見えないものが、確かにこちらを見ていても、それを叩き潰すのが彼らの役割だからだ。

  • 2スレ主25/05/27(火) 22:10:51

    このスレは、ブルーロックの登場人物による探索型ホラーSSです。

    舞台は“廃病院”。以前ここにやってきた潔世一、烏旅人、御影玲王、二子一揮は、廃病院に取り込まれてしまいます。

    そこで4人を救出するためにやってきたのが千切豹馬、凪誠士郎、糸師凛、糸師冴。彼らの逆襲劇が始まります。

    ※「時計の針が進むたびに、俺たちは壊れていく」のifルートになります。こちらをお読みいただいた後の方が、より物語が楽しめると思います。

  • 3スレ主25/05/27(火) 22:11:13

    ※プレイヤーの選択(安価)、運命(ダイス)によって、ストーリーの進行・視点が変化します。

    ※選択肢次第で“発狂”“精神崩壊”“絆”に分岐するかもしれません。

    ※正気度(SAN値)管理あり。

  • 4スレ主25/05/27(火) 22:11:53
  • 5スレ主25/05/27(火) 22:12:14

    ■キャラヘイトを目的とするものではありません

    ■キャラsage、腐発言、アンチコメはお控えください

    ■荒らしはスルーします

    ■ゆっくり進行ご容赦ください(平日は仕事の都合上、特に進行が遅くなります)

    ■感想、質問、イラスト等頂けるとスレ主が大変喜びます

    ■広域ホスト規制に巻き込まれがちです。保守して頂けると幸いです

  • 6スレ主25/05/27(火) 22:12:50

    【登場人物紹介】


    千切 豹馬(ちぎり ひょうま)/初期SAN値:22→18

    マイペースでよく笑い、よく叫ぶスピードスター。
    突飛な出来事に驚きつつも、誰よりも仲間を信じている。4人の奪還のために全力を尽くす、熱き疾風。

    「13:00遊園地ホラー」のクリア経験者。
    「廃病院ホラー」にも登場。精神に“ある記憶”が刻まれている。


    ■固有能力

    【光刃の脚】怪異の行動を先読みし、自動回避と自動反撃を行う(2回まで・回避ターンで攻撃可能)
    【絆の加速】戦闘時、追加攻撃し、+1のダメージを与える(2回まで)
    【共鳴の記憶】遊園地ホラークリア特典。SAN値減少イベントを1回自動回避できる
    【疾風の破片】遊園地ホラークリア特典。罠や影の追跡から仲間を救出できる(2回まで・味方1名の回避失敗を自動成功に変換する)


    ■初期装備

    ・かりんとう饅頭×4:SAN値+4回復

    「オーブンで焼いて食べたいけど、廃病院にはそんなもんないから我慢する」

  • 7スレ主25/05/27(火) 22:13:22

    凪 誠士郎(なぎ せいしろう)/初期SAN値:25→22

    マイペースでルーズ、何事にも「面倒くさい」が口癖。怪異にも無表情で動じず、声すらあげない超然プレイヤー。御影玲王を救うため、「頑張りまーす」と静かに決意を燃やす。

    「廃病院ホラー」にも登場。


    ■固有能力

    【夢境感知】見えない怪異の存在を探知し、戦闘開始前に怪異に先制攻撃を与える。その後、通常通り戦闘行動に参加可能(3回まで)
    【無意識の庇い】仲間の失敗を肩代わりし、かつ自身のSAN値減少を無効化することができる(3回まで・なにかに突き動かされた感覚だけが残る)


    ■初期装備

    ・レモンティー×4:SAN値+4回復

    「え、全部俺のだけど。まあ、どうしてもっていうならあげてもいいよ」

  • 8スレ主25/05/27(火) 22:13:55

    糸師 凛(いとし りん)/初期SAN値:24→21

    高圧的かつ超エゴイスト、口も態度もとにかく強気。ホラー好きで、廃病院の突入にも密かにワクワクしている。兄にはなぜか強く出られず、ちょっとだけ不器用。

    「13:00遊園地ホラー」のクリア経験者。
    「廃病院ホラー」にも登場。精神に“ある記憶”が刻まれている。


    ■固有能力

    【百鬼夜行】戦闘イベント時、怪異の行動を3ターン封じ、攻撃に専念することができる(持ち越し可能)
    【記憶の盾】自分と味方全員のSAN値減少を1回ずつ無効化できる(重複不可)
    【共鳴の記憶】遊園地ホラークリア特典。SAN値減少イベントを1回自動回避できる
    【記憶のページ】遊園地ホラークリア特典。“消されかけた記憶”や“不自然な空間”を感知し、1度だけ探索を自動成功にすることができる
    【記憶の継承者たち】 遊園地ホラーペア特典。1度だけ“忘れられた者”に対し、言葉だけで道を開くことができる(怪異の脅威を無効化し、部屋から自動脱出可能・A-7通路最終戦、地下最終戦を除く)


    ■初期装備

    ・鯛茶漬け×4:SAN値+4回復

    「お湯なら持ってきた。実際にホラーやりながら好物食える機会なんざ、そうそうねーだろ」

  • 9二次元好きの匿名さん25/05/27(火) 22:14:26

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  • 10スレ主25/05/27(火) 22:15:05

    糸師 冴(いとし さえ)/初期SAN値:23→20

    冷静かつ天然、日本の至宝と呼ばれる実力者。口が悪いが的確に褒めるタイプで、弟の態度は「反抗期」で片付ける。驚いた時は小さく反応、目を見開くのが最大のリアクション。

    「13:00遊園地ホラー」のクリア経験者。
    「廃病院ホラー」にも登場。精神に“ある記憶”が刻まれている。


    ■固有能力

    【断罪の策略】戦闘において、+1ダメージを与え、且つ敵の攻撃を1回無効化できる(1ダメージは常に継続)
    【最適解】自分または味方1人の失敗判定を再試行できる(1部屋1回まで)
    【共鳴の記憶】遊園地ホラークリア特典。SAN値減少イベントを1回自動回避できる
    【白き空間の鍵】遊園地ホラークリア特典。他人の精神領域に1回だけ“干渉”して引き戻すことができる(精神異常発生時、精神を安定させることが可能)
    【記憶の継承者たち】 遊園地ホラーペア特典。1度だけ“忘れられた者”に対し、言葉だけで道を開くことができる(怪異の脅威を無効化し、部屋から自動脱出可能・A-7通路最終戦、地下最終戦を除く)


    ■初期装備

    ・塩こぶ茶×4:SAN値+4回復

    「お湯は凛が持ってきた。飲んでみろ、落ち着くぞ」

  • 11スレ主25/05/27(火) 22:19:02

    ●所持アイテム

    ・デジタル腕時計×4:戦術支援デバイス付き
    ・避難経路図:廃病院の地図
    ・蛍光グリーンの宝石:脈打つようにかすかに光る
    ・ダークブルーの宝石:脈打つようにかすかに光る

    ・《沈静ノ滴》×1:SAN値+1回復
    ・《帰神の雫》×1:SAN値+1回復
    ・《沈静カプセル》×1:SAN値+1回復
    ・《Lucid Drop》×1:SAN値+1回復
    ・《ラストリウム》×1:SAN値+2回復

    ・《遮断注射》:SAN値減少を1回無効化
    ・《ノイズキャンセラー》×1:SAN値減少を1回無効化
    ・《シールド・トリガー》×1:SAN値減少を1回無効化
    ・《セーフライン・タグ》×1:SAN値減少を1回無効化
    ・《ノーカウント・セラム》×2:SAN値減少を1回無効化

    ・《鍵(【B-1】の刻印)》×1

    ・医師の手書きメモ、医師用内部資料
    ・被験体37のメモ、職員O・Yの看護記録
    ・観察記録23、D号患者記録
    ・小さなファイル(対象G)
    ・職員記録(No.15)

  • 12スレ主25/05/27(火) 22:44:22

    【探索成功】4:00


    凪「……あった」

    くしゃくしゃになった白衣の下から、
    金属の小さな塊が、ひょいと滑り出た。

    凪はそれを無造作に拾い上げる。


    持ち手には、くすんだ刻印でこう彫られていた。


    ──鍵【備品庫】


    凪「こんなとこに置きっぱなしとか、管理ガバガバじゃん……」

    ぼやきながらも、
    凪はそれをポケットに滑り込ませた。

    動作はだるそうでも、
    その手付きはしっかりしている。

    凪「これで、あの扉が開く。たぶん中には──アイテムっぽいもの、あるはず」

    無表情のまま、
    少しだけテンションの上がった声で呟いた。

  • 13二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 03:21:02

    スレ立ておつです!
    前スレラストの凪のダイス100特典いろいろ考えてたんだけど、前作と同じ探索1回自動成功と戦闘時+10補正に加えて戦闘時のファンブルを一度だけ回避とかどうでしょう?ダメだったらごめんなさい!

  • 14スレ主25/05/28(水) 07:43:56

    >>13 ありがとうございます!100特典OKです!ご検討ありがとうございました!


    おはようございます。昨夜はホスト規制で更新止まってしまいました。本日はお休みなので更新頑張ります!

    100特典は適宜発動しますので、よろしくお願いします。

  • 15スレ主25/05/28(水) 07:55:10

    【看護師休憩室探索:②鏡台・洗面スペース・千切豹馬】


    【探索開始】4:00



    千切「うわ……なんか、雰囲気あるなここ……」


    千切が近づいたのは、部屋の隅──

    長年手入れされていない鏡台と洗面スペース。


    ひび割れた鏡に、ほこりをかぶったコップ。

    倒れた石鹸箱。蛇口からは、もう水は出ない。



    千切「誰かが使った痕、ある……?いや、これ……いつの……」


    千切は、鏡に映る自分と目を合わせないようにしながら、洗面台の下にしゃがみ込む。


    扉をそっと開けると、

    中からかすかに紙の匂いがした。


    千切「何か……入ってるのか?」


    内部は暗く、よく見えない。


    けれど、確かに──何かが、置かれているようだった。



    dice1d2=1 (1)

    1:成功 2:失敗

  • 16スレ主25/05/28(水) 08:58:16

    【探索成功】4:00


    千切は慎重に手を伸ばし、
    薄暗い洗面台の下から湿った封筒を引きずり出す。

    ぺたりとした感触とともに、
    中から薄い紙の束が滑り出た。


    千切「これ……記録用紙?」

    水染みで滲んだ部分も多いが、
    辛うじて読み取れる文字があった。


    ──【緊急職員対応報告書(K・Y)】

    『複数の看護師が幻視、幻聴を訴え、配置転換』
    『K・Yは他者の“影”を認識不可』
    『自らの鏡像に攻撃を加える行動に移行』
    『職員休憩室にて、姿を消失』

  • 17スレ主25/05/28(水) 08:59:05

    千切「やべー記録しか出てこねぇ……」

    千切はわずかに眉をしかめつつ、
    紙束をたたんでポーチへ押し込んだ。


    千切「ってか、鏡像って……ここの鏡、関係あるってことか?」

    曇った鏡の表面を、無意識に指でぬぐいながら、
    千切は小さく息をのんだ。


    映った自分は、さっきよりほんの少しだけ、
    目つきが鋭く見えた気がした──


    気のせい、だと願いたかった。

  • 18スレ主25/05/28(水) 09:10:33

    【看護師休憩室探索:③給湯器とカップ棚・糸師冴】

    【探索開始】4:00

     
    冴が向かったのは、部屋の一角──
    給湯スペースと、カップ棚が並ぶ場所だった。

    年季の入った給湯器は、パイプの付け根から少しずつ錆が浮き出しており、すでに電源が落ちて久しい。
    棚にはティーカップやマグが数個、
    ホコリを被って整然と並んでいる。


    冴「……あまり使われていないのに、妙に整理されてるな」


    冴の視線が、一つのカップに止まった。

    他のカップと異なり、ほんのわずかに──
    中に“液体のようなもの”が残っている。

  • 19スレ主25/05/28(水) 09:11:07

    冴「……これは?」


    触れようとした瞬間、視界の隅に、

    カップの中で何かが“揺れた”気がした。


    それは光ではなかった。

    匂いでも、温度でもない。


    ただ、不快な「違和感」だけが、指先に滲んだ。


     

    冴「……何かあるが、気安く触れるのはやめておいた方がよさそうだ」

     


    冴は背後をちらりと振り返る。

    仲間たちはまだ探索中。


    自身も慎重に呼吸を整え、

    棚の奥へと目を凝らした──。



    ※異常発生リスクあり(小):55以上で探索成功

    dice1d100=60 (60)

  • 20スレ主25/05/28(水) 09:18:50

    【探索成功】4:00


    冴は、棚の下段へ視線を滑らす。

    ほこりに覆われた木材の隙間──
    そこに、一枚だけ異質な紙が挟まっていた。


    冴「……何かのメモか」

    取り出してみると、
    用紙は折れ曲がり、角は変色している。
    だが、手書きの文字はまだ読み取れた。

     
    ──『A-7通路:避難用補助経路。看護師休憩室前廊下の南側に扉あり』


    冴「……覚えておくべき情報だな」

     
    冴はメモを畳み、ポーチに滑り込ませる。

    そしてもう一度、
    周囲を警戒するように視線を走らせた。


    背後の棚から、再びカップが小さく揺れる音がしたが──冴は振り返らなかった。

  • 21スレ主25/05/28(水) 09:27:41

    【看護師休憩室探索:④備品庫前デスク&椅子・糸師凛】

    【探索開始】4:00

     
    凛は備品庫の前で立ち止まり、
    古びたデスクに目をやった。


    凛「誰かが……力任せに開けた跡か」

    引き出しの鍵は壊されており、
    取っ手の周辺には擦れたような傷が残っている。

    天板には、うっすらと手の跡。
    誰かが最近触れたようにも見える。

     
    凛「中途半端に整理されてるのが逆に怪しいんだよな……」

    凛は椅子を軽く引き、
    腰をかけずに、引き出しに手をかける。
    わずかに固く、だが──強引に引けば開きそうだった。

  • 22スレ主25/05/28(水) 09:28:22

    凛「何か入ってろよ……無駄に整頓された空っぽとか、マジでイラつく」


    引き出しの中には、

    書類の束が乱雑に詰め込まれている。


    一見無造作に見えるが、よく見れば“ある順序”で並べられている気配もある。


     

    凛は指先で紙の角を弾くようにしながら、

    その束の中に、“何か違う質感のもの”が混ざっていないかを確かめていった──。



    dice1d2=1 (1)

    1:成功 2:失敗

  • 23スレ主25/05/28(水) 09:41:15

    【探索成功】4:00

    【全員成功:スペシャルアイテム取得】


    引き出しの中──
    紙束の奥に、妙な感触が指先に引っかかった。


    凛「……これ、紙じゃないな」

    凛は眉をひそめ、慎重に指を滑り込ませる。

    束をめくると、そこには一枚の厚紙──
    カードのようなものが挟まっていた。


    凛「……は?」

    取り出したそれは、黒地に淡い青が走る、
    不思議な紋様の描かれたカードだった。

    中央には、仄かに光を放つ円形のエンブレム。
    どこかサッカーを思わせる構図。

     
    凛「なんか……競技用のパスみたいなデザインだな」

    凛がそれを持ち上げると、
    不意に、空間が一瞬だけ微かに揺れた。

  • 24スレ主25/05/28(水) 09:46:07

    冴「……今の、何だ?」

    冴が短く問う。

    千切「地震……じゃないよな?」

    千切が眉をひそめた。


    凪が無表情で歩み寄り、凛の手元を覗き込んだ。

    凪「なんか、光ってる。……触ったら、誰か来そうだね」

    凛「は?」

    凪「いや、知らないけど。ゲームならそういう展開よくあるヤツ」


    カードの表面には、
    英語と数字の混じった文字列が浮かび上がった。


    《PHANTOM STRIKE:SUPPORT》


    ■入手アイテム
    ・《PHANTOM STRIKE》
    ・戦闘時、任意のキャラを召還可能。
    ・戦闘終了まで参加持続(攻撃・回避は1回ずつ自動成功→以降はダイスにて決定)
    ・キャラは安価で決定予定。

  • 25スレ主25/05/28(水) 10:11:52

    凛のアイテム入手を機に、
    四人は自然と室内の中央に再集合する。


    凪「こっちも収穫あったよ」

    そう言って取り出したのは、小さな鍵。
    持ち手にはくすんだ【備品庫】の文字が刻まれている。


    千切「よっしゃ!ナイス凪!」

    千切が喜び勇んで身を乗り出す。


    凪「千切、備品庫の解錠よろしく~」

    そう言って、凪は千切に鍵を渡す。

    千切「しゃーねえな、開けるだけなら大丈夫だろ!……大丈夫だよな?」

    千切は備品庫をちらりと見る。

     
    千切「あ、そうだ。俺はこれ見つけた」

    続いて千切が取り出したのは、記録用紙。

  • 26スレ主25/05/28(水) 10:12:58

    千切「ここの部屋に、たぶん今でもいる……」

    千切が声をひそめると、凛が無言で頷く。

     
    凛「兄ちゃんは?」

    冴はポーチから手書きのメモを取り出した。


    冴「“A-7通路”って書かれてる。避難用通路らしい」

    千切「……ってことは?」

    冴「もし、全員を無事奪還できたら。そこから外へ出られるかもしれない。あくまで──"最後の出口"だ」

    凛「へえ……」

    凛は少し目を細めた。


    凪「順調だし、きっともう少しでしょ?」

    凪の静かな言葉に、千切がうなずいた。

    千切「そうだな。まだ気ぃ抜くには早いけど……見えてきたぞ、光」

  • 27スレ主25/05/28(水) 10:21:52

    静けさが、重たく、再び部屋を満たした。

    情報を出し切った四人が、
    次の一歩を考えようとしたその瞬間──


    ……キィ……

    誰も触れていないはずの鏡台が軋む。

    その音とともに、冷たい空気が這い寄ってくる。


    千切「……おい、今、動いたよな」

    千切が後ずさりながら、鏡台を睨みつけた。


    冴の瞳が細められる。

    冴「出るぞ。……"ここにいた"って記録があっただろ」


    凛はすでに構えていた。

    凛「K・Yだったな……職員の記録にあった“影が見えねえ”ってやつ」
     

    その断片的な記録が、脳裏に過る。

  • 28スレ主25/05/28(水) 10:23:49

    そして、次の瞬間だった。

     
    バンッッ!

     
    鏡台の奥から──"影のない影"が、這い出した。

    それは、見る者によって姿を変えるようにぼやけており、光の中にあるのに、まったく影を落とさなかった。

     
    千切「……っ!なんか、嫌な感じだなコイツ!」

    千切が咄嗟に距離を取る。


    凛が前に出る。

    凛「……──潰してやる」


    冴「攻撃は有効。倒せるはずた」

    冴が短く告げ、すでに構えを取っていた。

  • 29スレ主25/05/28(水) 10:24:32

    凪も、ゆっくりと手を上げて言う。


    凪「この空気、ぜんっぜんおいしくないね。レオのとこ、早く行くために……片付けよ」



    【看護師休憩室】《職員:K・Y》

    (5回攻撃成功で討伐完了/35以上で攻撃成功)

    千切:dice1d100=68 (68)

    凪:dice1d100=90 (90)

    凛:dice1d100=61 (61)

    冴:dice1d100=2 (2)

    ※職員K・Yの情報入手:+5補正

    (100特典の+10は温存)

  • 30スレ主25/05/28(水) 10:46:07

    【戦闘開始】4:00

    【冴のファンブル:100特典で通常失敗に修正】

    【冴の固有能力:断罪の策略──発動】


    最初に動いたのは凛だった。

    影を落とさぬ怪異──K・Yを、
    ためらいなく睨みつける。


    凛「……影がねぇなら、潰し甲斐があるな」

    凛の足が床を鳴らし、体重を乗せた蹴りが、
    闇の中の歪んだ気配を貫いた。

    鈍い音とともに、空間が一瞬だけ歪む。

     
    続いて千切が一歩、二歩と距離を詰め──


    千切「やるなら速攻だよな!?うおおおおおッ!」

    風を切るような蹴りが、K・Yの肩口をえぐる。

  • 31スレ主25/05/28(水) 10:49:56

    直後、凪がゆっくりと腕を上げる。


    凪「……“影がない”とか意味わかんない」

    その声とは裏腹に、放たれた蹴りは鋭く、
    見事にK・Yの胸部へ命中。


    一方、冴は静かに一歩踏み込み、
    低く蹴りを放つが──

    ……空を切った。

     
    冴「……外した。けど──一つで十分だろ」

    冴の目が、わずかに細められる。

    放たれたもう一撃がK・Yの頭部に直撃した。


    影のない怪異はぐらりと揺れ、
    しかしまだ完全には崩れ落ちない。

  • 32スレ主25/05/28(水) 10:50:34

    ぼんやりとした像が、

    四人の輪の内側で脈打つように揺れ──


    次の瞬間、空気がピシィと張り詰めた。

     


    冴「来るぞ!」


    冴の声が、全員の動きを引き締める。



    【看護師休憩室】《職員:K・Y》

    (1回攻撃成功で討伐完了/35以上で回避成功)

    千切:dice1d100=82 (82)

    凪:dice1d100=15 (15)

    凛:dice1d100=97 (97)

    冴:dice1d100=78 (78)

    ※職員K・Yの情報入手:+5補正

    (100特典の+10は温存)

  • 33スレ主25/05/28(水) 11:21:40

    【回避開始】4:00

    【凛のクリティカル:凪の失敗を成功に変換】


    ──ぞわり、と皮膚を撫でるような感触。

    K・Yの影なき存在が、
    空間を揺らしながら四人に迫る。


    凪「ありゃ……」

    凪がわずかに動きが遅れる。
    無表情のまま、足がもつれるようにブレた。

     
    凛「……おい、鈍ってんじゃねーぞ!」

    すぐさま凛の声が飛ぶ。

    凛が前へ躍り出ると、体を張って凪の視界を遮る異形の"揺らぎ"を押し返した。


    「やるじゃん。……ま、助かったってことで」

    凪が口元を緩める。

  • 34スレ主25/05/28(水) 11:24:34

    一方、冴は音もなく横へと滑り──


    冴「速いわけじゃない。読みやすい」

    そう呟きながら、
    スッと異形の気配を避けて立ち位置を変える。

     
    そして千切。
    素早く体勢を低くして──


    千切「動きは分かる……ッ!」

    千切の反射神経が冴えわたり、
    風のように滑り込んで回避する。

     
    気づけば、K・Yの攻撃はすべて宙を舞っていた。

  • 35スレ主25/05/28(水) 11:25:16

    揺らいだ空気の中で、再び四人が構え直す。


     

    千切「さっきの分、取り返さないとなー!」


    千切が勢いよく声を上げ、拳を握る。



    冴「終わらせるなら……今、だな」


    冴の目が鋭く光る。



    【看護師休憩室】《職員:K・Y》

    (1回攻撃成功で討伐完了/35以上で攻撃成功)

    千切:dice1d100=19 (19)

    凪:dice1d100=27 (27)

    凛:dice1d100=66 (66)

    冴:dice1d100=63 (63)

    ※職員K・Yの情報入手:+5補正

    (100特典の+10は温存)

  • 36スレ主25/05/28(水) 11:41:43

    【戦闘開始:2回目】4:00


    冴「今だ、凛!」

    冴が声を上げ、凛が滑り込むように走り出す。

    その手には、床に転がっていた金属のトレイ。
    足元に注意しながら、敵の側面へ打ち込む。


    ガンッ――!


    動きが止まった瞬間、冴がすぐさま間合いを詰め、
    落ちていたガラス片を使って切りつけた。

    影のようなそれがよろめき、ゆっくりと崩れていく。


    千切「ったく、いいとこ持っていきやがったな…!」

    千切が肩で息をしながら、苦笑した。


    冴は手を払って立ち上がると、
    凛と軽く目を合わせる。

    その視線の先に、それはあった。

  • 37スレ主25/05/28(水) 11:51:16

    【戦闘終了】4:00

    【撃破報酬/オーバーキル報酬:取得】


    薄暗い部屋の中心。

    戦闘の余韻が残る空間に、
    静かに転がっていたのは――


    紫色の宝石。

    それは生きているように、
    静かに脈を打ち、かすかに光っていた。


    「……また出たな、宝石」

    千切がそっと宝石を手に取る。

    触れた瞬間、微かな震えと共に、
    胸の奥がふっと軽くなる感覚。

    懐かしい人の声が聞こえたような気がした。


    千切「なんの効果があるんだ……?」

    千切がそう呟いて、宝石を握りしめた。

  • 38スレ主25/05/28(水) 11:52:07

    その時、部屋の隅で、
    小さな「カチッ」という音がした。

    凛が近づく。


    凛「あった、精神安定剤だ」

    中に入っていたのは、細長いアンプル型の薬剤。
    ラベルには《Type-S 安定処置用》とだけ書かれていた。


    薬剤を凛から受け取り、
    冴が黙ってそれをポーチに入れた。


    ■入手アイテム
    ・紫色の宝石:脈打つようにかすかに光る
    ・《Type-S安定処置用》×2:SAN値+2回復

  • 39スレ主25/05/28(水) 12:15:47

    千切「よし。戦闘も終わったし、備品庫開けるか!」

    千切はポーチから、
    先ほど凪が手に入れた鍵を取り出す。

    扉の前でしゃがみ込み、慎重に鍵を差し込む。


    ──カチャリ。


    乾いた音とともに、
    錆びついた備品庫の扉が軋んで開いた。

    中は思っていたより狭く、
    ぎゅうぎゅうに物資が詰め込まれている。

    使いかけの包帯、破れたマスク、薬品の空瓶……
    そんな中、千切の視線が一点に止まった。


    千切「……これ、なんだ?」

    棚の奥。
    埃をかぶった医療箱の中に、それはあった。

  • 40スレ主25/05/28(水) 12:37:55

    小さな丸い瓶──深い琥珀色の液体が満たされ、
    栓には古びたラベルが貼られていた。

    手書きで、こう記されている。


    ──《ディープ・ステイシス》


    千切がそれを手に取ると、
    不思議なことに瓶の中の液体がほのかに揺れ、
    まるで生きているかのように脈動した。


    千切「なんか……すごいな。見た目スライムっぽいけど」

    冴が後ろから覗き込む。

    冴「今は使わない方がいいな。もっと追い詰められてからのほうが、効果的だ」

    千切「了解ー。とりあえず俺が持っとく」


    千切は嬉しそうに瓶を大事そうに抱え、
    そっとポーチにしまった。

  • 41スレ主25/05/28(水) 12:48:15

    ギィ──

    軋む音とともに、
    看護師休憩室の扉が静かに開く。

    四人が廊下に足を踏み出すと──
    そこに待っていたのは、
    すでにおなじみとなった猫たちの姿だった。


    千切「ヨイチー!タビトー!」

    千切が両手を広げて駆け寄る。
    そして、その隣には──もう一匹。


    淡い光を纏うような紫色の毛並み。
    瞳は深い紫で、
    まるで静かな夜の湖面のように揺れていた。


    千切「おおおおっ!?また猫増えてるじゃん!やったあああああ!!」

    千切は歓声をあげて、
    三匹を順番にわしゃわしゃと撫で回す。

    ヨイチは「にゃ゛あ……」と面倒くさそうに唸り声を上げ、タビトは「ぅにゃ……」と若干不機嫌そう。
    だが、新入りの猫だけは大人しく撫でられていた。

  • 42スレ主25/05/28(水) 12:58:30

    そして──
    紫の猫は、くるりと凪の方へ歩み寄ると、
    静かに一声だけ、鳴いた。


    「……にゃ」

    凪の瞳がわずかに揺れる。
    その鳴き声に、どこか懐かしいものを感じたのか、
    凪はぽつりと呟いた。


    凪「……レオ、みたい」

    誰も、その言葉に異を唱えなかった。

    千切は「いい名前だな」と笑い、
    冴は「そうかもな」と相槌を打ち、
    凛は一瞬だけ紫の猫を見て、否定はしなかった。


    名を得たその猫は、まるで理解したかのように一度小さく瞬きをすると、くるりと背を向け、すたすたと歩き出す。

    その後ろを、タビト、そしてヨイチも続く。


    冴「……行くか」

    冴がぼそりと呟き、
    四人は猫たちの後を追って歩き出した。

  • 43スレ主25/05/28(水) 13:17:17

    廊下には、かすかな風の音だけが満ちていた。

    沈黙の中、三匹の猫──
    ヨイチ、タビト、そしてレオが、前を行く。


    千切「……あいつら、静かにしろって言ってるみたいだな」

    千切が小声で笑う。

    レオは一度だけ振り返り、
    紫の瞳をすっと凪に向けた。


    凪「……俺に言ってる気がする」

    凪は無表情のまま、ぼそりと呟いた。


    凛が前を見据えながらつぶやく。

    凛「……この先、空気が変わってる。絶対、何かあるな」

    その声に、冴が歩みを緩めず答えた。

    冴「緊張してるなら、口だけは慎めよ。バレるぞ」


    そうして──四人と三匹は、廊下の角を曲がる。

  • 44スレ主25/05/28(水) 13:18:11

    そこにあったのは、
    他の扉よりも一回り大きな、重厚な鉄扉だった。

    看板には、薄く削れた文字。


    ──【手術室】


    千切が眉をひそめた。

    千切「うわ……明らかにヤバそうなんだけど」


    タビトが「うにゃあ」と低く鳴く。

    ヨイチは無言のまま、
    その扉の前にちょこんと座った。


    凛が前に出ると、扉に手をかける。

    凛「開けるぞ」


    ギィ……ッ

    金属の軋む音が、沈黙を裂いた。

    手術室の扉が、闇の中で──ゆっくりと口を開けた。

  • 45スレ主25/05/28(水) 13:25:00

    扉が軋みを上げて開いた瞬間──
    冷気がふわりと肌を撫でた。

    まるで、今この部屋に足を踏み入れることを、
    誰かに拒まれているかのようだった。


    千切「……くっせ、何この臭い……鉄?薬品?それとも……」

    千切が鼻を押さえてつぶやく。


    室内には、大型の手術台。
    その上には、古びたメスやピンセット、止血鉗子などの手術器具が、まるで途中で放り出されたように、無造作に散らばっていた。

    部屋の隅には、金属製のワゴンや、
    ノイズ混じりに作動する壊れかけのモニター。
    そして壁際には、小さなキャビネットが一つ──
    どこか違和感のある形で立てかけられていた。


    凪「蛍光灯、チカチカしてる」

    凪がぼそりと呟く。


    冴は静かに、手術台の脇を見やる。

    冴「気を抜くな。ここも、他と同じ空気だ。何が出るかわからねえ」

  • 46スレ主25/05/28(水) 13:31:45

    蛍光灯の弱い光が、
    器具や壁面に死んだような銀色の光沢を反射させる。

    床には、微かに引きずられたような跡。
    何かが、どこかへ運ばれた痕かもしれなかった。


    凛が奥のキャビネットに目を止めた。

    凛「……鍵付きの引き出しか」

    冴「……調べるしかないな。壊すか、鍵を探すか……」

    冴が静かに応じた。


    【手術室エリア】

    ①手術台周辺
    血痕や異常な痕跡が残されているかもしれない

    ②ワゴン(器具置き場)
    散乱する器具の中に、隠された情報やアイテムがあるかも

    ③モニターと操作パネル付近
    破損した機械類の中に、病院の内部情報が保存されている可能性。

    ④奥の壁に立てかけられたキャビネット
    鍵付きの引き出しがある。重要な資料が保管されているかもしれない。(異常発生リスクあり(小))

  • 47スレ主25/05/28(水) 13:32:24

    凪「ベッドって言うより……祭壇って感じだね、これ」

    凪は淡々と呟きながら、①手術台周辺の血痕らしき染みを無表情に指先でなぞる。


    千切「うわ、刃物多っ……ていうかこれ、全部使われたやつじゃん……」

    千切はやや怯えた声で笑いながら、
    それでもしっかり②ワゴンへ踏み出した。


    冴「……まだ動いてるかもしれないな」

    冴は淡々と③モニターへ歩み寄る。
    画面に走るノイズが、不快な耳鳴りを残した。


    凛「面倒くせぇけど……お宝が眠ってそうだな」

    凛は口角をわずかに上げながら、
    ④キャビネットの鍵穴を睨みつけた。

  • 48スレ主25/05/28(水) 17:47:50

    【手術室探索:①手術台周辺・凪誠士郎】

    【探索開始】4:00


    凪は、まるで興味がないような足取りで、
    それでも確かに、部屋の中央──
    手術台のもとへと歩を進めた。


    凪「うわ……汚っ」

    金属製の台は、深く錆びついていた。

    しかし、それよりも目を引いたのは、
    その表面──黒ずんだ血のような痕跡だった。

    もう乾ききっているが、
    どこか不自然に“盛り上がって”いる部分がある。


    凪「……これ、誰かが……剥がそうとした?」

    凪はしゃがみこみ、指先でその部分に軽く触れた。
    すぐに──細かい破片がパラパラと音を立てて、
    台の上に崩れ落ちる。

  • 49スレ主25/05/28(水) 17:48:42

    その下から、

    なにかのメモのような紙片が、わずかに覗いた。



    凪「……紙、かな。焼け焦げてんの……?」


    凪は顔を近づけて、さらによく見ようとした──


    が、そこでふと視線を横へ逸らした。



    手術台の“すぐ脇”、

    まるで誰かが立っていたかのように──

    人の形に擦り切れた床跡が、そこに残っていた。



    凪「…………レオ、だったらここ絶対嫌がる」


    ぽつりと、そう呟いた。


    凪の手は、紙片へと向かい──

    ゆっくりと、そっと引き抜かれていく。



    dice1d2=2 (2)

    1:成功 2:失敗

  • 50スレ主25/05/28(水) 17:53:45

    【探索失敗】4:00

    【SAN値-1:22→21】


    凪が慎重に摘み取った焼け焦げた紙片は、
    指先に触れた瞬間──

    「しゅっ」と音を立てて、
    まるで命を持ったように崩れた。


    凪「……あー、やっぱダメだったか」

    乾いた声で、つぶやく。


    だが──その時だった。

    ふ、と。
    耳の奥で、微かなささやき声がした。

    いや、正確には──“耳元で”。


    「……しってる……」
    「……おまえ、しってる……んだろ……」

  • 51スレ主25/05/28(水) 17:56:43

    凪「…………………」

    凪は何も言わない。表情も、変わらない。
    ただ一瞬、視線をすっと天井へ滑らせた。

    それは幻聴か、それとも──誰かの残留思念か。


    だが次の瞬間、凪の視界に異常が現れた。

    手術台の端、誰もいないはずのそこに、
    人の“脚”だけが──立っていた。

    皮膚の色は、くすんだ青灰色。
    爪は異様に長く、薄い血がにじんでいた。
    その足元からは、濃い黒い液体が、床を染め始めている。


    凪「…………」

    凪は、ゆっくりとまばたきをした。
    もう一度、視線をそこへ戻す。

    ……何もいない。


    凪「……レオ。お前、見えてる?」

    とっくにいなくなった猫へ、そう呟いた凪は、
    わずかに吐息を漏らしながら、その場を後にした。

  • 52スレ主25/05/28(水) 18:15:09

    【手術室探索:②ワゴン(器具置き場)・千切豹馬】

    【探索開始】4:00


    金属製のワゴンが、
    手術台のすぐそばに置かれていた。

    上には大小さまざまな手術器具が散らばり、
    どれも長く使われた形跡がある。
    刃先の錆、取れかけたグリップ、
    そして──薄く乾いた血の跡。


    千切「うわ……ちょっと……本格的にヤバいやつじゃん」

    千切は目を細めつつも、
    その中から異物を探すように慎重に手を伸ばす。


    千切「……こういうの、映画で見たことある。なんかさ、こう……最後に"生きてる"メスとか出てくんだよ」

    笑いながらも、
    どこかぎこちない手つきだった。

  • 53スレ主25/05/28(水) 18:15:37

    ワゴンの引き出しにも目をやる。

    一段目は空。

    二段目には、何か黒ずんだ布が詰め込まれている。



    千切「ん……?これ、包帯?いや違う、なんかゴワついてるし……」


    指先にほんのわずかなぬめりを感じて、

    思わず手を引っ込める。



    千切「わ、ぅわっ……ぬるってした、ぬるってした!!ヤバッ、これ絶対アウトなやつだろ!?」


    身を引きつつ、視線は離さない。


    器具の隙間、布の下、何かが──隠れていないか。



    dice1d2=2 (2)

    1:成功 2:失敗

  • 54スレ主25/05/28(水) 19:07:12

    【探索失敗】4:00

    【SAN値-1:18→17】


    千切の指先が、ワゴンの引き出し奥に触れた、
    その瞬間──


    千切「……ん?なんか……」

    ずるっ、と指にまとわりつく、得体の知れない感触。乾いているのに、粘つくような。
    まるで、それ自体が“動いている”かのような錯覚に、背筋が冷える。


    千切「うわっ、まじかよ……!なんだこれ……?」


    慌てて手を引っ込めた瞬間──

    カチャリ。

    一瞬、耳元で聞こえたような金属音。
    誰も触れていないのに、ワゴンの一番上のトレイが、ひとりでに──動いた。

  • 55スレ主25/05/28(水) 19:07:50

    千切「……え、なに、ちょ……動いてない……?」

    千切が思わず後ずさると、
    今度は散乱していた手術器具が、
    ほんのわずかに「カタッ」と揺れた。


    ……カタ。カタカタ。


    器具のひとつ、古びたメスの刃先が、
    かすかに跳ねるように音を立てて、動いた。
    風もない、誰も触れていない、なのに。


    千切「っ……ちょ、やめろってマジで……動くなよ、そういうのマジ無理なんだって……っ!」

    動揺を押し殺すように口元を強張らせるが、
    頬にはじわりと汗。

    千切はそれ以上近づけず、
    結局、ワゴンの引き出しを閉じた。


    情報は──得られなかった。

    精神を、じわじわと侵食する、
    不可解な恐怖だけを残して。

  • 56スレ主25/05/28(水) 20:39:38

    【手術室探索:③モニターと操作パネル付近・糸師冴】

    【探索開始】4:00


    冴は、薄暗い室内を一瞥した後、
    静かに足を進める。

    目的は、壁際で微かに機械音を発している
    古びたモニターと、操作パネルの一角。


    冴「モニター……まだ生きてるってわけか。つーか……これ、何年モノだよ」

    彼の声は落ち着いているが、その指先は慎重に、
    ケーブルや端末の接続部をなぞるように動く。

    どこか、病的に整った配線。
    その隙間に、紙の端や、
    こびりついた血痕のような痕跡も見える。

    パネルの一部が、剥き出しになっていた。
    中には、回路基板が腐食しかけた状態で眠っており、画面には文字化けのような記号が断続的に走っている。

  • 57スレ主25/05/28(水) 20:40:15

    冴「……もう壊れかけってレベルじゃないな」


    小さく呟きながら、

    冴は慎重にモニターの下へ手を伸ばす。



    ──ピ、ピ──


    何かを検知するような電子音が、わずかに鳴った。



    冴「……ん?」


    冴の目が細められる。


    画面がチラつき、

    ノイズ混じりに不明な単語がいくつか表示される。

    だが判読できる情報は、まだない。


    それでも、確実に“何か”が眠っている──

    冴には、それが直感で分かった。



    冴「まあ、やるだけやってみるか。」


    冴はさらに手を進め、次の操作に移った。



    dice1d2=2 (2)

    1:成功 2:失敗

  • 58スレ主25/05/28(水) 20:49:07

    【探索失敗】4:00

    【SAN値-1:21→20】


    ──ピ、ピ、ピッ。

    短く連なる電子音。その音に導かれるように、
    冴はモニター裏へと手を伸ばした。


    冴「何か……反応したか?」

    だが、次の瞬間。

    ビッ、と、画面が白くフラッシュし、
    赤黒いノイズが弾け飛ぶように表示された。


    冴「……!」

    反射的に目を細める。

    けれど、それは“映像”ではなかった。
    それは、まるで──
    「映してはいけない」何かの“影”だった。

    ノイズに混じって、液晶の奥から、
    うっすらと“誰かの顔”が浮かび上がる。

  • 59スレ主25/05/28(水) 20:50:45

    目のない眼窩、ただ笑っているだけの口。
    それがこちらを、じいっと見つめていた。

    “ガラスの内側”から。


    冴「……チッ」

    小さく舌打ちする。だが、背筋には確かに、
    冷たい何かが這い寄っていた。

    一瞬、視界が歪んだ。まるで手術台ごと、
    部屋全体が傾いたかのような錯覚。


    冴「──目眩、か。……くだらねぇ」

    そう言って頭を振ったが、
    気づかぬうちに冴の額には、冷や汗が一筋、流れていた。

    振り返ると──画面には、何も映っていない。

    元から壊れていたのだろう、と、
    言い聞かせるように冴は立ち上がる。

    だが、冴の心には、確かに“何か”が残った。

    歯車の軋むような音。
    誰かが、鏡の中から、呼びかけていたような──
    そんな幻聴を。

  • 60スレ主25/05/28(水) 20:59:18

    【手術室探索:④奥の壁に立てかけられたキャビネット(異常発生リスクあり(小))・糸師凛】

    【探索開始】4:00


    凛「……ったく。こういうのは、絶対なんかあるに決まってんだろ」

    凛は、部屋の最奥──壁際に立てかけられた、
    どこか場違いなキャビネットへと足を向けた。

    古ぼけた金属の扉。
    かすかに焦げたような臭いが鼻をつく。


    凛「医療器具ってより、保管庫だな……」

    しゃがみ込み、
    凛は鍵穴に指をかけて引っ張ってみる。

    ──がちゃ、と音がしたが、ロックはかかったままだ。


    凛「チッ、やっぱ開かねえか」

    凛は一瞬だけ辺りを見回し、
    再びキャビネットに目を戻す。
    その表面には、細かい引っかき傷のような跡が、無数に刻まれていた。

    ただの経年劣化か、あるいは──
    中に“何か”が閉じ込められていたような痕跡か。

  • 61スレ主25/05/28(水) 21:00:35

    凛「……気配、あるな。中に、何かいるか、いたな、これ。」

    ぶつぶつと呟きながら、凛はキャビネットの隙間に手を入れ、無理やりこじ開ける隙を探る。


    しかしそのとき──

    カツン。

    金属の奥から、
    何かが「向こう側」で転がる音がした。


    凛「……あ?」

    息をのんだ。
    今のは確かに、誰かが“中で動いた”ような──
    そんな音だった。

    手を引く。目を細める。
    凛は構えたまま、キャビネットの奥をじっと睨む。


    凛「冗談じゃねぇぞ……ここで出てきたら、ぶっ飛ばすからな」

    その言葉には、
    いつも以上に鋭い緊張が滲んでいた。


    ※100特典により探索自動成功

  • 62スレ主25/05/28(水) 21:09:18

    【探索自動成功】4:00


    ──カツン。

    微かに響いた音の正体を探るように、
    凛は再びキャビネットに手を伸ばした。

    ロックは外れていない。
    だが──扉の一部、ヒンジの軋みが他と違う。


    凛「ここだな……」

    重心をかけ、
    グッと力を入れて金属の隙間をこじ開ける。


    ミシ……ミシ……バキィンッ!

    鈍い音とともに、キャビネットの扉が外れかけた。


    凛「……ハッ、開いたな」

    冷たい空気が、ふわりと漏れ出す。
    中には、ボロボロに崩れかけた医療書類と──
    奥の床に、何かが転がっていた。

    それは、小さな金属製の箱だった。

  • 63スレ主25/05/28(水) 21:10:42

    まるで宝石箱のような意匠。
    だが、蓋には誰かが刻んだような古い傷があり、鍵は既に壊れている。


    凛「さっきの音……こいつが転がったのか?」

    凛は警戒を解かずに蓋を開けた。

    中に収められていたのは──
    黒曜石のように深い光沢を放つ、奇妙な“器具”だった。

    その中央には、かすかに脈打つように明滅する青紫の光。


    凛「……なんだこれ。医療器具って感じでもねえけど」

    指でそっと持ち上げた瞬間、
    頭の奥に、カッ……と光が点るような感覚が走る。

    恐怖でもなく、不快でもなく──
    ただ、“異質”な何かが流れ込んでくるような。


    凛「やっぱ、……普通じゃねえ」

    凛は一瞬だけ呟き、そして黙ってそれをポーチに収めた。


    ■入手アイテム
    ・《幽寂ノ触媒》×1:1回だけ探索を自動成功に変換する

  • 64スレ主25/05/28(水) 21:20:21

    部屋の中央に集まり、
    四人は探索結果を手短に確認し合う。

    光のちらつく蛍光灯の下、
    薄暗い手術室には、まだ不気味な沈黙が漂っていた。


    千切「こっちは空振りだったわ」

    千切が額の汗を拭いながら、手をひらひらと振る。

    冴「モニターには何もなかった」

    冴も短く言い、
    何かを考えるように無言で視線をめぐらせた。

    凪は、ぼんやりと壁の染みを見つめながら、
    「オペ台、収穫なし」とだけ言った。


    そして凛が、無言でポーチから金属製の小箱──《幽寂ノ触媒》を取り出す。

    凛「よくわかんねえモン拾った。これ、機械っぽくはないな」

    中の光に冴が目を細めたが、何も言わない。

    千切「また変なの持ってきたな、凛」

    千切が苦笑しながら覗き込むと、
    凛はフンと鼻で笑って返した。

  • 65スレ主25/05/28(水) 21:21:31

    ──その空気の中で、冴が唐突に動いた。



    冴「凪誠士郎。お前の探索……やり直せるはずだ。あの手術台、俺が見る限り、まだ引っかかる」


    その声音には、有無を言わせぬ確信があった。



    凪は一瞬まばたきし、

    そしてぼんやりと「……はいはい」と返事を返す。


    そのまま無言で、再び手術台の方へ向かった。



    ──冴の固有能力【最適解】発動。


    凪誠士郎の手術台周辺探索、再試行。



    dice1d2=1 (1)

    1:成功 2:失敗

  • 66スレ主25/05/28(水) 21:35:34

    【再試行成功】4:00


    手術台の傍にしゃがみ込んだ凪は、
    無言のまま、その下を覗き込んだ。
    どこかのねじが緩んだように揺れる、鉄製の脚。

    その隙間──


    凪「……あった」

    そう呟いた凪の手に、埃と乾いた血が染みついた、
    薄い紙の束が握られていた。

    何枚かは破れていたが、読める範囲の記録は、
    強烈な違和感と共に、凪の脳裏に焼き付く。


    手術室管理報告:対象「S-12」

    『人型構造、可動維持不能』
    『外見に人体を模す形状の意図あり』
    『だが、骨格と筋肉の配置に著しい異常』
    『歩行時、関節が逆方向にねじれる挙動あり』
    『皮膚層は存在せず、内面露出状態。声帯なし。だが、喉部からは“呻き声”のような音が漏出』

  • 67スレ主25/05/28(水) 21:36:24

    凪「これ、やばいやつじゃん」

    凪は淡々と呟いた。


    手術台の影が、一瞬、
    ほんのわずかに動いたような気がして──
    だが、凪は顔色ひとつ変えず、立ち上がった。

    ポーチに紙束をしまいながら、ぽつりと一言。


    凪「……たぶん面倒くさい」

    手術室の空気が、
    また一段と重くなったような気がした。

  • 68二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 21:36:56

    重要な情報だ、凪ナイス!!
    本当に兄ちゃの固有能力強いね。強すぎる。

  • 69スレ主25/05/28(水) 21:46:24

    >>68 情報入手による+5、意外と重要なので助かります!最適解は今のところ2分の1の成功確率ですね、いい感じです!

  • 70スレ主25/05/28(水) 21:53:12

    凪「S-12。人型だけど、関節とかぐちゃぐちゃで……壊れた手術人形って感じ」

    凪が、あくび混じりに拾い上げた紙束を見ながら、
    淡々とした声で情報を共有する。


    凪「骨の向きも変だし、喉から変な音が出てる。敵意、強……だって」

    凛「気持ち悪りぃな、それ」

    凛が肩をすくめながらも、
    口元はわずかに楽しげに歪む。


    千切「おー……やべ、ちょっと目ぇ回る……」

    千切が手術台の傍に腰かけ、額を押さえる。


    その時だった。

    ──冴の手が、すっとポーチの中へ伸びる。


    一本の小瓶──《帰神の雫》を取り出して、
    千切の方へ放つ。
    反射的に受け取った千切が、目を丸くした。

  • 71スレ主25/05/28(水) 22:00:45

    千切「え、俺に?」

    冴「疲れが溜まってる、少し回復しろ」

    千切「……おお、素直にありがとって言っとくわ!冴は優しいなー」

    千切は笑顔で一気に中身を飲み干す。


    冴も、淡い灰緑の液体が揺れる、
    《沈静ノ滴》を取り出し、一息に飲み干す。
    微かな柑橘と、薬草のような香りが鼻をかすめた。

    冴「俺が倒れちゃ意味ないからな」


    ──そして、その時だった。


    ギギギ……バチン……!


    天井の蛍光灯が一瞬、激しく点滅する。
    室内に、低く濁ったノイズのような音が響き渡った。


    【千切豹馬:SAN値17→18】
    【糸師冴:SAN値20→21】

  • 72スレ主25/05/28(水) 22:06:51

    凛「来るぞ」


    凛が素早く体勢を整える。


    その視線の先──

    暗がりの奥、壊れかけたモニターの影から、ずる……ずる……と、何かが這い出してきた。



    それは、人の形をしていた。

    だが、肩の関節は逆に折れ曲がり、両脚は引きずるように動く。


    むき出しの喉の奥から、濁った呻き声のようなものが漏れ、器用に、だが不自然に首が傾いた。



    千切「うわっ……気味わっる……」


    千切が目を見開き、思わず顔をしかめる。


    冴「──S-12、ってやつか」


    冴が目を細め、ゆっくりと足を踏み出した。



    【手術室】《壊れた手術人形:S-12》

    (4回攻撃成功で討伐完了/40以上で攻撃成功)

    千切:dice1d100=56 (56)

    凪:dice1d100=99 (99)

    凛:dice1d100=89 (89)

    冴:dice1d100=25 (25)

    ※S-12の情報入手:+5補正(100特典の+10は温存)

  • 73二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 22:10:44

    凪調子いいじゃん

  • 74二次元好きの匿名さん25/05/28(水) 22:35:56

    凪さすが攻撃意識高いだけあるね

  • 75スレ主25/05/28(水) 22:38:40

    >>73 戦闘頑張ってますね!

    >>74 攻撃意識高い(物理)


    さて、明日は仕事なのでスレ主は寝ます。凪のクリティカルは、次の部屋で探索自動成功へ変換予定です(兄ちゃは断罪の策略でダメージ与えられるので)。

    次はやっと2階に進みます。固有能力やアイテムはケチってますが、ここからまた難易度も上がるはずのですので、少しずつ使用していきたいと思います。それではまた明日、よろしくお願いします。

  • 76二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 03:09:04

    今日もお疲れ様でした!
    2階探索は成功多めであってほしい…!

    猫も増えてきてにぎやかになってきましたね
    この様子だとあと1匹増えそうな予感!
    ちなみにそれぞれの猫って色以外に見た目の特徴あったりしますか?

  • 77スレ主25/05/29(木) 09:06:29

    >>76 ありがとうございます!成功を祈りましょう。

    猫の特徴ですが、

    ・ヨイチ:大きさ普通、黒の毛並みに青い瞳。怒ると鳴くが普段はあまり鳴かない。

    ・タビト:大柄、ダークブルーの毛並みに青い瞳。よく鳴く。

    ・レオ:大柄、紫の毛並みと瞳。普通に鳴く。品がいい。

    こんな感じで考えてました!


    本日もよろしくお願いします。

  • 78スレ主25/05/29(木) 10:24:47

    【戦闘開始】4:00


    S-12の喉の奥から、
    機械の軋むような音が鳴った──

    が、それは断末魔だった。


    千切「っりゃあああああッ!!」

    千切の足が床を蹴り、
    風のような一撃が、S-12の胸を抉る。

    鈍い音。ぐにゃりと骨が崩れるような感触。
    だが、それでも怪異は止まらない。


    凛「動きすぎ、だから関節ぶっ壊れんだよ」

    凛が低く唸り、
    拾い上げた金属製のフックを勢いよく投げつける。

    フックはS-12の顎を貫き、
    反動でその顔が後ろへのけぞる。

  • 79スレ主25/05/29(木) 11:54:17

    ──そこに、冴の蹴りが飛んだ。

    しかし──


    冴「……あ」

    蹴りは空を切り、冴の眉が一瞬だけ動く。


    冴「……ならもう一発」

    体勢を崩さずに、すぐに反対側からの回し蹴り。
    今度はS-12の肩へ。

    ボキリ、と耳障りな音を立てて、関節がさらに砕けた。


    最後に、凪が静かに歩み出る。

    凪「レオ、見ててね……」

    散らばった手術器具の中から、
    小さなハンマーを拾い上げる。

    すっと近寄り、怪異の心臓と思しき部位に──
    無表情で、正確に一撃。

    S-12の身体は、糸が切れたように崩れ、
    黙って、床へ倒れ込んだ。

  • 80スレ主25/05/29(木) 12:00:46

    【戦闘終了】4:00

    【撃破報酬/1ターン撃破報酬:取得】


    しん……と、蛍光灯の微かな音だけが、
    静寂の空間に残った。


    千切「おいおい、なんだよ。俺、今回ちゃんと戦ったのに、トドメはまた凪かよ……」

    千切がちょっと拗ねたように笑う。

    凪「最後に決めたやつが偉いってわけじゃないっしょ」

    凪はぼそりと呟き、肩をすくめた。

    冴「でも、悪くなかった」

    冴がぽつりと呟くように言い、
    乱れた前髪を手で直す。

    凛「……まあまあだったな」

    凛は腕を組んでそっぽを向いたまま、
    でもほんの少しだけ笑っている。

  • 81スレ主25/05/29(木) 13:24:52

    ──その時。S-12の残骸が、音もなく崩れ落ちる。

    その下に、鉄製の何かが、ひょこりと顔を出していた。

    凛「鍵、か?」

    凛がそれを拾い上げる。
    銀色の古びた鍵には、【2F:STAIR】の刻印。

    凛「……階段の鍵みたいだな。これで上に行ける」


    そして、もうひとつ──
    千切が小さなガラス瓶を見つけた。
    紫がかったガラスに、うっすらと光を帯びている。

    千切「《静脈の雫》……って書いてあるな」

    そっと栓を開けると、冷たく澄んだ香りが広がった。

    千切「たぶん、回復系。あんまり見た目怖くないしな!」

    凛「気を抜くなよ。その“怖くなさそう”が一番怖いんだ」

    凛が鼻を鳴らすように言った。


    ■入手アイテム
    ・《鍵【2F:STAIR】の刻印入り》×1
    ・《静脈の雫》×1:SAN値+2回復

  • 82スレ主25/05/29(木) 16:20:12

    手術室の重たい扉を、
    ギイィ……と軋ませながら開いた。

    途端に──

    「……にゃ」
    「うみゃうみゃっ」
    「んー」

    三匹の猫たちが、揃って出迎えていた。


    先頭にいるのは、無口な黒猫──ヨイチ。

    続いて、ダークブルーの毛並みが目を引く、
    やたらと鳴く大柄なタビト。

    そして、その後ろから姿を現したのは──
    紫の毛並みに気品すら感じさせるレオ。


    千切「うわっ、猫が三匹並ぶと、なんか迫力あるな……」

    千切が楽しげに目を輝かせて駆け寄る。

    千切「なあなあ、お前ら、ちゃんと待っててくれたんだな〜〜!」

    撫でまわされて迷惑そうに、
    ヨイチが「……にゃ」と短く鳴く。
    それでも千切はめげない。

  • 83スレ主25/05/29(木) 16:21:56

    千切「よーし、よーし……俺ら、ちゃんと倒してきたからな!」

    その様子に、凛が苦笑いを浮かべながら、
    横をすり抜けていく。

    凛「さっさと次行くぞ。……時間は無限じゃねぇんだから」


    レオが一歩、階段の方へ歩み出す。
    それに続くように、タビトとヨイチも静かに動き出す。


    階段の前に立つと、
    凛がポーチから銀色の鍵を取り出した。

    【2F STAIR】と刻まれたそれを、古びた南京錠に差し込む。


    カチャリ。

    錠が外れる。
    錆びた扉を押すと、
    ギイィ……と不気味な音を立てて開いた。


    冴「じゃ、行くか。……2階へ」

    冴の低い声が、背後の静寂に吸い込まれていく。

    四人と三匹の猫は、ゆっくりと階段を登り始めた。

  • 84スレ主25/05/29(木) 16:56:29

    ──そして、2階へ。


    廊下は、一層の暗さをまとっていた。

    天井の照明は、一部がチカ……チカ……と不規則に明滅し、まるで、訪問者の存在を拒むかのように、冷たい光を投げかけている。


    千切「……なんかさ。ここ、空気違わねえ?」

    千切が、低くそう呟く。

    凛は壁を指先でなぞった。
    ざらついた塗装。ひび割れた壁面。

    凛「“違う”んじゃない。……“悪い”んだよ。明らかにな」


    タビトが低く「うみゃ」と鳴き、
    先導するように歩き出す。

    後ろからヨイチとレオも、
    それぞれ迷いなく廊下の奥へ進んでいく。


    冴「──進むぞ。奪還のために」

    冴の短い言葉に、誰も返事はしなかったが──
    その背中は、確かに前を向いていた。

  • 85スレ主25/05/29(木) 17:40:46

    廊下を進むと、突き当たりに、
    他の部屋とは異なる雰囲気の扉が現れた。

    無機質な灰色のドア。その中心には、
    小さな金属プレートが貼り付けられていた。


    そこには、こう刻まれている──


    『K-4』


    それだけ。
    医師の名前も、科名も、
    部屋の用途も書かれていない。


    千切「K……? 科じゃないのか?」

    千切が小声でつぶやく。

    凛「分類にしてもおかしいだろ。何かを“隠す”ためのラベルって感じがする」

    凛がプレートを睨みつけながら、
    無意識に拳を握る。


    タビトが「うにゃ」と鳴き、扉の前に座った。
    ヨイチとレオも、続くようにぴたりと足を止める。

  • 86スレ主25/05/29(木) 17:44:35

    凪「めんどくさい部屋の匂いがする……」

    凪がぼそっと呟く。

    凪「絶対ロクでもないもの出てくるじゃん、これ」


    冴「……案内、ここまでってことか」

    冴がドアノブに手をかけ、静かに押し開ける。


    ……ギィ……


    湿った軋み音が、廊下に響いた。

  • 87二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 18:17:26

    みんな頑張れ!

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