【閲覧注意・クロス】Re:凛の唄―3

  • 1二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 22:34:42

    『凛の唄』


     最初から


     ▼続きから


     終了



    …………セーブデータ「2周目」を起動します



    ※ここだけ沙耶の唄に近い状態になってしまった潔と実は人に化けた人外な凛と一部ブルーロックスの世界線

    ※元ネタグロ表現あり注意

  • 2二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 22:35:32
  • 3二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 22:37:55
  • 4二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 22:46:51

     「……おう。聞けよ」

     固唾を呑んで、凛の次の言葉を待っていた。
     何かが起ころうとしている。凛が聞くのは、おそらく俺のこれからの行く末にも関わることだろう。
     
     「解析が終わった。今なら、お前に見えている世界───お前の脳の異常を、治せる」
     「潔。お前は……」

     「今までの世界に、人間の世界に───戻りたいか?」

     凛は一度閉じた目を開いて、真剣な目で俺の返答を待っていた。
     戻るということは、これまで待ち望んでいた元の視界に戻るということだ。
     それは、願ったり叶ったりな状況の筈だ。
     筈。
     そんな、筈だが…………
     
     俺は──────

     1. ×××「■■■■■」×××”選択できません”
     2. 「戻らなくていい」
     3. ×××「■■■■■■■■■■」×××”選択できません”
     
     ”…………選択肢『2』が自動的ニ選択さㇾまス。”

  • 5二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 22:48:08

    たておつ
    前からだけどナレーションもバグってるの怖いなあ

  • 6二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 22:48:46

    たて乙 ドキドキする

  • 7二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 22:54:36

    たておつ
    自動的に選択されちゃった……

  • 8二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 22:58:43

    >>4の続き


    「……戻らなくて、いい」

     俺がそう言った瞬間、凛の瞳が大きく見開かれた。

     

     ありえない、と言いたげであったが。

     その驚きの表情の隙間、もう一つの顔が視えた。それは───


     やっと、そう言ってくれるニンゲンを見つけた。

     そう、言わんばかりの───どこか、心臓が縮むような恐ろしい貌でもあった。

  • 9二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 23:15:04

    潔覚悟決めたか…

  • 10二次元好きの匿名さん25/05/29(木) 23:20:33

    潔があちら側へ行ったことで
    凛ちゃんの中に潜んでいた玉蟲色の悪夢としての貌が顕現しちゃうから、ヤバいルートなんだろうか

  • 11二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 05:53:50

    人が死ぬルートだから平穏ではいられないよな
    他の人外たちがどう動くか気になる

  • 12二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 10:44:02

    人が死ぬ(ネームドキャラ)なのかTRPGのクトゥルフENDみたいに無辜の人々が多数死ぬのか……

  • 13二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 17:51:17

    ナレーションがバグってるのがヤバいホラールートっぽいのに拍車をかけている

  • 14二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 19:45:57

    言うて1周目も割と人類とんでもないことになってたからね

  • 15二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 19:52:51

    凛ちゃんの性質考えると悲しいかな凛ちゃんの望みを叶えると世界が割と碌なことにならないというか…
    それこそ元ネタよろしくガラスのくつエンドにならないと
    でも元ネタ考えるとこのエンドって主人公ヒロイン処される代わりに世界は助かる奴よな

  • 16二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 22:03:50

    >>8の続き


     「……お前は」

     「凛?」

     「お前は、迷いなく戻ると思ってた。直ぐにでも、視界の異常を治すと思ってた」


     否定はできない。以前の俺だったら、間違いなくその選択をするだろうから。

     だからこそ、凛も驚いているんだろう。


     「…………お前は、それでいいのか」

     「本当に、それでいいのか」


     確認するように。あるいは、考え直せとでも言うように。

     俺を視ていた。深海のいろをしていたそれは、いつの間にか色が澄んできていた。


     「いいよ」

     あっけらかんとそう言った俺に、凛は困惑の色を濃くした。


     なんということはない。

     以前凛が言ったように。

     俺はもう、戻れないのだ。


     それは、あのクダモノを食べてしまったからが全てじゃない。

     蜂楽に。

     あの、信頼している相棒に会いに行こうと思えなかった時点で。

     俺はもう、以前の俺とは道を違えているんだ。

     あのクダモノの正体を知ってしまっても、尚。

     凛とライバルで居続けることに、変わりはないと思ったのだから。

  • 17二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 22:36:20

    >>16の続き


     「凛。俺はな」


     「お前がどんなやつだったとしても、俺がお前を超えて世界一になることは変わらねえよ」


     「……だからさ。今の俺の視界でしか本当のお前を見せたくないっていうなら、それでいいよ」

     


     薄々感じていた。気が付いていた。

     おかしくなった視界で、凛だけ姿が変わっていないんじゃなくて。

     あの時から、この部屋で会う凛は……今の異形だらけの視界でも綺麗に見えるような姿をしているんじゃないかって。

     勿論、考え過ぎだとは思っていた。第一、他のみんなと試合をしている凛の姿も人間のままなのだから。

     でも。

     凛が本当に、ヒトとはかけ離れた───自由自在な存在なのだとしたら。

     この部屋で会う凛がいつもと違うのにも、理由が付くのではないか?

     

     先程よりも目を見開いて、その瞳を揺らして固まっている凛の頬をいたずらにつねった。

     むに。と人間のほっぺたの感覚がする。


     途端、正気に戻った凛は嫌そうな顔をして俺の手を撥ね退ける。

     「本当のお前のこと、教えてくれるか。凛」


     この時の俺の顔は、多分笑っていたから。

     凛も、しかめっ面をしてこんなことを言ったんだろう。

     

     「潔…………ほんと、ムカつく。お前」

  • 18二次元好きの匿名さん25/05/30(金) 22:45:58

    嬉しいと怖いが半々
    蜂楽に会いに行こうと思えなかったのが悲しいし切ない
    蜂楽ルートだとどんなエンドか気になるけど、まずはこのルートでネームドが死ぬのか無辜の人々が死ぬのか

  • 19二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 01:21:04

    この世界線の士道はなにしてるんだろうか

  • 20二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 06:44:25

    このレスは削除されています

  • 21二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 08:41:38

    多分蜂楽はこの選択でも怒ることはないんだろうけど深入りせずちょっと離れて観察しそうではある
    無害とはいえ人外で邪神だからね
    でも潔さんが会わない選択をしたってことは今回は全く出てこないか…

  • 22二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 13:23:30

    このレスは削除されています

  • 23二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 21:12:13

    嬉しいような淋しいような

  • 24二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 22:27:46

    >>17の続き


     「俺は、人間じゃない。オールドワン───俺たちを作った奴らに叛逆して、殺して、彷徨った末に……『糸師凛』として人間に擬態して生まれ直した、正真正銘のバケモンだ」


     「お前が試合中に見た俺の姿は、擬態していようと本当の姿で視えてたんだろ。真実しか写さねぇ目だな。お前がマシに視えたらしいあのオカッパも、白いのも、触覚害虫も……ヒトじゃない」


     「ここに侵入した不審者とやらも俺が殺した。教団絡みだろうが、本当に怪しい動きをしてやがったしな。殺した後に変な呪文が埋め込まれてねぇか分析したが、ただの使い走りだった」


    「凛、待って、情報量が多い」


     凛の口から続々と出てきた真実は、俺を混乱させるのには十分だった。

     オールドワン。マシに視えていた奴らの正体。不審者を殺したのは凛で、それから……教団?

     増々ゲームか映画のような話になってきた。でも、本当のことだ。

  • 25二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 22:56:01

    さすが適応力の天才…

  • 26二次元好きの匿名さん25/05/31(土) 22:59:14

    ヒトじゃない存在かあ
    この世界線ではわかってはいたけど本当に正体として見ると色々思うなあ
    萌えと葛藤がある
    そして惨劇ルートなのか?今のところ平和(?)だけど
    トゥルーでも割と世界崩壊エンドだからこそこのルートも、蜂楽と会うルートも見届けたい

  • 27二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 05:38:24

    こっから多分凛と潔が一緒に食事するようになるんだと思うんだが問題は誰が食われるかだよな
    教団の構成員みたいなモブならまだいいがチームメイトだと一気に元ネタみたいな地獄になる

  • 28二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 13:15:26

    元ネタやべーなー
    惨劇ルート怖いけど待ってるよ
    あと他ルートも知りたいね

  • 29二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 14:11:18

    さすがにネームドキャラのモグモグはないって信じてるよ…!

  • 30二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 14:36:37

    まぁ流石に仲間モグモグしたらサッカーできなくなるしな

  • 31二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 21:50:15

    「本当のことだ」ですんなり受け入れられる潔、本当に覚悟決めた感あるな

  • 32二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 22:19:12

    >>24の続き


     「よし。一旦整理できた。でさ、凛」

     情報の濁流をなんとか一度整理して、俺は凛に問いかける。

     これが、今後の俺に一番関わることだろう。


     「俺、ヒトが口にしちゃいけないものを喰ったんだけど……これからどうなるんだ?結構ヤバい感じ?サッカーできなくなるのは嫌だからさ」


     凛は数秒間だけ目を瞑って、それから開いた目を俺に向けてくる。

     そして言葉を発するのを、俺は心臓を跳ねさせながら聞いていた。

     正直、余命宣告か、死刑宣告か───分からないけれど、その類の宣告を受ける気がしてならなかったから。


     「……別に、今すぐどうこうって話じゃねぇだろ。身体が変質した訳でもねぇのに」

     深刻ではないその口調に、声色に、少しばかり安堵した。


     意外にも、俺に対する宣告は無いようだった。てっきり、喰ってしまったことで身体が侵食されていくとか言われると思っていたから。まあ、まだその時期ではない可能性もあるけれど。


     「あー。良かった。ちょっとだけ命懸ける覚悟してたからな」

     「じゃあ、改めて……これからもよろしくな、凛」

     凛にいつもの調子で言うと、凛はまた目を深海の色に染めた。

     それから、ゆっくりと目を細めて───俺に警告する。

     

     「ただ。お前も気付いている筈だが、イカれたことにこの監獄にいる化け物は俺だけじゃない」

     「忘れるな。お前はもう、”こちら側”に足を踏み込んでいるんだ。それも、自らの意思でな」


     「他の化け物どもに、”善良な一般人”扱いはもうされねぇぞ。それだけは覚えとけ、潔」


     ───俺はもう、戻れない道を踏み出したんだと。

  • 33二次元好きの匿名さん25/06/01(日) 22:22:42

    こんなことになっても真っ先に心配するのがそこなのか さすが潔

  • 34二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 06:32:20

  • 35二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 08:24:23

    前の周の人外たちはアドバイスぐらいに留めてくれたけど今回は積極的にちょっかいかけてくるのかね?

  • 36二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 14:52:55

    人外組が積極的になったらどうなるかまったく読めない

  • 37二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 15:07:59

    潔は戦闘力皆無だからもし狙われたらキツいね

  • 38二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 22:22:17

    >>32の続き 一方その頃


     『…………』

     『……凪?どうした、なんかあったのか』

     『ごめん』

     『え?』


     『ごめんね、レオ』


     ─────────

     

     「どしたん、三人とも。みんな棟が違うのに、夜にドイツ棟に集まって」


     「氷織くん、試合ぶりですね」

     「井戸端会議というか、作戦会議やな」

     「ちゅーす。陰陽師の末裔と殺し屋と忍者の夜の秘密の会合にようこそ~」


     「展開が急すぎるで。僕はただのゲーマーやし」

     「ちなみに議題はなんなん?」

     「氷織くんなら分かるんじゃないですか?同室みたいですし」


     「……潔くんのことなん」


     「ビンゴ!正確に言えば、潔と凛のことっしょ」

     「あの下まつげ非凡、最近夜になるとどこか行くんや。で、何してるかを乙夜から聞いたで」

     「どうやら二人は夜な夜な会っているみたいです。と、なると潔くんが変化しているのに凛くんも関わっている可能性は高い」

     「凛くんは監視の目に対するセンサー能力が高いので、デコイの札を使えず僕の千里眼で視てました。中々、事故みたいなものとはいえ惨いことに手を出してしまったようですね」

  • 39二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 22:22:59

    >>38の続き


     「潔くん……本当に、危ないことに関わってるんやね。実は、部屋に帰ってきた時口元に血が付いていたことがあったんや」


     「あー、グロ注意な日の奴ね。言うのも憚られるもの喰っちゃってたんだよ。流石に閲覧注意だったわ、アレ」

     「……想像したくないけど、噂で聞いた不審者がいなくなったのってそういうことなんかな。パトロールの効果とかでもなくて」

     「せやろなあ。非凡は非凡でもとんでもないことやらかしとる。できることなら関わりたくあらへんけど、最終戦はアイツのチームと試合なんよな。俺」

     「実際に見た人はまだ聞いたことがありませんが、凛くんが不審者を殺した可能性は高いでしょう」

     「俺は不審者見たことあるけど、あれは教団の関係者だな。ネスとかカイザーが詳しいかも?」

     「お前、そいつらとの接点何処で作ってきたんや」


     「実は、仕事で海外行ったときにあいつらが”そういう”事件に巻き込まれてたから、そっからの関係?」

  • 40二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 22:41:34

    このレスは削除されています

  • 41二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 22:44:01

    もしやカイザーとネスってCoCの探索者だったのか

  • 42二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 22:58:20

    二子は陰陽師で烏は殺し屋か!

  • 43二次元好きの匿名さん25/06/02(月) 23:24:11

    凪はバカンス切り上げてお仕事の時間?どんまい

    そっち側を知ってる人間が思ったより沢山監獄に集まってたのね
    1周目ルートは潔が宿敵を全うしたことで凛ちゃんがずっと大人しくしてて最後の最後で大爆破したから皆なすすべなく××されちゃったのかな
    人類的には今のうちに小出しにやらかしてくれた方が対処しやすいのだろうか
    でもこれ惨劇ルートなんだっけ…

  • 44二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 05:02:58

    凪が玲王に謝るってことは本業に戻るともう人間に戻れないのかそれとも命の危険があって永遠にさよならの可能性があるからなのか
    どっちにしろ玲王との夢は叶えられないのかな?

  • 45二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 12:27:53

    ⭐︎

  • 46二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 19:51:53

    不穏オーラがすごい
    惨劇ルートだから当然だけど
    どう転んでもヤバそう
    人外組と人外をどうにかする組があるのかな

  • 47二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 20:38:56

    気になって寝れなくなりそう~
    どうなっちゃうの!

  • 48二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 22:31:59

    (今夜はお休みです。代わりに這いよる蜂楽が次回予告に来ました)
     
     『次回のRe:凛の唄は~!』
     『遂にあちら側へと足を踏み出してしまった潔!それを受け入れた凛ちゃん!陰陽師・殺し屋・忍者・はんなりゲーマーの作戦会議の行方は?!次回、死神凪っち働きます!潔に待ち受ける運命はいかに!!ちょっとだけカイザー達や悪魔も出るよ!お楽しみに~!!』

  • 49二次元好きの匿名さん25/06/03(火) 22:48:00

    >>48

    このルートでは会えないらしい蜂楽!ありがと~

    本編の蜂楽は潔の今の状況知ってるのかな

  • 50二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 04:04:53

    >>48

    サンキュー蜂楽

  • 51二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 08:58:43

    >>48

    蜂楽!待ってた!!

    蜂楽に会うルートも楽しみだからね〜!

    教えてくれてありがとう!

  • 52二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 16:19:35

    惨劇ルートはどういう風に着地するんだろ

  • 53二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 21:24:22

    海外勢にも本当の(?)人外組がいるのだろうか

  • 54二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 22:30:09

    >>32の続き


     あれから一夜明けて、また夜。

     いつも通り、俺はあの部屋に向かって凛と会っていた。

     「そういやさ」

     「あ?」

     「あのクダモノって、もう食べないのか?それとも、頻繁に喰ったりしないの?」

     凛は何かを言いたそうな目でこちらを見て、少し視線を左上に向けてから答える。

     「偶々怪しいやつがいたから殺っただけだ。見つかるような場所で頻繁に喰ってたら、俺はニンゲンの舞台にいられないだろ」

     「ふーん。見つからない場所だったら喰うの?」

     「……昔の俺だったら喰ってただろうな。ムカつくから話に出したくねぇが、兄貴の影響で俺はそんなに喰わない」

     兄貴の影響。

     そうか。冴は凛の兄だ。凛の口振りからして、冴は凛の正体を知っているんだろう。

     知っているのに、冴は凛の家族で居続けていることになるが。糸師冴もかなり肝が据わっているというかエゴイストなんだろうか。

     「じゃあさ、凛。あのクダモノまた”見つけたら”教えろよ。俺もまた喰いたい」

     そう言うと、凛は少しだけ眉を寄せた。

     「…………イカれてんな。ニンゲンのくせに」

     「勝手に食べた俺も悪いけど……見つけられる場所に放り込んどいた凛も人のこと、とやかく言えねえだろ。てか期待してたっていうか視てただろ、俺のこと」

     明らかに、あの時は凛が目を覚ますのが早かった気がする。喰い終わって、口元を拭こうとしたら直ぐさま止めてきたのだ。待機していたに違いない。

     「視てたら悪いかよ。丁度、お前がどんな道を選ぶのかの判断材料になりそうだったからな」

     「そういや、あの時投げつけてきた布って何?本当の布なら俺には肉片に見えてる筈なんだけど」

     あの時凛が顔を拭けと投げてきた布は、拭き終わったらいつの間にか消えていた。不思議なものだなと思っていたけれど、もしかすると”布”ではないのかもしれない。

     俺からの度重なる質問に、凛は少しだけ面倒くさそうな顔をした。

  • 55二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 22:31:50

    >>54の続き


     「そう見えるだろうから、肉片を投げつけられたお前が騒がないように俺の分化体を投げつけてやったんだ。バカ」

     「バカは余計だろ……まあ、気を使ってくれてありがとな。てか分化体!?なにそれ」

     「なんか……スライムみてえなやつ。俺の意思で自由に変容させられる。知性を獲得する前の”俺たち”に似てる奴ら」

     本格的に映画みたいな話になってきた。もしかすると、それは凛から生まれて凛の元へ還ったから直ぐに消えてしまったのだろうか。

     「すげえな……身体治せることといい、凛ってなんでもできるのか?」

     「細胞に関することなら、できることが多いだけだ。”俺たち”の祖が祖だからな」

     「まあ、その気になれば世界中の生き物をバケモンにしたり消化したりもできなくはない。大技だから代償は要るがな」

     とんでもないことを言い出した。ラスボスかよお前は。まあ、最初に会った時もラスボスだったけど。

     そっちの意味でも世界一になるつもりか。改めて考えても恐ろしいなと思ったと、同時に。

     

     「マジですげえじゃん。もしやるなら教えろよ、凛。世界が変わるとこ、見てみたいから」

     「……興味あんのか?」

     「うーん、好奇心ってやつ?怖いもの見たさもあるのかな。まあ、サッカーが第一だから。仮にやろうとしてもサッカーやってる内は止めると思うけどな。お前も同じだろ?」

     俺が心境を言い当てるように話しているのが心外だ、とばかりに凛はフン、と鼻を鳴らした。

     「サッカーがやれてる内はしねぇよ。代償もあるからな。……ただ」

     少しだけ顔に影が掛かった凛を覗き込んだ。いつもの顔なのに、どこか不穏な気配を感じる。

  • 56二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 22:32:54

    >>55の続き


     「俺は動いちゃいねぇが、”同胞ども”が動いてやがる気がする」

     「最近、世界中でな。散り散りに、それぞれ生きてる筈なのに。何かするつもりなのか?あいつら。戦争の時は例外として、仲間意識なんてぬりぃもん”俺たち”は持ってねぇのに」


     そう溢す凛の横顔は、なにかを深く考えているようだった。

     フランスと、凛と戦うのはあと数日後まで迫っていた。

     けれど、なんとなく思ってしまったんだ。それは、元からの鋭い感覚によるものなのか、あちら側へ足を踏み入れてしまったからなのかは分からないが。

     この数日間に、 何かが起こる。

     考えたくもないけれど。サッカーができなくなるような、とんでもない何かが。

     そんな気がした。


     「まあ、心配すんなよ凛。何があっても、俺はお前のライバルだから。サッカー、続けられることを信じるぜ。俺は」

  • 57二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 22:34:08

    >>56の続き


     今夜は珍しく部屋を出る時に凛が付いてきた。『もう正体は明かしたんだから隠すものもねぇ』とのことだった。

     「毎回、ごめんな。こっちまで来てもらって。ありがとな。もう目のことは折り合い付けたし、今度は俺がそっち行くわ」

     「……おい。潔、止まれ」

     凛は急に立ち止まって、俺を止めた。

     なんだよって、不意に出かけた言葉は、凛の纏う雰囲気が変わったことにより引っ込んだ。

     異様な雰囲気だ。まるで、あの部屋で恐らく食事をしていた凛に最初に会った時のような、緊張感。血生臭くて昏い、人間が踏み入れてはいけない領域。

     

     「…………その必要は、場合によっちゃ無くなるぞ」



     凛が視ているその先に、人影があった。

     俺たちの進行方向を止めるように、邪魔するように。広場を背にして立っている人影の正体は。


     暗闇に目を凝らしてみると、そのシルエットがくっきり視えてくる。

     いや、視えてきてしまった。


     「『得体の知れないものは食べるな』って、言ったのに」

  • 58二次元好きの匿名さん25/06/04(水) 23:41:53

    惨劇ルートってネームド死ぬ感じか?
    会いに行く選択肢って割とじわじわ効いてくる罠
    ここから凛、凪、士道、蜂楽がどう動くかも気になる

  • 59二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 01:08:04

    凪来た?お仕事の時間?

  • 60二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 06:13:17

    凪みたいに,人外VS人外ならともかく
    普通の人間VS凛は勝てそうにないけど大丈夫かな

  • 61二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 10:22:12

    凪はこのルートだと敵っぽいのがつらいな
    潔の選択次第なのが本当に難しい
    ネームドが対立するなら凛と凪にどれくらいの力の差があるのかと人間組の参入も気になる
    蜂楽と士道は戦線に加わるか否かももちろん

  • 62二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 17:58:38

    士道もどう動くかなあ
    あくまでも潔がただの人間だったから何もしなかったというイメージもあるし
    蜂楽は元ネタが這い寄るのものゆえに、ある意味惨劇ルートだったら愉快犯で被害拡大とか思ったけど、このルートだと出番はなさそうかな?

  • 63二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 22:31:01

    >>57の続き


     「え、?お前──────凪か?」


     人影の正体は、天才・凪誠士郎だった。


     骸骨の面は、その風貌によく似合っていた。

     それに合わせたみたいに、何処から持ってきたのか。

     あるいはどこから造り出したのか、凪の手には────大きな鎌が握られている。

     

     まるで、本当に死神だ。


     「久しぶり、潔。それと…………”玉蟲色の悪夢”、糸師凛」


     凪が凛をよく分からない二つ名みたいなもので呼んだとき、隣の凛から舌打ちが聞こえた。


     「ねぇ、潔。もう一度聞くよ。よく考えて、答えてね」

     「お前はそのモンスターに、糸師凛に──────最期まで付き合うつもり?」


     それは、かつてされた同じ質問。

     でも、この場で聞くと。流石に分かった。

     その言葉に、凪が籠めていた本当の意味を。


     凛の視線が俺に向いている気がした。

     大丈夫。

     もう、答えなんて昨日───決めている。


     「ああ。俺は、最期まで凛と世界一を奪い合うライバルでいるよ」

  • 64二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 22:32:23

    >>63の続き


     俺の答えを聞いた凪は、骸骨の仮面越しで表情が良く見えなかったけど。

     どこか、清々しそうな顔も、苦しそうな顔も……している気がした。


     「そっか。俺個人としては、それでもいいと思うけどね。でも、ごめん」


     「魂が人の道から外れた人間、潔世一。危険分子の化物、糸師凛。お前たちを、冥界の番人として排除しに来た」


     「お前らの魂、頂くよ」



     凪はその大きな鎌を振り回して、一気に距離を詰めてくる。

     殺されるんだと、スローモーションで迫ってくる凪とその刃を見て思った。


     ああ、死ぬんだ。

     思ったより、あっけなかったな。

     死にたくない。

     世界一のストライカーに、まだ俺はなっていない。

     夢を叶えないまま、死にたくないのに。


     動けよ、俺の身体。


     その時、耳をつんざくような激しい衝突音が、目と鼻の先で聞こえた。


     「……やっぱ、一筋縄じゃいかないか。モンスターだもんね、アンタ」

     「ハッ、冥界の番人とやらを名乗るなら。人間の身体を捨ててから来いよ、死神。ぬりぃんだよ」


     凪の鎌と、凛の変質して刃物のようになった腕が交差している。凛の腕は一部が瞬く間に溶けて、凪の鎌を消化しにかかっていた。 

  • 65二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 23:16:16

    やっぱり敵対ルートか…どっちが勝つかによってさらにルート分岐あり?

  • 66二次元好きの匿名さん25/06/05(木) 23:47:32

    うわーーーっ!!本格的に戦闘が始まった…!
    ここからどうなるんだろ 凪以外の人外も参戦してきそうだけど

  • 67二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 05:42:58

    凛みたくサッカーを優先するタイプの人外なら味方になってくれそう

  • 68二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 06:32:53

    凛以外の人外の存在は乙夜達に気付かれてるのかな

  • 69二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 11:54:29

    人外そのもののままの凛と身体は人間の凪だと分が悪そう

  • 70二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 18:15:35

    潔だけじゃなく凛も排除対象なのか

  • 71二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 22:19:44

    >>64の続き


     「っ!?凛!」

     「下がってろ、ニンゲンじゃ直ぐにコイツの言う通り魂取られるぞ」


     「いてっ」

     凛に壁の隅に放り投げられる。衝撃をなんとか受け身を取って耐える。

     でも、痛いものは痛い。勢いの割には、どこも折れたりはしていないけれど。


     「うわっ、俺の得物溶かした!!いくらでも作れるけど、めんどくさいからやめてくんない?」

     「やめるならお前の方からやめろ。人間の身体のままで俺に殺し合い挑もうなんざ、舐めてんのか死神」


     まるで、映画で見た光景のように。凛と凪が戦っている。例えじゃない。本当に戦って、殺し合いをしている。

     フィールドは戦場って、サッカーだけの話じゃなかったのかよ。

     数々の斬撃と衝撃が飛び交う広場は、どんどん破壊が進んでいた。

     こんなの、誤魔化せるわけがない。


     そう思っていたら、突然ブルーロック施設内に大きな音が響き渡る。

     「……!?なんだこれ、何が起きてるんだ」

     けたたましくサイレンが鳴り響く。非常灯の赤いランプが点く。


     『非常事態です。非常事態です。みなさん、焦らず中央棟まで避難してください』

     『非常事態デㇲ、ミなサン、ァせラズ中央棟マデ驕ソ髮」縺励※縺上□縺輔>』


     放送の声がおかしくなっていく。機材が壊れたかのようなその感じは、甚く不気味だった。

  • 72二次元好きの匿名さん25/06/06(金) 22:21:23

    >>71の続き

     

     突如として鳴り響く警報の音に、殺し合いをしていた二人の動きも止まる。

     「……アンタ、なんかした?」

     「お前こそ何かしやがったのか」


     「ちゅーす。なんかブルーロックのシステム全部止まってるっぽいけど、あんたらなんかした?」


     「乙夜?!え、烏や氷織達まで……」

     いつも通りの軽い調子で現れたのは、深夜にこの棟にいるのはおかしい別棟の奴らと同室の氷織たち。

     警報を聞いて出てきたにしては、あまりにもタイミングが良すぎる。

     もしかすると、彼らは俺たちの一連の流れを見ていたのかもしれない。


     「潔くん、大丈夫?!……うわあ、初めて見たで。壁がこんなにボロボロになってるの」

     同室のみんなは、凛と凪によって破壊された広場を見て驚いた。立ち竦んでいるやつもいた。

     「おい、早く避難するで。……避難したいなら、な」

     最後通告とでも言うように、烏は俺を鋭い目で視た。

  • 73二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 00:20:45

    惨劇ルートなんだよねこれ
    死ぬのかなあ
    生きて!の気持ちと戦え!の気持ちがある

  • 74二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 06:47:58

    このレスは削除されています

  • 75二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 07:05:10

    絵心さんとか?

  • 76二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 13:33:45

    このレスは削除されています

  • 77二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 13:38:54

    人外収容施設……ブルーロックが本当の意味での“監獄”になっちまうぜ

  • 78二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 22:16:35

    この非常事態をどう説明されるんだろうか

  • 79二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 22:36:35

    >>72の続き


     「……凪くん、それ……もしかして、凪くんと凛くんがやったのか?」

     「凛、凛。怖い。腕が大変なことになってる。怖い」

     警戒するような、信じられないものを見るような厳しい目を、二人は凪と凛に向けている。

     「……あ」

     見られてしまった。

     明らかにこちらの世界なんか知らない二人に、知られてしまった。

     もう、誤魔化しは効かないだろう。

     「潔、潔。危ない。早く」

     「……潔くん。───君は、どっち選ぶん?」


     明らかに凪と凛に近い位置にいる俺を心配して、手を伸ばす黒名と。

     何らかの事情を察したのか、真剣な目で俺を見る氷織。

     きっと、ここが最後の分かれ道だ。

     まだ、引き返せる。ここで黒名の手を取れば、まだ、俺は巻き込まれた人間でいられるだろう。

     俺は、どうする?

     

     いや。そんなの。

     もう、決めてんだろ。


     「……俺は」

     不意に、凛の視線を感じた。

     感じたから、凛がいる方向を見た。

     その澄んだ瞳と目が合った、瞬間。

     「っ、り」


     「アンタこそ、死神相手に余所見なんて。らしくないじゃん」


     鉛のように冷えた凪の声が、聞こえた。

  • 80二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 22:41:24

    >>79の続き(グロ表現注意)


     ぐちゃり。

     凪の振るった鎌が、凛の頭部に突き刺さる───も。

     「……くそ。やっぱ溶けるのか。無理ゲーだよ、こんなの」

     左目から上が潰れた筈の凛は、名目上の血を流しつつも、凪の得物をその液状に変化した部位で捕まえて。溶かしている。

     「片目が見えづれぇ……とでも思ったか」

     凛は、片頬を歪めて笑っている。

     いや、嗤っている。


     初めて見る、凛のその顔は。

     狂気的で、恐怖的で──────どこか、引き込まれてしまいそうだった。


     「お前こそ、余所見には気を付けろよ」

     「なにそれ、脅し?──────あ」

     

     まるで予言のように、凛がそう言った後に。

     瓦礫が転がった廊下を誰かが走ってくる音がした。

     

     「…………凪!ここにいたか、探し、た……ぞ?」

     「凪?お前、どうし」


     凪もまた、廊下を走ってきた玲王と目が合って……一瞬止まる。

     

     「レオ」

     

     その隙を逃す凛ではないことを、俺は知っていた。

     だから、その一連の流れを。ずっと、視ていた。

     見届けていた。

  • 81二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 05:58:34

    凪が最初の犠牲者になるのか?

  • 82二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 08:37:32

    凪は死んでも人間の肉体を失うだけなんかな?

  • 83二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 14:39:16

    これ玲王も危ない感じ…?

  • 84二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 17:25:30

    罪のない一般人の玲王を害したらブルーロックにいられなくなりそうだが

  • 85二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 21:36:35

    これ玲王から見たら凪が凛を攻撃してるように見える?

  • 86二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:32:20

    >>80の続き(グロ表現注意)



     くるくると、何かが回って飛んでいって。

     ぐちゃ、と音を立てて床に転がった。

     そこから、鮮血が紅の液溜りを床に作っていく。


     飛んでいったのは、凛が切り払った凪の片腕だった。

     死神の名は伊達じゃないのか、凛に切り裂かれる寸前で狙いを腕だけに絞らせた凪を視ていた。

     喪った片腕がついていた部位からとめどなく溢れ出す血を、残っている方の手で抑えながら凛を睨んでいる。

     

     「凪ッ!!おま……っ、お前腕がッ!!」

     理解が追いつかなさすぎる状況に一度静止した後に、一瞬で頭を落ち着かせたのか。

     玲王は膝をついている凪の元まで迷いなく駆けつけた。直ぐ様自分の着ていたジャージを脱いで凪の腕の止血に使い始めている。

     「……何してんだよ。お前が……いや、凪も含めて本当は何者だったのか知らねぇけど。流石にここまでしたら監獄(ここ)にいられないことぐらい分かるだろ、糸師凛」


     信じられないモノを見るような視線を凛に向けているが、混乱する頭を即座に冷やして語りかけているのであろう玲王の瞳は、正気だった。

     「仕掛けてきたのはそこの白いのだ。それに、ここまで見られちゃもう誤魔化せねぇだろ」

     凛も、先ほどまでの殺し合いに少しばかり沸いていたのであろう興奮はどこへやら。冷静な様子で玲王の問いかけに答えている。

     「……凪、本当なのか?」


     「そいつの言ってることは本当。……ごめんレオ、黙ってて。もう、俺もアイツも戻れないんだ。……本当に、ごめん」

  • 87二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 02:27:27

    人外バレで凛も凪も青い監獄退場かー……
    いや退場だけでは済まんよな?ブルーロック自体中止??

  • 88二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 06:16:28

    どうなっちゃうんだコレ

  • 89二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 13:19:15

    凛凪の煽りを受けて他の人外達も出てきたらカオスが極まるな……

  • 90二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 19:14:45

    凪陣営と凛陣営で怪獣大バトル…?

  • 91二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 22:24:06

    >>86の続き

     

     腕はまだ残ってる。俺のヘリで今すぐ病院に行けば、なんとか……」

     「早くした方が良い感じ。断面は綺麗だから、案外くっつくかもだけど」

     いつの間にか飛んでいった凪の腕を回収していた乙夜が、玲王に話しかける。あまりにも平然としているから、乙夜はこちら側の人間なのかもしれない。

     「……あ、やっぱ無理かも。凪の止血の方が優先」

     「乙夜くんが冷静でこっちも助かったよ。玲王くん、とにかく早くここから離れて凪くんを病院に連れて行こう。ここは危険だ」

     「とにかく早くせい。もたもたしてたらそこの非凡に全員御陀仏にされるかもしれへん」

     乙夜の行動を皮切りに、ショッキングな光景に固まっていた一同も動き出す。

     凛はと言えば、襲ってこないのならもう殺すつもりもないのか。行く当ても失くしているのか、立ち止まって凪の動向と俺の様子を注視している。凪にやられた左頭部はまだ修復の途中みたいだった。

     「……藪蛇だったかもしれへんな。でも、潔くんだしな。首はつっこませて貰うで」

     「氷織……」

     頭が痛いとでも言うように抑えながら、氷織は俺をまた視ていた。

     

     「潔、いさぎ。早く。はやく。死ぬぞ」

     先程よりも焦った表情で黒名が俺に手を伸ばそうとした、その時。


     「レディース&ジェントルメ~ン」

     「って、男しかいねぇか」

     その、聞き覚えのある声を聞いた瞬間。

     その場にいた全員の動きが、止まった。

     いや、止まったんじゃない。

     動けなくなったんだ。

     

     辺りに異常な瘴気が立ち込める。

     「…………今更何しに来やがった。触覚悪魔」

     奇妙な笑みを浮かべながらゆっくりと廊下を歩いてきたのは、士道だった。

     瓦礫が落ちている廊下を笑いながら歩いてこちらに向かってくる様は、見た目通り悪魔みたいだった。


     「せっかく助け船出しに来てやったのに、その態度はないんじゃないでちゅか~?凛ちゃん♪」

  • 92二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 23:58:45

    人間組は凪の味方か…そして士道来てくれるんだ!?

  • 93二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 06:40:46

    士道来た!

  • 94二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 09:54:31

    士道はまさかの凛側なんだろうか
    潔に協力してやるフラグはあった気がするけど

  • 95二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:54:13

    ⭐︎

  • 96二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 22:21:02

    >>91の続き


     「あ"?助けなんて呼んでねぇよ」

     凛と士道が睨み合う姿は見慣れていたものの、たった今見えている光景は見慣れているはずなのに……おどろおどろしい。

     「俺もお前を助けるなんて鳥肌ビンビン丸なんだけどさ~、俺も約束は守らねえといけない性分なんだよ」

     「……ふーん。アンタはそっち側につくんだ。まあ、地獄の公爵のアンタは人類の敵側だもんね」

     膝をついていた凪もまた、凛の近くに立っている士道を睨みつけた。地獄の公爵?やはり士道も凛の言う通り人ならざるものだったのだろうか。

     「人聞きが悪いことを言うねぇ~、死神。俺は爆発してりゃ何でもLOVE細胞だぜ?まあ、どっちの側でもなかったんだけど。俺と契約結んだニンゲンがいるからさ。今はこっちの味方♡」

     面白おかしそうに喋った士道は、最後に指をパチンと鳴らした。


     途端、先程よりも強い瘴気が俺たちを襲った。思わず、体が勝手に身震いした。

     今までとは違う、重力の強さが変わって床に押さえつけられるかのような圧迫感。

     凛や凪は影響が少ない様子だったけれど、他のみんなは俺と同じように違和感を感じているのが見て分かる。

     少し経つとその重圧感にも慣れてきたから、顔を上げた。

     凛と士道の近くには──────魔方陣が描かれた白いシンプルな扉が出現していた。

     扉は開いていて、その先は真っ白でよく見えない。

     唖然としている他のみんなの反応を見るに、本当のそれは禍々しいものに見えているのだと推測する。

     「この先を通れってか」

     「怪しむなよリンリン。契約に基づいて出した門だ。その先は地獄でもなんでもない。ただ、お前が姿をくらますコトができる門だぜ」

     「信用ならねぇ」

     「俺としては別にお前が門を使おうが使わまいがどーでもいいが……ただ、そうだな。俺の契約主は”死ぬまで”お前の味方だからさァ。……分かんだろ?」

     士道のその言葉を聞いた瞬間、凛の目の色が変わった。なんか、U-20代表との戦いで士道を見ていた鋭い目と似ている。怖い。

     「黙れ。お前がアイツに対価に要求したもの次第じゃ、死ぬまで殺 す」

     「おー、怖い怖い」

  • 97二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 22:28:43

    冴と士道契約したの!?「凛に何かあったら助けろ」みたいな…?

  • 98二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 22:32:53

    >>96の続き


     士道は鬼の形相になった凛をやれやれといった風に軽くあしらうと、今度は俺に視線を向けてくる。

     「さァ、今度はお前の番だぜ。潔世一。何を捨てて、何を選ぶ?」


     士道……悪魔は嗤っている。士道と目が合った瞬間に身体が軽くなったから、選択を迫られているのだと再度感じた。

     選択。

     最後の最後にこちらの世界から逃げて、黒名たちの手を取って元いた場所へ戻るか。

     ……それとも。

     何度目かの選択だ。でも、きっとこれが最後の選択。

     ──────俺は。


     最後の最後の決断を、しようとした時だった。


     「……潔」

     いつの間にか現れたのか、もしくは気配を消していたのか。

     俺達とも、凪達とも離れた場所にぽつんと相棒は立っていた。

     蜂楽は、真剣に俺を視ていた。

     お前は何を選ぶんだと、問いかけるように。

  • 99二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 22:34:38

    兄ちゃん死後も地獄で士道とサッカーすんのかね
    これ一緒に行ったら潔はサッカーできなくなるのかな

  • 100二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 22:36:04

    >>98の続き


     「蜂楽。……またな。ごめん、みんな」


     相棒に背を向けて俺は走り出す。走って、凛の手を取って、白い門に飛び込んだ。

     後悔はしない。俺が選んだ道だから。きっと、死んだ後に地獄に落とされるような行いだとしても。それでも、俺は。

     俺のライバルと───凛と、サッカーをしていたかったんだ。

     凛を超えて、世界一になりたかったんだ。

     

     この選択の結果。

     ……その、”世界”一がどうなるかなんて。

     この時の俺はまだ知らない。

     

     BLUE LOCK PHASE 2 NEO EGOIST LEAGUE NOT ACHIEVED


     RIN ITOSHI LOST

     RYUSEI SHIDOU LOST

     MEGURU BACHIRA LOST

     YOICHI ISAGI LOST

  • 101二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 22:39:12

    ここはもう選択肢が発生しないんだね
    どうなるかワクワクしてゾクゾクする…

  • 102二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 00:57:31

    士道も蜂楽もロスト!?
    人外組で残ったのって凪?
    気になる!
    選択肢がないのがただ切ない

  • 103二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 01:00:32

    蜂楽もどっか行っちゃったの?

  • 104二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 01:04:26

    潔凛士道ロストはわかるけど蜂楽まで!?

    士道の契約者は間違いなく冴なんだろうけど対価に何を差し出したんだろうね

  • 105二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 03:56:01

    絵心さんとロキめちゃくちゃ頭抱えてそう

  • 106二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 10:08:29

    ロックオフじゃなくてロストなのが怖い

  • 107二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 17:26:39

    白い門ってなんだろう?潔たちは何処へ行っちゃったんだ?

  • 108二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 18:41:50

    よく考えたらこの世界線ネオエゴTOP3と5位がいなくなってるのか……

  • 109二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 21:16:46

    そういや馬狼は一般人なのか

  • 110二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 22:28:52

    >>100の続き


     「うわっ!?」

     飛び込んだ先は真っ白で。でも少しの時間が経った後に次の景色が見えてきた。

     扉の終点を越えると、草が生い茂っているのであろう場所に着地した。山の奥とかだろうか?

     ここはどこだろう。辺りに人は見当たらないし、共に飛び込んだ凛も場所に心当たりがないようだった。

     「すげー。本当に空間を越えてきたんだな。俺は体に異常ないけど、凛は?」

     「…………凛?」

     凛は答えない。俺が見る限り異常はない。凪にやられていた左頭部も、何事もなかったかのように治っている。ところどころ破れたジャージだけが、戦いの後を物語っていた。

     

     「…………どうして」

     「あの場所でのサッカーを捨ててまで、俺の手を取った」


     俯いていた顔を少し上げて俺を視る凛の表情は、深夜なのも相まってよく見えない。

     怒っているような声色でもないが、かといって機嫌が良さそうでもない。

     「あの時にあっちに戻ってたら、もう一生お前とサッカーできないような気がしたから。……それと」

     それが、一番の理由で。

     理由は、もう一つある。

     「……なあ、凛。俺、本当はさ。お前の一部を喰った影響だと思うんだけど……”お前ら”のネットワークが、微かに聞こえるようになったんだよ」

     「凛。お前、本当は気が付いてるんだろ」

     何を言いたいのか、俺が何に気が付いているのか当ててみろ。

     と、ばかりに何も言わず向けられる目線に答える。

  • 111二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 22:31:45

    >>110の続き


     「お前の同胞とやらが、何の為に動いているか」


     「だって、こんなに空が紅いんだもんな。俺にも、綺麗に見えるくらい」


     だから、気が付いてしまった。思いあたってしまった。思いついてしまった。

     「あの時言ってた……世界中の生き物を化物にしたり消化したりって、冗談じゃないんだろ?」

     「もしかしたら、あいつらの中でも力の強いお前を焚きつける為でもあったのかもしれないけどさ」


     「その同胞たちに取られる前に、俺たちで奪っちゃおうぜ──────世界」

     「奪って、手にしてから……また、サッカーしようぜ。凛」


     俺を視る凛の瞳が、鋭く細められた後に……再度開いて。

     ギラギラと狂気にも似た熱を宿した。

  • 112二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 22:42:51

    潔さん、強い鬼の一部を食べて無惨の声が聞こえるようになった玄弥みたいな状態か?

  • 113二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 22:48:39

    うわあ二人で世界乗っ取りルートじゃん
    闇が深い、良い

  • 114二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 22:51:25

    これぞ魔王と破壊獣

  • 115二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 00:59:06

    奪られる前に奪ろうぜの精神
    完全にヴィラン側じゃんいいねこのまま突き進んじゃおうぜ

    凛の同胞たちに人類が滅ぼされる脅威が常にあるのがどうしようもなくて過酷だよなこの世界
    1周目もコレがあったから凛ちゃんは世界作り変えたんだし
    人類にとってのハッピーエンドって存在するのか…?

  • 116二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 06:43:50

    ところで蜂楽は何でロストしたんだろうか

  • 117二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 06:44:08

    ヴィランの肩書きにふさわしい立ち位置になる主人公とライバルよ……
    これ元ネタの推定ルート的にこれからは凪・人間サイド視点も増えるんだろうな

  • 118二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 12:28:08

    魔王(ガチ)と破壊獣(ガチ)になるつもりなんだろうか

  • 119二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 12:31:47

    凛と潔がサッカー馬鹿で本当によかったな

  • 120二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 19:33:02

    潔さんのパーフェクトコミュニケーションっぷりがスゲェ

  • 121二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 22:17:47

    >>100の続き・裏


     『へぇ。潔世一はアッチを選ぶのねん。じゃ、アディオ~ス♪ニンゲンのお前ら』


     幾つもの目玉がついた名状しがたき紅くドロドロとした地獄の扉の向こうに、士道も消えて行った。

     数刻前、潔と凛も消えて行った扉。

     それが、士道が飛び込んだのを最後に……きれいさっぱり、なくなった。

     それと同時に、当たりを包んでいた禍々しい重圧も消えてなくなる。

     ひとまず、脅威は去ったようだ。逃げられたとも、言えるだろうが。

     「…………はーっ、死ぬかと思たわ」

     「触らぬ神に祟りなし、やね。触るところだったけど」

     「潔……」

     伸ばすも行き場を失くした手のひらを見つめている黒名。

     深呼吸をしている烏。と、しみじみと感想を呟く氷織。

     「大丈夫か、凪!?直ぐに病院に連れていってやるからな」

     とは言ったものの、切断された腕の出血は凄まじく。もともと色素の薄い凪の顔色はもっと青くなっていた。冷たい汗が身体を伝う。助からないかもしれない、という疑念が更に不安を加速させる。

     冷静になれ、御影玲王。ばあやに連絡して直ぐにヘリを手配してもらおう。まだ、なんとかなるかもしれない。腕の良い救急病院だって……

     「ん……大丈夫だよ、レオ。病院は大丈夫。この身体は捨てることになるけど、”俺”は死なないから」

     不安を悟られていたのか、安心させるように凪は言う。

     「何言ってんだ。……それでも…くそ……」

     ついていくには急すぎる展開ばかりだった。

     そもそも、凛みたいな非科学的な存在の実在だって、初めて見た。

     いや、ただ俺が目を向けようとしなかったのもあるだろうが。父さんが秘密裏に進めていた研究に、ああいう奴らが関わっている可能性は否定できなかった。

     それが、凪も本当はそういった存在だったとは……思いもよらなかったが。

     「凪、だいじょぶそ?」

     「うーん。やばいかも。アイツに切られたとこ、侵食されるように壊死していってる。人間が相手して良い存在じゃなかったね。みんなは見てるだけで正解だったのかも」

     こんな常軌を逸した場でも、変わらないが冷静な乙夜の存在はありがたかった。

     ただ、凪が口にしたのは……俺の精神をぐらつかせるには十分な言葉だった。

     壊死していっている。それは、つまり助からないということだ。

  • 122二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 22:19:37

    >>121の続き


     「レオ。大丈夫だから。人間として一緒にいられなくなっても、こんな事態だから本体の俺で顕現できるから」


     「本体って、何だよ。今のお前は仮の姿だったって言うのか」

     出血も、壊死も止まらない。冷静になれと己に警告し続けているのに、どうも上手く行かない。

     宝物の死に目になんて、会いたくもない。

     「仮じゃないよ。今の俺もれっきとした俺。でも、人間として生まれる前の俺もいるから。そっちが本家みたいな?……黙ってて、ごめん。言うのが最後になって、ごめん」

     「……いい。もう謝るなよ、凪……くそ……クソっ!」

     凪を助けることができない自分に、嫌気が差した。当たり前だ。いくら力を持っていようが、人ではない力に対抗する術は持ち合わせていない。俺は人間で。凪はあちら側の人間だったんだ。

     でも、それでも。俺が助けてやりたかった。

     「ねぇ、レオ」

     「なんだ?」

     

     「人間じゃない俺でも。”お前はそのままでいい”って、”面白れぇ!”って、言ってくれる?」


     その言葉は、切実さに溢れていた。

     普段はあまり動きを感じられない凪の表情が、変化している気がした。

     ……そんなの、決まってる。


     「当たり前だろ。人間じゃなくても、お前はお前。やっと見つけた俺の宝物、凪誠士郎なんだからな」

     その不安そうな顔を安心させるように、精一杯の笑顔で凪に笑いかける。

     そうだ。正体が何だろうが、凪は凪だ。でも、命が失われるところは見たくない。助けられるのなら、助けたい。

     「……わかった。ありがと、レオ。ちょっとだけ、目……瞑っててくれる?」

     「なんだよ。……わーったよ。やればいいんだろ」

  • 123二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 22:21:06

    >>122の続き


     俺は凪の望み通り、目を瞑った。それでも、残った方の手を握ることはやめない。

     少しの時間が経って、握っていた腕が軽くなって、気配が消える。

     酷く、もの悲しかったけれど。

     それでも、凪がもう一度声を掛けてくれると信じていた。

     

     「……レオ、もういいよ。目、開けて」


     もう一度聞こえてきた声に、安堵する。

     目を開くと、そこには。


     白い和服を身に纏い、物々しい鎌を携えた凪がいた。

     正確には、凪と思われる人物だ。人間の顔が付いている位置には大きな骸骨の仮面がある。

     「……じゃーん。ちゃんと顔もあるよ」

     自ら仮面をずらすと、幾度となく見てきた”凪誠士郎”と目が合った。

     

     「はじめまして、レオ。死神の凪誠士郎です。……よろしく、してくれる?」

     

     きっと、この経験は。

     俺の人生の中で、一番面白い思い出になるだろう。一番、記憶に残る、大事な宝物。


     「──────ああ!俺は人間の御影玲王。よろしくな、凪!」


     願わくば、凪にとっても……そうだと嬉しいと、思う。

  • 124二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 22:32:59

    やっぱり本当は禍々しい見た目だったのか
    人間組のみんなも肝が据わっててすごいなあ

  • 125二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 05:04:28

    黒名は人外関係何も知らない組かな?
    なんの覚悟もなかっただろうに潔を心配して必死に呼びかけて本当に良いやつだ
    つれえなあ

  • 126二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 07:43:58

    凪と玲王の激エモエピソード見れるの残滅ルートだけなのつらすぎるな

  • 127二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 11:00:18

    人間組もお労しい
    黒名本当につらいよー
    潔も凛もサッカーモンスターなんだなあ

  • 128二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 18:26:31

    御影財閥も闇を感じるなぁ

  • 129二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 18:59:03

    出てこなかったけどばぁやもダークサイドの人?なんだろうなぁ

  • 130二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 22:17:10

    >>123の続き


     「なんや、上手く行ったみたいやね。凪くんも死ななくてよかったで」

     「何をもって”死”を定義するかによると思うけどね。取り敢えずなんとかなったみたいでよかったよ」


     凛くんによって殺されかけていた凪くんは壊死の進んだ人間の身体を処分して、本体を顕現させたみたいだった。少し不謹慎かもしれないけれど、こうしてみると本当にアニメや小説の様だなと思った。

     あの井戸端会議の後、一旦僕たちは潔くんの動向を見て行動することに決めた。

     だから、凪くんと凛くんが殺し合いをしていても傍観していた。乙夜くんの言う通り……傍観していなかったら、みんな揃って殺されていたかもしれない。

     そして、潔くんは凛くんを選んだ。

     それほどまで、潔くんがあちら側の世界に足を踏み込んでいたことを知った。

     ”触らぬ神に祟りなし”だと、そうは思う。

     これ以上あちら側の世界に関わったら、潔くんを追ったら。死にそうな体験をするどころか、死ぬ可能性だってあると感じた。

     それでも、僕は首を突っ込もうと思っている。

     やっと、火がついてきたところだった。それを灯す一因だった彼抜きでサッカーするのは、嫌だ。

     潔くんがこちら側に戻ってくる可能性は、もう望みが薄いと思う。

     でも、諦める気は……ない。

     そう決意したところで、廊下を走る新しい靴音が聞こえた。


     「……もう、遅かったみたいですね」

     「むしろ俺はクソ命拾いした気分だ。あの小僧に退散の呪文が効くように見えるか?」

     「効果は薄いでしょうね。彼はショゴス・ロードに近かったり、そのものの可能性が高い」

     

     険しい顔で手元の何かの本を見つめるネスと、怪訝な顔をしたカイザー。

     遅れてやってきたのはヒーローなどではなく、薔薇の皇帝と魔法使いだった。

  • 131二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 23:39:46

    オールスター感ある、どうなるんだ……

  • 132二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 00:37:02

    潔を諦めない氷織あちぃな
    でも同時に死亡フラグもたった気配が……

  • 133二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 05:29:17

    カイザーとネス、潔にはもう関わらないって言ってたから出番ないと思ってたから来てくれて嬉しい

  • 134二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 15:05:55

    ネスはガチ魔術師っぽいな……魔導書持ってるし

  • 135二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 15:25:33

    これルートによっては兄ちゃも巻き込まれていくのかな
    危害を加えられるのは凛が絶対許さないだろうけど

  • 136二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 18:19:25

    兄ちゃはやっぱ士道と契約してんのが怖いよな

  • 137二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 22:09:52

    >>130の続き


     「あ、玲王。いたいた。どこまで行ってたんだよ。凪は見つかったのか?」

     「千切。悪い、遠くまで行ってたわ。凪は……後で説明する」

     後から来たカイザーとネスと合流し、俺たちはひとまず中央棟に避難した。

     深夜に起こされた奴も多かったようで、あくびをしていたりサイレンが鳴るという異常な事態に警戒している奴もいた。

     サイレンが鳴った時には既にいなかった凪を探しに、俺は飛び出していたのだった。後から合流しようと言った千切とは、中央棟で再開することになってしまったが。

     しかしやはり非常事態なのだという雰囲気は皆感じ取っているようで、不安そうな顔をしている奴もちらほら見受けられた。

     死神として顕現した凪は、何も知らない多くの人間にこの姿を見られるのは好ましくないということで隠れている。

     「……なんかあったんだな。っていうか、ヤバくね?これ。避難とか、明らかに重大発表とかじゃなさそうだぞ」

     「ある意味重大発表されるかもしれないぜ」

     冗談めいた俺の言葉に、かもなという顔をした千切は、周りを見渡した後にふと考える仕草をした。

     「……どうした?」

     「……いや」

     千切は、神妙な顔をして告げた。何かに気が付いてしまったとばかりに、ぽつり、と言う。

     「乙夜たちはいるのに、蜂楽いなくね?……まあ、潔とか凛もそうだけどさ」


     そう、俺たちは。

     あの場にいた筈の、失踪する前に潔が口にした筈の。

     蜂楽の行方に気が付いていなかった。

  • 138二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 22:12:37

    >>137の続き


     「やあやあ。才能の原石達よ」

     「突然深夜に叩き起こされて非難轟々だろうが、一度頭を冷やせ」

     「それから、落ち着いて聞け。お前ら」

     「今、この青い監獄は何者かによりシステム停止状態に追い込まれている。だが、お前らにできることはない。幸いにも生活用品や食料の備蓄はある。お前らは心を落ち着かせて引き続き鍛錬を続けることだ。勿論、BLTVの配信は停止になっている」

     「スマートフォンのニュースや中継で外の様子を見た奴は知っているだろうが。今、監獄の外は命を落としかねない領域になっている」

     「全国、世界各地で空が紅に染まり、次第に人が死んだり異形に成り果てている。現実ではありえない光景だが、本当の光景だ。原因は不明だが、この青い監獄はこの現象から難を逃れていることが確認できた。死にたくなかったら、大人しくしてろ」

     「それと」

     「糸師凛、士道龍聖、蜂楽廻、潔世一の四名が現在行方不明になっている。見つけたら報告すること。今までの部屋は通常通り使用できる。非常電源にも限りがあるから使い過ぎには注意しろ。以上。解散」

  • 139二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 22:21:10

    エライこっちゃ

  • 140二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 22:22:49

    蜂楽は本当に消えたのか
    不干渉でいくのか?

  • 141二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 22:48:50

    どんな結末になるんだろうか

  • 142二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 05:12:46

    世界的にサッカーどころの話じゃなくなっちゃったな
    凛の同胞たちをなんとかしないと

  • 143二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 09:31:01

    世界がヤバい
    青い監獄はこれから悲惨なのかな?それとも大丈夫?

  • 144二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 13:21:11

    この時空の兄ちゃは日本に留まってそうだな……

  • 145二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 18:10:25

    惨劇ルート怖いけどどうなるか気になる

  • 146二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 22:31:50

    この世界線の糸師兄弟どうなるんだ
    あと人外組の中でも蜂楽はロスト含めて意図が読めん

  • 147二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 22:33:18

    >>138の続き


     怒涛の情報を俺たちに流した絵心さんは、それだけを告げて去っていった。

     隣に立つ千切は、困惑を極めた顔をしている。

     「大人しくしてろって……潔たちも行方不明なのに無理があるぜ」

     千切は眉間の皺を深めていた。失踪した潔たちのことか、それとも監獄の外に広がる地獄絵図のことだろうか。

     千切には、事の顛末を話しても良いだろうか。どちらにせよ、世界が危険なことに変わりはないのだから。

     「なあ、千切。凪のことと、潔のことなんだけど……」

     この場では話しづらかったから、人気のない廊下に出ることにした。



     「…………そうかよ。とんでもない話だな。潔も蜂楽も、マジか……」

     「……なら、凪。近くにいるんだろ。出てこいよ」


     千切が呼びかけた後に一拍置いて、和装の凪がどこからともなく出現した。

     「はーい。死神凪誠士郎でーす」

     「すげぇな。本物じゃん。その鎌で凛と殺し合いしたのか?」

     「そうそう。アイツに何回も溶かされたけどね」

     「現実味がねぇけど、本当の話なんだよな……」

     あまりにも非現実的過ぎる現実に、千切の目が遠くなる。割と飄々としているところがあると思っていた千切も、流石に軽く受け止められる話ではなかった様だった。

     「ちゅーす。話は纏まった?俺たち今から大人たちのところに話に行くんだけど、お前らも行く?」

     そんなところで、絵心さんたちに話をしに行くらしい一行が俺たちの元に現れた。

     乙夜と、二子と、烏と……氷織と雪宮と黒名と、ネスとカイザーと……ロレンツォや馬狼もいた。

  • 148二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 00:27:28

    大体納得のメンツ……だけど馬狼?
    馬狼って人外関係知ってる組だったっけ、それとも黒名と同じく潔含むロスト組を気にかけてるとか?

  • 149二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 06:45:26

    潔凛士道離脱時にいなかった二子と今まで未登場だった馬狼がいるな

  • 150二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 10:47:20

    二子と馬狼か!
    どういう立ち回りだろう

  • 151二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 17:58:52

    馬狼さん何も知らなくて突然潔さんの失踪を知らされたんだろうか

  • 152二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 22:14:24

    >>147の続き


     「あれ、キングもいるんだ。あの時はいなかったのに」

     「その服はなんだクサオ。まだハロウィンじゃねぇぞ。笑えねぇ」

     「ハロウィンじゃないし、本職だし」

     馬狼は死神の装いをした凪を見ても、以前と変わらない態度で接している。てか、落ち着き過ぎじゃね?

     「よぉ、死神。バロちゃんに教えたのは俺、OK?」

     どうやらこの青い監獄には、あちら側の世界を見てきた奴はちらほらいるらしい。

     「シドちゃんも糸師凛もアホ毛のお兄さんもいなくなってつまんない。折角最終戦で戦うところだったのにね」

     「凛さん……以前も夜な夜などっかに行ってたんすけど、まさかそんなことに……」

     フランス棟の奴らまでやってきた。いや、事情を知ってる奴意外と多いな。

     「玲王、行こうぜ。潔達がいなくなってるってのに、このまま黙って大人しくしてる俺たちじゃないだろ。國神も行くよな?」

     遠い旅から帰って来たらしい千切は、いつもの頼もしい様子で声を掛ける。

     近くで聞き耳を立てていたらしい國神に話を振ると、観念したとばかりに國神も出てくる。

     「勘違いすんな。潔達じゃなくて家族が心配なだけだ」

     「それは俺も心配だわ。なんとか避難できてたらいいんだが……」

     「取り敢えず、皆で押し掛けるか!」

     世界すらピンチって時に、この俺が、いや俺たちが────何もしないでいられるか。

  • 153二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 01:47:56

    國神闇堕ちやめろ定期

  • 154二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 07:07:15

    ツンデレ國神

  • 155二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 13:00:37

    前向きな雰囲気で皆頼もしいな!

    でも今は監獄内は平和でもいずれ食糧が尽きるし外の世界は既に変異しつつあるし……詰んでねーかこれ
    人類側に抵抗の余地はあるのかな?

  • 156二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 19:05:44

    惨劇ルートじゃないなら希望の決意なんだ

  • 157二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 22:21:48

    >>152の続き マスター部屋


     「困ったものだ。流石に俺でもアレは対処しきれん」

     「以前の不審者騒ぎでアレらにも対処できる掃除屋を呼んだが、人間以外の奴らを発見したという報告はなかった。だが、才能の原石どもの中にも紛れていた。しかも、ランキング上位の奴らに複数な」

     「人間でも、そちら側の人たちも混ざっていそうですよ。この場所が今のところ影響が少ないのは、彼らが結界を張ったり魔術的な行使をしているからでしょう」

     「しかし、人間以外の奴らというものは本当に存在するんだな。俺はオカルト的な噂を本国で聞いただけだったが、まさがナギもそうだとはな」

     「うちのロレンツォから聞いたんだけど、ノアのところの潔世一。ヤバい匂いがしたんだって?あれはもう戻れないかもねぇ。糸師凛と一緒に消えたらしいし」

     「それを言ったらうちの黄頭髪も消えてんだよ。時折妙な気配のする奴だったが、もしかすると人間じゃねぇのかもな」

     「アンリちゃん、行方不明の奴らはその後も報告上がってない?」

     「……残念ですが、何も。ですが、あの状況に直接関わった彼らが来ています」

     「もしかしたら、避難時に私に擬態した者についても知っているかもしれません」

     「……いいよ、通して。凪誠士郎についても、詳しく聞こうじゃないか」

  • 158二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 22:24:13

    マスター達はどうするのかな

  • 159二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 00:19:57

    蜂楽は本気でさらっといなくなったな
    ランキング上位消えすぎ問題
    でもサッカーどころの騒ぎじゃないのつらい

  • 160二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 06:41:56

    凛と潔の目的はまたサッカーやることだけどどうなることやら 楽しみ

  • 161二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 15:01:55

    ⭐︎

  • 162二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 22:20:27

    >>157の続き

     

     帝襟さんに事情を伝えると、苦い顔をした後に部屋に俺たちを通してくれた。

     通された部屋には、絵心さんだけではなく他の棟のマスターたちもいた。」

     「おや、みなさんお揃いなんですね。説明の手間が省けます」

     「うえ~、アンタもいるの?うちの上司と似た気配がするんだけど」

     凪は部屋にいたロキを見て露骨にめんどくさそうな顔をした。凪の上司か……うっかり全員で彼のところまで挨拶に行かないように頑張りたい。

     「おや。それが分かるということは天界の関係者ですか?生憎ですが、今の僕はきちんと人間の身ですので。貴方の上司によろしく言っておいてください」

     「詳しく言えば冥界だよ。本体は俺みたいに直接顕現できないの?」

     「残念ですが、今の僕たちは見守る立場です。力のない依り代か人間の身体じゃないと降りてくることができません。降りてこられたら一瞬で焼けるのですが」

     「それ人間も生きてないじゃん。ラグナロクやめて~」

     今の凪は完全に死神の立場として行動している様で、何らかの正体を持っているロキと話していた。それを平然と聞いているマスターたちを見ると、彼らも事情を把握しているのだと察する。

     

     「てか絵心さん、ワイルドカードってやつでヤバい研究してないよな?一応信用できるかも含めて押し掛けたんだけど」

     そうしている内に千切が直球の質問をした。彼らまで信用ができなかったら一巻の終わりだ。

     流石にそんなことはしていないと思いたかったが。様子が変わって帰ってきた國神を見ると千切が不審に思うのも無理はない。

     「流石にしていませんよ。安心してください。まぁ、國神くんの様子を見るとそう思うのも仕方ないですが……」

     「一連の人外どもの事件とワイルドカードは無関係だ。それより、潔世一と糸師凛が失踪した件について詳しく話を聞こうか」

  • 163二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 06:28:39

    まさかのロキ人外枠!フランス棟の人外率とんでもなかったんだな…

  • 164二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 08:07:57

    監獄内の人外炙り出されてて助かる

  • 165二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 12:38:47

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  • 166二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 12:40:30

    人類の危機なせいかオールスターって感じだな
    肝心の潔と凛はどうやって世界を掌握するんや?

  • 167二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 20:38:19

    1周目と違って向こう側知ってる人達が監獄内に集まってるのは人類にとって希望の光だな
    でもこれ惨劇ルートなのよね…ここから入れる保険ありますか…?
    “こう”と決めたら潔も凛も世界ゲットまでノンストップだろうし士道は(冴との契約が切れない限り)凛ちゃん側だろうし
    蜂楽の動きがカギになりそう

  • 168二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 22:28:00

    >>162の続き


     こうして俺たちはお互いの知っていることや、潔と凛、士道が消えた件について詳しく情報交換し合った。潔と凛の件に関しては初耳の情報を聞いて、分かりやすく動揺していた奴もいた。話し合いが進むにつれて、皆の顔色は悪くなっていく。全てを話し終わる頃にはどんよりとした空気が部屋に漂っていた。

     「……まだ、全てを諦めるところではないと思いたいけど」

     氷織の一言に、顔を上げるやつもいた。

     「今外の世界で起きているパニックに、糸師凛も関わりを持っている可能性はありますね」

     ネスの一言に、二子や凪が反応する。

     「あー……言っちゃうけど、今世界を地獄絵図にしてるのは凛の同種たちだよ。そうお上からも報告が来てる。凛はアイツらの中でも特別強い個体だったから、アイツを潰したら他の個体の動きも止まるんじゃないかと思って……というのが冥界の判断」

     「実は、ここに結界を張った人間の一人が僕なんですけど、監獄に侵入しようとした彼らは確かに本当の姿の凛くんに似ていました」

     「複数人で結界を張りましたが、彼らに侵食され崩壊するのも時間の問題でしょう。もって3~4日ですね」

     監獄が安全だというのも、時間制限がある話だったらしい。二子は陰陽師で、ネスは魔術師。監獄には俺の予想以上にあちら側の世界の住人が紛れ込んでいたらしい。

     「つまり、近日中にケリをつけないと──────俺たちもまとめて怪物化という訳か」

  • 169二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 22:30:05

    >>168の続き


     ノエル・ノアの放った一言に、この場にいた全員の表情が険しくなる。

     「おい、現人神。死神の言う通り、糸師凛を殺したら本当に他のバケモノどもは退散するのか」

     絵心さんが黙って話を聞いていたロキに話を投げかける。さっき凪と話してたけど、神童は本当に神さまだったのか?

     「その可能性は高いでしょう。彼らは地球を同族たちで飲み込もうとしていますが、束になった彼らの力を集めて糸師凛が行動を起こせば、本当に地球を支配できる。空も海も陸も、あの醜い肉塊に変質させられる。想像しただけで鳥肌が立ちますよ」

     「今はその準備期間ですよ。変質が成功するか、人間で実験している。彼らは状況を整えて、糸師凛が行動するのを待っている。問題は彼自身にその気があるかですが……正体がバレて姿をくらましてしまった以上、その道を選ぶかもしれません」

     「凛を殺したら、その残党はこっちで片付けられると思う。だから、今この世界を救うのに手っ取り早いのは、アイツを殺すコト。……まあ、それも難しいんだけど。強かったし、凛」

     ロキと凪の話に、更に空気が重くなる。事実上のタイムリミットを宣告されたようなものだったから。

     誰もが口を噤んだ中、これまで聞き役に徹していた馬狼が口を開いた。


     「おい、クサオ。勝てるかどうかじゃねぇ。あの下まつげ弟に勝たねぇと世界が終わる。だったら、何が何でも勝つんだよ。あのヘタクソも加担してやがるのなら、引導を渡すのも含めてな」

  • 170二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 23:51:23

    凛は世界を獲るつもりだけどロキの言うような方法なのかな

  • 171二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 06:36:58

    ほしゅ

  • 172二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 13:30:37

    これまで未登場だった馬狼さんブレなくてつよい

  • 173二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 18:31:35

    馬狼すごいな
    他キャラもどう動くのか
    というか凛も潔もどうするんだ

  • 174二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 22:23:25

    >>169の続き


     馬狼の力強い言葉を皮切りに、他の面々からも続々と声が上がる。

     「そうだね。勝てるかどうかはともかく、その世界を救うチャンスを不意にするのは良くない」

     「俺はまだやりたいことある。だから、世界を救うのに賛成。OK?」

     「潔くんのこと、僕はまだ諦めてないんや。だから、救えるなら救う。もう、戻れないなら戦う覚悟は決めとるで」

     「戦う、戦う……救う、救う。」

     「今度は世界を救う戦いか……アガるじゃん」

     「腹を括るしかあらへんってことやな」

     「やらないで死ぬより、一瞬の希望にかけて戦うぜ。この足と同じく」

     「不謹慎かもしれないですけど、ワクワクする戦いになりそうなので実は滾ってます」

     「ボクは戦います。彼らの計画が完遂されたら、世界がとんでもないことになるのは嫌になるほど分かりますから。カイザー、キミは生きていたいですか?」

     「……どうでもいい。ただ、一方的に殺られるのはクソムカつく」

     「いいね!楽しそう。叛逆は俺の性だし♪」

     「やるしかないっぺ!」


     「おやおや、若人たちは元気だねぇ」

     「元気でイイじゃねぇか」

     「俺たちも負けていられないな!」

     「どうする、独裁者」

     「決まってんだろ人でなし。可能性があるなら挑戦する。それだけだ」

     「私も賛成です。まだW杯で優勝する夢を叶えていないのに。こんなところで、まだ、終わりたくなんてありません」

  • 175二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 22:30:24

    >>174の続き


     「だそうですよ。どうします?死神」

     ロキに視線を向けられた凪は、頷いた最後に俺を視る。


     「玲王。この地上で……最期まで、一緒にいてくれる?」

     それは、かつて凪に言われたことがある言葉。

     今は、胸を張って、色々なものを背負って、言える。


     「ああ。最期まで付き合え。──────俺と世界を救いに行こうぜ、凪!」


     差し出した俺の手を、凪は力強く握る。

     「うん。……約束。世界を救って、この地上で最期まで一緒にいて。レオ」

     命を懸ける覚悟は、もうできてる。

  • 176二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 00:56:09

    最終決戦前に全勢力が集合してラスボスに挑む決意を固める少年漫画のような熱い展開!
    ワクワクすると同時に脳裏にチラつく“惨劇ルート”の文字……

スレッドは6/21 10:56頃に落ちます

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