タコピーのSS

  • 1二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 15:56:39

    誤字脱字を修正してスレを立て直した。

    【おはなしの成果】

    庭から光が差し込み私は目を覚ます。昨日は大変だった。まりなちゃんにいじめられてタコみたいな丸いキャラの落書きで盛り上がって一緒に泣いて、そして2人で帰ったんだっけ。ほんの少しだけのおはなしだったけど少しだけ気持ちよかった。
    冷蔵庫の冷凍食品を温めて朝食を済ませる。今日は平日だから学校だ、私は愛犬のチャッピーにエサをやり、落書きまみれでボロボロのランドセルを背負って今日も学校に向かう。校門をくぐり教室まで進むといつもの同じようにクラスメイト達がさわいでいる。教室の中では今日もクラスの人気者のまりなちゃんを中心に友達と何か楽しそうな話題で盛り上がってるみたいだ。私が入ってきた途端みんなが何かを期待するような目で私とまりなちゃんを見る。
    「…………」
    「…………」
    まりなちゃんも私の顔を見た後、何もなかったかのように友達とお喋りを再び始める。周りは何かを戸惑ったような素振りを見せるけど再び喋り出す。私は落書きされた机に座りホームルームが始まるまで1人自由帳にお絵描きをする。丸っこくて足が何本もあるタコみたいなキャラクターだ
    描きやすくてなんかクセになる、

  • 2二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 15:58:07

    >>1

    やがてチャイムが鳴りホームルームが始まる。先生がやってきて出席を取っていく。先生も生徒も私のランドセルにも机にも見向きもしない。でも大人は大体自分にとって都合の悪い事や面倒な事をさけたがるのは私が1番わかっている。1時間目の国語の授業が終わり、休み時間になる。私は友達がおらずいつも一人でお絵描きばかりしている。

    いつもこのタイミングでまりなちゃんがやってきて、嫌な事をたくさん言ってくるはずなんだけど、

    私がまりなちゃんの方の席を見ると向こうと目が合った、

    「…………」

    「…………」

    私は目をそらす。もう一度目をまりなちゃんの方に目を移すと

    「…………」

    「…………」

    やっぱり私の方を見てる。すると向こうから何かを決意したかのように私の前まで歩いてきて

  • 3二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 15:58:35

    >>2

    「おっはよー。なに見てんの?私の顔になんかついてるの、うわぁ、キモッ、言いたいことがあれば言えばいいのにー」

    「…………」

    まりなちゃんの友達はみんな期待してたものをやっと見れた喜びのせいか口元を押さえて笑っている。でも私はまりなちゃんから何か違和感を感じとる。

    なんだろう。いつもより優しい?

    「あんたいい加減臭いのやめたら?髪洗ってんの?、女なんだからおしゃれくらいするのは当たり前なんじゃないの?」

    臭い、汚い、でもどうしたらいいのかわからないからこっちも困ってるのに、流石に腹が立った私は少し言い返す。

    「……だったら」

    「ん?何?なんか文句でもあるの?」

    「どうやったら臭く無くなるの?どうやったらきれいになれるの?教えてよ」

    まりなちゃんは目を見開いて、固まる。そして

    「ああ!めんどくさ、こんな一人じゃ何にも出来ない寄生虫のアバズレ女から誘い受けられたわー、私の放課後までコイツに侵食されてもう最悪!私もうお嫁に行けなーい!」

    そう言って友達の所に戻ってお喋りを再開する

    えっ?もしかして放課後にまりなちゃんと2人で会わなきゃいけなくなったの?

  • 4二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 16:00:11

    >>3

    そして2時間目の算数の授業が終わり、体育の授業になって体操服に着替える事になる。

    「ねぇちょっと臭くなーい?」

    「なんか向こうの方から匂うよねー?」

    まりなちゃんの取り巻きが遠回しに私の悪口を言ってくる。まりなちゃんはそれに対して私の方を見て、

    「そう?今日はいつもよりマシじゃないの?でも臭いのは嫌だよねぇ、だからみんなも近づくのは禁止ね、あとあいつの物に触るのもやめ。バイ菌が感染しちゃう。」

    ?いつもなら筆記用具や教科書を捨てさせるのにそれをしないんだ。今日はなんだかいつもと違う。日直はまりなちゃんだ、みんなが出て行った後教室のカギを閉める係だけど、何か忘れ物をしたみたいで友達を先に行かせた。

    そして3時間目の体育の授業、今日はマラソンだ。まりなちゃんが遅れてやってくる。運動はあまり好きじゃないからいやいや走りながらやがてチャイムが鳴る。教室に戻り再び私服に着替え終わって私は机の中に何かを見つける。ノートの切れ端だ

    『放課後、あんたの家に行くからそこで待ってなさい。絶対この紙は誰にも見せるな、見せたら今までみたいにみんなでお前を虐めるから』

    もしかしてさっきの休み時間、まりなちゃんが忘れ物をしたって言って教室に残ってたけど、もしかして……

    私は戸惑った。まりなちゃんから誘われてる?イヤな予感しかしないけど。

  • 5二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 16:00:41

    >>4

    4時間目の社会の授業が終わり、給食の時間だ。

    いつもより食欲がある。パンが美味しい。

    そして5時間目、学級活動。クラスでいじめはないかどうかの話し合いだ。こんなのは何も意味がない。私の落書きまみれの机やランドセルに見向きもせず今日も平和にみんな仲良く明るいクラスとしてまとめられた。

    授業が終わり帰りのホームルームが始まる。1人の男子、東くんが手をあげてさっきの学級活動に反対をした。そして私に話題をふってくる

    「久世さんも何でさっき黙ってたんだよ!こういう時は自分の正直な意見をもっと言えよ!」

    クラスメイトの中でも大人しい方なのに珍しい。もう授業終わったのに今さら遅いよ。

    それでもしつこく先生に意見を言いまくってまりなちゃんの事も話題に出す。

    「だから先生!コイツは久世さんをいつも虐めてて!先生も本当は知ってるでしょ!」

    もちろんまりなちゃんも言い返す。

    「はぁ!?あんた最近調子乗ってない!?メガネまで変えてイキリやがって!」

    「お前のそういうところがウザいんだよ!いつも束になってイジメばかりして!この人間のクズ!」

    「あぁ!?オメェもういっぺん言ってみろ!」

    「何度でも言ってやるよこのクズ野郎!ゴミ人間!」

  • 6二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 16:01:12

    >>5

    ついにまりなちゃんと東くんの取っ組み合いのケンカが始まった。東くんってこんなキャラだっけ?結局2人とも先生に止められて、形だけの仲直りをさせられる。

    ジゴクのようなホームルームを終え私は家に帰る。そういえばまりなちゃんが私の家に来るんだっけ。私の家はゴミでいっぱいだ。お母さんがいなくて家事をしてくれる人がいない。私なりに少しずつ掃除をするんだけど、それでもやっぱり整理整頓が追いつかない。まりなちゃんに壊された筆記用具、下じき、夕食の買い物、やる事が多くて掃除が追いつかない。

    「はぁ」

    私はため息をつく、そんな時、

    ピンポーン!

    インターホンがなった。まさかまりなちゃん?

    私は玄関の扉を開ける。やっぱりまりなちゃんだ。すごい不満そうな顔で私を見つめる

  • 7二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 16:01:40

    >>6

    「……来てやったけど。」

    「………」

    「いくわよ。お金の用意しておきなさい」

    「えっ?」

    私が疑問に思ってると、

    「スーパーに行くの!お前いつも臭いから私がシャンプーとかリンスとかいっしょに買ってあげるの!」

    そう言って勝手に私を突き飛ばし家の中に入っていく、そして吐き出すような声を出す

    「おええーっ、くっさ」

    私がまりなちゃんを追いかける、よかった、本当に吐いてるわけではなかった。やっぱり私の家の匂いには慣れてないんだ。当たり前だけど。

    「こんな所によく入れるわね、あんた!で?財布どこ?早く出しなさい!」

    私はまりなちゃんに言われ、自分の財布を持って一緒に私とスーパーに向かう。

    同じ年の誰かと2人で一緒に歩くなんて初めてだ。

    私にはチャッピーしかいなかったから。

    「ほんと最悪。淫売の娘と一緒に買い物だなんて、なんでお前みたいなクズと歩いてんだろ」

    「……」

    相変わらずまりなちゃんは私をバカにしてくる。私はまりなちゃんの思いが読めない。でも「あの時」から何かが変わったのは本当だ。

  • 8二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 16:02:15

    >>7

    やがて私たちはスーパーにたどり着いた。

    お風呂セットの売り場は2階だ。美容品売り場にセットで並べられてる?

    「あんたお風呂入ってんの?」

    「頭と体はシャワーで洗ってるけど」

    「シャンプーは?」

    「切らした。お金無いから買えない」

    「うわー、これだから貧乏は」

    「朝昼晩のご飯代で限界だもん、後まりなちゃんに壊された筆記用具とか買い直すので手一杯だから」

    「………」

    私たちは美容品の売り場に着いた、まりなちゃんが商品を一つ一つ確認していく。

    「シャンプーはこれでいいかな。ボディソープはこれ、リンスと洗顔用のやつはこれ」

    彼女は商品をカゴに入れてレジに持って行く。私は財布からお金を出そうとする前にまりなちゃんは自分の財布からお金を出した。

    「ちょっまりっっ!」

    私が喋る瞬間にスネを蹴ってきたから何も言えなかった。そのまま私がお金を払うことはなくなった。私はレジ袋に商品を詰めてまりなちゃんと一緒にスーパーを出る。

  • 9二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 16:02:46

    >>8

    「………」

    「………」

    私たちは無言で家に向かう、そこで

    「あれ?まりなちゃん?」

    「あっ本当だ、こんなところで何してるの?」

    「なんでコイツといるの?」

    まりなちゃんの仲間たちと偶々会ってしまった。

    まりなちゃんは固まって動かない。

    「菌が移るって言ったのまりなちゃんじゃん」

    「こんなやつといたら病気になっちゃうよ?」

    まりなちゃんは何も言えずに黙ってる、

    私は自然に口から言葉を発する。

    「わっ私が無理矢理連れて行ったの」

    「えっ?」

    まりなちゃんは驚いたような目で私の顔を見る。

    みんなもキョトンとしてる。

    「まりなちゃんの家に行って財布盗んで勝手にスーパーで洗剤買っちゃった。まりなちゃんは財布を返して欲しくて私についてきたの。」

    「お前っ勝手にっ

    「もういらないから財布返すね」

    私は自分の財布を彼女に渡す。私のこづかいでは絶対に買えない高い商品ばかり買ってくれたお礼だ。

    「じゃあね、まりなちゃんから盗んだお金で買った洗剤、使わせてもらうから」

    私はニッコリ笑ってその場を立ち去る。

  • 10二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 16:03:45

    >>9

    「よくもまりなちゃんを!死ネ!クズ!」

    「ほんとサイテー、消えちゃえばいいのにー」

    「まりなちゃん大丈夫?ケガとかしてない?」

    いじめっ子たちの声が聞こえてくる。そんなのは気にしない。そのまま家に着いた早速風呂にはいる。そして今日まりなちゃんが買ってくれた洗剤を並べる。財布には今日の晩ご飯代も入ってたのに、でもこれで良かったんだ。私は自分にそう言い聞かせて久々にシャンプーとボディソープで全身を洗う。洗顔とかもう何ヶ月もしていない。今日のお風呂は最高に気持ちよかった。

    夜7時を過ぎた頃、私はお腹が空いて倒れそうになっていた。お母さんに電話しても出てくれない。体が重い。その時。

    ピンポーン

    今日2度目のインターホンだ。私はドアを開けるとまりなちゃんがいた。袋には鍋が入ってる。

    「私が作ったビーフシチューの残りあるから、お前には残飯がお似合いね」

    そう言って私に鍋の入った袋を渡してきた。重たい。

    「じゃあ、私は帰るから。」

    まりなちゃんが去った後、家に戻り袋からシチューの入った鍋を取り出すともう一つ「ある物」を発見した。

  • 11二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 16:04:12

    >>10

    「えっ?」

    私の財布だ。中身を確認すると5千円札が新たに入ってた。まりなちゃんが私のためにここまでしてくれたんだ。私は感謝の心でいっぱいになった。

    そしてまりなちゃんのビーフシチューを食べる。美味しい。手作りの料理だ。お母さんの料理を食べたのはいつ頃だろう。もう覚えていない。味も忘れてる。そもそも作ってもらったっけ?

    そんなことは今は気にする必要はない。まりなちゃんが作ってくれた料理を味わう事に決めた。


    次の日から学校では私はクラスの女子から空気のような扱いを受けている。みんな私と距離をとる。私はまりなちゃんのお金を盗んだ泥棒として広まり、みんなから恐れられた。

    まりなちゃんも一切私に話しかけない。学校では完全に孤立した。それでも1週間に1回はまりなちゃんは私の家にやってくる。晩ご飯の残り物を置いて行くだけなんだけど。

  • 12二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 16:05:12

    >>11

    「おーきーろー!」

    そして私は目を覚ます。まりなちゃんが青筋を立てて私を見ている。

    「今何時だと思ってるんだよ!」

    「しょうがないじゃん、昨日夜中まで一緒に試験勉強やってたから」

    まりなちゃんの母親が暴れ狂って手がつけられないから私の家に泊まり込みに来たんだった。

    2人で夜中まで期末試験の勉強をしていて、そのまま机にうっ伏して寝てしまった。証拠に私の顔にはインクが付いている。

    とても懐かしい夢を見た、私達の関係はあれから随分と変わった、私達を繋いでくれた「何か」に感謝する。幸い今日は休日だからのんびりできる。まりなちゃんが料理を皿に入れて私の前に持ってきてくれた。

    「今日は私特製のビーフシチューだから」



    【終】

  • 13二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 17:26:09

    良い!

  • 14二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 17:46:29

    😊

  • 15二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 17:48:45

    おお、完結していましたか
    見ていてこの関係は単に罪滅ぼしというだけじゃないんだろうなあって
    あえて高い商品を買っていたり手作りのビーフシチューだったりから色々なことが伺えます
    しずかちゃんが"タコみたいなキャラクター"のお絵描きがクセになっているのも良い

  • 16二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 18:13:48

    このレスは削除されています

  • 17二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 22:42:11

    まりな視点も書いてくれ〜

  • 18二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 22:47:08

    めっちゃいいじゃん…

  • 19二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 22:59:27
  • 20二次元好きの匿名さん22/04/05(火) 23:01:38

    >>19

    同じ人が書いてる説

  • 21二次元好きの匿名さん22/04/06(水) 00:09:10

    スレ主もっと書いてッピ!

  • 22二次元好きの匿名さん22/04/06(水) 12:03:19

    >>20

    立て直される前のスレで伺ったのですが同じ方でした

  • 23二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 00:03:52

    もっと見たいのですが、他にもありますかね?

  • 24二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 00:49:44

    スレ主だけど百合エッチも描きたいしは2人の高校生活も描きたいし色々あるけど悩む
    まりな視点としずか視点を絶対に入れたいし時間かかる

  • 25二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 08:33:27

    なるほど…楽しみに待ってます!

  • 26二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 20:28:50

    タコピーSS増えろ~

  • 27二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 23:22:38

    若干百合とヤンデレ要素あるので注意

    【恋人テスト】

    『まりな視点』
    私には彼氏が出来た、同じ部活でいつも話す機会が多かった。おさげで眼鏡をかけてていかにもガリ勉風の男だ。小学生の時にそんな奴が1人居たな、悪い奴ではない。そんな彼に今日ついに告白された。前から私の事が好きだったみたいだ、
    珍しい。大体の男子はみんなアイツにばかり食いつくのに。
    今、私と私の腐れ縁、久世しずかは学校の食堂で弁当を食べてながら喋っている。
    「というわけで私、彼氏出来たから。これからお前と一緒に居れる機会少なくなるわー」
    「ふーん、それ台詞もう何回も聞いた」
    「オメェぶっ殺スぞ」
    そう、私は計3回告白されて3回とも振られてる。
    その理由が「好きな人が出来た」とか「もうお前じゃ満足出来ない」とかそんな理由だ。
    そのせいでコイツ、久世しずかとは彼氏無しの独身コンビとしていつも一緒にいる羽目になる。
    コイツは自分の美貌に気づいてない節がある。整った顔と容姿、身だしなみで全校生徒が振り向かせる様はいつ見ても恐ろしい。コイツが自分の魔性の力を自覚し始めたらと思うと恐ろしくて寒気がする。だからコイツには彼氏を近づけさせたくないんだが。
    「ねぇ、その彼氏さんとはデートの約束してるの?」
    「うん、今度遊園地で遊ぶ予定だから」
    「………そう」

    約束の日が来た。彼氏との2人で遊園地を満喫する。ジェットコースター、観覧車、色んなアトラクションを巡り、私の心は楽しいでいっぱいになった。彼氏の方は疲れ切ってるみたい、彼は少し体力鍛えた方が良さそう。
    やがて彼氏と別れて私は家に向かう。

  • 28二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 23:23:49

    >>27

    『モブ彼氏視点』

    楽しかった。まりなちゃん、部活が同じで気さくで話しやすい人だ。いつもハキハキしていて男勝りな上、顔の傷も歴戦の猛者みたいな感じがしてカッコいい。一緒にいると守ってくれそうな安心感もある。そんな彼女に勇気を出して告白してよかった。まりなちゃんと別れ、帰りの電車に乗る為に最寄りの駅に向かう。途中の曲がり角を曲がった所で

    ドン!

    「大丈夫?」

    「はい大丈夫です」

    女の人とぶつかってそのその人はカバンの中の財布を落としてしまった。それを拾ってあげようと手に取ろうとした時お互いの手が触れる。

    「「あっ」」

    僕たちは互いに目を合わせる。二重の瞼に大きな黒い瞳、一見儚くも思えるその目は僕の心の中まで見透かすような力強い視線を放ってた。整った鼻に艶のある唇、脳みそを刺激する甘い香り。僕の胸が締め付けられるような高揚感に襲われる。

    この人、僕の学校の生徒だ、男子から好意的な目で見られてていつも性的なネタにされてる。お淑やかで物静か、オシャレに気を使って綺麗だから女子からも注目の的だ。それなのに男の影がなくまりなちゃんの側にいつもくっついてる子。確か名前は久世しずか。僕も一度告白しようと思ったけどあまりにも高嶺の花だから諦めたんだっけ。

    でも今の僕にはまりなちゃんがいる。

  • 29二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 23:26:32

    >>28

    「あれ?もしかして〇〇君?」

    「あっハイ!」

    上擦った声で返事をする。覚えててくれたんだ。

    「こんな所で会えるなんて凄い偶然だね。」

    「うっうん、そうだね」

    「何か用事でもあったの」

    「あっうん。そのちょっと遊園地に」

    「ええー!いいなぁ。私も行ってみたかったなぁー」

    久世さんはぴょんぴょん跳ねながら楽しそうにはしゃぐ。こんな明るい人だったんだ。いつも物静かでまりなちゃんにくっついてる印象しか無かった。

    「やっぱり彼女と一緒に?」

    「まぁ、うん」

    「ふーん。」

    久世さんは口元に手を寄せて少し考え込む仕草を見せる。一つ一つの仕草が可愛らしくて見てるだけで癒される。

    「ねぇ!」

    「ひゃい!?」

    久世さんの魅力に惹かれて耽ってたら突然話しかけられて心臓が飛び出しそうになった。

    「今時間があったら一緒にスタバ寄って行かない?」

    「えっもう帰らないと」

    「すぐだから。それに私、まりなちゃん以外でここまで楽しくお話し出来たの初めてかも」

    一瞬ドキッとした。あの久世さんからこんな言葉が出てくるなんて。

    「私たち同じクラスなんだしさ。友達じゃん?」

    「うん。そっそうだね」

    「よし!決まり!」

    僕は友達と思われてたんだ。学校では同じクラスだけどあまり喋った事がなかったから嬉しい

  • 30二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 23:30:50

    >>29

    僕は彼女に袖を引っ張られてそのまま駅のすぐ側のスタバに寄る。

    「ここのラテ美味しいよねー、〇〇君は何が好き?」

    「僕は抹茶ラテかな。」

    「抹茶いいよね。程よい甘苦さが後味スッキリで」

    なんてフレンドリーで明るい人なんだ。

    まりなちゃんがいなかったら僕は久世さんを選んでたかも知れない。

    「やっぱり彼女ってまりなちゃん?」

    「えっ!?何で?」

    「だってまりなちゃんから聞いてるもん。大人しくて優しくて温厚で可愛らしい彼氏って褒めてたよ」

    「そっそうかな。ハハ」

    彼女は僕の事を何でも肯定してくれる。

    よかった。僕はまりなちゃんに嫌われてなかったんだ。そのおかげで久世さんが僕に懐いてくれた。回り回って僕は憧れの人に好かれる事に成功した。有頂天になって2人で身の上話で盛り上がってるうちに抹茶ラテが冷めていた。僕はそれを一気に飲み干して久世さんと連絡先を交換した。

    「あっそろそろこんな時間だ。〇〇君もそろそろ家の人が心配してるんじゃないかな。」

    そう言われて腕時計を見ると8時を回ってた。

    「あっやばい!もうそろそろ帰らないと!」

    そう言って僕たちは椅子を立ってそのままレジに向かう。そして自分の頼んだ飲み物の分だけレジで代金を払おうとしたら

    「今日は付き合ってくれたお礼に私が全部出すよ」

    「えっ?いいの?」

    「そのかわりまりなちゃんを幸せにしてあげてね」

    「うん」

    そう言って彼女は僕の分の代金まで支払ってくれた。この時は知るよしも無かった。今の彼女の言葉の重みを。

  • 31二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 23:31:53

    >>30

    『まりな視点』

    今日も私はしずかと2人で食堂で昼飯を済ませる。

    最近彼氏が忙しくて遊べる機会が少ない。たまにあってもいつもぼぉっとしてる事が多い。目の前のコイツみたいに。それにいつもスマホで誰かと喋ってる。

    「最近彼氏が私の話適当に流してる感じがしてさ。それに最近スマホでLINEか何かで友達とばっかり喋ってるんだよ」

    「彼氏さんとは遊べない理由とか聞いてるの?」

    「なんか勉強が忙しいみたいでさ。予備校の課題に追われてるみたい」

    「ふーん、そっか。じゃあしょうがないね」

    そう言いながらコイツは興味なさげにネイルに色を塗ってる。初めて彼氏が出来た時も初めて振られた時もそんな態度だ。まぁだからこそ本音で悩みを打ち明けられるんだが。

    「まりなちゃんはその彼氏のどこが好きなの?」

    「それは、頼りない所もあるけど話も合うし、私の顔の傷を見てもカッコいいって言ってくれたから」

    「そっか、『カッコいい』かぁ」

    しずかは何やら考えてるような様子。まぁいつもマイペースでぼんやりしているからあまり気にしない方が良さそうだ。

  • 32二次元好きの匿名さん22/04/07(木) 23:57:14

    書き溜めてたSSのメモを間違えて全部消しちゃった。復元するのにちょっと時間かかる

  • 33二次元好きの匿名さん22/04/08(金) 00:20:03

    保守は任せろっピ

  • 34二次元好きの匿名さん22/04/08(金) 01:26:20

    >>31

    『モブ彼氏視点』


    ここ最近僕は、まりなちゃんに内緒で久世さんと会う事が多い。今日は休日だから昼からまりなちゃんの誕生日プレゼントを一緒に選ぶのを口実に久世さんと遊ぶ事になった。今、僕達は隣町のデパートにいる。久世さん曰くまりなちゃんはオシャレに興味があるみたいなので、化粧品売り場のある4階で商品を眺めてる。

    「久世さん、これなんかどう?」

    僕は化粧品の一つを指さす。僕の1ヶ月分のバイト代でギリギリ買える商品だ。それでも久世さんにカッコいいところを見せたい。

    「すごく良いよ!これならまりなちゃんも喜んでくれるよ!〇〇君は本当に女心がよくわかってるなぁ」

    久世さんは僕のやる事なす事全て肯定してくれる。結局この商品を買うことに決めた。

    「久世さん、せっかくだからいろんなところ見て回らない?」

    デパートを出たら夕日が見える。腕時計を見ると既に夕方5時を回っていた。

    「ねぇ〇〇君、実は相談事があって、ちょっとだけ付き合ってくれるかな?」

    僕は彼女に導かれるまま近くのファーストフード店に立ち寄った。

    僕はお腹がすいたのでハンバーガーとポテトのセットを頼む。彼女はコーヒー1つだけだ。夕食は控えてるのかな?とりあえず久世さんに訊ねる。

    「久世さん、相談て……」

    彼女はしばらく沈黙する。そして意を決したのか口を開く。

  • 35二次元好きの匿名さん22/04/08(金) 01:27:13

    >>34

    「実はまりなちゃんの友達として〇〇君にお礼言いたかったの」

    久世さんは目に涙を浮かべながら僕の顔を見つめる。長い睫毛と綺麗な瞳が僕の胸をドキドキさせてくる

    「実はまりなちゃん、今まで悪い男ばかりに引っかかっていつも酷い目に遭ってて、それでいつも破局してたから、今回はどうなるのかって不安でいっぱいで……」

    彼女はついに泣きそうな声で本音を吐露する。

    彼女は僕がまりなちゃんを見てあげてた事に感謝の気持ちを伝えたかったみたいだ。最近僕はまりなちゃんとは偶にしか会ってない。勉強が忙しいと嘘をついて久世さんと遊んでる。バレてないみたいなので黙って彼女の言葉を受け止めていく

    「その点〇〇君はいい人だからまりなちゃんも幸せだよ。いつもありがとう、彼女の側にいてあげて」

    彼女は涙を流しながら僕に感謝を述べてくる。

    「いいよいいよ!僕で良ければ彼女の支えにでも何にでもなってあげるからさ」

    久世さんの笑顔がもっと見たい。久世さんの為にまりなちゃんと付き合う。そしていずれ彼女と

    「こんないい人と一緒にいられるなんて、私まりなちゃんに嫉妬しちゃうなー」

    ん?これはチャンスかも。このままいけば久世さんと付き合え

  • 36二次元好きの匿名さん22/04/08(金) 01:28:01

    >>35

    「ところで〇〇君はまりなちゃんの何処を好きになったの?」

    「えっ?」

    「だって好きだから付き合ってるんでしょ?」

    突然まりなの話題を振られて僕は戸惑った。

    どこが好きなんだっけ?答えが出てこない。カッコいいから?男勝り?守ってくれそう?そんな軽い理由だったはず。とりあえず思いついた言葉を並べていく。

    「カッコいいから、それに気さくで話しやすくて男勝りで、僕が困ってる時なんでも相談に乗ってくれて」

    「君が何かしてあげた事は?彼女の相談を聞いてあげた事はあるの?」

    「それは…….」

    彼女の質問にまともな返答ができない。

    久世さんの黒い瞳が僕を見据える。いつの間にか涙すら浮かべずに乾いた目をしている。僕は幸せな夢から突然現実に引き戻されたような感覚に陥った。

    「まりなちゃんとはどんな話をしてるの?」

    「どんな話って、そりゃ趣味だよ」

    まりなとどんな話をしてたのかもう覚えていない。ここ最近久世さんの事で頭がいっぱいだっだからだ。

    「まりなちゃん、最近〇〇君と遊んでないから寂しいって言ってたよ?〇〇君にも用事があるから仕方が無いもんね」

    「ハハ、そうだよ僕も忙しくって」

    「忙しいのなら私と遊んでる暇すら無いもんね」

    一気に背筋が凍りついた。久世さんの目は笑ってない。気づけば彼女のコーヒーの入った紙コップは既に空になってた。

  • 37二次元好きの匿名さん22/04/08(金) 01:28:57

    >>36

    「〇〇君は友達だからいつも誘ってくれて嬉しいよ、まりなちゃんはそれを知ってるの?」

    「それはっ」

    今までの僕の言動を振り返る。最初は軽い気持ちだった。それなのにどんどん目の前にいる魔性の女にのめり込んで行って、とうとう僕は最初誰の事が好きだったのかすら忘れてしまった。もう雲母坂さんに対してすら僕は何も感じない。取り返しのつかない事に気づいてももう遅い。段々と目頭が熱くなっていき視界がぼやけてくる。涙を浮かべて黙り込んでると彼女は聖母のような笑みを浮かべて僕に逃げ道を与えてくれる。選択肢の無いただ一本の道だ。

    「別れちゃえばいいじゃん」

    「うん」

    「もう無理しなくてもいいよ」

    「うん」

    「大変だったね」

    「うん」

    「まりなちゃんには私から伝えておくから」

    「うん」

    「何か言いたい事はある?」

    「ずっと好きでした」

    「ごめんね、それは無理」

    僕はとうとうその場で泣き崩れた。彼女は笑って別れを告げてくる。気づけば今日買った化粧品すら無くなってる。

    恋ってなんだろう。好きになるってなんだろう。もう自分でも分からない。

    自分の脳内の恋心を認知する部分を彼女に破壊された感覚に陥った。

  • 38二次元好きの匿名さん22/04/08(金) 01:29:26

    >>37

    『まりな視点』

    今日はまたママが凶暴化してる。食器を投げつけてくるからそれを回避しながら鳩尾をねらって気絶させる。最近は気絶ばかりさせてる気がする。

    こういう時はアイツの家に泊まる事に決まってる。

    「ねぇまりなちゃん。最近彼氏とはどう?」

    「アイツとは別れた。なんか無視ばかりしてくるから、それに最近学校に来てないし」

    「大丈夫だよ、きっとまりなちゃんの事を大事に思ってくれる異性は見つかるよ」

  • 39二次元好きの匿名さん22/04/08(金) 01:30:20

    >>38

    『しずか視点』

    私は風呂に入ってこれまでの経緯を振り返る。

    これで4人目だ。どいつもこいつも軽い気持ちでまりなちゃんの側に近づいてくる。ママになって幸せな家庭を築き上げたい彼女の夢を潰しそうな奴ばかりだ。

    1人目は金髪で色黒の男、いかにも自信満々で女遊びに手慣れてそうな奴だった。お母さんが家に男を連れてくる事が何度もあったのでこういうタイプは見慣れている。少し誘惑したら簡単に引っかかって来たので、ひたすらそいつで遊び倒した後切り捨てた。貢いでくれた金で高級なシャンプーを買った。

    2人目は他校の爽やかなスポーツ系男子だ。まりなちゃんと合コンに行った時に出会った人だ。悪そうには見えなかったが私に対する視線が目立っていたのでもしやと思い私から近づいたら案の定私の方に靡いていった。どうやら私の事を知りたい為にまりなちゃんを利用したみたいだ。勿論その後適当な理由を言って別れた。

    3人目は少しマイペースな感じがして恋愛に奥手な人だった。漫画家志望で夢を叶える事に明け暮れる好青年だった。しかしまりなちゃんの家庭事情をネタに漫画を描こうとする為に母親を取材しようとしたりとあまりにもデリカシーが無さすぎたから、私が軽く『遊んで』あげたら簡単に精神を壊す事に成功した。もうその男は黒髪セミロングヘアーの美少女に逆レ〇プされるアダルト漫画しか描けない体質になった。

  • 40二次元好きの匿名さん22/04/08(金) 01:36:35

    >>39

    そして4人目。今回は私が遊園地デートをずっと備考して彼氏の方をずっと監視していた。

    偶然を装って彼と接触したが、いかにも依存気質な男だった。そういう人は本当の意味で人を愛する事は出来ない、すぐに別の女に逃げる。実際に会話していくと彼の言う『好き』には相手に対する甘えのような物があった。守ってもらう事ばかり考えてる甘えた男の考え方だ。まりなちゃんの強くてカッコいいところしか見ておらず彼女の弱さや脆さから目を背けていた。初めは少しずつ矯正していこうと思っていたが、まりなちゃんに『勉強が忙しい』と嘘をついてまで私と会ってた事を知ったから、これまでの男と同様に『壊す』事に迷いは無くなった。

    だから最後に彼にどれだけまりなちゃんの事を知ってるのか『テスト』をした。私がまりなちゃんの話題を振っても碌な答えが返ってこなかったのでそろそろ楽にしてあげた。これは私なりの慈悲だ。

    「まりなちゃん。安心してね、本当に君の事を支えてくれる男性が現れるまでは私がちゃんと支えてあげるから」



    【終】

  • 41二次元好きの匿名さん22/04/08(金) 02:56:01

    😙

  • 42二次元好きの匿名さん22/04/08(金) 11:25:36

    感情が…重い…!
    しかしホントに良い関係だよなぁこの二人

  • 43二次元好きの匿名さん22/04/08(金) 22:45:49

    しずかちゃんの魔性の女感の描写が素晴らしい

  • 44二次元好きの匿名さん22/04/09(土) 10:39:05

    3人目の末路で笑った

  • 45二次元好きの匿名さん22/04/09(土) 10:49:16

    もうしずかちゃんが娶ればいいのでは?

  • 46二次元好きの匿名さん22/04/09(土) 22:32:14

    やはりこの方のSSは素晴らしい

  • 47二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 10:32:15

    というかまりなちゃんに嘘を付きながらしずかちゃんと仲良くできると思っているあたりこの男結構アレだな

  • 48二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 22:32:34

    もし新作を書いてくださるのであれば楽しみにしています

  • 49二次元好きの匿名さん22/04/10(日) 22:40:59

    スレ主だけどいくつか書きたいのはあるけど今時間がないから書く暇無い
    でも好評みたいなので書こうと思う

  • 50二次元好きの匿名さん22/04/11(月) 10:32:29

    それならば仕方ないですね
    気長に待ってますので、また時間に余裕が出来た際には新作を楽しみにしています

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