【ホラー注意】廃病院ぶっ壊しに行こうぜ!【7:30】

  • 1スレ主25/06/07(土) 20:51:35

    ────目が覚めたら、そこは廃病院の入口だった。

    「行くか、アイツらを探しに」

    「待っててね、レオ。必ず助けるから」

    「取り込まれてバケモンになってんじゃねーだろうな」

    「可能性としては有り得るな。バケモンでもサッカー出来ればそれでいいか」

    「全然良くないんだよなー笑」

    時計の針が刻むのは、“時間”ではなく、“精神の崩壊”。…いや、この物語では“廃病院の崩壊”が正しいだろう。

    なぜなら、目に見えないものが、確かにこちらを見ていても、それを叩き潰すのが彼らの役割だからだ。

  • 2スレ主25/06/07(土) 20:51:53

    このスレは、ブルーロックの登場人物による探索型ホラーSSです。

    舞台は“廃病院”。以前ここにやってきた潔世一、烏旅人、御影玲王、二子一揮は、廃病院に取り込まれてしまいます。

    そこで4人を救出するためにやってきたのが千切豹馬、凪誠士郎、糸師凛、糸師冴。彼らの逆襲劇が始まります。

    ※「時計の針が進むたびに、俺たちは壊れていく」のifルートになります。こちらをお読みいただいた後の方が、より物語が楽しめると思います。

  • 3スレ主25/06/07(土) 20:52:10

    ※プレイヤーの選択(安価)、運命(ダイス)によって、ストーリーの進行・視点が変化します。

    ※選択肢次第で“発狂”“精神崩壊”“絆”に分岐するかもしれません。

    ※正気度(SAN値)管理あり。

  • 4スレ主25/06/07(土) 20:53:55

    【ホラー注意】廃病院ぶっ壊しに行こうぜ!|あにまん掲示板────目が覚めたら、そこは廃病院の入口だった。「行くか、アイツらを探しに」「待っててね、レオ。必ず助けるから」「取り込まれてバケモンになってんじゃねーだろうな」「可能性としては有り得るな。バケモンで…bbs.animanch.com

    【ホラー注意】廃病院ぶっ壊しに行こうぜ!【1:00】|あにまん掲示板────目が覚めたら、そこは廃病院の入口だった。「行くか、アイツらを探しに」「待っててね、レオ。必ず助けるから」「取り込まれてバケモンになってんじゃねーだろうな」「可能性としては有り得るな。バケモンで…bbs.animanch.com

    【ホラー注意】廃病院ぶっ壊しに行こうぜ!【4:00】|あにまん掲示板────目が覚めたら、そこは廃病院の入口だった。「行くか、アイツらを探しに」「待っててね、レオ。必ず助けるから」「取り込まれてバケモンになってんじゃねーだろうな」「可能性としては有り得るな。バケモンで…bbs.animanch.com

    【ホラー注意】廃病院ぶっ壊しに行こうぜ!【5:00】|あにまん掲示板────目が覚めたら、そこは廃病院の入口だった。「行くか、アイツらを探しに」「待っててね、レオ。必ず助けるから」「取り込まれてバケモンになってんじゃねーだろうな」「可能性としては有り得るな。バケモンで…bbs.animanch.com

    【ホラー注意】廃病院ぶっ壊しに行こうぜ!【7:00】|あにまん掲示板────目が覚めたら、そこは廃病院の入口だった。「行くか、アイツらを探しに」「待っててね、レオ。必ず助けるから」「取り込まれてバケモンになってんじゃねーだろうな」「可能性としては有り得るな。バケモンで…bbs.animanch.com
  • 5スレ主25/06/07(土) 20:54:21

    ■キャラヘイトを目的とするものではありません

    ■キャラsage、腐発言、アンチコメはお控えください

    ■荒らしはスルーします

    ■ゆっくり進行ご容赦ください(平日は仕事の都合上、特に進行が遅くなります)

    ■感想、質問、イラスト等頂けるとスレ主が大変喜びます

    ■広域ホスト規制に巻き込まれがちです。保守して頂けると幸いです(23時~8時は特に)

  • 6二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 20:54:49

    このレスは削除されています

  • 7スレ主25/06/07(土) 20:55:16

    【登場人物紹介】


    千切 豹馬(ちぎり ひょうま)/初期SAN値:22→27

    マイペースでよく笑い、よく叫ぶスピードスター。
    突飛な出来事に驚きつつも、誰よりも仲間を信じている。4人の奪還のために全力を尽くす、熱き疾風。

    「13:00遊園地ホラー」のクリア経験者。
    「廃病院ホラー」にも登場。精神に“ある記憶”が刻まれている。


    ■固有能力

    【光刃の脚】怪異の行動を先読みし、自動回避と自動反撃を行う(2回まで・回避ターンで攻撃可能)
    【絆の加速】戦闘時、追加攻撃し、+1のダメージを与える(2回まで)
    【共鳴の記憶】遊園地ホラークリア特典。SAN値減少イベントを1回自動回避できる
    【疾風の破片】遊園地ホラークリア特典。罠や影の追跡から仲間を救出できる(2回まで・味方1名の回避失敗を自動成功に変換する)


    ■初期装備

    ・かりんとう饅頭×3:SAN値+4回復

    「廃病院って部屋多くね?絶対あと3つじゃ足りないだろ」

  • 8スレ主25/06/07(土) 20:56:06

    凪 誠士郎(なぎ せいしろう)/初期SAN値:25→26

    マイペースでルーズ、何事にも「面倒くさい」が口癖。怪異にも無表情で動じず、声すらあげない超然プレイヤー。御影玲王を救うため、「頑張りまーす」と静かに決意を燃やす。

    「廃病院ホラー」にも登場。


    ■固有能力

    【夢境感知】見えない怪異の存在を探知し、戦闘開始前に怪異に先制攻撃(自動成功)を与える。その後、通常通り戦闘開始の行動に参加可能(3回まで)
    【無意識の庇い】仲間の致命的失敗を肩代わりし、かつ自身のSAN値減少を無効化することができる(3回まで・なにかに突き動かされた感覚だけが残る)
    【静寂の再演】探索・戦闘時の【大失敗(ファンブル)】および【失敗】を2回まで【自動成功】に変換する。その発動は無意識下で行われ、凪自身も「使った」感覚はない。だが確かに、あの装置が“自分を守る”ことだけはわかる。


    ■初期装備

    ・レモンティー×3:SAN値+4回復

    「レモンティー飲んだら絶不調になった。もしかして腐ってた?」

  • 9スレ主25/06/07(土) 20:56:50

    糸師 凛(いとし りん)/初期SAN値:24→26

    高圧的かつ超エゴイスト、口も態度もとにかく強気。ホラー好きで、廃病院の突入にも密かにワクワクしている。兄にはなぜか強く出られず、ちょっとだけ不器用。

    「13:00遊園地ホラー」のクリア経験者。
    「廃病院ホラー」にも登場。精神に“ある記憶”が刻まれている。


    ■固有能力

    【百鬼夜行】戦闘イベント時、怪異の行動を2ターン封じ、攻撃に専念することができる(持ち越し可能)
    【記憶の盾】自分と味方全員のSAN値減少を1回ずつ無効化できる(重複不可)
    【共鳴の記憶】遊園地ホラークリア特典。SAN値減少イベントを1回自動回避できる。
    【記憶のページ】遊園地ホラークリア特典。 “消されかけた記憶”や“不自然な空間”を感知し、1度だけ探索を自動成功にすることができる


    ■初期装備

    ・鯛茶漬け×3:SAN値+4回復

    「なんか思ったのと違った。好物は落ち着いた場所で食うのが1番だな」

  • 10スレ主25/06/07(土) 20:57:34

    糸師 冴(いとし さえ)/初期SAN値:23→27

    冷静かつ天然、日本の至宝と呼ばれる実力者。口が悪いが的確に褒めるタイプで、弟の態度は「反抗期」で片付ける。驚いた時は小さく反応、目を見開くのが最大のリアクション。

    「13:00遊園地ホラー」のクリア経験者。
    「廃病院ホラー」にも登場。精神に“ある記憶”が刻まれている。


    ■固有能力
    【断罪の策略】攻撃につき成功人数+1ダメージを与え、敵の攻撃を1回無効化できる(1ダメージは常に継続)
    【最適解】自分または味方1人の失敗判定を再試行できる(1部屋1回まで)
    【共鳴の記憶】遊園地ホラークリア特典。SAN値減少イベントを1回自動回避できる
    【白き空間の鍵】遊園地ホラークリア特典。他人の精神領域に1回だけ“干渉”して引き戻すことができる(精神異常発生時、精神を安定させることが可能)


    ■初期装備

    ・塩こぶ茶×3:SAN値+4回復

    「廃病院にテレビがあって、ちびまる子ちゃん見れれば完璧なんだけどな」

  • 11二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 21:03:17

    このレスは削除されています

  • 12スレ主25/06/07(土) 21:11:37

    暗い部屋に、ほのかに差し込む蛍光灯の明滅。

    4人はそれぞれ、得た情報とアイテムを手にしながら中央に集まり、互いの結果を確認し合う。


    千切は、ガラス片を払った掌に《ペイルミリオン・コード》と《喚起プレート:No.11》を載せながら、顔を上げた。


    千切「こっちはそれなりに当たりだった。……でも、あの“跡”、ヤバかったな……」


    冴は無言で《蛍光グリーンの小さな箱》を差し出す。

    凛が懐から、小さな宝石を取り出すと──


    「にゃ、にゃ」

    ヨイチが、足元で小さく鳴いた。
    まるで宝石が“帰るべき場所”に辿り着いたことを、祝福するように。


    冴「……入れてみろ。気になる反応だな」

    凛がそっと宝石を箱に収めると、箱はごく淡い光を放ち始めた。まるで“呼吸”するように、グリーンの脈動が繰り返される。


    凪「ふーん……勝手に起動する系ね。便利じゃん」

  • 13スレ主25/06/07(土) 21:13:17

    一方、凛は淡々と《対象名称:A20号被験体》の資料を手に持ち、声を落とす。


    凛「こっちは……幻影系。擬態と自己複製、やばいタイプだ。記憶に干渉して、幻覚で油断させてくる……」

    千切「つまり、知ってる奴の姿で近づいてくるってことか?」

    凛「ああ。それで“捕食”。記録上“行方不明”になってる職員、多分……」


    誰も言葉を継がない。


    静かな空気を、凪が手にした《ラグナ・オービット》の中で揺れる“光の粒”が、わずかに照らす。


    凪「こっちも、まあまあ。当たれば強いってやつ。失敗、チャラにしてくれるって」

    冴「……千切。あのプレート、番号覚えておけ。次の部屋で揃うかもしれん」

    千切「ああ、了解。No.11……って、ちょうどサッカーチームの人数じゃん。運命か?」

    凛「黙ってろ」


    そして、一同の視線がまた、次の扉──第二区画へと向かっていく。

    一つずつ、真実と危機が近づいている。

  • 14スレ主25/06/07(土) 21:22:29

    ──音もなく、霧が満ちる。

    空気が、急速に重くなる。
    ほんの一瞬で、視界が“白”に染まっていった。

    霧でもない、ガスでもない、これは……記憶の霞。
    それぞれの脳裏に、“何か”が割り込もうとしてくる錯覚。


    凛「……この感じ、来たな」

    千切「また化け物か……っ!」

    カツ、カツ、カツ……
    規則的な革靴の音が、どこからともなく響いてくる。
    それは足音でありながら、空間に“姿”を持たない。

    冴の眼光が鋭くなる。
    彼の背後で、猫のイッキがぴたりと動きを止めた。


    凪「……見えない。でも、“いる”」


    壁際の鏡。
    割れかけたその破片の中にだけ、“それ”は映っていた。

    ──白衣。
    ──人の形。
    ──だが、顔は“誰か”のものに変わり続けている。

  • 15スレ主25/06/07(土) 21:23:09

    凛。冴。千切。凪。
    4人のうちの誰かの顔を、次々に“借りながら”、
    こちらを見ていた。

    それは、記憶に潜り、姿を盗み、感情を引き裂く存在。鏡の中でだけ“笑っている”それが、ゆっくりと手を上げた。


    「……ワスレタノ? オレノコト……」

    凛「なにが“俺”だ。気安く名乗んな、化け物」


    床が軋む。
    天井の蛍光灯が一斉に点滅を始めた──その瞬間。


    ──ガンッ!!!──


    鏡の破片が内側から叩き割られ、
    “それ”は、“外”へと侵入してきた。

  • 16スレ主25/06/07(土) 21:23:41

    千切「よっしゃあ!走ってぶっ飛ばすだけだろ!」


    冴「……気を抜くな。相手は、こっちの“顔”を使ってくる」


    凪「ふーん……じゃあ、どっちが“本物”か、確かめてみよっか」


    凛「“自分自身”に負けるつもりはねぇ。こっちは最初から、全部本物だ」



    【A-7通路:第一区画“剥離の間”】《模倣者:A20号》

    (5回攻撃成功で討伐完了/70以上で攻撃成功)

    千切:dice1d110=90 (90)

    凪:dice1d110=9 (9)

    凛:dice1d110=28 (28)

    冴:dice1d110=92 (92)

    ※A20号の情報入手:+5補正

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 17スレ主25/06/07(土) 21:31:37

    【戦闘開始】7:00
    【凪の失敗:凪のクリティカルで成功に変換/凛の失敗:冴のクリティカルで成功に変換】
    【冴の固有能力:断罪の策略──発動】


    霧のように輪郭を滲ませながら、
    千切の“顔”を模したそれが、笑った。


    「……タスケテ、って言っただろ……?」

    千切「──うるせぇよ。俺は“そんな顔”しねぇ!」


    バッ──ンッ!

    千切の脚が、赤い残像を引いて空気を裂いた。
    疾走し、真正面から“偽りの自分”を蹴り飛ばす。

    千切「本物の速さ、教えてやるよ!!」


    直後、背後から静かに歩き出していた冴が、冷たい声で言った。


    冴「“顔”は真似できても、“頭”の中身までは真似できねぇよな」

    「……オマエ、“冴”じゃない」

    冴「当たり前だ。俺は“俺”だ」

  • 18スレ主25/06/07(土) 21:35:31

    ドガッ──!

    冷徹な脚払いが炸裂し、続けて──


    冴「さっきから、誰の真似しても中途半端なんだよ。“俺”の顔すんな」


    模倣者が、顔を変える。
    今度は凪の顔。笑っているような、無表情。


    「オレって、なにも考えてないし……たぶん、ラクに死 ねるよね?」

    凪「ふーん……“俺”の顔でそれ言うの、失礼じゃない?」

    凪の手が、ふわりと前に出る。


    凪「──こうやって、ちゃんと“戦ってる”んだよ」


    模倣者が、最後に選んだ顔は──“凛”。


    「……もういいだろ、戦わなくても。“オマエ”も、誰かの幻影でしかない」

    凛「……甘えんな。こっちはな、何度でも“自分”に打ち勝ってきたんだよ」

    ──凛の背後、“目”と“口”を持つ禍々しい気配が一瞬浮かぶ。

  • 19スレ主25/06/07(土) 21:49:13

    凛「……今の俺は、前よりずっと強い。“俺自身”を乗り越えたからな!」


    ズガァッ──!!

    全身から放たれる鋭い蹴撃。
    “偽りの自分”が、ついに地に叩き落とされる。


    模倣者の姿が、一度ぐにゃりと歪む。
    “誰か”の顔、“何か”の記憶、“自分”の影──
    すべてが断ち切られ、A20号は静かに崩れ落ちた。

    空間に満ちていた霧が晴れていく。
    破片となった鏡が床に落ち、静寂だけが戻った。


    凛「……これで、“お前”の真似も終わりだな」

    千切「やっぱ、自分の顔で戦うのがいちばんだな」

    冴「“本物”の価値ってやつ、見せつけてやったな」

    凪「うん……、かっくいー」

  • 20スレ主25/06/07(土) 21:50:29

    ──静寂が戻った、“剥離の間”。

    ひときわ歪んでいた壁の奥に、
    隠されていた小さなボックスがあった。

    冴が無言でそれを拾い上げる。
    鈍く、金属音。扉の鍵のような──


    冴「……これは、次の扉か」

    千切がのぞきこみ、声をあげる。


    千切「おっ、タグみたいな……あ、なんか緑のもある!」

    凪が拾い上げたのは、《蛍光グリーンの札》──
    掌ほどのサイズで、金属製の“札”。

    その表面には、蛍光グリーンの紋様が淡く光っていた。


    凪「これ、あの箱につけるやつ……かな」

    冴「箱、俺が持ってるやつだな。試してみるか」

    冴が《蛍光グリーンの小さな箱》を取り出す。
    その中には、凛がかつて拾った“蛍光グリーンの宝石”が収納されている。

    冴が札をスライドさせ、箱の側面に着用した──

  • 21スレ主25/06/07(土) 22:01:17

    ──カチリ、と音が鳴った瞬間。


    「……にゃあ」

    千切の隣にいた黒猫、ヨイチが小さく鳴く。
    だが、その声に含まれた“違和感”に、全員が視線を向けた。


    ヨイチ「……ここまで来れたんだな」

    千切「……ヨ、イチ……?」

    ヨイチ「“身体”は……まだあそこにいる。けど、俺の“意識”は──少しだけ、帰ってこられた。……お前らが、見つけてくれたおかげだ」

    その声は微かに震え、
    けれど確かな“自分”を取り戻した響きをしていた。
    どこか懐かしく、やさしく、それでいて強く。


    ヨイチ「……“全部”思い出してるわけじゃない。けど……お前らの顔は、覚えてる。だから──力を貸す。今は、それが……俺にできる、全部だから」

    千切「……ッ、ヨイチ……!」

    冴は目を細めて一言。


    冴「……ありがとな、“潔”」

  • 22スレ主25/06/07(土) 22:02:45

    ヨイチの瞳がゆっくりと閉じられる。


    ヨイチ「……頼む。……“お前ら”が、“俺たち”を取り戻してくれ」


    次の瞬間──
    ヨイチはいつものように「にゃあ」と、短く鳴いた。


    凛「……戻ったか」

    凪「……必要な時だけ、喋るって感じだね。便利だなー猫って」

    冴「便利とか言うな。本人なんだぞ」

    千切「でも……ヨイチがちゃんと、帰って来てるなら……絶対、助けられるよな。みんなも」

    凛「……ああ。全部、取り戻す」


    ■お知らせ
    ・潔世一の奪還条件が全て揃いました。
    ・これより支援プロコトルを起動します。
    ・以下の固有能力が使用可能になります。
    【直感の導き】一度だけ、最善の選択肢を自動で選べる。
    【共鳴の記憶】SANチェック1回を自動成功扱いにできる(使用後破棄)。

  • 23二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 22:11:46

    なるほど
    完璧な奪還のためにはパーツ集めが必要なんだ
    逆にパーツ足りないとどうなるんだ?
    奪還自体ができないのか、身体を奪還できても何か足りない的な感じになるのか

  • 24スレ主25/06/07(土) 22:16:22

    >>23 パーツは優先して配布するようにしているので、相当なことがない限りは全部揃う予定ではあります(奪還が目的なので…)!ただ、全部揃わなかった場合でも、影響はあまり出ないようにします(例えば、廃病院の記憶が全て消えている(クリア特典が消失)等)。

  • 25スレ主25/06/07(土) 22:17:22

    異形の模倣者──
    A20号の残滓が、霧とともに消えていったその後。

    室内の異様な気配はゆるやかに引き、
    けれどまだ“完全に消えた”とは言い難い。


    千切が足元を確かめるように一歩踏み出し、扉の方へ振り返る。


    千切「……行こっか。次だろ」

    凪も軽く頷き、レオを抱き上げる。


    凪「うん、……まだ終わってないからね」


    冴が先頭に立ち、静かに扉へ手を伸ばす。


    ギイ……ッ。

    第一区画の重たい金属扉が、
    鈍く軋む音と共に再び開いた。

  • 26スレ主25/06/07(土) 22:18:19

    目の前に広がったのは、先ほどの廊下と同じく無機質なタイルが続く、だがより一層“静か”な空間。

    正面には、またひとつ別の扉──


    【第二区画:喪失の観測区】

    その中央には、奇妙な形状の鍵穴と、
    かすかに滲むような光の刻印。

    まるで「選ばれた者だけが進め」とでも言うような、抑制された“意志”のような圧があった。


    冴は懐から、《A-7通路 第2扉:解錠キー》を取り出す。

    銀色の金属片には、微かに摩耗した文字列。

    「──K-A7-D2:ACCESS──」


    冴「……これで、開くはずだ」


    鍵をゆっくりとスロットに差し込み、回す。


    カシャン……ッ!

    重厚なロックが解除される音。
    それに続き、扉の縁が淡く光る──

  • 27スレ主25/06/07(土) 22:22:33

    金属扉が、鈍く重い音を立てて開いた。

    ……次の瞬間、肌を撫でるような冷気が、まるで生き物のように室内から流れ出す。


    千切「……うわ、ここも空気が違うな……」

    室内は、淡い蒼白の光に包まれていた。
    それは天井の照明からではなく、どこからともなく滲み出ているような──“存在しないはずの光”。


    凪「なんか……生きてる感じ、する」

    凛「観測室、か。けど……観測してたモンが、もういねぇって空気してるな」

    窓のない無機質な空間に、
    巨大な観測モニターが沈黙していた。
    その周囲には、複数の記録端末と監視カメラの制御装置。

    だが──


    冴「映ってねぇな。……焼き切られてる」

    どのモニターにも、映像は残っていない。
    “何か”が映っていたはずのその場所には、
    ただ黒く焼け焦げた痕跡だけが残っていた。

    天井から垂れ下がる電源ケーブル。
    床に散乱する、破れた記録ノート。

  • 28スレ主25/06/07(土) 22:23:28

    凛「……“日常の観察”って書いてある。何の観察だよ……」

    記された記録はいずれも途中で掻き消され、
    読み取ることはできない。


    そして、彼らの視線が止まる。


    冴「……見ろ、壁」

    この部屋の壁という壁には、
    何層にも渡る修復の跡が残っていた。

    ひび割れを覆い隠すような金属の継ぎ目、
    強引に塗り固められたセメント。

    内側から、まるで“何か”が這い出そうと暴れたかのような激しい損壊の跡。


    千切「……出ようとしてた、ってことか? 中から……何かが……」

  • 29スレ主25/06/07(土) 22:24:02

    そして──

    扉の裏側、
    さっきまで彼らの背を預けていたその場所に。
    巨大な拘束具が、破壊され、垂れ下がっていた。


    千切「っ……!おいこれ……閉じ込めるためのじゃねぇか」

    凪「うわー……壊れてんじゃん。完全に出て行ったあと、だね」

    凛「……冗談だろ。“出た”なら、今どこにいるんだよ」

    冴「どこにいようと、俺たちが行くのはその先だ。準備を整えとけ」


    その言葉に、再び緊張感が走る。

    今は静寂に包まれたこの空間が、
    “嵐の目”でないことを、彼らはまだ知らない。

  • 30スレ主25/06/07(土) 22:30:53

    本日は規制がかかるまで更新を続けます。
    パーツ集めは奪還編の醍醐味であり、アイテム入手時の圧迫(SAN値減少無効とか拾えない)による嫌がらせでもあります。
    土日で終わらせたかったのですが、たぶん平日にくい込みますのでご容赦くださいませ。

  • 31スレ主25/06/07(土) 22:32:54

    【A-7通路:第二区画“喪失の観測区”エリア】


    ①観測モニターの背面部
    配線が焼け落ち、焦げた臭いが漂う。背面には開閉できるメンテナンスボックスあり(異常発生リスク中)

    ②散乱した記録ノート群
    ページが破れ、血や何かの液体が染み込んでいる。読める部分が残っているかも(異常発生リスク中)

    ③天井から垂れたコードの束
    何かが絡まっている。引き抜けば何か出てくるかも? だが不気味に揺れている(異常発生リスク大)

    ④拘束具の土台部分
    何重にも施された鍵と、摩耗した記録プレートが取り残されている(異常発生リスク中)

  • 32スレ主25/06/07(土) 22:51:57

    照明の薄明かりの下、部屋全体に冷たい空気が漂う。

    中央のモニターは沈黙したまま、
    過去の映像が焼き付いたように焦げ跡を残している。

    床の散乱、天井からの垂れ下がり、壁の修復跡。
    この空間には“何かを閉じ込めようとした痕跡”が、至るところに刻まれていた。


    千切「じゃあ、俺は──あれ見てくる。配線焦げてるけど、裏に何かあるかもだし」

    そう言って、
    千切は①観測モニターの背面へと向かう。
    焦げた臭いに鼻をしかめながらも、足取りは軽い。


    凛「……なら俺は、アレ。気味悪ぃけど、やるしかねぇだろ」

    ③天井から不気味に揺れるコードの束を見上げ、
    凛が呟く。
    その表情は冴えないが、
    足元の構えは静かに決まっている。

  • 33スレ主25/06/07(土) 22:52:28

    凪「んー、じゃあ俺は……ノートの山かな。文字読むほうが楽そうだし」

    凪は②バラ撒かれた記録ノートの山を前にしゃがみこむ。
    宝探しでもするように、
    気怠げながらも手を伸ばす。


    冴「俺は……この拘束具、調べとく」

    ④扉裏に垂れ下がる巨大な拘束装置を、
    冴がじっと見つめる。
    片手をコードの痕跡へと伸ばしながら、
    その目には微かな警戒が宿っていた。

    猫たちは、それぞれ傍にぴたりと寄り添っている。

    静かな空間に、再び“何か”が動き出す気配だけが──薄く漂っていた。

  • 34スレ主25/06/07(土) 22:55:02

    【A-7通路:第二区画“喪失の観測区”探索:①観測モニターの背面部・千切豹馬】
    【探索開始】7:00


    千切「焦げくさっ……うわ、マジでここ全部焼けてんじゃん」

    千切は観測モニターの裏側へと身を滑らせる。

    背面には、溶けたコードや焼け落ちた金属片が入り混じり、黒く変色した配線がむき出しになっていた。

    壁と機械の間に、狭い隙間。
    そこに“何か”があると、千切の勘が告げていた。


    千切「……あー、絶対中になんかあるやつだ、コレ。見つけたやつが勝ちってやつ」

    彼は手袋越しに焼け跡を探り、
    薄く煤けたプレートの下に指を伸ばす。

    メンテナンスボックスの蓋が、
    わずかに浮いているようだった。

  • 35スレ主25/06/07(土) 22:55:28

    千切「よーし、壊すなよ俺、慎重に……って言っても無理か?いや、やるしかねぇ!」


    後ろでヨイチが、かすかに「にゃ」と鳴いた。



    千切「……応援ありがと。いっちょ、開けてみますか」


    冗談めかしながらも、その手には緊張が宿っていた。


    この裏にある“何か”を開けば──

    また、病院の“深層”が見えてくる気がする。



    異常発生リスク中

    dice1d110=110 (110)

    (1〜40:大失敗 41〜70:失敗)

    (71〜90:成功 91〜110:大成功)

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 36二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 22:58:17

    お嬢!すごすぎる!!

  • 37スレ主25/06/07(土) 23:28:52

    >>36 上限解放してから、かなりの頻度で100越え出してて、やる気を感じますね…!千切はいつでも元気ですよね。

  • 38スレ主25/06/07(土) 23:36:07

    【探索大成功】7:00


    メンテナンスボックスの蓋が、ゆっくりと開いた。

    中には焼けた配線の奥に、
    うっすらと光る記録チップ──

    そして、それを取り巻くように灰色のホコリが舞っていた。


    千切は息を呑み、そのチップを取り出す。
    機械音とともに、チップの再生が始まった。


    【記録情報:観測怪異 M-13】

    名称:観測怪異 M-13
    特性:観測者の記憶へ“視覚的に干渉”し、虚偽の過去や“存在しなかった出来事”を挿入する。
    映像を通じて観測されると、観測者自身の認識を“上書き”するように変質。
    記録上、“自分が殺された記憶”を持ち帰った職員も存在する。

  • 39スレ主25/06/07(土) 23:36:46

    千切「自分が殺された記憶……、上書きとか最悪じゃん……」


    データの読み出しが終了すると、焼けた配線の奥から──光が一瞬、明滅した。

    そこにあったのは──千切たちがすでに一度見たことのある《小さな箱》だった。


    千切「……ダークブルー。今度はこっちの色か」

    小さな箱を手に取った瞬間、
    ヨイチが「にゃ」と短く鳴く。


    千切「……凛が持ってる宝石と、これ多分、対応してる。第一区画のと同じタイプだ」

    言葉を選ぶように、慎重に──
    けれどどこか、仲間を信じる強さを滲ませながら。


    千切「これで……また、何か変わるかもな」

    そう言って、そっとそれを自分のポーチへと収めた。


    ■入手アイテム
    ・《ダークブルーの小さな箱》×1:中に入手したダークブルーの宝石を入れることができる。効果は不明。

  • 40スレ主25/06/07(土) 23:40:55

    【A-7通路:第二区画“喪失の観測区”探索:②散乱した記録ノート群・凪誠士郎】
    【探索開始】7:00


    無数に撒き散らされた紙片を、
    凪は黙って見下ろしていた。

    踏み込むたびに、
    足元でノートがかさりと音を立てる。

    血と液体の染みが、
    破られたページをまだらに汚していた。


    凪「……全部、ぐちゃぐちゃ」

    しゃがみ込み、最もまとまった束を拾い上げる。

    その表紙には、かすれた職員名と日付の一部。
    けれど、文字の多くは見えなくなっている。

  • 41スレ主25/06/07(土) 23:41:26

    レオが、床の紙を軽く踏んで歩き、

    凪の横でぴたりと座り込んだ。


    紫の瞳が、じっとノートの中身を覗いている。



    凪「……わかったよ。見てみる」


    湿った紙を指でめくるたび、破れそうな音が響いた。


    記録の断片。

    その隙間に、“何か”が残されているのを感じながら──凪は、読み進めていく。



    異常発生リスク中

    dice1d110=59 (59)

    (1〜40:大失敗 41〜70:失敗)

    (71〜90:成功 91〜110:大成功)

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 42二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 03:37:18

    たくさん更新お疲れ様です!
    箱二つ目ゲットおめでとう!次に喋る猫ちゃんはタビトかなー楽しみ

    千切が最大値出しててびっくりした
    今まで不調続きで心配だったけどだいぶ調子が戻ってきたね
    このスレ入ってからの凪のキャラ紹介の一言コメントに笑った
    最新のダイス失敗したのレモンティーのせいだったりする?

  • 43スレ主25/06/08(日) 09:22:58

    >>42 ありがとうございます!タビトが喋るのはいつになるかな、という所です!ストレートに行けば戦闘後かな。

    好調のキャラと不調のキャラがいて、相変わらずどうするか悩みます…。好物飲んだのに絶不調の凪は、レモンティーが腐ってた以外に考えられません笑


    さて、本日もどうぞよろしくお願いします!

  • 44スレ主25/06/08(日) 09:28:37

    【冴の固有能力:最適解──発動】


    ノートの中身を読み進める途中、
    わずかな震えと共に、
    空気の温度が下がった気がした。


    凪「……あー、これ、やばいかも。やっぱ、やめとこっかな……」

    だがそのとき、背後から聞き慣れた声が響く。


    冴「凪誠士郎、お前。そこで引いたら後悔するぞ」

    凪「……うわ、来た。冴の圧」

    冴は静かに歩み寄ると、
    ノートの束を一瞥してから言った。

  • 45スレ主25/06/08(日) 09:29:10

    冴「そこにあるのが、次の鍵かもしれない。やり直せ。お前ならできる」


    凪「……そうやって無責任に煽って、やり直させんの、好きだよね」



    そう言いながらも、

    凪はもう一度、ページへと指を伸ばした。


    静かに──しかし今度は、覚悟を決めた目で。



    凪「んじゃあ……いっちょ、やってみますか」


    その目はさっきよりわずかに鋭く、

    そして真剣だった。



    異常発生リスク中

    dice1d110=9 (9)

    (1〜40:大失敗 41〜70:失敗)

    (71〜90:成功 91〜110:大成功)

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 46スレ主25/06/08(日) 09:35:20

    【再試行失敗】7:00
    【再試行より探索時のダイスの出目が大きいため、そちらを採用】
    【《ヴェイガーズ・タグ》使用:SAN値減少無効化】


    さらに読み進めていくと、破れかけたページの隙間に、何かが挟まっているように見える。


    凪「……なんか挟まってんの、見えてんだけど。こういうのって、だいたいヤバいやつだよね」

    指先でそっと一枚を摘み上げる。
    途端に、ぬめりとした感触が指に絡みついた。


    凪「……うわ、これ血?それとも……なんだコレ、嫌な感じ」

    ページをめくったそのときだった。
    ノートの間から、何か黒い“影”が這い出してきた。


    ──グ……ズ……ズ……。


    べたついた水音と共に、
    黒く濁った“手”のようなものが、凪の手首をつかもうと伸びてくる。

  • 47スレ主25/06/08(日) 09:36:39

    凪「……気持ちわる。なんでだろ、嫌な予感したんだよね」


    その瞬間、タグがポーチの中でわずかに震えた。

    《ヴェイガーズ・タグ》──
    黒い逆三角形のチャームが、静かに光を放ち始める。


    凪「……レオ。引っ張られそう、助けて」


    「んにゃ」

    低く短い鳴き声と同時に、
    チャームから黒い波紋が拡がった。

    “影”はまるで強い風に逆らえない塵のように、
    空中で引き裂かれる。

  • 48スレ主25/06/08(日) 09:37:08

    ──ヒュ……ン……

    残されたページの隙間は、
    もはやただの紙束にしか見えなかった。

    気配も、悪寒も、すべてが消え去っていた。


    凪「……助かった。マジで危なかったな、あれ」

    軽く息を吐いて立ち上がる。

    濡れた指先を拭いながら、
    ちらりと床に落ちたノートの束に目をやるが──

    もう、それを拾う気にはなれなかった。


    凪「……次、ちゃんとしたの拾えたらいいんだけど」

    タグは光を失い、
    静かに凪の手から滑り落ちるように、砕けて消えた。

  • 49スレ主25/06/08(日) 09:44:05

    【A-7通路:第二区画“喪失の観測区”探索:③天井から垂れたコードの束・糸師凛】
    【探索開始】7:00


    天井の一角──
    そこから、だらりと垂れ下がるコードの束。

    切断された端末から引きちぎられたのか、何本ものケーブルが“人の髪のように”ぶら下がっていた。

    その絡まりの奥に、
    “何か”が引っかかっているのが見える。


    凛「……ああいうの、絶対ロクなもんじゃねぇけど──やるしかねぇな」

    コードを見上げながら、凛は小さく息を吐いた。
    その目は、いつも通り鋭く、冷静な判断の光を宿している。

    すぐ後ろでは、タビトが「ンニャ」と一声あげて、その尻尾を揺らした。

  • 50スレ主25/06/08(日) 09:44:53

    凛「……オマエも嫌な感じしてんのか」


    一歩、天井下へと踏み込む。


    その途端、空気が、変わった。

    コードが風もないのに“揺れた”ように見えた。



    凛「──チッ、これ“動いてる”のか……?」


    いつか聞いた冴の言葉を思い出す。



    ──『動くなら、理由がある。』



    凛「その“理由”、ぶっ壊してから帰るか」


    そう呟き、凛はコードの束に手を伸ばした。



    異常発生リスク大

    dice1d110=5 (5)

    (1〜40:大失敗 41〜75:失敗)

    (76〜95:成功 96〜110:大成功)

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 51二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 09:51:35

    出目が極端!!

  • 52スレ主25/06/08(日) 09:57:08

    >>51 やる気がない!!大失敗(ファンブル)を出すな!!!というわけで、固有能力使っちゃいます。

  • 53スレ主25/06/08(日) 09:58:15

    【探索大失敗(ファンブル)】7:00
    【潔の固有能力:直感の導き──発動】


    凛の手が、束ねられたコードに触れた瞬間だった。


    ──ビチャッ。

    冷たい感触が、掌に這った。


    凛「……は?」

    コードの奥から、“ぬめり”が這い出したような、……いや、それ以上に不気味な感触。

    次の瞬間、天井に取り付けられていたケーブル束全体が、まるで“意思を持つ触手”のように――


    ギチ……ギチ……ギチギチギチ

    “締めつけるように”蠢き始めた。


    凛「っ……!?野郎……ッ!!」

    凛が跳ねのけようとした、その時だった。

    いつの間にか傍らで待機していた猫──ヨイチが、
    ふいに足元へと歩み寄ってきた。

  • 54スレ主25/06/08(日) 10:00:39

    「……にゃ」

    短く、鋭い鳴き声。
    次の瞬間、凛の中で“何か”が閃いた。


    凛「……この向き……上から、じゃねぇ……」

    凛の指が、無意識に導かれるように――垂れ下がったコードの“裏側”、天井板との隙間に、スッと差し込まれた。
    すると、今までの“動き”が嘘のようにピタリと止まる。


    凛「は……?おい、マジかよ」

    今の行動が“正解”だったことに、気づく。
    まるで、“何かの目”に見張られていたような悪寒が、すっと消えた。


    凛「……フン。やるじゃねえか」

    ヨイチはそれには応えず、
    かすかに尻尾を揺らしただけだった。

    代わりに、天井からふわりと落ちてきた金属片が、凛の手元に転がった。

    コードはもう動かない──が、“ここにいた何か”の痕跡は、まだ空気の中に残っていた。


    ■入手アイテム
    ・《エンデュラ・チャーム》×1:探索・戦闘において、失敗時のSAN値減少を1回のみ完全無効化。

  • 55スレ主25/06/08(日) 10:04:53

    【A-7通路:第二区画“喪失の観測区”探索:④拘束具の土台部分・糸師冴】
    【探索開始】7:00


    部屋の片隅──
    その“拘束具の土台”は、もはや役目を終えたように、ひしゃげて沈黙していた。

    冴はゆっくりと足を止め、鋭く目を細める。

    壁から吊るされた残骸、錆びついた金属のフック。
    中央には、何重もの施錠が外れた跡と、
    摩耗しきった記録プレートが取り残されている。


    冴「……これで何を、封じてたんだか」

    誰に問うでもなく呟いたその声は、
    冷たく澱んだ空気に吸い込まれていった。

    記録プレートには、
    かつて何かが書かれていた痕跡がある。

    だが、擦り切れ、指でなぞっても意味を成さない。

    そのすぐ傍──
    崩れた土台の下に、まだ何かが隠れているような気配があった。

    冴はしゃがみ込み、金属板の隙間へと指先をかける。

  • 56スレ主25/06/08(日) 10:05:34

    冴「……さて、何が出るかな」


    その声音にはいつものように緊張はなかったが──

    背後で、猫のイッキがそっと近づき、「にー」と控えめに鳴いた。



    冴「お前がそう言うなら、正解なんだろ。……開けてみるか」


    静かな気配とともに、

    冴の手が土台を押しのけていく──。



    異常発生リスク中

    dice1d110=80 (80)

    (1〜40:大失敗 41〜70:失敗)

    (71〜90:成功 91〜110:大成功)

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 57スレ主25/06/08(日) 10:17:13

    【探索成功】7:00


    ……金属音が静かに響いた。

    糸師冴の手元で、崩れた土台の隙間から、
    なにかが“カシャン”と転がり落ちた。


    冴「……ん?」

    落ちてきたのは、小さな銀色のカプセル。

    否──よく見れば、それは小型のデバイス。
    表面に精密な加工が施され、二重構造のようにわずかに動く層がある。

    冴が手に取ると、内側のパネルが僅かに光を放ち──その瞬間、視界の端に奇妙な“揺らぎ”が走った。


    冴「選ばせてくれる、ってことか」

    冴は淡く笑う。

  • 58スレ主25/06/08(日) 10:17:39

    イッキがその足元で「にー」と鳴いた。
    まるで、それが“使えるもの”だと知っているかのように。

    そのデバイスには小さく、
    コードのようなものが刻まれていた──


    【Selector-Type:R.G.V.】


    どうやらこの装置は、
    “探索時に選択肢を増やす”機能を持つらしい。
    冴の直感が、そう告げていた。


    ■入手アイテム

    ・《R.G.V.セレクター》×1:探索時において、ダイスを2回振り、そのうち出目の高い方を採用できる。2つとも成功または大成功の場合、使用を温存できる(1回限定)

  • 59スレ主25/06/08(日) 12:24:56

    探索を終えた4人が、再び部屋の中央へと集まる。

    互いの成果を言葉少なに確認しながら、
    手元のアイテムや情報を見せ合う。


    千切「……俺、壁の裏んとこにこれ。見つけた」

    そう言って千切が掲げたのは、
    小さなチップと、深い色をした箱だった。

    千切が拾った記録チップを、
    凛が手に取り、光に透かす。


    凛「……“M-13”、記録怪異か。映像見ただけで記憶をいじられる……」

    冴「強制的に過去を改ざんするタイプ……面倒だな」

    そう呟きつつ、冴は静かに目を細める。


    一方その間に、
    千切が手にした《ダークブルーの小さな箱》へ──
    凛がそっと、自分の所持していたダークブルーの宝石をはめ込む。

    カチリ、と静かな音が鳴る。

  • 60スレ主25/06/08(日) 12:26:09

    その瞬間──

    「……にゃ、にゃー!!!」

    タビトが、大きな声で鳴き始めた。
    いつもよりずっと嬉しそうに、
    足元を何度も回るように擦り寄ってくる。


    凛「おい、落ち着けって……そんな嬉しいのかよ」

    タビトはぴたりと立ち止まり、
    またもう一度、今度は小さく「にゃ」と鳴いた。


    凪「……繋がった、って感じだね」

    レオが凪の足元で尻尾を揺らす。

    冴「……また何かの“条件”が揃ったのかもな」

    冴は《R.G.V.セレクター》の冷たい金属を指で転がしながら、静かに推測する。

  • 61スレ主25/06/08(日) 12:27:14

    そして──


    凛「俺はこれ。エンデュラ・チャーム……記憶のかけら付き、って感じ」

    千切「お、かっこいいやつ!」

    冴「こっちは選択肢が増える。高確率で何か拾えるかもしれねえ」

    凪「……あ、便利じゃん。俺も欲しかったかも」

    冴「お前はもう、十分すぎるぐらい“持ってる”だろ」

    少しだけ笑って、冴が言う。


    静かだが、有意義な共有時間。

    猫たちもそれぞれの主の近くでじっと寄り添いながら、まるで“次の戦い”を見据えるように、気配を研ぎ澄ませていた──。

  • 62スレ主25/06/08(日) 12:41:24

    ──ひび割れた記憶が、視界を浸す。

    観測モニターの中央、真っ白なフラッシュが瞬き──何かが、そこから“ぶち抜いて”現れた。

    ぐちゃり、と音を立てて“床”に着地したそれは、もはや人の形ですらなかった。

    全身が、フィルムのように透けている。
    顔の位置には何もなく、代わりにモニターのような“矩形のフレーム”が浮いていた。

    その中では──
    「こちらを見つめる“知らない誰か”の顔」が、
    コロコロと切り替わっていく。


    凛「……なんだこいつ、こっちを見てくる」

    千切「おい……あれ、もしかして、“こっちの記憶”を見て……!」

    冴「──ああ。映してる。“俺たちの、忘れていた誰か”をな」

    凪「めんどくさ……いや、ちゃんと倒すよ。うん」

    フレームの中の“顔”はどれも中途半端に崩れ、
    誰かに似ているようで似ていない。
    映し出された者の表情だけが、妙にリアルだった。

    “笑っていた”
    “泣いていた”
    “憎しみを込めて叫んでいた”
    “何かを許していた”

  • 63スレ主25/06/08(日) 12:43:07

    ──それらは確かに、「自分たちの記憶の中にあった“誰か”」の“可能性”。


    その瞬間、壁に修復された痕跡のひとつが、パキンと音を立てて崩れた。


    視界がねじれる──

    自分の記憶に、なかったはずの場面が、

    急激に“入り込んでくる”。



    千切「っ、これ──!頭ん中、勝手に……!」


    凛「クソッ、無理やり書き換えられてる……!」


    冴「……踏み込むぞ。“観測怪異 M-13”──排除対象」


    凪「がんばろー」



    ──視界を裂き、記憶を侵す異形。

    冷たい観測室が、狂気に包まれていく。



    【A-7通路:第二区画“喪失の観測区”】《記憶改竄体:M-13》

    (7回攻撃成功で討伐完了/70以上で攻撃成功)

    千切:dice1d110=70 (70)

    凪:dice1d110=77 (77)

    凛:dice1d110=103 (103)

    冴:dice1d110=72 (72)

    ※M-13の情報入手:+5補正

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 64スレ主25/06/08(日) 12:58:24

    【戦闘開始】7:00

    異形は“記録された現実”そのものを改竄する存在だった。

    だが彼らの一撃は、“今”という現実を上書きする。


    千切「よっしゃ、いくぞ……!速攻で終わらせる!」

    誰よりも先に、疾風が駆ける。
    千切の身体が、幻影の波を切り裂きながら、
    “異形の正体”を捕捉。

    ──踏み込むと同時に、映像の歪みが千切を襲う。


    “お前が、あいつを見捨てたせいだ”
    “全部、お前のせいなんだよ”

    だが、その声をかき消すように──


    千切「……ちげーよ。“俺が選ぶのは、今ここで戦ってる仲間だ”!」

    振り抜いた脚が、幻影の中心に直撃。

    スクリーンの一角が、
    まるでガラスのように砕け飛んだ。

  • 65スレ主25/06/08(日) 12:59:43

    【冴の固有能力:断罪の策略──発動】


    冴「さっきから……“選ばれなかった記憶”ばかり見せてくるな」

    幻影の光の中で、冴の足取りは一切乱れない。
    その目は、嘘と欺瞞に染まった画面を真正面から見据えていた。


    冴「──なら、一つずつ潰すだけだ」

    一閃。
    淡々とした動作の中に、“圧”が宿る。

    異形の端部に深い裂傷が走った──
    その直後、冴の視線が別の像を捉える。


    “兄ちゃん……どうして助けてくれなかったの?”

    凛の幻影。
    だが冴は、微笑すら浮かべずに、
    もう一度同じ軌道を描いて──


    冴「お前に言われる筋合いは、ない」

    二撃目。
    スクリーン全体がたわみ、映像が一瞬だけ“雪の降る夜”を映した──が、それもすぐに打ち消される。

  • 66スレ主25/06/08(日) 13:02:34

    凪「……あー、やっぱ面倒なタイプだったか」

    凪はほとんど表情を変えずに歩み出た。
    足元に現れたのは、“玲王”の幻影。


    “凪、お前は──もう俺を見ていないんだな”


    凪「…………違うよ。俺は今、“お前を助けに来てる”んだってば」

    凪の攻撃は“正確に”、異形の中心へと命中した。
    破裂音と共に、凪の立っていたフレームが消失する。


    凛「テメェ……どのツラ下げて俺の記憶に入り込んでんだよ」

    歪んだ映像の中に、
    あの日“逃げられなかった自分”の姿がある。

    だが──凛は、それを笑った。


    凛「そっちが俺の“過去”を真似るなら、こっちは“未来”で潰すだけだ」

    凛の足元から、【タビト】が鳴いた。
    異形の映像がほんの一瞬、乱れる。

    その一瞬を逃さず、凛の一蹴が直撃。
    記憶の海に一筋の閃光が走り、幻像を“現在”に書き換えた。

  • 67スレ主25/06/08(日) 13:04:31

    そして──怪異が、こちらを見返した。


    画面の中に、彼ら“全員”の表情が浮かぶ。

    それぞれ、歪められた記憶。

    それぞれ、捏造された感情。



    冴「記憶を操作するだけじゃ、足りないらしいな」


    凛「見せられても、ビビるかよ……!」


    千切「へへ、次も絶対ぶちかます!」


    凪「どーせなら、幸せな夢にしてよ」



    【A-7通路:第二区画“喪失の観測区”】《記憶改竄体:M-13》

    (2回攻撃成功で討伐完了/70以上で回避成功)

    千切:dice1d110=73 (73)

    凪:dice1d110=20 (20)

    凛:dice1d110=75 (75)

    冴:dice1d110=104 (104)

    ※M-13の情報入手:+5補正

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 68スレ主25/06/08(日) 13:17:29

    【回避開始】7:00
    【潔の固有能力:共鳴の記憶──発動】
    【凪の失敗:自動成功に変換】


    千切「おっと、そっちかよッ!」

    飛び出してきた影に、即座に反応する。

    一瞬の沈黙、そして鋭い跳躍。
    千切の足が、白い床を滑るようにかすめ──
    “狙い”を躱して、逆に死角に回り込む。


    千切「速さなら誰にも負けねぇ!」

    背後でヨイチが「にゃ」と鳴いた。


    千切「見てた? なーんてな!」


    凛「フン、今度はその手で来るか」

    見せつけられたのは、自分が倒れる“偽の記録”。
    だが、凛の瞳は一切揺れない。


    凛「甘いな。そんなのに騙されるわけねえだろ」

  • 69スレ主25/06/08(日) 13:19:49

    突如、画面から伸びた鎖が凛の首元を狙う──
    だが凛は、低く身を沈め、
    鋭く滑るように横に抜けた。


    凛「必死だな、終わりが近いってことか」

    ちらりと睨んだ視線に、
    映像が一瞬ノイズを走らせる。


    冴「……」

    映像が、静かに何かを問いかけてくる。
    ──あの時、救えなかった“何か”。

    だが冴は、その問いを切り捨てるように目を伏せ、
    すぐに映像の切れ目を見つけて、斜めにすり抜けた。


    冴「もう終わったことだ。……今は、先に進むだけ」

    低く、鋭い声。
    異形の腕が彼の後ろを虚しく通り抜ける。

  • 70スレ主25/06/08(日) 13:21:35

    凪「……またか」

    映像の中、ふいに現れた“玲王”の姿。
    思わず視線が奪われたその瞬間──

    真横から、巨大な“手”が迫る。
    その音もなく迫る気配に、凪は気づけなかった──


    ヨイチ「……右後ろに、下がれ」

    それは、足元にいたヨイチの声。
    聞こえるはずのない一言が、凪の動きを変えた。


    凪「……そっちね」

    一歩、半歩。
    わずかな移動が、命を分ける。


    凪「ありがと。タイミング、完璧」

    そして猫はもう一度、「にゃ」と鳴いた。

  • 71スレ主25/06/08(日) 13:24:20

    異形の映像は、全員に回避され──

    空間に、わずかな静寂が戻る。



    千切「無事なら……行くっきゃねぇだろ!」


    凛「追い詰められてんのは、向こうだ」


    冴「逃すな。次で終わらせる」


    凪「──始めよっか」



    【A-7通路:第二区画“喪失の観測区”】《記憶改竄体:M-13》

    (2回攻撃成功で討伐完了/70以上で攻撃成功)

    千切:dice1d110=87 (87)

    凪:dice1d110=75 (75)

    凛:dice1d110=86 (86)

    冴:dice1d110=99 (99)

    ※M-13の情報入手:+5補正

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 72スレ主25/06/08(日) 13:32:53

    【戦闘開始:2回目】7:00


    ──歪んだ映像の中心、怪異《M-13》が、
    なおも記録の中から干渉を続けている。

    だが彼らの意志は、
    すでにその“上書き”を許さない。


    凪「──もう、終わっていいよね」

    冷えた声とともに、凪が右足を引き絞る。
    静かに蹴り出されたボール──
    いや、“一撃”は、まるで空気を裂くような鋭さで、
    記録の中心に“ズドン”と命中した。

    映像が瞬間、バグのように乱れる。


    凪「バグってるのは、そっちだったね」


    千切「っし……凪がやってくれたなら、次は俺の番だろ!」

    疾風のごとく駆け出し、白い床を滑走する。
    記録の中央──
    焼き付いた影へと向かって、渾身の一蹴。

  • 73スレ主25/06/08(日) 13:42:51

    千切「いっけええぇッ!!」

    閃光のような速度で放たれたその攻撃は、
    幻影の中心を貫き、空間に音もなくヒビを入れた。


    千切「そっちの嘘も、もう終わりだよな!」


    凛「……じゃ、ダメ押し行ってやるか」

    モニターの映像、
    その奥で“歪んだ凛自身の顔”が笑っている。
    だが──凛の目に、迷いはない。


    凛「本物が、ぶっ壊してやるよ。お前の“嘘”ごと」

    踏み込み一閃、
    鮮やかな蹴りが、画面の残骸へとねじ込まれた。


    ──パリン。

    その瞬間、映像は砕けるように消え、空間が一度沈黙する。


    冴「……まだ残ってる。止めは、俺が刺す」

    浮かび上がった最奥の影──“誰かの死”をなぞった虚構。

  • 74スレ主25/06/08(日) 13:43:59

    冴の目が細く鋭くなる。


    冴「そんなもん、現実にしてたまるかよ」

    鋭い蹴りが放たれる。
    音も衝撃もなく、ただ“記録”そのものが光に焼かれるように、──消えた。


    冴「……おやすみ」


    ──沈黙。

    空間に満ちていた“偽りの記録”が、
    すべて消え失せる。

    モニターは停止し、
    天井の蛍光灯が静かに点滅を繰り返す。

    彼らの背後で、今度こそ、
    すべての映像が“無音”に落ちた。

  • 75スレ主25/06/08(日) 13:50:54

    白い光だけが淡く点滅する中、
    誰からともなく、床に散らばった金属音に気づいた。

    その中心──倒れた端末の下から、
    “鍵”と、銀色の機器がいくつも転がり出ていた。


    冴「……これは」

    冴がしゃがみ込み、拾い上げる。

    古びた金属製の鍵。
    軸の部分には【A-7 第三区画】の刻印。
    どこか焦げたような匂いが微かに残っている。


    冴「第三区画……“幽閉保管室”って書いてあるな」

    千切「マジか……行くしかないってわけだな!」

  • 76スレ主25/06/08(日) 13:52:28

    凪「……あと、これも」

    凪が拾い上げたのは、
    光を反射する多重構造の金属装置──

    手のひらサイズの、薄型端末のような形状。

    装着した瞬間、各自のデジタル腕時計と連動し、“現在の自分の適応能力”に柔軟な上書きが可能となる。


    冴「詳細はわからねえが……用途は、状況に応じて選べるようだな」

    凛「ってことは──“限界の先を選べる”ってことか」

    千切「やっべ、なんか……テンション上がってきた!!」

    凪「……便利そう。ありがたく、使わせてもらおっか」

    ヨイチが軽く「にゃ」と鳴き、4人を順に見つめる。
    その瞳の奥で、何かが“始まり”を予感していた。


    ■入手アイテム
    ・《情報書換デバイス》×4:全員に装着可能。アイテムや固有能力の特定条件を変更できる(例:探索時と指定のあるアイテムを戦闘時にも使用できる)。

  • 77スレ主25/06/08(日) 17:29:33

    部屋を後にし、再び廊下に出る。
    無音の空間に、足音だけがやけに響いていた。

    真正面にあった扉──その右斜めの位置に、
    次なる部屋が静かに佇んでいる。

    一見、ただの鉄扉。
    しかし、表面にはほとんど消えかけた文字が刻まれていた。


    【A-7通路 第三区画】
    【幽閉保管室】


    その扉の中央に、先ほど入手した“鍵”と一致する、錆びた鍵穴があった。


    冴「……この鍵、ここだな」

    カチリ、と、古びた音を立てて鍵が回る。


    凪「んじゃ、さくっと行こっか」

    千切「よっしゃ、覚悟決めて──開けるぞ!」


    扉のロックが外れ、鈍い音を立てながら、
    ゆっくりと──次の部屋の内部が開かれていく。

  • 78スレ主25/06/08(日) 17:33:52

    扉が、きしむような音を立てて開いた瞬間──
    身体に、“異質な冷気”がぶつかってきた。

    冴が小さく眉を寄せ、
    凪が無言で肩をすくめる。

    その空気は、これまでの部屋とは明らかに違う。
    まるで、生きているものすべてを拒むような──
    そんな、重く澱んだ気配。

    四方の壁は、冷たい鉄板で完全に覆われていた。
    窓もなく、通気口すらない。

    ただ、密閉された空間に──
    ひとつの目的のためだけに存在していた部屋。

    天井を見上げれば、壊れた監視カメラの死骸。
    そのレンズは砕けていたが、“かつて何かがここを見張っていた”という事実を告げていた。


    千切「……うわ。やべぇな、ここ……マジで囚人部屋かよ」

    凛「いや、囚人じゃなくて──“見せないための監獄”だ」

    足元には、無数の引きずり傷が刻まれていた。
    何かが暴れ、何かが逃れようとし、
    何かが引きずられていった痕跡。
    深く、鋭く、執念のように刻まれている。

  • 79スレ主25/06/08(日) 17:35:54

    部屋の中央。
    かろうじて形を残した“拘束ベッド”の骨組みが、
    無惨に傾いていた。

    その横には、崩れた医療器具。
    そして──血に濡れたローブの切れ端が、床に落ちていた。

    ヨイチが、低く「……にゃ」と鳴いた。


    冴「……何が、封じられてたんだ」

    凪「……まだ、いるんじゃない?」

    凛「だとしたら、逃げた後ってことか。……最悪だな」

    千切「……大丈夫。もう、逃げても逃げきれねぇ奴らじゃねぇだろ、俺たち」

    静寂のなか、重い空気だけが部屋を満たしていた。

    確かにここに──何かがいた。
    そして今も、それは終わっていない。

  • 80スレ主25/06/08(日) 17:37:11

    【A-7通路:第三区画“幽閉保管室”エリア】


    ①拘束ベッド跡周辺
    繰り返し拘束された痕跡。ベルトはちぎれ、金属部分は歪んでいる。その下に何かが挟まっているように見える……(異常発生リスク大)

    ②医療器具置き場
    崩れかけた器具台と、床に落ちた錆びた器具群。中には使用されていない試薬や薬品も残されているかもしれない(異常発生リスク中)

    ③鉄格子の奥の影
    壁に打ち込まれた格子の先には、かつて人が“収容”されていたような空間。暗がりの奥に、何かがうずくまっているような……(異常発生リスク大)

    ④ 監視装置の残骸
    壁の高所に取り付けられていた監視カメラの残骸。接続ケーブルが断線しているが、一部の装置は通電しているようだ(異常発生リスク中)

  • 81スレ主25/06/08(日) 17:41:02

    重く冷たい空気が流れる監獄のような空間に、
    かすかな足音が響く。

    4人と4匹は、室内をゆっくりと見渡し、
    それぞれの探索場所へと歩み出していった。


    千切「……あのベッド、なんかヤバそうな匂いするな」

    ①鋭くねじれた拘束金具に目を向けながら、
    千切はおどけたように息を吐く。

    その足元で、ヨイチが小さく「にゃ」と鳴いた。


    千切「お、ヨイチもそこ気になる?よし、じゃあ一緒に行ってみっか」

    ぴょこんと跳ねるように、
    千切は拘束ベッドの残骸へと向かった。


    凛「崩れた器具……薬でも残ってりゃマシだけどな」

    タビトが②器具台をじっと見つめたかと思えば、「ミャウ」と一声。


    凛「そっちか?……お前、役に立つじゃん」

    冗談めかしながらも真剣な目つきで、
    凛は医療器具置き場へと足を運ぶ。

  • 82スレ主25/06/08(日) 17:46:18

    凪「……格子の奥、誰かいるように見えない?」

    レオが低く、
    喉の奥で「ウルル……」と唸るように鳴く。


    凪「うわ、レオが珍しく警戒してる……てことは、行く価値あるってこと?」

    少しだけ眉を上げてから、③凪は壁に打ち込まれた鉄格子のほうへ静かに歩いていった。

     
    冴「……監視カメラの残骸、妙に通電してるな。何か残ってるかもな」

    イッキが、ピョンと飛び跳ねて、
    冴の足元にくるりと回り込む。


    冴「お前も見たいのか、あそこ……。よし、俺に付き合え」

    いつもの淡々とした口調で、冴は壁の高所へと目を向け、④配線の残る監視装置へと歩を進めた。

     
    それぞれの思惑と猫たちの導きにより、
    4人は再び“選択”を始める──。

  • 83スレ主25/06/08(日) 17:51:28

    【A-7通路:第三区画“幽閉保管室”探索:①拘束ベッド跡周辺・千切豹馬】
    【探索開始】7:00


    拘束ベッドの骨組みは、
    まるで“暴れた形跡”をそのまま留めていた。
    ちぎれたベルト、変形した金具、
    床に走る無数の引きずり傷。

    千切は、その金属音すら消えそうな静けさの中、
    ひとつ息をついてしゃがみ込む。


    千切「うわ……めっちゃ歪んでるし、これ……何が縛られてたんだよ……」

    冗談めかして笑ってみるが、
    喉の奥は少しだけ冷える。

    ヨイチが、千切のそばにぴたりと寄り添い、ちょこんと座る。
    無言のまま、壁の奥をじっと見つめている。

  • 84スレ主25/06/08(日) 17:53:48

    千切「……ヨイチ、お前、怖くないのかよ」


    そっと床に手を伸ばし、ベッドの影──その奥に、何かが挟まっているような隙間に指をかける。



    千切「よし……慎重に……って言っても、壊しそうだな。今回も気をつけて……」


    気合いを入れ、千切は狭い隙間へと手を差し込んだ。


    ──そこには、冷たくて、

    硬質な“何か”が、確かに存在していた。



    異常発生リスク大

    dice1d110=80 (80)

    (1〜40:大失敗 41〜75:失敗)

    (76〜95:成功 96〜110:大成功)

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 85スレ主25/06/08(日) 18:01:20

    【探索成功】7:00


    金属の枠をかき分け、千切の指先が何かに触れた。

    それは、薄く折りたたまれた古びたファイルだった。
    半分ほどちぎれたタグには、かすれた手書きの記録。

    【対象:A-23──“不可逆性進行個体”】
    ──と、書かれていた。


    千切「……A-23……?」

    ヨイチが「にゃ」と短く鳴いた。
    低く、警戒するような声。

    千切はごくりと息を呑み、そっと記録を広げる。
    その中には、にじんだインクで、こう記されていた。


    【観察記録:A-23】

    個体は常時拘束処理を要する。抑制薬無効。
    特徴①:接触者の“時間感覚”を一時的に奪う(対象は過去の記憶を現在と誤認し、行動不能に陥る)
    特徴②:精神的接触による“不可逆の侵蝕”を確認。侵蝕後は記録上“別人”と判定されるケース多数。
    録画記録は残らず、映像機器との干渉を持つ。
    最終封鎖位置:幽閉保管室

  • 86スレ主25/06/08(日) 18:04:43

    千切「……うわ、やっば。これ、今までのと桁違いじゃん……」

    彼はヨイチの方をちらりと見て、無言で頷いた。
    ヨイチはまた、ふっと視線をずらして、「にゃ」と短く鳴いた──まるで、何かを伝えるように。


    千切「うん、了解。絶対この情報、みんなに共有しないとだな」

    その手には、確かに“警告”が残されていた。

    それは、過去に失敗した誰かの記録──
    あるいは、“未来の自分たち”への遺言のように、
    冷たく重く、彼の掌に残っていた。

  • 87スレ主25/06/08(日) 18:11:14

    【A-7通路:第三区画“幽閉保管室”探索:②医療器具置き場・糸師凛】
    【探索開始】7:00


    崩れかけた器具棚の前に立ち、凛は足元をそっと蹴るようにして、散乱した器具を片付けた。

    その隣では、タビトが低く「にゃお」と鳴き、
    鋭い青の瞳を器具の奥へと向けている。


    凛「……奥になんか引っかかってんな。おい、下がってろよ。ガラス飛んだら危ねぇから」

    重なった器具の山をひとつひとつ除け、
    慎重に手を伸ばす。

    伝わってくる冷たい感触と、
    どこか鉄錆と血が混じったような匂い。

    タビトはその様子を見守るように、少し距離を取りながらもそっと凛の隣に腰を下ろした。

  • 88スレ主25/06/08(日) 18:12:52

    凛「…何か出るにしても、仕掛けられる前に見つけてやるよ」


    わずかに笑みを浮かべながらも、

    凛の眼差しは真剣そのものだった。


    器具の奥──

    その隙間に、確かに何かが挟まっている。



    凛「……さて、何が出てくるか、当たりか外れか」


    右手を差し入れた、その瞬間──

    タビトが「にゃっ」と短く鳴いた。



    凛「──来るか?来ねぇか?さあ、賭けだな」


    床に這う影と、崩れた棚の間から、

    空気がぬるりと流れる。


    次の瞬間、凛の指先が、

    何か“確かなもの”に触れた──。



    異常発生リスク中

    dice1d110=32 (32)

    (1〜40:大失敗 41〜70:失敗)

    (71〜90:成功 91〜110:大成功)

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 89スレ主25/06/08(日) 18:43:11

    【冴の固有能力:最適解──発動】


    器具の隙間に手を伸ばした凛の指先が、
    何か硬いものに触れた。

    しかし──


    凛「……ちっ、つかえてんな。こっちか……?」

    ぐいと引こうとして、すぐに違和感を覚える。
    ただの金属片ではない。
    無理に動かせば、壊すか、自分の指を痛めるか……。

    後ろから、低く落ち着いた声が届いた。


    冴「……右に少しずらせ。下に板が重なってる。引くな。滑らせろ」

    凛「……そっか。兄ちゃん、ありがと。マジ助かる」

  • 90スレ主25/06/08(日) 18:46:13

    その声だけが、いつもより柔らかかった。

    冴に向けてだけ、無意識にこぼれるトーン。


    タビトが「にゃ」と鳴いて、足元にすり寄ってくる。

    凛はちらと見下ろし、肩をすくめた。



    凛「よし……、もう一回。今度こそいけるな」


    慎重に角度を変え、再び器具の奥へと手を伸ばす。


    冴の助言を思い出しながら、

    静かに、しかし確実に──凛は探索を再開した。



    異常発生リスク中

    dice1d110=12 (12)

    (1〜40:大失敗 41〜70:失敗)

    (71〜90:成功 91〜110:大成功)

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 91二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 18:56:50

    最適解でダイス下がること増えてきたな……

  • 92スレ主25/06/08(日) 19:53:49

    >>91 成功確率の基準が低くなってるので、中々通用しなくなってきましたね…

  • 93スレ主25/06/08(日) 19:54:51

    【探索失敗】7:00
    【再試行<探索:大成功特典+10を使用し失敗に変換】
    【《マインドクレスト》使用によりSAN値減少無効化】


    金属音が、ガランと響いた。

    凛が手を伸ばした器具の奥、積み重なる器材の下から──何かが“這い出そう”としているように見えた。


    凛「……っ、なんだ今の……?」

    視線を逸らしたその瞬間だった。
    背後から、誰かの「笑い声」が聞こえた。

    低く、湿った女の声。
    耳元で「ふふふふふ……」とくぐもった囁きが、
    凛の背筋を凍らせた。


    凛「っ……やめろ。ふざけんな……っ」

    視界の端で、誰かの“顔”が歪んだ。
    ──否、それは鏡に映った“自分自身”のはずだった。

    笑っていた。自分が。
    引き攣ったような、裂ける笑顔で。
    口元だけが歪み、目は笑っていなかった。

  • 94スレ主25/06/08(日) 19:56:04

    凛(……なんだ、これ……俺……じゃ、ない)

    ──ドン。

    器具台の向こうで、“誰かが暴れている”ような音。
    何かが蹴られ、打ちつけられ、擦れるような振動。
    それは徐々に凛の手元に近づいてきて──


    凛「……っ、クソが」

    胸元へ手を伸ばした。
    十字のプレート──《マインドクレスト》。
    それを、ぎゅっと握りしめた瞬間──

    「───ン、にゃ」

    タビトが、凛の足元で一声鳴いた。
    その音が、異常な空間に“現実”の感触を戻す。

    耳鳴りが止まり、笑い声も、鏡の中の顔も──すっと消えた。

    プレートはほのかに温かく、
    凛の手のひらをじんわりと包んでいた。


    凛「……ったく。洒落になんねぇって……」

    小さく息を吐き、後ろで揺れるコードから視線を逸らす。
    恐怖の痕跡は、確かに残ったまま──凛はそれを深く息に溶かした。

  • 95スレ主25/06/08(日) 20:04:39

    【第三区画“幽閉保管室”探索:③鉄格子の奥の影・凪誠士郎】
    【探索開始】7:00


    鉄格子の先。
    壁に打ち込まれた枠組みの奥には、
    照明の光も届かぬ“暗がり”が広がっていた。


    凪「……なんか、雰囲気わる……」

    レオが後ろから歩み寄ってくる。
    紫の毛並みが、わずかな光を受けて淡く揺れた。

    その影は、格子の向こうには届かない。
    凪が身を屈め、しゃがみ込む。


    凪「ねえ、レオ。あれ……何かいるよね。あの奥」

    鉄格子の先。
    何かが──確かに“うずくまって”いた。
    人影のような、丸まった姿勢。けれど、動かない。

    凪はしばらく目を細めてから、何かを思いついたようにポーチを探り、細い光源を取り出す。

    小型ライトのスイッチを押し、
    ゆっくりと鉄格子の奥を照らす。

  • 96スレ主25/06/08(日) 20:06:43

    凪「…………動くなよ」


    声は小さいが、意外と真剣だった。


    レオが「うーん」と短く鳴いたあと、

    凪の背後にぴたりと座り込む。



    凪「ありがと、レオ。見張りお願い」


    一歩、また一歩と──

    凪は光を頼りに、

    鉄格子の隙間から暗がりを見据えた。


    そこに、確かに“何か”がいた。

    それが、ただの物なのか──“元・人”なのか──

    それとも、まったく別の“なにか”なのか。


    その判断がつくのは、ほんの数秒後。

    凪の目に、“それ”が映るその瞬間だった。



    異常発生リスク大

    dice1d110=95 (95)

    (1〜40:大失敗 41〜75:失敗)

    (76〜95:成功 96〜110:大成功)

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 97スレ主25/06/08(日) 20:27:43

    【探索成功】7:00


    鉄格子の奥。
    狭く、歪んだ視界の中で──
    ライトの光が、何か硬質な“物体”を反射した。


    凪「……金属?」

    レオがぴくりと耳を動かし、低く「うぅ」と鳴いた。
    凪はその反応を背中で受け取りつつ、
    鉄格子の隙間から手を伸ばす。

    床には、いくつかの古びた拘束具と──
    その下に隠れるように、
    異質な“銀灰の破片”が埋もれていた。


    凪「……これ、前にも……」

    ゆっくりと手に取り上げたそれは──
    十字型に近い、複雑な断片構造をもった金属片。

    凪は指先で、
    微かに温もりを帯びたその表面をなぞった。
    裏には、古びた医療コードのような文字列が刻まれている──が、解読不能。

  • 98スレ主25/06/08(日) 20:28:49

    凪「やっぱり……前に、千切が拾ってたやつと似てる。冴のやつにも似てるな」

    軽くポーチに収めると、レオがすっと横に並ぶ。
    その紫の瞳が、一瞬だけ凪を見上げた。


    凪「……持っとく。どうせ、また必要になるでしょ。ありがと、レオ」

    猫は小さく「にゃ」と返すだけだった。
    だがその一声は、どこか“理解”を含んでいた。

    探索は終わった。
    だが、鉄格子の奥の“うずくまっていた影”──
    それだけは、最後まで光に姿を現さなかった。

    それが動くのかどうかも、わからないまま。

    ──今は、ただ静かだった。


    ■入手アイテム
    ・《エラジウム・フレーム》×1:探索・戦闘における【大失敗(ファンブル)】および【失敗】時のSAN値減少および精神異常を1回のみ完全無効化する。

  • 99スレ主25/06/08(日) 20:34:09

    【A-7通路:第三区画“幽閉保管室”探索:④監視装置の残骸・糸師冴】
    【探索開始】7:00


    冴が向かったのは、
    部屋の高所に設置された“監視装置の残骸”。

    かつて、この空間全体を見張っていたであろうその装置は、今や無残に砕け、配線は千切れ、ケーブルは剥き出しのまま。

    だが──


    冴「……まだ通電してる」

    冴は、微かに明滅するランプの光に気づいた。
    装置の基部には、
    奇妙な“蓋”のような構造が残されている。

    その下に何かが“仕込まれている”可能性。
    それは、監視記録か、異常の封印か──
    あるいは、全く別の“何か”。

  • 100スレ主25/06/08(日) 20:36:16

    冴「開けてみる価値はある、か」


    背後で、黒の毛並みに青緑の瞳の猫──

    イッキが、そっと目を細める。


    「にー……」と短く、ひと声。


    冴はわずかに目線を落とし、

    口の端をわずかに上げる。



    冴「よし。じゃあ、始めるか」


    監視装置に手をかける。


    金属音が小さく鳴った──

    中枢部の蓋、その留め具に、冴の指がかかる。



    異常発生リスク中

    dice1d110=60 (60)

    (1〜40:大失敗 41〜70:失敗)

    (71〜90:成功 91〜110:大成功)

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 101スレ主25/06/08(日) 20:42:14

    【探索失敗】7:00
    【《ノイズキャンセラー》使用:SAN値減少無効化】


    装置の蓋に手をかけたその瞬間だった。

    ──カチリ。

    何かが作動した音。
    冴の指先が触れた、装置の内部回路。
    その接点に、未だ断たれていない電流が通電していたのだ。


    バチッ──!

    低く唸るような音とともに、装置が急に“目覚める”。
    だが、それは記録装置としての機能ではなかった。

    冴の目の前で、モニターがひとつ勝手に起動する。
    焼け焦げたレンズの奥で、ノイズ混じりの“映像”が走った。

    ──違う。これは……映像じゃない。


    冴「…………っ」

    映ったのは、自分の姿だった。

    いや、“自分ではない何か”が、自分の顔でこちらを見ている。

  • 102スレ主25/06/08(日) 20:44:37

    鏡ではない。
    録画でもない。

    それは、ただ“今この瞬間”をなぞるように──
    嘲笑うように、口を歪めた。

    そして、スピーカーから流れた音は──


    『──────糸師冴、視認完了。』


    冴「(誰だ、この声──)」

    問いを浮かべた瞬間、背後から風が吹いた。
    振り向いても、何もいない。

    だが確かに──

    耳元で誰かが「おかえり」と囁いた。

    空気が歪む。
    認識が“ズレる”。
    冴の中に、誰か別の記憶が──
    侵入しようとした、その刹那。

    ──チリ、と何かが弾ける音がした。

  • 103スレ主25/06/08(日) 20:46:32

    冴のポーチで、楕円形の金属プレートが淡く光を放ち、崩れるように砕けた。

    濁流のような精神侵蝕の波が、霧散する。
    目の前のモニターは沈黙し、装置は完全に停止した。


    冴「……さすがに、今のは気色悪ぃな」

    ぼそりと呟いた声に、
    イッキが「……にー」と同調するように鳴いた。

    装置の中身はもう、焼き切れてしまっている。


    冴「何かが“俺”を見てた。……誰かが、ここにいたな」

    彼は背を向けると、そっとイッキに視線をやった。


    冴「無事でよかったな、お前も」

    イッキはじっと冴を見つめ、
    静かに、そこに寄り添っていた。

  • 104スレ主25/06/08(日) 20:51:01

    室内の探索を終え、
    4人は中央の空間に自然と集まっていた。

    床に刻まれた引きずり傷。
    その中央で、冷たい空気が重たく渦巻いている。

    千切は、ベルトの残骸と歪んだ金属部品を見下ろしながら、手に入れた記録ファイルを指で弾いた。


    千切「……これ、あいつのことだな。“A-23”。」

    千切「この部屋で“封じられてた”みたいだけど……もう、いないよな?」

    凛「……“時間感覚を奪う”って、マジでタチ悪いな」

    凛「こっちが今にいるつもりでも、過去の記憶に飲まれて、身動きできなくなる──か。」

    千切「うん。しかも、精神まで侵される。侵されたらもう“別人”になるんだとさ。記録じゃそうなってる」

    凪「……録画も残らない。映像に干渉してくるの、なんかもう“情報”ってレベルじゃない」

    冴「……認識を壊す系だな。最初から“見る”ことすら、罠みたいなもんか」

    冴「──この部屋が、最終封鎖位置。なら、今でも何かが“残ってる”かもな」

    イッキが小さく「にー」と鳴く。

    その声が、ほんの一瞬、
    室内の空気のざわめきを静めた。

  • 105スレ主25/06/08(日) 20:54:09

    すると凪が、懐から見慣れた金属片を取り出す。


    凪「……エラジウム・フレーム。さっきのやつで、2つ目」

    凪「もう1回、どっかでやらかしても、たぶん大丈夫ってことだよね」

    冴「便利だが、慢心はするなよ。“今”って感覚が壊れたら、戻れなくなる」

    凛「……兄ちゃんはやっぱ、そういう時だけやたら怖ぇこと言うな」

    そう言って笑みを浮かべるが、その指先は無意識にポケットの中の《十字型の金属片》に触れていた。


    ヨイチがそっと、千切の足元に擦り寄る。
    タビトは凛の膝に飛び乗り、
    レオは凪の背に視線を送り、
    イッキは冴の足元から部屋の奥を見つめていた。


    彼らは今、“正気”を保っている。
    けれど──それが、いつまで続くかは誰にもわからなかった。

  • 106スレ主25/06/08(日) 21:00:43

    ──空気が、途切れた。

    呼吸が掠れる。
    喉の奥に、目に見えない“膜”が張られたような感覚が全身を支配した。


    冴「……止まったな、空気が」

    千切「またか……っ、何が来る!?」

    凛「……あれは──」


    その時だった。

    拘束ベッドの跡地、千切が立っていた空間の奥。
    鉄板で封じられたはずの壁に、“黒い穴”が開いた。

    そこから、煙のように、墨のように──
    ねっとりと這い出てくる“何か”があった。

    形はまだ定まらない。

    しかしその“口”だけは──
    最初から“こちらを笑っていた”。


    「──おカエリ。……ヨク……マデ……」

    声にならないノイズが、耳の奥に直接割り込んでくる。

  • 107スレ主25/06/08(日) 21:09:14

    【凪の固有能力:夢境感知──発動】


    意味はわからない。
    ただ、“懐かしいふりをした誘い”だと、全身が理解していた。

    凪の眉がぴくりと動いた。


    凪「……うん、よろしく」

    いつの間にか、彼の背後に──
    “黒い骸骨”のような何かが立っていた。

    それはまるで、
    凪の背から“分離”したような影だった。

    凪が軽く指を鳴らすと、“それ”は一瞬で動き出す。


    ──ゴゴッ!!

    黒い髑髏が、空間を裂くように疾走する。
    その軌跡が、うねる黒煙の中心を“貫いた”。


    「──……ッ……アァ……ッァ……ッ……!!」

    何かが“苦しげにのたうつ”。
    まとまりかけていた姿が崩れ、霧散するように一時的に“輪郭”を失った。

  • 108スレ主25/06/08(日) 21:12:40

    凪「もうちょっと寝ててよ……。こっち、まだ準備できてないから」


    淡々とした声のまま、凪は振り返らずに言い放った。

    その背後、黒髑髏は静かに空気へと還っていく。



    冴「……上出来だ。先制完了。戦闘、開始する」


    千切「よし……上等だ!こっちは四人──それに猫もいる!」


    凛「……来るぞ。正気、保てよ」



    ──霧が、もう一度蠢いた。

    崩れたはずの“何か”が、

    再びひとつの姿へとまとまり始める。


    その姿は、既に人のそれではない。

    “迎え入れようとする何か”が、此方を見ていた。



    【A-7通路:第三区画“幽閉保管室”】《知らない家族:A-23》

    (8回攻撃成功で討伐完了/75以上で攻撃成功)

    千切:dice1d110=34 (34)

    凪:dice1d110=109 (109)

    凛:dice1d110=17 (17)

    冴:dice1d110=72 (72)

    ※A-23の情報入手:+5補正

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 109スレ主25/06/08(日) 21:21:03

    【戦闘開始】7:00
    【100特典:+40使用(効果は戦闘終了まで継続)】
    【凛の失敗:冴のクリティカルで成功に変換】


    濁った霧の中から現れたのは、ヒトの形をしていながら、決定的に“何か”が壊れた存在だった。

    その背中からは無数の“黒糸”が生え、空間ごと裂くように伸び、壁、床、空気にまで侵食していた。


    冴「……来るぞ。千切、下がるなよ」

    千切「言われなくても──っ!」


    霧の中に“気配”が走る。

    その瞬間──凛の声が響いた。


    凛「っ、来る!」

    視線を向けた先、怪異の姿が一瞬、別の“誰か”に変わる──凛の“かつての記憶”にある誰かの顔に。

    そのわずかな“迷い”を見抜いた冴が、一歩前へ出る。


    冴「凛、視るな。刺し返せ」

    凛「……ありがと、兄ちゃん」

  • 110スレ主25/06/08(日) 21:24:59

    その声で、凛の動きが戻る。
    錯覚の影を一閃、まっすぐな軌道で斬り払う。


    凛「幻覚なんて効かねぇよ。目に見える“今”だけが、俺の真実だ」

    ──バシュッ!!

    視覚の偽装を破壊された怪異の身体が、
    ぶわっと霧を散らす。


    すかさず千切が走り出す。
    その足はもはや見えないほど速く──
    霧の中を閃光が駆けた。


    千切「“今”動けてる奴が勝つんだよ!!」

    霧の芯に風穴を開けるような一撃。
    軌道はややズレたが、怪異の右肩部を大きく穿った。

  • 111スレ主25/06/08(日) 21:27:57

    そこへ、冴が踏み込む。

    腕を振ると同時に、
    背中の“影”がひとつに収束する。


    冴「……叩き潰す」

    ──ガッ!!

    冴の拳が、
    虚空を捉えたはずの怪異に重く叩き込まれる。

    それだけでは終わらない。

    空間に残された“遅延残像”すら、
    冴の“策略”が追撃するように──
    二撃目がほぼ同時に別角度から怪異の胸をえぐった。


    千切「すげぇなお前、どっからその角度出した!?」

    冴「考えるな。殴れ」

    千切「らじゃー!」

  • 112スレ主25/06/08(日) 21:31:17

    ──最後に、音もなく凪が一歩進む。

    風のように静かに──
    背後に再び現れた“黒い髑髏”が、
    うねる霧に沿って浮かび上がる。


    凪「ほら、今がチャンスだよ」

    黒い影が裂けると同時に、
    音もなく、怪異の左脚部を根本から切断する。

    ──パキィンッ!

    時間が“割れた”ような音がした。

    その霧の中から、
    怪異の“声にならない悲鳴”が木霊する。

    その“時間を侵す牙”が、
    ついに“刃”によって切断された。

  • 113スレ主25/06/08(日) 21:33:10

    ──だが、霧はまだ蠢いている。



    霧の奥、次の“逆襲”の気配を漂わせながら──

    四人を見据えていた。



    【A-7通路:第三区画“幽閉保管室”】《知らない家族:A-23》

    (3回攻撃成功で討伐完了/75以上で回避成功)

    千切:dice1d110=86 (86)

    凪:dice1d110=94 (94)

    凛:dice1d110=74 (74)

    冴:dice1d110=20 (20)

    ※A-23の情報入手:+5補正

    ※100特典:+40補正

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 114スレ主25/06/08(日) 21:39:29

    【回避開始】7:00
    【冴の失敗:凪のクリティカルで成功に変換】


    ──“霧”が、変質する。

    それはまるで、空間ごと溶かしながら侵食するような感触だった。
    視界の奥で、“今ではない何か”が侵入しようとする気配。

    一瞬、冴の瞳がかすかに揺れた。
    脳裏に浮かんだのは──“過去の光景”。

    もうここにはいないはずの者たち。
    ありえない“時間”の断片が流れ込んでくる。


    冴「(……また、記憶を喰う気か)」


    だがその時。


    凪「冴。後ろ、来てるよ」

    振り向いた瞬間、黒い霧がすぐ背中まで迫っていた。

    が──その動きを見切った凪の“意志”が、
    影の如く冴の肩を引いた。

  • 115スレ主25/06/08(日) 21:43:28

    冴「──助かった」

    凪「別に。……いつも助けてもらってるし」

    冴がその場から軽やかにステップを踏み、
    霧の牙をかわす。


    次に凛。

    凛「見せんなよ、過去なんて。そんなもん、俺の邪魔にしかなんねぇよ」

    目の前で、幼い頃の“何か”が微かに揺らいだ。
    それを迷いなく蹴散らし、
    凛はそのまま真横へ抜け出す。

    空間が“追いつけない”。
    凛の現在は、過去の幻影などに縛られない。


    そのあとを、疾風のように千切が駆け抜ける。


    千切「スピードってのは“瞬間”だ。過去も未来も関係ねぇ」

    視界に映るものすべてを無視し、
    ただ霧の外縁を掠めるように旋回する。

    背後で、霧が数秒遅れて反応するが──
    その時点でもう、彼の姿はない。

  • 116スレ主25/06/08(日) 21:51:12

    凪「ここで捕まったらまた面倒くさそうだし……」


    彼はただ一歩、静かに霧の流れを見極め──

    その軌道を外すように、影を潜るようにして歩いた。


    まるで最初からそこが、

    “安全地帯”だと知っていたような動きだった。



    霧の牙は空を裂き、そして一瞬、“霧の中心”が弱く揺らいだ。



    冴「……今だ。崩しきるぞ」


    凪「りょーかい」


    凛「叩くぞ、今度こそ終わらせる」


    千切「行くぜ、全員──!」



    【A-7通路:第三区画“幽閉保管室”】《知らない家族:A-23》

    (3回攻撃成功で討伐完了/75以上で攻撃成功)

    千切:dice1d110=36 (36)

    凪:dice1d110=67 (67)

    凛:dice1d110=51 (51)

    冴:dice1d110=95 (95)

    ※A-23の情報入手:+5補正/100特典:+40補正

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 117二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 21:52:54

    やっぱ+40はでかいな
    成功最低値が35まで下がる

  • 118スレ主25/06/08(日) 21:54:39

    >>117 そもそもの出目も高めなのでスムーズですよね。ちなみにあと+60温存してます!(上限解放してから100以上が大量に出るので非常に助かってます)

  • 119スレ主25/06/08(日) 21:58:05

    【戦闘開始:2回目】7:00


    ──霧が収縮する。
    “今”を狙い、“過去”を餌に喰らう異形。

    けれどその狙いは、もはや遅すぎた。


    千切「──行くぞッ!!」

    最初に飛び込んだのは、疾風そのもの。
    千切の足が床を裂き、霧の中心へと一直線に突き抜ける。

    その足は、“時間の感覚”すら置き去りにしていた。

    霧の中からわずかに現れた顔を、“真っ向から蹴り抜く”。


    千切「遅ぇんだよ、全部!」

    時間を歪める怪異に、“今”でぶつかる一撃。

    その霧の中に亀裂が走った──

  • 120スレ主25/06/08(日) 22:04:57

    そこに、静かに凛が踏み込む。


    凛「……俺の記憶に、勝手に触れんな」

    淡々と吐き捨て、
    右脚に力を込めて“霧”の心臓部へ、強烈な膝撃。

    霧が凛の過去に手を伸ばす前に、
    凛がその“手”をへし折った。

    凛「そんなくだらねぇ幻想より、俺は今の方がずっと面白い」


    次に、滑るように凪。

    凪「……はい、終わりっと」

    凪の動きはまるで、“重力から外れたよう”だった。
    淡々と、霧の背後へ回り込み──
    指先一本で、“弱点を的確に突く”。

    まるで夢の中のような滑らかさで、
    現実に戻すように破壊していく。

  • 121スレ主25/06/08(日) 22:08:01

    そして、最後は冴。


    冴「終わらせるぞ、まとめてな」

    冷ややかな声とともに、冴の両足が床を打つ──

    一撃目は、鋭く切り裂くような手刀。

    二撃目は、追撃として霧の“心核”を、
    貫くように──破砕する。


    冴「もうお前は、誰の時間にも触れられない」


    ──“パキィィィィン……!!”

    霧が、悲鳴のような金属音を立てて割れた。

    霧に隠されていた“顔”たちが崩れ、
    過去の記憶がノイズのように弾けて消えていく。

    やがて、それらすべては霧とともに霧散した。

     
    四人は深く息をつき、
    闇の奥から戻ってきた足元の猫たちが、「にゃあ」と小さく鳴いた。

    暗く沈んだ空間に、微かに光が差したようだった。

  • 122スレ主25/06/08(日) 22:17:04

    薄れゆく霧の中、
    冴が無言で監視装置の死骸に目を向ける。

    すると、そこから──“何か”が、滑り落ちた。


    ──カラン……。


    千切「……ん?今、音……」

    落ちたのは、黒く焦げた小さな鍵。

    凪がしゃがみこみ、拾い上げる。


    凪「“防災管理室”って……四区画目の鍵か」

    冴「これで次の扉が開くな」

    凛「サクサクいくぞ。今のとこ、全勝だ」

    千切「よーしよしよし……流れ来てるな!!」


    ──そのときだった。

    タビトが、凛のポーチに鼻先をすり寄せる。

  • 123スレ主25/06/08(日) 22:19:56

    凛「……あ?どうした」

    タビトがくわえてきたのは、
    “ダークブルーの札”──
    手のひらほどの、小さく滑らかなプレートだ。


    凛「……これ、小さな箱と組み合わせられんのか?」

    冴「付けてみろ。たぶん、前のと同じ系統だろ」

    凛が《ダークブルーの小さな箱》に、
    そっと札をはめ込むと──

     
    タビト「……せやから言うたやろ、お前らにはちゃんと言わなあかんって」

    凪「……え、今のタビト?」

    千切「喋った!?また喋ったよな!?いま!」

    タビト「……鳴いとるだけやない。今のは……ほんまに“必要やった”からや」

    凛「お前、しゃべれたのかよ」

    タビト「ほな、よう聞いとき。“ダークブルーのアイテム”が揃った今──あいつも、“近なってる”。ぜったい、油断したらあかん」

  • 124スレ主25/06/08(日) 22:39:06

    ──タビトは、それだけ言うと、
    何もなかったように「にゃあ」と鳴いて
    またいつもの姿に戻っていた。


    凛「……ま、必要ならまた喋るんだろ」


    不気味な空間の中に、ほんの一瞬、
    青い絆のようなものが灯った気がした。


    ■お知らせ
    ・烏旅人の奪還条件が全て揃いました。
    ・これより支援プロコトルを起動します。
    ・以下の固有能力が使用可能になります。
    【精神肩代わり】仲間のSAN減少を1回だけ引き受けられる。
    【ツッコミの業】全員暴走時に選択を1回だけ修正可能。

  • 125スレ主25/06/08(日) 22:43:42

    扉の前に立った冴が、凪から預けられた《防災管理室》の鍵を取り出す。

    その手元を、イッキがじっと見上げたまま、
    小さく「にー」と鳴く。


    冴「……案内、頼んだ」

    にゃ、と返すように、イッキが扉の方へ一歩進んだ。

    廊下に出た千切が、ふっと深呼吸しながら振り返る。


    千切「……よし、次だな。真正面、だよな?」

    凛「ああ。“こっち”見てる扉、他にねーし」

    凪は無言で歩み出て、扉の前に立つ。
    鍵穴の位置を見定め、無造作に振り返る。


    凪「冴」

    冴「……分かってる」

    冴が鍵を差し込む。

    “カチリ”という金属音とともに、無骨な扉がゆっくりと開き始めた。

    ──その向こうに広がるのは、“管理”の名を冠した、別の異質な空間だった

  • 126スレ主25/06/08(日) 22:49:19

    鉄製の重厚な扉が、鈍く軋む音を立てて開いた。

    途端に──肺を圧迫するような空気が、
    四人の身体を包み込んだ。


    凛「……うわ、これ……」

    千切「なんつーか……空気が重い。吸うだけで胃に来るんだけど……」

    部屋の内部は、まるで火災の後のような光景だった。

    壁はすべて黒く焦げ、
    煤がこびりついたように荒れている。
    だが、鼻を刺すような焦げ臭さはない。

    むしろ──“記憶そのものが焦げたような”感覚が、皮膚を、目を、神経を這ってくる。


    冴「匂いがしない……記憶に焼き付けるための部屋か。嫌なつくりだな」

    天井を見上げれば、
    壊れた非常灯が無数に吊るされていた。

    そのすべてが、ばちばちと断続的に明滅している。

    光の点滅に合わせ、部屋の隅の闇が“揺れる”。
    そこには誰もいないはずなのに──
    瞬きの一瞬、何かが“立っていた”ように見えた。

  • 127スレ主25/06/08(日) 22:51:01

    凪「……見た?」

    凛「見た。“いた”よな。今の、絶対」

    ヨイチが千切の足元で、小さく背を丸めて鳴いた。


    「にゃ」

    千切「……うん、分かってる。ここ、“出入口”じゃない。“出口に近い”だけだ」

    足元を、風が吹き抜けた。

    だが、それは“施設の外”からの風ではなかった。
    もっと、“違う場所”から──“ここに来てはいけない”何かが、外から中を覗いているような感覚。

    冴が一歩、前に出る。


    冴「この部屋の中で、最後の何かが眠ってる。……それが、起きる前に済ませろ」

    四人は無言でうなずく。

    猫たちが、それぞれの足元に身を寄せた。
    光の点滅が、今もなお、
    “部屋の奥”を揺らしている。

    ──この部屋には、まだ“何か”が残っている。

    それは、“手を伸ばす者”を、ずっと待っていた。

  • 128スレ主25/06/08(日) 22:52:23

    【A-7通路:第四区画“防災管理室”エリア】


    ①管制パネル周辺
    焼け焦げた配線と、異様なメッセージが浮かび上がるディスプレイ(異常発生リスク:大)

    ②天井裏の配電装置
    わずかに風が漏れている。誰かが通った形跡あり(異常発生リスク:大)

    ③避難マップ付近の金庫
    焦げて開かないように見えるが、鍵穴が新しい(異常発生リスク:大)

    ④消火器収納庫
    扉が半開きで、何かが“覗いている”気配……(異常発生リスク:大)

  • 129二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:55:00

    遂に異常発生リスクが是全部大になったな

  • 130スレ主25/06/08(日) 22:57:06

    >>129 アイテムなどゴリ押しでなんとかなるので、きっと大でも大丈夫です!ちなみに地下では【特大】が出現します!お楽しみに!

  • 131スレ主25/06/08(日) 22:58:59

    タビトが静かに「にゃあ」と鳴いた直後、凛が前へ出る。


    凛「……俺、①パネルのとこ見てくる。何か“変な情報”が浮かんでる気がする。兄ちゃんは、天井任せた」

    冴にだけ向けた柔らかな表情が、一瞬だけ浮かんだ。


    冴は頷きつつ、視線を②天井へと向けた。


    冴「了解。風の流れ……どっかから出入りしてるな。通路の痕跡、探してみる」

    彼の隣では、控えめな黒猫──
    イッキが「にー」と小さく鳴いている。

  • 132スレ主25/06/08(日) 23:00:14

    凪は一歩引いて、③黒ずんだマップの傍に目をやる。


    凪「金庫……開かなそうで、逆に開けたくなるよね。じゃ、俺はこっちで」

    いつも通りの無気力な声。
    その手を、レオが鼻先で小突いて促した。


    千切は④収納庫の前で足を止め、
    じっと半開きの扉を見下ろす。

    千切「……“覗いてる気配”ってヤバいんだけど!?でも、気になるってことは……行くしかねぇだろ」

    ヨイチが小さく「にゃ」と鳴いた。


    千切「へへっ、よし、ヨイチ先生の後押し入りました!──俺、ここ行く!」

  • 133スレ主25/06/08(日) 23:04:31

    【A-7通路:第四区画“防災管理室”探索:①管制パネル周辺・糸師凛】
    【探索開始】7:00


    点滅する非常灯が、
    またたく炎のように天井を照らしていた。

    凛は、その下で立ち止まり、
    目の前の管制パネルに視線を向ける。


    凛「……焦げてるな、これ。誰がやったんだよ」

    独りごちる声は低く、けれどどこか慎重だ。

    パネルの周囲には焼け落ちた配線、その先のディスプレイには、ひときわ異様なノイズの残滓。

    まるで誰かの“最後の叫び”が、
    焼き付いたまま消えずにいるような……そんな錯覚。

  • 134スレ主25/06/08(日) 23:07:27

    凛「壊れてても、何か残ってるかもしれねーし……」


    指を伸ばす。

    焦げ跡に触れる直前、背後でタビトが短く鳴いた。


    振り返りはしない。

    ただ、気配を感じながら、凛は一歩踏み出す。



    凛「……俺がやる。兄ちゃんの出番はまだ早いってな」


    そう呟いて、

    ゆっくりと、焼け焦げたパネルに手を触れた。



    異常発生リスク大

    dice1d110=89 (89)

    (1〜40:大失敗 41〜75:失敗)

    (76〜95:成功 96〜110:大成功)

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 135スレ主25/06/08(日) 23:13:41

    【探索成功】7:00


    焦げ跡の隙間から、
    凛の指が管制パネルの端に触れた──

    その瞬間だった。


    凛「……あ?」

    ディスプレイに、ノイズ混じりの残像が走る。

    誰かの姿──ではない。
    いや、“誰かだった何か”が、画面の奥でこちらを見ていた。

    ひどく歪んだ影。顔の輪郭は潰れ、白く浮かぶはずの瞳孔だけが、妙に鮮明に映っている。

    だが、数秒後にはその映像も焼け焦げたかのように滲み、光の点滅と共に消えた。


    凛「……今の、映像じゃねぇよな。思念……か?」

    ふと、傍らのディスプレイ横から、
    かすかに紙片のようなデータカードが排出された。

    指で摘まみあげると、
    それは微かに脈打つような微振動を帯びていた。

  • 136スレ主25/06/08(日) 23:15:08

    凛「記録……違うな。これ、脳波ログか……」

    背後で、タビトがピクリと耳を動かし、
    「ニャウ……」と低く喉を鳴らす。

    凛「……あぁ、わかってる。これ、やべー奴の残り香だな」

    表示された一部のログには、こんな記述があった。


    【院長-思念体-情報】
    防災管理室にて、思念体反応を確認。対象:院長。
    肉体の喪失を越えて、なおこの区画に“執着”を残している。
    対象は現存する全サンプルの思念波と反応しようとしている。
    特に、“精神不安定なもの”ほど、優先して取り込もうとする。


    凛「……思念体ってことは、“あいつ”とは別だな。院長のカケラ。まだ残ってんのかよ」

    タビトが、凛の足元をぐるりと回り込み、
    小さく尾を立てた。

    それはまるで──
    この部屋の奥に、“まだいる”と告げるように。

  • 137スレ主25/06/08(日) 23:19:37

    【A-7通路:第四区画“防災管理室”探索:②天井裏の配電装置・糸師冴】
    【探索開始】7:00


    冴は、天井の一点を静かに見上げていた。

    高所。無数の配線。
    今にも落ちてきそうな壊れかけの天井裏。

    風が漏れている──
    それは明らかに、内部から何かが出入りした証。


    冴「……わざわざ通ったやつがいるってことか。人か、モノかは知らねぇが」

    イッキがその足元で、小さく「にー」と鳴いた。

    静かな声。
    だが、どこか不安げに、じっと天井を見上げている。


    冴「……お前も見てんのか。じゃあ、無視はできねぇな」

    手元のデバイスに視線を走らせながら、
    冴は配電装置の正確な位置を探る。

    天井裏の金属フレームの接合部。
    そこにわずかな空洞がある。

    風の通り道。

  • 138スレ主25/06/08(日) 23:22:32

    冴「風の筋は……こっちか。下手すりゃ天井、落ちるな。だが行く」


    冴は迷わず、壊れかけた踏み台へと片足をかけた。


    周囲の焦げ跡から粉塵が舞い、

    イッキがひとつくしゃみをする。



    冴「イッキ、そこ動くなよ。落ちても受け止めねぇからな」


    冗談ともつかない声。

    だが、足取りは冷静で、迷いがない。


    冴の視線はすでに、わずかな隙間の奥──

    天井裏の“何か”へと向けられていた。



    異常発生リスク大

    dice1d110=50 (50)

    (1〜40:大失敗 41〜75:失敗)

    (76〜95:成功 96〜110:大成功)

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 139スレ主25/06/08(日) 23:25:56

    【冴の固有能力:最適解──発動】


    冴は、天井裏に手を伸ばしかけたその瞬間──
    ふと、指を止めた。


    冴「……おかしいな。風の流れ、さっきと違う」

    視線をずらし、再び配線の動きを見極める。

    一見すると同じような構造。
    だが、風の漏れ方がほんの僅かに変わっている。

    そこに、違和感。

    イッキがもう一度、「にー」と鳴いた。
    まるで、「そっちじゃない」とでも言いたげに。

  • 140スレ主25/06/08(日) 23:27:46

    冴「……あぁ。分かってる。最初の勘が外れてた」


    自分の手元を見つめながら、冴は息をひとつ吐いた。

    どこか、わずかに笑ったような気配を残し──

    もう一度、視線を持ち上げる。



    冴「なら、最適解を選ぶまでだ。いつも通りな」


    重みのかかった足を一度戻し、今度は別の配線の“わずかな断裂”を辿って進路を切り替える。



    その指先は、今度こそ確かに、

    “何か”へと届こうとしていた──



    異常発生リスク大

    dice1d110=96 (96)

    (1〜40:大失敗 41〜75:失敗)

    (76〜95:成功 96〜110:大成功)

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 141スレ主25/06/08(日) 23:32:04

    兄ちゃが最適解を選びましたので、本日の更新はここまでです。全然地下まで行けませんでした。
    A-7と地下はアイテム、特典、固有能力ゴリ押し戦術で行きます。明日もよろしくお願いします。
    ちなみにですが、兄ちゃがえげつないほどクリティカルを出してます。

    ・千切豹馬:クリティカル(101、103、108、110)
    ・千切豹馬:ファンブル(1、4)
    ・凪誠士郎:クリティカル(95、98、99、100、109)
    ・凪誠士郎:ファンブル(1、4)
    ・糸師凛:クリティカル(97、98、98、103、103)
    ・糸師凛:ファンブル(2、2、4、5、5)
    ・糸師冴:クリティカル(95、95、96、96、97、98、98、99、100、104)
    ・糸師冴:ファンブル(2、2、4)

  • 142二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 23:39:57

    兄ちゃすご
    そしてお疲れ様でしたスレ主!

  • 143二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 03:11:08

    今日もお疲れ様です!
    クリティカル数→冴、ファンブル数→凛でそれぞれ糸師兄弟が一番なんだね
    それにしても冴のクリティカル率がやばい

  • 144スレ主25/06/09(月) 08:08:47

    >>142 ありがとうございます!他のキャラの2倍、クリティカルを出してます!

    >>143 ありがとうございます!ある意味糸師兄弟でバランスが取れてますね…。


    おはようございます。

    本日もよろしくお願いします!

  • 145スレ主25/06/09(月) 09:11:05

    【再試行大成功】7:00


    冴の指先が、断裂しかけた配線の隙間へと滑り込む。

    その奥にあったのは──
    歪んだケーブルの束ではなく、
    “風”を通す細い通路だった。


    冴「……やっぱりか。誰かが通ったんじゃなく、“通るために”作られた道」

    そのわずかな風に導かれるように、
    冴は配線奥のパネルを慎重に外す。

    金属の擦れる音。

    すると──パネルの裏、
    暗い空間の中に“それ”はあった。

    埋め込まれるように格納されていた、小さな箱。
    かすかに“紫の光”を放つそれは、
    見る者に得体の知れない感触をもたらす。

    装飾は最小限。
    だが、箱の表面にはかすれた医療管理用コードらしき刻印が浮き出ていた。

  • 146スレ主25/06/09(月) 09:12:41

    冴「……これは……あの箱と、同じ類か」

    静かに手に取り、箱を回す。

    紫色の光が、その瞳に映り込む瞬間──
    足元で、イッキが短く「にー」と鳴いた。


    冴「ああ。分かってる。“これ”も、意味があるものだ」

    ゆっくりとポーチに収めながら、
    冴はもう一度、天井裏を見上げた。

    先ほどまでの“異物感”は、すでに消えている。

    あの箱が、何かを“封じていた”かのように──。

  • 147スレ主25/06/09(月) 10:08:57

    【A-7通路:第四区画“防災管理室”探索:③避難マップ付近の金庫・凪誠士郎】
    【探索開始】7:00


    焦げついた避難マップの傍で、凪は足を止めた。

    その下に──焼け焦げて歪んだ鉄製の金庫が、
    無理やり埋め込まれるように設置されている。


    凪「……開かない、って雰囲気出してる割に……鍵穴は、やけに綺麗」

    しゃがみ込み、手を伸ばす。
    金属の表面には煤がこびりついているが、鍵穴だけはまるで昨日使われたかのように光っていた。

    レオがその場に座り込み、尻尾をふわりと揺らす。

    静かに「……んー」と鳴いた。

  • 148スレ主25/06/09(月) 10:10:56

    凪「レオはこっちって言ってるの?……じゃあ、当たりかな」


    ぼそりと呟くと、指先でそっと金庫の蓋をなぞった。


    焦げた鉄の質感。

    その奥に、“まだ使えるもの”が眠っているような、かすかな気配がある。



    凪「……どうせなら、一発で開いてくれると嬉しいんだけど。……無理か」


    半ば諦めたように、

    けれどその目はしっかりと内部を見据えている。


    重苦しい空気の中で、凪は静かに“鍵の存在しない金庫”に挑もうとしていた──。



    異常発生リスク大

    dice1d110=82 (82)

    (1〜40:大失敗 41〜75:失敗)

    (76〜95:成功 96〜110:大成功)

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 149スレ主25/06/09(月) 11:37:55

    【探索成功】7:00


    焦げた金庫の表面を、凪の指がゆっくりなぞる。

    力任せに開けるでもなく、
    丁寧に、隙間を探るように。

    やがて──金庫の蓋が、
    かすかに“カクン”と音を立てて緩んだ。

    鍵がないはずなのに、
    なぜか内部のロックが自動的に外れたように感じる。


    凪「……ラッキー、かも」

    中に入っていたのは──焼け跡の残る封筒と、
    堅牢な金属プレートのようなもの。
    プレートは他の“何か”と組み合わさるように設計されており、表面には黒ずんだ文字列が刻まれている。

  • 150スレ主25/06/09(月) 11:39:27

    凪「《No.15》……って書いてある。あー、またパズルか……」

    プレートを手に取り、
    淡く光る刻印をじっと見つめた。

    手にした瞬間から、それが“最後の一片”であることが、直感的に分かった。

    レオが小さく「……んー」と鳴く。


    凪「全部揃った、って意味だよね。……ありがと、レオ」

    そう呟いて、凪は手にした《喚起プレート:No.15》を静かに胸ポケットへと滑り込ませた。

    組み合わせることで何が起こるのかは分からない。

    ただ、戦いの中で確実に役に立つ──
    それだけは確信できる、不思議な確信があった。

  • 151スレ主25/06/09(月) 11:51:39

    【A-7通路:第四区画“防災管理室”探索:④消火器収納庫・千切豹馬】
    【探索開始】7:00

     
    千切は壁際の消火器収納庫の前で立ち止まった。

    その扉は中途半端に開いており、
    まるで──中から誰かが覗いていたかのような、
    微かな“視線”が背中にまとわりつく。


    千切「……なあ、ヨイチ。こいつ、見てるよな?」

    足元のヨイチが、かすかに「にゃ」と短く鳴いた。
    同意にも、警告にも取れる鳴き声だった。


    千切「わかってるって……こういうときはな、目を逸らさずに、ちゃんと目ぇ見てやんのが礼儀ってもんだ」

    唾を飲み込んで、
    千切はしゃがみ込み、ゆっくりと手を伸ばす。

    扉の隙間へと指先を差し入れ──開く準備を整える。

  • 152スレ主25/06/09(月) 11:52:52

    千切「よし……変なもん、出てくんなよ……!」


    小さく息を吐き、手元に神経を集中させる。


    暗闇の向こうに何が待っているかは、

    まったくわからない。


    だが、その扉の先に“確かに何かがいる”ことだけは、はっきりと感じられた──



    異常発生リスク大

    dice1d110=16 (16)

    (1〜40:大失敗 41〜75:失敗)

    (76〜95:成功 96〜110:大成功)

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 153スレ主25/06/09(月) 12:03:33

    【探索成功】7:00
    【100特典:探索大失敗を自動成功に変換】


    千切「……やっぱさ、どう見ても“いる”よな。中に何かが。こえーって……」

    身を低くして覗き込みかけた瞬間──

    ガタンッ!! と、扉の内側から金属音。

    同時に、黒ずんだ布のようなものが飛び出し、
    千切の腕に絡みついた。


    千切「わっ、うわっ!?な、なにっ、これ……ッ!」

    全身を駆け抜ける異様な冷気。
    絡みつく焦げた布は、
    まるで意思を持つかのように蠢いていた。

    足元ではヨイチが低くうなり、
    「にゃっ」と鋭く声を上げると──
    その瞬間、何かが“解ける”ようにして布が外れ、
    天井の隙間から、紫色の札がふわりと落ちてきた。

    千切は息を詰めながら、それをキャッチする。

  • 154スレ主25/06/09(月) 12:06:49

    千切「……コレ、レオの……?」

    札の表面には、不気味な記号と、何かの番号。

    それが“異常に重要なもの”ということを、
    混乱する千切の脳は、はっきりと理解していた。

    千切はそれを、黙ってポーチに滑り込ませる。

    ヨイチが小さく「にゃ」と鳴いた。
    千切は振り返り、わずかに笑みを浮かべる。


    千切「……ああ。ナイショにしとこ。今は、な」

    そして、何事もなかったかのように、
    他の仲間の元へ歩き出す──

    “何を見つけたのか”は、
    まだ彼の胸の内に秘めたまま。

  • 155スレ主25/06/09(月) 12:09:23

    地下の難易度調整します!もうちょっと危機感が欲しい!全員元気すぎる!

  • 156二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 13:01:05

    この人ら定期的にクリティカル引くからやらかしてもカバーできてるのが強いんよなぁ

  • 157スレ主25/06/09(月) 13:21:07

    >>156 特典がめちゃくちゃ溜まってます…。お陰様で全くアイテムが減らず溜まる一方なんですよね…それでもいいのですが、スレ主は折角ならもっと激戦を見てみたい……。

  • 158スレ主25/06/09(月) 16:22:18

    鈍く冷えた部屋の中心に、四人が集まる。

    それぞれが手にした情報とアイテム──
    すべてが、ここで揃った。

    まずは、凛が静かに口を開く。


    凛「……この部屋、ヤバいのがいる。俺が拾ったログ、こんな内容だった」

    凛は先程入手した、
    《記録ログ:院長-思念体-情報》を読み上げる。


    凛「……つまり、“院長の思念体”は、今もここにいる」

    冴「思念が取り込もうとしてる対象、“精神が不安定な者”……この中だと、千切。今、いちばん危ういのはお前かもな」

    千切「……わかってる。けど、もう逃げねぇよ」

    その声の硬さに、凪が少しだけ目を細めた。


    凪「あと、これ。俺の探索で見つけた最後の……《喚起プレート》」

    凛「よし、No.02、05、07、11、15──揃ったな。数字はバラバラだけど、組み合わせられる」

    千切「組み合わせたら……名前が変わったな。《リフラクション・コード》って表示されたけど」

    冴「最大4回分……“失敗したやつを救える”ってことだな。確実に戦闘向けだ。……覚えておけ」

  • 159スレ主25/06/09(月) 16:25:34

    そして──

    冴が、そっと取り出したのは《紫色の小さな箱》。
    凛と千切の視線がすぐに吸い寄せられる。


    凛「それ……揃ったんだよな」

    冴が、無言で頷く。

    千切がポーチから《紫色の宝石》を取り出し、慎重に箱へと納める。

    淡い光が、ふっと部屋を照らす。


    千切「あと、これも。箱の横にセットできる」

    差し出した《紫色の札》。
    続けて千切が箱にそっと挿入する──


    その瞬間だった。


    「……よし、やっと届いた」

    低く、けれど確かに聞き覚えのある声が響く。

    冴が目を細める。
    その声の主が──その正体が、そこにいた。

  • 160スレ主25/06/09(月) 16:37:28

    凪の隣、ゆっくりとしっぽを振る猫。

    紫の毛並み。気品ある瞳。
    静かに、はっきりと口を開いた。


    レオ「繋がった。俺の声、聞こえてる?」

    凪「……レオ、なんだよね?」

    レオ「──ああ、俺だよ。ずっと、お前らの側にいた。……でも、声も出せなかった。……揃えてくれて、ありがとう」

    レオの声は、静かだった。
    だが、懐かしさと優しさを帯びていた。


    冴「……お前の“身体”はどこにある?」

    玲王「地下……たぶん。俺の記憶は……バラバラになってる。でも、確かに最後に目を閉じたのは、“アイツ”の前だった。だから──」

    凪「迎えに行く。絶対、取り戻すよ、レオ」

    玲王「……ありがとな、凪。お前らも……感謝してる」

    その言葉に、四人は強く頷く。

  • 161スレ主25/06/09(月) 16:39:17

    千切「行こう。“迎えに”行くぞ」

    そして、その視線は──

    最終戦が待つ、最深部へと向かっていた。


    ■お知らせ
    ・御影玲王の奪還条件が全て揃いました。
    ・これより支援プロコトルを起動します。
    ・以下の固有能力が使用可能になります。
    【励まし】仲間のSANを+1回復できる(1回のみ)。
    【記憶の灯】玲王の支援により、SAN値減少を3度回避することが出来る。

  • 162スレ主25/06/09(月) 16:49:39

    防災管理室──

    重い空気が張り詰める中、
    突如として、異様な存在が“そこに現れた”。

    白衣を纏う初老の男。
    背をやや屈め、整えられた白い髭と端整な顔立ち。

    しかし、その雰囲気は決して人のものではなかった。
    まるで“人間”という姿を模倣した、別の“何か”。


    千切「……っ」

    千切が小さく息を呑む。

    その視線の先、“院長”と呼ばれる存在は、
    何も言わず、ただ立っていた。

    ──だが、明らかに、彼らを“見ている”。

    正確には、彼らの“精神の揺らぎ”を。

    その内側に触れようとするかのように、
    男の瞳がゆっくりと光を帯びていく。


    凛「視線……いや、違う。あれ、こっちの中を……」

    凛がわずかに眉をひそめ、喉を鳴らす。

  • 163スレ主25/06/09(月) 17:33:29

    そして──

    院長の背後に、現実が“ひしゃげた”。

    空間がねじれ、
    床に焦げ跡のような影が広がっていく。

    警報が、すべての計器から一斉に鳴り響いた。


    冴「警報、か……。目覚めちまったってわけだな」

    冴が淡々と呟く。

    その時、一瞬だけ、院長の目が細められた。
    視線の先にいたのは、静かに動かなかった凪。

    彼の足元のレオ──いや、“玲王”が、わずかにその体を前に踏み出した。

    だが鳴かない。
    ただ、院長の方を睨んだまま、
    凪の足にそっと尻尾を巻きつける。


    凪「……俺らを、“取り込もう”としてる」

    凪が、抑えた声で呟く。

  • 164スレ主25/06/09(月) 17:35:59

    千切は額に汗を浮かべながら、身構える。



    千切「来いよ……こっちだって、準備できてんだ!」



    彼らの精神を取り込もうとする、“院長”の思念体。


    警報の音が一段と高くなり、

    空間が呻き声のように軋む。



    【A-7通路:第四区画“防災管理室”】《思念体:院長》

    (10回攻撃成功で討伐完了/75以上で攻撃成功)

    千切:dice1d110=65 (65)

    凪:dice1d110=75 (75)

    凛:dice1d110=108 (108)

    冴:dice1d110=53 (53)

    ※院長(思念体)の情報入手:+5補正

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 165スレ主25/06/09(月) 18:46:39

    【戦闘開始】7:00
    【100特典:+20補正使用→冴、千切攻撃成功】
    【冴の固有能力:断罪の策略──発動】


    ──その姿は、どこか荘厳ですらあった。

    黒く焦げた空間の中央。
    “院長”と呼ばれたその思念体は、背を少し曲げ、静かに佇んでいる。

    その“視線”だけが、
    四人の意識の芯を、じっと見つめていた。

    そして冴が、躊躇なく前へ出る。


    冴「……俺らのこと待ってたなら、もうちょいマシな迎え方しろよ」

    足を踏み込んだその一瞬、
    視線が、彼だけに定められる。

    だが構わない。

    冴は迷いなく、院長の腹部──
    歪んだ白衣の中心へと鋭く拳を叩き込んだ。


    ──無音。

    衝撃の直後、空気が僅かに撥ねた。

  • 166スレ主25/06/09(月) 18:48:42

    冴「……まだ立ってんのか」

    淡々ともう一撃。続けざまに蹴り上げを放つ。

    それは思念体の顎を正確に捉え、
    空間が波紋のように揺れる。


    千切「よっし……! こっからは、俺も!」

    冴の連撃を受けた瞬間、
    思念体の足元が一瞬だけ揺らいだ──

    その隙を、千切は逃さない。


    千切「どんだけ待ってようが、俺らは──お前のとこには帰んねぇよ!!」

    走る。

    床を蹴って加速した千切の足が、
    疾風となって駆け抜ける。


    そのまま、一直線──

    思念体の胸部に向けて、
    全体重を乗せた跳び蹴りが炸裂。

    一瞬、思念体の輪郭が僅かに砕けた。

  • 167スレ主25/06/09(月) 18:50:51

    凪「……お前が迎え入れたいのは、俺たちじゃない」

    そう呟いた凪は、静かに一歩踏み出す。

    左手を開き、右の拳を握りしめる。

    レオが背後でじっと見守る中、
    凪はただ無言で“院長”の懐へと滑り込む──

    そして、
    何の前振りもなく、真っ直ぐなストレート。

    無駄のない打撃が、“院長”の側頭部に深く沈んだ。


    凪「俺たちの行く場所は、もっと先にある」

    それは、拒絶の拳だった。


    最後に飛び込んできたのは凛。

    跳躍。
    拳には、まるで炎のような勢いが宿っていた。


    凛「待ってろって言われて待つのは、兄ちゃんだけで十分だっつの!!」

    その叫びとともに──
    鋭いローリングエルボーが、思念体の眉間を正確に叩き割る。

  • 168スレ主25/06/09(月) 19:01:37

    閃光のような衝撃。

    四人の打撃が重なり合ったその瞬間──

    “院長”はぐらりと後ろに下がり、
    その輪郭をいったん薄く、透けるように変質させた。


    だが──それで終わりではなかった。


    その“目”が、にたりと笑った気がした。


    「──おかえり」

    四人の脳に、直接触れてくる声。

    「ずっと、待ってたんだよ……」


    冴「ッ……来る」

    焦げた空気の中、計器類が突然警告音を鳴らし始める。

    キィイィン……という耳鳴り。

    室内の壁が、“誰かの目”に変わっていくかのように歪み──

    まるで、四人の“精神そのもの”を測ろうとしているかのようだった。

  • 169スレ主25/06/09(月) 19:20:34

    千切「くそっ……なんだこれ、頭の奥が、グワンって……!」


    凪「また精神系か……面倒くさいやつ」


    凛「来いよ、こっちはもう慣れた」



    視線が、音が、空間が。


    彼らの“核”をえぐるように侵食を始める。



    【A-7通路:第四区画“防災管理室”】《思念体:院長》

    (5回攻撃成功で討伐完了/75以上で回避成功)

    千切:dice1d110=48 (48)

    凪:dice1d110=94 (94)

    凛:dice1d110=27 (27)

    冴:dice1d110=106 (106)

    ※院長(思念体)の情報入手:+5補正

    ※100特典:+20補正

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 170スレ主25/06/09(月) 19:33:12

    【回避開始】7:00
    【凛の失敗:冴のクリティカルで成功へ変換】
    【千切の固有能力:光刃の脚──発動】


    「……逃げられると思うのか」

    “院長”の声が、四人の脳内の奥に直接届く。

    この空間そのものが、
    彼らの精神を試すために創られたような、歪な気配。

    その圧に、まず反応したのは──千切だった。


    千切「……っ、来る!」

    瞬間、足元の空間が歪み、
    無数の“手”のような影が千切の体へと伸びる。

    だが──


    千切「遅ぇんだよ、そういうの!!」

    疾風の如く、彼の体が影をすり抜けていた。

    まるで“何が来るか”を最初から知っていたように、影の動きに一瞬早く跳び退き、そして逆にその腕を踏み台にして宙を舞う。

  • 171スレ主25/06/09(月) 19:34:35

    千切「──その余計な手、全部へし折ってやるよ!!」

    踏み込む勢いのまま、
    蹴り足が、影の本流を貫いた。

    その一撃は、院長の思念の一端を確かに切り裂き、空間に小さな亀裂を走らせた。


    次に襲われたのは凪。

    暗闇の中、凪の背後から──
    まるで“水面の底”から引きずるような力が、
    静かに迫ってくる。

    だが──


    凪「……そこね」

    寸前で体を半歩だけ捻ると、
    凪はその腕を逆に絡め取るように回避する。


    凪「悪いけど、俺の精神に勝手に入り込まないで」

    口調は静かでも、
    その瞳には、鋭い警戒の光が宿っていた。

    スッ──と離れた彼の足元には、
    影が薄く崩れ落ちていく痕跡が残る。

  • 172スレ主25/06/09(月) 19:37:53

    一方、凛の意識が一瞬だけ、“どこか”に引きずられそうになった。


    凛「……っ、……ここは……」

    どこか、懐かしい声が聞こえた気がした。


    ──「よくやったね」
    ──「もういいんだよ、リンくん」

    記憶が、滲む。
    感情が、一瞬、緩んだ……、が。


    冴「立て、凛。それはお前が望む言葉じゃねえ」

    凛「……兄ちゃん」


    冴の声が、正面から響く。
    言葉ではなく、“強さ”そのものが乗った声だった。

    それだけで、凛の意識は──一瞬で正気に戻った。


    凛「ありがと。さすが兄ちゃん」

    柔らかく微笑むと、凛の瞳が元の鋭さを取り戻す。
    迫り来る影を、已の所で回避した。

  • 173スレ主25/06/09(月) 19:39:46

    最後に、“院長”の本体とも言えるような気配が冴の内面を探ってくる。


    ──「キミだけは……気づいていたね」
    ──「君も、こちらへ──」

    だが、その言葉が届く前に、冴は静かに目を細めた。


    冴「それは、お前にとっての“正しい導き”だったか?」

    静かに、短く吐き捨てる。

    すると不意に、
    思念体の気配が跳ねるように後退する。


    その感情は──恐れ。

    冴の視線だけが、
    逆に“院長”の中へと踏み込んでいた。


    冴「……精神不安定な奴から喰らってくつもりだったんだろうが、残念だったな」

  • 174スレ主25/06/09(月) 19:41:55

    その瞬間、“空気”が変わる。


    彼らはすでに“喰われる側”ではない。


    ここから先は──反撃の時間だ。



    構える四人の中に、確かな“殺気”が芽生えていく。



    【A-7通路:第四区画“防災管理室”】《思念体:院長》

    (4回攻撃成功で討伐完了/75以上で攻撃成功)

    千切:dice1d110=20 (20)

    凪:dice1d110=53 (53)

    凛:dice1d110=1 (1)

    冴:dice1d110=38 (38)

    ※院長(思念体)の情報入手:+5補正

    ※100特典:+20補正

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 175二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 19:44:23

    だから落差!!!

  • 176スレ主25/06/09(月) 19:47:10

    >>175 突然やる気が死ぬので困っちゃいます…、なのでここで固有能力発動しちゃいましょう!突っ込め、タビト!

  • 177スレ主25/06/09(月) 19:51:41

    【烏の固有能力:ツッコミの業──発動】


    攻撃に転じた四人の拳も蹴りも、
    思念体の霧のような輪郭に届くことはなかった。

    空間を貫く風の音すら、
    どこか笑っているように聞こえる。


    「やはり──お前たちも、“こちら側”の存在だろう?」

    “院長”が、声にならない囁きを重ねる。

    その全てが精神の奥底へと染み込んでくるような、
    不快な温度。

    四人の背に、薄く冷たい汗が伝う。
    ほんのわずかでも気を緩めれば、
    何かが“壊れそうな”感覚。


    その時だった。


    「にゃっ、にゃにゃにゃー!!!!!!!!!!」

    突如、部屋の隅から、
    信じられない声量で鳴き声が響いた。

  • 178スレ主25/06/09(月) 19:53:31

    凛「……タ、タビト……おまえ……本気か……?」

    冴「……こんな大声出せる猫だったんだな……」

    千切「ぎゃっ!な、鳴き声で脳が揺れたんだけど!?」

    凪「……レオが若干びびってる」


    ──その瞬間。

    時間が、“巻き戻った”。

    視界が一瞬揺らぎ、
    空間全体が水の中に沈んだような反響音に包まれる。


    タビト「今のは──酷いミスやな」

    タビト「もう一回、最初からやり直せや!!!!」


    猫とは思えないノリで“鳴き声”を残し、
    タビトはぴょんと高く跳ねる。

    そして、四人の背にそれぞれ風が吹き──

    意識が“前の瞬間”へと戻っていった。

  • 179スレ主25/06/09(月) 19:55:21

    冴「……タビト、最高だな。なんなら一匹ほしい」


    凛「よし、もう一回だ。……“今度こそ”」


    千切「ははっ……やっべ、テンション上がってきた……!」


    凪「……任せたよ、みんな」



    四人の足元から、新たな熱が立ち昇る。


    今度は──当てる。



    確実に、“終わらせる”一撃を。



    【A-7通路:第四区画“防災管理室”】《思念体:院長》

    (4回攻撃成功で討伐完了/75以上で攻撃成功)

    千切:dice1d110=38 (38)

    凪:dice1d110=38 (38)

    凛:dice1d110=75 (75)

    冴:dice1d110=18 (18)

    ※院長(思念体)の情報入手:+5補正

    ※100特典:+20補正

    ※特典はダイス値に応じて使用可能

  • 180二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 19:56:33

    猫たちの固有能力描写くるの嬉しい!
    あとちゃんとやり直せてえらいよ凛ちゃん!

  • 181二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 19:59:25

    あんま変わんねぇ……
    ファンブル無いだけマシか?

  • 182スレ主25/06/09(月) 20:01:54

    >>180 ありがとうございます!猫風に変換してます。ツッコミの業は相変わらず便利ですね…!

    >>181 凛ちゃんのファンブルが成功に変わっただけでだいぶ楽です!ゴリ押し出来ます!

  • 183二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 20:06:12

    サンキュータビト!!
    関西弁でツッコミ入れる猫ちゃん想像したら可愛すぎた
    それにしてもやっぱり急に不調の波が来るからうまく行ってても最後まで油断できないね

  • 184スレ主25/06/09(月) 20:08:51

    【戦闘開始:2回目】7:00
    【100特典:探索自動成功を、情報書換デバイスにより攻撃自動成功に変換】
    【100特典:攻撃自動成功により、千切・凪の失敗を成功に変換】
    【冴の固有能力:断罪の策略──発動】


    凛の声が、鋭く空気を裂いた。


    凛「……絶対に、──当てる」

    蒼い残光を纏うその一撃。

    指先から奔った気迫が、
    思念体の胸部に深く突き刺さるように踏み込んだ。

    “音”はない。だが、空間がざわつく。

    水面を鋭く貫いたような、
    静かな乱れが広がっていく。


    続けざまに、千切が風を裂いた。


    千切「こっから先は──通さねえぜ!!」

    爆風のような脚が加速する。

    “院長”の視線がわずかに動いたその一瞬の隙を突き、“精神の像”を打ち砕いた。

  • 185スレ主25/06/09(月) 20:10:54

    >>183 タビト、面白い猫ですよね!スレ主も書いてて楽しいです。あと4部屋、ゴリ押しできるかなー。

  • 186スレ主25/06/09(月) 20:12:06

    凪は、無言のまま一歩前へ出た。

    凪「……どんな記憶だろうと……“俺たちの魂”は取り込ませない」

    冷えた瞳が、その幻像を捉える。

    寸分の無駄もない拳──
    そのまま真正面から“院長”の胸を貫いた。

    風が、止まる。


    最後に──冴が、静かに歩み出る。


    冴「……そっちに引き込もうってんなら、相応の覚悟くらいしてこいよ」

    左の掌で渾身の拳を作る。
    右足を軸に、鋭く回り込むと同時に──


    冴「……これで終わりだ」

    低く、重く振り抜かれた蹴りが、
    “院長”の顔面を正確に捉える。

    無数のノイズが弾け飛び、
    思念体の形が、崩れ、崩れ、そして──

    消えた。

  • 187スレ主25/06/09(月) 20:13:27

    「──あぁ、“やっと来てくれた”んだね」

    どこか遠く、誰かの記憶の奥底から漏れたような声。

    だがそれは、もう届かない。

    思念の残滓は、空気に溶けて、
    どこにも存在しなくなっていた。


    静寂。

    それは、戦いの終わりを示す音だった。


    凛「……終わった、のか?」

    冴「あぁ。──これで、この通路は全てだ」

    千切「……へへっ、マジで、倒せたんだな……!」

    凪「……玲王、迎えに行こう」


    “出口”へと続くこの部屋で、彼らの“奪還”は、クライマックスに近づいていた。

  • 188スレ主25/06/09(月) 20:20:24

    冴の足元──“院長”の思念体が消えた空間に残されたものは、ひとつの金属製の鍵だった。

    それは無骨で、
    表面に煤のような汚れがこびりついている。
    だが、よく見れば、微かに文字が刻まれていた。


    ──《非常用出口》。


    冴がそれを拾い上げた瞬間、
    部屋のどこかで微かに“カチリ”と音がした。

    まるで、長らく封じられていた何かが“通じた”かのように。


    凛「……兄ちゃん、それ──」

    冴「ああ。非常口の鍵だ。通路の突き当たり……出口だな。これで、外に出られる」

    凪「やっと……ここから出られるってわけだね」

    千切「よし……!!じゃあ……あとは……!」

  • 189スレ主25/06/09(月) 20:23:09

    そう、あとは──地下だ。

    あの深部に囚われた、
    4人をこの手で“奪還”するために。

    この《非常用出口の鍵》は、
    その“先”で全員が揃ったあと──
    “最後に使う”ための鍵だった。


    ヨイチが、小さく「にゃ」と鳴いて、
    通路の方を振り返った。

    彼らの道は、決して閉ざされてなどいない。


    ──ただ、まだ終わっていないだけだ。

  • 190スレ主25/06/09(月) 20:26:46

    防災管理室の扉が静かに閉じられる。

    部屋の中に漂っていた“焦げた記憶”のような重圧も、ようやく背後に遠ざかっていく。


    そして──

    千切が先頭でA-7通路の扉を開いた。

    キィ……ッと錆びた音が響く。

    だが、その向こうから吹き込んできたのは──
    どこか懐かしい、冷たいだけではない空気だった。


    凛「……なんか、ちょっと、息しやすいな」

    凪「1階に戻っただけで、こんなに空気が変わるんだね」

    冴「地下と比べりゃ、ここはまだ“地上”だからな」


    廊下の先へと、4人と4匹──
    ヨイチ、レオ、タビト、イッキ──が、
    静かに歩を進めていく。

    千切の手には、《避難経路図》が握られていた。
    何度も折られたそれを広げ、目を走らせる。

  • 191スレ主25/06/09(月) 20:27:51

    千切「……こっちで合ってる。地下への入口、たしかこの先──」

    その言葉通り、数十メートルの通路を抜けた先。


    突き当たりの壁に、
    “鍵付きの扉”が埋め込まれていた。

    厳重な施錠。通常の鍵ではない。


    だが──

    凪が静かに一歩前に出る。

    ポーチから、ひとつの金属製チップを取り出した。
    無骨なカートリッジ型。

    側面には小さく──

    《K-FL:Lower Access》

    ……擦り切れかけた文字が、確かに刻まれている。


    凪「……これ、だよね」

    小さく息をつき、装置の挿入口にチップを差し込む。

  • 192スレ主25/06/09(月) 20:29:13

    ──カチリ。

    無機質な音と共に、
    セキュリティロックが解除される。


    冴「通るぞ。気を抜くな」

    凛「……やっと、地下か」

    千切「絶対、4人とも連れ戻す……!」

    その瞬間、地下へと続く扉が、音もなく開いた。


    ──静かに、深く、底知れない闇が彼らを迎え入れていた。

  • 193スレ主25/06/09(月) 20:37:53

    扉が開いた瞬間──


    千切「……っ、なにこれ」

    千切が思わず足を止めた。

    吹き込んできた空気は、
    A-7通路とは比べ物にならなかった。

    まるで、深海の底にでも降りたかのような、圧倒的な重さ。


    凛「……重い、っていうか……肌がピリつく」

    凪「地下ってだけで、こんな変わる?」

    冴「……“ここ”が異常なんだよ。病院の地下ってだけじゃない」


    空気の質が違った。

    湿気を含んだ冷気が皮膚を刺し、
    息を吸うたびに喉が焼けるような感覚すらある。

    廊下は、無機質な金属とコンクリートで構成されていた。
    しかし、壁面の一部には不自然な焦げ跡や、過去に何かが“掘られた”ような痕跡が走っている。


    千切「……ここって、ほんとに……人が使ってた場所、なのか……?」

  • 194スレ主25/06/09(月) 20:39:13

    道は一方向に伸びており、
    突き当たりに4つの扉が並んでいる。

    それぞれに、重厚な鉄製のプレートが取り付けられていた。


    【被検体保管庫】

    【医療技術研究室】

    【精神融合室】

    【院長私室】


    ……ただし、明らかに施錠されている。

    電子錠には赤く「LOCKED」と表示され、
    警告灯が点滅していた。


    開いていたのは、たったひとつ。

    ──【被検体保管庫】のみ。

  • 195スレ主25/06/09(月) 20:40:31

    千切「……開いてる……」

    凛「……逆に、そっちの方がヤバくねえか」

    冴「どうせ行くしかねえ。戻っても何も変わらない」

    凪「“待ってる”んでしょ。だったら……行こう」


    4人と4匹が、ゆっくりと扉の前に立つ。

    鉄扉には無数の擦り傷と、
    誰かが殴ったような痕が残っていた。

    それでも、ハンドルはゆっくりと──確かに、回る。


    ──ギィ……

    音を立てて、【被検体保管庫】の扉が、
    ゆっくりと開かれていった。

  • 196スレ主25/06/09(月) 20:48:49

    【警告文】

    ⚠地下エリアは非常に危険です
    ⚠1フェーズ(1探索・1戦闘)ごとに強制的にSAN値が-1減少します
    ⚠異常発生リスク特大の探索場所では、大失敗の場合、強制的にSAN値が-1減少します
    ⚠固有能力、アイテム、特典では防ぐことができません
    ⚠時計に余裕があるので、全然大丈夫!なはず!

  • 197スレ主25/06/09(月) 20:49:53

    さて、次スレ立ててきます。まだ7:00なので、タイトル用に7:45にします。

  • 198二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 21:21:13

    スレ立ておつです!
    いよいよ地下来たね
    かなり難易度高そうだけどここまで来たらみんな派手に暴れまわってほしい

  • 199スレ主25/06/09(月) 21:24:19

    次スレたてました!難易度調整(嫌がらせ)に無事打ち勝てるのか。

    【ホラー注意】廃病院ぶっ壊しに行こうぜ!【7:45】|あにまん掲示板────目が覚めたら、そこは廃病院の入口だった。「行くか、アイツらを探しに」「待っててね、レオ。必ず助けるから」「取り込まれてバケモンになってんじゃねーだろうな」「可能性としては有り得るな。バケモンで…bbs.animanch.com

    そろそろ怪しいダイスカウント


    ●ダイス成功確率(探索)


    ・千切豹馬:11/21(最適解:0/2)(自動成功除く)

    ・凪誠士郎:10/21(最適解:2/4)(自動成功除く)

    ・糸師凛:9/21(最適解:5/8)(自動成功除く)

    ・糸師冴:8/21(最適解:2/4)(自動成功除く)


    ●ダイス成功確率(戦闘)


    ・千切豹馬:29/43(ダイス補正による成功含む)

    ・凪誠士郎:28/43(ダイス補正による成功含む)

    ・糸師凛:30/43(ダイス補正による成功含む)

    ・糸師冴:31/43(ダイス補正による成功含む)


    ●クリティカル/ファンブル(探索・戦闘)


    ・千切豹馬:クリティカル(101、103、108、110)

    ・千切豹馬:ファンブル(1、4)

    ・凪誠士郎:クリティカル(95、98、99、100、109)

    ・凪誠士郎:ファンブル(1、4)

    ・糸師凛:クリティカル(97、98、98、103、103、108)

    ・糸師凛:ファンブル(1、2、2、4、5、5)

    ・糸師冴:クリティカル(95、95、96、97、98、98、99、100、104、109)

    ・糸師冴:ファンブル(2、2、4)

  • 200二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 21:25:33

    皆無事帰還できますように!!

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