- 1◆y6/rTljjyQ25/06/07(土) 20:58:01
泣いてしまう世界線
カツカツとチョークの音が響く教室の中、エイシンフラッシュがもじもじと体を揺らしていた。眉間にしわを寄せ、ちらちらと時計を見る。両手はスカートの上から、おまたをぎゅうっと押さえている。
「フラッシュさん、おトイレ?」
隣の席からスマートファルコンがこそこそと声を掛ける。フラッシュは恥ずかしそうにはにかむ。
「えぇ、ちょっと…でも、もう、授業も終わりますし…」
その言葉通りチャイムが授業の終わりを告げる。ほっと息を吐くフラッシュ。しかし、
「少しキリが悪いので延長します」
教師が無常にも宣言し、再び黒板に書き始める。
「え」
スマートファルコンが驚いて、ちらりと横を見る。
「え、えん…ちょう……?」
固まるフラッシュ。その目からぽろぽろと涙がこぼれ始める。
「…うっ…ううっ…」
頭の中には間に合わず水たまりを広げる恥ずかしい自分の姿が。
「せ、せんせぇーもう終わってあげてー!」 - 2◆y6/rTljjyQ25/06/07(土) 20:58:35
お昼休みのチャイムが鳴り、にこにこと食堂に向かうエイシンフラッシュとスマートファルコン。
「ご機嫌だね、フラッシュさん♪」
「はい!今日から食堂で限定20食ドイツ風ぐるぐるソーセージの販売が始まるんです」
頭の中にはソーセージを頬張る自分の姿が。
「フラッシュさんの故郷のソーセージかぁ…私も食べてみようかな」
しかし、食堂に着いた2人を待っていたのは、限定ソーセージのチラシの張られたシャッターと、ざわざわとにぎわう生徒達。
「え、終わっちゃったのかな…?」
「…ぐすっ…」
「と、とりあえず聞いてみよう!フラッシュさん!」
食堂のおばちゃんに声を掛けるファルコン。すると、
「ごめんねぇ、なんか搬入遅れちゃってるみたいで…あと30分くらいで出せるとは思うんだけど…」
「だってさ!よかったねフラッシュさん!」
ファルコンが笑いかけるが、フラッシュの顔は晴れない。
「30分…そこから食事で…トレーニングの時間を考えると…」
ぐすぐすと鼻を鳴らすフラッシュ。
「…うーん、あっちで一緒に待とう?」
呼びかけにこくんと応えるフラッシュ。近くの席に一緒に座り、ファルコンはフラッシュの頭を撫で続けた。 - 3◆y6/rTljjyQ25/06/07(土) 20:58:52
夜、にこにことおしゃべりを続けるフラッシュとファルコン。
「おいしかったねー、限定ソーセージ」
「はい、あの時はありがとうございました。私一人だと諦めてしまっていたかもしれません」
「うーん…そうかなぁ…」
ファルコンの頭の中に、泣きながらごはんを食べるフラッシュの姿が浮かぶ。計画通りのものを食べられなかった場合、フラッシュが満足することはなかっただろう。
「明日も狙う?今度はゆっくり食べられるかも」
「えぇ、そうですね一緒に…」
言いかけて固まるフラッシュ。ファルコンが目線の先を追うと
「あっ」
いつの間にか寝る時間を過ぎていた。
「…ひっく…」
再び泣き出してしまったフラッシュを、なだめながらベッドに入れるファルコン。
「大丈夫大丈夫!すぐ寝ちゃえば問題ないって!」
「でも…もう…」
「よしよし…大丈夫…大丈夫だって…」
ぽんぽんと布団をはたいてフラッシュを落ち着かせるファルコン。泣き声が次第に落ち着き、すーすーと安らかな寝息に変わっていった。フラッシュの穏やかな寝顔を見ながらファルコンが頭をなでる。
「本当…ずるいくらいかわいいな…」
フラッシュのかわいさに嫉妬しながら、ファルコンもベッドに入り、部屋の電気をパチンと消した。 - 4二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 21:02:52
続けェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!(突然興奮する患者)
- 5二次元好きの匿名さん25/06/07(土) 21:29:49
あんたの目の前にあるキーボードは飾りかオラアァァ!!!
- 6◆y6/rTljjyQ25/06/07(土) 22:58:47
「うわーん!次のテストピンチだよー!」
授業が終わり、スマートファルコンが机に突っ伏して頭を抱える。
「じゃあ、今夜勉強会を開きましょう。
寝る前に2時間ほど」
フラッシュが自分のメモ帳に「19:00〜21:00 勉強会」と書き込む。
「あっ、勉強会?じゃあ私も行っていい?最近、全然わかんなくってさー」
ヒシミラクルがのんびりと声を掛けてくる。
「いいよいいよーおいでおいでー♪」
ファルコンが快諾する横で、フラッシュがメモ帳ににこやかに「+ミラクルさん」と書き込んだ。
「おじゃましま〜す」
「いらっしゃーい」
「いらっしゃいませ、ミラクルさん」
フラッシュとファルコンの自室に、今日はミラクルもやってきた。
「それでは始めましょう。まずはテスト範囲の…」
フラッシュが教科書のページを開こうとすると、ファルコンがお菓子の袋を開けた。
「はい!ミラクルさんは何がいい?紅茶も色々あるよー!」
引き出しを開けると、中にはびっしりと紅茶の茶葉が。
「うーん…えっとねー…
どーれーにーしーよーおーかーなー♪」
ミラクルが楽しげに茶葉を選ぶ。
「じゃあこれ!」
「うん!フラッシュさんは…あ」
ミラクルとファルコンが固まる。
フラッシュは教科書を握りしめ、ほっぺたを膨らませて、涙目で2人を睨みつけていた。
「ご、ごめんねフラッシュちゃん!な、泣かないでー」
「ほ、ほら、フラッシュさんの分も入れてあげるから、ね?」
「…カモミールお願いします」
鼻をくすんと鳴らしながらフラッシュが呟いた。 - 7◆y6/rTljjyQ25/06/07(土) 22:59:28
できあがった紅茶を飲み2人から頭を撫でられたフラッシュは、すっかり機嫌が治すと、どこからともなく取り出した眼鏡をクイッと上げ、キリッとした表情で2人への授業を開始した。
- 8二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 08:04:09
これは中々新鮮な概念ですね
- 9二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 09:46:17
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