- 1二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 00:32:08
- 2二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 00:33:04
いいね、続けて?
- 3二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 00:33:21
詳しく
- 4二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 00:39:12
あれかな、土下座のシーンで初めてマスクの下の顔見て奥さんに重ねちゃうヤツ
- 5二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 00:49:50
どんな気持ちで撃たれたんだろ
- 6二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 01:08:51
硝煙の臭い。舞い散る火花。
タブレットからの応答は未だ無し。何時何処から、誰の放った銃弾が飛んでくるか分からない、戦場の中心。
燃え盛る炎と瓦礫の山が周囲を囲う。嫌悪と猜疑の阿鼻叫喚の真只中。
”────────”
目の前に立ち塞がる見知らぬ女性の目元は、先立った妻によく似ていた。
帽子から僅かに覗く黒髪も。綺麗に通った鼻筋も。
記憶の中の彼女の断片を、そのまま貼り付けたようで。
青々と仄暗く輝くヘイローが、私を見下ろしている。その光さえなければ、私は誤った現実の錯覚をそのまま受容していたことだろう。
...違う。彼女は死んで、もうこの世に居ない。
数年かけて漸く飲み込んだ現実が、足元から瓦解する錯覚。
空想で良い。都合の良い夢ならそれでも良い。
ただ一言、今ここに私が至るまで私の背を押してくれた、あの声をもう一度聞けるだけで良かった。
ただ一言、彼女に「あなた」と、そう呼んで貰えるだけで。それだけ貰えれば、”俺”は────
「”貴様”が、計画の一番の支障になりそうだと、彼女は言っていたからな」
火薬の爆ぜる音の前に、最後に耳に届いた声は、
背筋が凍り付くほど、空虚な響きで────。 - 7二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 01:09:36
- 8二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 01:10:44
あっ!ちょっ!まっ!逃げるな!
- 9二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 01:41:51
捕まえろぉ!!!
- 10二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 01:42:52
- 11二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 01:57:37
- 12二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 09:08:58
ほ
- 13二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 14:03:08
待機する 続きを期待してる ハヤクツヅキヲ
- 14625/06/08(日) 15:14:55
- 15スレ主25/06/08(日) 16:57:58
- 16625/06/08(日) 18:40:23
「っ......!!」
多対一。にも拘わらず長く続いた戦闘の末。
踏み込んだ足が、伸びきって使い物にならないバネの様に。
酷く弱弱しい抵抗だけを返し、僅かに押し出された身体。────あ、倒れる。
視界に、地面が迫る。駄目だ、ここで倒れてしまったら、先生、が────。
鈍い音が響いて、頭部に衝撃が走る。頭から倒れ、ぐわんと揺れる世界から一瞬色が抜けた。
頭に限らず、じんじんと痛む身体。それを起こそうにも、手足に力が全く入らない。
どうにか、先生を逃がさなければと、震える唇をゆっくりと開く。
だが、努力も虚しく。ぱちぱちと火花を撒き散らす周囲の業火。
そこら中から聞こえる悲鳴。叫び声。銃声。崩れる瓦礫。
雑音に塗れた戦場では、瀕死の一生徒の掠れ声など届く訳もない。
────視界の端。呆然と立ち尽くす先生の目は、私には向いていなかった。
目線の先には、恐らくは四人組(スクワッド)のリーダー格。
深く被った帽子。フィルターのついた面頬タイプのマスク。
耳が遠い。きぃん、と耳鳴りがして、二人の会話は聞き取れない。
私に出来るのは、ゆっくりと色の戻って来た世界を見つめる事だけ。
目を見開いた先生が、ふらふらとその生徒の方へと駆け寄る。
────駄目。
名も知らぬ生徒が、銃口をゆっくりと先生へ向け────。 - 17625/06/08(日) 18:41:53
「────ぁぁあぁあぁあああ゛あ゛っ!!!!」
鮮血の赤を撒き散らしながら、後方へ倒れる先生。
火事場の馬鹿力と呼ぶには憎い程に出遅れた、動いて尚も感覚の無い手足。
腹の底から出た咆哮。注意を引きながら、握ったマシンガンを乱射する。
防御と、回避。それに専念する四人組を注視し、引き金を引き続ける。
その後方から、荒い運転を見せる一台の救急車。
横目で見た先生は、呻き声も上げず横腹から血を流している。
「────セナ!」
援護の為に位置を変え、走行中の救急車へ先生を受け渡す、その刹那。
悲痛な表情を浮かべ、脂汗を滲ませる先生の顔が目に映る。
直前まで私と戦闘を繰り広げていた四人組に、無防備にも自ら近づいてゆく、軽率な凶行。
(どうして、あんなことを────?)
無防備に歩を進めた先生の、その行動の意図だけが分からなくて。
胸にしこりを残したまま、私は奴らとの戦闘を継続する────。 - 18625/06/08(日) 18:42:54
じゃあちょっとだけ...。行き当たりばったりで...。
- 19二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 21:17:33
「────せい」
「せ────せい」
「────先生!」
意識が、引き戻される。遠くから声が聞こえた気がして。
”......○○”
「...?...落ち着いて聞いてください、あなたは銃で撃たれ...」
”......どうして、俺、を......”
腹部に、じくじくと広がる熱。感覚は無く、じんじんと痛みだけに意識が向く。
身体ではない。そもそもが擦り傷まみれで、腹に銃弾まで撃ち込まれてはいるが。
最愛の妻に、銃で撃たれた。その現実が、痛い。
生徒の為に生きる。君が愛してくれた俺らしく、彼女たちを導くために。
君を喪ってから、私はそうすることで自分を保ってきた。
けれど、今。その根幹が君自身にへし折られそうになっている。
心が、痛い。苦しい。このまま死んでしまいたいくらいだ。死んでしまえば、彼女に会える。
けれど、銃撃するほど嫌われているのなら、逢いに行く事すらも正解なのか分からない。
遠のく意識。セナの声が聞こえる。声が聞こえるが、意味を認識できない。
絶望の放心の中。救急車の中を照らす電灯の明かりが、狭窄する視界の中でゆっくりと光を失う様を見ながら────俺は私は、再び意識を水底へ沈めた。 - 20二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:54:13
本人ではないとわかってても思い込んじまったらもう止められないんだ…