【学マス文学】夢六十四夜

  • 1涙目 漱石25/06/09(月) 01:57:41

    こんな夢を見た。
     編成をしてプロデュースを始めようとすると、レンタルメモリーが、静かな声でもう死にますと云う。メモリーは長い効果もりもりの説明文をやはりしていて、元気+4のカスタマイズをその中に携えている。虹色の縁の中にこれも鮮やかなひも状の織物のような軌跡をリップが描いていて、カードの効果はもちろん強い。到底死にそうには見えない。しかしメモリーは静かな声で、もう死にますと判然云った。自分も確にこれは死ぬなと思った。そこで、そうかね、もう死ぬのかね、と上から覗き込むようにして聞いて見た。死にますとも、と云いながら、レンタルメモリー使用回数はぱっちりと0なった。大きな潤いのある0で、3つあったはずの使用回数は、ただ0/3であった。その真ん丸な眸の奥に、自分の姿が鮮に浮かんでいる。
     自分は透き徹るほど深く見えるこの虹色の色沢を眺めて、これでも死ぬのかと思った。それで、ねんごろに札の傍へ口を付けて、死ぬんじゃなかろうね、大丈夫だろうね、とまた聞き返した。するとレンタルメモリーは黒い眼を眠そうにみはったまま、やっぱり静かな声で、でも、死ぬんですもの、仕方がないわと云った。じゃ、私の顔が見えるかいと一心に聞くと、見えるかいって、そら、そこに、写ってるじゃありませんかと、にこりと笑って見せた。自分は黙って、顔を札から離した。編成をしながら、どうしても死ぬのかなと思った。

  • 2涙目 漱石25/06/09(月) 01:59:13

     しばらくして、夢色リップがまたこう云った。
     「死んだら、埋めて下さい。大きな周回でアチーブメントをを掘って。そうして天から落ちて来るドル道の破片を墓標に置いて下さい。そうして墓の傍に待っていて下さい。また逢いに来ますから」
     自分は、いつ逢いに来るかねと聞いた。
    「日が出るでしょう。それから日が沈むでしょう。それからまた出るでしょう、そうしてまた沈むでしょう。――橙色のプロデューサーExpが東から西へ、東から西へと落ちて行くうちに、――あなた、待っていられますか」
     自分は黙って首肯いた。レンタルメモリーは静かな調子を一段張り上げて、
    「Plv64まで待っていて下さい」と思い切った声で云った。
    「Plv64まで、私の墓の傍に坐って待っていて下さい。きっと逢いに来ますから」
     自分はただ待っていると答えた。すると、黒い0のなかに鮮あざやかに見えた自分の姿が、ぼうっと崩くずれて来た。静かな水が動いて写る影を乱したように、流れ出したと思ったら、女の眼がぱちりと閉じた。長い睫の間から涙が頬へ垂た。――もう死んでいた。
     自分はそれからプロデュースをして、周回でアチーブメントを掘った。周回は繰り返しで長い苦行のようであった。おでかけをするたびに、メンタルカードが強化されてきらきらした。パラメーターの上がる音もした。アチーブメントはしばらくして掘れた。石を少しだけもらえた。そうしてプロデューサーExpを、上からそっと掛けた。掛けるたびに次のアチーブメントの数字に戦慄した。

  • 3二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 02:00:55

    なぜこの時間にこんな気になるものを投下した
    寝れなくなるだろ

  • 4涙目 漱石25/06/09(月) 02:03:24

     それからドル道の破片の落ちたのを拾って来て、かろく土の上へ乗せようとした。ドル道の破片はもうなかった。長い間Plvをあげている間に、角が取れて滑なめらかになった後やがて散り行きついにはもうひと絞り分もなくなったんだろうと思った。切り上げてまたアチーブメントをチェックするたびに、自分の胸と手が凄く冷たくなった。
     自分はまた周回を始めた。これから64lvまでこうして待っているんだなと考えながら、編成をして、次に目指すアチーブメントを眺めていた。そのうちに、女の云った通り日が東から出た。橙色で星型のプロデューサーExpであった。それがまた夢色リップの云った通り、やがて西へ落ちた。赤いまんまでのっと落ちて行った。1600と自分は勘定した。
     しばらくするとまた唐紅のアチーブメントがのそりと上ってきた。そうして黙って沈んでしまった。2900とまた勘定した。
     自分はこう云う風に1600 1300と勘定していくうちに、アチーブメントをいくつ見たか分らない。勘定しても、勘定しても、しつくせないほどのアチーブメントが頭の上を通り越して行った。それでもがPlv64まだ来ない。しまいには、Plvカンスト勢のファン数やアチーブメント数を眺めて、Plvカンスト勢はどうかしているのではなかろうかと思い出した。
     すると画面の中央下のほうから斜に自分のほうに向けて63と文字の書いた円が浮いてきた。見る間に大きくなってちょうど画面の真ん中のあたりまで来て留まった。と思うと。きれいな円の中を、橙色が時計回りにくるりと周り、ふっくらとあるメンタルカードを開放された。虹色な好印象でもやる気でも強いテキストが堪えるほど光った。そこへ遥の上から、ぽたりと露が落ちたので、夢色リップは自分の重みでふらふらと動いた。自分はこの時初めて強化前のテキストを知った。テキストの効果に思わず、画面の少し上を見たら、暁の星がたった一つ瞬いていた。
     「Plv64はもう来ていたんだな」とこの時始めて気がついた。

  • 5二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 02:08:43

    Plvはプロデュースしていれば上がるもの→待つとして捉えた、アチーブメントの本質に触れた秀逸な作品

  • 6二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 02:13:28

    なんでこの時間に大作ww

  • 7二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 02:14:21

    名作だわ
    感動した

  • 8二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 02:31:13

    夢十夜か

オススメ

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