[閲覧注意][ss]小生はコトを進めていきましょうか その5

  • 1二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 16:43:44

    なぜか消えていました…消した覚えないけどな・・・

    火・水・金は夕方に月・木・土は昼間に、更新しようと思います。日曜日は休むことが多いです。こちらの都合上、更新できない日や全く違う時間に更新するかもしれませんが、よろしくお願い申し上げます。

    こんな私のド下手小説ですが見ていただけると嬉しいです。これからもいろいろと迷惑をかけますがよろしくお願いします。

    注意事項、このssは大幅なキャラ変やグロい描写がありますので、苦手な方はブラウザバックを推奨します。基本はIF展開のSSです。何卒宜しくお願い致します。

  • 2二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 16:45:08
  • 325/06/10(火) 16:49:38

    あらすじ

    ホシノを「反転」させるため、地下生活者たちはユメの遺体を利用した。
    最初はただ遺体をホシノのベッドに置いただけだったが、それでは不十分だと判断され、スオウに命じて遺体をわざと損壊させ、ホシノの心を深く傷つけるよう仕向けた。

    そして、ホシノに再びその遺体を見せ、精神干渉を行いシロコや応援に駆け付けた先生にさせたように囁いた。
    心を揺さぶられたホシノは、抗えず、シロコや先生たちを敵と見なして攻撃し、倒してしまう。

    その道中、地下生活者の実験に興味を持った存在・フランシスが現れ、ホシノの仲間となった。

    ホシノはそのまま学校へ向かうが、学校に到着した直後、爆破が起こる。さらに追い討ちのように精神攻撃が仕掛けられ、ホシノは完全に「反転」。
    その結果、彼女の中に「ホルス」が顕現し、それに反応した「セトの憤怒」が現れて戦闘が始まる。

    一方、プラナが必死に動き、シロコテラーを呼び出すことに成功。シロコたちをワープゲートで安全な場所まで送る。偶然意識を取り戻した先生も加わり、ホシノのもとへシロコ*テラーと一緒に行く。

    しかし、激しい戦いの末、シロコと先生は敗れ、命を落とす。
    先生は最後の最後までホシノを救おうとしたが、手足を切断されてもなお抗い続けた。しかしスオウが「希望を断つ」一撃を放ち、先生は絶命する。

    全てを失ったホシノは、自宅へ戻るが、そこも焼き払われており、家族もすでに亡くなっていた。
    完全に絶望したホシノの前に、地下生活者、フランシス、そしてスオウが再び現れ、「自分たちのもとでなら、もう傷つかなくていい」と囁かれる。

    その言葉にホシノは抗うことができず、ついに地下生活者の配下となった。

  • 425/06/10(火) 16:53:40

    物語 後半
    ――地下生活者側の動き――

    ホシノが地下生活者に従うようになってから、約1年が経過。
    ホシノはフランシス、スオウ、そして内に宿した「ホルス」と共に、別空間で生活を送っていた。その間、スオウはフランシスの命令により定期的にキヴォトスに潜入、生徒たちを拉致しては非道な人体実験を繰り返していた。ホシノもまた、地下生活者たちの思想に染まり、かつての面影は失われていった。

    そして、ついに1年越しの大規模な作戦が始まる。

    最初に地下生活者たちはブラックマーケットに拠点を築き、そこから各地へ散って行動を開始した。
    ホルスと地下生活者はまず、空崎ヒナを巧妙に罠にかけて堕とし、彼女を操ることに成功。
    その影響でアリウススクワッドの殲滅、丹波イブキの拉致。万魔殿の壊滅を実行する。

    イブキを連れ去った後、彼らはゲヘナ内の混乱を利用し、万魔殿を攪乱。スオウたちと合流し、次の標的・トリニティへと移動する。

    一方、万魔殿は行方不明となったイブキの捜索を「便利屋68」に依頼。これを利用して、地下生活者はハルカを襲い、人質にしてアルを誘き寄せた。
    アルとの直接対決に勝利した地下生活者は、アルの「アウトローになりたい」という内面の欲望を突き、その心を取り込むことに成功。アルもまた地下生活者の陣営に加わる。

    その後、一同はカイザーの施設へと向かい、新たな兵器の調達を済ませる。

    その裏で、ホルスとヒナはトリニティへ再び潜入。
    電気室の配線を切断し、白洲アズサを気絶させた後、補習授業部の残り二人も始末。電気室に爆弾を設置したうえで、カイザーのビルに移動し、アズサを仲間として引き入れることに成功する。その後、トリニティにて、古書館の電気が落ちたことを確認するため、ウイを含む生徒たちが電気室へ向かった。しかしそこに仕掛けられていた爆弾が爆発。
    混乱の中、ウイが火災現場に取り残されたことを知ったヒナタは危険を顧みず突入し、何とかウイを救い出す。だが、その後ウイの死亡を知らされ、絶望のあまりヒナタは「反転」。

  • 5二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 16:54:41

    地下生活者はその気配を察知してヒナタの元に現れ、彼女を倒したうえで、トリニティ全体を荒野へと変え、無数の死者を出した。
    生き残ったのはミカ一人。彼女は復讐を誓い、地下生活者たちの行方を追い始める。

    やがて地下生活者たちはアズサを含め、ヒナとアルを自らの空間へ引きずり込んだ。
    そして、その空間でヒナは「バアル」、アルは「ベリアル」として完全に反転。人格も姿も変貌する。

    作戦会議が開かれたのち、ホルス・ヒナ・アズサの三人は再び動き出し、アリウススクワッドの元に現れて、全員を捕虜にすることに成功する――。

  • 6二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 16:58:03

    フランシスとスオウは、新たな実験体と支配対象を確保するため、「ノア」「ユウカ」「ヒナタ」の拉致を計画。
    そのために、ミレニアムの生徒「コユキ」を利用してセキュリティシステムを乗っ取り、3人の拉致に成功した。

    ノアは人体実験の「記録担当」として確保され、実験の詳細な記録と観察を強制された。

    ユウカは、段階的に“怪物”へと変貌させられていく。

    ヒナタは一時的に監禁され、実験を見せられ自分もそうなりたくないという恐怖からフランシスの配下につく。

    スオウはノアに記録だけでなく、一部の実験実行も担わせ、精神的にも逃げ場を与えなかった。

    フランシスはさらに、ミレニアムの頭脳の一人「ヒマリ」に目をつける。
    半ば脅迫的にヒマリを引き入れるため、彼女の助手である「エイミ」を対象とした非人道的な人体実験の映像を見せた。
    さらに、拉致していた「コハル」の腹部から異形の存在が生まれる瞬間を目撃させ、
    そして極めつけには、ヒマリの後輩であるユウカが怪物の姿へと変貌した様子を突きつけた。

    理性と感情を徹底的に打ち砕かれたヒマリは、恐怖と絶望に抗えず、ついにフランシスの配下となった。

    一方、スオウは着々と「イブキ」の解剖実験を進めていた。
    キヴォトス人の肉体構造やその仕組みを解析するため、イブキを実験台にし、目的を果たすと**「処分」**した。

    その頃、ユウカは完全に怪物と化し、ノアは日々の惨劇と監視任務によって精神的に崩壊寸前になっていた。
    ある時、ノアが強い精神障害の兆候を見せていたタイミングで、スオウは彼女を気絶させ、身体検査を行う。
    しかし、レントゲン機器の出力を誤って調整してしまい、過剰な放射線を浴びせてしまう。
    その結果、ノアは脳だけを残して全身が破壊されるという悲惨な事態となった。

    それでも彼らはその脳を保存し、実験記録として保管。
    彼らの狂気と執着はもはや、命や倫理を超越していた。

    そして、スオウはフランシスから呼び出され、「未知の空間」へと入ろうとしていた――。

  • 7二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:02:07
  • 8二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:03:49

    ※(グロテスク描写につき、解剖シーンそのものは省略)

    解剖は静かに、そして冷徹に行われた。
    臓器は一つひとつ、生理学的順序に従って摘出され、それぞれ滅菌済みの保存トレイに並べられた。重要な臓器――肝臓、腎臓、心臓、肺は、内部被曝の痕跡を確認するため病理標本用のUW液(Universal Wash液)に慎重に沈められる。
    特に腸間膜リンパ節と脾臓は壊死が激しく、免疫系の崩壊を如実に示していた。骨髄組織はゼリー状に溶解しており、放射線による幹細胞の完全破壊が示唆された。DNAは断片化し、アポトーシスではなくネクローシスに近い細胞死が進行していたようだ。
    骨格は、関節ごとにバラされ、大型の鉛合金製ハードコンテナに順番に収められていく。ラベルには黒インクで丁寧にこう書かれていた。

    『生塩ノア 骨格』

    蓋を閉じ、骨格を載せたコンテナは自動搬送コンベアに乗せられ、小荷物用の垂直エレベーターに回収される。低層の研究階層へとゆっくり降りていくその様子は、まるで遺体が“次の処理段階”へと移される儀式のようだった。
    スオウは無言で床に飛び散った血液を拭き取り、組織片や破損した小臓器を廃棄用のバイオバッグに収めていた。静かな作業が続く中、背後でかすかに金属音が鳴る。
    振り返ると、フランシスが透明の保管カプセルを両手で抱えていた。その中には、脳が浮遊していた。人工脳脊髄液に満たされた内部では、脳幹と大脳がほぼ完全な形で保存されている。
    フランシスはそのまま、実験室の壁にかかっている一枚の無地の額縁へと近づいていく。

    スオウ「……何をしているのですか?」

    問いかけると、フランシスは振り向きもしないまま低く答えた。

    フ「……そういえば、お前にはまだ見せていなかったな。見ておけ、滅多に見られない“特別”なものだ。」

    そう言って、フランシスが額縁の中心に触れた瞬間――
    額縁の内部が歪み始めた。

  • 9二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:05:32

    まるで空間そのものがねじれるように、何も描かれていなかったはずのフレームが内側から外に向かって脈打ち、広がっていく。その歪みは次第に拡大し、人が通れるほどの楕円形の“裂け目”となった。
    スオウは息を呑んだ。
    見たことのない現象だった。論理や物理法則を超えた何かが、確かにそこに存在していた。

    フ「後処理が済んだら入ってこい。私は先に行く。下で待っている。」

    そう言い残して、フランシスは脳の入ったカプセルを抱えたまま、何のためらいもなく“額縁の奥”へと足を踏み入れた。彼の姿は、歪んだ空間の中に吸い込まれるようにして消えていった。

    スオウ「…………」

    しばらくの間、スオウはその場に立ち尽くしていた。
    額縁からは、得体の知れない“呼び声”のような気配が発せられていた。**物理的でも、精神的でもない。**感覚器官のどこにも正確に分類できない“何か”が、額縁の奥にある空間から漏れ出していた。
    それは恐怖か。
    それとも、好奇心か。
    あるいは、どちらも区別のつかない“引力”のような何かかもしれない。
    後処理が終わり、スオウは額縁の前に立った。手袋越しに掌が汗ばんでいるのを感じた。

    スオウ「……行くか。」

    そう呟くと、彼女は意を決して、一歩を踏み出した。
    その瞬間、額縁の内部はまるで生き物のように波打ち、スオウを包み込んだ。視界が一瞬、反転し、重力がねじれた感覚が襲い――

    スオウの姿もまた、額縁の中へと消えた。

  • 10二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:06:47

    額縁をくぐり抜けた瞬間、スオウの足元は唐突に消え去った。

    ス「!」

    喉奥で小さく叫びながら、スオウは抗う間もなく漆黒の空間へと落ちていく。そこは足を踏みしめる大地などなく、ただただ無数の不気味な顔たちが、まるで蜂の巣のように幾重にも重なり、縦横無尽に蠢く異質な世界だった。
    歪んだ輪郭、深く窪んだ眼窩、嘲笑うかのような口元。一つとして同じ表情はなく、その全てが、音もなく、しかし確かにスオウを見つめている。無数の視線が肌を這いずり回るような感覚に、全身の産毛が逆立った。重力は確かに存在し、スオウの体を下へと引きずり込むが、その落下感はどこか曖昧で、永遠に続く悪夢の中にいるようだった。
    どれほどの時間が過ぎただろうか。一分、あるいはそれよりもずっと長く感じられた落下の中、スオウは深い闇の奥底に、突如として奇妙な光を捉えた。それは闇を切り裂くように浮かび上がる、巨大な「眼」だった。

    「…!」

    息を呑む間もなく、その眼の全貌が露わになる。黒曜石のような深い闇の中に、それはまるで巨大な漆喰の壁に描かれた不気味な壁画のように、鮮やかな紺碧色の虹彩を宿していた。その中心には、血のように赤黒い、脈打つかのような瞳孔が、スオウの存在を静かに、そして狂気を孕んだ輝きで見つめ返していた。その色は、まさに絶望と混沌を内包する宇宙の片鱗のようだった。
    グンッ、と突如、落下の速度が急激に増した。まるで強大な何かに引き寄せられるように、スオウの体はみるみるうちにその巨大な眼へと吸い込まれていく。紺碧の虹彩が目前に迫り、紅い瞳孔が全てを飲み込む闇の入り口となる。逃れられない引力、迫りくる異形の瞳。恐怖と同時に、抗いがたい好奇心が湧き上がってきた。

    (一体、何があるんだ…この下に…この先には…)

    思考が渦巻く中、スオウの意識は巨大な眼球の中へと没していく。紅い瞳孔の奥に広がるのは、さらなる深淵か、あるいは全く別の世界か。神秘的でありながら、底知れぬ不気味さを孕んだ異空間が、スオウを静かに飲み込んでいった。その眼は、ただの器官ではなく、次元を繋ぐ門のようにも感じられた。
    スオウは確かに“あの眼”の奥へと堕ちていった。
    そこにあるのが地獄か、真理か、それともまだ名のない何かかも分からぬままに――
    スオウの意識は、境界の向こうへと吸い込まれていった。

  • 11二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:08:38

    目はこんな感じです。

  • 12二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:09:56

    グォン、と重い衝撃音が空間に響き渡った。直前まで意識を飲み込まれそうだった眼の奥から、突如として何かが吐き出されたかのように、スオウの体は未知の空間へと放り出される。しかし、落下は一瞬で終わり、足裏には硬い地面の感触があった。体に異常はない。意識も明瞭だ。

    「なんだ…ここは…」

    スオウは立ち尽くし、ゆっくりと周囲を見渡した。そこは、光の届かぬ深淵のような暗闇に包まれた空間だった。しかし、完全に闇一色というわけではない。遥か遠く、上空からは判別できないほど微かな、鈍い煉瓦色の光が、この広大な場所を薄く照らしている。それは、まるで地獄の業火が遠くで燃え盛っているかのような、不気味な色彩だった。
    スオウが立っているのは、幅広の石造りの歩道だった。その両側には、淀んだ黒い水が満たされた水路が、はるか先まで続いている。水面は不気味なほどに静まり返り、何も映し出さない。そして、その水路のさらに外側には、視界の全てを埋め尽くすかのような巨大な建造物がそびえ立っていた。
    それは、遥か彼方まで続く、途方もなく高いアーチの列だった。赤銅色に染まった、まるで血で塗り固められたかのような巨大な柱と、それを繋ぐ分厚い梁が、両側からスオウの視線を奥へと誘う。その重厚な構造物は、空の全てを覆い隠すようにそびえ立ち、その先に続く道は、まるで奈落の底へと誘う回廊のようだった。そして、その回廊のさらに奥、視界の収束点に、途方もなく巨大な塔が聳え立っていた。その頂は、闇に溶け込み、どこまで伸びているのか全く判別できない。まるで世界の終わりを見守るかのように、ただそこに存在していた。

    「…」

    スオウは言葉を失った。これまでに経験したどんな空間とも違う、圧倒的なスケールと、見る者に畏怖を与える異様な美しさ。まるで夢の中の光景か、あるいは概念が形になったもののように、現実離れした光景にただ呆然と立ち尽くす

  • 13二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:11:38

    すると、その沈黙を破るかのように、冷たい空気がスオウの肌を撫でた。

    ズォ…

    スオウの目の前に、何の前触れもなく、漆黒の塊が唐突に現れた。それは、まるで影が物質化したかのような存在だった。身の丈はスオウよりもやや高く、全身を深紅のローブが覆っている。そのローブは、まるで血糊で染められたかのように生々しい赤色で、裾はどこまでも長く、地面を引きずることもなく、まるで液体のように波打っていた。
    しかし、最も目を引いたのは、その頭部だった。顔があるべき場所は、完全な虚無。漆黒の闇そのものがそこに存在し、光を一切反射しない。その虚無からは、まるで黒いインクが流れ出したかのように、どろりとした黒い液体が常に滴り落ち、その合間には、わずかに青みがかった線が混じり、一層不気味さを際立たせていた。頭上には、細い線で描かれたような、不鮮明な光の輪が、まるで古びた冠のように浮かんでいる。その存在は、この地の闇に溶け込みながらも、異常なまでの存在感を放っていた。
    音もなく、その漆黒の存在はスオウの目の前に立ち止まり、顔のない虚無をスオウへと向けた。まるで、スオウの魂の奥底まで見透かそうとしているかのように、じっと、ただじっと見つめている。やがて、その虚無の塊が、ゆっくりと、しかし確実に動いた。
    すっ、とその深紅のローブに覆われた手が、音もなく持ち上げられ、巨大な塔の方を指し示した。

    「…案内してくれるのか?」

    スオウは、その異様な存在への恐怖よりも、この場所への好奇心と、かすかな希望が勝り、震える声で問いかけた。返事はなく、ただ静かに、その手は塔を指し示し続けている。スオウが意を決して一歩を踏み出した瞬間、その漆黒の存在は、地面からわずかに浮遊しながら、スオウの前を静かに移動し始めた。その動きは、まるで風に舞う羽衣のように軽やかで、一切の足音を立てない。
    スオウは、その謎の存在の後を追うように歩き始めた。歩道に敷かれた石の感触が、自分が確かに存在していることを教えてくれるが、目の前に広がる光景は、あまりにも現実離れしている。

  • 14二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:13:30

    (…フランシス様)

    歩きながら、スオウの脳裏に、未だに謎多き主君、フランシスの姿がよぎった。そして、そのフランシスの友、そして自分のもう一人の主君である「地下生活者」。この塔、この空間、そして目の前を浮遊する謎の存在。全てが、これまでスオウが知っていた世界の常識からかけ離れている。

    (貴方と地下生活者様は一体何者なんですか…!)

    心の中で、スオウは叫んだ。それは、畏怖と、理解できないものへの根源的な恐怖、そして同時に、この異質な存在たちが持つ、計り知れない力と秘密に対する、抗いがたいほどの驚愕が入り混じった呟きだった。この先に何があるのか。彼らは何者なのか。スオウの魂は、深い霧の中に迷い込んだように、その答えを求めてさまよっていた。

  • 15二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:15:20

    素晴らしい作品の作者様

    @astrono77153462

  • 16二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:51:01

    >>13小さいヒエロニムス!?

  • 17二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 23:14:53

    続きありがとうございます^_^
    念のため保守。

  • 18二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 00:02:42

    保守

  • 19二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 07:42:22

    朝保守^_^

  • 20二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 17:09:43

    保守

  • 21二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 18:50:14

    スオウは、入口の巨大な穴を案内人に続いてくぐり、塔の内部へと足を踏み入れた。
    内側は外観からは想像できないほど広大で、天井が見えないほどの高さを持つ螺旋階段が、闇に溶け込むように延々と続いていた。
    壁は赤黒くねじれた岩のような質感で、ところどころに窓のような横穴が穿たれていたが、名は漆黒に包まれ、何ひとつ見えなかった。
    先を行く案内人の足取りは異様にゆっくりで、自身の足音さえも不気味な反響を伴って塔内に吸い込まれていく。
    スオウは無意識のうちにその後を追い、気がつけば何百、いや何千段と階段を登っていた。
    だが、なぜか息は切れず、脚も痛まない。不自然な静けさのなかで、時間の感覚さえ曖昧になっていく。
    ふと「どれほど登ってきたのか」と疑問に思い、スオウは恐る恐る後ろを振り返って下を覗き込んだ。

    ス「……っ!?」

    そこにあるはずの階段は、跡形もなかった。
    ただ、赤黒い壁が地の底まで続いているだけで、足場も段差も消え失せていた。
    そして、深淵から――

    グぉぉぉ……

    底の知れない唸りとともに、何かがものすごい勢いで塔を駆け上がってくる気配がした。
    空気が震え、目に見えない圧力がスオウの胸を締めつける。

    スオウ「……ッ!」

    直後、目の前に“それ”が現れた。
    全身をねっとりと黒緑の粘液で覆い隠した、高さ十数メートルはあろうかという異形。
    胴体にあたる部分から垂れ下がる布のような質感の影が蠢いており、目も口もないかのように見えたが、中央にはひとつ、縦に裂けた巨大な“眼”だけが存在していた。
    その瞳は人のものではない。感情のない、ただ見下ろすことだけを目的としたような冷たい輝き。
    見つめられるだけで心を浸食されていくような錯覚に陥る。
    化け物のまわりには、同じような粘液に包まれた人型の影が幾体も並んでいた。
    顔もなく、ただ「そこに立っている」という不気味な存在感だけを放っている。
    まるでこの空間全体が、誰かの悪夢の内部であるかのようだった。

  • 22二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 18:51:20

    案内人もその場にとどまり、異形を見ていた。
    気づけば、スオウはその“目”とただ向かい合っていた。
    塔の空間は歪み、壁は生き物のように脈動し始める。
    スオウは、わずかに震える声で問いかけた。

    「……おまえは……何なんだ……?」

    声は虚空に吸い込まれ、何の反応も返ってこなかった。だが、沈黙の中、異形の周囲に立つ影たちがぬるりと動き始めた。
    彼らは足音一つ立てず、重力を無視するかのような滑るような動きでスオウのまわりを取り囲んでいく。
    黒緑の流体のような影が、スオウの足元へとじわじわと迫り、まとわりついてきた。
    その冷たい気配が皮膚をかすめるたび、身体の内側が凍えるような感覚に襲われる。
    スオウは、動かなかった。
    動いてはいけないという本能的な警告が、全身を貫いていた。
    少しでも動けば、何かが壊れてしまう――そんな確信にも似た予感があった。
    やがて、影たちはスオウの足元でぐるぐると蠢きながら、徐々に一体にまとまり、スオウの「影」に向かってすうっと吸い込まれていった。

    スオウ「……⁈」

    思わず地面に目を向けたスオウの視界に映ったのは、異様な光景だった。
    自身の影が、まるで意志を持った生き物のようにうねり、ゆっくりと動き出していたのだ。
    スオウは一歩も動いていない。それなのに、地面に落ちた“彼の影”が自ら身体から離れ、立ち上がるようにして形を変えていく。

  • 23二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 18:53:24

    ス「……う、そだろ……」

    その影はゆらゆらと揺れながら、まるで鏡写しのようにスオウと向き合った。
    だが、それも束の間――

    ドロ……ッ

    影の輪郭が崩れ、まるで溶けるように姿を変えていく。
    次の瞬間、そこに立っていたのは、あの異形の傍らにいた“影の存在”と同じ人型の像だった。
    人のようでいて人ではない。顔はのっぺらぼうで、感情の欠片もない。
    だが、それは間違いなく、スオウ自身から生まれた「何か」だった。

    「……な、なんなんだ…これは……!」

    恐怖に突き動かされた声が漏れる。
    そしてその“スオウの影”は、一度振り返るように首を傾けたあと――
    ふわりと宙に舞い、異形の体へと向かって吸い寄せられていった。
    ぬるり、と音もなくその影が異形の身体に吸収された瞬間――
    異形の中央にある巨大な眼が、ぎょろりとスオウを見下ろして動いた。
    そこには、何かしらの「理解」や「欲望」が渦巻いているような、言語では言い表せぬ知性の片鱗が宿っていた。
    その瞳に、自分の“何か”が囚われてしまったという実感が、スオウの背中を凍らせた。
    異形は、スオウの影をその巨大な身体に吸い込むと、ゆっくりとこちらへと近づいてきた。
    その動きは地を這うように滑らかで、まるで空間ごとたゆたっているかのようだった。
    スオウのすぐ傍まで異形の巨大な頭部が迫り、目の前に“それ”の顔――いや、“それ”の眼が現れた。

  • 24二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 18:55:25

    黒いフードに覆われた顔の奥で、不気味に輝く一つの目。
    それはただの器官ではなかった。まるで深淵そのもの。光も、色も、意思さえも、すべてを飲み込む虚無の渦。
    スオウの全身は凍りつき、視線を逸らすことも、目を瞑ることすらできなかった。
    時間の感覚が歪んでいく。
    たった一分間の対峙が、永遠のように感じられた。
    やがて、異形はスオウから顔を離すと、ゆっくりと首を傾け、数段上に佇む案内人の方を向いた。
    スオウもまた、恐る恐る二人の間の空気を感じ取ろうと視線を動かしたその瞬間――
    突如、頭の中に**声ではない“言葉”**が流れ込んできた。

    「彼女が卿が呼んだ方ですか?」

    音も振動もない。
    それは文字でも言葉でもない――意味だけが、脳髄の奥底に直接刺さり込んでくるような体験だった。
    スオウは目を見開き、脳の奥で響いたその“問い”の主を探すように視線をさまよわせる。
    すると、再び内側から言葉が投げ込まれる。

    「はい。彼女が卿がお呼びになった人物です。」

    今度は案内人の返答だと、なぜか分かった。
    何がどうなっているのか。誰が誰に話しかけているのか――理解は及ばない。だが、
    自分がただの訪問者ではない、
    何かに選ばれた者として、ここに導かれたのだという感覚が、じわりと背筋を伝って広がっていった。

    ぐぉ………

    低いうねりのような音とともに、異形が再びスオウを見つめた。
    その一つ目は、今や“判断”を下すような光を湛えていた。
    やがて、その巨大なローブに包まれた腕が、ゆっくりとスオウに向かって動き出す。

  • 25二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 18:56:35

    スオウは思わず後ろに下がろうとしたが、すぐ背後には冷たい壁。
    逃げ場はない。
    迫る“手”の存在に、全身が硬直する。

    ス「……くる…!」

    スオウは震える腕を交差させて顔の前に掲げ、最期の瞬間を覚悟した。

    だが――

    ……何も起きない。

    異形の手はスオウに触れることなく、スッと階段の外縁へと滑らかに移動していた。
    その掌は巨大な布に包まれ、まるで小舟のように穏やかに広げられている。
    スオウは恐る恐る手を下ろし、ゆっくりと目を開いた。
    視界に映ったのは、自分のすぐそばで、じっと待つように差し出された異形の掌。
    異形は何も言わない。ただ静かに、じっとスオウを見つめていた。

    スオウ「……乗れって……ことか……?」

    その意図を完全に読み取れたわけではない。
    だが、不思議と否応なく理解させられてしまう“強制力”のようなものが、空間そのものに満ちていた。
    スオウは震える脚を前に出し、ゆっくりと掌の上に足を踏み入れた。
    掌の表面は布であるはずなのに、不思議な安定感を感じさせる。
    スオウが完全にその上に乗ったのを確認すると、異形は何の合図もなく、すうっと掌を持ち上げた。
    重力の感覚は曖昧になり、スオウの体はふわりと持ち上げられていく。
    その様子を、階段の上から案内人がじっと見つめていた。
    やがて、案内人も宙に浮かび、異形の頭部近くへとすい寄せられていく。
    そして三者は、沈黙と重力から解き放たれたまま、ゆっくりと螺旋階段の上層へと昇っていった。

  • 26二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 00:51:05

    保守

  • 27二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 07:45:41

    続きありがとうございます^_^
    最後まで楽しみにしてます保守!

  • 28二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 13:06:09

    手の平にそっと乗せられたスオウの身体は、じわりと上昇を始めた。下界が遠ざかり、代わりにまとわりつくような静寂がスオウを包む。見上げる先は、漆黒の闇。これまで幾度となく見上げてきた変わらぬ黒に、スオウは一抹の諦念を覚えていた。どこまで続くのかも知れない、終わりなき上昇。しかし、その単調な闇の中に、微かな変化が訪れた。
    針の先ほどの、しかし確かに赤い光点が、遥か上空に現れたのだ。それはスオウの上昇と共に、徐々に、しかし着実にその姿を大きくしていく。滲むような赤色は、次第に輪郭を帯び、明確な形状を現し始めた。スオウは息を呑み、目を凝らした。それは、今まで信じて疑わなかった天井などではなかった。黒い壁は唐突に終わりを告げ、その先に広がっていたのは、想像を絶する光景だったのだ。

    「…あれは…天井じゃない…!天井なんかなく…突き抜けている…!」

    驚愕の声は、喉の奥で乾いた音を立てるだけだった。掌の温かさだけが、スオウが現実に存在していることを辛うじて教えてくれる。そして、ついに、スオウは乗せられたまま、その赤い光点を突き抜け、未知の空間へと足を踏み入れた。

    「なんだ…ここは…」

    足元に広がるのは、底なしの黒。頭上には、脈打つように赤黒い光を放つ巨大な球体が浮かび上がり、異様な存在感を放っている。そして、その下には、まるで切り取られた人間の頭部のような、奇怪な物体が静かに佇んでいた。無数の赤い雲が足元から湧き上がり、その異質な光景を一層不気味に彩っている。スオウはただ、掌の上で小さく身を縮こませ、目の前の光景を呆然と見つめることしかできなかった。
    異形は沈黙したまま、その特異な空間をゆっくりと移動し始めた。スオウの視線の先には、空中を漂う赤黒い島影が見える。それはまるで、悪夢の中に浮かぶ廃墟のようだ。島影には、ぼんやりとした人影が認められた。異形は躊躇うことなくその島へと近づき、やがて、先に何者かが降り立ったのが見えた。案内人のように見えるその人物に続き、異形もゆっくりと掌を下ろし、スオウを地面へと降ろした。
    地面に降り、スオウがゆっくりと顔を上げると、そこに立っていたのは、見覚えのある人物だった。

    「…ようこそ。スオウ。私の世界へ。」

    そこには歪んだ笑みを浮かべたフランシスが、目の前にいた。

  • 29二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 19:07:13

    保守

  • 30二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 00:27:03

    保守

  • 31二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 06:11:23

    朝保守

  • 32二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 10:58:19

    保守

  • 33二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 17:52:13

    降り立ったその瞬間、スオウの足元にぬらりとした冷たい感触が広がった。まるで血と闇が混じり合った液体のようなそれは、重力を無視したかのように波打ち、不気味に彼の足を包む。頭上では、赤黒く脈動する渦の中心に、完全な闇を湛えた太陽のような物体が浮かんでいた。
    スオウがフランシスに視線を移すと、そこにいたのは、かつて見知った姿ではなかった。赤い雲と触手のような霧に包まれたその場に立つのは――人ではない。
    黒い影に包まれた顔の中心からは、無数の触手が這い出し、それぞれの先端には血のように赤く光る眼球が瞬き、スオウを射抜いていた。歯列は不規則に並び、口元からは涎とも血液ともつかぬ液体が滴り落ちている。首元には肉の裂け目から露出した器官が脈打ち、そこにもまた瞳がびっしりと埋め込まれていた。着ている外套の内側では、何かがうごめく気配があり、視界の隅に触手の影がちらつく。
    その姿に、スオウの喉はかすかに震えた。

    ス「…この空間は一体…?」

    スオウの問いに、フランシスはゆっくりと――しかし確かな声で答える。

    フ「ここは“共有空間”だ。あいつと私とで、互いの力を交差させて生み出したものだ。普通の人間なら、入った瞬間に精神が崩壊するか、死ぬ。だが…お前には“クレドの使い”が影を付けただろう?それで、この空間でも生存できるようになっている」

    スオウが反射的に振り返ると、そこには案内役だったクレドと、その傍らに控える漆黒の使いの姿があった。クレドは、感情を読み取らせない瞳でただ静かにスオウを見つめていた。

  • 34二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 17:54:21

    フ「…クレド、ドゥクトゥス、ご苦労だった」

    フランシスの言葉に、クレドと使いたち、ドゥクトゥスは一斉に頭を下げた。スオウが再びフランシスを見ると、その紅い瞳が妖しく光を放っていた。

    ス「…さて、お前には“見せたいもの”と“やってもらうこと”がある。まずは、前者からだ。――上を見ろ」

    スオウが促されるままに視線を上げると、空間の中心に浮かぶ巨大な塊が目に入った。
    それは、人間の頭部のような形状をしていた。しかし、皮膚はなく、代わりに蠢く無数の血管や管がその表面を覆い、脈動しながら不規則にうねっていた。腐臭とも臓腑の匂いともつかぬ気配がスオウの感覚を直撃する。

    ス「……まさか、あれが……?」

    スオウの声には、明らかな動揺が滲んでいた。

    ス「ああ。あれは生塩ノアの“脳”だ。周囲にあるのは、肥大化させたモルモットの脳や、複数の脳を融合させたもの。そして本体のノアは、あの脳だけを取り出して別の被検体に移植した。全身と神経・血管を接続し、眠ることも許されず、記録を続けさせられている」

    フランシスの言葉は冷たく、淡々としていた。

    「記録…? しかし、脳は視覚がなければ――」
    フ「……“額縁”があっただろう?」
    ス「――あっ……!」

    思い出す。実験室や各部屋に、妙に整然と飾られた額縁が必ず存在していたことを。

  • 35二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 17:55:29

    フ「そういうことだ。あの額縁が、目になる。あいつは私と同じく、“視る力”を持っていてな。実験記録や手術の映像、協力者たちの作業すべてを“あの額縁”越しに記録している。だからノアの脳は、今や元の数百倍の処理能力を手に入れた記録機構なのだ」

    フランシスの顔には、歪んだ恍惚の笑みが浮かんでいた。

    フ「…そしてこの空間には“時間”がない。ここでは、百年、千年、億年が経とうと、外界ではほんの数分か、数秒の差だ。我々が思うまま、永遠に記録と実験を続けられる…完璧な空間だろう?」

    その言葉に、スオウの口元にも笑みが浮かぶ。その瞳には、フランシスと同じ冷たい光が宿っていた。

    ス「……それはそれは。素晴らしいとしか言いようがありませんな」

  • 36二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 22:32:15

    続きありがとうございます^_^
    ノアの変貌シーンも見せてくださりありがとうございました^_^
    最後まで楽しみにしてます^_^

  • 37二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 00:54:46

    保守

  • 38二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 05:40:02

    続き楽しみにしてます^_^
    念のため保守^_^

  • 39二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 14:17:01

    保守

  • 4025/06/14(土) 20:14:25

    本日は真夜中に更新します。
    すんません!

  • 41二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 21:21:22

    >>40

    了解です^_^

    無理をせず、ご自愛くださいませ。

    ゆっくりでもいいので続きを期待してます^_^

スレッドは6/15 07:21頃に落ちます

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