[閲覧注意][ss]小生はコトを進めていきましょうか その5

  • 1二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 16:43:44

    なぜか消えていました…消した覚えないけどな・・・

    火・水・金は夕方に月・木・土は昼間に、更新しようと思います。日曜日は休むことが多いです。こちらの都合上、更新できない日や全く違う時間に更新するかもしれませんが、よろしくお願い申し上げます。

    こんな私のド下手小説ですが見ていただけると嬉しいです。これからもいろいろと迷惑をかけますがよろしくお願いします。

    注意事項、このssは大幅なキャラ変やグロい描写がありますので、苦手な方はブラウザバックを推奨します。基本はIF展開のSSです。何卒宜しくお願い致します。

  • 2二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 16:45:08
  • 325/06/10(火) 16:49:38

    あらすじ

    ホシノを「反転」させるため、地下生活者たちはユメの遺体を利用した。
    最初はただ遺体をホシノのベッドに置いただけだったが、それでは不十分だと判断され、スオウに命じて遺体をわざと損壊させ、ホシノの心を深く傷つけるよう仕向けた。

    そして、ホシノに再びその遺体を見せ、精神干渉を行いシロコや応援に駆け付けた先生にさせたように囁いた。
    心を揺さぶられたホシノは、抗えず、シロコや先生たちを敵と見なして攻撃し、倒してしまう。

    その道中、地下生活者の実験に興味を持った存在・フランシスが現れ、ホシノの仲間となった。

    ホシノはそのまま学校へ向かうが、学校に到着した直後、爆破が起こる。さらに追い討ちのように精神攻撃が仕掛けられ、ホシノは完全に「反転」。
    その結果、彼女の中に「ホルス」が顕現し、それに反応した「セトの憤怒」が現れて戦闘が始まる。

    一方、プラナが必死に動き、シロコテラーを呼び出すことに成功。シロコたちをワープゲートで安全な場所まで送る。偶然意識を取り戻した先生も加わり、ホシノのもとへシロコ*テラーと一緒に行く。

    しかし、激しい戦いの末、シロコと先生は敗れ、命を落とす。
    先生は最後の最後までホシノを救おうとしたが、手足を切断されてもなお抗い続けた。しかしスオウが「希望を断つ」一撃を放ち、先生は絶命する。

    全てを失ったホシノは、自宅へ戻るが、そこも焼き払われており、家族もすでに亡くなっていた。
    完全に絶望したホシノの前に、地下生活者、フランシス、そしてスオウが再び現れ、「自分たちのもとでなら、もう傷つかなくていい」と囁かれる。

    その言葉にホシノは抗うことができず、ついに地下生活者の配下となった。

  • 425/06/10(火) 16:53:40

    物語 後半
    ――地下生活者側の動き――

    ホシノが地下生活者に従うようになってから、約1年が経過。
    ホシノはフランシス、スオウ、そして内に宿した「ホルス」と共に、別空間で生活を送っていた。その間、スオウはフランシスの命令により定期的にキヴォトスに潜入、生徒たちを拉致しては非道な人体実験を繰り返していた。ホシノもまた、地下生活者たちの思想に染まり、かつての面影は失われていった。

    そして、ついに1年越しの大規模な作戦が始まる。

    最初に地下生活者たちはブラックマーケットに拠点を築き、そこから各地へ散って行動を開始した。
    ホルスと地下生活者はまず、空崎ヒナを巧妙に罠にかけて堕とし、彼女を操ることに成功。
    その影響でアリウススクワッドの殲滅、丹波イブキの拉致。万魔殿の壊滅を実行する。

    イブキを連れ去った後、彼らはゲヘナ内の混乱を利用し、万魔殿を攪乱。スオウたちと合流し、次の標的・トリニティへと移動する。

    一方、万魔殿は行方不明となったイブキの捜索を「便利屋68」に依頼。これを利用して、地下生活者はハルカを襲い、人質にしてアルを誘き寄せた。
    アルとの直接対決に勝利した地下生活者は、アルの「アウトローになりたい」という内面の欲望を突き、その心を取り込むことに成功。アルもまた地下生活者の陣営に加わる。

    その後、一同はカイザーの施設へと向かい、新たな兵器の調達を済ませる。

    その裏で、ホルスとヒナはトリニティへ再び潜入。
    電気室の配線を切断し、白洲アズサを気絶させた後、補習授業部の残り二人も始末。電気室に爆弾を設置したうえで、カイザーのビルに移動し、アズサを仲間として引き入れることに成功する。その後、トリニティにて、古書館の電気が落ちたことを確認するため、ウイを含む生徒たちが電気室へ向かった。しかしそこに仕掛けられていた爆弾が爆発。
    混乱の中、ウイが火災現場に取り残されたことを知ったヒナタは危険を顧みず突入し、何とかウイを救い出す。だが、その後ウイの死亡を知らされ、絶望のあまりヒナタは「反転」。

  • 5二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 16:54:41

    地下生活者はその気配を察知してヒナタの元に現れ、彼女を倒したうえで、トリニティ全体を荒野へと変え、無数の死者を出した。
    生き残ったのはミカ一人。彼女は復讐を誓い、地下生活者たちの行方を追い始める。

    やがて地下生活者たちはアズサを含め、ヒナとアルを自らの空間へ引きずり込んだ。
    そして、その空間でヒナは「バアル」、アルは「ベリアル」として完全に反転。人格も姿も変貌する。

    作戦会議が開かれたのち、ホルス・ヒナ・アズサの三人は再び動き出し、アリウススクワッドの元に現れて、全員を捕虜にすることに成功する――。

  • 6二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 16:58:03

    フランシスとスオウは、新たな実験体と支配対象を確保するため、「ノア」「ユウカ」「ヒナタ」の拉致を計画。
    そのために、ミレニアムの生徒「コユキ」を利用してセキュリティシステムを乗っ取り、3人の拉致に成功した。

    ノアは人体実験の「記録担当」として確保され、実験の詳細な記録と観察を強制された。

    ユウカは、段階的に“怪物”へと変貌させられていく。

    ヒナタは一時的に監禁され、実験を見せられ自分もそうなりたくないという恐怖からフランシスの配下につく。

    スオウはノアに記録だけでなく、一部の実験実行も担わせ、精神的にも逃げ場を与えなかった。

    フランシスはさらに、ミレニアムの頭脳の一人「ヒマリ」に目をつける。
    半ば脅迫的にヒマリを引き入れるため、彼女の助手である「エイミ」を対象とした非人道的な人体実験の映像を見せた。
    さらに、拉致していた「コハル」の腹部から異形の存在が生まれる瞬間を目撃させ、
    そして極めつけには、ヒマリの後輩であるユウカが怪物の姿へと変貌した様子を突きつけた。

    理性と感情を徹底的に打ち砕かれたヒマリは、恐怖と絶望に抗えず、ついにフランシスの配下となった。

    一方、スオウは着々と「イブキ」の解剖実験を進めていた。
    キヴォトス人の肉体構造やその仕組みを解析するため、イブキを実験台にし、目的を果たすと**「処分」**した。

    その頃、ユウカは完全に怪物と化し、ノアは日々の惨劇と監視任務によって精神的に崩壊寸前になっていた。
    ある時、ノアが強い精神障害の兆候を見せていたタイミングで、スオウは彼女を気絶させ、身体検査を行う。
    しかし、レントゲン機器の出力を誤って調整してしまい、過剰な放射線を浴びせてしまう。
    その結果、ノアは脳だけを残して全身が破壊されるという悲惨な事態となった。

    それでも彼らはその脳を保存し、実験記録として保管。
    彼らの狂気と執着はもはや、命や倫理を超越していた。

    そして、スオウはフランシスから呼び出され、「未知の空間」へと入ろうとしていた――。

  • 7二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:02:07
  • 8二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:03:49

    ※(グロテスク描写につき、解剖シーンそのものは省略)

    解剖は静かに、そして冷徹に行われた。
    臓器は一つひとつ、生理学的順序に従って摘出され、それぞれ滅菌済みの保存トレイに並べられた。重要な臓器――肝臓、腎臓、心臓、肺は、内部被曝の痕跡を確認するため病理標本用のUW液(Universal Wash液)に慎重に沈められる。
    特に腸間膜リンパ節と脾臓は壊死が激しく、免疫系の崩壊を如実に示していた。骨髄組織はゼリー状に溶解しており、放射線による幹細胞の完全破壊が示唆された。DNAは断片化し、アポトーシスではなくネクローシスに近い細胞死が進行していたようだ。
    骨格は、関節ごとにバラされ、大型の鉛合金製ハードコンテナに順番に収められていく。ラベルには黒インクで丁寧にこう書かれていた。

    『生塩ノア 骨格』

    蓋を閉じ、骨格を載せたコンテナは自動搬送コンベアに乗せられ、小荷物用の垂直エレベーターに回収される。低層の研究階層へとゆっくり降りていくその様子は、まるで遺体が“次の処理段階”へと移される儀式のようだった。
    スオウは無言で床に飛び散った血液を拭き取り、組織片や破損した小臓器を廃棄用のバイオバッグに収めていた。静かな作業が続く中、背後でかすかに金属音が鳴る。
    振り返ると、フランシスが透明の保管カプセルを両手で抱えていた。その中には、脳が浮遊していた。人工脳脊髄液に満たされた内部では、脳幹と大脳がほぼ完全な形で保存されている。
    フランシスはそのまま、実験室の壁にかかっている一枚の無地の額縁へと近づいていく。

    スオウ「……何をしているのですか?」

    問いかけると、フランシスは振り向きもしないまま低く答えた。

    フ「……そういえば、お前にはまだ見せていなかったな。見ておけ、滅多に見られない“特別”なものだ。」

    そう言って、フランシスが額縁の中心に触れた瞬間――
    額縁の内部が歪み始めた。

  • 9二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:05:32

    まるで空間そのものがねじれるように、何も描かれていなかったはずのフレームが内側から外に向かって脈打ち、広がっていく。その歪みは次第に拡大し、人が通れるほどの楕円形の“裂け目”となった。
    スオウは息を呑んだ。
    見たことのない現象だった。論理や物理法則を超えた何かが、確かにそこに存在していた。

    フ「後処理が済んだら入ってこい。私は先に行く。下で待っている。」

    そう言い残して、フランシスは脳の入ったカプセルを抱えたまま、何のためらいもなく“額縁の奥”へと足を踏み入れた。彼の姿は、歪んだ空間の中に吸い込まれるようにして消えていった。

    スオウ「…………」

    しばらくの間、スオウはその場に立ち尽くしていた。
    額縁からは、得体の知れない“呼び声”のような気配が発せられていた。**物理的でも、精神的でもない。**感覚器官のどこにも正確に分類できない“何か”が、額縁の奥にある空間から漏れ出していた。
    それは恐怖か。
    それとも、好奇心か。
    あるいは、どちらも区別のつかない“引力”のような何かかもしれない。
    後処理が終わり、スオウは額縁の前に立った。手袋越しに掌が汗ばんでいるのを感じた。

    スオウ「……行くか。」

    そう呟くと、彼女は意を決して、一歩を踏み出した。
    その瞬間、額縁の内部はまるで生き物のように波打ち、スオウを包み込んだ。視界が一瞬、反転し、重力がねじれた感覚が襲い――

    スオウの姿もまた、額縁の中へと消えた。

  • 10二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:06:47

    額縁をくぐり抜けた瞬間、スオウの足元は唐突に消え去った。

    ス「!」

    喉奥で小さく叫びながら、スオウは抗う間もなく漆黒の空間へと落ちていく。そこは足を踏みしめる大地などなく、ただただ無数の不気味な顔たちが、まるで蜂の巣のように幾重にも重なり、縦横無尽に蠢く異質な世界だった。
    歪んだ輪郭、深く窪んだ眼窩、嘲笑うかのような口元。一つとして同じ表情はなく、その全てが、音もなく、しかし確かにスオウを見つめている。無数の視線が肌を這いずり回るような感覚に、全身の産毛が逆立った。重力は確かに存在し、スオウの体を下へと引きずり込むが、その落下感はどこか曖昧で、永遠に続く悪夢の中にいるようだった。
    どれほどの時間が過ぎただろうか。一分、あるいはそれよりもずっと長く感じられた落下の中、スオウは深い闇の奥底に、突如として奇妙な光を捉えた。それは闇を切り裂くように浮かび上がる、巨大な「眼」だった。

    「…!」

    息を呑む間もなく、その眼の全貌が露わになる。黒曜石のような深い闇の中に、それはまるで巨大な漆喰の壁に描かれた不気味な壁画のように、鮮やかな紺碧色の虹彩を宿していた。その中心には、血のように赤黒い、脈打つかのような瞳孔が、スオウの存在を静かに、そして狂気を孕んだ輝きで見つめ返していた。その色は、まさに絶望と混沌を内包する宇宙の片鱗のようだった。
    グンッ、と突如、落下の速度が急激に増した。まるで強大な何かに引き寄せられるように、スオウの体はみるみるうちにその巨大な眼へと吸い込まれていく。紺碧の虹彩が目前に迫り、紅い瞳孔が全てを飲み込む闇の入り口となる。逃れられない引力、迫りくる異形の瞳。恐怖と同時に、抗いがたい好奇心が湧き上がってきた。

    (一体、何があるんだ…この下に…この先には…)

    思考が渦巻く中、スオウの意識は巨大な眼球の中へと没していく。紅い瞳孔の奥に広がるのは、さらなる深淵か、あるいは全く別の世界か。神秘的でありながら、底知れぬ不気味さを孕んだ異空間が、スオウを静かに飲み込んでいった。その眼は、ただの器官ではなく、次元を繋ぐ門のようにも感じられた。
    スオウは確かに“あの眼”の奥へと堕ちていった。
    そこにあるのが地獄か、真理か、それともまだ名のない何かかも分からぬままに――
    スオウの意識は、境界の向こうへと吸い込まれていった。

  • 11二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:08:38

    目はこんな感じです。

  • 12二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:09:56

    グォン、と重い衝撃音が空間に響き渡った。直前まで意識を飲み込まれそうだった眼の奥から、突如として何かが吐き出されたかのように、スオウの体は未知の空間へと放り出される。しかし、落下は一瞬で終わり、足裏には硬い地面の感触があった。体に異常はない。意識も明瞭だ。

    「なんだ…ここは…」

    スオウは立ち尽くし、ゆっくりと周囲を見渡した。そこは、光の届かぬ深淵のような暗闇に包まれた空間だった。しかし、完全に闇一色というわけではない。遥か遠く、上空からは判別できないほど微かな、鈍い煉瓦色の光が、この広大な場所を薄く照らしている。それは、まるで地獄の業火が遠くで燃え盛っているかのような、不気味な色彩だった。
    スオウが立っているのは、幅広の石造りの歩道だった。その両側には、淀んだ黒い水が満たされた水路が、はるか先まで続いている。水面は不気味なほどに静まり返り、何も映し出さない。そして、その水路のさらに外側には、視界の全てを埋め尽くすかのような巨大な建造物がそびえ立っていた。
    それは、遥か彼方まで続く、途方もなく高いアーチの列だった。赤銅色に染まった、まるで血で塗り固められたかのような巨大な柱と、それを繋ぐ分厚い梁が、両側からスオウの視線を奥へと誘う。その重厚な構造物は、空の全てを覆い隠すようにそびえ立ち、その先に続く道は、まるで奈落の底へと誘う回廊のようだった。そして、その回廊のさらに奥、視界の収束点に、途方もなく巨大な塔が聳え立っていた。その頂は、闇に溶け込み、どこまで伸びているのか全く判別できない。まるで世界の終わりを見守るかのように、ただそこに存在していた。

    「…」

    スオウは言葉を失った。これまでに経験したどんな空間とも違う、圧倒的なスケールと、見る者に畏怖を与える異様な美しさ。まるで夢の中の光景か、あるいは概念が形になったもののように、現実離れした光景にただ呆然と立ち尽くす

  • 13二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:11:38

    すると、その沈黙を破るかのように、冷たい空気がスオウの肌を撫でた。

    ズォ…

    スオウの目の前に、何の前触れもなく、漆黒の塊が唐突に現れた。それは、まるで影が物質化したかのような存在だった。身の丈はスオウよりもやや高く、全身を深紅のローブが覆っている。そのローブは、まるで血糊で染められたかのように生々しい赤色で、裾はどこまでも長く、地面を引きずることもなく、まるで液体のように波打っていた。
    しかし、最も目を引いたのは、その頭部だった。顔があるべき場所は、完全な虚無。漆黒の闇そのものがそこに存在し、光を一切反射しない。その虚無からは、まるで黒いインクが流れ出したかのように、どろりとした黒い液体が常に滴り落ち、その合間には、わずかに青みがかった線が混じり、一層不気味さを際立たせていた。頭上には、細い線で描かれたような、不鮮明な光の輪が、まるで古びた冠のように浮かんでいる。その存在は、この地の闇に溶け込みながらも、異常なまでの存在感を放っていた。
    音もなく、その漆黒の存在はスオウの目の前に立ち止まり、顔のない虚無をスオウへと向けた。まるで、スオウの魂の奥底まで見透かそうとしているかのように、じっと、ただじっと見つめている。やがて、その虚無の塊が、ゆっくりと、しかし確実に動いた。
    すっ、とその深紅のローブに覆われた手が、音もなく持ち上げられ、巨大な塔の方を指し示した。

    「…案内してくれるのか?」

    スオウは、その異様な存在への恐怖よりも、この場所への好奇心と、かすかな希望が勝り、震える声で問いかけた。返事はなく、ただ静かに、その手は塔を指し示し続けている。スオウが意を決して一歩を踏み出した瞬間、その漆黒の存在は、地面からわずかに浮遊しながら、スオウの前を静かに移動し始めた。その動きは、まるで風に舞う羽衣のように軽やかで、一切の足音を立てない。
    スオウは、その謎の存在の後を追うように歩き始めた。歩道に敷かれた石の感触が、自分が確かに存在していることを教えてくれるが、目の前に広がる光景は、あまりにも現実離れしている。

  • 14二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:13:30

    (…フランシス様)

    歩きながら、スオウの脳裏に、未だに謎多き主君、フランシスの姿がよぎった。そして、そのフランシスの友、そして自分のもう一人の主君である「地下生活者」。この塔、この空間、そして目の前を浮遊する謎の存在。全てが、これまでスオウが知っていた世界の常識からかけ離れている。

    (貴方と地下生活者様は一体何者なんですか…!)

    心の中で、スオウは叫んだ。それは、畏怖と、理解できないものへの根源的な恐怖、そして同時に、この異質な存在たちが持つ、計り知れない力と秘密に対する、抗いがたいほどの驚愕が入り混じった呟きだった。この先に何があるのか。彼らは何者なのか。スオウの魂は、深い霧の中に迷い込んだように、その答えを求めてさまよっていた。

  • 15二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:15:20

    素晴らしい作品の作者様

    @astrono77153462

  • 16二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:51:01

    >>13小さいヒエロニムス!?

  • 17二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 23:14:53

    続きありがとうございます^_^
    念のため保守。

  • 18二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 00:02:42

    保守

  • 19二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 07:42:22

    朝保守^_^

  • 20二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 17:09:43

    保守

  • 21二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 18:50:14

    スオウは、入口の巨大な穴を案内人に続いてくぐり、塔の内部へと足を踏み入れた。
    内側は外観からは想像できないほど広大で、天井が見えないほどの高さを持つ螺旋階段が、闇に溶け込むように延々と続いていた。
    壁は赤黒くねじれた岩のような質感で、ところどころに窓のような横穴が穿たれていたが、名は漆黒に包まれ、何ひとつ見えなかった。
    先を行く案内人の足取りは異様にゆっくりで、自身の足音さえも不気味な反響を伴って塔内に吸い込まれていく。
    スオウは無意識のうちにその後を追い、気がつけば何百、いや何千段と階段を登っていた。
    だが、なぜか息は切れず、脚も痛まない。不自然な静けさのなかで、時間の感覚さえ曖昧になっていく。
    ふと「どれほど登ってきたのか」と疑問に思い、スオウは恐る恐る後ろを振り返って下を覗き込んだ。

    ス「……っ!?」

    そこにあるはずの階段は、跡形もなかった。
    ただ、赤黒い壁が地の底まで続いているだけで、足場も段差も消え失せていた。
    そして、深淵から――

    グぉぉぉ……

    底の知れない唸りとともに、何かがものすごい勢いで塔を駆け上がってくる気配がした。
    空気が震え、目に見えない圧力がスオウの胸を締めつける。

    スオウ「……ッ!」

    直後、目の前に“それ”が現れた。
    全身をねっとりと黒緑の粘液で覆い隠した、高さ十数メートルはあろうかという異形。
    胴体にあたる部分から垂れ下がる布のような質感の影が蠢いており、目も口もないかのように見えたが、中央にはひとつ、縦に裂けた巨大な“眼”だけが存在していた。
    その瞳は人のものではない。感情のない、ただ見下ろすことだけを目的としたような冷たい輝き。
    見つめられるだけで心を浸食されていくような錯覚に陥る。
    化け物のまわりには、同じような粘液に包まれた人型の影が幾体も並んでいた。
    顔もなく、ただ「そこに立っている」という不気味な存在感だけを放っている。
    まるでこの空間全体が、誰かの悪夢の内部であるかのようだった。

  • 22二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 18:51:20

    案内人もその場にとどまり、異形を見ていた。
    気づけば、スオウはその“目”とただ向かい合っていた。
    塔の空間は歪み、壁は生き物のように脈動し始める。
    スオウは、わずかに震える声で問いかけた。

    「……おまえは……何なんだ……?」

    声は虚空に吸い込まれ、何の反応も返ってこなかった。だが、沈黙の中、異形の周囲に立つ影たちがぬるりと動き始めた。
    彼らは足音一つ立てず、重力を無視するかのような滑るような動きでスオウのまわりを取り囲んでいく。
    黒緑の流体のような影が、スオウの足元へとじわじわと迫り、まとわりついてきた。
    その冷たい気配が皮膚をかすめるたび、身体の内側が凍えるような感覚に襲われる。
    スオウは、動かなかった。
    動いてはいけないという本能的な警告が、全身を貫いていた。
    少しでも動けば、何かが壊れてしまう――そんな確信にも似た予感があった。
    やがて、影たちはスオウの足元でぐるぐると蠢きながら、徐々に一体にまとまり、スオウの「影」に向かってすうっと吸い込まれていった。

    スオウ「……⁈」

    思わず地面に目を向けたスオウの視界に映ったのは、異様な光景だった。
    自身の影が、まるで意志を持った生き物のようにうねり、ゆっくりと動き出していたのだ。
    スオウは一歩も動いていない。それなのに、地面に落ちた“彼の影”が自ら身体から離れ、立ち上がるようにして形を変えていく。

  • 23二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 18:53:24

    ス「……う、そだろ……」

    その影はゆらゆらと揺れながら、まるで鏡写しのようにスオウと向き合った。
    だが、それも束の間――

    ドロ……ッ

    影の輪郭が崩れ、まるで溶けるように姿を変えていく。
    次の瞬間、そこに立っていたのは、あの異形の傍らにいた“影の存在”と同じ人型の像だった。
    人のようでいて人ではない。顔はのっぺらぼうで、感情の欠片もない。
    だが、それは間違いなく、スオウ自身から生まれた「何か」だった。

    「……な、なんなんだ…これは……!」

    恐怖に突き動かされた声が漏れる。
    そしてその“スオウの影”は、一度振り返るように首を傾けたあと――
    ふわりと宙に舞い、異形の体へと向かって吸い寄せられていった。
    ぬるり、と音もなくその影が異形の身体に吸収された瞬間――
    異形の中央にある巨大な眼が、ぎょろりとスオウを見下ろして動いた。
    そこには、何かしらの「理解」や「欲望」が渦巻いているような、言語では言い表せぬ知性の片鱗が宿っていた。
    その瞳に、自分の“何か”が囚われてしまったという実感が、スオウの背中を凍らせた。
    異形は、スオウの影をその巨大な身体に吸い込むと、ゆっくりとこちらへと近づいてきた。
    その動きは地を這うように滑らかで、まるで空間ごとたゆたっているかのようだった。
    スオウのすぐ傍まで異形の巨大な頭部が迫り、目の前に“それ”の顔――いや、“それ”の眼が現れた。

  • 24二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 18:55:25

    黒いフードに覆われた顔の奥で、不気味に輝く一つの目。
    それはただの器官ではなかった。まるで深淵そのもの。光も、色も、意思さえも、すべてを飲み込む虚無の渦。
    スオウの全身は凍りつき、視線を逸らすことも、目を瞑ることすらできなかった。
    時間の感覚が歪んでいく。
    たった一分間の対峙が、永遠のように感じられた。
    やがて、異形はスオウから顔を離すと、ゆっくりと首を傾け、数段上に佇む案内人の方を向いた。
    スオウもまた、恐る恐る二人の間の空気を感じ取ろうと視線を動かしたその瞬間――
    突如、頭の中に**声ではない“言葉”**が流れ込んできた。

    「彼女が卿が呼んだ方ですか?」

    音も振動もない。
    それは文字でも言葉でもない――意味だけが、脳髄の奥底に直接刺さり込んでくるような体験だった。
    スオウは目を見開き、脳の奥で響いたその“問い”の主を探すように視線をさまよわせる。
    すると、再び内側から言葉が投げ込まれる。

    「はい。彼女が卿がお呼びになった人物です。」

    今度は案内人の返答だと、なぜか分かった。
    何がどうなっているのか。誰が誰に話しかけているのか――理解は及ばない。だが、
    自分がただの訪問者ではない、
    何かに選ばれた者として、ここに導かれたのだという感覚が、じわりと背筋を伝って広がっていった。

    ぐぉ………

    低いうねりのような音とともに、異形が再びスオウを見つめた。
    その一つ目は、今や“判断”を下すような光を湛えていた。
    やがて、その巨大なローブに包まれた腕が、ゆっくりとスオウに向かって動き出す。

  • 25二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 18:56:35

    スオウは思わず後ろに下がろうとしたが、すぐ背後には冷たい壁。
    逃げ場はない。
    迫る“手”の存在に、全身が硬直する。

    ス「……くる…!」

    スオウは震える腕を交差させて顔の前に掲げ、最期の瞬間を覚悟した。

    だが――

    ……何も起きない。

    異形の手はスオウに触れることなく、スッと階段の外縁へと滑らかに移動していた。
    その掌は巨大な布に包まれ、まるで小舟のように穏やかに広げられている。
    スオウは恐る恐る手を下ろし、ゆっくりと目を開いた。
    視界に映ったのは、自分のすぐそばで、じっと待つように差し出された異形の掌。
    異形は何も言わない。ただ静かに、じっとスオウを見つめていた。

    スオウ「……乗れって……ことか……?」

    その意図を完全に読み取れたわけではない。
    だが、不思議と否応なく理解させられてしまう“強制力”のようなものが、空間そのものに満ちていた。
    スオウは震える脚を前に出し、ゆっくりと掌の上に足を踏み入れた。
    掌の表面は布であるはずなのに、不思議な安定感を感じさせる。
    スオウが完全にその上に乗ったのを確認すると、異形は何の合図もなく、すうっと掌を持ち上げた。
    重力の感覚は曖昧になり、スオウの体はふわりと持ち上げられていく。
    その様子を、階段の上から案内人がじっと見つめていた。
    やがて、案内人も宙に浮かび、異形の頭部近くへとすい寄せられていく。
    そして三者は、沈黙と重力から解き放たれたまま、ゆっくりと螺旋階段の上層へと昇っていった。

  • 26二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 00:51:05

    保守

  • 27二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 07:45:41

    続きありがとうございます^_^
    最後まで楽しみにしてます保守!

  • 28二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 13:06:09

    手の平にそっと乗せられたスオウの身体は、じわりと上昇を始めた。下界が遠ざかり、代わりにまとわりつくような静寂がスオウを包む。見上げる先は、漆黒の闇。これまで幾度となく見上げてきた変わらぬ黒に、スオウは一抹の諦念を覚えていた。どこまで続くのかも知れない、終わりなき上昇。しかし、その単調な闇の中に、微かな変化が訪れた。
    針の先ほどの、しかし確かに赤い光点が、遥か上空に現れたのだ。それはスオウの上昇と共に、徐々に、しかし着実にその姿を大きくしていく。滲むような赤色は、次第に輪郭を帯び、明確な形状を現し始めた。スオウは息を呑み、目を凝らした。それは、今まで信じて疑わなかった天井などではなかった。黒い壁は唐突に終わりを告げ、その先に広がっていたのは、想像を絶する光景だったのだ。

    「…あれは…天井じゃない…!天井なんかなく…突き抜けている…!」

    驚愕の声は、喉の奥で乾いた音を立てるだけだった。掌の温かさだけが、スオウが現実に存在していることを辛うじて教えてくれる。そして、ついに、スオウは乗せられたまま、その赤い光点を突き抜け、未知の空間へと足を踏み入れた。

    「なんだ…ここは…」

    足元に広がるのは、底なしの黒。頭上には、脈打つように赤黒い光を放つ巨大な球体が浮かび上がり、異様な存在感を放っている。そして、その下には、まるで切り取られた人間の頭部のような、奇怪な物体が静かに佇んでいた。無数の赤い雲が足元から湧き上がり、その異質な光景を一層不気味に彩っている。スオウはただ、掌の上で小さく身を縮こませ、目の前の光景を呆然と見つめることしかできなかった。
    異形は沈黙したまま、その特異な空間をゆっくりと移動し始めた。スオウの視線の先には、空中を漂う赤黒い島影が見える。それはまるで、悪夢の中に浮かぶ廃墟のようだ。島影には、ぼんやりとした人影が認められた。異形は躊躇うことなくその島へと近づき、やがて、先に何者かが降り立ったのが見えた。案内人のように見えるその人物に続き、異形もゆっくりと掌を下ろし、スオウを地面へと降ろした。
    地面に降り、スオウがゆっくりと顔を上げると、そこに立っていたのは、見覚えのある人物だった。

    「…ようこそ。スオウ。私の世界へ。」

    そこには歪んだ笑みを浮かべたフランシスが、目の前にいた。

  • 29二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 19:07:13

    保守

  • 30二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 00:27:03

    保守

  • 31二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 06:11:23

    朝保守

  • 32二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 10:58:19

    保守

  • 33二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 17:52:13

    降り立ったその瞬間、スオウの足元にぬらりとした冷たい感触が広がった。まるで血と闇が混じり合った液体のようなそれは、重力を無視したかのように波打ち、不気味に彼の足を包む。頭上では、赤黒く脈動する渦の中心に、完全な闇を湛えた太陽のような物体が浮かんでいた。
    スオウがフランシスに視線を移すと、そこにいたのは、かつて見知った姿ではなかった。赤い雲と触手のような霧に包まれたその場に立つのは――人ではない。
    黒い影に包まれた顔の中心からは、無数の触手が這い出し、それぞれの先端には血のように赤く光る眼球が瞬き、スオウを射抜いていた。歯列は不規則に並び、口元からは涎とも血液ともつかぬ液体が滴り落ちている。首元には肉の裂け目から露出した器官が脈打ち、そこにもまた瞳がびっしりと埋め込まれていた。着ている外套の内側では、何かがうごめく気配があり、視界の隅に触手の影がちらつく。
    その姿に、スオウの喉はかすかに震えた。

    ス「…この空間は一体…?」

    スオウの問いに、フランシスはゆっくりと――しかし確かな声で答える。

    フ「ここは“共有空間”だ。あいつと私とで、互いの力を交差させて生み出したものだ。普通の人間なら、入った瞬間に精神が崩壊するか、死ぬ。だが…お前には“クレドの使い”が影を付けただろう?それで、この空間でも生存できるようになっている」

    スオウが反射的に振り返ると、そこには案内役だったクレドと、その傍らに控える漆黒の使いの姿があった。クレドは、感情を読み取らせない瞳でただ静かにスオウを見つめていた。

  • 34二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 17:54:21

    フ「…クレド、ドゥクトゥス、ご苦労だった」

    フランシスの言葉に、クレドと使いたち、ドゥクトゥスは一斉に頭を下げた。スオウが再びフランシスを見ると、その紅い瞳が妖しく光を放っていた。

    ス「…さて、お前には“見せたいもの”と“やってもらうこと”がある。まずは、前者からだ。――上を見ろ」

    スオウが促されるままに視線を上げると、空間の中心に浮かぶ巨大な塊が目に入った。
    それは、人間の頭部のような形状をしていた。しかし、皮膚はなく、代わりに蠢く無数の血管や管がその表面を覆い、脈動しながら不規則にうねっていた。腐臭とも臓腑の匂いともつかぬ気配がスオウの感覚を直撃する。

    ス「……まさか、あれが……?」

    スオウの声には、明らかな動揺が滲んでいた。

    ス「ああ。あれは生塩ノアの“脳”だ。周囲にあるのは、肥大化させたモルモットの脳や、複数の脳を融合させたもの。そして本体のノアは、あの脳だけを取り出して別の被検体に移植した。全身と神経・血管を接続し、眠ることも許されず、記録を続けさせられている」

    フランシスの言葉は冷たく、淡々としていた。

    「記録…? しかし、脳は視覚がなければ――」
    フ「……“額縁”があっただろう?」
    ス「――あっ……!」

    思い出す。実験室や各部屋に、妙に整然と飾られた額縁が必ず存在していたことを。

  • 35二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 17:55:29

    フ「そういうことだ。あの額縁が、目になる。あいつは私と同じく、“視る力”を持っていてな。実験記録や手術の映像、協力者たちの作業すべてを“あの額縁”越しに記録している。だからノアの脳は、今や元の数百倍の処理能力を手に入れた記録機構なのだ」

    フランシスの顔には、歪んだ恍惚の笑みが浮かんでいた。

    フ「…そしてこの空間には“時間”がない。ここでは、百年、千年、億年が経とうと、外界ではほんの数分か、数秒の差だ。我々が思うまま、永遠に記録と実験を続けられる…完璧な空間だろう?」

    その言葉に、スオウの口元にも笑みが浮かぶ。その瞳には、フランシスと同じ冷たい光が宿っていた。

    ス「……それはそれは。素晴らしいとしか言いようがありませんな」

  • 36二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 22:32:15

    続きありがとうございます^_^
    ノアの変貌シーンも見せてくださりありがとうございました^_^
    最後まで楽しみにしてます^_^

  • 37二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 00:54:46

    保守

  • 38二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 05:40:02

    続き楽しみにしてます^_^
    念のため保守^_^

  • 39二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 14:17:01

    保守

  • 4025/06/14(土) 20:14:25

    本日は真夜中に更新します。
    すんません!

  • 41二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 21:21:22

    >>40

    了解です^_^

    無理をせず、ご自愛くださいませ。

    ゆっくりでもいいので続きを期待してます^_^

  • 42二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 00:20:43

    保守。

  • 4325/06/15(日) 04:12:16

    ス「…ところで、その“もう一つ”というのは何でしょうか?」

    スオウは再びフランシスの異形の顔を見据え、静かに問いかけた。
    フ「ああ……“もう一つ”というのはな――」

    フランシスは、ゆっくりと、しかし確かな声で告げた。
    フ「お前の“改修”だ。」

    その言葉に、スオウの眉がわずかに動いた。
    ス「……改修? 一体、それは……どういう……」

    彼は困惑を隠せず、わずかに後ずさるように言葉を続ける。
    フ「こういうことさ」

    フランシスが片腕を上げ、人差し指を下にすっと動かした。
    その瞬間――

    ぎがぁあああああああ――――

    金属が捻じ曲がるような、あるいは骨が砕けるような、耳障りな音が空間全体に響き渡った。空気が震え、空間そのものが悲鳴を上げているかのようだった。
    スオウが咄嗟に天井を見上げると、そこに浮かんでいた闇の太陽――あの黒い球体に、音もなくひびが入っていた。

    ぱきっ、ぱきぱきぱきぱき――

    音を立てて亀裂が広がっていく。そして、そこからにゅるり、と何かが這い出てくる。

    ぶちっ……ずるり……

    それは触手だった。表面は赤黒く、血管のような紋様が走っている。まるで生きている肉のように蠢くそれが、次々と球体の内部から溢れ出てきた。触手の先端には、先ほどフランシスの顔にもあったような、血走った眼球が複数埋め込まれており、あらゆる方向を無秩序に睨みつけていた。

  • 44二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 12:15:37

    夜分遅くに、続きありがとうございます。
    念のため保守。

  • 45二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 19:06:08

    保守

  • 46二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 00:14:14

    ゆっくりでもいいので続き期待してます保守^_^

  • 47二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 01:50:54

    そして……そのいくつかが、確かにスオウを“視た”。

    ビュンッ

    鋭く空を切る音とともに、その一本がスオウの足に絡みついた。

    ス「……ッ!? フランシス様! なにをするのですかッ!!」

    悲鳴と共に、スオウの身体が宙へと引き上げられていく。
    手足は素早く巻き付かれ、胸、胴、首、指先まで……全身を絡め取られてしまった。
    宙吊りになったスオウは、もがこうにもまるで鉄のような拘束に身動きが取れない。
    フランシスは、そんなスオウを下からじっと見上げていた。
    その眼差しには、哀れみも戸惑いもない。
    ただ、冷たく正確な“工程の進行”を見守る科学者のような視線だった。
    そして――
    ずぉぉぉおおおお……

    重低音と共に、大地が震え始める。
    フランシスたちがいる浮島がゆっくりと上昇を始めた。
    それはまるで意思を持つ建造物のように、静かに、だが確かに空へ向かって動き出す。
    島の上では、クレドとドゥクトゥスの二人が佇んでいた。
    彼らは動揺も見せず、ただ静かにスオウを見つめていた。
    島がそのままスオウの目の前にまで上昇すると、彼らはスオウと同じ高さに並ぶように立ち、向き合った。
    クレドは、口を開くことなく、微かに首を傾けた。
    ドゥクトゥスは、重く沈んだ瞳でスオウを見据えた。
    彼らの姿には、どこか宗教的な厳かさすら漂っていた。
    まるでこれが、ずっと以前から決められていた“儀式”であるかのように――。
    スオウの鼓動が高鳴る。
    触手が、彼の身体にぴたりと密着する。
    その全てが、次の“段階”を待っているかのようだった。

  • 48二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 09:31:18

    保守

  • 49二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 18:47:07

    ス「フ…フランシス様……」

    スオウは震える声でそう呼びかけた。
    その声には、恐怖と混乱、そしてかすかな希望がにじんでいた。
    しかしフランシスは、何も言わず、ただ静かにスオウを見つめ続けていた。
    その瞳には焦りも怒りもなく、ただ深く測れない何かが揺らめいている。
    触手の無数の眼球も、彼に同調するかのように、スオウの方をじっと見据えていた。

    ――沈黙が数分ほど続いた。
    やがて、フランシスは小さく息を吐き、口を開いた。

    フ「……落ち着け、スオウ」

    その声は、異常な状況とは裏腹に、穏やかで静かだった。
    まるで友をなだめるような声音だった。

    フ「別に私は、お前を“用済み”として処分しようなどとは思っていない。
    それに、“あいつら”のような実験をお前に施すつもりもない」

    フ「……まぁ、“実験”というよりも、さっき言った通りだ。“反転”とはまた違う。
    もっと……そうだな、“改良”……“向上”、いや……“洗練”とでも呼べばいいか。
    どれもいまいちしっくりこないな……」

    フランシスは肩をすくめた。

  • 50二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 18:48:35

    フ「要するに、お前には“さらなる高み”を目指してもらう。
    これは罰ではない。処分でもない。むしろ、選ばれし者への贈り物だ。
    お前を消すだなんて、そんな愚かなことを私がすると思うか?」

    スオウは、その言葉をじっと聞いていた。

    フ「ここまで多くの任務をこなし、実験の記録をまとめ上げ、忠実に動いてきたお前だぞ?
    そんな存在を、無駄にする理由などどこにもない」

    一瞬、フランシスは目を細めて笑った。

    フ「それに――私がうっかり死んだとき、あの世でお前に“ドジですね”って笑われるなんて……御免だからな」

    その言葉に、スオウの唇がかすかに動く。

    ス「……もし……裏切ったら、たとえ地獄の果てまで追いかけますからね? フランシス様」

    それは、恐怖と疑念の中にわずかに込められた、揺るぎない忠誠の“刃”だった。
    フランシスは、口元を緩める。

    フ「それでこそ、我が助手だよ。スオウ」

  • 51二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 19:13:53

    フ「こほん……さて、本題だ。スオウ。早速、お前の“改良”を始めたいのだが――」

    フランシスは言い淀むように言葉を区切った。

    フ「――私はこれから、非常に多忙になる」

    スオウは目を細める。フランシスが「忙しい」というのは、計画が動いている証だ。

    フ「もちろん、定期的に様子は見に来るし、最終調整には私自身が関わるつもりだが……初期段階の処置は他の者に任せる。優秀な人材を一人、此処に連れてきてある」

    ス「……誰ですか? その“優秀な人材”とは?」

    フランシスが小さく笑みを浮かべると、背後の空間に、ひときわ古めかしくも荘厳な「額縁」が浮かび上がった。
    額縁はゆらりと光を帯び、まるで水面のように揺れたかと思うと――その中から、一人の人物がゆっくりと現れた。
    その姿を見たスオウの表情が一変した。

    ス「……ほぅ……彼女なら、信頼できますな」

    珍しく、スオウは穏やかな笑みを浮かべた。
    その表情を見て、フランシスは満足げに頷く。

    フ「そうだろう? ならば、本人から自己紹介してもらおうか」

    現れた人物は、フランシスの横まで歩み寄り、静かに立ち止まった。

    姿勢はまっすぐで、無駄のない動き。どこか医師のような、あるいは神職のような気配を纏っている。

  • 52二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 19:14:54

    ?「――本日より、スオウ様の“改良手術”を担当させていただきます」


    その声は落ち着いており、どこか芯の通った響きを持っていた。


    ?「明星ヒマリと申します。どうぞ、よろしくお願いいたします」


    その瞳に宿る冷静と誠意に、スオウは一つ頷いた。


    ス「……期待してるぞ…明星ヒマリ殿…」


    #ブルアカ ヒマリ*テラー(捏造) - 西園寺まよなかのイラスト - pixivテラー化したら車椅子を捨ててほしいという幻覚ツイから我慢できなくなって即描きました https://x.com/SaionYonaka/status/1824293066074886272?t=YNSwww.pixiv.net
  • 53二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 20:22:02

    新しいテラーを見せてくださり、ありがとうございます^_^
    最後まで続きを楽しみにしてます^_^

  • 54二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 00:05:35

    保守

  • 55二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 09:13:47

    保守

  • 5625/06/17(火) 15:04:08

    本日は夜に投稿します。

  • 57二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 17:54:46

    続き楽しみにしてます^_^

  • 58二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 23:58:06

    保守

  • 59二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 00:39:10

    御身体は大丈夫でしょうか?
    急な暑さで体調が悪いようでしたら、どうかご自愛ください。
    ゆっくりでもいいので続きをお待ちしております。

  • 6025/06/18(水) 01:26:57

    すみませんが、本日の夕方に更新します。昨日は使用のため かけなくて申し訳ございません。

  • 61二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 07:33:09

    ゆっくりお待ちしております。
    念のため、保守。

  • 62二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 12:09:06

    昼保守。

  • 63二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 17:22:15

    ―ホルス・ヒナ・アズサ

    アリウススクワッドの面々が合流地点に到着したとき、そこには一体の異形が待っていた。

    ホルスは何度も接触している相手で、もう慣れたものだったが、ヒナとアズサはその姿に一瞬驚いた。しかし、二人とも程なく平静を取り戻す。どこかでこの異常に順応してしまっているのかもしれない。

    異形は、無言で一枚のメモ用紙を差し出した。そこには、次なる行動指針が詳細に記されていた。

    彼女たちは、それを確認し、速やかに移動を開始した。

    現在のキヴォトスは――地獄だった。

    地下水路を伝って移動するホシノたちの耳に、地上から怒涛の音が押し寄せていた。

    サイレンの連呼。銃声。怒号。
    けたたましい爆発音に混じって、遠くからニュースキャスターの声も聞こえてくる。

    キヴォトス全域が、阿鼻叫喚の渦中にあった。

  • 64二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 17:23:29

    ニュースキャスター
    「本日未明、トリニティ区域で謎の爆発音が観測されました。ヴァルキューレが翌朝に現場に急行しましたが、既にトリニティは壊滅状態に――。
    主要メンバーである『桐藤ナギサ』および『百合園セイア』の死亡が確認され、現在も『聖園ミカ』の行方は不明。
    また直前には古書館で火災が発生し、対応に当たっていた公安局局長『尾形カンナ』の安否も確認されておりません。
    多数の生徒の生存状況も不明であり、現在連邦生徒会およびヴァルキューレなどが協力して、事態の調査と原因解明に当たっています。
    現地の目撃者からは『誰かが戦っていた』との証言も――」

  • 65二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 17:24:29

    ホルスはため息混じりに、肩をすくめた。

    ホ「……派手にやったねぇ、あいつ」

    ヒナが険しい顔で隣に立つ。

    ヒナ「……まさか。彼がやったの?」

    ホ「多分ね。反転の気配があった。あいつが動いたってことだろう」

    ホ「でも、トリニティをまるごと潰すなんて……反転した誰かと戦ったんじゃない? そして、気配が消えたってことは――倒して連れ帰ったか、あるいは……地獄でも見せつけてるかもね」

    ヒナは無言で息をのむ。

    ヒナ「……化け物ね、本当に」

    ホ「うん、怪物だよ。今でも最初に出会った時のこと、鮮明に覚えてる」

  • 66二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 00:03:48

    保守

  • 67二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 08:23:43

    朝保守

  • 68二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 17:15:21

    保守

  • 69二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 23:17:56

    夜間保守^_^

  • 70二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 00:07:26

    二人は――ホルスとヒナは、テレパシーで言葉を交わしていた。
    地下生活者たちの圧倒的な力に触れた後のこと。
    その存在が現実であるという事実に、まだ心のどこかで唖然としていたのだ。
    そんな時、不意に背後から声がかかった。

    アズサ「二人とも、どうしたの? 何か悩み事? ……それとも、計画に疑問でも?」

    振り返ると、アズサが不思議そうにこちらを見ていた。
    その無垢な瞳が、どこか鋭く感じられるのは、今の彼女もまた“向こう側”にいるからか。

    ホルス「うへぇ~、いやいや。別に大丈夫だよ。気にしないで?」

    ヒナ「たいしたことじゃないわ。あなたが心配する必要はないの。
    ただ……トリニティで大暴れした“誰か”に、ちょっと心当たりがあってね。
    そのことを考えていただけよ。……まぁ、あの爆発の規模を考えれば
    、トリニティに生存者がいるとは到底思えないけど」

    ヒナは淡々と語りながら、目線を地下水路の先に向けた。

  • 71二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 00:08:33

    ヒナ「ニュースでも、ホスト二人――桐藤ナギサと百合園セイアの死亡が報じられていたわ。
    でも……聖園ミカの行方が不明なのが、少し気になるのよ。
    それと、この件でバカマコトたちが何かに気づくかもしれない。
    今は私が“単独でイブキの探索を続けてる”って伝えてるけど……
    そろそろ“真実”を表に出してもいい頃だと思ってるのよね」

    ホルスは、にぃっと口角を上げた。不気味に歪んだ笑み。

    ホルス「出しちゃえば? ここまで来たんだし。
    もう、私たちの正体がバレたところでどうにもならない。
    それに――イブキはもう“いない”んだし、あいつらに従う理由もない。
    むしろイブキの“末路”を聞かせたら……どんな顔をするのか、楽しみだよねぇ……」

    ヒナもその言葉にわずかに笑みを返しながら、鋭い眼差しをアズサに向けた。

  • 72二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 00:15:58

    ヒナ「確かに……あのバカの“絶望した声”を聞くのも悪くない。
    どんな表情をするか、この目で見てやりたい。
    私の“判断”で、やってみせるわ」

    ホルス「そうそう。実際、今からやるのは――」

    ホルス「“そういうこと”だしね」

  • 73二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 02:51:09

    夜分遅くに続きありがとうございます。
    最後まで楽しみにしてます^_^

  • 74二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 10:41:31

    保守

  • 7525/06/20(金) 15:42:42

    本日 夜 投稿

  • 76二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 23:04:53

    ゆっくりお待ちしております^_^
    念のため保守^_^

  • 77二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 00:11:07

    体調に気をつけて、投稿していただけると幸いです。
    もしここで書くのが大変なようでしたら、pixivやハーメルン等で続きを書くのも一つの方法かなと思います。
    なんであれ、最後まで楽しみにしてます^_^

  • 7825/06/21(土) 08:57:02

    >>77

    応援のメッセージありがとうございます。最近 少し忙しく更新できない日があります。なるべく投稿しようと思うのですがどうも 疲労感で体がとやる気が起きない日があります。大変申し訳ございませんが、お待ちください

  • 79二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 15:01:59

    >>78

    ssはお手隙の際にかけるかもしれませんので、熱いので体調を崩さぬようにご自愛ください^_^

    ゆっくりお待ちしております^_^

  • 8025/06/22(日) 00:02:16

    保守

  • 81二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 04:15:53

    保守

  • 82二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 13:17:46

    こうして三人は、メモの指示された地点――地上への出口がある地下水路の一角へと到達していた。
    静寂と闇の満ちた水路。その中で、ホルスが静かに梯子を上り、蓋に手をかける。
    だが――その瞬間だった。

    ???「があああああああああッ!!」
    ???「や、やめろ!来るなァアアアアア!!」
    ???「うわッ……な、なんだよお前ッ……ッ!!」
    ???「お前ら逃げろッ!うわああああああああああああああああッッ!!!」

    ホルス「……⁈」バチィンッ!

    蓋越しに、明らかな**“何か”が起きている**音が一気に溢れ出してきた。
    爆音。銃声。悲鳴。何か巨大なものが落ちる音。金属の軋む音。
    耳に突き刺さるような、混沌の音の洪水。
    ヒナとアズサも気づき、下から無言で見上げる。
    その表情は「行かない方がいいんじゃない?」と言わんばかりの冷静さと皮肉。
    ホルスは舌打ちしながら、めんどくさそうに梯子を一段降りかけた。

    その瞬間――

  • 83二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 13:18:52

    バッゴオオオンンッ!!!

    蓋が破砕音とともに爆ぜた!
    錆びた鉄蓋が真っ二つに裂け、腕ががホルスに向かって勢いよく伸びる!

    ゴオオオ……ン!!!

    ホ「っち……!」

    バシィッ!!

    ホシノは瞬時にその手を掴むと――

    グワンッ!!

    勢いを利用してその腕ごと自分の身体を宙に引き上げた!
    身体が放物線を描いて飛び上がる。

    そして――

    ゴガアッ!!!!!!!

    鋭く顎下へと頭突きを叩き込む!!
    鈍く響く破裂音とともに相手の首が仰け反った。
    着地と同時に、ホシノの手には愛銃が構えられていた。

    バンッ!!バンバンバンッ!!!

    反転の力を帯びた銃弾が、火線を引いて唸りながら敵へと放たれる。
    その一発一発が、通常のキヴォトス人なら身体を砕き意識を刈り取る、異常なまでの威力を持っていた。

  • 84二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 13:20:27

    だが――

    ザザザッ……ギィン…!

    敵はその場でわずかに後退しただけだった。
    血も流さず、崩れもせず、静かに砂煙の中に立っていた。

    ホルス「……」
    ヒナ「……」
    アズサ「……」

    三人の間に、言葉では表せない緊張が走る。

    ホ「……へぇ~~~~。
    耐えたのね、今のを。あんまり反転の力を込めなかったとはいえ……
    反転前のキヴォトス人でこれを正面から受けきったのは――
    “あなたが初めて”だよ……」

    砂煙がゆっくりと晴れていく。
    その中央に――傷一つなく立つ、桃色の髪と金の瞳の少女。

    ホ「……生き残ったんだ、あれから」
    ホ「さすが、ってとこだねぇ……」

    ホシノの瞳が細くなり、口元に不敵な笑みが広がる。

  • 85二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 13:25:00
  • 86二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 19:20:00

    保守

  • 87二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 23:35:53

    ワクワクしてきました。
    念のため保守^_^

  • 88二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 07:55:36

    保守

  • 89二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 14:50:18

    ホルスがミカと対峙した時、まず目に入ったのは――地獄だった。
    地上に出たばかりのその場所には、倒れ伏す不良生徒たち、ヘルメット団、トリニティの生徒たち――
    いずれも血まみれで、意識のない者も、呻き声すら上げられない者もいた。
    ホルスは無意識に辺りを見回した。生々しい鉄と血の匂いが風に混じって鼻腔を焼く。

    そして――

    その中心に、血に染まった制服をまといながら、
    不敵な笑みを浮かべ、こちらをまっすぐに見つめてくる少女がいた。
    聖園ミカだった。

    ホルス(「……あいつやフランシスが差し向けたわけじゃない。
    じゃあ、なんでこいつらと戦ってた? 変な噂でも耳に入った?
    いや、それなら事前に共有されるはず……
    こいつが喧嘩を売った? だとしても……ここまでやるか?」)

    次々と巡る思考。その答えを、ミカが自ら口にした。

    ミカ「――“なんで戦ってたの?”って顔してるね、小鳥遊ホシノ」

    彼女の声は、かすかに笑っていた。だがその奥には、
    割れたガラスのような脆さと鋭さが潜んでいた。

  • 90二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 14:51:21

    ミカ「意味なんてないよ。

    ただ、歩いてたら――あいつらが叫びながら寄ってきたの」


    「『こいつが犯人だ!』とか『仲間を殺した!』、『魔女!』、『先生を殺したのもお前か!』――って」

    ミカ「私は……なにもしてないのに。

    ただ歩いてただけなのに、罵声を浴びせられて。

    ――ねえ、小鳥遊ホシノ。タダでさえ気分が最悪な時に、

    こんなこと言われてさ――」


    「『お前が生きてる限り、誰かが死ぬ!』」

    「『お前は歩く災厄だ! この世にいていい存在じゃない、化け物だ、魔女だ!』」

    「『お前のそばにいたあの三人も、いてはいけない、いや――生きてはいけない“ゴミ”だったんだ』」


    ミカ「……そんなこと、言われて――怒りを我慢できるわけ、ないでしょ?」


    その目には、怒りと悲しみと、そして――空っぽの虚無があった。


    #ブルーアーカイブ 魔女襲来 - 之江のイラスト - pixiv明らかに雰囲気が違うので別投稿https://twitter.com/PPPPRIVERwww.pixiv.net
  • 91二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 14:54:00

    ホルス「…………」

    ミカ「そういえば、あなたは……どうしてあんなところにいたの?」
    「最初、私は“逃げた連中の残党”かと思って、捕まえようとしたの。そしたら――あなたでしょ?」
    「ねえ――なにをしてたの?」
    「なにをしようとしてたの――小鳥遊ホシノ?」

    ホルス「――!」

    空気が急激に重くなった。
    ミカの声のトーンは変わらない。静かで、落ち着いていて、優しげですらあった。
    だがその瞳は――殺気と憎悪と、獣のような本能に満ちていた。
    風が止まり、音が消え、まるで時間が止まったかのように、
    ミカの感情だけがこの世界を支配していた。

    ミカ「そもそも……貴方、今までどこに行ってたの?アビドスで何かあったから先生は向かっていった……。でも、あの場から戻ってきたのは、貴方以外の生徒だけだった……」

    ミカの声が震えていた。それは怒りか、それとも――哀しみか。

  • 92二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 14:56:11

    ミカ「先生は……死んだ。死んだと思っていた……なのに……どうして貴方だけが生きてるの……?なんで……?」
    ミカの言葉が加速する。
    「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで……!?」

    ホルス「(あーこりゃ完全に地雷踏んだなぁ……)」と内心つぶやいた。

    ミカ「ねぇ……ホシノ……先生はどこ?生きてるの?死んだの?どうして、あんな場所にいたの……?」

    そして、空気が一変する。

    ミカ「――なんで、あいつと同じ気配がするの?」

    ホルス「……!」(背筋に氷柱が刺さる感覚)

    ミカ「その目……あぁ……そうだったんだ……やっぱり……あんたたちだったんだ……!」

    その瞬間、ミカの口元が吊り上がる。不気味な笑い声が響き始めた。

    「あは、あははははは、アハハハハハハハハハ!!!」

    ――そして

    ミカ「ユルサナイ」

    その一言を皮切りに、彼女の口から、止め処なく呪詛が溢れ出す

  • 93二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 14:57:56

    「ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ――!!!」

    ホルス「(あーーーー……完全に“落ちた”な、これ)」チラッ

    後ろでは、ヒナとアズサが無言で戦闘態勢をとっていた。殺気を察しているのだ。ホルスも銃を構えようとしたが――

    ホルス「……ん?」

    ホルスの視線がわずかに逸れた。何かに“気づいた”。
    そして、静かに銃を下ろすと――ニッと口角を上げた。

    ホルス「残念だけど、聖園ミカ。……戦う相手は、私たちじゃない。」

    ミカ「……?」

    ホルス「まだ、戦ってもいないけどね」

    「――選手交代だよ」

    ドォォォォン!!!

    轟音と共に、大地が割れた。風圧が弾け、土煙が舞い上がる。その間に、何かがものすごい勢いで降下し、二人の間に着地する。

    バキィィィッ!!!

    地面が抉れ、ひび割れが放射状に広がった。

  • 94二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 14:59:13

    そこに現れたのは――

    地下生活者「いけるか⁈ベリアル?」

    その声に応えるように、影の中から立ち上がる。

    アル「ええっ 当然よ!」

  • 95二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 21:01:58

    続きありがとうございます^_^
    どんな戦いになるか楽しみです^_^

  • 96二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 21:06:20

    正義はどこにも無く悪と悪のヘドロのような戦い

  • 97二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 21:08:12

    >>96良いだろ?キヴォトスの滅びは確定してるのだから、この物語はあくまで滅ぶまでの過程を楽しむ物語なんだ

  • 98二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 21:10:58

    >>97

    滅びの定義にもよるが青春物語の終わりという意味では最終段階になってるな

    爆発と炎だけで生徒が死ぬようになってるしただの銃弾で死ぬようになるのも時間の問題に見える

  • 99二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 00:59:21

    念のため保守。

  • 100二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 06:25:41

    テラー相手に、ミカが一矢報いるかどうか気になります。
    念のため保守。

  • 101二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 09:30:11

    保守

  • 102二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 17:53:11

    続き期待してます^_^
    保守^_^

  • 103二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 18:49:21

    突如、二人の間に“それ”は降り立った。
    ――アルと、地下生活者。
    アルは迷いなくミカを見据え、地下生活者はホルスの方へと歩を進めた

    地「――なんとかドンパチになる前に間に合ったか。……お前らには、やってもらわねばならんことがある。こんな場所で、道草を食われるわけにはいかん」

    言いながら、地下生活者はミカに目をやる。

    地「……それに、“こいつ”は試すにはちょうどいい。まったく、いい巡り合わせだ…」
    ホルス「……?」

    地下生活者は再びホルスの方へと視線を戻し、真剣な声で言い放つ。

    地「ホルス。あとの二人を連れて、指定された座標へ行け。書かれていた“あれ”を、予定通り実行に移すんだ。そろそろ、“奴ら”も気づき始めるかもしれん。時間は、そう多くは残されていない」

    地「今は“我々”が流れを握っている……だが、物語というのはいつだって気まぐれだ。油断すれば、“彼ら”へと傾きかねん。その芽を摘むには、やるべきことをさっさと済ませるんだ」

    ホ「……了解」

  • 104二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 18:51:58

    ホルスは静かに振り返り、後ろのヒナとアズサに向けて手を振った。

    ホ「――行くよ!」

    だが、ヒナはその場を離れようとしなかった。彼女の瞳は、今まさに狂気の淵にある聖園ミカを見つめている。

    ヒナ「……待って。いくらなんでも、あの状態のミカを一人には……」

    アル「――ヒナ」

    ヒナ「……!」

    アル「大丈夫よ」

    ?「ほんとに、大丈夫だから」

    地下生活者が軽く頷き、言葉を続ける。

    地「そういうことだ。目覚めの刻にある者へ、他者の干渉は一切許されぬ。ベリアルはいまそういう状態だ。」

    ヒナはもう一度、真剣な眼差しでアルを見つめた。

    ヒナ「……死んだら、殺しに行くわよ。陸八魔アル」

    アルは軽く笑って肩をすくめる。

    アル「ふふ、それじゃあ余計にしねないわね」

    そうして、ヒナ・アズサ・ホルスの三人は地響きのような足音を残して、その場を去っていった。
    三人が去っていくのを見届けた地下生活者は、ふと視線を隣に立つ少女へ向けた。

  • 105二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 18:53:25

    地「……ベリアル」

    アル「……」

    地「分かってると思うが、小生は手を出さんぞ」

    アルは一瞬だけ目を伏せ、そして無言で頷いた。


    地「お前が“神波”をキメるまではな……仮に、お前がここで殺されそうになっても――小生は助けん。見殺しにする」

    アル「……ふぅ、言ってくれるじゃない」

    淡くも真剣な気配を纏ったその声。
    ふざけたような口調の奥に、どこか決意のようなものがにじんでいた。
    アルは一歩、前に進む。
    目の前に立つのは、血に染まりし魔女――聖園ミカ。
    彼女は静かにアルを睨みつけていた。
    右目は金色の獣の光を放ち、左目からは血が涙のように垂れている。
    羽は裂け、服には返り血と泥。だがその姿は“壊れた神”のように凄絶な威圧感を放っていた。

  • 106二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 18:54:49

    ミカ「……あの外道と、陸八魔アル……なんで、あの二人がここにいるの?」

    ミカ「あなたも……アイツの“仲間”?先生を殺した連中の一人……?」

    その声は静かだった。だが、底が抜けていた。
    怒りや疑念のレベルではない。
    全てを吹き飛ばす、純然たる“敵意”だった。

    アル「……」

    静かにアルは構える。軽口も、皮肉もない。
    この瞬間の彼女は、真剣そのものだった。

    アル「……ええ。もしそうだったら…どうするのかしら?」

    ミカは、口元に笑みを浮かべる。
    それは――“狂気”だった。

    ミカ「なら……ユルサナイ」

    ピキィッ

    空間がきしんだ。
    殺気が吹き荒れ、周囲の空気が文字通り震えた。
    地面の破片が浮き上がり、空がひび割れるような錯覚さえ起こる。

    ミカ「ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ……」

    繰り返される“断罪”の言葉。
    まるでそれは、祈りでも呪いでもない、この世を否定する咆哮だった。

  • 107二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 00:33:17

    アルテラーにやられる可能性は高いけど、せっかくならヒナや地下生活者に一矢むくいるところも見てみたい気がします。
    念のため保守^_^

  • 108二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 09:37:34

    保守

  • 109二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 17:45:58

    続き待っています^_^
    保守^_^

  • 110二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 18:03:12

    バッ

    ミカは踏み出した地面に巨大な亀裂ができるほどの踏み込みをつけアルに殴りかかってきた。

    アル「ッーー!」

    アルは殺気と拳の軌道を読み必要最低限の動きで交わす。そして持っていた銃をミカに向け・・・

    バァンバァンバァン

    三発放った。

    ミカ「…」

    しかし銃弾を喰らってもあまり効果がないキヴォトス人…そのキヴォトス人の中でもトップレベルの肉体と神秘、実力を持つミカにとってダメージなどなかった。ミカの体には傷一つなく、アルの方を見ていた。すかさずミカは再び殴りかかろうとするが…

    バチンッ!

    ミカ「!」

    アルは横から軽い蹴りを入れたそれによりミカの視線が一瞬逸れ、胴体に隙が出来た

    アル「「胴体ががら空きね…今なら…行ける!」」

    アル「「神波!!」

    アルはミカの体に拳をぶつけにかかる。

  • 111二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 18:04:33

    アル「「決めなきゃ…!!」」

    グォン

    地「ーーーむっ!」

    ドォン

    アルの拳がミカの体に炸裂した…しかし…

    ミカ「…」

    ミカは一切の表情を見せず、わずかに後退すると、すぐさま銃口をアルに向けて引き金を引いた。アルは間一髪で身をかわし、すぐさま後方へ跳ねて距離を取った。

    アル「くっ……」

    唇を噛みながら、アルはわずかに後退した。
    額には汗。瞳には焦り
    “神波”は放たれず、彼女には何も通じていなかった。
    拳の痛みが、失敗の証のように脈打っていた。

  • 112二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 18:06:03

    その時。

    地「ベリアル」

    ふいに、地下生活者がアルの隣に立った。
    無言で手を上げると――

    パチン。

    乾いた音が響く。アルの頭を軽く叩いた。

    アル「ちょっ……なにするのよっ!?」

    思わず頭を押さえるアル。だが地下生活者はお構いなしに淡々と語りはじめる。

    地「焦っているな。ベリアル」

    アル「……!」

    地「神波を決めたいという想いはよくわかる。誰よりも、小生が分かっている。だが――その『焦り』こそが、今のお前を縛っている。」

    地下生活者の声は、妙に冷静で、妙に優しかった

    地「焦れば、狙いは狂う。反転の力も揺らぐ。心が乱れれば、神波は発動できない。“ただの力”に変わる」

    地「私はお前に助けないと告げた。目の前の“魔女”を早く倒さねばと、お前が思うのも分かる。だが、その“焦り”は、お前にはまだ――余る。」

    地下生活者は静かに、しかし力強く言った。

    地「焦るな。お前の時間は、まだ尽きていない」

  • 113二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 18:07:06

    そしてもう一度――

    パチン。

    今度は先ほどよりも、やや優しく。まるで儀式のように。

    ミカ「「……なんなの?これ……」」

    ミカは戸惑いを隠さず、微かに眉を寄せながら二人のやり取りをじっと見ていた。
    戦意は消えないが、その光景が奇妙に思えたのか、足を止めている。

    地「どうだ。雑念は消えたか?」

    アルはしばし沈黙し――ゆっくりと深く息を吸い込んだ。
    一瞬、空気が澄んだように感じられた。

    アル「……ええっ。澄み切ったわ」

    眼差しが変わっていた。
    怒りも焦りも、恐れも無い。
    あるのは、研ぎ澄まされた静謐な意志。
    アルは静かに前に進む。

  • 114二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 18:08:15

    (……神波)
    (打撃との僅かな誤差…“塵”の範囲内で、神秘と恐怖、あるいはその二つが交わる瞬間にだけ生じる――空間の歪み)
    (その威力は、常打の五倍以上。だがそれは、数値で測れるものではない)
    (“狙って出せる”などという話ではない。キヴォトスの歴史上、誰一人それを意図して成した者はいない…)
    (……小生も、未だかつて一度も成功したことはない)
    (だが――)
    (“神波”を知っている者と、知らぬ者とでは違う)
    (それを経験した者と、しなかった者の間には――)
    (神秘と恐怖の核心への距離において、天と地ほどの差がある)
    (その一撃に触れた者は、“神秘と恐怖の芯”を知る)
    (触れられなかった者は、その縁を彷徨い続ける)

  • 115二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 18:09:23

    アル「…」

    無音。
    アルの周囲から、空気の振動だけが静かに世界を撫でていた。

    ミカ(――すごい集中…!)

    目の前のアルから放たれる気配は、かつてのそれとはまるで違っていた。
    無駄も、濁りも、怒りすらも――もう、ない。
    あるのは一点。己の拳が届く“確信”。
    ミカは一歩退き、両脚をしっかりと構える。
    視線は一瞬も逸らさず、気配を読みきろうとする。

    バッ――

    その刹那、アルの足元から風が巻き上がった。
    それと同時に、地下生活者が口を開く。

    地「打撃との誤差、『塵』以下にて神秘と反転が衝突した瞬間――」
    地「空間が歪み、恐怖は黒く光る」

  • 116二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 18:10:24

    どぉおおん!!
    光が走る。
    闇に濁った爆風が、まるで光の裏側を暴くように広がる。
    世界が一瞬だけ、音も重力も忘れたような静寂に包まれた。

    ミカ「っ……!!」

    鋭く呻き、体が大きくのけ反る。
    その胸元には、まさに“重力の芯”とも言える拳がめり込んでいた。

    地「――成ったか」

    地下生活者は静かに目を細める。
    その表情は安堵でもなく、歓喜でもない。
    ただ――「観測者」としての確かな満足だけを湛えていた。

  • 117二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 23:50:37

    続きありがとうございます。
    一進一退の攻防でハラハラします^_^

  • 118二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 07:14:53

    保守

  • 119二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 13:31:27

    アル「…今のが、“神波”…?」

    アルはゆっくりと自分の両手を見つめた。震えも、違和感もない。ただ――自分の中で何かが決定的に「変わった」ことだけが、確かにわかっていた。

    アル「分からない……これ、本当に私の力…よね…?」

    地「恐怖の力を、“理解した”のだ」

    アル「ッ!」

    不意に背後からかけられた声――地下生活者。彼はゆっくりと前に歩み出し、視線を地面に落としながら語った。
    地「お前は今まで、“可能性”として恐怖を纏っていた。だが、それを本当の意味で“制御”したことは一度もなかった。」

    地「だが今、“神波”をキメたことで――お前は“恐怖”という武器を、己の一部として受け入れた」
    地「戦士として、数秒前の自分とは別次元に立っている。」

    少し間を置いて、優しくアルを見つめた

    地「Gratulationes, buddy」
      「おめでとう、相棒」

    地「お前は――“アウトロー”になれる」

  • 120二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 13:32:55

    一方――

    ミカ「……」

    ミカは、再び構えた。空気が一瞬にして凍る。

    ミカ(「陸八魔アルは、名は知っていたが…実力はそこまでだと認識していた…でも…」)
    ミカ(「いまの打撃は…私の身体に確かに届いた…それに、あの後ろのやつ…」)
    (「実力的に見れば、アルより“上”…」)

    ピシッ…と空気を裂く音がする。ミカの足が一歩、地を踏み鳴らす

    アル「まだ…動けるの⁈」

    地「動けるさ。あいつの体は、ただのキヴォトス人とは違う。肉体、神秘、…そのすべてが極まっている。最高クラスのヤツに、あの程度のダメージじゃ効かんさ」

    地「だが、効いてないわけじゃない。あの一撃は、確実にダメージは与えてる。そして…」

    地下生活者はアルの肩を軽く叩いた。

    地「“急所”を潰せば――ゲームセットだ」

    地「さぁ…」

    ニヤリと目を細め…

    地「ハードボイルドなことを――おっぱじめようか!!」

  • 121二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 13:34:04

    ザァア――ッと風が吹く。

    ミカ「……どうやら、あなたたちには――」

    ミカ「本気で戦わなくちゃいけないみたいね」

  • 122二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 19:15:10

    続き、ありがとうございます。
    アルが圧倒すると思いましたが、ミカも最強なのでどっちが勝つかわからなくて気になります^_^

  • 123二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 21:39:21

    あれ?このSS自体初めて読んでるはずなのにミカ戦でアルが登場したぐらいから既視感あるような...
    自分だけ?

  • 124二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 00:02:48

    保守

  • 125二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 07:40:54

    保守

  • 126二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 14:44:37

    保守

  • 127二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 18:14:20

    続きゆっくり待ってます保守^_^

  • 128二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 00:13:36

    いい感じに呪術とクロスしている気がします。
    この戦いの行方を見届けるために保守。

  • 12925/06/28(土) 02:28:54

    すみません昨日は忙しく更新できませんでした。本日 必ず更新いたします。

  • 130二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 09:21:53

    保守

  • 131二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 09:36:29

    >>129

    体調が悪いようでしたら.、ご自愛下さい^_^

    ゆっくりお待ちしております。

  • 132二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 15:10:56

    そうしてお互いが顔を見合わせた瞬間…

    地「ーーーッ!」
    アル「ハッ!!」

    🌌**ドオォオォォン!!!**🌌

    突如、空が割れたような咆哮とともに無数の隕石が空から襲来した。大気が灼け焦げ、轟音とともに地面を貫く。

    ズドォォンッ!! ゴガァアアン!! ドグシャアアアア!!

    地面は波のように盛り上がり、次々と巨大クレーターが出現。地面が消し飛んでいく。破片、砂塵、閃光、爆風――あらゆる災厄が一瞬にして辺りを飲み込んだ。

    しかし。

    その中で、アルと地下生活者の二人は全力で回避行動をしていた。
    岩を蹴り、着弾前の隕石を逆に足場にして、空中を踊るように回避する。
    隕石の間を縫うように、二人は大空へと舞い上がっていく。やがて――

    🌑**ズガァアアアアアアン!!**🌑

    爆発によって宙に弾かれた巨大な岩を足場に、ついに二人は同じ地点に並び立った。

  • 133二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 15:14:47

    アル「なんて攻撃範囲ッ!!」

    地「怯むな!!終わりはある!!見切れッ!!」

    **バッ!バッ!バッ!!**

    音が変わる。風切り音が二人の背後から聞こえてきた
    背中の翼を広げ、流星のように舞い、隕石を足場にしながらミカが接近していた

    バンッ!! バンッ!! バンバンバン!!

    背後からの銃撃の嵐が襲った。しかし二人は、空中でも俊敏に動きながら回避。

    アル「今よ!!」
    地「フンッ!!」

    💥**ズドォォンッ!!!**💥

    拳が同時に炸裂した。ミカはとっさにガードしたが、衝撃で体制を崩しながらしながら下へ落下する。

    ミカ「重いッ!!」

    (「さっきの黒く光る打撃とは違うけど…二人とも“素の殴打力”でここまで来るの⁈」)

    そのまま、二人は落下していくミカに追撃をかける。

  • 134二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 15:18:57

    アル「もっとタイミングを合わせてッ!!」

    地「承知!!」

    ミカ「させないッ!」

    バンッ!バンバンバン!!

    次の隕石へ飛ぼうとした二人の足場を狙ってミカが銃を撃ち足場を破壊した。

    だがただの破壊ではない――

    🌟**バシュゥウウン!!**🌟

    隕石が砕け散ると同時に、“光の粒子”になって霧散した。

    アル「足場がッ!!」

    地「「油断!!」」

    地「「――これだけの攻撃…実際の隕石を降らしているのかとおもっていた…」」

    地「しかし本物の隕石じゃないッ…全部、ヤツの“イメージ”で構成された超密度の神秘の攻撃か!? 流石魔女と呼ばれるだけある!!」

  • 135二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 15:21:27

    ミカは滑空しながら、不敵な笑みを浮かべていた。

    ミカ「じゃあ――これでもあげる♪」

    **ドオォン!!!!**

    直径5メートル超の**“特大の隕石”**が空を裂いて降ってきた。

    地「落下中に狙撃!?容赦ないなぁ!!」

    「だが!」

    アル・地下生活者「相棒!」

    👣**バチィイイン!!**👣

    二人は空中で互いの足を合わせ――

    💥**バアアアン!!!**💥
    超脚力で左右へ回避した。

    巨大隕石は二人の間をすれすれで通過し、地上へ衝突した。

    ミカ(「あれを躱すの⁈けど…なに…何なのこの感覚…?」)

    ミカは、不思議な感覚に囚われながらも、地面へと落ちていった二人の姿をじっと見つめていた。

  • 136二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 15:22:56

    ――一歩先に落下した二人は…。

    アル「いたたたたっ……っ! 無事……かしらっ⁈」

    アルは、落下の途中で木の葉や枝を突き破りながら、バサバサッと荒々しく地面へ着地していた。
    一方、その隣に着地した地下生活者はというと──

    地「問題ない。」

    木の枝に足を引っかけ、一回転してシュッと音を立てながら華麗に着地。

    どぉおおん!

    突如、耳をつんざく爆音が横から響く。視線を向ければ、ミカが地面へと激突着地していた。

    アル「ーーーっ⁈」

    一瞬反射的に身構えたアルだったが、そのままミカに向かって突進し、凄まじい銃撃戦が始まった。

  • 137二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 15:24:28

    バンッ! ガガガガガッ! ドゴォォン!!

    アル「「あれだけの……神秘の消費…!!」」

    バッ!!

    その瞬間、ミカの背後に地下生活者が現れる!

    地「「叩くなら――」」

    ブォンッ!!

    地「「今ッ!!」」

    放たれた回し蹴り。しかし――

    バシィィッ!!

    ミカは腕でその蹴りを受け止める。空気がピシッと割れるような衝撃。

    地「化け物がっ……!!」

    すぐさま跳ね退き、アルの隣に着地。

    しかし――

  • 138二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 15:25:34

    ヒュオオオオオオオン……!!

    再び空が唸る。上空から隕石のような神秘の奔流が二人に降り注ぐ!

    地「ッッーーー!!」
    アル「ツァ……!」

    ミカ「「……ナギちゃん。セイアちゃん。みんな……先生……。私は今、"こいつら"を殺せるよ。」」

    静かに、だが確実に迫る殺意。
    地下生活者とアルは、咄嗟に後方へと距離を取った。

    地「大丈夫か⁈」

    アル「無問題ッ!!!」

    地「重畳! ならば――!」

    地「小生の能力のもう一つを――解・禁・する!!」

  • 139二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 23:32:07

    続き、ありがとうございます。
    どの様に決着がつくか楽しみです^_^

  • 140二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 00:01:28

    保守

  • 141二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 07:26:02

    朝保守。

  • 14225/06/29(日) 12:06:09

    本日は夜に投稿いたします

  • 143二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 17:48:41

    >>142

    楽しみにしてます^_^

  • 14425/06/30(月) 00:18:49

    すみません 本日のように投稿したかったのですが 諸事情により今日はお休みさせていただきます。今日のお昼あたりには投稿します。

  • 145二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 01:39:59

    ご自愛下さいませ。
    ゆっくりお待ちしております。

  • 146二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 09:31:39

    保守

  • 147二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 15:15:06

    アル「えっ…もう一つあるの?」

    アルは横にいる地下生活者に声をかけた。

    地「だが、詳しく説明している暇はない!! だからお前に言えるのは、たった一つ!!」

    地「――止まるな!! 小生を信じろ!!」

    アル「了解!! ……でも、それなら二つよ!!」

    地「ふふん――」

    そう言うと、地下生活者は顎に手を当てて考え始めた。

  • 148二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 15:16:36

    地「“奴の手札”を整理しよう!」

    「《空から降る隕石》――これは恐らく、サイズも落下範囲もすべて奴が操作している。
    当然、サイズが大きければ威力も高くなる!!」
    「ただし、重力加速度は一定(約9.8m/s²)! つまり、落下速度はサイズに関係なく同じだ!!」

    「《身体能力》――奴の瞬発力、怪力、スピード……どれも超一級品。
    隕石を足場にし、背中の翼である程度の滞空も可能。だが、空を飛べるわけではない!」

    「《神秘を込めた銃撃》――威力も速度も、今までの奴らとは桁違い!
    一発でも当たれば相当のダメージだ。隕石並か、それ以上かもしれん…!!」
    「ただし、隕石攻撃と同時には多く撃てまい!」

    「《洞察力》――咄嗟に足場を撃ち抜く判断、パテル派のリーダー…
    とっさの判断力も戦略眼もある、切れ者と見て間違いない。」
    「混乱を狙うのもありだが、小細工抜きで攻めるのも手…!!」

    「……そして――」
    「小生の勘が告げている。まだ、何か隠し球がある!!」
    「いや、もしかすると――これらすべてブラフである可能性!!」

    「だが、どんな攻撃でも――発動させなければ意味はない!!
    不測の事態も想定したうえで・・・小生の*IQ68万の脳内SPUが導き出した答えは――」
    *自称です

    地「A guaranteed victory!!(約束された勝利)」

  • 149二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 15:17:36

    地「なぜなら、小生は一人じゃない――」
    地「相棒、お前がいるから!!」

    二人が同時に駆け出した、その瞬間――

    ヒュンッ!!

    上空から、何かが音を置き去りにして降ってきた。

    地下生活者「ん?」
    アル「へっ?」

    ドガァアアアアアン!!!

    大地が悲鳴を上げた。
    轟音とともに爆風が吹き荒れ、二人は吹き飛ばされそうになる。

    アル「おわあああああああっっ!!」
    地下生活者「マジかっ!?」

    今までの比ではない。――桁違いの速度の隕石が空から叩き落とされてきたのだ!

    ミカ「あはっ☆」

    まるで遊ぶように笑いながら、さらに銃撃も同時に仕掛けた。

    ドガァン! ゴゴゴゴッ! ズドォン!!

    嵐のように降り注ぐ隕石とミカからの銃撃。ターゲットは明らかに――地下生活者だ。

  • 150二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 15:18:56

    アル「ちょっと!?やりすぎよ!!」

    アルはすぐさま地下生活者の方へ走り出す――が。

    ミカ「行かせないよ☆」

    ヒュッ――と、ミカが目の前に立ちはだかり、銃撃を開始

    バンバンバン! ガガガッ!

    地面を削る銃弾、爆ぜる地面。

    地下生活者「くそっ、これマジでチートだろ!?」

    命を削るような回避を繰り返す地下生活者。
    だが――背後に迫るのは、極太サイズの隕石。
    逃げ場を塞がれる。

    アル「相棒っっ!!」

    咄嗟にアルは助けに向かおうとするが――

    ミカ「まずは…一人目♪」

    にやりと笑い、ミカが再び引き金に指をかける。
    ――その時だった。

  • 151二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 15:20:25

    カチッ

    金属音のような「何かの針が進んだ音」が響く。

    ドゴァァァァァァン!!!

    巨大な隕石が前後から地下生活者を挟み込むように衝突した――
    はず、だった。

    ミカ「がッ……あああっ!!」

    悲鳴を上げたのは――ミカだった。
    ミカの身体に、隕石が直撃していたのだ。

    アル「えっ!? な、なにが起きたの!?!?」

    混乱するアルが振り返ると――
    地下生活者が、静かにそこに立っていた。

    そして――

    アルの手に握られた銃の銃口が、彼の顔面にピッタリ向いていた。

    アル「なっ…っ!? ご、ごめん!?」

    慌てて銃を下げるアル。
    よろり…とミカが、重たい足取りで前に出る。

    ミカ「なるほど…シンプル…だけど厄介じゃんね……」

  • 152二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 15:21:26

    地下生活者「――察しがいいな。」

    地「今のが、小生のもう一つの能力。」

    地「《瞬移交位(しゅんいこうい)》」

    地「自分が過去にいた場所と、指定した相手の“現在位置”を入れ替える…“空間置換の術”だ。」

    地「瞬間移動と、交差する座標。発動条件は複雑だが――使いどころを見極めれば、この通りよ。」

  • 153二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 00:27:22

    保守

  • 154二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 07:24:01

    白熱の戦い、どう決着がつくか楽しみです^_^
    念のため保守^_^

  • 155二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 12:16:46

    念のため、昼保守。

  • 156二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 19:28:24

    アル「相棒!!」

    地「――しっ。」

    地下生活者は口元に指を立て、静かにアルを制した。

    地「…奴が対応する前に、終わらせるぞ。」

    二人は静かに、しかし確実にミカに向かって走り出す。

    地「ちなみに――」

    カチッ

    一瞬で、二人の位置が入れ替わる。

    地「一度見て、記憶した場所なら――」

    カチッ

    地「何度でも可能だ。」

    中央に浮かぶ「時計の眼」の針が回転し、空間が歪む音が響く。

    カチッ バキィ ドガァ ボゴォ カチッ ズガァン バキィッ!!

    ミカ「ぐはっ!!」

    連撃が止まらない。打撃、銃撃、そして移動――その全てが“視界の外”から突き刺さってくる。

  • 157二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 19:30:29

    ミカ「「二人の対格差…入れ替えの座標差が大きい…!!」」

    カチッ

    地「フッ!!」

    ドゴォ!!

    ミカ「ッく!!」

    ミカ「「私と入れ替わるのか…陸八魔と入れ替わるのか…!!」」
    ミカ「「針の音が鳴るたびに選択が発生する…二択の連続…処理が追いつかない!!」」

    アル「はあッッ!!」

    バァン! バァン!!

    地「ふッ!」

    ドシュ!!

    アルの銃弾、地下生活者の打撃、そして斬撃――四方八方から交互に襲いかかる!

    カチッ――ドガァア!!

    ミカの視界が、霞む。

  • 158二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 19:32:05

    ミカ「ッ…!!」
    ミカ「「マズい…この状態から――」」
    ミカ「「抜け出せない!!!」」

    カチッ…

    針の音が空間に響いた――。

    スッ――
    ミカの目の前に、再び現れるアルの姿。
    ミカ「!!(また“あれ”が来る!!)」

  • 159二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 19:33:26

    大預言者・クズノハの言葉

    「“神波”を連続して出すのが、凄いわけではない…」
    「出すなら連続、またはその日のうちじゃないと厳しいと考えておる…」
    「一度目はまぐれでも、実力でも、構わぬ。」
    「問題はその後だ。“神波”をキメると――」
    「達人やアスリートが言うところの“ゾーン”に入る…」
    「すべてが手の内にあるような感覚…自分中心に世界が回るような…」
    「妾か? 妾が出来るわけなかろう。知っておるだけじゃ。」

  • 160二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 19:34:35

    どごおおおおん!!!

    爆光と衝撃――

    アルの拳が、ミカを吹き飛ばす。

    地「相棒!!お前からは、いつだって“予感”がする!!」

    ミカ「ッ…ガハッ!!」

    口から血を吐き、体が崩れかけるが――
    隙を与えない。

    アル「まだッ!!」

    ドゴオオオン!! 
    再び、“神波”が炸裂する。

    アル「ッハァ!!!」

    バギイイイイイン!!!

    三発目が神波三連発でキマる

    地「三回連続…!?」

    ミカ「調子に、乗らないでッ!!」

  • 161二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 19:35:55

    ――その瞬間、ミカの背後には地下生活者。
    そして、目の前には――アル。

    ミカ「(…こいつ!いや、今警戒すべきなのは…)」

    カチッ――!!

    針の音…
    視界がグラッと揺れた瞬間――

    ミカ「陸八魔ーーー!!」

    ミカは反射的に後ろ――地下生活者に銃口を向けた。

    しかし――

    地「フッ…」

    ミカ「……変わって、ない⁈」

    地「針が回って、音が鳴ったからといって、術式が発動するとは限らない」

    地「――単純だけど、引っかかるものですよね?」

    地「(…!!あの時と同じ…何かが、覆る!!)」

    アル「ッーーーーー!!」

    ドガァァァァァァン!!!

  • 162二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 02:14:13

    3人ともかっこよくて、まひとvs東堂➕虎杖を思い出します。
    原作だとまひとは酷い最後でしたが、まひとポジションのこのミカの末路はどうなるかわからないですがミカには最後までキヴァトス最強格として戦い抜いて欲しいと思います。
    最後まで、楽しみにしてます^_^
    念のため保守。

  • 163二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 10:49:00

    保守

  • 164二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 10:59:40

    保守

  • 165二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 17:59:34

    夕方保守。

  • 166二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 18:05:52

    ヒュンヒュン

    上空から、ふたつの巨大な隕石が落ちてくる。

    アル「フッ!!」

    バァン!!

    鋭く引き絞られたトリガー。
    恐怖の力を籠めた銃弾が、隕石の中心を穿ち爆砕する。

    地「シャアッ!!」

    地下生活者は拳を構え、跳躍一閃――

    ドゴオオオン!! 

    そのままもう一方の隕石を叩き割る。

    だが――

    ミカが突進してくる
    銃弾を放ちつつ、地下生活者に接近。
    地下生活者は巧みに銃撃を回避しながら、腕を取り――

  • 167二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 18:07:20

    ブンッ!

    背負い投げをする

    だが、ミカは即座に体勢を立て直す。

    ドガッ バシィ!!

    地下生活者の蹴り二発も、ミカは冷静に受け止めていく。

    その周囲を、アルが回る。
    超至近距離から――

    バァンッ!!

    恐怖を込めた銃弾を撃つも防がれる。
    ミカは盛り上がった岩の上に飛び上がり、
    アルと地下生活者を見下ろす構えに入った。

    ミカ「……フッ」

    不敵に微笑む。そして指をクイクイと動かす――
    まるで「来い」とでも言うように。

    地「……」

    カチッ――!!

  • 168二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 18:08:45

    バッ!!

    瞬間、地下生活者とミカの位置が入れ替わる。
    ――その瞬間、

    地「チッ!!」

    ドガガガガガガガガ!!

    上空から、無数の超高速隕石が降り注ぐ。入れ替わり直後、ミカがいた位置にいた地下生活者が襲われる

    だが――その直後

    ミカ「フンッ!!」

    彼女もまた、入れ替わったその場で構えていたアルに狙いを定め、

    アル「ッ――!!」

    お互いに――
    神秘と恐怖を込めた銃撃を同時発射

    ドゴオオオン!!!

    爆光と轟音。火花が激突する――

  • 169二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 18:10:37

    アル「入れ替え直後に即攻撃…!!チカの術式に慣れてきてる…!!」

    地「だが、“神波”のラッシュは確実に効いてる!!倒せるさ!!小生たちなら!!」

    ミカ「……ここまで手傷を負ったのは…あの時以来だよ。」

    髪を揺らしながら、彼女は空を見上げ――

    ミカ「それでも――」

    「私は絶対に、負けるわけにはいかない!!」

    ズアアアアアアアアアアッ!!

    空が、閃光で満ちた。

    アル・地「ッ!!」

    ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!

    再び現れた、超高速の隕石群 前方から押し寄せ、二人を貫こうとする

  • 170二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 18:11:41

    カチッ――!!

    パッ!!

    瞬間、アルとミカの位置が入れ替わる

    ミカ「なっ…!? 自分以外の者同士でも――入れ替え可能なの?!」
    その刹那、アルは叫ぶ。

    アル「チカッ!!!」

    だが――

    地下生活者は心の中で微笑んでいた。

    (心配ご無用ですよ、相棒。
    この肉体と、小生が制御する恐怖の力なら――
    この程度の隕石攻撃、弾いて見せますよ!!)

    ……しかし、次の瞬間。

    ???「クックック…本当に、そうですか?」

    ――突如、**“黒服”**が脳内に現れる。

  • 171二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 18:13:32

    地「なっ…!? ――黒服ッ!?」

    黒服「ミカさんの攻撃、思い出してください、‘“どのような性質”を持っていたか…分かってるでしょう?」

    地「ああ…もちろん。今、小生に打ち込まれようとしている高速隕石。だからこうして、力で受け止めて――」

    黒服「――クックック。それ、本当に大丈夫なんですかね?」

    にやりと、黒服が嗤う。

    黒服「思い出しませんか?ミカさんが以前、隕石を“狙撃一発”で粉砕した場面を」

    地「!!」

    一瞬で脳裏に蘇る――狙撃された足場の隕石が、簡単に砕けたシーン。

    地「自分の神秘で生成した物だからか…?だが、それだけじゃ説明がつかない…!」

    黒服「そうです。相手は“表”の状態。つまり――“純粋な神秘”の力によって生成されたものです」
    「なら、最もあり得る性質は、なんでしょうかね…?」

    地下生活者が――パチンと、指を鳴らす。脳裏に、答えが閃く。

    (神秘には、神秘で対抗する…!!)

    その思考、わずか0.01秒。
    黒服との脳内問答の末に――地下生活者は全てを悟った。

  • 172二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 18:15:34

    ドガガガガガガガガ!!!!!

    上空から、凶悪な隕石の嵐が二人に降り注ぐ。

    ミカ「……!!」

    そして、地下生活者――

    地「……フッ!!」

    腕をクロスさせ、身構えたその瞬間。
    恐怖の力を――“神秘”に変換する。

    ゴオオオオオオオオ!!!

    隕石が次々と命中するも、爆発の中から、地下生活者の影が立ち尽くしている。
    その姿に――ミカの目が見開かれる。

    ミカ「直前で“力”を切り替えた……!? 気づいたの!? あの攻撃が――**“守れば守るほど、ダメージが大きくなる”仕掛けだったってこと‥‥受け流さず、真っ向から受けようとすればするほど――**“力を喰う”設計だったのに……!!」

  • 173二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 23:02:55

    保守

  • 174二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 02:53:42

    保守

  • 175二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 07:51:45

    最後まで見たいので保守^_^

  • 176二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 17:06:39

    パッ パッ――

    地下生活者は服についた埃を払う。

    地「どこかバカにした言い方とあの笑い声…気に食わんが、役に立つものだな。今度会った時には、手土産でも渡してやる…か」

    ミカ「クッ…!!」

    バッ!!

    アルが銃を抜き、横から牽制射撃。

    バンッ バンッ!!

    ミカの目線がアルに逸れた瞬間――

    地「ホレッ」

    ズバッ!!

    ミカ「ガッ!!」

    飛ぶような斬撃がミカの背を裂く。斜めに大きく切られた傷から、鮮血が飛ぶ。

  • 177二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 17:08:57

    地(聖園ミカよ――)

    (気づいているか? あの時の小生の発言は言葉足らずだったと、気づいたはずだ)
    (だがな――お前には、もう一つ考えねばならないことがある)
    (小生の“瞬移交位”の発動条件について、だ!!)
    (入れ替え可能なのは――生物だけではない)
    (答えは明白だ。“一定以上の力を持ったもの”…つまり、神秘を帯びた存在や兵器も対象ということ!!)
    (そして――気づいているか、聖園ミカ?)
    (我々は“あの場所”に戻ってきている。初めてお前と対峙した、あの場所に。そこには――あるモノがある)

  • 178二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 17:10:05

    カチッ

    アルと“何か”が入れ替わり、地下生活者が手にしたそれは――

    ミカ「…それは」

    地「フッ…」

    ー少し前 

    アズサ『……これで繋がってるか?』

    地『ん? アズラ…いや、アズサか? どうした?』

    テレパシーで連絡してきたアズサが続ける。

    アズサ『“ヘイローを破壊する爆弾”を仕込んでおいた。近くの倒れて気絶してる生徒の下だ。
    効くかは分からないが、一応伝えておく』

  • 179二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 17:11:53

    パッ

    アル「⁈」

    (私は――何と入れ替わったの⁈)

    気づけば、アルは爆弾と入れ替わって気絶した生徒の横にいた。

    地「フンッ!!」

    一瞬で間合いを詰めた地下生活者が、ミカの腹部に爆弾を押し当てる

    ミカ「ッ!?」

    即座に銃口を向け引き金を引こうとするミカだが――

    カチッ!!

    パッ!!

    その瞬間、地下生活者の姿が消え――

    ミカ「っ!!」

    入れ替わった先は、倒れていた生徒自身だった。気絶していても、“神秘”は微弱ながら残っている。
    地下生活者は、最初から保険としてその生徒の側に立っていたのだ。

    ボガアアアアアアアアン!!!!!!

    あたり一帯が、凄まじい爆風と閃光に飲み込まれる。

  • 180二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 17:12:55

    アル「!!」

    凄まじい爆音と黒煙が立ち上る。

    その瞬間――

    地「……ヘイローを破壊する爆弾を、奴に使った」

    静かに、横に現れた地下生活者が言う。

    アル「ヘイローを破壊する……爆弾?」

    地「ああ。フランシスが開発した――
    いや、お前はまだ会ったことはなかったか。
    とにかく、奴が作った特殊な爆弾だ。
    “キヴォトス人すら殺せる”ように設計された」

    「加えて小生の神秘も込めた。
    …正直、死んでる可能性の方が高い」

    「……だが、“万が一”もある。行くぞ」

    アル「……ええ、分かったわ」

  • 181二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 17:13:58

    現場に到着すると、周囲は瓦礫一面の更地。爆発の凄まじさを物語っていた。

    そして――

    アル・地下「!!」

    ドガガガガガガガガ!!!!!

    またしても、例の隕石攻撃が空から降り注ぐ。
    寸前で回避した二人が目を凝らすと――
    そこにいたのは、血まみれで、今にも倒れそうなミカだった。

    地「……フランシスの爆弾に、小生の力を上乗せしても仕留めきれんとは……!!」

  • 182二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 22:52:07

    ミカさんは最強ですね!冗談抜きにテラー抜きでは個人的に最強格だと思うミカがここまで活躍できていて嬉しいです^_^
    決着の時は近いと思いますが、どのように決着がつくか楽しみです♪
    このままボロボロのまま戦い抜くか?それともテラーになるか?その先の崇高まで至るか?
    どちらにしろ、最後までこの戦い楽しみにしてます^_^

  • 183二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 04:59:45

    保守

  • 184二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 07:38:09

    朝保守。

  • 185二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 16:33:30

    保守

  • 186二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 20:55:18

    ほっしゅ

  • 187二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 00:26:17

    ゆっくりお待ちしております^_^
    念のために保守^_^

  • 188二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 03:13:16

    お忙しいようであれば、無理をせずご自愛くださいませ。
    ゆっくり続きをお待ちしております。

  • 18925/07/05(土) 08:07:19

    昨日は投稿できなくて大変申し訳ございません。本日はお昼あたりに投稿いたします

  • 190二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 12:47:30

    楽しみにしてます^_^
    念のため保守。

スレッドは7/5 22:47頃に落ちます

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