- 1スレ主25/06/12(木) 01:48:55
- 2スレ主25/06/12(木) 01:50:08
どっちが♀でも固定してないのでユゴバズ♀でもバズユゴ♀でもOK
実はスレ主もネタをあげたりしてる。
ネタを調理してくれる人々に感謝!
長文ss多くて美味しい😋
ご注文いただいたのでユゴバズ♀バズユゴ♀をスレタイにトッピングしました!ご注文ありがとうございます。 - 3二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 02:00:16
たておつ
- 4二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 02:03:23
加速いるかな?
- 5二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 02:22:02
このレスは削除されています
- 6二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 02:23:24
たておつ
前スレ、ユゴバズ♀ バズユゴ♀どちらもそれぞれ息子も娘も派生して楽しかった - 7二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 02:34:35
じゃあネタに
ユゴ♀で叔父さんにはお触りぐらいだったけどバズと暮らすようになり、街に買い出しに行く事なってその時初めて自分の容姿が人よりも整っていて異性から見て自分が狙われやすい事を知る。
叔父さんにされてたことの意味も理解していてまだ小さいからお触りで済んでたのに気が付いて自分は弱いから身を守れない→ならば初めてはバズがいいって思ってユゴ♀から誘う。
バズはそこら辺はお子様で戸惑ってるけど毎日ユゴ♀が迫ったりなでなでしてる内に出来るようになる。
ユゴ♀も他の男にされるくらいならの意識が本格的にバズと夫婦になりたいと思えるようになって生理も来るようになった。
で陛下のお迎え…からの妊娠発覚でバズはきっと入団するからその時にこの子を見せればきっとバズも受け入れて娶ってくれると思って産んだら自分そっくりで受け付けなくなり育てられずに乳母に任せてしまう。
バズが入団するとユゴ♀は自分の手で育てない罪悪感から子供の存在を教えずバズもスルー。
バズはバズで乳母に育てられてる子供を見て察してしまいユゴ♀へ距離をとってしまい子供とは交流有り。
子供はユゴ♀が母だと知らずバズが父とも知らずに成長。
バズに初恋で幼児の頃から知ってるのでと言って父であるのは伏せて振る。
ユゴ♀はそれを見て自分がバズに振られたと錯覚する。
正気が薄れたユゴ♀は身体の関係から入ったのでユゴ♀はバズを手に入れる為に夜這い
とここまで考えたけどこの先無理 - 8二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 02:35:56
- 9二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 02:45:53
バズ♀の子供がハッシュの生き写しだったらもうちょっと状況がマシにならんかな
- 10二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 03:10:06
前スレでバズ♀息子(ファルケ)の話投下した者ですが後日談的にネタを一つ
ファルケはユーゴーの生き写しの容姿 ただ髪の色がほんの少し赤みがかってる
「城も領地もなくなったから、ファルケが受け継いでいけるものは何もない。あるとすればブラックっていう名前だけだ。だからお前はファルケを第一代として新しいブラック家を自分の力で構えろ」と教えていた
子供の性別が男の場合「ブラック家を再興させること」がより上位になるので、とにかく息子を生かさないくてはいけないのでなりふり構ってはいられない
このバズ♀は結構したたかで、900年陛下が就寝中は公私共にユーゴーを支えてる
一時的にしろ安定的な内縁関係に入り息子ファルケの情操教育的にも悪くはなかった
ユーゴーのベッドで堂々と裸で書類仕事とかしてるのをお付きの人たちにも目撃されて「バズビー様は最高位のミストレス(公妾)である」なんて扱いくらいされて平気だったかもしれない
バズ♀の復讐心とユーゴーとの勝負をつけたい気持ちは変わらないけど、ファルケはなくていい、自分にもし何かあったら帝国を出て現世へ行って一人で生きていけるように手を尽くして育ててきたので、
ファルケは千年血戦後は数百年ぶりに現世に帰り顔とスタイルの良さを活かして若いうちに荒稼ぎ
好みの女性を聞かれ
「私と、私のお母様と一緒に暮らしてくださる美しい方。赤毛ならなおよろしい」と公言
世の女性を絶句させるが、家柄の良いヤンキー気質の赤毛美女と恋をして結婚しさっさと引退
安く売り出されてた古城を買って修理し嫁と子と暮らす
城ではファルケの「お母様」がスローライフしてるけどなぜか彼そっくりな金髪の美青年が一緒
ファルケいわく「お母様の幼馴染で大切な人だそうです」
戦後になってようやく両親の経緯のあれこれを知り、理解はしないけど事実を受け入れる
「ファルケ・ブラック」を公に名乗れるようになって以降のブラック家の当主は自分と認識してるので
バズ♀はもちろん、戦後処理で死神側に拘束されていたユーゴーの身元引受人もみずから申し出て引き受け、隠遁生活の世話をしてる
陛下のことも「継がせる物も息子も結局は持てなかった存在」と割と同情的で個人的に弔ってるあげてるし、京楽さんとはホットライン繋いでるし、生き残りの滅却師たちの相談役にもなってる
ブラック家もちゃんと再興し割とよくできた息子になってる - 11二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 03:17:18
- 12二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 08:12:05
- 13二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 09:59:07
バズ♀も完璧な母親ではないし難儀な性格してるし、結構面倒くさい思考をしてると思うんだ
娘なら完全な自分の完全庇護下に置いて復讐だの憎しみだのを引き継がせてしまいそうだけど
息子なら「ブラック家を再興せよ」「そのためならお前は復讐などしなくていい」と教え、そうすると
少年時は訳もわからず陛下もユーゴーも嫌っているけど、物事がわかるにつれ見識がフラットになる
「騎士団長は見えないところでお母さんを守ってる」「お母さんだって悪い所がある」になれる
復讐しなくていい、憎まなくていい、この姿勢でしつけと教育を続けてたらメンタルは母譲りなので
「組織のトップやっていける男」になり、理性でユーゴーや陛下のことを受け入れられそうだと思ってる
マザコンだけど
- 14二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 12:13:46
前スレの最後の方の息子の名前が出て無いやつも面白かったけどあれ毒抜け切ってない
- 15二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 16:03:05
息子がマザコンになるのはわかる。だってユーゴーの血を引いてかつ愛情深く育ててくれるんだったらマザコンにもなるよね?ってみんな思う
- 16二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 19:05:30
ちょっと変わり種かも知れないけどユゴ♀で自分にそっくりだからこそバズの子供であることに価値を見出すユーゴーってアリかな?
あくまでバズの子供として愛しているけど、自分と血が繋がっている事でそっくりでもバズとの繋がりの証明として感じれるならと慈しめるユーゴーはあの御尊顔なら美しいと思う。 - 17二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 19:06:40
生き残ったルートでもバズ♀のこと独占しようとする父と息子が喧嘩するのかな
父子そっくりで外見年齢がほぼ同じなものだから、はたから見たら女を巡った一卵性双生児の争い - 18二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 19:08:28
- 19二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 20:01:50
- 20二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 20:53:01
- 21二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 21:46:15
>>20ありがとうございます。楽しみにしてます😊
- 22二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 22:41:47
ポテトは親になるならまずはメンタルどうにかしろ!医者に掛かれ!!と言いたくなる
今のお前が親になっても悲劇しか生まん… - 23二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 22:45:05
カッコいい
- 24二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 23:40:00
バズママ死んでる時点で抜け切る訳ないから
- 25二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 00:23:33
- 26二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 00:51:41
このスレは優れたss料理人が多いスレの模様
- 27二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 07:57:35
ユーゴ♀の自分に対する態度がおかしいのは昔父に捨てられたせいだと思い、まだ見ぬ父を恨んでいた娘だが自分にも分け隔てなく接してくれるバズを慕っていて「こんな人が父親だった良かったのに」と薄ら思っていた。後に慕っていたバズが実父であることが判明し、どちからといえば母が父を捨て、対話も拒み続けていた事を知りアイデンティティが揺らぐ回。
- 28二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 12:20:25
ユゴバズ♀の息子のメンタルタフガイ、ファルケ・ブラックとパパユーゴーの話できた
石田くんってとても頼りがいのあるお医者さんになると思うのでいざ登場
息子がしっかりしてるしバズ♀がいてくれるのできっとメンタルも安定していくとはず
テレグラフがうまく使えないので連投します。長いのでご挨拶申し上げます お覚悟を
ファルケ・ブラック 赤みがかった金髪のユーゴーと瓜二つな青年 cv梅原 - 29二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 12:21:46
彼が城どころか周辺のコミューンを含めてたったの10ユーロで買ったことは日本でも大きな話題となったことである。石田雨竜もその記事を目にしていた。「成り上がり芸能人のお遊び」と揶揄され批判の的になっていた。しかし石田は思う。自分のスキルを最大限活かして自分の力で稼いだ金くらい自由に使わせてやれと。本人も言っている、あらかた稼いだから金はもういらないと。
そのコミューンは広い丘陵地帯にある。一部の商店以外はさびれていて、その国の公式登録によれば住人たったの6人であるという。だからこそ事実上無料で城も放棄された町も手に入れることができたのだとファルケ・ブラックは石田に打ち明けていた。こういう話は彼は死神たちにはしないらしい。あくまで滅却師であるあなただから話すことができますと、いつも前置きして一人語りのように語る。待ち合わせは石田の勤務する病院近くのスターバックスと決まっている。彼がいつもスターをシュテルンと誤って発音してしまうのを聞くのにも慣れてしまった。
第一に城主として城を修理しながら年の半分はそこに住むこと。
第二に周辺の農場から積極的に食料を仕入れて積極的に消費すること。
第三に景観及び周辺の自然を保全し自然エネルギーを利用すること
ほかにももろもろあるが、それらを条件に彼はその国の国籍を正式に取得することとなった。石田は新しいパスポートを見せてもらっている。彼の両親もすでに国籍を取得しその城に住んでいる。
城はもちろんただの城。母バズビーの故郷なわけではむろんない。それは千年前に朽ちて消え果て思い出の底にあるのだとファルケは語る。
だが母バズビーの生まれた“西”の淵にはこれ幸いに、“死んでゆく町”などとと評されながらも誰かがいつかは戻るのではと期待を持たれる城が売り買いされている。石田のような東の者たちから見てすればその姿はおとぎ話にたずむ城そのもの。古城と町が風雨にさらされ一体となりながら誰かの帰りを待っている。ファルケはその一つを手に入れた。
そこは祈りを求めて旅する人々にパンとワインを供していた黙想の街でありかつては騎士の国である。人々の祈りと祝福が幾重に重なり正しき御魂に満ち満ちている。滅却師の致死毒となるホロウは清められたものは必ず避ける。だからファルケはそこを手に入れた。 - 30二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 12:23:59
彼は母の家系の血の意味を知った気がすると言っている。
「お母様の生まれた国は死の向こうに安らぎのないことを受け入れて生きていた滅却師たちの国でした。だからこそ陛下は許さなかった。陛下は“死”を何よりも厭うておいででしたから」
帝国は一枚岩ではかった話を石田は実はバズビーからも聞かされている。
「死の訪れない境遇を嘆く者を俺は知っていた。俺はそれから目を背けていた」
ファルケはコミューンに帝国民のいくらか移住させる。帝国の中でもとりわけ彼の母のようにユーハバッハに国を焼かれた「西の国生まれ」をすべて受け入れる予定である。数はわずか数百。しかし共同体を作るのには十分だ。いずれ純血の滅却師は消えねばならぬというのは家の教えだった。
「百年間は国から税金の控除を受けられることが定まっていますが、私の代で手を打っておきたいのです。お母様も手伝ってくれるというので心配はしていませんが」
彼を端的に表現するとすれば「世界で最も美しい男性スーパーモデル」ただそれ一言である。美しいことを至上とする世界に一人で飛び込んで行って、あの少女と少年のあわいの微細な時期をあっという間に過ごし、父親と同じ容姿に長じたときには世界の頂点に君臨していた。
帝国で過ごした年月を考えると現世の年齢にあてはめることは難しい。便宜上ファルケは15歳でデビューした。翌年には世界で最も美しいティーンエイジャーと呼ばれた。それからほんの3年で世界で最も美しいと讃えられる男となり、今や若きビリオネアだ。本人によれば「素材とやる気と根気と努力と素直さと謙虚さがあれば」いくらでも金を手に入れられる世界だったという。つい先日現役を引退すると表明した。
「どのような女性がお好みですか?」
不躾な質問に対してファルケは穏やかに答えて世の女性を沈黙させた。
「私と、私のお母様と一緒に暮らしてくださる美しい方。赤毛ならなおよろしいですね」
つまり彼は母と住むためにあの城を買った。
近く結婚を予定している恋人は燃えるような赤毛の女性だ。その国でも屈指の名家の令嬢でなかなかの美女だがとにかく大変な気の強さで悪名高いスノーボードのオリンピアン。彼の一目惚れだ。彼女と「お母様」はフライフィッシングで意気投合した。赤毛に彼は思い入れがある。彼の母の家系はみな炎のような赤毛。受け継げなかったこと非常に残念に思っていた。 - 31二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 12:26:13
「ブラック家の男はみな純粋に赤毛なのですが」
珍しく沈んだ声で石田になんとはなしに語ったことがある。
「私は父に似てしまったのです。陛下からそのことを責められたことがあります。なぜお前はブラックの古い血を受け継がなかったのかと。陛下は不死をお望みでしたのに、その一方で死んでいく家系の者をそばに置きたがる変なお方でした」
責められたことを両親には話さなかった。ことに父には知られたくなかった。不全ゆえに愛されていた父を否定された気がしたからだ。それ以来は父を積極的に憎まなくなったという。ただ母の愛を享受することに盲目的だったという。
ファルケ・ブラックは石田にとってあの戦争の最大の因縁となった男の実の息子である。それを知った時、共に戦った黒崎一護たちは驚いていた。「あの子の顔どうやったらあれになるんだ? いや確かにどっちも綺麗だけど顔違いすぎるだろ」
今や彼は髪の色をのぞけば父と瓜二つ、髪の長さまで同じだ。とあるポスターの撮影契約上何年かは髪を切ることができないでいる。最近ますます父親に似てきた彼を眺めると、あの戦いは実は自分の夢か妄想でしかなかったのではないかという気がする。
影の帝国の生き残りはさほど多くない。王だった男は霊王宮に封じられ、親衛隊はじめ星章文字を付与された騎士のほとんどは命を散らした。騎士団最高位にして皇帝補佐であった男は最後に石田にこう告げて敗北の道を行った。
「お前は友を助けに行くべきだ……私に傷を移していけ」
その後のことは石田はあらまししか知らず知ろうともしなかった。ただハッシュヴァルトが倒れたその場にやや赤みがかった金髪の少女……実際には少年だったファルケが駆け寄ってトリアージを行った話は聞かされた。時に命の選別に関わる仕事にたずさわる身となった今ではその判断との行動力にただ感嘆するばかりだ。
ファルケは騎士団の中ではそれほど重んじられてはいなかった。遠くから姿を見たことはあってもあの戦いの間は言葉を交わしたことは一度もない。滅却師として突出する力もなかったので衛生部門を志望し血戦当時は衛生軍曹として小隊を預かっており、現世の救急救命士に相当する知識と技術がある。医務官を希望した時期もあるがそのことがなぜかユーハバッハの不興を買ったという。 - 32二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 12:28:56
待ち合わせぴったりに彼はやってきた。店内に一斉にわっと歓声が上がる。スマホを向けてカメラを使い出す人がいる。彼は慣れているらしく軽く会釈してさっさと飲み物を買いテーブルについた。
「お久しぶりです石田先生」
「久しぶりだね。その、でも先生と呼ばれるのは恥ずかしいからやめてくれないか」
「何をおっしゃいます。あなたが私の知る中で最も医師らしい医師ですよ」
因縁の男と全く同じ姿全く同じ声をしているが、目の前の彼に対してはなんのこだわりを持っていない。
あの美しい男は終始陰鬱で残虐だったがファルケにはそうではない。
言動は常にきっぱりと明朗で表情は明るく豊かだ。
それに彼はよく笑う。ファルケが声を立てて笑うのを初めて見た時、飲んでいたコーヒーを吹き出した。
「元気そうでよかった。尸魂界へ行くなんて随分久しぶりなんじゃないのか?」
「二年ぶりです。その際はお世話になりました。なんとしても京楽総隊長のご理解を頂こうと意気込んでしまってずいぶん失礼な態度をとってしまいましたし。お礼を言う間もなく離日してしまって申し訳ありませんでした」
「気にしないでくれ。身勝手な心配だったんだ。ホットラインを繋ぎたいだなんて言い出すなんて思わなかったから。京楽さんはなんというか、話の通じる人ではあるけど決して一筋縄ではいかない人のように見えるものだから心配になってしまって、つい僕から口を挟んでしまった」
「結局システム上城の基盤に組み込んでしまうのが一番手っ取り早いだろうと涅さんが助言してくださったのでそのようにしました。とても便利ですよ」
「え? は? くろつちさん……クロツチサン!?」
「ええ、12番隊の涅隊長。ご存知でしょう? いつも化粧されてる隊長さん。今後どんな生活になるにしても常に私と密にしておくのが必須だとおっしゃってくださったので総隊長も“そうだよねえ”って……って、大丈夫ですか、石田先生?」
石田はコールドブリュ、ファルケはカモミールティーである。
「いや、大丈夫、む、むせただけ……いやその、君は12番隊の隊長と親しいのか?」
「親しいと言うか、まあ、お話しする機会がどうしても多くなるので交流は多いですね」
「実験させてくれとか解剖させてくれとか言われていないか?」
「言われました。“古き純血の子とは素晴らしい”とか。かれこれ五年前」
「言われたのか!?」 - 33二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 12:30:20
「もちろんお断りしましたよ。その代わり私が所属していた衛生班に残っていた全ての情報をお渡ししました。血液サンプルもありましたのでそれもすべて。隠したところで見つかったら引き渡さなければなりません。そうなる前にこちらから申し出た方が良い切り札になるでしょうし実際そうなりました。涅さんは今後は医療上の情報はこちらにも共有してくださるそうです」
「信頼して大丈夫なのか」
「助力を願うほかありません。今後はおそらくすべての帝国民が遅かれ早かれ老いて死んでいきます。その時を安らかに迎えるためにはおそらく涅さんや4番隊のお力が必要になります、確実に」
祖父から自身まで3代、現世で暮らしていた石田家と帝国の臣民たちでは確かに死の捉え方が違うだろうとは確かに思う。彼らが「死」を恐れているのには根源的なものだ。帝国は千年の歴史がある。そして最古参の者たちは死を迎えることもなくほとんど老いることもなく若さを保ったままだった。彼の両親であるハッシュヴァルトとバズビーはまさにその顕たる存在で、現世で緩やかながら成長した息子の方が両親の外見年齢に先にたどり着いてしまったのだ。
「穏やかな最後を迎えられるのならそれでいいという者はとても多いのです。死の先のあてのなさを心配するより生きていること自体を大切にしたい、でもそのようなことは陛下にとても申し上げられなかったという声が私のもとに届いています。それでも彼らは本当は私ではなく陛下や父を頼りたいのですよ」
ファルケはそういうことを語る時さえひたすらに穏やかである。
冷貌である父に比べるとこの息子は生き生きと血が通っている。
共に何か語り合えたら楽しいだろうと思わせる親しみやすさがある。彼の父は星十字騎士団最高位というのにふさわしく、まさしく星の光のような男だった。闇夜の中でも雲間でもただひたすらに輝く冷たい星々の煌めきそのものの男だった。だがファルケは違う。
帝国の生き残りたちは主に重霊地である現世日本各所に移り住み、これといった罪もなく害もないと判断された者は、浦原喜助によって「その外貌から思い起こされる国籍の出身者」という偽造戸籍を与えられて一般人の中に混じっていった。ファルケが差し出してきた彼ら全員の血液サンプルは涅マユリの手で管理保存され、技術開発局を介して浦原喜助と双方で情報を共有している。 - 34二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 12:33:07
生存したユーグラム・ハッシュヴァルトは軍の最高責任者として死こそ免れたが、戦後処理のため中央四十六室に数年間拘束された。そして二年前に解放された。むろん条件がある。
陛下ことユーハバッハから譲与された力を死神側の手で封印すること。
そして生涯を身元保証人の監視のもとで過ごすこと。
いずれくる死を受け入れさせること。
この条件を提示された時ファルケはその場で呑んだ。
むしろ条件を提示した京楽春水のほうが戸惑っていた。
この時点で彼はすでに母の身元保証人となっているのだ。すでに千年を帝国で生きているとはいえ今や止まっていた時間が動き出している。これからは限られた時間を生きることになる。現世年齢にしてせいぜい20歳になるかならないかの彼にすべてを負わせてよいものなのか。
「お母様に千年養ってもらってましたよ。これから数十年お母様を養ったところで大したことはありません。私たちどうせ百年経たずに死ぬ身じゃありませんか。父のことはお母様のお話し相手としてお引き受けします」
京楽は絶句したらしい。涅だけが鼻で笑っていたという。
ハッシュヴァルトは抑留中に精神的なダメージで健康を害していた。バズビーとの一切の連絡が遮断されたことがいっそう彼を病ませた。その命が無事だと聞かされても初めは信じようとしなかった。なにしろ切り伏せたのは彼自身だ。その後数時間の記憶は彼には残っておらず、その部分で何があったのか聞き出すために涅と浦原まで動員して薬剤治療を行なったが功を奏さなかった。状態が改善されたのは四十六室の許可が降りてバズビーと書簡のやり取りを許されてからのことだ。検閲で引っかかったのですぐさまファルケが呼び出された。コレクションのシーズンが外れていなかったのは幸運としか言いようがない。京楽もすまなさそうだった。
「ファルケくんごめんね、忙しいのに」
「手紙が検閲に引っかかったって本当なんでしょうか。いまさらお母様がこちらに物騒なことを書くとは思えないのですが」
「いやね、読めなくて、字が。古語の解読班も控えているんだけど読めないの、字が」
手紙は短いものだった。おそらく挨拶文と本文、そしてバズビー本人の署名。だが文字が特殊で尸魂界の識者が百人集まって頭を捻っても解読することができなかった。京楽から母が書いたという手紙を見せられてファルケは呆れた顔をした。 - 35二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 12:35:24
すなわちこれはブラック家の者にのみ伝わる秘密文字である。ブラック家の人間と何かしらのサクラメントにあずかった者にしか読めない。た者にしか読めない。
サクラメント。神の恩寵を儀式にしたもの。ブラック家は千年前にすでに途絶えてファルケ自身も現世的な宗教観をいっさい持ち合わせていないがその言葉と文字の書き方使い方は伝わっている。彼の父親はははるか昔にその何かの儀式を すなわちこれはブラック家の者にのみ伝わる秘密文字である。ブラック家の人間と何かしらのサクラメントにあずかった者にしか読めない。
バズビーとともに行った。それでバズビーの書くブラック家の秘密文字が読めるようになっている。
むろんファルケも読める。バズビーの直系の子だからだ。
「申し訳ありません。お母様は普段のメモ書きはこの文字を使うので。書き直していただくように申し伝えます。これはお返しいただいてもよろしいですか」
「いや、返せないよ。秘密だと知ってしまっては。困るよそんなことされちゃったら」
京楽は直球で聞いた。何を書いてあるのか。この期に及んで嘘をつくとも思えない。
「秘密は秘密ですがおそらく陛下でしたらおわかりでしょうね。血盃を与えた陛下とそれを受け取った二人ですから。それもまたサクラメントです」
「読んでもらってもいい?」
「Hugo、Semper ad meliora、Bazzって書いてあります」
「それは、ええと何語だ。帝国の言葉じゃないよね」
「ラテン語です。千年前の人なのであらたまった手紙を書くときはラテン語使ってます。今度からちゃんと帝国語で書くようにとお伝えしておきます。ユーゴー、ゼンペル アド メリオーラ、バズって書いてあります」
「意味は?」
「ユーゴーへ、常に良きものを目指して進もう、バズ。お母様はわかりやすい方ですけどあれこれ文字を書き綴ったりはなさいません」
結局その手紙はハッシュヴァルトの元へ届けられた。今後の手紙のやり取りは帝国語かそれに準じる言葉で行うことと、秘密文字は二度と使わないことを約束させ、ファルケ自身が父親の病室に届けさせた。
ハッシュヴァルトは自分と全く同じな息子の顔を見てもなんの感慨もなったらしい。
「お母様からお預かりしています」
その言葉でようやく手紙に目を落とした。
彼が正気を取り戻したのはそれからしばらくしてのことだった。 - 36二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 12:37:06
「お父様はお父様のことだけを考えてください。お母様は私がお世話をしますから」
その身を引き取りに行った息子にハッシュバルトは半狂乱でつかみかかってきた。
「私からバズを奪おうとするなど許せぬ所業だファルケ」
息子は冷静だった。産ませて捨て、のうのうと陛下の保護で特権を享受し、母子が現れてからは逃げ続けたのはあなただと、責めるつもりはないがとりあえず息子側からの事実だけを告げた。
「お母様はお父様のことを諦めてはいませんよ。諦めるような人だったら私はお母様のことだってお引き受けしていないでしょう」
「まさかバズを捨てようとしたのかお前は。あれほど愛されていながら」
「お母様を捨てようとしたのではなく捨てなくて済んだのです!」
「なんだと」
「諦めてしまうような人でしたら私はお母様のことだってお引き受けしていません」
「その口で何を言うか、一体どういうつもりだ」
千年生きてきてこの父と息子がまともに会話をしたのは数百年ぶりだった。以前に何を話したのかは互いに何一つ覚えてはいない。
勾留中は当然鍛錬などできはしない。おそらく剣を持ち上げることもできないだろうが、そもそも一日に一時間ほど許されていた外気浴に行くことも稀であったハッシュヴァルトの攻撃をかわすことなど大したことではなかった。どのみち聖文字持ちとしての能力は奪われている。フロイントシルトに至ってはファルケ自身がその破壊を見届けたのだ。もう滅却師としてホロウに立ち向かうことはできない。ホロウに出くわしても応戦するすべも持たない。そもそもハッシュヴァルトは元より不全の者である。
だがファルケ・ブラックが手にした城は人々の長い祈りの積み重ねと祝福の上に未だ建っており、そのような清められた場所はホロウは立ち入らない。
ファルケは母と暮らすために城を買った。そして母はハッシュヴァルトと暮らすであろうから、王より与えられた力を失いもう一度不全の者に戻ってしまう彼のためには、その身を確実にホロウの毒から身を守ることのできる場所が必要だったのだ。
「もう一度言いますね。お母様はお父様のことを諦めたりはなさいません。見捨てたりもなさいません。それができる人だったらそもそも私がこの世に生まれているはずがないではありませんか」
「バズが……」
「お父様、お母様はあなたを見捨てたことが一度でもありましたか」 - 37二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 12:41:55
それから二年してハッシュヴァルトはようやく健康を取り戻しつつあるという。城を形成する滅却師のコミュニティには医務官も参加し始めており、定期的に京楽とのホットラインで連絡が続いているのだ。ハッシュヴァルトのことをあれこれ思うことはないが、その生活が穏やかで安らかであるのなら石田に何も言うことはない。バズビーは最近運転免許を取得したという。ある国の軍から払い下げになっていたランドローバー・ウルフを手に入れて、それにハッシュヴァルトとキャンプ道具を積み込んで一週間くらい平気で帰らない生活をしている。
ファルケが日本へやってくるのはのはかつての騎士団最高位の身元保証人としての定期報告を果たすため尸魂界へ経由であり、もう一つホロウ耐性テストについて涅マユリとの直接意見交換をする必要があるためだ。
「本当は父がすべきことだと私もわかってはいるのです。お母様も“ユーゴーにやらせろお前は関わるな”とおっしゃるし」
石田の頭にバズビーの姿が思い浮かぶ。彼女はもうあのモヒカン頭をやめている。ファルケの強い希望だ。女性らしくないとか奇抜だとかの理由ではない。“お母様それでは生きにくいですよ”の一言でファルケが問答無用でベリーショートに落ち着かせた。今では黙ってさえいれば品高い美女に見える。古城を背景に望遠で撮影された彼女の写真は世に出回っている。風景に自然に溶け込んでいてそれをみた井上織姫は「綺麗な人ね」と呟いた。
「なんと言ってるんだい? 彼……その、お父上は」
「父はうちに来てからずっと私を避けています。ただ身元引受人になったことにだけは“ありがとうファルケ。お前がバズのそばにいてくれてよかった”と言ってくださいました」
それならなおのこと言うことはないだろう。
「父から言伝を預かっています」
面持ちを変えてファルケはいつになく真剣に声を落とした。
「“いつかあなたに会いに行く。すまなかったと詫びるために”」
すでにコールドブリュの氷は溶けている。カモミールティーから湯気も消えている。
ああ涙が出そうだ。そう思った。いいじゃないか、泣いて何がおかしい? このスターバックスは人の出入りが多くていつも埃が舞っているんだ。これは曇った目から汚れが落ちていく生理的なものであって心を動かされたわけじゃない。ハッシュヴァルトがここにいたら嘲笑するだろう。何を泣いているのだと。 - 38二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 12:44:32
「石田先生、あの、一つお聞きしてもよろしいですか?」
ファルケは明るさを取り戻している。
「頼むから先生というのはやめてくれ。本当に。まだまだ駆け出しなんだよ」
「先生は陛下と食べ物のあれこれについて話したことってありますか」
「え、食べ物?」
「ええ。帝国にいた期間は短かったですけどそういうお話はありませんでしたか」
「ないな、そういうことは」
後継者にいきなり指名されて帝国をあちこち連れ回されている間、真意を悟られるのではないかとひたすら心に鍵をかけていた。緊張していたので提供された毎日の食事がどういうものだったのかもあまり覚えてはいなかった。おそらく美味ではなかった。銀食器と古い磁器とクリスタルに彩られた食卓が頭の隅に残っている。
「どうしてそんなことを聞くんだ?」
「今回は霊王宮に招かれてるんです。兵主部隊長から酒でも飲みに来いと」
「へえ。そんな気のきいたことに零番隊の人たちがしてくれるんだ。良かったじゃないか。ああ、でも霊王宮には」
「陛下の遺骸がおさめられています」
ファルケはその美しい顔にいささか不似合いな悲しみを浮かべている。そういう表情をするとハッシュヴァルトの顔そっくりだと思ってはしまうが、もうそれを不快に感じることはないだろう。
ユーハバッハの遺骸の行く末を帝国の生き残りたちはどう思っているのか考えたことがない。霊王の代わりを果たすべく利用される己れの未来を陛下は見ただろうか。ハッシュヴァルトは見ただろうか。そして楔となった姿をバズビーが見たら彼女はどう思うだろうか。彼女はそれを見て笑ったりはしないような気がする。罵声くらいは浴びせるだろうけれど。
「現世の風習は東西でも違うようなので勝手な真似はできないんですけど、もし何かお好きな食べ物があったらそれを遺骸のおそばに置いて差し上げたらいいのではないかと思って。でもそれは私の身勝手ですね。陛下がいなくなった今の世界が正しいと思っているのですから」
正義と正しいことは違う。
見る方向からも立場からも、その歴史によってさえも変わる。
清められているという古い土地に新たに住むことになるこの美しい城主は、正しいと思ったことを誰にも知られず、誰にも知らせず、胸一つにおさめて生きていく。
ハッシュヴァルトとバズビーはこの世にまこと美しきものを残していつかこの世を去るのだろう。 - 39二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 12:52:10
コピペ失敗して一部重複、誤字脱字があるけど読み飛ばしてください
- 40二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 15:57:33
このレスは削除されています
- 41二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 17:24:57
ありがとうございます😭ありきたりな感想ですが「命に嫌われてる」を思い出しました
- 42二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 19:01:01
名作をありがとうございます。ユーゴーのルックスとバズ♀の教育で無敵なモデルとして活躍して一国の長になるってホント最強すぎる主人公!
- 43二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 00:39:56
29〜38まで投下したものです 10レスも使ってしまって申し訳ないです
前スレでバズ♀息子のネタに始まり「父のことを知らないふりのファルケ」続いて「知った後の成長」を書いてみました。
こうしてみると生意気で腕白→察し始めて気を使い始めてる→経済に巣立って自由になり親を見つめる
この過程になってますね 良かった良かった^^;
憎しみも復讐も連鎖させなかったことが最大の成功の要因だと思います
ユーゴー 自分ではできなかったけど滅却師の未来を繋ぐ仕事を引き継いでくれてる
バズ 復讐を果たす事は叶わなかったけどブラック家は繋がり再興していく
陛下 死神の助けを借りて穏やかに他と交わって純血のくびきから抜け出す
石田 ユーゴーに謝ってもらう未来がある 「お前」ではなく「あなた」呼びで
ファルケ本人は特に意識してないでしょうが陛下が「なぜブラックの血を引かなかったのか」と責めたのは
王の素質があるのに王になる未来が見えないという問いなのだと思います
国はなくなっても人は残る 帝国がなくなったので王にならない 皆と一緒に生きていく これに尽きるかと - 44二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 00:56:12
>>8グナーデのユゴバズ♀の結婚話を書いたのでどうぞ
「えー…マジですか…?」
『大マジだ』
「分かりました。取り敢えず一旦そちらに行きますね…」
『ああ、ユーゴーの事は任せろ。石田雨竜の件も納得させた。不満そうだがもうとやかく言うつもりはないそうだ…ついでに一言謝罪もするそうだから電話でもいいから繋げてくれるか?』
「分かりました。明日放課後にでも連絡します」
『ああ、頼んだぜ』
その翌日の放課後、生徒会室に石田はグナーデを呼び出していた。他にも霊王宮に行った面々も石田に呼び出されている。
と言うのも石田が皆に用があるのではなく、グナーデが石田に報告がありそれならばと生徒会長の権限を利用し生徒会室に呼び出したのである。
「で、石田から黒森が帝国連中について話があるって聞いたけど…どうしたんだ?」
「………………ハァー………ムゥ…両親が…結婚するそうです…」
苦いものを呑み下すような顔の次に溜息を吐き眉間に皺を寄せたまま口を下弦の月のように口角を下げて筆舌し難き表情、その後に意を決して告げたのはまさかの両親の結婚だった。
「「ハァ!?」」
一護と石田が2人揃って大声で反応した。何か帝国で事件でも起こっているのかと警戒していた為、拍子抜けしてしまったのだ。織姫はキラキラとした目で両手を合わせていて茶渡は読めぬ表情である。
- 45二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 00:57:31
「おめでとうグナーデちゃん!!」
織姫の祝福を受け流して、グナーデは石田に呼び出した理由を伝える。
「その結婚する事になったので禊も兼ねて一言だけ雨竜先輩に謝罪する事になったんですよー…」
「へ?何で僕に…」
「いやあの時城で雨竜先輩、団長にボロボロにされたの忘れたんですか?しかも現世の拠点でも貶すもんですから結構私怒ってたんですよ?」
怪訝な顔で謝られる筋合いも無いと言わんばかりの石田にグナーデの方が怪訝な顔をしている。しかし石田は、
「僕はユーハバッハを討つ為に城を爆破しようとしていたし、黒崎のお父さんもそうだけど娘の…その…ゴニョゴニョ相手なら普通だと思うよ?」
好きな、想うそんな言葉を口から上手く発せずに濁すが石田なりにハッシュヴァルトにフォローを入れる。
「陛下の件はともかく後者については今更父親面されても…一護先輩のお父さんはちょっと騒がしいけど…賑やかでちゃんと妹ちゃん達を溺愛する良いお父さんじゃないですか!一緒にしないでください!」
グナーデなりに数回挨拶した程度の一心を父親として高く評価しているようだったが、一護も父が妹に邪険にされてはいるがそれはそれで妹達が父からの愛情を疑っていない事の証左でもあるのを知っている。
「…お前さ、ホントは父親を嫌いってだけじゃ無いんじゃねえか?」
その言葉が一護からするりと零れた。
グナーデはキッと睨み付ける。
「うちの親父はさ、はっきり言ってウゼーけど俺達を特に柚子と夏梨を大事に思ってるし、その…愛されてるっていうのは疑った事ねえんだ…お前さ本当は「一護先輩ってちょっとデリカシー足りてないんですね!」」
とうとう一護の言葉をグナーデが遮った。
「それ!聞く意味あります?一護先輩…帝国関係の事だったし雨竜先輩が呼んでたからついでに報告しただけですよ?愛されてる事疑えないくらい愛されてるんだから分かんないでしょう!ズカズカ踏み込んで来ないでください!!」
そう半ば叫んで部屋を飛び出して行った。 - 46二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 01:00:53
グナーデが取り乱したのはバズビーが切り捨てられた時以来だ。それに呆然と見送った一同だったが、石田が一番最初にに正気に戻り3人に自分に任せるよう告げてグナーデを追いかけた。
「…悪りぃ…何か怒らせちまったな」
「黒崎君…人には人のお家の事情があるもんね…あたしも仲良くないって知ってたのに祝っちゃったから機嫌悪かったのかも…」
謝る一護に織姫がフォローを入れるが茶渡が止めた。
「井上は悪く無いだろう…一護、恐らく黒森にとっては父親が地雷だったんだな…黒森があそこまで怒るのは予想外だったが、一応謝っておいた方がいいぞ…多分、今のアイツにとっては自分達は父親に愛されてる兄妹だとマウントを取ってるように聞こえたんだろう」
一護はグナーデが取り乱し俯き髪で翳ったその目に涙が浮かんでいたのを見ていた。
もちろんマウントなど取ったつもりは無いが傷付けてしまった事に一護はグナーデを追いかけた石田が彼女を無事励ましてくれる事を願った。
「ああ、分かってる」 - 47二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 01:03:06
「グナーデ」
校門脇の木の影に隠れていたが、今のグナーデの霊圧はグラついていてわざわざ探さなくともすぐにわかった。
「…すみません雨竜先輩…一護先輩に当たってしまうなんて…一護先輩悪くないのに…」
鼻を啜る音が聞こえてくる。恐らく泣いていたのだろう。
「グナーデ…黒崎達を呼んだのは僕だ。帝国の事と聞いて早合点して呼んだ僕の責任だ、気にする必要はない」
「…違いますよ…どうせ一護先輩達にも話そうとしてましたし。…今日は、団長が謝るのに連絡したいからって呼び出してたのに…先に言わなかったから…」
グナーデは自己嫌悪に影に隠れるのではなく、影の中に入ってしまいそうで石田はまとまらない言葉で最近まで抱えていた心の澱を話す。
「………僕も最近まで竜、父とは不仲だったし、愛されてるなんて思ってなかった。でも帝国の件で僕は僕も母も、父にちゃんと大切にされていた事を知って正直なところ受け入れるのに戸惑った。鏃を渡された時も戸惑ったけどそれどころじゃなかったしね。昔母さんの遺体を切り刻んだ竜弦に医者に嫌悪感を持っていた僕にとっては漸く答えが貰えたけど、だからといってすぐに父が好きになれるかと言われれば大事であってもすぐに好きになれるかと言われれ違うと言える。ずっと嫌われて辛く当たられてた君とは状況が違うけど…戸惑って自分はどうすべきか分からなくなった。君もそうなんじゃないか?」
ビクリと肩が揺れる。
「母様が…私の髪を撫でて、色は俺だけと髪質はアイツと同じだって言ったり…」
「うん」
「まつ毛が長いのはアイツ似で良かったって言う度に…」
「…うん」
「本当は凄く嫌だったんです…」
「…そうか」
「だって母様を捨てた癖に母様に思われてるし…」
「…」
「でも母様が…そこまで、思ってる人ならきっと…良い人だって、思ってたのに…」
「…思ってた人と、違った?」
「…はい…母様が、他の人となんて思って逆恨みで…ずっと嫌われて…」
「…そうだね…」
「…本当は…ずっと悲しかった!!小さくて覚えてないけど母様もずっと星十字騎士団に入るまで苦労してて!入ってからも会えない日が多くて!寂しくて!母様を助けて欲しかったし…私もずっと父様が欲しかった…会えて嬉しかったのに…」
「勘違いされて嫌われたのが辛かった?」
声も出さずに頭を縦に振る。泣き暮れるグナーデを石田はぎこちなく頭を撫でて宥める。 - 48二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 01:04:58
その内暫くしてグナーデは泣き止み石田に抱きついたがすぐに離れた。
「雨竜先輩…ありがとうございます…やっと思いっきり泣けました」
「グナーデ?」
「私、父に会ってから母様が切られるまで何百年も泣いてなかったんです…泣いたらきっと母様が傷付くから…でもずっと父に嫌われてたのも詰られるのも本当は泣きたかったんです…スッキリしました!」
真っ赤になって充血した眼と目の周りが痛々しいが満面の笑顔を見せたグナーデに石田はホッとした。
「…なら良かった。戻ろう、きっと黒崎達も心配してる」
「そうですね!私も謝らなきゃですし…父もどうせならちゃんと電話越しですけど一護先輩達もいる前で謝って貰いましょう!」
石田はグナーデの物言いに苦笑しつつも生徒会室に共に戻った。 - 49二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 01:06:44
「黒森!わ「い一護先輩!ごめんなさい!一護先輩のお父さんの事羨ましくて八つ当たりしました!!」」
一護が謝る前にグナーデが先制攻撃なら満点の勢いで謝罪する。
「え、あいや俺の方こそ悪かったな…」
「いえ!もう雨竜先輩に話聞いて貰ってスッキリしたので大丈夫です」
「グナーデちゃん本当に大丈夫?」
織姫が眼が真っ赤なグナーデを心配するが大丈夫だと笑顔で返した。
プルルル・ガチャ
『もしもし…グナーデか…石田もいるか?』
低めな女性の声だ。因みにスピーカー機能にしてるので全員聞こえている。
「はい、雨竜先輩もいますよ。ついでに一護先輩達もいるのでキッチリすましちゃいましょう!」
『いい性格になって鼻が高いな…ユーゴー、グナーデからの電話だ。腹は括ったか?』
電話の向こうで衣擦れの音がする。
『ああ…石田雨竜…』
「…何だ」
『あの時…お前に当たり嬲った事、お前を貶した事心より謝罪する…」
「ああ…もう終わった事だもう良い」
『感謝する…それからグナーデの事だが、頼む』そう言って向こうから大きく衣擦れの音と扉が閉まる音が聞こえて来た。
「…母様が説得したのですか?」
唖然とする一同だがグナーデが
『いや…寧ろそれはそれで認めないって思ってたぐれぇだ…』
「どんな心境の変化でしょうか…?まあ雨竜先輩を認めてくれるなら良いですけど…」
『さぁな…結婚式はしねぇし精々写真撮るくらいだけど…帰って来ねえか?』
「……そうですね…1枚くらい家族写真があっても良いですね」
『!?グナーデ?』
「日程についてはまた決まり次第連絡ください…母様…遅くなりましたが、結婚おめでとうございます」
そう言って電話を切ったグナーデは寂しそうだがそれ以上にスッキリとした顔をしていた。
後日グナーデのサイドチェストの上に1枚の家族写真が置かれる事になった。
その2年後に4人の家族写真が増えるのは余談である。 - 50二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 01:12:02
長々とお邪魔しました。ここからグナーデとユーゴーは和解しますしバズ♀と正式に夫婦になってるハッピーエンドです多分!
- 51二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 01:55:58
43ですがグナーデちゃん待ってました!
お母さんの愛してる人だからきっと素敵な人に違いないと思ってたのにあろうことか誤解されてて
それは腹も立ちますよ
今は心からは祝福できないだろうし、もしかすると今後も受け入れられないかもしれない
でもそういう事実があるということを認めればきっとグナーデちゃん自身幸せになれそう
それにしてもユーゴーから石田への「謝罪イベント」が何かの分岐点になるというのは
息子でも娘でも変わらないというのが面白いです - 52二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 02:37:59
>>51ありがとうございます!ファルケ君の後日談に触発されてもあったので嬉しいです♪
ユーゴーは石田に対しては自分の過去と混同して自分を肯定するための存在扱いであり、何よりも友達を取りたかったなりたかった自分っていうのがあってそんな石田だからこそユーゴーは発狂して暴走した面があると思ってます。
だから石田への謝罪は自分が後悔なんてしてないし陛下を選んだ事を自分の意思で選んだとバズから逃げてた自分を否定して受け入れる成長イベントなんだと思います。
- 53二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 02:45:19
>>35 この部分だけ訂正させてください。いくらなんでも酷すぎた( ; ; )
すなわちこれはブラック家の者にのみ伝わる秘密文字である。ブラック家の人間と共に何かしらのサクラメントにあずかった者にしか読めない。
サクラメント。神の恩寵を儀式にしたもの。ブラック家は千年前にすでに途絶えてファルケ自身も現世的な宗教観をいっさい持ち合わせていないがその言葉と文字の書き方使い方は伝わっている。彼の父親はははるか昔にその何かの儀式をバズビーとともにおこなった。それでバズビーの書くブラック家の秘密文字が読めるようになっている。
むろんファルケも読める。バズビーの直系の子だからだ。
- 54二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 10:19:24
- 55二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 13:20:27
49です。
お察しですね…真面目な石田が2年では結婚しないでしょう…医科大学って6年はありますし少なくとも就職するまでは結婚しないでしょうから『家族』写真ではないです。
もう1人くらいはちゃんと結婚したら作るだろうなとユーゴーを受け入れてるからこそ生まれた弟か妹かの記念写真に参加して飾ってる設定です。
- 56二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 14:44:10
ま、まあ、成人して結婚したんだから問題ない
今度こそ出産育児つきあうのだユーゴーや - 57二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 14:46:34
グナーデもいきなり自分の娘と分かった途端面倒くさくなってたし、飾ってる時点で受け入れられてるなら相応に世話してるんじゃないのかな?
- 58二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 16:42:16
なんか絶妙にリアルにいそうな親子関係
父親と自立した娘ってそこまで距離近くないし便りがないのは元気な証拠くらいの距離感に収まってそう - 59二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 17:51:42
自立した娘どころか、経済的に完全独立しもうすぐ結婚する息子なんてもっと遠いですきっと
病身(不全の身)を引き受けてくれて同居してくれて、バズ♀と好きなように生きさせてくれて
これからも長く続いていく戦後処理も事実上引き受けてるんで… - 60二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 18:05:38
>>59やってる事の割にファルケもファルケで遠かった!同居してるから物理的な距離に騙されたけどこっちもこっちで距離感が生々しいわ!
- 61二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 19:56:59
どうにもhappy endに持ってっても湿度が高くてて苔かキノコが生えそうになるのはベッショベッショの🍟のせいか?
- 62二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 19:58:01
頑張って完成させてくれ
- 63二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 20:46:10
バズ♀だと娘も息子も自分から幸せつかみに行くバイリティがある上に
パパユーゴーが向き合わなくていけないのは子じゃなくバズママだってわかってるのがなんとも - 64二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 20:50:36
原作ユーゴーはバズに塩対応する一方で副団長から守ったりしてるから、我が子に対しても父と名乗らないまま陰ながら庇護するタイプのパパ🍟もいるかもしれない
過干渉だった叔父さんを反面教師にしつつ距離を保ち、団長としての態度は崩さないが目に掛けていることを時々示す🍟
ある日の母子の会話
「やけに嬉しそうだな、その手に持ってる封筒はなんだ?恋文でももらったか?」
「団長から頂いた『お年玉』というものです!目上の方が目下の者にお金を贈る現世の風習だそうですよ。ハッシュヴァルト様は本当に博識でいらっしゃいますね!過分だと遠慮したのですが、渡す側にとっては厄払いになるとのことで……お母様?やはり受け取るべきではなかったでしょうか…?」
「…いや、良かったな。母さんからも後で礼を言っておく」
母子の会話が聞こえてしまったバンビちゃん
「どういうことよハッシュヴァルト!!あたしにもお年玉寄越しなさいよ!!」
「前回の反省を忘れたようだな。そこに座れ。思い出せるまで待ってやる」 - 65二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 21:11:52
で、でも、ほら、石田に「いつかあなたに謝りに行く」ってことづてできるくらいだから!
- 66二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 21:35:11
物凄くバンビちゃんが思い浮かぶわー…この場合の🍟パパと子供の関係の認知度はどんなもんだろ?
- 67二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 00:04:36
みんなうすうす察していて「野暮だから言わない」「団長も男だしな」程度の良識があるのに
バンビちゃんだけが何もわかってないポンコツっぷりだとしたら可愛い - 68二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 00:38:46
>>67うわースゴいわかるー…
バズ♀のイメージは個人的に
・肝っ玉母さんメンタル
・ロングモヒカン
・正にアスキンが「お洒落な良い女」って言いそうなタイプ
・子供にも愛情深い姿を見せてそう
だから聖兵とか男女問わずモテそう。それを踏まえて「団長も男だから」とかみんなに思われてたらかなり親近感湧きそう。
そしてそこに何も察してないバンビちゃん(笑)
- 69二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 07:22:18
モヒカンや腕章にオシャレに対するこだわりありそうだしアスキンなら言うかも