- 1オイゲン◆8meUu6AaJY25/06/12(木) 13:15:19
襲来した異星人!
侵略されるエネルギー資源!
存亡の危機に晒されてなお人類は……
未だ一つになり切れず、壮大な内ゲバを繰り広げ続けていた!!
【出来れば読んでいただきたい世界観および初期設定集(テレグラフ)(各種ページへのリンクあり)】
ここだけ3勢力入り乱れ惑星外性生物と戦うリアルロボットSFな世界あらすじ(とりあえずこれだけ読んでくれたなら最低限大丈夫な筈の簡潔にまとめた世界観)その1:どういう世界なの?
特殊なエネルギー鉱石「コア鉱石」を動力源とする人型歩行兵器「バディフレーム(通称:BF)」が兵器として一般化した高度な機械文明が築かれている、地球に酷似した惑星が舞台だよ!
元々は人類同士で細かい諍いとかはありつつもそれなりに穏やかな世界だったんだけど、本編から20年くらい前に惑星外性生物「インベイド」が隕石に乗って地表に飛来、どうやら上述のエネルギー塊「コア鉱石」がインベイドにとっては食糧として美味しくてたまらないらしくて、人類に敵対行動を取り始めたんだ!
必死に抵抗したんだけど、現在では地表のおよそ3~4割程が完全にインベイドがうようよ闊歩している危険地帯になっちゃって、そこから時々インベイドが攻め寄せて来る油断できない状況なんだよ……。
その2:で、今どうなってるの?
インベイドとの緒戦により人命を多く失いながらも、結果として「クロノス・インダストリー(通称:K.I社)」が世界を主導、地表や地下に「コロニー」と呼ばれるいくつかの居住拠点を制定してそこを中心にインベイドに対抗する様になったんだ!…00m.in次スレは>>190を踏んだ方が
- 2オイゲン◆8meUu6AaJY25/06/12(木) 13:17:03
【前スレ】
【R-18】ここだけ3勢力入り乱れ惑星外性生物と戦うリアルロボットSFな世界【part28】|あにまん掲示板襲来した異星人!侵略されるエネルギー資源!存亡の危機に晒されてなお人類は……未だ一つになり切れず、壮大な内ゲバを繰り広げ続けていた!!【出来れば読んでいただきたい世界観および初期設定集(テレグラフ)(…bbs.animanch.com【禁止事項】
・無敵ムーブ(戦闘でダメージを受けない、回避し続ける、など)
・必要性の認められない確定ロール
・相手PLが嫌がっていることを強要する行為(特にR-18関連はデリケートなところなので扱いには気を付けて、事前相談忘れずに)
【世界観やパワーバランスを保つ上での禁止事項】
・版権設定の利用
・「地形を変えられる火力」を個人で設定し所有すること
・3勢力(K.I社、人自連、デスペラード)+インベイドよりも立場や規模が大きい勢力を設定すること
・なんでも高い水準で出来るキャラ、なんでも高い水準で出来る機体禁止(他の人の活躍機会を奪いかねないため)
・メタネタ禁止(「この世界は作り物だ~」や背後さんへの言及をキャラの目線で発言させるなど)
- 3オイゲン◆8meUu6AaJY25/06/12(木) 13:19:04
Q1:参加してぇ!けど事前のキャラ登録って必須なの?テンプレはある?
A1:キャラシはあった方が色々スムーズだとは思うけど、無くても規約的なNGムーブさえしなけりゃ参加はOKだぜ!
テンプレらしいテンプレは特に無い(めんどうくさかった)からテレグラフなりで各自好きな様に書きたいこと書いてくれ!
↑の初期設定集から飛んだ先にあるスレ主のキャラシからテンプレとして項目を引用しても大丈夫だぜ!
Q2:キャラは1参加者につき何人まで?
A2:何人でもOKだぜ!複数陣営あるし下手に制限設けたらスカスカになるのが目に見えてるから……好きな様に作ってくれ!
Q3:コテハン(トリップ)は必須なの?
A3:必須じゃないぜ!でもトリップが無いってことはなりすましや乗っ取りが出ても判別方法が無いってことでもあるから、自衛手段としてコテハンを持っておくのは無難だぜ!
Q4:スレタイにR-18表記があるけどエロスレなの?
A4:一般誌のエロ描写とか元ネタ一般作品のエロ同人好き? 俺は好きなの……
エロメインじゃないけど「エロいことも割と自由に描写して良い」スレだから苦手な人がミスッて踏まない様に一応表記しているぜ!
「猥談耐性はあるけど自キャラにエロルさすのはなぁ……」って人でもOK、「自分は露骨なエロやりたくないです」って言っておけば良いぜ!
Q5:設定集に目通したけどなんか既視感ある設定ばっかりだな?
A5:へへっ - 4オイゲン◆8meUu6AaJY25/06/12(木) 13:21:23
【テレグラフ(設定やキャラシート、R-18な文章を書いたりにどうぞ)(※URLのhとttpsの間のスペースを消して検索してください)】
h ttps://x.gd/Z5SAZ
【URL短縮用サイト(テレグラフのデフォルトURLだとあにまんのNGワードに引っ掛かってしまうのでこちらでURL短縮してから投稿してください)】
- 5オイゲン◆8meUu6AaJY25/06/12(木) 13:31:39
僭越ながらランドセルの装備に簡易着艦ポートを加えちゃいました(もしかしたら次スレ設営前に埋まる可能性があるかもと踏んだので)9Bさんごめんなさいな。
- 6ランドセル◆9BZ6kXGcio25/06/12(木) 13:34:40
- 7オイゲン◆8meUu6AaJY25/06/12(木) 13:41:13
感謝です…っ!すいませんっ!
- 8サンフラワー◆fDey8JUvvk25/06/12(木) 13:52:28
天才的保守の時間です!
- 9ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/06/12(木) 13:56:09
金龍「特別製の俺が維持に来たぜ」
- 10◆j28rRKKOSY25/06/12(木) 13:56:50
ランドセル君は陸戦型ガンダムのコンテナを想像してたけどわりとデカめだった
- 11エイダン◆Fd5AlHEdkk25/06/12(木) 20:21:46
前スレ197,198,199
【スピーカーから怒声にも似た開戦宣言が飛び込んできたのと、ほぼ同時。レーダー上にはわらわらと不明存在を示す点が表示され、前方では幾重にも閃光が瞬く】
【瞬時に拡大させた視野が、下手人の姿を捉えた。デメキンの目玉を無理やり両生類に縫い合わせたかのような、生理的な嫌悪感を煽る醜い出立ち】
(捨て鉢から這い出て来たのか?……いや、詮無いな)
【思わず心中で悪態混じりの疑問符が湧き出るが、すぐに掃き捨てて提案に応じる】
「了解。勞 大佐!僕が囮になって道を作る!そしたら一気に突っ込んでくれ!頼んだよ!」
【即座に全機と自機のレーダーをリンクさせながら、一方的に告げて飛び出す。両翼の先が空気の壁を引っ掻いて、甲高い音を鳴らす】
───Warning Warning
【AIが注視されていると報せる。迫り来る白銀を地に堕とさんと、その巨眼が瞳孔を収縮させる直前、機体が残影を残して消えた】
───!?
「遅い!」
【隙を生ませるためのクイックブーストにまんまとつられた顔の横を掌部のキャノンで吹き飛ばし、他の目玉をサーベルで切り落として、派手に飛び上がる】
【AIの警告音は鳴り止まない。それは多くの視線が自分に釘付けになったことを示している】
「あゝそれでいい。下から見てろ、上から行くぞ!」
【芝居がかった布告を受けて注がれるレーザをサーベルでいなし、展開したリフレクターで受け流す。跳ね返ってきた熱線が新型の頭を吹き飛ばし、目玉を抉る。次いで差し込む光柱が群れの一角を炎柱で上書きし、その合間を白銀が舞う】
【無軌道な落書きに興じているように見えて、その流れは正確な絵を描いている。確かな勝利の絵を、鮮明に】 - 12イフドラ◆ncKvmqq0Bs25/06/12(木) 20:34:31
前スレ199
オイゲン少佐からデータが届いたぞ!
「何か小さくて気持ち悪いでありますね!」
それだけじゃねェ!
こういう手合いは数で質を補う分、俺たちに綻びが産まれた瞬間に喰い破ってくる目聡さも相当な物だ!
どこ取っても全くもって気色悪いな!
(だから殲滅任務には1人で行っているんだが……あァ良いさ……全員で耐え切るさ……見せてやるさ!)
【ZQWWWWNNNN!!!!!!!!】
【2つの銃口から解き放つレーザーで、青紫に変性した木々を薙ぎ払い、黒く汚れた岩場を溶かし尽くし、隠れているインベイドを蒸発させる!】
そして奇遇だなエイダン殿! 今からあのギョロメ共に俺の異名を知らしめてやろうと提案してた所だったんだ!
総員!!! 俺の合図に合わせて突っ込むぞ!!!
「「「「了解!!!!」」」」
- 13東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/06/12(木) 21:14:03
- 14ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/06/12(木) 21:39:15
【その青年は“ドラ息子”であった】
【だが、この3年で渡り歩いた戦場は優に千を超えていた。この3年で挙げた戦果は優に五百万を超えていた】
【いつからか、彼には“ドラ息子”以外の渾名も付いた。“アームドタイフーン”、“セクションストラクチャー”、“鬼神”、“殲滅者”】
【火薬と粒子を振り撒くお騒がせ者の姿を、戦いに生きる者はそう形容した】
『小型投射級、作戦実行値まで減少しました』
りょうかああああいいいい!!!!
【ゴン! ガシャン! プシュゥゥゥゥゥゥゥゥ……】
【虎を主導とする龍は、その両手の雷を合わせ、病で痩せた地を肥やさんと、その息を巻く】
兄弟们!!!! 让他们吓死一跳吧!!!!(目に物見せつけてやろうぜ!!!!)
「「「「是!!!!」」」」
【虎嘯風生! 脚元を流れる風を受け、白日が差す道を駆け上がる!】
『チャージ、70……80……90……100』
【シュイイイイイイン……】
【龍の錬氣が臨界に到達し、刹那、静寂が満ちた……】
吹き飛べェェェェェェ!!!!!!
【ZQWWWWWWWWWWWWWWWNNNNNNNNNNNNNNNN!!!!!!!!!!!!!!!!】
【一帯の悪鬼を灰燼に化さんと、龍爪(トリガー)を鳴らし、力の限りに青雷を放つ!!!!】 - 15ケイ◆ECPjTIh3Iw25/06/12(木) 22:26:38
- 16二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 02:17:27
このレスは削除されています
- 17アネット◆j28rRKKOSY25/06/13(金) 02:18:53
1/4
【東方大陸の広大な大地の舗装もされていない荒野、複数の難民都市を繋ぐ輸送を生業とする者達には重要な場所だ】
【しかし今、その荒野を闊歩する一群の影は人類ではなくインベイドであり、それはこの地を支配するのが何者かを示していた】
【その一群に砂煙を上げながら一機のBFが走って行く、下半身を大型のバギーへと改造されたスカッド・ソルジャー、ジェヴォーダンと名付けられたBFのコクピットに無線の呼び出し音が響く】
《アネット!今回のターゲットはどうやら小型種の群れらしいぞ!楽勝だな!》
「この前も同じこと言ってましたよね……それで行ったら情報より多くて……」
【コクピットに座る女性、アネット・マルスリーヌが無線機に向かって呟く、目に掛かる程に伸びた茶髪が目元を隠し、表情の全てを伺う事は出来ないが、その声色には憂鬱な感情が混ざっていた】 - 18アネット◆j28rRKKOSY25/06/13(金) 02:21:03
2/4
【地平線にインベイドの影が見え始める、突撃兵と射撃兵の群れ、その周囲には情報に無い重装兵級が3体浮かぶ】
「あぁ……やっぱり……」
【予想が当たってしまった事にため息を漏らす、元々事前の情報はアテにはしておらず、むしろもっと悪いケースを想定していたのだが】
「でも……今日はまだ運が良かったみたいですね」
【右背部のハンガーが稼働し肩越しにマークスマンライフルを右手へと渡し構える、少しの間を空けてトリガーが数回引かれ、こちらに狙いを付ける1体の重装兵の射出孔を何発もの弾丸が貫きその命を終わらせる】
【射撃兵級の一斉射撃は地上を高速で疾走するルーガルーを捉えられずその背後を飛んで行った、群れを中心にした円機動からの射撃に対して突撃兵の群れは進行を阻もうと前方に展開しその刃を閃かせる】 - 19アネット◆j28rRKKOSY25/06/13(金) 02:22:59
3/4
「うぇ……相変わらず気持ち悪い……出て来ないで……」
【メインカメラに映った姿から目線を逸らすとコンソールを指で叩き脚部前方に装備されたマシンガンを起動させる、回転式のターレットに載せられた2丁の機銃が唸りを上げて前方に展開した突撃兵を蜂の巣に変えた】
【撃ち倒される小型種達に苛立つように重装兵級の射出孔が光を増し、アネットに対して十時砲火の陣形をとる」
「やっぱりそういう陣形で来ますよね……」
【フットペダルでブレーキをかけて機体を横滑りさせると再加速、機体を掠める様に飛ぶビームと並行する様に重装兵との距離を詰め、ランチャーを放つ、第2射を放たんとする射出孔が2発の弾頭によって大きく抉れ、正方形の身体が地面に沈む】
【最後の重装兵が悪あがきの様に放つビームを先程の2体の死骸を盾に利用し接近、左手にショットガンを構えアクセルを踏み込む、こちらを追って相手が真下を覗き込む姿勢になったところでショットガンをフルオートで乱射、無数の散弾が射出孔の内部を蹂躙した】 - 20アネット◆j28rRKKOSY25/06/13(金) 02:24:39
4/4
「うぅ……また勝っちゃった……」
《流石アネットだ!大勝利だな!》
【数分後、残存の小型種を掃討したアネットを賞賛する通信が届く、勝利した後とは思えない憂鬱な雰囲気だったが通信が開いた瞬間に食ってかかる】
「誰の情報なんですか! 私がどうなっても良いって事なんですか⁉︎」
《まあ落ち着けよ、無事終わったんだから……、ああこの前の話なんだがな》
「え?このタイミングでは聞きたく無いんですけど……」
【通信相手が話を逸らす為に出した話題、それを聞いた瞬間に一気に熱が冷め、思わず耳を塞ぐが、容赦なく彼女の耳に追撃の言葉が入る】
《今日の戦闘もそうだったがやっぱりお前こっちに向いてると思うぞ!だから配置変えはもう少しだ》
「もう良いですよぉ……」
【今月に入って3日ぶり7回目の知らせを途中で切り上げて帰投を開始する、頭の中では穏便に配置を変更するアイデアが浮かんでは消えを繰り返す】
「私いつまでこの仕事するんだろう……恨みますよラインさん……」 - 21小型投射級◆9BZ6kXGcio25/06/13(金) 08:05:21
幾多もの同胞が吹き飛ばされた。純白銀に光を映す怪物と象白色の怪物は加粒子を放ち大地を焼く。
ミヂミヂと音を立てながら反応炉に泣け無しのエネルギーを送り、投射器官に燐光を届ける。だがその光が力を帯びたとしてもその怪物を殺すことはできない。それどころか当てる為の狙いすらつけれないのだ。
【 】
歯痒さすら認識する知能すらない有象無象の塵芥はその数を持って個の力を補う。しかし所詮はヤケクソ気味に創られた偽作。世界樹を護る巨人を止めること等、到底無理な話だった。
不意打ちこそ成功させたが、タネがわれたら強くない。一定数以上からの1点照射を受けないのならタダ装甲を少し熱するだけの力しかない。巨人達が目指すネストは黒雲母のような薄い構造体が幾重にも重ねられ、入道雲と形容できよう。そこは、もうすぐ到着出来るほどに迫っていた。
- 22随伴歩兵◆9BZ6kXGcio25/06/13(金) 09:38:23
その巨人達は俺たちよりも少し小さいクソッタレ共を片端から焼き溶かしていた。いまさっき弾除けとして動いていた機甲軍の戦車がたった2本の閃光で溶断されたと言うのに。
昔、ウォーマシンが初めて戦場に立った日について書かれた兵士の手記を読んだことがある。
『その日の明け方、何も変わらない戦場に巨人が歩いてきた。塹壕も、戦車も、野砲も、航空機も。全てを備えた戦場に。違うのは歩兵の他に大他を踏みしめる物が増えただけ。たったそれだけだったが、戦場を変えるには十分な物だった。』
そんな巨人がいる事が当たり前となった今、目の前にいる巨人を見て改めて感じた。それ(BF)は戦場を歩き、敵を薙ぎ倒す。戦域の支配者(ウォーマシン)であると。 - 23サンフラワー◆fDey8JUvvk25/06/13(金) 09:56:31
- 24オイゲン◆8meUu6AaJY25/06/13(金) 09:59:28
〈凄まじい殲滅能力ね。流石は殲型。〉
オルフェウスは青紫の光痕を引くビットでその火力を投射して尚バラバラと残っている敵を切り伏せていく。
あらかた片づいたと確認できた時
〈イカロスからアクイラ小隊。随伴している機甲軍を労うぞ。〉
『…!アクイラ1了解!お前ら!準備はいいか!』
その意図を汲み取りアクイラ小隊はオルフェウスと編隊を組み、その機甲軍の頭上を低空飛行した。
ショー・オブ・フォース。古来から戦地にいる兵士の士気向上を図る際に行うパフォーマンスフライトであり、それには「友軍機が低速でこのように飛んでも攻撃を受けないほど、ここは安全である。」と示す効果もある。このような極限環境に於けるパフォーマンスは兵士を奮い立たせるには充分以上の力を持つのである。
- 25盤外兵器◆9BZ6kXGcio25/06/13(金) 12:17:56
ピタリと閉じられた鋼鉄の顎を上下に割け、嵐の王の名を冠す由来たる兵器が外気に触れる。パリパリと砲身から白い薄氷が剥がれ、ユラユラと熱を帯びる。加粒子を収束、増強させる。その砲身から漏れ出る燐光に感応した小型種達がギロりと眼球に似た器官を向け、寄り合わせた光を放つ。しかしその光線は分厚い粒子の鎧によって力を失い、偏光してその空灰色の装甲を強く照らす。
嵐の王がその口から光を放つ。
音も空気も重金属も敵も。文字通りに何もかもを塗りつぶした。艦隊からは一閃の白青い光が鈍い色の雲を打ち払ったように見えることだろう。
入道雲似た地上構造は加粒子が触れたところから気化を始めた。加え、目標到達途中で陽電子を産んだのだろう。その気化した構造片に陽電子が触れ放電し、紫白い稲妻が空に走る。その後、その目標は半球状の光に包まれる。
バアルの主砲身から放たれた加粒子が収まり、その空間に世界が戻り始めた。
ネスト付近に溜まっていたインベイドは蒸発、肝心のネストはゲートを穿つどころか地上構造を吹き飛ばし、地下へと続く通路が覗く。
『…った…やった!やったぞ!見えたかアレキサンドリア!こちらラプター連隊!ストラクチャーが巣の上を全部吹き飛ばしやがった!やりやがった!やりやがったぞ!』
随伴している歩兵とスレイガンは勝鬨に似た歓声を上げる。
そんな喜ぶ兵の姿を見下ろしながら嵐の王はまたその口をピタリと閉ざす。
地上構造内の迷路を進む手間が省けた。
《こちらアレキサンドリア。状況を把握した。突入部隊は地下の最奥を目指してくれ。…頼んだぞ。》
人類はその知識と技術を以て圧倒出来るほどの力を持てると示せたのだ。
- 26ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/06/13(金) 13:02:54
- 27エイダン◆Fd5AlHEdkk25/06/13(金) 14:58:50
【やはり自棄の産物だ】
【数分にわたる光線の交わりをへて、不意に沸いた新型の詳細は大まかにだが把握できた】
【一端のBFには初手のレーザーポイントさえ除けば、大した脅威ではないだろう】
【そう考察しつつ、背後で生身の兵らを守る戦車を狙った粗雑な二本線を弾き飛ばす】
【返す刀のレーザーキャノンで周りの目ごと不埒な頭を蒸発させると、残る塵芥を吹き飛ばさんと飛び立った】
【ちょうど、その時】
「WOW……!」
【歓喜が声となってコックピット内に響きわたる】
【広々とした視界を一瞬とはいえ、埋め尽くした光。それが霧散したあとに見えたのは、蓋を剥がされて底を晒したネストの残骸】
【他には何も無い。堀のようにネストを囲っていたインベイドも、何もかもが消失していた】
【大気圏という天蓋の果てから飛来した奇怪で、悍ましい肉塊ども。それらをバアルは、ストラクチャーは、人類の知と技の結晶は瞬く間に討ち払ったのだ】
《こちらアレキサンドリア。状況を把握した。突入部隊は地下の最奥を目指してくれ。…頼んだぞ》
「……ッ、了解」
【喉から迫り上がる笑いを噛み潰し、届けられた司令に応える。正の激情は強いエネルギーとなって四肢に巡り、操縦桿を押していく】
「そうだね。王陛下の激励に恥じぬ働きをするとしようか」
【重厚な威厳をまとって、死の沈黙を敵に振り撒いて進むバアルの横に併走しながら、地下に蔓延るインベイドを焼いて道を作る】
【硝煙に燻され、光熱で焼け焦げた、人の歩みを妨げる無粋な蟲の切れ端が、土を固めて作られた廊下を無骨に彩っていく】
- 28オイゲン◆8meUu6AaJY25/06/13(金) 15:42:21
放たれたその光は何もかもを飲み込んで消し飛ばした。
〈こんなものをクロノスが…?無茶苦茶だ…あんなモノ…人が踏み入るべき領域に無いぞ…〉
ソドムはまだわかった。大掛かりな兵器の運用、維持には莫大な粒子と人がいる。それなのにあれは1人の管制とその詰められた粒子だけでこの力を実現させているのだ。
さらにその力の恐ろしさを理解していないのか、地上からは歓声が上がっている。そのことに戦慄していると
『イカロス!バアルはそのまま降りるようだぞ!』
アクイラ1からの言葉に意識が帰ってくる。
〈イカロス了解。バアルに続くぞ!〉
鈍い色をした重金属雲が散った事により、作戦地域に太陽光が差し込み、白銀の機体がそれを反射する。
そんな機体と共に深淵を覗かせる地下への入口を掃除を始めた。人の欲望を食い散らかして、その玉座に君臨した嵐の王の名を冠する怪物の為に。
- 29ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/06/13(金) 16:52:42
- 30オイゲン◆8meUu6AaJY25/06/13(金) 17:44:36
ランドセルを護衛している金龍の部隊が前線で戦うオルフェウスと合流した時、先程まで気にならなかった、ザワザワと戦場には不釣り合いの騒音が聞こえてきた。
〈騒がしい!〉
あの怪物のせいで冷静さを欠いているところに騒がしいそれには神経を逆撫でするほどの不快感を覚えた。
〈特務大佐と大目に見ていれば…〉
『イカロス、それくらいに。』
〈何故だ!〉
『あのボンボンは絡むとプライベートを侵されますよ。』
〈…例のキルケーモドキのか。〉
『えぇ、知られたくないものまで探られるとか。』
極東方面軍の物とは別に情報部をも抱えているせいか、黒い噂も絶えない。だがその階級を剥がされたことは無い。故にドラ息子と揶揄されるのだろう。
- 31サンフラワー◆fDey8JUvvk25/06/13(金) 17:47:55
【砲身上下の冷却ダクトから余燼とばかりに放熱材が一息噴射され、それも終わる】
ディザスター
「(これでは 天 災 ですね。いや、より悪辣ですか)」
【淡々と。大勢の血と汗と希望と執念に依って形作られたこの身体のことは誰よりも理解している】
・・・・・
【そんなことよりこの機は逃さないことだ。】
【人道に配慮していますよという顔をしてビットを先行させ・索敵。そこからの小型特攻兵器が射撃器官持ちのインベイド目掛けて誘導されていく】
「ええ、そろそろクライマックスと往きましょう」
【タン、タン。確かめる用にサイドスラスタを片方ずつ吹かし、バアルは直掩を巻き込まぬ程度に体を揺らす】
「シリンシーズも歓んでいますね。そのままクールにエスコートをお願いします」
【次はバアルの後部に光が集まる。その巨体か少しずつ加速を始める。……静かだ。バアルの粒子推進機関は、この出力域では常人の可聴域の音を発しない】
「頼みますね、由緒正しきエースの皆様」
【先程のショー・オブ・フォースを称して、あるいは自身への畏怖への返答として】
【聞こえぬ音を掻き鳴らし】
「バアル、突入します。」
【人間が、侵略者と勝手にみなした外来生物の巣へ。破壊と殺戮を自らの意思で撒き散らしながら進軍する】
【全天周へ放たれる弾幕の嵐の中、バアルの射撃で僚機のアラートを鳴らさせないのは、申し訳程度の人類の味方だという主張であった】
「それはオススメいたしませんね。バアルが居れば十分かと思われます」
【バッサリ。偶に人の心が分からなくなるのは仕様。】
- 32スーリヤ◆ECPjTIh3Iw25/06/13(金) 17:59:51
「……凄いね」
嵐の王が、常軌を逸した力で以て王威を示した。
粒子なのか、それとも別のなにかなのかまで分かるほど、スーリヤは詳しくはない。
――――だが、確かなことは唯一つ。
二十と数年に及ぶ人類とインベイドとの戦いの歴史に、一つの転換点が生まれたことだ。
これまでは守勢に使うことが多かった……とスーリヤ自身は認識している……対インベイドストラクチャーを、攻勢に用いるという発想。
そして実際にこの発想は今も有効に作用しているという事実が、彼女の身体を僅かに震わせた。
ネストという地球に巣食う怪物たちの巣を暴威で持って吹き飛ばしたという快感が、通信に乗る地上部隊の歓声が、彼女の身に突き刺さっていたのだ。
(人類は、ここまで来たんだねぇ……!)
クロノス、人自連、デスペラード。主義主張も違えば、アプローチも違う。いがみ合いもある。
だが共に戦ってなおギリギリだったかつてと違い。今はクロノス単独でここまで戦えている。
もし、もう一度。またあの頃のように。互いを嫌いあおうと誰もが協力できるならば――――。
「……サークリウスより小隊全機!! 嵐の王様が力を見せたよ!! 私達がやることは!?」
『彼らの道行きを、凱歌を阻もうと後ろから突くだろう連中を防ぐことです!!』
「そのとおりだ!!」
叫んだ。この希望は小さいが、強い。だからこそ摘み取らせてなるものかと、スーリヤは自分で決めた。
「全機、まずは補給所で補給……その後はネスト周辺のインベイドを、叩いて叩いて……叩きまくるよ!!」
魔女は笑みを深める。子どもたちの未来のために戦える今を、誇りとして。
- 33モカ◆KPwoT407kA25/06/13(金) 18:08:34
…すごいな
【戦場を駆けるモカが見た光景。それは自分たちより遥かに戦況に寄与する巨大建造物に剥けられていた】
【片手間に目視すらせず武士級を1匹ずつ置きライフルを命中させている“程度”では追い付きようがない実力差。あれこそが真の意味での“対インベイド兵器”なのではないか?】
「ストラクチャーは人に向けちゃイカン代わりにとんでもなくヤバい代物だからねー…エレクトラのお披露目だってのに雑魚散らしすらそのお株奪われとるじゃんね。ま、無駄弾が減ってなによりっしょ」
「…ワタシは嫌い………あれに頼りっきりなのも…このダユゲテの性能を活かせなかったさっきのBFもどき、も…」
【それぞれが軽口を叩きつつも自省も程々にそれぞれの働きをこなしていた───────といえど、BFも陸戦兵器の延長線上の存在。戦略兵器に戦果で匹敵できるものではないのだ】
- 34シンカイ◆9BZ6kXGcio25/06/13(金) 18:21:23
「コレが…新型!」
バレアレス先任少尉のリングを整える為に小型種をどかしている時、突入部隊の方からストラクチャーからの一閃が見えた。雲は晴れ、通信はよりクリアなものになり、攻略状況が大きく動いた。
『…った…やった!やったぞ!見えたかアレキサンドリア!こちらラプター連隊!ストラクチャーが巣の上を全部吹き飛ばしやがった!やりやがった!やりやがったぞ!』
突入部隊の随伴している歩兵連隊が興奮気味に通信していた。
「うおぉぉ!」
シンカイはその勢いで他のスレイガンパイロット共に勝鬨を挙げた。
敵の動きは鈍い。…ん?鈍い?どういう事だ?目に見えてインベイド達の動きが低下していた。
「どうなってる?」
大規模ネストの攻略は人類にとっても初の試みであるためこれが何を意味するのかがわからないのだった。
- 35ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/06/13(金) 19:13:42
急に冷たくなるじゃないのよフラワーちゃん?
『風通しを良くしてもらって気兼ねなくミサイルを放てるようになったのですから、これ以上望むのは如何かと』
【嵐の王が一波乱を起こす直前に発進させていた剣龍から、ネストへの入口前へケアパッケージを投下させつつ、静かな召し使いはにこやかな主人を諌める】
はいはい、そういう事なら通信頼むよ
【声調が下がり、身寄りの者が近時でよく聴き馴染む物になる】
(……全く……しょうがない人なんだから……)
【微かにだが明確に顔が曇った金龍を慮り、メビは後ろに連なる僚機へ電波を送り出す】
『こちらサンダータイガー、メビから総員へ伝達させて頂きます。今から座標を送りますので、そこへ到着次第、弾薬を補充して下さい』
「「「「了解!!!!」」」」
- 36スーリヤ◆ECPjTIh3Iw25/06/13(金) 20:43:22
「……おや??」
違和感はかすかに、しかしスーリヤの目にもすぐ見えるほどには顕在化し始めていた。
自身の真後ろを取った武士型を、味方のスレイガンが突き刺し――――反撃が遅れている。
「っ、バカッ下がれ!!!」
『りょう、かいっ』
ビームサーベルの柄ごと手放した味方を確認、その後マシンガンで丁寧に武士型の腕と胸に風穴を増やし……死亡を確認する。
「……アンタ、さっきのは死んでるやつだよ。気をつけな」
『は、ハッ!申し訳ありません』
僚機へ強く叱責する。
後ろを取られたのはこちらの落ち度だが、武士型を相手にしてあのヤワな突き刺し方は反撃で殺してくださいと言うものだったのだから。
「3番機、そっちはどうだい?」
『インベイドの動きが鈍ってます。特に中型は露骨に……重装兵型も減ってます!』
(……おかしい。ネストはヤツラの巣だぞ?攻め入られるとして簡単に守りを諦めるか?)
クロノスとして戦う上で特に注意すべきとスーリヤ自身が考えている重装兵型の数が減っていることは、更に疑念を補強するもので。
「こちらサークリウス。連中、露骨に動きが鈍り始めた……こんなの今までなかったよ」
僥倖とは思えない。むしろ――――なにか、途轍もない不運の前触れではあるまいかと。
スーリヤの経験が警鐘を鳴らしていた。
- 37東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/06/13(金) 21:49:53
- 38二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 22:30:09
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- 39ミゾレ◆KPwoT407kA25/06/13(金) 22:31:20
【───────時折、ふと考える事がある。私がこうして男を求めるのは父の愛を受けずに大人になってしまったからなのではないか、と】
【私達姉妹は父の顔すら知らないまま、母に蝶よ花よと育てられた…………けど、所詮人1人の愛情では子供は満ち足りない。だからこそ私は母がくれないものを探しに鳥籠の外へ──────
そこまで頭を巡らせて、一つ思い至った事がある。
───────私、普通に父親いたよな?】
───────
────
──
ん…………ぁ
【夢というものはどこまでも不可思議だ。己を取り巻く前提条件さえも、その世界では溶けて歪む…私の父は至って平穏無事、息災だ。今は隠居し、姉に商会の代表を譲っている】
(…私って、もしかしてファザコンの気があるのか?………いや、けどクマみたいで全然タイプじゃないし)
(流石に考えすぎか…うぅ、頭がまだ上手く回らないぃ…)
【もぞもぞと蠢き、眠りこける隣の男の手を振りほどいて布団の外に転がり落ちる。突き刺すような寒さが全身に襲い来る────当然だ。何も着ていないのだから】
に゛っこうよくぅ〜………
【寝惚け眼を擦りながら、誘蛾灯に誘われる虫のように部屋に差し込む明かり目掛けて足を運び、カーテンを開く。…外はベランダなので、この出血大サービスを見られるのは運良く空を飛んでいたBFのカメラセンサーくらいだろう。流石にそこまで恥を捨てた露出狂ではないという自負はある】
んん゛っ……!きもちいぃ〜…
【大きく伸びて欠伸を噛み殺しつつ、陽の暖かさを肢体に取り込んでいく
───────私…独立傭兵ミゾレ・シラユキの一日は、概ねこうして始まる】 - 40ネスト内描写◆9BZ6kXGcio25/06/13(金) 22:36:03
地下へと続く回廊の先は一切の光がなかった。
「センチュリオン1より各機、照明を付けろ。」
カメラアイと同じ高さにある頭部側面に増設されたライトを点灯させるも洞窟のような、坑道にも似た空間は、遠くへその光を届けない為、パイロットは光学増強も起動した。だが予兆をその光学増強起動時のノイズで小型種の初期照準を見落とした。
殲龍の胸部装甲が白橙色に光った。すぐさま増加装甲を捨て、その不可視の攻撃を回避した。
『大佐、うかつでした。外にいたチビがいます!』
「全機戦闘陣形!撃ち殺せ!動き続ければ死なないぞ!」
暗黒から放たれるそれは、BFが自ら出す発砲炎でさらに発見速度の低下を招いた。
- 41ケイ◆ECPjTIh3Iw25/06/13(金) 23:10:07
- 42エイダン◆Fd5AlHEdkk25/06/13(金) 23:25:31
【AIの警告と顔も知らぬ大佐の怒号が重なる。真っ暗闇の底からチカチカと瞬きを繰り返して、閃光が迫ってくる】
「暗視モード」
【それらをリフレクターで弾き飛ばし、視界の確保を要請。遠くまで見通せるようになった目が、道を塞ぐ新型の群れを捉えた】
【排水溝に詰まった蛆虫を想起させる気色悪さに吐き気がする。立食会で早めに食事を終わらせて正解だったなと、一瞬雑念が頭をよぎった】
「さっさと燃やそうか、気色悪い」
【両翼が動き、鋭いシルエットを描く。猛禽類の狩りの如き勢いで前方へ飛び出し、片手を突き出した】
【そして動き損ねた味方を貫かんとするレーザーを、打ち手を、その周りごと極光が飲み込んでいく】
「キャノンはちょっと危ないし……ここは堅実に」
【明滅を反射して輝く白銀を目掛けて、芸も無くただ撃ち続けられる閃光の横を、蒼白の熱線が通り過ぎる】
【着弾。破裂。頭ごと光を失った新型が崩れ落ちる様には顔すら向けず、Syringe'sは曲芸混じりの射撃を繰り返す】
【淡々と、外すことなく、正確に】
- 43ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/06/13(金) 23:45:05
《うひゃ〜…、とんでもないね〜》
【人類の力の結晶たる極光は、外来生物どもを影すら残さずに消し飛ばした】
【地上構造の攻略が不要になったのは大きい。作戦に関しては予想よりも迅速に終わる可能性が高くなっただろうと推測し、ユスラはエネルギー残量を確認する】
(…大盤振る舞いしなければ、結構持つんだ)
【『エクリプスの燃費はそこまで良くない』、事前に伝えられていた説明は、しかし実戦においての想定が違ったらしい】
【どうやらエクリプスの開発に携わった者達は〈ダークスレイヤー〉という武器の機構、それをレーザーブレードとは異なり、ビームサーベルのように光刃を常時展開して運用するものだと想定していたのだろう。展開中の常時消費と、斬光の射出による瞬間消費。その二つを加味した上で、〈エクリプス〉は平均レベルの戦闘時間を確保できるようだ】
【つまるところ、温存したユスラは他の機体よりも少しだけ余裕がある】
《小隊全機に通達だよ〜。敵の攻勢が緩んでるから、スーリヤ大尉の小隊と補給行ってくるんだよ〜》
【もはや手慣れた武士級を楽々と処理して、余裕を見せつけるように遺体へと大剣を突き立てる】
【内部の守りを固めに行ったのか、それとも此処を放棄するつもりなのか、インベイドの動きは鈍っている。反撃の可能性も考えると、ここで一度補給を挟むべきだ。その点はきっと、スーリヤも同じ判断をするだろう】
(…スーリヤちゃんも、疲れてるみたいだし)
【ビームサーベルの突き刺さる遺体へと風穴を開けるサークリウスを傍目に見て、エクリプスを前へと陣取らせる】
【エネルギー残量にはまだ余裕があるものの、残弾に関してはそうでもない。特にHEATマシンガンは一割ほどしか残っていない状態だ】
【そして慣れない実体剣は重量を加味した制御を求められ、スラスターユニットに関しても同様に、ユスラはリアルタイムで複雑怪奇な機体操作を意識して修正を加え続けてきた】
【それでも無自覚の内に、自身の疲労を棚上げしてしまうのが、染みついた『おねーさん』の仕草なのだろう】
- 44ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/06/14(土) 00:21:52
【仲間を守る盾として、障害を打ち砕く鎚として、突入部隊の先導をしていた殲龍……】
【だがそこへ、突如としてギョロ目からの光撃が襲い掛かる!】
羅! 良い判断した奴を後ろに下がらせろ!
センチュリオン4、5、6! その間にチャージ25%! 前出て1発ぶちかませ!
他の兄弟は全員自分より前に出た仲間の援護に徹しろ!
「「「「了解!!!!」」」」
【攻撃を一身に引き受けていた所へエイダンも参戦! 戦況をすぐさま立て直す!】
「すまない!」「気にするな! それよりもよくやった兄弟!」「後は任せろ!」「行くぜ!」
【ガンガンゴン!】
【すれ違いざまに背中を叩いて見送ると同時! まばらに照らされる回廊に、闇を晴らす光玉が瞬く!】
「チャージ完了!」「いつでも!」「決められるぜ!」
りょーかい! エイダン殿! 合図と同時に全力で上に飛んでくれ!
- 45スーリヤ◆ECPjTIh3Iw25/06/14(土) 00:25:21
「ユスラちゃん、これ持っていって」
自分の前に出ていくだろうエクリプスに対して、スーリヤのサークリウスが左手に持つマシンガンのグリップを向けた。
スーリヤはあちこちの戦場に出ている都合で、実弾系装備に対しての造詣が深い……エクリプスに手渡そうとしているのは、リロードを済ませた残弾10割のマシンガンだ。弾持ちが良く、そして命中精度も高い。
インベイドを殺すのに不足はまるでない、いい装備だ。
「予備弾倉も置いておくから、私が戻ってくるまでは保つと思うし。どうせ予備のマシンガンはあっちにもあるだろうから」
彼女が自分の疲労を棚上げしていると、分かっている。
「私の機体はこういう長期戦向けだから、他の機体より早く戻ってこれる」
だけど、それを知ってなお一緒に下がろう、または自分も残るとしては……きっとユスラは納得しないと、何となく思った。
「まぁ、ゆるーくね? すぐ戻って手伝うからさ。皆のお守りと引率は任せて」
だから、それは折衝案だった。おねーさんの友人として。ユスラを最大限気遣うための。
スーリヤは笑った。
- 46サンフラワー◆fDey8JUvvk25/06/14(土) 01:09:51
「あら、ごめんなさい」
【急に冷たくなった、という自覚はなかった。この天才は単に歯に絹を着せぬだけであり、それが偶々明るく温かく聞こえる事が多い、というだけなのである】
「見難い……新型の」
【光学増強を起動、有機的な坑道内で巨体を掠らせることもなく飛ばしながら、あの新型に待たれていると思い至る】
【一瞬おいて、小型の新型に依る攻撃、それに対する反撃の発砲炎。悪化する視界。】
「しかし初動は十分!」
【よく反応した、と称賛した】
> >42
【叫んだテンションのまま、飛び出していく白銀翼とビットをスイッチし、戦闘陣形を組み直すグループも含めて円陣を敷く】
【見えないならば、見えるものだけ見ればいい】
【センサ内のBFの動きを見て、その動きそれぞれに合わせてこちらが動けばいいだけだ】
- 47ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/06/14(土) 10:20:57
《スーリヤちゃん…》
【軽くなったHEATマシンガンをパージして、サークリウスの差し出す実弾マシンガンを握る。エクリプスのシステムプログラムに新たな銃器が接続され、十分な残弾数が表示された】
【中距離における利便性と火力の両立。ブーストや他の武装に回したい機体エネルギーの温存。そういった観点から、ユスラはマシンガンを好む。だが無論、発射レートの高い武器は残弾の減りも速い。あくまでサブとしての運用ならそれなりに持つが、スーリヤは弾切れ間近であると気付いていたのだろう】
【本当に、目聡いことだ。もしかすると彼女は、自分以上にユスラを見ているのでは無いかと思えてくる】
《無理すると腰がしんどい歳だからね〜、ゆるくやらせてもらいますとも〜》
《だからそっちも、ゆっくりでいいからね〜?それじゃ、任せたよ〜》
【前へ出たエクリプスのヘッドが、笑い返すように一瞬振り返ってから、鋼鉄の双翼を広げた】
【スーリヤに心配をかけているのだろうとは、流石のユスラでも薄々分かる。だからこそ彼女は気遣いと尊重の、折衝案を選んだのだろうということも】
【全く勿体ないほどに、善き友人を持ったものだ】
【その手応えを確かめるように、左腕武装のトリガーを引いた】
- 48スーリヤ◆ECPjTIh3Iw25/06/14(土) 11:28:57
「任せて……!それじゃ!!」
笑い返すようなエクリプスの振り返りに、サークリウスのヘッドは頷きを返して。
背中合わせでサークリウスも翼を広げてスレイガン達を率い、補給拠点へと全速力による移動を開始した。
「全機。補給は焦らず、しかし素早くやるよ!エクリプスをぎっくり腰なんてさせたら私らは末代まで基礎教育課程までやり直しだ!!」
あえて脅すような声を出し、スーリヤは自分が預かったユスラの小隊機へも平均以上を求めていく。
武装、弾薬、コア粒子の補給、そしてサークリウスへの追加装甲の取り付け直し。
機体本体の強度と継戦能力を追求しているがために、サークリウス自体の補給は手早く完了する。
(不安要素としては、本体部分にまで射撃兵型のダメージが入ってるところだけど……!)
サークリウス本体は整備性がスレイガンと比較してもあまり良くない。野戦整備で回復は難しいだろう。
――――盾となる役割は変わらないが、当て所を考えていく必要があるかもしれない。
スーリヤはそう判断しながら、補給所にあるマシンガンを左手に持たせ、ミサイルも再装備する。
追加装甲各所への予備装備――――ハンドガンや予備弾倉、ナイフなど――――の追加も完了した。
「ほら急げよ?魔女の婆さんは業を煮やしたら、ガキを食っちまうからね!!」
若者の成長のため、補給所でのスーリヤは悪名高い古参兵らしく獰猛に笑んでいた。
全ては、友人のため。
彼女は世界を地獄で煮込むような顔をしながら、友を包む海でありたいという矛盾を抱えていた。
その矛盾を、とても心地よく思っているのだ。
- 49二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 20:51:38
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- 50エイダン◆Fd5AlHEdkk25/06/14(土) 20:52:53
【前方から放たれつづけているソレよりも、はるかに眩い光が背中に触れる】
【ストラクチャーの強撃とは似て異なる気配にAIが警告を鳴らし、同時にスピーカーから馴染みのある声が聞こえてきた】
「OK、頼んだよ」
3,2,1 ─── Go!
【返答してすぐに始まったカウントに息を合わせ、合図と同時に勢いよく飛びあがる】
【そのすぐ下を駆け抜けていった光の奔流を見て、思わず口笛を鳴らした】
「ヒュー……。さすが、うちのロマン砲を好むだけはあるね」
【感心混じりの一人言を呟きながら、油断なくライフルを構え直す】
【幸運にもあれを避けられた個体がいるか、もしくはG-3の時のような乱入が起こらないかを警戒して】
- 51東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/06/14(土) 21:20:54
- 52ミゾレ◆KPwoT407kA25/06/14(土) 21:29:57
【───────BF乗りには多かれ少なかれ命知らずの気がある。特にこうやってインベイドやBF同士で命のやり取りを交わすもの…その中でも】
ラスト。取った
【“一撃でも当たれば致命傷の軽装甲BF”を好き好んで駆る者。故に彼女を知るものは、彼女を“スーサイド(死にたがり)”と呼ぶ】
───────
────
──
まいどありぃ〜…
【“紙製資料輸送任務”の報酬金を受け取った後、ミゾレはそれをどのように散財しようか頭を悩ませていた】
結構インベイドが出没しやすい地帯を通る代わりに高額だったから…使いどころに困るね。修繕費を加味すると……………と、その前に
【資金を使い切るのもそうだが、ミゾレは今…共にその依頼を請け負った“デスペラード”を探していた。目的?そんなもの───────】
(まさかこんな倍率低そうな依頼に同業者が来るなんてねー…それに結構サッパリめで私の好みな方だったし!こりゃ是非とも夜のお供をしていただかなくては!)
【───────“性欲”。この2文字で事足りるのだ】 - 53グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/06/14(土) 21:33:50
『ああ........私は、悲しい........』
安息日の昼下がり、神父は落ち込んでいた
半ば騙したような形で下士官を連れて行き、
タチの悪い事にその地雷を善意で踏んだ挙句
気分を害してしまったのだから。
『私は、神父失格というものです...』
なので今日は改めて聖書を読み返し、
一日中反省に努める事に決めたのだった
....のだが。
─────────────
──────────
───────
『スヤァ...zzz』
心労は反省よりも先に睡魔を送り...
疲れていた大尉は即寝落ちたのであった
少年時代と同じく、聖書を枕にして。 - 54ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/06/14(土) 22:02:31
【己の残像すら降りきって、戦場を駆け抜けるBF。それに気を取られた突撃兵級の頭を鉛玉が抉り取る】
───!
「よし、と」
【出所を探ろうと他のものがバラけようとしたところを、チャージを終えた電子パルスが焼き焦がす】
【目立つ人がいると助かりますね。ビデオに映された機影を見つめながら、シルヴェストルはそんなことを考えた】
───────
────
──
「今回はかなり節約できましたし……ズークに足を運んでも良いかもしれませんね」
【メモ帳に書きつけた今回の出費と収入の計算結果を眺めて、ひとり頷く】
【今月で捌けた情報代も含めると、稀覯本を一冊買えるくらいの代金が貯まったのだ】
【久々に本棚の隙間を埋められる日が来たかもしれないと思って、つい満足気な笑みを浮かべてしまう】
「ふふっ、これは楽しみだ。……おや」
【メモ帳を閉じて顔を上げた先に、記憶に新しい人が見えた】
【育ちの良いもの特有の振る舞いを残滓として漂わせている女性】
【シラユキ財団の家出娘にして、今回の同僚】
「どうも、ミゾレさん。今日はありがとうございました。何方かお探しですか?」
【刹那的な享楽者。ミゾレ・シラユキ】
【何かを追っているような視線で辺りを見回していた彼女に、シルヴェストルは愛想よく尋ねた】
- 55グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/06/14(土) 22:06:30
─────────────
──────────
───────
『────くぁ、もう朝........じゃねぇわ。』
『(白夜か...相変わらず紛らわしいな、ココ)』
・・・・・・・
{───隊長!アレクサンドル隊長!}
『ん?敵か?』
{はい!小規模なインベイドの群れが、
こちらに少しずつ接近しつつあります!}
『ハハッ、一週間前に潰した生き残りか....
よし!レーション喰ったらBFに乗り込め
オレが指揮を執る、後援に2機...支援に2機
臨時基地に1機残して一網打尽にすンぞ!
陣形は鏃....でオレが先陣を切る、伝えとけ』
{サー、イェッサー!}
『応!少しは返事が板に付いて来たか?』
{サー!イェッサー!!!}
『...全員生きて討伐して帰るのが満点だがな、
生きて帰っても及第点ってのを忘れんなよ?
死にそうになったら逃げろ、穴は埋める』 - 56グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/06/14(土) 22:07:49
- 57ケイ◆ECPjTIh3Iw25/06/14(土) 22:19:31
- 58二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 22:30:19
このレスは削除されています
- 59ネスト内部描写◆9BZ6kXGcio25/06/14(土) 22:41:18
「うわあ!来るなって!「来るなよっ!「撃て!撃て!」
回廊側方の小さな穴から湧いた30ほどのラットにより、随伴の200近い歩兵がそいつらの飯となった。そんな仲間諸共、スレイガンカスタムはインベイトを排除する。硝煙の後には静寂が広がった。
この回廊の移動中は最初の会敵と、先ほどのラットに会ったくらいで金龍機から聞こえる不釣り合いなポップス以外は静かであった。
「スホイ11より、粒子濃度がこの先高くなってる、パイロット各員、ヘルメットの気密を確認してくれ。」
環境偵察特化仕様のスレイガンカスタムから通信が入った。
奥には開けた空間が見えてくる。壁全体が淡い青に光っていてーーー
《Danger! The particle concentration in the air is far above the legal limit!》(危険!大気中粒子濃度が規定量を大幅に超えています!)
その空間は一般的なBFの遮蔽ではどうしようもない程の粒子濃度であったのだ。
- 60ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/06/14(土) 22:45:36
兄弟! カウントォ!!!
【ガシャン!】
【ライフルを水平に構え、意気揚々としている熱血漢は対衝撃体勢に移行する!】
3,2,1……GO!!!!
【ZQWWWNNN!!!】
【粒子と血と灰と金属に塗れた地面を削り、3本の轟が無志の存在を屠り穿つ!】
『レーダー、多数の消滅反応を確認』
上出来だ! そのまま第2陣! バアルが出るまで前線を保たせろ!
「「「了解!!!」」」
- 61ミゾレ◆KPwoT407kA25/06/14(土) 22:46:36
おや…
【ターゲットを見つけると、驚いたような表情を見せつつすぐさまにこやかに返す】
名前、覚えていただき光栄です…こちらこそありがとうございました。ルコックさん
捜し物…強いて言うならば貴方、でしょうか?
…立ち話もなんですから、どこか落ち着ける場所で語り合いいませんか?
【“戦場カメラマン”としての彼の名を呼び、今日見知ったばかりの戦友へ、早々に本題…にもなり得る誘いを持ちかける】
私請け持ちの祝勝会みたいな…迷惑でしたら、引き止めはしませんが
【死線を潜り抜けた人間というものは得てして繁殖欲求が高まるのか…こうして“遊び”を持たせた誘いであろうと宿屋を選んで自分を手篭めにしようとしてくれるものだ。だからこそミゾレは自ら過度に品位を貶めるような物言いはしない…この地獄の様相を呈する世界では、“清貧な女”は貴重なステータスだ】
【…尤も、清貧が過ぎるせいでスーサイドと恐れられ、普段の傭兵仲間からの付き合いはあまり良いとは言いきれないのが悩み所ではあるが】
- 62スーリヤ◆ECPjTIh3Iw25/06/14(土) 23:00:57
「全機、補給終わったね!?……行くよ!!」
ネスト内部での戦闘が熾烈さを増し始めていた頃、スーリヤが預かっていた己の小隊とユスラの小隊の補給が終わった。
サークリウスを含めて合計6機の編隊が前線に向けて……エクリプスがいる場所に加速をかけていく。
重金属雲による電波障害などは現在確認されていない。そうならないように作戦は最善を尽くされている……レーダーも問題はない。
そして――――。
「遅い、ね!!」
目の前に突っ込んでくる騎兵型に対し僅かに右へずれるように機動したサークリウスの左側へ、特徴的な角が空気を突いていく。
スーリヤはその横を通り過ぎながら、振り返らない。
振り返らないまま、マシンガンによって側面に穴を空けて絶命させていたからだ。
戦意のままにスーリヤが叫んだ遅いという言葉は、実際この戦場では正しかった。
本来パフォーマンスが落ちるということのないはずのインベイドたちの動きは、何かが原因で目に見えるほどに鈍っている。
(気に食わないね……相手が弱いのは良いことのはずなんだけども……!!)
そのまま滑走する勢いを借りつつ、マシンガンで射撃兵型の群れを部隊で潰す。
レーダー上には確かにエクリプスの反応がある。
「ユスラ!! 全員連れてきたよ!!」
言葉は少なく、しかし戦場の戦線を作る部隊がまた一つ交代で下がるのを見ながら、エクリプスの近くでマシンガンとビームライフルによる射撃を行った。
- 63モカ◆KPwoT407kA25/06/14(土) 23:02:03
【インベイドの弱体化。それが何を意味するものかを“対インベイド部隊”が理解していない筈もなく】
「消化試合か、はたまたとんでもないやぶ蛇か…とかく今は温存よ2人とも〜」
【…温存とは言うが、オーグメントタイプBF達の進む道はインベイドの体液で舗装されていく。そんな中───────】
………待った。この先、とんでもない量の輝きがある
【モカの“コアパーティクルカウンター”が、その危険を正確に察知したのだ】
「インベイド御用達フロアってワケね…ここいらであの警戒色大佐ご自慢のジョーカ装置の出番っつー感じ?」
「た…確か浄化中はインベイドが集まるって、言ってたよね……………ふひっ…………ふひひひひ………!」
- 64ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/06/14(土) 23:22:13
(1/2)
【補給が終わるまでの間、単独で殿を務める】
【普通に考えれば愚かな行為だが、生憎とこの程度はユスラにとって慣れている。その為に専用スレイガンを、そして現在のエクリプスを使わせて貰っているのだから】
【寧ろ今回は─────】
(やる気無っしんぐ、って感じだね〜)
【あまりにも温い。自棄のように追加された照射レーザー型も、重ねなければ装甲を焼けない半端者だ。鈍重な機体では厳しいものがあるかもしれないが、エクリプスからすれば射撃兵級の方がまだ相性が悪い】
【空を舞う黒曜はミサイルとマシンガンを放つと、重装兵級のビームをひらりと躱しながら急降下していく。ミサイルはエクリプスを狙っていたレーザー型と射撃兵級を巻き込んで複数撃墜し、マシンガンの連射は重装兵級の射出孔を食い潰す】
【倒れる重装兵級の横を急降下する中で左腕のマシンガンをハンガーと入れ替えつつ、騎兵級へと大剣を叩きつけて両断。突撃兵級達は降って湧いたエクリプスへ向けて襲いかかるが、回転斬りにて迎撃されて屍となる】
【その隙を狙い澄ますようにカタナを構えた武士級が、東洋に伝わる縮地術にも似た動作で───】
「ば〜か」
【瞬時に音を超えかけた刃は振るわれる事なく、武士級は跪くように体勢を崩す。エクリプスが突き出しているのは、短銃のようなハンドガン】
【“銃崩し”。それは“連弾”と同じく、ユスラが一人で鍛え続けた技術。高衝撃力で相手の運動の出鼻を挫いて、体勢を破壊する】
【最も以前に見せた“連弾”がそうだったのだが、習得に必要な時間とリターンが明らかに釣り合っていないため、“銃崩し”も明かしたところで真似をする者は居ないだろう。それでもコソ練をしてるという印象を一欠片でも抱かれれば、『サボり魔なおねーさん』のブランドイメージに関わる。フランクな接しやすいキャラ作りの為には、こういうのは人前で見せない方が都合が良いのだ】
【あとまぁ、普段からちゃんとやれみたいに言われると、面倒臭いし】
【横殴りで腹を砕き、大きく振りかぶって力任せのような袈裟斬りで武士級をオーバーキル気味に破壊して吹き飛ばす。遺体砲弾は綺麗に後続の突撃兵級にぶつかって隊列をグシャグシャにした。爽快なストライクである】 - 65ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/06/14(土) 23:24:25
(2/2)
《おかえり〜。もう消化試合って感じだし、あんま気張らなくて良さそうだよ〜》
【さっきの、見られてないと良いんだけど。と、想定よりも早く戻ってきたサークリウスへと気の抜けた声を返しながら、ユスラは自身の株価上昇の危機に内心で焦る】
【スーリヤだけなら良いのだが、それ以外…特に自身の部下にはバレたくない。唯でさえエクリプスの事と、“連弾”だけで危ういのに】
【冷たいロビーベンチに横たわるという唯一の安らぎ…言ってて悲しくなるが、ユスラのラストサンクチュアリが『有能イメージ』によって侵略されるのだけは避けたいのである】
〘エネルギー、残り30%〙
【しかし補給が早々に終わったのは喜ぶべきだろう。ユスラの疲労は無自覚の内に集中力を切らし、機体モニターに映る警告を無視していたのだから】
【大剣とハンドガンをハンガーに納め、マシンガンと重リニアライフルを構えたエクリプスは、隣に並ぶサークリウスに倣うように射撃戦での制圧を目論む】
【所詮は残党狩りだ。脅威となるような個体は視認できず、前に出ても邪魔になるだろう】
【それにこれ以上、不要な心配を友人にかけるのも、忍びない。ただでさえ、彼女にはいつも助けられているのだから】
- 66ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/06/14(土) 23:46:53
【ふむ。と表向きは変わらないまま、誘いの意図を考える】
【和やかに一対一を持ちかけてくる相手の典型例は二つ。小遣い目当ての不意打ちか、ちょっとしたアバンチュールか】
【今回の報酬は実入りが良く、仕事ぶりで差が生じるわけでもない。そして、彼女が金に貪欲なタチとは思えない】
「いいえ、構いませんよ。……この近くなら、ここが良いでしょうか」
【内ポケットから取り出した端末の画面を見せる。表示されているのは2階に宿屋を設けた居酒屋だ】
【自分も何回か利用したことがある】
【男女二人組の客が多く、賑やかで、出されるつまみと酒は場の盛り上がりを助ける味がした】
「私も聞きたいことがあったので、ちょうど良かったです。早速、向かいますか?」
【お互いの疲れを労うにも、その先へ進むにもちょうど良い場所】
【もし、渋られたら少し考える必要があるが。まあ、その時はその時だ】
- 67ミゾレ◆KPwoT407kA25/06/15(日) 00:10:06
本当ですか?よかったぁ…!
【断られたらどうしようかと…などと、わざとらしく焦ったような喜びをして見せる】
【デスペラードにしては清潔な風体。そのような紳士が男としての本能のままにラブホテルに連れ込む可能性は元より可能性は低いものであると高を括れる…先程の誘いは“単なる飲み会”と捉えられても違和感のないように敢えて真意を含めてはいなかった】
【“過程”を重視するのであればその様式に合わせるだけのこと。酒の席にてそのような雰囲気に持っていけば良いだけなのだ。なので誘いを了承してくれた時点でミゾレの目論見は一歩進んだ、ということになる】
ん…中々良い場所だと思います。私に異存はありません
では早速…向かいましょうか?
【端末に記された場所へ、特別はしゃぐ様子も見せず足を運ぶ…その道中で、自身が女性であることは殊更主張はしなかった。相手が相手なら扇情を煽る事もあるが、生憎、今日の気分は控えめに、じっとりと仕掛けていきたかったのだ】
それにしても、貴方から私に聞きたいこと…ですか
【…シラユキ財団についてだろうか。ミゾレ自身、己がそこから勘当された身であるということは特別隠しているものではないが…】
- 68オイゲン◆8meUu6AaJY25/06/15(日) 00:41:51
- 69サンフラワー◆fDey8JUvvk25/06/15(日) 00:46:00
「今のはラットの」
【排除お疲れ様です、と当たり前のことは流石に言わない】
「それにしても静かです。このバアルからしっぽを巻いて逃げ出しましたかね?」
「であれば考えられる最善の手です。インベイド……。」
【賞賛、というよりは忌々し気に。焦りではなく、事実を認め、その上で憎しみを向ける】
【環境偵察特化仕様のスレイガンカスタムから通信が入った。奥の開けた空間も捉えた】
「気密問題なし。バアルは先行し周囲の安全を確保します」
【空間へ機体を進めた。インベイドのネストへ侵攻し、制圧する為の特別機たるこのストラクチャーは、そのサイズからして一般的なBFとは遮蔽能力の桁が違う】
【スカイグレーの塗装が淡い青色の光に照らされ、怪物の躰を美しく彩った】
「これだけコア粒子濃度が高いと、粒子反応レーダはあまり頼りになりませんね。光学センサにて対応します」
【この空間を自らの領空とすべく、ビットをローテーションさせながら飛び回らせ、画像識別による判断のみで速射砲の照準を絞り込む】
- 70ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/06/15(日) 01:03:16
【わずかに演技が入った喜びの表情を眺め、連れ立って歩く。件の居酒屋は十分もかからない場所にあった】
【自分たちと同じく任務終わりなのだろうか。額に汗を滲ませながら、酒を飲み交わして肩を叩き合う二人組がいる】
【かと思えば、カウンター席で手を重ねあって、睦言を交わす男女がいる】
【そんな十人十色の様相を横目に、店員へ示された窓際の席へと腰を下ろす】
【メニューを手渡しながら、こぼされた疑問に微笑を添えて答えた】
「はい。写真の掲載許可と、ちょっとしたインタビューをお願いしたいのです。もちろん、代金はお支払いします」
【差し出したメニューの横に、一枚の写真を置く。ほぼブレていた中から、奇跡的に見つかった戦闘中のギフトの完全な姿である】
【戦場カメラマンとして、これはぜひ使いたい。インタビューも併せて寄稿すれば、けっこうな収益が見込める】
- 71ミゾレ◆KPwoT407kA25/06/15(日) 01:28:13
えーと、それじゃあ………あった。カルーアミルクで
【メニューを手に取り、己の十八番を店員に注文する】
【カルーアミルクは甘口で飲みやすく…故に多量に飲んでしまい“悪酔い”もしやすいカクテルでもある。テーブルに運ばれたそれを眺めつつ、質問に応答する】
あー…確か戦場カメラマンなんでしたっけ?
【あの任務中、ちゃっかりBFの撮影なんかやっていたのか…などと言わんとする、呆れたような顔になる…撮影にかまけて支援が怠わられていたとは露ほども感じてはいなかったので、そこに引いた訳ではない。寧ろそれは、自身の危険を顧みない行為であり】
(───────この人も、自分の命を大事にしない人間か)
【惹かれたのだ。己にも似たスーサイドの気配に】
代金は要りません…と言いたい所ですが、そこまで断るってしまうと気味が悪いですからね。受け取ります
まぁ…程なくして全部使い切るつもりですが。お金が惜しければ取材費をケチることをお勧めしますよ?
【いたずらっぽい表情で舌を出しつつ、“事実”を述べる。金を湯水のように消費する成金のような浪費癖と、贅沢を好まない清貧な気質】
取材に応じましょう。なんでも聞いていただいて構いませんよ?
【その両方を兼ね備えた異常者こそが、ミゾレ・シラユキという人間である】
- 72スーリヤ◆ECPjTIh3Iw25/06/15(日) 11:33:28
「ただいまぁ。私一人でも良かったんだけど、任されちゃったからね!!」
サークリウスは機体整備に関してはともかく、増加装甲類や装備に関してはとにかく補給が簡便化されている。
マシンガンもミサイルも、そしてコア粒子も万全とかした黒岩がエクリプス以上の火力を丁寧に吐き出して、射撃兵型や重装兵型といった射撃戦での脅威度が高い順に撃ち殺していく。
やってきた順はサークリウス、スーリヤの小隊、そして最後にユスラの小隊機だ。
「しかしほんと、動きが鈍くなって……いや、分かってるのは私らくらいかね?」
少し遠くで戦闘を展開しているスレイガン部隊は殲滅にいっぱいいっぱいなところを見るに、これを俯瞰してみた場合は……上は違和感など感じることができるかどうか。スーリヤは不安を喉の奥に抑え込んだ。
(終わった後にでも考えれば良い、か)
ひとまずはそう考え、そうだ。と秘匿回線をユスラと繋ぐ。スーリヤとだけ話ができて、周りには漏れない会話だ。
「かっこよかったよ、ユスラちゃん」
何が、とは言わない。スーリヤだけが見て、スーリヤだけが見惚れた……エクリプスの行った数々の動きのことだ。
無茶してるとも、無理してるとも叱責はしない。
ただ、その狩人の如き動きは純粋にスーリヤにとって……一つの憧れでもあったのだ。
(後で教えてもらえないかな)
「コア粒子残量、危険そうでしょ? そっちも補給に戻って……あ、ここ離れるのが嫌なら、これ使ってね」
たった一人で戦場の一つを抑えていた……その時点で疲労は相当であろう。
本来なら一度休憩してほしいが、膝裏に仕込んであるコア粒子貯蔵タンクをエクリプスに見せながら、使っていいよと示す。
周りをスーリヤの小隊が囲み、簡易的な補給体制を作ってくれる。
- 73ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/06/15(日) 11:59:43
いや、そいつらにまで意識を割かなくても大丈夫だ
【前線を維持しながらバアルが前に出て来たのを確認すると、メビにランドセルを呼ばせる】
【その後ろには、完全密封されたコア結晶が鎮座した巨大な立方体が積まれていた】
ここで"大空転塊"をお披露目するとしようか
黒弓と紅鏡、ここから先の輸送と設置、援護は任せた
担当BFは、そちらの部隊長の指令でコード送信を始めろ
「「了解!!」」
【威勢のいい応答を返し、1機の殲龍がランドセルから背部に"大空転塊"を早速移し変える】
「紅、慎重にそーっと運ぶんだぞ?」
「黒、言われなくても分ぁーってるよ」
「いつも鴨蛋を落っことしてるのは誰だ?」
「いっつも同じ事しか繰り返してねぇのは誰だよ?」
【ククカカと笑みと言葉を投げ合い、一連の作業を終えると部隊中央列に戻る】
よーし! 未だに喋れる余裕があるなら、俺達は敵無しだ!
いつ何時であれ、談笑できなくなった時に人は死ぬ物だからな!
このまま意気軒昂にバアルに続くぞ!
「「「「了解!!!!」」」」
- 74エイダン◆Fd5AlHEdkk25/06/15(日) 12:16:21
【敵の勢いが目に見えて落ちている】
【破れかぶれな新型を投入してきた時点で、敵のリソースが余裕を失っていることには気づいていた】
【その上、巣にまで入り込まれている事態は、インベイド側としても前代未聞だろう】
【時間稼ぎが終わって、撤退を始めたと考えるのが妥当だろうか】
【用意周到な連中のことだ、緊急時の避難通路の一つや二つ、拵えていたとしてもおかしくはない】
「急いだ方が良さそうだね。今ごろ、急いで階段を駆け上がってるかもしれないし」
【偵察役の忠告に従って、装備の状態を確認する】
【Syringe'sは速さのために防御を捨てたピーキーだ】
【そのため、着用しているパイロットスーツやヘルメットの気密性能は、従来のそれよりも高く仕立てられている】
【……問題は無し。長時間滞在しなければ、体に支障をきたすことはないだろう】
- 75ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/06/15(日) 12:50:47
「ご協力、ありがとうございます。……それと、取材費は必要な分だけ使いますので、お気になさらず」
【協力への感謝を丁寧に述べながら、愛らしい茶目っけを被せた忠告を謹んで退ける】
【良質な文章を作るための費用は惜しまない】
【カメラマンとしても作家としても、そこは絶対に曲げてはいけない姿勢だ】
【先人に向けたリスペクトと、筆で飯を食う職業に就いてる者としてのプライド】
【今の自分の足場を支えている二柱を崩すような真似はできない】
「祝勝会の場をお借りするわけですから、手短に済ませますね。……先ずは、あなたが戦場を駆ける理由から、お聞かせ願えますか?」
【ほどなくして、注文したカルーアとカシオレがそれぞれの前に届けられる】
【同時に置かれたつまみのオードブルを挟みながら、メモに筆を走らせる準備をとって、シルヴェストルは取材を開始した】
- 76ミゾレ◆KPwoT407kA25/06/15(日) 13:22:53
乾杯。
【グラス同士を軽く合わせた後、カルーアミルクに口をつけつつ神妙な面持ちで最初の質問に答える】
…この世界で生きるため、ですかね?
今は傭兵やってますけど、これでも生まれは自慢できる方なんですよ。人並みの生活、人並みの食事、人並みの幸福…望むものすべてを労せず掴める。
─────私を取り巻く世界は、ひどく狭い箱庭だったんです。それに気付いた時…生活も。食事も。幸福も。全てが薄っぺらく見えるようになりました
私は17年もの間、本当の意味でこの世界で生きてなんかいなかった。
【グラスに映る紫の双眸には、自らの生まれを憂い、呪うような眼差しで言葉を紡ぐ】
【財団や企業といった、余裕や資産を持つもの全てを忌み嫌っている訳ではない。現シラユキ財団当主たる姉の辣腕は勘当された身といえど素直に賞賛に値する。能力のある人間には、それに見合った褒賞を受け取る権利がある】
【───────ただ】
不自然な人生を歩んできたツケは、不自然な生き方でしか支払えない。私の存在を擦り切れるまで削って、私は初めてこの世界で生きられる…
それが、私が戦場を駆ける理由です
【自分は生まれに見合わない“無駄の多い人間”であり】
【人並みになるにはその無駄を削ぎ落とす以外に道はないのである】
- 77グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/06/15(日) 16:01:56
『────よォし...来やがったぜ!』
突撃兵級と射撃兵級が数体、重装級が一体
しかしその身体には治りかけの傷跡がある
つまりは"歴戦の個体"というものに認定され、
ある程度難易度は上げて考えねばならない。
蜚蠊が身の危険を感じた時に漸く飛び方を
思い出すように、死線を潜り抜けた生物は
一段階レベルというものが上がるからだ。
[隊長!陣形は先に決めていましたが、
戦術を決めていません!どうしますか!?]
『そうだな........よし、"バーガー戦法"で行く
聞こえたか?聞こえたなら返事しろ!』
[{〈サー、イェッサー!〉}]
バーガー戦法....それは三段階の速攻を、
①突撃して切り込む(ピクルス)
②間髪入れずに潰す(ハンバーグ)
③両側から挟み討ちにする(バーガー)
というふうに準えた戦術の一種である
『こっからはスピード勝負だ!良いな!』
先陣を切ったBFは両手に武装を展開した。
それは初期型のビームサーベルであり
安定して展開する為の距離の都合上、
片刃の斧のような形状をしていた。また
ビームとしての太さも現代のものより細い
ちなみに兵士からの通称は"糸ようじ"だ。
- 78ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/06/15(日) 16:18:05
【サークリウスの弾幕、その密度はエクリプスの比ではない。黒曜が戦闘機めいた鏖殺を得意とするように、黒岩は艦船のような圧殺。対多における殲滅力のアプローチが違うのだ】
《あんまし気づいてる人は居なそうかな〜》
【インベイドの動きに違和感を感じてる者は少ないのだろう。或いはストラクチャーへの信仰から、インベイドが慄いたと無意識に思ってしまうのか。それとも単に余裕が無いだけか】
【後者の可能性が高そうだ、とやや遠方のスレイガン部隊を見ながら、轟音を響かせて重リニアライフルを放つ。肩部武装を手持ちにしたゲテモノが武士級の胸を貫いて、刀腕が地に落ちた】
《え、えへ〜…》
【ふと秘匿回線で伝えられる友人からの純粋な称賛に、なんと返せばいいか困ってしまう。部下や上官であれば適当にいなしてしまうが故に、真っ当に言葉を受け止める経験がユスラには不足していて】
【要するにこの34歳、照れていた】
《お、気が利くね〜。んじゃ、ちょっと失礼〜》
【幸いだったのは話題がすぐに変わったことと、エクリプスのムーブメントを他の機体には見られていなかったことだろう】
【無論戻るという選択肢はハナから無く、簡易的な補給体制の中で、サークリウスの貯蔵タンクからコア粒子を補充させてもらう。そして何も言わずとも察したのか、ユスラの小隊は前衛を務めるように一歩前へ出て弾幕を作った】
《……いつもありがとね、スーリヤちゃん》
【50%あれば持つだろう。エクリプスの補充の最中、瓶詰めの栄養ドリンクで頭痛薬を流し込んで疲労感を誤魔化したユスラは、伝えきれない感謝を言葉にしながら補給を終える】
《さ、ラストスパートだよ〜。まったりやろうね〜》
【消化試合だからこそ、焦らずに。微塵の覇気も感じさせない声で、昼行灯は周囲を鼓舞する】
【一度補給したとは言え、一休みで疲労が取れるわけではない。だからこそ緊張しすぎず、油断しすぎずのバランスが大事なのだ】
- 79グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/06/15(日) 17:58:23
『(横から潰すなら頭に傷を入れて...いや、
より脆い傷跡を狙う方が深く抉れる筈....)』
身体を起こす重装級の身体を駆け上り、
傷を狙って二つの光刃をめり込ませると
煙と共にバシ"ュッ...!という鈍い音が鳴る
それは体表面の肉が熱により破裂・蒸発し、
傷口を深く開かせた事を示す音であった
そして、その傷口は亀裂を走らせていき
全身の傷を再び開かせてしまった
【──────────ァ"ァァァッ!!!】
本来、重装級の弱点は一点のみにしか無く
それ故に痛みへの耐性というものが低い。
幾ら傷を負った経験があるとはいっても、
そう簡単に痛みには慣れないものである
〈オラオラオラァ!ブッ潰れなァ!!!〉
【【──────ッ!!!ッ!!!】】
間髪入れず、帯電式棍棒による攻撃が
混乱している群れへと振り下ろされると
その電撃は傷付近の血液を沸騰させ、
変質した蛋白質が焼けるような痛みを
インベイドたちへともたらしてくる。
そして、瞬時に先の二機は離脱して
トドメは最後の仕上げへと譲る形となった
- 80ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/06/15(日) 18:16:52
「なるほど……。貴方は、生に正直なのですね」
【やはり、取材はいいものだ。過去を憂う瞳を見つめながら、そう思う】
【外から調べた情報だけではわからない事柄を、当人の口から情感たっぷりに聞くことができるのだから】
【余計な口を挟むことなく書き写した言葉を眺めながら、享楽的という評価を改める】
【ミゾレ・シラユキはストイックな人間だ】
【自らが定めた生き方にどこまでも従うので、その刹那しか見ていない者には誤解を与えやすい、とした方が適切な気がした】
「では、次の質問に移りますね。戦闘中は何を思っていらっしゃいますか?」
【ただ、身の上話だけでは読者は食いつかない。ゴシップの種を撒くだけになることを避けるため、メインにあたる部分を尋ねる】
【そうして十数分たってから、ようやっとペン先が紙を引っ掻く音がやんだ】
- 81グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/06/15(日) 18:17:11
[行くぜ、ダメ押し!]
{ちゃんとNにしてるだろうな!?}
そして追い縋ってきた二機による
マグネティックハンマーの一撃が、
両端から群れをぐぢゃりっ、と捻り潰す
S極のN極の引き合う性質を利用した、
電磁石の組み込まれたハンマーの面は
弱らせているとはいえそれなりの量の
インベイドを一気に叩き潰したのであった
『────所要時間38秒、上出来だ。
"バーガー戦法"にしたって手早いぞ?』
〈まぁ?バーガーは手早さが売りっスから〉
[成程、言えてる]
{...あ、とりあえず燃やしとくか}
半壊した死骸を着火して燃やし、
寒空の下を飛んで基地への帰路に着く
この日の晩飯は、少しだけ豪華だった。
────────────
──────────
──────
『──────ッ、これ、は....』
『(........この歳で居眠りとは、恥ずかしい)』
部屋は、夕陽で微かに橙へと染まっていた
- 82ミゾレ◆KPwoT407kA25/06/15(日) 18:46:49
いきなり大っぴらに喋り過ぎましたね…
【ミゾレとしては特段隠すようなことでも無いので明け透けに身の上話を交えた心境を話してしまったが、振り返ってみればこそばゆくなってくるような、気恥ずかしくなってきたような…頬を親指で掻きながら、酒を進めていく】
なにか特別なことを考えている訳ではありませんが…そうですね。強いて言うなら“死ぬ”っていうイメージが頭の隅っこにちらつく事が、しょっちゅう
【窮地に立たされたBF乗りであれば、そのような死の影に追いすがられてしまうこともままあるだろう。しかしミゾレの場合は機体が機体だ。相対的にその機会も増える】
───────そういったイメージが、寧ろ生きる為の糧になる…んですかね。頭がサッパリするというか、考えがスラスラと浮かび上がる…みたいな
【彼女は死を正しく恐怖している。その恐怖すら、自らの生きる活力に変えているのだ】
【───────尤も】
…ここから先は記事にしずらい事をぶっちゃけちゃいますけど、そういった無茶をし続けてると…どうにも自分も女なんだなー、と思い至る事が度々あります。へへ…
【そうやって生存本能を刺激するやり方が生殖欲求にまで発展し、彼女に奔放な性生活をさせているという側面もあるが】
【ペンを進める音が止むまで、ミゾレは実直に取材に応じ続けた】
- 83サンフラワー◆fDey8JUvvk25/06/15(日) 18:47:52
「大空転塊の設置、承知しました。バアルは引き続き警戒を行います」
【粒子残量には余裕がある。味方識別なく動くモノには絞った速射ビームを遠慮なく叩き込みながら開けた空間に鎮座し続ける】
【そろそろ必要な犠牲もいないだろう、という天才の読みと意地でもあった】
「(そうですね。特に、戦場でこそ余裕を失った者から落ちていくというのは、なんとも皮肉なものです)」
【サンフラワーの表情は変わらない】
「この局は私たちの勝利です。後はどう纏めるか。」
【このネストは落ちると断言する。異常な反応も、追加の影法師もない。仕掛けるなら深部に引き込んだ今しかなかったが、ラットが数百の歩兵を喰らったくらいだ】
【だからこそ最上の形で纏める必要がある、これ以上の損失を出すわけには行かないと表明する】
「このまま長期間滞在すれば、体に支障をきたす方も居ますからね。」
【一言多いのはやっぱり仕様である。全知全能であれば態々口に出すまでもないことだが、つい口をついた】
- 84ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/06/15(日) 19:24:00
……やっぱり、1発食らったら即ドロップアウトな危なっかしい所に、こんな大量の歩兵を投入する必要は無かったんじゃねェのか?
【ZQWN!】
【小型投射級の予備動作(眩光)を見逃さず、他のメンバーに一部を任せながらも、的確に2連ビームライフルでほぼ全てを撃ち抜く】
【だがその中で、近くを付き纏う戦火の種へ対する煩わしい不安まではやはり拭い切れず、オープンチャンネルで滲みを拡げる】
地上ならまだ分かるが、BFの脚より断然細いし、ここで何かを設置してもらう事もない
そんな薄っぺらい耐汚染装備とサイズの仲間を投入するか?
大層な弾除けにもならねェし、そもそもここが命の捨て場でもあるまいしよォ?
【本作戦に従事している者の経歴を信じているからこそ、自分の胸の内を衣やオブラートに包まず、ハッキリとぶち撒けた】
- 85グリゴリー◆5Q4kt6Q.kc25/06/15(日) 19:28:11
・・・・
『(まさか、死人の夢を見るとは....)』
北方戦線において、"統率個体"をクロノスが
打倒した時....私は確かにそこにいた。
とはいえ、メインの作戦には関わっておらず
単なる弾除け兼副砲程度の扱いであった
あの化け物に比べればそこらのインベイドや
命知らずの傭兵たちなど可愛く見えるものだ。
『....来週辺り、共同墓地に参りましょう』
あれだけ生き残れ、と教えたというのに
隊員は基地にいた数人を残し灰燼に帰した
"隊長はここで死んで良い人じゃない"と
遺言を託し死んでいったが、私に言わせれば
死んで良い人間など世界の何処にも居ない。
その後神父になって初めて挙げた葬式は、
そんな直向きな隊員たちの合同葬であった
『(死人の夢は転機を示す暗示と言いますが...
確かに、良くも悪くも変化はありますね)』
幾人かの人間の顔が浮かんでは消える。
さて、これが良い事なのか悪い事なのか
今の自分にはどうにも分からない
『今日は少し外に出ましょうか...?』
そうして、神父はふと立ち上がった
- 86ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/06/15(日) 21:30:11
- 87サンフラワー◆fDey8JUvvk25/06/15(日) 21:46:23
【即座にチャンネルを金龍大佐のみに絞り込んだ】
「ふふっ。若いですね。ですが、「今」「オープンチャンネルで」言うことではないと思いますよ、金龍大佐。」
「人を率い、人の上に立つ者だからこそ言いにくい不満を率先して口にだし、嫌われ役を買って出る姿勢は人として評価されるでしょう。私も嫌いではありませんよ?」
「それに本作戦に選ばれた優秀な方々があっさりと失われていくのは心苦しいというのも分かります。」
【サンフラワーは素直だ。口に出した言葉以上の意味は言葉に含まない】
「けれど今は作戦中、注意喚起ならともかく不信を口に出すのは兵士の皆さんの士気に関わります。生存確率にもね。」
【そして基本的なことを伝える。話に気を取られても良いようビットを少しそちら方面に振り分けながら】
「次のネスト攻略にはBFのみで参加するよう上申してくだされば幸いです。それだけで大勢の命が救われますし、貴方の株も上がるというものですから。」
【天才は最前線においてもこんなことを考える余裕があった。ところどころ諭すようなのは本人の気質ゆえだが】
- 88スーリヤ◆ECPjTIh3Iw25/06/15(日) 21:50:43
「んっふふふ……ユスラちゃんはかぁいいねぇ!!ほんっとにかぁいい!」
照れている友を見ると、かわいい、以外の語彙力というものを消してしまうところがスーリヤにはあった。
パイロットとして超一流であっても、ユスラ本人の可愛げというものがあるからこそ、彼女は好いているのである。
「どーぞど~ぞぉ。サークリウスはこういう時のための機体でもあるからねぇ」
古来より戦場で最も恐れるべきは補給が寸断されること。天下のクロノスといえどまるで足りぬ、という状況が存在していたのが初期インベイド大戦時代。
その時代を生き抜いてきたスーリヤは特に、コア粒子の欠乏に対して敏感であった。
機体動作の不具合や過度に粒子切れを恐れることによって生まれる火線、または機動の鈍りが更に被撃墜を生むから。
ゆえにサークリウスの貯蔵タンク内のコア粒子を、エクリプスに分け与えることに否はない。
「ラストスパート終えたら、二人でばったんきゅうしておこうね」
ユスラが疲労を抑え込んでいることなど百も承知。であるなら、スーリヤがすべきは止めることでも背を押すことでもなく。
彼女が持っているスーリヤへの感謝を、笑顔で受け止めてあげることだった。
- 89ミゾレ◆KPwoT407kA25/06/15(日) 22:11:58
あら、貴方にもそういう時があるんですね?
【インタビューついでに少しアプローチをかけてみたが…まさか理解どころか同意を得られるとは。人は見かけに寄らないとは言うが…】
………でしたら、今日の依頼なんかがまさに“そういう日”なんじゃありません?
【飲み進めていたカルーアミルクもそろそろ無くなる頃だ。飲み過ぎて祝勝会がお流れになる前に…もう一押し、掛けてみる事にした】
私の気分は先述の通りです。宜しければ、このまま“密着取材”を請け負っても構いませんよ?
──────────────ここの、2階で♪
【紙とペンを仕舞い、グラスを傾けている方とは反対側の手に、柔らかな指を絡ませる】
【清貧さと茶目っ気はどこへやら。己の情欲を満たさんと相手を見定める雌が、その本性を表し始めていた】
- 90東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/06/15(日) 22:28:36
- 91龍影◆9BZ6kXGcio25/06/15(日) 22:29:04
- 92ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/06/15(日) 22:32:04
……分かった
そういう事なら、皆で生き残ってからそうさせてもらおう
【自分に幾つもの気遣いをしてくれるサンフラワーの後ろ姿に、曇り1つ残さずに拭かれた窓を見たような顔で、金龍は観念する】
それと、お手を煩わせたお詫びだ
ここから先の戦いは俺達に殆ど任せてくれ - 93ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/06/15(日) 23:13:43
【しなやかな指先が蛇のように絡みついても、シルヴェストルは動じなかった】
【何かを考えるような面持ちで半分ほど嵩の減ったコップを卓上へ置き、溶けた砂糖菓子のような色を滲ませる瞳を見つめる】
「そうですね。さすがにプライベートなことまで記事に起こす気は無いので、そこは遠慮しておきます」
【ベットで明かされる秘密は生に迫りすぎている。そこを取材するのはゴシップの領分で、戦場カメラマンの仕事ではない】
【毅然とした態度で申し出を辞退しつつも、手は黙って絡む指を受け入れている】
「なので……仕事抜きで、一緒にあがらせていただいてもよろしいですか?」
【カシオレの甘い香りを漂わせた微笑を浮かべ、こちらからも指を合わせながら尋ねる】
【その瞳に、同じ情欲を映しながら】
- 94エイダン◆Fd5AlHEdkk25/06/15(日) 23:40:27
「そうだね。僕もベットに縛り付けられたくはないし、精々上手くまとめるさ」
【率直な物言いに淡々と返し、横穴から顔を出そうとするラットの先頭を撃ち抜いて牽制する】
【皮肉でもなんでもない言葉に刺されるほどやわな心は持っていない】
【そうしてたどり着いた最奥】
【偵察機の許可を受けて乗り込むと、そこはもぬけの殻だった】
【餌がばら撒かれたというのにラットすら顔を出さない状況に、やはり逃げたかと考えながら、エネルギー節約のために地上へ降りる】
「例の不明機の正体はこれか」
【Syringe'sが入ると少し余りそうなほどに大きなサイズの繭を見て、ぽつりと呟く】
【G-3での影法師級も同じように生まれたのかと想像してしまい、口元が苦々しい形に歪んだ】
- 95ミゾレ◆KPwoT407kA25/06/15(日) 23:48:10
【少しがっつき過ぎたか?と思ったのもつかの間、絡めた指に拒絶の意図は見られない】
すみません。貴方の仕事を馬鹿にするつもりはありませんでしたが…反省します
【どうやら“言い方の問題”だったらしい。戦線をレンズに納め、記事として世に出す戦場カメラマンに対しては下品…というより、侮辱だったか】
【失態だ。自覚なくその言い回しを選んだことへの悔やみを表情に混じえながら】
【ここまで来たのなら、もう回りくどく誘惑する必要もないだろうと】
私はまだ貴方という人間に対して…理解が足りていないみたいでして。
【己の身の上は明かしたが、よくよく考えて見てみればミゾレは彼の事を殆ど知らない。…精々、柔らかい物腰の裏に、人並みならざる情欲を隠しているくらいだ】
【───────知る必要がある。私は今、誰と話しているのか…誰に抱かれようとしているのかを】
…夜もまだ長いですから、じっくりと。今度は貴方について“仕事抜き”で教えてくださいませんか?
ベッドの、上で。
【最後の一言は顔を耳横に近づけ、囁くように。カシオレの甘い香りが鼻腔をくすぐる】
【店員に頼み込み、2階の寝室を予約するのに時間はかからなかった】
- 96ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/06/16(月) 00:06:37
- 97ミゾレ◆KPwoT407kA25/06/16(月) 00:35:59
【このご時世、明日に命があるとも知れない世界だ。男の仕事へ向ける意欲は現実的で、とても真摯なものに見えた】
仕事熱心なんですね…ええ。お先に使わせていただきます
【示されたシャワールームの扉に手をかけた…その時】
…ああそうだ、避妊薬は飲んでおいた方がいいですか?
【衣服を解く途中、ポケットから取り出したのは丸い錠剤が規則的に並んだパッケージ。人自連管轄区では見かけることの多いスタンダードなものだ】
産めよ増やせよ、とは言いますが…私はただ貴方と肌を重ねたいだけ。背負い物を嫌う清貧な女ですから、子供は持ちたくないんです。
【…今日は安全日だ。万が一は有り得るかもしれないが…ミゾレはコミュニケーションの為に、敢えて“無駄な”問答を投げかける】
───────欲しいなら、飲みはしませんが。
【もし飲まないのなら責任は全部貴方持ちで、と。男の返答を待った後、雌の影はシャワールームへと消えた】
x.gd - 98ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/06/16(月) 00:39:51
【頬が熱くなるのを自覚しながら、ユスラは押し黙る。もう少し年齢(トシ)を考えて欲しいものだ。大体、可愛らしさというか女性的な魅力であれば、スーリヤの方が優れるだろうに】
【思考を逸しながら、空きビンをグローブボックスに放る。ガチャンというビンのぶつかる音がして、本日二本目の空きビンは収納された】
【用法用量という言葉は、そこに無いのなら無いのかもしれない】
【コア粒子の欠乏。それは生命線の途切れであり、ないない尽くしの地獄を生き延びた者達こそ、燃料については重要視する傾向にある】
【ユスラがダークスレイヤーを温存するうちの片方の理由がまさにそうだ。そしてもう一つは、まだ初見殺しが狙えるだろうという推測】
【物真似インベイドは斬光を見切れずに、わけの分からないまま斃れた。ならば剣に秘密があることまでは分かっても、その詳細までは把握されてないだろう】
【奴らの学習能力は侮れない。次に似たようなのが現れれば警戒してくるだろうが、未知を警戒させることで産まれる隙もある】
《…そうだね〜。おねーさん、頑張るなんてキャラじゃないし〜》
【あっけらかんと笑いながら、補給を終えたエクリプスも引鉄を引いて、弾幕に加わる】
【背を掴みもせず、押しもしない。されど常に寄り添ってくれる。前でも後ろでもなく、隣で受け止めてくれるからこそ、スーリヤにだけは気を許せるのだろう】
【特別とも言える好意も、自覚できるほどに】
- 99ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/06/16(月) 01:10:51
- 100ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/06/16(月) 01:20:35
- 101ミゾレ◆KPwoT407kA25/06/16(月) 01:46:34
- 102サンフラワー◆fDey8JUvvk25/06/16(月) 08:57:23
- 103オイゲン◆8meUu6AaJY25/06/16(月) 09:24:52
- 104ケイ◆ECPjTIh3Iw25/06/16(月) 10:23:14
- 105エイダン◆Fd5AlHEdkk25/06/16(月) 11:53:40
- 106ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/06/16(月) 12:36:21
- 107ミゾレ◆KPwoT407kA25/06/16(月) 13:15:45
- 108オイゲン◆8meUu6AaJY25/06/16(月) 13:36:51
〈しかしこの横と高さじゃバアルは通れないな…〉
『確かに。天井がここだけ低いな…なんの対策だ?〈解らん。奴らと人類はほんの20年しか戦っていないからな。『それもそうか…しかしイカロス、斥候なんてものはセンチュリオンとかストームに任せても良かったんじゃないか?』
少しでもあのホールから離れると暗闇に変わる。
〈それじゃダメなのよ。それで解決するなら最初からアルテミスなんかじゃなくて本社のエースを使えばいいもの。〉
『政治的要因ってやつか…』
〈本社から派遣されたのに仕事は他のエースがってのは…そろそろ広いところに出そうね。〉
『了解。アクイラ2と3はオルフェウスの前に。』
『アクイラ2了解。女のケツを見るために殿ですかい?』
『アクイラ3了解した。隊長はケツが好きですからね。オルフェウスのデカイのも守備範囲なんだと思いますよ。』
〈ふふっ…ハハッ!年増の尻を眺めることになるアクイラ1はさぞ悔しかろうな!〉
そんな雑談で場を繋ぎながら4機はその最奥に到着した。
目に入ってきたものはブリーフィングで想定したものとはまるで違った。
何も無いのである。
すぐさま4機は高度を取り全体の把握をする。反応炉が置かれているであろう箇所に大穴が空いていたのだ。
〈こちらイカロス!アレキサンドリア聞こえるか!反応炉が無い!繰り返す、反応炉が無い!〉
その大穴の近くには90、いやもっと大きい。100m近い何かがあった。
〈各機兵装用意!インベイドと思われる物体を確認!〉
スレイガン達は各々の武器を構える。だが攻撃は来ない。
『どうなってる?』
〈わからない。だがまずは確認だ。近づくぞ。〉
『了解した。接近する。』
その物体に近づく。白と濁った灰色の甲殻で体を覆われていて、脚が多い。どこか無機質な印象を覚える。
『これは…バクテリオファージってやつか?』
アクイラ3が言う。
『待てよ、コイツはインベイドだろ?そんなウイルスみてぇなやつの姿を似せるとは…』
その状況にスレイガン4機はただ困惑した。
- 109スーリヤ◆ECPjTIh3Iw25/06/16(月) 14:45:51
「そうだねぇ……後はどれだけ味方が生き残るか、かね」
エクリプスが補給を終えて、弾幕の列に加わったのを確認しながら、スーリヤはなんとなくの心地で声に出した。
ネストへの突入部隊もそうだが、こうして補給所近辺やネスト周辺の安全を確保するための部隊もいる。
(バアルとその直掩はまず問題ないとして……他に突入した150機のスレイガン……一機でも多く生き残ってくれよ)
こういう状況で何よりありがたがられるのはベテラン、エースと特記戦力なのは確かだ。
だがその手の強者というのは往々にして自身の基準を他者に当てはめたり、あるいは技量を前提にすれば問題はないという旨の報告を自然とやってしまう傾向にある。
スーリヤでさえ時折起こしてしまうそれは、やられる側は困ってしまうのだ。
(無茶振り報告書を読まされても、再現性がないと、ね……!)
適度に突撃兵型をマシンガンで散らしながら、スーリヤは突入部隊の生存をこそ望んでいた。彼らの血と手で描かれた報告書こそ、今の世界が最も欲するものと思うゆえに。
「さぁてと……連中の鈍い勢いもそろそろ打ち止めかね?」
軽口であるが、油断はない。
- 110二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 17:06:09
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- 111二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 17:11:29
このレスは削除されています
- 112ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/06/16(月) 17:12:39
- 113ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/06/16(月) 18:13:58
- 114アレキサンドリア◆9BZ6kXGcio25/06/16(月) 18:22:55
《こちらイカロス!アレキサンドリア聞こえるか!反応炉が無い!繰り返す、反応炉が無い!》
最奥に突入した部隊からの1報は絶望的なものだった。
「なん…だと…?」
ウォートは頭を抱えた。反応炉を確保するからと本社からわざわざストラクチャーとアルテミスの派遣まで取り付けたのだ。だがどうだ、こうなってしまってはこの犠牲は全て無駄となったのた。
しかし仕事はせねばならない。ウォートは無線を通して上陸部隊へ連絡をした。
「諸君、たった今ネストは制圧出来た。残敵掃討へ移行せよ。」
反応炉がないならこの場にいるインベイドは勝手に死ぬ。マザー(ネストの統率個体)も例外ではない。
席に座り大きく息を吐いた。作戦開始から4時間、歩兵は約1個師団規模、スレイガンは1000機以上の損失を出してこの明星作戦は終結した。
「私の首は残ってると思うか?」
『分かりません。ですが、アルテミスとバアルは喪失していないので報告会次第。と言ったところかと。』
「今回は通例通りに歩兵をネスト突入部隊に入れてしまったせいで浪費した。次回以降に行う地下構造を持ったネスト攻略の教訓に出来るだろうな。」
自嘲気味に指揮官は笑った。極東列島をクロノスの方面軍単独で攻め落とす余力はもうないのだから。
- 115サンフラワー◆fDey8JUvvk25/06/16(月) 19:19:07
「なるほど。3体の影法師はこちらに犠牲を強き、かつ抵抗を見せるポーズだったと」
【おかげでもう数体いるかも知れないとより止まれなくなったことを思い返し、嘆息する】
「まあ、確実なる反応炉避難のため割けるリソースの限界が低かったことは僥倖です。増援やネストごと爆破するような気配もありません。」
「この場は私たちの勝利……バアルはそう結論付けておきましょう」
【割に合わない勝利を噛み締めた。指示があるならばネスト内部から外へ舞い戻り残敵掃討に移行するだろう】
【こうなっては消費を抑えておく必要もないと、火力と演算能力を注ぎ込み、あらゆるインベイドを殲滅する】
【八つ当たりだった】
- 116ミゾレ◆KPwoT407kA25/06/16(月) 19:19:40
- 117二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 20:16:46
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- 118ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/06/16(月) 20:18:46
《諸君、たった今ネストは制圧出来た。残敵掃討へ移行せよ。》
【洋楽がアウトロに差し掛かる頃、艦隊から作戦が終了フェイズに入った事を伝達される】
『大佐、こちらも目的を達成しました』
【周囲に氣を張り巡らせていた金龍に、完全なる立方体として成長したコア結晶を、メビはモニターに映してみせる】
【自形の集合体として地面から表出するコア結晶が、生物が定住できるほどに土地が浄化されたのと同じように、人の手によって整ったのである】
……了解
威宝、重くなった装置を外で待機させているランドセルの元まで運び出すから、紅鏡の手助けに行け
残りの者はバアル達の殿に回るぞ
「「「「了解」」」」
【部隊間の通信が終わると、オイゲン達がバアルと合流するまでの間、彼らはもうしばらくアトリエに留まる事となった】 - 119シェディ◆PPyRfvMZl625/06/16(月) 20:22:13
(※待ち人アリ)
【デスペラードの生き方とは往々にして無軌道なものだ、ひとつところに所在を置いて、戦い続ける者も居れば、行く宛もなく転がり歩いていつしか野垂れ死ぬ様なこともある】
【己が命の由来も知らぬ人生で、理解したことは確かにある、ただ生きるのみなら理由は要らないが、果ての見えない暗がりで生き残るには道標となる目的が要ること】
【ある兵士にとってそれは帰るべきところにいる愛する人であるかもしれないし、もしくはまたある傭兵にとっては好きなものを手に入れられる様な金かもしれない、そして、また或いは快楽か】
・・・・・・・ ・・ ・・
【────────────そういう意味で、シェディ・キッスという娼婦は、誰かにとっての理由にはなり得ているのか】
『何か身分を証明出来るものは持っていないのか、誰であれ、コロニー内施設に無断で立ち入ることは許されることではないんだ』
「そうは言ってもねぇ、ボクが身分証明(そういうの)とか、気にする様な人間に見えるかい?」
【ガレージ前に停車した二輪は小刻みな駆動音を響かせながら、ハンドルに頬杖を突く女傭兵の往く手を阻む、コロニー守備隊の男が一人いた】
【確かに、眼下より観察する様に男を見遣る女の振舞いはあまりにも胡乱で、不審な人物を入れない、通さない、模範的な衛兵として仕事を果たすには十分な理由があった】
「……神父様は今日はいないの?ちょっと、教会に用事があっただけなんだけど」
『デスペラードにも信仰があるのか、教会ならばどこか、外にもあるだろう、とにかく、部外者の立ち入りは許されない、私には君の様な不審人物からコロニーを守る義務があるんだ』
【さて、押しても退いても変わらぬとあらば、遠路はるばるの盛大な無駄足になるが、ここは諦めるしかあるまいか……?】 - 120エリナ◆5Q4kt6Q.kc25/06/16(月) 20:39:10
- 121エイダン◆Fd5AlHEdkk25/06/16(月) 20:55:30
「はぁ……。当分、忙しくなりそうだな」
【奥へと踏み込んだアクイラ小隊からもたらされた悲報を聞いて、思わず出た深い溜め息がコックピット内に響く】
【失われた相当数の命とスレイガン -最新鋭機- 1000体が、無駄死になったのだ】
【予想していたとはいえ、あまりにも割に合わなすぎる結果に内心で肩を落としつつ、バアルとともに地上へ上がる】
【未だ稼働を続けている敵影を沈黙させながら、本社で待ち受けているだろう新しい仕事について考えを巡らせる】
(先ずは総務の方に上からの指示の確認をとる。その後、製造部に在庫の確認。……一番手間なのは予算申請だな、やっぱり)
【事態が事態だ。ワンオフ発注には苦い顔をする経理部も快く応じてくれるだろうが、急な出費には違いない。武力も大きく減ったことで、自分が駆り出される機会も増えるだろう】
【……両方の業務で多忙が確定した恨みを込めて、エイダンは未だ生命活動を続けているインベイドへ引き金を引いた】
- 122シェディ◆PPyRfvMZl625/06/16(月) 21:32:49
『エリナ准尉?しかし、それならやはり正式な手続きをしてから────────────』
「やぁ、ゴメンねぇ、お待たせしてしまって」
【なおも模範的に、マニュアルに則って諫めようとする兵士の言葉を遮って、女傭兵は如何にも親し気に片手を挙げた】
【まるでそれは旧知の仲、互いの素性など当然知り合った友人の様子】
【事実、顔だけはお互いに覚えがあるが】
・・・・・・・・・・・・
「急ぎの用事だと聞いたから、わざわざバイクを飛ばして来たんだ、けれどこの兵隊さんに止められてしまって。
困ったなぁ、遅れたらお互いにとって、大変なことになるのに……」
【当然、厳密には初対面と言って違いないし、名前なども知り得ない間柄】
【なのに傭兵の口からはすらすらと、ことを誤魔化す名句が淀みなく流れ出た】
【それこそは、シェディ・キッスという女の世渡りの術なのだろう】
『────────────ッ、むぅ、エリナ准尉、こういった件はくれぐれも伝達に忘れが無い様にお願いしますよ!』
【次第に、根負けしたのは兵士の方だった、未だ多少納得のいかない様子ながら、溜息と共に踵を返すのは傭兵を放って】
「……おやぁ、ワルい子だ、職務を全うしていた兵隊さんをだまくらかしちゃうなんて」
【その背が遠くに消えてから、頬杖を支えにエリナを覗き、くつくつと小さく笑うのは】
【また、人の悪そうな悪戯な笑みを口元に浮かべて】
- 123エリナ◆5Q4kt6Q.kc25/06/16(月) 21:47:19
- 124シェディ◆PPyRfvMZl625/06/16(月) 22:44:26
「へぇ、覚えてくれていたんだ、名前まで……それとも神父様に聞いたのかい?」
【日々多くの傷病人を相手にするであろう中で、一度会っただけの、ただのデスペラードのことを覚えているとは随分と律儀な話だ】
【神父の周りにいる人間は皆、あの愚直なまでの善性に多少なりとも影響されるのだろうか】
・・・ ・・・
【────────────あの夜に、彼女がその様な清らかさを穢したのだと、知れたならばなおのことどうなるのだろうか】
「いや、神父様が元気ならそれで良いんだ、別に用事があった訳じゃなくて。
たまたま……少し気になったから、寄っただけ、邪魔なら……」
【帰る、それも一つの選択肢だ、言伝に自分が来たとさえ分かれば立派な生存報告】
【自分がまだ生きていると報せられたなら十分なのだ、だから、と、視線は外へ、そのまま踵を返そうとして】
「んー」
・・・・・・・・・・・・・・・
【……エンジンの音色は、シェディがゆっくりとガレージに二輪を転がせば消える、帰る筈だった足ははたりと停まり】
【面白そうに、目の前の女性をじっと見つめていた】
「いや、……そうだね、ちょっとお茶でも飲んでいこうかな?」
【それはある種の好奇心であり、ある種の悪戯心であり、ある種、この場を留守にしている男への忠告というか、意趣返しだったか】
- 125エリナ◆5Q4kt6Q.kc25/06/16(月) 23:01:20
『あの状況は中々珍しかったので....』
武装の性能試験用にワンオフ機を
適当な戦地に出撃させたら、そこで
偶々デスペラード同士が抗争しており
そこを試験機の主が殲滅したあと
そこで抗争していた片方を連れ、
治療をさせる為一緒に士官が帰ってくる....
という珍しい状況ならば、流石に名前の
一つくらいは記憶に残るというものである
『はい、折角なら一緒に嗜みましょう!』
ニコニコと笑顔で応対するエリナは、
シェディの企みにはどうやら気付いていない
─────────
──────
────
『どうぞ、粗茶ですが』
教会の一室....といっても前に見た部屋ではなく
本当に応接用の簡素なスペースであるが、
それなりに温かみのあるデザインの部屋である
- 126ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/06/17(火) 01:05:40
- 127ミゾレ◆KPwoT407kA25/06/17(火) 08:04:17
- 128二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 10:26:00
このレスは削除されています
- 129シンカイ◆9BZ6kXGcio25/06/17(火) 10:29:06
「フェンサー了解!」
突入部隊の随伴についたヤツらのシグナルはかなり減っているが成功したらしい。
とりあえず山は終わった。シンカイは大きく息を吐き出して肩の力を抜いた。しかし自分はアルテミスとしての武勲を上げれたのだろうか、チャンプのように確認された影法師型を撃破した訳でもない。
《残存している敵の9割は片付きました。補給部隊の撤収作業を防衛してください。》
「オペレーターさん」
《はい。》
「今回は…どうでしたか?」
《十分以上の戦果です。武士級の確実撃破は32、投射級は8。シルバースターは固いかと。》
「チャンプは?」
《コチラには撃破スコアの情報は入ってきておりません。》
「多分あの人もシルバースターですよ。」
《不貞腐れですか?…イラストリア少尉、貴方はアルテミスに恥じないパイロットです。もう少し偉そうにしてもバチは当たらないですよ。》
「これだけのパイロット死なせておいて偉そうになんか出来るかよ…」
《…》
「…すいません、愚痴が酷かったですね。ふぅ…フェンサー了解。補給部隊の撤収支援に入る!」
戦友はまだ立っている。その事実が彼を繋ぎ止めている。
- 130シェディ◆PPyRfvMZl625/06/17(火) 10:48:00
【闇市や、素性の知れぬ人間でも気軽に立ち入りの出来る人自連の都市に流れて来る自然食品の品質には、一定の天井が存在する】
【社交辞令に粗茶、とは言うが、K.I社のコロニーで完璧な品質管理を施された茶葉は、ただのデスペラードの手に入れられる物よりは遥かに良質だ】
【移動娼館の娼婦として、或いは傭兵として、それなりの稼ぎを得ているシェディにとっても、この間神父から土産として譲り受けた紅茶は仕事の無い日に嗜む程度、大切に味わいながら飲んでいる】
「慣れてるね、お客様への対応はいつも君のお仕事なの?」
・・・・・
【エリナ准尉、先程のやり取りの間に名前を覚えた彼女の応対手順は随分滑らかなものだった……尉官となればむしろ彼女自身が部下を持って、秘書の様に侍らせていてもおかしくはないのだが】
・・・・・
「……神父様が、ああやって人助けをするのは、珍しいコトじゃないのかな?」
- 131エリナ◆5Q4kt6Q.kc25/06/17(火) 12:27:54
『ええ、私の仕事....というより私が好きで
こういう雑務もやっている方が正しいですが』
救護班のリーダー的な存在であるエリナ曰く
"日頃は医療品補充や問診などの業務を
熟す都合上、こういう応対が逆に新鮮"らしい
『大尉がですか?いえ、珍しいかと
我々の隊はどちらかというとサポート寄りで、
隊員たちも戦闘が苦手だったり、もしくは
トラウマ故に正面戦闘が駄目な人だったり、
そういう方々の受け皿になっている部分が
ありまして...勿論大尉自身は相当な実力を
お持ちですので、他の隊へ助っ人として
助力なさったりすることはあるのですが....
基本的にサブとして付く事が多い以上、
ああして単身乗り込まれるのは珍しいです』
身寄りの無い孤児をたまに拾ってきたりは
しますが、とエリナはそう言葉を締め括った
- 132オイゲン◆8meUu6AaJY25/06/17(火) 13:34:10
- 133スーリヤ◆ECPjTIh3Iw25/06/17(火) 16:37:49
「反応炉なし、か……」
インベイドの動きが鈍かったのはそういうことか。とスーリヤは納得がいって、息を吐いた。
突入部隊も含め、数多くの犠牲は出た……が、極東半島を取り返すことには成功した。
「予想していた勝利よりかは小さいが、勝利には違いない。かね」
ぐ、と背を伸ばして。スーリヤはひとまずは勝利である……という評価を下す。だが苦い勝利には変わりない。
ネスト攻略に際してもっとも重要な反応炉が存在していなかったという事実は、今後の戦術に大きく関わるに違いない。
「スレイガンの喪失も4桁……痛いねぇ」
この失った戦力の補填は中々に難しいだろう。とくに最前線となっているだろう南開拓大陸や植民大陸での戦場を思えば、新規生産されるスレイガンは取り合いとなるに違いない。
スレイガンは決して弱いBFなどではない。確かに無双者であったり、弾幕や高火力による殲滅力としてみた場合、上は多数存在する。
だが、スレイガンと並ぶほどにバランスが取れたBFなど……人自連のSHINSEIやヴァルハラテックのワーグナー、ヴァルキリーなどくらいだろう。
(逆巻重工の月風と、新型の廉月……だっけか。あれはちょいとジャンルが違うしねぇ)
初期インベイド大戦時代に、頼もしいと思った者たちの機体はバランスというより、乗り手が良く……そして尖った機体がそれに答えるという不思議な例だ。比較対象にするには難しい。
「どちらにしても、ネスト攻略戦後を考える時期か」
そうひとりごちながら、スーリヤは指揮下の部隊に油断せず、と撤収準備を掛けた。
共に戦場をかけた戦友(エクリプス)とその仲間達にも、気を配ることは忘れない。
- 134モカ◆KPwoT407kA25/06/17(火) 17:04:37
………反応炉なし了解。途中からインベイドの動きがおかしいと思ってはいたけどやっぱりか
【補給も程々に地上でインベイドの掃討を請け負っていたオーグメント達が動きを止める】
「………え、じ、じゃあ、インベイドは………?浄化装置、は………???」
「ンなもんここにはインベイドが無いんだから来るわきゃないジャン?そもあんな装置鉄火場に持ち込んでも意味ナッシングだと思ってたのにたまたま役に立ちまくったってだけで、デメリットも連中だけで片付けられるものっしょ。元々ウチらにお鉢は回ってこないよ」
「ワタシ、アレ、キライ」
率直だなあ…でも
【事態は深刻だ。これだけの大規模戦力を投じたにも関わらずクロノスが得られたものがあまりに少ない事を、モカも感じ取っていた】
手強いな、人類の敵は
【それを改めて痛感しつつ、プレアデス征団は帰投の路についた】
- 135ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/06/17(火) 17:06:47
- 136ミゾレ◆KPwoT407kA25/06/17(火) 17:44:19
- 137ユスラ◆xZJxX8ZGsA25/06/17(火) 18:51:21
(早々に損切りの判断をしてた…と見るのが良いかな。本土のための戦力温存も…)
【片手で栄養ドリンクのビンを開け、喉につっかかった嘆息を一息に飲み干して、これからの事はこれからだと思考を切り替える】
《ここ取れただけでも十分じゃない〜?》
【吐き出されたユスラの感想は、存外に楽観的なものだった】
【家財はちゃんと持ち逃げされたようだが、領土の奪還自体には成功している。これまで防衛と対処ばかりに追われていた人類が、大地を取り返したというのもまた事実だ】
【本音を言えば、ユスラはこの作戦にもさして期待していなかった。昔から物事が上手くいく図というのを、どうしてもイメージできない】
【だからこそ、数多くの損害すらも、『思ったより少なかった』と感じてしまう。相手が途中からやる気を無くしただけだとしても、想像よりは良い展開だったと思えてしまうのだろう】
【そうして命の数を被害として、それ以上に機体数の損失で見るのに慣れてしまったのは、何時からだったか】
《聞こえてただろうけど、後片付けして帰るよ〜》
【残存する敵影はほぼ視認出来なくなった中で、欠けてしまうだろうと不安を向けていたが、全機残った小隊に目を向ける】
【相変わらず気遣いを見せる戦友や、共に戦った仲間。巡航状態にはせず、エクリプスは彼らと並んで帰投することを選んだ】
- 138ある日のアカデミー◆KPwoT407kA25/06/17(火) 20:16:06
「わぁ…あそこの廊下を歩いていらっしゃるのはユスティーナ様じゃありませんか!?」
「あの自信に溢れた立ち振る舞いとそれに裏打ちされた狙撃成功率!任務でも大活躍していると聞いているわ!憧れちゃうよねぇ〜!」
「私もユスティーナ様に見初められたい…!」
「うげ、反対側の廊下を歩いていらっしゃるのはシグレですね」
「聞いた話だと例の珍妙な渾名で呼んだ生徒を片っ端からシミュレーターでフルボッコにしたとか。相応の実力があるとはいえ野蛮にも程があるよねぇ」
「私シグレにだけは目を付けられたくない…」 - 139ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/06/17(火) 22:04:14
【ヴァルハラテック。人類自由連盟の中では新興にあたる技術開発企業は、その技術力と狡猾な立ち回りによって豊かな自治区を確保し、無視できない影響力を持っている】
【そして自治区の最大の特徴を問われれば、誰もが答えるのは学園こと“アスガルド・アカデミー”だろう。人自連の人材育成機関として、数多の生徒を抱えてBFパイロットや整備士、歩兵、技術士となるべく教育を行っている訓練学校は、何処となく士官学校にも似て、しかし圧倒的に緩い学校らしい雰囲気を纏っている】
「…ユスティーナ、どこ?」
『えぇっと、知り合い?多分まだアカデミーにいるけど…』
【さて、学校があれば生徒がいる。ヴァルハラテック管轄の自治区内では、他の自治区と比べティーン世代の人口がやや多い傾向にある】
【その生徒の一人なのだろう少女が、影を纏うような黒ずくめの少女の質問に応じる姿があった】
【目深に被ったフードと、生徒の少女よりも小さな身長。ちらりと紅の瞳が覗くが、その表情は伺えず、端的に言えば質問を行う真っ黒の方は怪しさ満点である】
「ありがと」
『待っ……』
【チャリン、と。黒い少女が硬貨を指で弾く。外見の怪しさにそぐわない妙に律儀な礼の証、それを生徒の少女が受け止める間に、黒コートは早足で進んでしまう】
【程なくして別の生徒が黒い少女にアカデミーの場所を問われ、暫くすれば別の生徒が『ユスティーナ様!』と訂正を求める声が轟き───】
「……」
【かくして、アスガルド・アカデミーの前には、一人の不審な少女が立っていた】 - 140ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/06/17(火) 22:04:22
- 141東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/06/17(火) 22:31:13
- 142ユスティーナ◆KPwoT407kA25/06/17(火) 22:32:13
動くな
【アカデミーの前に現れた不審な人影に対し、ハキハキと通った声が静止を呼びかけた】
アカデミーは関係者以外の立ち入りを禁じているわ。道に迷ったなら回れ右、どこかから潜入依頼を受けたのなら……………………
【黒いコートを纏った傭兵の右側面から、勝ち気さを隠しもしない学生が現れる。先日の邂逅とは異なり、左眼をアイパッチで覆っていた彼女は指鉄砲のジェスチャーでどんどん近づいていき………】
なーんてね!陸上戦艦以来じゃない!まさかヴァルハラテックの自治区で会えるなんて!!
【指の構えを解く。アカデミーに接近しようとする意図を隠しもせず、堂々と正門に現れた不審者に対してヴァルハラテックは“生徒間で解決すべきもの”として静観を決め込んでおり。当該人物の口走った内容から即座にユスティーナの耳に入った、という訳だ】
で、ウチ…というよりはユスティーナに用があるってことでいいのよね?アカデミー内部は今言ったように案内できないけど…自治区のオススメスポット巡りくらいなら付き合えるわ!今日はヒマだから!!
【些か手荒くはあったが、眼帯の生徒は来訪者を快く歓迎した】
- 143ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/06/17(火) 22:53:08
【声がすれば、振り向かずに両手を挙げて敵対の意思が無いことを示す。軽々しくアカデミー内に踏み入れなかったところは正解だったようだが、流石に目の前に立てば怪しまれるのも当然かと考えたウルヴィは、未遂の処遇とはどうなるかと思案していたのだが──】
【どうやら冗談の類いだったらしく、聞き覚えのある凛とした声は歓迎するように快く、その構えを解いていた】
「…ん。ユスティーナ……さま?…あと、ロスヴァイセの人に、お礼」
【両手を下げながら、意思薄弱な顔で振り返ったウルヴィは、途中で『様をつけなさい!』と知らぬ生徒に訂正された敬称をつけながら、その要件を伝える】
【時間があるのならば良かった、と内心安堵するウルヴィは、まさにその陸上戦艦にて助けられた事。その返礼のために彼女を探していたのだ】
- 144ユスティーナ◆KPwoT407kA25/06/17(火) 23:16:07
あー!そういうこと…………ってなんで急に様付け?
【合点がいった様子でに手をポンと叩きながら、来訪の意図を把握したユスティーナは、すぐさま次の疑問を向けた】
待った、何も言わずとも全てを察したわ。アカデミーの外の人にまで様付けさせるのはやめてと言ってはいるのだけどね…これまで通りユスティーナでいいわよ!
【ユスティーナ自体、アカデミーではトップクラスの射撃評価を受け、尚且つどこぞの3代目ペペロンチーノのような気難しさも持たない性格から憧れの的となってはいるものの、“外の世界”では若輩も若輩。長年独立傭兵として戦場を駆け抜けたであろう黒いコートの少女にそれを求めるのは道理が合わない。…むしろ様付けすべきなのは此方なのでは?とも思うが、捨て置く。】
ロスヴァイセの人…ああマルタね!ちょっと待ってて!
【通信端末…と呼ぶにはあまりにアクセサリー過多で携行性に疑問符が浮かび上がるそれをスッと懐から取り出すと、馴れた手つきで件の生徒へ回線を繋げる】
もしもしマルタ?いまアカデミーにウルヴィが来てるんだけど…そう、そのウルヴィ。モノホン。
アンタにお礼が言いたくてわざわざ来てくれたみたいだからすぐにアカデミー前に来てくれない?たしか今日非番でしょ?
………りょーかい、はい、はーい、それじゃ待ってるわねー………
…5分で来るらしいわ!
【通話を終え、役目を果たしたゴテ盛りをこれまたスッと仕舞う………丁度5分が経過した、その時】
「2人とも待たせてゴメーン!…っと、そっちの人がウルヴィさん、でいいんだよね?」
「ども、改めまして…ロスヴァイセの人ことマルタ・アーネルです!よろしくね!」
【ユスティーナに匹敵する程の騒がしさを備えた生徒が姿を見せた。ユスティーナと違いこれまでBF越しでしか会話を交わしていないので、マルタの挨拶はどこか初々しい】
- 145明星作戦エピローグ◆9BZ6kXGcio25/06/17(火) 23:42:08
>>115>>121>>129>>132>>133>>134>>137
『敵性反応、完全に沈黙。掃討完了です。』
アレキサンドリアの艦橋で拍手が起こった。
地下構造を持ったネストの攻略戦は一応の成功を持って終了した。
「諸君、作戦は終了した、帰投してくれ。」
帰還兵を向かい入れる準備をした。
《光学迷彩機でネスト最奥へ、オルフェウスが守備にいる。》
【ダビデ了解、テイクオフ。】
そして発話無く姿見えぬBFを派遣する。
クロノス・インダストリー保有軍 極東半島ネスト攻略選抜軍損害
スカッドソルジャー、大破/準大破 51(一個大隊規模)
ローンソルジャー、大破/準大破 72(一個増強大隊規模)
スレイガン、大破/準大破 1259(一個増強師団規模)
殲型、大破/準大破 167(3個大隊規模)
歩兵部隊、死者10029(一個師団規模)
揚陸艇67隻
戦果には不釣り合いな被害であるが、戦況予報よりはマシな結果である。
【こちらダビデ、現在深度600m。移動に使ったと思われるシャフトの床に到着。方角的に列島に伸びていると推測。突き当りは見えない。】
《そろそろ限界距離だ、離脱しろ。》
【ダビデ了解、離脱する。】
極東半島は落とせた。これが戦局を変えるかは誰にもわかることはない。だが、人類は抵抗できる証を見せた。今はそれで充分。
明星作戦は現時刻をもって完遂とする。
- 146ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/06/18(水) 00:07:04
「ん。」
【本人直々にそう言われれば、他人の尺度など関係はない。そもそも何故、様付けになっているのかもウルヴィには分からないのだが、了承を込めて頷いた】
(ものほん?)
【どうやら呼んでくれるらしいので、折角ならばと頷く。タイミングが良かったのか、それとも学生のフットワークが軽いのか、すぐに来てくれるらしい】
【過剰なほどに装飾された通信端末は持ちにくそうなものだが、慣れた手付きでユスティーナはそれを仕舞った】
「…ベスティア、ドレド。独立傭兵、ウルヴィ」
【マルタには初めて実際に目に掛かる事、そしてユスティーナには『前回』出来なかった分を込めながら、左手を胸に当て、右腕を振るうように腰を折って一礼する。人とは挨拶にて謝意や敬意を示すと学んだウルヴィなりに、人らしい誠意を伝えるための礼】
「よろしく」
【二名の学生がもたらす活気溢れる騒がしさとは対照的に、傭兵は静謐な声で伝えた】
「…陸上戦艦、機体の護送と、私の救命。その件で」
【さて、デスペラードとは即物的なもので。周辺に詳しいわけでもなく、客人という立場でもないウルヴィは、立ち話のままに『感謝』を幾らにすべきかと勘定を始めようとしだす】
【あまりにも他人行儀な、独立傭兵らしい仕草は、年頃の楽しみなど知らぬ白紙のような無垢さの裏返しでもあった】
- 147二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 00:37:24
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- 148ユスティーナ◆KPwoT407kA25/06/18(水) 00:46:12
ええ!改めてよろしくね!ウルヴィ!
【仰々しい敬礼を交えた自己紹介に対し、満面の笑みで返すユスティーナ】
「…で、お礼を言いに来てくれたのはいいんだけど…………………ねぇユスティーナ?
こっから先あたし何したらいいの?」
………お礼はもう受け取りきった感じもするけーどーー…なにしよ。
【静寂が3人を包む…軍隊行動における“隊員間の助け合い”は当然の働きであり。デスぺラードほどそれらに対価を求められるような価値を見出していなかった2人は普段の騒がしさが嘘のように思案を重ねつつ】
…あ!そうだ道案内!なにか貰うにしても何処で金を使うかすらも分からないんじゃどうしようもないわ!マルタ!ユスティーナはこないだノインに自治区オススメスポットを紹介したんだから今回はアンタがウルヴィに紹介してやりなさい!
「ぇあたしぃ!?ってか、ウルヴィさんに奢らせるつもり?!」
本人がそうしたいならユスティーナは全力でそのおこぼれに預かるわ!!!!!!せっかくの傭兵流の施し、この目で見てみたいもの!!!!!!
「いや単に今月の賃金使い切ったからお礼をダシにしてたかろうとしてるだけじゃん…」
【フフンと鼻を鳴らすユスティーナに対し、マルタは自らを指差して控えめに抗議しかけた後、観念したように首を縦に振り】
「わかりましたよぉ〜う、っつってもどこ案内しようかねぇ〜〜〜〜〜…よし
ツタワ!ツタワに決定!!」
ツタワかー…いいチョイスねマルタ!それじゃウルヴィ、付いてきて!!
【ユスティーナが黒コートの少女の手を引き、マルタを連れて目的地へと足を運び始める───────数分後、3人がたどり着いたのは“TSUTAWA”という看板を携えたガラス張りの映像娯楽ショップであった】 - 149ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/06/18(水) 01:51:49
【勘定を立てていたウルヴィは、彼女らに要求があれば相応の範囲で呑むつもりだったが、沈黙が訪れる。助ける事に対価を求めないのが最近は流行りなのだろうか?と衣食住+血肉を差し出した青年や、護衛対象でありながら救命キットを差し出してきた少年を思い返していたが、学生には相応に物欲があるのか、何処かへ案内されて立て替える形になるようだ】
「ん」
【マルタがユスティーナのたかりへと呆れながら苦言を呈する横で、ウルヴィは心配いらないと言うように数度頷いていた。伊達に長く傭兵をやっていないし、ウルヴィはかなり“ご指名”も貰える部類だ。余程のことをしなければ、きっと使い切るよりも先に死ぬだろう貯金がある】
【それにデスペラードであれば、礼をダシに険悪にならないギリギリまで搾ろうとするのは常のことだ。ユスティーナ程度の図太さを不快に思うことは無い】
「つた……わっ、わ?」
【ツタワとはなんだろうかと考える間もなく、決断的に歩き出した少女に手を引かれて、突然のことに驚きながらウルヴィも付いていく。仕事のつもりではなかった為にグローブをつけていなかった素肌が触れて、握り返していいか迷ううちに、ガラス張りのショップが見えてくる】
「ここ、は?」
【やはり娯楽には疎いのだろう。この店が何のための店舗で、何を売っているのか。ウルヴィにはよくわからないらしく、店内に入るのであれば、幼子のように手を引かれるまま付いていくだろう】
- 150ミゾレ◆KPwoT407kA25/06/18(水) 02:19:53
- 151ユスティーナ◆KPwoT407kA25/06/18(水) 10:52:33
ここはツタワ!インベイドが襲来する以前の映像娯楽資料を集めてユスティーナたち学生向けに販売してるレンタルショップよ!!
【右往左往し戸惑うウルヴィの様子を察し、ユスティーナが助け舟を出す】
んー、来たはいいけど今日は何買おうかしら、考案主のマルタは?
「やっぱりアニメかなー…ほら、人自連には未だにアニメ制作してる所もあって定期的に新作出てくるしさ?いつも通り日常アニメを、と」
…そこ、最近実写映像制作に手出し始めたとか言ってなかったかしら?じゃあユスティーナはー…“オーダーポッシブル”!往年の傭兵アクション映画にするわ!
ウルヴィの分も買うつもりだから値段は倍払ってもらうわよ〜〜〜???ここ、外の傭兵向けに端末ダウンロードにも対応してるのがこういう時に有難いのよね!
【いったいどういう店なのかも知らずに連れてこられたウルヴィに自身の感性だけで何を買うかを選ばせるのも不親切だろう。ゆえにユスティーナは自身の趣味の押し付けに走った】
あ、でもなにかウルヴィ自身が欲しいと思ったものがあったら言ってね!そして買い終わったら1階に戻って併設カフェでまったりするわよ!勿論ウルヴィの奢りで!!!
「やっぱりたかるつもりじゃーん…」
- 152龍影◆9BZ6kXGcio25/06/18(水) 11:24:30
- 153シェディ◆PPyRfvMZl625/06/18(水) 12:41:41
「成程、神父様のいるところには、似た人間が集まる訳だ」
【巨大な歯車に組み込まれ、戦わなければ生きては往けぬクロノスの機構、されど根本の部分で戦を嫌う人間は少なからず居る、その受け皿となる大隊が彼女らだ】
【それを善だ偽善だと、定義する術を戦闘娼婦は持ち合わせていない】
【だけれど少しだけ嬉しかったのは、彼がその力を直接的に行使してまで救ってくれたのが、他ではない自分だったということ】
【嗚呼、醜い、愉悦だ】
・・
「……それじゃあ、君も?」
【ならばエリナも同じだろうか、と、戦いを嫌い、何らかの理由でこの部隊に配属された一人であるのか】
【もしくはあの日の自分と同じく、救われた人間であるのか】
- 154ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/06/18(水) 13:00:07
【映像娯楽資料、つまりここにあるどれもが映像なのだろう。映画、アニメ、ドラマ。ウルヴィには縁のなかったモノばかりで、何が良いかなど想像もつかない】
【というわけで、ウルヴィはユスティーナが見繕うままに任せることにした。右も左も分からないならば、勝手を知る彼女の先導を断る理由もないのだ】
【しかし傭兵アクションとは。そういうのが作品として認められるならば、己の仕事も映像化したら作品になり得るだろうかとウルヴィが考えている間に、レンタルという点への懸念を心配する必要が無いとユスティーナは言う】
(ダウンロード…)
【ヴァルハラテックの自治区は外の傭兵向けにも配慮された施設が少なくない。娯楽による集客と、自社製品のステルスマーケティング…いや、企業としてのイメージアップ戦略か。そんな傭兵らしい思索が過るが、有り難いシステムは素直に享受するべきだろう】
「マルタのも、払う」
【たかる時ですら堂々としたユスティーナに、マルタがなんとも言えない声を出す中で、ウルヴィは既に決定事項だと頷く】
【さては残高の心配でもしているのだろうか?とウルヴィは悩むが、ふと棚に目を向けると、妙なパッケージの中心に見覚えのある『武器』を見つける】
(歩兵用…?)
【“シャークタイフーン ファイナル・チェーンソウ”。空を飛ぶ沢山の…自律兵器?にしては生々しい何かと、竜巻。そんな胡乱極まりない背景以上にウルヴィの目を引いたのは、スキンヘッドの男が持っている鎖鋸だ】
【当然ながら武器ではないのだが、愛機に規格外二連チェーンソーを積載する少女は、『歩兵向けのそれも存在するんだ、知らなかった』という様子で、興味深そうに見つめる】
【最もそれは、無言にして無表情。仕草だけで感情を語るのは、散歩中に立ち止まる動物のようだ】
- 155ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/06/18(水) 13:53:53
- 156ヴィオラ◆KPwoT407kA25/06/18(水) 14:02:52
素晴らしい目の付け所でありますね
【ウルヴィの選択を称賛したのは、怪訝な顔でパッケージを見入る2人ではなく、新たな生徒らしき人物だった】
サメ映画。元来ゾンビや吸血鬼など空想上のモンスターを題材にしある種の安心感を担保してきたホラー映画に於いて“サメ”という実在する脅威を主題とすることでより生々しい恐怖を観客に植え付けたそれは、瞬く間に一世を風靡しパニックホラージャンルの金字塔としての地位を確立したのであります。
しかし人気者というものは得てして2匹目のドジョウを産むのであります。どこもかしこもサメ映画の開祖たる『ジョーンズ』にあやかろうと題材を他の動物に置き換えただけの“ジョーンズもどき”が大量に世に放たれていくことになり、本家本元が打ち出した正統続編にあたる『ジョーンズ2』も控えめに言ってクソ映画だったこともあり、サメ映画というものは人気ジャンルの割に作品の品質の打率が極めて低い不思議なカテゴリであることをまず頭に入れていただきたいのであります。つまり自分が何を言いたいのかと言えば、サメ目的でサメ映画を見るのはオススメしないということであります。
…そう、一概にサメ映画と称される世のB級映画に於いては“恐怖を手軽に演出する為の装飾品”なのであります。だから1秒でもサメが映像に出演していればどんな映画であろうとサメ映画のラベルを貼り付ける事が出来、B級映画愛好家にとってサメは“明後日の方向性に突き抜けた変な映画”であることをわかり易くしてくれるシンボルマークとなったのであります!
…さて、話題をその“シャークタイフーン ファイナル・チェーンソウ”に戻しましょう。正直サメという海洋生物を鼻先から尾鰭まで馬鹿にしているとしか思えず正直布教用ディスク50枚ほどを今すぐ焼却処分してやりたいくらいには腸を煮えくり返している自分でさえ予測不可能で見応えがあり尚且つ映像合成もB級なりに頑張ってる方という気合いの入れように振り上げた拳を下ろす他無かったのであります。傭兵さんは慧眼でありますね。
ちなみにそれはシリーズの6作品目であります。もしB級の魅力に惹かれて再びここに足を運ぶ機会があるのでありましたら…1作目の“シャークタイフーン”から順番に自分がお勧めさせていただくであります。
それでは、また………………
【一方的に捲し立て、その生徒は立ち去っていったのだった】
- 157ユスティーナ◆KPwoT407kA25/06/18(水) 14:04:08
- 158エリナ◆5Q4kt6Q.kc25/06/18(水) 14:15:08
- 159ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/06/18(水) 14:30:30
「…??」
「………????????」
「ん……ばい、ばい?」
【脳に劇物を流された気がする。今の情報量に比べたら、BFの接続負荷もマシに思えるのでは無いかと感じられるほど、濁流のように捲し立てられたウルヴィは、半ば放心状態で手を振って台風のような生徒を見送った】
【この時のウルヴィは、生まれてはじめての恐怖というものを微かに感じていた。理解不能、という意味でだが】
【しかし好奇心は猫を殺すのか、或いは飛んで火に入る夏の虫と言うのか、ウルヴィはその作品をレンタルの内に含めることにしたらしい】
「…あいぞう、かみひとえ」
【妖怪の複雑な熱情は、推し量れるものではない。しかし執着とは愛憎ふたつの側面を持つからこそ、より猛るものなのだろう】
【そんな気がして、ウルヴィはそっと呟いた】
- 160シェディ◆PPyRfvMZl625/06/18(水) 15:36:17
【悲劇、というものは、この世界には有り触れている】
【ともすれば彼女の語る過去さえも、吐いて捨てる程、よくある話の一端として彼方に忘れ去れていてもおかしくはなかったのだろう】
【それでも、今、ここにいるという事実は、神父の善性が少なくとも一人の人間を救った過去に外ならない】
「そうか、昔からそうなんだね、神父様は」
【冷えた紅茶が喉を流れ落ちる】
【静謐を裂く、小煩い夏虫の鳴き声が、暑い陽射しに照り付ける窓越しに鼓膜を震わせていた】
・・・・・・・・
「────────────ねぇ、君は、神父様が好きかい?」
【カラン、と、透明なティーポットの中を氷が空回る涼やかな音が、鳴った】
【それと全く同時に、あまりに突飛な質問を投げかける女の表情は、得も言われぬ愉しそうな笑みで】
【試すみたいに、首を傾げていた】
- 161ミゾレ◆KPwoT407kA25/06/18(水) 15:44:46
- 162ユスティーナ◆KPwoT407kA25/06/18(水) 16:03:39
なんか悟っちゃってるし…………まぁ、ウルヴィの選択ならユスティーナは尊重するわ!せっかくだから今度ユスティーナ達も視聴しましょう!!
「あたしもぉ!?」
【そんなこんなでマルタも“butsu”という、『列島の仏像に惹かれた女子高生の旅行珍道中…だった筈が段々サブキャラの方に焦点が当てられていきいつの間にか各コロニーや自治区のフランチャイズ店を巡るドライブアニメとなっていた』謎多き日常アニメ作品を買うことにしたようで】
それじゃあ、会計を済ませたら1階に降りてカフェテラスでまったりするわよ!!ユスティーナはキャラメルマキアート!
「あたしはバニラフラッペ〜…ウルヴィさんはなにか好きな飲み物ある?無かったらあたしのオススメドリンク教えたげるけど」
- 163エリナ◆5Q4kt6Q.kc25/06/18(水) 16:04:06
『そうですね............』
エリナは少し間を置いて答えた
・・・・・
『好きでした。それに、もし万が一大尉から
求められたなら....私は受け入れるつもりです
まぁ、そりゃあ仕方ないよねと思いませんか?
命の恩人でかっこよくて、強くて....それに、
長年自分を育ててくれた理解者でもありますし』
しかし....でも、と言葉を続ける
『あの人は、私を家族としか見ていません
"一人の女"としては見てはくれませんでした。
正直、信仰と責任感で枯れたのかな?とすら
思ってましたし....諦めはとっくに付けたんです
けど、私の予想は外れちゃいましたね
....ねぇ、"ミラーリング"って知ってますか?
気になる相手や、深い仲になった相手の癖や
されたりしたりする仕草、行動なんかが
無意識に擦り込まれる事を指した言葉です
・・ ・・・・・・・・・・
唇を、小指で3回ノックする...この仕草、
最近大尉がするようになったんですけど....
さっき話していた貴女も、していましたよね』
エリナの眼もまた、好奇心で光っている
- 164ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/06/18(水) 16:38:50
「ん、ない」
【支払いを行う最中、特に無いと首を振る。より正確に言えば、ウルヴィはカフェに何があるかも大して分からない】
【クライアントとの待ち合わせ等、仕事以外でウルヴィがカフェを訪れることは殆ど無い。青天市街だろうと、コロニーだろうと、それぞれの店舗が行う企業努力など完全に無視して、メニューを一目見ることもしたことがないのだ】
【三人分の足音が軽快に鳴らされて、一階のカフェテラスへと向かう。陽射しが炙った地面の熱から救いを求めるように、それなりの人混みがカフェへと訪れていた。特に若い女性が多く見えるのは、きっと気の所為では無いだろう】
「ん?」
【さて、マルタの言うおすすめとはなんだろうか。フードの下で灰髪をちらりと揺らして、ウルヴィは小首を傾げた】
- 165ユスティーナ◆KPwoT407kA25/06/18(水) 17:07:48
「おっけー!」
【ウルヴィ自身の希望を確認した後、カフェテラスに降りる。ガラス張りの窓を正面とした、自治区の景観を楽しめるカウンター席に腰掛けるとそれぞれの生徒が好みのドリンクを注文していく】
「こっちの人にはキャラメルフラッペをお願いしまーす!」
【程なくして3人のもとに注文通りの品が運ばれる。ユスティーナにはミルクとエスプレッソが織り交ざり、その上にキャラメルソースをトッピングしたオーソドックスなキャラメルマキアート、マルタには上にふわふわのクリームを載せた真っ白なフローズンドリンクが届けられ…】
「あたしとユスティーナが頼んだやつの中間っぽいやつ選んどいたよ!」
【ウルヴィの眼前に置かれたのはマルタのものにも似たレイアウトながら、クリームの上にかけられたキャラメルソースをアクセントとするキャラメル色のフローズンドリンク。生徒達にも人気の高い定番フレーバーのひとつである】
- 166サンフラワー◆fDey8JUvvk25/06/18(水) 17:19:28
【バアル─単独でネストを制圧するための高級な玩具は、しかし予期せぬところでその価値を示していた】
【単純な火力であればストラクチャーの中で特筆すべきものはないが、その航続距離・巡航速度は唯一無二のものであり】
【割に合うかはともかく極東半島の機動防壁として忙しなく稼働を続けている】
【だが、インベイドのように無補給で動き続けられるわけでもなく、基地にて補給と整備は定期的に受けざるを得ない】
【その中核たるサンフラワーもまた基地のラウンジで1人、カードの山を側におきながら時間が過ぎるのを待っていた】 - 167ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/06/18(水) 17:35:56
【作戦が終了された。最小限であるが大いなる犠牲を以て】
【ある完璧は嵐炎を、ある天才は忿懣を、この地に懲りずに居座り続けている怨敵へ放つ】
【その軽やかに舞いながらも重苦しく感じられる後ろ姿を、ある特別は見上げていた】
……メビ、今回は俺、上手くやれていたかな……?
『部隊を誰1人として欠けさせず、有事に備えて必要な火力のみを使い、支援機としての義務を徹頭徹尾優先したため、本作戦での戦闘評価は高いかと』
……そうか
『護衛中に守り切れなかった兵士、及び確保し損ねた反応炉については、過剰に気負わずとも宜しいです』
……すまないな
『そこは「ありがとうな」です。召し使いであれば、主人が常に気高く在らせられるように側で支えるのが義務ですから』
【今の彼に必要な言葉だけを、メビは淡々と渡す】
【召し使いの義務として、5年を共に歩んできた相棒の役目としても】
……ありがとうな
『それでは良い返事が聞けた所で、艦隊に帰った後は事務作業が山積みになっていますのでご了承して下さいね』
……ハハッ、りょーかいっと
- 168ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/06/18(水) 18:14:49
「ん」
【恐らくは感謝か了承の意図を含むだろう返事を返して、ウルヴィは未知のドリンクを受け取る】
【ガラス張りの窓は活気に満ちた自治区の景観を眺めることができて、晴れやかな街並みを伺える。ウルヴィの慣れ親しんだスークと違い、暗い欲望が入り混じって形成されるのとは異なる、日差しのような活力がそこにあった】
【涼しい顔をしている黒衣の傭兵とて、夏日にも迫る空気に何も感じていないわけではない。代わりのように汗をかく容器の冷たさが、飲料を求める人々が何故絶えないのかを物語っていた】
【口に含んだ飲料は純粋な液体…ではなく、粒のような硬質の感触が存在する。細かく砕かれた氷は、フローズンドリンクをそうたらしめる一つの要素だ】
【それをジャリジャリと噛みながら、キャラメル特有の濃厚な甘さとコーヒーの香り高い苦味をミルクで調律した、重い味を転がす。キンキンに冷やされたお陰か、コーヒーが後味を緩和しているのか、存外に飲み込んだ後の口内にどろりとした甘ったるさは無い】
【そして何よりも、熱を溜め込んだ身体が内側から冷えていく。諸事情でフードも外せないウルヴィにとっては、特に有り難いことだった】
「つめたい…」
【ストローから離した口で、ウルヴィは小さく溜息をついた】
- 169シンカイ◆9BZ6kXGcio25/06/18(水) 18:53:43
甲板のラバーマットにしっかりと降着する。
ギィとラバーマットが甲板装甲と擦れた音を鳴らした。
《Touch Down!》
カラーギャングたちがすぐさま武装を外しに走ってくる。
「やっと終わった…」
エクセリアは所々装甲表面の塗装が剥がれて錆止めの青が見えていた。
シンカイはシート横のポーチを取り外し、コックピットからおりると奥にかの虎が鎮座しているを見た。付近にパイロットは居ない。
近くに寄らなくてもわかる。どこにも損傷を負っていない様子だ。
「化け物が…」
正直な感想が出る。
その足取りでパイロットロッカーに向かい、士官服に着替える。
「…クソっ!」
ロッカーに拳をぶつける。凹みこそしないが中々大きな音が鳴る。
あんな機体ですら被弾が無いというのに俺は。
そんな思いを胸の内に仕舞い込み艦内通路に出る。
その突き当たりに青年がいた。少し小柄な少女と共に。 - 170ユスティーナ◆KPwoT407kA25/06/18(水) 18:56:36
…そういえば気になってたんだけど
【砕氷を含まない、さっぱりとした口溶けをキャラメルマキアートを啜りながらユスティーナが疑問を投げかける】
ウルヴィってこの猛暑真っ只中の時期にずっとフード被ってて暑くないの?
【ユスティーナはウルヴィの身に起こった異変など知る由もない。そもそも邂逅時には頭の上に異物など“生えて無かった”のだ。隠さなければならないものの存在など露知らずに疑問を投げかける】
「ユスティーナが言えた口それ?その眼帯だって初見からしてみれば怪しさ満点だよ」
ユスティーナのはこうしてないと鼻血を漏らすっていうのっぴきならない事情があるんですー…ほら、両目とも健在!っと
【マルタの指摘をひらりと躱し、軽口混じりにアイパッチを解いて双眸を見せる。片方の目だけを集中して閉ざしてしまうといざという時に視力のズレを起こしてしまうので定期的に入れ替える必要があり、今度は右目にアイパッチを掛けた】
- 171ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/06/18(水) 19:29:00
- 172ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/06/18(水) 19:36:13
【カタン、カタン】
【艦隊に戻り、兄弟と篤き再会を約束した後、金龍は改めて外の空気を吸おうと革靴を鳴らしていた】
【そのリズムは、ペザンテであった……】
……なぁメビ、やっぱ山積みだからってあんなチョモラ──『大佐』──ンマァッ!?
【そして、アッレグロ!】
【突き当たりでまだ顔もはっきりとしていない男と衝突しかけた所を、メビが残像を生み出さんとする速度でスーツの襟首を掴んで防ぐ!】
『大佐……「ご了承して下さいね」と私は既に申し上げましたよね? 普段の貴方であれば、こういった風に他の方とぶつかりそうになる事が無いのですが?』
【喉を摩る彼の不注意ぶりに、メビは身なりを整えながら指摘する】
ケホッカホッ……すまんすまん……現を抜かしていたな……
『今後この様な手助けまでは必要とされないよう、ゆめゆめ忘れないで下さい。確かに仕事の量は多いのですが、貴方1人にさせるとまでは申し上げていないのですから』
分かったよメビ、ちゃんと気を付けるよ……
それと、そちらさんもすまなかったな。どこか怪我は無い……か……
【メビから正面へ視線を移すと、今度はしっかりと見覚えのある黒髪が目に映る】
【かつて羅刹と戦った時にメビに見せてもらったデータ、それっきりであったが、金龍には確かに見覚えがあった】
もしや君……シンカイ・イラストリア少尉その者では?
- 173ユスティーナ◆KPwoT407kA25/06/18(水) 19:52:28
- 174シンカイ◆9BZ6kXGcio25/06/18(水) 19:56:52
- 175ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/06/18(水) 20:09:07
- 176エイダン◆Fd5AlHEdkk25/06/18(水) 20:22:43
- 177ユスティーナ◆KPwoT407kA25/06/18(水) 20:27:52
(っ!?これは…………)
【ユスティーナの鋭敏は視力は、フードの端からほんの少し見えたソレを正確に認識した。唇に指を添えられ表情のみで狼狽を伝える】
・・・・・・・・・
【曝け出せる訳がない。機械的なインプラントを施した結果による外見の逸脱であれば今日日珍しくはないが…それとは事情が違う。有機的な猫耳を生やす強化改造なんて聞いた事がないし、ユスティーナはつい先日までウルヴィにそんなものが生えていた事を知っている分、余計に困惑していた】
(どういうこと?あまりに荒唐無稽が過ぎるわよこれ!?何がどうして猫耳なんか…)
「……どうだった?」
【ユスティーナの様子を心配そうに見遣るマルタに対し、指で「近づいて確かめろ」とジェスチャーする。ウルヴィもマルタに見せる事を許容したようなのでフードの奥を覗くと】
…!?!?
【思わず漏らしそうになった声を自らの両手で無理やり塞ぎ込み、見開いた目で驚愕を表現する。】
【───────ユスティーナと違い、マルタは以前のウルヴィの頭部を知らない。しかし自身を“生まれる前から遺伝子強化操作を受け、人より優れるべくして優れたバケモノ”として生み出された事を知っていた彼女は】
「(まさか、この人も“同じ”…)」
【驚愕以上に、自分たちの“同類”が外の世界にもいた事に対して…ある種の親近感を覚えたのだ】
- 178シェディ◆PPyRfvMZl625/06/18(水) 20:39:55
【────────────、愛、という言葉は多面的だ】
【博愛、隣人愛、友愛、親愛、家族愛、娼婦も偽物の愛を売る職である】
【エリナが父親同然の存在へ向けた愛もまた一つ、そして、それに対して父親として応えた神父の想いもまた、愛と呼べるものなのだろう】
【相互に抱く感情が、同じものであるとは限らない】
「おやぁ────────────、」
【唇の端に、食む様に触れた己の指先の姿に、言われてようやく気が付いた】
【傭兵としての彼女が仕事を受ける際に用いるシークレットジェスチャー、幾度も繰り返して、癖の様に染み付いた戯れ】
・・・・・
【嗚呼、成程、成程、この矮小なデスペラードにも、小指の先程には刻めるものがあったらしい】
【かたん、腰掛けていた椅子の脚が跳ねる、躯体を曲げて、女の顔はエリナの目と鼻の先に接近する】
【それはまるで、口付けの一つも交わす距離】
「────────────目敏いね、いけない子だぁ」
【くす、くす、くす、と、微かに哂う唇のふちからは、紅茶で潤んだ紅い舌が垣間見えた】
- 179サンフラワー◆fDey8JUvvk25/06/18(水) 20:47:10
「ああ。お疲れ様です、Dr.エイダン。博士にしてはアクティブでしょうか?ふふっ。」
【補聴器の電源を入れながら笑い、なんちゃってと返す】
「こちらのカードはズバリ。占い道具です!タロットカード、とも言いますね。」
【ここで一呼吸】
「『運命がカードを混ぜ、我々が勝負する。』」
「聞いたことはございませんか?配られたカードは変えられないが、どう勝負するかは私たち次第だ、と」
「興味がおありでしたら、占ってほしいことを考えながら、こちらの山から……」
【ゆっくり、たどたどしい動きで山を崩し、広げていく。その枚数は22枚】
「一枚選んで、こちらに伏せてください」
【別の場所に伏せてください、とゆっくり手で示す】
「占ってほしいことは明日の夕食から人類の未来まで、何でも構いませんよ?」
- 180ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/06/18(水) 20:49:17
【触るまで行かずとも気がついたならば、それも良いだろう。広げていたフードを指で摘んで、少し目深に被り直してから、再び周囲へと視線を回す】
【何かに映ってはないだろう。何事も無かったように、ウルヴィは半分ほどまで減ったフラッペを上部のクリームと混ぜる】
・・・・・・
「…こうなってた」
【二人の様子を見る限り、説明は十分だろう。自身にもよく分からないという旨を伝えたウルヴィは、マルタの親近感など露知らず。ユスティーナと共にただただ驚嘆しているのだろうと思いながら、ストローを回す】
【クリームとキャラメルソースが、更にコーヒーを薄めて掻き混ぜられていく。キャラメルフラッペに、コーヒーの名は無い。確かなベースのはずなのに、それは塗り潰されて消えていく】
【後味を引き締めていた苦味も、どろりとした甘ったるさへと書き換えられていた】
- 181ユスティーナ◆KPwoT407kA25/06/18(水) 20:57:14
……そう…
【マルタもユスティーナも、それ以上を問うつもりはなかった。本人にも知りえないのならば浅学な自分たちに分かるはずがない。全くもって不可思議すぎる異変だ】
……………そういえば!ウルヴィってまだ時間残ってるかしら!?こっちは2人とも1日中ヒマだからまだまだ自治区内を案内出来るとおもうんだけど…
【なんとも言えない空気感を掻き消すようにユスティーナが鶴の一声を出す。なにか別の話題でも投げかけて会話を跳ねさせれば良いものを、2人とも困惑し過ぎて眼前のドリンクを飲み干さねば進められない内容を取り扱ってしまったのは判断ミスだろう。尤も、2人ともウルヴィが飲みきるのとほぼ同タイミングでカップを空にするだろうが】
- 182ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/06/18(水) 21:02:00
いやいやいやいや、別にそんなに畏まらずとも充分だから敬語無しで良いから落ち着いて落ち着いて……
(俺そんなに怖い顔してたのか……)
【ただ純粋に話そうとしているだけの自分に対し、内心震え上がっているように受け取れる彼の姿を見て、金龍は少し悄気た】
まぁとにかく……合っていれば良かった……
どこかでこうして会えたら、あの時のお礼を言おうと思っていてね
ほら、姐ちゃんも居た──
『大佐』
──おっと、姐ちゃんってのはユスラ大佐の事だ
彼女も居たあの防衛戦、君が後ろから敵のスラスターを撃ち抜いてくれたお陰もあって勝てたからね
【シンカイの目を見据えながら、右手を差し出す】
改めてここに表する。ありがとう
- 183エリナ◆5Q4kt6Q.kc25/06/18(水) 21:08:09
- 184ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/06/18(水) 21:13:41
「ん。自営業は、自由」
【企業に所属しない独立傭兵とは、言わば個人事業主だ。彼らにとっては依頼が無ければ全ては休日であり、依頼を受ければ完了するまでは全てが勤務日である。即ち、時間は有り余っているとも言えた】
【なお実はこのウルヴィ、同居人に書き置き一つも残していないのだが、それはまた別の話である】
【それから店内の喧騒に掻き消されるような沈黙が続く中で、フラッペを残り25%ほどまで減らしたウルヴィが何かを思い出したように「あ」と呟いた】
「マルタと、ユスティーナは…学園長?は、知ってる?」
【それはまるで世間話のように滑らかに、先程までの気まずさなど気にしていない様子で…というかウルヴィは本当に気にしていないのだが、平然と行われた質問だった】
- 185ユスティーナ◆KPwoT407kA25/06/18(水) 21:37:41
学園長?カミラちゃんのこと?
【滑らかに投げ掛けられた質問への返答は、“学園長”という企業のトップに対してあまりにも近い距離感を感じられるものであった】
「あの子もあたし達の元同級生なんだよ。でも飛び級でアカデミーを卒業して、そのままこのヴァルハラテックを建ててアカデミーを飲み込んじゃったり色々凄いことやってるせいであたし達も実感沸かなくなってきたなぁ」
CEOになって忙しいのか、前と違って顔を合わせる機会もめっきり減っちゃったしねー…ま、こんなふうに暇できる余裕が無いってだけで連絡すれば応接くらいはしてくれるけどね!
【彼女たちの認識に基づく“カミラ・ユグドラシル”について語らいながら、最後の一息となったドリンクを吸っていく】
まだ聞きたいことがあるなら答えられる範囲でジャンジャン受け付けるわ!その後は本屋!めいっぱい楽しむわよウルヴィ!!
「え゛っ本屋ぁ!?」
- 186ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/06/18(水) 21:49:01
(…知らない名前)
【珍しくウルヴィが口元に手を添え、考えるような仕草を明確に現す。その思考が向けられるのは、アスガルド・アカデミーに居るという噂だけがある、元“同僚”について】
「じゃあ…その前は?」
【卒業生がヴァルハラテックを建て、アカデミーを取り込んだ。その卒業生が現在の学園長であるならば、前任者こそ“第三の生き残り”では無いだろうかと考えながら、ウルヴィも容器の中身を空にする】
【“元第三特務部隊”のメンバーで、居場所がハッキリしている者は多くない。ウルヴィもあの頃の機体は保管しているものの、わざわざ積極的に素性を明かすことはしていないのだ】
【故にそれは興味というよりも、情報精査、真偽確認の趣きが強かった】
- 187ケイ◆ECPjTIh3Iw25/06/18(水) 21:59:24
- 188ルノアール◆Fd5AlHEdkk25/06/18(水) 22:04:00
- 189ユスティーナ◆KPwoT407kA25/06/18(水) 22:12:18
【“前の”、というフレーズを聞いた2人の面持ちが神妙なものへと変わる】
「…ビルギッタさんならちょっと前に死んだ。ソフィーちゃん…シュヴェルトライテのパイロットを、庇って」
【ビルギッタ・ハグンティ。公には“バーサーカー”のコードネームの方が知れ渡っているであろうか。元第三特務部隊の一員として名を馳せた彼女によってアスガルド・アカデミーは人材育成企業として名を馳せるに至ったのだが】
【学園長という肩の荷を下ろし、ヴァルハラテック専属の傭兵として戦場を駆け巡っていた緩みを突かれたのか。当時「インベイド殲滅」と「戦術警戒指揮」を単独で並行して行っていたシュヴェルトライテの過労の隙を突かれ、それを庇う形で致命傷を受け。そのまま息を引き取った】
【学生達にとっても忘がたい苦い思い出であり、傷痕として深く残るものでもあった】
- 190シンカイ◆9BZ6kXGcio25/06/18(水) 22:15:20
- 191東雲 台◆5Q4kt6Q.kc25/06/18(水) 22:15:43
- 192シンカイ◆9BZ6kXGcio25/06/18(水) 22:26:48
- 193ウルヴィ◆xZJxX8ZGsA25/06/18(水) 22:44:24
「そう…。また、減ったんだ」
【道理で表沙汰に話を聞かないわけだと納得しながら、小さな嘆息をつく】
【これで11人か、10人か。或いはもっと減っているかもしれない。しかしかつての同僚が亡くなったというのに、相変わらずウルヴィの心は動かなかった。死んだだけだ、と当然に受け入れてしまう】
【僅かな痛み以外に何も感じられず、きっと眉一つ動いていない自分はやはり人らしく無いのだろうなと、沈痛な悲哀を表情に出す二人を見て改めて思った】
「つぎ…本屋?」
【会えなくなったのは物足りないが、足跡を知れただけ良かったということにしよう。冷え切った空気を作り出した責任として、ウルヴィは話題の再転換を試みる】
【ここまで一切表情を変化させない傭兵の姿は、冷血にも見えてしまうかもしれない】
- 194エイダン◆Fd5AlHEdkk25/06/18(水) 22:45:43
「占いねえ……」
【胡乱気な声色で呟きながら、卓上に並べられた画一的な絵柄を眺める】
【何のオーラも感じられない】
【元より、スピリチュアルな事柄には疎いのだ。自分の興味関心は全て工学と、その進化に向けられているが故に】
「それじゃあ、当面の身の振り方でも伺おうかな。何かと波乱が多いからね、最近は」
【ただ、この目で確認したことがないものを頭ごなしに否定するつもりもない】
【そして彼女が言ったように、運命とは本社からの命令と違って、変えられないものではない】
【なら、その一端を見せてもらうのも一興だろう】
【手を伸ばして、軽く捲る】
【さあ、運命は如何に──】
- 195シェディ◆PPyRfvMZl625/06/18(水) 23:00:32
「……あぁ、ふふ、折角だから自己紹介をしておこうと思って」
【応接室のテーブルは二人の間に敷かれた境界だった、その卓上に膝を置いて身を乗り出した女は、赤茶色の水面が揺れる撓んだ水音を残して容易く境を超える】
・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・
【初めから、一切の躊躇い無く、そうすることが出来る女だった、戦闘娼婦は時に躊躇いも無く標的に裸すら晒すハニートラップ使いでもあるが、最も、この場に於いてはそのような大仰な手段は必要じゃない】
【彼女(エリナ)が僅かばかりでも、蛇がとぐろを巻く様な艶めかしさで接近するシェディの様に驚き、動揺し、動きが硬くなったのなら、────────────ほら、】
「────────────ボクが一体、どんな人間なのかをね、エリナ准尉」
【意識の隙間を縫うみたいに伸ばした腕が淑女の頬を抱いて、寄せる、自然に色付いた薄紅の唇へと、娼婦の舌が這った】
【悪戯に押し割って熱が染み入る、肌と舌先から紅茶とシトラスの艶やかな香気、その奥に仄かな鋼の香り、繋がり合う口元から零れる唾液の一滴を浚えば、それはすぐに己の唾液と混ざって境を失くす、口腔の奥へ引っ込もうとする舌を強引に絡め取ったシェディのそれは、ともすれば暴力的にすら思える行為だった、さて、神父への健気な愛情をしとやかに胸の奥に抱き続けたエリナにとって、その様な暴力には如何な耐性が身に着いていようか】
・・
【抵抗は許さない、悪女は己の危険性を彼女の心身に教え込むように、数秒も、十数秒も、数十秒もそうして】
・・・・
「────────────ほら、いけない、覚えたね。
いくら神父様の知り合いだからって……こんな悪い人間をのこのこと招き入れちゃいけないよ?」
【やがてゆっくりと、離す、仄かに白磁に濁って伸びる細い水糸を、その口先で啄みながら】
- 196エリナ◆5Q4kt6Q.kc25/06/18(水) 23:15:43
- 197ミゾレ◆KPwoT407kA25/06/18(水) 23:16:52
- 198ゴルドラ◆ncKvmqq0Bs25/06/18(水) 23:17:16
(何か怒っている……?)
【差し出した手をそれとなく拒否され、言葉の節々が心なしか刺々しくなったのを、第6感で察知する】
【しかし彼にとっては、人として自然な事しか行っていないため、原因に心当たりは無かった】
……ただ、まぐれって事にしといても、その乱数は多くの人々を助けて被害を減らせたんだ
そこに関してまで謙遜しなくとも、罰は当たらねぇはずだよ
【依然として軍人らしく慎み深い対応をするシンカイに、金龍は相も変わらず軽い態度で讃えた】
で、その機密主義は“特務”だと教えてくれない感じかな?
どっちにしろ構わないけども、これ以上立ち話するのもお互い疲れるはずだ
ちょうどこれから俺の相棒を剣龍に移そうとしていた所だし、この続きは向こうでしないか?
- 199シェディ◆PPyRfvMZl625/06/18(水) 23:29:50
「おやぁ、保護者の方のご到着だ……お邪魔しているよ、神父様」
【悪びれないとはこのことだ、容疑者どころか現行犯、その終いの一服とでも言うかの様に残された紅茶に口を付けた悪女は背後に立つ男へ肩越しの視線を向けて、くつりと小さく笑った】
【対面で初めて味わう甘味に打ち震える淑女の様を面白そうに】
「……良い子だね、この子は、とても正しく育てられている。
こんな世界、こんな時代に、いっそ羨ましくなるくらいに」
【頬杖を突いて独り言ちる】
・・・・・・・・・・・・・・・
「だからこそ、危ない人間には気を付けるように、今度はちゃぁんと教えておかないとダメだよ?
ここに来るたびこの無垢さじゃあ、あまりにも無防備で、少し、遊びたくなってしまうからね」
- 200ユスティーナ◆KPwoT407kA25/06/18(水) 23:37:17
(知り合いか何かだったのかしら。依頼登録名簿で見た年齢はカミラちゃんより一回り年上だったからそういう事もあるのかも…?それにしても眉一つ動かさないなんて
これが傭兵なのね!ユスティーナには真似出来ないけど訃報で躊躇わない鉄の精神は目を見張るものがあるわ!)
「(ユスティーナの眼が輝いてる…!ってか、気使わせちゃったかな、ウルヴィさんに)」
【彼女達は女子高生である以前に、軍人としてのカリキュラムを受けた新人士官だ。プライベートで同胞の死を悼むことはあれど、それが戦場でどれだけの枷となるかを深く理解している】
【独立傭兵は常に孤独だ。2人ともウルヴィの無関心さを常在戦場の意と捉え、大袈裟に取ることはしなかった…そもそも、彼女と前学園長がどういう間柄だったのかさえ知らないのだ】
ええ!このユスティーナ・ハクリが映画のお供にオススメの本を斡旋してあげるわ!!
「あたし活字苦手だから買ったアニメの原作漫画にするねぇ…」
【本人が避けた話題を蒸し返すことも無いだろう。先程とは別の理由で顔に暗い影を落とした生徒を尻目にユスティーナが再びウルヴィの手を書店へと引く】