- 1二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 19:50:02
- 2二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 19:51:46
- 3二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 19:55:25
シャーロック・ホームズの事件簿とそして誰もいなくなった。名作って言われるのも納得できた
- 4二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 20:51:35
東京レイヴンズいいよね
古いが七回死んだ男は面白かった
オチは部分的に読めてたけど、そこで登場人物の新たな一面見せたりと飽きさせない工夫が凝らされてて楽しめた - 5二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 21:12:16
知り合いに『こちら、終末停滞委員会。』というタイトルをオススメされた
- 6二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 21:25:27
- 7二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 21:40:05
- 8二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 21:45:43
ライダーは講談社キャラクター文庫から一頃良く出ていたけれど、ウルトラマンの小説って貴重な気がする
超時空のアドベンチャーは面白かった、映画の方も見ていたらもっと楽しめたのかも知れないけれど、それでも過去作ネタに気づけた時は嬉しい
- 9二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 21:53:04
最近買った本が蓮ノ空の卒業ライブのパンフレットなんだけど、読み終わった後に感想のっけるにしてもここより相応しいスレが既に2つも存在しているんだよね…
それにしても映画やライブのパンフレットの感想ってありなのかな?アニメ資料集は前々スレでありではないかって言われていたけれど - 10二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 21:54:02
- 11二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 21:59:14
積んでいる本が山程あるのに新たな本を求めて本屋に行きたくなるジレンマよ…
- 12二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 22:34:15
- 13二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 23:42:33
- 14二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 00:50:08
- 15二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 21:37:54
浅倉秋成『俺ではない炎上』
身に覚えのないSNSへの投稿によりある日突然女子大学生殺人犯として実名・写真がネット上で公表されてしまった山縣泰介
会社も家族も警察も彼が犯人であると疑うこともなく、一般人は投稿により犯人として扱い、中には動画のネタとするべく犯人逮捕のため暴走する
逃走する主人公、知人女性に協力を依頼され共に主人公を追う一般人、主人公が犯人であると疑いもしない警察官、そして主人公の娘の4人の視点で構成されている物語で、章ごとの末尾にSNSの投稿により世相の説明が行われている
サスペンス・ミステリーに分類される作品であり、作者からの仕掛けもあって謎に挑む楽しみも大きい
個人的にはいわゆる「無能な警察官」の視点が他にはない特色として彩を添えていたと思う
9月26日に映画も公開されるのでそっちも楽しみ - 16二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 01:30:11
- 17二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 01:39:56
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- 18二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 22:11:55
高野結史『バスカヴィル館の殺人』
クライアント自身が探偵となり特殊な空間で実際に発生する連続殺人を解決するという富裕層向けのサービスを行う闇の組織が存在する世界
しかし全てが用意した台本通りとはいかないのが特殊なサービスの常である
発生するアクシデントに対応する運営とサービスの中で各々の役割を演じるエキストラの視点で見る特殊ミステリー
前作『奇岩館の殺人』と同じ世界感・共通する登場人物でおくられる物語のため、まずは『奇岩館の殺人』から読むのがおススメ
台本のある物語の方は視点となる登場人物が運営のスタッフのため誰が探偵(クライアント)なのかを問われ、アクシデントはなにゆえ発生しているのかも推理しなければならない特殊構造となっており、変化球大好物なミステリーファンに推薦したい - 19二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 10:16:53
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- 20二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 10:19:09
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- 21二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 22:18:48
- 22二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 22:27:25
麻耶雄嵩『化石少女と七つの冒険』
前作『化石少女』の続編、名門私立高校を舞台に名探偵不在のまま血まみれの青春劇がより凄惨に深化する
前作から年度が変わり廃部問題・生徒会選挙問題も解決した学園で発生する七つの殺人事件(またかよ)
前スレではすっきりしないミステリーとして紹介したけど、新しい探偵が登場しても「名」探偵ではないため状況はより泥沼へと沈んでいく物語はイヤミスとして言いようがない - 23二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 00:04:46
宮部みゆき「ソロモンの偽証(文庫版)」
ただでさえ文庫本6冊と超長いのに、序盤無理矢理な取材しかけるなど暴走する記者やら嫉妬心から郵便物あさって捨てて状況ややこしくした離婚寸前主婦やら生々しくてやーな気持ちになってなかなか進まんかったわ。ぶっちゃけ後半斜め読み気味だったけどようやく読破。
最終的な裁判の結論が被害者の被害者の心を救うための偽証なのさわやかでよかったし、散々短気だったいじめっ子くんが握手しようと手を差し出したシーンはちょっと感動した。文庫版おまけエピソード最後の「あの時の裁判では負けたけど、今の家庭では私が勝ってますから」ってセリフであの子と結婚したんかーいそして尻にひいてるんかーいってちょっとほっこりした - 24二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 15:44:04
斜線堂有紀『回樹』
表題作の回樹と世界観を同じくする回祭を除くと互いに関係のない全六篇のSF短編集
共通するテーマとしては死・葬儀といったものも含む「別れ」だろうか
火葬・土葬を否定する人間の遺体が残り続ける世界での遺体の扱いを問う『不滅』、白人と黒人の対立に緑色の肌の宇宙人をぶっこんで珍しくコメディ色の彩を加えた『奈辺』が個人的に気に入った
あと『BTTF葬送』、BTTFが一体何の略か未読の時点でわからなかったが、読んでみるとだいぶぶっとんだ話だったよ - 25二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 21:09:56
忙しくてなかなか本を読む時間がとれない…
- 26二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 22:18:20
でも紹介されているけど
辻村深月『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』
後に刊行される『盲目的な恋と友情』『傲慢と善良』でも描写される女性同士の友情及び知人関係と男女の妥協した恋愛模様の原型を見た
殺人事件から始まる物語だけに若干のミステリーっぽさもあるけども、本質的にはある人物についての周囲の印象とかが主題で段々掘り下げられる主要人物の味わいが良い
ラストも『盲目的な恋と友情』は何も残らなかったのに比べたら明るめで希望が残っているのも良い感じ
- 27二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 09:32:45
ニンジャスレイヤーの物理書籍が再び出るそうだけれど、ニンジャスレイヤーってネット小説に含まれるかな?読んで感想書きたいけれど…
- 28二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 22:25:18
- 29二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 16:22:00
伊岡瞬『水脈』
『痣』の名コンビ宮下刑事&真壁刑事が主役として堂々帰還した作者初の続編と呼べる作品
(なお私は『痣』をまだ読んでいないので読む順番を間違えている)
排水口で発見された他殺死体、それは台風による増水で「暗渠」という地下水路を通ってきたものだった
(暗渠【あんきょ】:道路の下などに埋設された地表からは見えない水路、下水道とは異なるものとして作中では扱われる)
宮下&真壁コンビは警察組織のお偉いさんの姪という帰国子女のお守りとして事件に関わり、真相を追うことになるサスペンス小説
以下若干のネタバレ↓
メインテーマとしては闇バイトと公安による隠ぺいによる事件の曖昧化である
主役の刑事二人が下っ端であるがゆえの関わり方を追いつつ現代社会の闇に思いを馳せる作品
闇バイト、というか強盗殺人事件の被害者の視点で事件周辺を描写されており、心苦しい場面もあるので苦手な方は注意、というのがあらすじからではわからないのでネタバレとして扱います - 30二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 21:08:20
小池真理子『私の居る場所 小池真理子怪奇譚傑作選』
文庫版ホラー系短編集で作品ごとにボリュームはまちまち
短いのだと2ページ、それが最初に3つ並んだときは小野不由美の『鬼談百景』みたいなのかと思ったが、その後に30ページくらいのが続くので一安心(?)
個人的に気に入ったのは嫉妬深い夫に束縛された妻視点の「囚われて」、ある夫婦の結婚生活をお楽しみください
ちなみにあとがきによると作者の気に入りは「坂の上の家」…なんで表題作「私の居る場所」にしたんだろう? - 31二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 07:21:43
- 32二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 22:04:10
湊かなえ『往復書簡』
登場人物たちの手紙でのやり取りという形で過去の事件の真相を探っていく3つの作品で構成された短編集
放送部で共に青春を過ごした男女七人、その部長と副部長の結婚という祝いの席での再会で発覚するかって部長と恋仲にあった女性の失踪とその原因となった事件を探る女性3人の手紙のやり取り:「十年後の卒業文集」
若き教師が定年退職した恩師の依頼で恩師の夫が亡くなった事件に関わった6人の元教え子の現状を探る教師と恩師のやり取り:「二十年後の宿題」
海外ボランティアに派遣された男性と日本に残った女性、その交際のきっかけともいえる男性の幼馴染二名が亡くなり女性がその時の記憶を忘れてしまった事件のことを思い出す結婚をも意識する恋人たちのやり取り:「十五年後の補習」
手紙という形式ならではの味わいを堪能できる刊行順では六冊目になる湊かなえ初期の作品 - 33二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:09:34
貴志祐介「さかさ星」
大量殺人事件の起こった旧家で、原因となった呪いを突き止めるホラーミステリー。
一言でいうとスーパー呪物大戦。
山ほど集められた呪いの骨董品の素性を調べて対処していくが、話がオカルト方面に突き抜ける度に主人公のツッコミが入るためわりと軽いノリで読める。
貴志祐介恒例の生き物知識も健在。
話の途中でヤバい呪物が一個野に放たれたまま回収されてないんだけど、大丈夫かこれ - 34二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:13:14
- 35二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:40:21
双子探偵 詩愛&心逢
1冊目が双子が高校入学直後の出来事で、2冊目が中学生時代の過去編かつ完結編という変則的な編成
調子乗りな双子の姉妹が新聞部の思惑で学園のアイドルに祭り上げられ、そのカリスマ性目当てに生徒会伝統の目安箱を勝手に設置され、投書された生徒の悩みを解決しようとするも、四方八方からの陰謀が交錯して深みにはまっていく
『冴えない彼女の育てかた』×『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』と帯に書いてあって、丸戸史明が書いてると思って買ったら冴えカノはイラストのほうで、本文はご愁傷さま二ノ宮くんの作者だった
とりあえず買ってしまったから読んでみたらシンプルに出来の良いキャラ物のミステリーだった - 36二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:40:56
- 37二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:55:32
- 38二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:05:51
- 39二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 00:55:27
保守
- 40二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 00:57:51
藤木稟のバチカン奇跡調査官シリーズ
記念すべき第1巻をきょうから読み始めたが平賀とロベルトのキャラが濃いし作中世界のバチカンも内部派閥やらなにやらで殺伐とした雰囲気でびっくりした反面、宗教だからなぁって感じた - 41二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 14:28:27
保守
- 42二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 15:02:42
- 43二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 19:46:48
- 44二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 22:19:31
秋川滝美『ひとり旅日和 幸来る!』
シリーズのなかでいちばん甘酸っぱい物語だった
この小説のおかげでひとり旅が好きになったし主人公の日和も健気でかわいらしいから応援したくなる - 45二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 19:18:11
加門七海の目嚢
めちゃくちゃ怖かった… じわじわと染みるように怪異が広がっていくし具体的な由来がわからんのが無理
残穢が好き人にオススメ - 46二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 21:46:07
江戸川乱歩の『押絵と旅する男』
乙女の本棚っていう絵本形式で名作を読むシリーズから
美しいイラストと文豪の文章が見事に調和していて面白かった - 47二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 22:27:47
- 48二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 23:24:32
オーラリメーカー
とことん地球外生命体とのコンタクトを描いた短編~中編集
できれば同じ世界観の「法治の獣」と合わせて読んでほしい
- 49二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 00:58:02
湊かなえ『花の鎖』
きんつばの美味しい和菓子屋梅香堂があるアカシア商店街がある田舎町を舞台に3人の女性の視点で語られる物語
就職先が倒産し金欠の中で祖母の手術代の捻出に悩む女性、従兄弟の都合で夫の就職先ごと生活環境が変わった不妊に悩む女性、短大時代の友人からかっての恋人のことで協力を求められ、悩む女性
それぞれの物語がつながる時に物語の全容が明らかになる
湊かなえ作品としては>>32で紹介した『往復書簡』に続く7作目
往復書簡同様比較的マイルドな作品で5作目までとは一線を画すことが出来ると思う
古い方の宿題二つ終わったから次は…まだ9作目が残ってたわ、そのうち読もう
- 50二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 19:26:46
ジョージRRマーティンの「洋梨形の男」
今や世界一のファンタジー作家といっても過言ではないくらいの大御所がキャリア初期に書いたホラー短編集
ぶっちゃけ表題作含めて突出した面白さは無かった
でも最後の「成立しないヴァリエーション」だけはマジで良かった…大傑作…
奇抜な設定が無くてもストーリーと設定とキャラとテーマが全部満点だとこんな感じになるんだなあ…… - 51二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 10:59:33
伊岡瞬『痣』
>>29で紹介した『水脈』の前作に当たる宮下刑事&真壁刑事コンビが主人公の作品、視点は真壁固定
1年前に妻を殺された真壁が左遷先で自主退職までの2週間を有休消化しようとした矢先に発生した連続殺人事件
その調査に渋々加わった真壁は殺された女性たちが残す自分の妻との共通点、そしてかって自分が捜査した別の事件との因縁を発見することになるサスペンス・ミステリー作品
『水脈』→『痣』の順番だと主役二人の初々しさというか未熟さというかを見つつ、このシリーズの事件の規模の大きさに感心する
刑事主役ものということでアクション要素もありつつ猟奇殺人の真相を追うある種の王道構成です
- 52二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 22:04:00
- 53二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 21:19:24
「近畿地方のある場所について」を20pぐらい読んだけどロリコンの神がAV物色してて草
- 54二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 22:18:21
120pぐらい読んだけどすみません怖すぎてギブです
- 55二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 22:20:50
ダンまち読み終わりました
外伝ゲーム含めて多いらしいし次何読んだら良いか教えてもらってもよろしいですか… - 56二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 13:55:42
- 57二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 22:37:01
南 杏子『アルツ村』
北海道のどこか、地図にすらのっていない高齢者ばかりの住民と口数の少ない介護スタッフたちで成り立っている村
夫から逃れて娘と共に村に辿り着いた主人公が住民として新たに加わりながら村の謎にせまるメディカルサスペンス
作品を通して一つの仕掛けが仕込まれているんだけど、ある程度ミステリーとか嗜んでいるとすぐに気付けると思う
この作品はその仕掛けよりも認知症になった人々、そして介護する側の苦労の描写が肝になっている
ヤングケアラーの日記とか結構苦しくなる描写も有りつつ、村が何を目的としているのかの謎が明らかになると正直理解を示してしまう部分も大きい
作者が現役医師ということもあり描写の良さは高い品質があると感じた - 58二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 00:28:58
内澤旬子『飼い喰い――三匹の豚とわたし』
自分で豚を飼って、つぶして、食べてみたい――世界各地の屠畜現場を取材してきた著者が千葉県旭市で軒先飼いを半年間行った2008年の体験ルポ
物語の最初は家畜の葬儀と畜魂碑に関する知識からはじまる
その後種付け場面の見学や三種類の豚の選別、居酒屋を豚の育成を出来る場所への改造、豚たちとの日々、屠畜、精肉、調理、そして物語の2年半年後に起こった東日本大震災による旭市の養豚業者への影響と学びの多い内容
受け入れ初日の豚たちのヒエラルキー決めから仮に彼らを商品とした場合の値段まで衝撃を覚える部分は多く、抵抗感のある人もいるだろうし仕方ないってところも多いが、関心がある人には興味深い点は多いおススメできるもの
>>10で紹介した作者の10年以上前の日々だが行動力のすばらしさは相変わらず(?)でした
…ところでストーカーの話読むって書いているのにその前の養豚に行ってた事実に今気づいたよ
- 59二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 15:14:07
こわい話の時間です 部分地獄(福音館書店)
斜線堂有紀のオタクなので買いました
最近の児童書ホラー、ふつうにこわい!!!宮部みゆきの話が好き - 60二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 01:42:35
辻村深月『水底フェスタ』
市町村合併の荒波を建設会社の恩恵で乗り越えた山間の村、そこで年に一度行われるロックフェスの日に、ロックに理解を示そうとしない村の住民と心の中で距離を保つ少年は中学卒業と同時に村を出た落ち目の女性芸能人と出会うひと夏のボーイミーツガールもの…を思わせる導入からの皆大好き黒深月もの
自身の感性に若さゆえの特別感を抱く少年の浅く狭い周囲の人間・状況への認識が改められていく夏の物語
村長の息子という立ち位置の特別さ、母親への嫌悪、理解ある父親への尊敬、簡単に整理した友人たちの人となり、今まで認識していなかった様々なものが女性との出会いを経て見せつけられていき、逆に当たり前に受け入れていた村の体質を改めて突き付けられる展開は見事と言うほかない
泥沼にはまり込んでいくような、あるいは明かりを持たず洞窟へと踏み込むような、そんな物語でした - 61二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 16:42:23
ブギーポップ・ナイトメア 悪夢と踊るな子供たち(電撃文庫)
ブギーポップ新刊、うれしい!!!!!それはそれとして製造人間の最終巻まだですかかどちん!
〈パープル・レイン〉、めちゃくちゃ洋楽の曲名っぽいな…してたらやっぱ洋楽だった - 62二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 00:15:05
麻耶雄嵩『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』
京都郊外のとある一族の屋敷・蒼鴉城を訪れた探偵・木更津と助手が遭遇する首のない二つの遺体
それは屋敷に住む一族に訪れる崩壊の序曲だった
混迷を極める事件の果てに現れるもう一人の探偵・メルカトル鮎
これは彼の最後に関わった事件のお話である
というふうにまとめるとありがちなものに見えるこの一冊
しかし探偵たちの推理は読者の斜め上の方向に切り込んでいく…いや、それは一人だけか
正直心配したレベルで迷走した時はどうしようかと
ただ最終的には意外なくらいかなりしっかりとまとまるので安心
『化石少女』で興味が湧いたのでデビュー作までさかのぼってみたがまさしく原型を見た
だいたい一冊目が最後の事件なのにシリーズが続いている時点でどうかしている(褒めています) - 63二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 08:11:06
皆川博子『死の泉』
ナチスドイツ時代に実在した施設レーベンスボルンを題材にした小説
読んだ感覚としてはいつもの皆川博子(幻想耽美怪奇倒錯趣味ロマン小説)という感じ
題材が題材なだけあって道徳倫理が潔いぐらい吹き飛んでておぞましいんだけど、
価値観は社会に作られるものであって、決して磐石の地盤ではないと思い知らされるようなところもある
内容はえぐいけど詩的でありつつ感傷に浸りすぎない文章は何作読んでもやっぱり好み - 64二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 22:33:04
梨『お前の死因にとびきりの恐怖を』
文芸部で発見されたUSBメモリに残されていたとある男子生徒の自殺の記録
誰が何の目的でそのような文章を残したのかを探る中で明らかになる怪異とは…
学校が舞台のホラーモキュメンタリー
表紙の爽やかさが内容とミスマッチに感じるが、最後まで読み終えると収まるべきところにあると感じる表紙になる - 65二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 20:58:08
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- 66二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 09:14:04
- 67二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 03:30:55
阿泉来堂『ナキメサマ』
北海道のとある村を舞台にした、いわゆる因習村系統にあたるホラー作品
作者のデビュー作ながら序盤からしっかりとした工夫がこらされており上質な恐怖を味わえた
ネタバレ気味ではあるがミステリー要素も強く、そちらの作品としても完成度は高い
初めて作品に触れる作者、だと思っていたが登場人物の「那々木悠志郎」の名前を見てアンソロジーで短編読んだことあったなと思い出す
独特な名前と癖の強いキャラクターはやっぱり残るものですね - 68二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 05:00:17
このレスは削除されています
- 69二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 06:03:37
- 706825/07/15(火) 06:23:33
- 71二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 11:39:01
下村敦史『コープス・ハント』
八人の女性の事件の犯人と目される猟奇殺人鬼の裁判の終わり、そこで殺人鬼は「1件は俺の犯行ではない。その事件の真犯人たちの一人を『思いでの場所』に埋めた。」と宣言したことから世間で沸き起こる死体探しブーム
事件を追う中で独走し、休職に追い込まれ、それでも例外事件の真犯人を追い求める狂犬系女刑事と売れっ子ユーチューバーを目指すために動画投稿仲間と死体探しの旅に出ることにした引きこもり中学生の二つの視点で描かれるサスペンス・ミステリー
…完全にこっちの事情なのだがここ最近だけでも2作は見た仕掛けだったので割とすぐに作者の仕込みに気付いた
ただ、このタイプの仕込みは違和感なく仕込むよりも読者が引っかかる程度には描写する方が上手だと思ってる
他には女刑事の暴走自体が終盤で回収される思想の伏線だったり動画投稿の悪い点だけでなく良い点にも注目したりと面白い点は多かった印象です - 72二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 10:21:06
表紙可愛いし面白そうね
- 73二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 23:31:07
湊かなえ『サファイア』
宝石の名前をタイトルにした7つの短編をまとめた短編集
表題作『サファイア』とその続編『ガーネット』を除いて作品間のつながりはない
最初の4つ及び表題作は湊かなえらしいイヤミスの系譜で読後感の苦みは強烈
だが5作目の『ムーンストーン』と最終作の『ガーネット』がイヤミスではなく、一冊を読み終えての感想としては爽やかさすら感じる
特に夫のDVに耐えていた妻が子供にまで毒牙を…から始まる『ムーンストーン』が素晴らしい構成を見せてくれる一番の気に入りです - 74二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 02:22:44
自分もこれ読んだ
侵攻してきたドイツに反撃するソ連の女兵士でずっと推移していた作品で面白かった
欲を言えば視点の違いとして日本への侵攻の話出てたからそれについていくか、登場人物の年齢的に厳しいけど21世紀のウクライナ侵攻に触れる場面が欲しかったかな
ただもうすでに長いのでこれ以上は冗長っていうのはわかる
ところで愛する者って恋愛的な意味だけだったのか?ママいたから満たしていたと思ったんだが…
- 75二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 00:38:58
内澤旬子『漂うままに島に着き』
自身の乳がん・離婚といった状況の変化や震災での生活の影響等から東京での狭い生活に嫌気がさしたことをきっかけに小豆島へ移住する話
>>58で再度決意したストーカーの話はまた読まなかったのかと言われそうだが、時系列としては小豆島での生活中にストーカー被害なので小豆島での生活状況の整理のためということで言い訳したい
引っ越しの決意から物件探し、引っ越し業者の手配(離島専門業者の存在は知らなかった)、小豆島での生活、>>10で紹介したヤギの最初の一頭であるカヨの登場もあり、東京からの離島生活への移行の経緯が面白い
観光地で有名な小豆島なので作者の中に「小豆島が離島である」って意識がなかったところなどは都会の人だなって感じ
そして飲食店にはつきものの回転灯を東京の人は知らないってところには驚いた、というか自分が田舎住まいなんだなって再認識した
作者と関係が薄いため作中では軽く触れるだけだが瀬戸内海の離島では芸術関係なども力を入れているのでそういった関係の本も読みたいところである
もちろんストーカーの話も忘れずに、次こそは、きっと
- 76二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 21:49:01
辻村深月『クローバーナイト』
公認会計士の夫、衣類関係の商品を扱う会社を起業した妻、そして保育園に通う4歳の長女と2歳の長男の4人家族
現代では珍しくも亡くなった核家族の幸せを守る騎士となった夫の視点で描かれる保育園で出会う様々な家族の抱える家庭問題、そして―――
不倫疑惑、保育園探し、受験対策、お誕生日会のお付き合いなどなど様々な現代の問題を絡めた一種のミステリーのような構成になっており、所々辛めの話はあるが黒い方の深月さんが出てくるほどではない手心を加えられた作品
「保育園落ちた~」で社会問題になった時期の作品で、いまだに残っているあの言葉がもう10年近く前のものっていうのが信じたくない
そういう意味では最新の問題とはいかない部分もあるかと思うが、人間関係の問題などまだまだ残り続ける問題も有り古さはさほど感じないところではある(でも2016年刊行…) - 77二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 21:22:58
綾辻行人の霧越邸殺人事件の上巻
美しく広大な屋敷をこれでもかと描写し、タペストリー、マイセンや茶扇子に古伊万里などの和洋折衷の調度品の上品さや美しさも強調することで、湖のほとりに聳える謎めいた洋館の雰囲気が抜群だった
最初の殺人まで発生し、怪しい雰囲気になっていくところで下巻に続く
下巻も読むぞ〜! - 78二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 22:37:11
「唐木田探偵社の物理的対応」似鳥鶏
襲い来る怪異や都市伝説に鈍器や銃火器で対抗する、ホラー小説の皮を被ったアクションもの。開始30ページくらいでホラー要素が消滅するけど、怪異は怪異で物理的に強いのでご安心を。
ミステリ畑の人が書いてるだけあって、物理で仕留めるに至るまでのロジックが非常にしっかりしている。
登場人物のキャラも濃く、怪異よりヤバい変態共が揃っておりどんどん本文から恐怖感が消えていく。往年のハリウッドB級映画感が楽しめる一冊。真夏に読んで良かった。 - 79二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 06:22:18
- 80二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 01:14:40
八島良子『メメント・モモ: 豚を育て、屠畜して、食べて、それから』
広島県尾道市の離島百島にあるNPO法人アートセンターで働く作者が自宅にて一頭の三元豚の雌を11か月育て自らの手で屠畜して食べるまでの話
冒頭で女二人パプアニューギニアにてバックパッカーという導入で手に汗握る一冊
我ながらなかなかニッチな界隈への興味が持続しているとは思うが、>>58で紹介した内澤旬子『飼い喰い――三匹の豚とわたし』の記憶が新しいうちに比較してみようと思いつく
「女性が一人で豚を育てて食べるまで」と大枠の共通点はあるが細部は結構異なるので各要素を()内に内澤さんのを記入して並べると
舞台は広島県の離島百島(千葉県旭市)、頭数は一頭(三頭)、飼育期間は11か月(5か月)【両者とも生後約一か月で引き取りは共通】、飼育方法はペット扱い(自作ながら養豚場に近い)、最後は自家用屠畜(屠畜場で処理)
ペット扱いは本当にそのままで体重が35キロになるまでは自宅で一緒に寝ていたし、もう少し大きくなるまではハーネスつけて島内を散歩したり海で遊んだり、餌に関してもお米や貰い物各種で内澤さんが自動給餌器使っていたのとは対照的に毎回準備してたり
そして一番の特色は最後の屠畜を自宅で行ったことで、このために広島県と交渉したり精肉後は身内を含めて少数で食べたり(内臓は法律により廃棄)
命と向き合う方法は人それぞれで接し方も異なるということを学ばせてくれる
比較的メジャーな豚を飼育することでも様々だと感じ入らせてもらった
- 81二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 22:47:24
鴨志田一『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』
高校二年生の主人公はある日図書館にてバニーガール姿の女性が誰にも注目されないまま図書館内を移動しているのを目撃する
彼女は同じ高校の先輩で現在休業中の子役出身の女優という有名人だった――という導入から始まるボーイミーツガールもの
思春期の男女が発症する謎の現象、思春期症候群による影響とその解決に奔走する青春ものでもある
アニメ化、映画二本が制作されておりアニメ二期は今季放送中で原作小説は完結済み
そういうことは知っていたがきちんと読んだことはなく、久しぶりにライトノベル読んでみるかと思い立ったので最後まで追いかけやすそうという理由も有り選んだが大当たりだったと思う さすが話題作
しかし、記憶にあるよりも少なめのイラスト含めて300ページ越えとなるとライトというわりには読み応えがある
まあゴール見えているしぼちぼち追いかけていくか - 82二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 11:37:36
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- 83二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 01:21:52
斜線堂有紀『死体埋め部の悔恨と青春』
大学進学のため田舎から上京してきた主人公である祝部
だが素晴らしい日々となるはずだったそれは初日から暴漢に襲われ返り討ちにしてしまった結果、死体の前で苦悩するという形に変貌してしまう
嘆く祝部の前に現れた青年・織賀は死体を埋めに行くという形での救いの手を差し伸べ、祝部は織賀の車のトランクに死体を押し込んでしまう
そして織賀の車の後部座席に乗り込んだところ、そこには先客―――左手の指が全て骨折した女性の死体が待っていた
タイトルも不気味なら冒頭も不気味、もはや青春に輝かしさはなく死体の匂いがまとわりつきそうな全4章のミステリー
祝部と織賀と死体のドライブの間に行われる会話と観察から死体ごとの謎を追求するという変わった作風で、主人公であり読者の視点となる祝部が限定された情報と死体から真相を求める構成である
織賀の立ち位置は情報提供者兼採点者といった感じになりトリックスターとでもいうべきか
死体がありながらホワイダニットオンリーの作品は珍しいかな
珍味というと言葉は悪いかもだがなかなかお目にかかれない味わいです - 84二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 01:29:38
- 85二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 08:05:57
- 86二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 18:05:53
- 87二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 20:22:29
- 88二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 21:17:42
澤村伊智『頭の大きな毛のないコウモリ 澤村伊智異形短編集』
ホラー映画や漫画は見るけど小説は初挑戦
たまたま読んだ「鶏」という短編が面白かったので同じ作者の新作をチョイス
かなり工夫を凝らしたタイプの話が多く初心者向けではなかったような気がしたけど面白かった
映画「来る」が有名なことを最大限生かしてる話が最高でした - 89二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 23:36:23
- 90二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 23:52:31
お言葉に甘えて体験記、というにはいささかハードながら一冊
内澤旬子『ストーカーとの七〇〇日戦争』
>>75で辿り着いた小豆島での理想の生活が8か月の交際の果てにストーカーと化した男により崩壊した日々を描くノンフィクション作品
>>75の作品内で東京から離れる際に友人たちから「田舎で生活するには内澤さんは美人過ぎるから心配」との言葉を一笑していた作者だが、この本を見ると友人たちの慧眼に感服する
ストーカーへの対応の日々であり、作者の恐怖体験であるが比較的軽めの文体により読みやすく、警察・弁護士・検事といった様々な人々の対応を作者の視点から描いており、ストーカー被害者である作者の求める安心・安全のために加害者側の「ストーカー病」の治療を求める心理も興味深い
印象に残ったのは初期の作者が脅迫の被害を取り下げることを警察に相談した時、警察が被害を取り下げるなら警察はこの件に一切関与しないと断言したところ
同じようなやり取りの果てに殺人事件に発展した件はまだ記憶に新しく、被害者と加害者という立場であれば動ける警察がこじれた恋人関係という状態に戻ったのなら何もできなくなったことの難しさを感じる
ストーカー問題は比較的新しい問題であると同時に発生してから現在まで続く問題でもあり、考え続けなければならない問題である
- 91二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:04:05
辻村深月『オーダーメイド殺人クラブ』
普通ではない特別に憧れる中学二年生の女子小林アン、彼女の思う特別とはニュースなどで取り上げられる「少年A」「少女A」といった殺人事件の被害者、その中でも埋没しない特異事例となることであった
そんな彼女がクラスメイトで美術部の徳川勝利のある行動を目撃し、彼に自分を殺す犯人となる素質を見出す
徳川から「リア充」と称されるアンとアンから「昆虫系」と呼ばれている徳川、クラスにおいても接点のなかった二人が計画する前例のない中学生の殺人事件計画がはじまる―――
タイトルからミステリーかなと思っていた一冊だが、要約すると灰色に脚色したの青春物語とでもいうべき内容
開幕から中学生女子同士のシカトの連携という著者の得意とする描写から始まり、スクールカーストの中でのバランスの崩れ方が全編において描かれている中での希望が自分が被害者となる殺人事件を計画することといったなかなかのあらすじではあるのだが…
自分が読んだのは文庫版で解説はロックバンド筋肉少女帯の大槻ケンヂが一文載せているのだが、先にこちらから読んではいけません、盛大なネタバレになります
辻村深月の構成力の秀逸さが見れる一冊、未読の方はこれ以上の情報は仕入れずに最初から読んでほしい - 92二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 16:29:07
人マニア ノベルアンソロジー(一迅社)
斜線堂有紀がいる!読も!って言って買って木爾チレンの全毒が一番刺さって帰ってきた
斜線堂有紀、ディズム、木爾チレン担当話が好き - 93二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 01:17:48
鴨志田一『青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない』
青春ブタ野郎シリーズ第二弾、クラス内の立ち位置を気にしすぎる後輩と巻き込まれる変則タイムループ事件
巻ごとに事件の中心となるヒロインは変わるが、恋愛面のヒロインは1巻の時点で決定している化物語とかと同じ感じと見た
作者がすでに何作も上梓しているベテランだけあって安定の構成
あと過去シリーズの読者向けのサービスと思われる簡単な描写と2ページ程度のやり取りだけの謎の人物たちが1巻同様登場しているが、すまない同作者のシリーズ触ってないから流しているんだ…
しかしスクールカーストのようなグループ分けとそこからハブられるって流れは同じでも描写力は作者の技量と作品内での重要度で異なるよねえってつくづく思う - 94二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 23:14:33
鴨志田一『青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない』
青春ブタ野郎シリーズ3冊目
頼れる異性の友人枠だった双葉理央に焦点が当たる一冊
主なテーマはドッペルゲンガー、SNSでの自撮り・承認欲求、三角関係、男女間の友情あたりだろうか
双葉は割と好きなキャラだったし面白かったが、人間関係周り全部整理できた感じはあるので今後主役を張ることはあまりなさそうなのは残念
まあ急に出番がなくなるポジションではないし、しばらくは安泰だろう
そして毎度次回への予告を兼ねたエピローグができるのは人気作だったからだろうか、あるいは作者の信用か
どちらにしろメインヒロインである桜島麻衣が1冊目以来の自体の中心ぽくて楽しみ
…いや、穏やかな時間短かったな - 95二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 23:17:48
青春ブタ野郎シリーズ、過去に途中まで読んだっけ…何巻を持っていただろう
- 96二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 02:35:52
スティーヴン・キング『異能機関』
超能力を持つ少年少女を拉致し、暴力的な検査や実験を繰り返す〈研究所〉。そこに連れ去られた12歳の神童ルークは、〈研究所〉内でカリーシャ、ニック、エイヴァリーといった友人たちと出会う。
しかし、一定期間検査を受けた子供はひとり、またひとりと〈研究所〉の別棟〈バックハーフ〉へ連れ去られ、決して帰ってこないのだった。
ルークはその類稀なる頭脳を活かし、〈研究所〉をぶち壊すための逃亡計画を練り始めるが──という話
ド王道すぎて逆に見ないくらいのストーリーラインだが、キング作品だけあって結構面白かった
特に上巻、ルーク視点に切り替わってから〈研究所〉から逃亡するまでのところは加速感がエグくてマジで面白い
ページが多い+上下巻+二段組という本を開いた途端から読者の意欲を刈り取る感じの文量だけど、いざ読み始めると全然気にならないくらいするする進める
ただやっぱり最後の方はちょっと尻切れトンボというか風呂敷畳みきれてない感はあった
〈研究所〉に色んなものを奪われた割に、物語を通じてルークたちが新たに得られたものがほぼないし…
でも最終章でルークが黒幕を論破するくだりは爽快だったのでよしとする - 97二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 07:02:23
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- 98二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 10:29:34
小池真理子『柩の中の猫』
戦後間もないころ画家を志し函館から上京してきた雅代
彼女が東京での宿としたのは友人の叔父である川久保悟郎の家で、そこは彼と彼の娘の桃子、そして愛猫のララの二人と一匹が暮らしていた
雅代は家政婦のような役割をこなしつつ悟郎の弟子として過ごし、桃子やララと親交を深めつつ穏やかに過ごすのだった
…あの女がやってくるまでは
友人がおらず猫にのみ心を開く少女を中心とした家族関係を外部から来た主人公の視点で描いたサスペンス
文庫本で200ページほどなので中編よりの長編、といった感想をもったがそもそも中編・長編の境目がわかっていない
薄めの長編といった方が正しいのだろうか?
文章量は少なめだが内容はきっちり詰まっており、雅代に共感すら覚える視点からのどんでん返しは見事
彼女の立場・役割はなんだったのだろうかと考えさせられる読後感の残る一冊 - 99二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 23:23:26
阿泉来堂『バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book1《変身》』
本編の5年前に札幌を舞台に遺体を過剰に演出し、口内にフランツ・カフカの『変身』の一節を残していく連続殺人鬼:グレゴール・キラー
事件を追う中でグレゴール・キラーに迫るも相棒共々返り討ちにされ、結果相棒の最期を見届けることになった刑事と大学進学を機に従姉との二人暮らしを始めた霊が見える青年、この二人の視点で5年ぶりに殺人を再開したグレゴール・キラー事件を追い求めるサスペンス・ミステリー作品
同作者のデビュー作『ナキメサマ』が面白かったので別シリーズに手を出してみた
感想は少々辛口になるが『ナキメサマ』に比べるとミステリー要素が弱く、サイコサスペンス部分が面白かったなと言った感じ
霊が見えるという要素で変則的なダイイングメッセージが聞こえるという発想は良かったがそれ自体がミステリー要素との相性が良くなかったかもしれない
シリーズ二作目では要素を入れ替えている模様なので最終的な判断は次巻を見てからにしよう - 100二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 02:43:56
鴨志田一『青春ブタ野郎はシスコンアイドルの夢を見ない』
青春ブタ野郎シリーズ巻の4
タイトル見ればこの巻での人間関係が丸わかりで特に書くべきことがない
なのでもう一つの柱である物理学について、今回は比較的わかりやすかった気がする…のだが写真やらカメラやらでも判別できないそれはもう本当に入れ替わっているのでは?となるが、まあ過去三回も大概なのでわかりやすいだけでトンデモ現象っていうのは大差ないと納得して進もう
次回予告はメインヒロイン最大の敵からの宣戦布告…というと大げさだから多分ジャブ程度の挨拶、楽しみ - 101二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 03:00:52
ジャック ヨーヴィル 『ウォーハンマーノベル ドラッケンフェルズ』
オストランド選帝侯の子息、オスヴァルト公太子ら一行によって邪悪な大魔法使い、コンスタント・ドラッケンフェルズは滅ぼされた。それから25年の後、オスヴァルト公自らの要望によって、かつての冒険行が演劇として上演されることとなる。その会場は、他でもないドラッケンフェルズ城であった。25年の歳月を経て再会した仲間を加えて、一行は険しい山並みに聳えるドラッケンフェルズ城へと戻ってきた。だが、それは新たな惨劇の始まりにすぎなかった・・・(公式粗筋より)
邪悪な大魔法使いを倒した勇者のその後の話……と見せかけて、主役はその冒険をモデルにした演劇を取り仕切る監督兼俳優の青年デトレフ。才能はあるが傲慢、土台はハンサムだが太り気味、殺陣は達者だが喧嘩の腕っ節はからっきしというクセの強いキャラクター。かつての冒険にも参加した吸血鬼の美少女ジュヌヴィエーヴをヒロインに、古城と演劇にまつわる陰惨な冒険が幕を開ける、といった作品。中古で入手。
世界観、ストーリー、描写の全てが特濃の小説だった。本格的だけどいわゆる王道のファンタジーではないので最初は戸惑ったが読み応えは十分。演劇がモチーフだけにデウス・エクス・マキナ要素でオチが付いたのも気が利いてる。 - 102二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 14:18:27
- 103二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 12:28:48
辻真先『村でいちばんの首吊りの木』
表題作含めて3編、すべて60ページほどの中編ミステリー
少し前に200ページくらいは中編?と書いたが60ページで中編扱いでいいらしい
母と息子の手紙でのやり取り、母と娘の日記の盗み見、波や砂、星といった非生物が語り部と形式から凝っている作品集
自分が読んだのは2023年発売の実業之日本社文庫出版の物
あとがきが1986年版・1994年版・2023年版の3つ収録、そして阿津川辰海との長めの対談ありで、印象に残ったのは二人の小説原作の作品を実写化するスタンスについて
原作通りに拘るのは表現が窮屈になるというのは自分自身思っていたことなのでよくぞ言葉にしてくれた感 - 104二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 17:44:01
- 105二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 20:14:17
鴨志田一『青春ブタ野郎はおるすばん妹の夢を見ない』
青春ブタ野郎シリーズ五巻
初恋の女性からの手紙→引きこもりの妹の登校への挑戦→初恋の女性と現恋人の修羅場開幕という期待(?)が焦らされた一冊、なお読み終えた時残るのは妹への感情の模様
今まではVS思春期症候群みたいな構成だったが今回は思春期症候群そのものは関係はあるが脇役といった位置
妹の話も大きな変動はあったが起承転結でいう転ぐらいの状態なので次巻以降に持ち越しのつなぎの巻 - 106二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 20:44:32
「鴨川ホルモー」万城目学
京都の大学生が謎のサークル活動に邁進する、作者のデビュー作。
謎儀式やら鬼やら色々出てくるが、主軸はダメな大学生の青春なので、変なタイトルに反してそこまで奇を衒っていない。
「プリンセス・トヨトミ」とか「ヒトコブラクダ層戦争」とかこの後の作品がはっちゃけ過ぎているだけに、思ったより普通の話だった。 - 107二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 00:47:15
城平京『虚構推理』
月刊少年マガジンが好評連載中の漫画作品…の原作
自分は漫画版である程度先まで読んでいるので改めて原作にも手を出してみた状態
あらすじを簡単にまとめると妖怪たちの知恵の神に選ばれた少女と彼女の恋人で妖怪たちも恐れる怪物めいた青年が妖怪の存在を否定しつつ事件を解決していく物語
なお少女は深窓の令嬢と言わんばかりの外見から放たれるあまりにも品のない発言の落差で攻めてくる面白女子だし、青年は人畜無害な外見と化け物めいた能力と恋人への辛口で構成されたクーデレ系男子
漫画版を読んでから原作小説の流れなので媒体の違いでの良し悪しを述べるなら、クライマックスといえるシーンが掲示板でのレスポンスが中心になるんだけど、ここは漫画で表現するより文章のみの方がかなり読みやすい、というか漫画化の鬼門みたいにめんどうくさい
一応怪物とのバトルも同時進行しているんだがそっちも絵での表現がプラスにならないので漫画家泣かせである
なにはともあれ面白いのでとりあえず次巻以降も読んでいこうと思う - 108二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 16:21:51
スレ画見て自分も久しぶりに東京レイヴンズ読んでる
久しぶりに読むと1巻が記憶以上に面白い - 109二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 16:50:04
ダニエル・ルヴィーンのハイド
ジキル博士とハイド氏のハイド視点の話、けっこう面白い - 110二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 07:03:06
- 111二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 10:49:45
加門七海の「怪談徒然草」
著者は霊感があり幼い頃からいろいろと視えていたのを軽妙な語り口で語るエッセイ
視えている人の世界はどんなものかを知りたい人にはおすすめの一冊 - 112二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 23:33:42
- 113二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 01:02:34
鴨志田一『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』
『青春ブタ野郎はハツコイ少女の夢を見ない』
青春ブタ野郎シリーズ6~7巻
ゆめみる少女の衝撃のクライマックスにより続くハツコイ少女をすぐに読まないと落ち着かなくなったシリアス展開
牧之原翔子問題の解決含めての前後編といった感じで、合わせて700ページ越えのボリュームはなかなか
後半のハツコイ少女の手に汗握る展開は今までの集大成と言った感じで正直最終巻と言われても納得するほどの出来
ところで数少ない笑える場面が「同棲中の初恋相手と出張帰りの現恋人の修羅場に呼ばれる女友達」と「初恋相手と現恋人の3人生活に混ざることになった記憶障害の妹」って文字にすると重いね
とりあえず「中学一年生の女の子を口説く場面に居合わせた女友達」も合わせて双葉さんはご苦労様です - 114二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 11:30:07
湊かなえ『絶唱』
トンガ王国を舞台に阪神淡路大震災での過去を共通点とした4人の女性の短編集
震災による喪失とそれによって続く現在の生活への影響を描いている、それでも未来に続く物語
トンガ王国の描写が秀逸で全体的に明るく、宗教観を含めて異国の地の楽園という印象
そこに訪れた人々の震災の傷は様々で心をえぐられながら癒されるかの様
表題作の『絶唱』はかなりテイストが異なり、作者自身のノンフィクションかと思わせるほど(出身地違うって気付かなければ信じていただろう)
思うところの多い作品だが、特に死そのものではなく別れこそが悲しいというのは心に刺さった - 115二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 23:11:08
城平京『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』
虚構推理シリーズ二作目、4つの短編を収めた短編集
死体遺棄現場となった沼の主が疑問を覚えた犯人のつぶやきの合理的解釈、うなぎ屋で男二人が片方の妻の死について問い詰める傍らでうなぎを食べる不思議な少女、村に恨みを抱いたまま死んだ男の人形による復讐に気付いた老婆、妖怪の運用する自販機のせいでアリバイが成立しそうな殺人犯、と妖怪と人間の交わる4つの物語
1作目が人間の噂によって構成された新しい妖怪との対決だったが今回は妖怪側が依頼主パターンになる話があったりとパターンが変化し、このシリーズの可能性を感じる短編集だった
前回は小説媒体の良さを褒めたので今回は巻末にあった漫画版の紹介を
メインヒロインであり容姿の良さを作中で絶賛されている岩永琴子がその容姿に似合わぬ品のない発言をどんな表情で行っているか、それを不足なく描写してくれているのは漫画版だけの良さ
皆も漫画版を読んで小説表紙の美少女がどんだけ崩してきているかを確認しよう! - 116二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 06:12:14
- 117二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 16:24:57
ファラオの密室。大賞取った作品なだけあって面白かった
あらすじ:古代エジプトの時代、死んだ神官セティは冥界で「心臓欠けててこのままだと冥界の審判受けられないから現世行って取り戻して。期限は3日ね」と告げられミイラの身体で蘇る。その後半年ぶりの知人たちに話を聞く中で自身の死に不可解な謎があることを知る。しかもセティの後に死んだ先王のミイラが消えてたことでなにやら周りがきな臭いことに。果たして無事に心臓の欠片を見つけられるのだろうか……
感想:トリック自体は単純かつまさかの主人公の遺体にも仕掛けられてたとんでもトリックだった。まあ伏線ちゃんと貼られてたし……。全てが終わった後に幼馴染や父親といつかアアル(※古代エジプトにおいて冥界の審判を無事終えたあとに辿り着けるとされてる楽園)で再会できますようにと願うさわやかエンドが良かった
悔やむことは最初の数ページでセティの遺体をミイラに加工してる幼馴染がセティのこと「彼」って表記してたのに見逃して途中までセティのこと女性だと思ってたことかな…… - 118二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 07:34:12
- 119二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 06:18:06
- 120二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 08:21:13
中山先生の小説、作品どころか出版社超えてキャラクターが出張してくるのいいよね
- 121二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 11:04:03
「老子・荘子 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典」野村茂夫
あくまでも入門書。
世の中のことにとらわれずに、いわゆる「老荘思想」をざっと説明した本
個人的には同シリーズの論語を合わせて読むともっと解釈が深まる
論語は向学心・誠実であること・やさしくあることをポジティブに捉えて「自分を社会でどう生かすか」というソーシャルグッドな思想を、
老荘思想はなにもない・何もできない・弱いということをポジティブにとらえることで「自分が社会でどう生き延びるか」というローカルグッドな思想を説いてる
儒教の考えを私生活に持ち込めば疲れるし、老荘の考えで国家を回そうとしても無理がある
老荘と儒教は東アジアの両輪かもしれない - 122二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 13:15:16
斜線堂有紀『恋に至る病』
内向的な小学生男子が転校生として新しく迎えた学校生活でクラスで圧倒的な存在感を放つカリスマと呼ぶべき小学生女子と出会い、彼女のヒーローになることを望まれる
だが壮絶ないじめといじめっこの疑惑の死で終えた小学校生活を経て高校生となった二人は生徒会と自殺教唆ゲームという二足の草鞋を履く生活を送ることとなって―――
非常に分類に困った作品であるが作者自身のあとがきの言葉を借りてミステリーとして紹介する
ボーイミーツガールものになりえる導入からの変化が実に素晴らしい作品
いじめ展開以降は「蝶」が作品内において重要な位置を占めているのだが、その初出からして発想がすごいとしか言いようがない
分類に困ったことも含めて読み終えた後自分の中での咀嚼に非常に時間がかかった面白い作品でした - 123二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 22:52:07
城平京『虚構推理 スリーピング・マーダー』
虚構推理シリーズ3作目にして長編…ではあるが前振りパートとして岩永琴子の高校時代、桜川六花の逃亡生活がそれぞれ短編感覚で楽しめるのでお得(?)
本編の流れとしては妖怪を雇って行った殺人を現実的な解釈をせよという真相知ってからだと論理を組み立てるのに気力のいる話、がスタートなのだが後半の展開は作品の方向性を明確にしたものだと受け取れる
このシリーズゆるいところはゆるいけど一つ一つの事件について妥協するポイントは少ないんだなって厳しさが伝わってくる話でした - 124二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 02:41:59
鴨志田一『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』
青春ブタ野郎シリーズ8冊目、記憶を取り戻した妹の高校進学のお話
おるすばん妹もそうだったが妹の話になると思春期症候群は無関係ではないんだが脇役におさまりがち
今回も高校入試の話からそもそも高校生活を送れるのかとなり通信制を視野に入れて、なおかつ定時制の入試をがんばる…という流れを兄である咲太の視点から描かれている
おかげで妹の担当をしているスクールカウンセラーとのデートが増えた点で良き兄でありブタ野郎であることを両立しているということにしよう - 125二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 02:51:25
鴨志田一『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』
青春ブタ野郎シリーズ9冊目、咲太3種類目の思春期症候群にかかる
妹の問題に区切りがついたので次は…と容赦なく迫りくる家族問題と向き合う話
次の10冊目では大学生編がはじまることもあり、高校生編のラストと次章以降のための新しい登場人物たちもちらほらと出揃ってきた感じがある
…咲太は万能主人公でも完璧主人公でもないとはわかっていたが完全上位互換まで出てくるとは思わなかった
あと触れ忘れていたけどメインヒロインの小学生バージョン(?)が出てきたけど多分これも大学生編に持ち越しだね - 126二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 19:41:07
ミラン・クンデラ「存在の耐えられない軽さ」
学業の一環で読んだがなかなか興味深かった一冊
一行目からぶち込まれる難解な哲学思想に一瞬全ての心が折れそうになったが二週間かけてなんとか読み切った
「一度は数のうちに入らない」
「なら一度しかない人生には意味も責任もないから軽い」
「でも軽いって本当にいいこと?」
という話を登場人物たちの恋愛模様を通して問いかけてくる一作(というように俺は解釈した、というか俺の頭ではここまでしかわからなかった)
結局重いのがいいのか軽いのがいいのかは読者に託されているが、これまでの全てを集積した上での最終章でのテレザとトマーシュの問答が効く……
残念ながら全てを噛み砕けた気はしないが、筆者の独特な世界の切り取り方/描写手法/洞察がふんだんに詰まっており、全く違う世界を覗く感覚で面白かった
半エッセイ半小説みたいな不思議な雰囲気で、第3部に代表されるような実験的手法が光る一冊
何やらクラシック音楽の部構成を小説構成中に織り込んでいるらしく、そちら方面に明るい人が読んだらもっと違う感想が出るのかもしれない
あとサビナのヌードを撮影しようとするテレザのくだりが激エロだったのでもうそこだけでもいいから見てほしい - 127二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 23:21:09
「祠破壊ホラー小説アンソロジー」
ちょっと前に旧Twitterであった、謎の祠を破壊するシチュエーションをテーマにしたホラーアンソロジー。
祠さえぶっ壊せばOKとばかりに、能力バトルからエログロ、甘酸っぱい恋愛まで多種多様な短編を掲載している。
ライター全員が捻った展開を狙いすぎて、王道の「祠壊しちゃったの?死ぬよ?」な展開が少なめなのが玉に瑕。
個人的おすすめは柴田勝家氏の「ギャルと祠破壊少年」。 - 128二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 06:13:49
中山七里「能面検事の奮迅」
悲しき司法マシーン検事の不破と彼付きの小型犬みたいな事務官惣領のシリーズ第二弾
えっ、この状況どうやって崩すんだろう?を
ああ、そこから突き崩していくのか!が今回も見られました
惣領さんは読んでる間の頭の中でマジのチワワ(ブラックアンドタン)になってた時があった - 129二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 14:52:58
恩田陸『ユージニア』
所感:わっかんねぇ〜〜〜〜っ!!
断片的な「主観的真実」をツギハギに繋ぎ合わせていく『藪の中』を思わせる構成はまさに恩田陸的
出てくる“少女”が軒並み美しく毒々しいのもザ・恩田陸
特に満喜子がヤバくて好き。お前一章でマトモ面しといて……
大量死の真相を解き明かしていくという構成からは「Q&A」っぽいところも感じ取れる
名家の大量毒殺事件という現実離れしたテーマを扱いながら、なぜか郷愁を感じさせるような恩田陸の筆致には舌を巻くばかりです
にしても、恩田陸というと自分はどうしても少女漫画感というか、少女時代への絶対的礼賛ぽいものを覚えてしまうのだが、緋紗子周りの話はちょっとそのアンチテーゼのように思えてしまって、耽美好きな自分的にはちょっとドキッとした(あくまで個人の感想)
結局は全員彼女に理想を投影して耽溺していた結果の惨劇だったのかな…とすると緋沙子は気の毒でもある…
あまり情報を整理せずだらだらと読み進めていたためか、最後の謎解きにイマイチ乗れなかったのが悔やまれる
考察サイトでも漁るかな、頭の弱い読者ですまねえ - 130二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 18:59:03
中山七里「能面検事の死闘」
開幕からもうショッキング。
そしてそんなショッキングな事件でも司法マシーン不破検事は本当にブレない。
今回は色々惣領さんにとって経験値たくさん入った回だと思ってる - 131二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 19:20:23
- 132二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 22:18:43
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- 133二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 22:23:40
夢枕獏「大江戸火龍改」
「陰陽師」っぽい主人公・「宿神」の系譜を汲むような飴売りパフォーマー・「闇狩り師 崑崙の王」などでふれられた犬神騒動
江戸時代で夢枕獏バースが一度クロスしていたような感じ - 134二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 22:57:35
小野不由美「営繕かるかや怪異譚 その肆」
住宅にまつわる怪異をテーマにした連作短編集。
どうしようもない怪異とどうにか折り合って暮らす方法を探していくシリーズだけど、今回は現実との折り合い方もテーマになっていて身に染みる。
どぎつくは無いがじわじわ怖いタイプのホラーが好きな人におすすめ。
>>127 も自分なんだけど、短編のひとつが祠(?)破壊ホラーでちょっと笑った。小野先生も書かれるんですねこれ。
- 135二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 10:34:43
辻村深月『凍りのくじら』
写真家としてキャリアを積み亡き父がかって獲得したのと同じ大賞を受賞した芦沢理帆子
彼女が回想する父親は病気になって失踪、そして今度は母が末期の闘病生活という身の上だった女子高生時代の話
周囲を見下しているところのある女子高生が友人・学校生活・ストーカーになりつつある元恋人といった人間関係の中で新たに男子との関係を構築する青春もの
作品全体の特徴は藤子・F・不二雄色で各章のタイトルはドラえもんの秘密道具だったり、「SF=少し不思議」をもじった各人物への評価(少し不在、少しフレンドリーなど)が独特の色となっている
達観した気になっている少女と周囲の人間との関係の物語として最初から最後まで楽しめる物語 - 136二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 16:30:12
城平京『虚構推理短編集 岩永琴子の純真』
虚構推理シリーズ4冊目、全5編の短編集
タイトルに純真とありあたかもヒロイン岩永琴子の甘い話でもあるのかと期待させるがそんなものはかけらもない
雪女に始まり雪女に終わる、と書けばわかりやすく伝わるだろうしもっとストレートに言えば雪女の純真
岩永?恋人を弓で射殺しておかわりしようとして妖怪に止められて恋人から怒られたから逆切れした
…なんでこんなタイトルになったんだろうな - 137二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 02:07:09
麻耶雄嵩『貴族探偵』
タイトルにもなっている自他共に認める「貴族探偵」なる人物が事件を解決していく全5編の短編集
…説明するとこれで合っているのだが事件の調査及び推理を行うのは彼が雇っている秘書・メイド・運転手といった使用人たちである
貴族探偵によると使用人は私の所有物であり雑事は彼らの担当、とのこと
貴族探偵自身はお茶飲んだり女性口説いたりしている間に調査は進み、最後は使用人に推理を披露するように命令するだけである
総括すると探偵を名乗るわりに何もしない男が盛大なノイズな気もしてくる
しかし貴族探偵の権力で何人もの警察署長を通して現場での自由を手に入れる姿を見ると舞台装置としての役割を変に濃い人物がやっているということになるのだろうか
各話は短編ミステリとしては十分、逆に言えば特に刺さるほどのものではないのだが貴族探偵の存在感がしっかりと残る
なんとも不思議な読後感であった - 138二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 02:30:52
北山猛邦『月灯館殺人事件』
新たな推理小説を創作するため雪山の館に籠る問題多きミステリー作家たち。
過去の推理小説を題材にした連続密室殺人が起こる館からはたして無事に脱出することが出来るのか。
最後まで読んだとき、過去の積み重ねによって探偵小説は成り立っていることをしみじみと実感させられた。
50年、100年後まで語り継がれる作品の少なさを逆手に取った真実に、ミステリー好きとしては究極を求める作家の悲哀を感じてしまった。 - 139二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 22:37:47
湊かなえ『ブロードキャスト』
中学時代を陸上部で駅伝での全国大会出場を目指していた主人公・町田圭祐
3年生の夏、友人にしてエースの良太不在の中県大会で敗退した圭祐は良太と同じ高校での全国大会を目指す約束をする
しかし交通事故により走れなくなった圭祐は良太と同じ高校に入学しながら自身の在り方を迷っていた
そんな彼の声に注目し、中学時代の同級生であるが特に親交のなかった正也が放送部への入部をすすめてくる
湊かなえの描く高校青春部活もの、看板に偽りなし
ところどころに苦みのあるストーリーながらもそれらはあくまでアクセント、本筋は放送部で作る作品とコンテストでの経緯
駅伝の目標時間だった9分をラジオ作品の9分間とかけて全力を出す9分間の感覚とつなげてくるのはさすが
全体的に爽やかな青春もので傑作だった - 140二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 00:44:27
どちらも最近読んだ。特にそして誰もいなくなったは心が痛むような話ではないんだけれど、わかりやすく、しかも世界に入り込めた。おすすめ
- 141二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 17:03:02
- 142二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 22:25:29
恩田陸『私の家では何も起こらない』
’’──デジャ・ビュって、実は、幽霊のことなんじゃないかって。’’
所感:最高の「幽霊」譚!
ホラーと銘打たれてはいるし、実際怖い部分も多いんだけど、でも個人的に読み終わったときに不思議な温かさを覚えた小説
恩田陸の耽美的世界観、無惨さ、ノスタルジアが見事に融合してる
「Q&A」「ユージニア」に続く『証言集め形式』の短編集としては最高傑作と言っていいのではないだろうか
台所で突然殺し合った姉妹、子供を攫って主人に食べさせていたメイド、動かない少女の傍らで自殺した殺人鬼の美少年──などなど、まさしく恩田陸チックな猟奇的かつ幻想的な物語の数々が繰り広げられる「幽霊屋敷」
個人的に好きなのは「僕の可愛いお気に入り」、話として面白かったのは「俺と彼らと彼女たち」だな
だけど短編のどれがいいって言うより、これらすべてを総合した上での最後二篇が凄まじく良い…
恩田陸の「幽霊」や「ホラー」に対するユニークで鋭い考察が非常に興味深い一冊
思い出は残り続ける、生者も死者も存在し続ける
幽霊苦手な人からすると悪夢かもしれないけど、それって寂しくなくていいんじゃないかと思った
ホラーでありながらノスタルジック、とっても面白い小説でした! - 143二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 23:02:49
バジョーフ「石の花」
ソビエト時代の東シベリアを舞台にした童話だけど、主人公がひとつの道をきわめようとして…という展開は中国の民話を連想した
小学館世界J文学館 石の花 | 電子書籍 | 小学館※本作品は『小学館世界J文学館』(紙版)に収録されている同タイトルの作品と同じ内容です。究極の美しさを求めて、石工は山の女王の元へ向かう。ロシアのウラル地方に、…www.shogakukan.co.jp - 144二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 23:35:29
吉田修一『国宝 (上) 青春篇』
実写映画化により話題沸騰の邦画作品、その原作の上下二巻構成のうち上巻
世間の人々が多数辿っているであろう映画視聴→原作購読のルートを自分も辿っている現状
作者の作品は他に一作、こちらも映画化した『湖の女たち』を読んだのみだったが(映画は未視聴)、映画・国宝を見て「あの作者にしてはずいぶんと、なのでカット多数であろう」と推測し原作に走ったことから映画との対比強めの感想で
もう開幕からだいぶ別ルート走っている
映画における主人公・喜久雄の父親の死に様はこれもまた花道と言わんばかりのものだったが、原作のそれはあまりにもみじめな敗北者のそれである
登場人物の出番減少、あるいは大幅カットにより映画は歌舞伎の芸の道を中心にスポットが当たっていたが、原作は心理描写も込みであちらもこちらもドロドロであり、芸を極めた域にあってなお凡俗な精神性にはかえって安心する
映画において疑問点のあった行動も原作の状況説明があるとそりゃそうなると呆れと共に納得のいくものばかり
とりあえず上巻時点の感想としてはこれをそのまま映画にしていたら100億という数字はなかっただろうというもの
ただし自分はこの苦さほとばしる展開も汚れ多い登場人物も大好物で、これぞ原作者の味であり読んで良かったと思っている
引き続き下巻読むつもりなのでそれはまた後日 - 145二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 11:36:14
ホリー・ジャクソン『自由研究には向かない殺人』
イギリスの田舎町で起きた少女の失踪とその恋人の少年の自殺
少年の自殺は少女を殺した後に逃げ切れないと判断したものだとされ、町は事件を禁忌としてそれ以上検証することはなかった
事件から5年後、女子高生のピップは幼いころの思い出の中に存在した少年が殺人犯であることを疑問に思い、自由研究のテーマとして事件を取り扱うことで捜査を開始する
ジャンルとしてはミステリー&サスペンスだろうか
過去の事件の検証の中で自身の友人やその家族が捜査範囲に加えられながら複雑な人間関係や覆い隠されていた被害者の秘密を白日の下にさらすといった内容で、事件の関係者が生存していることから発生する新たな緊張感を主人公視点で楽しむ
惜しむらくは後半どんどん危険になる状況に対して前半以上に無防備になっていく主人公の思考が理解できなかった点
自身には危害を加えられないっていう楽観でも相手に対する信頼でもなく鉄火場に単身飛び込むってのはちょっと…
サスペンス要素を強めるために主人公に無理筋をさせすぎている感じが否めない
とはいえデビュー作にそこまで求めるのも酷ではあるか - 146二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 11:45:17
リンの谷のローワンシリーズの第一作、ローワンと魔法の地図を読んだ
デルトラクエストが小さい頃から大好きだったんだが、同じ銀の海シリーズのローワンや勇者ライは読んでなかったもんで…
臆病だけど大切なもの(バクシャー、後半のジョン)のためなら行動できるローワンいいね!と思いつつ的確に心を砕いていく旅路が物語の都合なのかそれともエミリー・ロッダ的伏線なのか判断がつかず不気味だった
度々スターやバクシャーたちに必要とされてることを心の支えにしてたのがすごく心に来た - 147二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 22:37:26
■■謹んでお譲りします。(講談社タイガ)
この前フリだとあとがきに絶対これ書いてあるだろみたいなのがちゃんと書いてあって大はしゃぎしてしまった
あと特設サイトもやって大はしゃぎしてきた クソッ読まれていた!悔しい! - 148二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 18:37:56
湊かなえ『ドキュメント』
>>139『ブロードキャスト』の続編
3年生たちが放送部を引退し、新部長率いる7人の少数精鋭で目指す来年度のコンテスト
時間の必要なテレビドキュメント部門の作品制作を目指し、圭祐の親友である良太のいる陸上部駅伝メンバーの取材を始める
怪我により続けることのできなかった駅伝の現役選手たちを見ながら自らの挫折との折り合いを探りながら、新しく得たドローンを使っての撮影により新しい作品作りを目指す少しほろ苦い青春部活動第二幕…のはずだった
ああ、作者がもう我慢できなかったよ
高校生の情念うずまく策謀により窮地に陥る陸上部、青春は痛いと甘いだけじゃなく、自らのみが主人公でもなく、自分が望む展開だけではない辛さと苦みを味合わせてくれる湊かなえの描く青春活劇
安心してください、死人は出ていません
- 149二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 21:13:08
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- 150二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 21:14:15
安壇美緒『ラブカは静かに弓を持つ』
”武器はチェロ。
潜入先は音楽教室。
少年時代のトラウマを抱える主人公・橘樹は、著作権侵害の実態を掴むため、上司からミカサ音楽教室への「潜入調査」を命じられるが──”
2023年本屋大賞にノミネートされ、「スパイ×音楽小説」という異色の組み合わせで一躍話題を席巻した傑作小説
ずっと気になってはいたんだけど、知り合いに勧められたこともあり今更になって読みました
まず思ったのが、文章が超読みやすい
だけど別に安直とか稚拙とかそういうわけでもなくて、美麗で心に響く。なのに心情がダイレクトに伝わってきて読みやすい
綺麗な文章なのに装飾がゴテゴテしてなくて、いい意味で素朴かつシンプル
文章を理解するまでにタイムラグが開かないから、情景が目の前に迫るように伝わってくる
主人公の心情が冗長にならない程度に緻密に描かれているので、起伏が大きくない場所でも飽きが来ず、中弛みもない
でも「第二楽章」中盤からの怒涛の展開はまさしくスパイ小説のそれ
ここからはマジでページを捲る手が止まらずに一気読みしました
全体の感想としては「スパイ×音楽小説」を真正面からやり切ったなという感じ
一見相反するジャンルなのに、きちんと「音楽小説」できちんと「スパイ小説」
どちらを求めて読んでも満足できると思う
自らの怯えや不信を乗り越え、一歩前に踏み出した主人公の姿に胸打たれる小説でした - 151二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 03:47:50
湊かなえ『高校入試』
その地方における最高の進学校のステータスが住民・学生・OBといった様々な人物に影響を与えている高校の入試を舞台に教師・在校生・受験生・保護者ほかの人々が複雑に絡み合う
元々がドラマ用のシナリオだったこともあり、登場人物が非常に多く教師だけでも12名、総勢23人が彩る物語
「入試をぶっつぶす! 」という宣戦布告の元行われる多数の工作、インターネットへの情報流出といった流れもさることながらもっとも重要なポイントに教師側の採点ミスをもってきていることで嫌なリアリティが発生している
分類上はミステリーになっており犯人を捜しながら読むものなのだが、正直自分には追いきれなかったところもある
ただそれでも物語そのものが面白くさすがの作品である - 152二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 20:41:22
柴田勝家「秘曲金色姫」
百合×能楽×サスペンス×歴史小説
一瞬「え?」となるようなマッチングだけど、見事にこれを全部やってきた
死体を捨てようとする少女ふたり、能楽研究者の書生であった男を祖父に持つホテルオーナー、大河ドラマで光圀役を演じる役者──などなど、一見無関係と思われたたくさんの登場人物が話が進むにつれどんどんと繋がっていく快感がたまらん
そしてそれぞれの話の奥底に一貫する共通テーマは「世の権力者が求め続けた幻の秘曲『金色姫』」
なお、「百合」として売り出されているが著者はこれを百合萌えとして書いたつもりはないらしい
また言うほど百合シーンも多くないんだけど、話の根幹が2人の女性の恋愛で構成されているので、百合目当てで読んでも肩透かしを喰らうことはない…はず
もちろん百合抜きでもちゃんと面白いのでご安心を(個人的にはジローとキャイコの百合より船戸とマコトの腐れ縁っぽい関係性の方がキた) - 153二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 21:36:28
このレスは削除されています
- 154二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 21:40:05
王谷晶「ババヤガの夜」
小説として読むタイプのアウトロー格闘漫画。容赦のないバイオレンスがポンポン飛ぶ。歯も血も飛ぶ。
タフカテで聞いた、いやタフカテでも言わんようなきったないひどい言い回しを描けるのは文章ならではの特権だと思ってる。
クィア文学とかシスターフッド・バイオレンスとか紹介されているけど、ひとまず「女ゴリラが大暴れ!血沸き肉躍る読む暴力」感覚で手に取ってほしい。そして脳に直接依子の一撃をもらってほしい。 - 155二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 02:59:33
麻耶雄嵩『貴族探偵対女探偵』
>>137の続編、師匠を亡くして独立したばかりの新米女探偵・高徳愛香が新登場し彼女の視点で語られる短編5つ
タイトルだと対等っぽいが女探偵の名前から感じる適当感の通りのザ・かませ犬
彼女が訪れる場所に貴族探偵もおり、事件が起こり、女探偵が推理を外し、貴族探偵(の所有物)が真実を明らかにするという流れのテンプレがこの巻の売り
ストーリーというほどのストーリーもなく登場人物も被害者・犯人・その他・貴族探偵の恋人で構成できるお手軽展開…とは言いにくい貴族探偵を犯人とする間違った推理と貴族探偵が犯人ではあり得ない正しい推理の労力が偲ばれる
ミステリー部分は前巻同様しっかりしているので貴族探偵のキャラがあえば面白い
…単行本になっていない話は結構あるみたいだがもう6年以上前の連載、続巻出るのかはかなり際どそうだ
- 156二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 00:05:58
「赤ずきん、イソップ童話で死体と出会う」
読んで字の如く童話の登場人物たちが死んだり犯人だったりする殺人事件を赤ずきんが解き明かすシリーズ(今回はイソップ童話)
前回のアラビアンナイトの話から時系列地続きで、指輪の魔人の力で家に帰る飛行中、指輪の魔人がいきなり腹痛起こして指輪に戻ってしまい見知らぬ森に落下した上に、通りすがりのリスに指輪盗られ自力で帰宅ルート探すはめに。
指輪の魔人がいると何かと問題にぶち当たってもどうにかしそうだから仕方ないとはいえ(アラビアンナイトの時はより上位の魔人がいて勝てなかったりなためそこまで無法しなかった)、指輪最後まで戻ってこなかったのもあって明らか話の都合のロストで笑っちゃった。
あと帰れる伝手ができるたびにふらりと現れてピンポイントにその伝手持ってる相手をお前不誠実だな!と凍らせてくる男イソップ(北風の力をひょんなことから得た)。あんまりにもピンポイントだから何か赤ずきんの帰路妨害する理由でもあるのかと思ったらマジで偶然なだけっぽくてちょっとがっくりした。最後イソップを説得する対決あるとはいえ因縁薄い(赤ずきん側はともかくイソップは一回対面した赤ずきんのこと覚えてなかった)せいでなんかギミックキャラ感半端ない。最後説得されて北風の力失った後そのままフェードアウトしたし。
今までは旅の道中知り合った人たちが駆けつけたり入手した道具の助けを借りて最後の事件解決するパターンだったのが、今回は知り合った人たち大体イソップに凍らされるせいでイソップとの対決時のメンバーが直近の事件の木こりと元狼少年と知り合ったばかりのカササギ女しかいなかったのもあってなんか盛り上がらなかった。説得自体も沈没した船の荷物のスパイスを盗んだに違いない!それを知って黙認してるこの港町は不誠実!かどうかの論点をずらして(ネズミによって本当に町にあることが判明したため)、あなたがこの港町凍らせたせいで郵便物が届かなくなってるのよ!あなたこそ不誠実でなくて!?でも私たちは許すわ!みたいな感じで説得成功とだいぶうーんな決着だったし。
でも最後出航直前に死体や殺人現場すら見ずにイソップの対決の裏で起きてた殺人の真相を見抜くエピローグはよかった。 - 157二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 19:27:34
吉田修一『国宝 (下) 花道篇』
>>144の続き、上下巻の下
上巻の内容は引き算が多いながらも大筋では映画と同じようなものと説明できなくはないが、下巻は完全に別物
喜久雄の人生、結婚・愛人・娘との関係・孫との距離・俊介の子供への思いなどなど余すところなく描写される
そしてタイトルである国宝―――人間国宝となったその日で物語は終わるわけだが…
上下巻通しての感想としては男たちの無様、あるいはみじめな死と男たちを支える女たちのたくましい生き様だろうか
男たちについて辛口表現だが、誰一人として歌舞伎の技量やそれぞれの生き方に見合う華々しい死からは程遠いものばかりである
それと比較すると女たちはガッツリ最後までしたたかに生きているというか生き方が上手と言うか
そんな中で喜久雄はある種のハッピーエンドである
少なくとも本人は歌舞伎に生きて最後まで芸の道を走り抜けている
もしもエピローグで後一日描写があれば色々と悲惨だがそんなものは喜久雄には関係なく花道を飾った
まとめる言葉すら難しいが喜久雄の色々と考えが足りなかったりある種嫌悪したりそれでいて芸には真摯だった生き方を見守れたことは嬉しく思う、そんな読後感であった
- 158二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 10:24:57
辻村深月『ぼくのメジャースプーン』
小学4年生の「ぼく」が風邪をひいてウサギ小屋の世話当番を同級生の「ふみちゃん」にお願いした日、医学部生の「市原雄太」がウサギの惨殺事件を起こし、その惨状を目撃した「ふみちゃん」は心を閉ざしてしまう
やがて事件に対する反省の証として小学校に訪れる約束をした犯人との対話に備え、「ぼく」は家系の中にまれに現れる特殊な能力の使い方を母親の親戚である大学教授の「秋山一樹」に教わりに行くのだった
事件の発生とその事件の犯人に対してその能力で何をするのかとそのための準備期間という構成で「ぼく」の視点で語られる「ふみちゃん」との関係や「秋山一樹」との能力講座、そして「市原雄太」との対峙といった流れである
「ぼく」の能力は口頭による条件付き命令能力で「Aをしろ、でなければBという罰則を受ける」といったものなのだが能力における条件・制限について語られるパートも能力ものとしてなかなか面白い
辻村深月の初期の作品であるが現代でも十分面白い…がウサギ小屋ってもうなくなっているなあってノスタルジーも感じるのは齢のせいか - 159二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 10:28:49
城平京『虚構推理 逆襲と敗北の日』
虚構推理シリーズ5冊目
琴子VS六花決着、あるいは一時休戦
一人称で内心描写があるとそれぞれの評価も大きく変わるよねって巻
可憐にして苛烈と評されたお嬢様は追加して無情にしてってつかなくてギリギリ良かったねだし、ミステリアスでクールな美女は内心綱渡りで履歴書かくと学歴・職歴・資格なしの放浪のギャンブラーと暴かれるし、人当たり良さ様な青年は冷徹な見極めとお人よしの同居で一番わけわからん行動している感じが強いという
なにはともあれ一巻からの因縁対決終了で次巻からは仕切り直しとなる区切りの一冊でした - 160二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 20:05:09
心霊探偵八雲
かがみの孤城
デュラララ!!
キミト宙へ
辺りかな
十年前くらい前?に読んだやつを読み返してる - 161二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 20:10:06
サイレント・ウィッチ
人と関わることだけが絶望的に駄目な数学好きの天才魔法使いが学園に潜入して王子の護衛する話
主人公のテンパり具合とかがかわいいから読んでみてほしい
漫画もアニメもあるからそっちもぜひ - 162二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 22:30:18
京極夏彦『姑獲鳥の夏』
高名な京極夏彦のデビュー作にして百鬼夜行シリーズ第一弾
「二十箇月もの間子供を身籠っている女」「完全な密室に入ったまま部屋から消えた男」怪奇めいた現象を記憶すらあいまいなうつ病の男の一人称視点で描くオカルトの入り混じる摩訶不思議なミステリー
今までそれとなく機会を逃していたのだが残暑の中で読みたくなったのも縁だとついに手を出す
割合ヒントも多く密室の謎とかたいしたことないなあと油断しつつ読み進めたところに刺さる解決編の怒涛の真実
高名な理由がハッキリわかる恐ろしさを感じる展開に期待をハッキリ越えられた感じが強い
長く分厚いシリーズであるが少しずつでも読んでいきたいと決意した - 163二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 13:39:56
この前土曜プレミアムで容疑者Xの献身見てからガリレオの原作買った
面白い - 164二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 11:09:01
アン・クレア『雪山書店と嘘つきな死体』(クリスティ書店の事件簿)
雪山にあるミステリ好きの集う書店、ブック・シャレーを営むクリスティ姉妹
開店前に行われた読書会の予定を狂わすヴィジャボードによる降霊会と乱入する男、男の忘れ物であるアガサ・クリスティ著『春にして君を離れ』
そしてその日の夜に男は山腹と麓をつなぐゴンドラに乗り込みその中で死体となってしまう
時を同じくして店からは従業員の女性が姿を消した
姉妹と祖母、姉の娘のクリスティ一家4人と愛猫のアガサ・C(キャット)・クリスティで挑むミステリー
上記のあらすじを読むだけで作者のアガサ・クリスティ愛が伝わってくる作品だとわかってほしいくらいクリスティ色が強い
作者はこれがデビュー作で甘い所もありつつも良く仕上がっている
ただアメリカの田舎が舞台とはいえ被害者1名の殺人事件で署長・副署長揃って調査の最前線ってあるのかという疑問がずっと付きまとう(署長のおつきが副署長じゃ責任者揃って一つの事件に関わりっぱなしになる)
あと序盤の主人公の話にある「ロンドンの私設図書館で革装丁のシャーロックホームズに振りかぶった箒を下ろそうとして…」なる事件、そのまま流されたがもうちょっと詳細語ってほしい
本をこよなく愛する主人公ではなくクリスティ愛好家ってことかという主人公の人間性がずっと気になった
事件そのものはシンプルながら仕上がっている感じがするだけにおしい - 165二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 05:32:25
ジャニス・ハレット『アルパートンの天使たち』
”2003年、ロンドン北西部の廃倉庫にて、カルト教団《アルパートンの天使》の教徒たちによる集団自殺事件が発生した。
現場に残るは怪しげな五芒星に血溜り。そして、首を掻き切られ、死後内臓を引き摺り出された凄惨な遺体。
指導者の自称・大天使ガブリエルは逮捕されたが、現場で保護された当時17歳の少年少女と生後間もない乳児のその後は、現在も不明なまま──
犯罪ノンフィクション作家アマンダ・ベイリーは、事件発生から18年後の2021年、《アルパートンの天使》事件の調査に乗り出す。”
「カルト教団の集団自殺」というダークな要素に惹かれて手に取った一冊
750ページという圧倒的文量に気後れしなかったと言えば嘘になるが、中盤からはもう面白いのなんの
食事中も目が離せず、たった二日で全編読み通しました
本作はいわゆる「モキュメンタリー」形式のミステリ
地の文を一切排し、インタビューの書き起こしや記事の抜粋、SNSの会話ログ等の『取材記録』のみで構成された小説です
だからこそかなり読みやすく、またアマンダの目線を疑似体験しながら物語を追える
個人的にモキュメンタリー系って種明かしがふわっとしてる印象があるんだけど、本作はかなり謎解き部分も洗練されていると感じた
提示された膨大な情報がすべて一つの真相に収斂していく快感はまさに傑作ミステリの読み味!
それに主人公のアマンダが相当にいい性格をしているので見ていて楽しい
ぽんぽん嘘つくしハッタリかますし、基本的に人間を信用してない
ただ、本作はキャラを好きになるときついヤツなので、「こいつまた心にもないこと言いやがって…」ぐらいの温度感で読むことをお勧めします
(ちなみに、「失踪した少年少女」のあたりで「オッ『白夜行』みたいな感じか?」と邪推して読んでしまったのだが、本作はあんまりそういう感じじゃなかった) - 166二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 12:27:04
読み聞かせ授業の一環でかいけつゾロリを予習(復習?)した
大人になった今読んでも面白いな…
何だか一瞬だけあの頃に戻れた気がした