【一応閲覧注意】このふたりの幻覚を見るスレ

  • 1二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 00:49:33
  • 2二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 00:51:16

     授業の終わった放課後、私は放送室で書類の整理をしていた

    「えーっと……この紙はもう要らなくて……」

     そんな最中、放送室のドアからコンコンコン、と控えめなノック音が響いた

    「こんな時間に誰だろう……どうぞ」
    「失礼します」

     その声とともに開かれたドアの奥には、篠澤さんが立っていた

  • 3二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 00:53:17

    「こんにちは、篠澤さん。急に放送室に来て、どうしたんですか?」
    「優にお届け物。廊下に落ちてた、よ」

     そう言いながら篠澤さんは、生徒手帳を取り出した。それを見て、生徒手帳をしまっていたはずのポケットを確認する

    「空っぽだ……持ってきて下さり、ありがとうございます」
    「どういたしまして。でも、これを返す代わりに、ひとつお願いを聞いてほしい」
    「お願い……ですか?私に出来ることなら、大丈夫ですよ」
    「ありがと、それじゃあ、率直に言うけど──わたしにタメ口で話してほしい」

     スタスタとこちらに歩いて来ながらそう話す篠澤さんは、少し微笑んでいた

  • 4二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 00:55:26

    「えっ、と……急にどうしてですか?」
    「優、前にふたりで放送した後に、タメ口で友だちだよって、言ってくれた。けどそこからタメ口で話されてない。これが理由、だよ」

     その日に私がその発言をしたことは、はっきりと覚えている。だけどその日から今日まで、篠澤さんにタメ口を使わなかったのは、なんだか気恥しくなってしまったからだ

    「優、だめ?」
    「……ダメじゃないですけど、なんだか恥ずかしくって……」
    「なら、わたしとふたりっきりの時だけでもいい、よ?」

     どうやらなんとかして私にタメ口で話させたいらしい。篠澤さんが寂しそうな顔をしてこちらを見てくるので、申し訳なくなって、私の方が折れることにした

    「……篠澤さん、これからも、よろしくね」

  • 5二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 00:57:21

     私がそう言うと、篠澤さんがパァッと笑顔になる。彼女は机の上に、私の生徒手帳を置いて、また私の方に向き直った

    「優、お願い聞いてくれてありがと。顔、ちょっと赤くなってて、かわいい」
    「……恥ずかしいから、ほんとにふたりっきりの時だけだよ」
    「ふふ、照れ隠ししてる。かわいい」
    「っ、恥ずかしいから……からかわないで……」

     篠澤さんにかわいいと言われて、さらに顔に熱が集まっていくのがわかる。からかわれている様な気がするけど、このむず痒さに悪い気はしない

    「からかってなんかない。優はかわいい。優は自分のかわいさを自覚すべき」
    「じゃあ……私のどんなところが?」

     私がそう質問すると、いろいろある、よ、と返ってきた

    「まず顔がかわいいとこ」
    「それは、アイドル科の皆さんの方が……」
    「意外と照れ屋さんなとこ」
    「……皆さんが、たくさん褒めるから……」
    「耐性がないとこ」
    「え、それってどういう……?」

  • 6二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 00:59:42

     最後の言葉だけ、意味がわからず聞き返した。すると、今まで座っていた篠澤さんが立ち上がって、こちらに近づいた。そして私の耳元でそっと囁く

    「……優、好き、だよ。友だちになってくれて、ありがと」
    「ひゃっ!?」
    「ふふ、こういうこと。やっぱりかわいい、ね」

     篠澤さんの囁きによって、私は体をビクッと跳ねさせた。当の篠澤さんは、いたずらっぽい笑みを浮かべていた

    「それじゃあ、わたしは帰る、ね。また来てもいい?」
    「そ、それはいいけど、今日みたいなのは……恥ずかしすぎて……」
    「ふふ、わかった。今度からは控えめにする。それじゃあ、またね、優」
    「うん、またね、篠澤さん」

  • 7二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 01:01:39

     篠澤さんと別れの挨拶を交わしたあと、私は机に向き直る。書類の整理の続きに戻るけれど、先程の篠澤さんの囁き声が耳から離れない。もしかして、私──

    「……囁かれるのが、癖になりかけてるかも……」

     これはきっと癖になったらまずい、と思い、何とか忘れるために、無心で作業に勤しむことにした

    おわり

  • 8二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 01:10:00

    つ、続きはありますか?もっと見たいんですが

  • 9二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 02:04:24

    おらこれやるから早く癖になって広無しだと生きられなくなってしまった優を書きやがれ下さい

  • 10二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 07:02:31

    おはようございます

    >>1です

    続きを書くつもりはなかったけど気変わりしました。ちょっと時間かかるかもだけど待っててほしいです。

  • 11二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 14:53:13

    ほしゅ

  • 12二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 00:48:20

    ほしゅ

  • 13二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 10:45:59

     篠澤さんに耳元で囁かれたあの日から、定期的に篠澤さんが放送室に訪れるようになった。篠澤さんが来た日は、お茶をしながら雑談をするのが通例となってきていた。篠澤さんとお茶をするのは楽しい。だけど、私と篠澤さんが仲良くなる原因となった日のことを、いつも思い出してしまって、なんだか足のつかない気持ちになってしまう。それがどうしてなのかが、ずっとわからなくて、最近では睡眠時間に影響が出るほどだった

    「ふわぁ……えっと、今日やらないといけないことは……生徒会に書類の提出をするだけか」

     記入事項はもう書き終えているから、すぐに提出して、今日は仮眠でも取ろうかな、と思い放送室の席を立った

  • 14二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 10:50:06

    「ふぅ、書類に不備がなくてよかった」

     生徒会室に行くと、倉本さんと秦谷さんがいて、書類を受け取ってもらえた。その後、連日の寝不足で、少し重い身体を引きずりながら、放送室に戻ってきた

    「スマホでアラームかけて……ふわぁ」

     私は、アラームをかけたスマホを机に置いてから、机に突っ伏して、そのまま意識を手放した

  • 15二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 10:58:54

    「ん……」

     ふと、目が覚める。きっとスマホのアラームは鳴っていないはずだから、どのくらい寝たか確認するために、顔を上げて、机の上に置いたスマホを手に取ろうとした。けれど、そのスマホはどこにも見当たらなかった。そんな時、聞こえるはずのない声が、部屋に響いた

    「……優、探してるのは、このスマホ?」
    「あ、篠澤さん、ありがとう……って、え!?なんで篠澤さんが……?」
    「おはよう、優。ぐっすり寝てた、ね」

     何故か放送室にいる篠澤さんは、私の隣に座っていて、私の顔を覗き込んでいた

  • 16二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 11:06:10

    「えっと……いろいろ聞きたいことがあるんだけど……」
    「優に会いにここに来たら、優が寝てた。わたしだったら、勝手に入っても大丈夫かなって思った」
    「じゃあ、私のスマホをなんで篠澤さんが?」
    「あらーむが鳴ったから。止めてから優を起こそうと思ったんだけど、その前に優が起きて今に至る」

     篠澤さんの説明を聞いて、ある程度状況が理解できた。つまるところ、私は寝ている間、篠澤さんに、寝息や寝顔を好き放題見られたことになる。そう思うと、途端に恥ずかしくなってきた

  • 17二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 11:19:02

    「と、とりあえず、お茶入れてくる」

     そう言って立ち上がろうとするけど、篠澤さんに袖を引かれる

    「待って、優。今日は時間が無いから大丈夫、だよ」
    「ごめん、私が寝てたから……」

     私が謝ると、篠澤さんは全然気にしてない、と言った

    「優のかわいい寝顔、たくさん見れたから」
    「っ……忘れて、ほしい……」
    「それはできない約束。そんなことより──」

     篠澤さんが、少し真剣な表情になって続ける

    「優が寝不足なんて珍しい。何か悩み事?」
    「そんなこと……」

  • 18二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 11:32:04

     あなたのことで悩んでます、だなんて言えなくて、けど、否定もしきれなくて、言い淀んでしまった

    「ふふ、口は嘘つきでも、顔は正直。悩んでるって、顔してる。悩み、聞いてあげてもいい、よ?」

     篠澤さんは自慢げな顔をして、私に提案をした。でも、篠澤さんへの悩みを、本人に言うわけにはいかなくて、黙り込んだ

    「優、強情。もしかして、わたしに言えないようなこと?」
    「っ、それ、は……」
    「ふふ、当たり。優はわかりやすい」

     篠澤さんに全部見透かされて、逃げ場がなくなっていく。そんな状態で、篠澤さんに両手をぎゅっと掴まれた

    「優、無理に話してほしいとは言わないけど、話してくれたら、できるだけのことはする、よ?」

     そう話す篠澤さんの目は、とても優しくて、私が悩みを話す、最後のひと押しになった

    「篠澤さん。悩み、話すから聞いてくれる?」

  • 19二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 11:37:14

    「──えっと、じゃあ優は、わたしと話してる時、満足できなくて、困ってるってこと?」
    「うん……改めて言われると、恥ずかしいな……」

     私が悩んでいることを、篠澤さんに話し終えると、篠澤さんの顔が少し赤くなっていた。恥ずかしがっている篠澤さんは、新鮮でかわいいなって思う

    「でも、原因が分からない、ね」
    「うん、あの日にしかしなかったことが原因だと思うんだけど…………あ──」
    「優、なにかわかった?」

     多分、原因はあれだろう、という目処は立った。だけど、それを篠澤さんに言うのは、やっぱり恥ずかしくて。それを誤魔化すために、ふぅ、と息をついてから、口を開いた

  • 20二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 13:30:25

    「多分、あの日から、篠澤さんに耳元で、囁かれてない……と思う……」
    「確かに、言われてみればそう」

     篠澤さんは、納得したような顔をして、椅子から立ち上がった。そのまま私の後ろに回る

    「し、篠澤さん?急にどうして──」
    「原因がわかったから、試してみようと思った」

     篠澤さんのか細くて、耳に優しい声が、耳に直接届いてくる。心臓の鼓動がどんどん早くなって、幸福感で満たされていく

    「どう?満足できそう?」

  • 21二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 13:31:49

     そう聞かれて、返事をしようとしたけど、変な声が出そうになって、何も言わずに頷きだけで返す。それを見た篠澤さんは、よかった、とだけ呟いた

    「……優、耳まで真っ赤になってる。囁かれるの、好き、なんだね」

     好き、と言われて、身体がピクっと反応してしまう。こんなところ、他の人に見られたらまずいのに、止めてほしい、とは言えなくて、むしろもっと続けてほしいって思ってしまう

    「ふぅっ」
    「ひゃぁっ」
    「ふふ、かわいい反応、だね。もしかして優、耳弱いの?」

     吐息を吹き掛けられて、思わず声が出てしまった。篠澤さんの質問の内容がはっきりと理解できないまま、時間が過ぎていく

    「──今日はこれで終わり。優、満足できた?」

  • 22二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 13:33:06

     篠澤さんが、そう言いながら私から離れていく。そのことが名残惜しくて、つい篠澤さんの服の袖を引っ張ってしまった

    「ふふ、優、意外と欲張りさん、だね」

     そう言われて、ふっと我に返る。先程までの自分の行動を振り返って、恥ずかしさが今までにない勢いで広がった

    「あ、あの、私、あんな恥ずかしいこと……!」
    「大丈夫。優、今まででいちばんかわいかった」
    「そ、そういう話じゃなくて……!」
    「じゃあ、もうこれからはしなくていい?」
    「それは……嫌、だけど……」

     私は恥ずかしさに耐えられなくて、思わず俯いた

  • 23二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 13:34:38

    「優は正直、だね。これからも、してあげる」
    「あ、ありがとう、篠澤さん」
    「どういたしまして」

     きっと私は、これから、篠澤さんのことを忘れることは出来ないだろう。だけど──

    「今日は一緒に帰ろっか、優」
    「うん…………あの、さ」
    「どうしたの?」
    「私も、好きだよ。篠澤さんのこと」
    「ふふ、知ってる。けど、ありがとう」

     この人と、ずっと一緒にいれたら、なんて、そんな願いが叶ってほしいって、そう思った


    おわり

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