【オリウマ】銀河中央殴り込みウマ娘ッ‼︎Ⅱ【熱烈歓迎】

  • 11着をねらえ!25/06/20(金) 21:44:46
  • 21着をねらえ!25/06/20(金) 21:45:52
  • 3二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 21:49:45

    立て乙

  • 41着をねらえ!25/06/20(金) 21:50:08

    あらすじ

    新登場!金髪煌めく超美少女お姉ちゃんイリフネはある日、友達に連れられて訪れたチーム募集レースで運命の出会いを果たす!
    銀河をその目に戴くミステリアスな「ヒビノミライ」に憧れ彼女をお姉さまと慕うイリフネは競技ウマ娘を目指し、最初の難関「メイクデビュー」へと挑むのであった

  • 51着をねらえ!25/06/20(金) 21:51:26

    <メイクデビュー芝1600メートル>


    所謂マイルと言われる距離が彼女がメイクデビューに選んだレースであった。

    バ道を抜けるとすでに出走するウマ娘の何人かが準備運動を始めており、観客席にもそれなりに人が集まっていた。だが当然というべきか、これはあくまでデビュー戦であり歴史に名だたる大レースはおろかグレードの一つもついていない。観客席の閑散ぶりには少しばかり悲しいものがある。


    「今回の有力バってどの子だ?」


    ウマ娘はヒトミミに比べ聴覚に優れる。レーンに近い観客席の前列での会話程度であれば簡単に聞き取ることができる。

    会話の主は2人組の若い男性、会話の内容からしてイリフネの走るメイクデビューの勝ちウマを予想しているようだ。自分が一体どんな評価なのか気になるお年頃のイリフネははしたないと思いつつも会話に耳を向ける。


    「あの黒鹿毛の娘なんていいんじゃないか?とはいえ、メイクデビューだからな、データも碌にないしファーストインップレッションが一番じゃないか?」


    「そうなると6番なんだが…ん?このイリフネって娘、なんかで見たことあるな」


    「あー、たしかネットニュースに載ってたな。キンペイバイの娘って」


    キタ!自分のことを話し始めて興味関心が尻尾上がりだ。


    「キンペイバイってあの春天勝ちのティアラウマ娘だよな?」


    「そうそう、コードヘブンに3回も土を付けた超名バだよ」


    自分のことに付随して母のことも褒められて益々鼻が高い。この調子でどんどん褒めてくれ、そうイリフネが高ぶっていると無情な一言が耳に突き刺さる

    「なら、無理そうだな。名ティアラウマ娘の子は走らないって言うし」

  • 61着をねらえ!25/06/20(金) 21:52:56

    その瞬間、カァッと熱いものがイリフネの頭のてっぺんからつま先までを貫く。
    自分の実力が足りないことも、有力バとして見られないこともそれらは紛れもない事実であり、甘んじて受け入れる覚悟だった。だが「名ティアラウマ娘の子は走らない」などというくだらない迷信を根拠に、その理由を大好きな母のせいのように言われるのは我慢がならないのだ。
    一発言わなければ腹の虫が治まらない、ギリリと音が鳴るほどのに奥歯を食いしばり、後方の観客席へと踏み出そうというその時であった。

    「イリフネちゃーん!がんばれー!」

    観客席から手を振る小さな影。シックなドレスに身を包む母の声がイリフネの踏み出そうとした足を踏みとどまらせる。
    必ず応援に行くと言っていたその約束を有言実行し、小さな体で大きく手を振る母の周りにはイリフネの妹たちの姿があった。

    「おねーちゃんがんばれー!」
    「まけるなおねーちゃん!」

    自分は何をしようとしていたのだろうか。母を馬鹿にされたような気がしたから憂さ晴らしをしようとした?自分のやるべきことを忘れて何がレースだ。
    今日自分がここにいるのは喧嘩をするためではない、レースで勝つためだ。

    「勿論なのです!何故ならば‼このレース、私は絶対に勝つと決めているのだからッ!!」

    右手を掲げ高らかに宣言する。それは多くの人々にとっては初めてのレースに浮かれておかしな言動をしてしまう特段珍しくもないウマ娘の姿であったが、彼女の真価を知る者にとってはいつもの彼女らしいプレッシャーに押しつぶされない強い姿として映るのだ。

    「いい顔」

    そしてそれは、観客席の隅でレースを観戦しているヒビノミライも同じであった。

  • 71着をねらえ!25/06/20(金) 21:54:05

    ゲートに収まるのは8人のウマ娘。デビュー時期としてはやや早い、うだつの上がらない暑さが焼き付くこの季節に光をよく反射する真っ白な体操服がよく映える。そのほとんどが短パンで、古典的なブルマを着用しているのはイリフネ一人くらいのものだ。
    年齢(学年)も近く、トレセン学園の中で顔を合わせている者もいるだろう。しかし今はここにいる全員が競争相手であり、1つしかない勝利という栄光を我が手にせんと闘争心を滾らせていた。
    8枠3番のゲートに立つイリフネはその瞬間を今か今かと待ち構える。先ほどの自信過剰ともとれる宣誓が気に食わなかったのか、ゲート入りしたウマ娘全員が彼女の方へ視線を向けていた。

    「さっきの『私が勝つ』ってやつさ、よく恥ずかしげもなく言えることね。アタシだったらもし負けた時に恥ずかしくってできないわ」

    隣のゲートの見るからに気の短そうなウマ娘が皮肉たっぷりという様子でイリフネを煽る。超然的な力を持っていても彼女たちの精神は所詮10代の未熟な学生である。出る杭をあざ笑い、突飛な行動に指をさしクスクスと仲間外れの笑いものにするのは当然のことでもあった。
    だが、7人の嘲笑など、彼女にとってはどこ吹く風である。決して折れない強い瞳が煽ってきたウマ娘を見る。

    「なっ…なによ」

    思わずたじろぐウマ娘にイリフネは表情を変えることなく、彼女の汗が額から地へと滑り落ちるだけの時間を経てようやく口を開く。

    「負けるかもなんて思いは女を廃らせるだけ。私はここに勝ちに来たのです!お互いベストを尽くしましょう!」

  • 81着をねらえ!25/06/20(金) 21:55:13

    そこに恥などないと強く宣言する言葉に対面のウマ娘は返す言葉がなかった。もっとも、彼女を動揺させたのは、その決意ではなく今さっき害意を見せた相手にも競い合う相手としての立場を崩さないイリフネの言葉であったが。

    「(生意気な…ッ!)」

    その言葉を彼女はついぞ言うことはできなかった。ここで言い返しても目の前のウマ娘が折れることはないし、もし言葉にしてしまえばこれからレースに挑む自身のプライドに傷がついてしまうような、そんな予感がしたのだ。
    憎々しげにイリフネを睨み返すとふんっと前へ向き直る。なに、これはレースなのだ。ムカつく相手がいるのならレースで叩き潰してしまえばいいのだ。
    よく見れば見た目こそ金髪で派手だが強者特有の覇気もなければ全身の筋肉量もそれほどの物でもないだろう。見るからに“ティアラ路線ウマ娘”といった女々しいブルマ姿がその印象を余計に加速させる。所詮はこけおどし、負ける気など毛頭なかった。
    それに、今回はメイクデビュー、汚れなき競争成績を望む彼女には負けるわけにはいかないレースなのだ。他の7人をバックダンサーとしセンターで踊る自分の姿を夢想し彼女は口角を吊り上げた。

  • 91着をねらえ!25/06/20(金) 21:56:47

    メイクデビューは数あるレースの中でも全てのウマ娘にとって重要なレースである。それは競技ウマ娘として必ず出走しなければならない最初のレースというのも勿論だが、大事なのはこれが「メイクデビュー」という名前を持っているということだ。
    メイクデビューの特異なところに二度と同名のレースに出走できないという点がある。これだけであればジュニア・クラシック級のレースと同じなのだが、一番大きいのはこれが全員が必ず出走できる唯一のネームドレースということなのだ。
    ウマ娘レースの世界は厳しい。メイクデビューで勝利を飾ることができず、その後の未勝利戦でも勝てずに唯一走ることのできたタイトル付きレースがメイクデビューだったというウマ娘は少なくない。また、メイクデビューでの勝ち星は競争人生においての最初の白星となり、勝ち癖をつけられて縁起がいいとされ、それ故に「メイクデビューを勝てたウマ娘は大成する」という身もふたもない呪いのようなジンクスが蔓延し、未勝利戦を走ることなく心が折れてしまうウマ娘も少なくない。
    誰が言ったか“ヴァージンレース(純潔を守るレース)”とはよく言ったものである。

    中央でメイクデビューに出走するウマ娘はウマ娘全体から見ると上位層のエリートばかりである。その自覚があるのか、はたまた中央というステータスがそうさせるのか自分が負けるはずがないという自信に満ち溢れている。それは己の実力を理解しているからなどではなく、多くの場合は壁にぶつかったことがなく、自身の位置を正確に理解していないが故である。

  • 10二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 21:59:59

    > 「メイクデビューを勝てたウマ娘は大成する」

    実は意外と伝説のウマ娘にはメイクデビューを負けたものが多かったりするのでマジで身もふたもないのだ

    (ブライアン、ジェンティル、アイ、あと地方だけどオグリも、etc)

  • 111着をねらえ!25/06/20(金) 23:39:55

    先ほどイリフネにつかっかてきたウマ娘含め勝つのは自分だろうといううっすらとした確信があった。みな地元では天才や秀才と呼ばれ期待されて中央トレセンへと入学しようやくデビューすることができるのだ、浮足立ち全能感に支配されるというのも仕方のないことだろう。だがしかし、勝てるだろうなという根拠のない自信ではレースに勝つことなどできない。



    レース内容は一言でいうのなら「圧勝」であった。
    スタート開始直後、いの一番に抜け出したイリフネを追うレース展開となり、後続の7人のウマ娘たちはイリフネの暴走ともいえる逃げがスタミナ切れで落ちる瞬間を待っていた。どんなに強いウマ娘であってもスタミナは有限であり、特に爆発的な逃げなどというスタミナをまき散らしながら走るようなものであればすぐさまスタミナが底をつくだろう。7人ともそう考えていた。なぜならそう習ったから、常識的に考えてそうであるはずだから。
    だが、目の前にいるのはただのウマ娘などではない。毎日シゴキともいえるトレーニングに泣き言一つ出さずについていく、母親譲りの強大なスタミナを誇る本物のウマ娘の持ち主なのだ。

    レースが終盤に差し掛かる頃、きっと7人のウマ娘は焦ったことだろう。走れど走れどイリフネの勢いが落ちるそぶりはなく、むしろどんどん距離を離されているような認めたくない現実が目の前に現れたのだから。
    彼女たちの知識も準備も何も問題となるものはなかった。日々一般的なトレセン生のようにトレーニングに励み、努力を欠かすことがない勝つに値するウマ娘ばかりであった。
    しかしそれはあくまで“普通に”頑張っているだけにすぎない。一般的な努力しかしていない天才は常軌を逸した努力をしている天才に絶対に勝つことはできない。なんとなく勝てそうな気がする、その程度の期待じみた勝利への渇望が「絶対に勝つ」という執念じみた勝利への欲求に勝ることもない。
    彼女たちに勝てる理由は多くあったが、負けない理由も勝つ理由も不足していた。
    イリフネがゴール板を駆け抜けた時、何バ身も後方にいたウマ娘たちはそれを身をもって痛感するのであった。

  • 12二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 00:15:38

    血の滲む努力程度ではなく七孔噴血する努力をしなければならぬ世界よなあ
    または努力を努力と思わぬ天衣無縫か

  • 13二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 08:35:55

    本物に成ったか

  • 141着をねらえ!25/06/21(土) 10:17:26

    「おぉ!イリフネちゃん勝ちましたよ!」

    レース結果に盛り上げる観客席の最上階、せり出した屋根の陰に隠れる立見席で観戦していたムーバは大差勝ちしたイリフネのレース内容に大興奮といった様子で、イリフネとコーチを交互に見てはよく頑張ったぞと歓声を飛ばしている。

    「当然だ、あいつなら勝てるレースだった」

    教え子のメイクデビュー勝利という喜ばしい内容でありながらコーチはいつもの調子を崩すことなく、サングラスをかけ表情の分からない仏頂面のまま腕を組んでいる。

    「それ、ちゃんと言ってあげてくださいよ。あの子はミライじゃないんだから」

    「………」

    依然としてイリフネに対しては鬼教官という立場を崩したことのないコーチにムーバが釘を刺す。心なしかコーチの顔に少しばかりのバツの悪さが浮かんだようにも見えた。

    「(それでも、まだまだ"本物"には程遠いって言いそうだけどね…)」

    口下手で堅物の雰囲気の抜けない自身のチームトレーナーになんだか今後のチーム関係が拗れそうな気がしてムーバは口から特大のため息を吐き出すのであった。

  • 151着をねらえ!25/06/21(土) 12:21:37

    走り終わり、ウィナーズサークルに立つイリフネは家族に囲まれていた。妹たちから口々におめでとうの言葉をかけられる中で、誰よりもはしゃぎ、誰よりも喜んでいたのが母であるキンペイバイであった。

    「イリフネちゃんよく頑張ったね!おめでとう!」

    汗でべたつく体であっても大切な娘。この日のために用意したのであろうドレスが汚れることなど気にせず抱きしめる。母の胸と娘の胸がぶつかり合い、物理法則にのっとって柔らかくつぶれる。汗をかくほどに火照った体のイリフネよりもわずかに母の体温の方が暖かく感じられる。

    「はしゃぎすぎなのです。お腹に赤ちゃんもいるんだから無理しちゃダメなのです」

    当の勝利者であるイリフネは以外にも落ち着いており、自分よりもテンションの高い母を嗜めていた。汗でべたつく体では母の洋服を汚してしまうと抱き返すのをためらっていると頭に誰かの頭がポンと乗せられる。昔からそうされてきた安心感のあるゴツゴツとした質感に見上げればそこには筋骨隆々のアメリカンコミックのヒーローのような男

    「すごい逃げだったな、スタミナにも余裕があった。トレーニングの成果が出てたな」

    「もー、お父さんあんまりワシャワシャしないでなのです」

    イリフネの父は豪快に娘の頭を撫でるとハハハと豪快に笑う。粗暴だが優しいそれにイリフネも心地よさを感じているが、人目もあるので年頃の娘らしい言葉しか言うことができなかった。
    父も本当ならデビュー戦という最も緊張する舞台で実力を出し切り、見事に勝利を収めた娘のことを抱きしめて、これが俺の世界一の娘だと自慢してやりたかったが、今の彼はイリフネの父であるとともに中央トレセンに席を持つチームトレーナーである。はしゃぎすぎるのはあまりよくないとこうして頭を思いっきり撫でることしかできないのだ。

  • 16二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 12:28:15

    元少年にとって世界一のウマ娘は多分二人いるんだろうな…

  • 171着をねらえ!25/06/21(土) 14:23:30

    ウィナーズサークルで家族と勝利を分かち合い、写真撮影等のもろもろを済ませたイリフネは地下バ道を通って控室への道を歩いていた。競技ウマ娘はレースだけやっていればいいという単純なものではなく、興行的側面も併せ持っており、つまるところレースの後のウイニングライブをこなさなければならないのだ。


    イリフネちゃんのライブの才能

    (基礎値なので本番では練習して上手くできるものとする)


    ダンスdice1d100=21 (21)

    (30以上で人並み、50を超えてくると上手い寄り)


    歌dice1d100=16 (16)

    (30以上で人並み、50を超えてくると上手い寄り)


    パフォーマンスdice1d100=76 (76)

    (30以上で人並み、50を超えてくると上手い寄り)

  • 181着をねらえ!25/06/21(土) 14:29:34

    すごく設定通りのレースは凄いけどそれ以外の時は天然ポンコツお姉ちゃんになりましたね

  • 19二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 14:33:41

    本番以外ボエーるお姉ちゃん……
    歌も踊りもアレでパフォーマンス高いの逆にカリスマ性の証明かもしれんですね

スレッドは6/22 00:33頃に落ちます

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