【オリウマ】銀河中央殴り込みウマ娘ッ‼︎Ⅱ【熱烈歓迎】

  • 11着をねらえ!25/06/20(金) 21:44:46
  • 21着をねらえ!25/06/20(金) 21:45:52
  • 3二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 21:49:45

    立て乙

  • 41着をねらえ!25/06/20(金) 21:50:08

    あらすじ

    新登場!金髪煌めく超美少女お姉ちゃんイリフネはある日、友達に連れられて訪れたチーム募集レースで運命の出会いを果たす!
    銀河をその目に戴くミステリアスな「ヒビノミライ」に憧れ彼女をお姉さまと慕うイリフネは競技ウマ娘を目指し、最初の難関「メイクデビュー」へと挑むのであった

  • 51着をねらえ!25/06/20(金) 21:51:26

    <メイクデビュー芝1600メートル>


    所謂マイルと言われる距離が彼女がメイクデビューに選んだレースであった。

    バ道を抜けるとすでに出走するウマ娘の何人かが準備運動を始めており、観客席にもそれなりに人が集まっていた。だが当然というべきか、これはあくまでデビュー戦であり歴史に名だたる大レースはおろかグレードの一つもついていない。観客席の閑散ぶりには少しばかり悲しいものがある。


    「今回の有力バってどの子だ?」


    ウマ娘はヒトミミに比べ聴覚に優れる。レーンに近い観客席の前列での会話程度であれば簡単に聞き取ることができる。

    会話の主は2人組の若い男性、会話の内容からしてイリフネの走るメイクデビューの勝ちウマを予想しているようだ。自分が一体どんな評価なのか気になるお年頃のイリフネははしたないと思いつつも会話に耳を向ける。


    「あの黒鹿毛の娘なんていいんじゃないか?とはいえ、メイクデビューだからな、データも碌にないしファーストインップレッションが一番じゃないか?」


    「そうなると6番なんだが…ん?このイリフネって娘、なんかで見たことあるな」


    「あー、たしかネットニュースに載ってたな。キンペイバイの娘って」


    キタ!自分のことを話し始めて興味関心が尻尾上がりだ。


    「キンペイバイってあの春天勝ちのティアラウマ娘だよな?」


    「そうそう、コードヘブンに3回も土を付けた超名バだよ」


    自分のことに付随して母のことも褒められて益々鼻が高い。この調子でどんどん褒めてくれ、そうイリフネが高ぶっていると無情な一言が耳に突き刺さる

    「なら、無理そうだな。名ティアラウマ娘の子は走らないって言うし」

  • 61着をねらえ!25/06/20(金) 21:52:56

    その瞬間、カァッと熱いものがイリフネの頭のてっぺんからつま先までを貫く。
    自分の実力が足りないことも、有力バとして見られないこともそれらは紛れもない事実であり、甘んじて受け入れる覚悟だった。だが「名ティアラウマ娘の子は走らない」などというくだらない迷信を根拠に、その理由を大好きな母のせいのように言われるのは我慢がならないのだ。
    一発言わなければ腹の虫が治まらない、ギリリと音が鳴るほどのに奥歯を食いしばり、後方の観客席へと踏み出そうというその時であった。

    「イリフネちゃーん!がんばれー!」

    観客席から手を振る小さな影。シックなドレスに身を包む母の声がイリフネの踏み出そうとした足を踏みとどまらせる。
    必ず応援に行くと言っていたその約束を有言実行し、小さな体で大きく手を振る母の周りにはイリフネの妹たちの姿があった。

    「おねーちゃんがんばれー!」
    「まけるなおねーちゃん!」

    自分は何をしようとしていたのだろうか。母を馬鹿にされたような気がしたから憂さ晴らしをしようとした?自分のやるべきことを忘れて何がレースだ。
    今日自分がここにいるのは喧嘩をするためではない、レースで勝つためだ。

    「勿論なのです!何故ならば‼このレース、私は絶対に勝つと決めているのだからッ!!」

    右手を掲げ高らかに宣言する。それは多くの人々にとっては初めてのレースに浮かれておかしな言動をしてしまう特段珍しくもないウマ娘の姿であったが、彼女の真価を知る者にとってはいつもの彼女らしいプレッシャーに押しつぶされない強い姿として映るのだ。

    「いい顔」

    そしてそれは、観客席の隅でレースを観戦しているヒビノミライも同じであった。

  • 71着をねらえ!25/06/20(金) 21:54:05

    ゲートに収まるのは8人のウマ娘。デビュー時期としてはやや早い、うだつの上がらない暑さが焼き付くこの季節に光をよく反射する真っ白な体操服がよく映える。そのほとんどが短パンで、古典的なブルマを着用しているのはイリフネ一人くらいのものだ。
    年齢(学年)も近く、トレセン学園の中で顔を合わせている者もいるだろう。しかし今はここにいる全員が競争相手であり、1つしかない勝利という栄光を我が手にせんと闘争心を滾らせていた。
    8枠3番のゲートに立つイリフネはその瞬間を今か今かと待ち構える。先ほどの自信過剰ともとれる宣誓が気に食わなかったのか、ゲート入りしたウマ娘全員が彼女の方へ視線を向けていた。

    「さっきの『私が勝つ』ってやつさ、よく恥ずかしげもなく言えることね。アタシだったらもし負けた時に恥ずかしくってできないわ」

    隣のゲートの見るからに気の短そうなウマ娘が皮肉たっぷりという様子でイリフネを煽る。超然的な力を持っていても彼女たちの精神は所詮10代の未熟な学生である。出る杭をあざ笑い、突飛な行動に指をさしクスクスと仲間外れの笑いものにするのは当然のことでもあった。
    だが、7人の嘲笑など、彼女にとってはどこ吹く風である。決して折れない強い瞳が煽ってきたウマ娘を見る。

    「なっ…なによ」

    思わずたじろぐウマ娘にイリフネは表情を変えることなく、彼女の汗が額から地へと滑り落ちるだけの時間を経てようやく口を開く。

    「負けるかもなんて思いは女を廃らせるだけ。私はここに勝ちに来たのです!お互いベストを尽くしましょう!」

  • 81着をねらえ!25/06/20(金) 21:55:13

    そこに恥などないと強く宣言する言葉に対面のウマ娘は返す言葉がなかった。もっとも、彼女を動揺させたのは、その決意ではなく今さっき害意を見せた相手にも競い合う相手としての立場を崩さないイリフネの言葉であったが。

    「(生意気な…ッ!)」

    その言葉を彼女はついぞ言うことはできなかった。ここで言い返しても目の前のウマ娘が折れることはないし、もし言葉にしてしまえばこれからレースに挑む自身のプライドに傷がついてしまうような、そんな予感がしたのだ。
    憎々しげにイリフネを睨み返すとふんっと前へ向き直る。なに、これはレースなのだ。ムカつく相手がいるのならレースで叩き潰してしまえばいいのだ。
    よく見れば見た目こそ金髪で派手だが強者特有の覇気もなければ全身の筋肉量もそれほどの物でもないだろう。見るからに“ティアラ路線ウマ娘”といった女々しいブルマ姿がその印象を余計に加速させる。所詮はこけおどし、負ける気など毛頭なかった。
    それに、今回はメイクデビュー、汚れなき競争成績を望む彼女には負けるわけにはいかないレースなのだ。他の7人をバックダンサーとしセンターで踊る自分の姿を夢想し彼女は口角を吊り上げた。

  • 91着をねらえ!25/06/20(金) 21:56:47

    メイクデビューは数あるレースの中でも全てのウマ娘にとって重要なレースである。それは競技ウマ娘として必ず出走しなければならない最初のレースというのも勿論だが、大事なのはこれが「メイクデビュー」という名前を持っているということだ。
    メイクデビューの特異なところに二度と同名のレースに出走できないという点がある。これだけであればジュニア・クラシック級のレースと同じなのだが、一番大きいのはこれが全員が必ず出走できる唯一のネームドレースということなのだ。
    ウマ娘レースの世界は厳しい。メイクデビューで勝利を飾ることができず、その後の未勝利戦でも勝てずに唯一走ることのできたタイトル付きレースがメイクデビューだったというウマ娘は少なくない。また、メイクデビューでの勝ち星は競争人生においての最初の白星となり、勝ち癖をつけられて縁起がいいとされ、それ故に「メイクデビューを勝てたウマ娘は大成する」という身もふたもない呪いのようなジンクスが蔓延し、未勝利戦を走ることなく心が折れてしまうウマ娘も少なくない。
    誰が言ったか“ヴァージンレース(純潔を守るレース)”とはよく言ったものである。

    中央でメイクデビューに出走するウマ娘はウマ娘全体から見ると上位層のエリートばかりである。その自覚があるのか、はたまた中央というステータスがそうさせるのか自分が負けるはずがないという自信に満ち溢れている。それは己の実力を理解しているからなどではなく、多くの場合は壁にぶつかったことがなく、自身の位置を正確に理解していないが故である。

  • 10二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 21:59:59

    > 「メイクデビューを勝てたウマ娘は大成する」

    実は意外と伝説のウマ娘にはメイクデビューを負けたものが多かったりするのでマジで身もふたもないのだ

    (ブライアン、ジェンティル、アイ、あと地方だけどオグリも、etc)

  • 111着をねらえ!25/06/20(金) 23:39:55

    先ほどイリフネにつかっかてきたウマ娘含め勝つのは自分だろうといううっすらとした確信があった。みな地元では天才や秀才と呼ばれ期待されて中央トレセンへと入学しようやくデビューすることができるのだ、浮足立ち全能感に支配されるというのも仕方のないことだろう。だがしかし、勝てるだろうなという根拠のない自信ではレースに勝つことなどできない。



    レース内容は一言でいうのなら「圧勝」であった。
    スタート開始直後、いの一番に抜け出したイリフネを追うレース展開となり、後続の7人のウマ娘たちはイリフネの暴走ともいえる逃げがスタミナ切れで落ちる瞬間を待っていた。どんなに強いウマ娘であってもスタミナは有限であり、特に爆発的な逃げなどというスタミナをまき散らしながら走るようなものであればすぐさまスタミナが底をつくだろう。7人ともそう考えていた。なぜならそう習ったから、常識的に考えてそうであるはずだから。
    だが、目の前にいるのはただのウマ娘などではない。毎日シゴキともいえるトレーニングに泣き言一つ出さずについていく、母親譲りの強大なスタミナを誇る本物のウマ娘の持ち主なのだ。

    レースが終盤に差し掛かる頃、きっと7人のウマ娘は焦ったことだろう。走れど走れどイリフネの勢いが落ちるそぶりはなく、むしろどんどん距離を離されているような認めたくない現実が目の前に現れたのだから。
    彼女たちの知識も準備も何も問題となるものはなかった。日々一般的なトレセン生のようにトレーニングに励み、努力を欠かすことがない勝つに値するウマ娘ばかりであった。
    しかしそれはあくまで“普通に”頑張っているだけにすぎない。一般的な努力しかしていない天才は常軌を逸した努力をしている天才に絶対に勝つことはできない。なんとなく勝てそうな気がする、その程度の期待じみた勝利への渇望が「絶対に勝つ」という執念じみた勝利への欲求に勝ることもない。
    彼女たちに勝てる理由は多くあったが、負けない理由も勝つ理由も不足していた。
    イリフネがゴール板を駆け抜けた時、何バ身も後方にいたウマ娘たちはそれを身をもって痛感するのであった。

  • 12二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 00:15:38

    血の滲む努力程度ではなく七孔噴血する努力をしなければならぬ世界よなあ
    または努力を努力と思わぬ天衣無縫か

  • 13二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 08:35:55

    本物に成ったか

  • 141着をねらえ!25/06/21(土) 10:17:26

    「おぉ!イリフネちゃん勝ちましたよ!」

    レース結果に盛り上げる観客席の最上階、せり出した屋根の陰に隠れる立見席で観戦していたムーバは大差勝ちしたイリフネのレース内容に大興奮といった様子で、イリフネとコーチを交互に見てはよく頑張ったぞと歓声を飛ばしている。

    「当然だ、あいつなら勝てるレースだった」

    教え子のメイクデビュー勝利という喜ばしい内容でありながらコーチはいつもの調子を崩すことなく、サングラスをかけ表情の分からない仏頂面のまま腕を組んでいる。

    「それ、ちゃんと言ってあげてくださいよ。あの子はミライじゃないんだから」

    「………」

    依然としてイリフネに対しては鬼教官という立場を崩したことのないコーチにムーバが釘を刺す。心なしかコーチの顔に少しばかりのバツの悪さが浮かんだようにも見えた。

    「(それでも、まだまだ"本物"には程遠いって言いそうだけどね…)」

    口下手で堅物の雰囲気の抜けない自身のチームトレーナーになんだか今後のチーム関係が拗れそうな気がしてムーバは口から特大のため息を吐き出すのであった。

  • 151着をねらえ!25/06/21(土) 12:21:37

    走り終わり、ウィナーズサークルに立つイリフネは家族に囲まれていた。妹たちから口々におめでとうの言葉をかけられる中で、誰よりもはしゃぎ、誰よりも喜んでいたのが母であるキンペイバイであった。

    「イリフネちゃんよく頑張ったね!おめでとう!」

    汗でべたつく体であっても大切な娘。この日のために用意したのであろうドレスが汚れることなど気にせず抱きしめる。母の胸と娘の胸がぶつかり合い、物理法則にのっとって柔らかくつぶれる。汗をかくほどに火照った体のイリフネよりもわずかに母の体温の方が暖かく感じられる。

    「はしゃぎすぎなのです。お腹に赤ちゃんもいるんだから無理しちゃダメなのです」

    当の勝利者であるイリフネは以外にも落ち着いており、自分よりもテンションの高い母を嗜めていた。汗でべたつく体では母の洋服を汚してしまうと抱き返すのをためらっていると頭に誰かの頭がポンと乗せられる。昔からそうされてきた安心感のあるゴツゴツとした質感に見上げればそこには筋骨隆々のアメリカンコミックのヒーローのような男

    「すごい逃げだったな、スタミナにも余裕があった。トレーニングの成果が出てたな」

    「もー、お父さんあんまりワシャワシャしないでなのです」

    イリフネの父は豪快に娘の頭を撫でるとハハハと豪快に笑う。粗暴だが優しいそれにイリフネも心地よさを感じているが、人目もあるので年頃の娘らしい言葉しか言うことができなかった。
    父も本当ならデビュー戦という最も緊張する舞台で実力を出し切り、見事に勝利を収めた娘のことを抱きしめて、これが俺の世界一の娘だと自慢してやりたかったが、今の彼はイリフネの父であるとともに中央トレセンに席を持つチームトレーナーである。はしゃぎすぎるのはあまりよくないとこうして頭を思いっきり撫でることしかできないのだ。

  • 16二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 12:28:15

    元少年にとって世界一のウマ娘は多分二人いるんだろうな…

  • 171着をねらえ!25/06/21(土) 14:23:30

    ウィナーズサークルで家族と勝利を分かち合い、写真撮影等のもろもろを済ませたイリフネは地下バ道を通って控室への道を歩いていた。競技ウマ娘はレースだけやっていればいいという単純なものではなく、興行的側面も併せ持っており、つまるところレースの後のウイニングライブをこなさなければならないのだ。


    イリフネちゃんのライブの才能

    (基礎値なので本番では練習して上手くできるものとする)


    ダンスdice1d100=21 (21)

    (30以上で人並み、50を超えてくると上手い寄り)


    歌dice1d100=16 (16)

    (30以上で人並み、50を超えてくると上手い寄り)


    パフォーマンスdice1d100=76 (76)

    (30以上で人並み、50を超えてくると上手い寄り)

  • 181着をねらえ!25/06/21(土) 14:29:34

    すごく設定通りのレースは凄いけどそれ以外の時は天然ポンコツお姉ちゃんになりましたね

  • 19二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 14:33:41

    本番以外ボエーるお姉ちゃん……
    歌も踊りもアレでパフォーマンス高いの逆にカリスマ性の証明かもしれんですね

  • 20二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 22:37:19

    パフォーマンスは良いのか
    愛嬌あるのかな

  • 211着をねらえ!25/06/21(土) 23:35:17

    練習の成果もあり、そつなくメイクデビューライブを終えてステージ裏へと戻ったイリフネはそっと胸を撫で下ろしていた。自分の音痴が発動しないかとかそういう気持ちもあったが、何よりも初戦を勝てたという事実が彼女に勇気と自信を満ち溢れさせていた。
    今日、イリフネがやるべきことはこれで全部だ。あとは荷物をまとめて帰るだけ。今日はお祝いに外食をするらしくウキウキ気分でステージ裏から控え室への道を歩いていると、道の真ん中に立つ不敵な影が一つ。

    「お姉さま!」

    イリフネが気づくとヒビノミライも微笑みを浮かべる。

    「どうでしたか今日のレース!私もうズバーン!って感じで!」

    尻尾を左右に大きく振り大はしゃぎで報告する様はまるで犬のようで、顔に「褒めて欲しい」とでも書いてあるかのようにその目は期待に満ち溢れていた。

    「いい走りだった」

    そう言うと顔が触れ合うほどにイリフネとの距離を縮める。その数センチの距離感にイリフネがドギマギしていると、ヒビノミライの細く冷たい手がイリフネの頬を撫で、そして顎のラインを伝って軽く引き寄せる仕草─所謂、アゴクイ─を取る

    「あっ…お姉さまそんな…誰か来ちゃ……」

    誰かが来てしまうかもしれない、その背徳感で頭が沸騰しそうになるも、こちらを見つめ微笑むヒビノミライの銀河を抱く瞳に精神が連れていかれるような、目を離せない呪いでもかけられているかのように顔を背けることができない。

    「私にももっと見せてほしい。あの時、貴方が見せた光の奥底にあった輝くものを」

    おそらくそれはコーチが常々言う「本物のウマ娘」というものの核心に迫る言葉だったのかもしれない。だが、顔のいい美少女にこんなあられも無いことをされては、十代の純潔乙女イリフネはそんなことなど思考する余裕もないのであった。

    後に残されたのはミステリアスに微笑む少女と、瞳に魅せられた少女。
    この2人の出会いが何を成し、何をもたらすのか、その答えは未来だけが知っている。

    ただ一つ言えることがあるのならば、この物語は少女が"本物のウマ娘"になるまでの物語である。

    【序章 運命の出会い 完】

  • 221着をねらえ!25/06/21(土) 23:38:05

    次章から本格的に🎲振りパートです
    皆様にもお力をお借りすることがあると思います。
    基本熱血、時々エッチ、このモットーで進めて参りますのでイリフネとチームオルクの面々の活躍にご期待と応援をよろしくお願いします

  • 23二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 08:00:50

    トゥンク…

  • 24二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 15:04:10

    >>22

    了解です

  • 251着をねらえ!25/06/22(日) 17:35:27

    今後の方針決めを行います。
    具体的には2歳G1に出場するか否か、出場するとして、朝日杯、阪神JF、ホープフルのどれにするかとなります

    一応、要望としてホープフルを頂いていた気がするのでそれで行くつもりではありますがもしこっちの方がいい、こうして欲しいなどがありましたら本日の21:00くらいまでにお願いします。(それまでは適当にダイスを転がします)
    このままホープフルで行く場合もこのままでいい旨のコメントをいただけると集計して数の多い方を選択します

  • 261着をねらえ!25/06/22(日) 18:04:47

    メイクデビューから開けて翌日、いつも通りの一週間の始まりを迎えた府中の町は今日も忙しなく車が行きかい、太陽の下舗装された路面をゴム製の靴底が鳴らす。

    ここトレセン学園でもいつも通りに午前の授業が行われ、そしていつものお昼のチャイムと共に食堂に生徒たちがなだれ込んでいた。

    そんな普通な日常にあって、いつもよりも足取り軽く鼻歌交じりにスキップしているウマ娘が一人。金髪のポニーテールをその名の通りに尻尾のように揺らしながらイリフネは浮ついた雰囲気を隠すことができずにいた。

    「まったく…ご機嫌で何よりだよ」

    その隣を歩くダイナソアンシーは遂にデビューを迎え、そして勝利を勝ち取ってきた親友に微笑みと感慨深い視線を送る。ダイナ自身がデビューしてからもチームに所属することも専属トレーナーを見つけることもなく、どこかボケーとしながら学園生活を過ごしていた親友の姿はもうどこにもなく、清々しいほどの変わりっぷりに驚いてしまう。

    だが、最近のイリフネは目標を見つけ、チームに所属し、前よりもの楽しそうに見える。自分のレースを見に来ていつかは私もと遠くを見つめていた頃からもうずいぶんと前に進んでしまっているような、そんな気さえするのだ。


    2人の健啖家度合い(数値が高いほど大喰らい)

    イリフネ:dice1d100=22 (22)

    ダイナソアンシー:dice1d100=33 (33)

  • 27二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 18:23:00

    ホープフルに行ってほしいです

  • 281着をねらえ!25/06/22(日) 18:40:26

    食堂は相変わらずの盛況っぷりで、お盆を持ったまま歩き回ること数分、先に食べていた集団が席を離れたのを見逃さず、すさまじい速さで席を確保する
    本日はトマト煮込みハンバーグ定食、二人のお茶碗に盛られたのは一般的なウマ娘の分量程度。2人はそこまでたくさん食べるタイプではないが、過去には一人で何十人分と食べてしまう健啖家もいたらしい。

    「イリフネはさ、この後のレースはどうするか決めた?」

    ニンニク風味の強いトマトソースに合わせるために触感を意識した海藻サラダをほおばるイリフネに、ハンバーグのかけらを飲み込みダイナが問いかける。

    「次、次か…考えたことなかったかもなのです」

    当然だが、レースはデビューして終わりというわけではない。次のレース、そのまた次のレースと引退まで走り続けなければならない。
    例えば、ダイナソアンシーは未勝利戦を勝利後、条件戦やOP戦を順調に勝ち上がり、クラシック期には重症に挑戦し好成績を納め、今はシニア級レースの舞台で走っており、数週間後にもレースの予定がある。こうしたレース予定は事前に学園を通してURAの方に通知され、それをもとにレースに関する諸々が調整される。トレーナーに通告される育成目標という名のノルマもまたこうしたレース予定からURAが通告するものである。

    イリフネも競争ウマ娘としてデビューした以上、次の目標レースを見定める必要があり、それもあってのダイナの質問であった。予想通りというべきか、何も考えていないという返答が返ってきたわけだが。

    「ソアラの時はどうやって決めたのです?」

    「私の時はトレーナーがレースプランを何個か出してくれてそれで決めたかな。イリフネのところもあの怖―いコーチがやってくれるんじゃない?」

    無責任なダイナの発言にイリフネは脳裏で状況をイメージする。例えば、「今後どのレースを走ればいいか」と聞いたとき、おそらくコーチは「自分で考えなければ意味がない」と言うだろう。では「このレースに出たい」と言えばどうだろうか。おそらくだが「お前にはまだまだ早い!ランニング500週!」と一括されるのがオチだろう。
    今から憂鬱な気分になってきたイリフネは先ほどまでの元気はどこへやら、深くため息をついてシワシワの電気鼠のような顔をするのであった。

  • 291着をねらえ!25/06/22(日) 19:17:06

    話し込んでいるイリフネとダイナ、そんな2人の元にとある人物がやってきます


    1.妹

    2.お父さんのチームのウマ娘

    3.お姉さま


    dice1d3=3 (3)

  • 301着をねらえ!25/06/22(日) 20:59:55

    食堂の第一波が終わり、第二波の学生たちが食堂にあふれだした頃、あーだこーだと話をするイリフネとダイナソアンシーのテーブルに一人の影が近づいてくる。

    「相席いいかしら」

    「お姉さま!」

    湯気の立ち昇るどんぶりをお盆に載せ、ヒビノミライが2人へと声をかける。周囲を見るとどこもかしこも生徒で溢れ、座る場所はなさそうだ。ダイナとしても別に嫌いな人物ではないし、なによりもイリフネのチームメイトとなれば断る理由もないだろう。もっとも、ダイナが提案するよりも先にイリフネがここに座ってくださいと自分の隣の席に彼女を座らせてしまったのだが。

    「お姉さまはらーめんなのですね」

    「ニンニクラーメンチャーシュー抜き」

    それにしてもこのヒビノミライというウマ娘、何か不可思議な雰囲気をまとっているなと対面に座りまじまじと見ながらダイナは考えていた。
    銀河を浮かべ、その奥に宇宙のごとし無限の広がりを感じさせる瞳、プリズムめいた光を反射する髪、顔立ちは整いすぎているというほどで、その肌に思春期特有の荒れもデキ物といったものもない。そして何よりも“耳も尻尾も存在しない“というところが異質さを加速させる。一応、尻尾のないウマ娘というのは存在自体はしている。それこそ、ヴィルシーナ達三姉妹の母親は尻尾のないウマ娘らしい。だが、ウマミミのないウマ娘というのは聞いたことも見たこともない。耳というのは生活生存するためには必要不可欠な器官である。耳がなければ言葉を聞き取ることはできず、会話に非常に制限がされる。だというのにヒビノミライにそのような素振りは見えず、普通に会話できているように見える
    ヒビノミライの頭頂部、本来耳が存在しているべき部分には浮遊している菱形の謎のオブジェクトがあるのみで、尻尾にも円柱形上の何かが浮いている。まるでウマ娘ごっこをしているヒトミミの女児のような姿で、ウマムスメモドキとでも形容したくなる。それだというのに能力時代はウマ娘と同じ力を持っているとくれば尚更、その正体が分からなくなる。

  • 311着をねらえ!25/06/22(日) 21:01:45

    「お姉さま、私のハンバーグちょっと食べますか?」

    「それはあなたの分、あなたが食べるべき」

    そして、応募面接レースの時に見せたあのプラズマのような閃き。あの瞬間、ヒビノミライに尻尾とウマミミが存在し、本物のウマ娘のような姿となっていたことをダイナは覚えている。あの輝きを放った瞬間、まるで人が変わったかのようにヒビノミライは増速し、そしてイリフネに大差をつけてゴールした。それまで本当の力を隠していたのだとしたら、本当のヒビノミライはレースで見せたあの姿なのだろうか。
    あの胡散臭いコーチが言っていた“本物”のウマ娘なる言葉。もしそれが彼女──ヒビノミライを指す言葉なのであれば、自分たちは偽物だとでもそう言いたいのだろうか。
    目の前で仲良さそうにご飯を食べる2人を見て、ダイナソアンシーはヒビノミライへの疑念を強めるのであった。

  • 32二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 21:30:16

    ヒトミミの女児のようとも言うが当然ヒトミミもないわけで、パーツがつく前は両生類みたいに直接ウマミミの部分に鼓膜があったんだろうか
    それにしてもなんとなくウン百年後の破滅した未来とかからやってきたウマ娘のような気がするんだよなお姉さま
    それは極端な与太としても“本物”の境地に至るものを増やすことで何かを成そうとしているような雰囲気はある

  • 331着をねらえ!25/06/22(日) 23:01:00

    「初勝利おめでとう、イリフネちゃん!」

    安物のクラッカーの拍子抜けする軽い破裂音と共に紙吹雪とリボンが空を舞う。せっかくの後輩の初勝利なのだからと簡単にでも用意したことが褐色肌の明るい絵がをからも見て取れる。こういうところはひょうきんでチームのムードメーカーなムーバレズハールらしいと言えるだろう。
    祝初勝利!の垂れ幕のある玄関口から最も遠い壁のすぐ下。宇宙レース用の機体の模型が飾られているテーブルで座すオオトリコーチは相も変わらずのグラサン姿で、浮ついた雰囲気に怒っているのか、どうなのかこの距離ではよくわからない。

    「イリフネ」

    「はっ、はい!」

    コーチが口を開くと場の空気がピンと張り詰める。伸ばした背筋から冷や汗が零れ落ちる。

    「まずはメイクデビューでの勝利、見事だった」

    「ありがとうございます」

    普段は厳しい言葉ばかりのコーチであるが、今日ばかりは素直なお褒めの言葉でほっと胸をなでおろす。

    「だが、これでようやくスタートラインだ。これからはより一層、ビシバシとしごいていく」

    もう十分にしごかれていると思うのです。そう思っても、イリフネはそれを口に出すことはなかった。もし口に出したら今日のノルマが2倍になりそうな嫌な予感がしたからである。

  • 341着をねらえ!25/06/22(日) 23:02:25

    「今、お前はジュニア級に登録されているというのは理解しているな?」

    「はい」

    ウマ娘のレースにはデビューした年からの経過年数で大きく分けて3つの段階に分かれる。
    まずURAに登録手続き(デビュー)をした年の12月31日までをジュニア級(期)と呼ぶ。この段階では出走できるレースは制限のないレースかジュニア級限定レースに限られ、多くのウマ娘はジュニア級限定のレースに比重を置いて出走する。レース経験の乏しさや体が完全に出来上がっていないことにより、後述する2段階に比べて迫力では少々劣るものの、フレッシュさの楽しめるレースが多く見られる。
    次にジュニア級を終えて翌1月1日から同年12月31日までをクラシック級(期)と呼び、所謂クラシック3冠、ティアラ3冠はここに位置している。この段階では制限フリーのレースとクラシック級限定レースに出走でき、ジュニア級に比べ本格化による能力値が上昇したことによるより力強いレースが特徴となる。
    そしてシニア級、ここはジュニア級、クラシック級の激戦を潜り抜けてきた猛者たちがさらなる高みを求め己の才能技能努力を競い合う、最もハイレベルなレースが展開されている。
    イリフネが登録されているのは現在ジュニア級であり、来年はクラシック級、再来年以降はシニア級の舞台で戦うことになる。勿論、そのためにはこれが多くのレースに挑戦し並み居る強敵を倒していかなくてはならない。

    「ジュニア級、そこでのお前の目標レースを発表する。──ホープフルステークスだ」

  • 35二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 07:17:06

    いよいよきたか
    …ヘブンリィブライトもお披露目か?

  • 36二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 16:29:00

    以前の設定案だとティアラ(牝馬)三冠まで無敗とのことだったけど、ホープフルで勝ってティアラ行くのウマ娘世界だとよほどなことが起こったと見える
    ウマ娘の場合人類な以上体力テストで初期適性は把握してそうだし……
    やはりヘブンリィブライトとの出会いによるものなのか

  • 371着をねらえ!25/06/23(月) 22:29:05

    ホープフルステークス、それは日本国内で開催されるGⅡレースで最も開催時期が遅く、そして最後のジュニア級GⅡレースである。ラジオたんば杯クラシックティアラステークスを前身とし、様々な名前を経て現在のレース名に落ち着いている。
    その歴史は意外に複雑であり、東西で事実上のレースの分断があった時代から存在した東と西で別々のチャンピオン路線を廃止し東西を統合しいくつかのレースの仕様変更がなされた。このレースもその一つであり、本来ティアラ路線を進むウマ娘たちが出走していたが、クラシック王道路線と合流が図られた結果、従来の距離1600メートルから2000メートルへと距離が延長された。
    その後も何度か改名がなされ現在のホープフルステークスの名前に落ち着いた。「希望に満ち溢れた」という名前の通り、1年の終わりにふさわしいレース名だと言えよう。

    「GⅡ、重賞レースへの挑戦…」

    ウマ娘が走るレースは様々な階級があるが、その中でも別格とされているのがグレード(G)制レースである。このレースに出走できるのはウマ娘全体でもほんの数パーセント。エリートばかりの集う中央レースにおいて、そのさらに上澄みの強者たちの世界なのだ。そこに挑戦することは全ウマ娘の目標であり、そこで教え子を勝たせることは全トレーナーの彼岸と言ってもいいだろう。

    「そうだ。メイクデビューを勝ち、今後挑むことになる大レース、その飛躍の第一歩としてイリフネ、お前にはこのホープフルステークスへと出走し勝たねばならない」

    勝つ、その言葉は重い。これからイリフネが挑む重賞レースはメイクデビューの時とは比べ物にならない強者たちとの戦いが待ち受けている。今のままで勝てるのだろうか、そんな不安がイリフネの胸中をよぎる

    「これからの過酷なレースを戦うため、お前にはもっと力が必要だ。強者と戦うための力──スキルが!」

  • 38二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 22:33:05

    この世界ではホープフルはG2なのか

  • 391着をねらえ!25/06/23(月) 22:47:28

    >>38

    実は時期的な問題でイリフネがデビューしたと推察できる2014年あたりのホープフルステークスはGⅡになったばかりなんです。G1になったのは2017年からですね

  • 40二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 23:12:42

    その辺国内はウマ娘のアプリ準拠かと思っていたので意外だ
    とはいえあえてその形にしてるからこその物事というものがありそうで楽しみ

  • 41二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 23:57:21

    このレスは削除されています

  • 421着をねらえ!25/06/24(火) 00:02:10

    ウマ娘には己の能力の他に戦うための力がもう一つある。それがスキルである。
    魂─ウマソウルに蓄積された経験から力を引き出し扱うこの力は昔からその傾向にある力を総称としていくつかの呼び名を与えていた。そしてそれはアグネスタキオンによるウマソウルの存在証明によって技術として確立し、今日に至ってウマ娘の必須技能として広く知られるようになっていた。
    勿論その概要や能力についてはある程度イリフネも勉強をしている。
    しかし、スキルの習得とは不可思議なものでウマ娘単体では習得が不可能なのだ。スキルの習得のためにはトレーナーの元で指導を受けている必要があり、そのトレーナーのヒラメキやウマ娘本人の経験の蓄積によって、“スキル“としてウマ娘のレースでの助けとなってくれるのだ。

    「ということは、私も遂にスキルを習得させてもらえるのですか⁉」

    これまでのイリフネはオオトリコーチの指導方針により、基礎トレーニングのみを積んでいたイリフネはスキルというものに触れる機会がなかった。スキルとはいわば現代ウマ娘レースの花形、ついにそれを習得できるとなれば気持ちが高揚しても仕方のないことであろう。

    「その前に、お前にはスキルを使った走り方を身をもって体感してもらう必要がある」

    そう言うとコーチの視線はソファーに座るムーバレズハールへと向けらる。その視線に気づいたムーバは立ち上がると、イリフネの前に立つ。二人の間、ムーバの大きな胸の分だけ空間が狭く感じる。
    いったいこれから何をするのだろうか、イリフネが疑問に思っているとムーバはそれまでのにこやかな顔から一転、キリっと真面目な表情を取る。

    「イリフネちゃん、レースしようか」

  • 43二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 09:04:09

    ドリームトロフィーとか極まったスキルの投げつけ合いが以前から主だっただろうからその辺がわかって来たこの時代はかなり盛り上がってそうだなあ
    ただ手札の切り合いを含む競技性に変貌したことで昔なら勝てた・勝てなかったウマ娘やトレーナーが時代に助けられたケースも散見されてそうだ

  • 44二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 15:26:41

    何のスキルだろう

  • 45二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 20:27:01

    >>39

    そういや武豊の平地G1完全制覇で最後に残ってるのがホープフルだったな

    昇格が遅かったからチャンス自体が少ないわけか

  • 46二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 01:07:56

    この時代のレース実況もプロレスみたいになってそうね
    最大18人のウマ娘に加え、そのウマ娘の使用するスキルに使用したかどうかの判断とか考えると、実況の難易度がすっごい高そう

  • 47二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 07:58:00

    固有スキルのことを考えるとスキルという世界法則の解明により領域(それにあえて入らないなどの応用も含む)が一般化したという話でもある気がするなこれ
    そう考えると自分の心の形さえ確立してしまえば、元々領域の、あるいはそう何度もそれに入れる器ではないウマ娘が当たり前に出入りしてしまえるそういう時代というわけか

    ……なんか″本物″とは何かのヒントがここにある気がするな
    元より自在に領域を出入りできるタマのようなウマ娘がこの時代に走る、心の形を作り上げてヒビノミライと対峙する
    それによって何かとんでもないことが待ち受けていそう
    それが更なるウマ娘の進化か、それともこの世界線やお姉さまの核心に関わることなのかはわからないが

  • 48二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 16:56:50

    >>46

    古舘みたいな名人芸実況をしてる人もいるかもな

  • 49二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 17:20:17

    >>46

    今発動したスキルはアレ、とか実況する側に目利きが要求されるの大変そう

  • 501着をねらえ!25/06/26(木) 00:00:51

    ムーバに連れられグラウンドに向かったイリフネはムーバとコーチが準備をしている間に準備運動をしながら体を温めていた。ゴール位置に立て看板が置かれ、体を伸ばしながらムーバがイリフネの待つスタート位置へとやってくる。
    二人とも体操服にブルマ姿、身長こそイリフネの方が高いが女性らしい柔らかさや膨らみ。曲線はムーバの方が優れていると言える。さらにムーバの左腕には腕輪のようなものが巻かれていた。

    「それなんなのです?」

    当然のように疑問に浮かぶ疑問を口に出すとムーバは得意げに笑い、それを掲げて見せる。

    「それは走ってからのお楽しみ♪」

    スタート位置へと着くムーバにけちんぼと心で思いながらイリフネもまたスタート位置へと着く。ゴール地点に立つコーチが白旗を準備し、スタートのタイミングをうかがっている。白旗が掲げられた瞬間がスタートである。二人ともそれを今か今かと待ち構えていた。

    「イリフネちゃん」

    そんな緊張の仲、ムーバが声をかけてくる。

    「本気でかかってきな」

    「…当然!」

    空気を切り裂き白旗が上空へと突き上げられる。
    同時にスタートしたイリフネとムーバレズハールの二人はわずかにイリフネを先頭に第一コーナーへと入っていく。今回のレースは1600メートル、グラウンド換算で1.9周、この距離はメイクデビューでイリフネが走った距離でもある。第一コーナー、第二コーナーを超えて現在は向正面の最終版、1周目の第三コーナーに入ろうかというところ。大きな動きはなく、依然としてイリフネがリードを握りその後ろにムーバが追従するという形であった。

    「(スキルの使い方を教えるって…それくらいなら授業でも習っているのです)」

    近年、ウマ娘の研究が発展したことにより“スキル”が体系化したというのは周知の事実であり、スキル発動時のウマ娘の外的変化についても研究が進んでいる。ウマ娘のスキルというのはつまるところウマソウルが経験等によって後天的に獲得した能力であり、その使用はウマ娘の意志の介在もあるがウマソウルが状況に応じて能力を発揮しているという側面も強く、使用した場合には特有のエフェクトが発生する。

  • 511着をねらえ!25/06/26(木) 00:02:20

    つまり、スキルというのは基本的にはレース状況に応じてウマソウルが獲得している能力を引き出して使うという1連のプロセスについた総称であり、自分の意志で「このスキルを使うぞ!」と念じることで使用するもの、ウマソウルによって常時発動しているもの、状況に応じて自動的に発動するものとその種類は多岐にわたる。この中でスキルを使用した走りとして最もメジャーなのが1番最初の例であり、レースをしながらスキルを使用するという思考をしなければならず、レースにより高度な技術が求められる要因ともなってしまっている。
    スキルを使用した走り方というのは現代のウマ娘レースのスタンダードとなっており、その使用方法や感覚は学生向けの教本にさえ記載されている。スキルを使った走り方の実演と聞いてもイリフネがあまりピンときていなかったのは、すでにそのやり方を知識として知っていたからである。イリフネがそう思うのも可笑しなことではなく、見て学ぶよりも実際にスキルを使用して使い方を覚えるというのが現在のトレーナー陣の共通見解であった。
    それはコーチとムーバが普通のトレーナーとウマ娘であればという話であるが。

    「そろそろ仕掛けさせてもらうよ」

    2人がスタート地点へと戻り、2週目に入ろうかというレース中盤、ここでムーバが仕掛ける。閃いた右手が左手に保持された“カード”を手に取り、そのまま勢いよく振りかぶる。

    「私は“手札”からスキルカード『ギアシフト』を発動!」

  • 52二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 08:24:22

    文字通り手札切ってて芝
    彼女の名前があからさまなので何かでカード出てきそうとは思ったが

  • 53二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 16:46:50

    >>25ではホープフルはGⅠレースにあたるって言ってたがこの設定との差異が鍵になるのかな

  • 541着をねらえ25/06/26(木) 21:49:34

    >>53

    いえ単純にこの時にイリフネの設定年代でホープフルステークスがG2なことを忘れていただけです。なんならムーバレズハールの一人称は「私」ではなくて「アタシ」です

  • 55二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 21:57:13

    特別な措置してるから何かあるのかと思いたくなるのは分かる
    ③せっかくならミスから出た真が出てきてもいいのよ

    あと一人称可能な限り分けようとしてるとこ好き

  • 561着をねらえ!25/06/26(木) 22:26:00

    「手札からスキルカード!?」

    イリフネの驚きも無理のないことであった。本来ならば、レース中に別の思考を発生させ効果を適用するスキルをマテリアルなカードにし、発動を高らかに宣言したのである。
    レース中のスキル発動を感知するため、レース場の掲示板と連動しウマ娘が発動したスキルを表示するシステムの面子が丸潰れである。
    困惑するイリフネをよそにムーバのターンは続く。

    「このスキルは自分のマイルレースの進行が中盤になった時に発動できる。その効果によりアタシは加速する!」

    手に持ったカードが砕け粒子となる。スキル発動を表す淡い光が一瞬、ムーバレズハールの体を包み溶け込んでいく。加速スキル「ギアシフト」の効果は短時間の加速効果。その光に押されるようにイリフネとの距離をジリジリと詰めていく。最初は1バ身あった差は1/2バ身、クビ差、アタマ差とイリフネの有利が削り取られ、ついに並び立つとこちらを見ることもなく前を行かれてしまった。
    なんとかしてリードを取り返さなくては。イリフネに焦りが募っていく。だがその焦りもムーバの読みの内であった。

    「リバースカードオープン!『トリック』!このスキルの効果はレース中盤で掛かったウマ娘のスタミナを奪う!」

    「なっ!」

    急に来る脱力感に食いしばった口から声が漏れ出る。掛かって途切れ途切れになっていた集中が完全に途切れ、一気にイリフネの走りから精彩さが失われていく。

    「レース中の焦りは禁物だぞ⭐︎」

    その一言を捨て台詞にムーバレズハールの姿がどんどんと遠くなる。
    後に残ったのはみっともない走りを晒し、汗を滝のように流すイリフネだけであった。

  • 57二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 22:28:18

    今回はムーバが決闘者だから身もふたもなくて笑うけど真面目にこういうノリの延長はレース描写上スキルの投げつけ合いを整理できて良いな……ってなる

  • 58二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 06:47:21

    アプリ版のレースもスキルの切り合いだものね

  • 59二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 15:14:24

    このレスは削除されています

  • 601着をねらえ!25/06/27(金) 15:23:23

    「ムーバ、強いでしょ?」

    ヒビノミライから受け取ったジャグを乾いた体へと流し込む。
    汗で体操服がピッタリと肌に吸い付き、ジャグから放出された水が喉を通過するたびに慎ましい膨らみの上下しているのがありありと分かる。
    母や妹たちに比べるとやや胸周りのボリュームに欠けるが、それでも女性らしさを主張するには十分であろう。

    「はい、とっても強かったのです」

    息が整ってきたイリフネのその言葉にヒビノミライは微笑みで返す。

    「ふふ、だってムーバ」

    そのまま振り返ると、ムーバレズハールの方へと向く。褒められて気恥ずかしいのか、ムーバは頭をポリポリとかくとにへらと笑う。

    「アタシよりもミライの方が強いでしょ」

    「でもムーバの輝きはムーバにしか生み出せない。研磨された光」

    このヒビノミライというウマ娘、見た目のミステリアスさから、クールであったり孤高の存在的なイメージを持たれがちである。だが実際の彼女は驚くほどフレンドリーで、真っ直ぐ目を見て人を褒め、ご飯もたくさん食べる。言動は少しばかり不思議ちゃんだが、どこまでも真っ直ぐな性格をしている。あまりにも真っ直ぐすぎて接しているこっちが気恥ずかしくなるほどだ。
    コーチが言う「本物のウマ娘」とはこういう人徳的なところも関係しているのだろうか、照れ笑いするムーバと微笑むヒビノミライを見てイリフネはそんな風に考えた。

  • 611着をねらえ!25/06/27(金) 20:51:56

    「これがスキルを使うウマ娘の戦い方だ」

    いつのまにやら隣にいたオオトリコーチに驚愕の叫びが出そうになり思わず口を押える。このコーチ、いくらなんでも神出鬼没すぎる。

    「実際にスキルを使われてどう感じた?」

    スキルというのは現代のウマ娘レースとは切っても切り離せないものだ。
    仮に能力が同じもの同士がレースをした場合、どれだけそのレースに対して有用なスキルを所持しているか、どれだけスキルを使いこなせるか、この2点で勝敗が決することも少なくない。能力が劣っていようと、強力なスキルを所持していれば格上相手にジャイアントキリングの可能性だってある。それほどまでにスキルという概念の明文化というのはレースそのもののあり方、セオリーさえも変えてしまったのだ。
    そしてそれを実際に体感し、イリフネ自身その強力無比な力と使用していない者、している者、その差を身をもって知った。

    「スキル無しでこの先のレースを戦っていくのは無理だと感じました」

    イリフネの返答にコーチは少しばかり沈黙すると、わざとらしく息を吸い込む。

    「40点だ」

  • 62二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 21:40:59

    このレスは削除されています

  • 631着をねらえ!25/06/27(金) 21:43:13

    スキルの習得にはいくつかの過程を踏む必要がある。
    まず前提としてスキルというのはウマ娘の経験や研鑽、才能等を分かりやすく括り体系化させたものである。そのため、1人のウマ娘が獲得することができるスキルにはある程度の傾向があり、例えばマイルを主戦場に走る逃げウマ娘ならばマイル関連や逃げに関するスキルを獲得しやすい傾向にあり、長距離が主戦場ならば長距離関連を、さらには気候、レース場に関するスキルも存在し各ウマ娘のスキル構成は十人十色である。
    そしてスキルとは例外はあれどほとんどの場合、ウマ娘単独では獲得することができず、指導関係にあるトレーナーとの関りによってスキルとして確固たるものとなる。これは一説によれば、古代文明においてウマ娘がヒトミミの集団で生活する際に群れでの己の存在価値を示すとともに、力の増加をヒトミミ依存にすることによりヒトミミの群れの集団に属することを強要し、ウマ娘という単一の性別しか存在しない種を存続するための生存本能とも言われている。
    このように、ウマ娘が強くなるにはトレーナーの存在が必要不可欠なのだ。もっとも、時たま、レースとは全く違うところで得た天啓のヒラメキをトレーニングに適用し、本来であればそのウマ娘の経験からはたどり着くことがなかったスキルを習得させるトレーナーもいるのだが。

    「というわけで、ウマ娘がスキルを獲得するにはトレーナーとの信頼関係が必要ってことは分かった?」

    丸眼鏡をクイツと持ち上げ女教師スタイルのムーバレズハールはホワイトボードに描かれたイラストと文字を右端までたどり終えると、伸縮式の指示棒を胸元へとしまってしまう。彼女の肉感的な体に押し上げられ、黒のタイトスカートとシャツを押し上げ布地がパツパツと音を立てている。仄かにいかがわしさが漂う。

    「な、なんとなくは。でも、トレーナーさんとの信頼って具体的にはどんな感じを言うのですか?」

    「うーん、それはひとによるからなぁ…アタシは結構仲良くなるの早いタイプだったし、ミライは…ね?…あ、そうだ」

    机に着くイリフネにムーバがグイッと身を乗り出す。シャツに包まれているというのに胸元だけが開けられ、深く長い谷間に誰もが目を奪われるだろう。彼女の大きな胸が机の天板に乗っかりそうだ。

  • 641着をねらえ!25/06/27(金) 21:44:36

    「イリフネちゃんさ、まだコーチのことちょっと苦手でしょ?」

    「へ?あ、いや、そんなことある…かもしれないのです」

    「そんな委縮しなくても大丈夫だよ。コーチの雰囲気が怖いのはその通りだからさ。本当は結構優しい人なんだけどね」

    確かにイリフネにコーチに対する苦手意識がないかと言えばそれは嘘になる。彼女の知っている大人の男性というのはみんな優しくてにこやかな人たちだった。それに対してコーチはいつもサングラスをつけ、仏頂面で声色も低く威圧感がある。イリフネがこれまでの人生であまり対峙したことのないタイプであった。

    「スキルを覚えるのも大切だけど、まずはコーチと仲良くなるのが先決かな。コーチ、今いいですか?」

    ムーバの呼びかけにパソコンで事務仕事に勤しんでいたコーチがひょっこりと顔を出す。

    「どうした?」

    「今度のお休みに親睦を深める懇親会がてら“あそこ”行きませんか?」

    「…わかった。当日の日程はムーバ、お前が決めておけ」

    そう言うと再び事務仕事に戻る。

    「あの、“あそこ”ってどこなのです?」

    「ヒ☆ミ☆ツ」

    いたずらっぽく笑うムーバにもしかしたらとんでもないところに連れていかれるのではないかと冷や汗が流れるイリフネであった。

  • 65二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 00:06:22

    あ、これ育成シナリオにおけるムーブを置き換えてるのか
    ウマソウルしんじつに踏み込んだ結果、アプリ版に寄って行くのは必然だったか

  • 66二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 00:38:43

    ところどころに差し込まれるオッパイ描写

  • 67二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 09:44:17

    >>66

    いいだろ? 前スレからの伝統みたいなもんだぜ?

  • 68二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 09:46:12

    >>66

    おっぱいは大事だからね

  • 691着をねらえ!25/06/28(土) 10:32:41

    イリフネ'sメモ⑤
    「有質量投影立体幻像」「決闘疾走腕輪」

    かつて存在した超高性能VRマシン「VRウマレーター」その高度な技術をモーメント技術と融合し発展させたのが質量を持った映像を投影する「有質量投影立体幻像(ソリッドヴィジョン)」である。主にエンターテイメントショー等のイベントで多く用いられており、元の技術はVR(仮想現実)であるが性質はAR(拡張現実)に近い。

    そんな有質量投影立体幻像をスキルの使用に応用しているのがムーバレズハールの身につけるリング状の「決闘疾走腕輪(デュエルリング)」である。これは内部の小型モーメント動力からエネルギーを供給し、スキルをカードとして実体化させているものである。所持しているスキルを山札とし、初期手札は5枚。モーメントの出力がある一定のラインを超えるたびにドローを行うことができる。スキルの使用サポート装備であるが、要求される最低スキル量が膨大であること、使用できるスキルはランダムであること、ドローしない限り使用できるスキルは初期手札のスキルのみとなるため、誰も彼もがこれを使えばいいという話ではない。モーメントが前に進もうとする意思に強く反応する性質上、心が折れたり諦めの感情がそれを上回るとモーメントの出力が低下しドローもスキル行使もできなくなってしまうのだ。

    走れないウマ娘にターンは回ってこない。

  • 70二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 18:53:04

    保守

  • 71二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 20:31:38

    >内部の小型モーメント動力

    つまり、ウマ娘のパワーでぎっちぎちに巻き上げたゼンマイ?

  • 721着をねらえ!25/06/28(土) 22:07:07

    人々が頭の上の空に憧れを抱き幾星霜、つい最近青空へと飛び出し始めたばかりというのに人々の憧れは留まるどころか加速していき上昇軌道でついには青空という天蓋の向こう側、遥かなる大宇宙へと羽ばたきだす時間となっていた。
    地球周回軌道上にはいくつものステーションが建築され、人型作業重機「マシーン」が日夜労働に精を出している。宇宙旅行はかつての海外旅行のような身近さになるまで普及し、ラグランジュポイントには大企業のデータセンターや無重力工場が建築・運用されており宇宙は人間にとって新たな生活の場となり始めていた。さらに近年では亜高速試験船の実験航海が行われ、太陽系の外側まで人類がその足を延ばす時代もそう遠くはないだろう。

    そんな大宇宙開拓時代にて地球から宇宙への玄関口となる大型宇宙ステーション、その中でも日本が建造した1級地球軌道上拠点「アマハラ」には休日ということもあって多くの人々が訪れ、ひっきりなしに宇宙船が入港と出港を繰り返し、ここがオゾンよりも上だということを忘れてしまいそうになるほどの活気に満ち溢れていた。

    「すごい!すごい!すごいのです!!」

    活気すさまじい宇宙港入港ゲート付近のガラス張りの大型窓からの景色にイリフネは感激の声をあげぴょんこぴょんこと跳ね回っていた。

    「楽しい?」

    コツコツと足音を立て、窓の向こうの景色に夢中になるイリフネの隣にヒビノミライが並ぶ。宇宙港といえど無秩序な無重力が支配しているわけではない。ステーションの各ブロックごとに疑似重力発生装置が設けられており、ヒビノミライがローファーの靴底を鳴らすことができているのだ。

    「もッちろんなのです!!私宇宙に来るのは初めてでここから見える景色全てが初めてのことばかり…あっ!あれはトルロ社製の軽量マシーンにテム・テック製のRXシリーズ!あそこにはシノハラの警察用マシーンもいるのです!!」

    何を隠そう、イリフネの大好きなものの一つがこういったマシーンであり、筋金入りのマシーンオタクなのだ。彼女の私室には所狭しとマシーンのフィギュアや解説書、ポスターが飾られ、勉強するスペースでさえ趣味のコレクションに圧迫されている状況なのだ。
    それゆえ、今目の前に広がる光景は彼女にとって垂涎ものであり、オタクとしてのリビドーが留まるところを知らないのだ。

  • 731着をねらえ!25/06/28(土) 22:08:41

    「下も見てごらん」

    袖口を引っ張り、恍惚から現実へとイリフネを引き戻したヒビノミライはそういうとガラス窓の下の方を見るように促してくる。彼女の指先の動線に従い目を向ければそこには足元いっぱいに広がる『青』。本の小一時間前までイリフネ立ちのいた地球が今は彼女たちの足元にあった。

    「地球って、本当に青いんだ」

    人類で初めて地球を足元から見下ろした宇宙飛行士は地球を『青』と呼んだ。そして今日、宇宙進出が当たり前の時代になった現代においても地球はあの宇宙飛行士と同じ感動を人々に与えてくれる。

    「この星は本当に美しい。氷、炎、無限の地平、星の形は様々だけどこの水の星以上に美しい星はない」

    イリフネにはこころなしかいつもよりもヒビノミライの瞳が輝いているように見えた。それはきっと勘違いなのではなく、彼女にとってこの星こそ宇宙に幾億とある星の中でも最も素晴らしいものだと感じられるのだろう。それは、人々が空を見上げる瞳によく似ているように思える。

    「こんなにきれいな景色、皆にも見せてあげたかったのです」

    「妹さんたち?」

    こくりと頷く。
    イリフネ達にはたくさんの妹たちがいる。みんな可愛くて目に全員入れても痛くないほどに大好きな存在だ。そんな妹たちも昨日までのイリフネ同様に宇宙に来たことはない。
    というのも、宇宙に行くためのシャトルにはいくつかの制限があり、小さな子供や妊婦は搭乗を拒否されるのがほとんどである。イリフネの妹たちは幼い子も多く、さらに両親はいまだ夫婦熱が冷めやらず、毎年春頃になると家族の人数が一人増えるので宇宙とはあまり縁のない家庭であった。それが嫌ということは1ナノメートルも思っていないが、自分一人だけがこんなにきれいな景色を見てしまうのはなんだか申し訳ない気持ちが湧いてくる。

    「焦らず、いつか見に来ればいい。星はいつだってあなた達のためにある」

    その言葉にイリフネも力強く返事をする。そう、今は無理でも未来には家族全員で宇宙に遊びに行ける日がきっと来る。それまでに観光名所を押さえておかないと、とお姉ちゃんに燃えるイリフネであった。

  • 74二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 06:31:05

    >>毎年春頃になると家族の人数が一人増える

    イリフネちゃんがトレセンに入るまで毎年ってなると、ママはざっと人生の3分の1を妊婦の状態で過ごしてる計算になるんだよな

    母は強しの究極系だ

  • 75二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 11:24:04

    プロの妊婦…

  • 76二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 20:08:43

    >>75

    これもう子育て業界のご意見番でしょ

  • 77二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 22:54:44

    わりと宇宙が身近な技術レベルなんだな

  • 78二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 07:25:50

    ウマ娘の世界、フルダイブ型VRが普及し、ST-2のような工学技術も発達してるから、およそ10年後これぐらい発達してる下地はあるんだよな

  • 791着をねらえ!25/06/30(月) 16:34:39

    「二人とも、こっちこっち!」

    ガラス窓の向こうの景色に目を奪われていたイリフネであったが、ムーバの呼ぶ声で名残惜しみつつも窓のそばを離れる。
    ムーバに先導され、彼女たちはほかの多くの人間が商業施設に繋がっているメインストリートからは外れた個人向けの倉庫が多く存在する区画へとやってきていた。明かりこそついているが、通路は簡素であり、等間隔で並ぶドアと時折壁に貼られたポスター程度しか目を動かして追うような物もない。いくつかの扉を通りすごし、とあるの扉の前で足を止めた。
    扉の前のプレートには『ケイジ-7』と書かれており、扉の向こうの景色を想起させるようなポスターの一枚、ペイントや落書きの1つさえもない簡素な鉄扉であった。

    「ここが目的地なのです?」

    今日は懇親会と聞いてやってきたイリフネはとても懇親会の会場とは思えない扉に若干の戸惑いを感じていた。懇親会と言えばみんなでご飯を食べたりカラオケをしたりなどありきたりな娯楽を楽しむものだという一般常識的考え方のイリフネは宇宙に行くと言われた際、大宇宙の景色を見ながらのご飯などと空想を浮かべていたが、現実として目の前には重々しい扉が一枚。しかもイリフネ達以外に人の気配もない。
    もしかしたら自分はとんでもないところに来てしまったのではないか、そんな心細い気持ちが顔を出してくる。

    「そうだよ、鍵は開いているはずだから入って入って♪」

    躊躇しているイリフネ肩を掴みムーバがぐいぐい通してくる。余計に何か怪しいものなんじゃないかと抵抗を試みるが、現役シニア級ウマ娘にジュニア級のニュービーが敵う筈もなくなく、自動で開いた鉄扉の向こうについに押し出されてしまった。

    「(びっくり箱は勘弁なのです~!)」

    恐る恐る目を開ける。
    目の前に舌を出して煽ってくるピエロがいなかったことに安堵するイリフネであったが、すぐに目の前の光景に圧倒されることとなる。

    白いメインカラーに赤とオレンジの差し色。天井の光に照らされ、下から仰ぎ見るイリフネをすっぽりと影に落としてしまうほどの巨体。各部の他とは色味が違う箇所にはかつてステッカーが大量に張られていたことが見れる。そして何よりも美しく、それでいて力強さも感じられる洗練されたデザイン。

    「これって…レース用の宇宙船!」

  • 801着をねらえ!25/06/30(月) 17:57:48

    「その通りだ」

    機体の美しさに見惚れていると機体上部から声が聞こえ、上を見上げる。そこにいたのはコーチであった。コーチは機体の各部位を起用に乗り継ぎ、イリフネ達の立つケージの床へと着地する。懇親会の日であっても時間管理に厳しいコーチはわざとらしく腕をまくって時計を見、その後にチーム3人がそろっているのを確認する。

    「時間通りだ。体調不良の者はいるか」

    「みんな元気そのもの、アタシ含めて無重力酔いは1人もいないです」

    無重力酔いというのは人が訓練なしで宇宙に行けるようになったことによって民間人を中心に発症するようになった車酔いに代表される乗り物酔いの一種であり、重力環境からいきなり無重力環境になることによって三半規管および平衡感覚に認識とのずれが生じることによって脳が情報に混乱することによって吐き気や倦怠感といった体調不良が発生する。
    また、宇宙という特殊な空間に対しての心理的恐怖によっても起こることが多く、市販されている無重力酔い止め剤(通称:宇宙船用酔い止め)では前者のみにしか対応できないものがほとんどであり、後者の精神的問題が原因の場合については個人で医療機関に受信し処方箋を出してもらう必要がある。

    「ここに新しいお客さんが来るのも久しぶりだね」

    「確かに、アタシが最後か?今度は見る側で楽しませてもらうわ」

    「イリフネ、お前の分のスーツは用意してある。ミライ、ムーバ、着替えを手伝ってやれ」

    「スーツ…?」

    自分のあずかり知らぬところで会話が進み何のことやら分からないイリフネは流れてくる単語をオウム返しするほかなく、自分が中心になっていることは分かるのだが、自分が何をしなくてはならないのか良くわかっていなかった。

    「あの、スーツとかお客さんとかよくわかってないのですが、もしかしてこれに乗るってことなのです?」

    まさかそんなことはないだろうなと思いながら聞いた質問であるが、そんなイリフネの考えとは反対にコーチは力強く頷いた。

    「そうだ、出るぞ。宇宙へ」

  • 81二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 18:11:03

    ニュータイプじゃないけど宇宙空間の影響によって地球では目覚め得なかった領域の扉を見つけるウマ娘とかもいそうだよなあ
    あとは空間認識能力から長じたスキルや適性の上方影響とかもありそうなので宇宙合宿コースとかもこの時代の夏は選べたりして

  • 82二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 00:14:28

    この時代のウマ娘がアプリ版になった場合はきっとあるんだろうな、宇宙シナリオ

  • 83二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 07:21:38

    スケールが大きすぎるから感じづらいけど、宇宙空間にいること自体が超高速で移動していることだから、速さを体感するという点においてはこの上ない環境なんだよな

  • 84二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 15:16:01

    宇宙レースの描写が気になる

  • 85二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 20:57:29

    >>82

    コスモピュエラ編か

  • 861着をねらえ!25/07/01(火) 22:19:33

    女子更衣室、それは男子禁制の秘密の花園。

    「んっ…あっ…」

    女子更衣室、それは男たちが夢見る理想郷─エデン─

    「ちょっ…これやばっ…」

    女子更衣室、それは────

    「これマルチサイズ対応の吸着型宇宙服なのです‼」

    女子の安息地─セーフティーゾーン─

    先輩二人に案内された更衣室に用意されていたパイロットスーツ。それはどんな体型の人間でも瞬間的にサイズを合わせてくれるユニバーサル規格の真空吸着式パイロットスーツであった。これは非使用時にはぶかぶかの大型宇宙服のような状態であるが、これを着たうえでスーツの手首にあるボタンを押すことでスーツ内の余分な空気が排出され、装着者の体にぴったりに調整されるという代物だ。宇宙服としての機能も一級品であり、宇宙線への防御にも優れている。
    慣れれば一人で着ることも可能なのだが、今回イリフネは初着用ということで手伝いに2人がついてきたというわけである。

    「それにしてもアンタ、本当にきれいな体してるわね。これでつい最近デビューしたばかりなんて信じらんない」

    「ム、ムーバ先輩、そんなにみられるとなんだか恥ずかしいのです」

    この宇宙服は他の多くの宇宙服とは異なりインナーすら着用せず素肌にそのまま着用するスタイルになっている。そのため、一度服を脱がなくてはならないのだが、イリフネの脱衣姿を先輩2人がガン見しており、特にムーバに関しては着替え中に肌がどうとか腹筋が綺麗に割れてるとかセクハラまがいのことを言ってくるので、人前で着替えをするのはさほどやぶさかではないタイプのイリフネも流石に少しばかりは羞恥を感じてしまう。

    「来年には背中に鬼が出てきそうじゃない?」

    「来年のことを話すと鬼が笑うらしい」

    「お姉さま?」

    実際にイリフネの肉体はこの時期のウマ娘の平均から見るとかなり仕上がっており、無駄な肉のついていない肢体、程よく割れ目が影を付ける腹筋、確かな力を感じさせる太い足(ふともも)とそれに説得力を持たせる大きな臀部と競技ウマ娘としては理想的な肉体と言えよう。もっとも、本人としてはもう少しお肉がついてほしい部分があるのではあるが……

  • 871着をねらえ!25/07/01(火) 23:27:24

    さて、なんだかんだとありながらイリフネの手がもう片方の腕の手首にあるスイッチを梳かむところまで来ていた。
    シュコッと空気の抜ける音と共に瞬間的にスーツがイリフネの体へと密着する。手を閉じたり開いたりするごとに宇宙服の素材特有のギュムッという音を立てる。宇宙服と言えばこの時代になってもまだ少々のやぼったさが残っており、着用して動く際にもいくつかの制約と動かしにくさが残ってしまうものであった。しかしこのスーツには全くといってそんなことはなく、スーツが自分の体の延長線上であるかのように稼働に対しての制限と言えるものがなく、吸密着式といっても張り付くような嫌悪感を感じることもない、その着心地にイリフネは感動していた。

    「滅茶苦茶似合ってるよイリフネちゃん。ミライもそう思わない?」

    「マ子にも衣装。とっても素敵」

    イリフネの宇宙服姿は先輩2人にも好評なようである。
    その場でポーズを取ったり、くるくると回ったりするイリフネ。やがて、更衣室の姿鏡の前へと来ると今一度、己の恰好を見る。
    スーツの特性上、ボディラインが激しく出てしまっているが両親から貰った自慢の体である。人に見せて恥ずかしい姿でないことはイリフネが自負するところであり、そこに関して不満など微塵もない。しかしてイリフネには疑問に思うことがあった。
    この宇宙服、その利便性と構造故、お値段はかなりの額となる。具体的には一般的宇宙服に比べると桁が2つ3つほど高くなる。それに1着作るのにもそれなりの時間を要し、シンプルながらもデザイン性にまで凝っているところを見る限りこれの作成に使用された時間はかなりのものだと言えるだろう。とても昨日今日で決まった懇親会に間に合うようなものではない。そうなると、元々あった物ということになるが、これは明らかに女物でありコーチが普段使いしているわけではないだろう。

    「これって、本当は誰のスーツなのです?」

    当然、行きつく答えは誰かのおさがりであるという線だ。
    別におさがりなことが嫌なわけではない。もし、この服の元々の持ち主がコーチの知り合いの女性なのだとしたらそれを自分が着てしまって本当にいいのか、そんな思いがイリフネの胸をよぎる。

  • 881着をねらえ!25/07/01(火) 23:46:49

    「それはね…」

    イリフネの質問に答えようとしたムーバが視線を俯かせる。やはり、これはコーチの知り合いの女性のもので、そしてムーバの態度からきっとあまりよくないことが起こったのだろう。イリフネの中の疑念が確信へと変わり始める。

    「その宇宙服はあの人の…」

    「イリフネちゃん、どんな理由があってもその宇宙服を脱がないって約束できる?」

    口を閉ざしたムーバに代わりミライが答えようとするが、それをムーバの手が遮った。
    その言葉、その裏に隠されているだろう意味を想像しプレッシャーのようなものが両肩を押さえつける。聞いたら後悔するだろうなというなんとなくの直感が警鐘を鳴らすがここまで来て引き下がれるわけもなく、彼女の頭は縦に振られる。

    「ありがとう、イリフネちゃんならしてくれるって思ってた。いい?その宇宙服はね…」

    一呼吸、その躊躇いの瞬間に緊張が走る。

    「コーチの昔のチームメイトさんが作ったレースクイーン用なの」

    「…へ?」

    素っ頓狂な声が出た。理解が遅れた。一瞬脳が思考を放棄した。

    「ムーバ、なんでもったいぶっていたの?」

    「いや~イリフネちゃんが変な勘違いしてたし、ちょっと揶揄っちゃおうかな~って」

    なんという鬼畜、なんという外道。イリフネという心優しい少女の純情の勘違いは悪い先輩に翻弄され、羞恥という槍となり心を突き刺す。

    「こ、こんなの…こんなのあんまりなのですー!!」

    飛び出していった乙女心は止まることを知らず、残されたのはバツの悪そうな褐色巨乳と何を考えているのか分からないミステリアスガールであった。

  • 89二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 06:51:58

    受け継がれるぴっちりスーツの系譜
    この姿をぜひとも、地上で勤務してるパパに見せてあげたいわね

  • 90二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 12:43:27

    いい性格してやがる

  • 91二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 12:48:24

    スキンタイト宇宙服と言えばロケットガール

  • 92二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 22:20:03

    イリフネちゃんかわいい

  • 93二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 22:21:03
  • 94二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 07:21:16

    このレスは削除されています

  • 951着をねらえ!25/07/03(木) 12:37:48

    純情をもてあそばれたピチピチスーツの乙女は、無機質な鋼鉄製の通路で体を床へと押し付ける1Gの重力にスーツの靴底を鳴らし反抗する。
    もはや目的地などないが、それでも彼女の中に燃える羞恥が足を止めることはない。
    本心では今すぐに更衣室へと戻りたいが、飛び出して行ってしまった手前、ノコノコと戻るには10代の少女の純情は安いものではなく、適当にぶらついて浪費した時間が火照った頬の熱を冷ましてくれることを待つほかないだろう。
    そうしてぶつくさ文句を呟いているうちに知らない場所へときてしまっていた。幸いなことに今来た道は一本道であり、戻ることは難しくはない。しかし足取りが重い。飛び出してきた時の速度から考えるとさして離れているわけではないはずなのだが、女子更衣室がある場所まで戻ろうと思うと途端に歩幅が小さくなるのだ。まるで新潟の1000メートル直線である。
    しかし、この後のことを考えると戻らないわけにもいかない。決心して羞恥に耐えながら歩を進めていると消費電力を抑えるために少し薄暗い通路に1条の明かりがさしていた。近づいてみれば通路側面にあるいくつかの扉のうちの1つが半開きとなり中から明かりが漏れているようであった。自分たち以外の人間はいないと思っていたが誰かいるのであろうか。気になる。

    勝手にそういうことをするのはまずいとは思いつつ、好奇心に負けその扉の隙間から向う側を覗いてしまう。
    部屋の中の物品は先ほどまでイリフネがいた更衣室とそう変わらないように思える。そうなるとここはもう1つの更衣室であろうか。並べられたロッカーの前で動く影が1つ、背は高く細身だが筋肉質な背中を見るに男性だろうか。雑誌で見るようなイケメンのモデルさんのような体である。
    ごわごわとした服を着こんだと思えば、シュコッという音と共に男の体に密着しスマートな体型が露になる。イリフネが着ている宇宙服と同じ機構であった。男が自分のスーツのフィッテングを確認するため、ロッカーにつけられた鏡の正面に立ったことで男の横顔が見える。艶のある黒髪に堀の深い造形の顔、シャワーを浴びてきたのだろうかその表情はしっとりと愁いを帯びていて、何よりも優しい目をしていた。
    イリフネの好みドストライクの顔であった。

  • 961着をねらえ!25/07/03(木) 13:28:53

    彼女がその美丈夫に見惚れていると、身支度の終わった男が扉の方へと近づいてくる。最初はほけ~っとしていたが、男と扉の距離が近づくたびにどうしようどうしようと慌てふためき始めた。しかし、初動の遅れは致命的であり、ついに開かれた扉、その前でイリフネは頭を抱えて冷や汗を流した姿で男と対面することになってしまうのであった。

    「あ、いや、この、あのですね!」

    なんとかして言い訳を考えなくてはと淡淡とするイリフネ。見上げる姿勢となり、余計に見惚れてしまう。そんな彼女を見て男は一言呟く。

    「ここで何をしている、イリフネ」

    その声をイリフネは知っていた。それゆえ、声を出す前に困惑が頭を支配してしまった。

    「どうした?」

    なぜならその声の主、優しい目の美丈夫は──コーチだったのだから。

  • 971着をねらえ!25/07/03(木) 13:31:16

    「あっ!こんなとこにいた」

    イリフネが目の前の現実に衝撃を受けていると、彼女を追いかけてきた先輩2人がやってきた。長いこと帰ってこないイリフネを心配していたのだろう、イリフネを見つけると安堵の笑みを浮かべていた。

    「先に行って機体のチェックをしてくる。ミライ、イリフネにヘルメットの付け方を教えてやってくれ」

    そう言うとコーチはその場を後にする。振り返りざま、彼の優しい目元にはいつものサングラスがかけられていた。男子更衣室の扉の前には残された女子生徒3人。

    「ごめんイリフネちゃん、さっきのはやりすぎた!」

    頭を下げるムーバ、しかしイリフネからの反応はない。よっぽど怒っているのだろうか、恐る恐る顔を上げるとイリフネはまっすぐ前を向いていた。ちょうどコーチが歩いて行った方である。
    ミライがイリフネの目の前で手を振るが反応を返すことはない。

    「心ここに在らずみたい」

    「一体何見たのさ…」

    そのままにしておくわけにはいかず、結局ズルズルと引きずられるように更衣室へと戻るイリフネであった。

  • 98二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 21:34:38

    このコーチどんな見た目にも化けられそう

  • 99二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 07:16:42

    うーん。思春期の乙女にとってこのコーチの存在は劇薬ですわ
    これは三角関係の予感

  • 100二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 16:34:40

    コーチの顔が愁いを帯びるようなことがやっぱり過去あってのトレーナー転身なんだろうか
    中央ライセンスの取得が東大入試より難しいことから旧時代の宇宙飛行士並みの出来を求められる説は度々上がるけど、このコーチは並みというか元そのもの(時代を鑑みても相当優秀な部類に見える)だしなあ

  • 1011着をねらえ!25/07/04(金) 22:10:24

    『システム・チェック_現在98%完了』

    機体のAIが出港に向けて機体各部の数値を計測し、goサインまでのシークバーも残りあと僅かである。
    コックピットでは大小さまざまなスイッチやダイヤルをコーチがいじっており、彼の股の間にイリフネが長身の背を縮こませ、ちょこんと座っていた。ヘルメットのせいで頭を動かしにくいが僅かに首を回して視界の端にその姿を捉えると、いつものサングラス姿のコーチ。
    先ほどの優しい目は黒の遮光フィルムの向こう側へと消え、その面影を探すことは非常に困難だ。

    「イリフネ、舌はしまっておけ、噛む。」

    やがてすべての準備が終わり、コックピットのモニターが待機を示す白から発信可能を示す緑へと表示色が切り替わる。コックピットの真横のフレームから延びる形の操縦桿をコーチが力強く握りしめれば、スーツと剛性皮素材のグリップの摩擦音が何とも心地いい。
    出発前のコーチの警告に従い、惚けていた口を閉じ舌をしまい込む。行儀よく座り直すとコーチと触れあっている太ももから尻にかけての部分が、コーチの足に二―グリップされる形となっていて、その締め付けに何とも言えない感情がこみあげてくる。
    発進直前だというのに頬が火照ってしまっているイリフネの顔に開いた扉から差し込む光がかかる。思わず目をつむり少しづつ開いていく。

    『Forth Gate Open、Forth Gate Open』

    扉が開き切ると発進ルートを示すように床と天井に仕込まれたリレー発光が扉の向こうの宇宙空間へと導く。側面の壁から展開されたシグナルが発進の青を刻めば捻ったアクセルグリップに合わせ、機体のエンジンが唸りを上げる。

    「セリザワ、出る!」

    「えっ、セリザワってレーサーのッ!?」

    コーチの口から飛び出たその言葉にイリフネが反応するよりも前に飛び出した宇宙船による後ろ向きの力は容赦なく彼女の体を後ろ側へと引っ張り、女の子らしくないつぶれたカエルのような断末魔が喉から漏れる。

  • 1021着をねらえ!25/07/04(金) 23:11:44

    人の作り出した英知の結晶であるレース用宇宙船──所謂高速飛宙艇と呼ばれるものは宇宙空間という大気などの速度を妨げる障害がなくなったこと、フィールドが後代になったことにより、発展した科学によって作り出されたモンスターエンジンからすさまじいスピードを発揮する。大きなアフターバーナーを備えた機体などはその軌跡に彗星や流星のような尾が発生し、地上から観測できることもある。まさしく、人類の作り出した黒鉄の流星たちである。
    そんな彼らは凄まじいスピードから生まれる強烈なGに耐えるために過酷なトレーニングで対G訓練に日々勤しんでいる。現在、宇宙で活躍しているレーサーのほとんどが男性である。肉体的に男性よりも優れているウマ娘がこうした宇宙レースにあまり出ないのは、彼らが種族として大地と密接にかかわっており、宇宙空間ではそのポテンシャルを十分に発揮できなくなるのが問題ではないかという研究もある。それを証明するように、宇宙開発が盛んとなった現在でも宇宙空間でのウマ娘の出生例というのは存在していない。

    イリフネは今、自分の体感したことのない速度にさらされていた。秒速約15キロの圧倒的加速。減G装置が全力で稼働してもなお、見えざる壁に押しつぶされるような圧迫感に息が詰まる。自分の足で走っていて感じることのないほどの重圧と、魂が置いて行かれそうになるほどのスピード。普通なら泣き言の一つ、涙の一粒でも零れそうなものであるが、はたしてイリフネはむしろ“笑っていた”。
    それは高揚感に似た何かであった。全身に感じる圧、それは最初見えざる壁としてただ無機質に押しつぶそうという力でしかなかった。だがしかし、体が速度に順応しようとしてくるとこの息苦しさは別の感覚へと変わる。
    それは『風』であった。全力疾走した時、大気を切り裂き自身の体を撫でていくあの風の感覚。必死になって力強く空気を吸い込む鼻孔を通って少し鉄臭い匂いのするあの風そのもの。何もないはずの宇宙空間、密閉され電子機器の明かりがヘルメットに反射するこの場所にあってスピードは風となりイリフネに教えてくれる。その心地よさ、その魔性を。

  • 1031着をねらえ!25/07/04(金) 23:21:10

    「キツくないか、無理そうなら何でもいい俺の体を叩いてでも教えろ」

    久しぶりの愛機の感触を確かめるコーチは未知の重圧に耐える教え子に心配の言葉をかける。普段厳しいトレーニングを課し、今もこうして速度の地平に新たなものを見せるために宙を飛んでいるが、彼女はあくまで預かりもの。安全が損なわれることをコーチは是としていない。
    そんなコーチの心配の言葉とは裏腹に先ほどまで加速で押し付けられた体をコーチに預けていたイリフネは振り返ると笑ってみせる。

    「もっと風を感じたい…です」

    (「速度を上げて、もっと風の中にいたい」)

    脳裏によみがえる懐かしい光景が目の前の教え子に重なり、コーチの口角が思わず上がる。

    「緊張しすぎだ、力を抜いてもっともたれかかれ。その方が風が気持ちいぞ」

    アクセルグリップの解放に合わせエンジンがさらに唸りを上げ、速度メーターの数値が加速していく。地球の衛星軌道上を流星が駆け抜けていく。体を押す力は増しているはずなのに、高揚感とアドレナリンがそれらを快楽へと変えていく。
    引き延ばされていく思考、速度の増加がやけにゆっくりと見える。全身を駆け巡る酸素原子その一つ一つの感覚までをも感じ取れそうなほどに感覚は透き通りシャープになり、チカチカと閃光にも似た宇宙空間を漂う塵が太陽光を反射した反射光が体を通り抜けていくような不思議な感覚を感じる。

    「これが宇宙パイロット、コーチが見ていた世界…」

    時速60キロで駆けまわる少女は、今日この日、宙の上で自身の速度の新たな地平を見るのだった。

  • 104二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 23:28:11

    人間重機ウマ娘まさかの欠点
    とは言え宇宙の環境とそこにある速さの地平が彼女らに進化をもたらす可能性を秘めているのも確かそうだ
    この時代からさらに進んで明らかに宇宙を走っている感じがあるコスモピュエラとのミッシングリンクって感じがするなこの辺は

  • 105二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 23:59:46

    宇宙じゃ走れないからなぁ

  • 106二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 00:46:22

    反対に言うとコスモピュエラ時代はそこが宇宙走娘と言う字面からして覆ってるんだよね
    一体どんな技術革新やウマ娘の進化があったのやら……

  • 107二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 08:27:29

    コーチ…やっぱ熱い人だ

  • 108二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 17:20:33
  • 1091着をねらえ!25/07/05(土) 22:28:04

    エンジンが穏やかな吐息を吐き、巡航速度で地球表面を撫でる船のコックピットでは穏やかな時間が流れていた。チーム部屋でもよく流れているクラシック音楽が非日常な無重力の海の上で日常を感じさせてくれる。
    振り返ればそれぞれのヘルメット越しに見えるグラサン姿のコーチの姿。いつもは少し怖かったその姿だが、今のイリフネは知っている。そのサングラスの下には優しい目があることを。

    「どうした、何かあったか」

    外の景色よりも首を回して自分の方を見る教え子に何かあったのではと問いかけるコーチ。しかし当のイリフネは首を横に振る。体調不良ではなさそうだ。

    「コーチはどうしていつもサングラスをしているのです?」

    思いもよらない質問に思わず黙ってしまう。自分にとっては当たり前であったこのサングラスもイリフネという少女にとっては物珍しく映るのだろう。そういえば、このサングラスについては特に話したことがなかったことに今更ながら気づいた。

    「その昔、ある人にこんなことを言われた。なんでも、“お前の目はレーサーにしては優しすぎる”だそうだ。このサングラスはその時にその人から貰ったものだ。帽子は男の目元の冷たさを、サングラスは優しさを隠すための物というのがその人の教えだった」

    懐かしそうに話すコーチ。ずっと優しい目のままでいいのに、その言葉がイリフネの口からこぼれることはなかった。ただ、冷たさの裏に隠された優しさに気づき、なんだか心の距離が近づいたように感じ、預けた背からほんの少しばかり力が抜ける。

    赤道沿いに進んでいた船は間もなく中東方面を抜けようかというところ。いまだ夜の中にある地表からまっすぐに伸びる一筋の光。広大な宇宙において灯台のように輝くその光にイリフネは目を奪われる。

    「このあたりはポールライトが見えるころだな」

    ポールライト、それはアフリカ大陸~中東地域間に発生する一条の光のことである。その名前の通り光の柱であり、その頂点で十字の光が輝いている。発生地点の正確な位置は今でもはっきりとしておらず、虹のような現象なのではないかという学説もある。地上からでも観測することができるが、大気圏上で見るのがもっとも綺麗にポールライトを見る方法だろう。

  • 1101着をねらえ!25/07/05(土) 22:29:07

    記録の上では遥か太古からその存在が確認されており、神話や聖書の世界にもよく登場している。だが、だれもがこの光を見られるわけではない。このポールライトという不思議な現象はウマ娘のみしか観測することができないのだ。神話や聖書においてこの現象について記述があるのはウマ娘とヒトミミがはるか昔から共存関係にあり、その影響の大きさを推し量る歴史的な資料にもなっている。また、ウマ娘のみしか見られないという特徴から近年で築かれたウマソウル理論から、この現象は別世界からこちら側の世界にウマソウルが渡ってくるときの道になっている。なんてトンチキな学説もある。

    「どうだ、見えるか?」

    「はい!すっごくキレイなのです!」

    「そうか…やはり、綺麗なんだな」

    宇宙に飛び出していったヒトミミの中にはポールライトを見てみたいと願う者が少なくない。太古の文献から絵や壁画として描かれてきたそれは常人では見ることができない。しかし、ウマ娘のようにスピードと風の中で生きる彼女たちと同じ速度の地平に立てたのならあるいは、そう考える宇宙レースの関係者も多い。しかし、未だにその光に到達したものは少なく、コーチもまた悔し気にイリフネの見つめる先にある宇宙空間に光を見ようと目を細めるが何も見ることはできない。

    「お前の目にはポールライトはどのように見える?」

    「光が、十字から光が大地に落っこちていってるのです」

    イリフネの瞳に映るポールライトは光の連続体であった。先端部の十字の輝きから絶えず光が降り注ぎ、その流れが一纏めになり柱のような姿を取っている。まるであの十字星の向こう側から光があふれ出しているようだった。

    「ミライと同じ答えだな」

    その声は優しく、どこか安堵が含まれているようにイリフネには思えた。

  • 1111着をねらえ!25/07/05(土) 22:30:15

    「イリフネ、お前に強くなるためのヒントを教える」

    「本当なのですか!?」

    興奮気味のイリフネに深く頷き答えるコーチ。強くなるためのヒント、つまりそれはスキルだろうか。加速系?回復系?いったいどんなスキルなのかワクワクが止まらない。

    「飛ばすぞ、舌を噛むな」

    いきなり全開になったアクセルによってエンジンがけたたましいサウンドを奏で、速度のメーターが振り切れる。すさまじい加速がイリフネの体をコーチの体へと押し付け、浮きかけた彼女の体をコーチの太ももが挟み込む二―グリップの形を取り、イリフネの大きなおしりと太ももが外力を受けて柔らかく歪む。
    船はポールライトのある方向に向けて全速力で加速していく。遠目で見えていた光がどんどんと近づき、視界いっぱいに光の柱が広がっていく。このままではぶつかる!と冷や汗と走馬灯が流れかけたその時、体の芯がふわりと浮かぶような感覚がイリフネを放物線状に押して、いつのまにやらポールライトを越して赤道のラインへと戻っていた。
    今の感覚は一体なんだったのかと呆然としているとコーチが口を開く。

    「今のは重力ターン(グラヴィティ・ターン)だ」

    「重力…ターン?」

    「地球の重力を利用した高効率かつ最速の回避及びターン運動。それが重力ターンだ。…昔取った杵柄だ」

    そう言って、コーチはなんだかいつもよりも得意げに語るのだった。

  • 112二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 03:43:14

    ヒビノミライは未来人の類かとも思ってたが話を読む限りだとそれよりはむしろ最初初の宇宙走娘、すなわち宇宙生まれのウマ娘って線が濃そうな感じするなあ
    もしそうだとしたらその願いは今はまだ大地にしか行かないウマソウルの光を宇宙に拡散させることだったりするのだろうか

    あとはヒトミミにあるウマ娘との共生による絆の力がポールライト視認の鍵っぽくも感じるね
    トレーナーと選手が己の限界をかけたさらにその先に二人共がこれを見ることのできる速度の境地がありそう
    今はまだそれや限界を超えた頂はもちろん限界値も遠いけど、何か感覚の共有じみた現象がスピードの世界の最果てがさらにその向こうにありそうだ

  • 113二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 09:09:20

    「領域」とも関係あるかも

  • 114二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 09:11:48

    毎日書いてて偉い
    もっと毎時毎秒書いて♡

  • 115二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 18:33:12

    >>108

    中島みゆきの曲の方か

  • 1161着をねらえ!25/07/06(日) 22:10:30

    最後にコーチの得意技を見せてもらい、2人は帰路の航路をたどっていた。
    もう少しばかりコーチと一緒に宙を飛んでいたい気持ちはあるが、いつまでも先輩2人を待たせるわけにもいかない。近づいてくるアマハラの牽引用誘導ライトに名残惜しい気持ちが募っていく。
    格納庫に着陸し、機体から降りるとき、支え先導してくれるコーチになんだか体の芯がポカポカとしてなんだか頬が熱くなる。まだ青い地球やポールライトを見たこと、あの速度を体感したことで興奮が冷めやらないのかもしれない。とにかく、コーチに何かお礼の言葉をとイリフネが何か言うよりも先にコーチは迎えに来たヒビノミライの元へと駆けて行ってしまう。

    「久しぶりの宇宙はどうだった?」

    「まだ、少しばかり名残惜しい」

    お姉さまと話すコーチはとても楽しそうで、二人の楽しげな雰囲気にこちらも頬が緩む。でもなぜだろう、心がズキリと痛むのは。この湧き上がる気持ちは何なのだろう。

    胸をぎゅっと掴みしゅんとした顔のイリフネ。そんな彼女にムーバレズハールが背後から抱き着いてくる。身長170cmのイリフネに対してムーバの身長は161cm、寄りかかるように抱き着き、ムーバの吐息がちょうどイリフネのうなじを撫でる。

    「初めての宇宙はどうだったかなイリフネちゃ~ん」

    ワシャワシャと撫でまわされるイリフネの口から、なんとも情けない声が漏れる。幸福感をつかさどるセロトニンが分泌され直前まで抱いていたちくちくとした感覚など無かったかのようにへろへろと170cmの体を支える足の力が抜けていく。

    「実はさ、ここのステーションにさ有名なカフェがあるんだけど…どう?みんなで行かない?」

    「カフェ⁉行きたいのです!」

    女学生はカフェという言葉にはめっぽう弱い。しかも来たことのない場所の有名なカフェともなれば目を輝かせるのも無理もない話であろう。
    すっかりカフェに浮かれて先ほどまでのことなど記憶の片隅にもないようなイリフネを見て、ムーバはどこか複雑そうな笑みを浮かべるのであった。

  • 117二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 06:45:05

    ところどころいろんなオマージュを感じられるのすこ
    某スレでの紹介もトップ2意識されてて良き

  • 118二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 13:51:06

    自分が未履修作品のネタを見逃してると思うと惜しい

  • 119二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 23:05:28

    >>117

    基本のオマージュ先はトップ2だけどコーチは無印のほうの要素だしな

  • 1201着をねらえ!25/07/07(月) 23:31:12

    イリフネ'sメモ⑥
    「我が家の家系図」

    曽祖父母世代:父方の曽祖父母は未だ健在。今日も府中の街で地元民と学生に人気の食堂を経営中。料理は曽祖父、接客は曽祖母の担当。

    祖母世代:仲のいいおばあちゃん's。母方の祖母は今はそこそこ名のある小説家、父方の祖母は児童支援をしている。祖父は両方おらず、父方の祖父は病気により死去、母方の祖父は母が生まれる前に母方の祖母を置いて蒸発。

    親世代:世界一幸せな夫婦。出会った頃から数えるともう30年以上の付き合い。そろそろアラフォーのはずだが2人とも若々しく多分今後も子供が増える。父がマッスルになるたびに絵面の犯罪度合いが増していくので繁殖家なんて呼ばれることも…あったりなかったり
    ちなみに、女性の方の満足度が高いと女の子が生まれやすいらしい

    子(現役)世代:将来的に19人になる大姉妹。全員がレースで活躍し、後に歴史に名を残す名ウマ娘も多い。姉妹仲も良く、よくくっ付いて眠っているところを発見される。

  • 121二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 01:02:06

    横に長いなw

  • 122二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 06:44:41

    後宮でもあるのか? って具合の子孫繫栄っぷり

  • 123二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 12:28:16

    これ見て改めてみんなで産駒考えてた頃を思い返しても最初と最後が一番強烈なのダイス神の存在を感じる

  • 124二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 21:37:25

    >>120

    中世貴族シミュレーターだったら分割相続対策で頭を抱えるレベルに横に広くて芝3200

  • 125二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 06:51:46

    仮に毎年生んでいるとするとペイバイゴールドまで生まれているのか
    母親と同時出産になるSSがあったが……ここから……!?

  • 126二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 15:10:34

    このレスは削除されています

  • 127二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 22:51:48

    イリフネちゃんは今高等部だから、すぐ下の妹たちはもうトレセン学園に入っていてもおかしくないね

  • 128二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 07:32:10

    >>127

    順調から4女レガシーホーネットまで入学か

    パパも学園にいるし、トレセン学園内でも名物家族になっていそうだな

  • 129二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 09:32:20

    最初は大家族だなぁ程度に見られていたのに、毎年途切れずに一人ずつ入学してくるので途中から畏怖の眼差しで見られる(元)少年

  • 130二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 10:15:36

    レース場のチケットの倍率が現実の2025年現在とほぼ同じだとして
    家族でイリフネのG1レースを現地で見ようとして関係者枠で家族分の席を確保したら
    URA「一人から関係者枠で十数人分の申請だと?転売カッコラー!スッゾコラー!」
    URA「アッハイ、全員トレーナーさんの家族ですのでもんだいありません」
    みたいな事がありそうだよね

  • 131二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 18:52:21

    全員OPクラス以上とかほんま恐ろしいな

  • 132二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 22:59:55

    >>131

    いいだろ? 国際保護馬名待ったなしだぜ? ついでに顕彰馬も視野に入ってくるぞ

  • 133二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 07:31:55

    顕彰馬入りの理由は十中八九繁殖成績だろうけど
    地味にキンペイパイ自身もG1馬なんだよな…

  • 134二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 07:56:06

    しかも半世紀以上ぶりの春天牝馬(他にもGI勝利複数あり)というおまけ付きだったりする
    繁殖成績プラスこれだと確かにありそうだ

  • 135二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 10:13:46

    競走馬キンペイバイ時空のウイポだと現代スタートでしれっとキンペイバイ牝系が確立してそう

  • 136二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 19:48:29

    >>130

    家族で上の階から見える一部屋確保できそう

  • 1371着をねらえ!25/07/11(金) 20:57:44

    イリフネ'sメモ⑦
    「宇宙レース」

    地上から上空へ約400〜500kmの宇宙で行われる宇宙艇での白熱したレース。現実のF1やカーレースに近く、アマチュアクラスを潜り抜けた一握りの者だけがプロの世界で戦うことができる。
    宇宙艇はレース用の高性能モーメントとブースターが取り付けられており、各機体が様々な特殊機能を内蔵している。
    とにかく宇宙空間を時速数千〜数万キロで駆ける圧倒的速度感が売りで、現代ではウマ娘レースと並び人々の娯楽の一つとなっている。共産企業も多く、有名プロチームの機体はプラモデルや玩具としても売られている。
    毎年多くの宇宙レースが開催されているが、中でもとりわけ有名なのが「テラ50000」と呼ばれる地球を2周して約50000マイルの距離を飛ぶレースであり、毎年多くのチームが参加しては数々の伝説やエピソードが生まれている。
    とりわけ、アマチュアから成り上がった無名のレースチームが羽ばたかせたオンボロの不死鳥はパイロットであった「サコミズ」の名と共に今でもレースファンの間では語り草である。

    ────────
    (お知らせ)
    現在、スレ主の方が大変忙しく執筆はおろか掲示板に顔を出すこともできないので来週の中頃くらいまで更新できません。応援してくれる方々には大変申し訳ございませんが、少しばかりお待ちください。

  • 138二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 21:06:39

    わかりました〜
    スレ主さん最近とても暑いのでお身体にお気をつけて

  • 139二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 21:08:00

    いつまでも待ってます
    忙しい中連絡くれてありがとう

  • 140二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 00:22:49

    お疲れ様です。こうやって顔を見せてくれるのもありがたいからね

    しかし地球2週レースかぁ。ISSは地球を90分で1周しているらしいから、レースとなるとそれよりも遥かに早い時間で地球一周するんだろうな

  • 141二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 10:10:03

    >>137

    お疲れ様です…

  • 142二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 10:21:52

    スレは保守するので、まずは健康第一でやって頂ければと

  • 143二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 17:31:51

    保守

  • 144二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 23:18:27

    宇宙レースという圧倒的スピード感の競争娯楽が生まれたにも関わらず、それとタメを張り続けられてるウマ娘レースもまた凄いんよね
    でも文字通り「遠い場所での出来事」の宇宙レースと違い、レース場で目の前で繰り広げられるウマ娘レースでは需要も違うんだろうし、棲み分けはできてるのかな

    そういや、前シリーズにF1レーサーと結婚した同期の子がいたような……?

  • 145二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 23:33:51

    この二つが人類の営みが本格的に宇宙規模となりウマソウルの在り方も何かのきっかけで変化した結果実質合体(と言っても多分ウマ娘レースとカーレースくらいの差異に収まるとは思う)したのがウマ娘が宇宙を走るコスモピュエラ時代って感じなんだろうな
    後者の鍵をヒビノミライが握っていそうだがさて

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