【閲覧注意】Fluorite【見たらダメだよ】

  • 1グラ担佑芽P◆WsV5Czf1Hs25/06/22(日) 15:19:46

    今回はちょっと趣向を変えてみます。
    麻央のPSSRがセミブルーしかなくてかなり解像度低いと思うんだけど、その辺りは許してください。
    あとこれ何回も言ってるけどさ、マジで見ないほうがいいよ、本当に。
    では以下本文
    ──────────

     例えば気が付くと目で追ってしまっているような。
     例えばふとしたときに顔や声を思い出してしまうような。
     例えば偶然触れた指先が、いつまでもジンジン熱くなっているような。
     自分の胸の中を手探ったときに見つけた小さなホタル石の感触を、ボクは忘れることはないだろう。
     例えその宝石が、夢の芥(あくた)に過ぎなかったとしても──。

  • 2葛城リーリヤ25/06/22(日) 15:26:11

    でましたね

  • 3グラ担佑芽P◆WsV5Czf1Hs25/06/22(日) 15:33:15

     カレンダーを読み違えたように季節外れの陽射しをおろす太陽への恨み節もそろそろ底をつき始めた九月の終わり。ショッピングモールでのミニライブを終えたボクは、プロデューサーと二人で学園への帰途を歩いていた。

    「今年は秋が遠いですね、プロデューサー」
    「そうですね。例年残暑が長くなっているような気がします」
    「残暑と言うと少し風流に思えますが、これは異常気象ですよ。来週には十月になるっていうのに三十五度なんて、聞いたことありません」

     プロデューサーは まったくです、と言いながら汗でへばりついたワイシャツをパタパタと煽ぐ。チラリとのぞく鎖骨の、虫刺されの痕をなぞる様に汗が流れて、ボクの心臓はドキリと跳ねた。
     ……これを無自覚でやっているんだから恐ろしい。まさか他の女の子にもそんな無防備な姿、見せたりしていないよね?

    「麻央さん、コンビニに寄りましょうか。アイス無しで寮に辿り着く自信がありません」
    「いいですね、賛成です」
    「よし、それでは早速行きましょう。身体中の水分が蒸発する前に」

     プロデューサーはそう言って目の前のコンビニに走り出す。
     普段はとても大人で冷静で頼りになるプロデューサーが時折見せる子供っぽさ。この魅力を知っているのは世界でボクだけなんだという小さな優越感が、今のボクの心の支えになっている事実。それがたまらなく嬉しいんだ。

  • 4グラ担佑芽P◆WsV5Czf1Hs25/06/22(日) 15:53:23

     ボクはあの日、H.I.F.で優勝を逃した。三年生のボクにとって、それは例えるなら甲子園のようなもので、負けたらアイドルを辞めるつもりで臨んだ舞台だった。
     甲子園なら砂を持って帰ることができるけど、ステージはそうはいかない。代わりに残るのは、「もっと」「あのとき」「ああだったら」という後悔ばかりだ。
     けれどプロデューサーはボクに大切なものをくれた。
     それはたった一言。一秒数えるうちに言い終わってしまうくらいの短い言葉だったけれど、ボクの心に光を与えた。
     卒業後のことはわからないけれど、せめて初星の生徒でいる間は、アイドルを続けようと、ボクに未来を見せてくれた。
     この感情を説明するのはフェルマーの最終定理より複雑だけど、言葉に表すのはたった一文字で済む。
     ──これは"恋"だ。

  • 5グラ担佑芽P◆WsV5Czf1Hs25/06/22(日) 16:34:11

     あの日胸に宿った小さなフローライトを、ボクは大切に育ててきた。自分らしいニュアンスで、大切に、大切に。
     やがてその結晶は大きくなり、胸を埋め尽くし、とうとう心の器に収まりきらなくなったそれは、言葉となって体の外に溢れ出た。

    「あの、プロデューサー」
    「なんでしょう」
    「次のオフ、ボクと……。ボクとデート、してくれませんか」

    「……そうですね。ぜひ、行きましょうか」

  • 6グラ担佑芽P◆WsV5Czf1Hs25/06/22(日) 17:08:20

     胸の高鳴りが抑えられなかった。子供の頃、初めて飛行船を見たときのように、ワクワクが止まらなくて、思わず足がステップする。
     ときめきが弾ける予感に胸を膨らませながらレッスンに向かう道中、ボクは莉波と二人でいるプロデューサーを見かけた。階段の踊り場で、まるで恋人の逢瀬のような雰囲気を纏っていた二人をみて、さっきまで浮ついていたボクの足は一瞬で地面に楔を打たれたように固まった。

    「Pくん、浮気はダメだよ?」
    「そんなんじゃないよ。麻央さんのメンタル管理の一環なんだ」
    「それならいいけど……きっと麻央、Pくんのことただのプロデューサーとしては見てないよ」
    「考えすぎだって。心配しなくても、俺が好きなのは莉波だけだから」
    「信じるからね?」

     そこから先のことは覚えていない。どうやってレッスン室に向かったのか。トレーナーからの指導にどう返事したのか、プロデューサーとどんな会話をしたのか。なにもわからなかったけど、気が付けばデートの日がやってきていた。

  • 7グラ担佑芽P◆WsV5Czf1Hs25/06/22(日) 17:34:34

     水族館へ行った。ショッピングモールに買い物に行った。
     手を繋ぐわけでもない。名前を呼び合うわけでもない。ただとアイドルとプロデューサーとしてのお出かけ。
     大きな魚を見て輝かせる少年の瞳も、大きくてゴツゴツした手も、大人の余裕が垣間見える気遣いも、鎖骨の虫刺されも──。
     ボクだけのものだと思っていたその全ては、本当は莉波のもので、ボクはそのおこぼれを拾っていただけ。
     黒い炎が胸に燻って、ボクの胸の宝石を少しずつ焼いていく。
     けれどそれは、燃やし尽くすにはあまりに大きくなりすぎていて。
     ああ、いっそ灰になって消えてくれたらどんなに良かったか。
     肥大したそれは黒く濁った重たい石として、ボクの胸に残り続けるんだ。

  • 8グラ担佑芽P◆WsV5Czf1Hs25/06/22(日) 17:50:03

    「麻央さん。楽しくありませんでしたか?」

     帰り道、プロデューサーがそんなことを聞いてきた。
     そうして初めて気付く。ボクが今日、ほとんど笑えていなかったことに。
     ああ、ダメだな、ボクは。今ボクを見つめる心配そうな眼差しの奥にも、莉波の影がチラついて、胸がチリチリ焦げ付いていくんだ。
     こんなに好きなのに、ずっと一緒にいたいのに。キミの全てが莉波のものだと思うと、堪らなく苦しくなる。
     気が付くとボクは、プロデューサーの言葉に返事もしないまま踵を返して歩き出していた。

    「麻央さん、危ない──!」

     
    「え──」

  • 9グラ担佑芽P◆WsV5Czf1Hs25/06/22(日) 18:03:26

    「よ、良かった。間に合いましたね」
    「プ、プロデューサー……?」

     あれ? どうなってるんだろう?
     帰ろうとして、横から車が突っ込んでくるのが見えて、誰かに腕を引っ張られて──そして今、プロデューサーの胸の中……?

    「麻央さんにもしものことがあったら、俺は生きていられなくなります。本当に、気をつけてください」

     いつもより少し強い口調で、でも表情はすごく優しくて、心からそう思ってくれているんだと伝わってくる。
     きっとその瞳にあてられたからだろう。暗く濁ったフロウライトの上澄みが、ポロリと口からこぼれ落ちた。

    「──好きです」
    「は、はい?」
    「ボクは、ボクはキミが好きです」

     プロデューサーは目を丸くした。本当に気付いていなかったんだね。バカなプロデューサー。

    「す、すみません。俺は」

     知ってます。

    「付き合っている人がいるので」

     知ってます。

    「麻央さんの気持ちは嬉しいですが、それに応えることはできません」

     全部、知ってます。

     町が赤と黄色に染まる十月の折、ボクの恋は風に散る紅葉よりも儚く消えていった。

  • 10二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 18:07:31

    まあまだいつもよりはまぁ…

  • 11グラ担佑芽P◆WsV5Czf1Hs25/06/22(日) 18:12:05

     何気なくつけたテレビには、華やかな衣装を着た莉波が自身の主演するドラマの番宣をしていた。
     高校を卒業してすぐ、莉波とプロデューサーは交際を公に宣言した。
     後からバレて問題になるくらいなら、最初から全てオープンにしてしまおう。それで批判されるなら、潔く引退してしまおう。
     そんな並々ならぬ覚悟のもと二人は夢の舞台に降り立ち、世間公認のカップルとして受け入れられている。
     正直、眩しかった。もしボクがプロデューサーに選ばれていたとして、同じ決断ができただろうか。
     キミのために、たくさんの夢を捨てる可能性を、厭わずにいられただろうか。
     手首に刻まれた無数の傷を見ながら、淡い初恋の季節を思い出す。
     画面越しに輝く莉波を見ながら、ボクは今日も右手のカミソリを手首にあてがっている。
     普段と違うのは、浴槽に水が張られていること。両親とプロデューサーに向けた手紙を認(したた)めてあること。睡眠薬を、飲んでいること。
     つー。赤い筋が腕を滴る。全てを失って空っぽになったボクの、唯一"生"を実感する瞬間。
     浴槽に腕をひたす。赤色が広がっていく。心地よい眠気に誘われる。
     ボクはゆっくり、目を閉じた──。


    おわり。

  • 12グラ担佑芽P◆WsV5Czf1Hs25/06/22(日) 18:13:43

    いや、ごめん。

    俺が曇ってるわ今。

  • 13葛城リーリヤ25/06/22(日) 18:14:40

    ちょっと今はよくない空気が流れています。無理せず休んでください!

  • 14二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 18:23:49

    >>12

    ゆっくりやすんで

    おれは全員分の曇らせ見るまではしねないからさ

  • 15二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 18:27:13

    >>12

    まあ、あのスレだろうな…

    正直二次創作なんて割り切るしかないんだからメンタル持ち直して頑張ってくれ。佑芽のSSでもいるか?

  • 16二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 18:28:24

    >>15

    いる……。

    ください。

  • 17二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 18:30:49

    >>16

    だってさ!!!

    みんな、書いてくれるよな!!!

  • 18二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 18:34:41

    >>12

    流石に曇らせ書き続けて参ってきたか?

  • 19二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 18:35:16
  • 20二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 18:39:28

    とは言いつつもこれからも書くんですけどね……。

    コテハンはしょっちゅう消し忘れるし、言われてみれば確かにちょっと痛いからやめるわ!

    佑芽SSはよろしくおねがいします!

  • 21◆WsV5Czf1Hs25/06/22(日) 19:14:10

    自スレではトリップだけつけとく



    dice1d12=2 (2)

    重複は+1


    dice1d2=2 (2)

    1☁️

    2☀️

  • 22二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 19:16:28

    千奈ちゃんだけ晴れるの草
    いやまあ割と別のとこで曇ってはいたけども

  • 23◆WsV5Czf1Hs25/06/22(日) 20:08:18

    >>19

    待ってる♡

  • 24二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 20:25:44

    おうふ…
    今までよりかはまだダメージ低いがそれでもしんどい
    ただ晴れるのかー今までも晴れてなかったからずっと晴れない方が嬉しかったな

  • 25◆WsV5Czf1Hs25/06/22(日) 20:27:50

    >>24

    ☀️は今消化してきました。


    色々賛否両論あるのは承知の上なんで、全員分は書き切ります。


    でも俺が書いてるのは曇らせじゃないんだ。


    見ないほうがいいやつっていうジャンルなんだっ……!

  • 26二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 20:32:18

    ちゃんといつも見てるぞ

  • 27二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 20:37:18

    ☀で見ないほうがいいやつis何…?

  • 28二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 20:38:34

    >>25

    見てきた

    千奈ちゃんはこういうのでいいんだよこういうので


    で、この後に見た人のメンタルをどん底に落とすってわけだ

    本当に素晴らしいよ

スレッドは6/23 06:38頃に落ちます

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