【オリキャラ・SS・🎲】五泉ラクルのミラクル逃走

  • 1五泉ラクル25/06/25(水) 01:39:33

    《注意》

    このSSはオリキャラが五人登場する、かなり独自色強めの作品です。

    キャラ設定に関して気になる方は、以下のスレまとめをチェック!

    以上を踏まえ、それでも読んでくれる優しい人は、

    ミラクルdice1d5000=923 (923)  していってね!


    ミラクルdice1d5000完成するまで食べられません | Writening「ミラクルdice1d5000完成するまで食べられません」のスレまとめだぞ 編集用パスワードは「みらくる5000」だ 事の発端の初代スレ https://bbs.animanch.com/board/5179914/ スレ2 https://bbs.animanch.com/bo…writening.net
  • 2五泉ラクル25/06/25(水) 01:41:29

    《賽を振れ》

    《賽を振れ》

    《賽を振るのだ、何度でも》


    誰かの頭の中で、そう木霊する。


    ミラクルdice1d5000=3854 (3854)


    《少女よ、ベツサイダを思い出せ。彼は何かを求めたか》

    《少女よ、あの丘を思い出せ。銀貨200枚は支払われたか》

    《少女達よ、思い出せ。5000人が食べたあの丘を》


    誰かが呟く、自身の無力を。


    ミラクルdice1d5000=2960 (2960)


    《賽を振れ、灯りを絶やす事なく》

    《賽を振れ、お前の人生を削り振れ》

    《賽を振れ、例え人が離れていこうと》


    少女は、確かにそう聞いた。


    《賽を振れ、(五泉ラク)ル》

    《その身に奇跡を宿すのだ》


    ミラクルdice1d5000=413 (413)

  • 3五泉ラクル25/06/25(水) 01:42:36

    「んむ…」

    自分のヘイローが点る音がする。いつの間にか寝てしまっていたらしい。
    シンとした大部屋に無数に置かれる長椅子、その一つに私は座っている。

    「ここ…あれ?」

    寝ぼけ眼で辺りを見渡せば、パイプオルガンとステンドグラス。トリニティの聖歌隊室だとはすぐに分かった。
    でも何故だろう、私の見知っているその部屋と違う気がした。
    もっとこう、貧相な…。徐々に明るくなる意識の中で、これが夢ではない事に気付く。
    焦点を合わせ見てみれば、ここは私の知る部屋じゃない。細部に所々差異がある。

    「誰か…誰か…!」

    人気を求めて立ち上がるが、誰もいない。
    ふらふらと長椅子の間を彷徨うも、誰もいない。
    一人は嫌だった。一人は嫌いだった。

    「誰か…私を…!」

    見つけて欲しい、そう声に出そうとした時。

    『……〜♪』
    「っ…?」

    歌が聞こえる。小さな声で。
    讃歌が聞こえる。楽器の音は聞こえないのに。
    何も分からないまま、どこかも分からない場所で、誰のものか分からない讃美歌が聞こえる。それでも、思ってしまった。

    「たのしそう…」

  • 4五泉ラクル25/06/25(水) 01:43:39

    『〜〜〜♪』

    歌声はさっきより少し大きくなった。顔も見ていないが、よく分かる。あぁ、この歌が好きなんだなと。

    「…!」

    音の在り処を目で追うも、どこにも人の気配がない。
    だが分かる。この音は蓄音機のものだとか、そういうんじゃない。きっと、人がいる。
    目を閉じて、音を辿った。誰もいない聖歌隊室のその最前列へ、近付いていく。
    やがて私はパイプオルガンの前まで辿り着く。歌声は確かに大きくなっていた。

    『〜〜〜♪……?』

    しかし、歌は途中で途切れてしまった。私の長い長い髪が地面に擦れる音も再び聞こえだす。

    「ぁ…」

    掠れた様な、小さな声しか私の内から出てこなかった。今まで遠くから聞いていた讃歌より遥かに小さな声。
    私は、いつも見つけてもらえない。だからいつも一人ぼっちだ。
    せめてこんな知らない場所なら、一人くらい、盲人でも構わないから案内して欲しいのに。

    「まあいっか…外に出れば…」

    瞼を開けて振り返る。既に西日であろう陽が射す正面扉を視界に収めた、いや収めようとしたその時だった。
    私の視界は先程まで居なかった人物の輪郭を捉える。

    いや、みんなが思う程遠くじゃなくて、真後ろに。

    『ばぁーーっ!』
    「うぇぁあっっ?!な、何ですか…!」

  • 5五泉ラクル25/06/25(水) 01:44:44

    『ビックリした?ビックリした?!』
    「ビックリしましたよ…!」
    『やったぁ!』

    見れば私より若干小柄な修道服を着た少女が、私を驚かせた事に機嫌を良くしている。
    …なんか気分悪いなぁ、折角渇望してた初エンカウントなのに。
    いや、盲人まで望んだ私の言える事ではないか。切り替えて、彼女の容姿を見た。
    この間5秒の間に向こうはずっとこちらを見て笑っているので、そのシスター服の傍をつまんで指で擦る。布が上等で柔らかい。
    そしてふと気付く。あれ、この子の声、歌ってた子かな?

    「ねえ、貴女もしかして歌ってた子?」
    『うん!サンクトゥス、大好きなの!』

    あの歌はそういう名前なのね。私のいた場所では聞いた事がなかった。色々な返答が思いついたけど、どことなく全てこの子にかけるには正しくない気がした。

    『んね、君名前は?』
    「名前?五泉ラクルよ、初めまして」
    『イチはイチ、黒埼イチ!イッちゃんで良いからね!』

    彼女はそう言うとまた無邪気に笑っていた。何となくその髪を撫でると『ひゃー!』っとリアクションしてくれた。

  • 6五泉ラクル25/06/25(水) 01:45:47

    『イチね、最近聖歌隊に入れたの!頑張ったの!』
    「それは…おめでとうございます」
    『えっへへ』

    笑顔が絶えない子だなと思っていたら、なるほど聖歌隊。じゃあこの建物の所在も説明してもらえるだろうか?シスター服を見た時からずっと考えていた事だった。
    …でも無理かもなあ、些か印象が無垢すぎる。きっぱり”分かんない!”と断られても「そっかあ…」と返す自信がある。今だってさっきの歌の冒頭を楽しそうに口ずさんでいる。
    …いや、やっぱ聞かない手はない。地元民なんだから道案内くらい出来るでしょう!

    「あの、私実は迷子なんですけど…」
    『〜〜♪…っえ、そうだったの?!』
    「ここがどこか分からないんです。家に帰りたくて…」
    『まっかせて!まずここはね〜…』

    良かった、杞憂だったらしい。そうだ、言動は幼いけど大体同い年の生徒なんだよね。ワザとらしくぽんぽん腰を叩きながら扉を指差す彼女に着いていく。その時、クゥとお腹の音がした。
    同時に黒埼さんも立ち止まってしまった。

    「あの、あの…」

    どうかしましたかを言うのに一歩躊躇う。他者から見ても彼女が何を求めているか分かるからだ。

    「お腹、減っちゃいました…?」
    『うん…』

    私の元居た場所も似た様なものだったから偉そうなことは言えないけど、施しを与える立場のシスターが飢えるのは、いかがなものか。うーん、私は今ちょっとした暗部を見ているのかも知れない。

  • 7五泉ラクル25/06/25(水) 01:46:47

    暗いなら、照らさなきゃね。せめて手元だけでも。

    「あの、コレ…」
    『…?けーき…?………っ?!ケーキ!』
    「人前には出さないんです、特別ですよ?」
    『どこにこれ入れ…いや良っか!食べてもいい食べてもいい?!』
    「召し上がれ?」

    あぁ、おいしそうに食べるなあ。チョコが度々服に付きそうになる。
    このシンとした聖歌隊室の真ん中で、もっと言えばオルガンの膝元という神聖な場所で、二人でケーキを囲む。
    まだ目が覚めてから数分しか経っていないけど、なんだか既にここに私が居る意味は有った様に思える。
    突然知らない場所で知らない少女に持ち物のケーキを渡す、夢にありそうなシチュエーションで良いじゃない?
    そんな無邪気な少女はよっぽどお腹が空いていたのか、そこそこ大きなサイズのそれをほぼ一人でペロリ平らげた。

    『美味しかった!ありがとうございました!』
    「チョコチョコ、口元に付いてますよ」

    シスター服の裾で口元を拭う彼女を見ていたら、少し元気が湧いてくる。どう形容したら良いか分からないけど、これこそ存在意義の証明というか…。
    そんな考えも過ぎったが、違う違う。所在だ所在。まだここがどこなのかすら聞いちゃいない。

    「それで、話の続き…」
    『あっそうそう!ここがどこかだよね!えっとね、君は迷子だからね〜多分大丈夫なんだけど〜』

    …ん?何故か外が少しバタついている様な?扉から一番離れたこの場所からでも、先程までは気配すら無かった多くの人間の喧騒…というか怒号が聞こえた。

    『この部屋はね、聖歌隊室じゃなくてね?』
    『カモフラージュされた秘密管理室なんだよ!』

  • 8五泉ラクル25/06/25(水) 01:47:49

    瞬間、ちょっとした熱風と怒鳴り声が繊細化した私の左半身を打ち付ける。

    『見つけましたサクラコ様!パイプオルガンです!』
    『お手柄ですマリー!可能ならその場で確保を!』
    『わっわっ、わぁ…!』

    数人のシスターが銃剣を持ってこちらに突撃してきている。会話は聞き取れなくても穏やかで無いのは見てとれた。

    『ミラクルちゃん、こっち来て!』
    「ミラクr…私?!私の名前ですか?!」
    『早く!バリケード突破されちゃうよ!』

    バリケードとはなんだと振り返ると、数秒前までは無かった立派な壁が出来ている。少し前まで整然と並んでいた、長椅子で。
    あの、それより私迷子なんです!巻き込まないでください!そう言うだけの時間と相手と体力リソースは、私の前に無かった。言われるがまま、パイプオルガンの階段を再び駆け上る。

    『あ、あ…?!サクラコ様!シスターでない者が一名!機密管理室に侵入中!』
    『ふざけないでください!またあの子のデコイですか?!』
    『分かりません!初めましてさんです!』
    『でも変わりません、私もそちらに急行しているのでそれまでに何とかして下さい!今日は百合園セイアさんもいらっしゃっている日なのですよ?!』
    『な、何とかって言われても…!』

    …あっちはあっちで大変だなー…、私は本当は要救助者なんだけど…。

    『ミラクルちゃん!運良いよ!今日は発砲出来ない日だよ!』
    「最悪ですよ?」

    この子も小慣れてる感じ、常習者かあ…。ああ、聖歌隊に入るのに『頑張った』ってそういう…。

  • 9二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 02:19:36

    たて乙ー
    私もちゃっちゃとアワセのss書かないと

  • 10黒埼イチ25/06/25(水) 04:08:38

    スレ立て乙!ずっと待ってたぜ!

  • 11屋比久ルル25/06/25(水) 05:55:14

    建て乙です

  • 12ヒトエ*500025/06/25(水) 06:25:15

    きた!

  • 13二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 07:33:59

    倫理観7はやっぱりやることが違うなぁ

  • 14屋比久ルル25/06/25(水) 12:15:44

    安心できるのは既に倫理の最低値がでていることだが…最高値でも60いかないんだよな…

  • 15黒埼イチ25/06/25(水) 12:23:10

    倫理観高い順でこれってやべぇだろ…
    発師ヒトエ 倫理観57

    五泉ラクル 倫理観23

    合計値アワセ 倫理観22

    屋比久ルル 倫理観12

    黒埼イチ 倫理観7

  • 16二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 18:46:50

    >>15でもヒトエって補正ありで57だから無かったら倫理観イチと同じ7なんだよね

  • 17二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 20:55:52

    まぁ10スレ近くずっとダイス振ってるは、もはや狂ってるからなダイスの女神が倫理観がないと判断しても仕方ない

  • 18五泉ラクル25/06/25(水) 21:20:49

    『突撃ーっ!』

    そうこうしている内にバリケードを越えられた。当たり前だ、こっちも撃っていないから。

    『ミラクルちゃん銃無いの?』
    「すみません、実はさっきから無くて…」
    『ケーキは持ってたのに?!』

    私はこのまま捕まっても正直構う事無いんだけど…。

    『ま良いや、逃げよ!着いてきてね!』

    こう言われると私は断れない。でも、逃げるってどこへ?

    「逃げるってどこへ!?」
    『ここ!』
    「…?!?」

    段上の手すりを蹴り飛ばした彼女は、そのまま恭しく掲げられたトリニティの長旗をむんずと掴み、そのまま上へと登っていった。

    『サクラコ様ぁ!ステンドグラスまで逃げられましたあ!』
    『くっ…今度は何で登りました?!』

    見ている分には面白い。僅かな足場を頼りにひょいひょいと、石造りの内壁を伝っていく。
    …あれ、そういえば逃げ出せるのって今しかないような…。

    『とりあえずそっちは後です!あの方を!あの方だけでもぉ!』
    「…ぁ」

    見ると階段の下へ既に十人弱のシスターが接近していた。

  • 19五泉ラクル25/06/25(水) 21:22:21

    ここで降参すれば、まだ迷子の一般人として扱われるよね?シスターだもんね?迷える子羊を導くのが役目だもんね?
    そう思って、こちらに抵抗の意思が無いことを伝える。その為に一歩足を踏み出した。

    『目ぇ瞑って!』

    直後、私とシスターの間に何かが上から落ちてくる。ある程度聴力と瞬発力のある者は全員、瞬きのタイミングを同じくしただろう。しかし、多くのシスターはダメだった。突如として出現した強烈な光に、視界を奪われたのだ。
    それは、私が共犯と見做されるに十分な一撃だった。

  • 20五泉ラクル25/06/25(水) 21:24:29

    『うぅ…うわぁーっ!』
    『目がっ…!』

    最初に和解の為踏み出した一歩は、そのエネルギーを保持したまま逃走目的の筋肉に切り替わる。
    最初にこの部屋で目が覚めてからここまで15分!なんでこんな目に遭うの?!

    「同じ方走ります!せめて援護してください!」
    『はーい!』
    『…?!迎撃準備、迎撃準備!発砲許可をっサクラコ様ぁ!』
    『セイアさんに聞かれるからダメです!』

    なるほど、こちらが一発でも撃たない限り、向こうも銃縛りしてくれるのか。正確には撃てないだけど。
    それなら話は早い。白兵戦だ!…白兵戦かぁ…。

  • 21黒埼イチ25/06/25(水) 21:39:08

    戦闘120なだけあってやっぱり強いな倫理観がないからこんなことになってるけど…

  • 22ヒトエ*500025/06/25(水) 22:06:39

    倫理観って重要だな

  • 23屋比久ルル25/06/25(水) 23:08:54

    そういえば私が元の子、倫理ワースト2なんだよな…あんまりダイスは投げてないはずなのにどうして…?

  • 24二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 04:36:02

    diceスレがSSになってる…

  • 25二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 11:12:29

    このレスは削除されています

  • 26合計値アワセ25/06/26(木) 16:45:22

    多分明後日くらいまでにss仕上がりそうかもです
    遅れたら申し訳ない

  • 27黒埼イチ25/06/26(木) 16:48:06

    >>26

    遅れても大丈夫だ!無理せず自分のペースで頑張ってくれ!

  • 28二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 23:42:01

    ミラクル5000の擬人化って斬新だな!

  • 29二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 01:29:15

    >>2

    ベツサイダって何かと思ったらミラクル5000(元ネタ)か

  • 30二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 10:02:53

    草 

  • 31五泉ラクル25/06/27(金) 11:52:26

    階段は閃光弾を喰らって手薄になった左翼を強襲する。こっちが上を取ってるから案外楽に突破出来た。
    そうなると後ろから挟まれるからここからは時間との勝負!

    「よっ」
    『なっ…!』

    バリケードの手前側にいる二人は、申し訳ないけど構ってる時間が無い。一人の銃剣を握りしめてそのままもう一人の剣と重ね、諸共に剣先を下へ降ろす。意思関係なく二人は前屈みになるから、数秒は追って来れないだろう。

    『ぅあっ!あっちだあっち!』
    『そこ通れるの?!』

    放り投げられた長椅子は重なり、中央でちょっとした山を形成している。普通に向こう側の目視も出来るし、銃も通すが、人は通れない。…そう、向こう側からは。
    私のいる方は座る部分が足場として機能するから、登れるんだ。スピードはちょっと落ちるけど、椅子の無い端のどちらからか迂回すると思っていたシスター達は、動揺する。反応も一歩遅れる。そうなれば、中央を突っ切る私の方が速い!

  • 32五泉ラクル25/06/27(金) 11:54:21

    『あっはは!凄い凄い!』
    「なんでこんな目に遭わなきゃいけないんですかあ!」

    しっかり捕まった時の関与無いですよアピールも混ぜておく。意味は無いと思うけど。
    でも後はオレンジ色の猫耳シスターさんの周りにパラパラ数人居るだけだ。多分この部屋からは出られる。

    「ごめんなさーい!通してくださ〜い!!」
    『むっ無理です!この部屋に入ったからには捕まえないといけないんです!』

    交渉は無理か…。それなら!

    「黒埼さん!」
    『おー!』

  • 33五泉ラクル25/06/27(金) 11:59:30

    私の視界には、西陽に照らされた五人の影。つまり、光だった。背後に閃光弾が落ちても、私には被害が無い。
    だが眼前のシルエットたちはその限りでない。こちらを見ている、つまり影を見ている。シンとしていた薄暗い視界に、突然フラッシュが焚かれる。

    『きゃっ…?!』
    「今!」
    『うん!』

    見ていないが、後ろから来ていた追手も同時進行でしばかれているようだ。推定その容疑者である、既に降りてきていた彼女へ逃走のタイミングを伝える。
    今しかない。そう直感した。
    私は猫耳さんの横を通って脱走する。
    逃げれた!次は何処へ?!
    …だけど、返事は帰ってこない。振り向くと、黒埼さんは猫耳さんに抱き抱えられていた。

  • 34二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 14:22:43

    どうやって捕まえたんだ?

  • 35二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 14:24:53

    >>34

    マリー「縛道の六十一 六杖光牢」

  • 36黒埼イチ25/06/27(金) 20:09:01

    どうしたらこんな面白いssかけるようになるんだ?

  • 37二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 23:51:36

    >>35

    マリーもあっちの世界の住人だったか

  • 38合計値アワセ25/06/28(土) 07:05:21

    ss思ったより長くなりそうで今日仕上がらないなぁ
    いつになるか不明だけどどうにか書き切ります

  • 39屋比久ルル25/06/28(土) 10:18:18

    >>38

    無理せず頑張ってくださいね

  • 40二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 18:57:09

    読んでてて引き込まれる良いssですね!頑張ってください!

  • 41黒埼イチ25/06/28(土) 21:30:34

    >>38

    楽しみに待ってるぜ!体調崩さないようにな!

  • 42五泉ラクル25/06/28(土) 23:18:49

    『初めましてさん、捕まえました…!って、あれ?』
    『ぅえっ?!離して〜!離してぇ!』
    『や、やりましたサクラコ様…!シスターイチを確保!』

    困惑する間も無く、また新手が廊下の角から押し寄せてくる。考える前に自分の足は動いていた。
    しまった…私が影になったんだ…!ギリギリ動体の輪郭を認識出来る視力が残ってて、私を捕まえようとしたところを運悪く後続の…。
    あの猫耳さんにはタックルが正解だった!
    幾ら悔いてももう遅い。救出は間に合わない、降伏のタイミングはあの一発目の閃光が投げられた時点で逃している。すなわち、血路は前にしか残されていない。

    「すいませんお先に失礼しますっ!!」
    『離して!イチも行くっ!!』
    『どなたか!どなたか拘束援護お願いします!』

    黒埼さんの断末魔とシスター達の悲鳴を置き去りに、私は走った。
    手すりを越え、中庭を突っ切り、窓の一つを叩き割って侵入する。十字路の正面から来た生徒は、寧ろ突撃する。突撃して、怯んだ銃剣の根本をテコの原理で折る!

  • 43五泉ラクル25/06/28(土) 23:19:54

    こういう時決して傍に逸れてはいけないと習った。敵のキルゾーンに誘引されるからだ。

    『報告!中庭前十字路突破されましたぁ!』
    『不審者の進行止められませんっ!応援を求めます!!』
    『ティーパーティーの護衛を減らせと言うのですか?!』
    『中央ホール直通の回廊に侵入されてます〜!!』

    執政官だろうか、本格的に銃剣を携えて追ってきたり遮ったりするのとは別の人間がさっきからちょいちょい向こうに見える。というか、絶叫してるから嫌でも目に入る。皆様、重役に気付かれないように発砲縛りしてるんじゃなかったんでしたっけ?
    だがそのお陰でいい事を聞けた!報告のdB数が大きくなるにつれて、私はゴールに近付いている。中央ホールとやらに向かえるこの道は間違っていないんだ!

  • 44五泉ラクル25/06/28(土) 23:20:55

    廊下は続く、防衛は少しずつ工夫されていく。だからこちらも、頭を使うんだ。出来るだろ、五泉ラクル!
    木の机で作られた簡易的なバリケードが一本道に。その奥にはファランクスよろしく怯えたシスター数名が銃剣をなるべく長めに持っている。
    …私ゃ軍馬か、一直線に飛び込むとでも思ってるのか。いや、迂回路は無いけどさ。それでも私は人間だ。ずる賢いんだぞ。
    そこら辺に付けられているカーテンをむしり取り、力の限り遠くから御一行へ投げつける!

    『わわっ、ちょっと!』
    『だっ誰か!これのかしてください!!』

    そんなに難しい話じゃない、そこそこ重い目隠しを”上に”出現させただけ。
    元々銃に付いてない剣まで付けて、それをギリギリまでリーチ長く持ってるもんね。片手間で全員すっぽり入っちゃうような面積の布どかせないよね。
    銃を手放さないと、上を見ないと、カーテンは払えない。だが銃を手放して、前を見ず、止められるほど私はヤワじゃない!

    『食堂裏口…と、突破されましたぁ…!!』

  • 45黒埼イチ25/06/29(日) 00:09:43

    ラクルもラクルで倫理観が低いから結構ぶっ飛んだ発想をするな!

  • 46二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 08:10:29

    そういえばラクルも倫理は低かった

  • 47ヒトエ*500025/06/29(日) 09:28:57

    倫理観でこうも面白くなるのか

  • 48二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 18:32:26

    狂人達のdiceから生まれた子も狂人だったか…

  • 49二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 22:11:34

    逃げ上手の五泉

  • 50黒埼イチ25/06/30(月) 07:03:30

    >>48

    俺たちが狂人な訳ないって言いたいが…合ってるから何も言い返せねぇ…

  • 51屋比久ルル25/06/30(月) 09:45:03

    ラクルでこれならオリキャラほぼ野蛮だよ
    自分も含めてな!!!!

  • 52百合園セイア25/06/30(月) 18:30:16

    念の為に保守しておくよ

  • 53五泉ラクル25/06/30(月) 21:00:49

    ああ、トリニティのシスターよ。清貧な心の持ち主達よ、どうか私を許してくれ。
    私は逃げ切る、逃げ切れるだろう。今更踵を返して謝る気など毛頭無い。目覚めた場所が機密室だったといえど、初手から対話でなく暴力に踏み切った彼女らに多少の怨恨もある。
    それでも、やっぱり申し訳ない。準則通り動いた彼女らの銃を折り、踏み越え、叩き割った私は咎人なのだろう。だからこそ、今言う。シスター達よ、私を赦せ。

    『ええい!サイレンサーの使用を許可します!!対応可能な人は直ちに射撃してください!』
    『むっ無理です!着剣しているんですよ?!』
    『HGでも何でも良いから撃ってくださいっ!』
    「…っ」

    後方から鉛玉が飛んでくる。射撃手は二名。そうか、遂に許可が降りたか。
    発砲音は聞こえないが、石造りの回廊に突き刺さる着弾音は微かに聞こえる。射撃手は二名か、三名か。

    『百合園様、礼拝室へお連れしています!後5分稼げますか?!』
    『バカ言わないでください!聖歌隊室から中央ホールまで10分で抜けられているんですよ?!』
    『予定を少し変更し聖歌隊を礼拝室へ!讃歌で銃声誤魔化すんです!』
    『イチも歌いたい〜!』
    『黒埼さんの無線誰か切ってください!!』

    …前方に銃剣持ち二名、涙声の通信士一名。
    ここで彼女らが取るべき最善手は、中央を塞ぐ様に両翼から剣をバッテン、重ね合わせる事だろう。後方から銃撃、エイムを定めさせない為には中央の通行が理想的。よしんば私が無理に封鎖を突破したとして、通信士がその向こうにいる…っ。

  • 54五泉ラクル25/06/30(月) 21:02:04

    ならば。

    『っ?!…早まったか!中央から逸れた!』

    私は振り向けない。いつ発砲されるのかも、銃口がどこを向いているのかも、分からない。

    『いっ今です!撃って!!』

    鏡も無い。小細工を出来る様な道具が、何も無い。

    『撃ちますっ!』

    だから、創る。
    前に佇む、二人のシスター。彼女らを、鏡にする。
    姉妹達よ、許してくれ。

    『……〜〜!』

    今だ。
    中央へ大きく身体を傾け、一瞬右手に全体重を預ける。
    銃弾が、掠める。西陽の反射光が一閃、傾けた体の真上を通り過ぎる。そのまま伸びた二本の筋は、正面に居た左翼のシスターに突き刺さった。

    『きゃあっ!?』
    『躱された?!あっ…!』

    今一度乞う。許してくれ、シスターよ。いや本気で…。

  • 55五泉ラクル25/06/30(月) 21:03:08

    さっきも言ったが、何も小細工する手段は無いのだ。だって小難しいトリック考えるのは向いてないし…。
    銃口を向けられて喜ぶ人は居ない。その心理を一瞬思い出しただけ。
    銃剣でバッテンを作らせない様にするにはどうするのか?簡単だ、端っこを通れば良い。そうすれば、真ん中を封鎖する意味が無くなるから。でもそうすれば、被弾する確率が上がる。後ろの人達も走りながら狙ってるんだ、どっちに逸れるか分からない中央より動きが分かり易い端の方が照準を定めやすいだろう。
    ならば、撃つタイミングさえ分かれば回避出来る。正確に言うとそれだと間に合わないから、照準が定まったタイミングが分かれば撃つまでのラグで回避出来る。
    そう、前方のシスターだ。彼女はこちらを向いている。そして狙撃手は複数、一人私で隠れてても、一人以上は確実に視界に入る。
    彼女が顔をほんの少し強ばらせた瞬間、それは私にとって鏡になった。私が、自分が、射線上に居る。そう認識した合図だったのだ。
    銃撃を受けた彼女は怯む。それは私にとって、壁が崩れたも同義だった。

    「ごめんなさい、ごめんなさいっ…!!」
    『あああああっ!!』
    『中央ホール抜けられます〜っ!』

    …ほんとに、ごめんなさい。

  • 56黒埼イチ25/06/30(月) 21:50:19

    罪悪感自体は感じてるのか…最低限の倫理観は持っててくれて良かったぜ

  • 57合計値アワセ25/07/01(火) 03:13:56

    言うて倫理観23はあるから…

  • 58屋比久ルル25/07/01(火) 11:43:46

    ここからどう展開していくんだろ

  • 59二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 20:19:13

    展開が予測できなくて面白い

  • 60黒埼イチ25/07/01(火) 23:08:04

    >>57

    冷静に考えてくれ、倫理観が最低限しかないんだ十分ヤバいぞ

  • 61屋比久ルル25/07/01(火) 23:09:32

    >>60

    まるで最低限の倫理すらない人がいるみたいな…

  • 62二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 23:12:03

    >>60最低限あるだけいいようん

    でも今書いてるssのアワセ倫理無いかもな…

  • 63五泉ラクル25/07/01(火) 23:55:47

    『こちら中央ホール!百合園様は礼拝堂へ誘導しました!』
    『正門を開けなさい、せめて教会内から締め出すのです!』

    さあ、もうすぐそこがホールだ、見れば分かる。回廊でさえ細部に凝らされた意匠が見え隠れしているのに…一目で(ここは施設の玄関ですよ)と分かる凄みがあった。願わくばもっと穏やかな日に鑑賞したい。
    意外な事に、ホールには誰も展開されていなかった。てっきりホール中央か、その直前の入口あたりに相当人数が動員されているものと決めつけていたから、これには少し拍子抜けだ。
    少し、余裕が出来たな。逃走の足を止めるとまでは言わないが、ほんの少し速度を緩める。
    後ろからの発砲無し、見てないけどバテちゃってるんだろうなあ…。

    「…?!」

    丁度シャンデリアの真下、中央ホールの真ん中あたりに来た時。不意に右手の扉が開く。その向こうには、空が見える。
    …ああ、こっちへ行けと言っているのか。こちらへ逃げろと、外へ出ろと…。

    「………」

    思考の時間も無いぐらい、一瞬の猶予が行動判断に与えられる。相手は言外に、出ていけと言っている。そして一度出れば扉は閉ざされ、二度と追手は来ないだろう。
    私の最善手は、右に曲がって、逃げる事。当然、思考はそう結論付けた。

  • 64五泉ラクル25/07/01(火) 23:57:48

    『……っ?!?!ダメですっ!!』
    「っ!!」

    私の足は、左へ曲がっていた。閉ざされた、聖歌の響くその大扉へ。
    もう、間に合わない。刹那、ようやく追いついた執政官の絶望した表情が目に入る。
    思考は逃げろと言った。身体にもそう指示したはずだった。
    だが、脊髄は…。

    「しま…っ!!」

    私の反射能力、癖、その全ての弱点が今ここに露呈する。ここでは無い、故郷で教わった生存術。
    …敵のキルゾーンを避ける事。

    『逃走者、礼拝堂へ入りますっ…!!』
    『はっ…はああ…?!正門は開けたのですよね?!』
    『無視されっ、無視されましたぁ…!』

    ………流石に許しては、貰えないかなあ……。

    扉が大きく開く音が、厳かな堂内に響き渡る。フリーズした百名程のシスターと、その他諸々の視線を添えて…。
    奇跡は、起こらなかった。為す術なく人の波に呑まれた私は、呆気なく捕縛されたのだった…。

    〜プロローグ・完〜

  • 65ミラクル執筆委員会25/07/02(水) 00:35:31

    さて、これにてプロローグ完結となりました!6月終わっちゃった…ァ。
    私としましては、あの笑える程当たりが出ないダイススレを再現すべくね〜っとり描写したのですが、伝わりましたでしょうか?
    もし初見の方がいれば、捕まらねえ🎲を狂った様に降り続けるあの絶望感を共有して頂けると幸いです!
    さて、ここまで10日も掛かってる訳ですが、まだ全体の一割しか書けていません…。そこでここからはサクサク話が進むよう、執筆方針が会話メインにシフトします!ここまで細緻な描写だとマジで半年くらいかかるので…。予めご理解いただけると嬉しいです。
    最後になりますが、応援レス感謝!アワセさんは同じくご無理のありませんように!これからも五泉ラクルのミラクル逃走を、どうぞよろしく

  • 66二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 00:38:45

    これで一割…!?

  • 67合計値アワセ25/07/02(水) 00:58:19

    プロローグお疲れ様ー
    これで1割か…全部書き終わる頃にはアワセのss書ききりたいなぁ

  • 68ヒトエ*500025/07/02(水) 06:19:32

    一割まじか

  • 69黒埼イチ25/07/02(水) 06:26:45

    これで1割か…残りも無理せず頑張ってくれ

  • 70二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 12:36:00

    これは…スレ跨ぐね?

  • 71五泉ラクル(合計値アワセ視点)25/07/02(水) 21:13:34

    《…心中お察しするよ、色々大変だったんだろう?》
    『はい、それはもう…』

    ティーパーティー筆頭、百合園セイア様は同情の目を向ける。その視線の先は、シスターフッドの長だ。

    《私も、些か驚いている。この場所へ侵入者が現れるなんて前代未聞だ》
    『も、申し訳ありません…』
    《あぁすまない、責めている訳じゃ無いんだ。所謂青天の霹靂というやつだろう》

    私の主人が差し向けた眼光は、それ程鋭いものでなかった。言葉に偽りは無いだろう。

    《して、彼女らは今何処に居るんだい?》
    『今は、懺悔室へ”ご案内”しました。事を始めたシスター1名と一緒に入っていただいておりますわ』
    《そうか》

    一言呟き、くると振り返る。その黄金に光る御髪が揺れる。

    《では会いに行こう。案内を頼む》
    『っ?!セイアさん?!』
    《襲撃未遂犯と会う義理は無い、と。そんなところかな?》
    『…ええ、彼女は危険です。お恥ずかしい話ですが、別館から礼拝堂に至るまで、誰も捕らえる事が出来ませんでした』

    その言葉に、誰もが同調しようとしていた。どこの馬の骨か分からぬ輩に接する事は無いと。…しかし我が主は、そう不精ではいてくれないのだ。

    《では無理にでも義理を立てよう。サクラコ、君達の潔白を証明したい》
    『け、潔白ですか…?』
    《無論、私は君達を疑ったりしていない。その手が水で雪がれていると信じているさ》

    《…だが君達は直前、正門を開け放っただろう?》

  • 72五泉ラクル(合計値アワセ視点)25/07/02(水) 21:15:56

    『そ、それは…』

    シスター一同の顔がくしゃりと歪む。成る程、これは失態なのだ。ヘタを打てばその権威を失墜する程度の重要な。
    要はこういう事だ。【シスターフッドは侵入者を(迎え入れた)のではないか?】

    《この”失態”は、私を御輿とせんとする者が取り沙汰す恐れがある。その矛先はサクラコ、君だ。侵入者でない》
    《ならば、今この場で私が臨床する事こそ、最適解だとは思わないかい?》

    その言葉に、誰もが息を呑む。納得と安堵、焦燥と恐怖、それらが入り混じった音で。

    『……御慧眼、恐れ入りました。参りましょう』
    《なに、半分は私の好奇心だ。そう構える事は無い》

    嗚呼、慈悲深い我が主よ。私が彼女に仕えるのは、まさにこういうところに惹かれたからだ。
    天に愛された寵児、百合園セイア。我が敬愛する主。

    《…そうだアワセ、君にも来て欲しい。後で頼み事をする》
    《ひゃっ…はいっ?!》

    天使に見惚れていたら、不意にお声をかけられる。

    《た、頼み事ですか…?》
    《忍耐力が人一倍強い君にピッタリの役だ。頼めそうかい?》
    《つ、謹んで…!》
    《…うん、よし行こう》

    …セイア様、私は貴女を生涯推挙致します。

  • 73二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 04:52:06

    保守

  • 74二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 11:08:47

    保守

  • 75黒埼イチ25/07/03(木) 18:39:27

    別視点もあるのか!よく思いつくな!すげぇと思うぜ!

  • 76二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 00:12:27

    面白かったです
    続きが楽しみにしてます
    頑張ってください

  • 77屋比久ルル25/07/04(金) 09:47:31

    次はアワセか…楽しみにしてる

  • 78二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 18:36:18

    保守

  • 79五泉ラクル25/07/04(金) 23:41:40

    『……何か、仰りたい事はございますか?』
    『あっ、飲み物が欲しい!』
    『貴女ではありません!』

    灯りの通らない、木の湿った香りが漂う部屋の中。格子窓の向こう側から声が聞こえる。姿は見えないが声色に聞き覚えがあるあたり、恐らくあの猫耳さんだろう。

    『あうぅ…今頃は皆さんティーパーティーの方にお叱りを…』
    「た、大変そうですね…」
    『何で他人事なんですか?!』

    そういえばそうだった、私も当事者だ。

    『はあ…じゃあぼちぼち、聴取を始めますので…。出来れば全部素直にお答えください…』
    「はい…何かすみません…」

    先方は明らかに疲れ切っており、心なしか凄くきまずい。こういう空気こそ隣の少女に破って欲しいものだが…。

    『では、まずはお名前と学年をお教えください』
    「はい。五泉ラクル、二年生です」
    『五泉…って、数字の五に泉ですか?』
    「あっそうですそうです、大丈夫です」

    あっ、一発で当ててもらえた。珍しい名字なだけに、初手で漢字を言い当てられるとちょっぴり嬉しいんだよね。少しだけいい雰囲気になった。

    『…はい、では次に、所属を教えてください』
    「えっ」
    『えっ?』
    「…わかりません」
    『えっ??』

  • 80五泉ラクル25/07/04(金) 23:42:50

    訂正、いい雰囲気は彼方へ吹き飛んだ。代わりにあるのは、私への嫌疑の目。

    『えっと…それは黙秘する、という意味で…?』
    「いや違うんです、本当に分からないんです…」
    『えぇ…?』
    「や、記憶が無いとかそういうんじゃなくて、そもそも知らなくて」
    『そんな事あります?』

    ここだ。私が一番初めから聞きたかった事を聞くなら今しかない。

    「あのすみません、何なら今いるココがどこなのかも分からなくて…」
    『…へ?』
    「この場所の詳細とか教えてもらっても…」
    『…報告書には記憶喪失って書いときますからね』

    誰にも信じてもらえないだろうそれは。いやそれが狙いか。

    『いいですか?隠してるのかどうかは分かりませんが一応〜確認!という形でこの場所の事をお話ししますからね!』
    「お願いします」

    それからしばらくこの場所の名前、歴史、風土などの授業を受けた。マリー…さんが底抜けに優しい人で良かったと思う。いや真面目に、普通なら話も聞いてもらえないシチュだったよ今。

  • 81五泉ラクル25/07/04(金) 23:46:58

    『…という訳で、この場所はどの分派にも属さない中立組織として動いているんです』
    「なるほど〜…」
    『そんな場所の!機密室で!”お休みになられてた”方が!政界筆頭のセイア様と接触未遂を起こしたんです!現状ご理解頂けましたか?!!』
    「は、はい…」

    別の意味で話も聞いてもらえなくなっていたが、叱られている内が華。色々教えてもらえたので何も言わないでおく。

    『はぁ、はあ…ってあれ?イチさんは?!』
    「あ、話してる間にどっか行っちゃいました…」
    『〜〜〜っ!いや、多分あの方なら戻ってくるでしょうし…』
    『…今は五泉さん、貴女に集中します。何か、”覚えてる”情報は無いんですか?』

    言える範囲で良いから所属の情報出せって言ってるのかこれ。やり方は正直手緩いが、優しいという感想の方が前に出る。
    それでも後ろには、『こっちの情報は聞かせたんだからそっちも吐け』という思惑が見えるあたり巧い。一般教養を売りに出して、こちらの事を聞き出せれば儲け物。リターンが無くても痛くない。
    …成る程、ここが【トリニティ総合学園】か。

    「そうは言っても…あ、友人の名前なら分かります!」
    『っ!教えてください、こちらで調査出来ますので!』
    「確か、屋比k…」

    言いかけた時、重々しいドアが勢いよく開け放たれる音がする。先程こっそり黒埼さんが脱走した時のようなか細い音ではない。

    『な、な…?』
    《ティーパーティー代表、百合園様がお入りになられます。皆様、お控えください》
    「っ…!」

    …何で?

  • 82屋比久ルル25/07/05(土) 08:47:35

    こんなのが友人枠で大丈夫ですか…?

  • 83二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 09:47:01

    ちょっと待て屋比久さんの所属アリウスじゃね?

  • 84黒埼イチ25/07/05(土) 09:54:43

    屋比久ルルって確か2番目に倫理観が低かったよな?まぁアリウス生だから低いのは当然だが

  • 85屋比久ルル25/07/05(土) 12:22:20

    ・倫理12(ワースト2)
    ・レールガン使い
    ・戦闘神秘が激高
    下手したら兵器扱いされててもおかしくないよ?

  • 86二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 12:25:42

    >>85

    なんでアリウス分校の生徒なのにレールガンなんて学校だとミレニアムぐらいしか作れなさそうな物持ってるんだろうって思ったけど、神秘高いしベアトリーチェにでも実験として持たされてるのかな?それだったらレールガンを持ってるのに納得がいくし

  • 87二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 20:37:27

    保守

  • 88五泉ラクル25/07/05(土) 22:46:39

    たちまち陽光の中から、二人のシルエットが浮かび上がる。片や純白の衣裳に身を包んだ獣人、片や青いリボンを拵えた上級の修道服に身を包むシスター。

    《失礼、お邪魔するよ》

    再び戸は閉ざされ、部屋から光が失われる。…いや、襲撃の容疑者なんだよね私?よく密室にする勇気あったね?

    《先程までの話は、申し訳ないが聞かせてもらったよ。五泉ラクル、災難だったね》
    「…!盗聴器があったんですか?」
    《それは今重要ではない》

    しまった、お喋り好きな黒埼さんがやけに何も言わないと思ったらそういう事か。やっぱり手慣れてるぞあの人。

    《“虎口を逃れて竜穴に入る”、という言葉がある。君は虎子を得ようともした訳で無いのにいつの間にかそこに居た、という訳だ》
    「私の話を信じてくれるんですか?」
    《何、これでも潜入任務には一家言あってね。君がその機密室とやらに一切の悪気が無かったというのは何となく分かる》
    《…ここに来るまでに、逃走路を見てきたよ。見事だった。別館から正門までの最短経路を的確に選択している》
    「じゃあ、事前にリサーチしていたと疑うべきなんじゃ…」
    《それは無いな。だとすれば、開かれた正面玄関から脱出しない理由が無い》

    あ、そっか。もし何かしら情報が欲しいなら逃げない理由が無いし、襲撃がしたいならあんな離れた場所に待機する理由が無いんだ。

    《君は勝手に開け放たれた扉を罠と思い込み、反射で避けた。そうだろう?》
    「…はい、仰る通りで」

    ふと、お付きのシスターがほっと胸を撫で下ろした表情になる。

    《…聞いたかいサクラコ、彼女が証人だ。扉が開けられた時侵入者は既に中にいた。潔白は証明されたよ》
    『…ありがとうございます』

    …百合園さん、今私にも状況が分かる様に話してくれたな。同時に両方の肩を持つ、人心掌握術。成る程【ティーパーティー】は、伊達じゃない。

  • 89五泉ラクル25/07/05(土) 22:47:58

    《ありがとう、ラクル。正直に話してくれて礼を言おう。狡兎三窟、君程の手練がノコノコと無策で侵入に踏み切る訳が無い。いずれにせよ何か、事情があるんだろう》
    「…っ?!それはそうですが、何かこう、疑ったり…」
    《しない。宣言しよう》
    《百合園セイアの名において、ティーパーティーは〜…》
    《五泉ラクルの発言を、全面的に信用する》
    『…!』

    マジかこの人、言い切ったぞ。人心掌握を心得すぎている。というかこの宣言、私の能力が高い事前提なんだけど、何で私このシチュエーションで評価されてるの??

    「あ、ありがとうございます…?」
    《さて、こちらが望んでいるものは既に得た。後は君の処遇だ。どうする?私としては、別に解放してやっても良いとさえ思うのだが…》
    『…っ!お待ちください!』

    一瞬真面目に釈放されそうな雰囲気が出たが、当然横の上級シスターが待ったをかける。いや、周りの護衛たちも『えっ??』って顔してたし妥当なんだけどね?

  • 90二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 07:37:35

    やっぱりセイアは頼りになるな

  • 91二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 14:44:37

    >>89

    🐇「私はウサギではありませんので…」

  • 92二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 18:07:41

    セイア、ラクルをよく信用できるね…

  • 93五泉ラクル25/07/06(日) 21:28:46

    『よしんば悪気が無かったとて、機密室に入り込んでいたのは事実なのです!このままさようならではシスター達に示しがつきません!というかこの方に窓ガラス割られてるんですよ?!』

    窓ガラスの事忘れてた。

    『ですからラクルさん、貴女にはしばらく”贖い”をして頂きます!』
    「あっ、贖いですか?」
    《何をさせる気だい?サクラコ》
    『…今考えてます!』

    内沙汰宣言しやがりましたこの人。すみませんセイア様見てないで助けてください、勢いでとんでもない事言いつけられても拒否権無いんですよ私。

    『…そういえばラクルさん、銃をお持ちでないんですね』
    《『えっ?!』》

  • 94五泉ラクル25/07/06(日) 21:30:30

    「あぁ、まあ…どこかで落としたみたいで…」

    ここまで傍観を貫いてきた猫耳さんによる爆弾投下。ここキヴォトスに於いて、銃の不携帯が全裸より危険視されている事は共通認識だ。もちろん、私の故郷でも。

    『…信じられません。あれだけ逃走して最後まで銃声が聞こえないのも不思議だとは思っていましたが…』
    《…これはいよいよ白かな》

    おかしいな、私の嫌疑が晴れていくのに反比例して、この人達の私への変態評価が上昇していく気がするぞ?
    どう弁解しようか、いや私のポカに対してじゃなくてこの評価について。そう考えていたら、再び部屋のドアが開く。

    『ただいま〜!…って、あっ』
    『『あっ』』
    「あっ」

  • 95黒埼イチ25/07/06(日) 23:56:46

    続きが気になる絶妙なところで終わるのss書くのが上手いな

  • 96二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 08:45:38

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  • 97二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 15:15:14

    アワセも大変だなぁ…

  • 98二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 21:45:01

    銃の不携帯が全裸より危険視されてるって改めてキヴォトスって魔境なんだなと思った

  • 99五泉ラクル25/07/07(月) 21:56:42

    『お邪魔しました〜…』
    『居ないと思ったら黒埼さん!今まで何処n…』
    『水だけ取りに行ってました!』
    『〜〜っ、マリー!』
    『うぅ…すみません…』

    一応拘束はされているのだが、自分で解こうとすればするりと抜け落ちる程度の緩やかな物だった。旗を頼りに聖歌隊室の地上10mまで登って見せた彼女から言わせれば、束縛など無いも同然だったのだろう。
    ティーパーティーの面々は音声にほぼ入っていない新手が現れた事に当惑してるご様子。百合園さんに限ってはそういう素振りも見せていないが。

    《歌住様。恐縮ですが御前ですので、そういった注意は後ほどして頂けると…》
    『…そうします。後でたっぷりと…』
    《…組織の長というのは、どこでも似た様な気苦労があるものだね》
    『それでも彼女は少し”特殊”なんですよ!』
    「ぁ、あの!」

    少し引っかかる単語が聞こえた気がするけど、それどころじゃないんだよ。贖いっていうワードだけ出されて何も言われないから恐怖してんだよこっちは。

    「贖いって…何をすれば?」
    『…それについては追ってお伝えしますので、ご安心ください』

    ご安心出来る要素どこ?

  • 100五泉ラクル25/07/07(月) 21:58:07

    『…あれ、そういえばイチさん。今日はお腹、減らないんですか?』
    『うん、今日は大丈夫!』
    『…?!本当に珍しい』

    不意にマリーさんが放った言葉に周囲のシスターがソワソワし出す。その空気を私同様ティーパーティーの方々も訝しむ。

    《…サクラコ、彼女が空腹を凌いでいるというのはそんなに類稀な事なのかい?》
    『あ、あぁすみません。えぇっと…簡単に申し上げますと』
    『彼女は少し、食べすぎてしまうきらいがありまして…』
    『あんまり度が過ぎたらいけませんよと、いつも注意はしているのですが』
    『今日は全然平気ー!』
    『…入学以来、初めてその言葉を聞きました』
    《ふむ、不思議なこともあるものだね》

    …あっ。

    『イチさん、最後に何を食べましたか?』
    『えーっとね、確か…』
    「あっ、あっ」
    『ミラクr…ラクルちゃんに貰ったケーキ!』

  • 101五泉ラクル25/07/07(月) 21:59:17

    あー…、口止めしてなかったなぁ…。即座に目線を下に向けたが、それまでのほんの僅かな時間で全員の視線が一斉に集結したのが見えた。というか見なくても分かる。


    《…君は銃を持っていないのに、ケーキは持っているんだね》

    「えぇ…まあ…たまたま…」

    『ラクルさん』

    「はっ、はい!」

    『決めました、”贖い”』


    この流れで?!


    『これから一ヶ月間、シスターイチの好きなケーキを調達してきてください』

    「はい………はい?!」

    『そして可能なら、私達全員にそのケーキを食べさせてください!』

    「はい?!?」

    『それが、あなたに課す”贖い”です!』

    「………」

    『やった!ミラクルちゃん、これからよろしく!』

    《…どうやら、お役御免の様だね。失礼するよ》

    『そうと決まればラクルさんも姉妹の一員です!マリー、寮舎へご案内を』

    『わっ分かりました!』

    「えぇ…?」


    凄まじい速度で話は纏まる。しかし、私に拒否権は無い。

    かくして、この見知らぬ地でのシスター見習い生活が幕を開けた。この直後、歓迎会と称して例のケーキを提供させられ続けたのは、また別の話である。


    ミラクルdice1d5000=1168 (1168)

  • 102屋比久ルル25/07/07(月) 22:06:44

    銃はないのにケーキはあるのか(困惑)

  • 103黒埼イチ25/07/07(月) 22:14:59

    俺餌付けされてるじゃねぇか……あのステータスなら納得だな…

  • 104ヒトエ*500025/07/08(火) 07:15:49

    ケーキは持っている…

  • 105二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 15:53:27

    >>100

    ミラクルがあだ名だから即本名に言い直してるの好き

  • 106百合園セイア25/07/08(火) 16:28:37

    スレ建てた時からずっと見守ってるのだが、こうやって実際にSSになってるところを見ると…………自分だけ既ネームドだと言うところに少し寂しさを感じてしまうね。まあはっきりと言ってしまえば自業自得なのだが

  • 107屋比久ルル25/07/08(火) 18:17:05

    >>106

    倫理観まともなキャラが確定してるのはいいことだよ…………

  • 108黒埼イチ25/07/08(火) 18:43:26

    >>106

    マトモな倫理観が保証されてるだけマシだと思うぜ…

  • 109五泉ラクル(合計値アワセ視点)25/07/09(水) 00:13:23

    【執筆委員会の声】今組織ごと(主人公除く)に吹き出し振ってるんですけど喋り手が誰か分かりずらいから名前追加した方が良いですかね…?
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    シスターフッド根城の廊下は、つい先ほど行われた逃走劇の面影を未だ尚色濃く残している。割れた窓ガラス、砕かれた食卓のバリケード、引き裂かれたカーテン…。行きにこの光景を見た時は、面会を全力で静止したものだ。

    《思いのほか話が通じる方でしたね》
    《あぁ。大方、対話を拒否したのはシスターフッドの方なのだろう》
    《どんな悪人面を拝むことになるかとヒヤヒヤしていました。取り越し苦労でしたね》
    《…そうだね》

    襲撃未遂が発生したという連絡を受け、カテドラルの外には多数の車両が到着していた。彼女らにはセイア様自らの口から無事を伝えられている為大人しく待機しているが、一歩誤れば武力行使も検討されただろう。

    《我が主よ、差し出がましいこととは存じますが、もう少しご自分の御身を大切になさってください。もしあの者が正しく不忠者だったらどうなさるおつもりだったんですか?》
    《明々白々だろう》
    《?》
    《あそこに居る守備隊がここに突っ込む》
    《”御身を”!”大切に”!”なさってください”っ!》

    流石ミレニアムへ単騎潜入されたお方、私の言葉はどこ吹く風か。
    実際、言葉には出さなくとも何かを感じ取っておられるのだろう。

  • 110五泉ラクル(合計値アワセ視点)25/07/09(水) 00:14:23

    『百合園様がお帰りになられます。開門!』
    《また来るよ》
    『歓迎いたしますわ』

    …サンクトゥス派首領、百合園セイア。『予言の大天使』。
    彼女には、方程式の解を先に見通す不思議な力がある。為政者としては、これ程ありがたい個性も無いだろう。自身の行動は、その方程式に基づけば自ずと最善手を打てるのだから。
    今回の件も例外では無い筈だ。事前に大丈夫だと分かっていたから近付いた、それで話にカタがつく。

    《…だけど、あんまりじゃないですか。侍衛に秘め事なんて》
    《ん、何か言ったかい?》
    《重要な事でありません。お気になさらず》

    悠然と、歴史を感じる大階段を踏み締める。この後は別車両に乗車だったかな。

    《…あ、すまないアワセ。伝えそびれていた》
    《はい?》
    《君にあの咎人、五泉ラクルの監視を頼む》
    《かしこまりましt…たっ?》
    《手段は問わない。但し、接近してくれ。以上だ》
    《あっ…あっ…?!》

    ふと、1時間前に言われた事を思い出す。《…そうだアワセ、君にも来て欲しい。後で頼み事をする》…!!

    《百合園様、桐藤様からの言伝がございます》
    《車内で聞こう。それじゃあアワセ、頼んだよ》
    《あっ…》

    そうして、ドアは閉ざされた。無情に、私と主を引き裂いて。

  • 111合計値アワセ25/07/09(水) 00:23:27

    >>109あった方が分かりやすいとは思うよー

    (ssルート分岐多すぎて全然筆が進みません…)

  • 112屋比久ルル25/07/09(水) 00:33:31

    94まではなんとか発言者わかったけどそこからわからなくなったから名前はいると思う…

  • 113二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 08:45:09

    ほしゅー

  • 114二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 16:26:26

    やすもり

  • 115二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 22:26:01

    >>111

    応援してるぞ!

  • 116黒埼イチ25/07/10(木) 07:04:54

    名前は登場人物が多い時はマジで分からなくなるから名前はつけた方がいいかもな

  • 117二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 15:35:09

    保守

  • 118二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 18:38:17

    >>111

    頑張ってください!

  • 119五泉ラクル25/07/10(木) 21:26:59

    ヒナタ『はい、このお部屋です!』
    ラクル「えっ、いっ、良いんですか?!こんな立派なお部屋に入れていただいて…!」
    ヒナタ『?これが一番一般的な寮舎ですよ?』
    ラクル「はえートリニティすっごい…」

    私がこの地で目覚めて数時間。危うく路頭に迷うところだったが、ここの寮舎を『あくまで償いの為に』貸してくれるらしい。ここの組織は普段からそういう活動をしているから問題無いそうだ。こうなると、あの時右折しなかったのは正解だったんだな…。

    ヒナタ『あ、でも確かに他のお部屋よりは大きいかもしれませんね!三人部屋ですし、フロアの角ですし!』
    ラクル「三人…ですか」
    ヒナタ『はい!お世話係という事で、もちろん一人はイチさんですね』
    イチ 『よろしくお願いしまーす!』
    ヒナタ『後もう一人、いらっしゃるんですが…』
    イチ 『丁度いないねー』
    ラクル「…ちなみに、どんな方か伺っても?」
    ヒナタ『どんな方?えーっと…』
    イチ 『あのね、ハッシゃんはあんまり喋らないんだけどね、よく遊んでくれるの!』
    ラクル「ハッシゃん?」
    ヒナタ『ああ、名字ですね。発師さんっていうんです。出発の発に師匠の師で』

    おお、久方ぶりに会う珍しい名字仲間だ。ヒナタさんも大概レアな名字だけど、やっぱりこう、漢字がストレートに分からない同志と会うと少し共感性があるね。

    ヒナタ『何でも産まれが三大派閥とも分校とも違うとかで、一部から新興勢力とも見做されかけてr…』
    イチ 『ねえねえヒナタちゃん!あれ渡さなくて良いの??』
    ヒナタ『え…?あ、ああそうでした!ラクルさん、はいこれ』
    ラクル「これは…銃?ですか?」

  • 120五泉ラクル25/07/10(木) 21:28:31

    ヒナタ『ええ!サクラコ様から渡してあげてと言われました!【流石に銃の不携帯は危険すぎるから】、と』

    そう言われて手渡されたのは、一丁のHG。誰かのお下がりだろうか、少しだけボロが見える。

    ラクル「貰っちゃって良いんでしょうか、部屋も充てがってくださったのに…」
    ヒナタ『備品なので大丈夫ですよ!あ、でもかなり使い込まれた物なので、結構な割合で玉詰まり起こしたりするんですけど…』
    ラクル「む、なるほど」

    本当に、”持ってないよりマシ”というレベルの代物か。まあ半分軟禁されてる身だもんね私。

    ヒナタ『それから幾つか言伝を預かってます!お読みしますね!え〜っと…』
    歌住【『五泉ラクルさん、まずはお疲れ様でした。これからしばらくの間そこで暮らして頂くにあたり、幾つかして貰いたい事があります』】
    歌住【『まず、ヒナタさんから支給品の銃は受け取られましたか?もし渡されたなら、後ほど射撃テストをして頂きたく存じます。と言いますのも、そのデザートイーグルは正直かなりのオンボロでして…。ハッキリ申し上げれば、確率で撃てるか撃てないか、という代物なのです。備品管理室では、’コイントス’の愛称で呼ばれておりました』】
    歌住【『当たればこの上なく強力な良銃なので保管しておりましたが、”こんなもの支給されても怖い”という声から倉庫の奥で腐らせていたのです』】
    歌住【『ですがラクルさんは銃が無くても充分強いという事で、是非モニターになって頂こうと結論した次第です。どうか、その子の使用感を後日お聞かせください』】
    ヒナタ『次に服装ですが…』

    …コイントス、か。彼の賭けはウラかオモテか、二分の一で全てが決まるけど、多分その喩えは間違っている。
    実態は、賽に近いだろうな。撃てるか撃てないでなく、撃てないか、どれ程の威力で撃つか。銃撃戦になったら、かなり足を引っ張りそうだ。
    …良いじゃん、良いじゃんコレ!!そうだよ、そういうの欲しかったんだよ!!物品管理担当って確かこの人だよね?そうだよね!

    ヒナタ『…以上が伝言全文d…きゃっ?!』
    ラクル「若葉さん!ありがとうございますっ!!」
    ヒナタ『…???どう…いたしまして?』

  • 121黒埼イチ25/07/10(木) 22:59:36

    突然テンションぶち上がるの本当笑えるな!

  • 122屋比久ルル25/07/10(木) 23:04:12

    大丈夫?銃に興奮して服装の指定とか聞き逃してない?

  • 123二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 00:08:41

    ヒトエさんやっと出てきたと思ったら物凄い設定引っ提げてきて草

オススメ

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