- 1五泉ラクル25/06/25(水) 01:39:33
《注意》
このSSはオリキャラが五人登場する、かなり独自色強めの作品です。
キャラ設定に関して気になる方は、以下のスレまとめをチェック!
以上を踏まえ、それでも読んでくれる優しい人は、
ミラクルdice1d5000=923 (923) していってね!
ミラクルdice1d5000完成するまで食べられません | Writening「ミラクルdice1d5000完成するまで食べられません」のスレまとめだぞ 編集用パスワードは「みらくる5000」だ 事の発端の初代スレ https://bbs.animanch.com/board/5179914/ スレ2 https://bbs.animanch.com/bo…writening.net - 2五泉ラクル25/06/25(水) 01:41:29
- 3五泉ラクル25/06/25(水) 01:42:36
「んむ…」
自分のヘイローが点る音がする。いつの間にか寝てしまっていたらしい。
シンとした大部屋に無数に置かれる長椅子、その一つに私は座っている。
「ここ…あれ?」
寝ぼけ眼で辺りを見渡せば、パイプオルガンとステンドグラス。トリニティの聖歌隊室だとはすぐに分かった。
でも何故だろう、私の見知っているその部屋と違う気がした。
もっとこう、貧相な…。徐々に明るくなる意識の中で、これが夢ではない事に気付く。
焦点を合わせ見てみれば、ここは私の知る部屋じゃない。細部に所々差異がある。
「誰か…誰か…!」
人気を求めて立ち上がるが、誰もいない。
ふらふらと長椅子の間を彷徨うも、誰もいない。
一人は嫌だった。一人は嫌いだった。
「誰か…私を…!」
見つけて欲しい、そう声に出そうとした時。
『……〜♪』
「っ…?」
歌が聞こえる。小さな声で。
讃歌が聞こえる。楽器の音は聞こえないのに。
何も分からないまま、どこかも分からない場所で、誰のものか分からない讃美歌が聞こえる。それでも、思ってしまった。
「たのしそう…」 - 4五泉ラクル25/06/25(水) 01:43:39
『〜〜〜♪』
歌声はさっきより少し大きくなった。顔も見ていないが、よく分かる。あぁ、この歌が好きなんだなと。
「…!」
音の在り処を目で追うも、どこにも人の気配がない。
だが分かる。この音は蓄音機のものだとか、そういうんじゃない。きっと、人がいる。
目を閉じて、音を辿った。誰もいない聖歌隊室のその最前列へ、近付いていく。
やがて私はパイプオルガンの前まで辿り着く。歌声は確かに大きくなっていた。
『〜〜〜♪……?』
しかし、歌は途中で途切れてしまった。私の長い長い髪が地面に擦れる音も再び聞こえだす。
「ぁ…」
掠れた様な、小さな声しか私の内から出てこなかった。今まで遠くから聞いていた讃歌より遥かに小さな声。
私は、いつも見つけてもらえない。だからいつも一人ぼっちだ。
せめてこんな知らない場所なら、一人くらい、盲人でも構わないから案内して欲しいのに。
「まあいっか…外に出れば…」
瞼を開けて振り返る。既に西日であろう陽が射す正面扉を視界に収めた、いや収めようとしたその時だった。
私の視界は先程まで居なかった人物の輪郭を捉える。
いや、みんなが思う程遠くじゃなくて、真後ろに。
『ばぁーーっ!』
「うぇぁあっっ?!な、何ですか…!」 - 5五泉ラクル25/06/25(水) 01:44:44
『ビックリした?ビックリした?!』
「ビックリしましたよ…!」
『やったぁ!』
見れば私より若干小柄な修道服を着た少女が、私を驚かせた事に機嫌を良くしている。
…なんか気分悪いなぁ、折角渇望してた初エンカウントなのに。
いや、盲人まで望んだ私の言える事ではないか。切り替えて、彼女の容姿を見た。
この間5秒の間に向こうはずっとこちらを見て笑っているので、そのシスター服の傍をつまんで指で擦る。布が上等で柔らかい。
そしてふと気付く。あれ、この子の声、歌ってた子かな?
「ねえ、貴女もしかして歌ってた子?」
『うん!サンクトゥス、大好きなの!』
あの歌はそういう名前なのね。私のいた場所では聞いた事がなかった。色々な返答が思いついたけど、どことなく全てこの子にかけるには正しくない気がした。
『んね、君名前は?』
「名前?五泉ラクルよ、初めまして」
『イチはイチ、黒埼イチ!イッちゃんで良いからね!』
彼女はそう言うとまた無邪気に笑っていた。何となくその髪を撫でると『ひゃー!』っとリアクションしてくれた。 - 6五泉ラクル25/06/25(水) 01:45:47
『イチね、最近聖歌隊に入れたの!頑張ったの!』
「それは…おめでとうございます」
『えっへへ』
笑顔が絶えない子だなと思っていたら、なるほど聖歌隊。じゃあこの建物の所在も説明してもらえるだろうか?シスター服を見た時からずっと考えていた事だった。
…でも無理かもなあ、些か印象が無垢すぎる。きっぱり”分かんない!”と断られても「そっかあ…」と返す自信がある。今だってさっきの歌の冒頭を楽しそうに口ずさんでいる。
…いや、やっぱ聞かない手はない。地元民なんだから道案内くらい出来るでしょう!
「あの、私実は迷子なんですけど…」
『〜〜♪…っえ、そうだったの?!』
「ここがどこか分からないんです。家に帰りたくて…」
『まっかせて!まずここはね〜…』
良かった、杞憂だったらしい。そうだ、言動は幼いけど大体同い年の生徒なんだよね。ワザとらしくぽんぽん腰を叩きながら扉を指差す彼女に着いていく。その時、クゥとお腹の音がした。
同時に黒埼さんも立ち止まってしまった。
「あの、あの…」
どうかしましたかを言うのに一歩躊躇う。他者から見ても彼女が何を求めているか分かるからだ。
「お腹、減っちゃいました…?」
『うん…』
私の元居た場所も似た様なものだったから偉そうなことは言えないけど、施しを与える立場のシスターが飢えるのは、いかがなものか。うーん、私は今ちょっとした暗部を見ているのかも知れない。 - 7五泉ラクル25/06/25(水) 01:46:47
暗いなら、照らさなきゃね。せめて手元だけでも。
「あの、コレ…」
『…?けーき…?………っ?!ケーキ!』
「人前には出さないんです、特別ですよ?」
『どこにこれ入れ…いや良っか!食べてもいい食べてもいい?!』
「召し上がれ?」
あぁ、おいしそうに食べるなあ。チョコが度々服に付きそうになる。
このシンとした聖歌隊室の真ん中で、もっと言えばオルガンの膝元という神聖な場所で、二人でケーキを囲む。
まだ目が覚めてから数分しか経っていないけど、なんだか既にここに私が居る意味は有った様に思える。
突然知らない場所で知らない少女に持ち物のケーキを渡す、夢にありそうなシチュエーションで良いじゃない?
そんな無邪気な少女はよっぽどお腹が空いていたのか、そこそこ大きなサイズのそれをほぼ一人でペロリ平らげた。
『美味しかった!ありがとうございました!』
「チョコチョコ、口元に付いてますよ」
シスター服の裾で口元を拭う彼女を見ていたら、少し元気が湧いてくる。どう形容したら良いか分からないけど、これこそ存在意義の証明というか…。
そんな考えも過ぎったが、違う違う。所在だ所在。まだここがどこなのかすら聞いちゃいない。
「それで、話の続き…」
『あっそうそう!ここがどこかだよね!えっとね、君は迷子だからね〜多分大丈夫なんだけど〜』
…ん?何故か外が少しバタついている様な?扉から一番離れたこの場所からでも、先程までは気配すら無かった多くの人間の喧騒…というか怒号が聞こえた。
『この部屋はね、聖歌隊室じゃなくてね?』
『カモフラージュされた秘密管理室なんだよ!』 - 8五泉ラクル25/06/25(水) 01:47:49
瞬間、ちょっとした熱風と怒鳴り声が繊細化した私の左半身を打ち付ける。
『見つけましたサクラコ様!パイプオルガンです!』
『お手柄ですマリー!可能ならその場で確保を!』
『わっわっ、わぁ…!』
数人のシスターが銃剣を持ってこちらに突撃してきている。会話は聞き取れなくても穏やかで無いのは見てとれた。
『ミラクルちゃん、こっち来て!』
「ミラクr…私?!私の名前ですか?!」
『早く!バリケード突破されちゃうよ!』
バリケードとはなんだと振り返ると、数秒前までは無かった立派な壁が出来ている。少し前まで整然と並んでいた、長椅子で。
あの、それより私迷子なんです!巻き込まないでください!そう言うだけの時間と相手と体力リソースは、私の前に無かった。言われるがまま、パイプオルガンの階段を再び駆け上る。
『あ、あ…?!サクラコ様!シスターでない者が一名!機密管理室に侵入中!』
『ふざけないでください!またあの子のデコイですか?!』
『分かりません!初めましてさんです!』
『でも変わりません、私もそちらに急行しているのでそれまでに何とかして下さい!今日は百合園セイアさんもいらっしゃっている日なのですよ?!』
『な、何とかって言われても…!』
…あっちはあっちで大変だなー…、私は本当は要救助者なんだけど…。
『ミラクルちゃん!運良いよ!今日は発砲出来ない日だよ!』
「最悪ですよ?」
この子も小慣れてる感じ、常習者かあ…。ああ、聖歌隊に入るのに『頑張った』ってそういう…。 - 9二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 02:19:36
たて乙ー
私もちゃっちゃとアワセのss書かないと - 10黒埼イチ25/06/25(水) 04:08:38
スレ立て乙!ずっと待ってたぜ!
- 11屋比久ルル25/06/25(水) 05:55:14
建て乙です
- 12ヒトエ*500025/06/25(水) 06:25:15
きた!
- 13二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 07:33:59
倫理観7はやっぱりやることが違うなぁ
- 14屋比久ルル25/06/25(水) 12:15:44
安心できるのは既に倫理の最低値がでていることだが…最高値でも60いかないんだよな…
- 15黒埼イチ25/06/25(水) 12:23:10
倫理観高い順でこれってやべぇだろ…
発師ヒトエ 倫理観57
五泉ラクル 倫理観23
合計値アワセ 倫理観22
屋比久ルル 倫理観12
黒埼イチ 倫理観7 - 16二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 18:46:50
>>15でもヒトエって補正ありで57だから無かったら倫理観イチと同じ7なんだよね
- 17二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 20:55:52
まぁ10スレ近くずっとダイス振ってるは、もはや狂ってるからなダイスの女神が倫理観がないと判断しても仕方ない
- 18五泉ラクル25/06/25(水) 21:20:49
『突撃ーっ!』
そうこうしている内にバリケードを越えられた。当たり前だ、こっちも撃っていないから。
『ミラクルちゃん銃無いの?』
「すみません、実はさっきから無くて…」
『ケーキは持ってたのに?!』
私はこのまま捕まっても正直構う事無いんだけど…。
『ま良いや、逃げよ!着いてきてね!』
こう言われると私は断れない。でも、逃げるってどこへ?
「逃げるってどこへ!?」
『ここ!』
「…?!?」
段上の手すりを蹴り飛ばした彼女は、そのまま恭しく掲げられたトリニティの長旗をむんずと掴み、そのまま上へと登っていった。
『サクラコ様ぁ!ステンドグラスまで逃げられましたあ!』
『くっ…今度は何で登りました?!』
見ている分には面白い。僅かな足場を頼りにひょいひょいと、石造りの内壁を伝っていく。
…あれ、そういえば逃げ出せるのって今しかないような…。
『とりあえずそっちは後です!あの方を!あの方だけでもぉ!』
「…ぁ」
見ると階段の下へ既に十人弱のシスターが接近していた。 - 19五泉ラクル25/06/25(水) 21:22:21
ここで降参すれば、まだ迷子の一般人として扱われるよね?シスターだもんね?迷える子羊を導くのが役目だもんね?
そう思って、こちらに抵抗の意思が無いことを伝える。その為に一歩足を踏み出した。
『目ぇ瞑って!』
直後、私とシスターの間に何かが上から落ちてくる。ある程度聴力と瞬発力のある者は全員、瞬きのタイミングを同じくしただろう。しかし、多くのシスターはダメだった。突如として出現した強烈な光に、視界を奪われたのだ。
それは、私が共犯と見做されるに十分な一撃だった。 - 20五泉ラクル25/06/25(水) 21:24:29
『うぅ…うわぁーっ!』
『目がっ…!』
最初に和解の為踏み出した一歩は、そのエネルギーを保持したまま逃走目的の筋肉に切り替わる。
最初にこの部屋で目が覚めてからここまで15分!なんでこんな目に遭うの?!
「同じ方走ります!せめて援護してください!」
『はーい!』
『…?!迎撃準備、迎撃準備!発砲許可をっサクラコ様ぁ!』
『セイアさんに聞かれるからダメです!』
なるほど、こちらが一発でも撃たない限り、向こうも銃縛りしてくれるのか。正確には撃てないだけど。
それなら話は早い。白兵戦だ!…白兵戦かぁ…。 - 21黒埼イチ25/06/25(水) 21:39:08
戦闘120なだけあってやっぱり強いな倫理観がないからこんなことになってるけど…
- 22ヒトエ*500025/06/25(水) 22:06:39
倫理観って重要だな
- 23屋比久ルル25/06/25(水) 23:08:54
そういえば私が元の子、倫理ワースト2なんだよな…あんまりダイスは投げてないはずなのにどうして…?
- 24二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 04:36:02
diceスレがSSになってる…
- 25二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 11:12:29
>>23周りが投げ過ぎてそれに参加しただけで倫理無いって判断されたのかもよ?