【閲覧注意】美鈴「すー……すー……」【本当に注意】

1◆WsV5Czf1Hs25/06/27(金) 19:27:41

もちろん今回も閲覧注意です、ブラバ推奨です。
でも比較的マイルドかも。

……まあ色々と思うところはありますが、とりあえず残り三人なんで嫌じゃない人だけ見てやってください。

では以下本編。

2◆WsV5Czf1Hs25/06/27(金) 19:28:46

「ふわぁ……」

　よく晴れた日の昼下がり、絵の具を縫ったように爽やかな晴れ空の下、木陰で昼寝をしているわたしを起こしたのは、一瞬強く吹いた風によって揺れる枝葉の音と、それから──。

「……イヤな風」

　やけに心地の悪い、生ぬるい不快感だった。

3二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 19:33:52

NIA発表された日にこれか……！

4二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 19:40:03

うおぉ来たあぁ…
正直今日は来ないかもと思ってたから嬉しいぞ…

5二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 19:42:18

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6◆WsV5Czf1Hs25/06/27(金) 19:44:23

「秦谷さん。あまり一人で行動しないほうがいいと、前にもお伝えしたはずですが」
　
　教室への道すがら、スラッとした痩躯をスーツで覆う、いかにも聡明そうな男性に声をかけられた。眠気を誘うような、低くて、それでいて優しい声音。
　顔を見ると、少しだけ、見知った人。
　"Re;IRIS"。まりちゃんのいるユニットのプロデューサー。いや、"元"というべきか。
　もう、藤田さんと花海さんはいないのだから。

>>7

7二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 19:45:23

>>6

すでに二人死んでる……！？

8◆WsV5Czf1Hs25/06/27(金) 20:00:34

「すみません。わたし、お昼寝スポットにはこだわる方なんです」
「それはいいですが、すべて命あっての物種ですよ」
「……それもそうですね。素直に従うことにします」
「ぜひそうしてください。きっとあなたまでいなくなれば、月村さんはいよいよ塞ぎ込んでしまうかもしれません」
「そうですね。ご忠告、感謝します」

　わたしがお辞儀をすると、プロデューサーは小さく息を吐き、後頭部をぽりぽり掻きながら去っていった。
　わたしはその背中に向かって聞こえないように呟く。

「もう、遅いと思いますけれど。──佑芽さんの、彼氏さん」

9二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 20:06:45

あれっ、これまさか……

>>13

10二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 20:07:55

食べられた後かぁ

>>13

11◆WsV5Czf1Hs25/06/27(金) 20:10:20

　アイドル達の連続失踪事件は今も続いており、ほんの数日前には倉本さんと花海さんが消えた。
　わたしはある種確信を持っていた。
　これは"失踪"でもなんでもないし、きっと最後の一人まで終わりは来ない。いずれ自分の番がくる、と。
　だからわたしはプロデューサーに言ったのだ。
　もう遅いと。

　その日の夜、開けていた窓から差し込む風で目が覚めた。

12◆WsV5Czf1Hs25/06/27(金) 20:25:10

「ふわぁ……」

　ぬるい風が差し込む窓を閉めようと、ベッドから身を起こす。
　ひらり。レースのカーテンが一瞬揺れて、ちらっと外の様子が目に入った。

「まりちゃん……？」

　わたしの目に飛び込んできたのは、なにやら立ち話をしているまりちゃんと紫雲さん。こんな時間に二人でこっそり会っているなんて、一体どんな関係……？
　今すぐまりちゃんのところへ行って問い詰めたかったけど──やめた。
　なんとなく、その方がいい気がしたから。

　次の日、紫雲さんが"失踪"した。

13二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 20:26:14

>>9

>>10

どゆこと……？

>>16

14二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 20:27:04

グール過ぎると繋がってる？時系列覚えてないけど

15二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 20:27:09

確信あるけど一旦見とこう
どっちの楽しみ方も出来るだろうし

16二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 20:30:08

>>13

この世には知らない方がいい真実だってあるんだよ

17◆WsV5Czf1Hs25/06/27(金) 20:41:00

　偶然だろう。そう言い聞かせるのに必死だった。
　確かに夜中、まりちゃんと紫雲さんは一緒にいた。でもだからって、紫雲さんの"失踪"にまりちゃんが関係あるとは思えない。思いたくない。
　そうだ。まりちゃんにそんなことできるはずがない。もしまりちゃんが犯人だったんだとしたら、絶対何か痕跡を残すはず、わたしにはわかるはず。完全犯罪なんて、あのまりちゃんに出来るはずがないんだから。

18◆WsV5Czf1Hs25/06/27(金) 20:50:29

二日後、わたしは再び夜中に目が覚めた。飛び跳ねるように窓の外を見る。誰もいない。よかった、落ち着いた。

　ひた、ひた、ひた。

　足音が聞こえてきた。二人分。何か話してる？

「珍しいね、こんな夜中に」
「最近色々怖くて、寝られなくて」
「そっかそっか。じゃあ私がお姉さんとして、手毬ちゃんを安心させてあげるね？」
「そ、そういうワケではないんですが……おねがいします」

　聞こえてきたのは、そんな会話だった。まりちゃんと莉波先輩が一緒にいるらしい。
　声と足音はわたしの部屋の前を通過して、やがて聞こえなくなった。

「まりちゃん……。わたしに頼ってくれればいいですのに」

　二人でどんな会話をするのだろうか。
　妙に気になってしまったわたしは、やけに騒ぐ心臓の音が外に漏れないように気を付けながら、静かに部屋のドアを開いた。

19◆WsV5Czf1Hs25/06/27(金) 21:04:35

　まりちゃんの部屋の前に立つ。ここに、二人は入って行った。
　別に、なんてことない。ただ、わたしの預かり知らぬところで二人が何をするのか、どんな話をしているのか、少し気になるだけ。
　まりちゃんの部屋のドアは少しだけ建て付けが悪い。顔をつければ、サッシとドアの隙間から中の様子を覗（うかが）うことができるのだ。
　わたしは、ドアが音が立てないようゆっくりと──────。

20二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 21:04:56

知ってるようで知らない世界線だ…

21二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 21:05:57

あっ、グーグルのやつかぁ！

22◆WsV5Czf1Hs25/06/27(金) 21:16:44

　人間、驚くと却って声が出なくなるらしい。
　今のわたしが、まさにそんな状態だった。
　ぐるぐると視界が回っているのがわかる。
　ぐちゃ、ぐちゃ。固まり切らないセメントの上を歩くような、粘ついた音が耳に響く。
　ごり、ごり。骨を砕く音が、空気を震わせる。
　ぴちゃり、ぴちゃり。莉波先輩の中を流れていた人の証明が、締まりの悪い蛇口のように滴っている。
　何をしているの？
　食べている？
　どうして？
　どうして莉波先輩を？
　どうしてまりちゃんが？

　──どうして、わたしじゃないのだろう。

23二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 21:23:07

だって美鈴、肉付き悪いし…
その点、姫崎先輩はお肉柔らかそうで美味しそう

24二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 21:23:20

おっ……ほ…………

25二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 21:31:53

お前を守るためなんだぞ……

26◆WsV5Czf1Hs25/06/27(金) 21:34:13

　ひゅう、と。喉が鳴った。
　まりちゃんが跳ねるように顔をあげ、こちらを向いた。
　泣いている？
　いつも何かを食べるとき、すごく幸せそうな顔をしているまりちゃんが。どうして、そんなに悲痛に歪めた瞳をしているの？

「美鈴」
　　
　まりちゃんが独り言のような声で囁いた。

「助けて……。助けて、美鈴」
　
　ぎゅうと、胸が締め付けられた。
　心拍が上がる。
　わたしは今、どうしようもなく、幸せだ。

「はい。助けますよ、まりちゃん」

　何をしてほしいですか？

27二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 21:37:06

まりちゃん担当わい氏、胸が締め付けられてどうにかなりそう

28◆WsV5Czf1Hs25/06/27(金) 21:49:53

　全く、本当に堪え性がないんですから、まりちゃんは。
　今さっき食べたばかりなのに、まだ足りないんですか？
　ええ、構いませんよ。けれど、食べた分運動をしないと、またまりちゃんのプロデューサーに怒られてしまうのではないですか？　

　きこえる。
　ぐちゃ、ぐちゃ。わたしの肉を喰（は）む音。
　ごり、ごり。わたしの骨を砕く音。
　ぴちゃ、ぴちゃ。わたしの血が垂れる音。
　何も見えない、何も感じないけれど、その音だけは聞こえている。

「美鈴、ごめんね、ごめんね」

　謝る必要なんてないんですよ、まりちゃん。これはわたしが望んだこと。
　でも──そうですね。謝って欲しいことがあるとしたら、一番最初にわたしに頼ってくれなかったことでしょうか。
　けれど、それももうどうだっていいんです。
　こうやって、最期にまりちゃんのためになることができたんですから。

　ああ、意識が薄れていく。せめてもう一度、まりちゃんの顔を見たかったけれど、それは叶いそうにありませんね。

　
　──さよなら。
　　　　　消えていく。
　　　　　　わたしのままで──

おわり。

29二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 22:00:12

完走お疲れ様でした……
解説というか後語りがちょっと欲しいです…

>>31

30二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 22:01:34

このレスは削除されています

>>33

31◆WsV5Czf1Hs25/06/27(金) 22:03:47

>>29

私がこの手のスレを立て続けるきっかけとなったスレがありまして、ざっくり言うとそのスレの美鈴視点、という感じです。

🎲手毬「それって私が」｜あにまん掲示板dice1d3=@2 (2)@1「クールすぎるってこと？」2「グールすぎるってこと？」3「グーグルすぎるってこと？」bbs.animanch.com

このスレですね。

32二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 22:04:05

乙
グールの終わり方マジでダイスの導きだったなってなった

33二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 22:05:22

>>30

え、なんかあったんすか

34葛城リーリヤ（異常葛城愛者）25/06/27(金) 22:07:55

もう使うつもりなかったんですが、このコテハン使ってた自分のせいでスレ主さんがだいぶ被害受けてね
一応最後にこれで顔出しますね
本当にスレ主さんには申し訳ないことをしてしまったです。

>>37

35◆WsV5Czf1Hs25/06/27(金) 22:08:13

美鈴は多分まりちゃんにならたとえばこういう形であっても頼られることを喜ぶだろうな。
でもその場面を見ている人（この拙作を読んでくれている人たち）はかなり辛いだろうな、という考えです。

リーリヤの日記としゅみたんの鍵アカのように、原作でも特にその関係性が深いキャラは少し関連性を持たせようと思っていたので、今回は同じストーリーをなぞるかたちにしてみました。

ラストがツキノカメの歌詞を引用してますが、手毬グールのやつも曲の歌詞を文中に混ぜているので、そのあたりも少し意識しました。

解説おわりです。

36二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 22:08:18

このレスは削除されています

37◆WsV5Czf1Hs25/06/27(金) 22:09:48

>>34

いや、全然謝ることじゃないと思います！

ただちょーっと気になってスレ覗いたら、うわーこれ絶対俺のことじゃーんって勝手に自意識過剰発動しただけなんで！

多分あなただと思うんですけど（違ったらごめんなさい）、俺のリーリヤスレ盛り上げてくれてありがとう！！

>>40

38二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 22:11:44

なるほどそんなことが
とにかくお疲れ様でした、
めっちゃ面白かったんで次回作も楽しみにしてます

39二次元好きの匿名さん25/06/27(金) 22:12:14

乙です！
まさか手毬担当Pが2度も曇らされる事になるとはこのリハクの目を持ってしても見抜くことができず…