- 1二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:02:15そう言う彼の目は真剣に私を捉えていた。普段見てきた、何処か頼りなさげな眼差しはそこには無い。 「そんな…私は…」 「僕の気持ちは今言った通りだ。君といると幸せな気持ちになる。君とこれからを永く過ごしたいんだ。君の方はどうだい?君は僕の事をどう思っているんだ?もし、僕と同じ気持ちなら…」 そういい彼は手を前に差し出した。以前、イズマ・コロニーで差し出してくれたあの時と同じで。 (私、愛されてるんだ。この人に…) 「それは………私は、貴方のことが…」 次の瞬間、視界がぐわんと歪んだ。そして目の前には見慣れた天井が映し出された。 (……………ハァッ(ため息)。まただ) ベットから起き上がり、夜空を見上げる。まだ夜だ。 数週間前から、こんな夢をよく見るようになった。夢の中の私は、エグザベ少尉から告白される。そして私が返事をしようとすると夢から覚める。 (こんなのはただの都合のいい幻だ。どんな時でも私を受け入れ、側に居てくれる存在。それを生み出す為に、身近な人を都合よく投影しているにすぎないんだ) でも、一つ気になった。何故マチュでもシュウちゃんでもなく、エグザベ少尉なのだろうか。 「なんで、エグザベ少尉なんだろ」 解釈違いだったら、すいません。脳内に思い浮かんだ物を敢えて吐き出して見ました。 
- 2二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:10:22ふむ…続けて? 
- 3二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:11:40昨日今日で急に湿度高いスレが増えてよ… 
 何か供給あったっけか?
- 4二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:13:00分かる分かる分かる分かる分かる分かる分かる分かる 
- 5二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:20:20少しベットの上で寛いでいたら、朝はやってきた。どんなに世界が大きく変わっても、時間の流れは変わらないようだ。 
 「おはよーニャアン。早起きだね」
 「おはようマチュ。マチュだって早起きしてるじゃん」
 寝ぼけ眼を擦りながら、マチュが目を覚ました。私達は今、地球のある場所で暮らしている。あのイオマグヌッソの一件から1ヶ月が立った。私もマチュも、脛に傷を持っている。だからあまり目立った生活が送れない。
 あの戦いの後、シャリア・ブル中佐という人の助けを借り、地球で逃亡生活をしているのだ。
- 6二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:21:38ちょっとよく分かんないからもうちょっと続き見てから決めるか 
- 7二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:27:24地球ではマチュと2人暮らしだ。地球に逃げる際、逃亡資金と生活費として纏まった額を持っているが、それもいつ無くなるか分からない。私達は今、安いボロアパートでルームシェアしながら、日銭を稼いで暮らしている。 
 「ほらマチュ。料理ができたわよ」
 「やったー!ニャアンの手料理、大好き!」
 生活目的は分担している。掃除や料理などの家事全般は私がやる。マチュは日銭を稼ぐ為に外へと出ている。今日も私はいつものようにパンを焼き、その上に目玉焼きを乗せた。決して良い食生活とは言えないだろう。
 「・・・ねぇニャアン。最近寝つき悪いじゃん」
 朝食を食べ終えたマチュが唐突に話し出した。
 「別に、そんな事ないって」
 「でも今日だってニャアン。朝前に起きて、窓眺めて、それからずっとぼーっとしてたじゃん」
 マチュに見られていたのか。しかも口ぶりからして今日が初めてではない。何日も前から、見られていたのか。
- 8二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:35:38いっそマチュに話してみるのも一つの手か。悩みとは相談する相手がいるだけでかなり楽になる。 
 「・・・ちょっとね。最近、変な夢を見るようになって」
 「変な夢?悪夢でも見るの?」
 「そんなんじゃない。夢の中の私は、ある人から好意を伝えられ「それってシュウジ!シュウジのこと!?」
 会話を遮るようにマチュの目が輝き出した。
 シュウちゃん。マチュが呼んでいるシュウジとはイオマグヌッソの一件依頼、まだ会えていない。マチュはシュウちゃんにまた会える日を待ち侘びている。それは私も同じだ。でもシュウちゃんは夢とは違う。
 「ううん。その人はシュウちゃんとは違う。でも、私はその人を知っている。私がジオンにいた時、短い間だけど世話になった人だから」
 「その人が夢の中で言うの。私が好きだって」
 「告白!?告白されちゃったの!?」
 「夢の中でだけどね。でも私は、その答えを言う前にいつも夢から覚めるの。そんな夢を暫くの間、見続けてる」
- 9二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:47:19「ふーん。夢の中で告白されるのかぁ。で、返事は!?好きなの?振るの!?」 
 「それが分かんないんだよ。私自身、夢の中では嬉しい気持ちでいっぱいだった。あぁ、これから辛くないんだ。誰か側に居てくれるんだって」
 「…でも、夢から覚めるとその興奮も冷めていく。私、何考えんだろうって。都合の良い夢見てるなぁ、その人に何を求めてるんだって」
 何処か自嘲気味な笑みを溢しながら、私は食べかけのトーストの残りを食べ尽くした。
 「難民上がりの小娘が、童話に出てくる白馬の王子様でも待っているのか?自惚れ屋めって。そう思っちゃうんだ」
 カップに牛乳を注ぎ、飲み干した。重力に従い側面を垂れる牛乳の線には、道化な私が写っているんだろう。
 「…ニャアン。その人の名前と連絡先、ある?」
 「?スマホにあるけど。名前はエグザベ少尉って名前から」
 「貸して!」
 マチュに迫られ、スマホのロックを解除し渡した。マチュはスマホの画面をいじっていたが、やがて何かを見つけたのか、表情が晴れると、何かをやり始めた。
- 10二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:56:41相手がこの世界で生きてるのがマチュとの大きな違いかな 
- 11二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:03:20「はい!ニャアン!これ!」 
 少ししてからマチュはスマホを返してきた。返されたスマホからは何か小さな音が聞こえていた。
 「これ、一体何のおt「…もしもし、エグザベだけど、ニャアン、どうし「!?エグザベ少尉!?」
 「おっ、ニャアンか。良かった。声聞こえてたんだ。久しぶりだけど、元気かい!?」
 何でエグザベ少尉と電話が!?直ぐに答えは分かった。マチュだ!
 「エグザベ少尉、失礼しました!」
 相手の返事も聞かずに電話を切った私はマチュに詰め寄った。
 「ちょっとマチュ!何やってるの!?」
 「簡単だよニャアン!エグザベ少尉にニャアンが好きかどうか、気持ちを聞いて見るんだ!」
 「はぁっ!?」
 予想外の返答に素っ頓狂な返事が出た。何を言ってるのマチュ!。そう言おうとしたが、マチュの目を見てその言葉は飲み込んだ。
 マチュの目は真剣そのものであった。それこそ、夢の中で見たエグザベ少尉と同じ様に。
 「好きかどうかって。そもそも私はエグザベ少尉の事「嫌いなの?」
 「………」
 言葉に詰まってしまった。嫌いなんかじゃない。彼には沢山お世話になった。イズマで拾い上げてくれた事や、その後のジオンでの暮らしなど、彼には大いに助けになってもらった。そんな相手を嫌いになれるはずがない。
- 12二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:06:31いいね 
- 13二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:07:53「私は別に、嫌いじゃないけど …」 
 「じゃあ好きなんだ」
 「だからそうじゃないって!」
 「じゃあニャアンは、その人の事をどう思ってるの?」
 「…………」
 言葉に詰まってしまった。嫌いではないが好きだと言うことも憚られている。
 (じゃあエグザベ少尉って、私にとって…なんなの?)
 「聞いてニャアン。前、私に聞いたよね。シュウジの事が好きなのって。私はシュウジが好き!初めて会ったあの時から大好き!!」
 その目の輝き。マチュはシュウちゃんの事になると目を輝かせて話している。
- 14二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:23:43「でもね。ある時、クランバトルの対戦相手の人に言われたんだ。シュウジってどんな人なのって?」 
 「私はその時、その質問に答える事が出来なかった。シュウジの事が好きなのに、私ってシュウジの事何も知らないんだって思い知らされた」
 「その後に知ったけど、シュウジは薔薇を探してた。でもそれで知った気になってたけど、私はまだまだシュウジの事を知らなかった。シュウジが赤い彗星と友達だった事も、ララァが好きな事も、シュウジが向こう側の人だった事も」
 「だから私は!シュウジとまた会えたらいーっぱい聞くんだ!シュウジの事を!イズマ・コロニーから消えて何をしてたのか、ララァを好きになった経緯とか、シュウジってそもそも何者なのか!!」
 こどもの様に輝いた目。夢を語る無邪気な言葉。でもマチュの目からは絶対またシュウジに合うという絶対の決意と覚悟が感じとれた。
 「マチュ…」
 「ニャアンはそのエグザベって人の事を知らないんだ。何なら、ニャアン自身がその人をどう思ってるかを知らないんだ!なら教えて貰おうよ!」
- 15二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:34:50(私自身がエグザベ少尉をどう思っているか) 
 マチュやニャアンは私にとって大切な友達だ。色々あったけどその気持ちは絶対変わらない。
 (じゃあエグザベ少尉もそこに組み込まれるべき…?)
 そう思っても何故か心は晴れない。パズルで言うなら、片方の凹凸はピッタリ当てはまるが、反対側が違くてハマらない。この突っかかりは一体なんだ。
 「ほらニャアン!電話電話!早くしないと、電話に出なくなっちゃうよ?私はそろそろ稼いでこないと!今日勝てば今夜はパーリナイだよ!ピザとジュース用意しててね!」
 それだけ言うとマチュはデバイスとハロを抱えて飛び出してしまった。
 部屋には私とコンチだけが残された。
 「電話…………か」
 少しの間、スマホの画面と睨み合っていた末、履歴からエグザベ少尉へと再度コールした。
- 16二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:46:50数コールした後、エグザベ少尉は電話に出た。 
 「もしもしニャアンか?どうしたんだ?もしもし?」
 「……もしもし。ニャアンです。先程は急に電話を切ってすいませんでした」
 「あっ、ニャアン!久しぶりだね。さっき以来だけど…さっきの件なら別に気にしてないけど、一体どうしたんだい?」
 「………」
 電話をかけてみたが言葉が出てこない。喉の辺りまで来た言葉が口から出てこない。
 「………いえ、ちょっとエグザベ少尉の事が、気になって」
 「僕かい?僕は平気だよ。あの後もジオンに残って中佐の元で働いてるからね」
 「…その、平気だったんですか?あの後ジオンで」
 エグザベ少尉…いや、私もだ。私達はかつてジオンに所属していた際、キシリア様の派閥に属していた。ただ例の戦いでキシリア様は亡くなられた。その後キシリア派閥だった者達がどうなるか、あまり想像したくなかった。
 「…正直な所、後ろ指を刺される事も多くなったよ。元々僕は難民上がりだったし、その事を陰で言われる事も多かったけど、それが表面化して。でも中佐の働きかけで、そこまで冷遇はされてないよ」
 「そうですか………」
 違う。これじゃない。その後の心配も確かにあったけど、私がこんな事が聞きたかったんじゃない。
- 17二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 23:06:24「………その、少尉っ」 
 「ん?」
 「…少尉って、誰か側に居てほしいって思う時、あります?」
 「え?思うよ」
 素っ頓狂な程の返事が来た。
 「そうなんですか?」
 「僕だって一人ぼっちは寂しいよ。誰か側に居てほしいなんてしょっちゅう思うよ……少し、僕の過去の話をさせてくれ」
 少尉の声のトーンが下がった。これまで聞いたことのない少尉の声が、そこにはあった。
 「…前にも言ったけど僕はルウムの難民だ。あの戦争で家族も友達も亡くして、そんな中、僕だけが生き延びてしまった………通りかかった貨物艦に拾われるまでの間、ある考えが脳裏をよぎったよ。このまま死んだら、僕もみんなの元に行けるかなって」
 「そんな事を?」
 「でもね。同時に別の事も思ったんだ。ここで死んだら僕は、一生この宇宙を1人で漂う事になるのかなって。僕にはそっちの方が怖くて堪らなかった」
 「そうして結果的に僕は助かった。あの時僕は、拾ってくれた貨物艦の人達を見て、とても安心したんだ。もう1人じゃないって」
 「エグザベ少尉…」
 「あの時の出来事………今は落ち着いたけど、昔は悪夢をよく見て魘されてたよ。助けてってね…………変だな。この話は同期の誰にもした事ないのに、何で話しちゃったんだろう。ごめん、こんな暗い話をして」
- 18二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 23:21:54
- 19二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 23:27:11いい…… 
- 20二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 23:30:35「………エグザベ少尉でも、そんな事を思う時があるんですね」 
 「ははっ、かっこ悪いだろ?失望したかい?」
 「いえ、私の知ってるエグザベ少尉からは想像も出来なかったので」
 何故だろう。さっきの話を聞いて、私の中で何かが形になり始めた。同情でも、難民同士の傷の舐め合いでもない。私の中で少尉に対して何かが動いている。
 「こんな話、他の人にはしない様にしてるんだ…ごめん。もしかして、君にも辛い記憶を思い出させちゃったかい?」
 (他や人にはしない…そうだ。エグザベ少尉が話してくれたんだ。他の誰にもした事のない、過去の少尉の気持ちを…私に)
 (ニャアンはそのエグザベって人の事を知らないんだ。何なら、ニャアン自身がその人をどう思ってるかを知らないんだ!なら教えて貰おうよ!)
 マチュの言葉が脳裏によぎる。エグザベ少尉がどんな人なのか。それを教えてもらうべきだと。そして私自身、エグザベ少尉にどう思っているかを。
 (マチュの言った通りだったよ…)
 意を決して再び言葉を紡ぎ出す。今度は喉に詰まらず、思った言葉が出せる様になっていた。
- 21二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 23:43:38「エグザベ少尉。アレルギーってあります?」 
 「ん?アレルギーかい?特にないけど?」
 「以前、カオマンガイが食べたいって言ってましたよね。今度作って持っていきますよ」
 「……え?いいのかい?僕なんかに作っても?」
 「……私の料理。食べたくないんですか?」
 「いやいや!そんな事はない………ただ、好きな人の為にしか作らない様な料理を、僕が貰っていいのかなって…」
 「あの時よりは、少尉に対して好印象を持ってますよ」
 「そうか…嬉しいよ。ありがとう」
 それからは他愛のない雑談をしていった。私達の逃亡の手助けをしてくれたシャリア・ブル中佐が変なマスクをしていた事や、ジオン本国の建物のリフォーム案が出ている事。
 本当に取り留めのない話であった。だがニャアンにはそれが楽しい時間であった。
 「僕はそろそろ仕事があるから。ここら辺で」
 「じゃあエグザベ少尉。今度の休みにマチュを誘って顔を出しに行きますね。カオマンガイはその時に」
 そう言うとニャアンは電話を切った。電話をするまでにあった曇った表示は晴れていた。
 (今度の休みか…私はまだ、夢の私みたいに、少尉に対して正直に思いを伝える程にはなりきれていない。でも、もし次に夢を見る時が来たら、今度は正直に伝えられるかな………その前に、少尉自身に伝えられたらいいけど)
- 22二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 23:47:29時計を見る。時間は既に9時を指していた。 「さて、コンチ。そろそろ私達も買い物に行かないと。カオマンガイを作るから、今日は複数のスーパーを回って食材集めに行かないとね」 コンチは機械音を鳴らすと定位置につく様に私の頭への登ってきた。戸締りを確認し、部屋を出る前に、ニャアンは思い出した。 「そうだ。それとマチュに頼まれてたピザとジュースも買わないと。今夜はパーリナイだ!」 そう言い彼女は鍵をかけ、買い物の為に部屋を後にした。fin. これにて妄想吐き出しは終わりです。 エグニャアの加湿スレが多くあったので、あえて純粋にCP的な話があってもいいんじゃないかと思い、作成しました。妄想でエグザベ君には一部設定を付け足しました。 もし、楽しんでもらえたのでしたら、幸いです。 見てくださった方々、ありがとうございました。 
- 23二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 23:49:24良かったよ 
- 24二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 23:51:06良いSSだった 
- 25二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 23:51:26いいですねー 
 この後はゆっくりと進行するんだろうなって雰囲気がいい
 でもあんまりゆっくりしてるとお見合いとかでどっか行っちゃうからもしれないから急ぎ足でね
- 26二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 23:54:51はじまりって感じで良SSだった、ありがとう 
- 27二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 00:09:04こういうのでいいんだよおじさん「こういうのでいいんだよ」