【ホラー注意】森の中、二人だけの展覧会【ブルーロック】

  • 1スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 21:39:16

    ここは、森の奥にぽつんと建つ彫刻館。

    夜になると彫刻たちが動き出すとか、
    迷い込んだ人が消えるとか──

    いろんな噂があるらしい。

    静まり返った森の中。
    誰もいない展示室を進む二人は、何を思うのか。

    ※登場人物:御影玲王?・凪誠士郎?

  • 2二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:40:55

    スレ主感謝!楽しみ

  • 3スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 21:44:56

    このスレは、ブルーロックの登場人物による参加型謎解きホラーSSです。

    舞台は、とある山の中にある“彫刻美術館”。
    不気味な彫刻達からの出題に、二人は頭を悩ませます。


    ※プレイヤーの選択(安価)によって、ストーリーの視点が変化します
    ※ロスト/発狂/SAN値管理/戦闘なし

  • 4スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 21:46:33
  • 5スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 21:47:46

    ■キャラヘイトを目的とするものではありません

    ■キャラsage、腐発言、アンチコメはお控えください

    ■荒らしはスルーします

    ■基本的にゆっくり進行(社畜なので平日は特に)ですのでご容赦ください

    ■感想、質問、イラスト等頂けるとスレ主が大変喜びます

    ■広域ホスト規制に巻き込まれがちです。保守して頂けると幸いです

  • 6二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:47:47

    >不気味な彫刻達からの出題

    謎解き系かな?

    それなら白宝のふたりはかなり強そう

    期待期待

  • 7二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:49:11

    スレ主ありがとう ワクワク

  • 8二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 21:50:16

    ギャグの方落としちゃってごめんスレ主!
    面白くて続き楽しみにしてたんだけど保守漏れてしまった
    前々から予告されてた白宝の話楽しみにしてたから嬉しい〜!

  • 9スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 21:57:45

    >>2 こちらこそ引き続きありがとうございます!


    (なんか……ちょっと、マガカテピリピリしてる……?スレ主のせいか………)


    >>6 二人とも頭が良いですからね!最終決断は読者の皆様に投げますが!笑


    >>7 いえいえ!移行ありがとうございます!


    >>8 とんでもないです!お付き合い下さいましてありがとうございました!ギャグセンスをレベルアップさせてからまた挑戦します!!リクエスト頂いていたので、お待たせしてしまいましたがやっとスタートです!

  • 10二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:00:47

    ピリピリしてるのはスレ主のせいじゃないから大丈夫だよ
    トリップのアドバイスも多分万が一に備えてってことだと思うし

  • 11二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:04:03

    スレ主のせいじゃないと思うよ大丈夫
    スレ主のスレいつも平和進行だからありがたいんだよね

  • 12二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:22:11

    名前の横に?が付いてるのが気になる…ドキドキ
    前スレ落としちゃって申し訳ない…!でもスレ主のホラー好きだから今回のも楽しみにしてます!

  • 13スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 22:26:02

    皆様フォローありがとうございます…!おおよそ察しがつきました…。


    >>10 トリップ付けたことなかったので、一人でわちゃちゃしてました…親切からということであれば、真摯に受け止めなければ!


    >>11 争い事は好かないので……戦ったりするのは物語の中だけで十分です……笑


    >>12 ふふふ、最後まで秘密です!読んでいただけていたということが何より嬉しいので大丈夫ですよ!ホラーも気合い入れていきますので、どうぞよろしくお願いします!


    さて、皆様のお陰で不安も解消できましたので、早速始めていきます!

    平和かつ長く投稿を続けられるのは皆様のお陰です。この場を借りて感謝申し上げます。

    ホスト規制さえかからなければ日付変わるくらいまでは頑張ります!

  • 14スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 22:30:59

    暗く湿った森の中。
    小さな道を進むと、黒々とした外壁の建物が現れた。

    その前に、二人の少年が立っている。


    「……ここがそう、なんだよな?」

    「うん」

    「でかいな。思ったより……古いし。雨が降ったらすぐ崩れそうだ」

    「レオってさ、こういう場所、怖い?」

    「怖いっていうか……暗くて足元わかんないのがイヤだな」

    「だよね。俺も、なんか……落ち着かない」

    風が吹き抜けるたび、
    周囲の木々がざわりと音を立てる。

    耳元で誰かが囁いているように聞こえた。


    「……風、冷たいね」

    「森だからな。音も響くし」

    二人は足元の石畳を踏みしめながら、
    一歩ずつ扉へ近づいていった。

  • 15スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 22:38:28

    「誰もいないのかな。こんな時間に開いてるはずないけど……」

    「……でも開いてるだろ?鍵、かかってない」

    ドアノブを回すと、
    金属音が鳴ってわずかに扉が軋む。


    「やっぱり、ほら。……でもさ、凪、ほんとに入るのか?」

    「……レオは嫌?」

    「別に。凪が行くなら、俺も行く」

    「じゃ、決まりだね」

    扉に刻まれた紋様が目に入った。
    雨垂れで黒ずんだ模様が、どこか人の顔に見えた。

  • 16スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 22:40:34

    「……今、顔に見えた」

    「レオも?俺も、そう思った」

    二人は顔を見合わせると、
    どちらからともなく笑い合った。


    「行こう」

    「うん」

    扉がゆっくりと開く。

    湿った森の冷気が背中を押すように吹き込み、
    二人を暗い館の中へ誘った。

  • 17スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 22:45:50

    扉が音を立てて完全に開ききると、
    微かな埃と石の匂いが流れ出した。

    中はほの暗く、
    細いランプの明かりが床をぼんやり照らしている。


    「……暗いな」

    「大丈夫。足元、見えてる」

    二人は静かに靴音を響かせながら、
    ひんやりとした空気の中へ足を踏み入れた。

    入ってすぐに、大きなホールが広がっていた。
    壁や天井は深い色の石で作られ、
    冷たく音を吸い込むように静かだ。

    見上げると、頭上に吊るされた金属製のランプが、
    歪んだ影を床に投げかけている。


    「……誰も、いないな」

    「うん。でも、開いてたからいいんじゃない?」

  • 18スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 22:50:56

    奥の壁には大理石のカウンターがあり、
    そこには古いモニターと、
    電子チケット用の端末が置かれていた。

    画面には「WELCOME」とだけ表示され、
    名前を入力する欄が点滅している。


    「これ、俺たちの名前入れた方がいいのかな」

    「やってみるか」

    細い指で端末を操作する。

    文字を打ち込んだはずなのに、画面には一瞬ノイズが走り、名前が表示されないまま、元の入力画面に戻ってしまった。


    「……消えた?」

    「もう一回やってみる」

    再度入力を試みるも、
    やはりノイズが走り、名前は映らない。


    「……まあ、入れなくても大丈夫だろ」

    「レオって、こういうとき適当だよね」

    「凪が細かすぎるんだって」

  • 19スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 22:54:15

    二人の会話だけが、広いホールに反響していた。

    その音が、まるで誰かの話し声のように壁に跳ね返り、背後から聞こえてくる気がする。


    「……今、後ろで誰か喋った?」

    「……玲王が喋ったんでしょ」

    「俺は喋ってない」

    「……そっか」

    ホール奥には、
    展示室へ続く長い廊下が伸びていた。

    壁には「ENTRANCE HALL」と彫られたプレートがかかっているが、かすれた文字は読めそうで読めない。


    「……行こう」

    「うん」

    二人は互いを見て小さくうなずくと、
    廊下の中へと歩みを進めた。

  • 20スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 22:59:50

    長い廊下を進むと、重い鉄の扉が現れた。

    押し開けると、
    そこには屋根の高い広い展示室が広がっていた。

    石造りの床の中央に、
    巨大な黒い彫刻が4体並んでいる。


    「……なんだこれ」

    「全部、人の形……剣を持ってるのもいる」

    四体は互いに少しずつ向きを変えて立ち、
    あたかもこちらを囲むように並んでいる。

    光の届かないはずの顔だけが、
    微かに濡れたように輝いている。


    「不気味だな……」

    「でも、かっくいーね」

    展示室の壁際には、古びたプレートが置かれていた。

    □「勝利の幻影」
    □「自由の幻影」
    □「声なき英雄」
    □「縛られた勇者」

  • 21二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 23:02:49

    台詞の前に名前がないの不穏やなぁ

  • 22スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 23:07:50

    「……幻影ばっかりだ」

    二人が彫刻に近づこうとしたとき、
    唐突に四体のうち一体が、
    石の軋む音とともに首をこちらに向けた。


    「……今、動いたよな?」

    「……動いた」

    誰も触れていないのに、彫刻の目が開き、
    黒い瞳の奥から小さな声が響いた。


    『選ばれし者よ──答えよ』

    空気が冷たく張り詰め、
    二人は思わず互いの袖をつかむ。


    『世界にとって本当の“自由”とは何か?』

    石の唇は微かに動き、音を紡ぐ。


    「……質問してるのか?」

    「自由……?」

  • 23スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 23:10:16

    >>21 その答えが、この物語の醍醐味だったりします。明かされる時まで、どうぞお楽しみに!

  • 24スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 23:17:40

    彫刻は再び喋った。


    『一つは、他者を傷つけてでも自分の望みを叶える力』

    『もう一つは、誰にも縛られないけれど何も得られない権利』

    『お前たちは、どちらを自由と呼ぶのか?』

    二人は沈黙し、視線を交わした。


    「レオは……どっちが自由だと思う?」

    「凪は?」

    床に目を落とすと、
    黒い石に覆われた床板の隙間に、
    小さな紙切れが挟まっているのが見えた。


    「……メモ?」

    「拾ってみよう」

    かがんで紙を取ると、
    汚れた手書きの文字が滲んで読みにくい。


    “正しい自由を選ばねば、辿り着けない”

  • 25スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 23:28:46

    《探索説明:CoC基準(スレ主は初心者)》


    ■目星(30以下で成功)

    dice1d100=29 (29)

    dice1d100=57 (57)


    ■聞き耳

    dice1d100=74 (74) (25以下で成功)

    dice1d100=28 (28) (35以下で成功)

  • 26スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 23:43:55

    二人は展示室中央で視線を交わすと、
    互いに別々の方向へと動き出した。


    「……俺、これ読んでみる」

    一人、手にした紙片を光にかざし、
    滲んだ文字を必死に追い始めた。


    『自由は選択であり、選択は責任である』

    『選び取る者が、己を縛る』

    『力を手にした者は力に縛られ、奪わずにいる者は無力に縛られる』


    「責任……自由に責任があるってことか……」

    文字は断片的ながらも、
    自由と責任を強く結びつけているように読めた。

  • 27スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 23:49:45

    一方、残りの三体の銅像に、
    一人は視線を向けていた。

    一体は剣を振り上げたまま止まり、何かを切り裂こうとするような荒々しい姿をしていた。

    もう一体は両腕を大きく広げ、誰かを守ろうとするようにも見えるが、よく見ると肩に深い裂け目が走っていた。

    最後の一体は両手を後ろで縛られたポーズのまま、顔を伏せて膝を折っている。


    「……攻撃、束縛、そして……守ろうとして傷を負った……?」

    冷気が漂う展示室の中で、
    三体のポーズは沈黙のまま語りかけているようだった。


    「レオ……こっちは何となくわかってきたかも」

    「こっちも……でも、選べってことなんだろ?」

    再び二人は中央で向き合い、
    互いの視線を交わした。


    「責任を背負って自由を選ぶか、縛られずに無力でいるか……」

    「自由って……何なんだろうな」

    展示室には再び沈黙が落ち、
    遠くで機械の鳴動音が響いた。

  • 28スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/28(土) 23:52:22

    【選択肢:――どちらが自由なのか】   


    【1】他を犠牲にしてでも欲を満たす自由

    【2】何も持たずに誰からも縛られない自由


    >>29

  • 29二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 00:14:06

    自由は責任を伴う
    1で

  • 30二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 03:26:26

    これからが楽しみ

  • 31スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 09:09:01

    >>29 【1】ですね、承知しました!


    >>30 ありがとうございます!頑張ります!


    おはようございます。正解した場合、その数に応じて続きの作品に影響を及ぼします。良ければ一緒に謎解きに参加してみてくださいね!

  • 32スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 09:22:13

    二人は緊張した面持ちで、互いに視線を交わした。

    展示室は重い沈黙に包まれ、
    冷気が足元を這い回っているようだった。

    やがて、正面の彫刻が石の擦れる音とともに動いた。


    『正解』

    低く響く声が、展示室の空気を震わせた。

    その声に呼応するように、
    正面の一体──剣を振り上げた黒い彫刻が、
    大きく口を開けた。


    「正解って……」

    剣を掲げた彫刻が一歩前に出ると、
    背後の三体の彫刻に向かって剣を振り下ろした。

    ズン、と鈍い衝撃音が鳴り、
    展示室全体がわずかに揺れる。


    「切った……?」

    刃は石の身体を易々と断ち、
    残りの三体は瞬く間に頭部を落とした。

  • 33スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 09:24:35

    首のない石像が床に崩れ落ち、粉塵が舞う。

    剣を持った彫刻は無機質な笑みを浮かべ、
    顔をこちらへ向けた。


    『選んだな、自由を。奪う覚悟を』

    笑みは次第に引きつり、
    裂けた口の奥に赤黒い影が渦巻いている。


    「……自由を選んだ……?」

    「俺たちは……」

    彫刻は再び大きく剣を振り上げ、
    今度は天井を指すように掲げた。

    その瞬間、館内を走る古びた機械音が響き、
    展示室奥の鉄扉が軋んで開き始めた。

  • 34スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 09:26:19

    「……道が開いた」

    「行こう……レオ」

    「……ああ」

    二人は舞い上がる粉塵の中を抜け、
    黒く口を開けた扉へと歩を進めた。

    後ろで正解の彫刻が低く笑い声を漏らしながら、
    ゆっくりと首を戻していく。


    『選んだ覚悟を忘れるな』

    声が遠ざかり、
    重く鈍い音とともに鉄扉が完全に閉まった。

    光は消え、二人は次の部屋へと誘われていった。

  • 35スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 09:34:30

    重い鉄扉を抜けた二人は、
    次の展示室へと足を踏み入れた。

    ここは先ほどよりも広く、天井も高い。
    中央には白く巨大な彫刻がそびえていた。


    「……なんだ、これ」

    「人が、いっぱい……」

    その群像は、
    白大理石で人間のような姿がいくつも彫られていた。

    うつむき膝を抱える者
    顔を上げる者
    背を向けて立つ者──

    どれも表情は歪んでおり、
    笑っているのか泣いているのか判別できなかった。

  • 36スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 09:39:07

    展示名は「深き軌跡」、
    案内プレートにはこう記されている。


    “白き巨岩に刻まれた群像は、人が己の心に巣食う恐れや欲望と向き合い続ける物語を描く”

    “寄り添い合いながらも決して心は一つになれず、各々が異なる苦悩を抱えたまま生きていく”

    “顔を伏せる者は過去に縛られ、顔を上げる者は未来に縛られる”

    “すべては永遠に交わらぬ心の物語である”


    「……縛られる、か」

    「自由の話の続きみたいだな」

    二人は大理石の像のあいだを歩きながら、
    それぞれの彫刻を見上げた。

    白い石肌はどれも冷たく、生々しい手の形が、
    ひび割れの奥からこちらを招いているように見えた。


    「この像、泣いてるように見えない?」

    「いや……笑ってるんじゃないか?」

    目線を上げると、
    奥に立つ最も大きな像が微かに首を傾けていた。

  • 37スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 09:40:51

    「……動いた?」

    「またか……」

    次の瞬間、像が低く喋りだした。


    『問う。生きるとは、何を持ち、何を捨てることか』

    二人は息を呑んだ。


    「……何を持ち、何を捨てるか……?」


    『選べ。持つべきは恐れか、欲望か』

    『捨てるべきは希望か、諦めか』

    『選ばねば、この物語はここで終わる』

    展示室の灯りが微かに明滅し、
    白い彫刻の影が揺れ動く。

  • 38スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 09:41:57

    「レオ……」

    「凪……」

    呼吸を整えながら、
    二人は改めて群像を見上げた。

    問いに答えなければ先に進めない。

    この部屋でも選択が求められているのだと、
    二人は理解していた。

  • 39スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 09:45:19

    ■目星(30以下で成功)

    dice1d100=76 (76)

    dice1d100=25 (25)


    ■聞き耳

    dice1d100=13 (13) (25以下で成功)

    dice1d100=48 (48) (35以下で成功)

  • 40二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 09:50:43

    今回は最初から成功ボーダーが低いね
    一ヶ所を二人で探索できるからまだ助かってるけど

    ちなみにどちらかあるいは両方が探索成功する確率は目星51%で聞き耳51.25%

  • 41スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 09:56:02

    >>40 正確な割合のご提供ありがとうございます!物語、そして続きの作品のために、成功率を調整しております。それでもしっかり成功してくれるので二人は凄いですよね、やる気が感じられます。

  • 42二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 09:56:31

    聞き耳の目標値が違うのはなんでだろう。どっちが35でどっちが25なのかな

  • 43スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 10:01:00

    >>42 これは完全にスレ主の独断と偏見です!初期値が25なので、目星は初期値のまま。御影玲王?は図書館で才能を発揮できそう(語学等で)なので35、凪誠士郎?は聞き耳で才能を発揮できそう(話を聞く事等)なので35に設定してます。悪しからず!

  • 44二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 10:03:05

    なるほどありがとう。なんとなく凪の方が聞き耳高いのかなって思ってたらあっててうれしい

  • 45スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 10:06:14

    展示室を包む静寂の中、
    二人は左右に分かれて動き出した。

    白い群像の隙間を歩きながら、
    一人は床を注意深く見渡していた。


    「……何かある……?」

    白い大理石のかけらが散らばった床の中に、
    他の破片とは明らかに違う色をした、
    小さな欠片が混ざっていた。

    拾い上げると、
    それは薄く透明な素材で作られた板だった。

    板の奥に文字が刻まれている。


    “恐れを持つ者は、己を見失わない”

    “欲望を持つ者は、己を見失う”


    「……恐れと欲望……」

    言葉を呟きながら、
    見つけた板を大切そうに握った。

  • 46スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 10:10:13

    一人は、巨大な群像の中央に立つ像に、
    耳を澄ませていた。


    「……何か聞こえる……」

    わずかにひび割れた石の奥から、
    湿った声が染み出すように響いた。


    『捨てるべきは、望みの光か、あきらめの影か』


    「……捨てるべきもの……?」

    声は一定のリズムで途切れながらも繰り返された。


    『光を捨てるか、影を捨てるか……どちらを選ぶ?』

    群像の奥を見渡しながら、
    その声を聞き逃さぬように耳を澄ませた。


    「……光と影……」

  • 47スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 10:13:36

    二人は再び展示室中央で合流した。


    互いに目を合わせ、得た情報を短く言い合った。



    「恐れは自分を見失わないけど、欲望は見失う……」


    「捨てるのは、光か影か……」


    群像の間を漂う冷気が、

    二人の髪をわずかに揺らした。


    遠くから響いてくる機械のうなりが、

    選択の刻を告げるように聞こえる。



    【選択肢:――何を持ち、何を捨てるべきか】


    【1】恐れを持ち、影を捨てる

    【2】欲望を持ち、光を捨てる


    >>48

  • 48二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 10:14:15

    1!

  • 49スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 10:18:51

    >>48 【1】ですね、承知しました!ちょっと簡単だったかな、次は少し難易度上げます!

  • 50スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 10:22:57

    二人が選択を告げたその瞬間、
    展示室全体が不気味な振動に包まれた。

    白い群像の中央に立つ大きな像が、
    石の擦れる音とともに顔をこちらに向けた。


    『正解』

    重々しく響く声が展示室を満たし、
    二人の耳朶を震わせた。


    「正解って……」

    正面に立つ巨大な像が、ゆっくりと手を掲げると、
    その白い掌の隙間から赤黒い液体がぽたりと、
    音を立てて滴り落ちた。


    「……血……?」

    視線を向けた先、
    左右に並ぶ別の像のひび割れた目からも、
    赤い液体が流れ落ちていた。

    その液体は石の頬を伝い、
    冷たい床に音を立てて染み込んでいく。

  • 51スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 10:26:25

    「……泣いてるみたいだ……」

    「これが……不正解の像……?」

    白い群像は沈黙のまま微かに揺れ、
    耳を澄ますと石の奥から細かく砕ける音が聞こえた。

    不正解となった像たちは、ゆっくりと首を垂れ、
    まるで命を絶たれたかのように、
    力なく崩れ落ちていく。


    『選んだな、恐れを持ち、影を捨てる覚悟を』

    中央の正解の像は、
    口元を僅かに吊り上げるように見えた。

    だがその笑みは人間のものではなく、
    冷たく裂けた線のようで不気味だった。


    「……正しい選択だったってことか……?」

    「でも、これ……本当に……」

    崩れた像の破片が床を転がり、
    展示室全体に耳障りな音が反響する。

  • 52スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 10:29:27

    正面の像がさらに腕を持ち上げた。

    その動きに合わせるように、
    展示室奥の壁が軋みながら左右に割れ、
    暗い通路が姿を現した。


    「開いた……!」

    「行こう、レオ」

    「……ああ」

    血が足元を染める中、
    二人は冷たい石の通路へと足を踏み入れた。

    背後で正解の像が、
    最後にもう一度だけ低い声を漏らす。


    『選んだ恐れを、決して手放すな』

    その声は石が軋む音にかき消され、
    通路に入った二人の背を押すように消えた。

  • 53スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 10:39:40

    通路に入った二人は、
    石造りの長い廊下をゆっくりと進んでいった。

    足音が冷たく響き、
    壁に吊られた古びたランプが揺らめくたび、
    二人の影もぼんやりと揺れた。


    「……そういえばさ」

    「うん?」

    「黒名、いなくなったらしいぞ」

    「へー……そうなんだ」

    言葉は交わしたものの、
    どちらも心からの興味は感じられなかった。

    足を止めることもなく、
    すぐに前を向いたまま歩き続ける。


    「……別にいいよな」

    「うん……俺たちには関係ないし」

  • 54スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 11:10:48

    二人が廊下を進むと、
    再び大きな展示室が広がった。

    中央には池を思わせる浅い水盤があり、
    その中央に巨大な白い顔の彫刻が横たわっていた。

    顔は眠っているように目を閉じているが、
    薄く笑みを浮かべているようにも見えた。

    周囲には繁茂する緑の彫刻が絡みつき、
    顔をまるで飲み込もうとしているかのようだった。

    展示名は「溺れる微笑」、
    案内プレートにはこう記されていた。


    “己に溺れ、己を見失う者を象徴する白き面”

    “水面に映る自分に溺れ続け、笑みを絶やさぬ者は、やがて影も形も見失う”

    “その笑みが本物か偽物か、それを見抜く者こそが真に己を知るだろう”


    「……溺れるって、自分のことに……?」

    「誰もいないのに、笑ってる……」

  • 55スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 11:13:54

    水盤の表面は黒く淀んでいて、
    二人の姿がゆらゆらと歪んで映っている。


    「俺たち……映ってる?」

    「でも……顔が、歪んでないか……?」

    薄暗い光が水盤に揺れ、
    映った二人の顔は笑顔と苦悶を繰り返すように、
    形を変えていた。


    「……おかしい……」

    水盤の中央から微かな声が漏れた。


    『問う……笑みとは、誰のためにある?』


    「……誰のため?」


    『選べ……笑みは他者のためにあるか、自分のためにあるか』

    『選ばねば、この先へは進めない』

    周囲に絡みつく緑の葉が、
    かさかさと音を立てて微かに揺れた。

  • 56スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 11:38:44

    ■目星(30以下で成功)

    dice1d100=97 (97)

    dice1d100=22 (22)


    ■図書館

    dice1d100=20 (20) (35以下で成功)

    dice1d100=39 (39) (25以下で成功)

  • 57スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 11:48:03

    二人は水盤を囲む展示室を、注意深く歩き回った。

    湿った空気が漂い、
    緑の彫刻がかさりと揺れる。


    「……何か落ちてる?」

    一人は、水盤の縁を辿りながら歩いていた。

    やがて、黒く濡れたタイルの隙間に、
    古びた装丁の小さな本が挟まっているのを見つけた。


    「……レオ、これ」

    「本……?」

    そっと拾い上げ、本を、もう一人に渡した。

    表紙は擦り切れて文字が読み取れないが、
    中身は意外ときれいだった。


    「読んでみる」

    慎重にページをめくる。

    ページは古く、
    湿気を帯びた紙がかすかに音を立てた。

  • 58スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 11:54:50

    “笑う顔は他者を映す鏡”

    “鏡は時に歪みを返し、己に戻る”


    「……鏡……?」


    “己に返る鏡は笑顔を増幅するが、増幅は歪みを孕む”

    “歪んだ笑みは、自らを蝕む毒となる”


    「……つまり……?」

    本の文章は詩のように断片的で、
    意味を汲み取るのが難しかった。


    「笑うことで相手に何か返ってくるけど……それが歪むと自分に返ってきて毒になるってことか?」

    「じゃあ……他人のために笑うのは、自分を蝕む……?」

    「それとも、自分のために笑っても結局歪んで返ってくる……?」

    二人は沈黙し、再び中央の白い顔を見上げた。

  • 59スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 11:58:11

    揺らぐ水盤には、

    今も歪んだ二人の表情が映っている。



    「……この質問、難しくないか……」


    「どっちを選んでも……どっちかが間違いに思える……」


    再び展示室を漂う空気が重く沈み、

    遠くから機械音が響いた。



    【選択肢:――笑みは誰のためにあるのか】


    【1】他者のため

    【2】自分のため


    >>60

  • 60二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 12:00:08

    【2】自分のため

  • 61スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 12:22:17

    >>60 【2】ですね、承知しました!素晴らしい推理力です!

  • 62スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 12:35:58

    二人の答えが静かに落ちた瞬間、展示室を支配していた沈黙が、砕けるように波紋を広げた。

    中央の白い顔が、
    石が割れるような音とともにゆっくりと目を開けた。
    その瞳は真っ黒で、底のない穴のように見えた。


    『正解』

    低く響く声が水盤の底から漏れ出し、
    展示室全体を揺らした。


    「正解……」

    笑みを浮かべた白い顔は、
    目を見開いたまま次第に表情を歪めていった。


    『選んだな、自分のために笑うことを』

    微笑は引き攣れ、頬が裂け、
    口元から黒い液体が音もなく溢れ始めた。


    「……血……?」

    黒い液体は水盤に滴り落ち、
    水面を黒く染めながら不気味に泡立っていく。

  • 63スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 12:37:13

    液体が広がると同時に、
    展示室奥の壁にある隙間がゆっくりと開き始めた。

    鈍い金属音が響き、
    壁が左右に引き裂かれていくようだった。


    「道が……開いた……」

    「やっぱり、選んだ答えで進めるんだ……」

    白い顔は裂けた口で再び喋った。


    『己のために笑う者は、己を知り、己を救う。その覚悟を忘れるな』

    裂け目から溢れ続ける黒い液体は、
    足元に向かって這い寄るように流れてくる。


    「……レオ、急ごう」

    背後では顔が深く傾き、
    笑いと呻きを混ぜたような音を響かせていた。

    その声は人の声とも獣の声ともつかず、
    耳に残る嫌な余韻を伴っている。

  • 64スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 12:39:07

    開いた奥の通路は細く暗く、
    先はまったく見えなかった。

    それでも二人は迷わず一歩を踏み出した。


    「行こう……」

    「……ああ」

    足音が水盤に反響し、奥へと吸い込まれていく。

    背後で白い顔は低い笑い声を漏らしながら、
    再び目を閉じた。

    その顔は、もう微笑んでいるのか苦しんでいるのかさえわからなかった。

  • 65スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 12:51:30

    暗い通路を抜けた二人は、
    また大きな展示室に出た。

    中央には金属光沢を放つ、
    巨大な球体が鎮座していた。


    「……何だ、あれ……」

    「丸いけど……ひび割れてる……?」

    その球体は黒金色に輝き、
    地割れのような裂け目が何本も走っていた。

    裂け目の奥には、歯型のような不気味な構造物がびっしりと詰まっている。

    展示名は「蠢く核」、
    案内プレートにはこう書かれていた。


    “滑らかに磨かれた球体は、表面の美しさの奥に歪んだ核を孕む”

    “己を覆い隠す鎧はやがて崩れ、その内側に潜む真実を露わにする”

    “核が自らを覆い続けるか、殻を破るか──それを選ぶのは己自身である”

  • 66スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 12:56:09

    「……また、選択させる気だな……」

    「俺たち、何を選ぶことになるんだろ……」

    展示室の空気は金属特有の冷たさを帯び、
    息を吸うと鉄の匂いが喉奥に絡みついた。

    球体の表面は微かに揺れ、
    ひび割れの奥から時折、
    ギギ……と嫌な音を漏らしている。


    「生きてるみたい……」

    「……核を、守るのか……壊すのか……?」

    二人は互いに顔を見合わせ、
    ゆっくりと球体に近づいた。

    光沢ある表面は黒く濡れたように歪み、
    二人の姿をぼんやりと映している。

    ただ、その映像は波紋のように揺れ、
    まるで自分たちが溶けて崩れていくように見えた。


    「これ……俺たちの姿……?」

    「崩れてる……?」

  • 67スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 12:58:53

    中央の裂け目がゆっくりと広がり始め、
    奥から冷たい風が吹き出した。

    展示室全体の照明が明滅し、
    暗がりが息をするように広がった。


    「……何か始まる……?」

    球体の奥から、金属が擦れる音とともに、
    声のような響きが漏れ始めた。


    『選べ。核を守るか、壊すか』

    『守る者は核に囚われ、壊す者は核を失う』

    『己の真実を決めよ』

    二人は冷たい空気を感じながら、球体を見上げた。

    目を細め、互いに確かめ合うように視線を交わす。


    「選ばなきゃ……」

    「進めない……」

    展示室に、
    次の選択の時が近づいている気配が満ちていた。

  • 68スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 13:55:30

    ■目星(30以下で成功)

    dice1d100=88 (88)

    dice1d100=5 (5)


    ■聞き耳

    dice1d100=80 (80) (25以下で成功)

    dice1d100=72 (72) (35以下で成功)

  • 69スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 14:03:03

    二人は緊張した面持ちで、
    巨大な球体を囲む展示室を歩き始めた。

    足音が冷たく響き、
    金属の匂いが空気に染み込んでいる。


    「……何か、あるかな……」

    一人は足元を注意深く探りながら、歩を進めた。

    歪んだ光に照らされた床は黒く濡れ、
    まるで何かを隠しているようだった。


    「……これ……」

    裂けたタイルの隙間に、
    小さな金属片が挟まっているのを見つけた。

    指先でそっと拾い上げると、
    指先に鉄錆の匂いが移った。


    「レオ、これ……」

    「なに……?」

    もう一人が近づくが、球体から吹き出す風が唸り声のように鳴り、会話をかき消した。

  • 70スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 14:07:24

    一人は、見つけた金属片を目を凝らして観察した。

    歪んだ文字が彫られていたが、
    半分以上が摩耗して読み取れない。


    “──があれば核は──、なければ核は──”


    「……これ……なに……?」

    かすかに読める文字は「核は守られる」「核は壊れる」とも読めそうだったが、断片だけでは意味が繋がらない。


    「……レオ、何て書いてあるかわかる?」

    「いや……全然分からない」

    球体の裂け目から吹く風は次第に強くなり、展示室の床に舞い上がる埃が、視界を白く霞ませていった。


    「選べってことなのは……わかるけど……」

    「でも、この情報だけじゃ……」

    金属片は冷たく、指先をじんわりと冷やしていく。

    まるで二人の迷いを嘲笑うかのように、
    球体の奥から金属のきしむ音が断続的に響いた。

  • 71スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 14:08:28

    「……進むためには……」


    「選ばないと……」


    球体は微かに揺れ、

    裂け目がさらにわずかに広がった。


    その奥から漏れ出す暗い空気は、

    どこまでも冷たかった。



    【選択肢:――殻を覆い続けるか、破るか】


    【1】殻を守る

    【2】殻を壊す


    >>72

  • 72二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 14:12:49

    合ってるか分からないけど2で!

  • 73二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 15:08:21

    目星5出てるけどCOCじゃないからクリティカル扱いではないかー

  • 74スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 16:00:08

    >>72 【2】ですね、承知しました!大丈夫、流石ですよ!


    >>73 この物語では、クリティカル•ファンブルはなしになっております(ちょっとだけ特殊なので)…!

  • 75スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 16:11:19

    二人の答えが展示室に落ちた瞬間、
    球体全体が低い振動音を響かせ始めた。

    ひび割れの奥から赤黒い光が漏れ、
    金属音を伴って裂け目が広がっていく。


    『正解』

    鈍く響く声が展示室全体を揺らし、
    球体の表面がギギギ……と音を立てて割れ始めた。


    「正解って……」

    次の瞬間、球体は粉々に弾け、
    殻が無数の金属片となって展示室中に散った。

    金属片は光を反射しながら床に突き刺さり、
    鋭い音を響かせた。


    『選んだな、真実を露わにすることを』

    中央には、赤黒く脈動するように震える核が、
    むき出しになっている。

    核は金属とも肉塊ともつかない不定形の塊で、
    脈打つたびに微かに形を変えていった。

  • 76スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 16:14:11

    「……これが、核……?」

    「生きてるみたいだ……」

    むき出しになった核は、
    突然びくりと痙攣し、中央に割れ目を作った。

    割れ目が広がると、中から無数の黒い目が現れ、
    ぎょろぎょろと二人を見回した。


    「……目……?」

    核は次の瞬間、口のように割れ目を大きく開くと、
    甲高い笑い声を上げ始めた。


    『キャアアアアア……!』

    笑い声はやがて、
    しゃくり上げるような泣き声へと変わり、
    金属音と混じって展示室に響き渡った。


    「笑ってる……?泣いてる……?」

    「わかんない……」

    核は笑いと泣きを交互に繰り返しながら、
    赤黒い光を放った。

  • 77スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 16:16:35

    光が強まると、展示室奥の壁が揺れ、
    音を立ててゆっくりと割れ始めた。


    「……道が開いた……」

    「行こう……」

    二人は割れる壁の先に広がる、
    真っ暗な通路を見つめた。

    核はまだ狂ったように笑いと泣きを繰り返し、
    その声は二人の背を追うように耳元で木霊した。


    『選んだ道を歩け、選んだ代償を忘れるな』

    壁が完全に開くと、
    二人は一歩ずつ奥へと歩を進めた。

    背後で核は赤黒く輝きながら、
    最後にひときわ高い悲鳴のような笑い声を上げた。

  • 78スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 16:25:11

    二人は開いた通路を進むと、
    またも巨大な展示室に足を踏み入れた。

    そこは格子状に絡み合う、
    黒と赤の構造物が天井近くまで立ち上がり、
    あらゆる方向から迫ってくるように見えた。


    「……これ……人の形?」

    「絡まって……網みたいだ……」

    赤黒い格子には、
    無数の小さな彫刻がくくりつけられていた。

    手足を伸ばした人型は互いに絡まり、
    どれも苦悶や嘲笑の表情を浮かべている。

    展示名は「繋がれた群声」、
    案内プレートにはこう記されていた。


    “無数の存在が互いに絡み合い、声なき声を響かせる”

    “その声は時に共鳴し、時に反発し、決して一つになれない”

    “どれほど望んでも、異なる者は交わらず、足を引き合う”

  • 79スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 16:28:40

    「……なんだこれ……」

    「声が……」

    彫刻の間から、ざわざわと、
    囁き声のようなものが湧き上がった。


    『違う』

    『間違ってる』

    『そうじゃない』

    『無理だよ』

    『お前は何者にもなれない』

    無数の声が絡まった網の奥から響き、
    二人に覆いかぶさるように降り注いだ。

    彫刻の顔はどれも歪み、
    笑いながら泣いているようにも見えた。


    「……行こう……」

    「……うん……」

    二人は一瞬だけ足を止めたが、すぐに顔を上げた。

  • 80スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 16:31:37

    彫刻たちの囁きに耳を塞ぐように、
    互いに並んで歩を進めた。

    赤黒い格子の隙間から伸びた彫刻の手は、冷たい風とともに二人を引き戻そうとするかのように揺れていた。

    次の部屋へ続く暗い通路がすでに開かれ、
    二人を待っているようにぽっかりと口を開けていた。


    「進もう……」

    「……ああ」

    無数の彫刻が重く低い嘲笑を漏らしながら、
    二人の背に視線を向け続けていた。

    その笑い声は遠ざかってもなお、
    展示室中に残響していた。

  • 81スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 16:39:04

    暗い廊下を進む二人の足音が、
    冷たく硬い床に反響していた。

    天井のランプはところどころ切れかけていて、
    光が瞬くたびに影が長く伸び縮みしていた。

    赤黒い彫刻たちの声がまだ耳の奥に残り、
    静けさが余計に不安を増幅させる。


    「……ねえ、レオ」
     
    「どうした、凪?」

    二人は歩を止めずに並んだまま顔を向け合う。

    廊下の奥は真っ暗で、何も見えない。


    「……俺たちって、大丈夫だよね」

    「……大丈夫だよ」

    「でも……あの声……俺たちは何者にもなれないって……」

    「……気にすんな。俺たちは俺たちだ」

    声が微かに揺れていたが、
    もう一人の手を強く握った。

  • 82スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 16:40:17

    「……ほんとに?」

    「……ああ、きっと大丈夫だ」

    ランプの光がまた明滅し、
    二人の影を壁に揺らした。

    冷たく湿った風が吹き抜け、
    暗い奥へと二人を誘っていた。


    「……行こう」

    「うん……」

  • 83スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 16:55:07

    二人は暗い通路を抜け、再び別の展示室に出た。

    そこは階段のように緩やかに傾斜した空間で、
    足元には無数の黒い足跡が刻まれていた。


    「……足跡?」

    「誰のだ……?」

    黒い足跡は大きさも向きもまばらで、
    階段の上下を交錯しながら延々と続いていた。

    数を数えるのも億劫になるほど、
    その足跡は果てしなく散らばっている。

    展示名は「残響の歩」、
    案内プレートにはこう記されていた。


    “ここに刻まれたのは、過去にこの空間を歩いた者たちの行動の痕跡”

    “誰もが歩む過程で残す選択と迷い、意思と後悔”

    “これらは時を越え、空間を漂い、今もなお訪れた者に囁きを送る”

    “その声は微かで、けれど確かに耳奥に残り続けるだろう”

  • 84スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 16:57:32

    「……囁き……?」

    二人は階段を上りながら、
    無数の足跡に視線を落とした。

    どの足跡も微かに光を反射し、まるでそこに立っている人影が見えたかのように感じられた。


    「なんか……誰かに見られてるみたいだ……」

    「……進もう」

    階段は延々と続いているように思えたが、
    上りきった先にはぼんやりと灯りが漏れていた。

    そこには古びた案内板が立ち、
    次の部屋を示す矢印が描かれていた。

    ただ、案内板の文字は掠れていて判別できない。


    「……読めない……」

    「気にしないで進もう……」

  • 85スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 17:03:33

    その時、階段全体を包むように、
    低く響く声が落ちてきた。


    『問う……歩む者よ』

    『過去の足跡は背負うものか、捨てるものか』

    『答えを選べ……迷わずに』

    声は階段に刻まれた無数の足跡から染み出すように響き、冷たく耳奥を打った。

    二人は互いに顔を見て、
    選択を迫られることを理解していた。

  • 86スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 17:14:57

    ■目星(30以下で成功)

    dice1d100=29 (29)

    dice1d100=5 (5)


    ■図書館

    dice1d100=35 (35) (35以下で成功)

    dice1d100=55 (55) (25以下で成功)

  • 87スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 17:23:48

    二人は互いに短く頷き合うと、
    階段の途中で左右に分かれて足跡を辿り始めた。

    黒い足跡は不規則に交差し、まるで無数の人影が階段を行き来した記録のように刻まれている。

    足跡を凝視して進むうちに、
    微かな違和感に気づいた。


    「……この足跡、途中から消えてる……?」

    途中でいくつかの足跡は突如として途切れ、
    まるで歩みを止めたかのように終わっていた。

    逆に、別の足跡は踵を返すように方向を変え、
    降りるように伸びている。


    「……これ、途中で戻ったってこと……?」

    「進み続けた足跡もある……」

    二人は点在する足跡の違いを見比べながら、
    一歩ずつ階段を上っていった。

  • 88スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 17:27:22

    階段の脇には、苔むした木箱が置かれていた。

    そっと開けると、中から分厚い古書が現れる。


    「レオ……これ……」

    「開いてみる」

    ページをめくると、
    古びた文字が不気味に踊っている。


    “足跡は過去に繋がる鎖。背負う者は己を知り、捨てる者は己を失う”


    「……鎖……?」


    “過去を捨てれば迷いは消えるが、己も消える。過去を背負えば迷いは増すが、己は残る”


    「……つまり……?」

    息を詰めながら続きを読んだ。


    “歩む者よ。己を選ぶか、迷いを拒むか。その答えこそが、お前の足跡を決める”

  • 89スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 17:34:31

    二人は同時に顔を上げ、互いの視線を交わした。


    「……背負うべきなのか、捨てるべきなのか……」

    「わかってきた……」

    階段は一歩ごとにきしむように揺れ、
    下からは無数の声が響き続けている。


    『戻れ』

    『迷え』

    『どちらを選んでも、お前は……』

    声は低く、階段全体が囁いているようだった。

  • 90スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 17:36:26

    黒い足跡は二人の歩みを導くかのように、

    次第に光を帯びていく。



    「答えは……ほぼ出てるよね」


    「……ああ」


    階段を登り切る先には、小さな扉が見え始めていた。


    扉の隙間からは冷たく白い光が漏れ、

    次の選択が近いことを告げていた。


    二人は無数の足跡に見送られながら、

    選択の刻に向けて歩を進めた。



    【選択肢: ――過去の足跡を背負うか、捨てるか】


    【1】過去を背負い、迷いを抱えたまま進む

    【2】過去を捨て、迷いを断ち切って進む


    >>91

  • 91二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 18:34:27
  • 92スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 18:56:18

    >>91 【1】ですね、承知しました!とても良い着眼点です!

  • 93スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 19:03:45

    二人の答えが空間に落ちた瞬間、
    階段を構成する石段全体が低く軋んだ。

    無数の足跡は一斉に光を失い、黒く沈んでいった。


    『正解』

    冷たく響く声が階段の奥底から湧き上がり、
    二人の耳奥を揺らした。


    「正解って……」

    その時、足元の暗闇の中から再び声が響いた。


    『正解したら、君たちは何になれるの?』

    声は階段の隙間から這い出すように、
    絡みつくように響いた。


    「……何に……?」

    「誰の声だ……?」

    階段を見下ろすと、
    真っ暗な底で無数の足跡が微かに蠢いていた。

  • 94スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 20:05:48

    黒く沈んだ足跡の中から、
    人のような影が形を成し始めている。


    『君たちは本当に、“ ”になれるの?』

    ぼやけたまま、顔のない人影が複数立ち上がる。

    ゆらゆらと揺れ、二人を見上げているように見えた。


    「……進もう」

    「うん……」

    二人は視線を交わすと、
    躊躇いなく扉へ向けて歩を進めた。

    階段の上に近づくたび、階下の影は増え続け、
    声も重なっていった。


    『お前たちに何ができる?』

    『何を目指している?』

    『何を望んでいる?』

    声はどれも柔らかく、
    しかし芯に冷たい棘を含んでいた。

  • 95スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 20:15:38

    階段の最上段に到達すると、
    白い光を放つ扉は音もなくゆっくりと開いた。


    「……行こう、レオ」

    「凪……」

    二人は互いの名前を呼び合い、無言で強く頷いた。

    背後からは影たちのざわめきが尾を引き、
    階段全体を覆い尽くそうとしていた。

    白い光の中に足を踏み入れると、
    光が影を押し返すように広がった。

    声は遠ざかりながらも、
    耳奥でずっと囁き続けている。


    『“ ”になれないまま、選び続けるんだね』

  • 96スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 20:29:37

    二人は白い光の通路を抜け、
    次の展示室に足を踏み入れた。

    そこは金属とガラスで作られたような冷たい空間で、中央には緑色の巨大な人型彫刻が立っていた。


    「……人……?」

    「胸が……光ってる……」

    彫刻の胸には大きな穴が空き、
    中では赤い光が明滅していた。

    光が点滅するたび、
    規則的な電子音が展示室全体に響く。


    「……これ、心臓の音……?」

    「鼓動みたいだ……」

    展示名は「鼓動を持つ影」、
    案内プレートにはこう書かれていた。


    “鼓動は存在の証。心を刻む音は、命を抱えた者の証明であり、同時に恐怖でもある”

    “響き続ける音を止めずに進める者は、自らの心を知るだろう”

    “だが、恐れて耳を塞ぐ者は、自らの心を見失うだろう”

  • 97スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 20:49:39

    「心を知るか……見失うか……」

    緑色の人型彫刻は、
    無表情な顔で二人を見下ろしている。

    光が強まると、
    その目がわずかに動いたように感じられた。


    「今、目が……」

    「動いた……?」

    その瞬間、彫刻の胸から響く電子音が一際大きく鳴り響き、展示室全体が振動した。


    『問う。お前たちは心を恐れるか、知ろうとするか』

    『選べ……恐れて耳を塞ぐか、恐れずに心の音を聞くか』

    電子音は次第に高鳴り、
    二人の鼓動と同調するように早くなった。

  • 98スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 20:56:48

    「……選ばなきゃ……」

    「レオ……」

    「凪……」

    緑色の彫刻は赤い光を灯しながら、
    ゆっくりと頭を傾けた。

    その仕草はまるで、
    二人の答えを催促しているかのようだった。

    扉はまだ閉ざされたまま、答えを待っていた。

  • 99スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 20:59:00

    ■目星(30以下で成功)

    dice1d100=10 (10)

    dice1d100=24 (24)


    ■図書館

    dice1d100=20 (20) (35以下で成功)

    dice1d100=80 (80) (25以下で成功)

  • 100二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 21:09:05

    スレ主の出目の低さすごい
    初期値なのにほとんど成功してるじゃん

  • 101スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 21:12:49

    >>100 ありがとうございます!スレ主いつも出目が悪いので、○○以下とかだと実力を発揮できます!まあ、私の作る物語ではあんまり役に立たないんですけどね…笑

  • 102スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 21:13:52

    二人は彫刻の赤い光が明滅する中、
    静かに展示室内を歩き出した。

    足元にはガラス片が散らばり、
    光を反射して赤黒く輝いている。


    「……これ、割れたガラス……?」

    「胸の穴から……落ちたのか……」

    床の端に、血のように赤い液体がこびりついたページの切れ端があった。


    「……レオ、これ……」

    二人は互いにうなずき、
    破れたページを慎重に拾い上げた。

    ページには黒いインクで文字が書かれているが、
    一部は滲んで読めなくなっていた。

    一人は目を細め、
    かすかな文字を読み取ろうとした。


    “心を恐れる者は、心を……”

  • 103スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 21:22:00

    「途中で……切れてる……」

    次のページの破片を拾い上げると、
    さらに文が続いていた。


    “……心を失い、自らを見失う”

    “心を知ろうとする者は、恐れを知り、恐れと共に歩む”


    「……恐れと歩む……?」

    破れた本のページを合わせると、
    文はほぼ繋がった。

    だが、微妙に足りない部分があり、
    完全には意味がわからない。


    「……でも……恐れを受け入れて心を知れってこと……?」

    「たぶん……」

    二人は振り返り、中央に立つ緑色の彫刻を見上げた。

    彫刻はまるで意思を持つように赤い光を灯し、
    鼓動音をさらに速めていった。

  • 104スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 21:31:36

    「答えは……」

    「もう……わかってる……」

    破れたページから得た言葉は、
    十分すぎるほど核心を突いていた。

    恐れずに心の音を聞くか、恐れて耳を塞ぐか──
    選ぶべき道は明白だった。

    展示室の壁際では金属の配線が青白く光り始め、
    まるで心電図のように波打つ光を描いていた。


    「レオ……」

    「凪……」

    二人は赤い光に照らされながら、
    改めて彫刻と向き合った。

    胸の穴は赤黒く輝き、音を立てながら二人の鼓動と同じリズムで脈動していた。

  • 105二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 21:32:04

    問いかけてる『』が凪っぽく見えるのが気になる

  • 106スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 21:34:09

    >>105 誰がなんの意図で問いかけているんでしょうね…。これはちょっと秘密です。

  • 107スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 21:35:14

    電子音は緩やかに静まり、

    部屋全体が呼吸を止めたように沈黙した。


    選択の刻が迫っていることを、

    二人は確かに感じていた。



    【選択肢:――心を知ろうとするか、耳を塞ぐか】


    【1】恐れを受け入れ、心の音を聞き続ける

    【2】恐れを拒み、心の音から目を背ける


    >>108

  • 108二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 21:36:28

    【1】で

  • 109スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 21:46:05

    >>108 【1】ですね、承知しました!二人ともしっかり情報を拾ってきてくれるので、ちょっと分かりやすかったかもですね。

  • 110スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 21:53:13

    二人の答えが展示室に響いた瞬間、
    胸の穴を灯す赤い光が急激に明滅を繰り返した。

    彫刻全体が細かく振動し、
    緑色の表面に無数のヒビが走っていった。


    『正解』

    低く響く声が展示室全体に木霊し、
    電子音が急速に加速した。


    「……正解って」

    そのとき、彫刻の無機質な顔がわずかに歪み、
    口元を引き攣らせて笑ったように見えた。


    『心なんてないのにね』

    声は不気味に歪み、
    二人の耳奥に直接流れ込んでくるようだった。


    「……え……?」

    「心が……ない……?」

  • 111スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 22:01:29

    赤い光がますます激しく瞬き、
    彫刻の目がくるくると左右に揺れた。

    目の奥には暗い穴が広がり、
    どこまでも落ちていきそうだった。


    『心を選んでも、お前たちは空っぽの殻』

    彫刻の胸の穴から黒い煙が吹き出し、
    床を這いながら二人に向かって伸びていく。


    「これ……っ!」

    「レオ……!」

    「凪……!」

    黒い煙はまるで意思を持つように、
    二人を絡め取ろうと這い寄った。

    しかし二人が一歩踏み出すと、彫刻は突然大きく頭を仰け反らせ、甲高い笑い声を上げた。


    『アハハハハハ……!!!』

    その声は人の声とは思えない金属音が混じり、
    展示室中に響き渡った。

  • 112スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 22:08:40

    赤い光は一際強く輝くと、
    展示室奥の壁にひびを走らせた。

    ひびは瞬く間に広がり、
    奥の壁が軋みながら左右に割れ始めた。


    「道が……開く……!」

    「行こう……!」

    二人は手を取り合い、
    黒い煙を振り払うように奥へと駆け出した。

    彫刻は笑い声を響かせながら、首を何度もひねり、
    目をぐるぐると動かしていた。


    『心を選んでも、お前たちは空虚なんだね』

    最後の声が追いかけるように響き、
    白くひび割れた壁の向こうへ二人の姿が消えた。

  • 113スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/29(日) 22:32:36

    さて、本日の更新はここまでとなります。
    続編との兼ね合いで、本物語は短編となります!このスレッドで完結予定です。引き続き、不思議な彫刻美術館と、二人にお付き合い頂けますと幸いです。
    明日はいつもの病院です、ちょうどスレが落ちるくらいの時間帯に病院へ向かう予定ですので、もし良ければ保守して頂けると嬉しいです。
    それではおやすみなさいませ。

  • 114二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 01:54:20

    今回もたくさん更新ありがとうスレ主

  • 115スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 07:41:09

    >>114 こちらこそ今回もお読み下さりありがとうございます!!


    おはようございます。本日もよろしくお願いします。本日は少しのんびり更新になりそうです。病院の待ち時間等で無理のない範囲で更新しますので、お時間ある際にお付き合い頂けたらと思います。

  • 116スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 09:10:23

    二人は白くひび割れた壁を抜け、
    冷たい空気が漂う長い廊下へ出た。

    足音だけが響き、
    さっきまでの笑い声はもう聞こえない。

    けれど鼓膜の奥には、あの「心なんてない」という言葉が残響していた。


    「……なあ、凪」

    低く落ち着かない声が廊下に響いた。


    「どうしたの、レオ」

    ふと顔を向け合うと、
    ランプの明かりが互いの表情を暗く照らした。


    「……俺たちって、何なんだろうな」

    吐き出した言葉は、
    冷たい空気にすぐにかき消されていく。


    「……何なんだろうね」

    声も表情も感情の色は薄く、
    けれど微かに震えているように思えた。

  • 117スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 09:17:40

    「でも……俺たちは俺たちだよな」

    「うん……きっと、そうだよ」

    足元を見れば、自分たちの影はゆらゆらと形を変えながら続いている。

    その影も、
    今にもどこかへ消えてしまいそうに揺れていた。


    「……行こう」

    「うん……」

    二人は並んで廊下を進んだ。

    遠くに見えるかすかな光が、
    次の部屋を示しているように見えた。

    無言のまま歩く二人の後ろには、
    静寂だけが深く漂っていた。

  • 118スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 09:31:40

    二人は長い廊下を抜け、次の展示室へと入った。

    室内はまるで冷たい霧が漂っているかのように、
    薄暗く、空気は重く淀んでいた。

    中央には黒光りする、
    小さなブロンズ像が置かれている。

    人型だが顔は潰れて輪郭がわからず、
    膝を折って座った姿でこちらを向いていた。


    「……これ、人……?」

    「座って……こっちを見てる……」

    展示名は「揺らぐ影慕」、
    案内プレートにはこう記されていた。


    “この像は「形を得られなかった想い」の象徴である”

    “己の輪郭を掴めぬまま座し、想いだけを残して空間を漂う”

    “想いは形を求めては壊れ、求めては壊れ、ただ揺らぎ続ける”

    “その想いを見抜ける者だけが、自らの形を確かなものにできるだろう”

  • 119スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 09:41:27

    「……形を……見抜く……?」

    「どういうことだ……」

    小さな像は首を少し傾けているように見えた。
    けれど影が強すぎて、顔の位置すらはっきりしない。

    光を当てると顔らしき部分がぐにゃりと歪み、
    別の角度からは全く違う表情に見えた。


    「顔が……変わってる……?」

    「いや……動いてるのか……?」

    冷たい風が展示室を渡り、
    像の周囲を渦巻くように回った。

    その風はどこか生暖かく、
    耳元で囁くように音を立てていた。

  • 120スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 09:45:51

    そのとき、像の奥底から低く、
    粘つくような声が響く。


    『問う。お前たちは己の形を定めるか、それとも形を持たずに揺らぎ続けるか』

    『選べ……定めて進むか、揺らいで漂うか』

    声が響いた瞬間、展示室の壁に貼られた黒いガラスがびりびりと震えた。

    二人は顔を見合わせ、
    次の選択が迫っていることを悟った。

    ガラスに映る自分たちの影は、
    今も揺らぎ続けている。

  • 121スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 09:47:03

    ■目星(30以下で成功)

    dice1d100=86 (86)

    dice1d100=54 (54)


    ■聞き耳

    dice1d100=49 (49) (25以下で成功)

    dice1d100=19 (19) (35以下で成功)

  • 122スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 10:00:12

    二人は揺らぐ像を前に、
    展示室の中を慎重に歩き回った。

    影は不規則に揺れ、
    まるでこちらをからかうように歪んで見えた。


    「……何もないな……」

    「見えるものは……変わる影だけだ……」

    その時、像に近づいた一人が足を止めた。
    像の首元から、かすかに湿った声が漏れ出しているのに気づいたのだ。


    「……声……?」

    そっと耳を近づける。


    『……形は……影に……影は……思いに……』

    声は途切れ途切れで、
    今にも消え入りそうに細かった。


    「形が……影に……?」

    耳を澄ますが、声はさらに弱くなり、
    像の中へ吸い込まれていくように消えていった。

  • 123スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 10:10:14

    「……レオ、いま声がした」

    「声?」

    「形は影で……影は思い……って……でも……それ以上は……」

    像の顔はますますぼやけ、
    首を傾けたまま微動だにしない。


    「……影と形……思い……」

    二人は立ち止まったまま、
    お互いの影を床に映して見比べた。

    黒く揺れる影は形を持たず、
    まるで霧の中に溶け出しそうに揺れている。


    「影を……定める……?」

    「それとも……このまま……?」

    展示室の壁に沿ったガラスも、
    二人の揺らぐ影を映し続けていた。

    まるで無数の像が、
    二人を取り囲んでいるかのように見えた。

  • 124スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 10:33:42

    「選ぶしかないのか……」


    「うん……」


    像の奥からは、もう声は聞こえなかった。


    だが静寂の中で、

    冷たく湿った風が二人の足元を撫でていった。


    展示室の中央に置かれた像は、

    今も変わらぬ姿で二人を見上げている。


    その空洞のような顔は、

    何かを待っているようにも見えた。



    【選択肢:――揺らぎを止めるか、変わり続けるか】


    【1】己の形を定め、揺らぎを止める

    【2】形を持たず、揺らぎ続ける


    >>125

  • 125スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 16:40:52

    タイムアップということで、

    今回はこちらでダイスを回します!

    dice1d2=2 (2)

  • 126スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 16:51:14

    二人の答えが展示室に落ちた瞬間、
    像の影が強く揺れ、
    展示室全体がひび割れるような音を立てて震えた。


    『不正解』

    低く、湿った声が像の奥底から湧き上がり、
    展示室に重く響き渡った。


    「……不正解……?」

    「俺たち……間違ったのか……?」

    影はガラスの表面を這うように広がり、
    揺れながら二人の足元にまとわりついた。

    その揺らぎは次第に形を持ち始め、
    無数の人影に変わっていった。


    「……人……?」

    「影が……増えて……」

    人影はどれもぼやけた顔をしていて、
    歪んだ口元だけが不気味に笑っていた。

  • 127スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 16:56:58

    『形を持たずに揺らぐことを選んだか』

    『お前たちは何者にもなれないまま、揺らぐだけの影だ』

    無数の影はそう囁きながら、
    ねっとりとした笑い声を響かせた。


    「……揺らぐだけ……」

    「形になれない……」

    像は揺れる影に覆われ、首をゆっくりと振った。

    胸からは冷たい黒い霧が吹き出し、
    展示室全体を覆っていく。


    「レオ……」

    「凪……」

    二人は互いの名前を呼び合い、
    霧の中で手を握りしめた。

    影たちはくすくすと笑いながら二人を取り囲み、
    揺らぎの中に引き込もうとしていた。

  • 128スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 17:03:25

    「俺たちは……俺たちだ……」

    「絶対に……」

    だが足元は黒い霧に飲み込まれ、
    立っている感覚すら失われそうになった。


    「進まないと……!」

    「うん……!」

    二人が同時に走り出した瞬間、
    像は不気味に微笑み、最後に低く囁いた。


    『形を求めぬ影に、形を得る日は訪れない』

    霧が一瞬にして引き、
    奥の壁が音もなく割れて左右に開いた。

    二人はそこから差し込む光へ向かって、
    足を止めずに駆け抜けた。

    背後では像が首を傾け、
    くぐもった笑い声を延々と響かせていた。

  • 129スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 17:09:27

    二人は割れた壁を抜けた先で、
    目も眩むような光に包まれた。

    目の前に広がっていたのは、天井から足元までびっしりとステンドガラスがはめ込まれた空間。


    「……何だここ……?」

    「光が……色が……」

    無数の赤や青、緑や金のガラスが複雑に組まれ、
    差し込む光を屈折させながら空間全体を彩っていた。

    その中心には黒鉄でできた螺旋階段が伸び、
    最上階まで続いているように見えた。

    階段の手すりには無数の細い影が絡み合い、
    動いているようにも感じられる。

    展示名は「響き続ける光階」、
    案内プレートにはこう書かれていた。


    “この螺旋階段を上る者は、光に照らされながら己を曝け出すことになる”

    “光は嘘を照らし、真実を暴き、進むごとに己の姿を試されるだろう”

    “光を恐れず上り続けた者のみが、自らを知るだろう”

  • 130スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 17:17:45

    「……曝け出す……?」

    「真実を……暴かれる……?」

    ステンドグラスに差し込む光はゆらゆらと揺れ、
    時折黒く濁るように暗くなる。

    螺旋階段を囲むガラスには、時々二人の影が無数に映り込み、影はそれぞれが別の表情をしているように見えた。


    「……これ、俺たちの影か……?」

    「違う……同じなのに違う……」

    その時、ステンドガラス全体が鈍く振動し、
    光が激しく瞬いた。

    螺旋階段の中ほどから、低く響く声が降りてきた。

  • 131スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 17:20:53

    『問う。光に曝け出し、真実を見せ続けるか』

    『それとも闇に隠れ、嘘を抱いたまま進むか』

    『選べ……曝け出すか、隠し通すか』

    声と同時にステンドグラスに映る影がぐにゃりと歪み、笑ったり泣いたりする別々の表情を見せ始めた。


    「……進むしかない……」

    「レオ……」

    「凪……」

    螺旋階段の入口に立つ二人の姿は、
    赤や青の光に照らされていた。

    その影は階段を駆け上がるように壁に伸びていった。

  • 132スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 17:22:37

    ■目星(30以下で成功)

    dice1d100=26 (26)

    dice1d100=17 (17)


    ■図書館

    dice1d100=85 (85) (35以下で成功)

    dice1d100=99 (99) (25以下で成功)

  • 133スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 17:29:23

    二人は螺旋階段を一歩ずつ上り始めた。

    足元の鉄はひどく冷たく、
    わずかに軋む音が静寂に響く。

    ステンドグラスに映る影は、上るたびに形を変え、
    笑ったり怒ったり、泣いたりを繰り返している。


    「……これ、俺たちの影……?」

    「でも、こんな顔した覚え……ない……」

    影の中には見たこともない自分たちの表情が、
    次々と浮かんでいた。

    嘲笑する影
    恐怖に歪む影
    絶望に膝をつく影……


    「嘘を……見せてるのか……?」

    「それとも……これが本当……?」

  • 134スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 17:36:56

    その時、ステンドグラスの一枚に、
    他のガラスと違う模様があるのに気づいた。

    幾何学模様の中心に、
    うっすらと文字のような彫り込みが見える。


    「レオ……あれ……!」

    「見える……何か書いてある……」

    二人は身体を寄せ合い、
    光に目を細めて読み取ろうとした。

     
    “嘘は己を守り、真実は己を曝す”

    “曝け出す者は傷つくが、嘘を抱く者は壊れる”

    “恐れに勝つは曝け出す者か、隠し通す者か……”


    「……曝け出す……傷つく……」

    「でも、嘘を抱いたままだと……壊れる……」

    ステンドグラスから差し込む赤い光は二人の顔を照らし、互いの不安そうな表情を浮かび上がらせた。

  • 135スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 17:42:43

    「どっちが……いいんだろ……」


    「俺たちには……どっちが……」


    螺旋階段の上からは白く冷たい光が降り注いでいて、それが出口であることは明らかだった。


    光は、登りきった先で全てを曝け出すことを求めているようにも見えた。



    「レオ……」


    「凪……」


    ステンドグラスの影は今も踊り続け、

    二人をせせら笑うように形を変えていた。


    その姿に耐えながらも、

    二人は一歩ずつ階段を進み続けた。


    答えはすぐそこまで見えている気がしたが、

    あと一歩が踏み出せない感覚があった。



    【選択肢:――曝け出すか、影に隠れ続けるか】


    【1】己を曝け出し、真実を示す

    【2】影に隠れ、己を守り続ける


    >>136

  • 136二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 17:47:30

    タイムアップあったのかーごめん二人とも…
    【1】でお願いします!

  • 137スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 18:19:48

    >>136 【1】ですね、承知しました!スレ落としたくないなーと思って、時間制限超過で進めさせていただきました!悪いのはスレ主の判断と、スレ主のダイス運なのでお気になさらず…

  • 138スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 18:24:51

    二人の答えが空間に響いた瞬間、
    ステンドグラス全体が強く震え、光が激しく瞬いた。

    螺旋階段を囲むガラスの影は形を保てず崩れ、
    液体のように床へ流れ落ちていった。


    『正解』

    冷たく乾いた声が、最上階から降り注いだ。

    響きは階段全体を満たし、耳奥を鋭く打つ。


    「……正解……」

    「これで……」

    だが次の瞬間、崩れ落ちた影が螺旋階段を這い上がり、二人の足元を絡め取った。


    『君たちは、全部曝け出したつもり?』

    声は不自然に笑いを含み、
    乾いた金属音が混じった。

  • 139スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 18:34:42

    「……何……?」

    「俺たちは……」


    『曝け出すほどの真実を、君たちは持っているの?』

    ステンドグラスに映った二人の影は、
    空洞の目で見上げ、にたりと笑った。


    「真実……?」

    「俺たちの……?」

    影はひび割れたステンドグラスを伝い、
    天井へと逆流していった。

    色とりどりの光を吸い込みながら、
    黒い影がガラスの内部に沈んでいく。


    『君たちは……何者かになれたのかな……』

    声は消え入りそうに小さくなったかと思うと、
    再び空間中に響き渡った。

    ステンドグラスの割れ目から白い光が漏れ、
    螺旋階段を頂上まで照らし出した。

  • 140スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 18:37:04

    「……レオ……」

    「凪……」

    二人は互いの名前を呼び合い、
    白い光に照らされながら最上階へと足を進めた。

    螺旋階段のてっぺんには、
    最後の扉が音もなく待っていた。

    背後では影たちが形を変えながら、
    悔しそうに呻き声を上げていた。


    「行こう……」

    「うん……」

  • 141スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 18:42:37

    二人が最上階の扉を抜けた先は、
    これまでのどの部屋よりも静かだった。

    白い光が緑の木漏れ日と混ざり合い、
    淡く揺らぐ空間が広がっていた。

    中央には向かい合って立つ二体のブロンズ像。

    同じ顔、同じ体型、わずかに手を伸ばし合いながらも決して触れない距離。

    展示名は「二つの虚像」、
    案内プレートにはこう書かれていた。


    “この像は、同じ姿を持ちながら決して交わらない存在を象徴する”

    “お互いに似ていても、互いを映す鏡にはなれず、本当には交われない”

    “どちらが本物でどちらが偽物か、あるいはどちらも虚像なのか”

    “答えは、お前自身が知っている”

  • 142スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 18:45:04

    「……鏡みたいだ……」

    「でも……これは……俺たち……?」

    光が強まると、二体の像の表面はまるで鏡面のように二人の姿を映し出した。

    映った二人は微笑んでいるが、影は不自然に歪み、
    目の奥に暗い影を宿しているように見えた。


    「俺たち……一体……」

    「これが……答え……?」

    そのとき、
    二体の像の間から深く低い声が沸き上がった。


    『問う。お前たちは、御影玲王と凪誠士郎か?』

    『お前たちは、“本物”なのか?』

    声は二体の像の胸元から溢れ出し、
    展示室全体に不気味に響いた。

    風が止まり、
    葉のざわめきさえ凍りつくような静寂が訪れた。

    空間を満たす光は薄暗く沈み、
    二体の像と二人だけが浮かび上がっていた。

  • 143スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 18:47:49

    「レオ……」


    「凪……」


    二人は互いを見つめ、

    答えを絞り出そうと唇を動かした。


    足元に伸びる影は、像の影と一つに混ざり合いながら、形を変え続けていた。


    その影が、まるで二人を選別するように蠢いていた。



    【選択肢:――本物か、偽物か】


    【1】俺たちは御影玲王と凪誠士郎だ

    【2】俺たちは御影玲王と凪誠士郎じゃない


    >>144

  • 144二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 20:59:47

    正直分からないけど否定もしたくないので【1】で…!

  • 145スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 21:03:53

    >>144 【1】ですね、承知しました!二人への優しさが感じられる回答、ありがとうございます!

  • 146スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 21:10:18

    二人の声が重なり、静寂に沈む空間に落ちた。

    その瞬間、二体の像は首をわずかに傾け、
    声を絞り出すように呟いた。


    『違う』

    その言葉はひどく乾いていて、痛烈に冷たかった。


    「……っ」

    「……」

    二人は顔を上げたまま、声を失った。

    像の胸元から黒い靄が漏れ出し、
    二人を優しく包むように漂った。


    『ここまで進んで、何か分かった?』

    靄の奥で、
    二体の像が同時に微かに笑ったように見えた。

  • 147スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 21:13:50

    『君たちは、何者かになれた?』

    声はひどく静かで、どこか慈悲深くもあった。

    しかしその響きは、
    優しさよりも冷たい現実を突きつけていた。


    「……俺たちは……」

    「……」

    ステンドグラスの残響が遠くで微かに響き、
    光は弱々しく瞬いていた。

    白い光に照らされる二人の影は、
    何度も歪み、形を変え続けていた。


    『またおいで。今度は何かの“本物”として』

    その言葉が空気に溶けるように消えていくと、
    像の影が緩やかに揺れた。

    重く閉ざされていた美術館の扉が、
    音もなく開いた。

    外からは、夜明け前の微かな風が吹き込んできた。

  • 148スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 21:15:45

    「……行こう」

    「……ああ」

    二人は互いの顔を短く見合い、わずかに微笑んだ。

    足元には光と影が混ざった細い道が続いていた。
    森の匂いが漂い、葉の擦れる音が遠くで鳴っていた。


    「凪……」

    「レオ……」

    どこか安堵したように名前を呼び合い、
    二人は光の外へ一歩を踏み出した。

    後ろで扉はゆっくりと閉じていき、
    美術館は再び静寂に包まれた。

    風が吹き抜け、夜の冷気が二人の背を押す。


    「……行こう、森を抜けよう……」

    「……うん……」

    二人の姿は暗く深い森の中へ、
    音もなく溶けていった。

  • 149スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 21:20:38

    森の中は、夜明け前の淡い光に包まれていた。

    木々の影が長く伸び、
    二人の前に細く揺れる道を作っていた。


    「……ダメだったね」

    静かに呟いた声が、
    森の中で吸い込まれるように消えた。


    「……ああ、そうだな」

    答える声も小さく、
    だけどどこか落ち着いていた。

    足元に落ちる影は、どこまでも細く頼りなく、
    すぐに途切れそうに見えた。


    「いつか……本物になれるのかな」

    「どうだろうな……本物に負けちゃったしな」

    足を進めるたび、
    夜露に濡れた葉がかすかに光を反射していた。

  • 150スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 21:23:13

    「でもさ……」

    「……?」

    「俺たち……こうして一緒にいる。……それだけは、本当だよね」

    「……ああ」

    月明かりが雲の隙間から顔を出し、
    二人の髪に冷たい光を落とした。


    「レオがいるから……俺は俺でいられる」

    「俺もだよ……凪」

    森の匂いは少し湿っていて、甘く、寂しかった。

    夜の中に響く二人の足音は、
    確かに同じリズムで続いていた。


    「……もうすぐ、森を抜けられるかな」

    「……抜けた先で……何が待ってるんだろうな」

    答えはなく、
    ただ葉の隙間を渡る風が二人を撫でていった。

  • 151スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 21:24:20

    「レオ……」

    「凪……」

    二人は互いの名前を何度も呼び、
    確かめ合うように歩みを止めなかった。

    振り返った森の奥では、
    今も暗く静かな美術館が眠っていた。


    「また……来ようね」

    「……ああ」

    二人の影は細く伸び、森の中に溶け込んでいった。

    誰もいない夜明け前の森で、
    彼らの声だけが、遠く微かに響いていた。

    そして、その姿もやがて、
    淡い霧に包まれて見えなくなった──。

  • 152スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 21:28:57

    この物語はここで終わりです。
    前作の選別で出現した“偽物”に、視点を当ててみました。必死で二人で名前を呼び合い、お互いを確かめあって生きようとする姿を、怖さより寂しさ重視で書いてみました。救いがない話もスレ主結構好きなんです。
    謎解きは“本物”ならどれを選ぶかで正解、不正解を決めてますので、ぶっちゃけ絶対間違ってる等はありません。それぞれ考え方は違いますからね。
    いかがでしたでしょうか、短いですが伝えたいことは詰め込んだつもりです。

  • 153スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 21:50:21

    【次回作品】
    ※プロット作成済み:明日夜、投稿予定

    ・オールキャラで、廃テーマパークホラー
    ・安価/ダイス管理
    ・ロストあり/救済はスレ主の匙加減
    ・ルールが特殊、説明書きを読むのを忘れず!
    ・特殊描写あり、今回も天国描写準備予定!
    ・テーマは「悪夢、死と生」
    ・今回の正解数分デバフが付く
    ・世界線は本物語と同じ(選別と関わりが大きい)

    【次々回作品】
    ※プロット再構成中:ぼうけんのしょはきえました

    ・オールキャラでRPG風ギャグ
    ・安価/ダイス管理
    ・基本ギャグの世界線なので下ネタ注意
    ・基本わちゃわちゃしてる
    ・テーマは「全力でふざける」
    ・世界線はまた別(ギャグの世界線)

    リクエストを頂戴した、黒名・士道のプロットも作成中です!お楽しみに!
    登場させたいキャラや、舞台(こういう物語にしたい)等あれば、お気軽にどうぞ!

    本作もお読み頂きありがとうございました!
    また次回作でお会いしましょう!

  • 154二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 21:53:18

    お疲れさまスレ主面白かったよ
    ちなみに最後の選択肢で【2】を選んでいたら結末は変わっていた?
    差し支えなければ教えてください

  • 155スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 22:02:31

    >>154 こちらこそ最後までお付き合い下さりありがとうございました!

    とってもいい質問ですね。最後で【2】を選んだ場合ですが、結末は変わりません。ただ、自分自身を見つめ直すことができた、という意味では、一方“本物”に近づけたのかもしれませんね。

    【1】は願望、【2】は俯瞰ですので、この選択もまた間違いがあるものではありませんでした。

  • 156二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 22:12:36

    お疲れ様でした!参加型緊張しましたが面白かったです!
    黒名の話が出たあたりでもしかして選抜の話と関りがあるのかな?と思っていたので合ってて嬉しい…!
    でもそこまで気付いて結局2を選べなかったんですが、1は願望と聞いてたしかにそうであってほしいという気持ちがあったからだなと納得しました
    終わりは切ないですが、この二人もお互いがかけがえのない存在になっていることが本物とリンクしていてそれが救いなように感じました
    素敵な作品をありがとうございました!

  • 157スレ主◆jCG/LXEbdA25/06/30(月) 22:20:20

    >>156 こちらこそ最後までお読み頂き、また安価へのご参加もありがとうございました!黒名の部分でお察し頂けたとの事で、意図が伝わって良かったです!

    “偽物”達は、ただ“本物”(唯一無二の存在)になりたかっただけなんですよね。何かの拍子で生まれてしまっただけで、彼らに罪はないんです。せめて、二人で最後まで一緒にいられたらいいですよね。

    “偽物”を悪者のような形で終わらせてしまったので、せめてもの餞です。素敵と言っていただけて感謝しかありません…!

  • 158二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 03:12:52

    面白かったよ
    また次回作も楽しみにしてるね

  • 159二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 11:05:45

    選別と同一の世界線ってかいてたからやはりそうかの気持ち 選別がめっちゃ好みでスレ主のSS読み始めたから偽物の凪と玲王の話読めて嬉しかった!次も楽しみにしてる!

  • 160スレ主◆jCG/LXEbdA25/07/01(火) 11:49:49

    >>158 最後までお付き合い下さりありがとうございました!次回作、スレ主のダイスの女神が味方をしてくれることを祈るばかりです…!お暇な時に覗きに来て下さいね、お待ちしております!


    >>159 素晴らしいお察し能力です!選別、気に入っていただけて嬉しいです!もっとこうすれば良かったという後悔でいっぱいですが、楽しんでいただけて良かったです。“偽物”の物語も楽しんでいただけたとの事で感謝でいっぱいです!次回もよろしくお願いします!

  • 161スレ主◆jCG/LXEbdA25/07/01(火) 20:47:02

オススメ

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