【ホラー・SS・🎲】ヨドヒ様の村

  • 1二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:14:59

    ※自作CoCシナリオをもとにしたホラー
    ※登場人物はスレ画の4人
    ※安価など有り、ダイスもあり、選択肢や出目によってはロストもあり
    ※広域ホスト規制されがちのため保守ご協力をお願いします

  • 2二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:16:55

     ブルーロックメンバー、および海外選手たちは今、山の中にいた。
     帝襟アンリにより施設の欠陥が発見され、それに伴う大規模改修により、選手たちは急遽代替合宿地へ向かう事になったのだ。
     場所は東京郊外の山間部。移動は青い監獄のマークが輝くバスで。
     休憩でSAに寄ることはあったものの、トイレ以外でうだるような熱気が渦巻く外になど到底出たいとも思えず、多くの選手は冷房の効いたバスの中で思い思いの時間を過ごしていた。
    いっとう深い山道を登る途中、バスが突如として停止する。

    「……は? 止まった?」

     誰かが言った。エアコンも消え、沈黙した車内にざわめきが走る。運転手が外に飛び出してどこかに電話をしたりなど、懸命に再始動を試みるが、車はうんともすんとも言わない。
     イングランド・スペイン・イタリア組のバスは先に進んでいっていた。賢明な判断である。
     つまり、ここに残されたのは、まさにエンジントラブルに見舞われたドイツ・フランス組のバスだけだ。
     車外には深い山の空気が立ち込め、遠くでセミが鳴いている。時刻は昼過ぎ、陽はまだ高いが、雲の流れが早く、時おり薄暗くもなる。そして……暑い。

  • 3二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:24:04

    「退屈すぎて死ぬ。探検してくるわ!」
     誰よりも早く車を降りたのは士道だった。スマートフォンだけを手にして、舗装されていない脇道へと分け入っていく。
    「えっ!? おい、待てよ士道! 一人で行くな!」
     フランスのメンバーは「いつものが始まったよ」と言わんばかりに静観し、ドイツのメンバーも我関せずの顔でいたが、潔だけは別だった。士道の爆発を三次選考でもU-20戦でも浴びていた潔だからこそ、彼が「何をやらかすか」を一番に考えられたのかもしれない。
     脇道に分け入っていく二人の背中が消える前に、凛が立ち上がった。
    「あれれ? 気になっちゃう?」
    「フン」
     シャルルの茶化すようなセリフに鼻を鳴らして、凛はそのまま降車口に向かった。遠くからでも主張が激しい士道の髪色を追いかけて、木立の間をすり抜けるように歩いていく。
     こうして、士道、潔、凛が消えた車内は、各々が「どうする?」と顔を見合わせて、微妙な空気になっていたものの、最後に立ち上がってバスを降りたカイザーがそれを打ち破った。
    「カイザー! クソ世一なんて追う必要ねぇです! 行くなら僕も一緒に……」
    「黙っていい子にしてろ、ネス」
     はねつけるようにして言われたネスは、首を振るノアに押されてバスの降車口で固まった。瞳は揺れており、ついていきたいと顔に書いてあるようだが、カイザーがとりあうことはない。
     木立の中に迷うことなく歩いていくカイザーの視界に、既に彼らの姿はなかった。だが、踏み倒された草木から、彼らが進んでいった道は理解できる。
     カイザーがふと呟く。
    「あいつ、呼ばれてたみたいだったな……」
     カイザーは喉を抑え、顔をしかめたが、すぐに足を進めた。
     こうして、四人は"余土村"へと足を踏み入れることになるのだった。

  • 4二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:24:53

    あれ 立て直し?

  • 5二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:30:16

    2周目?

  • 6二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:30:18

    前のスレでスレ画について指摘はあったからそれ気にしてやり直し?
    次スレで直すって言ってたし悪意あるわけじゃなさそうだったし
    終わりも見えてたっぽいから完走で良かったんじゃないかとおもったんだけど
    なにかあの後荒れでもしたのか

  • 7二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:30:43

     士道に追いついて戻るよう説得していた潔であったが、士道はそんなことも聞かないでずいずい前に進んでいってしまう。そのうち凛も合流して潔が叫び、更にぬるっと湧いて出て来たカイザーに頭を抱える羽目になった。
     よりによって、ドイツとフランスの主役級が揃い踏みである。このメンバーが遭難したらコトだ。なんとしても無事に帰らなければと意気込む潔をあざ笑うようにでたらめに木立の中をしばらく進むうち、士道が「お」と声を出して足を止めた。
     潔たちも士道の視線の先を覗き見てみると、そこには木々の合間にひっそりとした集落が存在していたのだ。まるで崖のようにも思える急な坂を下ると、踏み固められた道が現れ、茅葺き屋根の家々が並ぶ光景がより鮮やかに映る。
    「……村?」
     思わず声に出す潔。凛は目を細めてあたりを見渡しながら、マップアプリを立ち上げた。
    「地図にはなかったはずだ。……今は圏外だな」
    「今は圏外……なら、わざわざ見てたのかよ」
    「こんなところに入っていくのに見ない方がどうかしてる」
     潔の口元が引き攣ったところで、カイザーが潔の肩を叩く。
    「何?」
    「あれは何と読む? ようこそ、は読めた」
     カイザーは言語こそ御影イヤホンによって翻訳されて聞こえはするものの、日本語を読み解くのは難しいらしい。といっても、ひらがなを読めているだけでも彼の学習意欲の高さがうかがえるが。
     潔は珍しく皮肉も敵意も篭っていないカイザーの言葉に従い、舗装のされていない小道の脇にある看板を読み上げた。
    「ようこそ、……あまり、つち……村へ?」
    「あまりつち? ヨドじゃねぇのか」
     木彫りの看板は比較的最近作られたもののようだった。その新しさに、どこかわざとらしさも感じる。まるで、迷い込んだ者に「ここは実在する村です」と主張しているような――。

  • 8二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:32:30

    立て直しなのかスレタイ変わってること踏まえて何か意図のある2周目なのか全くわからん
    開幕ほぼ同じ内容だから今現在で判断できん 補足ほしかったな

  • 9二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 22:32:39

    スレ画についての言及が増えたのと
    指摘について最もかなと思ったから
    実質2周目でごめんけど回させて貰おうと思って
    探索箇所を増やして分岐も増やしていこうと思います

  • 10二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 23:04:28

     足元の草を払いながら進むうち、視界がぐっと開ける。茅葺き屋根の家々が、谷間のような場所に寄り添うように並んでいる。土を踏み固めたような細道、ぽつぽつと並ぶ石灯籠――江戸時代の時代劇のセットのような光景だ。
     けれども、潔は立ち止まり、首を傾げた。
    「……音がねえな」
     後ろから降りてきた凛が、ぽつりと呟く。
    「音?」と潔は繰り返し、耳を澄ませる――そうして、気づいた。
     蝉の声がない。鳥も、虫も、風の音すら……すっかり消えているのだ。ここに来るまで、あれほどうるさかったというのに。
    「……」
     遅れて合流したカイザーが、何かを呟いた。けれどその言葉は、潔が問い返すより早くかき消された。
     ガラリと乾いた音と共に、一軒の家の戸が開く。
     そこから現れたのは、白髪を結った小柄な老婆だった。
     藍の着物をまとい、手には何も持たず、ただ、穏やかに微笑んでいる。
    「よう来なさった、旅のお方。ちょうどええ、支度が済んだとこじゃ」
    「……え?」
     潔が戸惑いの声を漏らす。老婆の声は、妙に通った。その音が空気に馴染むと同時に、まるで世界が裏返ったような感覚が背筋を這う。
    「支度って……俺ら、ただの通りすがりで――」
    「雨が来る。じきに、よう降るよ」
     老婆が空を見上げた、その刹那。ぽつりと、冷たい水滴が潔の鼻先に落ちた。
     見る間に空が翳り、糸のような雨が降り始める。空気の温度が一段、下がったように感じられた。
     カイザーが濡れた髪を振る。その水飛沫が凛にかかり、凛が反射的にカイザーの胸倉を掴む。
     士道が「いいぞいいぞ」と笑いながらスマホを確認し、しっかり圏外であることを確かめると、肩をすくめてポケットにしまった。
    「雨宿りくらい、してもよくね? 戻っても、どうせバス動いてねーし」
     老婆は何も答えず、くるりと踵を返し、一軒の家の戸口へと歩き出す。
    「風呂の順番は、決めておくんじゃぞ」
     まるで最初から、ここに自分達が来ることを知っていたかのような口調だ。潔はなんとなくそう思って不気味に感じ、思わずバスの方を振り返った。けれど、もう木々に隠れて見えない。方向感覚すら、どこか曖昧になっている。
     気づけば、士道も凛も、カイザーも、老婆の背に続いていた。
     潔はためらいがちに一歩を踏み出し、霧がかった村へと足を踏み入れた。

  • 11二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 23:35:58

    新規ルートも見れるかもしれんのか
    楽しみ

  • 12二次元好きの匿名さん25/06/28(土) 23:41:42

     引き戸をくぐった瞬間、ふわりと甘い香りが鼻をくすぐった。
     炊きたての米の匂いだ。遅れて、味噌汁の香り、どうやら肉を焼いたらしい香ばしい匂いも漂ってくる。
    「……飯?」
     士道がぱあっと顔を輝かせ、勝手に上がり込もうとする。
     潔が慌てて止めようとしたが、それより先に老婆が振り返って言った。
    「ちょうど炊き上がったところじゃ。風呂もわいとる。先にどっちがええかの?」
     言葉のあまりの自然さに、全員が戸口で固まる。
     まるで、自分たちがここに来ることを、最初から知っていたかのようだった。
     囲炉裏の脇には、着替えと見られる浴衣とタオルが四組。ぴたりと揃って置かれている。
     士道はまったく気にせずそれを担ぎ、「じゃ、風呂!」と宣言して奥へ進んでいった。老婆は風呂の場所を案内しについていく。
    「……なんか、変だよな」
     潔が小声で言うと同時に凛が無言で周囲を見渡し、古い柱のひとつ――いや、その横に立てられたものに目をとめた。
    「……あれは?」
     カイザーも気づいていたようで、顎をしゃくった。
     白木の台座に立てられた、紙垂の垂れたソレ。神社の祭具にも似ているが、あまりに唐突に土間の一角に存在している。
     案内を追えたらしく、一人戻って来た老婆に潔は問いかけた。
    「これ……何ですか?」
    「弊(へい)じゃよ」
     老婆はさらりと言って、台座には目もくれずに通り過ぎていく。
    「悪霊が入らんよう、日々の守りとして立てとるだけじゃ。気にせんでええ」
     気にするなと言われても、それは日常の風景としては異様すぎた。
     木の根元や入り口ならまだしも、土間の中に、それも誰かを迎えるような位置に、結界のように立てられているのだ。
    「まるで……」
     凛がぽつりとつぶやいたが、その続きを言うことはなかった。
     老婆はすでに厨のほうへと姿を消している。カイザーは老婆のことを追いかけるように無言で奥へと進んでいった。
     潔は居間の中央に立ち尽くしながら、白木に立つ紙垂の揺れを、じっと見つめていた。

  • 13二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 00:21:10

     士道が風呂場へ駆けていったあと、居間には潔、凛、カイザーの三人だけが残された。
     囲炉裏のような造りの中央を囲むように、畳の上に座布団が置かれている。
     けれど、どこかよそよそしく、生活の匂いがない。そもそも、こんなに広い家に老婆一人で住んでいるのも不自然だ。
     凛は無言で座布団の端を持ち上げて裏を確認し、潔は部屋の隅に目をやっていた。
     カイザーだけが、ごく自然にジャージの上着を羽織り直し、居心地よさそうに座布団へ腰を下ろした。
    「……日本の夏に絶望していたんだが、涼しいようで良き。空調があるようだ」
    「え?」
     潔が思わず聞き返す。カイザーは何でもないように答える。
    「ドイツの夏よりは湿気があるが……このくらいなら、長袖でちょうどいい。さっきまではクソ脱ぎたくて仕方なかったが」
    「……いや、空調なんて……どこに」
     潔は思わず、自分の腕をさすった。確かに、さっきまで汗ばんでいたはずなのに、今はひんやりとしている。
     凛がすっと立ち上がり、窓――網入りガラスだ――から外をうかがった。
     風も、空気の揺らぎも、蝉の声もない。ただ、ぴたりと静まりかえっていた。
    「涼しい」
    「……うん」
    「俺達はバスで蒸し焼きになるかどうかだったんだぞ」
    「……」
    「この時期、東京の山間部で、長袖が丁度いい気温になるようなことはない。しかもまだ日中だ。……おかしい」
    「なんだ、これはやはり、日本ですら異常なコトなのか?」
     カイザーの声には純粋な驚きが滲んでいた。確かに、あの坂を下る前までは汗だくで、水分を持って来なかったことを死ぬほど後悔したのに。
     いまは、汗がすっかり引いて、皮膚の表面はすべすべしている。
    「……気づかなかった」
     潔が小さくつぶやくと、カイザーがからかうように言う。
    「順応が早いのは、悪いコトじゃない。思考が鈍るのは困るけどな」
    「……」
     潔は返さなかった。けれど、その涼しさが歓迎された証なのか、それとも何かに踏み込んだ兆しなのかは、まだわからないままだった。

  • 14二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 00:37:12

     しばらくして、湯気と石鹸の香りをまとった士道が、風呂場の方から戻ってきた。首にかけたタオルをふわふわと弄びながら、機嫌よさげに言う。

    「風呂、マジで最高。湯温もバッチリだったし、なんか……体軽くなった気すんだよな」

     その言葉に、三人の視線が自然と集まる。清潔なはずの湯あがりが、妙に艶めいて見えるのは、湿気のせいか――あるいは、別の何かが士道の身体を撫でたのか。

    「んで、俺の次……って、あれ? 先に飯か?」

    「ご飯ができたよぉ。まずは腹に入れてからがええじゃろ。風呂はまだ沸いとるから、順にお入り」

     老婆がお盆に乗せて運んで来たのは、五つ分の漬物鉢だった。潔たちは顔を見合わせる。まるで、最初から潔達を加えた分の食事が出来上がっていたようではないか。

     眉を顰めたカイザーがタオルを手に立ち上がりかけるが、老婆がふいに声をかける。

    「異人さん。あんたはこのあとにしなされ。ちょうどぬるくなっとるじゃろうから、わかしなおすまで待っとってくれんね。飯でも食って」

    「……ああ、そ」

     素直に従って腰を下ろすカイザーだったが、ふと呟いた。

    「外に連絡を取れる手段はないのか? スマホも圏外だったコトだ、監獄の連中に状況を伝える必要があるだろう」

    「おや……あんた、連絡手段をお探しで?」

    「ああ。電話くらいあるだろう? ないのか?」

    「ほんなら、村長の家にあるよ。村で唯一、山電(やまでん)ひいてあるのは、そこだけじゃ」

     ぽつりとそう言って、老婆はゆっくりと立ち上がる。

    「案内してあげようか。……ちょうど、村長も話したがっとる頃じゃろうし」


    誰かが行くのを見送る?誰かについていく?一人でいく?

    >>15

  • 15二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 00:59:40

    誰かについていく

  • 16二次元好きの匿名さん25/06/29(日) 01:03:44

    ホラーで1人はあかん

スレッドは6/29 11:03頃に落ちます

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